JP6101711B2 - 液体輸送装置を用いて基材上に粒子フィルムを配置し構造形成する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、基材(好ましくは走行する基材)上に粒子を堆積させる方法の領域に関する。
より具体的には、本発明は、粒子が配列したフィルム(好ましくは単層フィルム)の堆積に関する。粒子の大きさは、数ナノメートルから数百マイクロメートルでありうる。この粒子は好ましくは球状粒子であり、例えばシリカ粒子でありうる。
基本的に、本発明は、基材上に粒子フィルムを堆積した後に行われる、該粒子フィルムの構造形成工程に関する。この構造形成は、例えば粒子フィルムに他の粒子及び/又は物体を結合することを目的として行う。或いは、基材上のフィルムの残存配列粒子で囲まれた凹部を維持することを目的とする場合もある。
物体を堆積フィルムへと一体化する場合、特にセンサー等のハイブリッド機器の製造が問題となる。ハイブリッド機器は、多様な機能(電子機能、光学機能、電気光学機能、圧電機能、熱電気機能、機械的機能等)を有する物体を同一の基材上で用いるものである。
粒子フィルムに一体化可能な物体の例としては、
− 能動電子部品(トランジスタ、マイクロプロセッサ、集積回路等)、
− 受動電子部品(レジスタ、コンデンサ、ダイオード、フォトダイオード、コイル、導電トラック、溶接母材等)、
− 光学部品(レンズ、マイクロレンズ、回折格子、フィルター等)、
− バッテリーセル、マイクロセル、マイクロバッテリー、光検出器、太陽電池、無線自動識別(RFID)システム等、
− ナノメートル又はマイクロメートルスケールの、活性又は不活性の粒子又は凝集体(酸化物、ポリマー、金属、半導体、性質や特性の異なる2相を有するヤヌス粒子、ナノチューブ等からなるもの)
等が挙げられる。
− 能動電子部品(トランジスタ、マイクロプロセッサ、集積回路等)、
− 受動電子部品(レジスタ、コンデンサ、ダイオード、フォトダイオード、コイル、導電トラック、溶接母材等)、
− 光学部品(レンズ、マイクロレンズ、回折格子、フィルター等)、
− バッテリーセル、マイクロセル、マイクロバッテリー、光検出器、太陽電池、無線自動識別(RFID)システム等、
− ナノメートル又はマイクロメートルスケールの、活性又は不活性の粒子又は凝集体(酸化物、ポリマー、金属、半導体、性質や特性の異なる2相を有するヤヌス粒子、ナノチューブ等からなるもの)
等が挙げられる。
より詳細には、本発明は、以下の寸法を有する物体の一体化に関する。
− 部品:顕微鏡スケール(数十ミクロン)から巨視的スケール(約10センチメートルを超える寸法)、及び
− 粒子及び凝集体:1ナノメートルから数百ミクロン。
− 部品:顕微鏡スケール(数十ミクロン)から巨視的スケール(約10センチメートルを超える寸法)、及び
− 粒子及び凝集体:1ナノメートルから数百ミクロン。
概して、本発明は、燃料電池、オプティックス、フォトニクス、ポリマー被覆、チップ、MEMS、有機エレクトロニクスや光電池の表面構造形成等の分野で用いられる。
近年、配列粒子のフィルムを堆積させるために、液体輸送装置を用いて該フィルムを基材上に移す技術が開発されている。しかしながら、液体輸送装置を用いてフィルムを基材上に移す際には、一般的な構造形成技術が適しているとは証明されていない。
更に、このような一般的な技術は、通常は操作ミスに関して寛容であるとは言えない。
従って、本発明は、上記欠点を少なくとも部分的に改善することを目的とする。そのため、本発明は、基材(好ましくは走行する基材)上に粒子を堆積させる方法に関する。該方法は、(a)基材に対向して配置された粒子出口を有する移動領域に設けられたキャリア液上に浮かぶ粒子の緻密フィルムを形成する工程と、(b)移動領域において、粒子の緻密フィルム上に材料を堆積する工程と、(c)材料で被覆された粒子の緻密フィルムを、粒子出口を介して基材上に移す工程と、(d)材料に付着した前記フィルムの粒子が取り除かれるように材料を除去することで、前記基材上に移された前記フィルム内に少なくとも1つの凹部を形成する工程とを含む。
即ち、本発明は、基材上への3段階の堆積の後に粒子配列フィルムの構造形成を行うことを可能とする、単純で効果的な解決策を提供する。この方法では液体輸送装置を使用し、そのため該方法は起こり得る操作ミス及び/又は材料堆積ミスに対して耐性がある。粒子がキャリア液上に存在し、基材上に堆積させる前であれば、実際にミスが起こった場合、後者は容易に補正できる。
概して、本発明は非常にフレキシブルに実施できる。
構造形成工程は、例えば、その構造に異なる粒子及び/又は物体を一体化すること、或いは単に粒子が存在しない凹部を残すことを目的とする。
ここで、少なくとも1つのパターン(例えば、閉鎖又は開放された点又はコード)が形成されるように、上記材料を堆積させる場合がある。コードは、その直径にもよるが、他の線に結合されうる。或いは、上記パターンは表面パターンであってもよく、例えば円盤状、四角形状、その他、所望の凹部を形成するのに適した形状を有しうる。
もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、異なるパターンを粒子フィルム上に交互に形成しうる。
凹部に載置可能な物体のうち、シリコンチップ、マイクロバッテリー、有機エレクトロニクス部品、金属部品、光電池、バッテリーセル、及びバッテリーマイクロセルに言及する。これらの物体を用いると、例えばセンサー等のハイブリッド機器の製造がとりわけ可能になる。
更に、凹部を他の粒子で満たす際には、後者は、例えば組成及び/又はサイズが、事前にキャリア液上に形成したフィルムの粒子とは異なるのが好ましい。この場合、特に勾配を有するフィルムの形成が可能となる。
上記材料は重合性化合物を含み、粒子の緻密フィルム上に材料を堆積させた後に重合性化合物を重合させるのが好ましい。
このような重合性材料の使用は、液体輸送装置を用いた粒子移動にも完全に適応する。特に、この塗布工程において、いかなる重合性材料も、フィルム中の粒子の濃度の違いにも対応できる。
上記材料を重合させると、1つ又は幾つかの固体パターンが形成される。固体パターンは、その後、該パターンに付着した粒子と共に除去される。
本発明の範囲から逸脱することなく、類似の機能を示す他の種の材料を用いてもよい。
重合性化合物を含む材料を用いる好適な例では、当業者に公知の適当な技術(好ましくは熱的又は光学的技術)を用いて重合を行う。重合は、工程(c)に先立って完全に又は部分的に行うか、或いは工程(c)の後に開始する。いずれの場合も、重合後には、実質的に全ての粒子が材料に接触し十分に付着する。これにより、材料を除去する際に、該材料が粒子を基材から取り去る。本発明の範囲から逸脱することなく、パターンの縁部にある幾つかの粒子が基材上に残存しうる。
重合した材料の除去は、適当な道具を用いた手動での剥離作業又は自動的な剥離作業によって行うのが好ましい。
移動領域から基材上に移す際の歪みに対応するために、粒子に接触付着した材料は、重合されているか否かに関わらず、十分な柔軟性を有するのが好ましい。
必要に応じて、得られたコード/スパイクの直径は、数十ミクロンから数ミリメートルでありうる。
上記材料は液体又はスラリー状に見えることが好ましい。
上記材料は疎水性であることが好ましく、また重合した固体状態にあることも好ましい。
概して、特にキャリア液が水ではない場合を想定すると、上記材料はキャリア液と混和できない。
上記材料はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、及び/又はポリウレタン樹脂を含むのが好ましい。
緻密フィルムの粒子の大寸法と、後に基材上のフィルムの凹部に収容される物体の大寸法との比率は、好ましくは104〜108である。例えば、緻密フィルムを形成する粒子は1nm〜500μm程度の大寸法を有しうる。一方、物体は約30cm以下の大寸法を有しうる。
緻密フィルムの粒子は、直径約1μmのシリカビーズであることが好ましい。一方で、フィルムは不均一でありうる。即ち、フィルムはサイズが異なるビーズを含みうる。
物体は0.2cmを超える大寸法を有するのが好ましく、30cm未満であることが好ましい。後者の数値は、堆積フィルムの幅に応じて変わりうる。実際、物体の最大寸法は、最終的に得られるフィルムの幅に近い値でありうる。本発明の範囲から逸脱することなく、マイクロメートルサイズ又はナノメートルサイズの物体も使用できる。
フィルムに一体化される物体の幾つかの例は上述したが、この物体はいかなる形状も有しうる。物体は平面状である必要は無く、任意の曲率半径(例えば5cm未満)を有してよく、また更に連結用パッドを結合してもよい。また、フィルム中の粒子の形状は、一様であることが好ましいが、変更しうる。
本発明では、例えば、検出素子(粒子等)を有するセンサー、1つ以上のエネルギー回収システム(光電池、圧電フィルム、燃料電池)、エネルギー貯蔵システム(マイクロバッテリー)、情報管理システム(シリコンチップ)、通信システム(無線自動識別(RFID)チップ)、電気的接続素子(導電トラック)、電子部品(レジスタ、コンデンサ)、溶接要素(母材)等の、複合デバイスの製造についても着目する。これらの機器に要求される物体は、除去された材料に替えて堆積フィルム上に配置される。必要に応じて、複数の物体が積層される。
また、粒子の緻密フィルムの概念は、例えば、サチン・キンゲ(Sachin Kinge)、「表面及び界面における自己集合性ナノ粒子(Self−Assembling Nanoparticles at Surfaces and Interfaces)」、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ケミカルフィジックス・アンド・フィジカルケミストリー(ChemPhysChem)、2008年、9、20〜42に開示されている。この緻密フィルムは、当業者に公知の技術(例えば、圧縮、双極子間相互作用、及び/又は磁場等)によって、キャリア液表面に形成されうる。
双極子間相互作用の技術は、四面体、立方体、又は八面体のようなファセットを有する粒子に用いられる。このような形状の場合、双極子間相互作用が粒子の組織化に重要な役割を担う。ファセット間の極性差により、粒子内部に双極子モーメントが生じる。
磁場組織化技術は、強磁場中で強い粒子間相互作用を引き起こすことによって配列可能な磁性ナノ粒子に用いられる。
圧縮技術については、特に、ルシオ・アイザ(Lucio Isa)ら、「液液界面におけるコロイド自己集合による粒子リソグラフィー(Particle Lithography from Colloidal Self−Assembly at Liquid−Liquid Interfaces)」、ACSNANO、第4巻、第10号、5665−5670、2010年、マルクス・レッチェ(Markus Retsch)、「空気/水界面における自己集合を利用した大面積移動可能コロイド単層膜の形成(Fabrication of Large−Area, Transferable Colloidal Monolayers Utilizing Self−Assembly at the Air/Water Interface)」、マクロモレキュラー・ケミストリー・アンド・フィジックス(Macromol. Chem. Phys.)、2009年、210、230−241、及びマリア・バルドソバ(Maria Bardosova)、「ラングミュア・ブロジェット法によるシリカ球からのコロイドフォトニック結晶の作製(The Langmuir−Blodgett Approach to Making Colloidal Photonic Crystals from Silica Spheres)」、アドバンスド・マテリアルズ(Adv. Mater.)、2010年、22、3104−3124により知られている。
この圧縮技術は、CA2,695,449に記載の傾斜路を用いた方法も包含する。即ち、本発明の方法では、特に粒子の流通に傾斜路を用いる。傾斜路は移動領域の入口に取り付けられ、上記キャリア液も傾斜路上を流動する。
通常の条件下では、粒子配列に要するエネルギーの一部は、キャリア液及び粒子を輸送するための上記傾斜路によってもたらされる。水平面上のキャリア液をポンプによって流動させる等、他の手法を用いてもよい。水平面の下流部は、粒子を移動させるための領域である。或いは、ポンプに替えてファンを用いる。移動させる粒子がキャリア液上に浮遊している状態で、ファンを用いてキャリア液表面に気流を付与する。上記のとおり、本発明の範囲から逸脱することなく、他の手法を用いてよい。例えば、いわゆるラングミュア・ブロジェット法を用いて粒子を圧縮加工してよい。
上記方法において、基材上に移動させた後、粒子の基材への堆積及び付着を促進するための熱アニーリング工程を行うのが好ましい。
本発明の他の利点及び特性は、以下の非限定的な詳細な説明から明らかになるであろう。
以下、添付図面を参照して説明する。
まず、図1及び図2を参照することにより、粒子を基材(好ましくは走行する基材)上に移動させるための設備1を理解しうる。この移動は堆積と同義であるとみなされる。詳細は後述するが、この移動は、キャリア液上に粒子の緻密フィルムを形成し、必要に応じて構造形成する前に該フィルムを基材上に堆積させることによって実施される。
設備1は粒子4を供給するための装置2を有し、粒子4の大きさは数ナノメートルから数百マイクロメートルの間でありうる。粒子は好ましくは球状であり、例えばシリカ粒子でありうる。他の興味深い粒子としては、白金やTiO2のような金属又は金属酸化物、ポリスチレンやPMMAのようなポリマー、カーボン等からなるものが挙げられる。
より具体的には、好ましい実施形態において、粒子は直径約1μmのシリカ球であり、供給装置2内の溶液中に貯蔵される。溶液200mlに対する粒子の比率は約7gであり、ここでは溶媒はブタノールである。当然ながら、明確化のために粒子は実際の直径よりも大きく図示している。
供給装置2は直径約500μmの制御可能噴射ノズル6を有する。
上記設備は液体輸送装置10も有する。液体輸送装置10は、必要に応じて設備の排出を促進するために、上記粒子を流通させるための傾斜路12と、実質的に水平か僅かに傾斜した移動領域14とを一体化したものである。傾斜路の上端は、供給装置2から投入された粒子を受領するために形成されている。この傾斜路は直線状で、5°〜60°(好ましくは10°〜30°)の角度で傾斜しており、これにより粒子が移動領域14に向かって輸送される。キャリア液16が傾斜路12上を流通し、移動領域に達する。また、1つ又は2つのポンプ18を用いて、移動領域14と傾斜路上端との間でこの液16を再循環させうる。ここで、この液は好ましくは脱イオン水であり、粒子4は該液上に浮遊可能である。しかしながら、開放循環回路によって新たな液を用いることが好ましい場合もある。また、数種の混和できない液体を併用しうる。
傾斜路の下端は、粒子移動領域14の入口に連結されている。入口22は屈曲線24に位置し、屈曲線24は傾斜路12の傾斜面上に存在するキャリア液表面と移動領域14の水平部上に存在するキャリア液表面との接点を形成している。
粒子の入口22と出口26との間には間隔があり、2つの側端部28によってキャリア液16が領域14内に保持される。これら側端部28はある程度離れて互いに対向しており、設備内でのキャリア液及び粒子の主な流動方向に平行に延在している。図1及び図2中、この方向は矢印30により示されている。従って、本発明の範囲から逸脱することなく他の配置を採用した場合も、領域14は入口及び出口が開放された回廊又は通路の形状を有する。
移動領域の下流部の底には、水平方向よりも上流側に僅かに傾斜したプラトー部27が形成される。例えば、5°〜10°程度傾斜している。プラトー部27は「刃」とも称され、その下流端は部分的に粒子出口26を規定する。
基材38を走行させるために、設備1は基材輸送装置36も有する。基材は硬質基材であってもフレキシブル基材であってもよい。後者の場合、作動したローラー40上で使用できる。ローラー40の軸は、近接する領域14の出口26に平行である。実際には、基材38は出口26に非常に近接して走行するよう意図されている。そのため、出口に達した粒子は、キャピラリーブリッジ42を介して容易に基材上に移動しうる。キャピラリーブリッジ42はメニスカスとも称され、基材とキャリア液16とをつなげる。或いは、本発明の範囲から逸脱することなく、基材は直接移動領域に接触しうる。この場合、上記キャピラリーブリッジは必要無い。
図面に示した例では、基材の幅は領域14及びその出口26の幅に一致している。これは幅L1であり、基材上に堆積されうる粒子のフィルムの最大幅とも一致している。この幅は25〜30cm程度でありうる。しかしながら、粒子を堆積させる基材の幅は、幅L1よりも小さく設定しうる。
キャピラリーブリッジ42は、出口26に位置するキャリア液16と、ガイドローラー40/駆動ローラー40に取り付けられた基材38の一部分との間に設けられる。
好ましくは、水平方向46に対する、基材38の粒子フィルムで被覆する部分の突出角度Aは、160°よりも大きく、より好ましくは180°近く、例えば175°程度である。
以下、一実施形態による粒子堆積方法について、図3〜図9を参照して説明する。
まず、粒子4の傾斜路12への供給を開始するために、噴射ノズル6を作動させる。初期段階において、粒子4と既に移動領域14に必要なだけ配置されているキャリア液16とで、移動領域14を満たすことが問題となる。
図3及び図4に示すように、この初期段階においては、粒子は装置2によって供給され、傾斜路12上を流通し、その後に領域14に侵入し、そこで分散される。
粒子4が徐々に傾斜路12に投入され移動領域14に導入されると、基材38によって堰き止められる。その後、粒子の上流端は屈曲線24に移動することが多い。上流端が線24を超えても粒子の供給は継続され、そのため上流端は傾斜路12へと戻る。
実際、図5に示すように、粒子の上流端54は確実に傾斜路12上に戻り、屈曲線24から所定の水平距離dの地点に位置する。距離dは30mm程度でありうる。
このとき、粒子4は移動領域及び傾斜路12上に配列される。粒子4は他の補助無しで自動的に配列される。特に、端54と衝突する瞬間の運動エネルギー及び毛細管力を利用して配置する。得られた緻密フィルムがいわゆる六方最密構造を有し、該構造中で各粒子4が他の6つの粒子4に囲まれ接触している状態に配列される。このフィルムを、緻密粒子フィルム又は配列粒子フィルムとも称する。
移動領域14内でフィルム形成配列粒子4がキャリア液全体を被覆した時点で、材料72を粒子4上に堆積させ、フィルム4上にパターン70を形成する工程を開始する。
ここで、各パターン70は閉線に沿ったコードの形状となるが、目的に応じて点状又は面状のような他の形状としてもよい。
堆積した材料72によって形成された幾つかのパターン70の例を図6に示す。材料72は、該材料72に接液した粒子を保持することが可能であり、好ましくは重合性化合物を含む。もちろん、材料72のコード形状の内部及び外部の粒子4は配列状態を維持する。
重合性材料の堆積は、例えば供給ノズル(図示せず)を用いて行う。材料72は、粒子と接触すると、配列フィルムの形状(topography)に適応でき、被覆している粒子4に付着する。
重合性化合物は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、及び/又はポリウレタン樹脂である。重合は例えば熱的及び/又は光学的手順を用いた通常の方法で行われる。好ましくは、材料がまだ移動領域に存在し基材上に移動していないときに、少なくとも部分的に重合を行う。
このとき、材料72は液体又はスラリー状である。場合によっては、材料72を供給する前に、粒子を材料72に添加しうる。
更に、基材は水平方向に対して傾斜角度Aを有するため、移動領域から基材への移動中の歪みに対処する目的で、移動の際に材料コードがある程度の柔軟性を保持することが望ましい。従って、移動領域内でコードの一部又は全体が重合した後、基材上に移動する前に、この柔軟性を得るべきである。
好ましくは、材料72は液体状態で疎水性を示す。この場合、材料72が粒子4のフィルム上に供給された後、材料72がキャリア液表面に達しても、後者が該表面に残存しうる。いずれにせよ、材料72をフィルム上にある程度堆積させた後、材料72はその組成により後者に付着する。重合の後、粒子の材料への付着が増強される。更に、上記材料は、液体状態でも重合後の固体状態でも、キャリア液中で不溶性を保持するように選択される。
従って、好ましくは直径が数十ミクロンから数ミリメートルのフレキシブルコードを得るために、基材上への移動に先立って重合が優先的に行われる。このとき、それに接触している粒子4は維持され、またパターンの初期形状も維持される。
この方法において、次の工程では、材料72を堆積させた後、端54が図5に示す要求位置に達した後すぐに、基材38の動作を開始する。文献CA2,695,449に記載の方法で、パターン70を塗布した配列粒子4のフィルムは、出口26とそれに続くキャピラリーブリッジ42とを通って移動し、基材38上に載置される。言い換えれば、フィルム4の移動により、パターン70が輸送される。
上述したとおり、堆積後、図7に示す構造形成されたフィルム4’の幅は、出口26の幅L1に一致するが、本発明の範囲から逸脱することなくより小さな幅を採用しうる。
より好ましくは、基材は粒子出口に直接接触する。
なお、基材上に堆積させる前に、配列粒子4は移動領域内のキャリア液16の全面を覆う。即ち、領域14の出口26において堆積される時点まで、粒子の配列状態が保たれる。配列状態を保つことで、構造形成フィルム4’を基材上に堆積させるまで、パターン72を正確な相対位置に維持でき、また固定された側端部28に対する正確な相対位置に維持できる。
粒子4の基材38への堆積及び付着を促進するために、好ましくは、移動後にポリマーの熱アニーリングを行う。熱アニーリングは、例えば80℃で、ポリエステル系の低温圧延マットフィルムを用いて行う。このフィルムは、例えばPERFEX−MATT(商標、厚さ125μm)として市販されている。
基材として用いられるこのようなフィルムは、80℃程度の温度で一面が粘着性を示すという利点を有する。これにより、粒子4の後者への付着が容易になる。
より具体的には、この温度において、粒子4は軟化したフィルム38中に沈み込み、これにより物体がフィルムに直接接触し付着することが可能となる。
また、基材38は、ケイ素、ガラス、又は圧電フィルムからなるものでありうる。
移動の際には、粒子の端部が実質的に同じ位置に留まるよう、粒子の投入と基材の走行速度とを調整する。そのためには、粒子流速は0.1ml/分から数ml/分程度とするべきであり、一方で基材38の線速度(延伸速度とも称される)は数mm/分〜数百mm/分程度でありうる。上述のとおり、粒子4の供給は、パターン70等の形成の間、一時的に停止しうる。
図7及び図8に概略的に示す次の工程では、材料72を剥離除去し、それに付着したフィルム粒子4も同時に取り除く。この離脱工程中、関連する粒子の除去によって、基材上に堆積したフィルム4’中に凹部74が形成される。凹部74は、除去された材料72からなるパターン70と同一又は類似の形状を有する。
次に、必要に応じて、凹部74を物体及び/又は他の粒子で満たす。
ここで、上記物体は、所望の用途に応じた異なる種類のものでありうる。各物体(図示せず)は、好ましくは0.2cmより大きくL1以下(即ち30cm近く)の寸法を有する。厚さは約10マイクロメートルから数十ミリメートルの間である。
太陽電池、マイクロバッテリー、有機部品等、ある種の物体は、正方形、長方形、又は円盤のような単純な形状を有し、厚さは小さく、表面積は0.1〜100cm2程度である。
これら構成要素と液体を接続するために、該構成要素は、液体と接触するパッド又はテーパー状プラグを表面に有しうる。例えば元素検出、エネルギー発生、情報輸送等を目的とするような他の種の物体は、湾曲形状やらせん形状のような複雑な形状を有しうる。
また、粒子4とフィルム4’の凹部に収容される物体との寸法の比率は、104から108の間で選択される。実際には、粒子の大寸法は例えば1nm〜500μm程度であり、一方で物体は約30cm以下の大寸法を有しうる。
上記物体の幾つかの好適な例を以下の表に示す。
図9に示すように、凹部74を他の粒子4.1で充填する。粒子4.1は粒子4に類似のものであるが、組成及び/又はサイズが異なり、好ましくはこの内部充填領域内に規則正しく配列される。粒子4.1の導入には、当業者に公知のいかなる適した方法も用いうる。例えば、マイクロスプレー、ノズル、インクジェット、輸送装置等が使用できる。
例えばハイブリッド機器を得るために物体と凹部を一体化する場合、リボン型又は連続ローラー型の輸送手段が使用される。物体の設置には、この輸送手段に加え、物体の特性、形状、及び寸法に適した従来の操作器具や把持器具(プライヤー等)を用いうる。
繰り返すと、物体/他の粒子4.1の位置決めは、本発明の範囲を逸脱することなく、基材の走行動作と傾斜路12からの粒子流動とを停止して、優先的に行われる。
上記方法の適用可能性については既に述べた。以下、実例を説明する。
上記方法は、光電池やLED/PLED/OLED部品の製造に使用できる。近年の研究により、光電池、LED、PLED、OLED等の分野において、インターフェースの構造形成によって収率や放出光が著しく向上しうることが示されている。この枠組みの中で、粒子の緻密フィルムは、例えばインターフェース構造形成工程においてマスキング材として使用される。通常、構造形成は、粒子間の隙間を利用して、材料堆積又はプラズマエッチングによって行われる。しかしながら、基材のある領域は凹状である必要がある。これは、例えば電気接触領域を明確に維持するためであり、或いは単にこの領域が特別な機能を有していないからである。従って、上記方法では、上記材料を液上に用いることで粒子が除去される領域を規定でき、且つフィルムを基材上に堆積させた後にこの材料を除去できる。
他の一例は熱交換器に関する。交換器の壁の構造形成は、熱交換を制御する一手段である。この構造形成は、粒子マスクを用いたリソグラフィーにより達成しうる。上記方法では、寸法が異なる粒子を組み合わせて不均一に堆積させることによって、リソグラフィーによる形状(特に粒子サイズ勾配のある形状)が得られる。
更に他の一例は化学センサーに関する。上記方法では、不均一緻密フィルムを異なる特性の粒子と結合させることが可能となり、従って異なる気体や化学種等の検出が可能となる。
最後に、トライボロジーにおいては、機械的用途のために、緻密フィルムはマイクロタンク/ナノタンクを形成するためのリソグラフィーマスクとして使用されうる。マイクロタンク/ナノタンクを形成することにより、研磨された物体の表面に潤滑剤を保持することが可能となる。これら保持マイクロタンク/ナノタンクの寸法は、摩擦係数を調整するためのパラメーターである。マイクロタンク/ナノタンクの寸法を変更するための単純な手段として、本発明の方法で容易に得られる、大きさが異なる粒子を含む不均一緻密フィルムをエッチングマスクとして使用する手法がある。
もちろん、本発明は上記例に限定されるものではなく、当業者は種々の変更が可能である。
4:粒子
4’:フィルム
14:移動領域
16:キャリア液
26:粒子出口
38:基材
72:材料
74:凹部
4’:フィルム
14:移動領域
16:キャリア液
26:粒子出口
38:基材
72:材料
74:凹部
Claims (9)
- 基材(38)上、好ましくは走行する基材の上に、粒子を堆積させる方法であって、
(a)前記基材(38)に対向して配置された粒子出口(26)を有する移動領域(14)に設けられたキャリア液(16)上に浮かぶ粒子(4)の緻密フィルムを形成する工程と、
(b)前記移動領域(14)において、前記粒子(4)の緻密フィルム上に材料(72)を堆積する工程と、
(c)前記材料(72)で被覆された前記粒子(4)の緻密フィルムを、前記粒子出口(26)を介して前記基材(38)上に移す工程と、
(d)前記材料(72)に付着した前記フィルムの前記粒子(4)が取り除かれるように前記材料(72)を除去することで、前記基材上に移された前記フィルム(4’)内に少なくとも1つの凹部(74)を形成する工程と、を含む方法。 - 例えば点又はコード等の少なくとも1つのパターン(70)が形成されるように前記材料(72)を堆積することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記工程後、前記凹部(74)に少なくとも1つの物体又は他の粒子(4.1)を配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 前記物体がシリコンチップ、マイクロバッテリー、有機エレクトロニクス部品、金属部品、光電池、バッテリーセル、及びマイクロバッテリーセルからなる群から選ばれることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記材料(72)は重合性化合物を含み、前記粒子(4)の緻密フィルム上に前記材料(72)を堆積させた後に前記重合性化合物を重合させる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記材料(72)は、液体又はスラリーである請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記材料(72)は、疎水性である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記材料(72)は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、及び/又はポリウレタン樹脂を含む請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記粒子を流通させるための傾斜路(12)が前記移動領域の入口に取り付けられ、前記キャリア液(16)も前記傾斜路(12)上を流動することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
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