JP6101021B2 - 変性カーボンブラックの製造方法 - Google Patents
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Description
ゴム組成物の低発熱性、耐摩耗性、強度等を向上するために、ゴム成分(重合体)にカーボンブラックを配合する技術は広く行われてきた。例えば、特許文献1には、ジエン系ゴム(重合体)にカーボンブラックと有機過酸化物を配合し、混練してカーボンブラックマスターバッチを得て、該カーボンブラックマスターバッチに他の添加剤を配合して混練するゴム組成物の製造方法が開示されている。
また、特許文献2では、合成ジエン系ゴムにおいて、カーボンブラック及びシリカとの親和性を高めた重合体をゴム組成物として使用している。また、特許文献3には、極性基含有単量体をグラフト重合した変性天然ゴムに、該変性天然ゴムに対する反応性の高いカーボンブラックを配合する方法が記載されている。
MX 2 ・Lw ・・・ (i)
MX 3 ・Lw ・・・ (ii)
(各式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基、リン化合物残基、無置換若しくは置換のシクロペンタジエニル、または無置換若しくは置換のインデニルを示し、Lは、ルイス塩基を示し、wは、1〜3を示す)で表される錯体を含み、前記カーボンブラックの配合重量は、前記共役ジエン化合物及び/又は非共役オレフィンの配合重量より多くする、ことを特徴とする。
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
(式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、上記R1ないしR3は同一又はそれぞれ異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である)。
上記の重合触媒組成物を用いて、単量体を重合させることで、カーボンブラック表面に重合体が一体化した、もしくはカーボンブラック表面に重合体が近接した、変性カーボンブラックを得ることができる。該変性カーボンブラックは、表面がゴム組成物との相溶性を有することから、より少量でゴム組成物中に高度に分散しやすい、という利点を有する。
なお、本明細書において、「重合体」とは、「ポリマー」のみならず、「オリゴマー」も含む概念である。
<<<重合触媒組成物>>>
本発明の変性カーボンブラックの製造方法は、下記の第1要素、第2要素及び第3要素からなる重合触媒組成物の存在下で単量体を重合させることを特徴とする。
上記重合触媒組成物を構成する第1要素は、希土類元素含有化合物である。第1要素は、希土類元素含有化合物として、希土類元素化合物とルイス塩基との反応物を含む。ここで、該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さないのが好ましい。該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物が希土類元素−炭素結合を有さない場合、化合物が安定であり、取り扱いやすい。ここで、希土類元素化合物とは、周期律表中の原子番号57〜71の元素から構成されるランタノイド元素又はスカンジウムもしくはイットリウムを含有する化合物である。なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。第1要素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
希土類元素含有化合物としては、下記の希土類元素含有化合物を好適に使用することができる。
上記希土類元素含有化合物は、下記の構造を有するものとすることができる。希土類金属が2価もしくは3価の塩又は錯体化合物として存在することが好ましく、水素原子、ハロゲン原子及び有機化合物残基から選択される1種又は2種以上の配位子を含有する希土類元素含有化合物であることが更に好ましい。更に、上記希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、好適には、下記一般式(i)又は(ii):
MX2・Lw ・・・ (i)
MX3・Lw ・・・ (ii)
(各式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基、リン化合物残基、無置換若しくは置換のシクロペンタジエニル、または無置換若しくは置換のインデニルを示し、Lは、ルイス塩基を示し、wは、1〜3を示す)で表されることができる。
上記希土類元素含有化合物としては、下記一般式(I):
なお、重合反応系において、重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
また、上記希土類元素含有化合物は、下記一般式(A):
RaMXbQYb ・・・ (A)(式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である)で表されるメタロセン系化合物としてもよい(第3の希土類元素含有化合物)。
上記式(A)において、Rは、それぞれ独立して無置換インデニル又は置換インデニルであり、該Rは上記金属Mに配位している。なお、置換インデニル基の具体例としては、例えば、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基等が挙げられる。
上記式(A)において、Qは、周期律表第13族元素を示し、具体的には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等が挙げられる。
上記式(A)において、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(A)において、Yは式(A)のXと同義であり、該YはQに配位している。
上記式(XV)において、CpRは、上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体におけるCpRと同様に定義され、好ましい例も同じである。なお、式(XV)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(XV)において、RA及びRBは、式(A)のXと同義であり、RA及びRBは同一でも異なっていてもよい。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(XV)において、RC及びRDは、式(A)のXと同義であり、RC及びRDは同一でも異なっていてもよい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR3)2]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(RE〜RJ基)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、RE〜RJのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。RE〜RJのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になる。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
上記重合触媒組成物を構成する第2要素は、下記一般式(X)
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
(式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、上記R1ないしR3は同一又はそれぞれ異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である)で表される有機金属化合物を含む。
AlR1R2R3 ・・・ (Xa)
(式中、R1及びR2は、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R1ないしR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい)で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。一般式(Xa)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた第2要素としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、重合触媒組成物における第2要素の配合量は、前記第1要素に対して1〜50倍molであることが好ましく、約10倍molであることが更に好ましい。
本発明の重合触媒組成物を構成する第3要素は、カーボンブラックを含み、好適には、該カーボンブラックは、トルエン着色透過度が90%以上であって、水素放出率(質量%)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m2/g)が下記式(B):
水素放出率>0.260−6.25×10−4×CTAB ・・・ (B)
の関係を満たす。
本発明に係る重合触媒組成物は、第2要素と第3要素とを混合熟成させた後、第1要素を添加して反応させて製造することが好ましい。これにより、生成される変性カーボンブラックの重合体部分の重合反応を高め、かつ、シス−1,4含有量を高めることができる。
上記の好適な重合触媒組成物の製造方法においては、まず、溶媒中で第2要素と第3要素とを混合熟成させることにより、第2要素と第3要素の水分とが反応して、陰電荷を有する複合体(アニオン複合体)が形成される。この反応は、例えばアルキルアルミニウムと水との反応により、メチルアルミノキサンが生成されることが、S.Pasynkiewiczによりポリヘドロン、第9巻、第429〜453頁(1990年)で詳細に解説されていることから裏付けられる。その結果、第3要素のカーボンブラック近傍に第2要素を含むアニオン複合体が被膜を形成するかのごとく存在することになると想定される。
この状況下において、第1要素である希土類元素含有化合物を添加して反応させることにより、第1要素由来の希土類元素カチオン性化合物と第2要素、及び第2要素と第3要素との反応由来のカーボンブラック含有アニオン複合体が反応系内に生成することになる。
本発明に係る第1要素の希土類元素含有化合物の希土類元素は、通常3つの配位子が配位するが、条件によっては、アニオンの存在下で配位子の1つ以上を離してカチオン化する、という特性を有する。そのため、第2要素と第3要素を反応させてなるアニオン複合体と、第1要素とを反応させることで、第1要素がカチオン化し、次いで、前記アニオン複合体が生成されたカチオンと結合した状態となりやすい。
ここで、希土類元素カチオン性化合物を有する触媒組成物において、希土類元素にアルミニウム等の金属(ここではYとされる)が隣接する場合、触媒の活性中心は希土類元素ではなく、隣接する金属元素Y側に移行することが示されている(Y. Matsuura et al., “Polymerization via the Insertion of Ethylene into an Al−C Bond Catalyzed by Lanthanide(Gd, Sm) Metallocene Cations” 58th Symposium on Organomethallic Chemistry, Japan, Abstracts, The Kinki Chemical Society, Japan, 2011参照)。重合触媒組成物の場合、希土類元素ではなく、隣接する金属元素Yに重合反応の活性中心が移行し、Yにおいて重合体が生成されることとなる。
上記重合触媒組成物においては、希土類元素が、カーボンブラック粒子上に被膜状で存在する金属元素Yと隣接した状態で存在することから、活性中心はカーボンブラック粒子上に移行し得る。これにより、重合反応はカーボンブラック粒子上の金属元素Yの位置で行われることとなり、カーボンブラックに非常に近接した重合体が生成されることとなる。一部の重合体は、カーボンブラックのポーラス上に入り込んた状態となり、カーボンブラック粒子と一体化する可能性もある。
このように、上記重合触媒組成物中では、第2要素由来の金属元素Yと、第3要素由来のカーボンブラックと重合体が、近接または一体化し、これにより、カーボンブラック表面を重合体が覆うか、カーボンブラック表面に重合体が結合するように変性された、変性カーボンブラックの製造が可能である。
希土類元素化合物を含む重合触媒組成物において、重合反応の効率を上げるためには、希土類元素化合物の配合量を増加させることがなされるが、希土類元素化合物は高価であるため、多量に使用するのは困難である、という問題があった。しかし、上記重合触媒組成物を用いる場合、重合反応の効率は、希土類元素化合物ではなく、カーボンブラック及び金属元素Yの配合量に依存する。これらの配合量を増加させることによる製造コストの増加は比較的低いといえる。
上記の重合触媒組成物での存在下で、共役ジエン単量体及び非共役オレフィンからなる群より選択された少なくとも1つの単量体を重合させることで、本発明の変性カーボンブラックを製造可能である。ここで、添加する単量体としては、共役ジエン単量体及び/または非共役オレフィンであれば特に限定されないが、その重合体がカーボンブラック表面を覆うことにより、カーボンブラックのゴム組成物中での相溶性を高めることができるものであれば、好適に使用可能である。
上記重合触媒組成物は、多様な重合体の製造に利用可能であるが、本明細書では、特に、ポリブタジエンを有する変性カーボンブラックの製造について例示的に説明する。但し、以下に詳述する製造方法は、あくまで例示に過ぎない。前記ポリブタジエンは、上記重合触媒組成物の存在下、単量体としての1,3−ブタジエンを重合させることにより製造することができる。
本発明のゴム組成物は、少なくとも、上記の変性カーボンブラックとゴム成分とを含み、さらに必要に応じて、その他の充填剤、架橋剤、その他の成分を含む。
上記のカーボンブラックを、ゴム組成物の充填剤として配合する。この場合、配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、10質量部〜100質量部が好ましく、10質量部〜70質量部がより好ましく、20質量部〜60質量部が特に好ましい。
前記カーボンブラックの含有量が、10質量部以上であると、補強性が不十分で耐破壊性が悪化するのを防止することができ、100質量部以下であると、加工性および低ロス性が悪化するのを防止することができる。
一方、前記カーボンブラックの含有量が、前記より好ましい範囲内、又は、前記特に好ましい範囲内であると、各性能のバランスの点で有利である。
前記ゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の架橋ゴム組成物は、本発明のゴム組成物を架橋して得られたものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記架橋の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度120℃〜200℃、加温時間1分間〜900分間が好ましい。
本発明のタイヤは、本発明の架橋ゴム組成物を有するものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の架橋ゴム組成物のタイヤにおける適用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーなどが挙げられる。
これらの中でも、前記適用部位をトレッドとすることが、耐久性の点で有利である。
前記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴム及び/又はコードからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
タイヤ用途以外にも、防振ゴム、免震ゴム、ベルト(コンベアベルト)、ゴムクローラ、各種ホースなどに本発明の架橋ゴム組成物を使用することができる。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、1L耐圧ガラス反応器にカーボンブラック50.0g(商品名:♯80、重量減少法により算出した含水率0.5重量%、旭カーボン株式会社製)、ノルマルヘキサン100.0g、トリメチルアルミニウム60.0mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)及びジイソブチルアルミニウムハイドライド15.0mmol(東ソーファインケム株式会社製)を仕込み、室温で30分間混合熟成させた。次いで、トリスビストリメチルシリルアミドガドリニウム[Gd[N(SiMe3)2]3]21mg(32μmol)を仕込み室温で30分間熟成させた。その後、グローブボックスから反応器を取り出し、1,3−ブタジエン25.0g(0.46mol)を含むノルマルヘキサン溶液100.0gを添加した後、80℃で180分間重合を行った。重合後、2,2’?メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで重合体を分離し、70℃で真空乾燥し変性カーボンブラックAを得た。得られた変性カーボンブラックAの収量は55.5gであり、生成物中のカーボンブラック含有量は90重量%と算出された。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、1L耐圧ガラス反応器にカーボンブラック50.0g(商品名:♯80、重量減少法により算出した含水率0.5重量%、旭カーボン株式会社製)、ノルマルヘキサン60.0g、トリメチルアルミニウム20.0mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)及びジイソブチルアルミニウムハイドライド7.5mmol(東ソーファインケム株式会社製)を仕込み、室温で30分間混合熟成させた。次いで、トリスビストリメチルシリルアミドガドリニウム[Gd[N(SiMe3)2]3]5mg(6.5μmol)を仕込み室温で30分間熟成させた。その後、グローブボックスから反応器を取り出し、1,3−ブタジエン5.0g(0.09mol)を含むノルマルヘキサン溶液20.0gを添加した後、80℃で120分間重合を行った。重合後、2,2’?メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで重合体を分離し、70℃で真空乾燥し変性カーボンブラックBを得た。得られた変性カーボンブラックBの収量は53.0gであり、生成物中のカーボンブラック含有量は94重量%と算出された。
変性カーボンブラックA、B及び市販のカーボンブラックを充填剤として使用し、表1に示す配合処方の重合体組成物を調製し、145℃、33分間の条件で加硫して得た加硫重合体組成物に対し、下記の方法に従って、損失正接(tanδ)を測定した。測定結果を表1に示す
変性カーボンブラックAおよびBを用いて、表1に示す配合処方の重合体組成物を調製し、145℃、33分間の条件で加硫して得た加硫重合体組成物に対し、下記の方法に従って、(1)損失正接(tanδ)、(2)耐破壊性、(3)耐摩耗性を測定した。測定結果を表1に示す。
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。tanδの数値が小さいほど、低発熱性が良好であることを示す。
JIS K 6301−1995に準拠して室温で引張試験を行い、加硫した重合体組成物の引張り強さ(Tb)を測定し、比較例の引張り強さを100とした場合の指数を表3に示す。指数値が大きい程、耐破壊性が良好であることを示す。
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率25%で摩耗量を測定し、比較例の逆数を100とする指数で表示した。数値が大きいほど耐摩耗性が良好である。
*2:旭カーボン株式会社 旭#80
*3:三新化学工業株式会社 サンセラーD
*4:大内新興化学工業株式会社 ノクセラーDM
*5:大内新興化学工業株式会社 ノクセラーNS
*6:N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-p-フェニレンジアミン、
大内新興化学工業株式会社 ノクラック6C
Claims (3)
- 希土類元素含有化合物であり、希土類元素化合物とルイス塩基との反応物を含む第1要素と、
下記一般式(X)で表される化合物を含む第2要素と、
カーボンブラックを含み、含水率が0.01重量%以上である第3要素からなる重合触媒組成物の存在下で、
共役ジエン化合物及び非共役オレフィンの少なくとも一種を重合させ重合体成分を形成させる工程を含み、
前記第1要素が、下記一般式(i)又は(ii):
MX2・Lw ・・・ (i)
MX3・Lw ・・・ (ii)
(各式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基、リン化合物残基、無置換若しくは置換のシクロペンタジエニル、または無置換若しくは置換のインデニルを示し、Lは、ルイス塩基を示し、wは、1〜3を示す)で表される錯体を含み、 前記カーボンブラックの配合重量は、前記共役ジエン化合物及び/又は非共役オレフィンの配合重量より多くする、ことを特徴とする変性カーボンブラックの製造方法。
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
(式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、上記R1ないしR3は同一又はそれぞれ異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である) - 前記重合触媒組成物は、前記第2要素と前記第3要素とを混合熟成した後に、前記第1要素を添加して反応させてなる、請求項1記載の変性カーボンブラックの製造方法。
- 前記希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さない、請求項1に記載の変性カーボンブラックの製造方法。
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