JP6099206B2 - 包装用板紙 - Google Patents
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Description
着色層22としては、未漂白パルプを用いる方法や、漂白パルプにウルトラマリン青、プロシア青、鉛丹、酸化鉄、黄鉛、アルミニウム粉、カーボンブラック等の各種無機顔料を添加する方法が用いられている。
通常、紙が多量の水分、もしくは少量であっても長時間水分と接し続けた場合、表裏面及び端面から水分が浸透し、乾燥した状態に比べ透明性が向上する現象が発生する。
従来の中間層に着色層22を設けた原紙においてそのようなガラス化現象が発生した場合、表面又は裏面の漂白パルプ層21、23が半透明になることで、着色層22が透けて見え、紙の外観に影響を与え、特に、食品の容器などの包装に用いる場合に、使用者は衛生面での印象を悪くする惧れがある。
特に、これらの現象が顕著に表れる例として、カップ貼り合せ部の原紙端面から液体内容物や内容物中の水分が浸透した場合、カップのトップシールを剥離した後の、表面のラミネート樹脂層及び漂白パルプ層の一部がなくなった部分から水分が浸透して半透明化して着色層が透けて見えるケースが挙げられる。
一方、本出願人は、特開2012−229046号公報において、2枚の原紙間に遮光性印刷層を備えた積層遮光紙を用いて成形される遮光性紙カップで、積層遮光紙の紙カップの内側となる原紙の外側に、樹脂層を介して遮光印刷層を積層し、積層遮光紙の2枚の原紙の坪量の和が150〜350g/m2であり、かつ一方の原紙の坪量が他方の原紙の坪量に対して1.3倍以上とすることで、坪量の大きい方の剛性により坪量の小さい方のそりやねじれを防止し、しかもいずれの原紙でも遮光性印刷層を隠蔽し、容易に紙カップを成形することができ、また、蓋をはがす場合、原紙の層中で剥離を生じさせ遮光印刷層の露出を防止している。
しかし、上記構成では、遮光印刷層の色彩をマスクして外から見える原紙層の色合いの変化を最小に抑えることは十分ではなかった。
また、特開平6−143877号公報では、紙の表面の黒ずみを消す方法として遮蔽層の外側に着色層として白色などを塗布する構成が開示されているが、水分が表層に浸透することで半透明化し遮蔽層の色味が透けることまでは解決できなかった。
機能性を有する着色層の上に漂白パルプ層を有し、該漂白パルプ層の上に樹脂層を有して積層された板紙の表層に、容器使用時に剥離されるシール材が接着された包装用板紙において、
表層が前記樹脂層または樹脂層の上に積層された原紙層からなり、
前記シール材を剥離した際に、表層のみがその厚み方向の中途位置で剥がれて板紙側に残留するように、
表層が樹脂層の場合に、白色顔料を添加した白色着色樹脂を用い、
表層が原紙層の場合に、所定の内部結合強さの原紙を用いてなり、
シール材剥離後の表層のISO白色度が、水浸漬24時間経過後で65%以上になるように設定されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、
表層が樹脂層の場合に、白色着色樹脂は、LDPE、LLDPE、HDPE、PP、PET、またはPLAを含む樹脂に、白色顔料を3重量%から30重量%の範囲で添加していることを特徴とする。前記白色顔料の添加量は、10重量%から20重量%の範囲がより好ましい。
請求項3の発明では、
白色着色樹脂層の白色顔料となる無機物の粒径が0.15μmから0.27μmの範囲内のものを使用してなることを特徴とする。
前記無機物の粒径は、0.15μmから0.20μmの範囲がより好ましい。
請求項4の発明では、
表層が原紙層の場合に、インターナルボンドテスター法による内部結合強さが500mj以下の原紙を用いてなることを特徴とする。
前記内部結合強さは、150mjから300mjの範囲がより好ましい。
請求項5の発明では、
ISO白色度が、水浸漬24時間経過後で65%以上であって、シール材の剥離後の表層への水分の浸透により、表層のガラス化が発生している部分と、発生していない部分の白色度の差が10%未満になることを特徴とする。
これにより、シール材剥離後に水分が表層に付着しても着色層の色彩が透けて見えることがなく、使用者に対して外観の美粧性を保つことができ、外観上の悪印象を与えることがない。
また、着色層2はパルプに顔料を混ぜたものでも良い。
パルプ層1、3は、漂白パルプでも、未晒しのパルプであってもよい。
そして、表層となる白色着色樹脂層4、5は、LDPE、LLDPE、HDPE、PP、PET、またはPLAのいずれか1つまたは複数を含む樹脂からなっており、該樹脂に白色顔料を3重量%から30重量%の範囲で添加している。
上記白色度の測定より、外観低下の基準値として設けたISO白色度65%を超えるためには、3重量%以上の白色顔料を透明樹脂(一例としてLDPEを用いた)に添加する必要があることが確認された。
30重量%を超えると、白色度の効果が殆ど変わらず経済的ではなく、また樹脂の強さが低下するおそれがある。
この発明では、白色顔料が10重量%から20重量%の範囲で添加することが隠蔽性および強さの点で好ましい。
0.15μm未満では白色着色樹脂層4が中途位置で剥がれずに漂白パルプ層1との接着個所で剥がれるおそれがあり、0.27μmを超えるとラベルとの接着面ではがれるおそれがある。
前記粒度は0.15μmから0.20μmの範囲内のものを使用することで、より確実にラベルの剥離時に白色着色樹脂層4をその厚みの中途位置でラベルと共に剥がすことができ、好ましい。
なお、一方の白色着色樹脂層4のみにシール材9をヒートシールする場合は、他方の白色着色樹脂層5は形成しなくてもよい。
上記構成にすることで、シール材9の剥離後に、層内で破壊が発生した白色着色樹脂層4のISO白色度は、水浸漬24時間経過後で65%以上、より好ましくは70%以上となり外観低下を防止することができる。
また、前記樹脂層4’、5’及び前記原紙層6,7は、表裏のいずれか一方に積層されていてもよい。
そして、原紙層6、7の一方、または双方に前記使用時に剥離される密封用のシール材9が接着され、容器が形成される。
説明上は、原紙層6の外側にヒートシールされたシール材9を剥がすものとする。
500mjを超えると、原紙層6の原紙が厚み方向の中途位置で剥がれず、内側の樹脂層4’との接着面で剥がれるおそれがあるからであり、内部結合強さは、150mjから300mjの範囲が好ましい。
なお、前記白色度が65%以上であっても、表層への水分の浸透により表層のガラス化が発生している部分と、発生していない部分の白色度の差が10%未満であれば、外観に影響を与えることは無い。
白色着色樹脂層4、5は、透明なLDPEに白色顔料として酸化チタンを含有させたものを用いた。
比較例として従来例で示した板紙20は、第1層の漂白パルプ層21の坪量が80g/m2、第2層の着色層22の坪量が60g/m2、第3層の漂白パルプ層23の坪量が80g/m2からなっている(図7参照)。
上記板紙10、20のシール面を図の上側とし、表層に、即ち、コップ成型時内面側にヨーグルト用シール材(樹脂)9をヒートシールする。
ヒートシール面が常温になったことを確認した後、シール材9を剥離した。
これにより、カップのトップシールを剥離した後の、表面の接着したシール材9と表層の厚みの中途位置が点線Lの位置で剥がさる状態を図3、4、7で模式的に示す。
上記準備された板紙を、水中に放置し、経過時間毎の白色度を測定し、その結果を図6に表とグラフで表示した。
比較例では、水分浸透により、漂白パルプ層21のガラス化が進行していき、経過時間と共に表層の漂白パルプ層21の白色度が大きく低下していく。
上記結果は、樹脂や白色顔料を変更しても同様の結果が得られた。
その影響により、多少の白色度の低下は発生するものの、原紙層6の内面に樹脂層4’があるため、それ以上内側への水分浸透が発生しないことから、白色度低下の数値は限定的なものとなった。
ここで、白色度の数値が70%を切ると、外観の低下が分かる状態となるので、比較例では水分浸透による大きな外観低下を避けることは困難であった。
一方、実施例1,2の場合には、24時間の水浸漬後においても、70%以上の白色度を保っており、外観低下を有効に防止できることが確認できた。
その他この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
2 着色層
4,5 白色着色樹脂層
4’、5’ 樹脂層
6、7 原紙層
9 シール材
10 包装用板紙
11、13 パルプ層
12 着色層
20 包装用板紙(従来)
L 表層の剥がれ個所を模式的に示す点線
Claims (6)
- 着色層の上に漂白パルプ層を有し、該漂白パルプ層の上に樹脂層を有して積層された板紙の表層に、容器使用時に剥離されるシール材が接着された包装用板紙において、
表層が前記樹脂層または樹脂層の上に積層された原紙層からなり、
前記シール材を剥離した際に、表層のみがその厚み方向の中途位置で剥がれて板紙側に残留するように、
表層が樹脂層の場合に、白色顔料を添加した白色着色樹脂を用い、
表層が原紙層の場合に、所定の内部結合強さの原紙を用いてなり、
シール材剥離後の表層のISO白色度が、水浸漬24時間経過後で65%以上になるように設定されていることを特徴とする包装用板紙。 - 表層が樹脂層の場合に、白色着色樹脂は、LDPE、LLDPE、HDPE、PP、PET、またはPLAを含む樹脂に、白色顔料を3重量%から30重量%の範囲(より好ましくは、10重量%から20重量%)で添加していることを特徴とする請求項1に記載の包装用板紙。
- 白色着色樹脂層の白色顔料となる無機物の粒径が0.15μmから0.27μmの範囲内のものを使用してなることを特徴とする請求項2に記載の包装用板紙。
- 表層が原紙層の場合に、インターナルボンドテスター法による内部結合強さが500mj以下の原紙を用いてなることを特徴とする請求項1に記載の包装用板紙。
- ISO白色度が、水浸漬24時間経過後で65%以上であって、シール材の剥離後の表層への水分の浸透により、表層のガラス化が発生している部分と、発生していない部分の白色度の差が10%未満になることを特徴とする請求項1に記載の包装用板紙。
- 請求項1から5のいずれかの包装用板紙を用いて成形された包装用容器。
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