JP6097832B2 - 金属の耐食性評価方法、金属材料の耐食性評価装置、金属材料の組成予測方法、金属材料の組成予測装置 - Google Patents

金属の耐食性評価方法、金属材料の耐食性評価装置、金属材料の組成予測方法、金属材料の組成予測装置 Download PDF

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Description

本発明は、液中電位計測技術を用いた金属の耐食性評価方法及び評価装置に関する。
金属の腐食は、金属と水の界面で生じる化学反応(酸化還元反応)によって金属が溶出する、もしくは腐食生成物が析出する現象である。金属は、家庭用品のような身近なものから、機械部品や建造物といったものまで幅広く使われている。金属の腐食は、このような人工物の機能や性能の劣化を引き起こし、長期的に安心して使用することを妨げる大きな問題のひとつであり、長い間、腐食の発現機構に関する研究や有効な防食技術の開発が行われている。
実際の金属の腐食現象は、数年から数十年と長い年月をかけて進行するため、短期間では腐食した孔を見つけることが困難であった。そのため、1年以上、海水などの使用環境下と同じ腐食液中に浸漬してすきま腐食深さや孔食深さを実測する試験方法が取られており、短期間で腐食の進展度合いを予測できる金属の腐食速度の予測技術が望まれていた。
金属の腐食・防食問題の予測技術として、特許文献1には分極曲線データを使用する方法が開示されている。実際の分極曲線は時間とともに変化するため、実際の表面の電位または電流密度を計測し、計測した値を用いて分極曲線を求め、一定時間経過後の分極曲線を推定する方法が開示されている。
また、特許文献2には、犠牲防食金属の電位を評価する装置であり、腐食液を冷却及び加熱する手段と、試験片に腐食液を噴射する手段を有し、さらに、すきま部を調整する手段と標準電極を介して試験片の電位を測定する手段を有することが開示されている。
また、特許文献3には、金属表面の電位並びに重量変化を測定し、その金属の表面電位と腐食量の間に存在する相関関係を求め、得られた相関関係に基づいて、測定した表面電位から腐食量を定量評価する方法が開示されている。
特開2007-263788号公報 特開2009-180556号公報 特開2000-146823号公報
特許文献1〜3で提案されているような従来の腐食・防食問題の予測技術は、マクロ的な電気化学計測に基づくものであり、電位も電流密度もマクロな計測であり、金属のミクロ組織を局所的に計測するものではない。そのため、局所的な腐食、即ち、ピットや孔食などの特異的な現象を捉えることができないため、予測できない腐食モードが存在し、寿命の推定を困難にしていた。
一例を挙げるとすれば、二相ステンレス鋼は、α相(フェライト相)やγ相(オーステナイト相)といった化学組成(Cr、Mo、Nの含有量)の異なる2つ相から構成されている。耐食性は、マクロな化学組成や2つの相の面積比などによって議論されることが多い。しかしながら、実際には、製造プロセスによって析出する相は2相以外にも複数の析出物が存在する場合がある。また、マクロな化学組成が同じでも、ミクロな相の化学組成は異なる場合がある。そのため、先の特許文献に見られるような電気化学的手法では、孔食やすきま腐食のようなミクロな腐食深さ、即ち局所的な腐食を予測することが難しかった。
本発明は、短時間にすきま腐食深さや孔食深さを見積もることができる耐食性評価方法及び評価装置を提供することを目的とする。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、例えば、本発明の金属の耐食性評価方法は、評価対象の金属を使用環境の液中に浸漬した状態で前記金属の表面電位を計測して前記金属の表面電位分布を求め、前記表面電位分布に基づいて、前記金属のミクロ組織の表面電位差を算出し、算出した表面電位差のうち、最大の表面電位差を腐食評価の評価指標として、前記金属のすきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度を予測することを特徴とする。
本発明により、短時間にすきま腐食深さや孔食深さを見積もることができる耐食性評価方法及び評価装置が提供される。
本発明で用いるオープンループ電位顕微鏡(OL−EPM)を用いた評価装置の概要を示す構成図である。 本発明で用いる二重周波数モードを用いたOL−EPMを用いた評価装置の構成図である。 LDX2101の表面形状と電位分布を同時に観察した結果を示す図である。 2205の表面形状と電位分布を同時に観察した結果を示す図である。 2507の表面形状と電位分布を同時に観察した結果を示す図である。 各二相ステンレス鋼のすき間腐食の腐食速度とα相/γ相間の電位差の関係を示す図である。 各二相ステンレス鋼の孔食の腐食速度とα相/γ相間の電位差の関係を示す図である。 SUS304の析出物の形状像と電位像の測定結果の一例を示す図である。
腐食はアノードで酸化され(電子が奪われ)、カソードで還元される(電子を受け取る)電気化学反応に起因している。そのため、従来の技術では、ポテンショスタットを用いて試料の腐食電位を測定したり、ガルバノスタットにより、電流を流して電位を測定することで、アノード/カソード分極曲線を測定したりすることで、腐食特性や腐食挙動を評価する。しかしながら、これらの手法で測定された電位の値は試料全体の平均的な値であり、局所的な電位分布を計測することができない。特に、孔食や応力腐食割れと呼ばれるような局部腐食については、どのような箇所で、どのような電位を示しながら腐食が進むのかを知る必要がある。従来の電気化学計測では各金属組織のそれぞれの電位を計測するのではなく、マクロな電位、即ち、異なる相の混成電位を測定しているにすぎず、このような局部腐食の予測は困難である。
腐食は本来、金属組織の腐食液中での電位と密接に関係している。ガルバニック腐食がその典型例である。異なる金属組成の接合部は電位が異なり、その電位差が駆動力となって腐食が進行する。即ち、電位差が大きいほど、腐食電流が流れて金属の溶解反応が起こり、孔食やすきま腐食が起こる。ミクロな組織の面内の電位を測定できれば、その電位差より腐食のし易さがわかることが予想される。これに対して、本発明者らが鋭意検討した結果、原子間力顕微鏡(AFM)の機能の一部を応用したオープンループ電位顕微鏡(以下、OL−EPMという)により、局部腐食が発生する局部的な電位分布を計測できることを見出した。さらに、すきま腐食並びに孔食の腐食速度と、ミクロな組織の面内における表面電位の電位差との間に相関があり、表面電位差が腐食評価の評価指標となることを見出し、発明に至ったものである。
本発明は、評価対象の金属を使用環境の液中に浸漬した状態で前記金属の表面電位を計測して前記金属の表面電位分布を求め、前記表面電位分布に基づいて、前記金属のミクロ組織の表面電位差を算出し、算出した表面電位差のうち、最大の表面電位差を腐食評価の評価指標として、前記金属のすきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度を予測する金属の耐食性評価方法である。
本発明において、ミクロ組織の表面電位差とは、結晶粒の粒界と粒内の表面電位差、結晶粒の面方位の異なる粒と粒の表面電位差、析出物と母相の表面電位差、析出物と偏析層の表面電位差、偏析層と母相の表面電位差、二相間の表面電位差、析出相と母相の表面電位差、析出相と偏析層の表面電位差、あるいは析出相と析出物の表面電位差を意味する。ガルバニック腐食は、上記したようなミクロ組織である結晶粒の粒界と粒内や、結晶粒の面方位の異なる粒と粒の間などの表面電位差が駆動力となって腐食が進行し、その電位差が大きいほど腐食が進行しやすい。実際に二相ステンレス鋼で評価した結果、すきま腐食並びに孔食の腐食速度と、ミクロな組織の面内における表面電位の電位差との関係は、表面電位差が大きいほど、すきま腐食並びに孔食の腐食速度が速くなる傾向にあった。そのため、本発明では、算出した金属のミクロ組織の表面電位差のうち、最大の表面電位差を腐食評価の評価指標とする。
なお、本発明において、使用環境の液中とは、評価対象の金属が使用される環境下で晒される溶液のことであり、例えば、海水や薬品を含む溶液などである。なお、ミクロ組織の表面電位は溶液の種類によって異なるため、実際に使用環境下で晒される溶液と同じ溶液で表面電位差を測定することが重要である。
表面電位差に基づく、金属のすきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度の予測は以下のように行うことができる。まず、使用環境の液中におけるすきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度が既知の組成の異なる2つ以上の金属を用いて、上記と同じ方法を用いて液中における最大の表面電位差を求めておく。求めた表面電位差と腐食速度の相関関係を計測データとして保存しておく。そして、腐食速度が未知の評価対象の金属について測定したミクロ組織の表面電位差と上記の計測データに基づいて、腐食速度を予測する。なお、特定の溶液中における金属のすきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度のデータが無い場合には、組成の異なる2つ以上の金属について、長期間の浸漬試験などの確度の高い手法ですきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度を測定し、上記と同様の方法によって表面電位差と腐食速度の相関関係を求めておく。この場合、従来と同様に長期間の試験が必要になるが、一度、相関関係を求めておけば、他の組成が異なる腐食速度が未知の金属材料については長期間の試験は不要となるため、結果として短期間で腐食速度を評価できるという効果が得られる。
本発明の評価方法を実行するための評価装置は、探針と、前記探針と試料となる金属の間にバイアス電圧を印加するための交流電源と、前記探針と試料との間にバイアス電圧を印加する閉回路の途中に設けられたコンデンサと、前記探針と前記試料との間に働く相互作用力に対応付けられた電圧信号を出力する変位計測部と、前記変位計測部によって出力される電圧信号に含まれる特定の周波数成分をもつ静電気力信号を検出し、検出された信号に対応する値を出力する信号検出部と、を備え、液中の試料の表面電位を計測する電位計測装置と、特定の液中における各種組成の金属のミクロ組織の表面電位差とすきま腐食、または、孔食の腐食速度の関係が格納されたデータベースと、前記電位計測装置で測定された表面電位から前記金属のミクロ組織の表面電位差を算出し、前記データベースのデータを参照して前記金属のミクロ組織の表面電位差から前記金属のすきま腐食、または、孔食が生じる腐食速度を予測する予測手段と、を備えることを特徴とする。
以下、本発明の金属の耐食性評価方法および評価装置に係る実施形態について説明する。
液中における金属表面の表面電位および表面電位分布を計測するための電位計測装置であるOL−EPMを用いた耐食性評価装置の一例を説明する。図1に電位計測装置であるOL−EPMを用いた耐食性評価装置の構成図を示す。OL−EPMは、溶液122中に置かれた試料106である金属の表面電位を計測する。OL−EPMは、カンチレバー105と、交流電源121と、LD(Laser Diode)109と、PD(Photodiode)110と、プリアンプ111と、ロックインアンプ123と、コンデンサ103とを備える。
交流電源121は、カンチレバー105が先端に備える探針電極と、試料106との間に、ACバイアス電圧を印加する。このACバイアス電圧により、探針電極と試料106との間に、電界が発生する。OL−EPMにおいては、ACバイアス電圧の変調周波数ωmは10kHz以上である。
ここで、探針電極と、試料106との間に生じる静電気力Fesにより、カンチレバー105の先端が、垂直方向に変位する。OL−EPM100は、この変位を、LD109とPD110とを用いて計測する。具体的には、LD109からカンチレバー105の先端に照射した半導体レーザ光の反射光を位置検出用のPD110で受光する。カンチレバー105先端部のz軸方向の変位に応じて、PD110による受光位置が変化する。OL−EPMは、この変化をプリアンプ111を介して電圧変化量として取り出す。さらに、信号検出部であるロックインアンプ123により、電圧変化量に含まれる特定周波数成分を検出することにより、OL−EPMは、試料106の表面電位を得る。
コンデンサ103は、交流バイアス電圧印加時に不意に生じうる直流オフセット電圧の混入を防ぐ。これにより、不要な電気化学反応の発生を防ぐことができる。より具体的には、OL−EPMにおけるFesは、Vts=Vs−Vaccos(ωmt)として、次式で与えられる。
Figure 0006097832
ここで、Fesに含まれるωmおよび2ωm成分それぞれの大きさをA1およびA2とする。A1およびA2は、カンチレバー105の伝達関数G(ω)を用いて、次の数式(2)、(3)で与えられる。
Figure 0006097832
Figure 0006097832
また、カンチレバー105の伝達関数G(ω)は、次の数式(4)で与えられる。
Figure 0006097832
ここで、k、ω0(=2πf0)、Qはそれぞれ、カンチレバー105のバネ定数、共振周波数、Q値である。
また、A1およびA2はロックインアンプ123により計測できる。G(ωm)およびG(2ωm)は、k、ω0、Qが分かれば数式(4)により計算することができる。これらのパラメーターは、カンチレバー105の熱振動スペクトル(nz)を測定し、それを次の数式(5)でフィッティングすることで求めることができる。
Figure 0006097832
ここで、kB、Tおよびndsはそれぞれ、ボルツマン定数、絶対温度、変位検出器の変位ノイズ密度である。
数式(2)、(3)から、Vsの絶対値は次の数式(6)により求めることができる。
Figure 0006097832
ここで、Vsの符号は、Fesに含まれるωm成分のACバイアス電圧に対する位相差Φが0°(同相)ならば正となり、180°(逆相)ならば負となる。理想的には、ロックインアンプ123によりX1=A1cosΦ1を検出し、数式(6)のA1をX1に置き換えた式を用いれば、符号を含めたVsの値を取得することができる。しかしながら、実際の測定においては、バイアス回路内やカンチレバーの変位検出系におけるノイズや位相遅れ、あるいは探針−試料106間に挟まれた誘電体による位相遅れなどの影響が生じる。したがって、cosΦ1は+1、−1以外の中間の値を取り得る。これが測定結果の誤差を増大させることになる。したがって、絶対値を数式(6)により求め、符号をX1の符号から判断する方がより望ましい。すなわち、次の数式(7)により、Vsが得られる。
Figure 0006097832
探針を試料106の表面に対して水平方向に走査しながら、X1、A1、及び、A2を記録すれば、それらの値から、試料106の表面電位像を得ることができる。なお、X1はVSの符号を知るためにのみ必要である。したがって、試料106の表面における全ての位置で測定する必要はない。例えば、試料106の表面と探針電極104との電位差の極性が、試料106の全表面で反転しない場合には、信号検出部218は任意の1つの位置でのみX1を測定すればよい。電位算出部219は、測定されたX1の符号を1度だけ判定すれば、以後全ての計測点におけるVSの符号を決定することができる。
本実施形態の耐食性評価装置では、特定の液中における各種組成の金属のミクロ組織の表面電位差とすきま腐食、または、孔食の腐食速度の関係が格納されたデータベース220を備えている。演算処理部219では、OL−EPMで測定された金属の表面電位分布に基づいて、ミクロ組織の表面電位が算出され、算出した表面電位のうち最大となる表面電位とデータベース220に格納された表面電位差とすきま腐食、または、孔食の腐食速度の関係に基づいて、評価対象の金属の腐食速度を予想し、その結果を表示装置221で表示する。演算処理部219が本発明の予測手段に対応する。なお、表示装置221には、OL−EPMで測定された金属の表面電位分布や形状像、ミクロ組織の表面電位差などの情報も表示される。なお、図1では、OL−EPMからの信号を演算して表面電位を計測する手段と、腐食速度を予想する手段を1つの演算処理部で行うようにしたが、これらを分けても良い。
図1で説明したOL−EPMは、静電的相互作用力によって生じるカンチレバー105の振動のωm成分と2ωm成分それぞれの大きさA1およびA2を利用して表面電位を算出する。これを単一周波数(Single Frequency:SF)モードと呼ぶ。
次に、OL−EPMの変形例を説明する。図1に示したSFモードのOL−EPMでは、溶液のイオン濃度が高くなった場合に精度よく電位の計測ができない場合がある。具体的には、溶液のイオン濃度が高くなると、不要な電気化学反応やイオンの再配置によって探針に生じる不要な相互作用力を抑えることができる最適な変調周波数(ωm)が大きくなる。そのため、高濃度の電界溶液中の測定には、非常に高いωmをもつACバイアス電圧が必要になる。OL−EPMでは静電的相互作用力を、それによって生じるカンチレバーの変位として検出する。しかし、力に対するカンチレバーの変位感度G(ω)はωに依存して変化する。G(ω)は、数式(4)で示されるように、低周波側では1/kとなり、カンチレバーの共振周波数(f0)でピークを示し、そこから周波数が高くなるにつれて0に収束する。そのため、A1およびA2を十分な信号強度として検出するためには、ωmおよび2ωmがf0より低い値になることが必要である。しかしながら、現在市販されているカンチレバーの液中でのf0は高いものでも1MHz以下である。カンチレバーの小型化による共振周波数の高周波化も将来的には実現するであろうが、それにも物理的な限界がある。したがって、高濃度溶液中での測定に必要とされる非常に高い周波数ωmのACバイアス電圧を用いると、2ωmがf0を大きく上回り、A2の検出が非常に困難になる。その結果、ポテンシャルVsを算出することができなくなる。
この問題の解決策として、二重周波数(Dual Frequency:DF)モードを用いたOL−EPMを用いることが望ましい。
図2にDFモードのOL−EPMを用いた耐食性評価装置の構成図を示す。なお、OL−EPMの構成がSFモードからDFモードに変更された以外は同様の構成であり、データベース220、演算処理部219、表示装置221を用いた腐食速度の予測手段は同じである。
以下、DFモードのOL−EPMについて説明する。図2に示されるように、DFモードを用いたOL−EPMは、第1の交流電源101と、第2の交流電源102と、コンデンサ103と、探針電極104と、カンチレバー105と、振動調整部210と、変位計測部212と、位置制御部214と、スキャナ部216と、信号検出部218と、電位算出部219と、試料ホルダ230とを備える。
第1の交流電源101は、探針電極104と試料106との間に、第1の交流電圧V1cos(ω1t)を印加する。
第2の交流電源102は、探針電極104と試料106との間に、第1の交流電圧V1cos(ω1t)の周波数ω1と異なる周波数を有する第2の交流電圧V2cos(ω2t)を、第1の交流電圧V1cos(ω1t)に加算して印加する。すなわち、OL−EPMは、探針電極104と試料106との間に、異なる周波数のAC電圧を加算したバイアス電圧(V1cos(ω1t)+V2cos(ω2t))を印加する。このとき、静電的相互作用力Fesは、Vts=Vs−[V1cos(ω1t)+V2cos(ω2t)]とすることによって、次の数式(8)で与えられる。
Figure 0006097832
この式から分かるように、静電的相互作用力Fesは探針電極104−試料106間の電位差の2乗に比例する。よって、静電的相互作用力Fesには複数の周波数成分が含まれる。この中には、2つの周波数ω1およびω2の差に相当する周波数をもつω1−ω2成分が含まれている。例えば、ω1=1MHz+30kHz、ω2=1MHzとすると、ω1−ω2=30kHzとなる。すなわち、ω1及びω2の値に関わらず、その差分は十分な感度で信号を検出することが可能な低周波数とすることができる。
図2に示したOL−EPMは、図1のSFモードにおける2ωm成分(DFモードにおける2ω1成分に相当)の代わりに、ω1−ω2(=ωL)成分を利用することにより、高周波のACバイアス電圧印加時においても、試料の表面電位VSを求めることが可能となる。
図2に示したOL−EPMにおいて、コンデンサ103は、第1の交流電源101及び第2の交流電源102が重畳された電圧に含まれうる直流成分を取り除くコンデンサである。
探針電極104は、導電性の材料からなる。具体的には、探針電極104は、先端が鋭く尖った形状をした探針電極である。
カンチレバー105は、探針電極104を先端に有する。カンチレバー105が有する両端のうち、探針電極104を有する端が自由端となっており、他端が固定端となっている。材質としては、例えばシリコン又はシリコンナイトライド等である。なお、金やプラチナなど導電性金属をコートしたものを用いてもよい。以下、本実施の形態においては、カンチレバー105は、金でコーティングしたシリコン製のカンチレバーであるとする。
振動調整部210は、カンチレバー105を、カンチレバー105の共振周波数の近傍の周波数(fd=(ωd/2π))で励振する。本実施の形態に係る振動調整部210は、いわゆる光熱励振法により、カンチレバー105を励振する。より詳細には、振動調整部210は、LD107と、LD107を駆動させる励振用交流電源108とを有している。LD107は、金でコーティングしたシリコン製のカンチレバー105の背面に、強度変調されたレーザ光を照射する。金とシリコンの熱膨張率には差があるため、強度変調されたレーザ光を照射されたカンチレバー105は、励振される。
変位計測部212は、探針電極104と試料106との間の相互作用力に対応する電圧を出力する。具体的には、変位計測部212は、カンチレバー105の先端のz軸方向の変位を計測する。変位計測部212は、探針電極104と試料106との間に生じる相互作用力を、カンチレバー105の先端の変位に対応付けて計測する。カンチレバー105の先端の変位は、また、後述するスキャナ部216により、試料106と探針電極104との距離を一定に保つための位置制御にも用いられる。
より具体的には、変位計測部212は、LD109と、PD110と、プリアンプ111とを有する。変位計測部212は、LD109からカンチレバー105の先端に照射した半導体レーザ光の反射光をPD110で受光する。PD110による半導体レーザ光の受光位置は、カンチレバー105先端部のz軸方向の変位に応じて変化する。この受光位置の変化(ずれ)を、プリアンプ111を介して電圧変化量として取り出すことにより、変位計測部212は、探針電極104と試料106との間の相互作用力に対応する電圧を出力する。
位置制御部214は、カンチレバー105の振動振幅を一定に保つように、スキャナ部216に対しフィードバック制御をする。試料106の表面にある凸凹により、探針電極104と試料106との表面との距離が変わると、探針電極104と試料106との間に働く相互作用力の大きさが変化する。その結果、振動調整部210で励振され一定の振幅で振動しているカンチレバー105の振動振幅が変化する。よって、カンチレバー105の振動振幅を一定に保つように探針電極104と試料106との距離を制御することで、探針電極104と試料106の距離を一定間隔に保つことができる。
位置制御部214は、振幅検出器112と、PI(Proportional−Integral)制御回路113とを備える。振幅検出器112は、カンチレバー105の先端部の変位を変位計測部212から取得する。その後、振幅検出器112は、取得した変位からカンチレバー105の振動振幅を検出する。
PI制御回路113は、振幅検出器112が検出する振幅を一定に保つように、スキャナ部216に試料ホルダ230の高さ(z軸方向)を調整させるための制御信号を出力する。なお、PI制御回路113の代わりに、他のフィードバック制御回路を使用してもよい。
なお、z軸方向を調整する制御信号は、試料106の表面の凹凸に対応する。したがって、この値を記録することで、試料106の表面の物理的な形状(高さ方向の情報)を計測することができる。したがって、電位計測による表面電位分布とともに試料表面の形状像を得ることができる。
なお、本実施の形態において位置制御部214は、カンチレバー105の振動振幅に代わり、カンチレバーの共振周波数又は位相を一定に保つように、探針電極104と試料106との距離を制御してもよい。
すなわち、位置制御部214は、探針電極104と試料106との間の距離の変化が一定となるように、試料106の表面と探針電極104との距離を調整する。また、距離を調整した量を試料106の表面の高さ情報として出力してもよい。
スキャナ部216は、試料ホルダ230の位置を互いに直交するx、y、z軸の3軸方向に、1nm〜1mm移動させる。z軸方向の移動は、前述の通りカンチレバー105の振動振幅を一定に保つためである。x軸及びy軸方向の移動は、試料106上の物理的形状及び電位の分布を平面的・連続的に計測するためである。特に、x軸及びy軸方向の移動量は100μm以上とすることが好ましく、これにより、100μm以上の結晶粒を有する金属組織に対しても表面電位の計測が可能となる。
スキャナ部216は、波形生成回路114と、高圧アンプ115と、Z−scanner116と、X−scanner117と、Y−scanner118とを有する。
Z−scanner116はz軸方向に試料ホルダ230を移動させる。X−scanner117は、x軸方向に試料ホルダ230を移動させる。Y−scanner118は、y軸方向に試料ホルダ230を移動させる。
OL−EPMは、位置制御部214からフィードバック制御の結果として出力された制御信号(z軸方向)と、波形生成回路114で発生させた平面方向の走査用信号(x軸、及び、y軸方向)とを、高圧アンプ115で増幅する。その後、増幅された信号を、Z−scanner116、X−scanner117、及びY−scanner118のうち、移動させるべき軸に対応するscannerに出力する。
信号検出部218は、変位計測部212によって出力される電圧に含まれる特定の周波数成分の大きさを出力する。より詳細には、信号検出部218は、変位計測部212によって出力される電圧のうち、(1)第1の交流電圧の周波数ω1と同じ周波数の周波数成分の大きさおよび位相と、(2)第1の交流電圧の周波数ω1と第2の交流電圧の周波数ω2との差(すなわち、ω1−ω2)と同じ周波数の周波数成分の大きさとを、演算処理部219に出力する。
信号検出部218は、具体的には、高感度な交流電圧計である。信号検出部218としては、例えば、ロックインアンプ等が使用できる。本実施の形態に係る信号検出部218は、ロックインアンプ119とロックインアンプ120とを有する。信号検出部218は、参照信号として、第1の交流電源101が出力する交流電圧を用いる。信号検出部218は、変位計測部212から出力された電圧信号の中から、X1、A1、ALを検出する。なお、後述するように、電位計測装置100は、常にX1を検出する必要はない。
演算処理部219では、信号検出部218により出力された値から試料106の表面電位を算出する。より詳細には、電位算出部219は、試料106の表面電位であるVsを、(1)変位計測部212によって出力される電圧のうち第1の交流電圧の周波数ω1と同じ周波数の周波数成分の大きさであるA1と、(2)変位計測部212によって出力される電圧のうちω1と同じ周波数の周波数成分と第1の交流電圧との位相差の余弦の値と、A1とを乗じた量X1と、(3)変位計測部212によって出力される電圧のうち第1の交流電圧の周波数ω1と第2の交流電圧の周波数ω2との差と同じ周波数の周波数成分の大きさであるALと、(4)第2の交流電源が出力する交流電圧の振幅であるV2と、(5)自由端側に探針電極104が取り付けられたカンチレバー105の伝達関数G(ω)とを用いて、Vs=sgn(X1)×(ω1−ω2)/G(ω1)×(A1/AL)×(V2/2)の式によって算出する。
演算処理部219は、また、スキャナ部216によって走査されたx−y平面に対応させて、算出された表面電位を並べることで、試料106の表面電位像を出力してもよい。
次に、本発明に係る電位計測装置が液中試料の表面電位を計測する原理について、図2に示されるOL−EPMを具体例にして説明する。
変位計測部212から出力されるカンチレバーの変位信号に含まれるω1成分及びω1−ω2(=ωL)成分それぞれの大きさであるA1及びALは、カンチレバーの伝達関数G(ω)を考慮すると、それぞれ、以下の数式(9)及び数式(10)として示される。
Figure 0006097832
Figure 0006097832
ここで、A1、ALおよびG(ω1)、G(ωL)は、前述したSFモードのOL−EPMと同様にして求めることができる。これらの値から、演算処理部219は、Vsの絶対値を次式で求めることができる。
Figure 0006097832
また、Vsの符号についても、SFモードのOL−EPMと同様の方法で判定できる。したがって、演算処理部219は、Vsを以下の数式(12)により求めることができる。
Figure 0006097832
なお、X1はVSの符号を知るためにのみ必要である。したがって、試料106の表面における全ての位置で測定する必要はない。例えば、試料106の表面と探針電極104との電位差の極性が、試料106の全表面で反転しない場合には、信号検出部218は任意の1つの位置でのみX1を測定すればよい。電位算出部219は、測定されたX1の符号を1度だけ判定すれば、以後全ての計測点におけるVSの符号を決定することができる。
なお、振動調整部210、変位計測部212、位置制御部214、スキャナ部216の機能・構成について図2を用いて説明したが、図1のOL−EPMでも同様である。
以上のように、OL−EPMを用いることによって、液中環境においても、ナノスケールで金属の電位分布を測定することができ、金属のミクロ組織の電位差を計測できる。
本発明者らは、OL−EPMを用いて水溶液中におかれた二相ステンレス鋼の局所電位分布を測定し、それによって得られたフェライト相(α相)とオーステナイト相(γ相)の電位差から、ステンレス鋼の耐腐食性を評価することが可能であることを見出した。これは、ステンレス鋼に限定されるものではなく、あらゆる金属の組織内の析出物と母相間の電位差において当てはまる。このようなことは、OL−EPMを用いて初めて可能となる。腐食評価として、金属を使用環境の腐食溶液中に半年〜1年という長期間浸漬させて腐食深さを求める浸漬試験がよく用いられているが、OL−EPMをその代替手法として利用することで、新規金属材料の開発にかかる時間を大幅に短縮することが可能となる。さらに、特定の液中における表面電位を計測するだけで、金属組織内の析出物を簡便に定性、定量することができる。
本発明の評価手法により、マクロな腐食評価では認められなかったミクロな腐食、即ち、組織の粒界に生成する析出物とその周囲、さらに母材との間の電位差から生じるガルバニック腐食や、二相ステンレス鋼の二つの組織間の電位差から生じるガルバニック腐食などが原因で発生する腐食速度を、使用環境下で精度良く見積ることが可能となる。これにより、配管やポンプなどの寿命を推定することが可能となり、交換時期を予測することができることから、プラントの安定な稼働に貢献できる。また、金属の試験片を半年〜1年という長期間浸漬させて腐食深さを求める浸漬試験がよく用いられているが、本評価方法によれば、数時間の短期間で腐食深さを求めることが可能となり、新規の金属材料の開発にかかる時間を大幅に短縮することが可能となる。
ところで、特定の液中における金属のミクロ組織の表面電位差は一定であり、上記で説明した耐食性評価装置を応用することによって、金属材料の金属組織内に析出した析出物の組成を予測することが可能となる。すなわち、データベース220に各種組成の金属の表面電位と基準となる金属の表面電位の表面電位差のデータを格納しておき、評価対象の金属について、基準となる金属との表面電位差をOL−EPMで測定し、データベースのデータと比較することによって、金属材料の金属組織内に析出した析出物の組成を予測できる。
金属では特定の組成の析出物が生成すると腐食し易いことが知られている。そのため、金属の腐食性を評価するには、析出物の定性と定量が不可欠である。一般に、金属組織内の析出物組成を同定するためには、材料から析出物の部分を切り出し、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡を使用して分析する方法がとられている。この場合、析出物の存在する箇所を探すのに手間がかかることや、析出物が存在する部分のみを切り出すには時間がかかる。これに対して、本発明の方法によれば、特定の液中における表面電位を計測するだけで析出物の組成を予測できるため、非常に簡易な析出物の同定方法、定量方法となる。
以下、実施例を用いて詳細に説明する。
実施例1では、図1に示したSFモードのOL−EPMを用いた金属の表面電位を計測した例を説明する。測定試料として二相ステンレス鋼を用い、電位分布を10mM NaCl水溶液中で観察した。試料106はNaCl水溶液122に浸漬させた状態で試料ホルダ内に設置させる。試料106から導通を取り、コンデンサ103、及び、交流電源121を介してカンチレバー105と接続させている。カンチレバー105は光熱励振法(金コートしたシリコン製カンチレバーの背面に強度変調させたレーザー光を照射し、金とシリコンの熱膨張の違いを利用してカンチレバーを励振する方法)を用いてカンチレバー105を共振周波数近傍の周波数(1−1.2MHz)で励振した。探針104と試料106の間の距離は、カンチレバー105の振動振幅Aを一定に保つよう制御した。カンチレバー105の背面にレーザー発生器(LD)109から発生させたレーザー光を当てて反射した光を、検出器(PD)109で検出する。
検出器109で検出した反射光の位置からカンチレバー105のZ方向の変位量をプリアンプ111で計測し、ロックインアンプ123に入力する。交流電源121で試料106とカンチレバー105間に変調周波数fm(=ωm/2π)をもつ交流(Vaccos(ωmt))のバイアス電圧を印加する。ここでは10kHzの高周波ACバイアス電圧を印加した。10kHz以下の場合、試料の変質が確認された。そのため、10kHz以上の高周波を選択することが望ましい。この交流(Vaccos(ωmt))信号をロックインアンプ123に入力し、静電気力Fesに含まれるωmおよび2ωm成分それぞれの大きさA1およびA2を計測する。また、ロックインアンプ123によりX1=A1cosΦ1を検出して符号を決定する。さらに、次の数式(13)により試料106の表面電位Vsを求める。
Figure 0006097832
カンチレバー105の先端には探針が付いており、探針で試料表面を走査することにより、試料表面の形状像と電位像を同時に二次元データとして取得できることを確認した。
実施例2では、図2に示したDFモードのOL−EPMを用いた金属の表面電位を計測した例を説明する。測定試料として二相ステンレス鋼を用い、電位分布を10mM NaCl水溶液中で観察した。試料106はNaCl水溶液122に浸漬させた状態で試料ホルダ230内に設置させる。試料106から導通を取り、コンデンサ103、及び、2個の交流電源101,102を介してカンチレバー6と接続させている。カンチレバー105は光熱励振法(金コートしたシリコン製カンチレバーの背面に強度変調させたレーザー光を照射し、金とシリコンの熱膨張の違いを利用してカンチレバーを励振する方法)を用いてカンチレバー105を共振周波数近傍の周波数(1−1.2MHz)で励振した。探針104と試料106の間の距離は、カンチレバー105の振動振幅Aを一定に保つよう制御した。カンチレバー105の背面にレーザー発生器(LD)109から発生させたレーザー光を当てて反射した光を、検出器(PD)109で検出する。
検出器109で検出した反射光の位置からカンチレバー105のZ方向の変位量をプリアンプ111で計測し、ロックインアンプ123に入力する。交流電源101,102で試料106とカンチレバー105との間に異なる周波数の交流電圧を加算したバイアス電圧(V1cos(ω1t)+V2cos(ω2t))を印加した。この信号をロックインアンプ109,120に入力し、SFモードにおける2ωm成分(DFモードにおける2ω1成分に相当)の代わりに、ω1−ω2(=ωL)成分を利用して、カンチレバー105の変位信号に含まれるω1およびωL成分それぞれの大きさA1およびALを計測する。また、ロックインアンプ120によりX1=A1cosΦ1を検出して符号を決定する。さらに、次の数式(14)により表面電位Vsを求める。
Figure 0006097832
カンチレバー105の先端には探針が付いており、探針で試料表面を走査することにより、試料表面の形状像と電位像を同時に二次元データとして取得できることを確認した。
図2に示したDFモードのOL−EPMを用いた耐食性評価装置を用いて、耐食性評価を実施した例を説明する。
実施例2と同様に、ω1(=700−800kHz)とω2 (ω1+30kHz)の2つの周波数成分を加算したバイアス電圧を探針104−試料106間に印加した。探針106−試料05間にDCバイアス電流が流れないようにコンデンサ103を挿入した。A1およびALは、2つのロックインアンプ119,120を用いて、カンチレバー105の変位信号から検出した。カンチレバー105は光熱励振法(金コートしたシリコン製カンチレバーの背面に強度変調させたレーザー光を照射し、金とシリコンの熱膨張の違いを利用してカンチレバーを励振する方法)を用いてカンチレバー105を共振周波数近傍の周波数(1−1.2MHz)で励振した。探針104と試料106の間の距離は、カンチレバー105の振動振幅Aを一定に保つよう制御した。
次に、3種類の二相ステンレス鋼(LDX2101、2205、2507)の電位分布を測定した。これらは、LDX2101、2205、2507の順にCr、MoおよびNの含有量が多くなっており、耐孔食性や強度が強くなっている。測定には表面が十分に研磨されたものを用いた。
図3は、LDX2101の表面形状と電位分布を同時に観察した結果である。測定にはDFモードを用い、2つの変調周波数とACバイアス電圧はそれぞれ、800kHz/1V,830kHz/1Vの条件で実施した。二相ステンレス鋼の表面は、光学顕微鏡で見ると海島模様が観察され、オーステナイト相(γ相)は島状に、フェライト相(α相)は海状に見えることが知られている。その境界部分を観察したところ、高さの異なる領域が見られた。一般に、γ相はα相に比べて加工性がよく、研磨されやすいことから、γ相がα相に比べて高さが低くなる。よって、形状像(図3(a))から、左側がγ相、右側がα相であると分かる。図3(b)の電位分布像も境界でコントラストが変化しており、α相とγ相で電位が異なることを示している。図3(c)は形状像と電位像の白い線で囲った部分のライン分布の平均値を示している。これより、γ相に対するα相の電位差は最大で約+63mVであった。
同様に、2205の表面構造と電位分布を測定した結果を図4に示す。測定にはDFモードを用い、2つの変調周波数とACバイアス電圧はそれぞれ、700kHz/1V,730kHz/1Vの条件で実施した。LDX2101と同じく、α相とγ相の境界で高さの違いが見られ、図4(a)の左側がγ相、右側がα相であることが分かる。図4(b)の電位分布像も境界でコントラストが変化しており、α相とγ相で電位が異なることを示している。図4(c)は形状像と電位像の白い線で囲った部分のライン分布の平均値を示している。これより、γ相に対するα相の電位差は最大で約+30mVであった。
図5は2507の表面形状像と電位分布像である。測定にはDFモードを用い、2つの変調周波数とACバイアス電圧はそれぞれ、800kHz/1V,830kHz/1Vの条件で実施した。高さの違いから左側がα相、右側がγ相であることが分かる。図5(b)の電位分布像も境界でコントラストが変化しており、α相とγ相で電位が異なることを示している。図5(c)は形状像と電位像の白い線で囲った部分のライン分布の平均値を示している。これより、γ相に対するα相の電位差は約+11mVであった。
以上の結果から、ミクロ組織の表面電位差はLDX2101>2205>2507の順に小さくなることがわかった。
図6は海水への浸漬実験を一年間実施して得られた各二相ステンレス鋼のすき間腐食の深さと、上記により得られたα相/γ相間の電位差の関係をプロットしたものである。電位差が大きいほど、浸食深さが大きくなる傾向が得られた。
二相ステンレス鋼の主な腐食のひとつにガルバニック腐食がある。ガルバニック腐食は、異種金属間が接触した状態で起こる腐食であり、電極電位の低い金属表面の腐食が促進される。二相ステンレスのように別々の組成を持つ金属の腐食はこのガルバニック腐食が大きく関係している。よってOL−EPMで測定された二相間の電位差は、ガルバニック腐食が起因しており、電極間の電位差が腐食のしやすさと関連していることがわかる。
各種組成の金属組織内の表面電位差とすきま腐食深さの関係をデータベースに格納した。次に、腐食の度合いが未知の二相ステンレスの組織内の最大表面電位差を測定した。データベースのデータを参照して、測定された表面電位差から、年間のすきま腐食深さを見積もった。これより、金属配管に孔が開くまでの期間を推定することができる。
これらは、すきま腐食だけでなく、孔食深さでも同様の傾向が得られている。図7は塩水噴霧試験を一年間実施して得られた各二相ステンレス鋼の孔食深さと、上記により得られたα相/γ相間の電位差の関係をプロットしたものである。電位差が大きいほど、孔食深さが大きくなる傾向が得られた。各種組成の金属組織内の表面電位差と孔食深さの関係をデータベースに格納した。次に、腐食の度合いが未知の二相ステンレスの組織内の最大表面電位差を測定した。データベースのデータを参照して、測定された最大表面電位差から、年間の孔食深さを見積もった。これより、金属配管に孔が開くまでの期間を推定することができる。
プラント実機で使用中の金属材料を採取して実施例3と同様に表面電位を測定した。その結果を表面電位分布としてデータを取得した。これより、表面電位分布内の最大電位差を求めた。データベースのデータを参照して、測定された最大表面電位差から、一定の期間浸漬した際のすきま腐食深さを見積もった。続いて、腐食速度を見積もった。プラント実機で使用中の金属の厚みから、貫通するまでの期間を算出し、交換時期を予測した。これらの予測手段は、すべて、演算処理部219で実施した。
プラント設計の段階で施工前、もしくは施工中の材料を採取して実施例3と同様に表面電位を測定した。その結果を表面電位分布としてデータを取得した。これより、表面電位分布内の最大電位差を求めた。データベースのデータを参照して、測定された最大表面電位差から、一定の期間浸漬した際のすきま腐食深さを見積もった。続いて、腐食速度を見積もった。プラント実機で使用中の金属の厚みから、貫通するまでの期間を算出し、交換時期を予測した。これらの予測手段は、すべて、コンピュータ制御で実施した。
図2に示したDFモードのOL−EPMを用いた耐食性評価装置を用いて、各種組成の金属の表面電位(VS1)を実施例3と同様に測定した。2つの変調周波数とACバイアス電圧はそれぞれ、800kHz/1V,830kHz/1Vの条件で測定を実施した。さらに、基準となる金属の表面電位(VSR)を同時に測定した。基準となる金属に対する表面電位差(VS1−VSR)のデータを予め取得しておき、これをデータベース化した後に、コンピュータに格納した。組成が未知の析出物の表面電位(VSX)を上記と同様の方法で測定し、同時に基準となる金属の表面電位を測定した。データベースのデータを参照して、基準となる金属に対する表面電位差(VS1−VSR)から金属組織内に析出した析出物の組成を検索した。これらはすべて、コンピュータで制御した。
また、1ナノメートルから100マイクロメートルまでの大きさの複数の析出物の組成を予測できることを確認した。図8にSUS304の析出物の形状像と電位像の測定の一例を示す。最大電位差が70mVの粒状の析出物は透過型電子顕微鏡でMnSに同定された。また、最大電位差が20mVの板状の析出物は透過型電子顕微鏡でCr236に同定された。このように、各析出物組成によって最大電位差が異なることを確認した。
さらに、画像処理手段を備える。画像処理では、金属の液中での表面電位(VS1)を面内の分布として計測した結果を基に、特定の析出物の表面電位領域の面積を求める。この面積を全体の面積に対する面積率(パーセント)として算出する。この面積率から金属組織内に析出した析出物の含有量をパーセント表示で予測した。

Claims (13)

  1. 耐食性を有する金属の耐食性評価方法であって、 評価対象の前記金属を使用環境の液である0.1M未満のNaCl水溶液に浸漬した状態で前記金属の表面電位を計測して前記金属の表面電位分布を求め、 前記表面電位分布に基づいて、前記金属のミクロ組織の表面電位差を算出し、 算出した表面電位差のうち、最大の表面電位差を腐食評価の評価指標として、前記金属のすきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度を予測することを特徴とする金属の耐食性評価方法。
  2. 請求項1に記載の金属の耐食性評価方法において、 前記金属の表面電位の計測は、先端に探針電極を備えるカンチレバーと前記液中に浸漬した前記金属との間に交流のバイアス電圧を印加し、前記探針電極を前記金属の表面に対して水平方向に走査しながら、静電的相互作用力によって生じる前記カンチレバーの振動を利用して前記金属の表面の表面電位を算出することを特徴とする金属の耐食性評価方法。
  3. 請求項1に記載の金属の耐食性評価方法において、 前記液中におけるすきま腐食深さ、または、孔食深さの腐食速度が既知の組成の異なる2つ以上の金属の前記液中における最大の表面電位差と腐食速度の相関関係に基づいて、前記評価対象の前記金属のすきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度を予測することを特徴とする金属の耐食性評価方法。
  4. 請求項1に記載の金属の耐食性評価方法において、 プラント実機で使用中の金属材料から採取した金属、あるいはプラント設計段階の金属を評価対象とし、 予測した前記金属のすきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度に基づいて、前記金属材料の交換時期を予測することを特徴とする金属の耐食性評価方法。
  5. 請求項1に記載の金属の耐食性評価方法において、 前記評価対象の前記金属がステンレス鋼であることを特徴とする金属の耐食性評価方法。
  6. 探針と、前記探針と試料となる耐食性を有する金属の間にバイアス電圧を印加するための交流電源と、前記探針と前記試料との間にバイアス電圧を印加する閉回路の途中に設けられたコンデンサと、前記探針と前記試料との間に働く相互作用力に対応付けられた電圧信号を出力する変位計測部と、前記変位計測部によって出力される電圧信号に含まれる特定の周波数成分をもつ静電気力信号を検出し、検出された信号に対応する値を出力する信号検出部と、を備えた、液中の前記試料の表面電位を計測する電位計測装置と、 特定の液中における各種組成の金属のミクロ組織の表面電位差とすきま腐食、または、孔食の腐食速度の関係が格納されたデータベースと、 前記電位計測装置で測定された表面電位から前記金属のミクロ組織の表面電位差を算出し、前記データベースのデータを参照して前記金属のミクロ組織の表面電位差から前記金属のすきま腐食の腐食速度、または孔食の腐食速度を予測する予測手段と、を備え
    前記試料の表面電位を計測する前記液としては、0.1M未満のNaCl水溶液を用いることを特徴とする金属材料の耐食性評価装置。
  7. 請求項6に記載の金属材料の耐食性評価装置において、 前記交流電源が出力する交流電圧の周波数は10kHz以上であることを特徴とする金属材料の耐食性評価装置。
  8. 請求項6に記載の金属材料の耐食性評価装置において、 前記探針を前記試料表面で走査するためのX及びY方向のスキャナと、前記試料の凹凸に前記探針を追従させるためのZ方向のスキャナと、を備え、 前記X及びY方向のスキャナの移動量が100μm以上であることを特徴とする金属材料の耐食性評価装置。
  9. 請求項7に記載の金属材料の耐食性評価装置において、 前記交流電源は、 前記探針と前記試料との間に、第1の交流電圧を印加する第1の交流電源と、 前記探針と前記試料との間に、前記第1の交流電圧の周波数と異なる周波数を有する第2の交流電圧を、前記第1の交流電圧に加算して印加する第2の交流電源で構成されていることを特徴とする金属材料の耐食性評価装置。
  10. 金属材料の組成予測方法であって、 評価対象の耐食性を有する金属を使用環境の液である0.1M未満のNaCl水溶液に浸漬した状態で前記金属の表面電位を計測して前記金属の表面電位分布を求め、 前記表面電位分布に基づいて、前記金属のミクロ組織の表面電位差を算出し、 算出した表面電位差に基づいて金属組織内に析出した析出物の組成を予測することを特徴とする金属材料の組成予測方法。
  11. 請求項10に記載の金属材料の組成予測方法において、 予め、特定の液中における各種組成の金属の表面電位を基準となる金属に対する表面電位差として計測しておき、これを用いて、1ナノメートルから100マイクロメートルまでの大きさの複数の析出物の組成を予測する金属材料の組成予測方法。
  12. 請求項10に記載の金属材料の組成予測方法において、 前記表面電位分布を画像処理により特定の析出物電位を有する領域の全体に対する面積率を求め、前記面積率から前記金属組織内に析出した析出物の含有量を予測する金属材料の組成予測方法。
  13. 探針と、前記探針と試料となる耐食性を有する金属の間にバイアス電圧を印加するための交流電源と、前記探針と前記試料との間にバイアス電圧を印加する閉回路の途中に設けられたコンデンサと、前記探針と前記試料との間に働く相互作用力に対応付けられた電圧信号を出力する変位計測部と、前記変位計測部によって出力される電圧信号に含まれる特定の周波数成分をもつ静電気力信号を検出し、検出された信号に対応する値を出力する信号検出部と、を備え、液中の前記試料の表面電位を計測する電位計測装置と、 各種組成の金属の表面電位と基準となる金属の表面電位の表面電位差のデータが格納されたデータベースと、 前記電位計測装置で測定された表面電位から前記金属のミクロ組織の表面電位差を算出し、前記データベースのデータを参照して測定された表面電位差から金属組織内に析出した析出物の組成を予測する予測手段と、を備え
    前記液としては、0.1M未満のNaCl水溶液を用いることを特徴とする金属材料の組成予測装置。
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