JP6092257B2 - 水性分散液 - Google Patents

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Description

本発明の対象は、ポリマーPの粒子およびケイ酸カルシウム水和物の粒子を分散された形で含有するセメント不含の水性分散液であって、
前記ポリマーPは、10nm以上で1000nm以下の数平均粒径および−55℃以上で30℃以下の範囲のガラス転移温度を有し、かつ重合された形で、
0.1質量%以上で10質量%以下の、少なくとも1種のヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレートおよび/またはα,β−モノエチレン性不飽和のC3〜C6−モノカルボン酸もしくはC4〜C6−ジカルボン酸のアミド(モノマーA)と、
0質量%以上で0.5質量%以下の、少なくとも1種のα,β−モノエチレン性不飽和のC3〜C6−モノカルボン酸もしくはC4〜C6−ジカルボン酸(モノマーB)と、
0質量%以上で10質量%以下の、メチルメタクリレート(モノマーC)と、
90質量%以上で99.9質量%以下の、前記モノマーA〜Cとは異なる少なくとも1種の更なるエチレン性不飽和モノマー(モノマーD)と、
から構成されており、前記モノマーA〜Dの量は、合計して100質量%となり、かつ
前記ケイ酸カルシウム水和物は、0.1nm以上で100nm以下の質量平均粒径を有する前記セメント不含の水性分散液である。
本発明の対象は、更に、上述のセメント不含の水性分散液の製造方法、前記セメント不含の水性分散液の水硬性材料における添加剤としての使用ならびに上述のセメント不含の水性分散液を含有する水硬性材料である。
本発明の範囲においては、水硬性材料とは、一般に骨材として用いられる砂、砂利、砕石もしくはその他の充填剤、例えば天然もしくは合成の繊維などの充填剤を含有し、かつ水と混ぜ合わせることによって使用準備のできた形に、いわゆるモルタルもしくはコンクリートへと変換される粉体形の無機結合剤であって、空気中でまたは部分的に水中で放置した場合に時間との関数として石のように固まるものを表す。かかる水硬性材料、例えば硬焼石灰もしくは硬焼石膏ならびに特にセメント(これについてはEN 197-1を参照)、例えばポルトランドセメント、白色セメント、ツラメント(Thurament)、セライトメントならびに例えば冶金砂(Huettensand)、フライアッシュ、シリケート粉、メタカオリン、天然火山灰もしくは燃やしたオイルシェールを混加したセメントは当業者に広く知られている。
作業されるべきモルタルおよびコンクリートもしくはそれから得られる固化もしくは凝結した材料の機械的特性(例えば曲げ引張強度、下地への付着性、可撓性)を改善するために、前記モルタルおよびコンクリートには、水性ポリマー分散液またはそこから得られるポリマー粉体の形の微細なポリマー(10nm以上で1000nm以下の数平均粒径)が混加される。前記の微細なポリマーの欠点は、それらが一般的に、モルタルおよびコンクリートの凝結挙動(=石のような固化)に遅延作用を示すことである。
しかしながら、特にセメント質の系をベースとするモルタルもしくはコンクリートの場合には、素早い凝結と、高いいわゆる初期強度が必要であり、そのため、前記コンクリートまたはモルタル混合物には、いわゆる促進剤、例えばギ酸カルシウム、塩化カルシウムまたは炭酸リチウムなどが混加される。上述の公知の促進剤に問題となることは、前記促進剤が、例えば鉄筋コンクリートの耐食性または白華の形成に関する欠点を有することである。更なる欠点は、公知の促進剤の比較的多い使用量である。
さらに素早い凝結挙動とさらに高い初期強度と同時に、コンクリートもしくはモルタル混合物の一定の最終強度を、更になおも明らかに低減された使用量で達成するために、目下、微細なケイ酸カルシウム水和物の分散液が使用される。かかる微細なケイ酸カルシウム水和物の分散液とその製造は、例えばWO 2010/26155、WO 2011/26720、WO 2011/26723ならびに出願番号11163464.8を有する欧州優先権出願を基礎とする公開前の欧州PCT出願に開示されている。前記の微細なケイ酸カルシウム水和物の分散液の欠点は、その貯蔵に際して凝集の傾向があることであり、その際、その促進作用はモルタルとコンクリートの凝結に際して弱まるか、またはそれどころか完全に失われる。微細なケイ酸カルシウム水和物の水性分散液の凝集を減らすか、または完全に抑えるために、前記の微細なケイ酸カルシウム水和物の水性分散液に安定化剤および/または流動化剤を混加せねばならない。こうして製造されたもしくは安定化された完成したケイ酸カルシウム水和物の水性分散液は、コンクリートもしくはモルタル混合物に別個の成分として混加される。
当業者が上述の微細なポリマーの利点と微細なケイ酸カルシウム水和物の促進作用とを組み合わせることを望むとき、これらをモルタルもしくはコンクリートの製造に際して2つの別個の成分として使用し、もしくは混加せざるをえない。しかし、当業者には、それらの貯蔵(2つの貯蔵タンクに変えて1つの貯蔵タンク)と取り扱い(特に量の測定と計量供給)がより簡単なため、「特定のワンポット系(Eintopfsystem)」が好まれる。
しかし、特別な調査によれば、10nm以上で1000nm以下の数平均粒径および−55℃以上で30℃以下の範囲のガラス転移温度を有するポリマーならびに0.1nm以上で100nm以下の質量平均粒径を有するケイ酸カルシウム水和物の通常の水性分散液の混合物は、ゲル形成、凝集または粘度増加の結果として十分な貯蔵安定性を示さないことが判明している。さらに、かかる混合物は、モルタルおよびコンクリートの硬化に際して促進作用を失う。
従って、本発明の課題は、10nm以上で1000nm以下の数平均粒径および−55℃以上で30℃以下の範囲のガラス転移温度を有するポリマーならびに0.1nm以上で100nm以下の質量平均粒径を有するケイ酸カルシウム水和物を分散された形で含有し、23℃で28日以上の貯蔵安定性を有するセメント不含の水性分散液を提供することであった。
前記課題は、冒頭に定義したセメント不含の水性分散液によって解決される。
本発明で必須のことは、10nm以上で1000nm以下の数平均粒径および−55℃以上で30℃以下の範囲のガラス転移温度を有するポリマーPであって、重合された形で、
0.1質量%以上で10質量%以下の、少なくとも1種のモノマーAと、
0質量%以上で0.5質量%以下の、少なくとも1種のモノマーBと、
0質量%以上で10質量%以下の、モノマーCと、
90質量%以上で99.9質量%以下の、少なくとも1種のモノマーDと、
から構成されており、特に好ましくは
2.0質量%以上で8.0質量%以下の、少なくとも1種のモノマーAと、
0質量%以上で0.2質量%以下の、少なくとも1種のモノマーBと、
0質量%以上で2.0質量%以下の、モノマーCと、
92質量%以上で98質量%以下の、少なくとも1種のモノマーDと、
から構成されており、その際、前記モノマーA〜Dの量は、それぞれ合計して100質量%(全モノマー量)となる前記ポリマーPを使用することである。
モノマーAとしては、原則的に全てのヒドロキシアルキル−、有利にはヒドロキシ−C2〜C10−アルキル−、好ましくはヒドロキシ−C2〜C4−アルキル−、特に好ましくはヒドロキシ−C2〜C3−アルキルアクリレートおよび/または−メタクリレートを使用することができ、その際、本願の範囲では、また、アルコキシル化された、すなわちアルキレンオキシド(主としてエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド)と反応されたヒドロキシアルキルアクリレートおよび/または−メタクリレートがモノマーAとして見なされるべきである。好ましくは、前記少なくとも1種のモノマーAは、ジエチレングリコールモノアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む群から選択される。特に好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび/または3−ヒドロキシプロピルメタクリレートが使用され、その際、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび/または2−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。
モノマーAとしては、同様に全てのα,β−モノエチレン性不飽和のC3〜C6−モノカルボン酸アミドもしくはC4〜C6−ジカルボン酸アミドが該当する。同様にモノマーAには、上述の化合物であって、そのカルボン酸アミド基がアルキル基もしくはメチロール基で置換されている化合物が該当する。かかるモノマーAのための例は、α,β−モノエチレン性不飽和のC3〜C6−、好ましくはC3−もしくはC4−モノカルボン酸もしくはC4〜C6−ジカルボン酸のアミドもしくはジアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、エチルアクリル酸アミド、イタコン酸−モノアミドもしくは−ジアミド、アリル酢酸アミド、クロトン酸アミド、ビニル酢酸アミド、フマル酸−モノアミドもしくは−ジアミド、マレイン酸−モノアミドもしくは−ジアミドならびに2−メチルマレイン酸−モノアミドもしくは−ジアミドである。α,β−モノエチレン性不飽和のC3〜C6−モノカルボン酸アミドもしくはC4〜C6−ジカルボン酸アミドであって、そのカルボン酸アミド基がアルキル基もしくはメチロール基で置換されているアミドの例は、N−アルキルアクリルアミドおよび−メタクリルアミド、例えばN−t−ブチルアクリルアミドおよび−メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミドおよび−メタクリルアミドならびにN−メチロールアクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミドである。好ましいアミド型モノマーAは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドである。
従ってモノマーAとして特に好ましいのは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドである。
本発明により使用されるポリマーPは、0.1質量%以上で10質量%以下の、好ましくは2.0質量%以上で8.0質量%以下の、特に好ましくは3.0質量%以上で6.0質量%以下のモノマーAを重合された形で含有する。
モノマーBとしては、α,β−モノエチレン性不飽和のC3〜C6−、好ましくはC3−もしくはC4−モノカルボン酸もしくはC4〜C6−ジカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、イタコン酸、アリル酢酸、クロトン酸、ビニル酢酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチルマレイン酸が該当する。しかしモノマーBは、相応のα,β−モノエチレン性不飽和のジカルボン酸の無水物、例えばマレイン酸無水物または2−メチルマレイン酸無水物をも含む。好ましくは、前記酸基含有モノマーBは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸およびイタコン酸を含む群から選択され、その際、アクリル酸、メタクリル酸および/またはイタコン酸が特に好ましい。もちろん、前記モノマーBは、上述の酸の完全中和もしくは部分中和された水溶性塩、特にアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩を含む。
本発明により使用されるポリマーPは、0質量%以上で0.5質量%以下の、好ましくは0質量%以上で0.2質量%以下のモノマーBを重合された形で含有し、特に好ましくはモノマーBを重合された形で含有しない。
モノマーCとしては、メチルメタクリレートのみが使用される。
本発明により使用されるポリマーPは、0質量%以上で10質量%以下の、好ましくは0質量%以上で2.0質量%以下の、特に好ましくは0質量%以上で0.5質量%以下のモノマーCを重合された形で含有する。
モノマーDとしては、モノマーA〜Cとは異なるが、該モノマーと共重合可能な全てのエチレン性不飽和化合物が該当する。好適なモノマーDは、例えばかかるエチレン性不飽和モノマーであって、そのホモポリマーが30℃以下のガラス転移温度Tgを有するモノマー、例えば共役脂肪族C4〜C9−ジエン化合物、ビニルアルコールとC1〜C10−モノカルボン酸とのエステル、C1〜C10−アルキルアクリレート、C5〜C10−アルキルメタクリレート、C5〜C10−シクロアルキルアクリレートおよび−メタクリレート、C1〜C10−ジアルキルマレイネートおよび/またはC1〜C10−ジアルキルフマレート、C3〜C10−アルカノールのビニルエーテル、分枝鎖状のおよび非分枝鎖状のC3〜C10−オレフィンである。好ましくは、かかるモノマーDであって、そのホモポリマーが0℃未満のガラス転移温度Tgを有するモノマーが使用される。特に好ましくは、モノマーDとしては、ビニルアセテート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジ−n−ブチルマレイネート、ジ−n−ブチルフマレートが使用され、その際、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、1,4−ブタジエンおよび/またはエチルアクリレートが特に好ましい。
1〜C10−アルキル基とは、本願の範囲においては、直鎖状または分枝鎖状の1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ノニルまたはn−デシルを表すべきである。C5〜C10−シクロアルキル基とは、好ましくはシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基であって、場合により1、2または3個のC1〜C4−アルキル基によって置換されていてよい基を表すべきである。
しかしモノマーDには、かかるエチレン性不飽和のモノマーであって、そのホモポリマーが50℃以上のガラス転移温度Tgを有し、かつ前記モノマーA〜Cとは異なるモノマーも該当する。好適なモノマーDは、例えばビニル芳香族モノマー、C2〜C4−アルキルメタクリレートおよびエチレン性不飽和のニトリル化合物である。ビニル芳香族モノマーとは、特にスチレンもしくはα−メチルスチレンの誘導体であって、そのフェニル核が、場合により1、2もしくは3つのC1〜C4−アルキル基、ハロゲン、特に臭素もしくは塩素および/またはメトキシ基によって置換されている誘導体を表す。エチレン性不飽和のニトリル化合物は、本質的には、上述のα,β−モノエチレン性不飽和の、特にC3〜C6−、好ましくはC3−もしくはC4−モノカルボン酸もしくはジカルボン酸から誘導されるニトリル、例えばアクリルニトリル、メタクリルニトリル、マレイン酸ジニトリルおよび/またはフマル酸ジニトリルであり、その際、アクリルニトリルおよび/またはメタクリルニトリルが特に好ましい。特に好ましいかかるモノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエンもしくはp−ビニルトルエン、p−アセトキシスチレン、p−ブロモスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−、m−もしくはp−クロロスチレン、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アクリルニトリル、メタクリルニトリルであるが、例えばt−ブチルビニルエーテルまたはシクロヘキシルビニルエーテルであり、しかしその際、スチレンおよび/またはt−ブチルメタクリレートが特に好ましい。
モノマーDとしては、また、少なくとも2つの共役エチレン性不飽和基を有するかかる化合物が該当する。そのための例は、2つのビニル基を有するモノマー、2つのビニリデン基を有するモノマーならびに2つのアルケニル基を有するモノマーである。その際に、特に好ましいのは、二価アルコールとα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸とのジエステルであり、そのうち、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。かかる2つの非共役エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーのための例は、アルキレングリコールジアクリレートおよび−ジメタクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、三価アルコールとα,β−モノエチレン性不飽和のモノカルボン酸とのトリエステル、例えばグリセリントリアクリレート、グリセリントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートならびにジビニルベンゼン、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタジエニルアクリレート、トリアリルシアヌレートまたはトリアリルイソシアヌレートである。特に1,4−ブチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレートおよび/またはジビニルベンゼンが好ましい。前記の架橋性のモノマーの割合は、それぞれモノマーDの全量に対して、好ましくは5質量%以下、有利には2質量%以下、特に有利には1質量%以下である。
好ましくは、前記モノマーDは、90質量%以上が、好ましくは95質量%以上が、特に好ましくは98質量%以上が、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレートおよび/または1,4−ブタジエンまたは前記モノマーとスチレンとの混合物からなる。
しかしながら、必須に、前記ポリマーPは、−55℃以上で30℃以下の範囲の、好ましくは−35℃以上で15℃以下の範囲の、特に好ましくは−20℃以上で5℃以下の範囲のガラス転移温度Tgを有する。本発明によるセメント不含の水性分散液をフレキシブルな無機の封止用スラリー(Dichtschlaemme)で使用すべき場合には、前記ポリマーPは、そのガラス転移温度Tgが、−40℃以上で10℃以下の範囲、好ましくは−20℃以上で5℃以下の範囲、特に好ましくは−15℃以上で0℃以下の範囲であるように選択される。それに対して本発明によるセメント不含の水性分散液を補修モルタルで使用すべき場合には、前記ポリマーPは、そのガラス転移温度Tgが、−15℃以上で20℃以下の範囲、好ましくは−5℃以上で20℃以下の範囲、特に好ましくは0℃以上で15℃以下の範囲であるように選択される。本発明により使用されるポリマーPは、従って、モノマーA〜Dを、上述のガラス転移温度Tgを有するような種類および量において重合された形で含有する。
Fox(T.G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc. 1956 [Ser. II] 1, 123頁およびウールマンの工業化学事典、第19巻、第18頁、第4版、Chemie出版、Weinheim、1980年)によれば、せいぜい弱く架橋された混合ポリマーのガラス転移温度を見積もるためには、良好な近似において
1/Tg=x1/Tg1+x2/Tg2+…xn/Tgn
[式中、x1、x2、…xnは、モノマー1、2、…nのモノマー分率を意味し、かつTg1、Tg2、…Tgnは、それぞれ前記モノマー1、2、…nのうち1つだけから構成されたポリマーのガラス転移温度(ケルビン度)を意味する]に当てはまる。殆どのエチレン性不飽和モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は知られており(もしくは簡単に自体公知のように実験的に測定でき)、かつ例えばJ. Brandrup, E.H. Immergut, Polymer Handbook 1st Ed. J. Wiley, New York, 1966、2nd Ed. J. Wiley, New York, 1975および3rd Ed. J. Wiley, New York, 1989ならびにウールマンの工業化学事典、第169頁、Chemie出版、Weinheim、1992年に挙げられている。
本願の範囲においては、ガラス転移温度Tgについての表記は、しかし、DSC法(示差走査熱量測定、20K/分、中点測定、DIN 53765)に従ってMettler-Toledo社製のDSC 822機器(TA 8000シリーズ)によって測定したガラス転移温度に対するものである。
前記ポリマーPの製造は、当業者には原則的によく知られており、例えばモノマーA〜Dの、塊状重合、乳化重合、溶液重合、沈殿重合もしくは懸濁重合の方法によるラジカル重合によって行われるが、その際、ラジカル開始される水性乳化重合が特に好ましい。本発明により好ましくは、従って前記ポリマーPは、水性媒体中に分散される、すなわち水性ポリマー分散液の形で使用される。
エチレン性不飽和のモノマーの水性媒体中でのラジカル開始される乳化重合の実施は既に多岐にわたり記載されており、従って当業者には十分に知られている[それについてはEmulsionspolymerisation Encyclopedia of Polymer Science and Engineering中, Vol. 8, 659頁以降(1987年);D. C. BlackleyのHigh Polymer Latices中, Vol. 1, 35頁以降(1966年);H. Warson, The Applications of Synthetic Resin Emulsions, 第5章、246頁以降(1972年);D. Diederich, Chemie in unserer Zeit 24, 135〜142頁(1990);Emulsion Polymerisation, Interscience Publishers, New York (1965);DE-A 40 03 422およびDispersionen synthetischer Hochpolymerer, F. Hoelscher, Springer-Verlag, Berlin (1969)を参照]。ラジカル開始される水性乳化重合は、通常は、エチレン性不飽和モノマーを、一般に分散助剤、例えば乳化剤および/または保護コロイドを併用して、水性媒体中に分散分布させて、かつ少なくとも1種の水溶性ラジカル重合開始剤を用いて重合させるという形式で行われる。しばしば、得られた水性ポリマー分散液において、未反応のエチレン性不飽和モノマーの残留含量は、当業者に同様に公知の化学的および/または物理的な方法[例えばEP-A 771328、DE-A 19624299、DE-A 19621027、DE-A 19741184、DE-A 19741187、DE-A 19805122、DE-A 19828183、DE-A 19839199、DE-A 19840586およびDE-A 19847115を参照]によって減らされ、ポリマー固体含量は、希釈または濃縮によって所望の値に調節され、または前記水性ポリマー分散液には、更なる通常の添加物質、例えば殺細菌剤、気泡または粘度を調節する添加剤が添加される。前記の一般的な方法様式と、ポリマーPの水性分散液の製造は、上述のモノマーA〜Dの特定の使用の点だけ異なっているにすぎない。その際、もちろん、前記ポリマーPの製造には、本願の範囲においては、当業者によく知られたシード方式、ステップ方式およびグラジエント方式もともに含まれているべきである。
本発明により使用されるポリマーPのその水性ポリマー分散液(水性ポリマーP分散液)の形での製造のために、モノマーA〜Dの全量(全モノマー量)を、水性反応媒体中で重合反応の開始前に装入することができる。しかしまた、モノマーA〜Dの一部分量だけを水性反応媒体中で重合反応の開始前に供給し、次いで重合の開始後に重合条件下でラジカル乳化重合の間に全量もしくは場合により残る残留量を消費に応じて連続的に変わらない流量でもしくは変化する流量でまたは断続的に添加することもできる。その際、モノマーA〜Dの計量供給は、別個の個別流として、不均質なもしくは均質な(部分)混合物として、またはモノマーエマルジョンとして行うことができる。好ましくは、前記モノマーA〜Dは、モノマー混合物の形で、特に水性モノマーエマルジョンの形で計量供給される。
本発明により使用される水性ポリマーP分散液の製造のためには、モノマー小滴も形成されたポリマー粒子も水性媒体中に分散分布させて保持し、こうして生成された水性ポリマー分散液の安定性を保証する分散助剤が併用される。分散助剤としては、ラジカル水性乳化重合の実施のために通常使用される保護コロイドも乳化剤も該当する。
好適な保護コロイドは、例えばポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸のアルカリ金属塩、ゼラチン誘導体もしくはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸無水物、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および/または4−スチレンスルホン酸を含むコポリマーおよびそのアルカリ金属塩であるが、またN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アミン基を有するアクリレート、メタクリレート、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドを含むホモポリマーおよびコポリマーである。更なる好適な保護コロイドの詳細な説明は、Houben-Weyl、有機化学の手法(Methoden der organischen Chemie)、XIV/1巻、巨大分子物質(Makromolekulare Stoffe)、Georg-Thieme出版、Stuttgart, 1961、411頁〜420頁に見られる。
もちろん、保護コロイドおよび/または乳化剤からなる混合物も使用できる。しばしば、分散剤としては、もっぱら、保護コロイドに対する相対分子量が通常1000未満にある乳化剤が使用される。該乳化剤は、アニオン性、カチオン性または非イオン性のいずれであってもよい。もちろん、界面活性物質の混合物が使用される場合には、個々の成分は互いに適合性でなければならず、これは、疑わしい場合には僅かな予備試験を手掛かりに調べることができる。一般に、アニオン性乳化剤は互いに適合性であり、かつ非イオン性乳化剤と適合性である。同じことは、カチオン性乳化剤にも当てはまるが、アニオン性乳化剤とカチオン性乳化剤は、大抵は互いに適合性ではない。好適な乳化剤の概要は、Houben-Weyl、有機化学の手法(Methoden der organischen Chemie)、XIV/1巻、巨大分子物質(Makromolekulare Stoffe)、Georg-Thieme出版、Stuttgart, 1961、192〜208頁に見られる。
しかし分散助剤として、特に乳化剤が使用される。
一般に用いられる非イオン性乳化剤は、例えばエトキシル化されたモノ−、ジ−およびトリ−アルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C4〜C12)ならびにエトキシル化された脂肪アルコール(EO度:3〜80;アルキル基:C8〜C36)である。このための例は、BASF SE社のLutensol(登録商標)A銘柄(C1214−脂肪アルコールエトキシレート、EO度:3〜8)、Lutensol(登録商標)AO銘柄(C1315−オキソアルコールエトキシレート、EO度:3〜30)、Lutensol(登録商標)AT銘柄(C1618−脂肪アルコールエトキシレート、EO度:11〜80)、Lutensol(登録商標)ON銘柄(C10−オキソアルコールエトキシレート、EO度:3〜11)およびLutensol(登録商標)TO銘柄(C13−オキソアルコールエトキシレート、EO度:3〜20)である。
通常のアニオン性乳化剤は、例えばアルキルスルフェート(アルキル基:C8〜C12)の、エトキシル化されたアルカノールの硫酸半エステル(EO度:4〜30、アルキル基:C12〜C18)のおよびエトキシル化されたアルキルフェノールの硫酸半エステル(EO度:3〜50、アルキル基:C4〜C12)の、アルキルスルホン酸(アルキル基:C12〜C18)の、ならびにアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C9〜C18)のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩である。
更なるアニオン性乳化剤としては、更に、一般式(I)
Figure 0006092257
[式中、R1およびR2は、H原子またはC4〜C24−アルキルを意味し、かつ同時にH原子ではなく、かつM1およびM2は、アルカリ金属イオンおよび/またはアンモニウムイオンであってよい]の化合物が適していると見なされている。一般式(I)において、R1およびR2は、好ましくは6〜18個の炭素原子を有する、特に6、12および16個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基または水素を意味し、その際、R1およびR2は、両者とも同時にH原子ではない。M1およびM2は、好ましくはナトリウム、カリウムまたはアンモニウムであり、その際、ナトリウムが特に好ましい。特に、式(I)で示され、その式中、M1およびM2がナトリウムであり、R1が12個の炭素原子を有する分枝鎖状のアルキル基であり、かつR2がH原子もしくはR1である化合物が好ましい。しばしば、50〜90質量%の割合のモノアルキル化された生成物を有する工業用混合物、例えばDowfax(登録商標)2A1(Dow Chemical Companyの商品)が使用される。前記化合物(I)は、一般に公知であり、例えばUS-A 4269749から公知であり、かつ市販されている。
好適なカチオン活性乳化剤は、一般に、C6〜C18−アルキル−、−アルキルアリール−または複素環式基を有する第一級の、第二級の、第三級のもしくは第四級のアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、オキサゾリウム塩、モルホリニウム塩、チアゾリニウム塩ならびにアミンオキシドの塩、キノリニウム塩、イソキノリニウム塩、トロピリウム塩、スルホニウム塩およびホスホニウム塩である。例として、ドデシルアンモニウムアセテートもしくは相応の硫酸塩、種々の2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルパラフィン酸エステルの硫酸塩もしくは酢酸塩、N−セチルピリジニウム硫酸塩、N−ラウリルピリジニウム硫酸塩ならびにN−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウム硫酸塩、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウム硫酸塩、N−オクチル−N,N,N−トリメチルアンモニウム硫酸塩、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウム硫酸塩ならびにジェミニ型界面活性剤のN,N’−(ラウリルジメチル)エチレンジアミン二硫酸塩、エトキシル化された獣脂アルキル−N−メチルアンモニウム硫酸塩およびエトキシル化されたオレイルアミン(例えばBASF SE社製のUniperol(登録商標)AC、約11エチレンオキシド単位)が挙げられる。多数の他の例は、H. Stache, Tensid-Taschenbuch, Carl-Hanser-Verlag, Muenchen, Wien, 1981およびMcCutcheon's, Emulsifiers&Detergents, MC Publishing Company, Glen Rock, 1989に見られる。アニオン性のカウンター基ができる限り求核性が低いことが好ましく、例えばペルクロレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレートおよびカルボキシレート、例えばアセテート、トリフルオロアセテート、トリクロロアセテート、プロピオネート、オキサレート、シトレート、ベンゾエートならびにオルガノスルホン酸の共役アニオン、例えばメチルスルホネート、トリフルオロメチルスルホネートおよびパラトルエンスルホネート、更にテトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネートまたはヘキサフルオロアンチモネートが好ましい。
分散助剤として好ましく使用される乳化剤は、それぞれ全モノマー量に対して、好ましくは0.005質量%以上で10質量%以下の全量で、有利には0.01質量%以上で5質量%以下の全量で、特に0.1質量%以上で3質量%以下の全量で使用される。
分散助剤として追加的にまたは乳化剤の代わりに使用される保護コロイドの全量は、それぞれ全モノマー量に対して、しばしば0.1質量%以上で40質量%以下、さらに0.2質量%以上で25質量%以下である。
しかし、アニオン性および/または非イオン性の乳化剤を分散助剤として使用することが好ましい。
本発明により使用されるポリマーP分散液の製造のためには、分散助剤の全量を水性反応媒体中で重合反応の開始前に装入することができる。しかしながら、分散助剤の一部分量だけを水性反応媒体中で重合反応の開始前に供給し、次いで重合条件下でラジカル乳化重合の間に分散助剤の全量もしくは場合により残る残量を連続的にもしくは断続的に添加することもできる。好ましくは、分散助剤の主要量または全量の添加は、水性モノマーエマルジョンの形で行われる。
ラジカル開始された水性乳化重合の惹起は、ラジカル重合開始剤(ラジカル開始剤)によって行われる。前記開始剤は、原則的にペルオキシドであってもアゾ化合物であってもよい。もちろん、レドックス開始剤系も該当する。ペルオキシドとしては、原則的に無機ペルオキシド、例えば過酸化水素またはペルオキソ二硫酸塩、例えばペルオキソ二硫酸のモノ−もしくはジ−アルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩、例えばペルオキソ二硫酸のモノ−およびジ−ナトリウム塩、−カリウム塩もしくは−アンモニウム塩または有機ペルオキシド、例えばアルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチル−、p−メンチル−もしくはクミルペルオキシドならびにジアルキル−もしくはジアリールペルオキシド、例えばジ−t−ブチル−もしくはジ−クミルペルオキシドが使用されうる。アゾ化合物としては、本質的には2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2’−アゾビス(アミジノプロピル)ジヒドロクロリド(AIBA、Wako ChemicalsのV-50に相当する)が使用される。レドックス開始剤系のための酸化剤としては、本質的に上述のペルオキシドが該当する。相応の還元剤としては、低い酸化段階を有する硫黄化合物、例えばアルカリ金属亜硫酸塩、例えば亜硫酸カリウムおよび/または亜硫酸ナトリウム、アルカリ金属亜硫酸水素塩、例えば亜硫酸水素カリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウム、アルカリ金属メタ重亜硫酸塩、例えばメタ重亜硫酸カリウムおよび/またはメタ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシレート、例えばカリウム−および/またはナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、脂肪族スルフィン酸のアルカリ金属塩、特にカリウム塩および/またはナトリウム塩およびアルカリ金属硫化水素塩、例えば硫化水素カリウムおよび/または硫化水素ナトリウム、多価金属の塩、例えば硫酸鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)、リン酸鉄(II)、エンジオール、例えばジヒドロキシマレイン酸、ベンゾインおよび/またはアスコルビン酸ならびに還元糖、例えばソルボース、グルコース、フルクトースおよび/またはジヒドロキシアセトンが使用されうる。一般に、使用されるラジカル開始剤の量は、全モノマー量に対して、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、特に好ましくは0.2〜1.5質量%である。
本発明により使用されるポリマーP分散液の製造のためには、ラジカル開始剤の全量を水性反応媒体中で重合反応の開始前に装入することができる。しかしながら、ラジカル開始剤の一部分量だけを水性反応媒体中で重合反応の開始前に供給し、次いで重合条件下でラジカル乳化重合の間に全量もしくは場合により残る残量を消費に応じて連続的にもしくは断続的に添加することもできる。
重合反応の開始とは、ラジカル開始剤のラジカル形成後の、重合容器中に存在するモノマーの重合反応の開始を表す。その際、重合反応の開始は、ラジカル開始剤を水性重合混合物へと添加することによって重合容器中で重合条件下に行うことができる。しかしながら、ラジカル開始剤の部分量または全量を、装入されたモノマーを含有する水性重合混合物へと重合容器中で、重合反応を引き起こすには適さない条件下で、例えば低い温度で添加し、次いで前記水性重合混合物において重合条件を調整することもできる。重合条件とは、その際、一般には、ラジカル開始される水性乳化重合が十分な重合速度で進行するその温度および圧力を表す。それらは、特に使用されるラジカル開始剤に依存する。好ましくは、ラジカル開始剤の種類、重合温度および重合圧力は、ラジカル開始剤が、3時間未満の、特に好ましくは1時間未満の、特に好ましくは30分未満の半値時間を有し、その際に重合反応を開始しかつ保持するために常に十分な開始ラジカルを提供するように選択される。
ラジカル水性乳化重合のための反応温度としては、0〜170℃の全範囲が該当する。その際に、一般に、50〜120℃の温度が、好ましくは60〜110℃の温度が、特に好ましくは70〜100℃の温度が使用される。ラジカル水性乳化重合は、1気圧[1.013バール(絶対圧)、大気圧]未満で、その圧力で、またはそれより高い圧力で実施できるので、重合温度は、100℃を超過してよく、170℃までであってよい。低い沸点を有するモノマーA〜Fが存在する場合に、乳化重合は、好ましくは高められた圧力で実施される。その際、前記圧力は、1.2、1.5、2、5、10、15バール(絶対圧)またはそれより高い値をとることができる。乳化重合を減圧下で実施される場合に、950ミリバール、しばしば900ミリバール、さらに850ミリバール(絶対圧)の圧力に調整される。好ましくは、ラジカル水性乳化重合は、1気圧で酸素排除下で、特に不活性ガス雰囲気下で、例えば窒素もしくはアルゴン下で実施される。
水性反応媒体は、原則的には副次的な量(5質量%未満)で、水溶性の有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、またアセトンなどを含んでもよい。好ましくは、前記水性反応媒体は、かかる溶剤を全く含有しない。
上述の成分の他に、乳化重合の間に、任意に重合によって得られるポリマーPの分子量を減らすもしくは制御するために、ラジカル連鎖移動化合物を使用してもよい。その際、本質的には、脂肪族のおよび/または芳香脂肪族のハロゲン化合物、例えばn−ブチルクロリド、n−ブチルブロミド、n−ブチルヨージド、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロホルム、ブロモホルム、ブロモトリクロロメタン、ジブロモジクロロメタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、有機チオ化合物、例えば第一級、第二級もしくは第三級の脂肪族チオール、例えばエタンチオール、n−プロパンチオール、2−プロパンチオール、n−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、n−ペンタンチオール、2−ペンタンチオール、3−ペンタンチオール、2−メチル−2−ブタンチオール、3−メチル−2−ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、3−ヘキサンチオール、2−メチル−2−ペンタンチオール、3−メチル−2−ペンタンチオール、4−メチル−2−ペンタンチオール、2−メチル−3−ペンタンチオール、3−メチル−3−ペンタンチオール、2−エチルブタンチオール、2−エチル−2−ブタンチオール、n−ヘプタンチオールおよびそれらの異性体化合物、n−オクタンチオールおよびその異性体化合物、n−ノナンチオールおよびそれらの異性体化合物、n−デカンチオールおよびそれらの異性体化合物、n−ウンデカンチオールおよびそれらの異性体化合物、n−ドデカンチオールおよびそれらの異性体化合物、n−トリデカンチオールおよびそれらの異性体化合物、置換されたチオール、例えば2−ヒドロキシエタンチオール、芳香族チオール、例えばベンゼンチオール、オルト−、メタ−もしくはパラ−メチルベンゼンチオールならびにPolymerhandbook 3rd edition, 1989, J.BrandrupおよびE.H. Immergut, John Wiley&Sons, セクションII、133〜141頁に記載される全ての他の硫黄化合物が使用されるが、また脂肪族および/または芳香族のアルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよび/またはベンズアルデヒド、不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、非共役二重結合を有するジエン、ジビニルメタンまたはビニルシクロヘキサンもしくは引き抜きされやすい水素原子を有する炭化水素、例えばトルエンが使用される。しかしながら、上述の妨害しないラジカル連鎖移動化合物の混合物を使用することもできる。
乳化重合の間に任意に使用されるラジカル連鎖移動化合物の、全モノマー量に対する全量は、一般に、5質量%以下、しばしば3質量%以下、さらに1質量%以下である。
任意に使用されるラジカル連鎖移動化合物の部分量または全体量を、水性反応媒体へとラジカル重合の開始前に供給することが好ましい。更に、前記ラジカル連鎖移動化合物の部分量もしくは全体量は、前記水性反応媒体へと、好ましくはモノマーA〜Dと一緒に重合の間に供給することもできる。
特に好ましくは、前記水性ポリマーP分散液の製造は、モノマーA〜Dを、重合条件下に、95質量%以上の転化率、好ましくは99質量%以上の転化率、特に99.5質量%以上の転化率まで転化させる形式で行われる。モノマー転化率の測定は、当業者によく知られており、特に反応熱量測定および/または分光分析法によって行われる。しばしば、重合の完了後に得られる水性ポリマーP分散液を後処理にかけて残留モノマー含量を減らすことが好ましい。その際、後処理は、化学的に、例えばより効果的なラジカル開始剤系を使用することにより重合反応を完全なものにすることによって(いわゆる後重合)および/または物理的に、例えば水性ポリマーP分散液を水蒸気または不活性ガスでストリッピングすることによって行われる。相応の化学的なおよび/または物理的な方法は、当業者によく知られている[例えばEP-A771328、DE-A 19624299、DE-A 19621027、DE-A 19741184、DE-A 19741187、DE-A 19805122、DE-A 19828183、DE-A 19839199、DE-A 19840586および19847115を参照]。その際、化学的および物理的な後処理の組み合わせは、未反応のモノマーに加えて、他の妨害する易揮発性の有機成分(いわゆるVOCs[揮発性有機化合物])も水性ポリマーP分散液から除去されるという利点をもたらす。
本発明により使用される水性ポリマーP分散液は、それぞれ水性ポリマー分散液に対して、通常は、10質量%以上で70質量%以下の、しばしば20質量%以上で65質量%以下の、さらに25質量%以上で60質量%以下のポリマー固体含量を有する。準弾性光散乱(ISO規格13 321)により測定された数平均粒径(累積z平均)は、一般に、10nm以上で1000nm以下の範囲、好ましくは50nm以上で600nm以下の範囲、有利には100nm以上で500nm以下の範囲である。
好ましくは、前記水性ポリマーP分散液は、それぞれ23℃で検定された通常のpHメータを用いて測定して、6以上で8以下の範囲の、特に好ましくは6.5以上で7.5以下の範囲のpH値を有する。
ケイ酸カルシウム水和物は当業者に原則的に公知である。それは、セメントクリンカー製造に際して生ずる、従ってセメント中に本質的に存在するクリンカー相Ca3SiO5(C3S)およびCa2SiO4(C2S)と水との反応生成物である。その際に形成されるケイ酸カルシウム水和物は、生成されるセメント石の強度を決定的に担い、更にコンクリートもしくはモルタル中に含まれる骨材、例えば砂もしくは砂利もしくは添加物、例えば天然繊維もしくは人工繊維などを結合する。
質量平均粒径が0.1nm以上で100nm以下の水性懸濁液の形のセメント不含の微細なケイ酸カルシウム水和物の製造は、当業者には原則的に文献2010/26155、WO 2011/26720、WO 2011/26723ならびに出願番号11163464.8を有する欧州優先権出願を基礎とする公開前の欧州PCT出願から公知である。
上述の文献の教示により得られるセメント不含の微細なケイ酸カルシウム水和物は、原則的に、本発明による水性分散液の製造のために使用できる。従って、WO 2010/26155の第2頁第4行〜第67頁第39行、WO 2011/26720の第2頁第16行〜第66頁第10行、WO 2011/26723の第2頁第5行〜第33頁第7行に開示される対象は、それらを明確に引き合いに出すことによって本願の構成要素に属するものと見なされるべきである。
好ましくは、本発明により使用されるケイ酸カルシウム水和物は、以下の平均組成:
Figure 0006092257
[式中、
Xは、ナトリウムおよび/またはカリウムを表し、
Yは、マグネシウム、ストロンチウムおよび/またはバリウムを表し、かつ
aは、0.1以上で2以下の値を表し、
bは、0以上で0.5以下の値を表し、
cは、0以上で2以下の値を表し、
dは、0以上で1以下の値を表し、かつ
eは、1以上で6以下の値を表す]を有する。
特に好ましくは、
aは、0.6以上で1.8以下の値を表し、
bは、0以上で0.2以下の値を表し、
cは、0以上で0.1以下の値を表し、
dは、0以上で0.1以下の値を表し、かつ
eは、1以上で6以下の値を表す。
本発明で必須のことは、前記ケイ酸カルシウム水和物が、0.1nm以上で100nm以下の、好ましくは1nm以上で50nm以下の、特に好ましくは5nm以上で20nm以下の質量平均粒径を有するということである。質量平均粒径の測定は、当業者に公知であり、超遠心分析法により行われる。質量平均粒径とは、本願においては、超遠心分析法により25℃で測定された質量平均Dw50値を表す(これについては、Encyclopedia of Nanoscience and Nanotechnology [American Scientific Publishers, 2004]におけるH.Coelfen,“Analytical Ultracentrifugation of Nanoparticles” 第67頁〜第88頁を参照)。
好ましくは、ケイ酸カルシウム水和物として、フォシャジャイト、ヒレブランダイト、キソノトライト、ネコアイト、クリノトベルモライト、9Å−トベルモライト(Riversiderit)、11Å−トベルモライト、14Å−トベルモライト(Plombierit)、ジェンナイト、メタジェンナイト、カルシウムコンドロダイト、アフィライト、α−C2S・H2O、デライト、ジャフェイト、ローゼンハーナイト、キラライトおよび/またはソウルナイト(Soulunit)が使用され、その際、キソノトライト、9Å−トベルモライト(Riversiderit)、11Å−トベルモライト、14Å−トベルモライト(Plombierit)、ジェンナイト、メタジェンナイト、アフィライトおよび/またはジャフェイトが特に好ましい。
特に好ましくは、本発明によれば、メタケイ酸ナトリウム[Na2O・n SiO2、式中、nは、1〜4、好ましくは1〜3.4である]と硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウムおよび/またはギ酸カルシウムとを水性媒体中で反応させることによって製造されたかかるケイ酸カルシウム水和物が適している。
その際、使用物質は、ケイ酸カルシウム水和物中のCa/Siモル比が1:1〜1:1.6となるような種類と量で好ましく選択される。特に好ましくは、ケイ酸カルシウム水和物中のCa/Siモル比は、1:1〜1:1.3である。
特に好ましくは、かかるケイ酸カルシウム水和物は、メタケイ酸ナトリウムと、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウムおよび/またはギ酸カルシウムとを、水性媒体中に溶解された有機櫛形ポリマーの存在下で反応させることによって製造される。好適な有機櫛形ポリマーは、WO 2010/26155の第9頁第34行〜第16頁第49行、WO 2011/26720の第16頁第5行〜第24頁第4行、およびWO 2011/26723の第19頁第1行〜第26頁第12行に開示されている。
好ましくは、本発明により使用可能な微細なケイ酸カルシウム水和物はその水性分散液の形で存在する。その際、ケイ酸カルシウム水和物の固体含量は、それぞれケイ酸カルシウム水和物の水性分散液に対して、一般に、0.1質量%以上で20質量%以下、好ましくは1質量%以上で10質量%以下、2質量%以上で8質量%以下である。ケイ酸カルシウム水和物の固体含量は、サンプルを60℃で煮詰めて、熱重量分析をすることによって計算により測定する。
ポリマーPの粒子とケイ酸カルシウム水和物の粒子を含有する本発明による水性分散液は、好ましくは、ケイ酸カルシウム水和物の水性分散液とポリマーPの水性分散液とを任意の順序で互いに混合することによって得られるが、その際、好ましくは前記ケイ酸カルシウム水和物の水性分散液は、5℃以上で40℃以下の温度で、ポリマーPの水性分散液へと添加され、そして得られた水性分散液が均質に混合される。
前記混合によって、一般に、ポリマーPのケイ酸カルシウム水和物に対する質量比(それぞれ固体として計算した)が1:1〜90:1、好ましくは5:1〜75:1、特に好ましくは20:1〜60:1である水性分散液が製造される。
もちろん、ポリマーPの粒子とケイ酸カルシウム水和物の粒子を含有する本発明による水性分散液から、通常の乾燥法(例えば凍結乾燥または噴霧乾燥)により相応のポリマー粉体組成物を製造できる。
特に好ましくは、前記ポリマー粉体組成物は、当業者によく知られた噴霧乾燥法によって、ポリマーPの粒子とケイ酸カルシウム水和物の粒子とを含有する水性分散液から製造できる。このために、一般に、前記水性分散液には、ポリマーPとケイ酸カルシウム水和物の全量の合計に対して、0.1〜30質量%の、しばしば5〜15質量%のいわゆる乾燥助剤が加えられる。相応の乾燥助剤は、当業者によく知られており、例えばEP-A 812872の第5頁第20行〜第6頁第17行ならびにそこに示される従来技術に開示されている。
その際、本発明による水性分散液の噴霧乾燥は、一般に、前記水性分散液を、100〜200℃の、好ましくは120〜160℃の熱気流の入口温度TEおよび30〜90℃の、好ましくは50〜90℃の熱気流の出口温度TAで乾燥塔に噴霧する形式で行われる。熱気流中での水性分散液の噴霧は、その際、例えば1成分ノズルもしくは多成分ノズルによって、または回転ディスクを介して行うことができる。ポリマー粉体組成物の分離は、通常は、サイクロンまたは濾過分離器を使用して行われる。噴霧された水性分散液と熱気流とは、好ましくは並流で導かれる。好ましくは、乾燥塔における噴霧乾燥過程の間に、さらに当業者によく知られた微細な無機の粘着防止剤、例えば微細なシリカゲルが計量供給される。前記粘着防止剤は、特に噴霧乾燥に際して生ずるポリマー粉体組成物の粒子のより長期の貯蔵の間の塊状化を抑える。
それに従い、本発明によれば、ポリマーPの粒子とケイ酸カルシウム水和物の粒子を含有する、乾燥に際して形成されるポリマー粉体組成物も含まれる。
本発明による水性分散液およびポリマー粉体組成物は、好ましくは、水硬性材料、例えばモルタルおよびコンクリートの水性配合物における添加剤として、特にセメントが唯一の水硬性材料である場合に適している。意図に応じて、つまり例えば高炉セメント、オイルシェールセメント(Oelschieferzement)、ポルトランドセメント、疎水化ポルトランドセメント、速乾セメント、膨張セメントまたはアルミナセメントが、好ましくは水硬性材料として使用できる。
それに応じて、本発明によれば、ポリマーPの粒子とケイ酸カルシウム水和物の粒子を含有する水性分散液または該分散液から乾燥によって得られるポリマー粉体組成物を含有する水硬性材料、例えば特にモルタルおよびコンクリートの水性配合物も含まれている。もちろん、本発明によれば、少なくとも1種の水性ポリマーP分散液およびケイ酸カルシウム水和物の少なくとも1種の水性分散液を別個の成分として添加した水硬性材料の水性配合物も含まれるべきである。
水硬性材料、特にセメントに対して(固体としてかつ骨材なしで計算して)、ポリマーPおよびケイ酸カルシウム水和物の全量の合計(水性分散液もしくはポリマー粉体組成物において固体として計算して)は、全体で10〜150質量%、好ましくは80〜100質量%である。
ポリマーPの粒子およびケイ酸カルシウム水和物の粒子を分散された形で含有する、本発明によるセメント不含の水性分散液ならびに前記分散液から乾燥によって得られるポリマー粉体組成物によって、水性配合物において水硬性材料、例えば特にモルタルおよびコンクリートが好ましい特性、例えば特に素早い凝結ならびにモルタルおよびコンクリートの加工特性を留めたままで凝結/硬化されたモルタルおよびコンクリートのより良好な機械的特性を有する添加剤系が得られる。
以下の実施例は本発明を説明するものであって、本発明を制限するものではない。
実施例
A)ケイ酸カルシウム水和物の水性分散液の製造
第一ステップにおいて、3種の水溶液:
溶液1: 10.7gのメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3・5 H2O)および30.0gの脱イオン水
溶液2: 12.0gの硝酸カルシウム四水和物および11.1gの脱イオン水
溶液3: 13.0gのGlenium(登録商標)ACE 30(BASF SE社製のコンクリート流動化剤)および920.3gの脱イオン水
を、20〜25℃(室温)で、相応の塩もしくはポリマーを脱イオン水中に溶解させることによって製造した。
それに引き続き、溶液3を、2Lのガラスフラスコに装入し、室温で300rpmで撹拌した。この装入物に、溶液1と溶液2を同時に始めて連続的に計量供給した。その際、溶液1は、1時間当たり69.6mlの計量供給速度で、溶液2は、1時間当たり31.2mlの計量供給速度で計量供給した。引き続き、得られた分散液を更に30分にわたり室温で撹拌した。得られた分散液の固体含量は、2.4質量%であり、かつ質量平均粒径は、15nmであった。
固体含量は、サンプル(約0.5g)を、内径約3cmのアルミニウム坩堝中で60℃で質量が一定になるまで乾燥(約3時間)させることによって測定した。
質量平均粒径は、超遠心分析法に従って測定した。
B)水性ポリマー分散液の製造
ポリマー分散液D
アンカー型撹拌機、加熱・冷却装置ならびに種々の供給路を有する4Lのガラス容器において、室温で、
400.0gの脱イオン水と、
6.8gのポリスチレンシードラテックス(固体含量33質量%;質量平均粒径28nm)
を装入し、引き続き撹拌(140rpm)しながら内部温度90℃にまで加熱した。この温度に達した後に、10質量%の開始剤溶液を1回で添加し、そして得られた混合物を5分間にわたり撹拌した。それに引き続き、同時に始めて、モノマーエマルジョンの全量を180分にわたり、そして開始剤溶液の残りの量を、195分にわたり、連続的にかつ流量を留めたままで空間的に別々の供給路を介して計量供給した。
開始剤溶液:
8.4gのペルオキソ二硫酸ナトリウム
111.6gの脱イオン水
モノマーエマルジョン:
544.0gの脱イオン水、
61.5gの、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェートの32質量%水溶液(BASF SE社のEmulphor(登録商標)FAS 30)、
140.0gの、脂肪アルコールポリエトキシレートの20質量%水溶液(BASF SE社のLutensol(登録商標)AT 18)、
5.0gの、ラウリル硫酸ナトリウムの15質量%水溶液、
90.0gのヒドロキシエチルメタクリレート、
480.0gのスチレン、
15.0gのメチルメタクリレート、
30.0gのn−ブチルアクリレート、および
815.0gの2−エチルヘキシルアクリレート
それに引き続き、反応混合物をさらに15分にわたり上述の温度で後反応させ、次いで該混合物を85℃にまで冷却した。引き続き、前記反応混合物に前記温度で、同時に始めて30gの、t−ブチルヒドロペルオキシドの10質量%水溶液および34gの、アセトン重亜硫酸塩(アセトンと亜硫酸水素ナトリウムからなる1:1付加生成物)の13質量%水溶液を120分の時間にわたって、空間的に別々の供給路を介して連続的に流量を留めたままで供給した。それに引き続き、反応混合物をさらに15分にわたり上述の温度で後反応させ、次いで該混合物を室温にまで冷却した。次いで、得られた水性ポリマー分散液を、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液で7.5のpH値に調整した。得られたポリマー分散液は、56.8質量%の固体割合、230nmの数平均粒径および−13℃のガラス転移温度を有していた。
前記固体含量は、一般に、定義された量の水性ポリマー分散液(約0.8g)をMettler Toledo社製の湿分測定器HR73を用いて130℃の温度で質量が一定になるまで乾燥させる(約2時間)ことによって測定した。それぞれ2回の測定を行った。それぞれ示される値は、これらの測定の平均値を表す。
ポリマー粒子の数平均粒径は、一般に、0.005〜0.01質量%の水性ポリマー分散液の動的光散乱によって23℃でMalvern Instruments社(英国)のAutosizers IICによって測定した。測定された自己相関関数の累積評価の平均直径(累積z平均)が示される(ISO規格13321)。
ガラス転移温度の測定のために、一般に、前記水性ポリマー分散液を、約1mmの層厚でテフロンシート上に塗布し、そして得られた塗膜を23℃および50%の相対空気湿分(標準雰囲気)で24時間にわたり乾燥させた。ガラス転移温度は、一般に、TA Instruments社の示差走査熱量計Q 2000によって測定した。一般的に、得られたポリマー塗膜のうち約8.5mgの初期秤量を使用した。昇温速度は、1分間当たりに20Kであった。それぞれ第二の昇温曲線を検出し、ISO規格11357-2と-3の規定に従って評価した。
比較分散液V1
比較分散液V1の製造は、ポリマー分散液Dの製造と全く同様に行ったが、30.0gのアクリル酸を15.0gのメチルメタクリレートに代えて使用し、かつ800.0gの2−エチルヘキシルアクリレートを815.0gの2−エチルヘキシルアクリレートに代えて使用したという変更を加えた。
こうして製造された比較分散液V1は、56.4質量%の固体割合、260nmの数平均粒径および−12℃のガラス転移温度を有していた。
比較分散液V2
比較分散液V2の製造は、ポリマー分散液Dの製造と全く同様に行ったが、480.0gのメチルメタクリレートを480.0gのスチレンおよび15.0gのメチルメタクリレートに代えて使用し、かつ830.0gの2−エチルヘキシルアクリレートを815.0gの2−エチルヘキシルアクリレートに代えて使用したという変更を加えた。
こうして製造された比較分散液V2は、56.9質量%の固体割合、250nmの数平均粒径および−15℃のガラス転移温度を有していた。
C)応用技術的調査
I)貯蔵安定性の測定
脱イオン水での希釈によって、前記ポリマー分散液Dならびに比較分散液V1およびV2を固体含量56.0質量%に調整した。
こうして得られた水性ポリマー分散液500.0gに、室温で撹拌しながら80.0gのA)で得られたケイ酸カルシウム水和物の水性分散液を加え、更に2分間にわたり撹拌した。こうして得られた水性分散液を、以下で水性分散液CD、CV1およびCV2と呼ぶ。それに引き続き、前記水性分散液を閉じた容器に23℃で貯蔵した。製造直後と、4日の貯蔵後および28日の貯蔵後に、得られた水性分散液CD、CV1およびCV2の粘度を、23℃でブルックフィールド粘度計によってスピンドルSP1を用いて1分間当たり20回転(rpm)で測定した。得られたmPa・sでの粘度値を以下の第1表に示す。
第1表:貯蔵時間に依存する粘度
Figure 0006092257
II)モルタル混合物の製造
応用技術的特性の測定のために、水性分散液D、V1、V2、CD、CV1およびCV2を用いてモルタル混合物を製造した。その使用前に、全ての水性分散液D、V1、V2、CD、CV1およびCV2を7日間にわたり閉じた容器に23℃で貯蔵した。
モルタル混合物の製造のために、第一ステップにおいて、
25質量%のポルトランドセメントMilke CEM I 42.5と、
25質量%の珪砂(粒度<0.09mm)と、
25質量%の珪砂(粒度0.08〜0.2mm)と、
25質量%の珪砂(粒度0.2〜0.5mm)と、
からなる均質な乾燥混合物をタンブラーミキサーにおける混合によって製造した。
それに引き続き、モルタル混合物の製造は、それぞれ50質量部の水性分散液D、V1、V2、CD、CV1およびCV2を容器中で室温で撹拌(500rpm)しながら装入し、それぞれ80質量部の上述の乾燥混合物を添加し、そして得られたモルタル混合物を1分間にわたり600rpmで再び撹拌する形式で行った。その際に得られるモルタル混合物を、以下で、モルタル混合物AD、AV1、AV2、ACD、ACV1およびACV2と呼ぶ。しかし重要なのは、モルタル混合物ACV1およびACV2が、その後に、応用技術的調査を実施できないほど迅速かつ強力に増粘したことである。
a)「オープンタイム」の調査
「オープンタイム」とは、当業者は、モルタル混合物がなおも塑性変形可能であり、従って加工可能に留まっている間の時間と理解する。オープンタイムの測定のために、製造されたばかりのコンクリート混合物AD、AV1、AV2およびACDを、23℃の温度で5分毎に手動で手作業によってへらで撹拌し、粘度変化を観察した。急な粘度上昇がオープンタイムの終わりを示す。得られた結果を第2表にまとめる。30分以上のオープンタイムが好ましい。
b)完全硬化時間の調査
完全硬化時間の調査のために、アルミニウム板を自己粘着性テフロンシートで被覆した。このシート上に、引き続き製造したばかりのモルタル混合物AD、AV1、AV2およびACDをへらを用いて約2.5mmの高さで塗布した。塗布されたモルタル混合物の塗布と貯蔵は、標準雰囲気条件下で行った。
完全硬化時間とは、目視できる跡を残すことなくモルタル混合物を「歩行できる」その時間を定めている。このために、15分毎に、平坦な円形の直径12cmの設置面を有する5kgの重りを前記モルタル層上に載せ、モルタル層中にもはや重りの跡が確認できなくなった時間を測定した。完全硬化時間が短くなるほど、建築の進展はより迅速に行うことができる。
得られた結果を同様に第2表にまとめる。完全硬化時間が150分未満であることが好ましい。
c)28日後の付着引張強度の調査
標準雰囲気下で28日貯蔵した後の付着引張強度の調査は、DIN EN 14891(2007年11月版)に準拠して行った。
付着引張強度の調査の前に、必要なコンクリート板を少なくとも24時間にわたり標準雰囲気条件下で貯蔵した。
それに引き続き、製造されたばかりのモルタル混合物AD、AV1、AV2およびACDを、それぞれのオープンタイム以内に約2.5mmの湿式層厚で前記貯蔵されたコンクリート板上に塗布した。こうして被覆されたコンクリート板を、次いでそれぞれ標準雰囲気条件下で4時間にわたり貯蔵した。それに引き続き、こうして被覆されたコンクリート板上に、それぞれの新たに製造されたばかりのモルタル混合物AD、AV1、AV2およびACDをそれぞれのオープンタイム以内で約2.5mmの湿式層厚で第二回目の塗布を行い、そして得られた被覆されたコンクリート板を次いで24時間にわたり標準雰囲気条件下で貯蔵した。
貯蔵後に、セメント質のタイル用接着剤(例えばPCI社製のNanolight)を歯付へらで水硬したモルタル混合物上に塗布した。5分のフラッシュオフ時間後に、それぞれ4つのタイルを20mmの間隔で互いに配置し、各々のタイルに30秒にわたり2kgの重りを加えた。標準雰囲気条件下で更に24時間貯蔵した後に、いわゆる引張棒(Zuganker)をエポキシ接着剤でタイルに接着し、そしてそのタイルと接着された得られたコンクリート板を28日にわたり標準雰囲気条件下で貯蔵した。この貯蔵後にモルタル混合物AD、AV1、AV2およびACDの付着引張強度をHerion社の装置を用いて測定した。このために、前記引張棒に、1秒間につき250Nの一定の速度で増加する力を、タイルがはぎ取られるまでかけた。付着引張強度とは、その際、タイルをはぎ取るのに必要な力を表す。その際、付着引張強度がより良好に評価されるほど、タイルをはぎ取るときの力(N/mm2)はより高くなった。同様に第2表に示される値は、それぞれ4つの試験タイルで得られた付着引張強度の平均値を表す。
第2表:オープンタイム、完全硬化時間ならびに付着引張強度の結果
Figure 0006092257
前記結果から、本発明によるモルタル混合物ACDは、本発明によるものでないモルタル混合物ADと比較して、同じオープンタイムで、明らかにより短い完全硬化時間と、明らかにより高められた28日後の付着引張強度を有したことが明らかである。

Claims (20)

  1. ポリマーPの粒子およびケイ酸カルシウム水和物の粒子を分散された形で含有するセメント不含の水性分散液であって、
    前記ポリマーPは、10nm以上で1000nm以下の数平均粒径および−55℃以上で30℃以下の範囲のガラス転移温度を有し、かつ重合された形で、
    0.1質量%以上で10質量%以下の、少なくとも1種のヒドロキシアルキルアクリレートおよび/または少なくとも1種のヒドロキシアルキルメタクリレート(モノマーA)と、
    0質量%以上で0.5質量%以下の、少なくとも1種のα,β−モノエチレン性不飽和のC3〜C6−モノカルボン酸もしくはC4〜C6−ジカルボン酸(モノマーB)と、
    0質量%以上で10質量%以下の、メチルメタクリレート(モノマーC)と、
    90質量%以上で99.9質量%以下の、前記モノマーA〜Cとは異なる少なくとも1種の更なるエチレン性不飽和モノマー(モノマーD)と、
    から構成されており、前記モノマーA〜Dの量は、合計して100質量%となり、かつ
    前記ケイ酸カルシウム水和物は、0.1nm以上で100nm以下の質量平均粒径を有する前記セメント不含の水性分散液。
  2. 請求項1に記載の水性分散液であって、前記ケイ酸カルシウム水和物は、以下の平均組成:
    Figure 0006092257
    [式中、
    Xは、ナトリウムおよび/またはカリウムを表し、
    Yは、マグネシウム、ストロンチウムおよび/またはバリウムを表し、かつ
    aは、0.1以上で2以下の値を表し、
    bは、0以上で0.5以下の値を表し、
    cは、0以上で2以下の値を表し、
    dは、0以上で1以下の値を表し、かつ
    eは、1以上で6以下の値を表す]を有する前記水性分散液。
  3. 請求項1または2に記載の水性分散液であって、
    aは、0.6以上で1.8以下の値を表し、
    bは、0以上で0.2以下の値を表し、
    cは、0以上で0.1以下の値を表し、
    dは、0以上で0.1以下の値を表し、かつ
    eは、1以上で6以下の値を表す前記水性分散液。
  4. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の水性分散液であって、前記ケイ酸カルシウム水和物は、5nm以上で20nm以下の質量平均粒径を有する前記水性分散液。
  5. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の水性分散液であって、前記ポリマーPは、重合された形で、
    2.0質量%以上で8.0質量%以下の少なくとも1種のモノマーAと、
    0質量%以上で0.2質量%以下の少なくとも1種のモノマーBと、
    0質量%以上で2.0質量%以下のモノマーCと、
    92質量%以上で98質量%以下の少なくとも1種のモノマーDと、
    から構成されている前記水性分散液。
  6. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の水性分散液であって、前記モノマーAは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび3−ヒドロキシプロピルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーである前記水性分散液。
  7. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の水性分散液であって、前記モノマーDは、90質量%以上が、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレートおよび/または1,4−ブタジエンまたは前記モノマーとスチレンとの混合物からなる前記水性分散液。
  8. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の水性分散液であって、前記ポリマーPは、100nm以上で500nm以下の数平均粒径を有する前記水性分散液。
  9. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の水性分散液であって、前記ポリマーPは、−35℃以上で15℃以下の範囲のガラス転移温度を有する前記水性分散液。
  10. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の水性分散液であって、前記ポリマーPの前記ケイ酸カルシウム水和物に対する質量比(固体として計算して)は、1:1〜90:1である前記水性分散液。
  11. 請求項1から10までのいずれか1項に記載の水性分散液であって、前記ポリマーPは、水性ポリマー分散液の形で使用される前記水性分散液。
  12. 請求項1から11までのいずれか1項に記載の水性分散液であって、前記ケイ酸カルシウム水和物は、水性分散液の形で使用される前記水性分散液。
  13. 請求項11または12に記載の水性分散液の製造方法であって、前記ケイ酸カルシウム水和物の水性分散液を、5℃以上で40℃以下の温度で、前記ポリマーPの水性分散液へと添加し、そして得られた水性分散液を均質に混合することを特徴とする前記製造方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、前記ケイ酸カルシウム水和物は、メタケイ酸ナトリウム[Na 2 O・n SiO 2 、式中、nは、1〜4である]と硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウムおよび/またはギ酸カルシウムとを水性媒体中で反応させることによって製造されたものである前記方法。
  15. 請求項14に記載の方法であって、前記ケイ酸カルシウム水和物中のCa/Siモル比は、1:1〜1:1.6である前記方法。
  16. 請求項14または15に記載の方法であって、前記反応は、水性媒体中に溶解された有機櫛形ポリマーの存在下で実施されている前記方法。
  17. ポリマー粉体組成物の製造方法であって、請求項1から12までのいずれか1項に記載の水性分散液を乾燥にかけることを特徴とする前記製造方法。
  18. 請求項17に記載の方法であって、請求項1から12までのいずれか1項に記載の水性分散液を噴霧乾燥にかけることを特徴とする前記方法。
  19. 請求項1から12までのいずれか1項に記載の水性分散液または請求項17または18に記載の方法により得られるポリマー粉体組成物を、水硬性材料の水性配合物における添加剤として用いる使用。
  20. 請求項1から12までのいずれか1項に記載の水性分散液を含有する水硬性材料の水性配合物。
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