以下に、本発明の熱転写受像シートについて詳細に説明する。図1、図2は、本発明の熱転写受像シートの一例を示す概略断面図である。
図1、図2に示すように、本発明の熱転写受像シート10は、基材11上に受容層12が設けられた構成をとる。そして、本発明では、受容層12が、下記一般式(1)及び下記一般式(2)で示されるモノマーの何れか一方又は双方のモノマーを含む共重合体樹脂を含有していることを特徴とする。以下、下記一般式(1)及び下記一般式(2)で示されるモノマーの何れか一方又は双方のモノマーを含む共重合体樹脂を、本発明の共重合体という場合がある。
(基材)
基材11は本発明の熱転写受像シート10における必須の構成であり、受容層12及び、任意の構成である裏面層14を保持するために設けられる。基材11について特に限定はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムや、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等が挙げられる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。なお、任意の構成である裏面層を設ける場合において、裏面層との接着性を考慮すると、プラスチックフィルム以外の材料である上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等を好ましく使用することができる。
また、基材11として、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等を用いる場合には、該基材11の一方面、又は双方の面に樹脂層(図示しない)を形成することが好ましい。基材11上に樹脂層を形成することで基材11の表面に平滑性を付与することができる。樹脂層について限定はないが、例えば、溶融押し出し法により形成されたポリエチレン樹脂層等が挙げられる。
基材11の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1μm〜300μm程度のものが好ましく用いられる。
(受容層)
基材11上には、受容層12が設けられている。受容層12は、本発明の熱転写受像シート10における必須の構成である。また、本発明においては、受容層12に上記一般式(1)及び上記一般式(2)で示されるモノマーの何れか一方又は双方のモノマーを含む共重合体樹脂が含有されており、当該共重合体樹脂の存在により受容層12の耐光性を向上させている。
受容層12に含有されている本発明の共重合体は、上記一般式(1)及び上記一般式(2)で示されるモノマーの何れか一方又は双方のモノマーを含む共重合体樹脂である。本発明の共重合体は、上記一般式(1)で示されるモノマーと上記一般式(2)で示されるモノマーの何れか一方を含む共重合体樹脂であってもよく、上記一般式(1)で示されるモノマーと上記一般式(2)で示される双方のモノマーの双方のモノマーを含む共重合体樹脂であってもよい。以下、上記一般式(1)及び上記一般式(2)で示されるモノマーの何れか一方又は双方のモノマーを、単に上記一般式(1)、(2)に示されるモノマーという。
上記一般式(1)、(2)に示されるモノマーを含む共重合体樹脂を含有する受容層12によれば、受容層12に高い耐光性を付与することができる。上記一般式(1)、(2)に示されるモノマーを含む共重合体樹脂を受容層12に含有せしめることで、受容層12に高い耐光性が付与されるメカニズムは、現在のところ明らかではないが、少なくとも、本発明の共重合体が、耐光性の向上に寄与していることは、後述する実施例等の結果からも明らかである。
上記一般式(1)で示されるモノマーは、ベンゾトリアゾール環の2位の窒素原子にセサモールを結合させた化合物からの誘導体であり、ベンゾトリアゾール環のベンゼン部位に重合性2重結合を導入した分子構造を有する。なお、上記一般式(1)で表されるモノマーは式中、R1で表される置換基が水素原子またはメチル基で構成され、R2で表される置換基が炭素数1〜6の直鎖状または枝分かれ鎖状のアルキレン基または炭素数1〜6の直鎖状または枝分かれ鎖状のオキシアルキレン基で構成されるベンゾトリアゾール類である。
上記一般式(1)で示されるモノマーの具体的な物質としては、たとえば、2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]エチルメタクリレート、2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]エチルアクリレート、3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロピルメタクリレート、3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロピルアクリレート、4−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]ブチルメタクリレート、4−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]ブチルアクリレート、2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアクリレート、2−[3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロパノイルオキシ]エチルメタクリレート、2−[3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロパノイルオキシ]エチルアクリレート、4−[3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロパノイルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロパノイルオキシ]ブチルアクリレート、2−[3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロパノイルオキシ]エチルメタクリレート、2−[3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロパノイルオキシ]エチルアクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5カルボキシレート、2−(アクリロイルオキシ)エチル2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、4−(メタクリロイルオキシ)ブチル2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、4−(アクリロイルオキシ)ブチル2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート等が挙げられる。また、これらモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を用いることもできる。
上記一般式(2)で示されるモノマーは、ベンゾトリアゾール環の2位の窒素原子にレゾルシノールを結合させた化合物からの誘導体であり、ベンゾトリアゾール環のベンゼン部位に重合性2重結合を導入した分子構造を有する。なお、上記一般式(2)で表されるモノマーは式中、R1で表される置換基が水素原子またはメチル基、R3で表される置換基が炭素数1〜6の直鎖状または枝分かれ鎖状のアルキレン基、R4で表される置換基が水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基で構成されるベンゾトリアゾール類である。
上記一般式(2)で示されるモノマーの具体的な物質としては、たとえば、2−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアタクリレート、2−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアクリレート、2−[2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアクリレート、2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアクリレート、2−[2−(4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタアクリレート、2−[2−(4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアクリレート、4−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート、4−[2−(4−エトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(4−エトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート、4−[2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート、4−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート、4−[2−(4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート等が挙げられる。また、これらモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を用いることもできる。
本発明の共重合体は、上記一般式(1)、(2)に示されるモノマーを含む共重合体樹脂であり、この要件を満たすものであれば受容層12に優れた耐光性を付与することができる。上記一般式(1)、(2)に示されるモノマーと共重合体をなす成分は、樹脂を構成するモノマー、オリゴマー、重合体であればよく特に限定はない。樹脂を構成するモノマーとしては、以下に示すモノマー等を例示することができる。
樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ラウリルトリデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セリルステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレンジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールペンタ(メタ)アクリレート、ホスファゼンヘキサ(メタ)アクリレート等の二官能以上の(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマーを挙が挙げられる。また、これ以外にも、(メタ)アクリルアミド、N,N'−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルロイルモルホリン、ビニルピリジン、ビニルイミダドール、N‐ビニルピロリドン等の含窒素不飽和モノマーや、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有不飽和モノマーが挙げられる。更にはスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族不飽和モノマーや、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和モノマー、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和モノマー、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等のリン酸基含有不飽和モノマー等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
上記に例示したモノマーの中でも、本発明ではアクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマーが特に好適であり、特には、メチルメタクリレート(MMA)であることが好ましい。上記一般式(1)及び上記一般式(2)で示されるモノマーの何れか一方又は双方のモノマーと、メチルメタクリレート(MMA)との共重合体を含有する受容層12とすることで、受容層12に特に優れた耐光性を付与することができる。
上記成分は、上記モノマーに限らずオリゴマーとして使用してもよく、更に、上記モノマーの重合体(反応性重合体)又は、その誘導体からなるポリエステル(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等の(メタ)アクリル系重合体も使用可能である。これらのモノマー、オリゴマー、(メタ)アクリル系反応性重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、本発明の共重合体は、例えば、下記一般式(3)、(4)に示されるように、上記で例示した樹脂を構成するモノマー、オリゴマー、重合体とともに、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物等の反応性紫外線吸収剤等がさらに共重合されたものであってもよい。これ以外にも、ラジカル捕捉に有効なヒンダードアミン型光安定剤(HALS)や酸化防止剤等がさらに共重合されたものであってもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードアミン型光安定剤(HALS)の再生作用を有するフェノール系の酸化防止剤等が好ましい
なお、下記一般式(3)は、メチルメタクリレートと、上記一般式(1)、(2)で示されるモノマーとの共重合体である。下記一般式(4)は、メチルメタクリレートと、上記一般式(1)、(2)で示されるモノマーと、ベンゾトリアゾール系化合物との共重合体である。
本発明の共重合体における上記一般式(1)、(2)で示されるモノマーの共重合率について特に限定はないが、質量比で10%以上80%以下の範囲内であることが好ましい。共重合率が10%未満である場合には、受容層12の耐光性が低下する場合があり、一方で、共重合率が80%を超えると合成が困難となる。なお、上記一般式(1)で示されるモノマーと、上記一般式(2)で示されるモノマーの双方が共重合されてなる場合には、上記一般式(1)で示されるモノマーの共重合率と、上記一般式(2)で示されるモノマーの共重合率との合算値が上記範囲内であることが好ましい。
本発明の共重合体の数平均分子量(Mn)について特に限定はないが、5,000以上500,000以下であることが好ましく、15,000以上250,000以下であることが特に好ましい。数平均分子量(Mn)が5,000未満である場合には、印画時の熱によって印画品質が損なわれる場合がある。一方、500,000を超えると、十分な印画濃度を得ることができず、高濃度の画像を形成できない場合が生じ得る。数平均分子量(Mn)とは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
従来公知の紫外線吸収性モノマーとしては、下記一般式(5)で示されるベンゾトリアゾール系のモノマーや、下記一般式(6)で示されるベンゾフェノン系のモノマーが知られているが、上記一般式(1)、(2)で示されるモノマーを重合させることなく、下記一般式(5)、(6)で示されるモノマーを重合してなる共重合体樹脂を用いた場合には、耐光性を満足させることができない。
本発明の共重合体を得るための重合方法について限定はなく、従来公知の溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等を採用することができる。
上記一般式(1)、(2)で示されるモノマーを重合反応させる際に用いるラジカル重合開始剤についても特に限定はなく、例えば、2,2'−アゾビス−(4−メトキシ−2.4‐ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド等のアゾ系ラジカル重合開始剤が挙げられる。更にはハイドロゲンパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ビス(3,5,5−)トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジ−t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物系ラジカル重合開始剤が挙げられる。更には過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩系ラジカル重合開始剤等が挙げられる。また重合開始剤の使用量も特に限定されるものではない。
乳化重合法等の水系重合法においては、還元剤として亜硫酸ナトリウム、L‐アスコルビン酸、ロンガリット等を用いることによりレドックス系開始剤としてもよい。
共重合反応をさせる際には必要に応じて連鎖移動剤、重合調整剤を用いてもよい。連鎖移動剤、重合調整剤としては、n−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、β-メルカプトプロピオン酸メチル-3-メルカプトプロピオネート、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネート、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、アルファメチルスチレンダイマー等が挙げられるが特に限定されるものではい。また連鎖移動剤、重合調整剤の使用量も特に限定されるものではない。
溶液重合法において用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが特に限定されるものではい。また溶媒の使用量も特に限定されるものではない。
乳化重合法において用いることができる界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、スチレン‐アクリル酸ナトリウム共重合体、スチレン‐アクリル酸アンモニウム共重合体、スチレン‐アルファメチルスチレン‐アクリル酸ナトリウム共重合体、スチレン‐アルファメチルスチレン‐アクリル酸アンモニウム共重合体、スチレン‐マレイン酸ナトリウム共重合体、スチレン‐マレイン酸アンモニウム共重合体、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが特に限定されるものではい。また界面活性剤の使用量も特に限定されるものではない。
懸濁重合法において用いることができる分散剤としては、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド等が挙げられるが特に限定されるものではい。また分散剤の使用量も特に限定されるものではない。
重合反応温度は特に限定されるものではないが25℃〜200℃の範囲が好ましく、40℃〜140℃の範囲がより好ましい。反応時間は、特に限定されるものではなく、用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種類等に応じて、重合反応が完結するように適宜に条件設定を行えばよい。
受容層12は、本発明の共重合体のみから構成されていてもよく、必要に応じて各種添加剤が含有されていてもよい。
各種添加剤としては、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等、公知の添加剤が挙げられる。
離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系化合物等、公知のものが挙げられるが、特に、シリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルが好ましい
酸化防止剤としては、クロマン系化合物、クマロン系化合物、フェノール系化合物、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物、硫黄系化合物、リン系化合物等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等が挙げられる。
フィラーとしては、無機化合物微粒子、有機化合物微粒子等が挙げられる。上記無機化合物微粒子としては、シリカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、活性白土、アルミナ等を挙げることができ、上記有機化合物微粒子としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の樹脂粒子等が挙げられる。
顔料としては、チタンホワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土等、公知の化合物が挙げられる。また、帯電防止剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子等、公知の化合物が挙げられる。
可塑剤及び熱溶融性物質は、通常、得られる熱転写受像シートの転写を促進するために添加するものである。可塑剤としては、例えば、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等、公知の化合物が挙げられる。熱溶融性物質としては、例えば、アルコール類、ケトン類、高級脂肪酸エステル等、転写を促進する作用を有する公知の化合物が挙げられる。
また、受容層12には、上記本発明の共重合体、任意の成分である各種添加剤とともに、樹脂成分が含有されていてもよい。樹脂成分としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。
受容層12に、本発明の共重合体とともに、各種添加剤や、樹脂成分が含有される場合において、受容層12の固形分総量に対し、本発明の共重合体の含有量が、10質量%未満である場合には、耐光性を充分に満足させることができない場合が生じうる。したがって、この点を考慮すると、本発明の共重合体は、受容層12の固形分総量に対し10質量%以上含有されていることが好ましい。なお、本発明の共重合体をそのまま、受容層12として使用可能であることから、その上限は100質量%である。
受容層12は、本発明の共重合体と、必要に応じて添加される各種添加剤や樹脂成分を、水または有機溶剤系の適当な溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、基材11、或いは任意の層上に塗工、乾燥して形成することができる。
受容層12の厚みについても特に限定はなく、0.5μm〜10μmの範囲が一般的である
本発明の熱転写受像シート10は、図1に示すように基材11に直接的に受容層12が設けられていてもよく、図2に示すように、基材11と受容層12との間に中間層13が設けられていてもよい。本発明において、中間層とは、基材11と受容層12との間にある全ての層を意味する。本発明の熱転写受像シート10は、中間層13を設けることにより、例えば、断熱性、クッション性、バリア性、層間接着性、白色性、隠蔽性、帯電防止性等に優れたものとすることができる。
中間層13を形成する樹脂、その他の高分子としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
上記中間層は、例えば、水溶性高分子を添加したものであってもよい。上記水溶性高分子としては、セルロース系樹脂、デンプン、寒天等の多糖類、カゼイン、ゼラチン等のタンパク質、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体、酢酸ビニル−ベオバ共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。本発明において、水溶性高分子とは、水性溶媒に完全溶解(粒径0.01μm以下)、コロイダルディスパージョン(粒径0.01〜0.1μm)、エマルジョン(粒径0.1〜1μm)又はスラリー(粒径1μm以上)の状態になる高分子を意味する。
中間層13に、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を添加した場合には、層間接着性に優れた熱転写受像シートを得ることができる。また、中間層13として、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物等の硬化剤とを併用した場合、更に層間接着性に優れた熱転写受像シート10とすることができる。
また、中間層13に、例えば、蛍光増白剤を添加した場合、熱転写受像シートに白色を付与することができる。蛍光増白剤としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、スチルベン系蛍光増白剤、ジスチルベン系蛍光増白剤、ベンゾオキサゾール系蛍光増白剤、スチリル−オキサゾール系蛍光増白剤、ピレン−オキサゾール系蛍光増白剤、クマリン系蛍光増白剤、アミノクマリン系蛍光増白剤、イミダゾール系蛍光増白剤、ベンゾイミダゾール系蛍光増白剤、ピラゾリン系蛍光増白剤、ジスチリル−ビフェニル系蛍光増白剤等が挙げられる。本発明の熱転写受像シートは、上記蛍光増白剤の種類、添加量等を適宜選択することにより、白色度を調整することができる。
また、中間層13に、酸化チタンを添加すると、基材のギラ付き感やムラを隠蔽した熱転写受像シートを得ることができる。上記酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン及びアナターゼ型酸化チタンが挙げられるが、白色度の点で、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。上記酸化チタンは、中間層が上述の水溶性樹脂からなる場合、表面に親水性処理を施して添加してもよいし、界面活性剤等の分散剤を適宜添加して分散させてもよい。
また、中間層に、例えば導電性無機フィラー、有機性導電剤等を添加すると、帯電防止性を有する熱転写受像シートを得ることができる。また、中間層13は、中空粒子を含有していてもよい。
(ミクロボイドを有する層)
基材11と受容層12との間に中間層13を形成する場合にあっては、基材11と中間層13との間に図示しないミクロボイドを有する層(以下ミクロボイド層という)を設けることとしてもよい。ミクロボイド層を基材11と受容層12との間に設けることで、受容層12側からの吸湿を防止することができ、熱転写受像シート全体としてのカールの発生を防止することができる。
ミクロボイド層としては、内部にミクロボイドを有するプラスチックフィルムや合成紙を用いることができる。また、基材11上に、各種の塗工方式でミクロボイドを有する層を形成することもできる。ミクロボイドを有するプラスチックフィルム又は合成紙としては、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主体として、それに無機顔料及び/又はポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらを発泡開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックフィルム又は合成紙が好ましい。
また、これらのプラスチックフィルムや合成紙は、通常、二軸延伸により成膜されたものである。上述のプラスチックフィルムや合成紙は、それ自体が、ミクロボイドを含む層の単層であっても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層にミクロボイドを含有しても良いし、ミクロボイドが存在しない層が存在しても良い。そして、このプラスチックフィルムや合成紙には、必要に応じて隠ぺい剤として、白色顔料を混入させても良い。また、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を加えることができる。さらに、光沢性、平滑性を与えるために、表面にスキン層を設けても良い。ミクロボイド層の厚みは、5μm〜100μm程度が好ましい。
(接着層)
また、図示しないが、基材11とミクロボイド層とを貼合わせて接着するための接着層を設けることとしてもよい。接着層は接着剤からなり、この接着剤としては、例えば、ウレタン系樹脂、α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等が使用できる。中でもアクリル系樹脂の反応型のものや、変成したもの等が好ましく使用することができる。また、接着層は、ミクロボイド層と受容層12、又はミクロボイド層と上記で説明した任意の層である中間層との間や、基材11と後述する任意の裏面層との間にも設けることもできる。
また、接着剤は硬化剤を用いて硬化させると、接着力も向上し、耐熱性も上がるため好ましい。硬化剤としては、イソシアネート化合物が一般的であるが、脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物等を使用することができる。このような接着層の厚さは、塗工量で、通常、乾燥状態で0.5g/m2〜10g/m2程度である。接着層の形成は、一般的に行われている塗工手段を用いることができ、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の手段により、塗工し、乾燥することで形成することができる。また、ポリオレフィン材料等を使用した、ECサンドラミネーションを行ってもよい。
(裏面層)
また、図1に示すように、基材11の受容層12形成側とは反対側の面上に、シートの機械搬送性向上、カール防止、筆記性、帯電防止等を目的とする裏面層14を設けてもよい。裏面層14は、1層のみから構成されるものであってもよいし、組成等が異なる2層以上の層を積層して構成されるものであってもよい。
裏面層14は、上記で例示した中間層13を形成する樹脂、その他の高分子として例示したものと同様の樹脂等から形成することができる。上記裏面層を形成する際に、例えば、(1)上記例示の樹脂等に加え、有機フィラー又は無機フィラーを適量添加する、又は、(2)ポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂等、滑性が高い樹脂を使用すると、搬送性が向上した熱転写受像シート10を得ることができる。
また、裏面層14を形成する際に、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等、保水性を有する樹脂等を主成分として用いた場合、得られる熱転写受像シート10のカールを防止することができる。また、裏面層を形成する際に、上述の受容層における添加剤として例示したフィラー、顔料等を配合した場合、得られる熱転写受像シート10に筆記性を付与することができる。
裏面層14は、帯電防止機能を得るために、アクリル樹脂等の導電性樹脂、及び/又は、脂肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、エチレンオキサイド付加物等の各種帯電防止剤を含有していてもよい。
(画像形成方法)
本発明の熱転写受像シートを用いて、受容層12面に画像形成を行う方法としては、特に限定されず、公知の熱転写方式にて行うことができる。
また、上記画像形成の際に使用する熱転写シートとしては、例えば、ポリエステルフィルム等の基材の一方の面に熱転写性色材層が設けられ、基材の他方の面に背面層が設けられた従来公知の熱転写シートを使用することができる。以下、熱転写シートについて説明する。
(基材)
基材としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム;コンデンサー紙、パラフィン紙、合成紙等の紙類;不織布;紙や不織布と樹脂との複合体等が挙げられる。
基材の厚みについて特に限定はないが、通常0.5μm〜50μmであり、好ましくは約1.5〜10μmである。
基材は、隣接する層との接着性を向上させるため、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、グラフト化処理等、公知の樹脂表面改質技術を適用することができる。上記表面処理は、1種のみ行ってもよいし、2種以上行ってもよい。また、必要に応じ、その一方の面又は両面に下引き層(プライマー層)が設けられていてもよい。
(熱転写性色材層)
熱転写性色材層は、熱転写シートが昇華型熱転写シートの場合には、昇華性染料を含有する層となり、熱溶融型熱転写シートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物を含有する層となる。また、昇華性染料を含有する層領域と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層領域とを連続した1枚の基材上に面順次に設けられた熱転写シートを用いることもできる。以下、熱転写シートが、昇華型熱転写シートである場合を中心に説明するが、本発明の熱転写受像シート10は、昇華型熱転写シートと組み合されて用いられることに限定されるものではない。
昇華性染料としては、例えば、ジアリールメタン系染料;トリアリールメタン系染料;チアゾール系染料;メロシアニン染料;ピラゾロン染料;メチン系染料;インドアニリン系染料;アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料;キサンテン系染料;オキサジン系染料;ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料;チアジン系染料;アジン系染料;アクリジン系染料;ベンゼンアゾ系染料;ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料;スピロピラン系染料;インドリノスピロピラン系染料;フルオラン系染料;ローダミンラクタム系染料;ナフトキノン系染料;アントラキノン系染料;キノフタロン系染料;等が挙げられ、更に具体的には、特開平7−149062号公報に例示の化合物等が挙げられる。上記熱転写性色材層において、昇華性染料は熱転写性色材層の全固形分に対し5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%の量である。昇華性染料の使用量が、上記範囲未満であると印字濃度が低くなることがあり、上記範囲を越えると保存性等が低下することがある。
上記染料を担持するためのバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の樹脂が耐熱性、染料の移行性等の点から好ましい。
また、熱転写性色材層は、離型剤、無機微粒子、有機微粒子等を含有していてもよい。離型剤としては、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス、リン酸エステル等が挙げられる。シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル、および変性シリコーンオイルやその硬化物等が挙げられる。シリコーンオイルは反応性のものでもよいし、非反応性のものでも良い。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルに分類できる。反応性シリコーンオイルには、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシ変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性・異種官能基変性がある。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、フッ素変性等がある。シリコーンオイルの添加量は、バインダーの質量に対し、0.1〜15質量%が好ましく、更に好ましくは0.3〜10質量%である。また、上記有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
熱転写性色材層は、例えば、昇華性染料、バインダー樹脂、及び必要に応じて任意に添加される各種の成分を、適当な溶媒に分散、或いは溶解した熱転写性色材層用塗工液を、基材上に、従来公知の塗工方法を用いて、塗工・乾燥することで形成することができる。従来公知の塗工方法としては、ラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、ロールコーター、バーコーター等が挙げられる。また、溶媒としては、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド〔DMF〕等が挙げられる。
熱転写性色材層の厚みについて特に限定はなく、通常0.2μm〜5μm程度である。
(背面層)
また、基材の他方の面上に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層が設けられていてもよい。
背面層は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。中でも、耐熱性等の点から、ポリアミドイミド系樹脂又はそのシリコーン変性物等を好ましく用いることができる。
また、背面層には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加材を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材11上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層4の厚みは、2μm以下であることが好ましく、0.1μm〜1μm程度がより好ましい。
また、熱転写受像シート10の受容層12上に画像を形成した後に、保護層を有する保護層転写シートや、保護層と熱転写性色材層とが同一面上に面順次に設けられた保護層一体型熱転写シートを用いて画像形成面に保護層を転写することにより、受容層12上に形成された画像の耐光性を更に向上させることができる。また、耐可塑剤性や、耐擦過性等の各種耐久性を向上させることができる。
保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂、電離放射線架橋樹脂等、公知の保護層形成用樹脂から形成することができる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂等が挙げられる。上記保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂及び電離放射線架橋樹脂を1種又は2種以上配合してなるものであってもよい。上記保護層は、上記樹脂に加え、必要に応じ、紫外線遮断樹脂、紫外線吸収剤、導電性樹脂、フィラー等、上述の受容層に関して説明した添加剤を適宜配合してなるものであってもよい。
上記保護層は、1層のみから構成されるものであってもよいし、組成等が異なる2層以上の層を積層して構成されるものであってもよい。上記保護層は、熱転写受像シート(印画物)への転写性、接着性等を良好にするために、接着剤層を有するものであってもよい。接着剤層は、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂から形成することができる。上記保護層の厚みについて特に限定はないが、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜5μmの厚みである。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りのない限り質量基準である。
(塗工液の準備)
下記組成の受容層用塗工液1〜13を準備した。
(受容層用塗工液1)
・メチルメタクリレート(MMA)と下記一般式(7)のモノマーとの共重合体(下記一般式(7)のモノマーの共重合比率:50%) 20部
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80部
「一般式(7)のモノマーの合成」
以下、一般式(7)のモノマー;セサモール型ベンゾトリアゾール系単量体2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]エチルメタクリレートの合成例を記す。
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、2−(4−アミノフェニル)エタノール8.3g(0.061モル)を入れて、冷却しながら無水酢酸41.2g(0.404モル)を加え、70〜75℃で1時間撹拌した後に、5℃まで冷却してから70%硝酸6.5g(0.072モル)を5〜10℃で滴下し、同温度で3時間撹拌した。別の容器に氷水70gを入れて、上記で得られた反応物を撹拌しながら加え、5〜15℃で1時間撹拌した後に、析出した結晶をろ過、水洗し、黄色結晶を20.0g得た。
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付けて、得られた黄色結晶20.0g、水50ml、36%塩酸23.7g(0.234モル)を入れて、70〜75℃で1時間撹拌した。水酸化ナトリウムでpH4に調整し、静置して分離した下層部を抜き取り、2−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)エタノールを8.0g得た。
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、前記2−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)エタノール8.0g(0.044モル)、62.5%硫酸17.2g(0.110モル)、水80mlを入れて混合した後に、36%亜硝酸ナトリウム水溶液8.8g(0.046モル)を3〜7℃で滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を113g得た。300mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、メタノール50ml、水酸化ナトリウム2.8g(0.070モル)、炭酸ナトリウム6.0g(0.057モル)、セサモール6.1g(0.044モル)を入れて混合した後に、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、赤色結晶を14.6g得た。この赤色結晶14.6gをイソプロピルアルコール水溶液でリパルプ洗浄し、6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−2−ニトロフェニルアゾ]ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールを5.9g得た。
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、前記6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−2−ニトロフェニルアゾ]ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール5.9g(0.018モル)、イソプロピルアルコール30ml、水20ml、水酸化ナトリウム0.9g(0.023モル)、ハイドロキノン0.1g、60%ヒドラジン水和物1.1g(0.013モル)を入れて、50〜55℃で1時間撹拌させた後に、62.5%硫酸でpH7に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、6−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール−N−オキシドを4.7g得た。
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、前記6−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール−N−オキシド4.7g(0.015モル)、メチルイソブチルケトン100ml、水35ml、亜鉛末2.0g(0.031モル)を入れて混合し、62.5%硫酸7.0g(0.045モル)を70〜75℃に保って1時間で滴下し、同温度で1時間撹拌した。静置して下層部の水層を分離して除去し、温水70mlで洗浄し、活性炭0.2gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時にろ過し、ろ液からメチルイソブチルケトン100mlを減圧で回収した後にイソプロピルアルコール40mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール20mlで洗浄した後、乾燥機にて60℃で乾燥し、6−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールを2.6g得た。2−(4−アミノフェニル)エタノールからの収率は14%、融点は179℃であった。
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、前記6−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール4.0g(0.013モル)、トルエン40ml、メタクリル酸1.8g(0.021モル)、メタンスルホン酸0.4g(0.004モル)を入れて、110〜115℃で4時間還流脱水した。水30ml、炭酸ナトリウム0.6g(0.006モル)を加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、活性炭0.2gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時にろ過した後に、ろ液からトルエン40mlを減圧で回収し、イソプロピルアルコール100mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール40mlで洗浄した後、減圧下40℃で乾燥し、黄色結晶を4.2g得た。この黄色結晶4.2gをイソプロピルアルコールでリパルプ洗浄して、減圧下40℃で乾燥し、一般式(7)のモノマー;2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]エチルメタクリレートを3.4g得た。
「メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(7)のモノマーとの共重合体の合成」
四つ口フラスコにジムロート冷却器、水銀温時計、窒素ガス吹き込み管、攪拌装置を取り付け、上記一般式(7)のモノマー20部、メチルメタクリレート(MMA)20部、および、溶媒としてのトルエン20部,メチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す。)20部、および、重合開始剤としての1,1'‐アゾビス(シクロヘキサン‐1‐カルボニトリル)(以下、「重合開始剤(1)」と記す。)0.6部を入れて、攪拌しながら窒素ガス流量10ml/minで1時間フラスコ内を窒素置換後に、反応液温度90〜96℃で10時間還流状態にて重合反応を行いメチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(7)のモノマーとの共重合体を得た。以下に示す受容層用塗工液5〜8についても同様の合成方法を用いて、メチルメタクリレート(MMA)上記一般式(7)のモノマーとの共重合体を得た。
(受容層用塗工液2)
・メチルメタクリレート(MMA)と下記一般式(8)のモノマーとの共重合体(下記一般式(8)のモノマーの共重合比率:50%) 20部
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80部
「一般式(8)のモノマーの合成」
以下、一般式(8)のモノマー;2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレートの合成例を記す。
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、4−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール176.0g(0.684モル)、メチルイソブチルケトン350ml、1−クロロオクタン142.0g(0.955モル)、炭酸ナトリウム62.0g(0.585モル)、ヨウ化カリウム5.2gを入れて、120〜130℃で12時間還流脱水した。水200mlを加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、温水200mlで洗浄した。メチルイソブチルケトン350mlを減圧で回収し、イソプロピルアルコール450mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥して、2−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−オクチルオキシフェノールを216.9g得た。
10Lの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、前記の2−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−オクチルオキシフェノール216.9g(0.587モル)、47%臭化水素酸125.8g(0.731モル)、スルホラン1800mlを入れて100〜105℃で48時間撹拌した。トルエン800ml、水3500mlを加えて、静置して下層の水層を分離して除去し、温水1300mlで2回洗浄し、トルエン800mlを減圧で回収した。イソプロピルアルコール800ml、水200mlを加えて、5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、イソプロピルアルコール水溶液(80% V/V)200mlで洗浄し、乾燥して、2−(5−ヒドロキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−オクチルオキシフェノールを126.6g得た。
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、前記の2−(5−ヒドロキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−オクチルオキシフェノール126.6g(0.356モル)、メチルイソブチルケトン450ml、2−クロロエタノール35.8g(0.445モル)、炭酸ナトリウム23.5g(0.222モル)、ヨウ化カリウム17.8gを入れて、113〜118℃で10時間還流脱水した。250mlの水を加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、温水150mlで洗浄した。メチルイソブチルケトン450mlを減圧で回収後にイソプロピルアルコール500mlを加えて10℃まで冷却し、析出した結晶をろ過した後に、イソプロピルアルコール50mlで洗浄し、乾燥機で乾燥して、2−[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]−5−オクチルオキシフェノールを95.3g得た。4−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオールからの収率は35%であった。
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、前記の2−[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール95.3g(0.239モル)、トルエン550ml、メタクリル酸50.6g(0.588モル)、メタンスルホン酸29.8g(0.310モル)を入れて、110〜115℃で4時間還流脱水した。水200ml、炭酸ナトリウム32.8g(0.309モル)を加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、活性炭1.8gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時にろ過し、そのろ液からトルエン550mlを減圧で回収した後に、イソプロピルアルコール750mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール100mlで洗浄し、減圧下40℃で乾燥し、白色結晶を88.1g得た。全量をイソプロピルアルコールで再結晶して、減圧下40℃で乾燥し、一般式(8)のモノマー;2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレートを77.8g得た。
「メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(8)のモノマーとの共重合体の合成」
上記一般式(7)のモノマー20部を、上記で得られた一般式(8)のモノマー20部とした以外は、実施例1の共重合体と同様の重合反応操作を行いメチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(8)のモノマーとの共重合体を得た。
(受容層用塗工液3)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(7)のモノマーと下記一般式(9)のモノマーとの共重合体(上記一般式(7)のモノマーの共重合比率:25%,下記一般式(9)のモノマーの共重合比率:25%) 20部
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80部
「メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(7)のモノマーと上記一般式(9)のモノマーとの共重合体の合成」
上記で得られた一般式(7)のモノマー10部、上記一般式(9)のモノマー10部、メチルメタクリレート(MMA)20部とした以外はすべて実施例1の共重合体と同様の重合反応操作を行いメチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(7)のモノマーと上記一般式(9)のモノマーとの共重合体を得た。
(受容層用塗工液4)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(8)のモノマーと上記一般式(9)のモノマーとの共重合体(上記一般式(8)のモノマーの共重合比率:25%,上記一般式(9)のモノマーの共重合比率:25%) 20部
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80部
「メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(8)のモノマーと上記一般式(9)のモノマーとの共重合体の合成」
上記で得られた一般式(8)のモノマー10部、上記一般式(9)のモノマー10部、メチルメタクリレート(MMA)20部とした以外はすべて実施例1の共重合体と同様の重合反応操作を行いメチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(8)のモノマーと上記一般式(9)のモノマーとの共重合体を得た。
(受容層用塗工液5)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(7)のモノマーとの共重合体(上記一般式(7)のモノマーの共重合比率:50%) 6部
・アクリル樹脂 14部
(ダイヤナールBR−83 三菱レイヨン(株))
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80部
(受容層用塗工液6)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(7)のモノマーとの共重合体(上記一般式(7)のモノマーの共重合比率:50%) 24.4部
・アクリル樹脂 10部
(ダイヤナールBR−83 三菱レイヨン(株))
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 56.6部
(受容層用塗工液7)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(7)のモノマーとの共重合体(上記一般式(7)のモノマーの共重合比率:50%) 24.4部
・ポリエステル樹脂 10部
(バイロン200 東洋紡(株))
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 56.6部
(受容層用塗工液8)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(7)のモノマーとの共重合体(上記一般式(7)のモノマーの共重合比率:50%) 24.4部
・塩酢ビ樹脂 10部
(ソルバインC 日信化学工業(株))
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 56.6部
(受容層用塗工液9)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(9)のモノマーとの共重合体(上記一般式(9)のモノマーの共重合比率:50%) 20部
(バナレジンUVA−5080(固形分41%) 新中村化学工業(株))
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 12.7部
「メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(9)のモノマーとの共重合体の合成」
上記一般式(7)のモノマー20部を、上記一般式(9)のモノマー20部とした以外は、実施例1の共重合体と同様の重合反応操作を行い、メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(9)のモノマーとの共重合体を得た。以下に示す受容層用塗工液10〜12についても同様の合成方法を用いて、メチルメタクリレート(MMA)と一般式(9)のモノマーとの共重合体を得た。
(受容層用塗工液10)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(9)のモノマーとの共重合体(上記一般式(9)のモノマーの共重合比率:50%) 24.4部
(バナレジンUVA−5080(固形分41%) 新中村化学工業(株))
・アクリル樹脂 10部
(ダイヤナールBR−83 三菱レイヨン(株))
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 56.6部
(受容層用塗工液11)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(9)のモノマーとの共重合体(上記一般式(9)のモノマーの共重合比率:50%) 24.4部
(バナレジンUVA−5080(固形分41%) 新中村化学工業(株))
・ポリエステル樹脂 10部
(バイロン200 東洋紡(株)製)
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 65.6部
(受容層用塗工液12)
・メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(9)のモノマーとの共重合体(上記一般式(9)のモノマーの共重合比率:50%) 24.4部
(バナレジンUVA−5080(固形分41%) 新中村化学工業(株))
・塩酢ビ樹脂 10部
(ソルバインC 日信化学工業(株))
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 56.6部
(受容層用塗工液13)
・メチルメタクリレート(MMA)と下記一般式(10)のモノマーとの共重合体(下記一般式(10)のモノマーの共重合比率:50%) 20部
(UVA−635L(固形分40%) BASFジャパン)
・エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 12.7部
「メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(10)のモノマーとの共重合体の合成」
上記一般式(7)のモノマー20部を、上記一般式(10)のモノマー20部とした以外は、実施例1の共重合体と同様の重合反応操作を行い、メチルメタクリレート(MMA)と上記一般式(10)のモノマーとの共重合体を得た。
(実施例1)
多孔質ポリエチレンフィルム(トヨパール−SS P4255 東洋紡績(株) 厚さ35μm)からなる多孔質フィルム層上に、下記組成のプライマー層用塗工液、及び上記組成の受容層用塗工液1をグラビアリバースコート方式で、順次塗布、乾燥して、プライマー層、受容層を形成した。プライマー層、受容層の設けられた面と反対面の多孔質ポリエチレンフィルムに、下記組成の接着層用塗工液を用いて3本リバースロールコート方式で塗布、乾燥して、接着層を形成し、RC原紙(155g/m2、厚さ151μm)(三菱製紙(株))と貼り合わせ実施例1の熱転写受像シートを作製した。上記の各々の塗工量は、全て乾燥状態で、プライマー層は1.5g/m2、受容層は5.0g/m2、接着層は5g/m2であった。
(接着層用塗工液)
・ウレタン樹脂 30部
(タケラックA−969V 三井武田ケミカル(株)製)
・イソシアネート 10部
(タケネートA−5 三井武田ケミカル(株)製)
・酢酸エチル 60部
(プライマー層用塗工液)
・ポリエステル樹脂 50部
(ポリエスターWR−905 日本合成化学工業(株)製)
・酸化チタン 20部
(TCA888 (株)トーケムプロダクツ製)
・蛍光増白剤 1.2部
(ユビテックスBAC チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製)
・水/イソプロピルアルコール=1/1 28.8部
(実施例2)
実施例1と同様の熱転写受像シートを、そのまま実施例2の熱転写受像シートとした。
(実施例3)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液2を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして実施例3の熱転写受像シートを得た。
(実施例4)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液3を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして実施例4の熱転写受像シートを得た。
(実施例5)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液4を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして実施例5の熱転写受像シートを得た。
(実施例6)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液5を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして実施例6の熱転写受像シートを得た。
(実施例7)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液6を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして実施例7の熱転写受像シートを得た。
(実施例8)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液7を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして実施例8の熱転写受像シートを得た。
(実施例9)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液8を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして実施例9の熱転写受像シートを得た。
(比較例1)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液9を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして比較例1の熱転写受像シートを得た。
(比較例2)
比較例1と同様の熱転写受像シートを、そのまま比較例2の熱転写受像シートとした。
(比較例3)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液10を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして比較例3の熱転写受像シートを得た。
(比較例4)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液11を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして比較例4の熱転写受像シートを得た。
(比較例5)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液12を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして比較例5の熱転写受像シートを得た。
(比較例6)
受容層用塗工液1にかえて上記組成の受容層用塗工液13を用いて受容層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして比較例6の熱転写受像シートを得た。
(実施例1、3〜9、比較例1、3〜6の印画物の作成)
昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS(株)製)、型式;CW−01)のメディアセットCW−MS46と、上記で得られた各実施例、及び比較例の熱転写受像シート)と、を重ね合わせ、上記プリンターを用いて、各熱転写受像シート上に、黒(Bk)画像、イエロー(Ye)画像、マゼンタ(Mg)画像、レッド(R)画像、グリーン(G)画像の印画を行った。次いで、一部の熱転写受像シート(実施例2、比較例2の熱転写受像シート)を除いて、メディアセットの保護層転写シートの保護層の転写をおこなうことで、各実施例及び比較例の印画物を得た。なお、レッド(R)画像は、イエロー(Ye)画像、マゼンタ(Mg)画像を重ね合わせることによって、グリーン(G)画像は、イエロー(Ye)とシアン(Cy)画像を重ね合わせることで形成した。
(実施例2、比較例2の印画物の作成)
印画後に保護層の転写を行わなかった以外は、上記印画物の作成と同様にして、実施例2、比較例2の印画物を得た。つまり、実施例1と実施例2、及び比較例1と比較例2の印画物は、保護層を有しているか否かの点でのみ相違している。
(耐光性評価)
上記印画物の作成で得られた、各実施例及び比較例の印画物において、下記条件のキセノンフェードメーターにより耐光性試験を行った。
照射試験機:キセノンフェードメーター(Ci4000)
光源:キセノンランプ
ブラックパネル温度:45℃
インナーフィルター:CIRA
アウターフィルター:ソーダライム
放射照度:1.2(W/m2)・・・420nmでの測定値
照射エネルギー:400(kJ/m2)・・・420nmでの積算値
光学濃度計(グレタグ社製 GRETAGSpectrolino(D65光源、視野角2°)を用いて、各画像の光学濃度が1.0付近における光学濃度の変化を測定し、下記色素計算式によりΔE*を算出した。
(色素計算式)
ΔE*={(照射前後のL*値の差)2+(照射前後のL*値の差)2+(照射前後のL*値の差)2}1/2
なお、ΔE*の数値が低いほど、耐光性が優れていることを意味する。
各実施例、及び比較例の印画物における各画像のΔE*に基づいて下記の評価基準により耐光性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
5:ΔE*が比較例1よりも10%以上良い。
4:ΔE*が比較例1よりも5%以上10%未満の範囲で良い。
3:ΔE*が比較例1よりも5%未満の範囲で良い。
2:ΔE*が比較例1と同等。
1:ΔE*が比較例1よりも悪い。