JP6068148B2 - 水素製造装置の起動方法及び水素製造装置 - Google Patents

水素製造装置の起動方法及び水素製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6068148B2
JP6068148B2 JP2013004319A JP2013004319A JP6068148B2 JP 6068148 B2 JP6068148 B2 JP 6068148B2 JP 2013004319 A JP2013004319 A JP 2013004319A JP 2013004319 A JP2013004319 A JP 2013004319A JP 6068148 B2 JP6068148 B2 JP 6068148B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen
gas
reformer
production apparatus
reformed gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013004319A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014136655A (ja
Inventor
脩平 留川
脩平 留川
真一 三浦
真一 三浦
行伸 谷口
行伸 谷口
彰利 藤澤
彰利 藤澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2013004319A priority Critical patent/JP6068148B2/ja
Publication of JP2014136655A publication Critical patent/JP2014136655A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6068148B2 publication Critical patent/JP6068148B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)

Description

本発明は、水素製造装置の起動方法及び水素製造装置に関する。
近年、地球環境の改善につながる燃料電池用の燃料として、水素への期待が高まっている。水素製造方法の代表的なものとしては、炭化水素(天然ガス)を燃料とした水蒸気改質法が挙げられる。この水蒸気改質法では、改質器で改質反応及び変成反応によって天然ガスから水素を多く含む改質ガスを生成し、この改質ガスに含まれる水素以外の不純物を改質器の後段に設置される水素精製器で除去する。この水素精製器としては、現状ではPSA(Pressure Swing Adsorption)方式が多用されている。
上記水素精製器では、改質ガス中の不純物を吸着塔が有する吸着剤によって吸着除去し(吸着工程)、その後この吸着剤が吸着した不純物を除去して吸着剤を再生する(再生工程)。通常水素精製器は2塔以上の吸着塔を有し、吸着工程及び再生工程を複数の吸着塔で交互に繰り返すことで連続的に水素精製を可能としている。
このようなPSA方式の水素製造装置は、水素製造装置を一旦停止すると、停止期間中に吸着剤が吸着していた不純物が拡散するため、再起動時にはこの不純物が除去されて精製ガスの純度(水素濃度)が安定するまでの予備運転の時間を要する。さらに、改質器で行われる原料ガスの改質反応は吸熱反応であるため、改質器内の温度が一定に達するまでは改質反応の進行が進まない。そのため、原料ガス及び水蒸気を供給開始後、改質ガスの水素濃度が一定値に達する(不純物濃度が一定値以下になる)まで予備運転が必要となる。つまり、従来の水素製造装置の起動手順は、まず改質器から排出される改質ガスが一定の品質になるまで改質器の予備運転の時間を要し、改質ガスの水素濃度が一定値に達した時点で水素精製器に改質ガスの供給を開始し、さらに水素精製器から排出される水素ガスの純度が安定するまでの時間を要する。そのため、原料ガスの供給開始後から製品として利用可能な高純度の水素ガスが得られるまでに一定の時間を要した。
そこで、水素製造装置の起動から水素ガス供給までの時間を短縮すべく、水素製造装置の停止期間において、水素精製器が排出したガスを昇圧し、再び水素精製器内へ循環供給することで水素精製器のみ運転を継続し、水素精製器内の不純物濃度を低く維持し、水素製造装置の再起動時の予備運転時間を短縮する方法が提案されている(特開2004−299995号公報参照)。
また、水素製造装置の停止時に、全ての吸着塔を強制的に洗浄(再生)することで停止時に予め水素精製器内の不純物濃度を低減しておき、水素製造装置の再起動時の予備運転時間を短縮する方法も提案されている(特開2009−154079号公報参照)。
しかしながら、上述の水素精製器の運転を継続する方法は、停止中にもガスの昇圧にエネルギーが消費されるため、停止期間も含めた水素製造装置のエネルギー効率が低下する。また、上述の停止時に吸着塔を洗浄する方法は、洗浄時に吸着塔を脱圧するため、再起動時に吸着塔を再昇圧するためのガス及びエネルギーが必要となる。さらに、ガスによって洗浄しても不純物は完全には除去され難く、精製ガスの純度安定までの時間短縮には改善の余地がある。
特開2004−299995号公報 特開2009−154079号公報
本発明は、前述のような事情に基づいてなされたものであり、エネルギー消費量を増加させることなく水素ガスの純度が安定するまでの時間を短縮できる水素製造装置の起動方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者らは、改質反応開始直後に排出される低温度で水素濃度の低い改質ガスが水素精製器の洗浄に利用可能であることを見出した。この改質ガスは改質反応の進行が不十分であるため不純物の濃度は高いが、小流量であれば改質ガスが含む不純物の総量は抑えられ水素精製器で十分除去が可能である。その一方でこの改質ガスを水素精製器内に供給及び排出することで水素精製器内に拡散した不純物をガスと共に排出除去することができる。
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、
炭化水素含有原料ガスの水蒸気改質により水素リッチな改質ガスを排出する改質器と、この改質ガス中の水素以外のガスをPSA方式によって吸着する水素精製器とを備える水素製造装置の起動方法であって、
上記改質ガスを水素精製器に供給開始する改質器内温度T1及び水素製造装置の定常運転時における改質器内温度T2が下記式(1)を満たすことを特徴とする。
T1<T2 ・・・(1)
当該水素製造装置の起動方法においては、改質ガスの生成(原料ガスの供給)開始後、改質器内が温度T1になった時点で水素精製器へ改質ガスを供給し、その後、この温度T1よりも高温の温度T2(水素製造装置の定常運転時における改質器内温度)にまで改質器の温度を上昇させる。すなわち、起動直後の改質器から排出される利用不可能な水素濃度の低いガスを水素精製器へ供給し水素精製器内を流通して排出させることで水素精製器の吸着塔内の不純物を除去できる。これにより、改質器内温度が温度T2になる前に不純物の除去作業を開始することができるため、改質器内温度が温度T2になってから水素精製器へ改質ガスを供給する従来の方法に比べ、水素精製器から排出される精製ガスの純度が安定するまでの時間を容易かつ確実に短縮することができる。なお、「供給開始」とは、水素製造装置の起動後に初めて水素精製器へ改質ガスを供給することを意味する。「定常運転」とは、水素製造装置から純度が安定した水素ガスが供給される運転状態を意味する。また、「改質器内温度」とは、改質器内の改質触媒充填層の出口温度を意味する。
上記水素精製器が、メタン及び二酸化炭素の双方を吸着する吸着剤を有するとよい。上記改質ガスは、低温時には原料ガスの改質反応が少ないのでメタン濃度が高く二酸化炭素濃度が低く、高温時には原料ガスの改質反応が著しくなって二酸化炭素濃度が高くメタン濃度が低くなる。従って、このようにメタン及び二酸化炭素の双方を吸着する吸着剤を水素精製器が有することで、この吸着剤が低温(供給開始時)の改質ガスが水素精製器に供給される場合にはメタンを主に吸着し、高温(定常時)の改質ガスが水素精製器に供給される場合には二酸化炭素を主に吸着するため、当該水素製造装置の起動方法を用いて容易かつ確実に高純度水素ガスの供給までの時間を短縮することができる。また、メタン用の吸着剤と二酸化炭素用の吸着剤をそれぞれ個別に用意する必要がなくなるため、水素製造装置のコスト低減、省スペース等を促進することができる。
上記改質ガスを水素精製器に供給開始する改質器内温度T1としては、400℃以上700℃以下が好ましい。このように改質ガスを水素精製器に供給開始する際の改質器内温度T1を上記範囲内とすることで、水素精製器内の不純物を増加させることなく容易かつ確実に水素精製器から排出される精製ガスの純度が安定するまでの時間を短縮することができる。
上記水素精製器に供給開始する改質ガスの水素濃度としては、70モル%未満が好ましい。このように水素精製器に供給開始時の改質ガスの水素濃度を上記上限未満とすることで、容易かつ確実に水素精製器から排出される精製ガスの純度が安定するまでの時間を短縮することができる。
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、
炭化水素含有原料ガスの水蒸気改質により水素リッチな改質ガスを排出する改質器と、この改質ガス中の水素以外のガスをPSA方式によって吸着する水素精製器とを備える水素製造装置であって、
上記改質器が定常状態温度に到達する前の改質ガスを上記水素精製器に供給する制御手段を備えることを特徴とする。
当該水素製造装置は、改質ガスの生成開始後、改質器内温度が定常状態温度よりも低い状態で水素精製器へ改質ガスを供給する制御手段を備えているため、製造する水素ガスの純度が安定するまでの時間を短縮することができる。
以上説明したように、本発明の水素製造装置の起動方法及び水素製造装置は、エネルギー消費量を増加させることなく水素ガスの純度が安定するまでの時間を短縮できる。つまり、停止中に水素精製器に水素ガスを循環させる必要がなく、再起動時に吸着塔を再昇圧する必要もなく、起動時間の短縮を図ることができる。
本発明の実施形態に係る水素製造装置を示す概略図 図1の水素製造装置が有する水素精製器を示す概略図 本発明の水素製造装置の起動方法のフローチャート 実施例及び比較例のガス成分の時間変化を示すグラフ
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の水素製造装置及び水素製造装置の起動方法の実施形態を詳説する。
<水素製造装置>
図1の水素製造装置1は、炭化水素を含有する原料ガスAの水蒸気改質により水素リッチな改質ガスBを排出する改質工程を行う改質器2と、改質ガスB中の水素以外のガスをPSAによって吸着する水素精製工程を行う水素精製器3と、制御手段(図示せず)とを備える。
上記改質器2としては、例えば公知の水蒸気改質器と変成器とを組み合わせたものを用いることができる。また原料ガスAとしては、天然ガス等の炭化水素を含有するガスを用いることができる。上記改質器2における原料ガスAの反応はそれぞれ以下の化学式で表される改質反応及び変成反応で構成される。
(1)改質反応
+nHO→nCO+(m/2+n)H
(2)変成反応
CO+HO→CO+H
改質器2では、原料ガス供給ライン11から供給される原料ガスAを水蒸気改質器で改質反応により水蒸気で改質して水素および一酸化炭素を主成分とするガスとした後(上記式(1))、さらに変成器でこのガスを水蒸気で変成し水素リッチな改質ガスBを生成し排出する(上記式(2))。この改質ガスB中には、水素の他、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン等の未反応の天然ガス成分、水などの不純物が含まれる。
改質器2から排出される改質ガスBは、改質ガス供給弁V1及び改質ガス供給ライン12を通して水素精製器3に供給される。ただし、当該水素製造装置1の起動直後、すなわち改質器2に原料ガスAを供給開始直後は、改質器2内の温度が低く、吸熱反応である改質反応の進行が鈍く水素濃度の低い改質ガスBが排出される。この水素濃度の低い改質ガスBは改質ガス回収弁V2及び改質ガス回収ライン13を通してオフガスとして回収され、燃料ガスとして使用される。
上記水素精製器3は、改質ガスB中の上記不純物を吸着する吸着剤を充填した複数の吸着塔4a,4b,4cを有し、高純度の水素ガスCを排出する。これらの吸着塔4a,4b,4cは、それぞれ吸着、減圧、洗浄、昇圧、吸着一連の工程を順次切り替えて運転される。吸着塔内の圧力を減圧する工程及び水素ガスで洗浄する工程により、吸着した不純物を除去し、吸着剤を再生する。その後、吸着剤を再生した吸着塔を再び昇圧し水素精製に再び供する。当該水素製造装置1の運転中、いずれかの吸着塔が吸着工程となるように上記一連の工程をずらして切り替えることで、吸着と再生とを異なる吸着塔で同時に行うことが可能となり、連続的に水素ガスCを製造できる。
吸着塔4a,4b,4cには、改質ガスBの主な不純物である一酸化炭素、二酸化炭素、メタンを吸着可能な吸着剤が充填される。この吸着剤は各不純物をPSAで吸着可能なものであれば特に限定されない。但し、当該水素製造装置の起動方法においては、後述するように水素製造装置起動時のメタンの割合が高く二酸化炭素の割合が低い改質ガスBと、改質器2の定常運転時におけるメタンの割合が低く二酸化炭素の割合が高い改質ガスBとを共に精製できるように、メタンと二酸化炭素との双方を吸着可能な吸着剤を吸着塔4a,4b,4cに用いることが好ましい。このようなメタンと二酸化炭素との双方を吸着可能な吸着剤としては、炭素系の吸着剤を挙げることができ、具体的には例えば活性炭、CMS(カーボンモレキュラーシーブ)等を用いることができる。また、一酸化炭素の吸着剤としては、例えばゼオライト、シリカ、アルミナ、ポリスチレン系樹脂等を用いることができるが、特に多孔質シリカ、多孔質アルミナ、ポリスチレン系樹脂のうち1種以上の担体に、ハロゲン化銅(I)及び/又はハロゲン化銅(II)を担持させた材料、又はこの材料を還元処理したものを用いることが好ましい。このような材料は、一酸化炭素の吸着性能が大きいため、吸着剤使用量を削減できると共に、水素回収率の向上を図ることが出来る。
改質ガス導入ライン101は改質器2から排出された改質ガスBを水素精製器3へ導入するためのラインである。改質ガス導入ライン101と3つの吸着塔4a,4b,4cとはそれぞれ改質ガス導入弁V101,V102,V103を介して接続される。
オフガス排出ライン102は吸着塔4a,4b,4c内を減圧するために用いるラインである。オフガス排出ライン102は、3つの吸着塔4a,4b,4cとオフガス排出弁V104,V105,V106をそれぞれ介して接続される。このオフガス排出ライン102の下流には吸着塔4a,4b,4cの再生時に大気圧以下まで減圧するための真空ポンプ(図示せず)が接続される。
オフガス排出ライン102から排出される吸着塔4a,4b,4cのオフガスDは、バッファタンク等に一時的に貯蔵され、例えば改質器2の水蒸気生成用の燃料ガスとして用いることができる。具体的には、上記オフガスDをボイラ等で燃焼させることで改質用の蒸気を生成し、改質器2に導入する。
水素ガス回収ライン103は吸着塔4a,4b,4cで改質ガスBの不純物を除去して得た水素ガスCの回収ラインであり、3つの吸着塔4a,4b,4cとはそれぞれ水素ガス回収弁V107,V108,V109、第一流通弁V110,V111,V112、及び第二流通弁V113,V114,V115を介して接続される。回収した水素ガスCはバッファタンク等に一時的に貯蔵され、適宜使用に供される。なお、当該水素製造装置1の起動後、水素純度が安定する(一定値に達する)前の水素ガスCは、オフガスとして回収され、燃料ガスとして使用されるほか、改質ガスBと混合して再度水素精製器3に供給される。
上記水素ガス回収ライン103には、1つの吸着塔から上記水素ガス回収弁、第一流通弁、及び第二流通弁の3つの弁を介して3種のラインが接続されているため、1つの吸着塔から水素ガスCを回収しながら、他の1つの吸着塔に対して残りの吸着塔から水素ガスCを供給して、洗浄及び均圧(一方の吸着塔を減圧すると同時に他の吸着塔を昇圧し、水素回収する)を行うことができる。例えば第一の吸着塔4aがこれから再生工程に入る場合、第二の吸着塔4bに改質ガスBが供給され、不純物が除去された水素ガスCが第二の吸着塔4bの水素ガス回収弁V108を通して水素ガス回収ライン103から回収される一方で、第三の吸着塔4cでは第一の吸着塔4aとの均圧が行われる。この均圧は、第一の吸着塔4aの第二流通弁V113と第三の吸着塔4cの第二流通弁V115とを開とし、第一の吸着塔4aと第三の吸着塔4cとを接続することにより第一の吸着塔4aと第三の吸着塔4cとを均圧するものである。その後、第一の吸着塔4a内のガスを第一の吸着塔4aのオフガス排出弁V104を通して排出することで第一の吸着塔4aを減圧した後、第一流通弁V110から水素ガス回収ライン103より回収される水素ガスの一部を第一の吸着塔4aに供給することにより、第一の吸着塔4aの洗浄が行われる。この第一の吸着塔4aの洗浄中はオフガス排出弁V104を通して不純物を含んだガスをオフガスとして排出する。一方、第三の吸着塔4cでは改質ガス導入弁V103を開けることにより、改質ガスを導入して改質ガスの不純物の吸着除去を開始する。なお、適宜バッファタンクを設け水素ガスCを貯留し、このバッファタンクから水素ガスを供給して上記洗浄及び昇圧を行ってもよい。
なお、吸着塔4a,4b,4cの昇圧及び洗浄には別途水電解装置で製造した洗浄用水素ガスを供給してもよい。この水電解装置としては、プロトン伝導高分子膜を用いた固体高分子水電解装置やアルカリ水電解装置等が利用できる。
当該水素製造装置1が備える制御手段は、後述する水素製造装置の起動方法を実行する制御装置であり、具体的には、改質器内温度が定常状態温度に到達する前の改質ガスBを水素精製器3に供給するように制御する装置である。この制御装置としては公知のものを用いることができる。
<水素製造装置の起動方法>
本発明の水素製造装置の起動方法は、図3に示す手順で行われる。すなわち、まず改質器2に原料ガスA及び水蒸気を供給し、改質ガスBの生成(原料ガスAの改質)を開始する(手順S10)。この時点では改質器2から排出される改質ガスBは、改質ガス回収弁V2及び改質ガス回収ライン13を通してオフガスとして排出される。次に、改質器内温度が温度T1(以下、供給開始温度T1と呼称することがある)になった時点で水素精製器3へ改質ガスBを供給する(手順S20)。具体的には、改質ガス回収弁V2を閉じ、改質ガス供給弁V1を開けることで、改質ガスBを改質ガス供給ライン12を通して水素精製器3に供給する。その後、改質ガス内温度を水素製造装置1の定常運転時における温度T2(以下、定常供給温度T2と呼称することがある)まで上昇させる(手順S30)。なお、上記T1及びT2は下記式(1)を満たす。また、上記改質器内温度は改質器内の改質触媒充填層の出口温度を意味する。この改質触媒充填層の出口温度を計測することで改質ガスの組成を判断することができる。
T1<T2 ・・・(1)
上記供給開始温度T1の下限としては、400℃が好ましく、450℃がより好ましく、500℃がさらに好ましい。供給開始温度T1が上記下限未満の場合、改質器2において改質反応が進行せず、改質ガスBの不純物濃度(特に未反応のメタンの濃度)が極度に高くなって水素精製器3の洗浄が行えないばかりか、不純物濃度を高めるおそれがある。一方、供給開始温度T1の上限としては、700℃が好ましく、650℃がより好ましく、600℃がさらに好ましい。供給開始温度T1が上記上限を超える場合、改質器内の温度が供給開始温度T1に到達するまでの時間、すなわち改質ガスBを水素精製器3へ供給開始するまでの時間が長くなるため、当該水素製造装置1で製造される水素ガスCの純度が安定するまでの時間を十分に短縮することができない。
改質ガスBの水素精製器3への供給開始時の水素濃度は、70モル%未満が好ましく、65モル%未満がより好ましい。供給開始時の水素濃度が上記範囲を超える場合、改質ガスBを水素精製器3へ供給開始するまでに時間を要するため、当該水素製造装置1で製造される水素ガスCの純度が安定するまでの時間を短縮することができない。
上記定常供給温度T2の下限としては、720℃が好ましく、750℃がより好ましい。定常供給温度T2が上記下限未満の場合、改質器2における改質反応が十分ではなく、結果として得られる水素ガスCの純度が低下するおそれがある。一方、定常供給温度T2の上限としては、1000℃が好ましく、900℃がより好ましい。定常供給温度T2が上記上限を超える場合、得られる水素ガスCの純度が頭打ちとなる一方で消費エネルギーばかりが高くなるため、エネルギー効率が低下するおそれがある。
上記定常供給温度T2と供給開始温度T1との温度差の下限としては、10℃が好ましく、100℃がより好ましい。定常供給温度T2と供給開始温度T1との温度差が上記下限未満の場合、当該水素製造装置1で製造される水素ガスCの純度が安定するまでの時間を十分に短縮することができないおそれがある。一方、定常供給温度T2と供給開始温度T1との温度差の上限としては、400℃が好ましい。定常供給温度T2と供給開始温度T1との温度差が上記上限を超える場合、定常供給温度T1が低くなって改質ガスBの不純物濃度(特に未反応のメタンの濃度)が高まり水素精製器3内の不純物濃度を高めるおそれがあり、または定常供給温度T2が高くなって、消費エネルギーが大きくなりエネルギー効率が低下するおそれがある。
改質器内の温度が上記定常供給温度T2に達した後、水素精製器3から排出される水素ガスCの純度が安定した時点で、当該水素製造装置1が定常運転状態となり、当該水素製造装置1によって高純度の水素ガスCが供給される。
当該水素製造装置1の定常運転状態としては、例えば得られる水素ガスCの水素濃度が99.97モル%以上、メタン濃度が2モルppm以下、一酸化炭素濃度が0.2モルppm以下、二酸化炭素濃度が2モルppm以下となった状態とすることができる。
当該水素製造装置の起動方法においては、改質ガスBの生成(原料ガスAの供給)開始後、改質器内が温度T1になった時点で水素精製器3へ改質ガスBを供給し、その後、この温度T1よりも高温の温度T2(水素製造装置1の定常運転時における改質器内温度)にまで改質ガスBの温度を上昇させる。すなわち、起動直後の改質器2から排出される利用不可能な水素濃度の低い改質ガスBを水素精製器3へ供給し水素精製器内を流通して排出させることで水素精製器3の吸着塔4a,4b,4c内の不純物を除去できる。これにより、改質器内温度が温度T2になる前に不純物の除去作業を開始することができるため、水素精製器3から排出される水素ガスCの純度が安定するまでの時間を容易かつ確実に短縮することができる。
<その他の実施形態>
本発明の水素製造装置の起動方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、当該水素製造装置の起動方法で用いる水素製造装置は、上記実施形態のものに限定されず、例えば水素精製器が有する吸着塔の数は3に限定されず、2又は4以上であってもよい。但し、均圧操作によって効率よく吸着塔の再生及び昇圧を行うためには3以上の吸着塔を設けることが好ましい。
また、水素精製器は2段以上に分かれていてもよく、例えば一酸化炭素を吸着する第一の吸着塔群と、一酸化炭素以外の不純物を吸着する第二の吸着塔群とを有し、改質ガスをこの第一の吸着塔群及び第二の吸着塔群に直列で供給することで不純物を除去する方法を採用することもできる。
さらに、当該水素製造装置の起動方法は上述の制御装置により自動化して行うことが好適であるが、手動で行ってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
停止した状態の水素製造装置を用いて原料ガスを改質器に供給し、改質器の反応部の温度が500℃となった時点で水素精製器に改質ガスの供給を開始し、その後改質器内の温度を定常温度(750℃)まで上昇させた。原料ガスの供給開始時点から、水素精製器への改質ガス供給開始までの時間(改質器の反応部の温度が500℃なるまでの時間)は約20分であった。なお、原料ガスは都市ガス13Aを用いた。また、改質器内の圧力は0.75MPaG、原料ガスの流量は11.1NL/min、水蒸気流量は40.5NL/minとして原料ガスの改質を行った。さらに、水素精製器の吸着圧力は0.65MPaG、吸着塔の再生サイクルは5分とした。
改質ガスを水素精製器に供給開始した時点から水素精製器から排出される水素ガスの水素濃度、メタン濃度、一酸化炭素濃度、及び二酸化炭素濃度を計測した。結果を図4(a)に示す。
[比較例1]
停止した状態の水素製造装置を用いて原料ガスを改質器に供給し、改質器の反応部の温度が750℃となった時点で水素精製器に改質ガスの供給を開始し、改質器内の温度をそのまま定常に保った。原料ガスの供給開始時点から、水素精製器への改質ガス供給開始までの時間(改質器の反応部の温度が750℃なるまでの時間)は約45分であった。なお、原料ガス、改質器及び水素精製器の条件は実施例1と同様とした。
改質ガスを水素精製器に供給開始した時点から水素精製器から排出される水素ガスの水素濃度、メタン濃度、一酸化炭素濃度、及び二酸化炭素濃度を計測した。結果を図4(b)に示す。
[評価]
図4(a)に示されるように、実施例1は水素精製器に改質ガスを供給開始後約80分で水素ガスの純度が安定し製品として供給可能な状態(水素濃度99.97モル%以上、メタン濃度2モルppm以下、一酸化炭素濃度0.2モルppm以下、二酸化炭素濃度2モルppm以下)となった。従って、実施例1では水素製造装置の起動から製品利用可能な水素ガス供給開始までの時間は約100分である。一方、図4(b)に示されるように、比較例1は水素精製器に改質ガスを供給開始後約90分で水素ガスの純度が安定し製品として供給可能な状態となった。従って、比較例1では水素製造装置の起動から製品利用可能な水素ガス供給開始までの時間は約135分である。この結果から、実施例1では従来の起動方法である比較例1に対し約35分の時間を短縮できたことがわかる。
以上説明したように、当該水素製造装置の起動方法は、エネルギー消費量を増加させることなく水素ガスの純度が安定するまでの時間を短縮できるため、燃料電池等に水素を供給する水素製造装置に好適に用いることができる。
1 水素製造装置
2 改質器
3 水素精製器
4a,4b,4c 吸着塔
11 原料ガス供給ライン
12 改質ガス供給ライン
13 改質ガス回収ライン
101 改質ガス導入ライン
102 オフガス排出ライン
103 水素ガス回収ライン
A 原料ガス
B 改質ガス
C 水素ガス
D オフガス

Claims (5)

  1. 炭化水素含有原料ガスの水蒸気改質により水素リッチな改質ガスを排出する改質器と、この改質ガス中の水素以外のガスをPSA方式によって吸着する水素精製器とを備える水素製造装置の起動方法であって、
    上記改質ガスを水素精製器に供給開始する改質器内温度T1及び水素製造装置の定常運転時における改質器内温度T2が下記式(1)を満たし、
    上記水素製造装置の起動時から上記改質器内温度がT1となるまでは、上記改質器が排出するガスを回収する
    ことを特徴とする水素製造装置の起動方法。
    T1<T2 ・・・(1)
  2. 上記水素精製器がメタン及び二酸化炭素の双方を吸着する吸着剤を有する請求項1に記載の水素製造装置の起動方法。
  3. 上記改質ガスを水素精製器に供給開始する改質器内温度T1が400℃以上700℃以下である請求項1又は請求項2に記載の水素製造装置の起動方法。
  4. 上記水素精製器に供給開始する改質ガスの水素濃度が70モル%未満である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の水素製造装置の起動方法。
  5. 炭化水素含有原料ガスの水蒸気改質により水素リッチな改質ガスを排出する改質器と、この改質ガス中の水素以外のガスをPSA方式によって吸着する水素精製器とを備える水素製造装置であって、
    上記改質器が上記水素精製器に改質ガスを供給開始する温度に到達する前の上記改質器が排出するガスを回収する制御手段、及び
    上記改質器が定常状態温度に到達する前の改質ガスを上記水素精製器に供給する制御手段を備えることを特徴とする水素製造装置。
JP2013004319A 2013-01-15 2013-01-15 水素製造装置の起動方法及び水素製造装置 Active JP6068148B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013004319A JP6068148B2 (ja) 2013-01-15 2013-01-15 水素製造装置の起動方法及び水素製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013004319A JP6068148B2 (ja) 2013-01-15 2013-01-15 水素製造装置の起動方法及び水素製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014136655A JP2014136655A (ja) 2014-07-28
JP6068148B2 true JP6068148B2 (ja) 2017-01-25

Family

ID=51414383

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013004319A Active JP6068148B2 (ja) 2013-01-15 2013-01-15 水素製造装置の起動方法及び水素製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6068148B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7048321B2 (ja) * 2018-01-09 2022-04-05 東京瓦斯株式会社 水素製造制御装置、方法、及びプログラム
JP6983086B2 (ja) * 2018-03-06 2021-12-17 東京瓦斯株式会社 水素製造装置
JP7129329B2 (ja) * 2018-12-21 2022-09-01 東京瓦斯株式会社 水素製造装置、及び水素製造装置の洗浄方法、水素製造装置制御プログラム、及び水素製造システム

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002020102A (ja) * 2000-06-30 2002-01-23 Mitsubishi Kakoki Kaisha Ltd 水素製造装置の起動方法およびその停止方法
JP3947752B2 (ja) * 2005-06-07 2007-07-25 株式会社神戸製鋼所 高純度水素製造方法
US7699907B2 (en) * 2005-08-17 2010-04-20 Air Liquide Process & Construction, Inc. Apparatus and methods for gas separation
JP2007210835A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 Matsushita Electric Ind Co Ltd 水素生成装置及び燃料電池システム
JP2009179487A (ja) * 2008-01-29 2009-08-13 Honda Motor Co Ltd 水素製造システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014136655A (ja) 2014-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101501815B1 (ko) 고로가스의 분리방법 및 장치
JP5280824B2 (ja) 高純度水素製造装置
JP6523134B2 (ja) 水素ガス製造方法及び水素ガス製造装置
AU2015359777A1 (en) A process for the preparation of ultra-high purity carbon monoxide
JP2006342014A (ja) 高純度水素製造方法
JP2020529956A (ja) ガス状水素流の連続生産方法
JP5690165B2 (ja) Psa方式高純度水素製造方法
JP6068148B2 (ja) 水素製造装置の起動方法及び水素製造装置
JP4669506B2 (ja) ガス製造装置の停止方法
JP6667382B2 (ja) 水素ガス製造方法及び水素ガス製造装置
JP3947752B2 (ja) 高純度水素製造方法
JP2008063152A (ja) 高純度水素ガス製造用psa装置
BRPI0800378B1 (pt) Processo para separação seletiva de hidrogênio de pelo menos um componente mais intensamente passível de adsorção em uma pluralidade de leitos de adsorção
JP4959742B2 (ja) 消化ガスの脱酸素方法及び装置
JP5457854B2 (ja) 高純度水素の製造方法
JP6058472B2 (ja) 水素製造装置の使用方法及び水素製造装置
JP5357465B2 (ja) 高純度水素製造方法
JP5462763B2 (ja) 高純度水素ガス製造用psa装置の運転方法
JP6987099B2 (ja) ガス精製装置及びその制御方法、並びに水素製造装置
JP2007254229A (ja) 水素製造方法および水素製造装置
JP4236500B2 (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
JP6646526B2 (ja) 水素ガス製造方法及び水素ガス製造装置
JP4771668B2 (ja) 水素製造方法とその装置
JP2004299994A (ja) 水素製造装置
KR0160783B1 (ko) 메탄을 함유하지 않은 일산화탄소 가스의 분리방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160920

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6068148

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150