JP6064977B2 - 炭化珪素半導体装置 - Google Patents

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Description

この発明は、炭化珪素半導体装置に関するものである。
従来、パワーエレクトロニクス機器において、珪素(Si)で形成されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などのスイッチング素子が使用されていたが、珪素と比べて優れた物性を有する炭化珪素(SiC)で形成されたスイッチング素子の開発が盛んに行われている。
炭化珪素で形成されたMOSFETの例として、縦型MOSFETであるプレーナ型MOSFETやトレンチゲート型MOSFETがある。プレーナ型MOSFETは、ソース領域間に露出したドリフト層、ベース領域およびソース領域上にゲート絶縁膜が形成される(例えば、特許文献1参照)。
一方、トレンチゲート型MOSFETは、炭化珪素層に凹部であるトレンチを形成し、トレンチ内にゲートを形成したものである。ここで、トレンチは、トレンチの側面が炭化珪素層の表面に対してほぼ垂直になるように形成され、トレンチの側面および底面にゲート絶縁膜が形成される。よって、トレンチの側面において、ソース領域とゲート絶縁膜とが接触することとなる(例えば、特許文献2参照)。
これらのMOSFETにおいて、炭化珪素基板として、一方の面の面方位が(0001)面である炭化珪素基板を用いた場合、プレーナ型MOSFETでは、ドリフト層、ベース領域およびソース領域の(0001)面と、ゲート絶縁膜と、が接触する。トレンチゲート型MOSFETでは、トレンチの側面は、炭化珪素基板の表面に対してほぼ垂直であるため(11−20)面となり、ソース領域の(11−20)面と、ゲート絶縁膜と、が接触する。
また、一方の面の面方位が(11−20)面である炭化珪素基板を用いた場合、プレーナ型MOSFETでは、ドリフト層、ベース領域およびソース領域の(11−20)面と、ゲート絶縁膜と、が接触する。
尚、ここで、「(0001)面」は、炭化珪素のc軸と垂直な面の総称であり、(0001)面(「Si面」とも呼ばれる)と(000−1)面(「c面」とも呼ばれる)とを含む。また、「(11−20)面」は、炭化珪素のa軸(c軸と垂直な軸)と垂直(c軸と平行)な面(「a面」とも呼ばれる)の総称であり、(2−1−10)面、(11−20)面、(−12−10)面、(−2110)面、(−1−120)面、(1−210)面などを含む。
特開2005−116893号公報(第4頁、図1) 特開平10−98188号公報(第4〜5頁、図1)
これらのような炭化珪素半導体装置において、ゲート絶縁膜の信頼性寿命にかかわるリーク特性について、(0001)面上のゲート絶縁膜と(11−20)面上のゲート絶縁膜とで違いがあるかどうかは、これまで詳しく調べられていなかった。また、ソース領域などの不純物濃度が高い領域上のゲート絶縁膜と、ドリフト層などの不純物濃度が低い領域上のゲート絶縁膜と、でリーク特性に違いがあるかどうかについても詳しく調べられていなかった。
そこで、n型の不純物濃度が1019cm−3台である炭化珪素層の(11−20)面上にゲート絶縁膜を形成したサンプル(以下「サンプルA」という)、n型の不純物濃度が1019cm−3台である炭化珪素層の(0001)面上にゲート絶縁膜を形成したサンプル(以下「サンプルB」という)、n型の不純物濃度が1016cm−3台である炭化珪素層の(0001)面上にゲート絶縁膜を形成したサンプル(以下「サンプルC」という)、について、ゲート絶縁膜のリーク特性を調べた。尚、ここでは、n型の不純物としては窒素を使用し、ゲート絶縁膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって二酸化珪素(SiO)膜を堆積することにより形成した。また、ゲート絶縁膜形成後に窒化処理を行った。
図1は、上述の3つのサンプルについてリーク特性を調べた結果を示すグラフであり、ゲート絶縁膜に印加した電界強度とリーク電流密度との関係を示すグラフである。図1において、横軸は、ゲート絶縁膜に印加した電界強度を示し、縦軸は、リーク電流密度を示す。そして、図1において、Aは、サンプルAのリーク特性、Bは、サンプルBのリーク特性、Cは、サンプルCのリーク特性をそれぞれ示している。
図1から分かるように、n型の不純物濃度が1019cm−3台である炭化珪素層の(11−20)面上のゲート絶縁膜(サンプルA)では、2〜3MV/cmの電界が印加された段階でリーク電流が流れ始めた。また、(11−20)面上のゲート絶縁膜(サンプルA)は、(0001)面上のゲート絶縁膜(サンプルB)と比較して、2〜3桁程度リーク電流密度が高い値となった。ゲートの通常のオン動作時に3MV程度またはそれ以上の電界がゲート絶縁膜にかかるため、n型の不純物濃度が1019cm−3台である炭化珪素層の(11−20)面上のゲート絶縁膜の信頼性寿命が短くなる懸念がある。さらに、サンプルBとサンプルCとの比較から、炭化珪素層の面方位が同じ(0001)面であっても、不純物濃度が高い炭化珪素層上のゲート絶縁膜の方がリーク電流密度は高くなることが分かった。尚、ここでは、ゲート絶縁膜はCVD法により形成した堆積膜であるが、ゲート絶縁膜を熱酸化膜で形成しても同様の結果が得られる。
以上の結果から、炭化珪素層の(0001)面上のゲート絶縁膜よりも(11−20)面上のゲート絶縁膜の方がリーク特性は悪く、さらに、不純物濃度がより高い炭化珪素層上のゲート絶縁膜の方がリーク特性は悪くなることが分かった。つまり、ゲート絶縁膜の信頼性寿命は、ドリフト層等よりも不純物濃度が高く設定されるソース領域の(11−20)面上に形成された部位の信頼性寿命により律速されるという問題点があることが分かった。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、ソース層の(11−20)面上に形成されたゲート絶縁膜のリーク電流密度をより低く抑えることができる炭化珪素半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
この発明に係る炭化珪素半導体装置は、一方の面の面方位が(0001)面である炭化珪素基板と、炭化珪素基板の一方の面上に形成された第1導電型の炭化珪素ドリフト層と、炭化珪素ドリフト層の表面を含む箇所に形成された第2導電型の炭化珪素ベース層と、炭化珪素ベース層の表面を含む箇所に形成された第1導電型の炭化珪素ソース層と、炭化珪素ソース層の表面から炭化珪素ベース層を貫通して形成され、(11−20)面を側面とする凹部と、凹部の側面および底面に形成されたゲート絶縁膜と、凹部の内部を満たすように、ゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、炭化珪素ソース層と接触して形成されたソース電極と、凹部の底面に形成されたゲート絶縁膜と接触して、炭化珪素ドリフト層に形成された第2導電型のゲート絶縁膜保護層とを備え、炭化珪素ソース層は、ゲート絶縁膜と接触して形成された第1ソース領域と、ソース電極と接触し、かつゲート絶縁膜と離れて形成され、不純物濃度が第1ソース領域の不純物濃度より高く設定された第2ソース領域とを有し、ゲート絶縁膜保護層は、ゲート絶縁膜と接触して形成された第1保護領域と、第1保護領域よりも深い部位に形成され、不純物濃度が第1保護領域の不純物濃度よりも高く設定された第2保護領域とを有することを特徴とする。
この発明に係る炭化珪素半導体装置によれば、ソース層の(11−20)面上に形成されたゲート絶縁膜のリーク電流密度をより低く抑えることができ、(11−20)面を側面とする凹部内に形成されたゲート絶縁膜の信頼性を向上することができる。
ゲート絶縁膜に印加した電界強度とリーク電流密度との関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態2における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態2における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態2における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態2におけるゲート絶縁膜に印加した電界強度とリーク電流密度との関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態3における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態3における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態4における炭化珪素半導体装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態4における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態4におけるゲート絶縁膜保護層の深さ方向の不純物濃度プロファイルである。 この発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置の製造方法の一部を示す断面図である。 この発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置1aの構成を説明する。図2は、この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置1aを示す断面図である。ここでは、炭化珪素半導体装置1aの一例として、トレンチゲート型MOSFETについて説明する。また、以下では、n型を第1導電型、p型を第2導電型として説明する。
図1において、n型の炭化珪素基板2の一方の面3上に、n型の炭化珪素ドリフト層6が形成されている。ここで、炭化珪素基板2の一方の面3の面方位は(0001)面である。尚、「(0001)面」は、炭化珪素のc軸方向の面の総称であり、(0001)面(「Si面」とも呼ばれる)と(000−1)面(「c面」とも呼ばれる)とを含む。
炭化珪素ドリフト層6の表面側には、炭化珪素ドリフト層6の表面を含むようにp型の炭化珪素ベース層7が形成されている。また、炭化珪素ベース層7の表面側には、炭化珪素ベース層7の表面を含むようにn型の炭化珪素ソース層8が形成されている。炭化珪素ソース層8は、第1ソース領域11および第2ソース領域12を有し、第1ソース領域11の不純物濃度は、第2ソース領域12の不純物濃度よりも低く設定されている。
そして、炭化珪素ソース層8の表面から炭化珪素ベース層7を貫通して炭化珪素ドリフト層6にまで達するように、凹部であるトレンチ13が形成されている。
トレンチ13の側面16は、炭化珪素基板2の一方の面3と垂直、つまり炭化珪素ソース層8の表面と垂直になるように形成されるため、(11−20)面となっている。従って、トレンチ13の側面16は、炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11、炭化珪素ベース層7および炭化珪素ドリフト層6の(11−20)面で形成される。
尚、「(11−20)面」は、炭化珪素のa軸(c軸と垂直な軸)と垂直(c軸と平行)な面(「a面」とも呼ばれる)の総称であり、(2−1−10)面、(11−20)面、(−12−10)面、(−2110)面、(−1−120)面、(1−210)面などを含む。
トレンチ13の底面17は、炭化珪素基板2の一方の面3と平行に、つまり炭化珪素ドリフト層6の表面と平行に形成されるため、(0001)面となっている。よって、トレンチ13の底面17は、炭化珪素ドリフト層6の(0001)面で形成される。
トレンチ13の内面、即ち、側面16上および底面17上には、ゲート絶縁膜18が形成されている。よって、炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11、炭化珪素ベース層7および炭化珪素ドリフト層6の(11−20)面とゲート絶縁膜18とが接触し、炭化珪素ドリフト層6の(0001)面とゲート絶縁膜18とが接触することとなる。
そして、トレンチ13の内部を満たすように、ゲート絶縁膜18上にはゲート電極21が形成され、ゲート電極21を上側から覆うように層間絶縁膜22が形成されている。炭化珪素ソース層8の第2ソース領域12上には、第2ソース領域12と接触してソース電極23が形成されている。また、炭化珪素基板2の他方の面26には、ドレイン電極27が形成されている。
次に、この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置1aの製造方法について説明する。図3〜図9は、それぞれ、この発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置1aの製造方法の一部を示す断面図である。
まず、一方の面3の面方位が(0001)面であり、4Hのポリタイプを有し、n型で低抵抗の炭化珪素基板2を準備する。そして、図3に示すように、炭化珪素基板2の一方の面3上に、CVD法により、n型の不純物濃度が例えば1×1015〜1×1017cm−3で、5〜50μmの厚さの炭化珪素ドリフト層6をエピタキシャル成長する。尚、炭化珪素基板2のポリタイプは、4Hには限らず、6Hや3Cなど他のものでもよい。
以下で、イオン注入を行う工程について説明するが、イオン注入するn型の不純物としては、例えば窒素、リン、ヒ素などを用い、p型の不純物としては、例えばアルミニウム、ホウ素、ガリウムなどを用いる。
次に、図4に示すように、炭化珪素ドリフト層6の表面側から、p型の不純物をイオン注入し、炭化珪素ドリフト層6の表面を含む箇所にp型の炭化珪素ベース層7が形成する。
イオン注入するp型の不純物濃度は、MOSFETのオフ状態時に炭化珪素ドリフト層6と炭化珪素ベース層7と炭化珪素ソース層8でのパンチスルーを防止するため、1×1017〜1×1019cm−3の範囲で炭化珪素ドリフト層6のn型の不純物濃度を超えるものとする。また、イオン注入の深さは、0.5〜3μm程度とし、炭化珪素ドリフト層6の厚さを超えないものとする。
次に、炭化珪素ベース層7の表面を含む箇所に炭化珪素ソース層8を形成する工程について説明する。まず、炭化珪素ベース層7の表面にレジストによってマスクを形成し、炭化珪素ベース層7の表面側から、n型の不純物をイオン注入する。これにより、炭化珪素ベース層7の表面を含む箇所に炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11が形成される。レジストを除去した後の断面図を図5に示す。
次に、炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11および炭化珪素ベース層7の表面にレジストによってマスクを形成し、n型の不純物をイオン注入する。これにより、炭化珪素ベース層7の表面を含む箇所に炭化珪素ソース層8の第2ソース領域12が形成される。つまり、これにより、炭化珪素ベース層7の表面を含む箇所に炭化珪素ソース層8が形成されたこととなる。レジストを除去した後の断面図を図6に示す。
ここで、イオン注入するn型の不純物濃度は、第2ソース領域12では、1×1018〜1×1021cm−3の範囲で炭化珪素ベース層7のp型の不純物濃度を超えるものとする。これにより、ソース電極23と良好なコンタクトが得られる。そして、第1ソース領域11の不純物濃度は、第2ソース領域12の不純物濃度よりも低く、かつ、炭化珪素ベース層7のp型の不純物濃度を超えるように設定するが、できるだけ不純物濃度を低く設定する方が好ましい。また、炭化珪素ソース層8となる第1ソース領域11および第2ソース領域12のイオン注入の深さは、炭化珪素ベース層7の厚さを超えないものとする。
次に、炭化珪素ソース層8および炭化珪素ベース層7の表面にCVD法により二酸化珪素を堆積し、マスクを形成する。そして、このマスクを使用して炭化珪素ソース層8、炭化珪素ベース層7および炭化珪素ドリフト層6を異方性エッチングすることにより、凹部であるトレンチ13を形成する。二酸化珪素のマスクを除去した後の断面図を図7に示す。尚、エッチング用のマスクは二酸化珪素に限ることはなく、例えば蒸着などで金属膜を形成してマスクとしてもよい。
トレンチ13の深さは0.5〜3μm程度とし、炭化珪素ソース層8の表面から炭化珪素ベース層7を貫通して炭化珪素ドリフト層6にまで達するように形成する。トレンチ13の側面16は、炭化珪素基板2の一方の面3と垂直、つまり炭化珪素ソース層8の表面と垂直になるように、そして、トレンチの底面17は、炭化珪素基板2の一方の面3と平行に、つまり炭化珪素ドリフト層6の表面と平行になるように形成する。これにより、トレンチ13の側面16は、炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11、炭化珪素ベース層7および炭化珪素ドリフト層6の(11−20)面で形成され、トレンチ13の底面17は、炭化珪素ドリフト層6の(0001)面で形成される。
次に、熱処理装置を用いて、例えばアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で、1300〜1900℃の範囲で30秒〜1時間のアニールを行う。このアニールにより、イオン注入されたアルミニウムや窒素などの不純物イオンが電気的に活性化される。
次に、図8に示すように、トレンチ13の内面、即ち、側面16および底面17と、炭化珪素ソース層8上と、炭化珪素ベース層7上と、に所望の膜厚のゲート絶縁膜18を形成する。トレンチ13の側面16にゲート絶縁膜18が形成されるため、炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11、炭化珪素ベース層7および炭化珪素ドリフト層6の(11−20)面とゲート絶縁膜18とが接触することとなる。
ここで、ゲート絶縁膜18は、CVD法などにより二酸化珪素(SiO)膜を堆積することによって、または、炭化珪素の表面を熱酸化することにより二酸化珪素膜を形成することによって形成する。尚、この後に窒化処理を行うとSiOはSiONとなるため、ここでSiO膜ではなく、SiON膜を直接形成してもよい。また、炭化珪素と接触する側がSiOまたはSiONである多層膜でもよく、Alなどの金属酸化膜やSiNなどを積層してもよい。つまり、ゲート絶縁膜18は酸化珪素を主成分とするものであればよい。
次に、熱処理装置を用いて、一酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(NO)またはアンモニア(NH)を含む雰囲気中で熱処理を行い、窒化処理を行う。その後に、HOやH雰囲気中でさらに熱処理を行ってもよい。
次に、図9に示すように、ゲート絶縁膜18と接触し、トレンチ13の内部を満たすように、ゲート電極21を形成する。ゲート電極21は、導電性を有する多結晶珪素膜をCVD法によって形成し、パターニングすることにより形成する。
次に、ゲート電極21を上側から覆うように層間絶縁膜22をCVD法により形成する。そして、ソース電極23を形成する領域の層間絶縁膜22およびゲート絶縁膜18を除去する。そして、炭化珪素ソース層8の第2ソース領域12と接触するようにソース電極23を形成し、炭化珪素基板2の他方の面26にドレイン電極27を形成する。ソース電極23およびドレイン電極27は、スパッタリング法や蒸着法などによって形成され、材料としては、アルミニウム合金などを用いる。以上で、図2に示すこの発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置1aが完成する。
この発明の実施の形態1では、以上のような構成としたことにより、炭化珪素ソース層8の(11−20)面上に形成されたゲート絶縁膜18のリーク電流密度をより低く抑えることができる。これにより、ゲート絶縁膜18の信頼性寿命を延ばすことができるという効果がある。さらに、不純物濃度が低い第1ソース領域11を設けてゲート絶縁膜18のリーク電流密度を低く抑える一方で、不純物濃度が高い第2ソース領域12を設けたため、ソース電極23と炭化珪素ソース層8との間には良好なコンタクトが得られる。
また、炭化珪素半導体装置1aを作製する際は、一方の面3の面方位が(0001)面である炭化珪素基板2を使用することが多いため、炭化珪素ソース層8および炭化珪素ベース層7の(11−20)面を側面16、炭化珪素ドリフト層6の(0001)面を底面17とするトレンチ13を備え、トレンチ13の側面16および底面17にゲート絶縁膜18が形成されたトレンチゲート型の炭化珪素半導体装置において、特に有効である。
また、酸化珪素を主成分とする熱酸化膜または堆積膜によりゲート絶縁膜18を形成することにより、容易にゲート絶縁膜18を形成することができる。
また、第1ソース領域11を炭化珪素ベース層7へのイオン注入によって形成することにより、容易に第1ソース領域11を形成することができる。さらに、第2にソース領域12を第1ソース領域11へのイオン注入によって形成することにより、容易に第2ソース領域を形成することができる。
尚、この発明の実施の形態1では、炭化珪素基板2の一方の面3の面方位が(0001)面であるものを用いた。しかし、厳密に(0001)面と一致していなくとも、(0001)面とほぼ平行であればよい。
また、トレンチ13の側面16が、炭化珪素基板2の一方の面3と垂直に、つまり炭化珪素ソース層8の表面と垂直になるように形成した。しかし、厳密に垂直である必要はなく、ほぼ垂直であればよい。即ち、トレンチ13の側面16は、厳密に(11−20)面と一致していなくとも、(11−20)面とほぼ平行な面になっていれば効果が得られる。
トレンチ13の底面17が、炭化珪素基板2の一方の面3と平行に、つまり炭化珪素ドリフト層6の表面と平行になるように形成し、底面17が(0001)面となるようにした。しかし、トレンチ13の底面17は、炭化珪素基板2の一方の面3と厳密に平行である必要も、ほぼ平行である必要もない。即ち、トレンチ13の底面17は、(0001)面と一致していなくてもよく、平面である必要もない。例えば曲面で形成されていてもよい。
さらに、この発明の実施の形態1では、トレンチ13の深さを、炭化珪素ドリフト層6の一部までエッチングする深さに設定したが、炭化珪素ベース層7を除去してちょうど炭化珪素ドリフト層6の表面が露出する深さまでとしてもよい。従って、トレンチ13の底面17は、n型の炭化珪素ドリフト層6の表面で形成されていればよく、トレンチ13の側面16は、炭化珪素ドリフト層6の面を含まずに第1ソース領域11および炭化珪素ベース層7の面だけで形成されていてもよい。
また、この発明の実施の形態1では、炭化珪素ソース層8に不純物濃度の異なる第1ソース領域11と第2ソース領域12の2つの領域を設けた。しかし、不純物濃度の異なる3つ以上の領域としてもよい。この場合、ゲート絶縁膜18と接触する領域の不純物濃度はできるだけ低くし、ソース電極23と接触する領域の不純物濃度は良好なコンタクトが得られる濃度とする。
この発明の実施の形態1では、炭化珪素ソース層8に不純物濃度が明確に異なる第1ソース領域11と第2ソース領域12の2つの領域を設けたが、例えばゲート絶縁膜18から遠ざかりソース電極23に近づくにつれて連続的に不純物濃度が高くなるようにしてもよい。
尚、この発明の実施の形態1では、ソース電極23と炭化珪素ベース層7のコンタクトを取るために、ソース電極23が炭化珪素ソース層8の第2ソース領域12と炭化珪素ベース層7の両方に接触するように形成した。ソース電極23と炭化珪素ベース層7とのコンタクトをより良好なものとしたい場合は、炭化珪素ベース層7のソース電極23と接触する領域に、より高濃度のp型のベースコンタクト領域を設ければよい。また、ソース電極23が第2ソース領域12のみに接触して炭化珪素ベース層7に接触しなくとも、デバイスとしては動作するため、そのようにしてもよい。
また、この発明の実施の形態1では、炭化珪素ベース層7の表面を含む箇所に炭化珪素ソース層8を形成する工程において、炭化珪素ベース層7の表面にレジストによってマスクを形成してイオン注入を行い、第1ソース領域11を形成した。しかし、ここでマスクを形成せずに、炭化珪素ベース層7の全面にイオン注入を行ってもよい。こうすることで、マスクを形成する工程を減らすことができ、コストを下げることができる。
この発明の実施の形態1では、炭化珪素ソース層8を形成する工程において、まず第1ソース領域11を形成し、その後、第2ソース領域12を形成した。しかし、この順序は逆でもよく、炭化珪素ベース層7の表面にマスクを形成して、まず第2ソース領域12となる領域にイオン注入を行い、その後、第1ソース領域11となる領域にイオン注入してもよい。
また、第1ソース領域11については、トレンチ13を形成した後に、トレンチ13の形成に使用したマスクを除去する前に、トレンチ13の側面16側から斜め方向にイオン注入を行って形成してもよい。
この発明の実施の形態1では、p型の不純物をイオン注入することにより、炭化珪素ドリフト層6の表面を含む箇所にp型の炭化珪素ベース層7を形成した。しかし、イオン注入の代わりに、炭化珪素ドリフト層6の表面上に、即ち、炭化珪素ドリフト層6の表面を含む箇所に、CVD法によりエピタキシャル成長することによって炭化珪素ベース層7を形成してもよい。この場合も、炭化珪素ベース層7の不純物濃度や厚さは、イオン注入によって形成する場合と同様とすればよい。
尚、この発明の実施の形態1では、n型を第1導電型、p型を第2導電型とした。しかし、逆にp型を第1導電型、n型を第2導電型としても同様である。
また、この発明の実施の形態1では、炭化珪素半導体装置1aの一例として、一方の面3の面方位が(0001)面である炭化珪素基板2を用いたトレンチゲート型MOSFETについて説明した。しかし、一方の面3の面方位が(11−20)面である炭化珪素基板2を用いたプレーナ型MOSFETにおいても、ゲート絶縁膜18が炭化珪素ソース層8の(11−20)面と接触するため、炭化珪素ソース層8のゲート絶縁膜18と接触する領域を第1ソース領域11とし、炭化珪素ソース層8のソース電極23と接触する領域を第2ソース領域12とすれば同様の効果が得られる。
この発明の実施の形態1では、縦型MOSFETについて説明したが、炭化珪素ソース層8に第1ソース領域11および第2ソース領域12を形成することは、横型MOSFETにも適用でき、同様の効果が得られる。また、MOSFETにも限らず、例えばIGBTなどにも適用できる。
実施の形態2.
図10〜図12は、それぞれ、この発明の実施の形態2における炭化珪素半導体装置1aの製造方法の一部を示す断面図である。図10において図5と同じ符号を付けたもの、図11において図6と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。この発明の実施の形態1とは、炭化珪素ソース層8となる部位をエピタキシャル成長によって形成する点が相違している。
この発明の実施の形態2における炭化珪素半導体装置1aの製造方法について説明する。尚、ここでは、この発明の実施の形態1と同様の部分については説明を省略する。
まず、図4に示す、炭化珪素ドリフト層6の表面を含む箇所にp型の炭化珪素ベース層7を形成する工程までは、この発明の実施の形態1と同様である。尚、炭化珪素ベース層7は、エピタキシャル成長によって形成してもよい。
次に、図10に示すように、炭化珪素ベース層7の表面上に、即ち、炭化珪素ベース層7の表面を含む箇所に、CVD法によりエピタキシャル成長することによって炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11を形成する。
この発明の実施の形態1のように炭化珪素ソース層8を炭化珪素ベース層7へのイオン注入で形成する場合は、炭化珪素ソース層8の不純物濃度の下限値が、炭化珪素ベース層7の不純物濃度によって制限される。しかし、この発明の実施の形態2では、炭化珪素ソース層8をエピタキシャル成長によって形成することにより、炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11の不純物濃度を、炭化珪素ベース層7の不純物濃度に制限されることなく、より低い値とすることができる。例えば1×1016cm−3以下に設定することも容易であり、1014cm−3台に設定することも可能である。
次に、炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11の表面にレジストによってマスクを形成し、n型の不純物をイオン注入する。これにより、炭化珪素ソース層8の第2ソース領域12が形成される。レジストを除去した後の断面図を図11に示す。
次に、第1ソース領域11および第2ソース領域12の表面にレジストによってマスクを形成し、p型の不純物をイオン注入する。これにより、ソース電極23と炭化珪素ベース層7とのコンタクトを取るためのベースコンタクト領域28が形成される。レジストを除去した後の断面図を図12に示す。
ここで、イオン注入するp型の不純物濃度は、1×1020〜1×1022cm−3の範囲で第1ソース領域11のn型の不純物濃度を超えるものとする。また、イオン注入の深さは、炭化珪素ソース層8の厚さを超え、炭化珪素ベース層7にまで到達する深さとする。
次に、トレンチ13を形成する工程を行い、その後の工程はこの発明の実施の形態1と同様である。尚、ソース電極23を形成する工程では、第2ソース領域12およびベースコンタクト領域28の表面上にソース電極23を形成する。
この発明の実施の形態2では、以上のように炭化珪素ソース層8をエピタキシャル成長によって形成したことにより、炭化珪素ソース層8の第1ソース領域11の不純物濃度を、炭化珪素ベース層7の不純物濃度に制限されることなく、より低い値とすることができる。第1ソース領域11の不純物濃度をより低く設定することによって、炭化珪素ソース層8の(11−20)面上に形成されたゲート絶縁膜18のリーク電流密度をより低く抑えることができる。これにより、ゲート絶縁膜18の信頼性寿命をさらに延ばすことができるという効果がある。
次に、n型の不純物濃度が1016cm−3台である炭化珪素層の(11−20)面上にゲート絶縁膜を形成したサンプル(以下「サンプルD」)と、n型の不純物濃度が1019cm−3台である炭化珪素層の(11−20)面上にゲート絶縁膜を形成したサンプル(サンプルA)、についてゲート絶縁膜のリーク特性を調べた実験結果を説明する。
図13は、この発明の実施の形態2におけるゲート絶縁膜に印加した電界強度とリーク電流密度との関係を示すグラフである。図13において、横軸は、ゲート絶縁膜に印加した電界強度を示し、縦軸は、リーク電流密度を示す。そして、図13において、Dは、サンプルDのリーク特性、Aは、サンプルAのリーク特性をそれぞれ示している。尚、図13におけるAと図1におけるAは、同じサンプルAのデータである。
また、ここでは、各サンプルにおいて、n型の不純物としては窒素を使用し、ゲート絶縁膜は、CVD法によって二酸化珪素膜を堆積することにより形成した。また、ゲート絶縁膜形成後に窒化処理を行った。
図13から分かるように、炭化珪素層の不純物濃度が1019cm−3台であるサンプルDでは、不純物濃度が1016cm−3台であるサンプルAと比較して、リーク電流密度が桁単位で低くなった。よって、炭化珪素層の不純物濃度がより低い方がリーク電流密度を低くすることができる、つまり、ゲート絶縁膜の信頼寿命を延ばすことができることがさらに明確となった。
尚、この発明の実施の形態2では、この発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略した。
実施の形態3.
図14および図15は、それぞれ、この発明の実施の形態3における炭化珪素半導体装置1aの製造方法の一部を示す断面図である。図14および図15において図12と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。この発明の実施の形態2とは、ベースコンタクト領域28の設け方が相違している。
この発明の実施の形態3における炭化珪素半導体装置1aの製造方法について説明する。尚、ここでは、この発明の実施の形態1および2と同様の部分については説明を省略する。
まず、図11に示す、炭化珪素ソース層8の第2ソース領域12を形成する工程までは、この発明の実施の形態1および2と同様である。つまり、ここでは、炭化珪素ベース層7はエピタキシャル成長によって形成されている。
次に、第1ソース領域11および第2ソース領域12の表面上にマスクを形成し、図14に示すように、n型の炭化珪素層をエッチングして、炭化珪素ベース層7が露出するようにする。
次に、図15に示すように、前の工程で炭化珪素ベース層7が露出した箇所に、p型の不純物をイオン注入する。これにより、ソース電極23と炭化珪素ベース層7とのコンタクトを取るためのベースコンタクト領域28が形成される。
ここで、イオン注入するp型の不純物濃度は、1×1020〜1×1022cm−3の範囲で炭化珪素ベース層7の不純物濃度を超えるものとする。また、イオン注入の深さは、炭化珪素ベース層7の厚さを超えない深さとする。
次に、トレンチ13を形成する工程を行い、その後の工程はこの発明の実施の形態1と同様である。尚、ソース電極23を形成する工程では、第2ソース領域12およびベースコンタクト領域28の表面上にソース電極23を形成する。
この発明の実施の形態3では、以上のような構成としたことにより、この発明の実施の形態2と同様の効果が得られる。
尚、この発明の実施の形態3では、この発明の実施の形態1および2と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略した。
実施の形態4.
図16は、この発明の実施の形態4における炭化珪素半導体装置1bを示す断面図である。図16において、図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。この発明の実施の形態1とは、ゲート絶縁膜18のトレンチ13の底面17に形成された部位と接触するように、炭化珪素ドリフト層6に、p型のゲート絶縁膜保護層31を形成した構成が相違している。
このゲート絶縁膜保護層31は、第1保護領域32および第2保護領域33を有し、第1保護領域32の不純物濃度が、第2保護領域33の不純物濃度よりも低く設定されている。第1保護領域32は、ゲート絶縁膜18と接触するように形成され、第2保護領域33は、第1保護領域32よりも深い部位に形成されている。
尚、図16では、ゲート絶縁膜保護層31に不純物濃度が明確に異なる第1保護領域32と第2保護領域33の2つの領域を設けたが、例えばゲート絶縁膜18から遠ざかり深さ方向に進むにつれて連続的に不純物濃度が高くなるようにしてもよい。
次に、この発明の実施の形態4における炭化珪素半導体装置1bの製造方法について説明する。図17は、この発明の実施の形態4における炭化珪素半導体装置1bの製造方法の一部を示す断面図である。尚、ここでは、この発明の実施の形態1と同様の部分については説明を省略する。
まず、図7に示す、トレンチ13を形成する工程までは、この発明の実施の形態1と同様である。
次に、図17に示すように、p型のゲート絶縁膜保護層31を形成する。具体的には、トレンチ13の形成に用いたマスクを除去せずにそのまま使用して、p型の不純物をイオン注入する。
図18は、この発明の実施の形態4におけるゲート絶縁膜保護層31の深さ方向の不純物濃度プロファイルである。図18において、横軸は、炭化珪素ドリフト層6の表面からの深さを示し、縦軸は、不純物濃度を示す。イオン注入によって、図18に示すように、深さ方向に進むにつれて不純物濃度が連続的に増加し、あるところでピークに達し、さらに深さ方向に進むと連続的に減少するようなプロファイルとすることができる。
ここで、炭化珪素ドリフト層6の表面付近の不純物濃度が低い領域が第1保護領域32に相当し、不純物濃度がピークとなる領域付近が第2保護領域33に相当することとなる。よって、イオン注入でゲート絶縁膜保護層31を形成することによって、一度のイオン注入工程で第1保護領域32および第2保護領域33を形成することができる。尚、ここでは、一度のイオン注入工程で第1保護領域32と第2保護領域とを形成したが、別々のイオン注入工程で形成してもよい。
イオン注入する不純物濃度は、第2保護領域33が1×1017〜1×1019cm−3の範囲で炭化珪素ドリフト層6のn型の不純物濃度を超えるものとする。第2保護領域33の厚さは、0.5〜1μm程度であればよい。第1保護領域32の不純物濃度は、注入条件にもよるが、1×1017cm−3以下まで低くすることができる。
次に、この発明の実施の形態1と同様に、アニールを行い、イオン注入されたアルミニウムや窒素などの不純物イオンを電気的に活性化する。
次に、ゲート絶縁膜保護層31を形成する際のイオン注入によって、トレンチ13の側面16にイオン注入されてしまった領域を除去するために、熱酸化を行い、その後、トレンチ13の内面をウェットエッチングする。ゲート絶縁膜保護層31の形成時のイオン注入条件にもよるが、50〜100nm程度除去すればよい。
次に、ゲート絶縁膜18を形成する工程を行い、その後の工程はこの発明の実施の形態1と同様である。
この発明の実施の形態4では、以上のように、炭化珪素ドリフト層6に、トレンチ13の底面17に形成されたゲート絶縁膜18と接触してp型のゲート絶縁膜保護層31を形成したことにより、トレンチ13の底面17に形成されたゲート絶縁膜18への電界集中を緩和することができ、耐圧を向上させることができる。
また、図1に示すサンプルBとサンプルCの比較から分かるように、不純物濃度が高い炭化珪素層上に形成されたゲート絶縁膜18は、リーク電流密度が高くなる。よって、ゲート絶縁膜保護層31の不純物濃度を高濃度にすると、ゲート絶縁膜保護層31と接触するゲート絶縁膜18の部位においてリーク電流密度が高くなる。
この発明の実施の形態4では、ゲート絶縁膜保護層31が、ゲート絶縁膜18と接触して形成された第1保護領域32と、第1保護領域32よりも深い部位に形成された第2保護領域33と、を有し、第1保護領域32の不純物濃度が、第2保護領域33の不純物濃度よりも低く設定したことにより、ゲート絶縁膜保護層31と接触するゲート絶縁膜18の部位においてリーク電流密度を低く抑えることができる。これにより、ゲート絶縁膜18の信頼性寿命を延ばすことができ、高耐圧で長寿命の炭化珪素半導体装置1bを得ることができる。
さらに、一度のイオン注入工程で第1保護領域32および第2保護領域33を形成することができ、工程数を削減できる。
尚、この発明の実施の形態4では、この発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略した。
実施の形態5.
図19は、この発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置1cを示す断面図である。図19において、図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。この発明の実施の形態1とは、炭化珪素ベース層7が、ゲート絶縁膜18と接触して形成された第1ベース領域36と、ゲート絶縁膜18と接触しないように形成された第2ベース領域37と、を有し、第1ベース領域36の不純物濃度が、第2ベース領域37の不純物濃度よりも低く設定された構成が相違している。
尚、図19では、炭化珪素ベース層7に不純物濃度が明確に異なる第1ベース領域36と第2ベース領域37の2つの領域を設けたが、例えばゲート絶縁膜18から遠ざかるにつれて連続的に不純物濃度が高くなるようにしてもよい。
次に、この発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置1cの製造方法について説明する。図20および図21は、この発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置1cの製造方法の一部を示す断面図である。尚、ここでは、この発明の実施の形態1と同様の部分については説明を省略する。
まず、図3に示す、炭化珪素ドリフト層6を形成する工程までは、この発明の実施の形態1と同様である。
次に、図20に示すように、炭化珪素ドリフト層6の表面側からp型の不純物をイオン注入し、炭化珪素ドリフト層6の表面を含む箇所にp型の炭化珪素ベース層7の第1ベース領域36を形成する。尚、イオン注入の代わりに、炭化珪素ドリフト層6の表面上に、即ち、炭化珪素ドリフト層6の表面を含む箇所に、CVD法によりエピタキシャル成長することによって炭化珪素ベース層7の第1ベース領域36を形成してもよい。ここで、第1ベース領域36のp型の不純物濃度は、例えば1×1017cm−3よりも低く設定する。
次に、炭化珪素ベース層7の第1ベース領域36の表面上にレジストによってマスクを形成し、p型の不純物をイオン注入する。これにより、炭化珪素ベース層7の第2ベース領域37が形成される。レジストを除去した後の断面図を図21に示す。イオン注入するp型の不純物濃度は、1×1017〜1×1019cm−3の範囲で、炭化珪素ドリフト層6のn型の不純物濃度、第1ベース領域36のp型の不純物濃度を超えるものとする。
次に、炭化珪素ソース層8を形成する工程を行い、その後の工程はこの発明の実施の形態1および2と同様である。
この発明の実施の形態5では、以上のように、炭化珪素ベース層7に、ゲート絶縁膜18と接触して形成された第1ベース領域36と、ゲート絶縁膜18と接触しないように形成された第2ベース領域37と、を形成し、第1ベース領域36の不純物濃度が、第2ベース領域37の不純物濃度よりも低くなるように設定したことにより、炭化珪素ベース層8の(11−20)面上に形成されたゲート絶縁膜18のリーク電流密度をより低く抑えることができる。これにより、ゲート絶縁膜18の信頼性寿命を延ばすことができるという効果がある。
例えばこの発明の実施の形態2で示したように、炭化珪素ソース層8をエピタキシャル成長によって形成する場合、炭化珪素ソース層8の不純物濃度を炭化珪素ベース層7の不純物濃度に制限されずに低く設定することが可能となる。ここで、例えば炭化珪素ベース層7の不純物濃度を1×1017〜5×1017cm−3程度に設定し、炭化珪素ソース層8の不純物濃度を1×1017cm−3程度に設定したときのように、炭化珪素ベース層7と炭化珪素ソース層8の不純物濃度の値が近いときには、炭化珪素ベース層7と接触するゲート絶縁膜18でのリーク電流が特に問題となる。従って、炭化珪素ベース層7に、ゲート絶縁膜18と接触して形成された第1ベース領域36と、ゲート絶縁膜18と接触しないように形成された第2ベース領域37と、を形成することは、炭化珪素ベース層7と炭化珪素ソース層8の不純物濃度の値が近いときに特に効果的である。
尚、この発明の実施の形態5では、この発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略した。
実施の形態6.
図22は、この発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置1dを示す断面図である。図22において、図2、図16および図19と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。この発明の実施の形態1、4および5とは、第1保護領域32および第2保護領域33を有するゲート絶縁膜保護層31を設け、かつ、炭化珪素ベース層7に第1ベース領域36および第2ベース領域37を設けた構成が相違している。
この発明の実施の形態6における炭化珪素半導体装置1dの製造方法は、実施の形態1、4および5の組み合わせであるため、説明を省略する。
この発明の実施の形態6では、以上のような構成としたことにより、実施の形態1、4および5の効果を兼ね備えることができる。よって、ゲート絶縁膜18をさらに長寿命化できる。
以上、この発明の実施の形態1〜6について説明した。これらの、この発明の実施の形態1〜6で説明した構成は互いに組合せることができる。
1a〜1d 炭化珪素半導体装置
2 炭化珪素基板
3 炭化珪素基板の一方の面
6 炭化珪素ドリフト層
7 炭化珪素ベース層
8 炭化珪素ソース層
11 第1ソース領域
12 第2ソース領域
13 トレンチ
16 トレンチの側面
17 トレンチの底面
18 ゲート絶縁膜
23 ソース電極
31 ゲート絶縁膜保護層
32 第1保護領域
33 第2保護領域
36 第1ベース領域
37 第2ベース領域

Claims (9)

  1. 一方の面の面方位が(0001)面である炭化珪素基板と、
    前記炭化珪素基板の前記一方の面上に形成された第1導電型の炭化珪素ドリフト層と、
    前記炭化珪素ドリフト層の表面を含む箇所に形成された第2導電型の炭化珪素ベース層と、
    前記炭化珪素ベース層の表面を含む箇所に形成された第1導電型の炭化珪素ソース層と、
    前記炭化珪素ソース層の表面から前記炭化珪素ベース層を貫通して形成され、(11−20)面を側面とする凹部と、
    前記凹部の側面および底面に形成されたゲート絶縁膜と、
    前記凹部の内部を満たすように、前記ゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
    前記炭化珪素ソース層と接触して形成されたソース電極と、
    前記凹部の底面に形成された前記ゲート絶縁膜と接触して、前記炭化珪素ドリフト層に形成された第2導電型のゲート絶縁膜保護層と、を備え、
    前記炭化珪素ソース層は、
    前記ゲート絶縁膜と接触して形成された第1ソース領域と、
    前記ソース電極と接触し、かつ前記ゲート絶縁膜と離れて形成され、不純物濃度が前記第1ソース領域の不純物濃度より高く設定された第2ソース領域と、を有し、
    前記ゲート絶縁膜保護層は、
    前記ゲート絶縁膜と接触して形成された第1保護領域と、
    前記第1保護領域よりも深い部位に形成され、不純物濃度が前記第1保護領域の不純物濃度よりも高く設定された第2保護領域と、を有すること
    を特徴とする炭化珪素半導体装置。
  2. 前記第1ソース領域の不純物濃度は、前記炭化珪素ベース層の不純物濃度よりも低く設定された請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
  3. 前記炭化珪素ベース層は、
    前記ゲート絶縁膜と接触して形成され、前記第1ソース領域の下部に位置する第1ベース領域と、
    前記ゲート絶縁膜と離れて形成され、前記第2ソース領域の下部に位置し、不純物濃度が前記第1ベース領域の不純物濃度よりも高く設定された第2ベース領域と、を有すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素半導体装置。
  4. 前記第1ベース領域の底面の深さと、前記第2ベース領域の底面の深さとが同じであることを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素半導体装置。
  5. 前記第2保護領域は、第2導電型の不純物濃度が1×1017cm−3以上1×1019cm−3以下であること
    を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
  6. 前記第1ソース領域の底面の深さと、前記第2ソース領域の底面の深さとが同じであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
  7. 前記第2ソース領域は、第1導電型の不純物濃度が1×1018cm−3以上1×1021cm−3以下であること
    を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
  8. 前記炭化珪素ソース層は、不純物濃度の異なる3つ以上の領域からなること
    を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
  9. 前記ゲート絶縁膜は、酸化珪素を主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
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