JP6059538B2 - 硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
また、本発明の他の目的は、高い耐熱性、耐光性、及び耐熱衝撃性を有し、特に、光半導体装置の高温における通電特性及び耐吸湿リフロー性を向上させることが可能な硬化物を提供する。
また、本発明の他の目的は、高温における通電特性に優れ、さらに高湿条件下で保管された後にリフロー工程で加熱処理した場合の光度低下等の劣化が抑制された、耐久性及び品質の高い光半導体装置を提供することにある。
で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、過酸化物分解剤(C)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)と、下記式(1)
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物(A)は、分子内(一分子中)に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを少なくとも有する化合物である。脂環式エポキシ化合物(A)としては、具体的には、(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する化合物、(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物などが挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は、上記式(1)で表される化合物である。モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は、特に、硬化物の靭性を向上させ、耐熱衝撃性や耐吸湿リフロー性(特に、吸湿後のリフロー工程での加熱処理における耐クラック性(クラックを生じにくい特性))を向上させる役割を担う。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における過酸化物分解剤(C)は、系中(硬化性エポキシ樹脂組成物又はその硬化物中)に生成した過酸化物を分解し、安定な物質へと変換することができる化合物である。過酸化物分解剤としては、過酸化物を分解できる公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において過酸化物分解剤(C)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化剤(D)を含んでいてもよい。硬化剤(D)は、エポキシ基を有する化合物を硬化させる働きを有する化合物である。硬化剤(D)としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知乃至慣用の硬化剤を使用することができる。硬化剤(D)としては、中でも、25℃で液状の酸無水物が好ましく、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。また、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などの常温(約25℃)で固体状の酸無水物についても、常温(約25℃)で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化剤(D)として好ましく使用することができる。なお、硬化剤(D)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上述のように、硬化剤(D)としては、硬化物の耐熱性、耐光性、耐クラック性の観点で、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)が好ましい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤(E)を含んでいてもよい。硬化促進剤(E)は、エポキシ基を有する化合物が硬化剤(D)により硬化する際に、硬化速度を促進する機能を有する化合物である。硬化促進剤(E)としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどの3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレートなどのホスホニウム化合物;オクチル酸亜鉛やオクチル酸スズなどの有機金属塩;金属キレートなどが挙げられる。硬化促進剤(E)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに(例えば、硬化剤(D)及び硬化促進剤(E)の代わりに)、硬化触媒(F)を含んでいてもよい。硬化触媒(F)は、エポキシ基を有する化合物の硬化反応を開始及び/又は促進する機能を有する化合物である。硬化触媒(F)としては、特に限定されないが、紫外線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、重合を開始させるカチオン触媒(カチオン重合開始剤)が挙げられる。なお、硬化触媒(F)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、ゴム粒子を含んでいてもよい。上記ゴム粒子としては、例えば、粒子状NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、反応性末端カルボキシル基NBR(CTBN)、メタルフリーNBR、粒子状SBR(スチレン−ブタジエンゴム)などのゴム粒子が挙げられる。上記ゴム粒子としては、ゴム弾性を有するコア部分と、該コア部分を被覆する少なくとも1層のシェル層とからなる多層構造(コアシェル構造)を有するゴム粒子が好ましい。上記ゴム粒子は、特に、(メタ)アクリル酸エステルを必須モノマー成分とするポリマー(重合体)で構成されており、表面に脂環式エポキシ化合物(A)などのエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基としてヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基(ヒドロキシル基及びカルボキシル基のいずれか一方又は両方)を有するゴム粒子が好ましい。上記ゴム粒子の表面にヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基が存在しない場合、冷熱サイクル等の熱衝撃により硬化物が白濁して透明性が低下するため好ましくない。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・+Wn/Tgn
上記単独重合体のガラス転移温度は、各種文献に記載の値を採用することができ、例えば、「POLYMER HANDBOOK 第3版」(John Wiley & Sons,Inc.発行)に記載の値を採用できる。なお、文献に記載のないものについては、単量体を常法により重合して得られる単独重合体の、DSC法により測定されるガラス転移温度の値を採用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で各種添加剤を含有していてもよい。上記添加剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの水酸基を有する化合物を含有させると、反応を緩やかに進行させることができる。その他にも、粘度や透明性を損なわない範囲内で、シリコーン系やフッ素系消泡剤、レベリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、界面活性剤、シリカ、アルミナなどの無機充填剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤(過酸化物分解剤(C)を除く)、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体(例えば、YAG系の蛍光体微粒子、シリケート系蛍光体微粒子などの無機蛍光体微粒子など)、離型剤などの慣用の添加剤を使用することができる。
上記ゴム粒子分散エポキシ化合物は、上記ゴム粒子を脂環式エポキシ化合物(A)に分散させることによって得られる。なお、上記ゴム粒子分散エポキシ化合物における脂環式エポキシ化合物(A)は、硬化性エポキシ樹脂組成物を構成する脂環式エポキシ化合物(A)の全量であってもよいし、一部の量であってもよい。同様に、上記ゴム粒子分散エポキシ化合物におけるゴム粒子は、硬化性エポキシ樹脂組成物を構成するゴム粒子の全量であってもよいし、一部の量であってもよい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、耐熱性、耐光性、及び耐熱衝撃性に優れ、特に、光半導体装置の高温における通電特性及び耐吸湿リフロー性を向上させることが可能な硬化物を得ることができる。硬化の際の加熱温度(硬化温度)は、特に限定されないが、45〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜190℃、さらに好ましくは100〜180℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)は、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、より好ましくは45〜540分、さらに好ましくは60〜480分である。硬化温度と硬化時間が上記範囲の下限値より低い場合は硬化が不十分となり、逆に上記範囲の上限値より高い場合は樹脂成分の分解が起きる場合があるので、いずれも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、光半導体装置における光半導体(光半導体素子)を封止するための樹脂組成物、即ち、光半導体封止用樹脂組成物として好ましく使用できる。上記光半導体封止用樹脂組成物として用いることにより、高い耐熱性、耐光性、及び耐熱衝撃性を有し、特に耐吸湿リフロー性に優れた硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置が得られる。上記光半導体装置は、高出力、高輝度の光半導体素子を備える場合であっても、経時で光度が低下しにくく、特に、高湿条件下で保管された後にリフロー工程にて加熱された場合でも光度低下等の劣化が生じにくい。
本発明の光半導体装置は、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物(光半導体封止用樹脂組成物)の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置である。光半導体素子の封止は、上述の方法で調製した硬化性エポキシ樹脂組成物を所定の成形型内に注入し、所定の条件で加熱硬化して行う。これにより、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置が得られる。硬化温度と硬化時間は、硬化物の調製時と同様の範囲で適宜設定することができる。
(ゴム粒子の製造)
還流冷却器付きの1L重合容器に、イオン交換水500g、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.68gを仕込み、窒素気流下に撹拌しながら、80℃に昇温した。ここに、ゴム粒子のコア部分を形成するために必要とする量の約5重量%分に該当するアクリル酸ブチル9.5g、スチレン2.57g、及びジビニルベンゼン0.39gからなる単量体混合物を一括添加し、20分間撹拌して乳化させた後、ペルオキソ二硫酸カリウム9.5mgを添加し、1時間撹拌して最初のシード重合を行った。続いて、ペルオキソ二硫酸カリウム180.5mgを添加し、5分間撹拌した。ここに、コア部分を形成するために必要とする量の残り(約95重量%分)のアクリル酸ブチル180.5g、スチレン48.89g、ジビニルベンゼン7.33gにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.95gを溶解させてなる単量体混合物を2時間かけて連続的に添加し、2度目のシード重合を行い、その後、1時間熟成してコア部分を得た。
次いで、ペルオキソ二硫酸カリウム60mgを添加して5分間撹拌し、ここに、メタクリル酸メチル60g、アクリル酸1.5g、及びアリルメタクリレート0.3gにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.3gを溶解させてなる単量体混合物を30分かけて連続的に添加し、シード重合を行った。その後、1時間熟成し、コア部分を被覆するシェル層を形成した。
次いで、室温(25℃)まで冷却し、目開き120μmのプラスチック製網で濾過することにより、コアシェル構造を有するゴム粒子を含むラテックスを得た。得られたラテックスをマイナス30℃で凍結し、吸引濾過器で脱水洗浄した後、60℃で一昼夜送風乾燥してゴム粒子を得た。得られたゴム粒子の平均粒子径は254nm、最大粒子径は486nmであった。
(ゴム粒子分散エポキシ化合物の製造)
製造例1で得られたゴム粒子20重量部を、窒素気流下、60℃に加温した状態でディゾルバーを使用して、商品名「セロキサイド2021P」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(株)ダイセル製)80重量部に分散させ(1000rpm、60分間)、真空脱泡して、ゴム粒子分散エポキシ化合物(25℃での粘度:746mPa・s)を得た。
なお、製造例2で得られたゴム粒子分散エポキシ化合物(20重量部のゴム粒子を80重量部のセロキサイド2021Pに分散させたもの)の粘度(25℃での粘度)は、デジタル粘度計(商品名「DVU−EII型」、(株)トキメック製)を使用して測定した。
(硬化剤組成物の製造)
表1に示す配合割合(単位:重量部)で、商品名「リカシッド MH−700」(硬化剤、新日本理化(株)製)、商品名「U−CAT 18X」(硬化促進剤、サンアプロ(株)製)、及びエチレングリコール(添加剤、和光純薬工業(株)製)を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化剤組成物(「K剤」と称する場合がある)を得た。
まず、表1に示す配合割合(単位:重量部)で、商品名「セロキサイド2021P」(脂環式エポキシ化合物、(株)ダイセル製)、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(MA−DGIC、四国化成工業(株)製)、及び、商品名「アデカスタブ HP−10」(リン系酸化防止剤、(株)ADEKA製)を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して、エポキシ樹脂とリン系酸化防止剤の混合物を作製した。なお、上記混合は、MA−DGIC及びリン系酸化防止剤を溶解させるために、80℃で1時間攪拌して実施した。
次に、表1に示す配合割合(単位:重量部)となるように、上記で得た混合物と、製造例3で得られた硬化剤組成物とを自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
さらに、上記で得た硬化性エポキシ樹脂組成物を図1に示す光半導体のリードフレーム(InGaN素子、3.5mm・2.8mm)に注型した後、120℃のオーブン(樹脂硬化オーブン)で5時間加熱することで、上記硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置を得た。なお、図1において、100はリフレクター(光反射用樹脂組成物)、101は金属配線、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は硬化物(封止材)を示す。
硬化性エポキシ樹脂組成物の組成を表1に示す組成に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。なお、実施例10においては、エポキシ樹脂の構成成分として、製造例2で得られたゴム粒子分散エポキシ化合物を使用した。
また、実施例1と同様にして光半導体装置を作製した。
まず、表2に示す配合割合(単位:重量部)で、商品名「セロキサイド2021P」(脂環式エポキシ化合物、(株)ダイセル製)、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(MA−DGIC、四国化成工業(株))、及び、商品名「アデカスタブ HP−10」(リン系酸化防止剤、(株)ADEKA製)を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して、エポキシ樹脂とリン系酸化防止剤の混合物を作製した。なお、上記混合は、MA−DGIC及びリン系酸化防止剤を溶解させるために、80℃で1時間攪拌して実施した。
次に、表2に示す配合割合(単位:重量部)となるように、上記で得た混合物と、商品名「サンエイド SI−100L」(硬化触媒、三新化学工業(株)製)とを自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
さらに、上記で得た硬化性エポキシ樹脂組成物を図1に示す光半導体のリードフレーム(InGaN素子、3.5mm・2.8mm)に注型した後、120℃のオーブン(樹脂硬化オーブン)で5時間加熱することで、上記硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置を得た。
硬化性エポキシ樹脂組成物の組成を表2に示す組成に変更したこと以外は実施例11と同様にして、硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。なお、実施例20においては、エポキシ樹脂の構成成分として、製造例2で得られたゴム粒子分散エポキシ化合物を使用した。
また、実施例11と同様にして光半導体装置を作製した。
実施例及び比較例で得られた光半導体装置について、下記の評価試験を実施した。
実施例及び比較例で得られた光半導体装置の全光束を全光束測定機を用いて測定し、これを「0時間の全光束」とした。さらに、85℃の恒温槽内で100時間、光半導体装置に60mAの電流を流した後の全光束を測定し、これを「100時間後の全光束」とした。そして、次式から光度保持率を算出した。結果を表1、2の「光度保持率[%]」の欄に示す。
{光度保持率(%)}
={100時間後の全光束(lm)}/{0時間の全光束(lm)}×100
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個ずつ用いた)に対し、−40℃の雰囲気下に30分曝露し、続いて、120℃の雰囲気下に30分曝露することを1サイクルとした熱衝撃を、熱衝撃試験機を用いて200サイクル分与えた。その後、光半導体装置における硬化物に生じたクラックの長さを、デジタルマイクロスコープ(商品名「VHX−900」、(株)キーエンス製)を使用して観察し、光半導体装置2個のうち、硬化物に長さが90μm以上のクラックが発生した光半導体装置の個数を計測した。結果を表1、2の「熱衝撃試験[個数]」の欄に示す。
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個ずつ用いた)を、30℃、70%RHの条件下で192時間静置して吸湿処理した。次いで、上記光半導体装置をリフロー炉に入れ、下記加熱条件にて加熱処理した。その後、上記光半導体装置を室温環境下に取り出して放冷した後、再度リフロー炉に入れて同条件で加熱処理した。即ち、当該はんだ耐熱性試験においては、光半導体装置に対して下記加熱条件による熱履歴を二度与えた。
〔加熱条件(光半導体装置の表面温度基準)〕
(1)予備加熱:150〜190℃で60〜120秒
(2)予備加熱後の本加熱:217℃以上で60〜150秒、最高温度260℃
但し、予備加熱から本加熱に移行する際の昇温速度は最大で3℃/秒に制御した。
図2には、リフロー炉による加熱の際の光半導体装置の表面温度プロファイル(二度の加熱処理のうち一方の加熱処理における温度プロファイル)の一例を示す。
その後、デジタルマイクロスコープ(商品名「VHX−900」、(株)キーエンス製)を使用して光半導体装置を観察し、硬化物に長さが90μm以上のクラックが発生したか否かを評価した。光半導体装置2個のうち、硬化物に長さが90μm以上のクラックが発生した光半導体装置の数(個数)を、表1、2の「はんだ耐熱性試験[個数]」の欄に示した。
各試験の結果、下記(1)〜(3)をいずれも満たすものを○(良好)と判定した。一方、下記(1)〜(3)のいずれかを満たさない場合には×(不良)と判定した。
(1)通電試験:光度保持率が90%以上
(2)はんだ耐熱性試験:硬化物に長さが90μm以上のクラックが発生した光半導体装置の個数が0個
(3)熱衝撃試験:硬化物に長さが90μm以上のクラックが発生した光半導体装置の個数が0個
結果を表1、2の「総合判定」の欄に示す。
(エポキシ樹脂)
CEL2021P(セロキサイド2021P):3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(株)ダイセル製
MA−DGIC:モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、四国化成工業(株)製
YD−128:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
(リン系酸化防止剤)
HP−10(アデカスタブ HP−10):リン系酸化防止剤、(株)ADEKA製
GSY−P101:リン系酸化防止剤、堺化学工業(株)製
(イオウ系酸化防止剤)
AO−412S(アデカスタブ AO−412S):イオウ系酸化防止剤、(株)ADEKA製
AO−503(アデカスタブ AO−503);イオウ系酸化防止剤、(株)ADEKA製
(フェノール系酸化防止剤)
AO−60(アデカスタブ AO−60):フェノール系酸化防止剤、(株)ADEKA製
(硬化性組成物)
MH−700(リカシッド MH−700):4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30、新日本理化(株)製
18X(U−CAT 18X):硬化促進剤、サンアプロ(株)製
エチレングリコール:和光純薬工業(株)製
(硬化触媒)
サンエイド SI−100L:硬化触媒、三新化学工業(株)製
・樹脂硬化オーブン
エスペック(株)製 GPHH−201
・恒温槽
エスペック(株)製 小型高温チャンバー ST−120B1
・全光束測定機
オプトロニックラボラトリーズ社製 マルチ分光放射測定システム OL771
・熱衝撃試験機
エスペック(株)製 小型冷熱衝撃装置 TSE−11−A
・リフロー炉
日本アントム(株)製、UNI−5016F
101:金属配線
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:硬化物(封止材)
Claims (10)
- リン系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤の割合(重量比)[リン系酸化防止剤/イオウ系酸化防止剤]が10/90〜90/10である、請求項1に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対する過酸化物分解剤(C)の含有量が0.01〜10重量部である、請求項1又は2に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- さらに、ゴム粒子を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- さらに、硬化剤(D)及び硬化促進剤(E)を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- さらに、硬化触媒(F)を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物。
- 光半導体封止用樹脂組成物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項9に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置。
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