JP6057491B1 - シート状部材とシート状部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、本発明の実施の形態を添付の図により説明する。なお、「表」、「裏」、「上」、「下」、「縦」、「横」、「幅方向」、「長さ方向」、「厚さ方向」等の方向を示す語は、図面の状態に基づく便宜上のものであり、実際の方向はこれに限定されるものではない。
フィルム層2の一方の主面2aは、露出してシート状部材1の表面を構成している。フィルム層2の一方の主面2aは、凹凸のない平坦面である。
絶縁性補強部5は、フィルム層2の他方の主面2b側において、フィルム層2に沿って、平面方向に延びている。すなわち、絶縁性補強部5にはフィルム層2が積層されている。
絶縁性補強部5は、非水溶性の材料によって構成されている。また、絶縁性補強部5は、絶縁性を有している。本実施形態において、絶縁性補強部5は、ガラス繊維によって構成されている。
絶縁性補強部5は平面方向に延びる水溶性補強部4に埋設されている。厚さ方向Dにおいて、絶縁性補強部5は水溶性補強部4の中央部分に位置している。絶縁性補強部5は水溶性補強部4によって覆われており、補強層3の一方の主面3a側及び他方の主面3b側に露出していない。
本実施形態において、縦糸部8aと横糸部8bの交わる箇所には、厚さ方向Dに突出する結び目は形成されていない。
図2(b)は、図2(a)のB−B´線にて示すように、横糸部8bが存在しない部分におけるシート状部材1の断面を示している。図2(b)に示すように、隣り合う縦糸部8aの間には、網目部9が位置している。網目部9は、縦糸部8aと横糸部8bによって囲まれた空間であり、この空間は、水溶性補強部4によって充填されている。
なお、水溶性補強部4が透明の場合には、図2(b)に示す断面において、奥側に、図1(b)に示す横糸部8bが表れる場合があるが、ここでは、説明のために、横糸部8bの記載は省略している。
図1(b)及び図2(b)においては、シート状部材1の幅方向断面(幅方向Xに横断する断面)を示しているが、長さ方向断面(長さ方向Yに縦断する断面)の形状も、図1(b)及び図2(b)と同様である。
なお、糸部8の上端8cは、縦糸部8a及び横糸部8bにおいて、高さ位置(厚さ方向Dにおける位置)が最も高い部分を示している。図1(b)に示す例において、縦糸部8aの上端8c及び横糸部8bの上端8cの高さ位置は同じである。
なお、糸部8の下端8dは、縦糸部8a及び横糸部8bにおいて、高さ位置(厚さ方向Dにおける位置)が最も低い部分を示している。図1(b)に示す例において、縦糸部8aの下端8d及び横糸部8bの下端8dの高さ位置は同じである。
フィルム層2の厚さ寸法d2は、絶縁性補強部5の厚さ寸法d4よりも薄い。したがって、フィルム層2の厚さ寸法d2は、補強層3の厚さ寸法よりも薄い。フィルム層2の厚さ寸法d2は、0.02mm以上であることが望ましい。
第1の実施形態に係るシート状部材1において、フィルム層2の一方の主面2a、すなわち、シート状部材1の表面には、非水溶性の材料を重ねて、様々な非水溶性の形成物を形成することができる。例えば、シート状部材1の表面に、非水溶性の材料によって、マスキングパターンや回路パターン等の所定のパターンを印刷してもよい。シート状部材1への印刷の際には、インクジェットプリンター、レーザープリンター、コピー機等の市販の印刷機器を用いることができる。
例えば、シート状部材1に、非水溶性の材料によって所定のマスキングパターンを印刷等した場合には、サンドブラスト用マスク等の各種マスキングシートを容易に形成することができる。また、シート状部材1に、導電性インク又は導電性トナー等の非水溶性の導電性材料によって所定の回路パターンを印刷等した場合には、回路基板等の電子部品を容易に形成することができる。
加えて、シート状部材1によれば、回路パターンのみを形成して取り出すことが容易になるため、様々な形状、サイズの部材に回路パターンを取り付けることが可能になる。
さらに、絶縁性補強部5は水溶性補強部4に埋設されているため、絶縁性補強部5の凹凸がシート状部材1の表面及び裏面に表出しない。
また、絶縁性補強部5は非水溶性である。前述のように、フィルム層2が溶解した後に、絶縁性補強部5を把持して取り出すことにより、絶縁性補強部5の上に保持された非水溶性の形成物(例えば、上記所定のパターン等)を容易に取り出すことができる。また、非水溶性の形成物自体を直接把持して取り出す必要がないため、非水溶性の形成物が変形したり破れたりする可能性が低減させることができる。
また、シート状部材1によれば、回路パターンのみを形成して取り出すことが容易になるため、様々な形状、サイズの部材に回路パターンを取り付けることができる。
また、水溶性補強部4を備えることによって、補強力が高まり、シート状部材の強度をより高めることができる。
加えて、糊化させて乾燥させた澱粉は熱に溶けにくいため、一般的な印刷機器を用いてフィルム層2に印刷を行う際に、フィルム層2に熱が加わった場合であっても、フィルム層2が溶けることなく印刷を行うことができる。
また、シート状部材1の厚さ寸法d1は、均一であるため、上記印刷機器によってシート状部材1に印刷を行う際に、より円滑に印刷を行うことができる。
前述のように、フィルム層2の厚さ寸法d2は、絶縁性補強部5の厚さ寸法d4よりも薄い。よって、シート状部材1の厚さ寸法d1のうち、絶縁性補強部5の厚さ寸法d4の比率をより大きく確保することができる。したがって、絶縁性補強部5による補強力をより高めることができる。
シート状部材1において、フィルム層2の厚さ寸法d2は、補強層3の厚さ寸法よりも薄い。よって、シート状部材1の厚さ寸法d1のうち、補強層3の厚さ寸法の比率をより大きく確保することができる。したがって、補強層3による補強力をより高めることができる。
このように、補強層形成工程において、糊化させた澱粉によって絶縁性補強部5を覆って乾燥させることにより、絶縁性補強部5が水溶性補強部4に埋設されるため、絶縁性補強部5の凹凸がシート状部材1の表面及び裏面に表出することを防止することができる。また、フィルム層2を均一の厚さで積層することを容易に行うことができる。
図3に、第2の実施形態に係るシート状部材100における厚さ方向Dに沿った断面であり、前述の図1(b)に示す位置に対応する断面図を示す。シート状部材100の平面形状は、図1(a)に示すシート状部材1の平面形状と同様である。ここでは、主として、前述した第1の実施形態と異なる点について説明する。図3において、第1の実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付している。
第2の実施形態に係るシート状部材100は、前述のように、平面方向に延びる水溶性の他のフィルム層(裏面側フィルム層)102をさらに備えている。したがって、第2の実施形態に係るシート状部材100によれば、シート状部材1の両面2a,102bに、非水溶性の材料を重ねて、様々な非水溶性の形成物を形成することができる。また、非水溶性の材料の塗り重ね又は印刷面として、シート状部材100の両面2a,102bが使用できるため、シート状部材の使用時において、表裏を確認する手間を省くことができる。
加えて、裏面側フィルム層102の他方の主面102bは、平坦面であるため、シート状部材100の裏面側においても、非水溶性の材料の塗り重ねや印刷等の作業を容易に行うことができる。
図4に、第3の実施形態に係るシート状部材200における厚さ方向Dに沿った断面であり、前述の図1(b)に示す位置に対応する断面図を示す。シート状部材200の平面形状は、図1(a)に示すシート状部材1の平面形状と同様である。ここでは、主として、前述した第1の実施形態と異なる点について説明する。図4において、第1の実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付している。
したがって、絶縁性補強部5の網目部9には、繊維を混入させた澱粉を糊化させて乾燥させたものが充填されており、絶縁性補強部5の上側と下側には、同じく、繊維を混入させた澱粉を糊化させて乾燥させたものが平面方向に延びている。
第3の実施形態に係るシート状部材200において、水溶性補強部204は、水溶性繊維を含んでいる。したがって、シート状部材200によれば、補強層203の強度をより高めることができる。よって、シート状部材200の強度をさらに高めることができる。
図5に、第4の実施形態に係るシート状部材300における厚さ方向Dに沿った断面であり、前述の図1(b)に示す位置に対応する断面図を示す。シート状部材300の平面形状は、図1(a)に示すシート状部材1の平面形状と同様である。ここでは、主として、前述した第3の実施形態と異なる点について説明する。図5において、第1の実施形態及び第3の実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付している。
第4の実施形態に係るシート状部材300は、前述のように、平面方向に延びる水溶性の他のフィルム層(裏面側フィルム層)302をさらに備えている。したがって、第4の実施形態に係るシート状部材300によれば、シート状部材300の両面2a,302bに、非水溶性の材料を重ねて、様々な非水溶性の形成物を形成することができる。また、非水溶性の材料の塗り重ね又は印刷面として、シート状部材300の両面2a,302bが使用できるため、シート状部材の使用時において、表裏を確認する手間を省くことができる。
加えて、裏面側フィルム層302の他方の主面302bは、平坦面であるため、シート状部材300の裏面側においても、非水溶性の材料の塗り重ねや印刷等の作業を容易に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
例えば、シート状部材1,100,200,300の形状は、どのようなサイズであってもよいし、どのような形状であってもよい。一例として、インクジェットプリンター、レーザープリンター、コピー機、プロッター等の一般的な印刷機器によって印刷可能なA1、A2、A3、A4、B5等の用紙サイズであってもよいし、円形、三角形、多角形等の平面形状であってもよい。また、長尺状のシート状部材をロール状にして保管、運搬等するものであってもよい。
よって、絶縁性補強部305によれば、網目部9の空間領域を狭くすることなく、糸部308の強度を高めることができる。したがって、前述の水切れ効果を低下させることなく、絶縁性補強部5の強度及び絶縁性補強部5による補強力を高めることができる。
絶縁性補強部5,105,205,305を構成する糸部8,108,208,308及び網目部9,109,209,309の形状及び大きさも、どのような形状及び大きさであってもよい。また、絶縁性補強部5では、縦糸部8aと横糸部8bとが直交しているが、縦糸部8aと横糸部8bはどのような角度で交差していてもよい。同様に、絶縁性補強部105,305では、第1の糸部108a,308aと第2の糸部108b,308bとが直交しているが、第1の糸部108a,308aと第2の糸部108b,308bはどのような角度で交差していてもよい。
また、前述の絶縁性補強部5において、複数の細い糸を束にすることによって1本の縦糸部8aを形成し、複数の細い糸を束にすることによって1本の横糸部8bを形成してもよい。
第1の実施形態においては、水溶性補強部4に絶縁性補強部5を埋設させているが、例えば、非水溶性の材料によって、絶縁性補強部5を覆って補強層3を形成してもよい。
第3の実施形態では、水溶性補強部204に含まれる水溶性繊維として、水溶性セルロース繊維を用いているが、他の繊維材を用いてもよい。
例えば、絶縁性補強部5に澱粉糊状液をかけ流して、水溶性補強部4を形成してもよいし、絶縁性補強部5をオブラートシートで覆うことによって水溶性補強部4を形成してもよい。また、網目部9には、澱粉糊状液を充填させてもよいし、させなくてもよい。例えば、絶縁性補強部5をオブラートシートで覆って水溶性補強部4を形成した場合に、網目部9には空間が保持されていてもよい。
例えば、絶縁性補強部5に澱粉を糊化させた澱粉糊状液を所定の厚さになるまで塗り重ねて、乾燥させることにより、補強層3とフィルム層2を一体的に同時に形成してもよい。
シート状部材1,100,200,300は、既述の用途以外にも、さまざまな用途に用いることができる。
各部の寸法は、すべて例示であり、既述した数値に限定されない。
(付記1)
平面方向に延びる水溶性のフィルム層と、
前記平面方向に延びる補強層とを備え、
前記フィルム層は、前記補強層に積層されており、
前記補強層は、前記平面方向に延び絶縁性を有する非水溶性の絶縁性補強部を備え、
前記絶縁性補強部は、無結節の網状に形成されているシート状部材。
前記補強層は、水溶性の材料によって形成された水溶性補強部をさらに備え、前記絶縁性補強部は前記水溶性補強部に埋設されている付記1記載のシート状部材。
前記水溶性補強部は、糊化させて乾燥させた澱粉を含む付記2記載のシート状部材。
前記水溶性補強部は、水溶性繊維を含む付記2又は付記3記載のシート状部材。
前記フィルム層の一方の主面は平坦面であり、前記フィルム層の他方の主面側に、前記補強層が設けられている付記1から付記4のいずれか1項記載のシート状部材。
前記平面方向に延びる水溶性の他のフィルム層をさらに備え、前記フィルム層と前記他のフィルム層との間に、前記補強層が設けられており、
前記他のフィルム層の一方の主面は前記補強層側に位置し、
前記フィルム層の一方の主面と、前記他のフィルム層の他方の主面は、平坦面である付記1から付記5のいずれか1項記載のシート状部材。
前記フィルム層は、糊化させて乾燥させた澱粉を含む付記1から付記6のいずれか1項記載のシート状部材。
付記2又は付記2に従属する付記3から付記7のいずれか1項に記載のシート状部材の製造方法であって、
糊化させた澱粉によって前記絶縁性補強部を覆って乾燥させることにより、前記絶縁性補強部が前記水溶性補強部に埋設された前記補強層を形成する補強層形成工程と、
前記補強層形成工程によって形成された前記補強層の一方の主面又は両面に、澱粉を糊化させた澱粉糊状液を積層させて乾燥させることにより、前記フィルム層を形成するフィルム層形成工程とを含むシート状部材の製造方法。
前記補強層形成工程において、前記糊化させた澱粉には、水溶性繊維が混入されている付記8記載のシート状部材の製造方法。
2 フィルム層
3 補強層
4,204 水溶性補強部
5 絶縁性補強部
6 第1の被膜部
7 第2の被膜部
8 糸部
9 網目部
102,302 裏面側フィルム層(他のフィルム層)
Claims (7)
- 平面方向に延びる水溶性のフィルム層と、
前記平面方向に延びる補強層とを備え、
前記フィルム層は、前記補強層に積層されており、
前記補強層は、前記平面方向に延び絶縁性を有する非水溶性の絶縁性補強部を備え、
前記絶縁性補強部は、無結節の網状に形成されており、
前記補強層は、水溶性の材料によって形成された水溶性補強部をさらに備え、前記絶縁性補強部は前記水溶性補強部に埋設されており、
前記水溶性補強部は、水溶性繊維を含むシート状部材。 - 前記水溶性補強部は、糊化させて乾燥させた澱粉を含む請求項1記載のシート状部材。
- 前記フィルム層の一方の主面は平坦面であり、前記フィルム層の他方の主面側に、前記補強層が設けられている請求項1又は請求項2記載のシート状部材。
- 前記平面方向に延びる水溶性の他のフィルム層をさらに備え、前記フィルム層と前記他のフィルム層との間に、前記補強層が設けられており、
前記他のフィルム層の一方の主面は前記補強層側に位置し、
前記フィルム層の一方の主面と、前記他のフィルム層の他方の主面は、平坦面である請求項1から請求項3のいずれか1項記載のシート状部材。 - 前記フィルム層は、糊化させて乾燥させた澱粉を含む請求項1から請求項4のいずれか1項記載のシート状部材。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシート状部材の製造方法であって、
糊化させた澱粉によって前記絶縁性補強部を覆って乾燥させることにより、前記絶縁性補強部が前記水溶性補強部に埋設された前記補強層を形成する補強層形成工程と、
前記補強層形成工程によって形成された前記補強層の一方の主面又は両面に、澱粉を糊化させた澱粉糊状液を積層させて乾燥させることにより、前記フィルム層を形成するフィルム層形成工程とを含むシート状部材の製造方法。 - 前記補強層形成工程において、前記糊化させた澱粉には、水溶性繊維が混入されている請求項6記載のシート状部材の製造方法。
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