(本発明の一形態を得るに至った経緯)
本発明者は、特許文献1に示すような従来の加熱調理器に関して鋭意研究したところ、以下の問題を見出した。
タッチパネルにおいて、使用者の手の接触の検知(接触検知)のみならず、手が近接したことを検知(近接検知)することでも入力を受け付けることができるように構成することが考えられる。
しかしながら、タッチパネルで受付ける使用者からの指示には、上述した自動調理メニューのような情報の提示を求めるものの他、加熱などの加熱調理器の主たる機能の実行を指示するものも含まれる。すなわち、前者の指示の場合、仮に誤って行った指示であっても、元の状態に復元できるが、後者の指示の場合、元の状態には復元できない。つまり、同じ使用者からの指示であっても、その指示により導かれる結果の重要度に大きな違いがある。
一方、近接検知により入力を受け付ける構成では、使用者が意図せずカラー液晶パネル上に表示されたボタンなどに近接した場合であっても入力として受け付けてしまうことがある。つまり、近接検知により入力を受付ける構成は、接触検知により入力を受け付ける構成と比較して誤った入力を受け付ける可能性が高い。
それゆえ、上述したように入力を受付けることで実行される結果の重要度を考慮し、近接検知による入力を受付けるか否か判定する必要があることを見出し、本発明に至った。
さらに従来の加熱調理器の構成について検討したところ、以下の課題も見出した。
上記した従来の加熱調理器に備えられたタッチパネルのように、使用者の指をカラー液晶パネル上に接触させた時に変化する静電容量を検知する方式の場合、物理的なボタンとは異なり強く押さえ込むことが不要であり、軽い接触だけで検知できるという利点がある。このため、タッチパネルを搭載したオーブンレンジにおいてこのタッチパネルの利点を活かした多くの操作方法が提案されている。
ところで、上記従来の構成では、指が接触した時の静電容量の変化を検知することでタッチパネルの操作を可能としている。このため、従来の構成では、指が直接接触しない、例えば、分厚い手袋を付けたままの状態ではタッチパネルの操作ができない。ここでオーブンレンジの使用態様を考えると、オーブンレンジは食品を加熱するものであるため、食品の加熱終了時においてオーブンレンジ内の食品または食器は熱くなっている。そこで、使用者は加熱された食品または食器を扱うために、ミトンという分厚い手袋を付けることがあるが、このミトンを付けた手ではタッチパネルでの操作ができないという課題がある。
そこで、本発明では、ミトンなど分厚い手袋を付けたままでタッチパネルによる入力を可能とするとともに、この入力できるタイミングを適切に規定することで、タッチパネルの操作性を向上させた電子機器を提案することを課題とする。
また、一般的には加熱調理器を使う時の使用者の手は、濡れていたり汚れていたりすることが多い。つまり、使用者は食品を直接触って手が汚れたり、食品または手を水洗したりするからである。このため、従来の構成では、タッチパネルのカラー液晶パネルに触れることで各種選択や設定、決定などの操作を行うので、そのままの手で操作するとカラー液晶パネルが濡れたり汚れたりしてしまう。
このようにカラー液晶パネルが汚れたり、濡れたりすると、カラー液晶パネルに表示されたボタンに対する視認性が低下したり、カラー液晶パネルへの接触に対する検知精度が低下したりする。このため、使用者はタッチパネルにおいてカラー液晶パネルが濡れたり汚れたりする状態を好ましく思わず、タッチパネルに対して操作をする前に布巾で手を拭くなど煩わしい作業を行うこととなる。
そこで、本発明では、使用者がタッチパネルのカラー液晶パネルに触れる回数を極力減らするために、タッチパネルのカラー液晶パネルに触れずに操作できるようにして、タッチパネルの操作性を向上させた電子機器を提案する。特には、電子機器の状態に応じて、カラー液晶パネルに触れずに操作できるようにするタイミングを適切に規定することで、操作性を向上させた電子機器を提案することを課題とする。
さらに、本発明者は、上述した表示画面上での操作性の向上の観点に加えて、タッチパネルにおいて使用者の手が接触する面(カラー液晶パネル面)が平らで凹凸がないことに起因する欠点について鋭意検討を行った。すなわち、カラー液晶パネル面が平らであるために、触覚に頼る視覚障害者の利用を困難とする点について検討を行った。
まず、ここで、上記した従来の加熱調理器に搭載されたタッチパネルにおける情報(自動調理メニュー)の表示態様について説明する。
加熱調理器に搭載されたタッチパネルでは、カラー液晶表示器にアイコンや文字を表示したボタンが配置されている。そして、使用者がそのボタンを押すことで自動調理メニューの中から例えば、所望の料理品目を選択することができる。また、料理品目の選択時には、料理品目の調理仕上がり時の写真を提示し、この写真を使用者が確認して選択を決定するなど、直観的でわかり易い操作を可能とする。
例えば、上記した構成を有する加熱調理器において、自動調理メニューの中から料理品目の選択を行う場合には、以下のような表示を行うことが考えられる。すなわち、カラー液晶表示器上に、各料理品目を分類したカテゴリーを示すカテゴリーボタンの一覧を表示し、その一覧の中のいずれか1つのカテゴリーボタンに接触して選択すると、そのカテゴリーに属する料理品目を示すボタンが一覧表示された画面に切り替わる。各料理品目を示すボタンには料理品目の名前が表示されており、その中のいずれか1つに使用者がタッチすることで、料理品目を選択決定することができ、カラー液晶パネル全体に選択した料理品目の名前の他、料理品目の写真やカロリーなどが表示される。そして、加熱調理器において、タッチパネル以外の部位に備えられたスタートキーを押すことで選択した料理品目の調理を開始する。
しかしながら、上述したタッチパネルのカラー液晶表示機には、物理的なボタン(凹凸)がない。このため、触覚に頼る視覚障害者などはタッチパネル上のボタン表示位置がわからないため使いにくいものとなるという問題がある。また、カラー液晶表示器の表示領域が小さい場合、表示するボタンの内容を示す文字を大きくしないと見えにくくなる。このため、カラー液晶表示器において同一画面上に同時に多数のボタンを表示させることができないという問題もある。
このような問題を解決するために、カラー液晶表示器で表示する各ボタンの表示位置に使用者が接触するたびに異なった音色を発することで、ボタンで示す意味を区別できるようにした装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この装置では、視覚障害を有する使用者が手探りでボタンの表示位置に接触しても、その接触した表示位置に表示されているボタンが何であるか認識することができる。また、カラー液晶表示器の同一画面上において同時に多数のボタンを表示したため、ボタンの内容を示す文字が小さく、視認が困難な場合であっても、使用者はボタンの表示位置に接触するだけで、そのボタンが何のボタンであるのか分かるために使い勝手が向上する。
ところで上記した特許文献2に示す構成では、ボタンの表示位置に接触したときの音色の違いにより各ボタンの機能を把握することができるが、このボタンに対する入力も、該ボタンの表示位置に接触して行う構成である。このため、使用者が各ボタンの機能を探索するときと、各ボタンに対応する機能の実行を指示するときとではボタンの表示位置への接触という同じ動作となってしまう。このため、機能を探索するときの操作態様と機能の実行を指示するときの操作態様とを区別する必要がある。
そこで上記した特許文献2に示す構成では、各ボタンの機能の探索についての入力と各ボタンに対応する機能の実行指示についての入力とを区別するために二つの方法が提案されている。まず、一つ目の方法は、使用者の手がボタンの表示位置に接触すると音色でそのボタンの機能を知らせ、そのまま接触状態が所定時間以上続くと入力として受け付ける方法である。二つ目の方法は、使用者の手がボタンの表示位置に接触すると音色でそのボタンの機能を知らせる。その後、一度、手をボタンから離し非接触状態にして所定時間以内に再度、使用者の手がボタンに接触すると、入力として受け付ける方法である。
しかしながら、特許文献2で提案された方法は、いずれも操作が煩わしく、また間違いを起こしやすくなるという問題がある。ボタンの表示位置に接触することで入力を受け付ける操作は、物理的なボタンを押しこむ操作に比べて軽操作であることが特長である。しかしながら、上記したように所定時間以上、ボタンの表示位置に接触し続けなければ入力を受け付けられなかったり、ボタンの表示位置への接触後、一旦非接触状態にして再度接触しなければ入力を受け付けられなかったりするのでは、軽操作の特長が失われ煩わしい操作となってしまう。更に、ボタンの表示位置に対して単なる接触では入力が受け付けられないため、使用者としては入力したつもりであったが、その入力が受け付けられていなかったという誤操作も発生しやすい。
そこで、本発明は、視力の弱い使用者が手探りであっても操作しやすく、また多数のボタンを同時に並べて表示することで各ボタンが表示される大きさが小さくなるような場合であっても容易に操作でき、さらに煩わしい操作や誤操作を発生させないで、入力を受け付けることができる電子機器を提案することを課題とする。
さらにまた、本発明者は、上述したタッチパネルの操作性の向上の観点に加えて、タッチパネルの限られた表示領域で、いかに必要な情報を効率よく提示できるかという観点からも鋭意検討を行った。まず、タッチパネルで表示する自動調理メニューを例に挙げて説明する。
自動調理メニューには例えば「ぶりの照り焼き」または「鶏の唐揚げ」のような良く知られた料理品目が有る一方で、中には「パエリア」、「ナシゴレン」、「ラタトゥイユ」、「ボンゴレロッソ」、「バンバンジー」など、料理品目を見てもどんな料理なのかよくわからないものも多い。
そのため、自動調理メニューにおいて料理品の選択時にその料理品目の名前だけではよくわからず誤って意図しない料理品目を選択してしまうことがある。このような場合、調理メニューにおいて料理品目を選択決定した状態から、例えば、戻るキーを押すなどして、料理品目の選択画面まで戻り、再度選択し直すという煩わしい作業が発生してしまう。
このような料理品目の再選択といった煩わしい作業の発生を防ぐためには選択画面における各料理品目を示すボタンに調理仕上がり時の写真などを一緒に付加することが考えられる。このように写真を、料理品目を示すボタンに付加することで、使用者の料理品の選択を補助することができる。しかしながら、料理品目を示すボタンに写真を付加させる場合、写真を表示させる分だけ余分にボタンを大きくしなければならない。このため、カラー液晶表示器における同一画面上に同時に表示させるボタン数を減らさなければならなくなる。
これに対して、自動調理メニューの中から効率よく料理品目を選択するためには、できるだけ多くのボタンを液晶パネル上に同時に表示させて一覧性を良くすることが好適である。しかしながら、多くのボタンを一つの液晶パネル上で表示させると各ボタンは小さくなってしまうため、視認性が低下する。特に、料理品目を示すボタンに写真を付加させる場合、ボタンは非常に小さくなってしまうため、よりいっそうボタンの視認性が低下するものとなる。
本発明では、タッチパネルのカラー液晶表示器に多くのメニューボタンを表示させることで一覧性を良くし、且つ、誤った選択決定をさせないようにわかり易く表示することができる電子機器を提案することを課題とする。
また、上述した自動調理メニューには多数の料理品目が含まれており、自動調理メニューの中から所望の料理品目を選択するだけでその料理品目の料理を調理するのに最適な加熱源(加熱調理形態)が選択され、最適な加熱量および加熱時間で材料を加熱できる。このため、加熱量および加熱時間の設定などで迷ったり、失敗したりすることを防ぐことができるため調理を効率よく行うことができる。しかしながら、自動調理メニューにおける多数の料理品目の中から所望の料理品目を選択する作業は煩わしいものとなる。
多くの料理品目をカラー液晶表示器上に全部表示させることは困難であるために、上述したように料理品目を所定のカテゴリーに分類して、該カテゴリーの中から所望の料理品目を選択させる方法が考えられる。この方法では、使用者は、まずカラー液晶表示器に表示された複数のカテゴリー中から所望のカテゴリーを選択する。カテゴリーが選択されると液晶パネルにおける表示画面が切り替わり、選択されたカテゴリーに属する料理品目が表示される。そして、この表示された料理品目の中から所望の料理品目を選ぶ。このように、自動調理メニューの表示構造は階層的に構成されており、各階層で分類されたカテゴリーなどを選択することで所望の料理品目にまで辿りつき、その料理品目を選択できるように案内する方法が一般的である。例えば上記した特許文献1では、まず「蒸す・煮る」のカテゴリーを選び、次に「蒸す・煮る」の項目群の中から「茶わん蒸し」を選択するような方法をとっている。
特許文献1に示される方法では、選択したい料理品目が分類されているカテゴリーがわからない場合は、なかなか所望の料理品目に辿りつけない。また、自動調理メニューにはどのカテゴリーに分類されるのか使用者にとって分かりにくい料理品目もある。例えば「温泉卵」などは本来であれば湯せんして加熱する料理であるため、オーブンレンジではどのカテゴリー分類されているのかわかりにくい。
そうしたわかり難い料理品目について、間違ったカテゴリーを選択してしまうと、所望の料理品目に辿り着けないために戻る操作が必要となり、また別のカテゴリーを選択しなおす必要がある。なかなか所望の料理品目まで辿り着けない場合には、この戻る操作を何度も繰り返すことになって煩わしい操作となってしまう。
そこで、本発明は、戻る操作をすることなく、より早く簡単に所望の料理品目まで辿り着けるようにして、使い勝手を向上させた電子機器を提供することを課題とする。
そこで、上記した課題を解決するために、具体的には本発明では以下に示す態様を提供する。
本発明の第1の態様に係る電子機器は、使用者による入力を受け付ける操作ボタンを含む表示画面を表示する表示部と、前記表示画面に含まれる前記操作ボタンに対する使用者の近接を、該使用者による近接入力として検知する近接検知部と、前記操作ボタンへの入力に応じて、該操作ボタンに対応付けられた機能を実行する機能実行部と、前記近接検知部に対して近接入力の検知を許可するか否かを示す近接入力可否情報を、少なくとも前記表示画面の一部に対応づけて記憶する記憶装置と、前記近接入力可否情報に基づき、前記近接入力の検知を、前記近接検知部に許可するか否かを判定する許可判定部と、を備える。
上記した構成によると、許可判定部を備え、記憶装置に近接入力可否情報を記憶しているため、操作ボタンに対する近接入力の検知を、近接検知部に許可するか否か判定することができる。このため、操作ボタンへの近接を、入力として検知できる場合とできない場合とについて、表示画面ごと、もしくは表示画面を構成する一部ごとに設定することができる。
このため、使用者からの入力に応じて機能実行部により実行される機能の内容や重要度を考慮し、適切に近接入力を検知できる場面と検知できない場面とを設定することができる。それゆえ、近接入力の利点と欠点とを考慮してより表示部における入力の操作性を向上させることができる。
よって本発明に係る電子機器は、表示部で表示された表示画面上での操作性を高めることができるという効果を奏する。
なお、表示画面を構成する一部とは、表示画面上に表示されている操作ボタン自身の画像であってもよいし、表示画面を構成するフレーム画像などであってもよい。
また、本発明の第2の態様に係る電子機器は、上記した第1の態様において、前記記憶装置は、前記近接入力可否情報を、少なくとも前記表示画面の一部として、前記操作ボタンそれぞれに対応づけて記憶するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、記憶装置に前記近接入力可否情報を操作ボタンそれぞれに対応づけて記憶しているため、許可判定部は、この近接入力可否情報を参照して操作ボタンに対する近接入力の検知を、近接検知部に許可するか否か判定することができる。このため、操作ボタンへの近接を、入力として検知できる場合とできない場合とを操作ボタンごとに区別することができる。
ここで操作ボタンに対応づけられている機能には、一度、実行すると変更が効かないような機能、あるいは実行されてもいつでも元の状態に復元できるような機能などが含まれる。つまり、機能の実行結果による重要度が操作ボタンごとに異なる。
そこで、本発明に係る電子機器は、判定部を備えるため、例えば、後者の操作ボタンのみ、近接入力の検知を許可し、近接入力が検知されたときに機能が実行されるようにするなど、使用者の近接に応じて機能が実行される操作ボタンと実行されない操作ボタンとをその実行結果による重要度により区別させることができる。
また、本発明の第3の態様に係る電子機器は、上記した第1の態様において、前記記憶装置は、前記近接入力可否情報を、少なくとも前記表示画面の一部として、前記表示画面それぞれに対応づけて記憶するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、近接入力可否情報を表示画面ごとに対応づけて記憶装置に記憶しているため、許可判定部は、この近接入力可否情報を参照して、現在表示している表示画面に対する近接入力の検知を近接検知部に許可するか否か判定することができる。このため、操作ボタンへの近接を、入力として検知できる場合とできない場合とを操作ボタンが表示されている表示画面ごとに区別することができる。
ここで、ある表示画面に含まれる操作ボタンに対応する機能には、一度実行すると変更が効かないような機能、あるいは実行されてもいつでも元の状態に復元できるような機能が含まれる。つまり機能の実行結果による重要度が表示画面ごとに異なる。
そこで、本発明に係る電子機器は、判定部を備えるため、近接検知された操作ボタンに対応する機能が実行される表示画面と実行されない表示画面とを機能の実行結果による重要度に応じて区別させることができる。
また、本発明の第4の態様に係る電子機器は、上記した第1〜第3の態様のいずれか1つにおいて、当該電子機器の状態を検知し、該電子機器の状態が所定の状態であるか否か判定する状態判定部をさらに備え、前記許可判定部は、前記状態判定部によって電子機器の状態が所定の状態であると判定された場合、前記近接入力可否情報にかかわらず、前記近接検知部による近接入力の検知を禁止するように構成されていてもよい。
ここで、電子機器の状態とは、例えば、扉または蓋が開いているなど機構上の状態、あるいは稼動中であるなど動作上の状態などを含む。また、所定の状態としては、例えば、電子機器において、近接入力が検知された操作ボタンに対する機能を実行した場合、問題となる電子機器の状態である。
上記した構成によると、状態判定部を備えているため、当該電子機器が所定の状態であるか否か判定することができる。また、状態判定部が所定の状態であると判定した場合、許可判定部は、近接入力が検知されても操作ボタンに対応する機能を実行しないように制御できる。このため、電子機器が所定の状態にあるときに操作ボタンに対応した機能が実行されることを防ぐことができる。
また、本発明の第5の態様に係る電子機器は、上記した第1〜第3の態様のいずれか1つにおいて、前記近接入力の可能な前記操作ボタンへの前記使用者の接触を、該使用者による接触入力として検知する接触検知部と、前記操作ボタンへの接触入力に応じて前記機能実行部によって実行される機能を示す機能情報を報知する報知部と、をさらに備え、前記近接検知部により前記操作ボタンへの近接入力が検知された場合、前記報知部は、該操作ボタンに対応した前記機能情報を報知させるように構成されていてもよい。
上記した構成によると、報知部を備えているため、前記近接検知部により前記操作ボタンへの近接入力が検知された場合に、機能情報を報知させることができる。なお、報知の形態としては、例えば、音声出力、画像表示、文字表示などが含まれる。さらに、印刷部等を有する構成の場合、文字または画像などの印刷出力なども含むことができる。
特に、報知部が機能情報を音声により報知する構成の場合、視覚障害を有する使用者の操作指示を補助することができる。また、報知部が機能情報として画像または文字などを表示する場合、操作ボタン等では表現できなかった、機能を象徴する内容や説明等を表示させることができる。
また、本発明の第6の態様に係る電子機器は、上記した第5の態様において、前記報知部は、前記表示部において前記機能情報を拡大表示させるように構成されていてもよい。
上記した構成によると、報知部は前記機能情報を拡大表示して表示部に出力させることができる。このため、報知したい機能情報を視認性よく提示することができる。
また、本発明の第7の態様に係る電子機器は、上記した第1〜第4の態様のいずれか1つにおいて、前記近接検知部により検知された操作ボタンへの近接入力が、前記近接入力可否情報に基づき許可されている場合、前記許可判定部は、前記表示部において該操作ボタンを拡大表示させるように機能実行部を実行させるように構成されていてもよい。
また、本発明の第8の態様に係る電子機器は、上記した第1〜第7の態様のいずれか1つにおいて、前記操作ボタンは、前記表示部における表示画面上に表示された操作子画像と該操作子画像に対応して設けられた近接検知素子とから構成されており、使用者による押下に応じて入力を受け付けるよう物理的な構成を有する押下ボタンをさらに備え、前記押下ボタンは、該押下ボタンへの使用者の近接および接触時に前記近接検知部が前記近接入力として検知しない位置に設けられているように構成されていてもよい。
上記した構成によると押下ボタンを備えるため、表示画面上で表示されたボタンではその位置が把握できない視覚障害を有する使用者の利便性を向上させることができる。また、押下ボタンが、第1近接検知部および第2近接検知部が使用者の近接であると誤って検知しないような位置に設けられている。このため、押下ボタンの操作時に誤って操作ボタン等に応じた操作が実行されることを防ぐことができる。
また、本発明の第9の態様に係る加熱調理器は、上記した課題を解決するために、上記した第1から第8の態様の電子機器を含んでもよい。
また、本発明の第10の態様に係る電子機器の動作方法は、上記した課題を解決するために、使用者による入力を受け付ける操作ボタンを含む表示画面を表示する表示ステップと、前記表示画面に含まれる前記操作ボタンに対する使用者の近接を、該使用者による近接入力として検知する近接検知ステップと、前記近接検知ステップにおいて、前記近接入力の検知を許可するか否かを判定する判定ステップと、を含む。
(実施形態)
以下、本発明の実施の形態を、電子機器として加熱調理器を例に挙げ、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。
(加熱調理器の構成)
まず、図1〜5を参照して、実施の形態に係る加熱調理器の構成について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るオーブンレンジ1の外観を示す斜視図である。図1に示すようにオーブンレンジ1は、食品を格納するための筐体2に食品を出し入れするためのドア3を設けている。そして、ドア3には筐体2内部が視認可能な透明のガラス窓4と、ドア3を開閉するときに掴む取っ手5と、操作表示部6を備えている。
操作表示部6は、加熱開始ボタン7、取消ボタン8、戻るボタン9と液晶タッチパネル10を備えている。加熱開始ボタン7は液晶タッチパネル10で加熱の各種設定をした後、加熱を開始するときに押すためのボタンである。取消ボタン8は加熱途中で加熱を停止させる場合や、液晶タッチパネル10での操作を取り消す時に押すためのボタンである。戻るボタン9はカラー液晶タッチパネル10の画面表示を直前の画面表示に戻す時に押すためのボタンである。加熱開始ボタン7、取消ボタン8、および戻るボタン9は、凹凸を有する、いわゆる物理的なボタンであり、使用者がこれらボタンを押し込むことで電子回路中の接点を閉じられ、電気信号が伝達される。
次に、図2を用いて液晶タッチパネル10の構成について説明する。図2は図1に示すオーブンレンジ1が備える液晶タッチパネル10の概略構成を示す断面図である。図2に示す断面図では上方が、液晶タッチパネル10がオーブンレンジ1に備えられたときに、使用者からの接触を受ける表面側となる。逆に、下方がオーブンレンジ1の筐体2内に収容される裏面側となる。液晶タッチパネル10は、表示部として機能するカラー液晶表示器11を有している。そして、図2に示すようにこのカラー液晶表示器11の裏面には保護板12が粘着されている。またカラー液晶表示器11の表面側には2枚の透明なガラス板13、14と、それらに挟み込まれた位置入力装置15が設けられている。このように、液晶タッチパネル10は、カラー液晶表示器11とガラス板13、14によって挟み込まれた位置入力装置15とを重ねて一体化した構成となっている。
次に、図3を用いてオーブンレンジ1の内部構成について説明する。図3は図1に示すオーブンレンジ1内部の概略構成を示す図である。オーブンレンジ1は食品の加熱調理の形態として高周波加熱および熱輻射、熱風、スチームによる加熱を可能とする構成である。より具体的には、オーブンレンジ1は、食品などを収納する加熱庫16内において高周波を出力するマグネトロン17、輻射熱を発生する平面ヒータ18、加熱庫16内において温風を送るためのコンベクションヒータ(シーズヒータ)19と循環ファン20、および加熱庫16内においてスチームを発生するためのスチーム発生器21を備える。そして、オーブンレンジ1は、これらの加熱部材を動作させて、高周波、輻射、熱風、スチームの少なくともいずれか1つ以上を加熱庫16に供給して食品を加熱する。また、オーブンレンジ1は、加熱庫16内にサーミスタ22および赤外線センサ23を備えており、このサーミスタ22で加熱庫16内部の雰囲気温度を検出し、赤外線センサ23で食品の表面温度を検出する。これら検出した温度に関する情報に基づき加熱制御部24が、マグネトロン17、平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、またはスチーム発生器21などの各加熱部材を制御することで食品を適切に加熱することができる。
上記した構成を有するオーブンレンジ1において、このオーブンレンジ1が備える液晶タッチパネル10では、使用者の手による接触に加えて、使用者の手が近接したことを検知できるようにもなっている。以下において、図4および図5を参照して液晶タッチパネル10が備える位置入力装置15による手の接触検知および近接検知に関する構成について説明する。
図4は図1に示すオーブンレンジ1の液晶タッチパネル10が有する位置入力装置15の構成を示す模式図である。また、図5は図4に示す位置入力装置15と使用者の指27との間の距離と、静電容量の変化量との関係を示すグラフである。なお、図5に示す静電容量の変化量とは、例えば、オーブンレンジ1の電源をONし、起動させたときに検出した静電容量の値を基準にした変化量である。図4に示すように、位置入力装置15はX方向の座標値を検出するためにY方向と平行に配置され、電気的に接続された複数のX方向センサ電極25と、Y方向の座標値を検出するためにX方向に平行に配置され、電気的に接続された複数のY方向センサ電極26とから構成される。位置入力装置15の表面側に配されたガラス板14に人体の一部である指27などが接触すると、接触した電極についてはアースとの間の静電容量が変化する。この静電容量が変化するX方向センサ電極25とY方向センサ電極26との交点のX座標、Y座標を、接触された位置として検出することができる。
また位置入力装置15は、指27が位置入力装置15の表面側に配されたガラス板14に接触しなくても、近接さえすれば、指27がどの位置に近接したかを検出することができる。即ち、上述したように各X方向センサ電極25およびY方向センサ電極26の静電容量の変化より、指27による接触を検出するのであるが、接触しなくても近接すると、近接した位置に対応するX方向センサ電極25とY方向センサ電極26の静電容量は変化する。図5に示すように、位置入力装置15と指との間の距離が小さくなればなるほど静電容量の変化量は大きくなり、両者が接触して距離がゼロになると変化量が最大となる。本実施の形態に係る液晶タッチパネル10では、静電容量の変化量がC1以上となる場合を指27による接触、C2以上でかつC1よりも小さくなる場合を指27による近接と検出するように構成されている。このようにして、一つの位置入力装置15により指27による接触位置と近接位置との両方について、X座標とY座標とを検出できる。なお、図5において、C2はC1より小さな値として設定されている。
上記した構成を有するオーブンレンジ1において、上述した目的を達成するための一例として以下に実施例1から実施例7を挙げて説明する。
(実施例1)
まず、上述したように入力された指示により導かれる結果の重要性を考慮し、近接検知による入力を受付けるか否か判定できるように工夫し、液晶タッチパネルなどで表示された表示画面上での操作性を高めることができるように構成されたオーブンレンジ1の実施例について、実施例1として説明する。
特に、実施例1では、標準ボタン画像(操作子画像)ごとに、その標準ボタン画像に対する指27などの近接による入力を有効とするか否か設定されている構成について説明する。
なお、この実施例1では、指27などの近接による入力が有効な状態とは、例えば、指27が液晶タッチパネル10で表示されている標準ボタン画像に近接すると、近接された標準ボタン画像に対応する別の画像(後述する拡大ボタン画像43)が表示される状態などが挙げられる。さらには、その標準ボタン画像に対応する機能が実施される状態などもありうる。
逆に、無効な状態とは、指27などが液晶タッチパネル10で表示されている標準ボタン画像に近接しても、特にその標準ボタン画像に対応する別の画像が表示されたり、対応する機能が実施されたりしない状態などが挙げられる。
実施例1に係るオーブンレンジ1は、上述したような外観構成および内部構成を備えている。そして、液晶タッチパネル10における使用者からの入力に対する制御に係る構成として、以下の構成を有する。
ここで、液晶タッチパネル10における使用者からの入力に対する制御について、図6の制御ブロックを用いて説明する。図6は、実施例1に係るオーブンレンジ1の要部構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、オーブンレンジ1は、加熱部材を制御するための加熱制御部24と、液晶タッチパネル10をユーザインタフェースとして使用者に提供するための制御を行う操作表示制御部28とを備えている。
より具体的には、操作表示制御部28は、位置入力装置15からの信号に基づき、カラー液晶表示器11における表示を制御したり、加熱制御部24に対して使用者からの入力に応じた信号を送信したりする。
一方、加熱制御部24は、操作表示制御部28からの信号を受け付けると、前述したようにサーミスタ22または赤外線センサ23によって検出された温度に応じて、加熱部材であるマグネトロン17、平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、スチーム発生器21を制御する。なお、加熱制御部24は、図6では図示していないが循環ファン20の動作量も制御する構成であってもよい。
図6に示すように、操作表示制御部28は、液晶タッチパネル10に指27または人体の一部が接触したことを検知する接触検知部29、指27または人体の一部が近接したことを検知する近接検知部30、カラー液晶表示器11における表示制御を行う表示制御部31、ならびに有効/無効判定部(許可判定部)49を備える。
接触検知部29は位置入力装置15のX方向センサ電極25およびY方向センサ電極26の静電容量の変化が図5に示すC1以上であることを検知すれば、使用者の指27などが接触したと判定してそのX座標、Y座標を、接触位置座標として操作表示制御部28に出力する。そして、操作表示制御部28では、表示制御部31が、接触検知部29から入力されたX座標、Y座標に基づき、その座標に対応したカラー液晶表示器11の位置での表示制御を行う。
近接検知部30は、位置入力装置15のX方向センサ電極25およびY方向センサ電極26の静電容量の変化が図5に示すC2以上でC1より小さいことを検知すれば、使用者の指27などが近接したと判定し、そのX座標、Y座標を、近接位置座標として表示制御部31に出力する。そして、操作表示制御部28では、表示制御部31が、近接検知部30から入力されたX座標、Y座標に基づき、その座標に対応したカラー液晶表示器11の位置での表示制御を行う。
表示制御部31は、接触検知部29から入力された接触位置座標、または近接検知部30から入力された近接位置座標に従い、カラー液晶表示器11における表示制御を行うものである。表示制御部31は、標準ボタン画像記憶部32、拡大ボタン画像記憶部33、ならびに表示切換部34を備えている。
標準ボタン画像記憶部32と拡大ボタン画像記憶部33とにはそれぞれ互いに対応づけられたボタン画像が記憶されている。つまり、拡大ボタン画像記憶部33に記憶されている拡大ボタン画像43は、標準ボタン画像記憶部32に記憶されている標準ボタン画像に対応づけられており、標準ボタン画像よりも表示サイズが大きくなる、つまりより表示画素数が多くなるボタン画像である。例えば、自動調理メニューに関するボタンでは、標準ボタン画像が料理品目だけを示す画像であるのに対して、拡大ボタン画像43は料理品目と調理出来上がり時の写真が付加されて表示された画像である。
標準ボタン画像記憶部32には、上述したように拡大ボタン画像43と対応づけられた標準ボタン画像とともに、図55に示すような、標準ボタン画像に関する情報であるボタンテーブル情報が記憶されている。図55は、実施例1に係るオーブンレンジ1が備える標準ボタン画像記憶部32に記憶されているボタンテーブル情報の一例を示す図である。
図55に示すボタンテーブル情報では、標準ボタン画像に、該標準ボタン画像が表示される画面、その画面のどこに表示されるのかを示す表示位置、該標準ボタン画像を選択して入力したときに実行される機能がそれぞれ対応づけられている。さらにまた、このボタンテーブル情報には、近接検知部30が標準ボタン画像に対する近接入力の検知を有効とするか無効とするかを示す近接入力可否情報100が対応づけられている。
なお、標準ボタン画像記憶部32には、標準ボタン画像として、上述した料理品目のみならず、後述するページめくりボタン画像42ならびに選択されたボタンに応じた動作の開始を指示するためのスタートボタン画像48なども保持されている。
ところで表示制御部31は、通常時ではカラー液晶表示器11において複数の標準ボタン画像を並べて表示している。しかしながら、使用者の指27などの人体の一部が液晶タッチパネル10の位置入力装置15に近づくと、近接検知部30が指27などの人体の一部が近接していることを検知し、その検知結果として近接位置座標を有効/無効判定部49に出力する。
有効/無効判定部49は、液晶タッチパネル10で表示されている画面において、受付けた近接位置座標に対応する位置に標準ボタン画像が表示されているか否か、標準ボタン画像記憶部32に記憶されているボタンテーブル情報を参照して判断する。さらに、有効/無効判定部49は、液晶タッチパネル10において近接位置座標の位置に表示されている標準ボタン画像があると判定した場合、この標準ボタン画像について近接検知が有効となるように設定されているか否かについても近接入力可否情報100に基づき確認する。
有効/無効判定部49は、検知された近接位置座標に表示されている標準ボタン画像について近接検知が有効となるように設定されていると判定した場合、近接位置座標を表示制御部31の表示切換部34に対して出力する。
表示切換部34は、近接検知部30から入力された近接位置座標で示される位置に表示されている標準ボタン画像に対応する拡大ボタン画像43を拡大ボタン画像記憶部33から抽出する。そして、表示切換部34は、カラー液晶表示器11で表示している標準ボタン画像を、抽出した拡大ボタン画像43に切換えて表示させる。
なお、指27の液晶タッチパネル10への近接時に標準ボタン画像を拡大ボタン画像43に切り替える処理に関する詳細は、後述する別の実施例(実施例3)により具体的に説明する。
次に液晶タッチパネル10の表示例を示す図7を使って、操作表示制御部28の動作についてより具体的に説明する。図7は実施例1に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューの選択画面の一例を示す図である。図7に示すように自動調理メニューの選択画面には、自動メニューボタン群41とスタートボタン画像48とが含まれている。
自動メニューボタン群41として表示される各標準ボタン画像には料理品目が書かれており、それが液晶タッチパネル10で表示されている画面上に14個表示されている。これら各標準ボタン画像はいずれも標準ボタン画像記憶部32に記憶されているものである。自動調理メニューでは、各料理品目に対して適切な加熱部材による適切な加熱制御手順が予め設定されている。そのため、使用者は自動調理メニューの中から所望の料理品目を選択するだけで、その選択された料理品目に対応した加熱制御が材料に対して行われる。
また、図7に示す自動調理メニューの選択画面において、その上部の右隅に表示されている三角形状の画像は、ページめくりボタン画像42であり、このページめくりボタン画像42に使用者の指27などの体の一部が接触すると、カラー液晶表示器11における画面全体が切換り、別の自動メニューボタン群41に含まれる料理品目を示す画像が14個表示されるように構成されている。
次に、自動調理メニューの選択画面を表示している液晶タッチパネル10に使用者の指27が近接した場合について説明する。近接検知部30が使用者の指27など体の一部による液晶タッチパネル10への近接を検知すると、検知結果として近接位置座標を有効/無効判定部49に対して出力する。有効/無効判定部49は、近接検知部30から近接位置座標を受付けると、この近接位置座標から、この座標位置に表示されている標準ボタン画像を標準ボタン画像記憶部32から抽出する。そして、この抽出された標準ボタン画像が近接検知を有効とする標準ボタン画像であるのか否かについて、この標準ボタン画像に対応づけられている近接入力可否情報100に基づき判定する。
ここで、有効/無効判定部49が、近接を有効とする標準ボタン画像であると判定した場合、表示制御部31の表示切換部34に対して、指27の近接が検知された近接位置座標を出力する。表示切換部34は、近接検知部30から入力された近接位置座標に基づき、使用者の指27が近接した標準ボタン画像に対応づけられている拡大ボタン画像43を拡大ボタン画像記憶部33から抽出する。そして、液晶タッチパネル10で表示している標準ボタン画像を拡大ボタン画像43に切り換えて表示する。
この拡大画像ボタン43の表示位置は元の標準ボタン画像が表示されていた位置である。例えば図7の自動メニューボタン群41の中の「ラタトゥイユ」ボタンに使用者の指27が近接した時の液晶タッチパネル10の表示状態を図8に示す。図8は、実施例1に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューの選択画面の一例を示す図である。同図では、標準ボタン画像(「ラタトゥイユ」ボタン)に対応する拡大ボタン画像43が表示されている状態を示す。
実施例1では、図7に示す自動メニューボタン群41に含まれる各標準ボタン画像については、近接検知を有効とするように設定されており、ページめくりボタン画像42およびスタートボタン画像48については、近接検知を無効とするように設定されている。このため、使用者が、自動メニューボタン群41に含まれる標準ボタン画像のいずれか1つに対して指27を近接させると、図8に示すように近接された標準ボタン画像に対応付けられた拡大ボタン画像43を表示させる。
一方、スタートボタン画像48およびページめくりボタン画像42ついて指27が近接しても、近接検知を無効とするように設定されているため、オーブンレンジ1の動作を開始させたり、自動調理メニューのページを新たなページに変更したりできないように構成されている。
図8に示すように、自動調理メニューに含まれる「ラタトゥイユ」だけが、拡大ボタン画像43として大きく表示されている状態において、使用者がこの拡大ボタン画像43の位置に指27で接触すると、「ラタトゥイユ」が選択され、図9に示すような表示画面に遷移する。図9は、実施例1に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューの選択画面の一例を示す図である。同図では、自動メニューボタン群41のうち「ラタトゥイユ」が使用者によって選択された後の表示画面の一例を示す図である。
図9の例では、選択された「ラタトゥイユ」の標準ボタン画像が表示されていた位置が、黒塗り表示に変更され、「ラタトゥイユ」を示す標準ボタン画像が選択済みであることが示されている。このように、標準ボタン画像が選択された状態で使用者がスタートボタン画像48に指27で接触すると、選択された標準ボタン画像の料理品目(「ラタトゥイユ」)に対する調理が開始される。
次に、図7において示した自動調理メニューの選択画面において使用者の指27が近接されたり、接触されたりして入力を受付けるときのオーブンレンジ1の具体的な動作の流れを図10に示す。図10は、実施例1に係るオーブンレンジ1が備える液晶タッチパネル10における入力受付動作の一例を示すフローチャートである。
使用者の指27が液晶タッチパネル10で表示している自動調理メニューの選択画面に近づいてくると、静電容量が変化する。この変化を位置入力装置15のX方向センサ電極25およびY方向センサ電極26それぞれによって検出する。
すなわち、ステップS1で、近接検知部30が図4に示す複数(m個)のX方向センサ電極25すべての静電容量変化Cx1〜Cxmを検出し、その最大値をCxmaxとして抽出して、ステップS2に進む。次にステップS2で近接検知部30が、図4に示す複数(n個)のY方向センサ電極26すべての静電容量変化Cy1〜Cynを検出し、その最大値をCymaxとして抽出して、ステップS3に進む。
ステップS3では、接触検知部29が、ステップS1、S2で抽出したCxmaxとCymaxとを足し合わせる演算を行う。そして、その演算結果が図5に示すC1の2倍となる値より大きいかどうかを判定する(ステップS3)。ここで接触検知部29がCxmaxとCymaxとを足し合わせた結果がC1の2倍よりも大きいと判定した場合(ステップS3において「YES」)、ステップS8に進む。
一方、接触検知部29が、上述した足し合わせた結果がC1の2倍よりも大きくないと判定した場合(ステップS3において「NO」)、近接検知部30がステップS1、S2で抽出したCxmaxとCymaxとを足し合わせる演算を行う。そして、その演算結果が図5に示すC2の2倍となる値より大きいかどうかを判定する(ステップS4)。なお、実施例1に係るオーブンレンジ1では、CxmaxとCymaxの平均がC2を超えたかどうかを、近接したかどうかの判断基準とするものとしているが、実際の演算では、CxmaxとCymaxとの足し合わせた結果がC2の2倍より大きいかどうかで判定している。
ここで、ステップS3において「YES」の場合、すなわち、接触検知部29が、使用者の指27などが液晶タッチパネル10に接触していると判定した場合、接触検知部29は、接触検知された座標位置(X座標、Y座標)を特定する。そして、接触検知部29は、この座標位置(X座標、Y座標)に対応した位置に表示されている標準ボタン画像があるか否か判定する(ステップS8)。そして、接触検知された座標位置に表示されている標準ボタン画像がある場合(ステップ8において「YES」)、この標準ボタン画像に対応する処理を実行するように指示する(ステップS9)。例えば、この標準ボタン画像に対応する処理が食品の加熱処理である場合、接触検知部29は、食品に対する加熱を行うように加熱制御部24に指示する。
一方、ステップS8において「NO」の場合、標準ボタン画像が表示されている位置とは無関係の場所に使用者の指27が接触したと考えられる。このため、ステップS1に戻って、再度、ステップS1からの処理を繰り返す。
また、ステップS4において「NO」の場合は、液晶タッチパネル10に対して指27などの接触も近接もない状態であるとして、ステップS1に戻り、前記した処理を繰り返す。一方、ステップS4において「YES」の場合、近接検知部30は、近接検知された座標位置(X座標、Y座標)を特定する。そして、近接検知部30は、この座標位置(X座標、Y座標)に対応した位置に表示されている標準ボタン画像があるか否か判定する(ステップS5)。そして、近接検知された座標位置に表示されている標準ボタン画像がない場合(ステップ5において「NO」)は、標準ボタン画像が表示されている位置とは無関係の場所に使用者の指27が近接したと考えられる。このため、ステップS1に戻って、再度、処理を繰り返す。
一方、近接検知された座標位置に対応した位置に表示されている標準ボタン画像がある場合(ステップ5において「YES」)、近接検知部30は、この標準ボタン画像に対して近接検知が有効となるように設定されているか否か判定する(ステップS6)。より具体的には、近接検知部30は、標準ボタン画像記憶部32から、近接検知された座標位置に表示される標準ボタン画像を抽出し、該標準ボタン画像に対して近接検知が有効となるように設定されているか近接入力可否情報100を参照して確認する。
ステップS6において「NO」の場合、使用者の指27などの近接が確認された標準ボタン画像は、この近接によって特に実行される処理がないため、ステップS1に戻って、再度処理を繰り返す。
一方、ステップS6において、「YES」の場合、近接検知部30は、標準ボタン画像に対して使用者の指27が近接されたときに実行するように設定されている処理を実施する(ステップS7)。例えば、近接検知時に行う処理として近接検知された標準ボタン画像に対応する拡大ボタン画像43を表示するように設定されている場合、近接検知部30は、表示制御部31の表示切換部34に対して、標準ボタン画像を拡大ボタン画像43に切り換えて表示するように指示する。
上記では、標準ボタン画像ごとに近接検知による入力の有効または無効が設定される構成について説明した。以下では、標準ボタン画像が表示される画面ごとに近接検知による入力の有効または無効が設定されている構成について、実施例2として説明する。
(実施例2)
まず、液晶タッチパネル10における使用者からの入力に対する制御について、図11の制御ブロックを用いて説明する。図11は、実施例2に係るオーブンレンジ1の要部構成の一例を示すブロック図である。
図11に示すように、実施例2に係るオーブンレンジ1は、操作表示制御部28の構成のみ実施例1に係るオーブンレンジ1と異なるため、操作表示制御部28について説明し、それ以外の部材については説明を省略するものとする。なお、実施例1に係るオーブンレンジ1と同様の部材については同じ符号を付す。
図11に示すように、操作表示制御部28は、液晶タッチパネル10に指27または人体の一部が接触したことを検知する接触検知部29、指27または人体の一部が近接したことを検知する近接検知部30、カラー液晶表示器11における表示制御を行う表示制御部31、有効/無効判定部49、ならびに切替部52を備える。また、表示制御部31が、標準ボタン画像記憶部32、拡大ボタン画像記憶部33、画面記憶部59、および表示切換部34を備えている。
すなわち、実施例2に係るオーブンレンジ1は、実施例1に係るオーブンレンジ1と比較して操作表示部28が新たに切替部52を備えている点で異なる。切替部52は、表示制御部31からの指示に応じて、液晶タッチパネル10に対する指27などの近接検知を近接検知部30が行うか否か切り替えるものである。すなわち、切替部52は、位置入力装置15における静電容量の変化量を近接検知部30が受付けない状態と受付ける状態とを切り換える。
さらに、画面記憶部59が表示制御部31の構成要素となっている点でも異なる。画面記憶部59は、液晶タッチパネル10において表示する画面に関する画像を記憶するものである。画面に関する画像とは、例えば、上記した標準ボタン画像を一覧表示させる際のフレーム画像などが挙げられる。実施例2では、表示すべき情報に応じて画面表示を切り換えることができるようになっており、それぞれの画面を構成する画像が複数種類、画面記憶部59に記憶されている。また、各画面に関する画像には、その画面上で表示されている標準ボタンについて近接検知を有効とするか否かに関する近接入力可否情報100も対応づけられている。
具体的には、図56に示すような、近接入力可否情報100を含む画面テーブル情報が画面記憶部59に記憶されている。図56は、実施例2に係るオーブンレンジ1が備える画面記憶部59に記憶される画面テーブル情報の一例を示す図である。
図56に示すように画面テーブル情報では、各画面と、その画面に表示させる画像(標準ボタン画像等)と、各画面どうしの関連性(階層構造)を規定する表示順と、近接入力可否情報100との対応関係を示す。
そこで、実施例2に係るオーブンレンジ1では、ある画面を液晶タッチパネル10のカラー液晶表示器11で表示させる際、有効/無効判定部49が、該画面について近接検知を有効とするように設定されているか否か、画像記憶部59において画面と対応づけて記憶されている近接入力可否情報100を参照して判定する。
有効/無効判定部49は、近接検知を有効とするように設定されていると判定した場合、切替部52をONの状態とするように指示する。一方、近接検知を無効とするように設定されていると判定した場合、有効/無効判定部49は、切替部52をOFFの状態とするように指示する。
なお、ONの状態とは、位置入力装置15のX方向センサ電極25およびY方向センサ電極26から近接検知部30に対して検知した静電容量の情報を送信するための信号線が繋がっている状態であり、OFFの状態とは、逆に信号線が分断された状態である。このように、切替部52をONの状態またはOFFの状態に切り換えることで近接検知部30に近接検知を実行させるか否か、切り換えることができる。
次に液晶タッチパネル10の表示例を示す図12を使って、操作表示制御部28の動作についてより具体的に説明する。図12は、実施例2に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューの選択画面の一例を示す図である。図12に示す自動調理メニューの選択画面には、図7で示した自動調理メニューの選択画面と同様に、自動メニューボタン群41が含まれている。自動メニューボタン群41として表示される各標準ボタン画像には料理品目が書かれており、それが液晶タッチパネル10の画面上に16個表示されている。なお、この自動メニューボタン群41についての説明は、上述の実施例1にて説明したため省略する。
また、図12に示す自動調理メニューの選択画面において、その上部の右隅には、図7に示す自動調理メニューの選択画面と同様に、ページめくりボタン画像42が表示されている。
次に、自動調理メニューの選択画面を表示している液晶タッチパネル10に使用者の指27が近接した場合について説明する。
まず、前提として、表示制御部31が液晶タッチパネル10において自動調理メニューの選択画面を表示させる際、画像記憶部59からこの選択画面を構成する画像を読み出す。さらに、有効/無効判定部49がこの選択画面に対して近接検知が有効となるように設定されているか否か、該選択画面に対応づけられている近接入力可否情報100に基づき判定する。
ここでは、自動調理メニューの選択画面に対して近接検知が有効となるように設定されているため、有効/無効判定部49は、切替部52をONの状態にするように指示している。このため、自動調理メニューの選択画面においては、該選択画面に表示された標準ボタン画像に対する近接検知は有効となっている。
このような前提において、使用者が指27など体の一部を液晶タッチパネル10に近接させると、近接検知部30がその近接を検知し、近接位置座標を求める。そして、近接検知部30は、この近接位置座標を表示制御部31の表示切換部34に対して出力する。
表示切換部34は、近接検知部30から入力された近接位置座標に基づき、使用者の指27が近接した標準ボタン画像に対応づけられている拡大ボタン画像43を拡大ボタン画像記憶部33から抽出する。そして、液晶タッチパネル10で表示している標準ボタン画像を拡大ボタン画像43に切り換えて表示する。
この拡大画像ボタン43の表示位置は元の標準ボタン画像が表示されていた位置である。例えば図12の自動メニューボタン群41の中の「ラタトゥイユ」ボタンに使用者の指27が近接した時の液晶タッチパネル10の表示状態を図13に示す。図13は、実施例2に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューの選択画面の一例を示す図である。同図では、標準ボタン画像(「ラタトゥイユ」ボタン)に対応する拡大ボタン画像43が表示されている状態を示している。
図13に示すように、自動調理メニューに含まれる「ラタトゥイユ」だけが、拡大ボタン画像43として大きく表示されている状態において、使用者がこの拡大ボタン画像43の位置に指27で接触すると、「ラタトゥイユ」が選択され、図14に示すような表示画面に遷移する。図14は、図13の自動調理メニューにおける自動メニューボタン群41のうち「ラタトゥイユ」が使用者によって選択された後の表示画面(選択後画面)の一例を示す図である。この選択後画面では、「ラタトゥイユ」という料理品目とともに調理完成時の写真であるイメージ情報44、および材料および分量を示した詳細情報47が表示されている。さらに、選択後画面の下段には、スタートボタン画像48が表示されている。
したがって、この選択後画面は、「ラタトゥイユ」に関するイメージ情報44および詳細情報47を使用者に提示する画面であるとともに、「ラタトゥイユ」の調理を開始するためのスタートボタンの受付け画面であるとも言える。このため、使用者が誤ってこの選択後画面に近接してしまい、意図せず「ラタトゥイユ」の調理が開始されることを防ぐために、この選択後画面に対しては近接検知が無効となるように設定されている。
すなわち、図13に示す自動調理メニューにおいて使用者が「ラタトゥイユ」の拡大ボタン画像43の位置に指27を接触させ、「ラタトゥイユ」が選択されると、接触検知部29が使用者によるこの接触を検知し、検知結果として接触位置座標を表示切換部34に出力する。表示切換部34は、接触位置情報を接触検知部29から受付けると、画面記憶部59から次に表示すべき画面(選択後画面)を読み出す。また、表示切換部34は、有効/無効判定部49に対して、次に表示すべき画面について、近接検知が有効となるように設定されているか否か判定するように、有効/無効判定部49に指示する。
この表示切換部34からの指示に応じて、有効/無効判定部49は、画面記憶部59から読み出された次に表示すべき画面について、近接検知が有効となるように設定されているか否か近接入力可否情報100に基づき判定する。実施例2に係るオーブンレンジ1では、次に表示すべき画面である選択後画面について、近接検知が無効となるように設定されている。このため、有効/無効判定部49は、次に表示すべき選択後画面について、近接検知が無効となるように設定されていると判定し、切替部52に対してOFF状態となるように指示する。そして、この有効/無効判定部49からの指示に応じて、切替部52はOFF状態となるように設定する。
このため、図14に示す選択後画面では、近接検知が無効となるように設定され、スタートボタン画像48に対する指27などの接触以外は受付けないようになる。
次に、図12において示した自動調理メニューの選択画面において使用者の指27が近接されたり、接触されたりして入力を受付けるときのオーブンレンジ1の具体的な動作の流れを図15に示す。図15は、実施例2に係るオーブンレンジ1が備える液晶タッチパネル10における入力受付動作の一例を示すフローチャートである。
使用者の指27が液晶タッチパネル10で表示している自動調理メニューの選択画面に近づいてくると、静電容量が変化する。この変化を位置入力装置15のX方向センサ電極25およびY方向センサ電極26それぞれによって検出する(ステップS11、ステップS12)。なお、これらステップS11、S12については、図10のフローチャートに示すステップS1、S2と同様である。
ステップS13では、接触検知部29がステップS11、S12で抽出したCxmaxとCymaxとを足し合わせる演算を行う。そして、その演算結果が図5に示すC1の2倍となる値より大きいかどうかを判定する(ステップS13)。
ここで接触検知部29がCxmaxとCymaxとを足し合わせた結果がC1の2倍よりも大きいと判定した場合(ステップS13において「YES」)、ステップS18に進む。
つまり、ステップS13において「YES」の場合、すなわち、接触検知部29が、使用者の指27などが液晶タッチパネル10に接触していると判定した場合、接触検知部29は、接触検知された座標位置(X座標、Y座標)を特定する。そして、接触検知部29は、この座標位置(X座標、Y座標)に対応した位置に表示されている標準ボタン画像があるか否か判定する(ステップS18)。
そして、接触検知された座標位置に表示されている標準ボタン画像がある場合(ステップ18において「YES」)、この標準ボタン画像に対応する処理を実行するように指示する。例えば、この標準ボタン画像に対応する処理が食品の加熱処理である場合、接触検知部29は、食品に対する加熱を行うように加熱制御部24に指示する。
ステップS18において「NO」の場合は、標準ボタン画像が表示されている位置とは無関係の場所に使用者の指27が接触したと考えられる。このため、ステップS11に戻って、再度、ステップS11からの処理を繰り返す。
また、上述したステップS13において、接触検知部29が、上述した足し合わせた結果がC1の2倍よりも大きくないと判定した場合(ステップS13において「NO」)、切替部52がONまたはOFFのいずれの状態にあるか確認し、液晶タッチパネル10で表示されている画面は、近接検知が有効となるように設定されている画面か否かを判定する(ステップS14)。
近接検知が有効となるように設定されていない画面である場合(ステップS14において「NO」)、ステップS11に戻って処理を繰り返す。一方、近接検知が有効となるように設定されている画面である場合(ステップS14において「YES」)、近接検知部30がステップS11、S12で抽出したCxmaxとCymaxとを足し合わせる演算を行う。そして、その演算結果が図5に示すC2の2倍となる値より大きいかどうかを判定する(ステップS15)。
ステップS15において「NO」の場合は、液晶タッチパネル10に対して指27などの接触も近接もない状態であるとして、ステップS11に戻り、前記した処理を繰り返す。一方、ステップS15において「YES」の場合、近接検知部30は、近接検知された座標位置(X座標、Y座標)を特定する。そして、近接検知部30は、この座標位置(X座標、Y座標)に対応した位置に表示されている標準ボタン画像があるか否か判定する(ステップS16)。
ここで、近接検知された座標位置に表示されている標準ボタン画像がない場合(ステップ16において「NO」)は、標準ボタン画像が表示されている位置とは無関係の場所に使用者の指27が近接したと考えられる。このため、ステップS1に戻って、再度、処理を繰り返す。
一方、近接検知された座標位置に対応した位置に表示されている標準ボタン画像がある場合(ステップ16において「YES」)、近接検知部30は、標準ボタン画像に対して使用者の指27が近接されたときに実行するように設定されている処理を実施する(ステップS17)。
(実施例3)
次に、液晶タッチパネル10において多くのボタン画像を表示して一覧性を良くするとともに、使用者による誤った選択決定をさせないようにわかり易く表示することができるように工夫したオーブンレンジ1について実施例3として説明する。
なお、実施例3に係るオーブンレンジ1では、上記した近接検知に対する有効または無効を判定する構成については明示していないが、実施例1または実施例2に係るオーブンレンジ1の構成と組み合わせることは可能である。
まず、液晶タッチパネル10における、カラー液晶表示器11と位置入力装置15との制御について、図16の制御ブロック図を用いて説明する。図16は実施例3に係るオーブンレンジ1の要部構成の一例を示すブロック図である。図16に示すように、オーブンレンジ1は、加熱制御部24および操作表示制御部28を備えている。操作表示制御部28は、位置入力装置15からの信号に基づきカラー液晶表示器11における表示を制御したり、加熱制御部24に対して、使用者からの入力に応じた信号を送信したりするものである。加熱制御部24は、操作表示制御部28からの信号を受け付けると、前述したようにサーミスタ22または赤外線センサ23によって検出された温度に応じて、加熱部材であるマグネトロン17、平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、スチーム発生器21を制御する。なお、加熱制御部24は、図16では図示していないが循環ファン20の動作量も制御する構成であってもよい。
図16に示すように、操作表示制御部28は、液晶タッチパネル10に指27または人体の一部が接触したことを検知する接触検知部29、指27または人体の一部が近接したことを検知する近接検知部30、カラー液晶表示器11における表示制御を行う表示制御部31を備える。
接触検知部29および近接検知部30の構成については、実施例1に示した接触検知部29および近接検知部30の構成と同様であるため説明は省略する。
また、表示制御部31についても、実施例1に示した表示制御部31と同様な構成であるため説明は省略する。
次に液晶タッチパネル10の表示例を示す図17を使って、操作表示制御部28の動作について説明する。図17は実施例3に係る液晶タッチパネル10において表示される基本のメニュー画面の一例を示す図である。図17では、電源投入後などにおいて、最初に表示される基本メニュー画面の一例を示す。基本メニュー画面ではあたためボタン画像35、レンジボタン画像36、スチームボタン画像37、オーブンボタン画像38、グリルボタン画像39、および自動メニューボタン画像40がそれぞれ表示されている。この基本メニュー画面で表示されているそれぞれの標準ボタン画像は標準ボタン画像記憶部32に保存されており、電源投入後などにおいて表示制御部31によって標準ボタン画像記憶部32から読み出され、カラー液晶表示器11において基本のメニュー画面として表示される。
ここで、液晶タッチパネル10において表示されているいずれかの標準ボタン画像の位置に指27が接触すると、それぞれ次の詳細な設定を行うための画面に切り換わる。つまり、液晶タッチパネル10に表示されている基本メニュー画面の各標準ボタン画像のうち、例えば、あたためボタン画像35に指27が接触すると加熱終了の温度を設定する画面に切り換わる。またレンジボタン画像36に指27が接触すると加熱パワー(ワット)と加熱時間の設定画面に切り換わる。またスチームボタン画像37に指27が接触すると加熱時間の設定画面に切り換わる。スチーム加熱はスチームとマイクロ波と平面ヒータの組み合わせで蒸し調理を行うものである。またオーブンボタン画像38に指27が接触すると加熱温度と加熱時間の設定画面に切り換わる。また、グリルボタン画像39に指27が接触すると片面グリルか両面グリルかの区別と加熱時間の設定画面に切り換わる。そして自動メニューボタン画像40に指27が接触すると、自動調理メニュー(自動メニュー)の選択画面に切り換わる。
図18に液晶タッチパネル10において自動調理メニューの選択画面を表示した状態を示す。図18は、実施例3に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューの選択画面の一例を示す図である。自動メニューボタン群41として表示される各標準ボタン画像には料理品目が書かれていて、それが液晶タッチパネル10の画面全体に16個表示されている。これら各標準ボタン画像はいずれも標準ボタン画像記憶部32に記憶されているものである。自動調理メニューでは、各料理品目に対して適切な加熱部材による適切な加熱制御手順が予め設定されている。そのため、使用者は自動調理メニューの中から所望の料理品目を選択するだけで、その選択された料理品目に対応した加熱制御が食材に対して行われる。また、自動調理メニューの画面において、その上部の右隅に表示されている三角形状の画像は、ページめくりボタン画像42であり、このページめくりボタン画像42に使用者の指27などの体の一部が接触すると、カラー液晶表示器11の画面全体が切換り、別の自動メニューボタン群41に含まれる料理品目を示す画像が16個表示される。
次に、液晶タッチパネル10に使用者の指27が接触する手前の状態、すなわち、近接した状態の場合について説明する。近接検知部30が使用者の指27など体の一部による液晶タッチパネル10への近接を検知すると、検知結果として近接位置座標を表示制御部31の表示切換部34に対して出力する。表示切換部34は、近接検知部30から入力された近接位置座標に基づき、使用者の指27などが近接した位置にある標準ボタン画像に対応づけられている拡大ボタン画像43を拡大ボタン画像記憶部33から抽出する。そして、液晶タッチパネル10で表示している標準ボタン画像を拡大ボタン画像43に切り換えて液晶タッチパネル10に表示する。この拡大画像ボタン43の表示位置は元の標準ボタン画像が表示されていた位置である。例えば図18の自動メニューボタン群41の中の「ラタトゥイユ」ボタンに使用者の指27が近接した時の液晶タッチパネル10の表示状態を図19に示す。図19は、実施例3に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューの選択画面の一例を示す図である。
図19に示すように、自動メニューボタン群41は図18と同様に標準ボタン画像記憶部32に記憶されている標準ボタン画像が多数表示されている。その中で指が近接している自動調理メニューに含まれる「ラタトゥイユ」だけが、拡大ボタン画像43として大きく表示されている。そして拡大ボタン画像43には「ラタトゥイユ」という料理品目名と、調理完成時の写真がイメージ情報44として表示されている。この拡大ボタン画像43の位置に指が接触すると、詳細な設定画面へと遷移する。
図20に液晶タッチパネル10における、自動調理メニュー(自動メニュー)の詳細設定画面の表示例を示す。例として「ラタトゥイユ」の設定画面について説明する。詳細設定画面では、料理品目と調理完成時の写真が表示されている他、分量設定ボタン画像45a、45bと、仕上り調整スライダ46を備えている。分量設定は料理を提供する人数分の分量として設定することができるようになっており、分量設定ボタン画像45aに接触すると料理を提供する人数分の分量が増加、分量設定ボタン45bに接触すると料理を提供する人数分の分量が減少する。このように分量設定ボタン画像45a、45bを操作して分量を調整し設定する。また仕上り調整スライダ46に接触しながら右に移動させると、加熱時間を長めにしたり、加熱パワーを強めたりするなど強めの設定にし、左に移動させると加熱時間を短くしたり、加熱パワーを弱めたりするなど弱めの設定にすることができる。以上の設定を終えたところで、図1に示す加熱開始ボタン7を押すことで加熱を開始する。
次に、図17において示した液晶タッチパネル10の自動メニューボタン画像40の部分に対して使用者の指27が接触してからの動作の流れを図21に示す。図21は、実施例3に係るオーブンレンジが備える液晶タッチパネルにおける入力受付動作の一例を示すフローチャートである。図21において、自動メニューボタン画像40部分に対して使用者の指27の接触が検知されると、ステップS21で表示制御部31はすべての標準ボタン画像で液晶タッチパネル10に表示させ、ステップS22に進む。このときの表示は図18に示すものとなる。次にステップS22で近接検知部30が図4に示す複数(m個)のX方向センサ電極25すべての静電容量変化Cx1〜Cxmを検出しその最大値をCxmaxとして抽出して、ステップS23に進む。次にステップS23で近接検知部30が、図4に示す複数(n個)のY方向センサ電極26すべての静電容量変化Cy1〜Cynを検出しその最大値をCymaxとして抽出して、ステップS24に進む。
ステップS24では、近接検知部30がステップS22、S23で抽出したCxmaxとCymaxとを足し合わせる演算を行う。そして、その演算結果が図5に示すC2の2倍となる値より大きいかどうかを判定する(ステップS24)。ここで近接検知部30がCxmaxとCymaxとを足し合わせた結果がC2の2倍よりも大きいと判定した場合(ステップS24において「YES」)、ステップS25に進む。一方、近接検知部30が、上述した足し合わせた結果がC2の2倍よりも大きくないと判定した場合(ステップS24において「NO」)、液晶タッチパネル10は使用者の指27など体の一部による接触がない状態であるとして、ステップS21に戻り前記した処理を繰り返す。実施例3に係るオーブンレンジ1では、CxmaxとCymaxの平均がC2を超えたかどうかを、近接したかどうかの判断基準とするものとしているが、実際の演算では、CxmaxとCymaxとの足し合わせた結果がC2の2倍より大きいかどうかで判定している。
続く、ステップS25では、今度は、接触検知部29がステップS22、S23それぞれで抽出したCxmaxとCymaxを足し合わせる。そして、この足し合わせた演算結果が、図5に示すC1の2倍より大きいかどうかを判定する。そして、C1の2倍より大きいと判定した場合、接触検知部29は、液晶タッチパネル10が使用者の指27などによって接触されたものと判定し、処理を終了して図20に示す詳細設定の画面表示へと移行する。一方、接触検知部29は、ステップS25でC1の2倍の値より大きくない場合、使用者の指27などが液晶タッチパネル10に接触していないと判定する。すなわち、ステップS24の近接検知部30による判定結果とステップS25の接触検知部29による判定結果から、使用者の指27など体の一部が液晶タッチパネル10に接触していないが、近接しているものと判定される。そこで、近接検知部30は、検知した近接位置座標(Cxmax、CymaxとなるX座標、Y座標)を表示制御部31に出力する。そして、ステップS26に進む。
ステップS26においては、表示切換部34が、Cxmax、Cymaxそれぞれが発生した時のX座標、Y座標の位置に表示された標準ボタン画像に対応する拡大ボタン画像43を拡大ボタン画像記憶部33より抽出する。そして、抽出した拡大ボタン画像43に基づく表示を行うように液晶タッチパネル10のカラー液晶表示器11を制御する。このようにして液晶タッチパネル10に拡大ボタン画像43を表示する。そして、ステップS2に戻り前記した処理を繰り返すことで、近接状態が続けば拡大ボタンを表示し続け、近接状態から離れた状態になると拡大ボタンは消える。
以上のように実施例3に係るオーブンレンジ1によれば、自動調理メニューの自動メニューボタン群41を表示する際には、通常は、標準ボタン画像記憶部32に記憶されている多数の標準ボタン画像を液晶タッチパネル10に一覧表示する。そして、いずれかの標準ボタン画像に対して指27などが近接すると近接検知部30がそれを検知する。このように近接検知部30によって近接検知されると、表示制御部31における表示切換部34が指27などが近接したと判定された近接位置座標にある標準ボタン画像に対応付けられた拡大ボタン画像43を拡大ボタン画像記憶部33から読み出す。そして、カラー液晶表示器11において、標準ボタン画像を、拡大ボタン画像43に切り換えて表示させる。なお、この拡大ボタン画像43には調理完成時の写真を含んでいるので、使用者に誤った選択決定をさせないようにわかり易く表示することができる。
(実施例3の変形例1)
次に実施例3の変形例1について説明する。実施例3の変形例1は、上述した実施例3の図16〜図18に相当する部分についての説明は同様であり省略する。まずここで図18に示す自動メニュー選択画面を液晶タッチパネル10に表示した状態において、自動メニューボタン群41の中の「ラタトゥイユ」ボタン画像に使用者の指27などの体の一部が近接した時の液晶タッチパネル10の表示状態を図22に示す。図22は、実施例3に係る液晶タッチパネルにおいて表示される自動調理メニューの選択画面の一例を示す図である。
図22に示すように、自動メニューボタン群41には標準ボタン画像記憶部32に記憶されている標準ボタン画像が多数表示されている。その中で指が近接している料理品目「ラタトゥイユ」だけが、拡大ボタン画像43として大きく表示されている。そして拡大ボタン画像43には「ラタトゥイユ」という料理品目名と、ラタトゥイユに関する詳細情報47として材料を表示している。すなわち、上述した実施例3では、拡大ボタン画像43には、料理品目名とイメージ情報44(調理出来上がり時の写真)が付加されていたが、実施例3の変形例1では、拡大ボタン43には、料理品目名とこの料理品目に関する詳細情報47が付加されている点で異なる。
このように詳細情報47を表示することで、使用者は料理品目を明確に把握することができるようになり、間違った選択をすることがなくなる。また、カラー液晶表示器11の画面解像度によっては上述した実施例3のオーブンレンジ1のように、調理完成時の写真などのイメージ情報44では料理品目の内容がわかりにくい場合もありうる。そのような場合には、実施例3の変形例1のように文字情報で材料などの詳細情報47を表示するほうがわかり易く、使用者の間違った選択をより効果的に防ぐことができる。
図22で示す表示において、拡大ボタン43に使用者の指27を接触させると、液晶タッチパネル10では、図23に示すような詳細設定画面へと表示画面が遷移する。図23は、実施例3の変形例1に係る液晶タッチパネルにおいて表示される自動調理メニューの詳細設定画面の一例を示す図である。この詳細設定画面においても、カラー液晶表示器11の画面解像度では写真などのイメージ情報44が視認困難な場合がありうる。このような場合には、実施例3の変形例1に係るオーブンレンジ1のように、写真などのイメージ情報44に替えて材料と分量とを示す詳細情報47を料理品目とともに表示させる。さらに分量設定ボタン画像45a、45bに使用者が指27で接触して、分量の増減設定を行った際に、この設定に連動して詳細情報47として示されている各材料の分量を変更させて表示できるようにすれば利便性が向上する。
以上のように、実施例3の変形例1に係るオーブンレンジ1によれば、通常は液晶タッチパネル10で表示させる基本のメニュー画面などでは、標準ボタン画像記憶部32で記憶されている多数の標準ボタン画像が一覧表示されている。そして、いずれかの標準ボタン画像に対して使用者の指27が近接すると近接検知部30がそれを検知する。そして、表示制御部31は使用者の指27による近接が検知された標準ボタン画像を、該標準ボタン画像に対応付けられた拡大ボタン画像43に切り換えて液晶タッチパネル10に表示させる。このとき表示される拡大ボタン画像43には、材料など自動調理メニューに含まれる各料理品目に関する詳細情報47を含んでいるので、使用者が誤った選択決定をしないようにわかり易く表示させることができる。
なお、実施例3およびその変形例1において、図17に示す基本のメニュー画面に表示されているあたためボタン画像35、レンジボタン画像36、スチームボタン画像37、オーブンボタン画像38、グリルボタン画像39、および自動メニューボタン画像40などの標準ボタン画像は標準ボタン画像記憶部32に保存されている。そして、実施例3およびその変形例1では、これらの標準ボタン画像それぞれに対応する拡大ボタン画像43が準備されていないものとして説明した。つまり、これらの標準ボタン画像はもともと画面に表示するボタン数が少ないため、十分に大きい表示画素数を確保できるから、それぞれに対応する拡大ボタン画像43を準備しなかったのである。しかしながら、これらの標準ボタン画像に対しても、よりわかり易くするために、それぞれの標準ボタン画像に対応する、より画素数の多い拡大ボタン画像43を準備し、指27などによる近接が検知された時に、これらの標準ボタン画像を拡大ボタン画像43に切り換えるように構成しても良い。
また同様にページめくりボタン42や分量設定ボタン45a、45bなども近接した時に拡大ボタンに切り換えて表示しても良い。
また実施例3に係るオーブンレンジ1では拡大ボタン画像43において写真などのイメージ情報44を含めて表示しており、一方、実施例3の変形例1に係るオーブンレンジ1では拡大ボタン画像43において、材料などの詳細情報47を含めて表示させる構成であった。拡大ボタン画像43について、どちらの表示形態を好むかは個人差があり、使用者の好みでどちらの表示形態の拡大ボタン画像43でも選択できるように、切り換え可能な構成となっていても良い。
以上のように実施例3に係るオーブンレンジ1は、以下に示す構成を有するものとしてもよい。
実施例3に係る第1の加熱調理器は、食品を加熱する加熱部と、前記加熱部を制御する加熱制御部と、前記食品の加熱調理に関する情報を表示する表示部と、前記表示部に一体的に構成し前記表示部の表示に基づき使用者が選択操作するタッチパネルと、前記タッチパネルからの入力に基づき前記表示部の表示を制御する操作表示制御部を有し、前記操作表示制御部は、前記タッチパネルに人体の一部が近づいたことを検知する近接検知部と、前記タッチパネルに人体の一部が接触したことを検知する接触検知部と、前記近接検知部および前記接触検知部の入力に基づき前記表示部の表示を制御する表示制御部を有し、前記表示制御部は、調理メニューの標準ボタン画像を記憶している標準ボタン画像記憶部と、前記標準ボタン画像より大きい拡大ボタン画像を記憶している拡大ボタン画像記憶部と、前記標準ボタン画像表示中に前記近接検知部からの入力により人体の一部が前記標準ボタン画像に近づいたときに前記標準ボタン画像から前記拡大ボタン画像に表示を切り換える表示切換部を有し、少なくとも前記拡大ボタン画像記憶部に記憶している拡大ボタン画像には調理完成時のイメージ情報を含むものである。
これによって、通常は表示部に標準ボタン画像記憶部で記憶されている多数の標準ボタン画像を一覧表示し、いずれかの標準ボタン画像に人体の一部が近接すると近接検知部がそれを検知し、表示制御部はその近接した標準ボタン画像を拡大ボタン画像記憶部に記憶している拡大ボタン画像に切り換えて表示する。そして拡大ボタン画像には調理完成時のイメージ情報を含んでいるので、表示部に多くの標準ボタン画像を表示して一覧性を良くし、且つ、使用者に誤った選択決定をさせないように、近接検知されたボタンは拡大ボタン画像でわかり易く表示することができる。
実施例3に係る第2の加熱調理器は、食品を加熱する加熱部と、前記加熱部を制御する加熱制御部と、前記食品の加熱調理に関する情報を表示する表示部と、前記表示部に一体的に構成し前記表示部の表示に基づき使用者が選択操作するタッチパネルと、前記タッチパネルからの入力に基づき前記表示部の表示を制御する操作表示制御部を有し、前記操作表示制御部は、前記タッチパネルに人体の一部が近づいたことを検知する近接検知部と、前記タッチパネルに人体の一部が接触したことを検知する接触検知部と、前記近接検知部および前記接触検知部の入力に基づき前記表示部の表示を制御する表示制御部を有し、前記表示制御部は、調理メニュー(自動調理メニュー、自動メニュー)の標準ボタン画像を記憶している標準ボタン画像記憶部と、前記標準ボタン画像より大きい拡大ボタン画像を記憶している拡大ボタン画像記憶部と、前記標準ボタン画像表示中に前記近接検知部からの入力により人体の一部が前記標準ボタン画像に近づいたときに前記標準ボタン画像から前記拡大ボタン画像に表示を切り換える表示切換部を有し、少なくとも前記拡大ボタン画像記憶部に記憶している拡大ボタン画像には調理メニューに関する詳細情報を含むものである。
これによって、通常は表示部に標準ボタン画像記憶部で記憶されている多数の標準ボタン画像を一覧表示し、いずれかの標準ボタン画像に人体の一部が近接すると近接検知部がそれを検知し、表示制御部はその近接した標準ボタン画像を拡大ボタン画像記憶部に記憶している拡大ボタン画像に切り換えて表示する。そして拡大ボタン画像には調理メニューに関する詳細情報を含んでいるので、表示部に多くの標準ボタン画像を表示して一覧性を良くし、且つ、使用者に誤った選択決定をさせないように、近接検知されたボタンは拡大ボタン画像でわかり易く表示することができる。
したがって、本発明の実施形態における実施例3によれば、表示パネルに多くのメニューボタンを表示して一覧性を良くし、且つ、誤った選択決定をさせないようにわかり易く表示することができるという効果を奏する。
また、実施例3に係る加熱調理器(オーブンレンジ1)は、例えば、以下のように活用することができる。
すなわち、実施例3では、通常は表示部に標準ボタン画像記憶部で記憶されている多数の標準ボタン画像を一覧表示している。そして、いずれかの標準ボタン画像に人体の一部が近接すると近接検知部がそれを検知し、表示制御部はその近接検知された標準ボタン画像を拡大ボタン画像記憶部に記憶している拡大ボタン画像に切り換えて表示する。そして、その拡大ボタン画像には調理完成時のイメージ情報あるいは詳細情報が含まれているので、表示部に多くの標準ボタン画像を表示させて一覧性を良くすることができる。さらに、使用者の誤った選択決定を防止するように、使用者の手などが近接した標準ボタン画像を拡大ボタン画像に切り換えてわかり易い表示とすることができるので、オーブンレンジの他、炊飯器やIHクッキングヒータなど、調理器全般にも適用できる。
(実施例4)
次に、液晶タッチパネル10において、戻る操作をすることなく、より早く簡単に所望の料理品目まで辿り着けるようにして、使い勝手を向上させるように工夫したオーブンレンジ1について実施例4として説明する。
なお、実施例4に係るオーブンレンジ1では、上記した近接検知に対する有効または無効を判定する構成については明示していないが、実施例1または実施例2に係るオーブンレンジ1の構成と組み合わせることは可能である。
まず、液晶タッチパネル10における、カラー液晶表示器11と位置入力装置15との制御について、図24の制御ブロック図を用いて説明する。図24は実施形態の実施例4に係るオーブンレンジ1の要部構成の一例を示すブロック図である。図24に示すように、オーブンレンジ1は、加熱制御部24および操作表示制御部28を備えている。操作表示制御部28は、位置入力装置15からの信号に基づきカラー液晶表示器11における表示を制御したり、加熱制御部24に対して、使用者からの入力に応じた信号を送信したりするものである。加熱制御部24は、操作表示制御部28からの信号を受け付けると、前述したようにサーミスタ22または赤外線センサ23によって検出された温度に応じて、加熱部材であるマグネトロン17、平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、スチーム発生器21を制御する。なお、加熱制御部24は、図24では図示していないが循環ファン20の動作量も制御する構成であってもよい。
図24に示すように、操作表示制御部28は、液晶タッチパネル10に指27などの人体の一部が接触したことを検知する接触検知部29、指27などの人体の一部が近接したことを検知する近接検知部30、カラー液晶表示器11における表示制御を行う表示制御部31を備える。
接触検知部29及び近接検知部30の構成は、上述した実施例1に係るオーブンレンジ1が備える接触検知部29および近接検知部30と同様の構成であるため、説明は省略する。
表示制御部31は、接触検知部29から入力された接触位置座標、または近接検知部30から入力された近接位置座標に従い、カラー液晶表示器11における表示制御を行うものである。表示制御部31は、上述した実施例1に係るオーブンレンジ1の表示制御部31が備えている標準ボタン画像記憶部32および拡大ボタン画像記憶部33の代わりに、ボタン画像記憶部132および近接時画像記憶部133を備えている点で異なる。さらに、上述した実施例1に係る表示制御部31が、表示切換部34を備えているのに対して、実施例4に係る表示制御部31は、表示切換部34を備えていない点でも異なる。ボタン画像記憶部132には複数のボタン画像が記憶されていて、その中には、「蒸し物・煮物」、「焼き魚」など自動調理メニューにおける料理品目を分類したカテゴリーを示す文字を表すボタン画像が含まれる。
一方、近接時画像記憶部133には、近接検知部30が指27などの人体の一部が近接していることを検知した時に、近接位置座標にあるボタン画像の近傍に表示するための画像(近接時画像66)を記憶している。具体的には、近接時画像記憶部133は、料理品目を示す文字が示された画像であり、ボタン画像記憶部132に記憶されているカテゴリーを示す文字を表すボタン画像に対応付けて記憶されている。
次に液晶タッチパネル10の表示例を示す図を使って、操作表示制御部28の動作について説明する。具体的には、実施例3で説明した図17を再度、参照して説明する。基本メニュー画面ではあたためボタン画像35、レンジボタン画像36、スチームボタン画像37、オーブンボタン画像38、グリルボタン画像39、および自動メニューボタン画像40がそれぞれ表示されている。この基本メニュー画面で表示されているそれぞれのボタン画像はボタン画像記憶部132に保存されていて、電源投入後などにおいて表示制御部31によってボタン画像記憶部132から読み出され、カラー液晶表示器11において基本のメニュー画面として表示される。
ここで、液晶タッチパネル10において表示されているいずれかのボタン画像の位置に指27が接触すると、それぞれ次の詳細な設定を行うための画面に切り換わる。つまり、液晶タッチパネル10に表示されている基本のメニュー画面の各ボタン画像のうち、例えばあたためボタン画像35に指27が接触すると加熱終了の温度を設定する画面に切り換わる。またレンジボタン画像36に指27が接触すると加熱パワー(ワット)と加熱時間の設定画面に切り換わる。またスチームボタン画像37に指27が接触すると加熱時間の設定画面に切り換わる。スチーム加熱はスチームとマイクロ波と平面ヒータ18による加熱の組み合わせで蒸し調理を行うものである。またオーブンボタン画像38に指27が接触すると加熱温度と加熱時間の設定画面に切り換わる。また、グリルボタン画像39に指27が接触すると片面グリルか両面グリルかの区別と加熱時間の設定画面に切り換わる。そして自動メニューボタン画像40に指27が接触すると、自動調理メニュー(自動メニュー)のカテゴリー選択画面に切り換わる。
図25に液晶タッチパネル10において自動調理メニューのカテゴリー選択画面を表示した状態を示す。図25は、実施例4に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューのカテゴリー選択画面の一例を示す図である。カテゴリー選択画面には蒸し物・煮物ボタン画像60、焼き物ボタン画像61、焼き魚ボタン画像62、揚げ物・炒め物ボタン画像63、お菓子・パンボタン画像64、合せ技セットボタン画像65を表示している。これら各ボタン画像はボタン画像記憶部132に保存されている。
次に、この自動調理メニューのカテゴリー選択画面が表示されている状態で液晶タッチパネル10に使用者の指27が接触する手前の状態、すなわち、近接した状態の場合について説明する。近接検知部30が使用者の指27など体の一部による液晶タッチパネル10への近接を検知すると、検知結果として近接位置座標を表示制御部31に対して出力する。表示制御部31は、近接検知部30から入力された近接位置座標に基づき、使用者の指27などが近接した位置にあるボタン画像に対応づけられている近接時画像66を近接時画像記憶部133から抽出する。そして、指27などが近接した位置にあるボタン画像の近傍に近接時画像66を表示する。例えば図25のカテゴリー選択画面の焼き物ボタン画像61に指27が近接した時の液晶タッチパネル10の表示状態を図26に示す。図26は、実施例4に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューのカテゴリー選択画面の一例を示す図である。
図26に示すように、自動調理メニューのカテゴリー選択画面で表示される各ボタン画像は図25に示す自動調理メニューのカテゴリー選択画面と同様に表示されている。すなわち、各ボタン画像は、液晶タッチパネル10における位置座標と対応づけられているとともに、カテゴリー選択画面とも対応づけられてボタン画像記憶部132に記憶されている。そして、使用者の指27が近接した焼き物ボタン画像61の横には焼き物のカテゴリーに属する料理品目である、焼き豚、肉巻き野菜、ハンバーグ、鶏の塩焼き、鶏の照焼き、グラタンが示された近接時画像66がカテゴリー選択画面上に重畳して表示される。そして、液晶タッチパネル10において、焼き物ボタン画像61の表示位置に指27が接触すると、例えば図27に示すような、焼き物として分類されるカテゴリーの調理メニュー選択画面に遷移する。図27は、実施例4に係る液晶タッチパネル10において表示される、焼き物として分類されるカテゴリーの調理メニュー選択画面の一例を示す図である。
図27では、焼き物のカテゴリーにおける調理メニュー選択画面を示す。図27に示すように焼き物のカテゴリーにおける調理メニュー選択画面では、焼き豚ボタン画像67、肉巻き野菜ボタン画像68、ハンバーグボタン画像69、鶏の塩焼きボタン画像70、鶏の照焼きボタン画像71、グラタンボタン画像72を表示している。それぞれのボタン画像は、液晶タッチパネル10における位置座標と対応づけられているとともに、焼き物のカテゴリーにおける調理メニュー選択画面とも対応づけられてボタン画像記憶部132に保存されている。そしてこの調理メニュー選択画面が液晶タッチパネル10において表示されている状態で、いずれかのボタン画像が表示されている位置に指27が接触すると、そのボタン画像により示されている料理品目の詳細な選択画面に遷移する(図28参照)。
図28に液晶タッチパネル10における、料理品目の詳細設定画面の表示例を示す。例として「ハンバーグ」の詳細設定画面について説明する。詳細設定画面では、料理品目と調理完成時の写真とを表示している他、分量設定ボタン画像73a、73bと、仕上り調整スライダ74を備えている。分量設定は料理を提供する人数分として設定することができるようになっており、分量設定ボタン画像73aに接触すると料理を提供する人数分の分量が増加、分量設定ボタン画像73bに接触すると料理を提供する人数分の分量が減少する。このように分量設定ボタン画像73a、73bを操作して設定する。また仕上り調整スライダ74に接触しながら右に移動させると、加熱時間を長めにしたり、加熱パワーを強めたりするなど強めの設定に、左に移動させると加熱時間を短くしたり、加熱パワーを弱めたりするなど弱めの設定にすることできる。以上の設定を終えたところで、図1に示す加熱開始ボタン7を押すことで加熱を開始する。
上述した実施例3の図17において示した液晶タッチパネル10の自動メニューボタン40部分に対して使用者の指27が接触してからの動作の流れを図29に示す。図29は、実施例4に係るオーブンレンジ1が備える液晶タッチパネル10における入力受付動作の一例を示すフローチャートである。図29において、自動メニューボタン40部分に対して使用者の指27の接触が検知されると、ステップS31で表示制御部31は、自動調理メニューのカテゴリー選択画面におけるボタン画像を液晶タッチパネル10に表示させ、ステップS32に進む。このときの表示は図25に示すものである。次にステップS32で近接検知部30が図4に示す複数(m個)のX方向センサ電極25すべての静電容量変化Cx1〜Cxmを検出しその最大値をCxmaxとして抽出して、ステップS33に進む。次にステップS33で近接検知部30が、図4に示す複数(n個)のY方向センサ電極26すべての静電容量変化Cy1〜Cynを検出しその最大値をCymaxとして抽出し、ステップS34に進む。
ステップS34では、近接検知部30がステップS32、S33で抽出したCxmaxとCymaxとを足し合わせる演算を行う。そして、その演算結果が図5に示すC2の2倍より大きいかどうかを判定する(ステップS34)。ここで近接検知部30がCxmaxとCymaxとを足し合わせた結果がC2の2倍より大きいと判定した場合(ステップS34において「YES」)ステップS35に進む。一方、近接検知部30が、上述した足し合わせた結果がC2の2倍よりも大きくないと判定した場合(ステップS34において「NO」)、液晶タッチパネル10は使用者の指27など体の一部による接触も近接もない状態であるとして、ステップS31に戻り前記した処理を繰り返す。
続く、ステップS35では、今度は、接触検知部29がステップS32、S33それぞれで抽出したCxmaxとCymaxを足し合わせる。そして、この足し合わせた演算結果が、図5に示すC1の2倍より大きいかどうかを判定する。そしてC1の2倍より大きいと判定した場合、接触検知部29は、液晶タッチパネル10が使用者の指27などによって接触されたものと判定し、処理を終了して図27に示す調理メニュー選択画面表示へ移行する。一方、接触検知部29は、ステップS35でC1の2倍の値より大きくない場合、使用者の指27などが液晶タッチパネル10に接触していないと判定する。すなわち、ステップS34の近接検知部30による判定結果とステップS35の接触検知部29による判定結果から、使用者の指27など体の一部が液晶タッチパネル10に接触していないが、近接しているものと判定される。そこで、近接検知部30は、検知した近接位置座標(Cxmax、CymaxとなるX座標、Y座標)を表示制御部31に出力する。そして、ステップS36に進む。
ステップS36においては、表示制御部31が、Cxmax、Cymaxそれぞれが発生した時のX座標、Y座標の位置に表示されたボタン画像に対応する近接時画像66を近接時画像記憶部133より抽出する。そして、抽出した近接時画像66に基づく表示を行うように液晶タッチパネル10のカラー液晶表示器11を制御する。このようにして、表示制御部31は、使用者の指27などによる近接が検知された位置に表示されているボタン画像の近傍に、近接時画像66を表示することができる。この時の表示状態は図26に示すようになる。この図9の例では、近接時画像66によって調理メニューにおける焼き物のカテゴリーに属する料理品目が示されている。そして、ステップS32に戻り前記した処理を繰り返すことで、近接状態が続けば近接時画像66を表示し続け、近接状態から離れた状態になると近接時画像66は消える。
以上のように実施例4に係るオーブンレンジ1によれば、まず、液晶タッチパネル10に複数のカテゴリーを示すボタン画像を表示した状態において、このうちのいずれかのボタン画像に対して指27などが近接すると近接検知部30がそれを検知する。このように近接検知部30によって近接検知されると、表示制御部31は指27などが近接したと判定された近接位置座標にあるボタン画像に対応付けられた近接時画像66を近接時画像記憶部133から抽出し、表示させる。このように近接した状態で近接時画像を表示することができるため、使用者が自動調理メニューにおいて間違ったカテゴリーを選択してしまうことを防止することができ、使い勝手が向上する。
なお、図17の基本のメニュー画面に表示されているあたためボタン画像35、レンジボタン画像36、スチームボタン画像37、オーブンボタン画像38、グリルボタン画像39、および自動メニューボタン画像40などのボタン画像はボタン画像記憶部132に保存されていて、これらに対応する近接時画像66は準備されていないものとして説明した。つまり、基本メニュー画面において表示されているボタン画像それぞれは、自動調理メニューのカテゴリー選択画面におけるボタン画像のようにわかり難いものではないため、それぞれに対応する近接時画像66を必要としない構成として説明した。しかしながら、基本メニュー画面において表示されているボタン画像についてもよりわかり易くするために、それぞれのボタン画像に対応させて、次に表示される画面での内容がわかる近接時画像66を準備する。そして、使用者の指27などが、ボタン画像が表示されている位置に近接した時にこの準備している近接時画像66を表示させるように構成しても良い。
また同様に図27に示す各料理品目のボタン画像はボタン画像記憶部132に保存されているが、これらに対応する近接時画像66も準備されていないものとして説明した。しかしながら、各料理品目を示すボタン画像についてもよりわかり易くするために、それぞれのボタン画像に対応させて、次に表示される画面での内容がわかる近接時画像66または調理完成時の写真を近接画像66として準備する。そして、使用者の指27などが、ボタン画像が表示されている位置に近接した時に、この準備している近接時画像66を表示させるように構成しても良い。
また使い慣れた人にとっては、この近接時画像66が逆に煩わしく感じる場合もある。このため、近接時画像66の表示有無を選択できるように選択部をさらに備えた構成としても良い。
以上のように実施例4に係るオーブンレンジ1は、以下に示す構成を有するものとしてもよい。
実施例4に係る第1の加熱調理器は、食品を加熱する加熱部と、前記加熱部を制御する加熱制御部と、前記食品の加熱調理に関する情報を表示する表示部と、前記表示部に一体的に構成し使用者が選択操作するタッチパネルと、前記タッチパネルに人体の一部が近づいたことを検知する近接検知部と、前記タッチパネルに人体の一部が接触したことを検知する接触検知部と、前記近接検知部および前記接触検知部の入力に基づき前記表示部の表示を制御する表示制御部を備え、前記表示制御部は調理メニューのボタン画像を記憶しているボタン画像記憶部と、前記ボタン画像に対応した近接検知時に表示する近接時画像を記憶する近接時画像記憶部を備え、前記ボタン画像表示中に前記近接検知部からの入力により人体の一部が前記ボタン画像に近づいたときに前記ボタン画像近傍に前記近接時画像を表示し、前記ボタン画像は調理メニューのカテゴリーを示す画像であり前記近接時画像は対応する前記ボタン画像のボタンに割り当てられた調理メニューを含む構成である。
この構成により通常は表示部にボタン画像記憶部で記憶されている複数の調理メニューのカテゴリーを示すボタン画像を一覧表示し、いずれかのボタン画像に人体の一部が近接すると近接検知部がそれを検知し、表示制御部はその近接したボタン画像に対応する近接時画像記憶部に記憶された調理メニューを含む近接時画像をボタン画像近傍に表示する。そうすることでカテゴリーのボタン画像に接触する前にそのカテゴリーに対応する調理メニューがわかるので、間違ったカテゴリーを選択することはなく、より早く簡単に所望のメニュー選択に辿り着けて、使い勝手が向上する。
したがって、本発明の実施形態における実施例4によれば、調理メニューの選択において、カテゴリーのボタン画像に接触する前にそのカテゴリーに対応する調理メニューがわかるので、間違ったカテゴリーを選択することはなく、より早く簡単に所望のメニュー選択に辿り着けて使い勝手が向上するという効果を奏する。
また、実施例4に係る加熱調理器(オーブンレンジ1)は、例えば、以下のように活用することができる。
すなわち、実施例4では、通常は表示部にボタン画像記憶部で記憶されている調理メニューにおけるカテゴリーを示す、複数のボタン画像を一覧表示している。そして、いずれかのボタン画像に人体の一部が近接すると近接検知部がそれを検知し、表示制御部はその近接検知されたボタン画像に対応する近接時画像記憶部に記憶された近接時画像をボタン画像近傍に表示する。そうすることでカテゴリーのボタン画像に接触する前にそのカテゴリーに対応する料理品目がわかるので、間違ったカテゴリーを選択することはなく、より早く簡単に所望の料理品目を選択することができるので、オーブンレンジの他、炊飯器やIHクッキングヒータなど、調理器全般に適用できる。
(実施例5)
次に、液晶タッチパネル10において、ミトンなど分厚い手袋を付けたままで入力を可能とすることで、操作性を向上させるように工夫したオーブンレンジ1について実施例5として説明する。
なお、実施例5に係るオーブンレンジ1では、上記した近接検知に対する有効または無効を判定する構成については明示していないが、実施例1または実施例2に係るオーブンレンジ1の構成と組み合わせることは可能である。
まず、実施例5に係るオーブンレンジ1は、図30に示すように、上述した図3に示すオーブンレンジ1の構成において、さらに上段レール50Aと50B、ならびに下段レール51Aと51Bを備えた構成となっている。上段レール50Aと50B、ならびに下段レール51Aと51Bは、加熱皿やオーブン皿に食品を載せて加熱するときに、それらの皿を加熱庫16内において支持するためのレールである。これ以外は、オーブンレンジ1の内部構成は同様であるため、同じ部材には同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
次に、液晶タッチパネル10で受付けた入力に応じて、加熱制御部24に加熱指示を出力する制御について、図31の制御ブロック図を用いて説明する。図31は実施形態の実施例5に係るオーブンレンジ1の要部構成の一例を示すブロック図である。図31に示すように、オーブンレンジ1は、加熱制御部24および操作表示制御部28を備えている。操作表示制御部28は、位置入力装置15からの信号に基づきカラー液晶表示器11における表示を制御したり、加熱制御部24に対して、使用者からの入力に応じた信号を送信したりするものである。加熱制御部24は、操作表示制御部28からの信号を受け付けると、前述したようにサーミスタ22または赤外線センサ23によって検出された温度に応じて、加熱部材であるマグネトロン17、平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、スチーム発生器21を制御する。なお、加熱制御部24は、図31では図示していないが循環ファン20の動作量も制御する構成であってもよい。
図31に示すように、操作表示制御部28は、接触検知部29、近接検知部30、タイマー部(状態判定部、許可判定部)53、切替部52、および表示制御部31を備えている。接触検知部29は、液晶タッチパネル10に指27などの人体の一部が接触したことを検知するものである。一方、近接検知部30は、指27などの人体の一部が液晶タッチパネル10に近接したことを検知するものである。
タイマー部53は、接触検知部29または近接検知部30で検知した、使用者の指27などの接触または近接に応じて、加熱部材の加熱時間を設定し、カウントするものである。
切替部52は、タイマー部53により設定された時間だけ経過するタイミングで液晶タッチパネル10に対する指27などの近接検知を近接検知部30が行わない状態から行う状態へと切り替えるものである。すなわち、切替部52は、液晶タッチパネル10の位置入力装置15における静電容量の変化量を近接検知部30が受付けない状態から受付ける状態へと切り換える。
また、表示制御部31は、接触検知部29または近接検知部30による接触検知または近接検知に応じてカラー液晶表示器11の表示を制御するものである。更にまた、上記したタイマー部53は、設定時間のカウント終了後、追加加熱時間を設定しその時間経過をカウントするための追加タイマー部54を含んでいる。この構成により設定時間経過するまでは、接触検知部29でのみ、液晶タッチパネル10に対する接触検知を行い、設定時間経過後は接触検知部29で接触検知を行うとともに、近接検知部30で近接検知を行うことで、液晶タッチパネル10に対する指27などの接触および近接の検知を行う。
接触検知部29および近接検知部30の構成は、上述した実施例1に係るオーブンレンジ1が備える接触検知部29および近接検知部30と同様の構成であるため、説明は省略する。
タイマー部53は、停止した状態(初期状態)では接触検知部29での接触検知に応じた入力に従い加熱部材によって加熱させる加熱時間を設定する。より具体的には、液晶タッチパネル10において加熱スタートを示すボタン画像への接触を接触検知部29が検知すると、タイマー部53は加熱時間を設定する。そして、操作表示制御部28は、加熱制御部24に対して加熱部材に対する加熱を指示する。この操作表示制御部28からの指示に応じて加熱制御部24が加熱部材に対して加熱をスタートさせると、タイマー部53は、その設定した加熱時間分の時間経過をカウントする。なお、加熱制御部24は加熱部材であるマグネトロン17、平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、およびスチーム発生器21のうちいずれか一つ、または複数を制御して加熱する。
タイマー部53がこの設定した加熱時間の経過をカウントし、設定した加熱時間が終了となると、加熱制御部24は加熱部材を停止させ、切替部52は、近接検知部30が有効に動作するように切り替える。
ここで、この切替部52は、タイマー部53による時間経過のカウント終了時点に基づき、オーブンレンジ1の状態が加熱中ではないと判定する状態判定部として機能するものともいえる。そして、このオーブンレンジ1の状態が加熱中ではないとの判定により近接検知部による近接検知を有効となるように切り替える。
また、タイマー部53は、接触検知部29または近接検知部30のいずれかで検知した接触検知または近接検知に応じて入力される情報に従って追加加熱時間の設定を行うことができる。
例えば、使用者はオーブンレンジ1において食品の仕上がり状態などを確認し、さらに追加加熱が必要かどうかを判断する。そして、使用者が、追加加熱が必要であると判断した場合、液晶タッチパネル10を介して追加加熱時間の設定指示を行う。一方、使用者が追加加熱は不要であると判断した場合は、図1に示す取消ボタン8を押して追加加熱の実行を取り消す。これによってオーブンレンジ1では、追加加熱を実施せず、加熱を行う前の初期状態に戻る。また所定時間、使用者からの追加加熱時間の設定指示を受付けなかった場合、オーブンレンジ1では、追加加熱は不要として加熱を行う前の初期状態に戻る。
つまりタイマー部53は、設定された加熱時間の経過をカウントし、設定された時間経過のカウントを終了させると、所定時間だけ切替部52に指示して、近接検知部30による近接検知が有効となるように切り換える。なお、この所定時間以外では、近接検知部30による近接検知は無効となるように構成されている。実施例5に係るオーブンレンジ1では、このように追加の加熱時間を設定する時にだけ近接検知部30による近接検知が有効となり、それ以外の時には無効となるように構成される。ここで、追加の加熱時間を設定する時とは、オーブンレンジ1では、一度食品を加熱した後のタイミングである。したがって、このタイミングでは、一度、食品が加熱されているので食品は熱くなっている状態であり、使用者がこの食品の仕上がり状態を観察する時にはミトンなどの分厚い手袋を付けている場合がありうる。そこで、実施例5に係るオーブンレンジ1では、使用者がミトンなどの手袋を装着している状態でも、液晶タッチパネル10に対する操作ができるように近接検知部30による近接検知を有効としている。それ以外の時では使用者が素手である状態が多く、液晶タッチパネル10に接触して操作できる状態にあると想定される。このような状態時に近接検知部30による検知を有効とすると、使用者が液晶タッチパネル10に近接するだけで、操作指示が入力されてしまうため、オーブンレンジ1は、使用者の意図に反した入力を受け付け、誤動作する可能性がある。そこで、実施例5に係るオーブンレンジ1では、このような誤動作を起こさないために近接検知部30による近接検知を無効としている。
次に液晶タッチパネル10の表示例を示す図を使って、操作表示制御部28の動作について説明する。具体的には、実施例3で説明した図17を再度、参照して説明する。基本メニュー画面ではあたためボタン画像35、レンジボタン画像36、スチームボタン画像37、オーブンボタン画像38、グリルボタン画像39、および自動メニューボタン画像40がそれぞれ表示されている。この基本メニュー画面で表示されているそれぞれのボタン画像はボタン画像記憶部(図31では不図示)132に保存されており、電源投入後などにおいて表示制御部31によってボタン画像記憶部132から読み出され、カラー液晶表示器11において基本のメニュー画面として表示される。
ここで液晶タッチパネル10において表示されているいずれかのボタン画像の位置に指27が接触すると、その接触を接触検知部29で検知し、それぞれ次の詳細な設定を行うための画面に切り換わる。つまり、液晶タッチパネル10に表示されている基本のメニュー画面の各ボタン画像のうち、例えばあたためボタン画像35に指が接触すると加熱終了の温度を設定する画面に切り換わる。またレンジボタン画像36に指27が接触すると加熱パワー(ワット)と加熱時間の設定画面に切り換わる。スチームボタン画像37に指27が接触すると加熱時間の設定画面に切り換わる。スチーム加熱はスチームとマイクロ波と平面ヒータ18による加熱の組み合わせで蒸し調理を行うものである。またオーブンボタン画像38に指27が接触すると加熱温度と加熱時間の設定画面に切り換わる。また、グリルボタン画像39に指27が接触すると底面と上面の加熱時間の設定画面に切り換わる。そして自動メニューボタン画像40に指27が接触すると、自動調理メニュー(自動メニュー)の選択画面に切り換わる。
例えば、基本のメニュー画面においてレンジボタン画像38が表示されている位置に指27が接触した場合、表示制御部31は、カラー液晶表示器11において図32に示すような加熱パワー(ワット)と加熱時間の設定画面を表示する。図32は、実施例5に係る液晶タッチパネルにおいて表示される加熱パワーと加熱時間の設定画面の一例を示す図である。この設定画面では、加熱パワー表示部55、加熱パワー設定部56、加熱時間表示部57、および加熱時間設定部58を含む。加熱パワー表示部55は加熱パワーを表示する部分であり、加熱パワー設定部56は使用者が加熱パワーを設定する部分である。使用者は加熱パワー設定部56に指を接触させてスライドし、図32の紙面右側に動かすことで加熱パワーを大きくすることができ、紙面左側に動かすことで加熱パワーを小さくするように設定できる。本実施例では、より具体的には、最小100Wから最大1000Wまでの間で加熱パワーを設定できる。また加熱時間表示部57は加熱時間を表示する部分であり、加熱時間設定部58は使用者が加熱時間を設定する部分である。使用者は加熱時間設定部58に指を接触させてスライドし、図32の紙面右側に動かすことで加熱時間をより長く、紙面左側に動かすことで加熱時間をより短くするように設定できるものである。本実施例では、より具体的には、この加熱時間の設定可能範囲は上記の加熱パワーと関連して決められており、例えば加熱パワーが1000Wに設定されている場合、加熱時間は最大3分まで設定でき、加熱パワーが100Wに設定されている場合、加熱時間は最大60分まで設定できる。
加熱パワーと加熱時間の設定画面において、使用者が液晶タッチパネル10を操作して、上述したようにオーブンレンジ1での加熱パワーと加熱時間とを設定すると、図1に示す加熱開始ボタン7を押す。このように、使用者によって加熱開始ボタン7が押されると、設定した加熱時間をタイマー部53がカウントする一方、加熱制御部24がマグネトロン17を、設定した加熱パワーで駆動させて食品を加熱する。タイマー部53が設定された加熱時間のカウントを終了すると、加熱制御部24は、マグネトロン17を停止させて加熱を終了させるとともに、追加加熱に関する加熱パワーと加熱時間の設定画面をカラー液晶表示器11に表示させるように表示制御部31に対して指示する。ここで液晶タッチパネル10のカラー液晶表示器11で表示された設定画面は図33に示すようになり、使用者はこの表示を参照して追加加熱について設定できるようになっている。図33は、実施例5に係る液晶タッチパネル10において表示される、追加加熱についての加熱パワーと加熱時間の設定画面の一例を示す図である。
図33では液晶タッチパネル10において示す、追加加熱についての加熱パワーと加熱時間の設定画面を示している。図33に示す設定画面では図32に示す設定画面と同様に加熱パワー表示部55、加熱パワー設定部56、加熱時間表示部57、および加熱時間設定部58を含んでいる。そして、使用者は、液晶タッチパネル10において、加熱パワー設定部56または加熱時間設定部58をスライド操作して、加熱パワーと加熱時間を設定する。ただし、上述したように追加加熱の設定時には、近接検知部30による近接検知が有効となっているので、素手でなくミトンのような分厚い手袋を付けた状態で、スライド操作して、加熱パワーと加熱時間とを設定できる。このようにして使用者が追加加熱の設定を行い、図1に示す加熱開始ボタン7を押すことで、オーブンレンジ1では追加加熱を実行できる。
(実施例5の変形例1)
次に実施例5の変形例1に係るオーブンレンジ1の構成について説明する。実施例5の変形例1は、オーブンレンジ1においてグリル調理を行うときの例であり図34に概略構成図を示す。図34に示すオーブンレンジ1の内部構造は、その加熱庫16内部の上段レール50A、50Bに加熱皿80を載せている点を除けば、実施例5で説明した図30の構成図と同様である。このため、実施例5の変形例1に係るオーブンレンジ1の内部構成について同様の部材には同じ符号を付し、その説明は省略する。
ここで、加熱皿80について図35、図36を参照して説明する。図35は加熱皿80の上面図、図36は図35に示す加熱皿80におけるA−A’断面図である。加熱皿80は食品の載置面となる金属板81と、金属板81に接着して配置される主材料がフェライトよりなる高周波発熱体82と、使用者が把持する部分でありまた加熱庫2壁面に架け置きするための樹脂材料よりなる把持部83を有する。
金属板81は、表面に波状の凹凸を設けた水溜可能な深さを有している。金属板81自体を波形として凹凸を形成することで、高周波発熱体82の接着面積が大きくなり、高周波発熱体82上での発熱量が増加する効果が得られる。金属板81の表面には防汚効果の高いフッ素塗装を施し、裏面は吸熱効果の高い黒色耐熱塗装を施している。
グリル調理を行うときにはこの加熱皿80の上に食品を載せてマグネトロン17を駆動すると、高周波発熱体82が加熱され、その熱で金属板81を介して食品の底面を加熱し焦げ目を付ける。ここで食品の底面が十分加熱されるとマグネトロン17による加熱を終了し、平面ヒータ18を通電して輻射加熱を行う。このことで食品の上面を加熱し、焦げ目を付ける。このようにして食品の両面に焦げ目を付ける加熱を行うことができる。
こうしたグリル調理の中でも、特に表面をパリッと焦げ目を付け、内部から水分を抜けさせずにジューシーに仕上げるには、マグネトロン17により高周波発熱体82を加熱して食品の底面に焦げ目を付ける時には加熱皿80を下段レール51A、51Bに載せ、平面ヒータ18により食品の上面に焦げ目を付けるには加熱皿80を上段レール50A、50Bに載せることが良い。
マグネトロン17による加熱時では、オーブンレンジ1は、加熱庫16の底面から高周波を発するように構成されている。このため、マグネトロン17で高周波発熱体82を加熱させるには、よりマグネトロン17に近いところに高周波発熱体82があること好適である。つまり、高周波発熱体82に高周波が直接吸収されやすくするために、加熱皿80は下段レール51A、51Bに載せる方が良い。もし、加熱皿80を、上段レール50A、50Bに載せていると、発振源であるマグネトロン17から距離が離れてしまうため、マグネトロン17から発せられた高周波は、高周波発熱体82に吸収される他に、加熱庫16の壁面で反射して加熱皿80の周囲から上に回り込んでしまう高周波も増えてしまう。そのために高周波により直接食品が加熱され内部の水分が蒸発しやすくなってしまう。
一方、平面ヒータ18は輻射熱で加熱皿80の上の食品の上面に焦げ目を付けるものである。ここで、輻射の強度は距離が近いほど強くなるので加熱皿80を上段レール50A、50Bに載せた構成とする方が良い。仮に、加熱皿80を下段レール51A、51Bに載せていると、輻射エネルギーが小さく食品に焦げ目を付けるのに時間がかかってしまい、その間に雰囲気温度が上昇して食品内部の水分が蒸発しやすくなってしまう。
このようにグリル調理では、初めにマグネトロン17により加熱し、途中から輻射ヒータ18で加熱することに合わせて、初めは下段レール51A、51Bに加熱皿80を載せて、途中で上段レール50A、50Bに入れ替えることで、より良い加熱ができる。その入れ替えの際には加熱皿は十分高温になっているので、ミトンのような分厚い手袋を付けて加熱皿80を持つこととなる。
そのため、この加熱皿80の入れ替えのタイミングで近接検知部30による近接検知を有効とすることで、ミトンのような分厚い手袋を付けていても使用者は液晶タッチパネル10を操作できるようになる。この制御について上述した実施例5に示す構成と同様に、図31に示す制御ブロック図を用いて説明する。なお、加熱皿80を加熱庫16の底面側に配置して加熱させる時間と上面側に配置して加熱させる時間との設定画面である加熱時間設定画面が液晶タッチパネル10において表示されているものとする。
使用者はまず液晶タッチパネル10に表示された加熱時間設定画面に指27を接触させて、マグネトロン17により加熱する底面加熱時間と、平面ヒータ18により加熱する上面加熱時間とを設定する。この設定時には接触検知部29による接触検知のみが有効となっている。このように、使用者が液晶タッチパネル10に接触して底面加熱時間と上面加熱時間とを設定すると、タイマー部53が、まず設定された底面加熱時間の経過時間をカウントするとともに、加熱制御部24に対して、マグネトロン17を駆動させるように指示する。加熱制御部24は、タイマー部53からの指示に応じて、マグネトロン17を駆動させて加熱する。そしてタイマー部53は、この底面加熱時間のカウントが終了すると、マグネトロン17による加熱を終了するように加熱制御部24に指示する。加熱制御部24は、タイマー部53からの指示に応じて、マグネトロン17による加熱を終了させる。さらにまた、タイマー部53は、底面加熱時間のカウントが終了すると、切替部52に指示して、近接検知部30による近接検知を有効とさせる。そして、オーブンレンジ1では、使用者により加熱皿80の位置が入れ替える操作を待つ。つまり、加熱皿80の入れ替え操作を待っている間、オーブンレンジ1では近接検知部30による近接検知が無効の状態から有効の状態へと切り替わっている。
すなわち、この使用者による加熱皿80の入れ替え操作のタイミングでは、例えば設定済みの上面加熱時間を長くしたり短くしたりするなどの調整操作を、液晶タッチパネル10に対する指27などの接触または近接により行うことができるようになっている。
より具体的には、液晶タッチパネル1における表示は次のようになる。図17に示す基本のメニュー画面において、グリルボタン画像39が表示されている位置に指27が接触した時に、次に表示される加熱時間設定画面について、図37を使って説明する。図37に示す加熱時間設定画面において、底面加熱時間表示部84は底面加熱時間を表示する部分であり、底面加熱時間設定部85は使用者が底面加熱時間を設定する部分である。使用者は液晶タッチパネル10において底面加熱時間設定部85の表示位置に指27を接触させてスライドさせ図37の紙面右側に動かすことでより時間が長くなるように設定し、図37の紙面左側に動かすことでより時間を短くするように設定できるものであり、本実施例では最大30分まで設定できる。また上面加熱時間表示部86は上面加熱時間を表示する部分で、上面加熱時間設定部87は使用者が上面加熱時間を設定する部分である。使用者は液晶タッチパネル10において上面加熱時間設定部87の表示位置に指27を接触させてスライド操作により図37の紙面右側に動かすことでより時間が長くなるように設定し、図37の紙面左側に動かすことでより時間を短くするように設定できるものであり、最大30分まで設定できる。
使用者はこのようにしてグリル加熱での底面加熱時間と上面加熱時間とを設定すると、図1に示す加熱開始ボタン7を押す。このように使用者からの加熱開始ボタン7の押下を受付けると、タイマー部53は液晶タッチパネル10によって設定された底面加熱時間の時間経過をカウントするとともに、加熱制御部24に対してマグネトロン17による加熱を指示する。タイマー部53からの指示に応じて、加熱制御部24がマグネトロン17を駆動させて高周波発熱体82を加熱することで、加熱皿80に載せている食品の底面を加熱する。設定された底面加熱時間が経過し、タイマー部53が経過時間のカウントを終了すると、加熱制御部24に対してマグネトロン17による加熱の停止を指示する。このタイマー部53からの指示に応じて、加熱制御部24は、マグネトロン17を停止させて加熱を終了する。ここでオーブンレンジ1では加熱をいったん中断し、加熱部材をマグネトロン17から平面ヒータ18に切換える。この切り替え時における液晶タッチパネル10での表示は図38に示すようになり、上面加熱時間について調整できるようになっている。
図38は液晶タッチパネル10において表示される上面加熱時間の設定画面の一例を示す図である。この設定画面では上面加熱時間表示部86および上面加熱時間設定部87を含み、使用者は上面加熱時間設定部87の表示位置に指27を接触させて左右方向にスライドさせて上面加熱時間を設定することができる。上面加熱時間は、上記した図37に示す設定画面においてすでに設定されているが、底面加熱の実際の仕上がりを見て微調整できるようになっている。すなわち、加熱部材をマグネトロン17から平面ヒータ18に切り替える前に、上面加熱時間を再度設定できるようにしている。この設定画面における初期画面(操作前の画面)では図37に示す設定画面において設定した上面加熱時間が表示されている。また、このときオーブンレンジ1では、上述したように近接検知部30による近接検知が有効となっているので、使用者は素手ではなくミトンのような分厚い手袋を付けたままでもスライド操作で上面加熱時間を設定できる。
以上のように加熱の終了や中断などの状態では、熱くなった食品や加熱皿などを掴むためにミトンのような分厚い手袋をしている状態が想定されるが、このようなタイミングではオーブンレンジ1は近接検知部30での近接検知を有効としている。このため、使用者は、分厚い手袋を付けたままでも液晶タッチパネル10の操作が可能になる。また、食品の加熱の終了時または中断時といった特定のタイミング以外では近接検知部30による近接検知を有効としていない。このため、例えば、使用者による意図しない指の液晶タッチパネル10への近接を検知してしまい、オーブンレンジ1が誤動作を起こしてしまうことを防ぐことができ、正しく動作しながら使い勝手を向上させることができる。
なお、上記では入力を受付ける部材として、使用者の指27の接触位置または近接位置をきめ細かく検出できる位置入力装置15を、カラー液晶表示器11と一体型に構成した液晶タッチパネル10を例に挙げて説明してきたが、入力を受付ける部材はこれに限定されるものではない。例えば、カラー液晶表示器11を備えず、複数の例えば5〜10個のフラットな形状であり、静電容量の変化を検知するように構成された固定ボタンであってもよい。このような固定ボタンであっても、静電容量の変化の大きさから指27による接触と近接とを区別して検知することができる。したがって同様の構成で加熱の終了や中断のタイミングで近接検知を有効にすることで、ミトンのような分厚い手袋を付けていても操作ができ同様の効果がある。
また、本実施の形態では加熱調理器としてオーブンレンジで説明したが、炊飯器やIHクッキングヒータのように熱くなった食品や鍋などをつかむタイミングがあるものに適用しても同様の効果がある。
なお、この実施例5と上述した実施例1または実施例2とを組み合わせた構成とすることも可能であるが、このように構成されたとき、近接入力可否情報100に基づき近接検知の有効または無効が設定されることになる。しかし、実施例5では設定された加熱時間の間は、タイマー部53は、切替部52を切り替え近接検知部30による近接検知を無効とするように構成されている。すなわち、タイマー部53は、加熱部材が駆動して加熱しているという状態にオーブンレンジ1があるとき、近接入力可否情報100による設定にもかかわらず近接検知部30による近接検知を禁止する。なお、実施例5のタイマー部53は、本発明の状態判定部と許可判定部との2つの機能を実現する。
以上のように実施例5に係るオーブンレンジ1は、以下に示す構成を有するものとしてもよい。
実施例5に係る第1の加熱調理器は、食品を加熱する加熱部と、使用者が入力する操作内容を受け付ける操作部と、前記操作部に人体の一部が近接したことを検知する近接検知部と、前記操作部に人体の一部が接触したことを検知する接触検知部と、前記近接検知部および前記接触検知部の検知により前記加熱部を制御する加熱制御部を有し、前記加熱制御部による加熱過程の所定のタイミングでのみ前記近接検知部による検知を受け付ける構成である。
この構成により、操作部が使用者の入力する操作内容を受け付け、その受け付けた内容に従って加熱制御部が加熱部を制御する。そして使用者の入力については、接触検知部は人体の一部が操作部に接触したことを検知し、近接検知部は人体の一部が操作部に近接したことを検知し、加熱制御部による加熱過程の所定のタイミングでは近接検知部の検知を受け付けるので、所定のタイミングにおいてはミトンなど分厚い手袋を付けていても操作でき、使い勝手を向上させることができる。
実施例5に係る第2の加熱調理器は、特に、実施例5に係る第1の加熱調理器において、前記加熱制御部は前記加熱部による加熱を中断または終了し再加熱を待機しているタイミングで前記近接検知部による検知を受け付ける構成である。
この構成により、加熱部による加熱を中断または終了し再加熱を待機しているタイミングで近接検知部による検知を受け付けるので、食品や容器が熱くなっている状態でミトンなど分厚い手袋を付けていても操作でき、使い勝手を向上させることができる。
実施例5に係る第3の加熱調理器は、特に、実施例5に係る第2の加熱調理器の構成において、前記加熱部は高周波発生部と、前記高周波発生部の高周波を受けて発熱する高周波発熱体を貼り付けた加熱皿と、輻射熱を発生する輻射ヒータを有し、前記加熱制御部は前記高周波発生部により加熱を終了した後に前記輻射ヒータによる加熱を待機するタイミングで前記近接検知部による検知を受け付ける構成である。
この構成により、高周波発生部により高周波を発生させることで高周波発熱体を貼り付けた加熱皿を加熱し、その後、輻射ヒータで加熱する加熱過程で、高周波発生部による加熱を終了し輻射ヒータによる加熱を待機するタイミングで近接検知部による検知を受け付けるので、熱くなった加熱皿を持つなどミトンなど分厚い手袋を付けていても操作でき、使い勝手を向上させることができる。
実施例5に係る第4の加熱調理器は、特に、実施例5に係る第1の加熱調理器の構成において、食品の加熱調理に関する情報を表示する表示部を更に有し、前記操作部は前記表示部に一体的に構成したタッチパネルによる構成である。
この構成により、表示部に食品の加熱調理に関する情報を表示し、その表示部と一体的に構成したタッチパネルで操作することができ、そのタッチパネルをミトンなど分厚い手袋を付けていても操作でき、使い勝手を向上させることができる。
したがって、実施例5に係る第4の加熱調理器によれば、ミトンなど分厚い手袋を付けていても操作でき、加熱調理器の使い勝手を向上させることができるという効果を奏する。
また、実施例5に係る加熱調理器(オーブンレンジ1)は、例えば、以下のように活用することができる。
すなわち、実施例5では、以上のように、液晶タッチパネル10が使用者の入力する操作内容を受け付け、その受け付けた内容に従って加熱制御部24が加熱部材を制御する。そして使用者の入力については、接触検知部29によって人体の一部が液晶タッチパネル10に接触したことを検知し、近接検知部30によって人体の一部が液晶タッチパネル10に近接したことを検知するように構成されている。また、加熱制御部24による食品の加熱過程における所定のタイミングでは近接検知部30による近接検知を有効としている。このため、所定のタイミングにおいてはミトンなど分厚い手袋を付けていても液晶タッチパネル10を操作でき、使い勝手を向上させることができるので、オーブンレンジの他、炊飯器やIHクッキングヒータなど、加熱調理器全般に適用できる。
(実施例6)
次に、液晶タッチパネル10において、使用者がタッチパネルのカラー液晶パネルに触れる回数を極力減らするために、タッチパネルのカラー液晶パネルに触れずに操作できるようにして、タッチパネルの操作性を向上させるように工夫したオーブンレンジ1について実施例6として説明する。
なお、実施例6に係るオーブンレンジ1では、実施例1または実施例2に示した近接検知に対する有効または無効を判定する構成については明示していないが、実施例1または実施例2に係るオーブンレンジ1の構成と組み合わせることは可能である。
まず、実施例6に係るオーブンレンジ1の外観構成は、図1に示す実施例1のオーブンレンジ1の外観構成とは以下の点で異なっている。すなわち、図39に示すように、実施例1に係るオーブンレンジ1の外観構成とは、操作表示部6の配置が異なっている。
実施例1に係るオーブンレンジ1では、操作表示部6は、直方体形状のオーブンレンジ1の正面(ドア3)において、その下方側に操作表示部6が配置されている。これに対して実施例6に係るオーブンレンジ1では、正面(ドア3)の右側部側に操作表示部6が配置されている。そして、図39に示すように加熱開始ボタン7、取消ボタン8、戻るボタン9は液晶タッチパネル10より下方に位置する構成となっている。オーブンレンジ1の外観構成において上記した点を除けば実施例1に係るオーブンレンジ1と同様であるため、同じ部材には同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
また、実施例6に係るオーブンレンジ1の内部構成は、図3に示す実施例1に係るオーブンレンジ1の内部構成と比較して以下の点で異なっている。すなわち、図40に示すように、筐体2のドア3と当接する部分でかつ、右上隅にドア3の開閉を検知する開閉検知部90が設けられている点で異なる。さらには、ドア3に突起91が設けられている点でも異なる。この突起は、ドア3において、ドア3を閉じた状態のとき開閉検知部90と当接する位置に設けられている。そして、実施例6に係るオーブンレンジ1において、ドア3が閉じた状態の時には、ドア3に設けている突起91が開閉検知部90と当接することで開閉検知部90に接続されている回路に設けられた接点が閉じられ、開いた状態の時には、この接点が開かれるように構成されている。オーブンレンジ1の内部構成において上記した点を除けば実施例1に係るオーブンレンジ1と同様であるため、同じ部材には同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
次に、上記した構成を有する実施例6のオーブンレンジ1において、液晶タッチパネル10で受付けた入力に応じて実行される処理の制御について、図41の制御ブロック図を用いて説明する。図41は実施形態の実施例6に係るオーブンレンジ1の要部構成の一例を示すブロック図である。図41に示すように、オーブンレンジ1は、加熱制御部24および操作表示制御部28を備えている。
操作表示制御部28は、位置入力装置15からの信号に基づきカラー液晶表示器11における表示を制御したり、加熱制御部24に対して、使用者からの入力に応じた信号を送信したりするものである。図41に示すように、操作表示制御部28は、接触検知部29、近接検知部30、表示制御部31、画面記憶部59、および状態判定部92を備えている。なお、図41では画面記憶部59は、表示制御部31の外部に設けられた記憶装置として示されているが、実施例1と同様に、表示制御部31の内部に設けられたメモリであってもよい。
また、接触検知部29および近接検知部30の構成については、上述した実施例1に係るオーブンレンジ1が備える接触検知部29および近接検知部30と同様の構成であるため、説明は省略する。
表示制御部31は、接触検知部29および近接検知部30からの信号に基づき、カラー液晶表示器11の表示を制御する。また、加熱制御部24は、接触検知部29からの信号に基づいて、前述したようにサーミスタ22や赤外線センサ23の検出に従い、加熱部材であるマグネトロン17や平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、スチーム発生器21を制御する。さらに加熱制御部24は、加熱中に開閉検知部90からドアが開いたことを示す情報が入力されると直ちに加熱を停止する。
画面記憶部59は、カラー液晶表示器11に表示する画面に関する画像を、順序を付けて複数記憶している。表示制御部31は、例えば、近接検知部30から入力された信号に基づき、画面記憶部59から適当な画面に関する画像を抽出する。そして、表示制御部31は、カラー液晶表示器11において、この抽出した画面に関する画像に基づく表示を行うように制御する。
状態判定部92は、近接検知部30による近接検知を行うか行わないか判定し、近接検知を行うか否かについての設定を切換えるものである。状態判定部92は、加熱制御部24からの信号により、マグネトロン17、平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、スチーム発生器21のいずれかの加熱部材を駆動して加熱している時には、近接検知部30による近接検知を行わないように判定する。また開閉検知部90からの信号によりドア3が開いている時には近接検知部30による近接検知は行わないように判定する。
すなわち、状態判定部92は、オーブンレンジ1が所定の状態にあるとき、すなわち、例えば、加熱部材が駆動して加熱しているとき、あるいはドア3が開いているとき、近接検知部30による近接検知を禁止する。
状態判定部92が、加熱部材が駆動中に近接検知部30による近接検知を行わないのは以下の理由のためである。すなわち、近接検知部30は、図5に示す静電容量の変化量C2以上を検知するものであり、C2はC1に比べて十分小さい変化を検知しなければならないものである。ところが、各加熱部材の駆動中は電気的なノイズが発生し易く、特にマグネトロン17を駆動している時には電気ノイズが発生し易くなるため、近接検知部30は、わずかな静電容量の変化を検知することが難しくなる。このため、加熱部材の駆動中に近接検知部30が近接検知を行うと誤動作を発生する可能性がある。それ故、実施例6に係るオーブンレンジ1では近接検知部30による近接検知を行わないものとしている。
一方、状態判定部92が、ドア3が開いている時に近接検知部30による近接検知を行わないのは、図3に示すように、ドア3が開いた状態のとき液晶タッチパネル10が見えない位置になってしまうからである。このように見えない位置に液晶タッチパネル10が配置された状態で、人体の一部が使用者の意図とは別に近接してしまったり、液晶タッチパネル10の近傍位置にある物質の影響によっては、人体の一部が近接したと同様の検知をして誤検知をしてしまったりすることを防ぐために近接検知を行わないこととしている。
次に液晶タッチパネル10の表示例を示す図を使って、操作表示制御部28の動作について説明する。具体的には、図42を参照して説明する。図42は実施例6に係る液晶タッチパネル10において表示される基本のメニュー画面の一例を示す図である。この基本のメニュー画面(基本メニュー画面)は、電源投入後など最初に表示される画面である。基本メニュー画面ではあたためボタン画像35、レンジボタン画像36、スチームボタン画像37、オーブンボタン画像38、グリルボタン画像39、自動メニューボタン画像40がそれぞれ表示されている。
ここで、液晶タッチパネル10において表示されているいずれかの標準ボタン画像の位置に指27が接触すると、それぞれ次の詳細な設定を行うための画面に切り換わる。つまり、液晶タッチパネル10に表示されている基本メニュー画面の各標準ボタン画像のうち、例えば、あたためボタン画像35に指27が接触すると加熱終了の温度を設定する画面に切り換わる。またレンジボタン画像36に指27が接触すると加熱パワー(ワット)と加熱時間の設定画面に切り換わる。またスチームボタン画像37に指27が接触すると加熱時間の設定画面に切り換わる。スチーム加熱はスチームとマイクロ波と平面ヒータの組み合わせで蒸し調理を行うものである。またオーブンボタン画像38に指27が接触すると加熱温度と加熱時間の設定画面に切り換わる。また、グリルボタン画像39に指27が接触すると片面グリルか両面グリルかの区別と加熱時間の設定画面に切り換わる。そして自動メニューボタン画像40に指27が接触すると、自動調理メニュー(自動メニュー)の選択画面に切り換わる。
図43に液晶タッチパネル10において自動調理メニューの選択画面を表示した状態を示す。図43は、実施例6に係る液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューの選択画面の一例を示す図である。自動メニューボタン群41は多数の標準ボタン画像から構成されている。各標準ボタン画像には料理品目が書かれていて、それが液晶タッチパネル10の画面全体に16個表示されている。自動調理メニューでは、各料理品目に対して適切な加熱部材による適切な加熱制御手順が予め設定されている。そのため、使用者は自動調理メニューの中から所望の料理品目を選択するだけで、その選択された料理品目に対応した加熱制御が食材に対して行われる。また、自動調理メニューの画面において、その上部の右隅に表示されている三角形状の画像は、ページめくりボタン画像42である。ページめくりボタン画像42は、液晶タッチパネル10において表示される自動調理メニューのページを切換える標準ボタン画像であり、このページめくりボタン画像42に使用者の指27などの体の一部が接触すると、カラー液晶表示器11の画面全体が切換り、別の自動調理メニューボタン群41に含まれる料理品目を示す画像が16個表示される。
この図43に示す液晶タッチパネル10の表示状態で、使用者がハンバーグボタン42に接触した時に切り換わる、次の画面の表示例を図44に示す。図44は、実施例6に係る液晶タッチパネル10において表示される選択確認画面の一例を示す図である。図44は図43に示す画面において使用者が選択した料理品目に間違いないかを確認する選択確認画面であり、「ハンバーグ」という料理品目の他に、出来上がり時の写真であるイメージ情報44および材料などを示す詳細情報47を表示して、選択した料理品目に間違いがないか確認しやすいようにしている。この状態で使用者が図1に示す加熱開始ボタン7を押すと、加熱制御部24は加熱部材であるコンベクションヒータ19により加熱し、予め定められた、ハンバーグに最も適した加熱手順で加熱する。
また図44に示す選択確認画面の下方において表示されている作り方提示ボタン画像75aは、料理(「ハンバーグ」)を加熱する前に必要な下ごしらえの調理方法を表示する画面(調理方法画面)に表示を切換えるように指示するためのボタンを示す画像である。ここで作り方提示ボタン画像75aに使用者の指27が接触した時に移行する画面を図45に示す。図45は、実施例6に係る液晶タッチパネル10において表示される調理方法画面の一例を示す図である。
図45に示す調理方法画面は「ハンバーグ」を加熱するにあたり必要な下ごしらえの調理方法を示すための最初の画面であり、下ごしらえ時の写真を示すイメージ情報44および下ごしらえの手順を説明した説明文を示す詳細情報47を含んでいる。また、調理方法画面内における下方にもどるボタン画像75bとすすむボタン画像75cとを表示している。このもどるボタン画像75bとすすむボタン画像75cは作り方を説明する調理方法画面を一つ前の画面に戻したり、一つ先の画面に進めたりするように指示するときに使うボタンを示す画像である。そしてこのもどるボタン画像75bとすすむボタン画像75cは、使用者が接触しなくても近接するだけで操作として受け付け、画面を切換えるように設定されている。例えば、調理方法画面において表示されたもどるボタン画像75bに使用者の指27が近接すると図44に示す選択確認画面に表示が切換り、すすむボタン画像75cに近接すると下ごしらえの次の工程であるハンバーグの成形作業を説明する画面(図示せず)に切換える。
この調理方法画面でもどるボタン画像75b、およびすすむボタン画像75cに対する使用者による近接操作を受け付けることが可能となっている理由は、図45の調理方法画面におけるイメージ情報44として示す下ごしらえ時の写真からも分かるように、下ごしらえをする時には一般に手が汚れることが多い。この汚れた手の状態で液晶タッチパネル10に接触することは、使用者にとって抵抗があり、衛生的にもあまり好ましいことではない。なお、この下ごしらえの調理方法を示す調理方法画面は、図41に示す画面記憶部59において他の画面と順序付けられて記憶されている。そして、もどるボタン画像75bまたはすすむボタン画像75cに対する使用者の近接を、近接検知部30が検知すると、表示制御部31が画面記憶部59から表示すべき画面を抽出し、カラー液晶表示器11に表示させる。
次に、図46において接触検知部29、近接検知部30、表示制御部31、画面記憶部59、および状態判定部92を備えた操作表示制御部28の動作処理についてフローチャートを用いて説明する。図46は、実施例6に係るオーブンレンジ1が備える液晶タッチパネル10における入力受付動作の一例を示すフローチャートである。
まず、使用者の指27が液晶タッチパネル10で表示している画面に近づいてくると、静電容量が変化する。この変化を位置入力装置15のX方向センサ電極25およびY方向センサ電極26それぞれによって検出する。
すなわち、ステップS41で、接触検知部29が図4に示す複数(m個)のX方向センサ電極25すべての静電容量変化Cx1〜Cxmを検出し、その最大値をCxmaxとして抽出して、ステップS42に進む。次にステップS42で接触検知部29が、図4に示す複数(n個)のY方向センサ電極26すべての静電容量変化Cy1〜Cynを検出し、その最大値をCymaxとして抽出し、ステップS43に進む。
ステップS43では、接触検知部29が、ステップS41、S42で抽出したCxmaxとCymaxとを足し合わせる演算を行う。そして、その演算結果が図5に示すC1の2倍となる値より大きいかどうかを判定する(ステップS43)。ここで接触検知部29がCxmaxとCymaxとを足し合わせた結果がC1の2倍より大きいと判定した場合(ステップS43において「YES」)、ステップS44に進む。一方、接触検知部29が、上述した足し合わせた結果がC1の2倍よりも大きくないと判定した場合(ステップS43において「NO」)、ステップS46に進む。
ステップS44においては、Cxmax、Cymaxそれぞれの発生時のX座標、Y座標の位置がカラー液晶表示器11において標準ボタン画像が表示されている座標位置である。そこで、接触検知部29は、この座標位置において、表示されている標準ボタン画像があるか否か確認する。そして、接触検知部29は、その座標位置に標準ボタン画像がある場合、その標準ボタン画像は、使用者の指27による接触に応じて、入力を受け付けるボタン画像であるか否か判定する。ステップS44で「YES」の場合、ステップS45に進み、ステップS44で「NO」の場合、ステップS41に戻り、前記した処理を繰り返す。ステップS45ではボタン画像が接触されることで実施するように対応づけられている処理を実行する(ステップS45)。このような処理としては、例えばカラー液晶表示器11に表示する画面の変更や、加熱に関する各種設定などの処理などが挙げられる。
なお、上記のようにして特定した座標位置に対応する標準ボタン画像の有無、ならびに該標準ボタン画像が使用者の指27による接触に応じて、入力を受け付けるボタン画像であるか否かの判定について、実施例6では接触検知部29が行っている。しかしながら、これらの判定については、操作表示制御部28が、接触検知部29とは別に判定部を備え、該判定部で行う構成としてもよい。
一方、ステップS46においては、開閉検知部90によりドア3が開いているのか、あるいは閉じているのかについての検知を行う。開閉検知部90が、ドア3が閉じていると検知している場合は、ステップS47に進む。そして、状態判定部92が、加熱部材を駆動させて加熱している最中かどうか判定をする。一方、開閉検知部90が、ドア3が開いていると検知している場合は、このような加熱中か否かの判定を行う前にステップS41に戻る。上述したようにステップS47において、状態判定部92が、加熱制御部24からの制御指示の下、マグネトロン17、平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、およびスチーム発生器21の加熱部材のいずれか1つが駆動し、加熱中かどうかを判定する。そして、状態判定部92が、加熱中でないと判定した場合(ステップS47において「NO」)、近接検知部30に対して近接検知を行うように指示し、ステップS48に進む。一方、状態判定部92が、加熱中であると判定した場合(ステップS47において「YES」)、近接検知部30に近接検知の指示を行わずにステップS41に戻る。
ステップS48では、近接検知部30が、ステップS41、S42で抽出したCxmaxとCymaxを足し合わせる演算を行い、それが図5に示すC2の2倍より大きいかどうかを判定する。ここで近接検知部30がCxmaxとCymaxを足し合わせた結果がC2の2倍より大きいと判定した場合はステップS49に進む(ステップS48において「YES」)。一方、近接検知部30が、この足し合わせた結果がC2の2倍より大きくないと判定した場合はステップS41に戻る。
ステップS49においては、Cxmax、Cymaxそれぞれの発生時のX座標、Y座標の位置がカラー液晶表示器11において標準ボタン画像が表示されている座標位置である。そこで、近接検知部30は、この座標位置に表示されている標準ボタン画像があるか否か確認する。そして、近接検知部30は、その座標位置に、使用者の指27による近接に応じて、入力を受け付けるボタン画像であるか否か判定する。そして、ステップS49において「YES」の場合、ステップS50に進む。一方、ステップS49において「NO」の場合、ステップS41に戻る。そして、ステップS50では、使用者の指27が近接することで実施するように標準ボタン画像に対応づけられた処理を行う。このような処理としては、例えばカラー液晶表示器11に表示する画面を変更するなどの処理が挙げられる。ステップS50で標準ボタン画像に対応づけられた処理を行うと、その後、ステップS41に戻り前記した処理を繰り返す。
なお、上記のようにして特定した座標位置に対応する標準ボタン画像の有無、ならびに該標準ボタン画像が使用者の指27による近接に応じて、入力を受け付けるボタン画像であるか否かの判定について、実施例6では近接検知部30が行っている。しかしながら、これらの判定については、操作表示制御部28が、近接検知部30とは別に判定部を備え、該判定部で行う構成としてもよい。
以上のように、実施例6に係るオーブンレンジ1によれば、調理方法を説明する調理方法画面を別の画面に切換える際に液晶タッチパネル10に接触せずに近接するだけで、画面の表示を切換えることができる。調理の際に最も手が汚れたり濡れたりするのは、加熱を始める前のこうした下ごしらえの時であり、この時、液晶タッチパネル10において指27を接触させずに操作できることで、使用者にとっての使い勝手が向上する。また図39に示すように加熱開始ボタン7、取消ボタン8、戻るボタン9などの押しボタンを液晶タッチパネル10の下方に位置するように構成しているので、押しボタンを操作する際に手が液晶タッチパネル10に近接することはなく、誤動作を起こさず安定して近接を検知することができる。
(実施例6の変形例1)
次に実施例6の変形例1について説明する。カラー液晶表示器11および位置入力装置15から構成された液晶タッチパネル10への入力に応じて実施される操作表示制御部28の制御処理について図47を参照して説明する。図47は実施形態の実施例6に係るオーブンレンジ1の要部構成の一例を示すブロック図である。図47に示すように、上述した実施例6に係るオーブンレンジ1の構成とは、移動方向検知部93をさらに備えている点で異なる。それ以外の部材については同様であるため、同じ符号を付し、説明は省略する。
移動方向検知部93は近接検知部30から受付けた近接位置情報に基づき、標準ボタン画像に対する指27の近接状態での移動方向を検知するものである。実施例6の変形例1に係るオーブンレンジ1において、近接検知部30が検知した近接位置座標のX座標の変化を監視しており、X座標において値が減少する方向に変化する場合は使用者の指27が左方向へ移動したものと判定する。一方、X座標において値が増加する方向に変化する場合は、使用者の指27が右方向への移動したものと判定する。X座標の値が所定時間以内に所定以上、減少方向へ変化する、もしくは増加方向へ変化する場合に、移動方向検知部93は左方向、もしくは右方向へ移動したと判断するものであり、所定未満の変化であれば移動していないと判断する。表示制御部31は、この移動方向検知部93によって左方向へ移動したと判断された場合、もしくは右方向へ移動したと判断された場合、カラー液晶表示器11において表示させる画面を切換える。
次に液晶タッチパネル10で表示される画面の表示例を示す図48を使って、液晶タッチパネル10において受付けた入力に対するオーブンレンジ1の動作処理について説明する。図48は、「ハンバーグ」の下ごしらえに関する調理方法を示す複数の調理方法画面において最初に表示する調理方法画面を示しており、この画面において下ごしらえ時の写真であるイメージ情報44および説明文などの詳細情報47を示している。図48は、実施例6の変形例1に係る液晶タッチパネル10において表示される調理方法画面の一例を示す図である。なお、この調理方法画面は、上述した図42から図44までの画面を経由し表示されるものであるが、図42から図44までの画面については既に説明したため、ここでは省略する。
なお、実施例6の変形例1に係る液晶タッチパネル10で表示する調理方法画面は、実施例6に係る液晶タッチパネル10で表示する調理方法画面と比較して、もどるボタン画像75bおよびすすむボタン画像75cが表示されていない点で異なる。
すなわち、実施例6の変形例1では、この調理方法画面において使用者の指27などを近接させ、その指27を左方向に移動させると、図45に示す調理方法画面において、すすむボタン画像75cを使って入力を行った場合に相当する操作となり、次の調理工程となるハンバーグの成形作業を説明する調理方法画面(図示せず)に表示を切換える。一方、右方向に指27を移動させると、図45に示す調理方法画面において、もどるボタン画像75bを使って入力を行った場合に相当する操作となり、図44に示す選択確認画面に表示を切換える。
次に、図49において、接触検知部29、近接検知部30、表示制御部31、状態判定部92、画面記憶部59、および移動方向検知部93を備えた操作表示制御部28の動作処理についてフローチャートを用いて説明する。図49は、実施例6の変形例1に係るオーブンレンジ1が備える液晶タッチパネル10における入力受付動作の一例を示すフローチャートである。まずステップS51において近接フラグを0としてステップS52に進む。なお、近接フラグは、液晶タッチパネル10で表示する画面に対して指27が近接している状態にあるか否かを判定するためのフラグであり、現在、指27が画面に近接していれば1を、指27が画面に近接していなければ0とする。
ステップS52において、近接検知部30が図4に示す複数(m個)のX方向センサ電極25すべての静電容量変化Cx1〜Cxmを検出し、その最大値をCxmaxとして抽出して、ステップS53に進む。次にステップS53で近接検知部30が、図4に示す複数(n個)のY方向センサ電極26すべての静電容量変化Cy1〜Cynを検出し、その最大値をCymaxとして抽出し、ステップS54に進む。
ステップS54では、近接検知部30がステップS52、S53で抽出したCxmaxとCymaxを足し合わせる演算を行う。そして、その演算結果が図5に示すC2の2倍より大きいかどうかを判定する。ここでCxmaxとCymaxを足し合わせた結果がC2の2倍より大きいと判定した場合(ステップS54において「YES」)、ステップS55に進む。一方、近接検知部30が、上述した足し合わせた結果がC2の2倍よりも大きくないと判定した場合(ステップS54において「NO」)、ステップS51に戻り、近接フラグを0にする。
ステップS55において、移動方向検知部93は、近接フラグを判定し、近接フラグが0であればステップS56に進む。一方、近接フラグが0でなければステップS59に進む。すなわち、近接フラグが0である場合とは、今まで近接検知部30による近接検知がなく、今回初めて近接検知された場合である。一方、近接フラグが0ではない場合とは、既に、近接検知部30によって近接検知されており、今回も引き続き近接検知された場合である。移動方向検知部93は、ステップS56で近接フラグを1にし、ステップS57に進む。そしてステップS57において、移動方向検知部93は、Cxmaxが発生した時のX座標に対して右に移動したことを判定するX座標XRと、左に移動したことを判定するX座標YLを演算して決める。ここでは、Cxmaxが発生した時のX座標に移動量であるΔXを加算した値をXR、ΔXを減算した値をXLとしている。そして、ステップS58に進む。ステップS58において、移動方向検知部93は、不図示のタイマーによる時間経過のカウントをスタートさせ、ステップS52に戻る。
一方、ステップS59においては、移動方向検知部93が、Cxmaxが発生した時のX座標の値がXRの値より大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合は、ステップS60に進んで、近接している指27は右方向へ移動したと判定する。一方、大きくないと判定した場合は、ステップS61に進む。ステップS61においては、移動方向検知部93が、Cxmaxが発生した時のX座標の値がXLの値より小さいかどうかを判定する。そして、小さいと判定した場合は、ステップS62に進んで左方向へ移動したと判定する一方、小さくないと判定した場合は、ステップS63に進む。
そして、ステップS63において、移動方向検知部93はステップS58においてタイマーによるカウントをスタートしてから所定時間が経過したかどうかを判定し、所定時間経過していなければステップS52に戻って処理を繰り返す。一方、すでに所定時間を経過してしまっている場合は、ステップS57に戻って、現時点で近接検知部30により検知されているCxmaxが発生した時のX座標に対して右に移動したか否かを判定するX座標XRと、左に移動したか否かを判定するX座標YLを演算して求め、それ以降の処理を繰り返す。
以上のように、近接フラグは、液晶タッチパネル10に表示している画面に指27が現在近接していれば1が設定され、近接していなければ0が設定されるフラグである。例えば、ステップS54で近接状態を検知した場合であって、続くステップS55で近接フラグが0となるときは、使用者の指27が液晶タッチパネル10から離れた場所にある状態から、初めて液晶タッチパネル10に近接した状態へと状態変化したことを示している。そして、近接フラグとして1が設定された後に繰り返されるステップS52以降の処理によって、初めて近接した状態にあると判定されたときの近接位置座標のX座標から近接状態を維持したまま一定幅ΔX以上、左右のどちらかに、所定時間以内に移動したかどうかを、移動方向検知部93が判定することとしている。
以上のように、実施例6の変形例1に係るオーブンレンジ1では、液晶タッチパネル10の画面に近接している指27を、この近接状態を維持したまま移動させることで、その移動方向に応じて画面を切換える構成である。このため、実施例6のオーブンレンジ1で示した調理方法画面のように、もどるボタン画像75bおよびすすむボタン画像75cを表示する必要がなく、図48に示すように写真や文字を大きく表示することができるようになる。また、液晶タッチパネル10で表示する画面に対して近接状態を維持した指27の移動という操作によって、別の画面に切換えることができる構成である。このため、単に指27が液晶タッチパネル10で表示する画面に近接しただけでは画面を別の画面に切換えることはできず、使用者の意図しない近接動作で画面が切換わることを抑制するともできる。
以上、説明してきたように、タッチパネル15に接触せず近接するだけでカラー液晶表示器11に表示する画面を切り換えることができる。このため、手が濡れたり汚れたりしていても抵抗なく操作でき使い勝手が向上する。特に調理の過程で最も手が汚れたり濡れたりする可能性の高い下ごしらえの時に近接で操作できるよう、近接検知を有効としており、レシピ情報の画面の切換えを接触せずに行うことができるため使い勝手が向上する。なお、調理メニューによっては下ごしらえで手の濡れないメニューもあり、そうしたメニューでは近接の検知を禁止してもよく、料理メニューによって近接の許可/禁止を切換えても良い。
以上のように、実施例6に係る加熱調理器によれば、使用者はタッチパネルに接触する前に近接したところで表示部の表示を変更することができ、タッチパネルに触れる回数を極力減らし、触れずに操作できて、使い勝手が向上する。
なお、この実施例6と上述した実施例1または実施例2とを組み合わせた構成とすることも可能であるが、このように構成されたとき、近接入力可否情報100により近接検知の有効または無効が設定されることになる。しかし、状態判定部92は、オーブンレンジ1が所定の状態にあると判定したとき、すなわち、例えば、加熱部材が駆動して加熱している、あるいはドア3が開いていると判定したとき、近接入力可否情報100による設定にもかかわらず近接検知部30による近接検知を禁止する。なお、実施例6の状態判定部92は、本発明の状態判定部と許可判定部との2つの機能を実現する
さらにまた、上記した実施例6に係るオーブンレンジ1は以下の構成を有する加熱調理器であるとも言える。
すなわち、実施例6に係る第1の加熱調理器は、食品を加熱する加熱部材と、前記加熱部材を制御する加熱制御部と、使用者による加熱操作内容を受け付ける押しボタンと、前記食品の加熱調理に関する情報を表示する表示部と、前記表示部に一体的に構成し使用者が選択操作するタッチパネルと、前記表示部に表示する画面を記憶する画面記憶部と、前記タッチパネルに人体の一部が接触したことを検知する接触検知部と、前記タッチパネルに人体の一部が近接したことを検知する近接検知部と、前記接触検知部と前記近接検知部の入力に基づき前記表示部の表示を制御する表示制御部を備え、前記押しボタンは前記タッチパネルより下方に位置する構成である。
この構成によれば、接触検知部は人体の一部がタッチパネルに接触したことを検知し、近接検知部は人体の一部がタッチパネルに近接したことを検知し、表示制御部は接触検知部と近接検知部の入力に基づいて表示部の表示を制御するので、使用者がタッチパネルに接触する前に近接しただけで表示を変更することができる。また押しボタンがタッチパネルの下方に位置するので押しボタンを操作する際に指先以外の部分がタッチパネルに近接して表示を変更してしまうようなことはない。
実施例6に係る第2の加熱調理器は、特に第1の加熱調理器の構成において、食品を加熱する加熱庫と、前記加熱庫を開閉するドアと、前記ドアの開閉を検知する開閉検知部を更に備え、前記タッチパネルは前記ドア前面に設け、前記近接検知部は、前記開閉検知部により前記ドアが閉じられていると検知された場合は人体の一部が近接したかどうかの検知を行い、前記開閉検知部により前記ドアが開かれていると検知された場合は人体の一部が近接したかどうかの検知を行わない構成である。
この構成によれば、加熱庫を開閉するドアの開閉を検知する開閉検知部がドアの開いていることを検知したときには人体の一部が近接したことの検知を行わないので、ドアが開いていることにより人体の一部以外の物が近接することを人体の一部の近接と誤検知することはなく、安定して近接を検知でき、使用者がタッチパネルに接触する前に近接しただけで表示を変更することができる。
実施例6に係る第3の加熱調理器は、特に第1の加熱調理器の構成において、前記近接検知部が検知した人体の一部の移動方向を判定する移動方向判定部を更に備え、前記表示制御部は、前記移動方向判定部により所定の方向への移動を検知したときに画面を切換えて表示する構成である。
この構成によれば、人体の一部が近接した上で所定の方向への移動を検出した時に画面を切換えて表示するで、使用者の意図しない近接などで画面が切換わることはなく、安定した検知で、使用者がタッチパネルに接触する前に表示を変更することができる。
実施例6に係る第4の加熱調理器は、特に第1の加熱調理器の構成において、前記近接検知部は前記加熱制御部により前記加熱部材を非駆動中に検知を行い、駆動中には検知を行わない構成である。
この構成によれば、電気的なノイズの発生し易い加熱部材の駆動中には近接を検知しないので、誤検知を起こすことなく安定した検知で、使用者がタッチパネルに接触する前に表示を変更することができる。
実施例6に係る第5の加熱調理器は、画面記憶部が記憶する複数の画面は調理メニューのレシピ情報の構成である。
この構成によれば、タッチパネルに接触せずに調理メニューのレシピ情報の画面を切換えることができ、レシピ情報を閲覧するような調理の過程で最も手が濡れたり汚れたりする下ごしらえの時にタッチパネルに接触せずに表示を変更することができて使い勝手が向上する。
また、実施例6に係る加熱調理器(オーブンレンジ1)は、例えば、以下のように活用することができる。
以上のように、本発明の加熱調理器では、接触検知部は人体の一部がタッチパネルに接触したことを検知し、近接検知部は人体の一部がタッチパネルに近接したことを検知し、表示制御部は接触検知部と近接検知部の入力に基づいて表示制御部が表示部の表示を制御するので、使用者がタッチパネルに接触する前に近接しただけで表示を変更することができるので、オーブンレンジの他、炊飯器やIHクッキングヒータなど、調理器全般に適用できる他、入力受付装置として入力操作を必要とする機器に広く適用可能である。
(実施例7)
次に、液晶タッチパネル10において視力の弱い使用者が手探りであっても操作しやすく、また多数のボタンを同時に並べて表示することで各ボタンが表示される大きさが小さくなるような場合であっても容易に操作でき、さらに煩わしい操作や誤操作を発生させないで、入力を受け付けることができるように工夫したオーブンレンジ1について実施例7として説明する。
なお、実施例7に係るオーブンレンジ1では、上記した近接検知に対する有効または無効を判定する構成については明示していないが、実施例1または実施例2に係るオーブンレンジ1の構成と組み合わせることは可能である。
まず、実施例7に係るオーブンレンジ1の外観構成は、図1に示す実施例1のオーブンレンジ1の外観構成とは以下の点で異なっている。すなわち、図50に示すように、実施例1に係るオーブンレンジ1の外観構成とは、操作表示部6において、さらにスピーカー96を備えている点で異なっている。上記した点を除けば実施例1に係るオーブンレンジ1と同様であるため、同じ部材には同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
次に、上記した構成を有する実施例7のオーブンレンジ1において、液晶タッチパネル10で受付けた入力に応じて実行される処理の制御について、図51の制御ブロック図を用いて説明する。図51は実施形態の実施例7に係るオーブンレンジ1の要部構成の一例を示すブロック図である。図51に示すように、オーブンレンジ1は、上述した加熱部材および液晶タッチパネル10に加えて、加熱制御部24、操作表示制御部28、および発声部95を備えている。
図51に示すように、操作表示制御部28は、接触検知部29、近接検知部30、表示制御部31を備えている。なお、接触検知部29および近接検知部30の構成については、上述した実施例1に係るオーブンレンジ1が備える接触検知部29および近接検知部30と同様の構成であるため、説明は省略する。
操作表示制御部28では、接触検知部29および近接検知部30からの信号に基づき表示制御部31がカラー液晶表示器11の表示を制御する。また、接触検知部29からの信号に基づいて加熱制御部24が前述したようにサーミスタ22や赤外線センサ23の検出に従い、加熱部材であるマグネトロン17、平面ヒータ18、コンベクションヒータ19、スチーム発生器21を制御する。
また、発声部95はスピーカー11と発声記憶部97を含んでいて、近接検知部30からの信号に基づき、発声記憶部97に記憶されている複数の発声パターンデータにおける発声パターンのうち、いずれかの発声パターンをスピーカー11から発声するものである。
次に、実施例3で用いた図17を使って、特に、操作表示制御部28および発声部95の動作についてより具体的に説明する。
図17に示す基本メニュー画面が表示されている状態において、液晶タッチパネル10で表示しているいずれかの標準ボタン画像の位置に指27が近接すると、その近接位置座標を近接検知部30が検知する。そして、近接検知部30は、この近接位置座標を発声部95に出力する。発声部95ではその近接位置座標に対応した発声パターンを発声記憶部97から抽出してスピーカー11から出力する。即ち、基本メニュー画面において、あたためボタン画像35に指27が近接すると「あたため」とスピーカー11から発声し、レンジボタン画像36に近接すると「レンジ」、スチームボタン画像37に近接すると「スチーム」、オーブンボタン画像38に近接すると「オーブン」、グリルボタン画像39に近接すると「グリル」、自動メニューボタン画像40に近接すると「自動メニュー」と発声する。
この「あたため」、「レンジ」、「スチーム」、「オーブン」、「グリル」、「自動メニュー」の単語は発声パターンとして発声記憶部97にあらかじめ記憶されているものであり、発声部95は近接検知部30が検知する近接位置座標に対してそれぞれの発声パターンとの対応関係を記憶していて、指27が近接した位置に表示されている標準ボタン画像に対応した発声パターンをスピーカー11から発声する。
ここで、液晶タッチパネル10において表示されている基本メニュー画面のいずれかの標準ボタン画像の位置に指27が接触すると、接触検知部29がそれを検知し、表示制御部31によりそれぞれ次の詳細な設定を行うための画面に表示が切り換えられる。液晶タッチパネル10で表示されている基本メニュー画面の各ボタン画像の位置で、例えば、あたためボタン画像35に指27が接触すると、加熱終了の温度を設定する画面に切り換わる。またレンジボタン画像36に接触すると加熱パワー(ワット)と加熱時間の設定画面に切り換わる。またスチームボタン画像37に接触すると加熱時間の設定画面に切り換わる。スチーム加熱はスチームとマイクロ波と平面ヒータの組み合わせで蒸し調理を行うものである。またオーブンボタン画像38に接触すると加熱温度と加熱時間の設定画面に切り換わり、グリルボタン画像39に接触すると片面グリルか両面グリルかの区別と加熱時間の設定画面に切り換わる。そして自動メニューボタン40に接触すると、自動調理メニューの選択画面に切り換わる。
次に液晶タッチパネル10に自動調理メニューの選択画面を表示した状態を実施例3で説明した図18を参照して示す。自動メニューボタン群41では、各ボタン画像に料理品目が書かれていて、それが液晶タッチパネル10の画面全体に16個表示されている。自動調理メニューでは、各料理品目に対して適切な加熱部材による適切な加熱制御手順が予め設定されていて、使用者は自動調理メニューにおいて、料理品目を選択するだけで、その選択された料理品目に対応した加熱制御が行われる。またページめくりボタン画像42に接触されると、カラー液晶表示器11の画面全体が切り替わり、別の自動調理メニュー画面に切り替わり、新たな自動メニューボタン群が16個表示される。
次に、液晶タッチパネル10に指27が近接した場合について説明する。近接検知部30が、液晶タッチパネル10に対する指27の近接を検知すると、検知結果として近接位置座標を発声部95に出力する。発声部95は、受付けた近接位置座標に対応する標準ボタン画像の発声パターンデータを発声記憶部97から読み出し、スピーカー96を介して発声させる。例えば、指27が図18に示す自動調理メニューの画面のうち、「ラタトゥイユ」を示すボタン画像に近接した場合、発声部95は「ラタトゥイユ」と調理品目の名前を発声した後、「材料はなす、ズッキーニ、たまねぎ、セロリ、ピーマン、トマト水煮、にんにく、スープの素」と読み上げる。これらの発声パターンは上述したように、発声記憶部97に記憶されている。このようにして、近接検知部30が「ラタトゥイユ」の標準ボタン画像位置に対する指27などの近接を検知すると、発声部95はこの発声パターンを発声記憶部97から抽出してスピーカー11を介して発声させる。
自動調理メニューに含まれる料理品目の中には、「鶏の唐揚げ」や「ぶり照焼き」のように、材料と調理方法がわかるものもあるが、「パエリア」、「ボンゴレロッソ」、または「ラタトゥイユ」など、料理品目の名前だけからはどのような料理であるのか想像しにくいものもある。そのために使用者は自分の調理しようとする料理が何であるのか、料理品目の名前だけではわかりにくい場合もある。このような場合、それぞれの標準ボタン画像に料理品目の名前だけではなく、その料理の調理完成時の写真を表示したり、材料を表示したりすればわかりやすくなる。しかしながら、これらの情報を表示させるためには、各標準ボタン画像の面積が大きくなってしまい、同一画面において同時に表示できる標準ボタン画像の数が制限されてしまう。そうすると何度もページめくりをしなければならなくなるなど使い勝手が悪くなってしまうおそれがある。しかしながら、実施例7に係るオーブンレンジ1のように、指27を自動調理メニュー画面に表示されている標準ボタン画像に近接させたときに、その標準ボタン画像に対応付けられている料理品目の名前と更に材料や作り方、およその加熱時間のような詳細情報を発声することで、指27を近接させた標準ボタン画像の料理品目を明確に把握することができ、間違って選択することはなくなる。
そして、自動メニューボタン群41の中のいずれか1つの標準ボタン画像に接触すると、表示制御部31により分量や仕上がりの強さなどの設定を行う設定画面に表示を切換える。このような表示に従って使用者が例えば、液晶タッチパネル10に表示されているボタン画像などに指27を接触させて各種設定を終えると、図1に示す加熱開始ボタン7を押すことで加熱が開始される。
図17において示す基本メニュー画面が表示されている状態において、液晶タッチパネル10に使用者の指27を接触させたり近接させたりした時の操作表示制御部28および発声部95の動作の流れについて図52を参照して説明する。図52は実施例7に係るオーブンレンジ1が備える液晶タッチパネル10における入力受付動作の一例を示すフローチャートである。
図52において、まずステップS71で表示制御部31は、図17に示すような、複数のボタン画像を含む基本メニュー画面を液晶タッチパネル10に表示してステップS72に進む。次にステップS72では、接触検知部29が図4に示す複数(m個)のX方向センサ電極25すべての静電容量変化Cx1〜Cxmを検出し、その最大値をCxmaxとして抽出して、ステップS73に進む。次にステップS73で図4に示す複数(n個)のY方向センサ電極26すべての静電容量変化Cy1〜Cynを検出し、その最大値をCymaxとして抽出して、ステップS74に進む。
ステップS74では、接触検知部29がステップS72、S73で抽出したCxmaxとCymaxを足し合わせる演算を行い、それが図5に示すC1の2倍より大きいかどうかを判定する。ここでCxmaxとCymaxを足し合わせた結果がC1の2倍より大きくないと接触検知部29が判定した場合、ステップS75に進む。一方、接触検知部29が大きいと判定した場合は、処理を終了し、各ボタン機能に応じた詳細な設定画面に進む。
ステップS75では、ステップS72、S73で抽出したCxmaxとCymaxを足し合わせた結果が、図5に示すC1より小さいC2の2倍より大きいかどうかを近接検知部30が判定する。そして、近接検知部30がC2の2倍よりも大きいと判定した場合、ステップS77に進む。一方、近接検知部30が大きくないと判定した場合、接触も近接もしていないものとしてステップS76に進む。ステップS76では、近接検知部30は近接フラグを0に設定して、ステップS72に戻る。
ステップS77においては、近接検知部30が、近接フラグが1かどうかを判定し、近接フラグが1であればステップS79に進む。一方、近接フラグが1でなければ、使用者の指27が標準ボタン画像に近接していなかった状態から近接している状態へと、指27の状態が変化したものとしてステップS78に進む。そして、ステップS78では近接検知部30が、近接フラグを1に設定して、次のステップであるステップS80に進む。
一方、ステップS77において、近接フラグが1であると判定された場合は、使用者の指27が標準ボタン画像などに近接している状態が継続している状態を示している。そして、続くステップS79において、近接検知部30は、指27が近接している位置が変わったかどうかを判定する。この判定はCxmax、CymaxのX座標、Y座標に対応する標準ボタン画像の種類が変化したかどうかを調べることで判定することができる。近接検知部30が、近接位置が別の標準ボタン画像の位置へと変化していると判定した場合、ステップS80に進む。一方、近接検知部30が、近接位置が同じボタンの位置から変化していないと判定された場合は、ステップS72に戻る。
ところで、ステップS80では、ステップS77で近接していない状態から近接している状態に変化した判定され、ステップS78で近接フラグに1が設定された後に続いて行う処理の場合と、ステップS77で近接状態が継続されていると判定され、ステップS78でその近接位置が変化していると判定された後に続いて行う処理の場合とがある。そこで、ステップS80では、発声部95は、指27が近接している近接位置座標に対応する標準ボタン画像を確認し、このボタン画像に対応した発声パターンを発声記憶部97から抽出してスピーカー11で発声させる。
このように実施例7に係るオーブンレンジ1が動作することで、使用者の指27が近接していない状態から近接している状態へと状態が変化した際に、標準ボタン画像を選択した際に実行される機能を音声で知らせることができる。また、使用者の指27が標準ボタン画像に対する近接を継続している状態であっても、繰り返し発声することを防ぐことができる。また、近接を継続している状態であって、その近接位置が変化したときは、この変化後の近接位置に対応する標準ボタン画像を選択した際に実行される機能を音声で知らせることができる。
例えば、上述した図18の表示状態において液晶タッチパネル10に接触や近接した時の動作の流れも図52に示す処理フローと同様となる。
以上のように、実施例7に係るオーブンレンジ1では、液晶タッチパネル10において、位置入力装置15が静電容量の変化の大きさから、使用者の指27による接触と近接とを区別して検知することができる。そして、操作表示制御部28の近接検知部30により指27による近接を検知したとき、その近接位置に表示されている標準ボタン画像に対応した音声を発声部95が発声することができる。このため、この標準ボタン画像に使用者の指27が接触した時に実施される機能を使用者は、該標準ボタン画像に接触する前に知ることができる。このように、接触する前に実施される機能を確認した上で使用者は、指27が近接している位置にある標準ボタンに対して接触することができる。一方、操作表示部28は、使用者の指27の接触を検知したときには加熱部材の各種設定を行うなどして、使い勝手を向上させることができる。
また、使用者の体の一部による近接状態というのは使用者が意図しなくとも偶然に頭や顔、腕や肩などが近接することによって起こってしまうことがある。しかしながら、その場合にも機能を知らせる発声があるだけで、実際に加熱部材を動作させるまでの段階に操作がすすむことがないので、意図しない加熱が開始されることなく安心して使うことができる。
(実施例7の変形例1)
次に実施例7の変形例1について説明する。実施例7の変形例1に係る制御ブロック図を図53に示す。図53は、実施例7の変形例1に係るオーブンレンジ1の要部構成の一例を示すブロック図である。図53に示すように、実施例7の変形例1に係るオーブンレンジ1のブロック図では、実施例7のオーブンレンジ1のブロック図と比較して、操作表示制御部28がタイマー部98を更に含む点でのみ異なる。
タイマー部98は、近接検知部30によって近接検知されている期間をカウントするためのタイマーである。すなわち、液晶タッチパネル10の位置入力装置15に指27などの人体の一部が近接したことを近接検知部30が検知すると、近接検知部30は指27などの近接を検知している間、その近接位置座標をタイマー部98に出力する。タイマー部98は、近接検知部30からの近接位置座標の受付開始時点から時間のカウントを開始する。タイマー部98は、近接検知部30から近接位置座標を受付けている状態が所定時間続くと、発声部95に、この近接位置座標を示す信号を送る。発声部95は、発声記憶部97に記憶されている複数の発声パターンデータの中から、受付けた近接位置座標に対応する発声パターンデータを抽出し、スピーカー11から発声させる。
なお、このタイマー部98は、近接検知されている期間が所定時間まで経過するのをカウントしている最中に、液晶タッチパネル10に指27など人体の一部が接触したことを接触検知部29が検知した場合、この時間のカウントを停止して発声部95からの発声は指示しないように構成されている。
次に実施例7の変形例1に係るオーブンレンジ1において、使用者の指27などが液晶タッチパネル10に接触または近接した時の操作表示制御部28、発声部95の動作の流れを図54に示す。図54は、実施例7の変形例1に係るオーブンレンジが備える液晶タッチパネルにおける入力受付動作の一例を示すフローチャートである。なお、図54に示すステップS81からステップS83までは、図52に示すフローチャートのステップS71からステップS73までの処理と同様であるため説明を省略する。
ステップS84では、接触検知部29が、ステップS82、S83で抽出したCxmaxとCymaxを足し合わせる演算を行い、C1の2倍より大きいかどうかを判定する。ここで、接触検知部29が、CxmaxとCymaxを足し合わせた結果がC1の2倍より大きくないと判定した場合(ステップS84において「NO」)、ステップS85に進む。一方、接触検知部29が、足し合わせた結果がC1の2倍より大きいと判定した場合、ステップS91に進み、ステップS91において、接触検知部29は、タイマー部98によるカウントをクリアにさせる。すなわち、既に、近接入力に対する検知が近接検知部30によってなされている場合は、タイマー部98は時間経過のカウントを開始している。この場合、タイマー部98は、接触検知部29から指27などの接触入力を検知したことを示す接触位置座標を受付けるとカウントを停止する。そして、カウントをクリアにして初期化する。また、接触検知部29は接触位置座標を表示制御部31に出力する。表示制御部31は、接触位置座標に表示されている標準ボタン画像を選択して、接触したときに実施される機能に応じた詳細な設定画面を表示させる。
ステップS85では、近接検知部30が、ステップS82、S83で抽出したCxmaxとCymaxを足し合わせた結果がC1より小さいC2の2倍より大きいかどうかを判定する。そして、近接検知部30が、足し合わせた結果がC2の2倍よりも大きいと判定した場合、ステップS87に進む。一方、近接検知部30が、足し合わせた結果がC2の2倍よりも大きくないと判定した場合、液晶タッチパネル10に対する、使用者の指27などの接触および近接は無いものと判断してステップS86に進む。ステップS86では、近接検知部30は近接フラグを0に設定してステップS92に進む。使用者の指27などの液晶タッチパネル10に対する接触および近接が無いと判断された場合、タイマー部43はカウントをクリアにして初期化する(ステップS92)。そして、ステップS82に戻って処理を繰り返す。
一方、ステップS87においては、近接検知部30が、近接フラグが1かどうかを判定する。そして、近接検知部30が、近接フラグが1であると判定した場合(ステップS87において「YES」)、使用者の指27などが液晶タッチパネル10に対して近接している状態が継続しているとしてステップS89に進む。一方、近接検知部30が、近接フラグが1でないと判定した場合、使用者の指27などが液晶タッチパネル10に対して近接していなかった状態から近接した状態に変化したとしてステップS88に進む。近接検知部30は、ステップS88において、近接フラグを1に設定してステップS93に進む。ステップS93では、タイマー部98が近接検知時点からの時間経過のカウントを開始しステップS82に戻る。
ステップS89では、使用者の指27などの液晶タッチパネル10に対する近接状態が継続している期間の時間経過をタイマー部98がカウントしており、所定時間経過したか否か判定する。タイマー部98が所定時間経過していると判定した場合(ステップS89において「YES」)、ステップS90に進む。一方、タイマー部98が、所定時間経過していないと判定した場合(ステップS89において「YES」)は、ステップS82に戻る。
タイマー部98は、使用者の指27などの液晶タッチパネル10に対する近接状態が継続している期間が所定時間経過していると判定すると、発声部95に検知されている接触位置座標(Cxmax,CymaxのX、Y座標)を出力する。発声部95は、タイマー部98から受付けた近接位置座標に表示されている標準ボタン画像を特定し、該標準ボタン画像に対応した発声パターンデータを発声記憶部97から読み出す。そして、発声部95は、読み出した発生パターンデータに基づき、スピーカー11から発声を開始させる(ステップS90)。
通常、迷うことなく液晶タッチパネル10に指27を接触させて操作するような場合ですら、指27の接触前には必ず、瞬間的に近接した状態が発生している。実施例7の変形例1では、以上のように構成され動作することによって、このような瞬間的な近接状態で発声部95が発声してしまうこと防止することができる。また、使用者が標準ボタン画像へ接触するか否か迷った場合などにおいて、所定時間、指27を近接状態で維持すると発声部95が音声で指27が近接している標準画像ボタンに対応付けられた機能を知らせることができる。
なお、この所定時間は、例えば1秒に設定することで、使用者が表示されている標準ボタン画像に接触するか否か迷った時だけ音声でのお知らせを行うことができる。
このように実施例7の変形例1の構成では、タイマー部98により所定時間だけ近接状態が継続した場合に発声するようにしているため、迷うことなく液晶タッチパネル10に指27を接触させて操作するような場合にまで、音声によるお知らせを行ってしまうことを防ぐことができる。
以上のように実施例7に係るオーブンレンジ1は、以下に示す構成を有するものとしてもよい。
実施例7に係る第1の加熱調理器は、食品を加熱する加熱部材と、使用者が入力する操作内容を受け付ける操作部と、前記加熱部材を制御する加熱制御部と、音声を発声する発声部と、前記操作部に人体の一部が近接したことを検知する近接検知部と、前記操作部に人体の一部が接触したことを検知する接触検知部とを備え、前記加熱制御部は前記接触検知部からの入力により前記加熱部材を制御し、前記発声部は前記近接検知部からの入力により人体の一部が近接した位置に対応した音声を発声する加熱調理器である。
この構成によれば、操作部に人体の一部が近接すると近接検知部がそれを検知し、発声部が近接した位置に対応した音声を発声し、さらに操作部に人体の一部が接触すると接触検知部がそれを検知し、加熱制御部は接触検知部からの入力により加熱部材を制御するので、使用者は操作部に接触する前に近接したところで操作の内容を知ることができ、視力の弱い使用者が手探りであっても操作しやすく、またキーが小さくても操作でき、煩わしさや間違いのない操作入力を受け付けることができる。
実施例7に係る第2の加熱調理器は、特に、第1の加熱調理器の構成において、食品の加熱調理に関する情報を表示する表示部を更に備え、前記操作部は前記表示部に一体的に構成したタッチパネルであり、前記近接検知部は人体の一部が近接した座標を検知し、前記発声部は前記近接検知部が検知した座標に対応した音声を発声するものである。
この構成によれば、表示部が加熱調理に関する情報を表示し、タッチパネルはこの表示部に一体的に構成し、近接検知部は人体の一部が近接したタッチパネル上の座標を検知し、発声部は近接検知部が検知した座標に対応した音声を発声するので、使用者は操作部に接触する前に近接したところで操作の内容を知ることができ、視力の弱い使用者が手探りであっても操作しやすく、またキーが小さくても操作でき、煩わしさや間違いのない操作入力を受け付けることができる。
実施例7に係る第3の加熱調理器は、特に、第2の加熱調理器の構成において、表示部には複数の調理メニューのボタン画像を表示し、前記近接検知部が前記ボタン画像への近接を検知したときには、前記発声部が前記ボタン画像に対応した調理メニューに関する詳細情報を読み上げる構成である。
この構成によれば、表示部には複数の調理メニューのボタン画像を表示し、近接検知部がボタン画像への近接を検知したときには、発声部が近接したボタン画像に対応した調理メニューに関する詳細情報を読み上げるので、ボタン画像を小さくしたキーを表示部に同時に多数表示しても操作でき、煩わしさや間違いのない操作入力を受け付けることができる。
実施例7に係る第4の加熱調理器は、特に、第1から第3のいずれか1つの加熱調理器の構成において、近接検知部が近接を検知してから前記接触検知部が接触を検知するまでの時間を計時するタイマーを更に有し、前記タイマーにより所定時間以上を計時すると前記発声部が音声を発声する構成である。
この構成によれば、タイマーは近接検知部が近接を検知してから接触検知部が接触を検知するまでの時間を計時し、所定時間以上を計時すると発声部が音声を発声するので、近接したらすぐに接触するような通常の操作では発声せず、操作に迷って近接してからすぐに接触しないようなときには発声するのでさらに使い勝手が向上し、視力の弱い使用者が手探りであっても操作しやすく、またキーが小さくても操作でき、煩わしさや間違いのない操作入力を受け付けることができる。
実施例7に係る第5の加熱調理器は、使用者が入力する操作内容を受け付ける操作部と、音声を発声する発声部と、前記操作部に人体の一部が接近したことを検知する近接検知部と、前記操作部に人体の一部が接触したことを検知する接触検知部とを備え、前記発声部は前記近接検知部からの入力により人体の一部が近接した位置に対応した音声を発声する入力受付装置である。
この構成によれば、操作部に人体の一部が近接すると近接検知部がそれを検知し、発声部が近接した位置に対応した音声を発声し、さらに操作部に人体の一部が接触すると接触検知部がそれを検知し、入力として受け付けるので、使用者は操作部に接触する前に近接したところで操作の内容を知ることができ、視力の弱い使用者が手探りであっても操作しやすく、またキーが小さくても操作でき、煩わしさや間違いのない操作入力を受け付けることができる。
実施例7の構成によれば、使用者は操作手段に接触する前に近接したところで操作の内容を知ることができ、視力の弱い使用者が手探りであっても操作しやすく、またキーが小さくても操作でき、煩わしさや間違いのない操作入力を受け付けることができる。
また、実施例7に係る加熱調理器(オーブンレンジ1)は、例えば、以下のように活用することができる。
以上のように、本発明は操作部に人体の一部が近接すると近接検知部がそれを検知し、発声部が近接した位置に対応した音声を発声し、さらに操作部に人体の一部が接触すると接触検知部がそれを検知し、加熱制御部は接触検知部からの入力により加熱部材を制御するので、使用者は操作部に接触する前に近接したところで操作の内容を知ることができ、視力の弱い使用者が手探りであっても操作しやすく、またキーが小さくても操作でき、煩わしさや間違いのない操作入力を受け付けることができるので、オーブンレンジの他、炊飯器やIHクッキングヒータなど、調理器全般に適用できる他、入力受付装置として入力操作を必要とする機器に広く適用可能である。
以上、説明してきた実施例1〜7では、利用者からの指示を受付ける入力部として接触位置や近接位置がきめ細かく検出できる、カラー液晶表示器11と位置入力装置15とが一体となって構成された液晶タッチパネル10を例に挙げて説明してきた。しかしながら、入力部は、カラー液晶表示器11を備えずに、静電容量の変化を検知することで接触と近接とを区別して検知できる、複数のフラットなボタンから構成されたものであってもよい。
また、実施例1〜7では加熱調理器としてオーブンレンジ1を例に挙げて説明したが、実施例6で開示した技術思想は、炊飯器やIHクッキングヒータなどに適用しても同様の効果がある。更には、加熱調理器に限らず他の電子機器、あるいは他の電子機器と組み合わせて利用する入力受付装置として適用することもできる。
上記説明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。
従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。