JP6051211B2 - 半減期が短く活性が高い合成五糖類 - Google Patents

半減期が短く活性が高い合成五糖類 Download PDF

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Description

本発明は抗凝固剤(すなわち、血液凝固を防ぐ物質)に関する。より具体的には、本発明は抗血栓性オリゴ糖に関する。
天然硫酸化多糖であるヘパリンは、グリコサミノグリカンファミリーに属する抗凝固物質の一つである。ヘパリンは、血液凝固カスケードにおけるいくつかのプロテアーゼ(特に第Xa因子及びトロンビン)に対する阻害作用を促進する能力を通して抗凝固活性を示す。
ヘパリン及びヘパリン系薬剤は、アンチトロンビン(AT)の特定の結合領域に結合することで、第Xa因子の活性を阻害する。ヘパリン又はヘパリン系薬剤は、アンチトロンビンの特定の結合領域に結合すると、アンチトロンビン(AT)の立体構造(コンフォメーション)を変化させる。このATの立体構造変化が第Xa因子阻害に関与している。これまでの研究結果によれば、有意にATに結合し第Xa因子を阻害できる最小の構成要素は、五糖類である。
このような立体構造の変化を誘発する物質の原型とも言えるのが、フォンダパリヌクスである。フォンダパリヌクスナトリウム(アリクストラ(商標)、グラクソ・スミスクライン)は、新しいタイプの抗血栓剤としては初めてのものである。フォンダパリヌクスナトリウムの半減期は、ラットでは約1時間、ヒトでは17時間であり、抗凝固剤治療を必要とする患者に対して1日1回投与される。フォンダパリヌクスナトリウムは、ヘパリンのアンチトロンビン結合部位を模倣した、化学的に合成された五糖である。この五糖は、選択的第Xa因子阻害剤であるため、トロンビン生成の阻害剤である。
フォンダパリヌクスの合成は時間がかかり複雑である。よって、同様の活性及び薬物動態プロファイルを維持しつつ、その化学的性質を簡素化する目的で、一連の五糖類が新しく考案されている(特許文献1、2)。
特許文献1には、N−硫酸基、N−酢酸基及びヒドロキシ基がアルコキシ基及びO−硫酸基で置換された合成五糖類が開示されている。特許文献2にも同様の合成五糖類が開示されており、そのL−イズロン酸単位は立体構造でロックされており、そのD−グルクロン酸単位Eは最終的に5位にエチル基を有する。
しかしながら、これら五糖類の単位にアルキル基が存在すると、調製方法をかなり簡素化できる一方で、半減期は延長されるため、臨床使用に問題を生じさせる。
特許文献3でも合成五糖の提供を試みており、この特許文献では、腸壁を通過できるという五糖類の能力が抗血栓剤としての用途において重要であるとみなされている。
しかし、特許文献3に記載の多くの化合物についても半減期が長すぎることが分かった。
抗凝固性の五糖類の半減期、すなわち薬剤の血漿中濃度が半減するのに必要な時間は、非常に重要な薬物動態パラメータである。実際、例えば出血時などには、可能な限り早く抗凝固作用を止めて出血を止めることが必要な場合もある。
抗凝固剤の好適な半減期は、ヒトの場合は約5〜約20時間であり、これはラットの場合の約0.5時間〜約3時間に相当する。
五糖にビオチン部位を導入した場合、ビオチンに強力に結合するタンパク質であるアビジンを注入することにより、抗凝固活性を素早く抑制することができる。
ビオチン基(IUPAC名:5−[(3aS,4S,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル]ペンタン酸、ビタミンBとしても知られる)とは以下に示す基である。
Figure 0006051211
このようなビオチン基含有五糖類は、特許文献4により公知である。アビジンは、これらの化合物が標的に及ぼす作用を防ぐとともに、これらの化合物の排出を促進する。特許文献4に記載のビオチン基含有化合物の抗第Xa因子活性は、ビオチン基を有していない対応物の活性と同等である。
このように、アビジンの投与によりビオチン基含有化合物の抗凝固活性を無効にすることが可能であり、これにより、半減期が長い抗凝固性五糖を使用することができるようになる。
しかしながら、血漿中には、ビオチンのカルボン酸末端におけるアミド結合を切断するビオチニダーゼ酵素が存在し、この酵素がビオチン基含有化合物と反応して化合物からビオチン基を脱離させ得る。その結果、ビオチン基が脱離した化合物は、もはやアビジンによって無効にされることはなく、生理学的に洗い流されるまで抗凝固活性を保続する。これは、抗凝固剤治療は長期に渡る可能性があり、ビオチン基が脱離した化合物が血漿中に蓄積し得ることから、深刻な問題である。したがって、依然として、半減期が短いビオチン基含有化合物を使用して、緊急時には化合物を即座に無効にでき、ビオチニダーゼによって化合物からビオチン基が脱離しても血漿中に蓄積しないようにすることが非常に望ましい。
米国特許第5543403号明細書 国際公開第99/36428号 欧州特許出願公開第2074131号明細書 欧州特許出願公開第1322673号明細書
本発明者らは、驚くべきことに、D単位の置換基を変更することで、アルキル化された或いはO−硫酸基で変性された五糖類の半減期を調整できることを見出した。
2位にアミノ官能基を導入すると半減期が短縮する。
この2位のアミノ官能基をビオチン化すると半減期が延長する。
D単位に遊離ヒドロキシ基を1つ導入すると半減期が短縮する。
本発明者らは、これらの各種知見を組み合わせることで、強力な第Xa因子阻害剤として、半減期が短いビオチン基含有五糖類を特定するに至った。
したがって本発明は、合成が容易で半減期が短い五糖類、特にビオチン基含有五糖類を提供することを目的の一つとする。
本発明はまた、高い抗第Xa因子活性を有する(つまりIC50値が低い)ビオチン基含有五糖類を提供することも目的の一つとする。
結果として、本発明の化合物、より詳しくはビオチン基含有化合物の使用により、先行技術における問題点が全て解決される。
本発明は、式(I):
Figure 0006051211
(式中、
は、炭素数1〜3のアルキル基を表し、
が炭素数1〜3のアルコキシ基を表し且つRが水素原子を表すか、又は、RとRとで−O−CH−又は−O−CH−CH−橋架け基(式中、−O−はR基を担持する炭素原子に結合し、−CH−はR基を担持する炭素原子に結合している。)を形成し、
は、水素原子又はエチル基を表し、
は、−OH、−NH、又は、−NH−LC−ビオチン(式中、LCはリンカーを表し、好適には式:−(C=O)−(CH)n−NH−(nは1〜10)で表され、より好適には式:−(C=O)−(CH−NHで表される。)を表し、
とRとが異なる場合は、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基から選択され、
とRとが同一である場合は、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基及びペンチル基から選択されるが、
ただし、Rは、R又はRのうちの少なくとも1つとは異なる。)
で表される合成五糖化合物及びその塩に関する。
好適には、本発明の合成五糖化合物は、式(II):
Figure 0006051211
(式中、
、R、R、R、R及びRは上述の通り。)で表される。
は、−NH、又は、−NH−LC−ビオチン(LCは上述の通り。)を表してもよい。
ある実施形態においては、R及びRは、同一の基を表す。
別のある実施形態では、R又はRの一方は水素原子を表し、他方は炭素数1〜5のアルキル基を表す。
上記実施形態の全てのある変形例では、RとRとで−O−CH−橋架け基(式中、−O−はR基を担持する炭素原子に結合し、−CH−はR基を担持する炭素原子に結合している。)を形成し、Rはエチル基を表す。
上記実施形態の全ての別の変形例では、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基を表し、R及びRは水素原子を表す。
本発明はまた、上記合成五糖化合物及びその塩と、医薬的に許容される希釈剤又は担体とを含む医薬組成物に関する。
本発明はまた、薬剤として、例えば血液凝固異常の予防及び治療を目的とした薬剤として使用される上記合成五糖化合物及びその塩に関する。
血液凝固異常とは、具体的には、深部静脈血栓症、肺塞栓症、急性冠症候群、心筋梗塞、脳卒中等、静脈血栓症又は動脈血栓症の1つをいう。血液凝固異常は心房細動に起因するものであってもよい。
本発明はまた、固形臓器移植に伴う虚血再灌流障害を防ぐための薬剤として使用される合成五糖化合物及びその塩に関する。
本発明はまた、心臓手術中、体外膜型酸素供給中、又は、人工心臓等による循環補助中の体外血液回路における血液凝固を予防する、又は、その危険性を下げる方法であって、上記合成五糖化合物及びその塩を投与することを含む方法に関する。
本発明はまた、上記合成五糖化合物及びその塩、又は、上記医薬組成物と、アビジンとを含むキットに関する。
定義
本発明の化合物は、医薬的に許容される塩の形態であってもよい。医薬品において使用する場合には、本発明の化合物の塩は、無毒な「医薬的に許容される塩」を指す。米国食品医薬品局(FDA)認可の医薬的に許容される塩の形態には、医薬的に許容される酸性/陰イオン性、又は、塩基性/陽イオン性の塩が含まれる(Gould,P.L.,International J.Pharm.,1984,33,201−271;Berge,S.M.et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66(1),1−19)。
本発明の酸性又は塩基性化合物の医薬的に許容される塩は、言うまでもないが、遊離した塩基又は酸を化学量論量以上の所望の塩形成酸又は塩基と反応させる等、従来の方法で形成できる。
本発明の酸性化合物の医薬的に許容される塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウム等の無機陽イオンとの塩や、有機塩基との塩が挙げられる。好適な有機塩基としては、N−メチル−D−グルカミン、アルギニン、ベンザチン、ジオラミン、オラミン、プロカイン及びトロメタミンが挙げられる。
本発明の塩基性化合物の医薬的に許容される塩としては、有機酸又は無機酸の誘導体である塩が挙げられる。好適な陰イオンとしては、酢酸イオン、アジピン酸イオン、ベシル酸イオン、臭化物イオン、カンシル酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、エジシル酸イオン、エストール酸イオン、フマル酸イオン、グルセプト酸イオン、グルコン酸イオン、グルクロン酸イオン、馬尿酸イオン、ヒクラート(hyclate(塩酸塩水和物イオン))、臭化水素酸イオン、塩酸イオン、ヨウ化物イオン、イセチオン酸イオン、乳酸イオン、ラクトビオン酸イオン、マレイン酸イオン、メシル酸イオン、メチル臭化物イオン、メチル硫酸イオン、ナプシル酸イオン、硝酸イオン、オレイン酸イオン、パモ酸イオン、リン酸イオン、ポリガラクツロン酸イオン、ステアリン酸イオン、コハク酸イオン、硫酸イオン、スルホサリチル酸イオン、タンニン酸イオン、酒石酸イオン、テレフタル酸イオン、トシル酸イオン、及び、トリエチオジド(triethiodide)が挙げられる。硫酸塩が特に好ましい。
本発明の治療方法における「投与」には、具体的に開示された化合物を用いて上述の種々の疾患を治療することが含まれるものとする。
本発明の化合物は、経口経路で、又は、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与、経皮的投与、直腸及び局所投与、並びに、吸入を含む非経口経路で投与できると考えられる。
経口投与の場合、本発明の化合物は、通常はタブレット、カプセル剤、水溶液又は懸濁液の形態で使用されることとなる。
経口使用されるタブレットは、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、フレーバー剤、着色剤及び保存剤等の医薬的に許容される賦形剤と混合された有効成分を含んでいてもよい。好適な不活性希釈剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム及びラクトースが挙げられる。好適な崩壊剤としては、コーンスターチ及びアルギン酸が挙げられる。結合剤としては、デンプン及びゼラチンが挙げられる。滑沢剤を使用する場合は、一般的には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクが使用される。所望により、タブレットは、胃腸管での吸収を遅らせるためにモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の物質でコーティングされていてもよい。
経口使用のカプセル剤としては、有効成分が固体希釈剤と混合されたハードゼラチンカプセル剤や、有効成分が水又はオイル(落花生油、流動パラフィン、オリーブオイル等)と混合されたソフトゼラチンカプセル剤が挙げられる。
筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内での使用を含む非経口使用の場合は、本発明の化合物は、一般的に、適切なpH及び等張性になるように緩衝した無菌水溶液又は懸濁液として提供される。好適な水性賦形剤としては、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。本発明における水性懸濁液は、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン及びトラガカントゴム等の懸濁化剤や、レシチン等の湿潤剤を含んでいてもよい。水性懸濁液に好適な保存剤としては、p−ヒドロキシ安息香酸エチル及びp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピルが挙げられる。
投与の形態
本発明の化合物は、当該技術分野において周知の通り、そのまま直接送達されてもよいし、賦形剤(上記参照)を含む医薬組成物として送達されてもよい。本治療方法は、治療上有効な量の本発明の化合物を患者や患畜に投与することを含む。
本明細書において、「治療上有効な量」又は「治療上有効な用量」とは、標的となる病状の治療、改善若しくは予防、検知可能な治療効果若しくは予防効果の発揮、又は、患者や患畜の延命に必要な本発明の化合物の量を指す。このような分子の毒性及び治療効力は、細胞培養や動物実験による標準的な薬学的方法、例えばLD50(集団の50%が死に至る量)やED50(集団の50%に治療の効果が現れる量)を測定するなどして決定できる。治療効果に対する毒性作用の用量比を治療指数といい、LD50/ED50の比で表される。治療指数が高い薬剤が好ましい。
治療上有効な量又は治療上有効な用量とは、研究者、獣医、医師又はその他の臨床家が求めている、組織、系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的反応を誘発する化合物又は医薬組成物の量である。例えば、抗凝固活性や、血液凝固異常(深部静脈血栓症や肺塞栓症等の深部静脈血栓塞栓症、術後深部静脈血栓症、冠症候群、心筋梗塞、脳卒中等)の治療が挙げられる。
厳密な処方、投与経路、用量及び服用間隔は、患者や患畜の症状の詳細を考慮した上で、当該技術分野において公知の方法に従って選択すべきである。
特定の患者や患畜に必要な特定の服用量は、治療対象の症状の重篤度、投与経路、患者や患畜の全般的健康状態(年齢、体重及び食生活)、患者や患畜の性別、投与のタイミング及び頻度、処方する医師の判断、並びに、治療に対する耐性/反応を含む多くの要因に応じて決定される。通常は、(単回用量か分割用量かに関わらず)1日の服用量は、0.01〜500mg/日、より一般的には0.1〜50mg/日、最も一般的には1〜10mg/日である。また、投与する用量は単位体重当たりであってもよく、この場合の典型的な用量は、0.001mg/kg〜3mg/kg、特には0.01mg/kg〜0.2mg/kg、0.02mg/kg〜0.1mg/kgであろう。
化学的定義
簡略化のため、本明細書では、通常は1価の基(例えば「アルキル」)を指す用語を、1価の基から1つ以上の水素原子を抜くことにより形成される2価、3価又は4価の橋架け基を指す場合にも使用する。その用語が1価の基を指すか多価の基を指すかは、文脈から明らかになろう。多価の橋架け基が環状部分から形成される場合、結合する結合部は、通常の原子価の法則に応じた好適な環原子上であればどの環原子上にあってもよい。
本明細書中、「アルキル」とは、示された通りの炭素数を有する直鎖又は分枝鎖の1価の飽和炭化水素基を指す。例えば、「炭素数1〜5のアルキル」には、炭素数1、2、3、4及び5のアルキル基が含まれる。特に限定されないが、好適なアルキル基の例としては、メチル基(−Me)、エチル基(−Et)、プロピル基(−Pr)、イソプロピル基、ブチル基(−Bu)、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基(−Pent)が挙げられる。
アルコキシとは、「アルキル−O−」基(式中、アルキルは上述の通り)を指す。特に限定されないが、好適なアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びイソプロポキシ基が挙げられる。
本発明には、それぞれ単離した各種ジアステレオマーの他、混合物が包含されることは理解されるだろう。
本発明の化合物が電荷を持った形態を補う対イオン(カウンターイオン)は、水素等の医薬的に許容される対イオンであり、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びカリウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属イオンであることがより好ましい。
その他「化合物」基の定義については、当業者であれば上述の定義や通常の命名法の慣習に基づいて容易に理解できるであろう。
本発明のいずれか1つの態様に関して既述された任意の特徴はいずれも本発明の他の態様にも適用することができることは理解されるであろう。
例示された化合物の説明において、「IC50」は、抗第Xa因子活性を表す。
用途
本明細書に記載の上記化合物は、薬剤として使用することができる。さらに具体的には、上記化合物は、血液凝固異常の治療を目的とした薬剤として使用することができる。
血液凝固異常とは、具体的には、深部静脈血栓症、肺塞栓症、急性冠症候群、心筋梗塞、脳卒中等の静脈血栓症又は動脈血栓症の1つである。血液凝固異常は、心房細動に起因するものであってもよい。
本発明の化合物は、血液体外循環(ECC)中に使用することもできる。したがって、抗凝固効果を阻害又は抑制できることが重要である。
本発明の化合物は、固形臓器移植に伴う虚血(血管の閉塞によって血液供給が不十分な状態)再灌流障害を防ぐための薬剤としても使用することができる。
本発明を下記例により更に説明する。
使用される略語
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DCM:ジクロロメタン
EtOAc:酢酸エチル
THF:テトラヒドロフラン
MTBE:メチル−tert−ブチルエーテル
TFA:トリフルオロ酢酸
TfOH:トリフルオロメタンスルホン酸
AcO:無水酢酸
Bn:ベンジル
Ph:フェニル
Bz:ベンゾイル
Me:メチル
Et:エチル
Pr:プロピル
Bu:n−ブチル
Pent:ペンチル
Hex:ヘキシル
Ac:酢酸塩又は酢酸エステル(アセテート)
セクション1:単糖D単位の合成
Figure 0006051211
化合物3の調製
Brill及びTirefortが記載した方法(Tetrahedron Lett.(1998),39,pp.787−790)と同様の方法でCernyエポキシド1から化合物2(1,6:2,3−ジアンヒドロ−4−OR−[β]−Dマンノピラノース)を合成した。化合物2(17.5mmol)を130mlのN,N−ジメチルホルムアミド/水混合物[4/1(v/v)]に溶解し、そこにアジ化ナトリウム(22.8g、350mmol)を添加した。この反応媒体を100℃で6時間加熱した。セライト濾過後、濾液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチル/シクロヘキサン混合物(20ml/7ml)から再結晶して、化合物3を結晶として得た。
化合物4の調製
化合物3(11mmoL)とR−X(33mmoL)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(80ml)に添加した冷却(0℃)混合液に、アルゴン雰囲気下で水素化ナトリウム(1.3g、33mmoL)を分割して添加した。この混合液を室温で20時間撹拌した。過剰の水素化ナトリウムはメタノールで潰した。この反応液を真空下で濃縮し、残渣をEtOAcに溶かした。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィー(n−ヘプタン/EtOAc)により精製して、白色固形の化合物4を得た。
化合物5の調製:アセトリシス(加酢酸分解)の一般法
乾燥させた丸底フラスコ中で、化合物4(11mmoL)を無水酢酸(73mL、770mmoL、70当量)とトリフルオロ酢酸(12.3mL、165mmoL、15当量)との混合液に0℃で溶解した。この反応液を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後、トルエンと共に共沸留去した。残渣は、シリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、所望の化合物5を得た。あるいは、残渣を飽和NaHCO水溶液で洗浄後、さらに精製することなくそのまま次工程で使用した。
化合物6の調製:アノマー性p−クロロチオフェノール基の導入
BF・OEt(4.19mL、33mmoL)を、化合物5(11mmoL)と4−p−クロロチオフェノール(4.8g、33mmoL)とをトルエン(55mL)に添加した撹拌懸濁液に0℃で加え、この混合液を室温で7時間撹拌した。飽和NaHCO溶液をpH=7になるまで添加し、反応液を−20℃で一晩冷却した。有機層を分離し、EtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル)によって精製して、化合物6を得た。
以下に、2種の化合物6f(R=OEt、R=OBn)及び6h(R=OEt、R=OEt)のNMRデータを示す。
化合物6f:H NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ7.77〜7.41(m(10H arom.(=芳香族性、以下同じ)),5.73(d,1H,J=5.46Hz,H−1α),5.14〜5.02(m,2H,CH−Bn),4.56(d,1H,J=9.5Hz,H−1β),4.48〜4.45(m,2H,H−6a/b),4.08〜3.82(m,2H,R−CH−CH),4.06〜3.94(m,2H,H−2,H−3),3.55〜3.51(m,2H,H−4,H−5),2.25(s,3H,CH−Ac),1.42(t,3H,J=7.1Hz,R−CH−CH
化合物6h:H NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ7.45〜7.40(m,2H arom.),7.30〜7.27(m,2H arom.),5.48(d,1H,J=5.2Hz,H−1),4.30〜4.26(m,2H,H−6a/b),3.81(dd,1H,J=5.2Hz,J=10.3Hz,H−2),3.72,3.57(2s,6H,2×OMe),3.50(t,1H,J=10.3Hz,H−3),2.08(s,3H,CH−Ac)
化合物7の調製:6−OAc基の鹸化
1N水酸化ナトリウム(120mL)を、化合物6(120.9mmoL)を450mLのTHF/メタノール(2/1)に添加した溶液に0℃で撹拌下にて滴下した。この反応液を室温で3時間撹拌し、真空下で濃縮した。残渣を水に溶解し、EtOAcで抽出した。有機層をMgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させて化合物7を得、さらに精製せずにそのまま次工程で使用した。
化合物8の調製:6−(p−メトキシベンゾイル)基の導入
塩化p−アニソイル(0.635g、3.72mmoL)を、化合物7(3.1mmoL)をピリジン(10mL)に添加した撹拌溶液に0℃で滴下した。この反応液を室温で3時間撹拌した。この反応液をDCM(20mL)で希釈し、1N HCl(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下で濃縮することで、粗生成物8を得た。これをカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル)によって精製して、白色固形の純粋な化合物8を良好な収率で得た。
Figure 0006051211
Figure 0006051211
Figure 0006051211
12種の化合物(8a〜8l)を調製した。いくつかの化合物例のNMRデータを以下に示す。
化合物8a:H NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ7.83〜7.77(m,2H arom.),7.36〜7.16(m,12H arom.),7.09〜7.03(m,2H arom.),6.86〜6.80(m,2H arom.),5.51(d,1H,J=5.3Hz,H−1α),4.92〜4.74(m,4H,2×CH−Bn),4.31(d,1H,J=9.8Hz,H−1β),3.93〜3.85(m,1H,H−2),3.84〜3.70(m,3H,H−3,H−4,H−5),3.79(s,3H,OMe)
化合物8f:H NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ8.13〜8.08(m,2H arom.),7.69〜7.51(m,7H arom.),7.38〜7.33(m,2H arom.),7.15〜7.09(m,2H arom.),5.79(d,1H,J=5.46Hz,0.79 H−1α),5.15〜5.05(m,2H,CH−Bn),4.79〜4.65(m,2H,H−6a/b),4.58(d,1H,J=9.5Hz,0.21 H−1β),4.12〜3.87(m,2H,R−CH−CH),4.11〜4.01(m,3H,H−2,H−3,H−4),4.08(s,3H,OMe),3.64〜3.58(m,1H,H−5),1.45(t,3H,J=7.1,R−CH−CH
化合物8g:H NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ8.15〜8.06(m,2H arom.),7.70〜7.50(m,7H arom.),7.38〜7.32(m,2H arom.),7.15〜7.09(m,2H arom.),5.15〜5.05(m,2H,CH−Bn),5.80(d,1H,J=5.46Hz,H−1α),4.56(m,1H,H−1β),4.13〜3.99(m,2H,H−2,H−3),3.74〜3.70(m,3H,H−5,H−4),4.78〜4.57(m,2H,H−6a/b),4.03〜3.71(m,2H,R−CH−CH−CH),1.92〜1.76(m,2H,R−CH−CH−CH),1.12(t,3H,J=7.1Hz,R−CH−CH−CH
化合物8h:H NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ7.94〜7.90(m,2H arom.),7.41〜7.38(m,2H arom.),7.17〜7.14(m,2H arom.),6.96〜6.91(m,2H arom.),5.54(d,1H,J=5.2Hz,H−1),4.56(m,2H,H−6a/b),4.44(m,2H,H−4,H−5),3.84(dd,1H,J=5.2Hz,J=10.3Hz,H−2),3.79,3.75,3.61(3s,9H,3×OMe),3.50(t,1H,J=10.3Hz,H−3)
セクション2:五糖13及び15の合成
Figure 0006051211
化合物10の調製:グリコシド化工程
国際公開第2008/041131号に既に記載の四糖9(9.59mmol)と、上述通り調製した単糖8(19.2mmol、2当量)を1/3(v/v)ジクロロメタン/メチル−tert−ブチルエーテル混合液(267mL)に溶解した。4Aモレキュラーシーブ粉末(1当量/四糖9)を添加し、得られた懸濁液を室温で2時間撹拌した。この混合物を−50℃で冷却し、ブロモダン(28.77mmol、3当量)、次にトリフルオロメタンスルホン酸(13.43mmol、1.4当量)を添加し、得られた反応液を−50℃で2時間撹拌した。単糖8(1等量)を更に追加し、その反応液を−50℃で1時間撹拌し、−20℃で一晩保存した。その後、pH7〜8になるまでトリエチルアミンを添加して反応液を中和し、真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムのクロマトグラフィー(トルエン/アセトン:90/10〜80/20)によって精製することで、五糖10を収率60〜84%で得た。
化合物11の調製:脱アセチル化及び鹸化
2M水酸化カリウム水溶液(6.2mL)を、化合物10(0.14mmol)を2/1(v/v)テトラヒドロフラン/メタノール(15mL)に添加した溶液に添加し、この混合液を室温で一晩撹拌した。得られた反応液をpH4になるまで酸性樹脂Dowex 50x8−100で中和した。樹脂を濾過によって除去し、濾液を乾燥するまで真空下で濃縮して、化合物11を定量的収率で得た。
化合物12の調製:硫酸化
三酸化硫黄−ピリジン錯体(4.2mmol、30当量)を、化合物11(0.14mmol)を無水ピリジン(3mL)に添加した溶液に添加した。得られた混合液を暗所にて80℃で16時間加熱した。0℃まで冷却した後、メタノール(2mL)を添加し、得られた溶液を1時間撹拌した。その後、pH7〜8になるまで5%NaHCO水溶液を添加し、この混合液を室温で一晩撹拌し、乾燥するまで濃縮した。残渣を水に溶解し、水を溶離液としてセファデックスG−25カラム上で脱塩することにより、70〜80%の収率で化合物12を得た。
化合物13の調製:水素化分解
化合物12(0.16mmol)をtert−ブタノール(8mL)/水(8mL)混合液に添加した溶液を大気圧の水素雰囲気下にて10%パラジウム担持炭(1当量)の存在下、16時間処理した。濾過後(Millipore(R)LSWP 5μmフィルター使用)、得られた溶液を乾燥するまで濃縮して、化合物13を定量的収率で得た。
化合物13a(OR=OH、OR=OH):[α]=+52.4(c=0.82,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 480.6[M−3H]3−H NMR(400MHz,DO,ppm)δ5.64(d,1H,J=3.7Hz,H−1 GlcIII),5.43(s,1H,H−1 IdoUAII),5.21〜5.19(m,2H,H−1 Glc,H−1 Glc),5.07(d,1H,J=7.8Hz,H−1 GlcUAIV),3.75〜3.57(5s,15H,5×OMe),2.26/1.87(m,2H,R−CH−CH),1.06(t,3H,J=6.9Hz,R−CH−CH
化合物13b(OR=OH、OR=OMe):質量(ESI法,ネガティブモード);922.8055[M+3DBA−5H]2−,857.7206[M+2DBA−4H]2−,793.1449[M+DBA−3H]2−,528.4258[M+DBA−4H]3−,485.3701[M−3H]3−
化合物13c(OR=OH、OR=OEt):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 929.8[M+3DBA−5H]2−,864.7[M+2DBA−4H]2−,760.2[M−2H]2−,490.0[M−3H]3−H NMR(400MHz,DO,ppm)δ5.49(d,1H,J=3.7Hz,H−1 GlcIII),5.28(d,1H,J=1.4Hz,H−1 ManUAII),5.21(d,1H,J=3.4Hz,H−1 Glc),5.07(d,1H,J=3.7Hz,H−1 Glc),4.84(d,1H,J=7.4Hz,H−1 GlcIV),3.93〜3.74(m,2H,R−CH−CH),3.60,3.53,3.45,3.44,3.42(5s,15H,5×OMe),2.07/1.71(m,2H,−CH−CH),1.19(t,3H,J=6.9Hz,R−CH−CH),0.90(t,3H,J=7.2Hz,−CH−CH
化合物13d(OR=OH、OR=OPr):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 872.1984[M+2DBA−4H]2−,807.6226[M+1DBA−3H]2−,767.6424[M−2H]2−
化合物13e(OR=OMe、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 857.66[M+2DBA−4H]2−,793.09[M+1DBA−3H]2−,486.10[M−3H]3−
化合物13f(OR=OEtm、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 929.3[M+3DBA−5H]2−,864.7[M+2DBA−4H]2−,800.1[M+DBA−3H]2−,760.2[M−2H]2−,490.0[M−3H]3−
化合物13g(OR=OPr、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 871.6919[M+2DBA−4H]2−,807.1179[M+DBA−3H]2−,767.1397[M−2H]2−
化合物13h(OR=OMe、OR=OMe):[α]=+71.6(c=1,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 864.6[M+2DBA−4H]2−,800.0[M+DBA−3H]2−,533.0[M+DBA−4H]3−,590.0[M−3H]3−
化合物13i(OR=OEt、OR=OEt):[α]=+79.3(c=1,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 943.3[M+3DBA−5H]2−,878.7[M+2DBA−4H]2−,814.2[M+DBA+3H]2−
化合物13j(OR=OPr、OR=OPr):[α]=+64.5(c=1,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 508.7[M−3H]3−
化合物13k(OR=OBu、OR=OBu):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 906.6991[M+2DBA−4H]2−,561.0756[M+DBA−4H]3−,518.0267[M−3H]3−
化合物13l(OR=OPent、OR=OPent):[α]=+66.9(c=1,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 985.3[M+3DBA−5H]2−,920.8[M+2DBA−4H]2−,570.4[M+DBA−4H]3−,527.4[M−3H]3−
化合物15の調製:LC−ビオチン化
化合物13(0.086mmol)の無水DMF(8mL)溶液に、6−(ビオチンアミド)ヘキサン酸スクシンイミジル14(58.6mg、0.129mmol)とジイソプロピルエチルアミン(22.5μL、0.129mmol)を添加した。この混合物を室温で20時間撹拌した。その後、5%NaHCO水溶液を加えた(3.6mL)。この混合液を室温で一晩撹拌し、乾燥するまで濃縮した。残渣を水に溶解し、水を溶離液としてセファデックスG−25カラム上で脱塩して、収率68〜87%で化合物15を得た。
化合物15a(OR=OH、OR=OH):[α]=+64.8(c=1,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1149.9[M+4DBA−6H]2−,1084.8[M+3DBA−5H]2−,1020.3[M+2DBA−4H]2−,679.8[M+2DBA−5H]3−,636.8[M+DBA−4H]3−H NMR(400MHz,DO,ppm)δ5.66(d,1H,J=3.5Hz,H−1 GlcIII),5.42(s,1H,H−1 ManUAII),5.32(d,1H,J=3.6Hz,H−1 Glc),5.22(d,1H,J=3.8Hz,H−1 Glc),5.17(d,1H,J=7.4Hz,H−1 GlcIV),4.54(m,1H,H−6ビオチン),4.42(m,1H,H−2ビオチン),3.75〜3.54(5s,15H,5×OMe),3.33(m,1H,H−1ビオチン),2.99(dd,1H,J=5.0Hz,J=13.2Hz,H−7aビオチン),2.76(d,1H,J=13.2Hz,H−7bビオチン),2.28/1.93(m,2H,R−CH−CH),1.19(t,3H,J=6.9Hz,R−CH−CH
化合物15b(OR=OH、OR=OMe):[α]=+59.2(c=1,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1156.9768[M+4DBA−6H]2−,1092.9164[M+3DBA−5H]2−,1027.3103[M+2DBA−4H]2−
化合物15c(OR=OH、OR=OEt):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1163.9[M+4DBA−6H]2−,1098.9[M+3DBA−5H]2−,1034.3[M+2DBA−4H]2−,969.7[M+DBA−3H]2−,689.2[M+2DBA−5H]3−,646.1[M+DBA−4H]3−H NMR(400MHz,DO,ppm)δ5.49(d,1H,J=3.5Hz,H−1 GlcIII),5.26(s,1H,H−1 ManUAII),5.16(d,1H,J=3.6Hz,H−1 Glc),5.06(d,1H,J=3.8Hz,H−1 Glc),5.01(d,1H,J=7.4Hz,H−1 GlcIV),4.54(m,1H,H−6ビオチン),4.42(m,1H,H−2ビオチン),3.98〜3.73(m,2H,R−CH−CH),3.59,3.47,3.44,3.43,3.38(5s,15H,5×OMe),3.33(m,1H,H−1ビオチン),2.99(dd,1H,J=5.0Hz,J=13.2Hz,H−7aビオチン),2.76(d,1H,J=13.2Hz,H−7bビオチン),1.19(t,3H,J=6.9Hz,R−CH−CH
化合物15e(OR=OMe、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1156.9[M+4DBA−6H]2−,1091.9[M+3DBA−5H]2−,1027.3[M+2DBA−4H]2−,962.7[M+DBA−3H]2−H NMR(400MHz,DO,ppm)δ7.9(d,1H,J=9.1Hz,NH Glc),5.50(d,1H,J=3.5Hz,H−1 GlcIII),5.27(s,1H,H−1 ManUAII),5.12(d,1H,J=3.6Hz,H−1 Glc),5.06(d,1H,J=3.8Hz,H−1 Glc),5.01(d,1H,J=7.4Hz,H−1 GlcIV),4.59(m,1H,H−6ビオチン),4.41(m,1H,H−2ビオチン),3.59,3.55,3.47,3.44,3.43,3.37(6s,18H,6×OMe),3.33(m,1H,H−1ビオチン),2.99(dd,1H,J=5.0Hz,J=13.2Hz,H−7aビオチン),2.76(d,1H,J=13.2Hz,H−7bビオチン)
化合物15f(OR=OEt、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1163.9[M+4DBA−6H]2−,1098.9[M+3DBA−5H]2−,1034.3[M+2DBA−4H]2−,969.7[M+DBA−3H]2−,745.2[M+3DBA−6H]3−,646.1[M+DBA−4H]3−
化合物15h(OR=OMe、OR=OMe):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1164.5[M+4DBA−6H]2−
化合物15i(OR=OEt、OR=OEt):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1178.5[M+4DBA−6H]2−,1048.8[M+2DBA−4H]2−,984.2[M+DBA−3H]2−,698.9[M+2DBA−5H]3−,655.8[M+DBA−4H]3−
化合物15j(OR=OPr、OR=OPr):[α]=+47.4(c=1.6,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 707.8[M+2DBA−5H]3−,664.8[M+DBA−4H]3−,621.7[M−3H]3−,466.0[M−4H]4−
化合物15k(OR=OBu,OR=OBu):[α]=+56.1(c=0.95,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1206.4319[M+4DBA−6H]2−,1141.9298[M+3DBA−5H]2−,717.5716[M+2DBA−5H]3−,674.5105[M+DBA−4H]3−,631.4722[M−3H]3−
化合物15l(OR=OPent、OR=OPent):[α]=+64.0(c=1,HO);質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1220.0267[M+4DBA−6H]2−,1155.4486[M+3DBA−5H]2−,1090.3690[M+2DBA−4H]2−,726.5686[M+2DBA−5H]3−,683.5173[M+DBA−4H]3−,640.4665[M−3H]3−
セクション3:五糖17及び18の合成
下記スキーム3に示すように、国際公開第2006/067173号に既に記載の四糖16と単糖8を出発物質として、化合物13及び15と同様の方法(スキーム2)で化合物17及び18を調製した。
Figure 0006051211
化合物17は、化合物13と同様の方法で調製した。
化合物17a(OR=OH、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 837.6353[M+2DBA−4H]2−,773.0602[M+DBA−3H]2−,708.4929[M−2H]2−H NMR(400MHz,DO,ppm)δ5.56(d,1H,J=3.4Hz,H−1 Glc),5.51(d,1H,J=3.5Hz,H−1 GlcIII),5.20(d,1H,J=3.6Hz,H−1 Glc),4.99(s,1H,H−1 IdoUAII),4.81(d,1H,J=7.8Hz,H−1 GlcUAIV),3.76〜3.57(6s,18H,6×OMe)
化合物17b(OR=OH、OR=OMe):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 909.2[M+3DBA−5H]2−,844.7[M+2DBA−4H]2−,780.1[M+DBA−3H]2−,715.5[M−2H]2−H NMR(400MHz,DO,ppm)δ5.35(d,1H,J=3.6Hz,H−1 GlcIII),5.31(d,1H,J=3.5Hz,H−1 Glc),5.04(d,1H,J=3.7Hz,H−1 Glc),4.98(s,1H,H−1 IdoUAII),4.64(d,1H,J=7.8Hz,H−1 GlcUAIV),3.61(s,3H,OMe),3.55(2s,6H,OMe),3.50(2s,6H,OMe),3.48(s,3H,OMe),3.42(s,3H,OMe)
化合物17c(OR=OH、OR=OEt):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 851.6870[M+2DBA−4H]2−,787.1106[M+DBA−3H]2−,722.5338[M−2H]2−,481.3487[M−3H]3−H NMR(400MHz,DO,ppm)δ5.50(d,1H,J=3.5Hz,H−1 GlcIII),5.42(d,1H,J=3.5Hz,H−1 Glc),5.19(d,1H,J=3.8Hz,H−1 Glc),5.13(s,1H,H−1 IdoUAII),4.79(d,1H,J=7.7Hz,H−1 GlcUAIV),3.98〜3.91(m,2H,R−CH−CH),3.75〜3.57(6s,18H,6×OMe),1.32(t,3H,J=6.9Hz,R−CH−CH
化合物17e(OR=OMe、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 844.6550[M+2DBA−4H]2−,780.0801[M+DBA−3H]2−,715.5092[M−2H]2−,476.6641[M−3H]3−
化合物17f(OR=OEt、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 851.7[M+2DBA−4H]2−,787.1[M+DBA−3H]2−,722.5[M−2H]2−,481.3[M−3H]3−
化合物17h(OR=OMe、OR=OMe):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 916.2817[M+3DBA−5H]2−,851.7057[M+2DBA+2Na−4H]2−,787.1298[M+DBA−3H]2−,722.5541[M−2H]2−,481.3654[M−3H]3−H NMR(400MHz,DO,ppm),δ5.48(d,1H,J=3.5Hz,H−1 Glc),5.36(d,1H,J=3.4Hz,H−1 GlcIII),5.04(m,2H,H−1 IdoUAII,H−1 Glc),4.67(d,1H,J=7.8Hz,H−1 GlcUAIV),3.64〜3.42(8s,24H,8×OMe)
化合物18は、化合物15と同様の方法で調製した。
化合物18a(OR=OH、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード));m/z 718.215[M+3DBA−6H]3−,671.528[M+2DBA−5H]3−,628.142[M+DBA−4H]3−,585.090[M−3H]3−H NMR(400MHz,DO,ppm)δ5.35(d,1H,J=3.6Hz,H−1 GlcIII),5.29(d,1H,J=3.9Hz,H−1 Glc),5.04(d,1H,=3.7Hz,H−1 Glc),4.99(s,1H,H−1 IdoUAII),4.67(d,1H,J=7.8Hz,H−1 GlcUAIV),3.60〜3.42(6s,18H,6×OMe),4.61(m,1H,H−6ビオチン),4.42(m,1H,H−2ビオチン),3.33(m,1H,H−1ビオチン),3.01(dd,1H,J=4.9Hz,J=13.1Hz,H−7aビオチン),2.77(d,1H,J=13.1Hz,H−7bビオチン)
化合物18c(OR=OH、OR=OEt):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1150.8828[M+4DBA−6H]2−,1086.3187[M+3DBA−5H]2−,1021.2565[M+2DBA−4H]2−,956.6723[M+DBA−3H]2−,892.1098[M−2H]2−,594.3942[M−3H]3−
化合物18e(OR=OMe、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1143.8594[M+4DBA−6H]2−,1078.7886[M+3DBA−5H]2−,1014.2141[M+2DBA−4H]2−,949.6444[M+DBA−3H]2−,632.7502[M+DBA−4H]3−,589.7020[M−3H]3−
化合物18f(OR=OEt、OR=OH):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 1151.4[M+4DBA−6H]2−,1085.8[M+3DBA−5H]2−,1021.2[M+2DBA−4H]2−,957.2[M+DBA−3H]2−,637.4[M+DBA−4H]3−,594.4[M−3H]3−
化合物18h(OR=OMe、OR=OMe):質量(ESI法,ネガティブモード);m/z 637.4261[M+DBA−4H]3−,594.3792[M−3H]3−,445.0662[M−4H]4−H NMR(400MHz,DO,ppm),δ5.36(d,1H,J=3.4Hz,H−1 GlcIII),5.24(d,1H,J=3.9Hz,H−1 Glc),5.04(m,2H,H−1 Glc,H−1 IdoUAII),4.66(d,1H,J=7.8Hz,H−1 GlcUAIV),3.59〜3.43(8s,24H,8×OMe),4.59(m,1H,H−6ビオチン),4.42(m,1H,H−2ビオチン),3.33(m,1H,H−1ビオチン),2.99(dd,1H,J=4.9Hz,J=13.1Hz,H−7aビオチン),2.76(d,1H,J=13.1Hz,H−7bビオチン)
生物学的試験
本発明の化合物の生物活性の試験に好適な分析方法が種々存在することは理解されるであろうが、本発明の化合物の生物活性の試験に好適な方法を以下に挙げる。
化合物の抗第Xa因子活性(IC 50 )の測定
本発明の化合物は、アンチトロンビン(AT)を活性化することで血液凝固第Xa因子を阻害する。これらの化合物の第Xa因子阻害能をAT存在下にて標準条件で比較した。各化合物について、阻害%対濃度を表す曲線をプロットした。第Xa因子活性を50%阻害する濃度(IC50)を測定した。測定のため市販のシステムを使用した(Stachrom HPキット(Diagnostica Stago))。本分析は、STA Compact(Diagnostica Stago)で行った。
血漿中の化合物の定量
ラットの血漿中の化合物の濃度(化合物(μg)/血漿(mL))をそれらの抗第Xa因子活性に基づいて生物学的定量法で測定した(上記Stachrom HPキット(Diagnostica Stago))。本分析は、STA Compact(Diagnostica Stago)で行った。定量されるラット血漿中の各化合物についてそれぞれ検量線を作成した。
静脈内投与(排出半減期、T1/2)後の薬物動態研究
雌のWistar Hanラットにおいて、静脈内投与後に本発明の化合物の薬物動態を調べた。
様々な時点で血液サンプルを採取し、血液(9体積部)をクエン酸ナトリウム(1体積部)と混合し、直ちに氷上で冷却した。サンプルを低温(血漿は通常は8℃未満の温度で24時間安定)にて3000×g(遠心力)で10分間遠心分離し、−20℃で冷凍保存した。化合物の濃度(血漿のmL当たり)は、上述のように第Xa因子活性を用いてそれぞれの抗第Xa因子活性から求めた。
このようにして得られた濃度対時間曲線から各化合物の排出半減期を算出した。
結果
ファミリー1(R とR とで橋架け基を形成、R =−NH 、R =R
Figure 0006051211
Figure 0006051211
比較1
Petitouの国際公開第99/36428号に記載の方法と同様の方法で化合物PA01を合成した。
Figure 0006051211
化合物PA01のラットでの半減期T1/2は3.5±0.3時間、IC50活性は34nMである。
化合物PA01及び化合物13hは、R基について異なり、化合物(PA01)が−OMe基を有する一方、化合物13hは−NH基を有する。これらを比較した場合、化合物13hの半減期は、化合物PA01の半減期に比べて約66%短縮していることがわかる。
更に、化合物13i〜13lと比較することもできる。これらの化合物は、第Xa因子阻害活性を維持しつつ、いずれも化合物PA01より短い半減期を示すことが分かるはずである。
比較2
欧州特許出願公開第2074131号明細書と同様の方法で化合物PA02を合成した。
Figure 0006051211
化合物PA02のラットでの半減期T1/2は4.8±0.5、IC50活性は108nMである。
化合物13h〜13lは、化合物PA02と異なり、R及びRに炭素数がより少ないアルキルオキシ基を有する。化合物13h〜13kのラットでの半減期は化合物PA02より短く、1.2時間(−OMe)〜3.2時間(−OPent)である。
更に、化合物13h〜13lは、化合物PA02に比べて高い抗第Xa因子活性を示す。すなわち、化合物13h〜13kは、より低いIC50を示す。化合物13h〜13lのIC50値は、99nM(−OMe)〜34nM(−OBu及び−OPent)である。
このように限られた構造を選択することにより、先行技術の化合物と比較して半減期が短い化合物が得られることに注目すべきである。
ファミリー2(R とR とで橋架け基を形成、R =−NH 、R ≠R
Figure 0006051211
Figure 0006051211
やはり、このように限られた構造を選択することにより、先行技術の化合物と比較して半減期が短い化合物が得られることが分かるはずである。
ファミリー3(R とR とで橋架け基を形成、R =−NH−LC−ビオチン、R =R
Figure 0006051211
Figure 0006051211
LCは下記式を表す。
Figure 0006051211
ビオチン(IUPAC名:5−[(3aS,4S,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル]ペンタン酸、ビタミンB7としても知られる)は下記基である。
Figure 0006051211
比較3
化合物PA01及び化合物15hは、R基について異なり、化合物PA01が−OMe基を有する一方、化合物15hは−NH−LC−ビオチン基を有する。これらを比較した場合、化合物15hの半減期は、化合物PA01の半減期に比べて約54%短縮していることがわかる。
更に、化合物15a及び15iと比較することもできる。これらの化合物は、化合物PA01より短い半減期を示すことが分かるはずである。
また、化合物15h、15i及び15kは、化合物PA01よりIC50活性が低いことから、より良好な第Xa因子阻害剤である。
比較4
化合物PA02及び化合物15aは、R及びR基について異なり、化合物PA02が−OHex(ヘキソキシ)基を有する一方、化合物15aは−OH基を有する。また、R基についても異なり、化合物PA02が−NH基を有する一方、化合物15aは−NH−LC−ビオチン基を有する。両者を比較した場合、化合物15aの半減期は、化合物PA02に比べて約73%短縮していることがわかる。
化合物15h〜15kは、化合物PA02と異なり、R及びRとして炭素数がより少ないアルキルオキシ基を有する。化合物15h〜15kの半減期は、化合物PA02の半減期より短い。
更に、化合物15h〜15kの活性は、化合物PA02に比べて高い。化合物15aのIC50値が56nMであるのに対し、化合物15h〜15iのIC50値は33nM未満にとどまっている。
比較5
ファミリー1及びファミリー3の各化合物は、R基について異なり、ファミリー1の化合物が−NH基を有する一方、ファミリー3の化合物は−NH−LC−ビオチン基を有する。ファミリー3の化合物は、ファミリー1の化合物より高い抗第Xa因子活性(より低いIC50)を示すとともに、依然として許容範囲内の半減期を有する。
結果として、ファミリー1の化合物に対してビオチン基をグラフト化することで、抗第Xa因子活性が驚くほど向上する。
ファミリー4(R とR とで橋架け基を形成、R =−NH−LC−ビオチン、R ≠R
Figure 0006051211
Figure 0006051211
比較6
ファミリー2及びファミリー4の各化合物は、R基について異なり、ファミリー2の化合物が−NH基を有する一方、ファミリー4の化合物は−NH−LC−ビオチン基を有する。ファミリー4の化合物は、ファミリー2の化合物より高い抗第Xa因子活性(より低いIC50)を示すとともに、依然として許容範囲内の半減期を有する。
結果として、ファミリー2の化合物に対してビオチン基をグラフト化することで、抗第Xa因子活性が驚くほど向上する。
ファミリー5(R =アルコキシ、R =H、R =−NH
Figure 0006051211
Figure 0006051211
ファミリー6(R =アルコキシ、R =H、R =−NH−LC−ビオチン)
Figure 0006051211
Figure 0006051211
比較7
ファミリー5及びファミリー6の対応する化合物を比較すると、R基について異なり、ファミリー5が−NH基を有する一方、ファミリー6は−NH−LC−ビオチン基を有するが、ファミリー6の化合物は、ファミリー5の化合物より高い抗第Xa因子活性を示すとともに、依然として許容範囲内の半減期を有する。
結果として、ファミリー5の化合物に対してビオチン基をグラフト化することで、抗第Xa因子活性が驚くほど向上する。

Claims (20)

  1. 式(I):
    Figure 0006051211
    (式中、
    は、炭素数1〜3のアルキル基を表し、
    が炭素数1〜3のアルコキシ基を表し且つRが水素原子を表すか、又は、RとRとで−O−CH−又は−O−CH−CH−橋架け基(式中、−O−はR基を担持する炭素原子に結合し、−CH−はR基を担持する炭素原子に結合している。)を形成し、
    は、水素原子又はエチル基を表し、
    、−NH、又は、−NH−LC−ビオチン(式中、LCはリンカーを表。)を表し、
    とRとが異なる場合は、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基から選択され、
    とRとが同一である場合は、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基及びペンチル基から選択されるが、
    ただし、Rは、R又はRのうちの少なくとも1つとは異なる。)
    で表される合成五糖化合物及びその塩。
  2. LCは式:−(C=O)−(CH )n−NH−(nは1〜10)のリンカーを表す、請求項1に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  3. LCは式:−(C=0)−(CH −NHのリンカーを表す、請求項2に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  4. は、−NHを表す、
    請求項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  5. 及びRは、同一の基を表す、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  6. 及びRの一方は水素原子を表し、他方は炭素数1〜5のアルキル基を表す、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  7. とRとで−O−CH−橋架け基(式中、−O−はR基を担持する炭素原子に結合し、−CH−はR基を担持する炭素原子に結合している。)を形成し、Rはエチル基を表す、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  8. は炭素数1〜3のアルコキシ基を表し、R及びRは水素原子を表す、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  9. 下記化合物群:
    合物15a、
    Figure 0006051211
    化合物15b、
    Figure 0006051211
    化合物15c、
    Figure 0006051211
    化合物15e、
    Figure 0006051211
    化合物15f、
    Figure 0006051211
    化合物15h、
    Figure 0006051211
    化合物15i、
    Figure 0006051211
    化合物15k、
    Figure 0006051211
    化合物18a、
    Figure 0006051211
    化合物18b、
    Figure 0006051211
    化合物18c、
    Figure 0006051211
    化合物18e、
    Figure 0006051211
    及び、化合物18f
    Figure 0006051211
    から選択される、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩と、
    医薬的に許容される希釈剤又は担体と
    を含む医薬組成物。
  11. 薬剤として使用される、請求項1〜のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  12. 薬剤として使用される、請求項10に記載の医薬組成物。
  13. 前記薬剤は、血液凝固異常の治療を目的とした薬剤である、
    請求項1に記載の前記用途のための請求項1〜のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  14. 前記薬剤は、血液凝固異常の治療を目的とした薬剤である、
    請求項12に記載の前記用途のための請求項10に記載の医薬組成物。
  15. 前記薬剤は、固形臓器移植に伴う虚血再灌流障害を防ぐことを目的とした薬剤である、
    請求項1に記載の前記用途のための請求項1〜のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  16. 前記薬剤は、固形臓器移植に伴う虚血再灌流障害を防ぐことを目的とした薬剤である、
    請求項12に記載の前記用途のための請求項10に記載の医薬組成物。
  17. 前記薬剤は、心臓手術中、体外膜型酸素供給中、又は、循環補助中の体外血液回路における血液凝固を予防する、又は、その危険性を下げることを目的とした薬剤である
    請求項11に記載の前記用途のための請求項1〜9のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩。
  18. 前記薬剤は、心臓手術中、体外膜型酸素供給中、又は、循環補助中の体外血液回路における血液凝固を予防する、又は、その危険性を下げることを目的とした薬剤である、
    請求項12に記載の前記用途のための請求項10に記載の医薬組成物。
  19. 請求項のいずれか1項に記載の合成五糖化合物及びその塩と
    アビジンと
    を含むキット。
  20. 請求項10に記載の医薬組成物と、
    アビジンと
    を含むキット。
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