本発明は、2012年1月11日付けで提出された仮の米国特許出願第61/585253号である参考文献の記載内容を含む。
本発明は、過剰の第一級アルコールまたは第二級アルコールを第一級アミンで、液相中で銅含有触媒の存在下にアミノ化することによって、第二級アミンを製造する方法に関する。
第二級アミンは、重要な、工業的に利用される物質である。この第二級アミンは、例えば、エポキシドおよびポリウレタンをベースとするプラスチック成形体を製造するための重合用触媒および硬化用触媒として利用され、腐食防止剤として利用され、かつ、フロック加工剤および洗剤のための出発物質として利用される。さらに、第二級アミンは、植物保護において中間生成物として使用される。
アルコールまたはアルデヒドを第一級アミンで気液相中でアミノ化することによる第二級アミンの製造およびアルデヒドを第一級アミンで液相中で水素および水素化触媒の存在下にアミノ化することによる第二級アミンの製造は、公知である。
特開2011−026214号公報には、C1〜C3アルキル基を有する第一級アルコールを、気相中で銅含有触媒の存在下にt−ブチルアミンと反応させてN−アルキル−t−ブチルアミンにすることが記載されている。しかし、前記方法において、適度な選択率および収率だけが達成される。すなわち、N−エチル−t−ブチルアミンの製造の際に、77%だけの収率および80.6%の選択率が250℃でCuO/ZnO触媒の存在下で達成される。さらに、前記方法においては、気相中で作業が行なわれ、このことには、より高いエネルギー需要が必要であり、第二級アミンを大工業的に取得することは、あまり有利ではない。
米国特許第4206150号明細書には、比較例6および7として、1−ドデカノールをモノメチルアミンまたはジメチルアミンと、200℃および375psi.でAl2O3上に担持された銅触媒で液相中で反応させる、第二級アミンの製造法が記載されており、その際に銅含量は、10質量%または3.9質量%であり、およびアミンは、アルコールに対して3倍の過剰で使用される。この方法における欠点は、一つには、副生成物の含量が高いことであり(C24アミン+C25アミン14.1%)、ならびに触媒の安定性が低いことである。それというのも、前記アミンは、アミノ化後に浸出するからである。したがって、米国特許第4206150号明細書には、液相中のアミンを用いて第一級アルコールまたは第二級アルコールから出発する第二級アミンの製造のためには、触媒が長時間に亘って浸出せずかつ良好な収率が達成されるように、触媒は、銅の他に、モリブデンおよび/またはタングステンをこれらの金属の形および/またはこれらの酸化物の形で含有しなければならず、かつアミンは、アルコールに対して過剰で使用されなければならないことが教示されている。さらに、米国特許第4206150号明細書に従って製造された第二級アミンを蒸留により精製することもおよそ不可能である。それというのも、この蒸留は、蒸留分離されえない、アミンと水との均一共沸混合物を形成するからである。
欧州特許第257443号明細書Bには、第一級アルコールをアンモニアまたは第一級アルキルアミンと、液相中で担体としてのAl2O3を有する銅触媒の存在下に230℃〜235℃の範囲内で反応させることによって、トリアルキルアミンを製造する方法が記載されており、この場合には、極めて微少量の第二級アミン(約3%)のみである。さらに、欧州特許第257443号明細書には、第一級アミンを過剰の第一級アルコールと一緒に使用し、銅触媒を水素化触媒として使用しながら240℃を下回る温度を使用する場合に、有利に第三級アルキルアミンを製造しうることが開示されている。210℃未満の温度範囲内で、有利に第二級アミンを高い収率および選択率で製造しうることは、欧州特許第257443号明細書Bには開示されていない。
欧州特許第588156号明細書には、アルカノールをアルキルアミンおよび水素と、亜クロム酸銅/アルカリ土類金属亜クロム酸塩触媒の存在下に180〜210℃および40〜120バールで液相中で反応させることが記載されている。アミン/アルカノールのモル比は、1.5対1〜50対1であり、したがってこの方法は、常に、過剰のアミンを用いて作業する。この方法における欠点は、クロム含有の、ひいては毒性の触媒を使用することである。
ドイツ連邦共和国特許第3641666号明細書の記載から、第二級アミンは、アルコールと過剰の第一級アミンとの反応により、150〜250℃およびほんの1〜6バールだけで製造されうることが明らかになる。このために、銅/ニッケル触媒が必要とされ、この触媒は、さらに白金族、殊にPt、Pd、RuまたはRhからの元素を含有する。一面で、高価な水素化金属、例えば白金を使用し、他面、過剰のアミンを使用することは、不利である。それというのも、このことは、引き続く蒸留分離を困難にするからである。さらに、反応水は、断続的に、または連続的に、反応混合物から除去されなければならない。
一面で毒性の触媒を使用する必要がなく、触媒の長い寿命が保証されており、他面、第二級アミンが高い収率ならびに高い選択率で得られる、第二級アミンを液相中で製造する選択的方法を提供するという課題が課された。さらなる課題は、反応排出物からの製造された第二級アミンを簡単に、かつ収量が多くなるように後処理することが可能である方法を提供することであった。
この課題は、式I
〔式中、
R
1およびR
2は、互いに独立して、水素、1〜15個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族基、5〜10個の炭素原子を有する脂環式基、o位、m位および/またはp位で1〜4個の炭素原子を有する脂肪族基によって置換されていてよい、アラルキル基またはフェニル基の群から選択されており、および
R
3は、1〜15個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族基、5〜10個の炭素原子を有する脂環式基、o位、m位および/またはp位で1〜4個の炭素原子を有する脂肪族基によって置換されていてよい、アラルキル基またはフェニル基の群から選択されている〕の第二級アミンを製造する方法であって、
I)式II
〔式中、R
1およびR
2は、上記の意味を有する〕のアルコールを
II)式III
R
3−NH
2 III
〔式中、R
3は、上記の意味を有する〕の第一級アミン
III)および水素を用いて液相中で水素化触媒の存在下に、次の工程:
(i)式IIのアルコール、式IIIの第一級アミン、水素および任意に溶剤を水素化反応器中に供給する工程、その際にアルコールII対第一級アミンIIIのモル比は、1〜20対1であり、
(ii)水素化を150〜210℃の温度および1〜300バールの圧力で酸化物担体上の銅の水素化触媒の存在下で実施する工程を含めて、アミノ化することによる、前記方法によって解決される。
式IIの化合物としての1−ドデカノールから式IIIの化合物としてのモノメチルアミンを用いて製造される、式Iの第二級アミンが除外されている、本発明による方法は、好ましい。
R1、R2およびR3が1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族基の群から選択されている、本発明による方法は、好ましい。
酸化銅を含有する触媒前駆体が酸化銅を1〜80質量%含有する、本発明による方法は、好ましい。
触媒用担体として、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化モリブデン、酸化タングステンまたはこれらの酸化物の混合物が使用される、本発明による方法は、好ましい。
銅の他に、なおタングステンおよび/またはモリブデンを金属として、および/またはこれらの金属の酸化物の形で含有する水素化触媒が除外されている、本発明による方法は、好ましい。
触媒用担体として、酸化アルミニウムおよび/または酸化ランタンが使用される、本発明による方法は、好ましい。
アルコールII対第一級アミンIIIのモル比が1.5〜15対1である、本発明による方法は、好ましい。
本発明による方法において、工程(ii)による水素化排出物は、次の後処理工程:
(a)アルコールII、任意に式IIIのアミンおよび水素化排出物からの水の一部分を蒸留分離する後処理工程、
(b)(a)から得られた、アルコールII、任意に式IIIのアミンおよび水の一部分を取り除いた水素化排出物を、アルカリ金属水酸化物水溶液および/またはアルカリ土類金属水酸化物水溶液で抽出する後処理工程、
(c)工程(b)から得られた水相を有機相と分離する後処理工程、
(d)工程(c)から得られた有機相を分別蒸留して第二級アミンIを得る後処理工程および
(e)任意に水を含有するアルコールIIおよび/または式IIIのアミンを水素化工程(ii)へ返送する後処理工程
に掛けられる。
式Iの第二級アミンがN−エチル−t−ブチルアミンである、本発明による方法は、好ましい。
エチルt−ブチルアミンへのエタノールとt−ブチルアミンおよび水素との本発明による反応は、次の化学反応式によって記載されうる:
アミノ化は、非連続的に液相中で実施されるか、または連続的に液相中で実施される。連続的方法が好ましい。
式Iのアミンの製造のために、水素化反応器中に水素、式IIのアルコールおよび式IIIのアミンが任意に溶剤と一緒に供給される。
式IおよびIIの化合物における基R1およびR2は、本発明による方法において、水素、15個までの炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族基、5〜10個の炭素原子を有する脂環式基、o位、m位および/またはp位で4個までの炭素原子を有する脂肪族基によって置換されていてよい、アラルキル基またはフェニル基の群から選択されている。好ましくは、アラルキル基またはフェニル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基および/またはt−ブチル基の群から選択された脂肪族基で置換されている。式IおよびIIIの化合物におけるR3は、有利に、15個までの炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族基、5〜10個の炭素原子を有する脂環式基、o位、m位および/またはp位で4個までの炭素原子を有する脂肪族基によって置換されていてよい、アラルキル基またはフェニル基の群から選択されている。好ましくは、前記のアラルキル基またはフェニル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基および/またはt−ブチル基の群から選択された脂肪族基で置換されている。
式IIの好ましい第一級アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ピバリンアルコール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、2−フェニルエタノール、2−シクロペンチルエタノール、2−シクルヘキシルエタノール、2−シクロヘプチルエタノール、メチルフェニルエタノール、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコールまたはこれらのアルコールの混合物の群から選択されている。
式IIの特に好ましい第一級アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールまたはこれらの化合物の混合物の群から選択されている。
メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはこれらのアルコールの混合物の群から選択された式IIの第一級アルコールが特に好ましい。エタノールが殊に好ましい。
式IIの好ましい第二級アルコールは、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、シクロペンタノールおよびシクロヘキサノールである。
式IIの特に好ましい第二級アルコールは、イソプロパノールおよびシクロヘキサノールである。
式IIIの好ましいアミンは、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メチル−1−プロピルアミン、2−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−デシルアミン、アニリン、アダマンチルアミン、ドデシルアミン、ベンジルアミンである。式IIIの特に好ましいアミンは、t−ブチルアミンおよびアダマンチルアミンである。
特に有利には、式IIのアルコールとしての1−ドデカノールを式IIIのアミンとしてのメチルアミンと本発明による方法に従って反応させることによって製造される、式Iの第二級アミンは、除外されている。
式IIのアルコールのアミノ化は、本発明によれば、150〜210℃、有利に160〜200℃、特に有利に170〜200℃の温度で実施される。
アルコールから出発する前記アミノ化の化学量論によれば、水素は不要である。しかし、水素が供給されることは、好ましい。
そのつどの温度での反応器中の全圧は、原料および反応生成物、すなわち水素、式IIのアルコール、式IIIのアミン、第二級アミンI、水および任意に共用される溶剤の分圧から構成される。水素を加圧することによって、圧力は、望ましい反応圧力に高められる。水素の消費量を調整するために、反応時間中の全圧は、水素をさらに加圧することによって一定に保持される。
前記全圧は、1〜300バール、有利に20〜250バール、特に有利に25〜250バール、殊に有利に30〜150バールである。
式IIのアルコール対式IIIの第一級アミンのモル比は、1〜20対1、有利に1.5〜15対1、特に有利に2〜10対1、殊に有利に3〜5対1である。前記モル比を選択することによって、第二級アミンIの高い選択率が達成される。
本発明による方法を反応条件下で不活性の溶剤の存在下で実施することは、好ましい。その際に、この不活性の溶剤は、N−メチルピロリドンまたはエーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルまたは炭化水素、例えばトルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンまたはこれらの溶剤の混合物の群から選択されている。
しかし、溶剤の不在下で作業することは、好ましい。
触媒の負荷量は、一般に、触媒1リットル当たり毎時、式IIIの第一級アミン0.01〜2kg、有利に0.05〜1kg、特に有利に0.1〜0.5kg(嵩容量)の範囲内である。
式IIのアルコールおよび式IIIの第一級アミンを使用する、本発明による方法にとって、酸化銅を含有する触媒前駆体は、好ましく、その際にこの酸化銅は、酸化物担体上に施されている。その際に、CuOとして算出した、酸化銅の量は、酸化物触媒前駆体の全質量に対して、1〜80質量%、有利に10〜70質量%、特に有利に20〜65質量%である。この触媒前駆体は、水素化前かまたは水素化の初期段階において、アルコールIIおよび第一級アミンIIIの存在下で水素化され、元素状銅になる。触媒担体として、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化タングステン、酸化モリブデンおよび/または活性炭が適している。これに関連して、触媒活性物質とは、酸素を含有する銅化合物と酸化物担体との総和であると解釈すべきである。
特に好ましい、酸化銅を酸化アルミニウム上に含む触媒前駆体は、ドイツ連邦共和国特許第3027890号明細書、実施例1aおよび2aの記載により製造されうる。成形体は、1g当たり50〜120m2の比表面積を有しかつ全体的または部分的にスピネル構造を有する結晶および酸化銅の形状の銅を含む。この触媒前駆体は、銅およびアルミニウムを銅原子対アルミニウム原子の0.25〜3の比率でこれらの化合物から炭酸塩の存在下で4.5〜9のpHで沈殿させ、こうして得られた沈殿物を300〜800℃の温度で焼成することによって得られる。
同様に特に好ましい、酸化銅を酸化物材料上に含む酸化アルミニウムおよびランタン、タングステン、モリブデン、チタンまたはジルコニウムの酸化物の少なくとも1つは、WO 2004/085356 A1、実施例1に従って製造される。前記酸化物材料には、粉末状の金属の銅、銅小板、粉末状セメント、黒鉛またはこれらの混合物が添加される。これらの成分からなる混合物は、成形体に変形される。前記酸化物材料は、酸化銅を50〜80質量%、特に55〜75質量%、酸化アルミニウムを15〜35質量%、特に20〜30質量%含有しかつランタン、タングステン、モリブデン、チタンまたはジルコニウムの酸化物の少なくとも1つを2〜20質量%、有利に3〜15質量%の量で含有する。
さらに、本発明による方法において使用される触媒の触媒活性物質は、元素の周期律表の第IA〜VIA族および第IB〜VIIB族および第VIII族から選択された、酸化数0の1つ以上の元素またはこれらの無機化合物もしくは有機化合物を含むことができる。
担持された銅触媒の製造は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3027890号明細書A1およびWO 2004/085356A1中に詳細に記載されている。当該文献の開示内容は、全て本明細書に援用される。
反応器として、好ましくは、管状反応器が使用され、その際に本発明による方法は、新鮮ガス運転形式(Frischgasfahrweise)または循環ガス運転形式(Kreisgasfahrweise)で実施されうる。しかし、好ましくは、循環ガス運転形式で実施される。その際に、循環ガス運転形式とは、未反応の水素が本方法から排出されるのではなく、水素化排出物の凝縮の反応条件下でガス状の化合物と一緒に水素化反応器内に返送されることと解釈すべきである。しかし、過剰の水素を他の方法で利用するかまたは燃焼させることも可能である。
前記酸化物触媒前駆体は、微粉砕され、成形助剤と混合され、ペレット、球体、リングまたはストランドに変形され、反応器の外側で水素で還元されるかまたは反応器内で水素で還元され、かつ反応器内に固定配置される。
前記反応体は、液状の形で連続的に液相モード(Sumpffahrweise)または細流モード(Rieselfahrweise)で、反応器内に存在する触媒を介して通過する。
本発明による方法を上向きおよび下向きに流動する動きで存在する触媒材料を有する流動層中で実施することも可能である。
前記水素化排出物を本発明により後処理することは、好ましい。冷却および放圧の後に生じる液状水素化排出物は、目的生成物、式Iの第二級アミン、の他に、副生成物として、微少量の式IV
の第三級アミン、さらに式IIの過剰のアルコールおよび任意に微少量の式IIIの第一級アミンを含有する。その際に、微少量とは、そのつど記載された化合物の10質量%未満ずつ、有利に5質量%未満ずつ、特に有利に1質量%未満ずつであると解釈すべきである。前記アミノ化の場合、触媒不含の水素化排出物の量に対して、水約5〜20質量%が生じる。式Iの第二級アミン、式IIIの第一級アミンおよび式IIのアルコールは、水と共沸混合物を形成しうる。したがって、反応水、式Iのアミン、式IIIのアミンおよび/または式IIのアルコールを含有する混合物だけが蒸留により水素化排出物から分離されうる。
欧州特許第1312599号明細書Bおよび欧州特許第1312600号明細書Bには、1つ以上のアミン、水、低沸点物および高沸点物を含有するアミン含有混合物を分離することが記載されている。この分離は、
(i)低沸点物をアミン含有混合物と蒸留分離し、
(ii)任意に、高沸点物をアミン含有混合物と蒸留分離し、
(iii)アミン含有混合物を苛性ソーダ液で抽出し、水性の、苛性ソーダ液を含有する第1の相およびアミンを含有する水性の第2の有機相を取得し、
(iv)水性の第2の有機相を蒸留し、アミン/水共沸混合物および本質的に無水のアミンを取得し、アミン/水共沸混合物を抽出工程(iii)に返送することによって行なわれる。
本質的に無水のアミンは、必要な場合には、蒸留によりさらに精製されうる。1つの実施例において、後処理の部分工程は、ピペリジンの形成下に1,5−ペンタンジオールをアンモニアで還元的アミノ化することによって得られた水素化排出物につき具体的に説明される。
好ましくは、本発明による方法のために、同様に、水素化排出物の後処理が行なわれ、この後処理は、蒸留ならびにアルカリ金属水溶液および/またはアルカリ土類金属水溶液でのアミン/水共沸混合物またはアルコール/水共沸混合物の分離を含む。蒸留ならびに共沸混合物での分離は、非連続的に実施されてもよいし、連続的に実施されてもよい。
欧州特許第1312599号明細書Bおよび欧州特許第1312600号明細書Bの教示とは異なり、本発明による方法の場合には、最初に、過剰のアルコール、反応水および任意に式IIIの未反応のアミンが残りの反応排出物と蒸留分離される。アルコールの構造に応じて、アルコールと水は、別々に分離されうるか、または分離可能な混合物として、均一共沸混合物として、または不均一共沸混合物として分離されうる。
メタノールおよび水は、共沸混合物を形成せず、メタノールは、水とは別に分離されうるかまたは水と一緒に分離されうる。分離が一緒に行なわれる場合には、メタノールおよび水は、引き続きさらなる塔内で分離されうる。メタノールは、アミノ化に返送されうる。
例えば、エタノールは、水との均一共沸混合物を形成するので、エタノールと水との混合物が留出される(常圧で、エタノール95.6質量%および水4.4質量%)。この共沸混合物の含水量は、低いので、この共沸混合物は、残留水の分離なしに本発明によるアミノ化に返送されうる。
式IIの長鎖状アルコール、例えばブタノールは、水と不均一共沸混合物を形成し、すなわち溶解度ギャップ(Mischungsluecke)を有する。相分離によって、アルコールは、水と分離されかつアミノ化に返送されうる。
本発明によるアミノ化の場合、反応式に従って水が1モル生じる。したがって、水、式IIのアルコールおよび/または式IIIの第一級アミンを含有する留分は、本発明による方法の合成段階(ii)に返送されうる。
全ての反応水がアルコールIIと一緒に水素化排出物から分離されなかった場合には、さらなる蒸留による後処理の際に、第二級アミンと水との間に共沸混合物が形成される。
アルコールIIおよび反応水の一部分だけを取り除いた水素化排出物から、残留水は、除去されなければならない。このことは、水素化排出物をアルカリ金属水溶液および/またはアルカリ土類金属水溶液で処理することによって行なわれる。前記水溶液中のアルカリ金属水酸化物濃度および/またはアルカリ土類金属水酸化物濃度は、1〜75質量%、有利に25〜50質量%であることができる。好ましいアルカリ金属水溶液および/またはアルカリ土類金属水溶液は、苛性ソーダ液、苛性カリ液、水酸化マグネシウム、水酸化カリウムの群から選択されている。苛性ソーダ液が好ましい。50質量%の苛性ソーダ液が特に好ましい。
前記水素化排出物をアルカリ金属水溶液および/またはアルカリ土類金属水溶液で抽出した後に、これらの水溶液は、相分離によって分離される。前記有機相の残留水含量は、例えばカールフィッシャー滴定法によって算出されうる。水の分離に必要とされる、アルカリ金属水酸化物溶液および/またはアルカリ土類金属水酸化物溶液の量は、ほんの少しの予備試験によって測定されうる。
アルカリ金属水酸化物溶液および/またはアルカリ土類金属水酸化物溶液での抽出に使用される抽出装置は、一段階または数段階に構成されていてよく、例えば単独のミキサー・セトラー抽出装置であってよい。多段階の抽出は、例えば抽出塔または抽出カスケードである。抽出塔として、例えば充填塔、多孔板塔、カスケード型塔、パルス塔、ロータリーエバポレーターカラムおよび遠心カラムが適している。抽出カスケードは、例えば複数の順次に接続されたミキサー・セトラー抽出装置であり、この装置は、場所を節約するために、塔型抽出器または箱形抽出器として形成されていてもよい。前記抽出器が多段階である場合には、好ましくは、一般に1〜25段、有利に4〜10段の理論的分離段を有する向流型抽出塔が好ましい。この向流型抽出塔は、一般に、抽出混合物の全ての成分が沸点未満にありかつさらに2相の分散を問題なしに可能にする、2相の粘度が生じる圧力で運転される。温度は、一般に5〜200℃、有利に20〜70℃、特に有利に40〜50℃である。相の分離後に、アルカリ金属水溶液および/またはアルカリ土類金属水溶液を含有する相は、本方法から排出される。
分離されたアルカリ金属水溶液および/またはアルカリ土類金属水溶液が式Iの第二級アミン、式IIのアルコールおよび/または式IIIの第一級アミンの本質的な量を含有する場合には、これらの化合物は、有機溶剤での抽出によって元通りに取得されうる。本質的な量は、上記化合物の総和が、無水および触媒不含の水素化排出物に対して、10質量%を上回り、有利に5質量%を上回り、特に有利に2質量%を上回る場合に存在する。
その際に、有機溶剤として、例えば、アルカリ金属水溶液および/またはアルカリ土類金属水溶液との溶解度ギャップを有する、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素または芳香族炭化水素がこれに該当する。この種の炭化水素の例は、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、トルエンおよびエチルベンゼンまたはこれらの化合物の混合物である。
アルカリ金属水酸化物水溶液および/またはアルカリ土類金属水酸化物水溶液は、相分離によって炭化水素相と分離される。炭化水素相から炭化水素は蒸留により除去される。元通りに取得された、式Iの第二級アミン、式IIのアルコールおよび/または式IIIの第一級アミンは、相分離後に第1の有機相から取得された、式Iの粗製の第二級アミンの主要量と合わされかつ蒸留により精製されうる。
さらに、式Iの第二級アミンおよび水から任意に生じる共沸混合物を、水素化排出物への炭化水素の添加、水素化排出物からの炭化水素/水不均一共沸混合物の留去、水相と炭化水素相との分離および蒸留への炭化水素相の返送によって分離することが可能である。
無水の水素化排出物または水をなお5質量%未満、有利に3質量%未満、特に有利に1質量%未満だけ含有する水素化排出物は、分別蒸留によってさらに精製されうる。蒸留は、蒸留すべき量に依存して、連続的に、または非連続的に実施されうる。その際に、最初に、存在する場合には、未反応の第一級アミンIIIが塔頂部を介して排出される。さらに、式Iのアミンが続き、これは、同様に塔頂部を介して留出される。塔底部には、存在する場合に、式IVの第三級アミンおよび高沸点物が残留する。GC分析後、第二級アミンを97面積%未満、特に有利に98面積%未満、特に有利に99面積%未満含有する画分は、97面積%を上回る純度が望まれる場合には、蒸留に返送されてよい。
前記の分別蒸留には、例えばKirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,第7巻,John Wiley and Sons,New Yorl,1979,第870〜881頁中に記載されている、通常の装置がこれに該当する。その際に、多孔板塔、泡鐘塔、規則充填塔または不規則充填塔が好ましい。
分別蒸留によって、98面積%超、殊に99面積%超、特に有利に99.5面積%超、殊に99.9面積%超の式Iの第二級アミンの純度が達成される(GC分析)。
欧州特許第1312599号明細書Bおよび欧州特許第1312600号明細書Bに従う連続的な後処理には、3〜4個の調整された蒸留塔および抽出装置が必要とされる。
これに反して、本発明による非連続的な後処理の場合には、1〜2個の蒸留塔および1個の抽出装置だけが使用される。
例
第一級アルコールおよび第二級アルコールを第一級アミンで液相中でアミノ化するための一般的な作業規定
触媒の製造
銅触媒前駆体は、ドイツ連邦共和国特許第3027890号明細書、実施例1aに従って製造された。この銅触媒前駆体は、3×3mmのペレットの形でCuO55質量%およびγ−Al2O345質量%の組成を有していた。この銅触媒前駆体は、実施例1bに従って水素で還元されかつ50℃未満で空気で不動態化された(触媒A)。さらなる銅触媒前駆体は、WO−A1 04/085356、実施例1に従って製造される(触媒B)。
試験の実施(バッチ運転形式)
アミノ化を、電気加熱部および内部温度カスケード制御部を備えた、電磁結合された300mlの攪拌型オートクレーブ中で実施した。窒素で不活性化されたオートクレーブ中に、そのつどの量の第一級アルコールまたは第二級アルコール、第一級アミンおよび銅触媒を、還元されかつ不動態化された形で充填した。前記反応混合物上に、室温で水素を、圧力が10バールになるまで噴射した。次に、この反応混合物を想定された反応温度に加熱し、水素を想定された全圧力になるまでさらに加圧し、この条件下で、想定された反応時間の間、攪拌を行なった。攪拌機の回転数は、700rpmであった。
想定された反応時間後、前記反応混合物を冷却しかつ放圧した。目的生成物、第二級アミンI、未反応の第一級アミンIIIおよび副生成物としての第三級アミンの収率をガスクロマトグラフィーで算出した(30m RTX 5 アミンカラム)。収率の記載は、GCによる面積%である。第二級アミンの選択率(S)は、面積%第二級アミンとして規定される:(100−面積%第一級アミン)×100。
例1〜5
エチル−t−ブチルアミンへのt−ブチルアミンでのエタノールのアミノ化(バッチ運転形式)
第1表は、出発化合物の量および反応条件を含む。全ての試験において、銅触媒A 10gを使用した。
2時間、6時間および10時間の反応時間後に、試料を取り出し、かつt−ブチルアミン、エチル−t−ブチルアミンおよびジエチル−t−ブチルアミンに対してクロマトグラフィーにより試験した。
第1表は、160〜180℃でt−ブチルアミン/エタノールのモル比1対5〜1対20の際に約88〜91%のエチル−t−ブチルアミンの収率および97%までの選択率が達成されることを示す。
6時間の反応時間後に、エチル−t−ブチルアミン88.4面積%およびジエチル−t−ブチルアミン1.6面積%だけが得られた試験3は、特に強調されるべきである。未反応のt−ブチルアミン(8.7面積%)は、蒸留により分離されかつ合成に返送されうる。選択率は、96.8%である(第1表)。
例6
イソプロピルアダマンチルアミンへのアダマンチルアミンでのイソプロパノールのアミノ化(バッチ運転形式)
アダマンチルアミン6gとイソプロパノール96gとo−キシレン15.4gと微粉砕され還元されかつ不動態化された触媒A8gとの混合物を、不活性化され電磁結合された、300mlのオートクレーブ中で攪拌した。次に、5バールの水素を噴射した。前記混合物を200℃に加熱した。圧力は、29バールに上昇した。水素を、全圧が40バールになるまでさらに噴射した。次に、200℃および40バールの全圧で6時間攪拌を行なった。全部で2時間で試料を取り出し、かつガスクロマトグラフィー分析を行なった。
第2表は、イソプロピルアダマンチルアミンの収率が90〜92%で達成されたことを示す。
例7
エチル−t−ブチルアミンへのt−ブチルアミンでのエタノールの連続的アミノ化
水素化を241時間、触媒前駆体700ml(CuO55質量%、Al2O345質量%、3×3mmのペレット)を窒素の下で充填した管状反応器(長さ2500mm、直径30mm)中で実施した。この触媒前駆体は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3027890号明細書A1、実施例1aに従って製造された。
前記触媒前駆体を、常圧で、最初に180℃で6時間、次に200℃で水素20NLと窒素400NLとの混合物で6時間、さらに200℃で水素40NLと窒素400NLとの混合物で6時間、最後に6時間以内に純水素に切り換えた後に水素200NLで6時間還元した。
前記水素化を液相モードで170〜185℃の温度、50バールの圧力およびt−ブチルアミン対エタノールのモル比1対3〜1対5で運転した。触媒の負荷量は、触媒1リットル当たり毎時0.15〜0.30kgであった。
228時間後に、GC分析によれば、次の結果が達成された(収率:GC面積%、エタノールをGC分析により計算した):
t−ブチルアミンは、後処理の際に元通りに取得されうるので、エチル−t−ブチルアミンの選択率は、109時間後に97.5%であり、228時間後に96.8%である。
水素化時間109時間または228時間の後の反応条件は、170℃および50バールであった。t−ブチルアミン対エタノールのモル比は、1対3であり(109〜121時間後、1対10)、触媒の負荷量は、触媒1リットル当たり毎時0.25gであった。
この試験は、米国特許第4206150号明細書、比較例6とは異なり、銅触媒の不活性化が観察されないことを示す。
例8および9
シクロヘキシルアミンでのエタノールまたはイソプロパノールのアミノ化
このアミノ化を、エタノールまたはイソプロパノールおよびシクロヘキシルアミンを用いて、微粉砕され還元されかつ不動態化された触媒A5gの存在下で一般の作業規定に従って実施した。使用量および反応条件は、第3表中に含まれている。
GC分析は、所望の第二級アミンの高い選択率が達成されたことを示す。すなわち、エチルシクロヘキシルアミンまたはイソプロピルシクロヘキシルアミンのGC面積は、第二級アミンおよび第三級アミンからの面積の総和に対して94%または99%であった。
未反応のシクロヘキシルアミンおよび未反応のアルコールは、水素化排出物から分離されかつ合成段階に返送されうる。