JP6034623B2 - 重合触媒組成物の製造方法及び重合触媒組成物 - Google Patents

重合触媒組成物の製造方法及び重合触媒組成物 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンブラックを重合体に付加するのに好適に用いられ得る重合触媒組成物の製造方法、及び該製造方法により製造される重合触媒組成物に関する。
なお、本明細書において、「重合体」とは、「ポリマー」のみならず、「オリゴマー」も含む概念である。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出の規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に関する要求が高まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤには転がり抵抗の低減が求められている。タイヤの転がり抵抗を低減する手法として、低発熱性のゴム組成物をタイヤに適用する手法が挙げられる。
ゴム組成物の低発熱性、耐摩耗性、強度等を向上するために、ゴム成分(重合体)にカーボンブラックを配合する技術は広く行われてきた。例えば、特許文献1には、ジエン系ゴム(重合体)にカーボンブラックと有機過酸化物を配合し、混練してカーボンブラックマスターバッチを得て、該カーボンブラックマスターバッチに他の添加剤を配合して混練するゴム組成物の製造方法が開示されている。
また、特許文献2では、合成ジエン系ゴムにおいて、カーボンブラック及びシリカとの親和性を高めた重合体をゴム組成物として使用している。また、特許文献3には、極性基含有単量体をグラフト重合した変性天然ゴムに、該変性天然ゴムに対する反応性の高いカーボンブラックを配合する方法が記載されている。
特開2010−84093号公報 特表2003−514079号公報 国際公開2007/66689号
しかし、重合体とカーボンブラックとを混練する場合、使用されるカーボンブラックの種類及び状態、並びに重合体との相溶性、混練の条件等により、配合されたカーボンブラックの均質性は異なるものとなり、十分に均質化させるためには、長時間の混練や、相溶剤の使用等を要する場合がある。
本発明は、長時間の混練工程を要さず、カーボンブラックの特性(低発熱性、耐摩耗性)を付与した重合体組成物を製造するために、カーボンブラックを付加した重合体または重合体を付加したカーボンブラックを提供可能な重合触媒組成物の製造方法を提供することを目的とする。
なお、以下、カーボンブラックを付加した重合体を「カーボンブラック付加重合体」、重合体を付加したカーボンブラックを「変性カーボンブラック」とも表記する。
本発明の重合触媒組成物の製造方法は、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物を含む希土類元素含有化合物である第1要素と、下記一般式(Xa):
AlR ・・・ (Xa)
(式中、R 及びR は、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R ないしR は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい)で表される化合物を含む第2要素と、カーボンブラックを含み、含水率が0.05重量%以上である第3要素とを用い、前記第2要素と前記第3要素とを混合熟成させた後に、前記第1要素を添加し反応させることを特徴とする
前記第3要素の含水率は、0.05重量%以上である。当該含水率を有するカーボンブラックは、焼成、乾燥等の工程を経ることなく使用可能であるため、簡便に使用可能である。また、含まれる水分により、重合反応がより促進される、という効果も有する。
前記第1要素の他の好適例は、下記一般式(i)又は(ii):
MX・L ・・・ (i)
MX・L ・・・ (ii)
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基、リン化合物残基、無置換又は置換のシクロペンタジエニル、若しくは無置換又は置換のインデニルを示し、Lは、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す)で表される錯体を含む。
好適には、前記希土類元素含有化合物又は希土類元素化合物とルイス塩基の反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さないものとする。
本発明の触媒組成物は、上記の重合触媒組成物の製造方法により製造された触媒組成物である。
本発明の重合触媒の製造方法によると、長時間の混練工程を要さず、カーボンブラックの特性(低発熱性、耐摩耗性)を付与した重合体組成物を製造するために、カーボンブラックを付加した重合体または重合体を付加したカーボンブラックを提供可能な重合触媒組成物を製造できる。当該重合触媒組成物を使用することで、重合体の製造において、カーボンブラックと重合体との混練、カップリング剤や相溶剤の使用を省略できるか、または減じることができる。
<<第1要素>>
本発明にかかる重合触媒組成物の製造方法における第1要素は、希土類元素含有化合物である。第1要素は、希土類元素含有化合物として、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物を含む。ここで、希土類元素化合物及び該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さないのが好ましい。該希土類元素化合物及び希土類元素化合物とルイス塩基との反応物が希土類元素−炭素結合を有さない場合、化合物が安定であり、取り扱いやすい。ここで、希土類元素化合物とは、周期律表中の原子番号57〜71の元素から構成されるランタノイド元素又はスカンジウムもしくはイットリウムを含有する化合物である。なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。第1要素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
希土類元素含有化合物としては、下記の希土類元素含有化合物または第2の希土類元素含有化合物を好適に使用することができる。
<希土類元素含有化合物>
上記希土類元素含有化合物は、下記の構造を有するものとすることができる。希土類金属が2価もしくは3価の塩又は錯体化合物であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子及び有機化合物残基から選択される1種又は2種以上の配位子を含有する希土類元素含有化合物であることが更に好ましい。更に、上記希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、好適には、下記一般式(i)又は(ii):
MX2・Lw ・・・ (i)
MX3・Lw ・・・ (ii)
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基、リン化合物残基、無置換若しくは置換のシクロペンタジエニル、または無置換若しくは置換のインデニルを示し、Lは、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す)で表されることができる。
上記希土類元素含有化合物の希土類元素に結合する基(配位子)として、具体的には、水素原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基;トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等のシリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。更には、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−ナフトアルデヒド等のアルデヒドの残基;2'−ヒドロキシアセトフェノン、2'−ヒドロキシブチロフェノン、2'−ヒドロキシプロピオフェノン等のヒドロキシフェノンの残基;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン等のジケトンの残基;イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ビバール酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名、C10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸]、フェニル酢酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸の残基;ヘキサンチオ酸、2,2−ジメチルブタンチオ酸、デカンチオ酸、チオ安息香酸等のチオカルボン酸の残基、リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)等のリン酸エステルの残基;2−エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ホスホン酸モノ−1−メチルヘプチル、ホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル等のホスホン酸エステルの残基、ジブチルホスフィン酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2−エチルヘキシルホスフィン酸、1−メチルヘプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、p−ノニルフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸の残基を挙げることもできる。なお、これらの配位子は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記第1要素において、上記希土類元素化合物と反応するルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記希土類元素化合物が複数のルイス塩基と反応する場合(式(I)及び(II)においては、wが2又は3である場合)、ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
<好適な希土類元素含有化合物>
上記希土類元素含有化合物としては、下記一般式(I):
Figure 0006034623
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra〜Rfは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、及び下記一般式(II):
Figure 0006034623
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、X'は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体より選択される少なくとも1種類の錯体を含むことが好ましい。
ここで、メタロセン錯体は、一つ又は二つ以上のシクロペンタジエニル又はその誘導体が中心金属に結合した錯体化合物であり、特に、中心金属に結合したシクロペンタジエニル又はその誘導体が一つであるメタロセン錯体を、ハーフメタロセン錯体と称することがある。
なお、重合反応系において、重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体において、式中のCpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-XX又はC911-XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、一般式(I)及び式(II)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(I)及び式(II)における中心金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR32]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(一般式(I)におけるRa〜Rf)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、Ra〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。Ra〜Rfのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になり、また、ケイ素まわりのかさ高さが低くなるため、非共役オレフィンが導入され易くなる。同様の観点から、Ra〜Rcのうち少なくとも一つが水素原子であり、Rd〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが更に好ましい。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、シリル配位子[−SiX'3]を含む。シリル配位子[−SiX'3]に含まれるX'は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基及び炭素数1〜20の炭化水素基からなる群より選択される基である。ここで、上記アルコキシド基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシド基が挙げられ、これらの中でも、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
<他の好適な希土類元素含有化合物>
また、上記希土類元素含有化合物は、下記式(A):
MXQY ・・・ (A)
(式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である)で表されるメタロセン系化合物としてもよい(第3の希土類元素含有化合物)。
上記メタロセン系化合物の好適例においては、下記式(XV):
Figure 0006034623
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cpは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該R及びRは、M及びAlにμ配位しており、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示す)で表されるメタロセン系化合物が挙げられる。
以下に、上記メタロセン系化合物を詳細に説明する。上記メタロセン系化合物は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムの希土類元素と周期律表第13族元素とを有し、下記式(A):
MXQY ・・・ (A)
(式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である)で表されることを特徴とする。上記メタロセン系化合物は、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、共重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、従来の触媒系を用いると、共重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、従来の触媒系では、金属触媒に対して10当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
上記メタロセン系化合物において、上記式(A)中の金属Mは、一般式(I)及び式(II)における中心金属Mと同様に定義され、好ましい例も同じである。
上記式(A)において、Rは、それぞれ独立して無置換インデニル又は置換インデニルであり、該Rは上記金属Mに配位している。なお、置換インデニル基の具体例としては、例えば、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基等が挙げられる。
上記式(A)において、Qは、周期律表第13族元素を示し、具体的には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等が挙げられる。
上記式(A)において、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(A)において、Yは上記式(A)のXと同義であり、該YはQに配位している。
上記式(XV)において、金属Mは、一般式(I)及び式(II)における中心金属Mと同様に定義され、好ましい例も同じである。
上記式(XV)において、Cpは、上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体において、式中のCpRはと同様に定義され、好ましい例も同じである。なお、式(XV)における二つのCpは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(XV)において、R及びRは、上記式(A)のXと同義であり、R及びRは同一でも異なっていてもよい。該R及びRは、M及Aにμ配位している。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(XV)において、R及びRは、上記式(A)のXと同義であり、R及びRは同一でも異なっていてもよい。
なお、上記メタロセン系化合物は、例えば、溶媒中で、下記式(XVI):
Figure 0006034623
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cpは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体を、AlRで表される有機アルミニウム化合物と反応させることで得られる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンやヘキサンを用いればよい。なお、上記メタロセン系化合物の構造は、H−NMRやX線構造解析により決定することが好ましい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体において、Cpは、無置換インデニル又は置換インデニルであり、上記式(XV)中のCpと同義である。また、上記式(XVI)において、金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムであり、上記式(XV)中の金属Mと同義である。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(R〜R基)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、R〜Rのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。R〜Rのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になる。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
一方、上記メタロセン系化合物の生成に用いる有機アルミニウム化合物は、AlRで表され、ここで、R及びRは、上記式(A)のXと同義であり、Rは上記R又はRと同一でも異なっていてもよい。
上記有機アルミニウム化合物の具体例、好ましい例は、後述する一般式(Xa)のと同義である。これら有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記メタロセン系化合物の生成に用いる有機アルミニウム化合物の量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
<<第2要素>>
本発明にかかる重合触媒組成物を構成する第2要素は、下記一般式(Xa):
AlR ・・・ (Xa)
(式中及びRは、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、上記RないしRは同一又はそれぞれ異なっていてもよ)で表される有機金属化合物を含む
一般式(Xa)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた第2要素としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、重合触媒組成物における第2要素の配合量は、前記第1要素に対して1〜50倍molであることが好ましく、約10倍molであることが更に好ましい。
<<第3要素>>
本発明の重合触媒組成物を構成する第3要素は、カーボンブラックを含み、好適には、該カーボンブラックは、トルエン着色透過度が90%以上であって、水素放出率(質量%)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)が下記式(B):
水素放出率>0.260−6.25×10−4×CTAB ・・・ (B)
の関係を満たす。
上記式(B)に示すように、水素放出率を高くすることにより、補強性を改善することができる。CTABの低下とともに一般的にはカーボンブラックの分散性が向上するが、カーボンブラックの粒径が大きくなりカーボンブラックと上記第2要素との接触面積が低減してしまう結果、カーボンブラックと第2成分との反応性は低下する。ここで、水素放出率(質量%)は、カーボンブラックを2000℃で、15分間加熱したときの水素ガス発生量の質量百分率を示し、この値が大きいことは、第2要素との反応点となり得る活性水素を多く含有することを意味する。この水素放出率とCTABとが上記式(B)の関係を満たすことにより、第2要素に対して上記カーボンブラックを反応させることで、カーボンブラックにおける第2要素との反応点が増加し、カーボンブラックと第2要素との結合点が増加する結果、重合触媒組成物中にカーボンブラックが効率よく配合され、単量体の重合工程において、高効率に重合体にカーボンブラックを付加することが可能となり、低発熱性及び耐摩耗性に優れたゴム組成物が得られる。
ここで、水素放出率(質量%)は、(1)カーボンブラック試料を恒温乾燥機により105℃で1時間乾燥してデシケータ中で室温まで冷却し、(2)スズ製のチューブサンプル容器に約10mgを精秤して圧着・密栓し、(3)水素分析装置(EMGA641W、堀場製作所製)を用いてアルゴン気流下、2000℃で15分間加熱したときの水素ガス発生量を測定し、その質量百分率で表示する。
また、上記トルエン着色透過度が低い場合は、補強性の阻害因子となるタール分が増加し、補強性の低下を招く。特にトルエン着色透過度が90%未満の場合は、補強性の阻害となるタール分が多く存在するため補強性の維持が困難となる場合がある。
上記カーボンブラックは、例えば、カーボンブラック製造炉における空気導入条件、原料油導入条件、並びに反応停止のために導入する水の導入位置、封入量及びその後の温度等を調整することで製造できる。
本発明の重合触媒組成物中の第3要素の配合量は、後に添加される単量体100重量部に対してカーボンブラックが0重量部超となる量であれば、特に限定されるものではないが、特に、カーボンブラックが5〜98重量部、さらに10〜95重量部となるように配合することが好ましい。重合触媒組成物中のカーボンブラックの配合量と、後に添加する単量体の配合量とを適宜調整することで、後述のように、生成される目的物をカーボンブラック付加重合体または変性カーボンブラックとすることができる。
<<重合触媒組成物>>
本発明に係る重合触媒組成物は、第2要素と第3要素とを混合熟成させた後、第1要素を添加して反応させてなる。まず、溶媒中で第2要素と第3要素とを混合熟成させることにより、第2要素と第3要素の水分とが反応して、陰電荷を有する複合体(アニオン複合体)が形成される。この反応は、例えばアルキルアルミニウムと水との反応により、メチルアルミノキサンが生成されることが、S. Pasynkiewiczによりポリヘドロン、第9巻、第429〜453頁(1990年)で詳細に解説されていることから裏付けられる。その結果、第3要素のカーボンブラック近傍に第2要素を含むアニオン複合体が被膜を形成するかのごとく存在することになると想定される。
この状況下において、第1要素である希土類元素含有化合物を添加して反応させることにより、第1要素由来の希土類元素カチオン性化合物と第2要素、及び第2要素と第3要素との反応由来のカーボンブラック含有アニオン複合体が反応系内に生成することになる。
本発明に係る第1要素の希土類元素含有化合物の希土類元素は、通常3つの配位子が配位するが、条件によっては、アニオンの存在下で配位子の1つ以上を離してカチオン化する、という特性を有する。そのため、第2要素と第3要素を反応させてなるアニオン複合体と、第1要素とを反応させることで、第1要素がカチオン化し、次いで、前記アニオン複合体が生成されたカチオンと結合した状態となりやすい。
ここで、希土類元素カチオン性化合物を有する触媒組成物において、希土類元素にアルミニウム等の金属(ここではYとされる)が隣接する場合、触媒の活性中心は希土類元素ではなく、隣接する金属元素Y側に移行することが示されている(Y. Matsuura et al., “Polymerization via the Insertion of Ethylene into an Al−C Bond Catalyzed by Lanthanide(Gd, Sm) Metallocene Cations” 58th Symposium on Organomethallic Chemistry, Japan, Abstracts, The Kinki Chemical Society, Japan, 2011参照)。重合触媒組成物の場合、希土類元素ではなく、隣接する金属元素Yに重合反応の活性中心が移行し、Yにおいて目的物たる重合体が生成されることとなる。
本発明の重合触媒組成物においては、希土類元素が,カーボンブラック粒子上に被膜状で存在する金属元素Yと隣接した状態で存在することから、活性中心はカーボンブラック粒子上に移行し得る。これにより、重合反応はカーボンブラック粒子上の金属元素Yの位置で行われることとなり、カーボンブラックに非常に近接した重合体が生成されることとなる。一部の重合体は、カーボンブラックのポーラス上に入り込んた状態となり、カーボンブラック粒子と一体化する可能性もある。
このように、本発明の重合触媒組成物中では、第2要素由来の金属元素Yと、第3要素由来のカーボンブラックと重合体が、近接または一体化し、これにより、生成された重合体中にカーボンブラックが高度に分散した状態で存在し得る。
通常、希土類元素化合物を含む重合触媒組成物において、重合反応の効率を上げるためには、希土類元素化合物の配合量を増加させることがなされるが、希土類元素化合物は高価であるため、多量に使用するのは困難である、という問題があった。しかし、本発明の重合触媒組成物を用いる場合、重合反応の効率は、希土類元素化合物ではなく、カーボンブラック及び金属元素Yの配合量に依存する。これらの配合量を増加させることによる製造コストの増加は比較的低いといえる。
なお、第1要素は水の存在により失活しやすい、という問題があるが、第1要素は、上記アニオン複合体と共存させても失活しにくい。したがって、第3要素たるカーボンブラックは、焼成等で無水物化する必要はない。焼成等の工程を省略できることにより、製造コストを下げ、かつ製造工程の効率化を図ることが可能となる。第3要素の含水率は0.05重量%以上である。上限は特にないが、20重量%以下であることが望ましく、10重量%以下であることがより望ましく、5重量%以下であることが更に好ましい。
<<<カーボンブラック付加重合体または変性カーボンブラック>>>
本発明の重合触媒組成物を用いることにより製造されるのは、カーボンブラック付加重合体または変性カーボンブラックである。本明細書において、カーボンブラック付加重合体とは、カーボンブラック付加重合体100重量部に占めるカーボンブラックの含有量が0重量部超50重量部未満のものを示す。一方、変性カーボンブラックとは、カーボンブラック粒子の表面に重合体が付加されたものを指し、変性カーボンブラック100重量部に占めるカーボンブラックの含有量が50重量部以上のものを示す。
カーボンブラック付加重合体または変性カーボンブラックの重合体部分については特に限定されるものではないが、特に、ポリブタジエン、ポリイソプレンの合成に用いるのが好ましい。
<<ポリブタジエンの製造方法>>
本発明の重合触媒組成物は、多様な重合体の製造に利用可能であるが、本明細書では、特に、本発明の重合触媒組成物を用いたポリブタジエンの合成について例示的に説明する。但し、以下に詳述する製造方法は、あくまで例示に過ぎない。前記ポリブタジエンは、上記重合触媒組成物の存在下、単量体としての1,3−ブタジエンを重合させることにより製造することができる。
上記の本発明の重合触媒組成物を用いたポリブタジエンの製造方法は、少なくとも、重合工程を含み、さらに、必要に応じて適宜選択した、カップリング工程、洗浄工程、その他の工程を含む。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、1L耐圧ガラス反応器にカーボンブラック15.0g(商品名:♯80、重量減少法により算出した含水率0.5重量%、旭カーボン株式会社製)、ノルマルヘキサン50.0g、トリメチルアルミニウム12.8mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)及びジイソブチルアルミニウムハイドライド3.2mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)を仕込み、室温で30分間混合熟成させた。次いで、ビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(第1要素、ジメチルシリルアミド)[(2-PhC)GdN(SiHMe)]22mg(32μmol)を仕込み室温で30分間熟成させた。その後、グローブボックスから反応器を取り出し、1,3−ブタジエン80.0g(1.48mol)を含むノルマルヘキサン溶液320.0gを添加した後、65℃で300分間重合を行った。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体Aを得た。得られた重合体Aの収量は85.5gであった。
(実施例2)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、1L耐圧ガラス反応器にカーボンブラック30.0g(商品名:♯80、重量減少法により算出した含水率0.5重量%、旭カーボン株式会社製)、ノルマルヘキサン50.0g、トリメチルアルミニウム12.8mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)及びジイソブチルアルミニウムハイドライド3.2mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)を仕込み、室温で30分間混合熟成させた。次いで、ビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(第1要素、ジメチルシリルアミド)[(2-PhC)GdN(SiHMe)]22mg(32μmol)を仕込み室温で30分間熟成させた。その後、グローブボックスから反応器を取り出し、1,3−ブタジエン80.0g(1.48mol)を含むノルマルヘキサン溶液320.0gを添加した後、65℃で300分間重合を行った。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体Bを得た。得られた重合体Bの収量は98.5gであった。
(実施例3)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、1L耐圧ガラス反応器にカーボンブラック50.0g(商品名:♯80、重量減少法により算出した含水率0.5重量%、旭カーボン株式会社製)、ノルマルヘキサン100.0g、トリメチルアルミニウム60.0mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)及びジイソブチルアルミニウムハイドライド15.0mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)を仕込み、室温で30分間混合熟成させた。次いで、トリスビストリメチルシリルアミドガドリニウム[Gd[N(SiMe]21mg(32μmol)を仕込み室温で30分間熟成させた。その後、グローブボックスから反応器を取り出し、1,3−ブタジエン25.0g(0.46mol)を含むノルマルヘキサン溶液100.0gを添加した後、80℃で180分間重合を行った。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで重合体を分離し、70℃で真空乾燥し変性カーボンブラックCを得た。得られた変性カーボンブラックCの収量は55.5gであり、生成物中のカーボンブラック含有量は90重量%と算出された。
(実施例4)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、1L耐圧ガラス反応器にカーボンブラック50.0g(商品名:♯80、重量減少法により算出した含水率0.5重量%、旭カーボン株式会社製)、ノルマルヘキサン60.0g、トリメチルアルミニウム20.0mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)及びジイソブチルアルミニウムハイドライド7.5mmol(第2要素、東ソーファインケム株式会社製)を仕込み、室温で30分間混合熟成させた。次いで、トリスビストリメチルシリルアミドガドリニウム[Gd[N(SiMe]5mg(6.5μmol)を仕込み室温で30分間熟成させた。その後、グローブボックスから反応器を取り出し、1,3−ブタジエン5.0g(0.09mol)を含むノルマルヘキサン溶液20.0gを添加した後、80℃で120分間重合を行った。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで重合体を分離し、70℃で真空乾燥し変性カーボンブラックDを得た。得られた変性カーボンブラックDの収量は53.0gであり、生成物中のカーボンブラック含有量は94重量%と算出された。
(比較例1)
実施例1においてカーボンブラックを用いないこと以外は同様の方法で重合を行ったところ、重合体は全く生成しなかった。
上記のようにして調製した重合体A、Bについて、ミクロ構造(シス−1,4結合量)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を下記の方法で測定・評価した。結果を表1に示す。
<重合体A、Bの分析方法>
(1)ミクロ構造(3,4−ビニル結合量、シス−1,4結合量)
(1)ミクロ構造(シス−1,4結合量)
重合体A、Bのミクロ構造(シス−1,4結合量)を、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)の透過率スペクトルを測定することにより算出した。具体的には、同一セルの二流が簡素のブランクとして、5mg/mLの濃度に調整した各重合体の二硫化炭素溶液のFT−IRによる透過率スペクトルを測定し、下記行列式(iii):
Figure 0006034623
(式中、aは、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)による透過率スペクトルの1130cm−1付近の山ピーク値であり、bは、967cm−1付近の谷ピーク値であり、cは、911cm−1付近の谷ピーク値であり、dは、736cm−1付近の谷ピーク値である)から導かれるe,f,gの値を用い、下記式(iv)
(シス−1,4結合量の計算値=e/(e+f+g)×100 ・・・(iv)
にしたがって、シス1,4結合量の計算値を求めた。
(2)重合体A、Bの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は40℃である。溶出溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)を用いた。
Figure 0006034623
表1の結果より、本発明の重合触媒組成物を用いてカーボンブラックを含有し、高いシス−1,4結合率を有する重合体を合成できることが確認された。また、実施例3および4より重合体が付加された変性カーボンブラックを得ることが可能であることが確認された。
本発明の重合触媒組成物の製造法、及び該製造方法で製造された重合触媒組成物は、無機化合物の添加を要するゴム製品、例えば、タイヤ部材(特に、タイヤのトレッド部材)の製造に好適に利用可能である。

Claims (4)

  1. 希土類元素含有化合物であり、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物を含む第1要素と、
    下記一般式(Xa):
    AlR ・・・ (Xa)
    (式中、R 及びR は、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R ないしR は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい)で表される化合物を含む第2要素と、
    カーボンブラックを含み、含水率が0.05重量%以上である第3要素とを用い、
    前記第2要素と前記第3要素とを混合熟成した後、前記第1要素を添加して反応させる、ことを特徴とする重合触媒組成物の製造方法
  2. 前記第1要素が、下記一般式(i)又は(ii):
    MX・Lw ・・・ (i)
    MX・Lw ・・・ (ii)
    (式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基、リン化合物残基、無置換又は置換のシクロペンタジエニル、若しくは無置換又は置換のインデニルを示し、Lは、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す)で表される錯体を含む、請求項1に記載の重合触媒組成物の製造方法。
  3. 前記希土類元素化合物又は希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さない、請求項1に記載の重合触媒組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合触媒組成物の製造方法により製造された重合触媒組成物。
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