以下に、本願に係るサーバ装置、予測方法及び予測プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係るサーバ装置、予測方法及び予測プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
〔1.予測処理〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る予測処理の一例について説明する。図1は、実施形態に係る予測処理の一例を示す図である。図1では、本願に係るサーバ装置に対応する広告装置100によって第1コンテンツを提供する施設側の利益について予測処理が行われる例を示す。なお、以下では、施設として映画館を例に挙げ、施設で提供される第1コンテンツとして映画を例に挙げ、施設で提供される第2コンテンツとして広告コンテンツを例に挙げて説明する。
ここで、実施形態に係る広告装置100が予測する映画館側の利益について説明する。本願において映画館側の利益とは、映画館が得ることができると予測される収益の合計から、映画館に映画を配給する配給会社に支払うと予測される金額(以下、「配給額」と表記する)の差を意味するものとする。なお、映画館が得る収益の種類には、チケット販売から得られる収益(以下、「興行収益」と表記する)と、映画に関するグッズや映画館内での飲食物の販売などによる収益(以下、「物販収益」と表記する)とが含まれる。
また、映画館が得る収益の種類には、映画本編前などに設定される広告枠の販売による収益が含まれる。以下では、映画本編前などに設定される広告枠で配信される広告を「シネアド(cinema advertising)」と表記する。また、映画本編前などに設定される広告枠の販売による映画館の収益を「シネアド収益」と表記する。なお、実施形態において、シネアド収益は、動員数に応じて変動するものとする。具体的には、広告主は、広告枠に設定された観客一人あたりの課金額(以下、「課金動員単価」と表記する)と動員数を乗算した金額をシネアドの広告料金として課金される。そして、映画館側は、シネアドに係る広告枠の提供料として、広告主への課金額に対応する金額を受け取る。広告装置100は、かかる広告枠の提供料をシネアド収益とみなす。ここで、映画館側は、広告主に課金される金額をシネアド収益として広告主から直接受領してもよいし、シネアドに係る広告主への課金額に基づいて広告装置100の管理者から所定の金額を広告枠の提供料として受領してもよい。以下において、映画館で提供される広告コンテンツの広告主から得られる収益とは、上記のように、広告主から直接受領する金額による収益である場合と、広告装置100の管理者のように映画館と広告主を仲介する者から受領する金額による収益である場合との、双方の概念を含むものとする。
図1に示した例において、広告装置100は、映画館側の利益を予測し、予測した利益を映画館に通知するサービスを提供するサーバ装置である。具体的には、広告装置100は、映画館が設定する映画館の利用料であるチケット料金に基づいて映画館の観客の人数(以下、「動員数」と表記する場合がある)を予測する。なお、図1の例におけるチケット料金とは、観客が映画を1回鑑賞するための映画館の利用料であるものとする。そして、広告装置100は、予測された動員数(以下、「予測動員数」と表記する場合がある)に基づいて映画館が得ることができると想定される収益の合計、及び配給額を予測する。これにより、広告装置100は、映画館側の利益を予測し、かかる利益を映画館に通知することができる。以下、広告装置100の行う予測処理の流れに沿って説明する。
図1に示すように、映画館には、映画館装置10が備えられる。映画館装置10は、映画館の管理者により操作される情報処理装置である。ここで、映画館の管理者は、映画館におけるチケット料金を設定する。例えば、映画館の管理者は、現在映画館に設定されているチケット料金よりも安いチケット料金を新たに設定する。そして、映画館の管理者は、設定された新たなチケット料金を映画館装置10に入力する。続いて、映画館の管理者の操作により、映画館装置10は、設定された新たなチケット料金に関する情報を広告装置100に送信する(ステップS11)。
広告装置100は、映画館装置10から送信された新たなチケット料金に関する情報を受信する。ここで、広告装置100は、送信された新たなチケット料金に関する情報のみならず、映画館装置10が備えられた映画館に関する情報(例えば、所在地、過去の動員実績、所定期間における物販の売上額など)や、過去に映画館装置10から送信されたチケット料金に関する情報や、過去に広告装置100が予測した映画館側の利益などの情報も保持しているものとする。
そして、広告装置100は、受信したチケット料金に基づいて、かかる映画館の動員数を予測する(ステップS12)。詳しくは後述するが、広告装置100は、保持している映画館に関する情報や、過去に映画館装置10から送信されたチケット料金に関する情報や、過去に広告装置100が予測した映画館側の利益などの情報に基づいて、映画館に新たなチケット料金が設定された場合の動員数を予測する。
続いて、広告装置100は、予測した動員数に基づいて映画館の利益を予測する(ステップS13)。すなわち、広告装置100は、予測した動員数に基づいて、映画館が得ることができると想定される収益の合計、及び配給額を予測する。
具体的には、広告装置100は、予測動員数に基づいて興行収益を予測する。すなわち、広告装置100は、予測動員数と新たに設定されたチケット料金とを乗算することにより、興行収益を予測する。
また、広告装置100は、予測動員数に基づいて物販収益を予測する。この場合、広告装置100は、予測動員数と、映画館に関する情報として保持している観客一人あたりの物販収益(以下、「物販収益単価」と表記する)とを乗算することにより、物販収益を予測する。
また、広告装置100は、予測動員数に基づいてシネアド収益を予測する。この場合、広告装置100は、予測動員数と課金動員単価を乗算することで、映画館が得るシネアド収益を予測する。広告装置100は、予測動員数と課金動員単価を乗算することで、シネアドに係る広告主への課金額を予測する。そして、広告装置100は、シネアドに係る広告主への課金額に基づいて、映画館が得るシネアド収益を予測してもよい。
また、広告装置100は、予測動員数に基づいて配給額を予測する。配給額は、映画館側が映画館に映画を配給する配給会社に支払う金額である。一般的には、配給額は、チケット料金の所定の割合(以下、「配給会社比率」と表記する。配給会社比率は、映画毎に異なり、通常、5割乃至7割程度に設定される。)の金額と動員数とを乗算することにより求められる。すなわち、配給額は、一般的には、映画館の興行収益に配給会社比率を乗算した金額で表される。
ところで、実施形態に係る予測処理においては、上記のような一般的な配給額の予測手法が適用できない。実施形態に係る予測処理においては、映画館におけるチケット料金を変動させることにより、かかる変動に伴って配給額も変動する。すなわち、映画館がチケット料金を低く設定した場合には配給額も低くなり、配給会社にとって不利益となる場合がある。
そこで、実施形態に係る予測処理においては、配給額の予測に関して、映画館の設定するチケット料金に依らず配給額を予測できるようにする。具体的には、実施形態に係る予測処理においては、一般的なチケット料金である「1800円」に配給会社比率を乗算した額(以下、「保障配給単価」と表記する)を導入し、配給額を予測する。例えば、広告装置100は、配給会社比率が「0.6」である映画に関する配給額を予測する場合、「1800円」と「0.6」を乗算し、保障配給単価「1080円」を導出する。そして、広告装置100は、予測動員数と、導出された保障配給単価である「1080円」とを乗算することにより、映画毎の配給額を求める。これにより、広告装置100は、映画館のチケット料金の設定する額に依らず、動員数に応じた配給額を予測することができる。すなわち、配給会社は、映画館のチケット料金の設定する額に依らず、配給額を受け取ることができる。
上記のように、広告装置100は、予測動員数に基づいて、映画館が得ることができると想定される収益と配給額とを予測する。この結果、広告装置100は、予測された収益と配給額とに基づいて、映画館側の利益を予測することができる。
続いて、広告装置100は、予測した映画館側の利益を映画館装置10に通知する(ステップS14)。映画館の管理者は、映画館装置10を介して、通知される映画館側の利益を知ることができる。すなわち、映画館の管理者は、設定したチケット料金を広告装置100に送信することによって、映画館が得られると予測される利益を確認することができる。
このように、実施形態に係る広告装置100は、映画館側からチケット料金の提示を受けることにより、映画館側が得ることのできる利益を予測する。すなわち、実施形態に係る広告装置100を用いた場合、映画館の管理者は、設定したチケット料金に関する情報を送信することで、直ちに、予測される映画館側の利益を確認することができる。また、広告装置100は、チケット料金の変動による興行収益の変化だけではなく、物販収益やシネアド収益も含む収益を予測したうえで、映画館側の利益を予測する。これにより、広告装置100は、より精度の高い映画館側の利益を予測することができる。
また、映画館の管理者は、実施形態に係る広告装置100を用いて映画館側の利益を予測することにより、柔軟にチケット料金を設定することができる。例えば、映画館の管理者は、実施形態に係る広告装置100を用いることで、チケット料金を低く設定して動員数を増やすとともに映画館側の利益を保つことのできるような、最善のチケット料金を高精度に推定することができる。また、映画館における動員数が増えることは、映画館全体の収益における物販収益及びシネアド収益の割合を増やすことと連動する。すなわち、映画館側は、物販収益及びシネアド収益の増収が見込めるので、興行収益のみに頼らない経営をすることができるようになる。
また、広告装置100による予測処理は、配給会社にとっても利点がある。具体的には、実施形態において、配給額は、保障配給単価と動員数により算出される。すなわち、映画館における動員数が増えることより、配給会社が受け取ることのできる配給額も増えることが推定される。
〔2.予測処理システムの構成〕
次に、図2を用いて、実施形態に係る予測処理システムの構成について説明する。図2は、実施形態に係る予測処理システム1の構成例を示す図である。図2に示すように、予測処理システム1には、映画館装置10と、広告主端末20と、広告装置100とが含まれる。映画館装置10、広告主端末20、及び広告装置100は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、図2に示した予測処理システム1には、複数台の映画館装置10や、複数台の広告主端末20が含まれてもよい。
映画館装置10は、上述のように、映画館の管理者によって利用される情報処理装置である。かかる映画館装置10は、例えば、チケット料金に関する情報を広告装置100に送信したり、映画館側が得ると予測される利益に関する情報を受信したりする。また、映画館装置10は、広告枠に関する情報の管理や、広告装置100から配信される広告コンテンツを映画館で上映するための処理等を行う。
広告主端末20は、映画館で広告を配信することを所望する広告主によって利用される情報処理装置である。具体的には、広告主端末20は、広告主による操作に従って、広告装置100から広告枠に関する情報を取得したり、広告装置100にシネアド用の広告コンテンツを入稿したりする。
映画館装置10や、広告主端末20は、例えば、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、タブレット型端末や、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。
なお、広告主は、広告主端末20を用いて、広告コンテンツを広告装置100に入稿せずに、広告コンテンツの入稿を代理店に依頼する場合もある。この場合、広告装置100に広告コンテンツを入稿するのは代理店となる。以下では、「広告主」といった表記は、広告主だけでなく代理店を含む概念であり、「広告主端末」といった表記は、広告主端末だけでなく代理店によって利用される代理店装置を含む概念であるものとする。
広告装置100は、映画館装置10から送信されるチケット料金に関する情報を受信することにより、映画館側が得る利益を予測するサーバ装置である。また、広告装置100は、シネアド用の広告枠にかかる情報を広告主端末20に提供したり、シネアド用の広告コンテンツを映画館に配信したりする。
〔3.広告装置の構成〕
次に、図3を用いて、実施形態に係る広告装置100の構成について説明する。図3は、実施形態に係る広告装置100の構成例を示す図である。図3に示すように、広告装置100は、通信部110と、映画館情報記憶部121と、広告枠記憶部122と、広告コンテンツ記憶部123と、制御部130とを有する。なお、広告装置100は、広告装置100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
〔3−1.通信部〕
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。かかる通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、映画館装置10や広告主端末20との間で情報の送受信を行う。
〔3−2.記憶部〕
映画館情報記憶部121、広告枠記憶部122及び広告コンテンツ記憶部123は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
〔3−3.映画館情報記憶部〕
映画館情報記憶部121は、映画館に関する情報を記憶する。具体的には、映画館情報記憶部121は、映画館に関する情報の集計対象とされる映画館毎に備えられた映画館装置10から送信される個々の映画館に関する情報を記憶する。そして、後述する予測部132は、映画館情報記憶部121に記憶されている情報を用いて予測処理を行う。
図3に示すように、映画館情報記憶部121は、映画館テーブル121aと、日程テーブル121bと、本編テーブル121cと、料金テーブル121dとを備える。以下、個々のテーブルについて説明する。
〔3−3(1).映画館テーブル〕
映画館テーブル121aは、施設としての映画館の情報を記憶するテーブルである。ここで、図4に、実施形態に係る映画館テーブル121aの一例を示す。図4は、実施形態に係る映画館テーブル121aの一例を示す図である。図4に示した例では、映画館テーブル121aは、「映画館」、「所在地」、「昨年度動員数」、「物販収益単価」、「チケット料金」、「スクリーン」、「座席数」といった項目を有する。
「映画館」は、映画館の名称を示す。例えば、映画館「TH1」と映画館「TH2」は異なる映画館の名称を示し、集客力や客層が異なることがある。このため、同じ映画に組み込まれる広告枠であっても、映画館によって課金額が異なることがある。
「所在地」は、映画館の所在地を示す。映画館などの施設では、所在地によって集客力が異なることがある。また、動員数や映画館側が得る利益の予測処理においては、映画館の所在地の情報を利用することがある。例えば、予測処理にあたり、後述する予測部132は、映画館を関東地域や関西地域など地方毎に分類することがある。
「昨年度動員数」は、過去一年間における映画館の動員数を示す。過去一年間の起点は、例えば、広告装置100が予測処理を行う日や、広告装置100が予測処理を行う日の所定の日前など、任意の日時である。なお、図4に図示することは省略したが、映画館テーブル121aには、昨年度動員数のみならず、昨週動員数や、昨月動員数など、異なる期間における動員数が適宜記憶されてよい。
「物販収益単価」は、映画館における観客一人あたりの物販収益の額を示す。物販収益単価は、例えば、映画館における過去の所定期間における物販収益を対応する期間における動員数で除算することにより求められる。
「チケット料金」は、映画館が設定する映画の鑑賞料金を示す。映画館が新たにチケット料金を設定した場合、チケット料金の項目は、随時新しいチケット料金に更新される。なお、映画館は、映画のタイトルや、上映時間や、曜日などに応じて異なるチケット料金を設定することも考えられるが、ここでは、説明を分かり易くするために、映画館毎に一律のチケット料金を設定するものとする。
「スクリーン」は、映画館における、映画を投射できるスクリーンと観客席を備えた上映室を示す。図4において、映画館「TH1」におけるスクリーン「SC11」とスクリーン「SC12」は異なる上映室を示しており、上映される映画や座席数が異なることがある。
「座席数」は、上映場所に備えられた観客席の数であり、観客を収容することのできる数を示す。座席数はスクリーンごとに異なる場合がある。
すなわち、図4では、映画館「TH1」は「東京都渋谷区」に所在することを示す。また、映画館TH1における昨年度動員数は「800000人」であり、物販収益単価は「1000円」であり、チケット料金は「1800円」に設定されていることを示す。さらに、映画館TH1は複数のスクリーン「SC11、SC12、SC13、SC14、・・・」を備え、スクリーンSC11の座席数は「300席」であることを示す。
〔3−3(2).日程テーブル〕
日程テーブル121bは、映画館において実際に上映される映画の予定についての情報を記憶するテーブルである。図5に、実施形態に係る日程テーブル121bの一例を示す。図5は、実施形態に係る日程テーブル121bの一例を示す図である。図5に示した例では、日程テーブル121bは、「上映日程」、「映画館」、「スクリーン」、「本編タイトル」、「先週動員数」といった項目を有する。なお、既に説明した項目についての説明は省略する。
「上映日程」は、映画館において映画が上映される日程を示す。図5に示した例では、上映日程は、1週間という期間を示す。すなわち、映画館で上映される映画は、1週間毎に設定されるものとする。
「本編タイトル」は、映画館で上映される映画のタイトルを示す。例えば、本編タイトル「M1」と本編タイトル「M2」とは異なる映画を示す。また、図5に図示することは省略したが、「本編タイトル」の項目が含む情報には、映画のタイトルのみならず、かかる映画に関するコンテンツ情報が含まれてもよい。映画に関するコンテンツ情報には、例えば、映画が制作された国や、映画の制作者、映画の出演キャストなどの情報が含まれる。
「先週動員数」は、映画館において上映される映画毎の先週の動員数を示す。図5に示した例では、映画館が備えるスクリーンに割り当てられた映画毎の、上映日程「2014年4月1日」の前1週間にわたる動員数を示す。また、上映日程の先週に上映されていない映画については、先週動員数の項目の値は空欄(図5に示した例では、「‐」と表記される。他の図においても同様の表記をする場合がある。)となる。
すなわち、図5では、上映日程「2014年4月1日〜2014年4月7日」の1週間において、映画館「TH1」が備えるスクリーン「SC11」では本編タイトル「M1」の映画が上映されることを示す。そして、映画館「TH1」が備えるスクリーン「SC11」で上映される本編タイトル「M1」の映画は、上映日程「2014年4月1日〜2014年4月7日」の前1週間にわたる期間の動員数である先週動員数が「2000人」であることを示す。なお、図5に図示することは省略したが、日程テーブル121bは、先週動員数のみならず、昨日動員数など、異なる期間における動員数を適宜記憶してもよい。
〔3−3(3).本編テーブル〕
本編テーブル121cは、映画館で上映される映画本編に関する情報を記憶するテーブルである。図6に、実施形態に係る本編テーブル121cの一例を示す。図6は、実施形態に係る本編テーブル121cの一例を示す図である。図6に示した例では、本編テーブル121cは、「本編タイトル」、「封切り後経過週数」、「動員実績」、「配給映画館数」、「配給会社比率」、「保障配給単価」、「検索クエリ数」といった項目を有する。なお、既に説明した項目についての説明は省略する。
「封切り後経過週数」は、本編タイトルで示される映画が、封切りされてから経過した週の数を示す。なお、封切り前の映画に関しては、封切り後経過週数の項目の値には「0」が表記される。
「動員実績」は、映画が封切りされてから集計に至るまでの期間の、集計対象とされる映画館における動員数の累計を示す。動員実績は、例えば、1日毎に映画館において集計される動員数に関する情報を広告装置100が取得することにより更新される。すなわち、本編テーブル121cは、現在記憶されている動員実績数だけでなく、動員実績の累計過程を含めて記憶しているものとする。なお、動員実績が集計されていない映画については、動員実績の項目の値は空欄となる。
「配給映画館数」は、本編タイトルで示される映画が配給されている映画館の数を示す。配給映画館数の値が大きいほど、映画の公開前の人気や観客の需要が高いことが想定される。なお、配給映画館数には、現在配給されている数のみならず、配給が予定されている映画館の数も含まれる。
「配給会社比率」は、映画館に映画を配給する配給会社に支払う配給額を予測するための値を示す。配給会社比率は、映画毎に定められたチケット料金の所定の比率により表される。例えば、チケット料金が「1800円」であり、配給会社比率が「0.6」である場合、「1800円」と「0.6」とを乗算した「1080円」が、1チケットあたりの配給額として計算される。
「保障配給単価」は、実施形態に係る予測処理において、映画館の設定するチケット料金に依らず配給額を予測できるようにするための値を示す。具体的には、保障配給単価は、一般的なチケット料金である「1800円」に配給会社比率を乗算した値である。すなわち、実施形態に係る予測処理において、配給額は、動員数と保障配給単価を乗算することにより予測される。
「検索クエリ数」は、ネットワークN上に存在する検索サービスを提供するウェブサーバ(以下、「検索サーバ」と表記する場合がある)に対して、検索クエリ(query)として本編タイトルなどが入力された数を示す。広告装置100は、検索サーバから情報の提供を受けることにより検索クエリ数を取得する。検索クエリ数は、映画の人気を表す指標となる。
すなわち、図6では、本編タイトル「M1」で示される映画が、封切り後経過週数「2週目」において、動員実績「180000人」であり、配給映画館数は「50館」であることを示す。また、本編タイトル「M1」で示される映画は、配給会社比率として「0.6」が設定されており、その保障配給単価は「1080円」であることを示す。また、本編タイトル「M1」で示される映画について、検索クエリとしてM1が「2000000回」検索されたことを示す。
なお、図6に示す検索クエリ数に含まれる検索クエリは、映画の本編タイトルに限られない。例えば、広告装置100は、映画に出演する俳優の氏名や、映画に登場するキャラクター名などを映画に関する検索クエリとみなして、検索サーバから情報の提供を受けてもよい。
また、図6では、映画の人気を表す指標として検索クエリ数を示しているが、映画の人気を表す指標は、検索クエリ数に限られない。図6で図示することは省略したが、本編テーブル121cは、映画の人気を表す指標として、映画の公式ホームページへのアクセス数や、SNS(Social Networking Service)での映画に関する投稿数などを記憶してもよい。
〔3−3(4).料金テーブル〕
料金テーブル121dは、映画館毎に設定されたチケット料金と動員数の変動を記憶するテーブルである。図7に、実施形態に係る料金テーブル121dの一例を示す。図7は、実施形態に係る料金テーブル121dの一例を示す図である。図7に示した例では、料金テーブル121dは、「映画館」、「集計期間」、「チケット料金」、「動員変動比率」といった項目を有する。なお、既に説明した項目についての説明は省略する。
「集計期間」は、映画館毎に動員数を集計する期間を示す。実施形態における予測処理においては、集計期間は1週間単位とする。また、「チケット料金」は、映画館毎に定めるチケット料金を示す。実施形態における予測処理においては、チケット料金は、1週間単位で定められるものとする。
「動員変動比率」は、動員数を集計する週において、前週の動員数との変動の比率を映画館毎に示す値である。例えば、動員変動比率の値が「1」であれば、動員数が集計される週における動員数と、かかる週の前週における動員数とが等しいことを意味する。
すなわち、図7では、集計期間「2013年4月1日〜2013年4月7日」では、映画館「TH1」におけるチケット料金は「1800円」に設定されていたことを示す。そして、集計期間「2013年4月8日〜2013年4月14日」では、映画館「TH1」におけるチケット料金が「1600円」に新たに設定され、動員変動比率「1.2」で表されるように、動員数が前週の「1.2倍」になったことを示す。同様に、集計期間「2013年4月15日〜2013年4月21日」では、映画館「TH1」におけるチケット料金が「1800円」に新たに設定され、動員変動比率「0.7」で表されるように、動員数が前週の「0.7倍」になったことを示す。
なお、動員数は、チケット料金のみに依存する値ではないため、映画館がチケット料金を変動させなくとも、動員変動比率が「1」とはならない場合がある。例えば、図7に示すように、集計期間「2013年4月1日〜2013年4月7日」では、映画館「TH2」におけるチケット料金は「1800円」に設定されていたことを示す。そして、集計期間「2013年4月8日〜2013年4月14日」においても、映画館「TH2」におけるチケット料金が「1800円」に設定されていることを示す。しかしながら、動員変動比率「0.95」で表されるように、集計期間「2013年4月8日〜2013年4月14日」での映画館「TH2」における動員数は、前週の「0.95倍」になることがある。
〔3−4.広告枠記憶部〕
広告枠記憶部122は、広告枠に関する情報を記憶する。ここで、図8に、実施形態に係る広告枠記憶部122の一例を示す。図8に示した例では、広告枠記憶部122は「映画館」、「スクリーン」、「座席数」、「本編タイトル」、「配信日程」、「広告枠ID」、「配信時間」、「課金動員単価」といった項目を有する。なお、図8に示すように、広告装置100は、複数の映画館装置10から広告枠に関する情報を取得しているものとする。なお、既に説明した項目についての説明は省略する。
「配信日程」は、広告枠で広告コンテンツが配信される日時を示す。ここで配信とは、広告コンテンツが映画館で上映されることにより、観客に広告コンテンツが視聴されることを意味する。図8に示した例では、配信日程を広告配信の開始時刻として、広告枠順に、指定されたスクリーンにて広告コンテンツが配信される。
「広告枠ID」は、広告枠を識別するための識別情報を示す。例えば、広告装置100は、広告枠ID「C111」によって識別される広告枠で配信する広告コンテンツについて、広告主端末20から入稿を受け付けることができる。なお、以下では、図8に示した広告枠IDに記憶されている識別情報を広告枠の参照符号として用いる場合がある。例えば、以下では、広告枠ID「C111」によって識別される広告枠を「広告枠C111」と表記する場合がある。
「配信時間」は、映画館で広告コンテンツを配信する時間長を示す。図4の例では、配信時間の単位は秒とする。例えば、広告枠C111には、配信時間として「15秒」が割り当てられていることを示す。
「課金動員単価」は、広告枠に設定される観客一人あたりの広告主への課金額を示す。
上述のように、実施形態に係る予測処理において、シネアドに係る広告主への課金額及び映画館が得るシネアド収益は、動員数に応じて変動する。具体的には、広告主は、シネアドに係る料金として、広告枠に設定される課金動員単価と実際の動員数を乗算した金額を広告装置100側に支払う。また、映画館側は、シネアド収益として、広告主への課金額に対応する金額を受け取る。
すなわち、図8では、広告枠「C111」が、映画館「TH1」におけるスクリーン「SC11」で上映される本編タイトル「M1」である映画に組み込まれる広告枠である例を示す。このとき、広告枠「C111」におけるシネアドは、「2014年4月1日9時00分00秒」から「15秒」間だけ上映される。また、広告枠「C111」におけるシネアドに対して、広告主は、課金動員単価「100円」と実際の動員数との乗算により導出される料金が課金されることなどを示している。
〔3−5.広告コンテンツ記憶部〕
広告コンテンツ記憶部123は、広告主端末20から入稿された広告コンテンツの情報を記憶する。ここで、図9に、実施形態に係る広告コンテンツ記憶部123の一例を示す。図9に示した例では、広告コンテンツ記憶部123は、「広告枠ID」、「広告主ID」、「広告コンテンツID」といった項目を有する。なお、既に説明した項目についての説明は省略する。
「広告主ID」は、広告主又は広告主端末20を識別するための識別情報を示す。広告主IDで識別される広告主は、映画館におけるシネアド配信のため、広告装置100に広告コンテンツを入稿する。
「広告コンテンツID」は、広告主から広告装置100に入稿された広告コンテンツを識別するための識別情報を示す。ここで、実際に映画館に配信される広告コンテンツは、広告装置100の広告コンテンツ記憶部123に記憶されてもよいし、広告装置100とは別に備えられた広告コンテンツを記憶するストレージサーバに記憶されてもよい。この場合、広告装置100は、広告コンテンツ記憶部123に記憶された広告コンテンツIDに基づいて、外部のストレージサーバに記憶された広告コンテンツを特定する。そして、広告装置100は、ストレージサーバに対して、特定された広告コンテンツを映画館に対して送信するよう制御する。
すなわち、図9では、広告主ID「CL11」によって識別される広告主が、広告枠「C111」で配信する広告コンテンツID「A11」によって識別される広告コンテンツを入稿している例を示している。
〔3−6.制御部〕
図3に戻って、制御部130について説明する。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、広告装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(予測プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
図3に示すように、制御部130は、受信部131と、予測部132と、通知部133と、取得部134と、提供部135と、受付部136と、配信部137と、算出部138とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
〔3−6(1).受信部〕
受信部131は、映画館側の利益を予測するための情報を受信する。具体的には、実施形態に係る受信部131は、映画館装置10から送信されるチケット料金に関する情報を受信する。映画館装置10から送信されるチケット料金は、上述のように、映画館の管理者により設定される。
受信部131は、映画館装置10からチケット料金に関する情報を受信するために、例えば、映画館装置10の表示部に表示されるユーザインターフェース画面を提供してもよい。すなわち、映画館の管理者は、映画館装置10の表示部に表示されるユーザインターフェース画面において、チケット料金を入力する。そして、映画館装置10は、入力されたチケット料金に関する情報を、受信部131に対して送信する。これにより、受信部131は、映画館装置10からチケット料金に関する情報を受信することができる。
また、受信部131は、チケット料金に関する情報に限られず、映画館装置10が送信する映画館に関する情報についても受信することができる。受信部131は、受信した映画館に関する情報について、映画館情報記憶部121内の対応するテーブルに記憶させる。
〔3−6(2).予測部〕
予測部132は、映画館によって設定されるチケット料金に基づいて、映画館側が得られる利益を予測する。具体的には、実施形態に係る予測部132は、映画館装置10から送信されるチケット料金に関する情報と、映画館情報記憶部121に記憶されている情報とに基づいて動員数を予測する。そして、実施形態に係る予測部132は、予測動員数に基づいて、映画館側が得られる利益を予測する。
ここで、実施形態に係る予測部132による予測処理について説明する。以下では、具体例として、映画館TH1に備えられた映画館装置10から、映画館TH1における「2014年3月30日」現在のチケット料金「1800円」を、翌週「2014年4月1日〜2014年4月7日」には、チケット料金「1600円」に新たに設定する旨の情報を受信した場合の、予測部132の予測処理の一例を説明する。
まず、予測部132は、受信部131から、上記の映画館TH1における新たなチケット料金を設定する旨の情報を受け付ける。そして、予測部132は、チケット料金の変更がなかったとした場合の、翌週の映画館TH1における動員数を予測する。
予測部132が動員数を予測する指標としては、映画館TH1の過去の動員数から導出される1週間毎の動員数の平均値や、映画館TH1で上映される映画の動員数の動向や、映画館TH1で翌週にかけて上映される映画の人気度及び人気度の推移などが考えられる。これらを順に説明する。
予測部132は、例えば、映画館TH1の過去1年間の動員数のデータから導出される1週間毎の動員数の平均値を予測する。この場合、予測部132は、映画館テーブル121aに記憶されている昨年度動員数に基づいて、映画館TH1の1週間の動員数を予測する。また、予測部132は、予測対象となる「2014年4月1日〜2014年4月7日」に対応する昨年度の1週間の動員数(すなわち、「2013年4月1日〜2013年4月7日」)について、例えば、他の週間よりも重み付けをすることにより、精度の高い1週間の動員数が予測できる。
また、予測部132は、映画館TH1で上映される映画の動員数の動向を動員数の予測処理の指標とする。例えば、予測部132は、日程テーブル121bに記憶されている映画館TH1の「2014年4月1日〜2014年4月7日」の上映日程を参照する。ここで、予測部132は、「2014年4月1日〜2014年4月7日」において、本編タイトル「M1、M2、M3、M4」で示される映画が上映されることを参照する。そして、予測部132は、日程テーブル121b内の先週動員数や、本編テーブル121c内の動員実績などをさらに参照することにより、映画毎に見込まれる動員数を予測する。
なお、予測部132は、過去の映画に関する動員数の情報も同時に参照して予測処理を行うことができる。すなわち、予測部132は、本編タイトルM1の映画の例でいえば、封切り後2週間経過した映画であって、かかる時点での動員実績が「180000」に近く、また映画のジャンルが近似するような過去の複数の映画における動員数の動向などの情報を参照する。これにより、予測部132は、本編タイトルM1の映画が翌週において、どれくらいの動員数になるのかを高精度に予測することができる。また、予測部132は、過去の実績に限られず、映画館TH1や映画館TH1の近隣の映画館において、本編タイトルM1の映画における動員数の動向をリアルタイムに検知した情報を指標とすることにより、翌週の動員数を予測してもよい。これらリアルタイムな動員数に関する情報は、例えば、映画館装置10から随時取得する。
また、予測部132は、映画館TH1で翌週にかけて上映される映画の人気度及び人気度の推移を動員数の予測処理の指標とする。一般に、映画は、封切り後徐々に動員数が減少していくことが想定される。しかしながら、映画によっては、公開後における公衆の口コミや映画賞の受賞などにより、動員数が増加することも考えられる。
この場合、予測部132は、一例として、本編テーブル121cに記憶される検索クエリ数を用いて映画の人気度を判定し、動員数の予測処理における指標とする。また、予測部132は、検索クエリ数の累計を指標とするのみならず、検索クエリ数の上昇率についても予測処理の指標とすることができる。予測部132は、このような人気度の推移も含めて指標とすることで、高精度に動員数を予測することができる。なお、予測部132は、映画の人気度を表す指標として、検索クエリ数に限られず、映画の公式ホームページへのアクセス数や、SNSでの映画に関する投稿数などを利用してもよい。また、予測部132は、かかるアクセス数や投稿数の所定期間における上昇率による映画の人気度の推移についても、予測処理の指標とすることができる。
上述してきたように、予測部132は、映画館TH1におけるチケット料金の変化がなかったとした場合の、翌週における動員数を予測する。そして、予測部132は、料金テーブル121dを参照して、チケット料金を変化させた場合の動員数の変動を予測する。すなわち、予測部132は、料金テーブル121dに記憶されている過去のチケット料金の変化と動員数の変動との連動の実績に基づいて、チケット料金を変化させた場合の動員数の変動を予測する。
一例としては、予測部132は、「2013年4月1日〜2013年4月7日」の期間の映画館TH1におけるチケット料金「1800円」から、「2013年4月8日〜2013年4月15日」の期間の映画館TH1におけるチケット料金「1600円」へと変化させた際に得られた動員変動比率「1.2」に基づいて、動員数を予測する。すなわち、予測部132は、チケット料金が変化しなかったとした場合における翌週の動員数に動員変動比率「1.2」を乗算することにより、チケット料金を変化させた場合の動員数を予測する。なお、予測部132が用いる動員変動比率の数値は、この例に限られない。例えば、予測部132は、料金テーブル121dに記憶されている情報のうち、チケット料金「1800円」からチケット料金「1600円」に変化させた際の全ての動員変動比率を抽出する。そして、予測部132は、かかる全ての動員変動比率における平均値を乗算すべき値として導出してもよい。この場合、予測部132は、高精度に動員数を予測できることが想定される。
また、予測部132は、上記で説明した一連の予測処理において導出した予測動員数を映画館情報記憶部121に記憶してもよい。その後、予測部132は、予測動員数と実際の動員数とを比較し、精度を検証する。そして、予測部132は、予測動員数の誤差について映画館情報記憶部121に記憶する。この検証処理を繰り返すことにより、予測部132は、過去に行った予測処理における誤差を含めた回帰的な予測処理を行うことができるようになるため、より高精度に動員数を予測することが可能となる。
続いて、予測部132は、映画館が得ると想定される収益を予測する。なお、予測部132は、映画館側が得られる利益として、映画館の利用者である観客毎に映画館側が得られる利益を予測する。すなわち、予測部132は、観客一人あたりに予測される利益を予測動員数で乗算することにより、映画館側が得られる利益を予測する。そして、予測部132は、映画館が得られる利益として、チケット料金から得られる興行収益、映画館における物販収益、及び、映画とともに映画館で提供される広告コンテンツの広告主から得られるシネアド収益を予測する。
具体的には、予測部132は、予測動員数と新たに設定されたチケット料金とを乗算することにより、興行収益を予測する。また、予測部132は、予測動員数に基づいて物販収益を予測する。すなわち、予測部132は、予測動員数と映画館テーブル121aに記憶されている物販収益単価とを乗算することにより、物販収益を予測する。また、予測部132は、予測動員数に基づいてシネアド収益を予測する。この場合、予測部132は、予測動員数と広告枠記憶部122に記憶されている課金動員単価を乗算することにより、シネアドに係る広告主への課金額を予測する。そして、予測部132は、シネアドに係る広告主への課金額に基づいて、映画館が得るシネアド収益を予測する。
続いて、予測部132は、予測動員数に基づいて配給額を予測する。すなわち、予測部132は、予測動員数と本編テーブル121cに記憶されている保障配給単価とを乗算することにより、配給額を予測する。
上記のように、予測部132は、予測動員数に基づいて、映画館が得る収益と配給額とを予測する。この結果、予測部132は、予測された収益と配給額とに基づいて、チケット料金が新たに設定された場合における映画館側が得られる利益を予測することができる。
〔3−6(3).通知部〕
通知部133は、予測部132によって予測された利益に関する情報を映画館に通知する。具体的には、実施形態に係る通知部133は、予測部132によって予測動員数に基づいて予測された映画館側の利益に関する情報を映画館装置10に通知する。
なお、通知部133は、予測部132によって予測された映画館側の利益に関する情報ではなく、予測部132によって予測された動員数である予測動員数を映画館側に通知することもできる。
〔3−6(4).取得部〕
取得部134は、予測処理に用いる情報を取得する。具体的には、実施形態に係る取得部134は、上述の予測処理に用いる映画館に関する情報や、シネアドに係る広告枠に関する情報を映画館装置10や検索サーバなどから取得する。
そして、取得部134は、取得した映画館に関する情報を映画館情報記憶部121に記憶する。また、取得部134は、取得したシネアドに係る広告枠に関する情報を広告枠記憶部122に記憶する。
また、取得部134は、広告枠記憶部122に既に記憶されている広告枠に関する情報を更新することもできる。例えば、広告枠の設定された映画が別のタイトルに差し替わる場合、映画館の管理者は、映画館装置10に、広告枠に関する情報における「本編タイトル」項目の変更を入力する。この場合、取得部134は、映画館装置10から新たな情報を取得し、広告枠記憶部122に記憶されている情報を更新する。
〔3−6(5).提供部〕
提供部135は、シネアドに係る広告枠の情報を広告主に提供する。具体的には、実施形態に係る提供部135は、シネアドに係る広告枠の情報として、シネアドに係る映画館や、配信日程や、課金動員単価の情報を広告主端末20に提供する。なお、提供部135は、広告枠記憶部122に記憶されている情報のみならず、映画館が所在する地域などの情報を広告主端末20に提供してもよい。例えば、広告装置100がウェブサーバである場合、提供部135は、広告主端末20からHTTPリクエストを受け付けた場合に、上述した広告枠の情報が掲載されたウェブページを広告主端末20へ提供する。
また、提供部135は、映画館で映画が初めて上映される前に広告枠の情報を提供するだけでなく、映画館で映画が初めて上映された後にも広告枠の情報を提供してもよい。具体的には、映画館で映画が初めて上映される前に、シネアドに係る広告枠がすべて広告主に購入されるとは限らない。この場合、提供部135は、映画館で映画が上映された後であっても広告枠の情報を提供してもよい。
〔3−6(6).受付部〕
受付部136は、広告主端末20から、シネアド配信に係る権利の購入要求や、広告コンテンツの入稿を受け付ける。具体的には、受付部136は、提供部135によって提供される広告枠の情報の提供を受けた広告主端末20から、広告枠においてシネアド配信をする権利の購入要求を受け付ける。例えば、受付部136は、提供部135によって広告主端末20に提供されるウェブページ上で、広告主によって購入操作が行われた場合に、広告主端末20から購入要求を受け付ける。そして、受付部136は、購入者を決定した後に、購入者である広告主の広告主IDと広告枠IDとを対応付けて広告コンテンツ記憶部123に記憶する。
次に、受付部136は、購入者である広告主の広告主端末20から、広告コンテンツの入稿を受け付ける。そして、受付部136は、購入者の広告枠IDに対応付けて、広告コンテンツを識別するための広告データIDを広告コンテンツ記憶部123に記憶する。なお、広告装置100は、受付部136によって受け付けられた広告コンテンツを所定の記憶部に記憶する。
また、受付部136は、映画館(例えば、映画館装置10)から、映画館の観客の人数である動員数を受け付ける。この場合、受付部136は、かかる映画館で上映される映画に組み込まれる広告枠IDに対応付けて、映画館から受け付けた実際の動員数を広告枠記憶部122に記憶する。これにより、後述する算出部138は、広告枠記憶部122に記憶される実際の動員数と課金動員単価とに基づいて、広告主に課金する広告料金を算出することができる。
なお、映画館(例えば、映画館装置10)は、チケットを販売する販売端末から得られる情報に基づいて、動員数を求めることができる。ただし、この例に限られず、映画館には、例えば、映画館に実際に来場した観客の情報を取得するための観客情報取得装置が設けられる。この観客情報取得装置は、例えば、カメラ、アクセスポイントなどの少なくとも一つ以上の機器に該当する。観客情報取得装置にカメラが含まれる場合には、このカメラは、例えば、映画館内を撮像する。これにより、映画館装置10は、観客情報取得装置により撮像された画像から動員数を求めることができる。また、観客情報取得装置にアクセスポイントが含まれる場合には、このアクセスポイントは、Wifi(Wireless Fidelity)(登録商標)などの無線通信により、個々の観客が保持する携帯端末と通信する。これにより、映画館装置10は、観客情報取得装置と通信された携帯端末の台数を計数することで動員数を求めることができる。
〔3−6(7).配信部〕
配信部137は、広告コンテンツ記憶部123に記憶されたシネアドに係る広告コンテンツを映画館装置10に配信する。具体的には、実施形態に係る配信部137は、広告コンテンツ記憶部123に記憶された広告枠に対応付けられた動画像などの広告コンテンツを、映画館で広告コンテンツが配信される所定の時刻前に、通信部110を介して、映画館装置10に配信する。
〔3−6(8).算出部〕
算出部138は、実際の動員数と課金動員単価とに基づいて、シネアドに係る広告主に課金する広告料金を算出する。また、算出部138は、広告主に課金する広告料金に基づいて、映画館への対価としてのシネアド収益を算出する。算出部138は、算出した広告料金を広告主端末20に通知する。また、算出部138は、算出したシネアド収益を映画館装置10に通知する。
〔4.予測処理手順〕
次に、図10を用いて、実施形態に係る広告装置100による予測処理の手順について説明する。図10は、広告装置100による予測処理の手順を示すフローチャートである。
図10に示すように、受信部131は、映画館装置10からチケット料金に関する情報を受信したか否かを判定する(ステップS101)。そして、受信部131は、映画館装置10からチケット料金に関する情報を受信しない場合(ステップS101;No)、受信するまで待機する。
一方、チケット料金に関する情報を受信した場合(ステップS101;Yes)、予測部132は、新たに設定されたチケット料金に基づいて、映画館の動員数を予測する(ステップS102)。
続いて、予測部132は、予測動員数と新たに設定されたチケット料金とを乗算することにより、興行収益を予測する(ステップS103)。
そして、予測部132は、予測動員数と物販収益単価とを乗算することにより、物販収益を予測する(ステップS104)。
そして、予測部132は、予測動員数と課金動員単価を乗算することで、シネアドに係る広告主への課金額を予測する。そして、予測部132は、シネアドに係る広告主への課金額に基づいて、映画館が得るシネアド収益を予測する(ステップS105)。
そして、予測部132は、予測動員数と保障配給単価とを乗算することにより、配給額を予測する(ステップS106)。
そして、予測部132は、予測された収益の合計と配給額とに基づいて、チケット料金が新たに設定された場合における映画館側が得られる利益を予測する(ステップS107)。そして、通知部133は、予測された映画館側が得られる利益を映画館装置10に通知する(ステップS108)。
以上により、実施形態に係る広告装置100による、チケット料金が新たに設定された場合における映画館側が得られる利益の予測処理は終了する。
〔5.変形例〕
上述した広告装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、広告装置100の他の実施形態について説明する。
〔5−1.予測指標〕
上記の実施形態では、予測部132が、予測動員数を用いて映画館側の利益を予測する処理を示した。しかし、上記例に限られず、予測部132は、予測動員数とは異なる指標を用いて映画館側の利益を予測してもよい。この点について、以下に説明する。
予測部132は、映画館で上映される映画に関するコンテンツ情報に基づいて、映画館が得られる利益を予測することもできる。例えば、変形例に係る予測部132は、映画に関するコンテンツ情報として、映画の制作者に関する情報、又は、映画自体に関する情報を用いて、映画館側が得られる利益を予測する。
具体的には、予測部132は、映画の制作者に関する情報として、映画の制作者、監督、配給会社、制作者の国籍、制作者が制作した過去の映画における動員実績などを用いて、映画館側が得られる利益を予測する。例えば、予測部132は、日程テーブル121bを参照し、予測する上映日程に対応する本編タイトルに基づいて、かかる映画の制作者などの情報を取得する。そして、予測部132は、映画の制作者の人気や実績などから、予測する上映日程に対応する映画館側が得られる利益を予測する。例えば、予測部132は、映画の制作者による過去の映画の売上が高い場合や、映画の制作者が賞を受賞した場合や、映画の制作者が検索された検索クエリ数が多い場合は、より多くの利益が見込めるものとして、映画館側が得られる利益を高く予測する。
また、予測部132は、映画自体に関する情報として、映画のジャンル、映画の本編タイトル、映画の出演者、映画の評判などを用いて、映画館側が得られる利益を予測する。例えば、予測部132は、本編テーブル121cを参照し、予測する上映日程に対応する本編タイトルに基づいて、かかる映画のジャンルや、映画の出演者などの情報を取得する。そして、予測部132は、映画自体の人気や実績などから、予測する上映日程に対応する映画館側が得られる利益を予測する。例えば、予測部132は、映画のジャンル毎の最近の売上が高い傾向にある場合や、出演者による過去の映画の売上が高い場合や、映画の出演者が賞を受賞した場合や、映画の出演者が検索された検索クエリ数が多い場合などは、より多くの利益が見込めるものとして、映画館側が得られる利益を高く予測する。
また、予測部132は、映画館に関する施設情報に基づいて、映画館側が得られる利益を予測することもできる。例えば、予測部132は、映画館に関する施設情報として、映画館自体に関する情報、又は、映画館における観客に関する情報を用いて、映画館側が得られる利益を予測する。
具体的には、予測部132は、映画館自体に関する情報として、映画館が所在する地域、映画館で映画が提供される日程、映画館に収容可能な収容数、映画館において提供される映画の傾向又はジャンル、映画館を運営する運営会社、及び、映画館において映画を同時に提供可能な数などを用いて、映画館側が得られる利益を予測する。
例えば、予測部132は、映画館テーブル121aや日程テーブル121bなどを参照することにより、映画館が所在する地域毎の動員数や、所在地域全体の各々の映画館における動員数の傾向などから動員数の増加が見込める場合は、映画館側が得られる利益を高く予測する。また、予測部132は、映画館で映画が提供される日程が連休などで多くの動員が見込める場合や、映画館に収容可能な収容数が多い場合なども、映画館側が得られる利益を高く予測する。
また、所定の映画館においては、映画館において提供される映画の傾向又はジャンルによって利益が変動することも想定される。例えば、ミニシアターなどで配給される映画は、上映される映画館との傾向に調和している場合、売上が高くなることが想定される。このような場合、予測部132は、映画館側が得られる利益を高く予測する。また、近年、多くのスクリーンを備えた大型の映画館においては、映画そのものの人気のみならず、映画館自体に集客力を備えることもある。この場合、予測部132は、映画館側が得られる利益を高く予測する。
また、予測部132は、映画館における観客に関する情報として、映画館における観客の動員数の実績、映画館における観客の現時点での動員数、及び、映画館における観客の属性などを用いて、映画館側が得られる利益を予測する。例えば、予測部132は、映画館テーブル121aを参照し、予測する上映日程に対応する過去の動員数の実績や現時点での動員数が多いほど、映画館側が得られる利益を高く予測する。
また、予測部132は、事前のチケット購入者の情報から、観客の属性(例えば、性別や年齢)を取得することもできる。例えば、シネアドに係る料金がターゲティング対象によって料金が変わるような態様になっている場合には、予測部132は、観客の属性に関する情報を取得する。そして、予測部132は、観客の属性がシネアドのターゲティング対象に多く含まれている場合、映画館側が得られる利益を高く予測する。
なお、上記例において、映画館(例えば、映画館装置10)は、上述した観客情報取得装置により観客の属性を取得することができる。例えば、観客情報取得装置にカメラが含まれる場合には、このカメラは、例えば、映画館内に設けられた座席に座った観客の顔の画像が撮像可能な位置に設けられ、個々の観客の顔の画像を撮像して取得し、取得した観客の顔の画像から観客の属性を取得する。また、観客情報取得装置にアクセスポイントが含まれる場合には、このアクセスポイントは、Wifiなどの無線通信により、個々の観客が保持する携帯端末から送信された観客IDを取得し、取得した観客IDに紐づけられる個人情報を観客の属性として取得する。この例の場合、映画館装置10や、映画館装置10がアクセス可能な所定の記憶装置は、観客IDに対応付けて観客の属性情報を記憶するものとする。また、観客情報取得装置に網膜スキャナ装置が含まれる場合には、この網膜スキャナ装置は、個々の観客が利用可能な映画館内の位置に設けられ、個々の観客の網膜のスキャン結果を観客の属性として取得する。
このように、予測部132は、種々の指標を用いることで予測処理を行う。また、予測部132は、上述してきたような予測を行う指標を組み合わせることで、映画館側の利益を予測する。例えば、予測部132は、映画館が所在する地域に多く居住する人の属性と、映画館で上映される映画が主に対象とする観客の属性とが合致するか否かなどを判定してもよい。予測部132は、かかる属性が合致する場合、映画館側の利益が高くなると予測できる。上記のように、予測部132は、予測を行う指標を組み合わせることで、より多くの判断基準を用いて映画館側の利益を予測することができる。また、上述のように、予測部132は、予測処理において、予測された利益と、実際の利益との誤差を記憶させることもできる。これにより、予測部132は、予測処理を繰り返しながら、予測値の誤差を減らしていくように、予測に用いる指標を調整する。結果として、予測部132は、予測の精度を高めていくことができる。
〔5−2.評判の取得〕
上記の実施形態では、予測部132が、予測の指標として検索クエリ数を用いて映画館側の利益を予測する処理を示した。しかし、上記例に限られず、予測部132は、異なる指標についてネットワークNを介して取得し、映画館側の利益を予測してもよい。この点について、図11を用いて以下に説明する。
図11は、変形例に係る予測処理システム1の構成例を示す図である。図11に例示するように、変形例に係る予測処理システム1には、映画館装置10と、広告主端末20と、広告装置100の他に、ユーザ端末30と、情報提供装置40とを有する。
ユーザ端末30は、例えば、デスクトップ型PCや、ノート型PCや、タブレット型端末や、携帯電話機、PDA等の情報処理装置である。例えば、ユーザ端末30は、情報提供装置40にアクセスすることで、情報提供装置40の提供するウェブサイトからウェブページを取得し、取得したウェブページを表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)に表示する。
情報提供装置40は、ユーザ端末30からアクセスされた場合に、各種ウェブページを提供するウェブサーバである。情報提供装置40は、例えば、ニュースサイト、オークションサイト、天気予報サイト、ショッピングサイト、ファイナンス(株価)サイト、路線検索サイト、地図提供サイト、旅行サイト、飲食店紹介サイト、ウェブブログなどに関する各種ウェブページを提供する。
ここで、情報提供装置40によって提供されるウェブページには、ウェブビーコン(web beacon)等によって実現される通知機能が埋め込まれることがある。例えば、ウェブビーコンは、ウェブページにアクセスしたユーザ端末30を広告装置100内に格納される透明な画像又は非常に小さな画像(「クリアGIF」と呼ばれることもある)にアクセスさせる機能を有する。これにより、広告装置100は、ユーザ端末30から情報提供装置40に関するアクセスログなどのユーザ情報を取得することができる。
広告装置100は、上記のように、情報提供装置40にアクセスするユーザ端末30のアクセスログを取得できるので、検索クエリ数の他にも、予測処理の指標を取得することができる。具体例としては、予測部132は、予測対象となる映画館で上映される映画の公式ホームページへのアクセス数を取得する。そして、予測部132は、アクセス数が多いほど、映画館側の利益を高く予測する。また、予測部132は、SNSにおける映画館で上映される映画に関する投稿数を取得する。また、予測部132は、情報提供装置40が提供するポータルサイトにおける、映画館で上映される映画のバナー広告のクリック数を取得する。また、予測部132は、ウェブサイトにより紹介された回数等を取得する。そして、予測部132は、かかる計数が多いほど、映画館で上映される映画の人気度が高く集客が見込めるとして、映画館側の利益を高く予測する。
これにより、予測部132は、時事に応じた指標を取得して映画館側の利益を予測できるので、高精度に利益を予測することができる。また、予測部132は、上記のようなネットワークN上の情報を随時取得することにより、映画館において映画の提供が開始された後の状況に基づいて、映画館側が得られる利益を予測することができる。すなわち、予測部132は、映画の封切り後の所定のウェブサイトにおける評判などに基づいて、映画の人気度を判定することなどにより、映画館側が得られる利益を予測することができる。
また、予測部132は、上記のようなネットワークNを介して取得する情報によって、物販収益について予測することもできる。例えば、予測部132は、複数のユーザ端末30のアクセスログに基づいて、所定の映画に関するグッズが好調に販売されている情報を取得する。この場合、予測部132は、かかる映画を上映する期間には、映画館における物販収益が高くなると予測する。また、予測部132は、映画館装置10から映画館における物販の情報を受け付け、さらに精度の高い予測をすることもできる。すなわち、予測部132は、ネットワークNを介して得られる情報(グッズの販売情報や、グッズに関する検索履歴や、グッズの売り上げ実績など)と映画館において販売されているグッズとを参照し、映画館における物販収益を予測する。予測部132は、かかる物販収益の予測に基づいて、映画館側の利益を予測する。
このように、予測部132は、映画そのものの情報のみならず、映画に関わるグッズなどの情報も含めて映画館の利益を予測する。すなわち、予測部132は、多角的な指標を用いて映画館側の利益を予測できるので、高精度に利益を予測することができる。
〔5−3.広告配信〕
上記の実施形態では、配信部137が、広告コンテンツ記憶部123に記憶されたシネアドに係る広告コンテンツを映画館装置10に配信する例を示した。しかし、上記例に限られず、広告装置100は、配信に係る処理について、外部の装置を利用して行ってもよい。この点について、図12を用いて以下に説明する。
図12は、変形例に係る予測処理システム1の構成例を示す図である。図12に例示するように、変形例に係る予測処理システム1には、映画館装置10と、広告主端末20と、広告装置100の他に、広告配信装置50を有する。
広告配信装置50は、広告装置100の制御に従い、映画館装置10に広告コンテンツを配信する情報処理装置である。この場合、広告配信装置50は、広告主端末から広告コンテンツの入稿を受け付けたり、広告コンテンツを記憶したりする。
そして、広告装置100は、広告コンテンツ記憶部123に記憶された広告コンテンツIDに基づいて、広告配信装置50に記憶された広告コンテンツを特定する。そして、広告装置100は、広告配信装置50に対して、特定された広告コンテンツを映画館装置10に対して送信するよう制御する。この場合、広告装置100は、図3に示した配信部137を有しなくてもよい。
〔5−4.映画館との取り決め〕
上記の実施形態では、予測部132は、広告枠に設定された課金動員単価を用いてシネアド収益を予測することにより、映画館側の利益を予測する例を示した。しかし、予測部132は、上記実施形態の手法に限られず、異なる手法を用いて映画館側の利益を予測してもよい。具体的には、広告装置100の管理者と映画館管理者とは、課金動員単価ではなく、固定の広告枠利用料を取り決めてもよい。すなわち、図1等の例では、広告主が映画館側に支払うシネアドに係る料金が動員数に応じて変動する例を示したが、このシネアドに係る料金については固定額であってもよい。この場合、広告装置100の管理者は、映画館側から固定料金にて広告枠を買い取り、広告主に提供してもよい。
〔5−5.配信タイミング〕
また、配信部137は、事前にシネアドに係る広告コンテンツを映画館装置10に配信しておき、その後、提供させる広告コンテンツの情報のみを映画館装置10に配信し、映画館で広告コンテンツを提供させることもできる。この場合、広告コンテンツのデータは事前に配信されているため、配信部137は、映画館で提供する広告コンテンツを識別するための識別情報を配信するのみでよい。
一般に、映画館で提供される広告コンテンツは、高画質な動画像で構成されておりデータ容量が大きい。このため、映画館で提供される広告コンテンツは、ネットワークNを介する配信において相当の時間を要する。一方、上記のように、配信部137は、事前に広告コンテンツのデータを映画館に配信しているため、映画館から取得要求を受け付けて広告コンテンツを映画館で実際に配信するまでに、広告コンテンツのデータの配信にかかる時間を要さない。この結果、配信部137は、配信する広告コンテンツの決定を、実際に映画館で広告コンテンツが配信される数秒前にすることができる。
これにより、変形例に係る広告装置100は、リアルタイムな広告配信処理をすることができる。具体的には、変形例に係る広告装置100は、実際に広告コンテンツが配信される映画館の動員状況や観客の属性などに応じて、提供する広告コンテンツを決定することができる。
〔5−6.広告枠の位置〕
また、上記の実施形態では、広告枠が映画の本編前に組み込まれる例を示した。言い換えれば、上記の実施形態では、広告コンテンツが映画の本編前に上映される例を示した。しかし、広告コンテンツが上映されるタイミングは上記例に限られない。すなわち、広告コンテンツが映画とともに提供されるとは、映画の本編中に上映されてもよいし、映画の本編後に上映されてもよいことを意味する。
また、広告コンテンツには、本編である映画にオーバーレイのように重ねて提供されるようなものも含まれるものとする。すなわち、広告コンテンツは、上記実施形態のように本編前に組み込まれる広告枠で提供されるとは限られず、映画に重ねて提供される場合もありうる。この場合、広告枠に関する情報には、広告コンテンツは映画に重ねて提供される旨の情報が含まれることがある。
〔5−7.コンテンツの例〕
また、上記の実施形態では、施設で提供される第1コンテンツとして映画を、第1コンテンツとともに提供される第2コンテンツが広告である例を示した。しかし、この例に限られず、各コンテンツは様々な態様があってもよい。例えば、第1コンテンツとしては、演劇、コンサートなど、観客を動員して行われる様々な催事が含まれてもよい。また、第2コンテンツとしては、個人クリエイタによって制作されたショートフィルムなどが含まれてもよい。
〔6.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
例えば、上記実施形態においては、図2に示すように、映画館装置10と、広告主端末20と、広告装置100とが含まれる予測処理システム1について例示したが、他の形態についても考えられる。例えば、予測処理システム1には、複数台の映画館装置10を統括するような映画館管理サーバ等が含まれてもよい。この場合、広告装置100は、映画館管理サーバに対して、広告コンテンツを配信する。そして、映画館管理サーバは、広告装置100から受信した広告コンテンツを管理下の映画館装置10に配信する。
また、例えば、図3に示した映画館情報記憶部121や広告枠記憶部122や広告コンテンツ記憶部123は、広告装置100が保持せずに、図示しないストレージサーバ等が保持してもよい。この場合、広告装置100は、映画館情報記憶部121や広告枠記憶部122や広告コンテンツ記憶部123に記憶されている各種情報を取得する。
また、上記実施形態においては、映画館は動員数を取得するため観客情報取得装置を備える例を示した。しかし、映画館は、さらに別の装置を備えてもよい。例えば、映画館は、映画館で広告が上映されたことを示す情報を取得する装置を備える。具体的には、映画館には、実際に映画館で広告が流れている音声を集音する集音装置が設けられる。広告装置100は、例えば、映画館装置10から、かかる集音された音声データを受け付け、広告主に情報として提示することができる。これにより、広告装置100は、実際に映画館で広告が上映されたか確認したいという広告主の要望に応えることができる。
また、上記実施形態において、広告装置100は、チケット料金とは観客が映画を1回鑑賞するための利用料であるものとして、上記予測処理を行う例を示した。しかし、チケット料金とは、映画の鑑賞料金に限られない場合がある。例えば、映画館側は、映画の鑑賞料金とは別に、映画館におけるサービスに係る料金をチケット料金に含ませることができる。具体的には、映画館側は、観客へのワンドリンク提供料をチケット料金に含めることができる。この場合は、観客は、映画館の利用料(ここでは映画の鑑賞料金)とワンドリンク提供料とをチケット料金として徴収されることがある。あるいは、映画館側は、チケット料金にワンドリンクサービスを含ませることもできる。このように、映画館側は、チケットに係る料金体系を映画館毎に設定することがありうる。この場合、広告装置100は、映画の鑑賞料金とは別のサービスに係る料金も加味して上記予測処理を行ってもよい。すなわち、広告装置100は、観客へのワンドリンク提供料などを所定の金額に置き換えることや、ワンドリンクサービスに対応する金額を所定の金額に置き換えることにより、上記予測処理を行ってもよい。これにより、広告装置100は、映画館の利用料として映画館毎に異なる料金体系が設定されている場合であっても、上記予測処理を行うことができる。
また、上記実施形態においては、第1コンテンツを提供する施設として映画館を挙げ、当該施設の利用料としてチケット料金を例示した。しかし、例えば、第1コンテンツとしては、演劇、コンサートなど、観客を動員して行われる様々な催事が含まれてもよい。この場合、第1コンテンツを提供する施設としては、劇場や、演舞場や、屋外遊戯施設など、観客を収容できる、あるいは観客が入場することのできる種々の施設が該当する。また、かかる施設の利用料としては、チケット料金に限られず、鑑賞料金や、入場料金や、観覧料金や、拝観料金など、種々の態様であってもよい。
また、上述してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る広告装置100は、例えば図13に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、広告装置100を例に挙げて説明する。図13は、広告装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(図2に示したネットワークNに対応)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを通信網500を介して他の機器へ送信する。
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に記憶されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る広告装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、映画館情報記憶部121、広告枠記憶部122及び広告コンテンツ記憶部123内のデータが記憶される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網500を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る広告装置100は、映画(第1コンテンツの一例)を上映する映画館によって設定されるチケット料金に基づいて、映画館側が得られる利益を予測する予測部132と、予測部132によって予測された利益に関する情報を映画館側に通知する通知部133とを備える。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、チケット料金に基づいて、興行収益の変化だけではなく、物販収益やシネアド収益も含む収益を予測する。このため、実施形態に係る広告装置100は、映画館側の利益を予測することができる。また、実施形態に係る広告装置100は、チケット料金の変化に応じた映画館側の利益を通知することにより、映画館側が柔軟にチケット料金を設定することができるようにさせる。
また、予測部132は、映画館側が得られる利益として、チケット料金に基づいて映画館の動員数を予測する。通知部133は、予測部132によって予測された動員数である予測動員数を映画館側に通知する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、予測動員数という映画館側にとって有用な情報を提供することができる。すなわち、映画館側は、予測動員数に基づいて、上映する映画について再度検討することや、物販品の仕入を調整したりできることが想定される。
また、予測部132は、予測動員数に基づいて映画館側が得られる利益を予測する。通知部133は、予測部132によって予測された利益を映画館側に通知する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、より高い精度で映画館側の利益を予測し、かかる利益を通知することができる。このため、実施形態に係る広告装置100は、映画館の管理者が、チケット料金を低く設定して動員数を増やすとともに映画館側の利益を保つことのできるような、最善のチケット料金を高精度に推定させることができる。
また、予測部132は、映画館側が得られる利益として、所定数の利用者毎に、所定数の利用者から映画館が得られる利益を予測する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、より詳細な単位である利用者毎の単価から映画館側の利益を予測し、かかる利益を通知することができる。このため、実施形態に係る広告装置100は、映画館の管理者が動員数に基づいた収益を導出しやすくさせることができる。
また、予測部132は、映画館側が得られる利益として、チケット料金から得られる興行収益、映画館における物販収益、及び、映画とともに映画館で提供される広告コンテンツの提供主から得られるシネアド収益の少なくとも1つを予測する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、高い精度で映画館側の利益を予測し、かかる利益を通知することができる。すなわち、実施形態に係る広告装置100は、チケット料金だけではなく、観客一人あたりから導出される物販収益や、シネアド収益も予測する収益の一つとするので、より高い精度で映画館側の利益を予測できる。
また、予測部132は、映画館において広告コンテンツを提供することで映画館側が広告主から得られる収益であって、所定の動員数毎に決められている提供料金の単価である課金動員単価に基づいて、広告コンテンツの広告主から得られるシネアド収益を予測する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、予測動員数に基づいて、映画館側の利益を高い精度で予測することができる。すなわち、実施形態に係る広告装置100は、観客数を単価としてシネアド料金を算出するので、予測動員数に基づいて、より正確にシネアド収益を予測できる。
また、予測部132は、映画館において映画が封切りされた後の状況に基づいて、映画館側が得られる利益を予測する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、時事の状況に応じた映画館側の利益を予測することができる。すなわち、実施形態に係る広告装置100は、流行に左右される映画の売上についても考慮したうえで、映画館側の利益を予測する。
また、予測部132は、映画館で上映される映画に関するコンテンツ情報に基づいて、映画館側が得られる利益を予測する。具体的には、予測部132は、コンテンツ情報として、映画の制作者に関する情報、又は、映画自体に関する情報を用いて、映画館側が得られる利益を予測する。
ここで、予測部132は、映画の制作者に関する情報として、映画の制作者、監督、配給会社、制作者の国籍、制作者の動員実績の少なくとも1つを用いて、映画館側が得られる利益を予測する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、映画の制作者に関する複数の指標を用いて、映画館側の利益を予測する。このため、実施形態に係る広告装置100は、単独の指標を用いるよりも予測値が離散することを防止できるので、高い精度で映画館側の利益を予測することができる。
また、予測部132は、映画自体に関する情報として、映画のジャンル、タイトル、出演者、評判の少なくとも1つを用いて、映画館側が得られる利益を予測する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、映画自体に関する複数の指標を用いて、映画館側の利益を予測する。このため、実施形態に係る広告装置100は、単独の指標を用いるよりも予測値が離散することを防止できるので、高い精度で映画館側の利益を予測することができる。
また、予測部132は、映画館に関する施設情報に基づいて、映画館側が得られる利益を予測する。具体的には、予測部132は、映画館に関する情報として、映画館自体に関する情報、又は、映画館における観客に関する情報を用いて、映画館側が得られる利益を予測する。
ここで、予測部132は、映画館自体に関する情報として、映画館が所在する地域、映画館で映画が提供される日程、映画館に収容可能な収容数、映画館において提供される映画の傾向又はジャンル、映画館を運営する運営会社、及び、映画館において映画を同時に提供可能な数の少なくとも1つを用いて、映画館側が得られる利益を予測する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、映画館自体に関する複数の指標を用いて、映画館側の利益を予測する。このため、実施形態に係る広告装置100は、上映される映画そのものの情報のみならず、映画に関わる施設などの情報も含めて映画館の利益を予測するので、より正確な映画館側の利益の予測できる可能性を高めることができる。
また、予測部132は、映画館における観客に関する情報として、映画館における観客の動員数の実績、映画館における観客の現時点での動員数、及び、映画館における観客の属性の少なくとも1つを用いて、映画館側が得られる利益を予測する。
これにより、実施形態に係る広告装置100は、観客に関する複数の指標を用いて、映画館側の利益を予測する。このため、実施形態に係る広告装置100は、例えば、シネアドに係る料金がターゲティング対象によって料金が変わるような態様になっている場合に、観客の属性を用いることによりシネアド料金を高い精度で予測できる。すなわち、実施形態に係る広告装置100は、収益に係る様々な指標を用いることにより、高い精度で映画館側の利益を予測することができる。
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、提供部は、提供手段や提供回路に読み替えることができる。