JP6020085B2 - 酸性ガス安定処理方法及び燃焼排ガス処理施設 - Google Patents
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Description
集塵機で集塵された飛灰は、有害なパラジウム(Pd)、カドミウム(Cd)等の重金属類を含有している。これら有害な重金属類は、安定化処理された後、最終処分場で埋め立て処分される(例えば、特許文献1参照)。
前記酸性ガス濃度測定工程において測定されたリアルタイムの酸性ガス濃度である瞬時酸性ガス濃度の変化の割合を表す酸性ガス濃度量を、前記酸性ガス濃度に基づいて算出した酸性ガスに関する情報である酸性ガス情報とした場合において、
前記酸性ガス情報を算出し、前記酸性ガス情報に基づいて、少なくとも5〜30μmの微粉の重曹を含有した第1アルカリ剤の通常添加量値を算出し、前記通常添加量値を第1添加量として算出する第1算出工程と、
所定時間における複数の前記第1添加量から算出した平均第1添加量を、前記第1添加量に関する第1添加量情報とした場合において、
前記第1添加量情報に基づいて、少なくとも消石灰を含有した第2アルカリ剤の第2添加量を算出する第2算出工程と、
前記第1添加量の前記第1アルカリ剤を前記燃焼排ガスに添加する第1添加工程と、
前記第2添加量の前記第2アルカリ剤を前記燃焼排ガスに添加する第2添加工程とを含む。
前記第2算出工程は、前記第2添加量情報を算出し、前記平均第1添加量と前記平均第2添加量と予め規定された、前記第1アルカリ剤の目標添加量とに基づいて前記第2添加量を算出することが好ましい。
前記第1算出工程は、
前記酸性ガス情報を算出し、前記酸性ガス情報に基づいて、前記第1アルカリ剤の通常添加量値を算出し、前記通常添加量値を第1添加量として算出する代わりに、
前記酸性ガス濃度が一定状態を保っている又は減少している下降状態の場合、前記瞬時酸性ガス濃度と、前記基本添加量対応情報における前記酸性ガス濃度に対する前記第1アルカリ剤の添加量の値を所定の補正方法で下げた減少用添加量対応情報と、に基づいて前記通常添加量値を算出し、
また、前記酸性ガス濃度が増加している上昇状態の場合、前記瞬時酸性ガス濃度と、前記基本添加量対応情報における酸性ガス濃度の値を所定の補正方法で小さくした増加用添加量対応情報と、に基づいて前記通常添加量値を算出することが好ましい。
前記複数の対応添加量上限値は、それぞれ、複数の酸性ガスの所定濃度値に対応しており、
前記酸性ガス情報は、前記酸性ガス濃度測定工程において測定された酸性ガス濃度である瞬時酸性ガス濃度を含んでおり、
前記第1算出工程は、前記瞬時酸性ガス濃度が、前記複数の酸性ガスの所定濃度値のうち隣接する2つの酸性ガスの所定濃度値の範囲内にある場合、その隣接する2つの酸性ガスの所定濃度値のうち高い濃度に対応する対応添加量上限値に基づいて、前記通常添加量値を算出することが好ましい。
前記酸性ガス濃度測定工程は、前記酸性ガス中の塩化水素ガス濃度を測定する塩化水素ガス濃度測定工程と、前記酸性ガス中の硫黄酸化物濃度を測定する硫黄酸化物濃度測定工程と、を含み、
前記塩化水素ガス濃度測定工程において測定されたリアルタイムの前記酸性ガス中の塩化水素ガス濃度を前記塩化水素ガスに関する塩化水素情報とし、
また、前記硫黄酸化物濃度測定工程において測定されたリアルタイムの前記酸性ガス中の硫黄酸化物濃度を前記硫黄酸化物ガスに関する硫黄酸化物情報とした場合において、
前記酸性ガス情報は、前記塩化水素情報と前記硫黄酸化物情報とを含み、
前記第1算出工程は、前記塩化水素情報に基づいて算出した塩化水素ガス添加量と、前記硫黄酸化物情報に基づいて算出した硫黄酸化物ガス添加量と、所定の時間における複数の前記第1添加量の平均添加量に基づいて算出される基礎添加量と、に基づいて、前記通常添加量値を算出することが好ましい。
前記第1算出工程は、前記平均酸性ガス濃度が予め規定された緊急添加濃度を超えると、前記通常添加量値の代わりに、予め規定された緊急添加量を前記第1添加量として算出することが好ましい。
集塵機と、
前記燃焼排ガスを前記集塵機に導入する導入路と、
前記集塵機で処理された処理後燃焼排ガスを前記集塵機から排出する排出路と、
前記酸性ガス濃度測定工程を実行し、前記酸性ガス情報を酸性ガス濃度信号として出力する酸性ガス測定装置と、
前記酸性ガス濃度信号の前記酸性ガス情報に基づいて前記第1算出工程を実行し、前記第1添加量を第1添加量信号として出力する第1添加量算出部と前記第1添加量信号に基づいて前記第2算出工程を実行し、前記第2添加量を第2添加量信号として出力する第2添加量算出部とを有する添加量制御装置と、
前記第1添加量信号に基づいて前記第1添加工程を実行する第1添加装置と、
前記第2添加量信号に基づいて前記第2添加工程を実行する第2添加装置と、を備える。
第1アルカリ剤が微粉重曹である場合において、第1アルカリ剤は、塩化水素、硫黄酸化物共に安定して処理することができるように、発生する酸性ガス濃度(HCl、SO2)あたり、0.10〜0.60当量、好ましくは0.15〜0.50当量となるよう添加することが好ましい。
また、燃焼排ガス処理施設10は、通常、排出路4に設置されている塩化水素ガス濃度測定装置32の塩化水素ガス濃度信号S1と、硫黄酸化物ガス濃度測定装置34の硫黄酸化物ガス濃度信号S2とに応じて、第1アルカリ剤の添加量をフィードバック制御するので、従来の燃焼排ガス処理施設に、新たな測定装置を設置することなく、第1アルカリ剤と第2アルカリ剤との添加量を適正に制御することが可能である。
第1添加量信号S21は、第1添加装置42が添加する第1アルカリ剤の単位時間当たりの第1添加量(kg/h)を示す。第2添加量信号S22は、第1添加装置42が添加する第2アルカリ剤の単位時間当たりの第2添加量(kg/h)を示す。
添加量制御装置50は、処理後燃焼排ガスの酸性ガス濃度(ppm)が制御目標値SV(ppm)以下になるように、酸性ガス濃度信号S0の酸性ガス濃度に基づいて、第1添加量信号S21、第2添加量信号S22を出力する。
添加量制御装置50は、塩化水素ガス濃度測定装置32や硫黄酸化物ガス濃度測定装置34の計測遅延時間、第1添加装置42及び第2添加装置44から導入路3までの添加遅延時間等、遅延時間が大きくなるにつれて、フィードバック制御の悪影響を受け、第1添加装置42及び第2添加装置44がそれぞれ添加する第1アルカリ剤及び第2アルカリ剤の添加量を増加させるおそれがある。
そこで、添加量制御装置50は、後述するように、計測遅延時間やフィードバック制御の演算に要する時間を考慮した、計測遅延時間による安定化制御を行う。
基礎添加量Fa(kg/h)は、例えば、10分間のような所定の時間当たりにおける第1添加量(kg/h)の平均添加量(kg/h)とされる。
これに対して、燃焼排ガス処理施設10は、集塵機によって処理された処理後燃焼排ガスの濃度(ppm)に基づいて、集塵機で処理される前の燃焼排ガスにアルカリ剤を添加する添加量(kg/h)を制御するフィードバック制御を行う。このフィードバック制御は、塩化水素ガス濃度(ppm)や硫黄酸化物ガス濃度(ppm)の瞬時値に対し制御目標値(ppm)を設けるのが一般的であるが、制御目標値(ppm)はあくまで最終目標値であり、最終目標値になるよう制御している最中に、制御目標値(ppm)を超える塩化水素ガス濃度(ppm)や硫黄酸化物ガス濃度(ppm)となることがある。
特に、アルカリ剤の添加量(kg/h)の削減と塩化水素ガスや硫黄酸化物ガスの安定処理は相反する思想であることから、アルカリ剤の添加量(kg/h)を削減すると、1時間平均濃度(ppm)が決められた管理濃度(ppm)を超える可能性が高い。
つまり、仮添加量算出部66は、酸性ガス濃度(ppm)の平均値が予め規定された緊急添加濃度(ppm)を超えると、通常添加量値(kg/h)の変わりに、予め規定された緊急添加量(kg/h)を添加するような第1添加量を算出する。このため、アルカリ剤の添加量(kg/h)をフィードバック制御する際に、1時間平均値(ppm)が管理濃度(ppm)以上、もしくはそれに近い濃度(ppm)に達した場合、仮添加量算出部66は、緊急時判断部65からの緊急時判断信号S7に基づいて、通常添加量値(kg/h)よりも多い緊急添加量(kg/h)を算出するので、添加量削減と酸性ガスの安定処理が両立できる安心度の高い制御が可能となる。
これにより、機器添加量制限部67は、制御目標値SV(ppm)以下になるように、常に、最大添加量LHS(kg/h)と最小添加量LOS(kg/h)との間にある第1添加量(kg/h)の第1アルカリ剤を添加させるべく、第1添加量信号S21の出力を行う。
具体的には、飛灰に含まれる重金属類は、一般的に、ジエチルジチオカルバミン酸塩等のキレートの添加によって固定化され、不溶化処理される。しかし、重金属類のキレートによる固定効果は短期的には高いが、最終処分場における酸性雨によるpH低下及びキレートの酸化自己分解により、固定化された重金属類から鉛等の重金属類が再溶出する虞がある。
そこで、リン酸等のリン酸化合物を重金属類に添加することによって、添加された重金属類は、無機鉱物であるヒドロキシアパタイト形態まで変化させることができるので、最終処分場における長期安定性に優れる。このため、リン酸等のリン酸化合物を重金属類に添加する安定化処理は、環境保護の観点から非常に価値の高い処理方法である。さらに、微粉重曹で処理した飛灰をリン酸等の重金属固定剤で処理する方法は、多くの環境負荷低減効果を持つ有効な手段である。
飛灰の固化処理を行う際には、焼き石膏、ポルトランドセメント、早強セメント、ジェットセメント、高炉セメント、アルミナセメント等のセメント類を添加しても良い。
特に飛灰中の重金属に、鉄系化合物、リン酸化合物、中和剤の少なくとも1つ以上を適用し、重金属処理を実施する場合、未反応のアルカリ残分は、これらの重金属固定剤の添加量を増加させる。これに対し、本発明に係る安定処理方法を適用することにより、アルカリ剤の添加量を適正化し、未反応のアルカリ残分を減少させることができ、飛灰重金属固定剤の添加量を削減でき、環境負荷を低減できる。
基本添加量対応情報は、第1アルカリ剤の添加量を添加量制御装置50の下限(最小添加量LOS(kg/h))に対応する酸性ガス濃度と上限(最大添加量LHS(kg/h))に対応する酸性ガス濃度との間に、ある一定の塩化水素ガス濃度範囲で、ある一定の制御出力値を超える出力がされないよう添加量を制限するように、規定されている。
瞬時塩化水素ガス濃度PV(ppm)が、制御目標値SV(ppm)以上、第1出力制限添加量LM1(kg/h)に対応する第1出力制限対応濃度SM1(ppm)未満の範囲(点aから点bの範囲)では、添加量SQ(kg/h)は以下の式に基づいて規定される。
瞬時塩化水素ガス濃度PV(ppm)が、第2出力制限添加量LM2(kg/h)に対応する第2出力制限対応濃度SM2(ppm)以上(点e以降の範囲)では、添加量SQ(kg/h)は出力上限添加量LM3に規定される。なお、第2出力制限添加量LM2、出力上限添加量LM3は、いずれも、対応添加量上限値である。
上昇補正値規定部621bは、硫黄酸化物ガス濃度量θの値が正のとき、すなわち、硫黄酸化物ガス濃度が上昇しているとき、基本添加量対応情報を補正する基本となる上昇補正値SVA(ppm)を規定している。
下降補正値規定部624bは、硫黄酸化物ガス濃度量θの値が0又は負のとき、すなわち、硫黄酸化物ガス濃度が安定しているか降下しているとき、基本添加量対応情報を補正する基本となる降下補正係数LMG(単位は無次元)を規定している。降下補正係数LMGは、1未満の値とされる。
まず、燃焼排ガス処理施設10が作動中、燃焼排ガスを集塵機18で処理し、導入路3内を流れる処理後燃焼排ガス中の酸性ガス濃度を測定する酸性ガス濃度測定工程が行われる。
具体的には、塩化水素ガス濃度測定装置32が、酸性ガス中のリアルタイムの塩化水素ガス濃度である瞬時塩化水素ガス濃度を測定する塩化水素ガス濃度測定工程を行い、測定された瞬時塩化水素ガス濃度を塩化水素ガス濃度信号S1として、出力する。同様に、硫黄酸化物ガス濃度測定装置34が、酸性ガス中のリアルタイムの硫黄酸化物ガス濃度である瞬時硫黄酸化物ガス濃度を測定する硫黄酸化物濃度測定工程を行い、測定された瞬時硫黄酸化物ガス濃度を硫黄酸化物ガス濃度信号S2として、出力する。
図6に示すように、基礎添加量算出部623aにおいて、例えば、10分間のような所定の時間における第1添加量(kg/h)の平均添加量に基づいて基礎添加量Faを算出する(ステップST01)。ここで算出された基礎添加量Faは添加量SQ(kg/h)を下げるための基礎となる値であり、ステップST11及びST15で用いられる。
具体的には、添加量算出部626aは、まず、添加量対応情報線L(0−点a−点b間を結ぶ線、点c−点d間を結ぶ線、点e以降の線)の瞬時塩化水素ガス濃度PVの値を上昇補正値SVAだけ減算して、添加量対応情報線L1(0−点a1−点b1間を結ぶ線、点c1−点d1間を結ぶ線、点e1以降の線)を算出する。
添加量算出部626aは、次に、添加量対応情報線L1で得られる添加量SQの値を基礎添加量Faだけ少なくした添加量対応情報線L2(0−点a1−点b2間を結ぶ線、点c2−点d2間を結ぶ線、点e2以降の線、増加用添加量対応情報)を算出する。
図6に示すように、次に、添加量算出部626aは、添加量対応情報線L2に基づいて、瞬時塩化水素ガス濃度PVに応じた添加すべき添加量SQ(kg/h)を算出する(ステップST05〜ST17)。
具体的には、添加量対応情報線L2の(制御目標値SV(ppm)−上昇補正値SVA(ppm))から(第1出力制限対応濃度SM1(ppm)−上昇補正値SVA(ppm))までの範囲における添加量SQ(kg/h)は、以下の式に基づいて算出される。
具体的には、添加量対応情報線L4の(制御目標値SV(ppm))から(第1出力制限対応濃度SM1(ppm))までの範囲における添加量SQ1(kg/h)は、以下の式に基づいて算出される。
酸性ガスの変動が激しい産業廃棄物焼却炉において、アルカリ剤添加装置が設置されている位置より、上流側の導入路3(入口HCl)に塩化水素測定機器(京都電子工業株式会社製、KLA−1)を設置し、塩化水素ガス濃度を測定した。また、消石灰(第2アルカリ剤、JIS特号消石灰)を集塵機18の上流側に338kg/hの定量で添加すると共に、微粉重曹(第1アルカリ剤2、栗田工業株式会社製、ハイパーサーB−200)を集塵機18の下流側の排出路4に設置された塩化水素測定機器(京都電子工業株式会社製、KLA−1)で測定された塩化水素ガス濃度(出口HCl)が出力される塩化水素ガス濃度信号S1と、硫黄酸化物測定機器(富士電機株式会社製、ZRG)で測定された硫黄酸化物ガス濃度(出口SOx)が出力される硫黄酸化物ガス濃度信号S2と、に基づいて排出路4内の濃度を管理する酸素換算値にてフィードバック制御を実施した。
尚、この際、微粉重曹(第1アルカリ剤)の出口塩化水素(入口HCl)、硫黄酸化物濃度信号によるフィードバック制御は、以下に示す設定で行った。
本評価条件においては、消石灰を1.88当量(338kg/h)、微粉重曹0.28当量(115kg/h)添加することにより出口塩化水素ガス濃度(出口HCl)を195ppm(制御目標値200ppm)と制御目標値と同等の処理ができており、適正な制御が可能であった。
図8及び図11に入口塩化水素ガス濃度(入口HCl)と消石灰添加当量の推移を示す。
図8のグラフによれば、入口塩化水素ガス濃度(入口HCl)が増加するにつれて消石灰添加当量が低下する傾向がある。これは、入口塩化水素ガス濃度(入口HCl)が低い場合には消石灰が過剰に噴霧され、入口塩化水素ガス濃度(入口HCl)が低下した際には消石灰が不足し、比較的高価な第1アルカリ剤の添加量が増加することを示す。
飛灰の重金属処理に関しては、飛灰中の原灰INDEX(アルカリ残分)平均は、305であった。また、75%リン酸水溶液3%を添加し、27%硫酸アルミニウム水溶液の添加量を変え必要添加量を評価した結果、27%硫酸アルミニウム水溶液の必要添加量は、平均で55%であった。
第2アルカリ剤:消石灰:338(kg/h)定量添加
AgSO=AgSQ÷LHS×100
AgSO:微粉重曹添加出力(%)
AgSQ:微粉重曹添加量(通常添加量値)(kg/h)
LHS:微粉重曹添加装置の最大添加量(第1添加装置の最大添加量):400(kg/h)
AgSQ=(AgS1+AgS2)+Fa
AgS1:出口HCl測定機器の出力から規定される添加量(塩化水素側添加量)(kg/h)
AgS2:出口SO2測定機器の出力から規定される添加量(硫黄酸化物側添加量)(kg/h)
Fa:微粉重曹基礎添加量(基礎添加量)(kg/h)
Fa:基礎添加量(kg/h):n分移動平均添加量(kg/h)×係数(%)÷100
n分移動平均:10(分)
係数:70.0(%)
ここで、AgSQがLHSを超える場合は、LHSとした。
また、AgSQがLOS(微粉重曹添加装置の最小添加量(第1添加装置の最小添加量))(kg/h)以下の場合は、LOSとした。
LOS:微粉重曹添加装置の最小添加量(第1添加装置の最小添加量):40(kg/h)
また、出口HCl濃度(塩化水素ガス濃度)、出口SO2濃度(硫黄酸化物ガス濃度)がある一定濃度以上になった場合、本添加出力とは緊急添加量の添加出力を規定した。
緊急添加[出口HCl 1時間平均による制御]
HCl緊急添加濃度:213(ppm)
HCl緊急添加量:260(kg/h)
緊急添加[出口SO2 1時間平均による制御]
SO2緊急添加濃度:200(ppm)
SO2緊急添加量:260(kg/h)
同一施設において、消石灰(第2アルカリ剤、JIS特号消石灰)を前述した微粉重曹(第1アルカリ剤、栗田工業株式会社製、ハイパーサーB−200)の添加量をもとに添加制御した以外は、比較例と同一の方法で行った。
消石灰(第2アルカリ剤)と微粉重曹(第1アルカリ剤)との制御は、以下に示す制御設定で行った。
消石灰の添加量を微粉重曹の添加量で以下の式で制御したことにより、消石灰を1.74当量(295kg/h)、微粉重曹0.28当量(106kg/h)の添加で出口塩化水素ガス濃度(出口HCl)を195ppm(制御目標値200ppm)と同様に適正な制御が可能であった。また、本発明により消石灰を制御することで、消石灰の必要添加量を比較例に比べ削減することができた。
飛灰の重金属処理に関しては、飛灰中の原灰INDEX(アルカリ残分)平均は、260と比較例に比べアルカリ残分を低下することができた。また、添加当量のバラツキもわずかであり、変動の範囲は230〜290であった。
また、同様に75%リン酸水溶液3%を添加し、27%硫酸アルミニウム水溶液の添加量を変え必要添加量を評価した結果、27%硫酸アルミニウム水溶液の必要添加量は、平均で45%と重金属固定剤の添加量を削減することができた。
AgCO=AgCQ÷LHC×100
AgCO:消石灰添加出力(%)
AgCQ:消石灰添加量(kg/h)
AgCQAve:第2アルカリ剤消石灰のn分移動平均添加量(kg/h)
AgSQAve:第1アルカリ剤微粉重曹のn分移動平均添加量(kg/h)
AgSQT:第1アルカリ剤微粉重曹の目標添加量(kg/h)
ここで、AgCQがLMHCを超える場合は、LMHCとした。
また、AgCQがLMOC以下の場合は、LMOCとした。
また、n分移動平均は、以下のように設定する。
第2アルカリ剤(消石灰)の制御
LOC:消石灰機器最小添加量:45(kg/h)
LHC:消石灰機器最大添加量(kg/h):450(kg/h)
LMOC消石灰制御最小添加量:200(kg/h)
LMHC消石灰制御最大添加量:360(kg/h)
消石灰:AgCQAveのn分移動平均時間:10分
微粉重曹:AgSQAveのn分移動平均時間:30分
また、微粉重曹の目標添加量は、以下のように設定する。
微粉重曹の目標添加量:105(kg/h)
また、第1アルカリ剤(微粉重曹)の制御は、比較例1と同一設定にした。
同一施設において、消石灰(第2アルカリ剤、JIS特号消石灰)を前述した微粉重曹(第1アルカリ剤、栗田工業株式会社製、ハイパーサーB−200)の添加量をもとに添加制御した以外は、比較例と同一の方法で行った。
尚、この際、消石灰(第2アルカリ剤)と微粉重曹(第1アルカリ剤)との制御は、以下に示す制御設定で行った。
AgCQ1Ave:AgCQ1のn分移動平均添加量(kg/h)
AgCQ1=A×AgSQ+B
AgSQ:アルカリ剤2微粉重曹の添加量(kg/h)
AgCQ1の係数A:1.5
AgCQ1の切片B:100
ここで、AgCQがLMHCを超える場合は、LMHCとした。
また、AgCQがLMOC以下の場合は、LMOCとした。
LOC:消石灰機器最小添加量:45(kg/h)
LHC:消石灰機器最大添加量:450(kg/h)
LMOC:消石灰 制御最小添加量:45(kg/h)
LMHC:消石灰 制御最大添加量:405(kg/h)
また、n分移動平均は、以下のように設定する。
AgCQ1:Aveのn分移動平均時間:30(分)
また、本発明により消石灰を制御することで、消石灰の必要添加量を比較例に比べ大きく削減することができた。
また、飛灰の重金属処理に関しても、飛灰中の原灰INDEX(アルカリ残分)平均は、230と比較例に比べアルカリ残分を低下し、コントロール性向上により変動も少なくなっており、酸性薬剤で処理しやすい飛灰性状と言える。
また、同様に75%リン酸水溶液3%を添加し、27%硫酸アルミニウム水溶液の添加量を変え必要添加量を評価した結果、27%硫酸アルミニウム水溶液の必要添加量は、平均で40%と重金属固定剤の添加量も削減することができた。
AgCQA 平均第2添加量
AgS1 塩化水素側添加量
AgS2 硫黄酸化物側添加量
AgSQ 第1添加量、通常添加量値
AgSQA 平均第1添加量
AgSQT 目標添加量
Fa 基礎添加量
L、L1、L2、L3、L4 添加量対応情報線
LHS 最大添加量
LM1 第1出力制限添加量
LM2 第2出力制限添加量
LM3 出力上限添加量
LMG 降下補正係数
LOS 最小添加量
PV 瞬時塩化水素ガス濃度、瞬時硫黄酸化物ガス濃度
S0 酸性ガス濃度信号
S1 塩化水素ガス濃度信号
S2 硫黄酸化物ガス濃度信号
S3 塩化水素添加量信号
S4 硫黄酸化物添加量信号
S5 基礎添加量信号
S6 通常添加量信号
S7 緊急時判断信号
S8 仮第1添加量信号
S11 平均第1添加量信号
S12 平均第2添加量信号
S13 目標添加量信号
S21 第1添加量信号
S22 第2添加量信号
SM1 第1出力制限対応濃度
SM2 第2出力制限対応濃度
SQ、SQ1 添加量
SV 制御目標値
SVA 上昇補正値
2 配管
3 導入路
4 排出路
10 燃焼排ガス処理施設
12 燃焼炉
14 ボイラ
16 減温塔
18 集塵機
19 飛灰集積装置
20 ファン
22 煙突
30 酸性ガス測定装置
32 塩化水素ガス濃度測定装置
34 硫黄酸化物ガス濃度測定装置
42 第1添加装置
44 第2添加装置
50 添加量制御装置
60 第1添加量算出部
61 メイン添加量算出部
62a 塩化水素ガス算出部
62b 硫黄酸化物ガス算出部
63 基礎添加量算出部
64 通常添加量算出部
65 緊急時判断部
66 仮添加量算出部
67 機器添加量制限部
70 第2添加量算出部
71 平均第1添加量算出部
72 平均第2添加量算出部
73 目標添加量規定部
74 第2添加量基礎算出部
621a、621b 上昇補正値規定部
622a、622b 濃度量算出部
623a、623b 基礎添加量算出部
624a、624b 下降補正値規定部
625a、625b 添加量対応規定部
626a、626b 添加量算出部
Claims (8)
- 酸性ガスが含まれる燃焼排ガスを燃焼排ガス処理施設で安定的に処理する安定処理方法であって、
前記燃焼排ガスを集塵機で処理した処理後燃焼排ガス中の酸性ガス濃度を測定する酸性ガス濃度測定工程と、
前記酸性ガス濃度測定工程において測定されたリアルタイムの酸性ガス濃度である瞬時酸性ガス濃度の変化の割合を表す酸性ガス濃度量を、前記酸性ガス濃度に基づいて算出した酸性ガスに関する情報である酸性ガス情報とした場合において、
前記酸性ガス情報を算出し、前記酸性ガス情報に基づいて、少なくとも5〜30μmの微粉の重曹を含有した第1アルカリ剤の通常添加量値を算出し、前記通常添加量値を第1添加量として算出する第1算出工程と、
所定時間における複数の前記第1添加量から算出した平均第1添加量を、前記第1添加量に関する第1添加量情報とした場合において、
前記第1添加量情報に基づいて、少なくとも消石灰を含有した第2アルカリ剤の第2添加量を算出する第2算出工程と、
前記第1添加量の前記第1アルカリ剤を前記燃焼排ガスに添加する第1添加工程と、
前記第2添加量の前記第2アルカリ剤を前記燃焼排ガスに添加する第2添加工程とを含む、酸性ガス安定処理方法。 - 過去の第2添加量から前記所定時間における前記第2添加量の平均第2添加量を第2添加量情報とした場合において、
前記第2算出工程は、前記第2添加量情報を算出し、前記平均第1添加量と前記平均第2添加量と予め規定された、前記第1アルカリ剤の目標添加量とに基づいて前記第2添加量を算出する、請求項1に記載の酸性ガス安定処理方法。 - 予め、前記瞬時酸性ガス濃度と前記第1アルカリ剤の添加量とを関係づけた基本添加量対応情報を規定し、
前記第1算出工程は、
前記酸性ガス情報を算出し、前記酸性ガス情報に基づいて、前記第1アルカリ剤の通常添加量値を算出し、前記通常添加量値を第1添加量として算出する代わりに、
前記酸性ガス濃度が一定状態を保っている又は減少している下降状態の場合、前記瞬時酸性ガス濃度と、前記基本添加量対応情報における前記酸性ガス濃度に対する前記第1アルカリ剤の添加量の値を所定の補正方法で下げた減少用添加量対応情報と、に基づいて前記通常添加量値を算出し、
また、前記酸性ガス濃度が増加している上昇状態の場合、前記瞬時酸性ガス濃度と、前記基本添加量対応情報における酸性ガス濃度の値を所定の補正方法で小さくした増加用添加量対応情報と、に基づいて前記通常添加量値を算出する、請求項2に記載の酸性ガス安定処理方法。 - 前記第1添加工程において添加できる最大添加量と最小添加量との間に複数の対応添加量上限値が設けられ、
前記複数の対応添加量上限値は、それぞれ、複数の酸性ガスの所定濃度値に対応しており、
前記酸性ガス情報は、前記酸性ガス濃度測定工程において測定された酸性ガス濃度である瞬時酸性ガス濃度を含んでおり、
前記第1算出工程は、前記瞬時酸性ガス濃度が、前記複数の酸性ガスの所定濃度値のうち隣接する2つの酸性ガスの所定濃度値の範囲内にある場合、その隣接する2つの酸性ガスの所定濃度値のうち高い濃度に対応する対応添加量上限値に基づいて、前記通常添加量値を算出する、請求項1に記載の酸性ガス安定処理方法。 - 前記酸性ガスは、塩化水素ガスと硫黄酸化物ガスとを含み、
前記酸性ガス濃度測定工程は、前記酸性ガス中の塩化水素ガス濃度を測定する塩化水素ガス濃度測定工程と、前記酸性ガス中の硫黄酸化物濃度を測定する硫黄酸化物濃度測定工程と、を含み、
前記塩化水素ガス濃度測定工程において測定されたリアルタイムの前記酸性ガス中の塩化水素ガス濃度を前記塩化水素ガスに関する塩化水素情報とし、
また、前記硫黄酸化物濃度測定工程において測定されたリアルタイムの前記酸性ガス中の硫黄酸化物濃度を前記硫黄酸化物ガスに関する硫黄酸化物情報とした場合において、
前記酸性ガス情報は、前記塩化水素情報と前記硫黄酸化物情報とを含み、
前記第1算出工程は、前記塩化水素情報に基づいて算出した塩化水素ガス添加量と、前記硫黄酸化物情報に基づいて算出した硫黄酸化物ガス添加量と、所定の時間における複数の前記第1添加量の平均添加量に基づいて算出される基礎添加量と、に基づいて、前記通常添加量値を算出する、請求項1又は2に記載の酸性ガス安定処理方法。 - 前記酸性ガス情報は、所定時間における複数の前記酸性ガス濃度から算出した平均酸性ガス濃度を含み、
前記第1算出工程は、前記平均酸性ガス濃度が予め規定された緊急添加濃度を超えると、前記通常添加量値の代わりに、予め規定された緊急添加量を前記第1添加量として算出する、請求項1から5のいずれかに記載の酸性ガス安定処理方法。 - さらに、前記集塵機において集塵された飛灰に、鉄系化合物、リン酸含有化合物及び中和剤から選ばれる少なくとも1種以上を添加する固定化処理工程を含む、請求項1から6のいずれかに記載の酸性ガス安定処理方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の酸性ガス安定処理方法を実行する燃焼排ガス処理施設であって、
集塵機と、
前記燃焼排ガスを前記集塵機に導入する導入路と、
前記集塵機で処理された処理後燃焼排ガスを前記集塵機から排出する排出路と、
前記酸性ガス濃度測定工程を実行し、前記酸性ガス情報を酸性ガス濃度信号として出力する酸性ガス測定装置と、
前記酸性ガス濃度信号の前記酸性ガス情報に基づいて前記第1算出工程を実行し、前記第1添加量を第1添加量信号として出力する第1添加量算出部と前記第1添加量信号に基づいて前記第2算出工程を実行し、前記第2添加量を第2添加量信号として出力する第2添加量算出部とを有する添加量制御装置と、
前記第1添加量信号に基づいて前記第1添加工程を実行する第1添加装置と、
前記第2添加量信号に基づいて前記第2添加工程を実行する第2添加装置と、を備える燃焼排ガス処理施設。
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