(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1に示す車両1は、軌道4に沿って走行する移動体である。車両1は、電車、機関車、客車又は貨車などの鉄道車両である。図1に示す車両1は、例えば、高速で走行する新幹線(登録商標)又は在来線の鉄道車両である。車両1は、車体2と輪軸3などを備えている。車体2は、乗客又は貨物を積載し輸送するための構造物である。図1に示す輪軸3は、車輪3aと車軸3bとを組み立てた部材である。輪軸3は、左右一対の車輪3aに車軸3bを圧入して組み立てられており、車体2を搭載してレール6A,6B上を転動する台車の一部を構成している。図1及び図3〜図6に示す車輪3aは、図1及び図2に示すレール6A,6Bと回転接触する部材である。車輪3aは、図3〜図6に示すように、レール頭部6aの頭頂面6dと接触して摩擦抵抗を受ける踏面3cと、脱輪を防止するために車輪3aの外周部に連続して形成されたフランジ面3dとを備えている。図1に示す車軸3bは、車輪3aに圧入されて車両1の走行とともに回転する軸状部材である。
図1及び図2に示す軌道4は、車両1が走行する通路(線路)である。軌道4は、図2に示す道床5と、図1及び図2に示すレール6A,6Bと、図1〜図4及び図6に示すまくらぎ7と、図3及び図4に示すレール締結装置8などを備えている。図1及び図2に示す軌道4は、例えば、レール6A,6Bとまくらぎ7とを梯子状に組み立てた軌きょうを道床バラスト上に敷設した有道床軌道である。
図2に示す道床5は、まくらぎ7を支持する部材である。道床5は、まくらぎ7を支持した状態で路盤に荷重を分散し伝達する構造体として機能する。道床5は、まくらぎ7と路盤との間に敷き詰められる砂利又は砕石などの粒状体であるバラストによって構成されたバラスト道床である。
図1〜図6に示すレール6A,6Bは、車両1の車輪3aを支持し案内してこの車両1を走行させる部材である。レール6A,6Bは、いずれも同一構造であり端部が直角に切断された状態で間隔をあけて突き合わされている。レール6A,6Bは、図3〜図6に示すように、レール頭部6aと、レール底部(フランジ部)6bと、レール腹部(ウェブ部)6cなどを備えている。レール頭部6aは、車両1の車輪3aと接触する部分であり、車輪3aを直接支持する頭頂面(頭部上面)6dなどを備えている。レール底部6bは、まくらぎ7上に設置されて取り付けられる部分であり、レール底部6bの左右の上面部分を構成する底部上面6eと、レール底部6bの下面部分を構成する底部下面6fなどを備えている。レール腹部6cは、レール頭部6aとレール底部6bとを繋ぐ部分であり、レール頭部6aに作用する輪重及び横圧をレール底部6bに伝達する。レール腹部6cは、図6に示すように、継目板10A,10Bを取り付ける腹部側面6gなどを備えている。
図1〜図4及び図6に示すまくらぎ7は、レール6A,6Bを支持する支持体(支承体)である。まくらぎ7は、左右のレール6A,6Bを固定して軌間を正確に保持し、レール6A,6Bから伝達される列車荷重を道床5に分散させるために、図2に示すようにレール6A,6Bと道床5との間に設置されている。図1〜図4及び図6に示すまくらぎ7は、レール6A,6Bに対して直角に並べて敷設される横まくらぎ(一般区間で使用される並まくらぎ)であり、緊張材として使用される鋼材(Prestressing Steel(PC))によってプレストレスが与えられたプレストレスコンクリート製まくらぎ(PCまくらぎ)である。まくらぎ7は、図1及び図2に示すように、レール6A,6Bの長さ方向に所定の間隔をあけて配置されており、レール6A,6Bを離散的に支持している。
図3及び図4に示すレール締結装置8は、レール6A,6Bをまくらぎ7に締結する装置である。レール締結装置8は、タイプレート8aと、締結ばね8bと、締結ボルト8c,8eと、締結ナット8d,8fと、軌道パッド8gなどを備えている。タイプレート8aは、レール6A,6Bとまくらぎ7との間に挿入されてレール6A,6Bの横方向の移動を規制する部材である。締結ばね8bは、レール6A,6Bのレール底部6bの底部上面6eを押さえ付けて締結する部材である。締結ボルト8cは、締結ばね8bを締め付ける部材であり、締結ナット8dはこの締結ボルト8cに締結される部材である。締結ボルト8eは、まくらぎ7に埋め込まれた埋込栓の雌ねじ部と噛み合ってタイプレート8aをまくらぎ7に固定する部材である。締結ナット8fは、締結ボルト8eに締結される部材である。軌道パッド8gは、レール底部6bとタイプレート8aとの間に挿入される部材であり、これらの間を電気的に絶縁するとともに車両1が通過する際に発生する振動を吸収するゴム製の板状部材である。
図1に示す区間AT,BTは、1列車のみが占有を許可される区間である。区間AT,BTは、例えば、列車の衝突を防止するために、一定区間に1列車のみを占有させて、他の列車がこの一定区間に進入することを禁止する閉そく区間である。区間AT,BTは、軌道4を構成する左右のレール6A,6Bを電気回路の一部として利用しており、列車が進入して左右の車輪3aと車軸3bとが左右のレール6A,6Bを短絡し電流の流れが変化することによって列車の有無を検知する軌道回路をそれぞれ構成している。区間ATは、左右の車輪3aと車軸3bとが左右のレール6Aを短絡したときに、この区間AT内の車両1の在線を検知する軌道回路であり、区間BTは左右の車輪3aと車軸3bとが左右のレール6Bを短絡したときに、この区間BT内の車両1の在線を検知する軌道回路である。
図1及び図6に示す継目構造9は、レール6A,6Bの継目部分の両側に継目板10A,10Bを固定して、この継目部分を継目板10A,10Bによって連結する構造である。図6に示す継目構造9は、レール6A,6Bの継目部分の両側に継目板10A,10Bを絶縁性の接着材13によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する接着絶縁継目である。継目構造9は、図1に示すように、継目部分の直下にまくらぎ7を配置せずに、2本のまくらぎ7の中間に継目部分が位置するように所定の間隔をあけて2本のまくらぎ7によって支持する掛け継ぎ法によってこの継目部分を支持する掛け継目である。継目構造9は、列車の有無を検知する信号設備の一部である軌道回路としてレール6A,6Bが使用されているときに、隣接する区間AT,BTの境界に設置されレール6A,6Bを電気的に絶縁する。継目構造9は、軌道構造上の弱点箇所である絶縁継目を強化するために、レール6A,6Bと継目板10A,10Bとを強力な接着材13によって一体化している。継目構造9は、図1及び図6に示す継目板10A,10Bと、図6に示す締結部材11と、図1に示すレール形12と、図6に示す接着材13などを備えている。
図6に示す継目板10A,10Bは、レール6A,6Bの継目部分におけるレール腹部6cの両側面に継目板ボルト11aによって固定されてレール6A,6Bを接続する部材である。継目板10A,10Bは、レール頭部6aの顎部と対向する頭部10aと、レール底部6bの上部と対向する底部10bと、頭部10aと底部10bとを繋ぐ腹部10cなどを備えている。継目板10A,10Bは、鍛造、熱間押出し加工又は機械加工によって所定の寸法及び形状に製作され、焼入れ及び焼もどしの熱処理がされている。
図6に示す締結部材11は、レール6A,6Bの継目部分の両側に継目板10A,10Bを締結する部材である。締結部材11は、継目板ボルト11aと、ナット11bと、座金11c,11dなどを備えている。継目板ボルト11aは、レール6A,6Bと継目板10A,10Bとを締結するためのボルトである。継目板ボルト11aは、レール6A,6B及び継目板10A,10Bの貫通孔に挿入されている絶縁性の合成樹脂製のチューブ及びカラーに挿入されており、レール6A,6B及び継目板10A,10Bと電気的に絶縁された状態で、レール6A,6B及び継目板10A,10Bを締結する。ナット11bは、継目板ボルト11aに装着される部材である。座金11cは、継目板ボルト11aと腹部10cとの間に挟み込まれる部材であり、座金11dは、ナット11bと腹部10cとの間に挟み込まれる部材である。座金11c,11dは、車輪3aが通過するときに発生する衝撃によって、継目板ボルト11a及びナット11bが緩むのを防止する。
図1に示すレール形12は、継目部分の前後のレール6Aとレール6Bとの間の隙間に挿入してレール6Aとレール6Bとの間を絶縁する絶縁材である。レール形12は、レール6A,6Bの断面形状と同一形状であり、レール6Aとレール6Bとの突き合わせ部の隙間に挿入可能なように薄板状に形成されている。
図6に示す接着材13は、レール6A,6Bと継目板10A,10Bとを接着する部材である。接着材13は、レール6A,6Bと継目板10A,10Bとの間に挟み込まれこれらを接合するとともに、レール6A,6Bと継目板10A,10Bとを電気的に絶縁する。接着材13は、例えば、ガラスペーパーの不織布に樹脂を含浸させた成形用中間素材(プリプレグ)の接着シートを複数積層し、これらの接着シートを加熱硬化させて複合材料化されている。
図1〜図6に示す防音装置14は、軌道4上を車両1が走行するときに発生する騒音を低減する装置である。防音装置14は、図1に示すように、左右のレール6A,6Bの外側に、このレール6A,6Bの長さ方向に沿って、継目構造9を中心としてこの継目構造9の前後に配置されている。防音装置14は、図3〜図6に示すように、音源から軌道4の外側に向かって放射する車両下部騒音SHと、音源から軌道4に向かって放射する車両下部騒音SVとを低減する。ここで、車両下部騒音SH,SVとは、車両1の下部から放射する騒音である。車両下部騒音SH,SVは、例えば、レール6A,6B及び車輪3aが振動することによって発生する転動騒音、車両1の台車などの車両1の下部から発生する空力音、及び車両1の歯車装置などの車両機器から発生する車両機器音などである。防音装置14は、図3〜図6に示すように、レール6A,6B、レール締結装置8及び継目構造9から離間して電気的に絶縁されている。防音装置14は、車両1が安全に走行するために建築物などが入ってはならない軌道4上に確保された空間である建築限界Lを超えない範囲内に配置されている。防音装置14は、図1〜図7に示す防音材15と、図1、図2及び図5に示す固定部材25などを備えている。
図1〜図7に示す防音材15は、車両下部騒音SH,SVを軌道4側で低減する部材である。防音材15は、図3〜図6に示すように、軌道4のレール6A,6Bを音源とする車両下部騒音SHを低減するとともに、このレール6A,6Bよりも上方を音源とする車両下部騒音SVを低減する。防音材15は、図1に示すように、軌道4の上方から見たときの平面形状が略四角形であって、図2に示すように厚さが略一定であり、図7に示すように外観が板状の防音パネルである。防音材15は、レール6A,6Bの長さ方向に放射する車両下部騒音SH,SVを低減するために、吸音面積を広くして防音性能を向上させており、図1及び図2に示すようにこのレール6A,6Bの長さ方向に連続して継目構造9の前後に複数(例えば7個)配置されている。防音材15は、車両下部騒音SH,SVを吸収する吸音部として機能するとともに、この車両下部騒音SHを遮音する遮音部としても機能する。防音材15の全長は、3mを下回ると十分な防音性能を発揮せず、10mを超えると全体重量が増加して施工性が低下するため、3〜10mに設定することが好ましい。防音材15は、図3〜図7に示す側面吸音部16Aと、上面吸音部16Bと、吸音材17A,17Bと、図3、図5及び図7に示す遮音材18A,18Bと、図1及び図3〜図7に示す保護部材19と、図2〜図7に示す支持部材20と、図1、図2、図4及び図7に示す固定部材21と、図2及び図3に示す接続部材22と、図2及び図6に示す絶縁接続部材23A,23Bと、図2に示す充填部材24などを備えている。防音材15は、図3及び図5に示す吸音材17A,17Bと、図3、図5及び図7に示す遮音材18A及び保護部材19が組立体として予め工場で一体に製造された状態で現場に搬入される。
図3〜図7に示す側面吸音部16Aは、軌道4の外側に放射する車両下部騒音SHを吸収する部分である。側面吸音部16Aは、図1及び図3〜図6に示すように、レール6A,6Bのレール頭部6aの側面との間に所定の間隔Δ(例えば150mm程度)をあけて、このレール頭部6aの側面と対向する平坦な垂直面である。側面吸音部16Aは、図3〜図6に示すように、レール頭部6aの側面と対向する吸音材17Aの側面部によって構成されている。
図3〜図7に示す上面吸音部16Bは、側面吸音部16Aよりも吸音面積が広く、軌道4に向かって放射する車両下部騒音SVを吸収する部分である。上面吸音部16Bは、図3〜図6に示すように、軌道4の上面と略平行であり、側面吸音部16Aと直交する平坦な水平面である。上面吸音部16Bは、レール頭部6aの頭頂面6dと略平行である吸音材17A,17Bの上面部によって構成されている。
図3〜図7に示す吸音材17A,17Bは、車両下部騒音SH,SVを吸収する部材である。図3、図5及び図7に示すように、吸音材17Aは防音材15の内側で車両下部騒音SH,SVを吸収する内側吸音材として機能し、吸音材17Bは防音材15の外側で車両下部騒音SH,SVを吸収する外側吸音材として機能する。吸音材17A,17Bの厚さは、鉄道沿線の騒音が500Hz〜2kHz程度で卓越することを考慮すると、30mmを下回ると吸音性能が低下し、200mmを超えると施工性が低下するとともに重量が増し建築限界Lを超える可能性があるため、30〜200mmに設定することが好ましい。
図3、図5及び図7に示す吸音材17Aは、車両下部騒音SH,SVを吸収する繊維状吸音材である。吸音材17Aは、吸音材17Bよりも軽い軽量吸音材であり、側面が吸音材17Bによって被覆されており、吸音材17Bの内部に充填されている。吸音材17Aは、この吸音材17Aを通過する上方からの車両下部騒音SVを吸収するとともに、吸音材17Bによって完全に吸収されずにこの吸音材17Bを通過する側方からの車両下部騒音SHを吸収する。吸音材17Aは、吸音材17B、保護部材19及び支持部材20に囲まれることによって形状が維持され保護されている。吸音材17Aは、例えば、吸音性に優れた高性能の無機質繊維系、金属繊維系、有機発泡系又はこれらの任意の組み合わせからなる軽量吸音材である。このような無機質繊維系の吸音材としては、グラスウール、グラスファイバ又はロックウールなどであり、金属繊維系の吸音材としてはアルミニウム繊維、ステンレス繊維又は鉄系合金繊維などであり、有機発泡系の吸音材としてはゴムスポンジ、プラスチックフォーム、ウレタン、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレン、ポリウレタンフォーム、発泡ポリスチロール又は天然高分子多孔質体などである。吸音材17Aとしては、グラスウール、グラスファイバ又はロックウールなどの無機質繊維をフェノール樹脂などで結合し成形した軽量で吸音性能に優れた軽量吸音材が特に好ましい。
図3〜図7に示す吸音材17Bは、吸音材17Aを通過する車両下部騒音SH,SVを吸収する耐候性吸音材である。吸音材17Bは、吸音材17Aよりも硬く耐候性及び電気絶縁性を有する多孔質吸音材である。吸音材17Bは、図7に示すように、軌道4の上方から見たときの平面形状が略四角形の枠状部材であり、厚さが略一定に形成されている。吸音材17Bは、吸音材17Aよりも重い吸音材であり、列車の走行に伴って舞い上がった小石やこの列車から落下した着氷雪などが衝突しても破損せず、保線作業時などに作業員が乗っても破損しないような硬度を有する。吸音材17Bは、図3、図5及び図7に示す開口部17aと、図4及び図7に示す貫通孔17bなどを備えている。開口部17aは、吸音材17Aを収容する部分であり、吸音材17Bの中央部を貫通して略四角形状に形成されている。図4及び図7に示す貫通孔17bは、吸音材17Bを上下方向に貫通する部分であり、この吸音材17Bの4つの角部に形成されている。吸音材17Bは、無機質粒子を樹脂結合剤によって結合して成形された無機質粒子結合材である。
無機質粒子としては、例えば、パーライト、珪石粉砕物、珪砂、石灰石粉砕物、砂利、鉱物繊維製造時に発生する粒状物(ショット)、陶磁器粉砕物、ガラスの粉砕物又はこれらの任意の組み合わせからなる混合物などである。無機質粒子は、平均粒径が0.5よりも小さいと微細な気孔を有する成型体しか得られず、吸音特性が好ましくなく、保水性が大きくなって雨水を浴びると長時間吸音性能が低下するため、平均粒径が1〜5mm程度のものが好ましい。
樹脂結合剤としては、例えば、遮光性無機顔料及びシランカップリング剤を含有する有機結合剤などである。このような樹脂結合剤としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂又はこれらの任意の組み合わせからなる反応性樹脂又は熱硬化性樹脂などの樹脂バインダである。シランカップリング剤としては、一般式R(SiOR')3で示されるシラン化合物である。ここで、式中Rは、樹脂結合剤の官能基と反応して化学結合を生じる有機基であり、例えばエポキシ基、アミノ基、メタクリル基、ビニル基、メルカプト基などを表し、R'はメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。エポキシ樹脂又はフェノール樹脂からなる一般的な樹脂結合剤を使用する場合には、シランカップリング剤としてγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどの有機基Rとしてエポキシ基又はアミノ基を有するものである。遮光性無機質顔料としては、ベンガラ、酸化チタン、酸化クロムなどであり、少量の添加で高度の遮光性を発揮し、使用する樹脂結合剤に対して有害な作用を及ぼさず、かつ、耐候性が良いものである。
無機質粒子結合材の配合比率は、無機質粒子100重量部を基準にして樹脂結合剤が2〜10重量部、シランカップリング剤が0.02〜0.2重量部、無機質顔料が0.05〜3重量部とすることが好ましい。無機質粒子結合材は、樹脂結合剤中のシランカップリング剤のアルコキシ基が加水分解して生じたシラノールが無機質粒子の表面のシリカ、金属酸化物、セラミックスなどと反応して化学結合を生じるとともに、シランカップリング剤中のエポキシ基、アミノ基、メタクリル基などが樹脂結合剤中の官能基と反応して結合を生じる。無機質粒子結合材は、無機質粒子と樹脂結合剤との間にシランカップリング剤による橋架け構造が形成されるため結合が強固になる。無機質粒子結合材は、樹脂結合剤の配合比率や無機質粒子を成形用型に充填するときの圧縮の程度によって気孔率が変化するため、吸音性能の観点から約30〜50%の気孔率の成形体が得られるように、成形条件が選定され製造される。
図3、図5及び図7に示す遮音材18A,18Bは、車両下部騒音SHを遮音する部材である。遮音材18Aは、防音材15の上側で車両下部騒音SHを遮音する上側遮音材として機能し、遮音材18Bは防音材15の下側で車両下部騒音SHを遮音する下側遮音材として機能する。
図3、図5及び図7に示す遮音材18Aは、吸音材17A,17Bを通過する車両下部騒音SHを遮音する部材である。遮音材18Aは、図7に示すように、軌道4の上方から見たときの平面形状が略四角形の枠状部材であり、吸音材17Bよりも厚さが薄い板状部材を組み合わせて厚さが略一定に形成されている。遮音材18Aは、図3及び図5に示すように、吸音材17Aと吸音材17Bとの間で車両下部騒音SHを遮音する。遮音材18Aは、図3、図5及び図7に示すように、吸音材17Aと吸音材17Bとを仕切るように、この吸音材17Bの開口部17aに嵌め込まれており、支持部材20及び吸音材17Bに接着材などによって固定されている。遮音材18Aは、遮音板18a〜18dなどを備えている。
図3、図5及び図7に示す遮音板18a〜18dは、遮音材18Aを構成する部材である。遮音板18a〜18dは、遮音材18Aが四角形の枠状部材を形成するように、合計4枚の隣り合う遮音板18a〜18d同士の両端部が互いに溶接又は接着して形成されている。遮音板18aは、レール頭部6aの側面と対向してこのレール頭部6aの側面と平行に配置されている。遮音板18aは、多数の貫通孔18eなどを備えている。貫通孔18eは、吸音材17Bを通過した車両下部騒音SHを吸音材17Aに導く部分である。貫通孔18eは、遮音板18aの全面に所定の間隔をあけて縦横に形成されている。遮音板18bは、遮音板18aよりもレール頭部6aの側面から離れた位置に、この遮音板18aと平行に配置されている。遮音板18c,18dは、図7に示すように、遮音板18a、18bと直交して互いに平行に配置されている。遮音板18b〜18dは、図3、図5及び図7に示すように、遮音板18aとは異なり貫通孔18eを備えていない。
図2〜図7に示す遮音材18Bは、吸音材17A,17Bと道床5との間の隙間から放射する車両下部騒音SHを遮音する。遮音材18Bは、図2に示すように、軌道4の外側から見たときの平面形状が略四角形の板状部材であり、図3〜図7に示すように厚さが略一定に形成されている。遮音材18Bは、防音材15を支持する2本の脚部としても機能し、この防音材15を安定して支持可能なように支持部材20に固定された状態で断面形状が略π字状に形成されている。遮音材18Bは、図2に示すように、道床5と吸音材17A,17Bとの間の隙間を塞ぐように、図3〜図6に示す吸音材17A,17Bの下方に配置されている。遮音材18Bは、図2に示すように、遮音板18f〜18jなどを備えている。遮音材18Bは、レール6A,6Bの継目部分を車両1が通過するときに、レール底部6b及びレール腹部6cが振動することによって発生する車両下部騒音SHを遮音する。
図2に示す遮音板18f〜18jは、遮音材18Bを構成する部材である。遮音板18f〜18jは、図3〜図7に示すように、レール6A,6Bに近い側とレール6A,6Bから遠い側とに、吸音材17A,17Bの長さ方向に沿って所定の間隔をあけて平行に2列配置されている。遮音板18f〜18jは、図2に示すように、遮音材18Bが連続した1枚の長板部材を形成するように、隣り合う遮音板18f〜18j同士の端部が僅かに隙間をあけて整列されている。遮音板18f〜18jは、図3〜図7に示すように、レール腹部6cの腹部側面6gと対向してこの腹部側面6gと平行に配置されている。遮音板18f〜18jは、図2に示すように、これらの遮音板18f〜18jの下縁部とまくらぎ7の上面との間に僅かに隙間をあけている。遮音板18f,18jは、遮音材18Bの両端部を構成しており、遮音板18g,18iは遮音板18hと遮音板18f,18jとを連結する連結部を構成している。遮音板18hは、継目構造9から放射する騒音を可能な限り低減するために、継目構造9の前後のまくらぎ7間の間隙部を塞ぐように、遮音板18f,18g,18i,18jに比べて幅が広く形成されており、下縁部側が突出した凸状に形成されている。遮音板18f,18g,18i,18jは、図5(B)に示すように、締結部材27bの締結ボルト27eを挿入する貫通孔18kなどを備えている。貫通孔18kは、遮音板18f,18g,18i,18jの上下方向(高さ方向)に長い長孔である。
遮音材18A,18Bは、吸音材17A,17Bよりも剛性の高い弾性体である。このような遮音材18A,18Bとしては、防音材15の軽量化を図るためにアルミニウム又はアルミニウム合金が特に好ましい。遮音材18A,18Bの厚さは、3mmを下回ると遮音性能及び支持剛性が低下し、30mmを超えると施工性が低下するとともに重量が増し、レール6A,6Bとの間に十分な間隔を確保することが困難になるため、3〜30mmに設定することが好ましく、5〜20mmに設定することが特に好ましい。
図1及び図3〜図7に示す保護部材19は、吸音材17Aを保護する部材である。保護部材19は、図1及び図7に示すように、平面形状が略四角形の薄い板状部材であり、図3、図5及び図7に示すように吸音材17Bの開口部17aの開口面積よりも僅かに大きく形成されており、この開口部17aを塞ぐように吸音材17Bの上面(上面吸音部16B)に搭載されている。保護部材19は、列車の走行に伴って舞い上がった小石やこの列車から落下した着氷雪などが衝突しても破損せず、保線作業時などに作業員が乗っても破損しないような硬度を有する金属板である。保護部材19は、図1、図3、図5及び図7に示すように、雨水を下方に排出するための排出口として機能する多数の貫通孔19aを備えている。保護部材19は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製のパンチングメタルなどの軽量金属板である。
図2〜図7に示す支持部材20は、吸音材17A,17B及び遮音材18Aを支持する部材である。支持部材20は、図3〜図7に示すように、吸音材17B上に保護部材19を搭載した状態で吸音材17A,17Bの底面及び遮音材18Aの下縁を支持している。支持部材20としては、遮音材18A,18Bと同様に防音材15の軽量化を図るためにアルミニウム又はアルミニウム合金が特に好ましい。支持部材20は、断面形状が略L字状の板状部材であり、図2〜図7に示す底面支持板20a〜20eと、図1及び図3〜図7に示す側面抑え板20f〜20mなどを備えている。支持部材20は、底面支持板20a〜20eの上面で吸音材17Bを支持している。
図2〜図7に示す底面支持板20a〜20eは、吸音材17A,17Bの底面及び遮音材18Aの下縁を支持する部分である。底面支持板20a〜20eは、図3〜図7に示すように、レール頭部6aの頭頂面6dと平行に平坦面に形成されている。底面支持板20a〜20eは、図3及び図7に示すように、吸音材17A内に流入する雨水を下方に排出する排水口として機能する多数の貫通孔20nを備えている。底面支持板20a〜20eは、例えば、保護部材19と同様のパンチングメタルなどの軽量金属板である。
図1及び図3〜図7に示す側面抑え板20f〜20mは、吸音材17Bの側面を抑える部分である。側面抑え板20f〜20mは、図3〜図7に示すように、レール6A,6Bから遠い側の吸音材17Bの側面と密着して、レール6A,6Bと交差する方向に吸音材17Bが移動するのを阻止する。側面抑え板20f〜20mは、図1及び図2に示すように、吸音材17Bの長さと略同じ長さに形成されており、側面抑え板20f〜20mの下縁部と底面支持板20a〜20eの一方の縁部が溶接、接着又はボルトなどの締結部材によって固定されている。
図1、図2、図4及び図7に示す固定部材21は、吸音材17A,17B、遮音材18A及び保護部材19を支持部材20に着脱自在に固定する部材である。固定部材21は、図4及び図7に示すように、吸音材17Bの貫通孔17b及び保護部材19の貫通孔19aに挿入されて、支持部材20の底面支持板20a〜20eの雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部を先端部に有するボルトである。固定部材21は、図7に示すように、遮音材18A及び保護部材19の4つの角部を支持部材20に固定することによって、吸音材17A,17B、遮音材18A及び保護部材19を底面支持板20a〜20eに固定している。
図2及び図3に示す接続部材22は、遮音材18Bの遮音板18fと遮音板18gとを接続するとともに、遮音板18iと遮音板18jとを接続する部材である。接続部材22は、図2及び図3に示す継手板22aと、図3に示す固定部材22bなどを備えている。継手板22aは、遮音板18f,18g及び遮音板18i,18jを長さ方向に継ぐ部材である。継手板22aは、遮音板18f,18gの端部同士及び遮音板18i,18jの端部同士を所定の間隔をあけて接合する添え板として機能する。継手板22aは、作業者が着脱作業を容易に実施可能なように、レール6A,6Bに近い側の遮音材18Bについてはこのレール6A,6B側の表面に配置されており、レール6A,6Bから遠い側の遮音材18Bについてはこのレール6A,6Bと対向する側とは反対側の表面に配置されている。固定部材22bは、遮音板18f,18g,18i,18jに継手板22aを固定する部材である。固定部材22bは、例えば、継手板22aの両端部に形成された貫通孔に挿入されて、遮音板18f,18g,18i,18jの雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部を先端部に有するボルトなどである。
図2及び図6に示す絶縁接続部材23Aは、遮音材18Bの遮音板18gと遮音板18hとを電気的に絶縁した状態で接続するとともに、遮音材18Bの遮音板18hと遮音板18iとを電気的に絶縁した状態で接続する部材である。図6に示す絶縁接続部材23Bは、支持部材20の底面支持板20bと底面支持板20cとを電気的に絶縁した状態で接続するとともに、支持部材20の底面支持板20cと底面支持板20dとを電気的に絶縁した状態で接続する部材である。絶縁接続部材23A,23Bは、図6に示すように、絶縁継手板23a,23bと絶縁固定部材23c,23dなどを備えている。
図2及び図6に示す絶縁継手板23aは、遮音板18g,18h及び遮音板18h,18iを長さ方向に電気的に絶縁した状態で継ぐ部材である。絶縁継手板23aは、遮音板18g,18hの端部同士及び遮音板18h,18iの端部同士を所定の間隔をあけて接合する添え板として機能する。絶縁継手板23aは、遮音板18g,18h及び遮音板18h,18iを両側から挟み込むように、この遮音板18g,18h及び遮音板18h,18iの両面に配置されている。絶縁継手板23aは、例えば、ベークライトなどの電気絶縁物である。
図6に示す絶縁継手板23bは、底面支持板20b,20c及び底面支持板20c,20dを長さ方向に電気的に絶縁した状態で継ぐ部材である。絶縁継手板23bは、底面支持板20b,20cの端部同士及び底面支持板20c,20dの端部同士を所定の間隔をあけて接合する添え板として機能する。絶縁継手板23bは、絶縁継手板23aと同様にベークライトなどの電気絶縁物である。絶縁継手板23bは、作業者が着脱作業を容易に実施可能なように、底面支持板20b,20c及び底面支持板20c,20dの下面に配置されている。
図6に示す絶縁固定部材23cは、遮音板18g〜18iに絶縁継手板23aを電気的に絶縁した状態で固定する部材である。絶縁固定部材23cは、絶縁継手板23aの両端部に形成された貫通孔と遮音板18g〜18iの端部に形成された貫通孔とに挿入されるボルトと、このボルトの雄ねじ部に装着されるナットなどである。絶縁固定部材23cは、電気絶縁性を有する合成樹脂製の締結部材である。
図6に示す絶縁固定部材23dは、底面支持板20b〜20dに絶縁継手板23bを電気的に絶縁した状態で固定する部材である。絶縁固定部材23dは、絶縁継手板23bの両端部に形成された貫通孔に挿入されて、底面支持板20b〜20dの雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部を先端部に有するボルトなどである。絶縁固定部材23dは、絶縁固定部材23cと同様に電気絶縁性を有する合成樹脂製の締結部材である。
図2に示す充填部材24は、間隙部に充填される部材である。充填部材24は、図2に示す遮音板18g〜18j間の隙間、底面支持板20a〜20e間の隙間及び図1に示す側面抑え板20f〜20m間の隙間に充填される部材である。充填部材24は、例えば、チューブ又はカートリッジなどから押し出されて塗布され、空気(湿気)に触れることによってゴム状弾性体に硬化し、水密性、気密性、接着性、追従性及び耐久性を発揮するシリコーンシーリング材などの電気絶縁物である。
図1、図2及び図5に示す固定部材25は、レール6A,6Bに防音材15を着脱自在に固定する部材である。固定部材25は、図1及び図5に示すように、レール6A,6Bとの間に隙間Δをあけて防音材15をこのレール6A,6Bに固定する。固定部材25は、図1及び図2に示すように、防音材15の両端部及び中央部付近の合計4箇所で支持しており、継目部分の前後のレール6A,6Bに防音材15を掛け止めして取り付けるフック状の固定用治具(取付金具)である。固定部材25は、図1、図2及び図5に示す支持部材26と、図5に示す連結部材27,28と、防振部材29などを備えている。
図1、図2及び図5に示す支持部材26は、防音材15を支持する部材である。支持部材26は、図1及び図5に示すように、レール6A,6Bと直交して配置される板状部材である。支持部材26は、図5に示すように、防音材15を支持した状態でレール6A,6Bに装着されており、レール6A,6Bを潜るようにまくらぎ7間に配置されている。
図5に示す連結部材27は、防音材15と支持部材26とを着脱自在に連結する部材である。連結部材27は、遮音材18Bの下縁部と支持部材26の上面との間の間隔が任意に調整されて、支持部材26に対する防音材15の高さが調整された状態で防音材15と支持部材26とを連結する。連結部材27は、図5(B)に示すように、接続部材27aと締結部材27b,27cなどを備えている。
図5(B)に示す接続部材27aは、防音材15の遮音材18Bと支持部材26とを接続する部材である。接続部材27aは、外観が略L字状の山形鋼などのアングル材である。接続部材27aは、遮音材18Bの遮音板18f,18g,18i,18jの両側面を挟み込むように、これらの遮音板18f,18g,18i,18jの両側にそれぞれ配置されている。接続部材27aは、遮音材18Bの両側面に接合するとともに、支持部材26の上面に接合している。接続部材27aは、締結部材27bの締結ボルト27eを挿入する貫通孔27dなどを備えている。貫通孔27dは、支持部材26に対する防音材15の高さを調整可能なように、接続部材27aの上下方向に長い長孔である。
締結部材27bは、接続部材27aと遮音材18Bとを着脱自在に締結する部材である。締結部材27bは、遮音材18Bの貫通孔18k及び接続部材27aの貫通孔27dに挿入される締結ボルト27eと、この締結ボルト27eの雄ねじ部に装着されるナット27fと、締結ボルト27eと接続部材27aとの間に挟み込まれる座金27gと、ナット27fと接続部材27aとの間に挟み込まれる座金27hなどを備えている。
締結部材27cは、接続部材27aと支持部材26とを着脱自在に締結する部材である。締結部材27cは、支持部材26に固定されて接続部材27aの貫通孔に挿入される締結ボルト27iと、この締結ボルト27iの雄ねじ部に装着されるナット27jと、締結ボルト27iと接続部材27aとの間に挟み込まれる座金27kなどを備えている。
図5(A)に示す連結部材28は、レール6A,6Bと支持部材26とを着脱自在に連結する部材である。連結部材28は、掛け止め部材28aと締結部材28bなどを備えている。掛け止め部材28aは、レール6A,6Bに支持部材26を掛け止めする部材である。掛け止め部材28aは、断面が略S字状の板状部材であり、レール6A,6Bのレール底部6bに支持部材26を掛け止めする。掛け止め部材28aは、レール底部6bを挟み込むようにこのレール底部6bの左右にそれぞれ配置されており、この掛け止め部材28aの端部がレール底部6bの底部上面6eに掛け止めされている。締結部材28bは、掛け止め部材28aと支持部材26とを着脱自在に締結する部材である。締結部材28bは、支持部材26に固定されて掛け止め部材28aの貫通孔に挿入される締結ボルト28cと、この締結ボルト28cの雄ねじ部に装着されるナット28dと、締結ボルト28cと掛け止め部材28aとの間に挟み込まれる座金28eなどを備えている。
図5(A)に示す防振部材29は、レール6A,6Bと支持部材26との間で伝播する振動を低減する部材である。防振部材29は、掛け止め部材28aと底部上面6eとの間に挟み込まれるとともに、底部下面6fと支持部材26との間に挟み込まれる防振ゴムなどである。
次に、この発明の第1実施形態に係る防音装置の組立方法を説明する。
先ず、図2〜図7に示す遮音材18B及び支持部材20を構成する組立片が予め製造工場などで組み立てられる。図2に示す遮音板18f〜18jと底面支持板20a〜20eとをそれぞれ溶接、接着又はボルトなどの締結部材によって製造工場で作業者が接合する。同様に、底面支持板20a〜20eと側面抑え板20f〜20mとをそれぞれ溶接、接着又はボルトなどの締結部材によって製造工場で作業者が接合する。その後に、図3〜図7に示すように支持部材20及び遮音材18Bを構成する組立片が鉄道事業者の保線区事務所などの敷設基地に製造工場から搬入される。
次に、図1及び図2に示すように、底面支持板20a〜20e及び側面抑え板20f〜20mを接続部材22及び絶縁接続部材23A,23Bによって敷設基地内で作業者が接続し、遮音材18B及び支持部材20が一体に組み立てられる。先ず、図2及び図3に示すように、遮音板18fと遮音板18gとに継手板22aを作業者が接合し、固定部材22bによって遮音板18fと遮音板18gとを作業者が接続する。同様に、遮音板18iと遮音板18jとに継手板22aを作業者が接合し、固定部材22bによって遮音板18iと遮音板18jとを作業者が連結する。次に、図2及び図6に示すように、遮音板18gと遮音板18hとに絶縁継手板23aを作業者が接合し、絶縁固定部材23cによって遮音板18gと遮音板18hとを作業者が接続する。同様に、遮音板18hと遮音板18iとに絶縁継手板23aを作業者が接合し、絶縁固定部材23cによって遮音板18hと遮音板18iとを作業者が接続する。最後に、図6に示すように、底面支持板20bと底面支持板20cとに絶縁継手板23bを作業者が接合し、絶縁固定部材23dによって底面支持板20bと底面支持板20cとを作業者が接続する。同様に、底面支持板20cと底面支持板20dとに絶縁継手板23aを作業者が接合し、絶縁固定部材23dによって底面支持板20cと底面支持板20dとを作業者が接続する。次に、図1及び図2に示す遮音板18f〜18j間の隙間、底面支持板20a〜20e間の隙間及び側面抑え板20f〜20m間の隙間に充填部材24を作業者が充填する。その後に、遮音材18B及び支持部材20が一体化された組立体が敷設基地から敷設現場に作業車などによって搬入される。
図2及び図5に示すように、レール6A,6Bのレール底部6bと道床5との間の間隙部に支持部材26の端部を敷設現場で作業者が僅かに挿入して、図2に示すように防音材15の両端部及び中央部付近に間隔をあけて合計4本の支持部材26をレール6A,6Bと直交するように作業者が配置する。次に、支持部材26をレール底部6bに向かって作業者が持ち上げて、図5に示すようにレール底部6bの底部下面6fと支持部材26の上面との間に防振部材29を作業者が挟み込む。この状態で、レール底部6bの底部上面6eに防振部材29を作業者が載せて、掛け止め部材28aと底部上面6eとの間に防振部材29を挟み込むように、レール底部6bの左右から掛け止め部材28aを支持部材26の上面に作業者が位置決めする。次に、支持部材26と掛け止め部材28aとを締結部材28bによって作業者が締結すると、図5に示すようにレール底部6bに支持部材26が固定されて、図1及び図6に示すように継目部分のレール6A,6Bに支持部材26が装着される。
次に、図5に示すように、遮音材18Bの遮音板18f〜18jの両側に接続部材27aを作業者が接合し、支持部材26に対する防音材15の高さを最適な高さに作業者が調整する。その後に、締結部材27b,27cによって遮音板18f〜18jと接続部材27aとを作業者が固定して、遮音材18B及び支持部材20が一体化された組立体と支持部材26とが連結部材27によって連結される。次に、図3〜図6に示すように、側面抑え板20f〜20mに吸音材17Bの側面を作業者が接触させて、底面支持板20a〜20eの雌ねじ部と吸音材17Bの貫通孔17bとが一致するように、底面支持板20a〜20e上に吸音材17Bを作業者が位置決めする。この状態で、図3〜図7に示すように、吸音材17Bの内側に遮音材18Aを作業者が嵌め込み、吸音材17Bと遮音材18Aとを接着剤などによって作業者が固定する。次に、遮音材18Aの内側に吸音材17Aを作業者が詰め込み、図3〜図7に示すように吸音材17Bの上面に保護部材19を作業者が載せて、固定部材21によって保護部材19を支持部材20に作業者が固定する。その結果、図3〜図6に示すように、吸音材17A,17B、遮音材18A及び保護部材19が固定部材21によって支持部材20に固定されて、図1に示すようにレール6A,6Bの継目部分の前後に防音装置14が固定される。レール6A,6Bの交換作業などを実施する場合には、以上説明した手順と逆の手順によってレール6A,6Bから防音装置14が取り外される。
次に、この発明の第1実施形態に係る防音装置の作用を説明する。
図1に示すように、継目構造9の前後のレール6A,6B上を車両1の車輪3aが図中矢印方向に通過すると、車両下部騒音SH,SVが発生して車両下部騒音SH,SVが沿線に放射する。図3〜図6に示すように、防音装置14の吸音材17Bの側面吸音部16Aに向かって車両下部騒音SHが放射すると、この車両下部騒音SHが防音装置14の吸音材17Bによって吸収される。また、防音装置14の吸音材17A,17Bの上面吸音部16Bに向かって車両下部騒音SVが放射すると、この車両下部騒音SVが防音装置14の吸音材17A,17Bによって吸収される。図3及び図5に示す吸音材17Bによって吸収されなかった車両下部騒音SHが遮音材18Aの遮音板18aの貫通孔18eを通過すると、この車両下部騒音SHが吸音材17Aによって吸収される。吸音材17Aと吸音材17Bとの間に遮音材18Aの遮音板18bが存在するため、吸音材17Bによって吸収されなかった車両下部騒音SHがこの遮音板18bによって遮音されて、この車両下部騒音SHが防音装置14から外部に放射されるのをこの遮音板18bが防止する。図3〜図6に示すように、吸音材17Aと道床5との間の間隙部に向かって車両下部騒音SHが放射すると、この車両下部騒音SHが防音材15の遮音材18Bによって遮音されて、この車両下部騒音SHが防音装置14から外部に放射されるのをこの遮音板18bが防止する。
防音装置14の吸音材17Bが多孔質吸音材であるため、この吸音材17Bの内部では粒子間の隙間が連通しており多孔質の気孔構造が形成されている。このため、車両下部騒音SH,SVが吸音材17Bの気孔内に進入すると、この吸音材17B内を車両下部騒音SH,SVが伝播する過程で空気粘性抵抗によって音の振動エネルギーの一部が熱エネルギーとして損失する。また、吸音材17Bから吸音材17Aに進入する車両下部騒音SHや吸音材17Aに進入する車両下部騒音SVが吸音材17Aによって吸収されて、レール6A,6Bから外部に放射される騒音が吸収され減衰する。
この発明の第1実施形態に係る防音装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、車両1の下部から放射する車両下部騒音SH,SVを軌道4側で防音材15が低減し、軌道4のレール6A,6Bを音源とする車両下部騒音SHをこの防音材15が低減するとともに、このレール6A,6Bよりも上方を音源とする車両下部騒音SVをこの防音材15が低減する。このため、レール6A,6Bの振動によって発生する転動騒音だけではなく、車輪3aが振動することによって発生する転動騒音、車両1の台車などの車両1の下部から発生する空力音、及び車両1の歯車装置などの車両機器から発生する車両機器音などを、防音材15によって低減することができる。
(2) この第1実施形態では、軌道4の外側に放射する車両下部騒音SHを防音材15の側面吸音部16Aが吸収し、この側面吸音部16Aよりも吸音面積が広い上面吸音部16Bが軌道4に向かって放射する車両下部騒音SVを吸収する。このため、レール6A,6Bの振動によって発生する騒音を側面吸音部16Aによって低減することができるとともに、レール6A,6Bよりも上方の車輪3aの振動などによって発生する騒音を上面吸音部16Bによってより一層低減することができる。例えば、継目部分のレール6A,6Bの振動に起因する騒音の寄与が大きいと考えられる500〜1kHz付近の比較的低い周波数帯域の騒音を、吸音面積が比較的広い上面吸音部16Bによって効果的に低減することができる。
(3) この第1実施形態では、車両下部騒音SH,SVを吸音材17A,17Bが吸収し、車両下部騒音SHを遮音材18A,18Bが遮音する。このため、防音材15の防音性能を向上させることができ、防音材15から外部に放射する車両下部騒音SH,SVを低減することができる。
(4) この第1実施形態では、車両下部騒音SHを耐候性吸音材が吸収し、この繊維状吸音材を通過する車両下部騒音SHを繊維状吸音材が吸収する。このため、外側の吸音材17Bに比べて内側の吸音材17Aが軽くなり、防音材15全体の軽量化を図ることができるとともに、外側の吸音材17Bから内側の吸音材17Aに進入する騒音をこの内側の吸音材17Aによって吸収することができる。また、例えば、幅広い周波数範囲で良好な吸音性能を有するとともに優れた強度と耐候性も有する無機質粒子結合材によって耐候性吸音材を形成することができる。その結果、無機質粒子結合材の主材粒子として珪砂などの安価な材料を使用することによって、防音材15を低コストで製造することができる。さらに、外側の吸音材17Bが耐候性を有するため紫外線の大部分を遮断して樹脂結合剤が劣化するのを遅らせ、長期間にわたって初期物性を保持することができる。
(5) この第1実施形態では、吸音材17Aを通過する車両下部騒音SHを遮音材18Aが遮音する。このため、吸音材17Aによって吸音されなかった車両下部騒音SHが外部に放射されるのを遮音材18Aによって防ぐことができる。その結果、防音装置14の防音性能をより一層向上させることができる。
(6) この第1実施形態では、吸音材17A,17Bと道床5との間の隙間から放射する車両下部騒音SHを遮音材18Bが遮音する。このため、遮音材18Bを防音壁として機能させることによって、道床5と吸音材17A,17Bとの間の隙間から車両下部騒音SHが外部に放射して、沿線の環境が悪化するのを防ぐことができる。
(7) この第1実施形態では、軌道4のレール6A,6Bに防音材15を固定部材25が着脱自在に固定する。このため、レール6A,6Bや継目板10A,10Bの交換時に防音材15をレール6A,6Bから簡単に取り外すことができ、交換作業を簡単に短時間で実施することができる。
(8) この第1実施形態では、防音材15を支持部材26が支持し、レール6A,6Bにこの防音材15が固定されるように、このレール6A,6Bとの間でこの防音材15を掛け止め部材28aが掛け止めし、この支持部材26と掛け止め部材28aとを締結部材28bが着脱自在に締結する。このため、防音材15を締結部材28bによってレール6A,6Bから簡単に着脱することができる。
(9) この第1実施形態では、レール6A,6Bとの間に隙間Δをあけて防音材15をこのレール6A,6Bに固定部材25が固定する。このため、レール6A,6Bの継目部分の側面と防音材15の内側側面との間に間隙部が形成されているため、保線作業時や点検作業時に目視で継目部分を確認することができる。さらに、レール6A,6Bと防音材15とが非接触であるため、継目構造9及び防音材15を通じてレール6Aとレール6Bとの間に電流が流れるのを防ぐことができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図7に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略するとともに、図5に示す部分と対応する部分については、対応する番号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示す防音装置14は、図1、図2及び図5に示す固定部材25とは構造が異なる固定部材30を備えている。図8に示す固定部材30は、防音材15をまくらぎ7に着脱自在に固定する部材である。固定部材30は、レール6A,6B及びレール締結装置8と電気的に絶縁するように、レール6A,6B及びレール締結装置8から離間してレール締結装置8よりも外側に配置されている。固定部材30は、連結部材31と防振部材32などを備えている。
図8に示す連結部材31は、防音材15とまくらぎ7とを着脱自在に連結する部材である。連結部材31は、遮音材18Bの下縁部とまくらぎ7の上面との間の間隔が任意に調整されて、まくらぎ7に対する防音材15の高さが調整された状態で、防音材15とまくらぎ7とを連結する。連結部材31は、図8(B)に示すように、接続部材31aと締結部材31b,31cなどを備えている。
図8(B)に示す接続部材31aは、防音材15の遮音材18Bとまくらぎ7とを接続する部材である。接続部材31aは、図5(B)に示す接続部材27aと同一構造である。接続部材31aは、図8(A)に示すように、遮音材18Bの両側面に接合するとともに、防振部材32の上面に接合している。接続部材31aは、締結部材31bの締結ボルト31eを挿入する貫通孔31dなどを備えている。貫通孔31dは、まくらぎ7に対する防音材15の高さを調整可能なように、接続部材31aの上下方向に長い長孔である。締結部材31bは、図5(B)に示す締結部材27bと同一構造であり、図8(B)に示すように締結ボルト31eと、ナット31fと、座金31g,31hなどを備えている。
締結部材31cは、接続部材31aとまくらぎ7とを着脱自在に締結する部材である。締結部材31cは、まくらぎ7に固定されて接続部材31aの貫通孔に挿入される締結ボルト31iと、この締結ボルト31iの雄ねじ部に装着される締結ナット31jと、締結ボルト31iと接続部材31aとの間に挟み込まれる座金31kなどを備えている。
図8に示す防振部材32は、まくらぎ7と防音材15との間で伝播する振動を低減する部材である。防振部材32は、まくらぎ7の上面と接続部材27aの下面との間に挟み込まれる防振ゴムなどである。防振部材32は、接続部材27aとまくらぎ7との間を電気的に絶縁する機能も有する。防振部材32は、締結ボルト31iが貫通する貫通孔を備えている
この発明の第2実施形態に係る防音装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、軌道4のレール6A,6Bを支持するまくらぎ7に防音材15を固定部材30が着脱自在に固定する。このため、既存のまくらぎ7を有効に利用して車両下部騒音SH,SVを低減することができる。
(2) この第2実施形態では、まくらぎ7に固定される締結ボルト31iと、この締結ボルト31iの雄ねじ部と噛み合う締結ナット31jとによってまくらぎ7に防音材15が着脱自在に固定される。このため、締結ボルト31iが固定されたまくらぎ7を新たに製造する場合には、まくらぎ7に防音材15を現場で簡単に固定することができる。また、既存のまくらぎ7に締結ボルト31iを新たに装着する場合には、簡単な追加工事によって締結ボルト31iを装着して防音材15をまくらぎ7に簡単に固定することができる。
(第3実施形態)
図9〜図11に示す防音装置14は、遮音材18Cを備えており、この遮音材18Cは吸音材17A,17Bと道床5との間の隙間から放射する車両下部騒音SHを遮音する。遮音材18Cは、図2〜図7に示す遮音材18Bと同様に、レール6A,6Bの継目部分を車両1が通過するときに、レール底部6b及びレール腹部6cが振動することによって発生する車両下部騒音SHを遮音する。遮音材18Cは、図10及び図11に示すように、レール6A,6Bに対して遮音材(内側遮音材)18Bよりも遠い側に配置されている。遮音材18Cは、道床5の表面の凹凸に沿って密着可能な柔軟で可撓性及び電気絶縁性を有する下部スカートとして機能しており、遮音材18Bによって遮音されずにこの遮音材18Bの下縁部と道床5の上面との間の隙間から放射する車両下部騒音SHを遮音する外側遮音材(補助遮音材)として機能する。遮音材18Cは、図9に示すように、軌道4の外側から見たときの平面形状が略四角形のシート状部材であり、防音材15の長さと略同じ長さに形成されており、図10及び図11に示すように厚さが略一定に形成されている。遮音材18Cは、図10及び図11に示すように、道床5と遮音材18Bとの間の隙間を塞ぐように、レール6A,6Bから遠い側の遮音材18Bの遮音板18f〜18iの外側側面と密着している。遮音材18Cは、図11に示すように、締結部材27bの締結ボルト27e及び締結部材27cの締結ボルト27iが貫通する貫通孔を備えており、これらの締結ボルト27e,27iによって接続部材27bに着脱自在に固定されている。遮音材18Cは、遮音材18Bに固定される側とは反対側の縁部が列車風や自然風に煽られるのを防止するために、この遮音材18Cの縁部を道床5内に埋設して固定されたり、この遮音材18Cの縁部に引き通したアングル材をアンカーボルトなどの締結部材によってまくらぎ7に固定されたりする。
遮音材18Cとしては、遮音性能を向上させるために0.1μm〜5mmの鋼粉を1〜70vol%の配合量で配合した塩化ビニル、ナイロン又はポリエチレンなどの遮音シートが好ましい。遮音材18Cの厚さは、0.5mm未満の場合には遮音性能が不十分であり、50mmを超えると剛性や重量が大きすぎて施工性が低下するとともに安定した固定の支障になるため、0.5〜50mmに設定することが好ましく、0.5〜5mmに設定することが特に好ましい。遮音材18Cの取付位置は、遮音材18Bの下縁部よりも上方に10mmの位置からこの遮音材18Bの上縁部までの間に設定することが好ましい。遮音材18Cの幅は、この遮音材18Cが風で煽られることなく固定可能なように、この遮音材18Cが遮音材18Bの外側側面に取り付けられた状態で10〜500mm程度になるような設定することが好ましい。この第3実施形態には、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果がある。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、バラストによって構成された有道床軌道を例に挙げて説明したが、プレキャストの軌道スラブ版を用いているスラブ軌道や橋梁上に敷設された軌道などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、継目構造9が接着絶縁継目である場合を例に挙げて説明したが接着絶縁継目以外の継目構造及び継目部分以外の部分(一般区間)についてもこの発明を適用することができる。例えば、レール6A,6Bの継目部分の両側に継目板を固定して、この継目部分を継目板によって連結する普通継目、継目部分の両側と継目板との間に絶縁材を挟み込みこの継目部分を電気的に絶縁して接続する絶縁継目、又は継目部分を伸縮自在に接続する伸縮継目などについてもこの発明を適用することができる。この場合に、継目構造9が伸縮継目の場合には、レール6A,6Bの伸縮を阻害しないように防音材15をまくらぎ7などの支持体側に固定することができる。また、この実施形態では、レール6A,6Bの継目部分(継目区間)に防音装置14を配置する場合を例に挙げて説明したが、この継目部分の前後の継目部分以外の部分(一般区間)に防音装置14を配置することもできる。さらに、この実施形態では、左右のレール6A,6Bの外側に防音装置14をそれぞれ配置する場合を例に挙げて説明したが、左右のレール6A,6Bのいずれか一方の外側のみに防音装置14を配置することもできる。
(2) この実施形態では、支持体がまくらぎ2である場合を例に挙げて説明したが、まくらぎ2以外の支持体についてもこの発明を適用することができる。例えば、レール6A,6Bをそれぞれ支持するプレストレスコンクリート構造(PRC構造)の縦梁を鋼管製の継材によって連結する梯子状のラダーまくらぎなどの支持体についても、この発明を適用することができる。この場合には、防音材15を支持する支持部材26を固定部材30によって縦梁に着脱自在に固定することができる。同様に、矩形平板状のプレキャストのコンクリート版(スラブ版)によって構成されて道床とまくらぎとを一体化させた省力化軌道の一種である軌道スラブなどの支持体についてもこの発明を適用することができる。この場合には、防音材15を支持する支持部材26を固定部材30によってスラブ版の表面に着脱自在に固定することができる。また、この実施形態では、継目部分の直下にまくらぎ2を配置させずに、隣り合うまくらぎ7の中間に継目を設ける掛け継目を例に挙げて説明したが、継目部分の直下にまくらぎ7を配置する支え継目についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、レール締結装置8がタイプレート式のレール締結装置である場合を例に挙げて説明したが、タイプレート8aを使用せずにまくらぎ7にレール6A,6Bを直結する直結方式のレール締結装置についてもこの発明を適用することができる。
(3) この実施形態では、吸音材17Aが繊維状吸音材であり、吸音材17Bが耐候性吸音材である場合を例に挙げて説明したが、吸音材17A,17Bを繊維状吸音材又は耐候性吸音材のいずれか一方のみによって形成したり、繊維状吸音材及び耐候性吸音材以外の高性能吸音材によって吸音材17A,17Bを形成したりすることもできる。また、この実施形態では、遮音材18A,18Bが金属製の場合を例に挙げて説明したが、遮音材18A,18Bを合成樹脂製にすることもできる。さらに、この実施形態では、レール6A,6Bの長さ方向に連続して防音材15を7個並べて配置する場合を例に挙げて説明したが、防音材15の設置個数を7個に限定するものではなく、騒音低減効果に応じて任意の個数を配置することができる。
(4) この実施形態では、遮音材18A,18Bがアルミニウム又はアルミニウム合金である場合を例に挙げて説明したが、レール6A,6Bから伝搬された振動を抑制する制振機能を有する硬質弾性材を遮音材18A,18Bに使用することもできる。また、この実施形態では、遮音材18Aの遮音板18aに貫通孔18eを形成して車両下部騒音SHの行路を確保する場合を例に挙げて説明したが、この車両下部騒音SHの行路を確保するためにこの遮音板18aを省略することもできる。さらに、この実施形態では、遮音材18Bと道床5との間に隙間がある場合を例に挙げて説明したが、レール6A,6Bから遠い側の遮音材18Bの幅を広く形成して、この遮音材18Bの下縁部を道床5内に埋設することもできる。
(5) この実施形態では、保護部材19が多数の貫通孔を有する場合を例に挙げて説明したが、このような貫通孔を省略することもできる。この場合には、防音材15を支持部材20によって傾斜した状態で支持させて吸音材17A,17B内に雨水が浸入するのを防ぐことができる。また、この実施形態では、支持部材20が多数の貫通孔を有する場合を例に挙げて説明したが、このような貫通孔を省略することもできる。この場合には、支持部材20を遮音材18A,18Bと同様の遮音板によって構成することによって、吸音材17A,17Bにより吸収されなかった車両下部騒音SVをこの支持部材20によって遮音することができる。また、この実施形態では、2本の連結部材27によって防音材15を支持する場合を例に挙げて説明したが、1本の連結部材27又は3本以上の連結部材27によって防音材15を支持することもできる。
(6) この実施形態では、防音装置14の組立方法を一例として説明したが、作業現場毎の実情に応じて合理的な組立方法を採用することもできる。例えば、各部材が分割された状態で設置箇所に搬入し、接合状態の遮音材18g,18i及び底面支持板20b,20dを支持部材26上に設置した後に、これらの両端部に残りの接合状態の遮音材18f,18h,18j及び底面支持板20a,20c,20eを連結することもできる。また、この実施形態では、連結部材27の接続部材27aが平板である場合を例に挙げて説明したが、車両下部騒音SHに対する遮音機能を有し吸音材17A,17Bなどを支持可能な構造であれば接続部材27aを曲面板などの他の形状にすることもできる。さらに、この第3実施形態では、締結部材27b,27cによって遮音材18Bの外側側面に遮音材18Cを固定する場合を例に挙げて説明したが、この遮音材18Bの外側側面にこの遮音材18Cを両面テープ又は接着剤などによって固定することもできる。