JP5983592B2 - 車両用圧力検出装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両に発生する圧力変化のみを正確に検出することができる車両用圧力検出装置を提供することにある。
特に、第1検出部材および第2検出部材の双方が、保護部材に覆われているため、上述した加算によって、第1検出部材および第2検出部材の検出値から第1ダイヤフラムおよび第2ダイヤフラムの衝撃振動による影響のみでなく、それらを覆っている保護部材の衝撃振動による影響も取り除くことができるため、密閉空間内の圧力変化の検出精度をよりいっそう向上させることができる。
尚、上述した「第1ダイヤフラムと同方向かつ同じ向きに同じ量だけ撓むことにより、第1ダイヤフラムと同じ大きさでかつ正負が反対の信号を発生させる第2検出部材」とは、必ずしも厳密な意味ではなく、本発明においては、第1ダイヤフラムによる検出値と第2ダイヤフラムによる検出値との間で、第1ダイヤフラムによる検出値と第2ダイヤフラムによる検出値とを加算することにより、第1ダイヤフラムおよび第2ダイヤフラムによる検出値から衝撃振動による影響を取り除くことについて、支障の無い程度でのばらつきがある場合も含んでいる。
図1乃至図5に基づき、本発明の実施形態1による圧力センサ構造体SEおよび圧力センサ構造体SEを含んだエアバッグシステムについて説明する。尚、圧力センサ1の構成を説明する際に、便宜上、図2における上方を圧力センサ1の上方とし、図2における下方を圧力センサ1の下方として説明するが、車両6上における圧力センサ1の実際の取付状態とは無関係である。
車両ドア7の上端部からは、ウィンドウガラス74が突出しており、ウィンドウガラス74は、アウタパネル71とインナパネル72との間を上下方向に移動可能に形成されている。車両ドア7の内部には、アウタパネル71、インナパネル72およびウィンドウガラス74によって、密閉室75(密閉空間に該当する)が形成されている。密閉室75は、外部からの高圧にも抗するように完全に密閉されている必要はなく、雨水の浸入を防ぐ程度のシール力によって外部と遮断されていればよく、場合によっては、下部にある小さな水抜き孔等によって外部と連通していてもよい。
インナパネル72には、圧力センサ構造体SEが固定されている。圧力センサ構造体SEは、密閉室75内に臨むように取り付けられ、車両ドア7の衝突による変形に起因して、密閉室75が圧縮されることによる密閉室75内の圧力の上昇(変化)を検知することが可能に形成されている。
一方、第2センサチップ14の上面には、第2凹部14aが形成されており、第2凹部14aの底部には、第1ダイヤフラム12bと同形状の第2ダイヤフラム14bが形成されている。
第1ダイヤフラム12bおよび第2ダイヤフラム14bは、互いに同方向(図2において上下方向)に撓み可能に形成されている。
また、第2センサチップ14が第2ハウジング13の底板13aの下面に取り付けられると、第2ハウジング13と第2ダイヤフラム14bとの間に、第2チャンバ14c(空気室)が形成される。図2に示すように、第2チャンバ14cも密閉室75から遮断されている。上述した構成により、第2ダイヤフラム14bは、その下面(一面に該当する)において保護部材18を介して密閉室75に臨み、その上面(他面に該当する)において第2チャンバ14cと面するように配置される。
第1ハウジング11および第2ハウジング13内の各電極16は、半田19によって、センサ基板20に電気的に接続されている。センサ基板20は、上述した圧力センサ構造体SEの図示しない箱体を介してインナパネル72に固定されており、これにより、第1ハウジング11および第2ハウジング13はセンサ基板20を介して車両ドア7に取り付けられている。
すなわち、拡散抵抗Rc、Rsによって形成されたホイートストンブリッジが平衡状態にある時、接続点mnは同電位にあるため、接続点mn間の電圧Vsは0となっている。これに対し、密閉室75に圧力変化が発生して第1ダイヤフラム12bおよび第2ダイヤフラム14bが図3において下方に撓むと、拡散抵抗Rcの抵抗値が減少するとともに、拡散抵抗Rsの抵抗値は増大する。これにより、接続点mの電位が接続点nの電位よりも高くなるため、第1ダイヤフラム12bおよび第2ダイヤフラム14bの撓み量に応じて、接続点mn間に電圧Vsが発生する。
以下、接続点mn間に発生した電圧Vsを、第1ダイヤフラム12bまたは第2ダイヤフラム14bによる検出値と言う。圧力センサ1は、上述したもの以外の構成であってもよく、例えば、拡散抵抗Rc、Rsの代わりに、歪ゲージを使用したもの等であってもよい。
図2に示したように、第1ダイヤフラム12bと第2ダイヤフラム14bとは、ともに上下方向に撓み可能に配置されているが、圧力センサ1において、双方の間で上下方向の向きが反対に配置されている。このため、図2において、第1ダイヤフラム12bと第2ダイヤフラム14bとが同方向かつ同じ向きに撓んだ場合、互いに正負が異なる検出値を発生する。
また、第2チャンバ14cも密閉室75から遮断されているため、密閉室75に発生した圧力は、保護部材18を介して第2ダイヤフラム14bを、第2チャンバ14cに向けて図2において上方へと撓ませる。
したがって、密閉室75に発生した圧力によって、第1ダイヤフラム12bおよび第2ダイヤフラム14bは、正負が互いに同じで、かつ、同等の大きさの検出値を発生させる。
また、第2ダイヤフラム14bは、密閉室75の圧力と第2ダイヤフラム14bおよびそれを覆っている保護部材18の衝撃振動とによるものとが混在した検出値を発生させ、第2ダイヤフラム14bおよび保護部材18の衝撃振動による検出値は、第1ダイヤフラム12bによって発生された第1ダイヤフラム12bおよび保護部材18の衝撃振動による検出値とは、正負が異なったものとなる。
エアバッグコントローラ3には、他の圧力センサまたは加速度センサ等の複数のセンサにより形成されたセンサ群4が接続されている。また、エアバッグコントローラ3には、エアバッグ装置5が接続されている。エアバッグ装置5は従前のタイプのものと同様であって、図示しないインフレータ、バッグおよび点火装置により形成されている。
一方、第2ダイヤフラム14bによる検出値PS2(平常時に対する衝突時の変化量)は、密閉室75の圧力による変化量:ΔPと、第2ダイヤフラム14bおよび保護部材18の衝撃振動による変化量:−ΔFとの和(PS2=ΔP−ΔF)となる。
エアバッグコントローラ3の衝突判定部31は、圧力センサ1により密閉室75内の圧力が所定の衝突閾値以上であることを検出した場合、またはセンサ群4に含まれる他のセンサによって他の車両ドア内の圧力が上昇したことを検出した場合、もしくは、他の加速度センサによって所定の衝突閾値以上の加速度を検出した場合に、車両6が衝突したと判定して、エアバッグ装置5を作動させる。
特に、第1センサチップ12および第2センサチップ14の双方が、保護部材18に覆われているため、上述した加算によって、第1センサチップ12および第2センサチップ14の検出値から第1ダイヤフラム12bおよび第2ダイヤフラム14bの衝撃振動による影響のみでなく、それらを覆っている保護部材18の衝撃振動による影響も取り除くことができるため、密閉室75内の圧力変化の検出精度をよりいっそう向上させることができる。
また、密閉室75は、車両ドア7内部に形成され、車両ドア7への衝突があった場合、圧力センサ1によって、密閉室75が圧縮されたことによる圧力の上昇を検知するようにしたことにより、車両ドア7への衝突を精度よく検出することが可能となる。
次に、図6に基づいて、実施形態2による圧力センサ1Aについて、実施形態1による圧力センサ1との相違点を中心に説明する。尚、図6において、図2と同一の構成については、同一の符号を付している。また、圧力センサ1Aの構成を説明する際に、便宜上、図6における上方を圧力センサ1Aの上方とし、図6における下方を圧力センサ1Aの下方として説明するが、車両6上における圧力センサ1Aの実際の取付状態とは無関係である。
これにより、実施形態1による圧力センサ1に比べて、圧力センサ1Aの高さ方向(図6における上下方向)の寸法を小さくすることができ、取付スペースの限られた車両ドア7内への取り付けを容易にすることができる。
すなわち、車両ドア7において、その厚み方向に比べて上下方向には幾分取付スペースに余裕があるため、圧力センサ1Aを、拡がり方向(図6における左右方向)を車両ドア7の上下方向に向け、小型化した高さ方向を車両ドア7の厚み方向に向けることによって、車両ドア7への取り付けを容易に行うことができる。
次に、図7に基づいて、実施形態3による圧力センサ1Bについて、実施形態1による圧力センサ1との相違点を中心に説明する。尚、図7において、図2と同一の構成については、同一の符号を付している。
圧力センサ1Bにおいては、第2ハウジング13の底板13aに、チャンバ連通孔13b(ハウジング貫通孔に該当する)が形成されている。チャンバ連通孔13bは、第2ハウジング13を貫通しており、第2チャンバ14cと密閉室75とを連通している。本実施形態による圧力センサ1Bに関するその他の構成については、実施形態1による圧力センサ1と同様であるため説明は省略する。
したがって、密閉室75に圧力変化が発生した場合、第1センサチップ12によって、密閉室75に発生した圧力変化と第1ダイヤフラム12bおよびそれを覆っている保護部材18の衝撃振動とが混在した検出値が発生され、第2センサチップ14が、第2ダイヤフラム14bおよびそれを覆っている保護部材18の衝撃振動による検出値を発生し、第2センサチップ14による第2ダイヤフラム14bおよび保護部材18の衝撃振動による検出値は、第1センサチップ12による第1ダイヤフラム12bおよび保護部材18の衝撃振動による検出値に対して、同じ大きさでかつ正負が反対となる。
また、第2ハウジング13の底板13aに、第2チャンバ14cと密閉室75とを連通するチャンバ連通孔13bが形成されていることにより、第2ハウジング13の成形時にチャンバ連通孔13bを同時に形成することができ、製造の容易な圧力センサ1Bにすることが可能となる。
次に、図8に基づいて、実施形態4による圧力センサ1Cについて、実施形態2による圧力センサ1Aとの相違点を中心に説明する。尚、図8において、図6と同一の構成については、同一の符号を付している。
本実施形態による圧力センサ1Cにおいては、センサハウジング21の天井部21eに、チャンバ連通孔21f(ハウジング貫通孔に該当する)が形成されている。チャンバ連通孔21fは、センサハウジング21を貫通しており、第2チャンバ14cと密閉室75とを連通している。本実施形態による圧力センサ1Cに関するその他の構成については、実施形態2による圧力センサ1Aと同様であり、圧力センサ1Cによる密閉室75内に発生した圧力変化検出の方法については実施形態3による圧力センサ1Bと同様であるため説明は省略する。
次に、図9に基づいて、実施形態5による圧力センサ1Dについて、実施形態1による圧力センサ1との相違点を中心に説明する。尚、図9において、図2と同一の構成については、同一の符号を付している。また、圧力センサ1Dの構成を説明する際に、便宜上、図9における上方を圧力センサ1Dの上方とし、図9における下方を圧力センサ1Dの下方として説明するが、車両6上における圧力センサ1Dの実際の取付状態とは無関係である。また、図9において、半田19およびセンサ基板20は省略されている。
一方、仕切板22cの下面には、第2ダイヤフラム14bを有する第2センサチップ14が取り付けられている。これによって、仕切板22cの下面と第2ダイヤフラム14bとの間に、仕切板22cを挟んで第1チャンバ12cと対向するように、第2チャンバ14cが形成される。図9に示すように、第2チャンバ14cは密閉室75から遮断されている。
本実施形態によれば、圧力センサ1Dの第1チャンバ12cと第2チャンバ14cとは、互いに連通して一体に形成されていることにより、圧力センサ1D全体を小型化することができる。
次に、図10に基づいて、実施形態6による圧力センサ1Eを含んだエアバッグシステムについて、実施形態1との相違点を中心に説明する。尚、図10において、図5と同一の構成については、同一の符号を付している。
本実施形態による圧力センサ1Eにおいては、第1センサチップ12および第2センサチップ14に接続された回路チップ15Aに回路部15aが含まれていない点のみが、実施形態1による圧力センサ1と異なっている。一方、エアバッグコントローラ3Aには、実施形態1による回路部15aと同様の演算機能を有する演算部32が設けられている。演算部32は、回路チップ15AのA/D変換器15bとエアバッグコントローラ3Aの衝突判定部31とに接続されている。
本実施形態によれば、回路チップ15Aに回路部15aが設けられていないため、回路チップ15Aを小型化でき、延いては圧力センサ1Eを小型化することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
本発明による圧力センサ1は、車両6のサイドドアのみではなく、バックドア等への衝突の検知にも適用可能である。
また、圧力センサ1は、車両6の衝突検知以外の用途に適用してもよい。
また、圧力センサ1において、第1ダイヤフラム12bおよび第2ダイヤフラム14bに、それぞれ同等(図2において、同方向かつ同じ向きに同じ大きさ)の衝撃振動が加わった場合、第1ダイヤフラム12bおよび第2ダイヤフラム14bにおいて、互いに正負が異なり、かつ、同等の大きさの検出値が発生するように設定されているが、第1ダイヤフラム12bによる検出値と第2ダイヤフラム14bによる検出値とを加算することにより、第1ダイヤフラム12bおよび第2ダイヤフラム14bによる検出値から衝撃振動による影響を取り除くことについて、支障の無い程度でのばらつきが、第1ダイヤフラム12bによる検出値と第2ダイヤフラム14bによる検出値との間にあってもよい。
Claims (7)
- 車両(6)に取り付けられるセンサハウジング(11、13、21、22)と、
第1ダイヤフラム(12b)を有し、該第1ダイヤフラムの一面が前記車両の密閉空間(75)に臨むように、前記センサハウジングに取り付けられ、前記密閉空間と遮断された第1チャンバ(12c)が前記第1ダイヤフラムの他面に面するように形成され、前記第1ダイヤフラムは、前記密閉空間内の圧力により撓んで信号を発生させる第1検出部材(12)と、
第2ダイヤフラム(14b)を有し、該第2ダイヤフラムの一面が前記密閉空間に臨むように、前記センサハウジングに取り付けられ、前記第2ダイヤフラムの他面に面するように第2チャンバ(14c)が形成され、前記第2ダイヤフラムは、前記第1ダイヤフラムと同方向かつ同じ向きに同じ量だけ撓むことにより、前記第1ダイヤフラムと同じ大きさでかつ正負が反対の信号を発生させる第2検出部材(14)と、
前記第1検出部材の前記一面および前記第2検出部材の前記一面を覆うように、前記センサハウジング内に充填された保護部材(18)と、
を備えた車両用圧力検出装置(1、1A、1B、1C、1D、1E)。 - 前記第1検出部材および前記第2検出部材は、
前記第1ダイヤフラムおよび前記第2ダイヤフラムの拡がり方向に、隣接して並ぶように配置されている請求項1記載の車両用圧力検出装置(1A、1C)。 - 前記第2チャンバは、前記密閉空間と連通している請求項1または2に記載の車両用圧力検出装置(1B、1C)。
- 前記第2チャンバは、
前記第2検出部材の前記他面と前記センサハウジング(13、21)との間に形成され、
前記センサハウジングには、
前記第2チャンバと前記密閉空間とを連通するハウジング貫通孔(13b、21f)が形成されている請求項3記載の車両用圧力検出装置(1B、1C)。 - 前記第1チャンバと前記第2チャンバとは、互いに連通して一体に形成された請求項1記載の車両用圧力検出装置(1D)。
- 前記第1検出部材による検出値と、前記第2検出部材による検出値とを加算する演算回路部(15a)を備えた請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の車両用圧力検出装置。
- 前記密閉空間は、
車両ドア(7)内部に形成され、
該車両ドアへの衝突があった場合、前記密閉空間が圧縮されたことによる圧力の上昇を検知する請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の車両用圧力検出装置。
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