以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るしごき型ポンプは、患者の血液を体外循環させて血液浄化治療(例えば血液透析治療)を行わせるための血液回路(具体的には、動脈側血液回路)に配設される血液ポンプから成るもので、その適用される血液回路は、図1に示すように、動脈側血液回路1と、静脈側血液回路2と、血液浄化器としてのダイアライザ3とから主に構成されている。なお、動脈側血液回路1は、本発明の「被しごきチューブ1aが接続された液体流路」に相当するものである。
動脈側血液回路1は、所定の液体を流通させ得る可撓性チューブから成る液体流路を構成するもので、その先端にコネクタcを介して動脈側穿刺針aが取り付け可能とされるとともに、途中に除泡のための動脈側エアトラップチャンバ5が接続されている。かかる動脈側血液回路1には、T字管Tを介して生理食塩液供給ラインL3が接続されており、その生理食塩液供給ラインL3の先端には生食バッグと称される収容手段7が接続されている。この生理食塩液供給ラインL3は、図示しない電磁弁や鉗子等から成る弁手段にて任意に開閉可能とされており、当該弁手段を開状態とすることにより、収容手段7内の生理食塩液を血液回路内に供給し得るよう構成されている。
また、動脈側血液回路1の途中(T字管Tと動脈側エアトラップチャンバ5との間)には、被しごきチューブ1aが接続されており、当該被しごきチューブ1aを血液ポンプ4(具体的には、後で詳述する血液ポンプ4のステータ8に形成された取付凹部8a)に取り付けることが可能とされている。かかる被しごきチューブ1aは、血液ポンプ4(しごき型ポンプ)のローラ10(しごき部)にて径方向に圧縮されつつ長手方向にしごかれて内部の液体をロータ9の回転方向に流動させ得るものであり、動脈側血液回路1を構成する他の可撓性チューブより軟質且つ大径の可撓性チューブから成る。
静脈側血液回路2は、所定の液体を流通させ得る可撓性チューブから成る液体流路を構成するもので、その先端にコネクタdを介して静脈側穿刺針bが取り付け可能とされるとともに、途中に除泡のための静脈側エアトラップチャンバ6が接続されている。しかるに、静脈側血液回路2を構成する可撓性チューブは、動脈側血液回路1を構成する可撓性チューブと材質及び径寸法が略同一のものとされている。そして、動脈側血液回路1と静脈側血液回路2との間には、血液を浄化するためのダイアライザ3が接続されている。
ダイアライザ3は、微小孔(ポア)が形成された複数の中空糸を筐体部に収容して成るものであり、その筐体部に、血液導入ポート3a、血液導出ポート3b、透析液導入ポート3c及び透析液導出ポート3dが形成されているとともに、血液導入ポート3aには動脈側血液回路1の基端が、血液導出ポート3bには静脈側血液回路2の基端がそれぞれ接続されている。また、透析液導入ポート3c及び透析液導出ポート3dは、透析装置本体(不図示)から延設された透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2とそれぞれ接続されている。
そして、ダイアライザ3に導入された患者の血液は、内部の中空糸膜内(血液流路)を通過して血液導出ポート3bから排出される一方、透析液導入ポート3cから導入された透析液が当該中空糸膜外(透析液流路)を通過して透析液導出ポート3dから排出されるよう構成されている。これにより、血液流路を通過する血液中の老廃物等を透析液側に透過させ、清浄化することができ、その清浄な血液を静脈側血液回路2を介して患者の体内に戻すことができる。このようにして、動脈側穿刺針aから採取された血液は、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2にて体外循環される過程で、ダイアライザ3により清浄化されるのである。
ここで、本実施形態に係る血液ポンプ4は、図2〜4に示すように、ステータ8と、ステータ8内で回転駆動可能なロータ9と、該ロータ9に形成されたローラ10と、上下一対のガイドピン11と、上流側把持手段12と、下流側把持手段13と、変位検出手段としての荷重センサ18とから主に構成されている。なお、同図においては、血液ポンプ4におけるステータ8の上部を覆うカバーについて省略してある。
ステータ8は、被しごきチューブ1aが取り付けられる取付凹部8aが形成されたもので、図3、4に示すように、当該取付凹部8aを形成する内周壁面に沿って被しごきチューブ1aが取り付けられるよう構成されている。また、取付凹部8aの略中央には、モータにより回転駆動可能なロータ9が配設されている。かかるロータ9の側面(取付凹部8aの内周壁面と対向する面)には、一対(2つ)のローラ10と、ガイドピン11とが配設されている。
ローラ10は、ロータ9の外縁側に形成された回転軸Mを中心として回転可能とされたもので、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aを径方向に圧縮しつつ当該ロータ9の回転に伴い長手方向(血液の流動方向)にしごくことにより、動脈側血液回路1内で血液を流動させ得るものである。すなわち、取付凹部8a内に被しごきチューブ1aを取り付けてロータ9を回転駆動させると、ローラ10と取付凹部8aの内周壁面との間で当該被しごきチューブ1aが圧縮されるとともに、ロータ9の回転駆動に伴ってその回転方向(長手方向)にしごき得るのである。かかるしごき作用により、動脈側血液回路1内の血液がロータ9の回転方向に流動することとなるので、当該動脈側血液回路1内で体外循環させることが可能とされている。
ガイドピン11は、図2に示すように、ロータ9の上端側及び下端側から取付凹部8aの内周壁面に向かってそれぞれ突出形成された上下一対のピン状部材から成るものであり、これら上下一対のガイドピン11の間に被しごきチューブ1aが保持されることとなる。すなわち、ロータ9の駆動時、上下一対のガイドピン11により被しごきチューブ1aを正規の位置に保持させるとともに、上側のガイドピン11により取付凹部8aから被しごきチューブ1aが上方に離脱しないようになっているのである。
上流側把持手段12は、血液ポンプ4におけるステータ8の取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aのうち上流側(動脈側血液回路1の先端側が接続される部位)を把持するためのもので、図2〜4に示すように、被しごきチューブ1aを径方向に押圧して把持し得る把持片14と、該把持片14を被しごきチューブ1a側に付勢するねじりバネ15(付勢手段)とを有する。
把持片14は、図4に示すように、揺動軸Laを中心に揺動可能な部品から成るもので、ねじりバネ15により把持方向に比較的強く付勢されており、被しごきチューブ1aの上流側の部位を押圧して固く挟持することにより固定可能とされたものである。ねじりバネ15は、同図に示すように、揺動軸Laに取り付けられて把持片14を付勢するとともに、ステータ8の固定部(本実施形態においては、ステータ8に取り付けられた荷重センサ18)に位置する固定端15aと把持片14を押圧する押圧端15bとを有する。なお、ねじりバネ15に代えて把持片14を付勢する他の付勢手段としてもよい。
下流側把持手段13は、血液ポンプ4におけるステータ8の取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aのうち下流側(動脈側血液回路1の基端側が接続される部位)を把持するためのもので、被しごきチューブ1aを径方向に押圧して把持し得る把持片16と、該把持片16を被しごきチューブ1a側に付勢するねじりバネ17とを有する。
把持片16は、上流側把持手段12の把持片14と同様、揺動軸Lbを中心に揺動可能な部品から成るもので、ねじりバネ17により把持方向に比較的強く付勢されており、被しごきチューブ1aの下流側の部位を押圧して固く挟持することにより固定可能とされたものである。ねじりバネ17は、上流側把持手段12のねじりバネ15と同様、揺動軸Lbに取り付けられて把持片16を付勢するとともに、ステータ8の固定部に位置する固定端と把持片16を押圧する押圧端とを有する。
変位検出手段としての荷重センサ18は、被しごきチューブ1aにおける上流側把持手段12で把持された部位の径方向の変位を検出可能なもので、本実施形態においては、ねじりバネ15(付勢手段)の固定端15a側に付与される荷重を検出し、当該検出された荷重に基づいて被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出するものとされている。この荷重センサ18は、付与された荷重に応じた電気信号を発生し得るものである。
かかる変位検出手段としての荷重センサ18には、図1に示すように、被しごきチューブ判別手段20と、隙間判定手段21と、圧力検知手段22とを有する監視手段19が電気的に接続されている。この監視手段19は、透析装置本体に搭載又は当該透析装置本体とは別個に配設されたマイコン等から成るもので、荷重センサ18にて検出された被しごきチューブ1aの径方向の変位に基づき、所定の制御を行い得るものである。
被しごきチューブ判別手段20は、荷重センサ18(変位検出手段)で検出された変位に基づき、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aの径を判別し得るものである。より具体的には、取付凹部8aには、互いに径が異なる細径チューブから成る被しごきチューブ及び太径チューブから成る被しごきチューブのそれぞれが取り付け可能とされており、本実施形態に係る被しごきチューブ判別手段20は、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが細径チューブ及び太径チューブの何れであるか判別可能とされている。
例えば、図7に示すように、取付凹部8aに被しごきチューブ1aを取り付ける前の状態における荷重センサ18の出力電圧V0が1.150(V)、取付凹部8aに細径チューブから成る被しごきチューブ1aを取り付けつつ上流側把持手段12にて把持した状態における荷重センサ18の出力電圧V1が1.434(V)、取付凹部8aに太径チューブから成る被しごきチューブ1aを取り付けつつ上流側把持手段12にて把持した状態における荷重センサ18の出力電圧V2が1.982(V)である場合、図8に示すように、出力電圧V0の変化率を100(%)とすると、出力電圧V1の変化率は125(%)、及び出力電圧V2の変化率は172(%)となる。
しかして、被しごきチューブ判別手段20は、取付凹部8aに被しごきチューブ1aを取り付けつつ上流側把持手段12にて把持した際の荷重センサ18の出力電圧Vxを取得するとともに、当該出力電圧Vxの出力電圧V0に対する変化率を算出するものとされている。そして、この算出された変化率が所定値(本実施形態の場合、例えば150(%))を超える場合は、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが太径チューブであると判別され、所定値以下の場合は、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが細径チューブであると判別される。
隙間判定手段21は、荷重センサ18(変位検出手段)で検出された変位に基づき、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否を判定し得るものである。すなわち、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法が不適であって、当該隙間寸法が適正寸法より大きい場合、ローラ10の被しごきチューブ1aに対する径方向の押圧力が不十分(すなわち、ローラ10による流路の締め切りが不十分)であることから、当該ローラ10による被しごきチューブ1aのしごきを確実に行うことができず、適正流量より低い流量となってしまうのである。
より具体的には、ロータ9が取付凹部8a内で回転することにより、当該取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aを一対のローラ10にて周期的にしごくことが可能とされており、本実施形態においては、当該ロータ9を回転させてローラ10にて被しごきチューブ1aを周期的にしごく過程において、荷重センサ18(変位検出手段)による変位の検出を継続的に行わせることにより得られた出力波形に基づいて、隙間判定手段21による判定が行われるよう構成されている。
例えば、取付凹部8aに被しごきチューブ1aを取り付けつつ上流側把持手段12にて把持した状態とするとともに、モータを駆動させることによりロータ9を回転させてローラ10にて被しごきチューブ1aを周期的にしごく過程において、荷重センサ18(変位検出手段)による変位の検出を継続的に行わせると、図10に示すように、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否に応じた出力波形が得られる。なお、同図においては、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法が適正の場合、得られる出力波形をα1とするとともに、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法が不適(当該隙間寸法が適正寸法より大きい)の場合、得られる出力波形をβ1としている。
そして、得られた出力波形を周期t毎に区分(本実施形態においては5つの周期に区分)するとともに、その区分された周期t毎の最大値及び最小値を得る。なお、周期t毎の最小値をプロットしたグラフを図11に示すとともに、周期毎の最大値をプロットしたグラフを図12に示す。かかる周期tは、ロータ9の回転数と当該ロータ9に形成されたローラ10の数等により決定されるもので、本実施形態においては、例えばロータ9にローラ10が2つ形成され、細径チューブを被しごきチューブ1aとして使用するものとし、かつ、流量が200(mL/min)に設定された場合、周期tは0.9(s)となり、ロータ9にローラ10が2つ形成され、太径チューブを被しごきチューブ1aとして使用するものとし、かつ、流量が200(mL/min)に設定された場合、周期tは1.3(s)となる。
ここで、隙間判定手段21は、図13に示すように、最小値を基準(100%)とした場合の周期t毎の最大値の変化率((最大値/最小値)×100)を算出するものとされている。しかして、このように算出された変化率が予め設定された基準値(本実施形態の場合、例えば110(%))を超える場合は、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法が適正であると判定されるとともに、基準値以下の場合は、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法が不適(当該隙間寸法が適正寸法より大きい)と判定される。以上により、出力波形α1、β1との比較によって、隙間判定手段21による判定(取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否)を行うことができる。
また、本実施形態に係る隙間判定手段21は、2つのローラ10のうち一方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定、及び2つのローラ10の両方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定を行い得るよう構成されている。なお、本実施形態においては、2つのローラ10のうち一方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定と、2つのローラ10の両方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定との両方の判定を行い得るものとされているが、何れか一方の判定のみ行い得るものであってもよい。
先ず、2つのローラ10の両方について、取付凹部8aの内周壁面に対する隙間寸法が適正とされるものと、2つのローラ10の両方について、取付凹部8aの内周壁面に対する隙間寸法が不適(当該隙間寸法が適正寸法より大きい)とされるものとの判定方法について説明する。
取付凹部8aに被しごきチューブ1aを取り付けつつ上流側把持手段12にて把持した状態とするとともに、モータを駆動させることによりロータ9を回転させてローラ10にて被しごきチューブ1aを周期的にしごく過程において、荷重センサ18(変位検出手段)による変位の検出を継続的に行わせると、図14に示すように、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否に応じた出力波形が得られる。なお、同図においては、取付凹部8aの内周壁面と両方のローラ10との間の隙間寸法が適正の場合、得られる出力波形をα2とするとともに、取付凹部8aの内周壁面と両方のローラ10との間の隙間寸法が不適(当該隙間寸法が適正寸法より大きい)の場合、得られる出力波形をβ2としている。
そして、得られた出力波形を周期t毎に区分(本実施形態においては5つの周期に区分)するとともに、その区分された周期t毎の最大値及び最小値を得る。なお、周期t毎の最小値をプロットしたグラフを図15に示すとともに、周期毎の最大値をプロットしたグラフを図16に示す。ここで、隙間判定手段21は、図17に示すように、最小値を基準(100%)とした場合の周期t毎の最大値の変化率((最大値/最小値)×100)を算出するものとされている。
しかして、上記の如く算出された変化率が予め設定された基準値(本実施形態の場合、例えば110(%))を超える場合は、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法が適正であると判定されるとともに、何れの変化率も基準値以下の場合は、取付凹部8aの内周壁面と両方のローラ10との間の隙間寸法が不適(当該隙間寸法が適正寸法より大きい)と判定される。以上により、出力波形α2、β2との比較によって、隙間判定手段21による判定(取付凹部8aの内周壁面と両方のローラ10との間の隙間寸法の適否)を行うことができる。
次に、2つのローラ10の両方について、取付凹部8aの内周壁面に対する隙間寸法が適正とされるものと、2つのローラ10の一方について、取付凹部8aの内周壁面に対する隙間寸法が不適(当該隙間寸法が適正寸法より大きい)とされるものとの判定方法について説明する。
取付凹部8aに被しごきチューブ1aを取り付けつつ上流側把持手段12にて把持した状態とするとともに、モータを駆動させることによりロータ9を回転させてローラ10にて被しごきチューブ1aを周期的にしごく過程において、荷重センサ18(変位検出手段)による変位の検出を継続的に行わせると、図18に示すように、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否に応じた出力波形が得られる。なお、同図においては、取付凹部8aの内周壁面と両方のローラ10との間の隙間寸法が適正の場合、得られる出力波形をα3とするとともに、取付凹部8aの内周壁面と一方のローラ10との間の隙間寸法が不適(当該隙間寸法が適正寸法より大きい)の場合、得られる出力波形をβ3としている。
そして、得られた出力波形を周期t毎に区分(本実施形態においては5つの周期に区分)するとともに、その区分された周期t毎の最大値及び最小値を得る。なお、周期t毎の最小値をプロットしたグラフを図19に示すとともに、周期毎の最大値をプロットしたグラフを図20に示す。ここで、隙間判定手段21は、図21に示すように、最小値を基準(100%)とした場合の周期t毎の最大値の変化率((最大値/最小値)×100)を算出するものとされている。
しかして、上記の如く算出された変化率が予め設定された基準値(本実施形態の場合、例えば110(%))を超える場合は、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法が適正であると判定されるとともに、基準値を超えるときと超えないときとが交互にある場合は、取付凹部8aの内周壁面と一方のローラ10との間の隙間寸法が不適(当該隙間寸法が適正寸法より大きい)と判定される。以上により、出力波形α3、β3との比較によって、隙間判定手段21による判定(取付凹部8aの内周壁面と一方のローラ10との間の隙間寸法の適否)を行うことができる。
さらに、監視手段19には、荷重センサ18(変位検出手段)で検出された変位に基づき、動脈側血液回路1(具体的には、当該動脈側血液回路1の先端と血液ポンプ4との間の部位)に付与された陰圧又は陽圧を検知し得る圧力検知手段22が形成されている。すなわち、治療時、動脈側血液回路1の先端には動脈側穿刺針aが取り付けられているため、患者から血液を採取して動脈側血液回路1にて流動させて脱血すべく血液ポンプ4を正転駆動(図1中左回転)させる際、当該動脈側血液回路1の先端と血液ポンプ4との間で陰圧が生じてしまう。かかる陰圧が生じると、被しごきチューブ1a内の液圧が低下し、当該被しごきチューブ1aにおける上流側把持手段12で把持された部位が径方向に変位する(径が小さくなる)ので、荷重センサ18により検出される荷重が低下することとなる。かかる荷重の低下を検出することにより、動脈側血液回路1に陰圧が生じていることを検出することができるのである。
また、治療後において血液回路内の血液を患者に戻す返血を行うべく血液ポンプ4を逆転駆動させる際、当該動脈側血液回路1の先端と血液ポンプ4との間で陽圧が生じてしまう。かかる陽圧が生じると、被しごきチューブ1a内の液圧が上昇し、当該被しごきチューブ1aにおける上流側把持手段12で把持された部位が径方向に変位する(径が大きくなる)ので、荷重センサ18により検出される荷重が上昇することとなる。かかる荷重の上昇を検出することにより、動脈側血液回路1に陽圧が生じていることを検出することができるのである。
またさらに、本実施形態においては、監視手段19と電気的に接続された報知手段23を具備している。かかる報知手段23は、例えば透析装置本体に配設された表示手段(タッチパネル等)、スピーカ又は外部表示灯などから成るもので、監視手段19(具体的には、被しごきチューブ判別手段20、隙間判定手段21又は圧力検知手段22)により異常が検出された際、周囲の医療従事者等に報知(表示手段に対する表示、スピーカからの警報の出力、外部表示灯の点灯又は点滅等)し得るものである。
次に、本実施形態に係る血液ポンプ4(しごき型ポンプ)の制御内容について、図5のフローチャートに基づいて説明する。
透析治療(血液浄化治療)の開始前において、先ず液置換工程S1を行い、透析装置本体内の配管内を透析液で充填させるとともに、配管の漏れ診断やテスト等の自己診断を実施する。その後、透析準備工程S2に進み、透析条件の設定、動脈側血液回路1における被しごきチューブ1aの血液ポンプ4への取付け、その取り付けた被しごきチューブ1aの種類(太径チューブ又は細径チューブ)の設定、及び血液回路や補液回路のプライミング(置換液の充填作業)等を行う。なお、透析準備工程S2と並行して、ダイアライザ3の透析液流路側のプライミング(ガスパージ)も行わせる。
かかる透析準備工程S2が終了すると、被しごきチューブ判別工程S3に移行する。かかる被しごきチューブ判別工程S3は、荷重センサ18で検出された変位に基づき、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aの径を被しごきチューブ判別手段20によって判別する工程である。より具体的には、被しごきチューブ判別工程S3においては、図6に示すように、取付凹部8aに被しごきチューブ1aを取り付ける前の状態における荷重センサ18の出力電圧V0(図7参照)と、取付凹部8aに被しごきチューブ1aを取り付けつつ上流側把持手段12にて把持した状態における荷重センサ18の出力電圧Vxとから出力電圧の変化率(図8参照)を取得しておく(S11)。なお、取付凹部8aに被しごきチューブ1aを取り付ける前の状態における荷重センサ18の出力電圧V0は、図5の透析準備工程S2においても取得可能である。
その後、取得した出力電圧の変化率が所定値(予め設定された閾値であって細径チューブの変化率と太径チューブの変化率との間の値)を超えたか否かが判定され(S12)、所定値を超える場合は、S13に移行し、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが太径チューブから成るものであると判別する一方、所定値を超えない場合は、S15に移行し、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが細径チューブから成るものであると判別する。
そして、S13にて取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが太径チューブから成るものであると判別された場合、S14に移行し、図5の透析準備工程S2にて使用する被しごきチューブ1aが、透析装置の使用設定において太径チューブに設定されているか否か(判別された径の被しごきチューブ1aと設定された径の被しごきチューブ1aとが合致しているか否か)が判定され、太径チューブに設定されている場合(判別した種類と設定した種類とが合致した場合)、正常であると判定される一方、細径チューブに設定されている場合(判別した種類と設定した種類とが合致していない場合)、異常であると判定される。
また、S15にて取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが細径チューブから成るものであると判別された場合、S16に移行し、図5の透析準備工程S2にて使用する被しごきチューブ1aが、透析装置の使用設定において細径チューブに設定されているか否か(判別された径の被しごきチューブ1aと設定された径の被しごきチューブ1aとが合致しているか否か)が判定され、細径チューブに設定されている場合(判別した種類と設定した種類とが合致した場合)、正常であると判断される一方、太径チューブに設定されている場合(判別した種類と設定した種類とが合致していない場合)、異常であると判断される。
しかるに、S14又はS16にて異常であると判断された場合、報知手段23による報知を行わせ、医療従事者等に対処を促す一方、正常であると判断された場合、隙間判定工程S4に移行する。かかる隙間判定工程S4は、荷重センサ18で検出された変位に基づき、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否を隙間判定手段21にて判定する工程である。より具体的には、隙間判定工程S4は、図9に示すように、取付凹部8aに被しごきチューブ1aを取り付けた状態においてモータを駆動し(S17)、当該取付凹部8a内でロータ9を回転させることにより行われる。
そして、ロータ9を回転させてローラ10にて被しごきチューブ1aを周期的にしごく過程において、荷重センサ18(変位検出手段)による変位の検出を継続的に行わせることにより出力波形(図10、14、18参照)を取得するとともに、その出力波形における周期毎の最大値(図12、16、20参照)及び最小値(図11、15、19参照)を取得する(S18)。
その後、最小値を基準(100%)とした場合の周期毎の最大値の変化率((最大値/最小値)×100)を算出し(S19)、その算出した変化率が所定値(予め設定された閾値であって隙間寸法が適正である場合と不適である場合との間の基準値)を超えたか否かが判定され(S20)、所定値を超える場合は、正常(取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法が適正)と判断する一方、所定値を超えない場合は、異常(当該隙間寸法が適正寸法より大きい)と判断する。なお、所定値を超える回数を検出(図17、21参照)することで、2つのローラ10のうち一方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定、及び2つのローラ10の両方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定を行うことができる。
しかるに、S20にて異常であると判断された場合、報知手段23による報知を行わせ、医療従事者等に対処を促す一方、正常であると判断された場合、透析治療が行われる。透析治療においては、動脈側穿刺針a及び静脈側穿刺針bを患者に穿刺するとともに、血液ポンプ4を駆動してローラ10を回転駆動させることで脱血を開始(脱血開始S5)させ、患者の血液を動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2を介して体外循環させる。これにより、体外循環過程の血液がダイアライザ3にて浄化され、透析治療(血液浄化治療)がなされることとなる。
そして、脱血開始後において、荷重センサ18で検出された変位に基づき、動脈側血液回路1(具体的には、当該動脈側血液回路1の先端と血液ポンプ4との間の部位)に付与された陰圧を圧力検知手段22にて検知するとともに、S6にて、所定値(予め設定された閾値)を超える陰圧が検知されたか否かが判定される。かかるS6にて所定値を超える陰圧が検知されると、S7に移行し、報知手段23による報知を行わせて医療従事者等に対処を促す。
なお、S6にて設定値を超えないと判定された場合は、S8に移行し、透析治療が終了したか否かが判定される。このS8にて透析治療が終了していないと判定されると、S6に戻り、脱血圧の監視が引き続き行われる。一方、S8にて透析治療が終了したと判定されると、S9に移行し、返血工程S9(血液回路内の血液を患者の体内に戻す工程)を経てダイアライザ3の液抜きを行う排液工程S10が行われ、一連の制御が終了することとなる。上記一連の工程を経ることにより、透析治療(血液浄化治療)において、透析治療中に脱血圧をリアルタイムで検出することができ、脱血状態を監視することができる。
上記実施形態においては、透析準備工程S2の後工程にて被しごきチューブ判別工程S3を行わせているが、当該透析準備工程S2において被しごきチューブ1aを取付凹部8aに取り付けた時点で被しごきチューブ判別手段20による判別を行わせるようにしてもよい。また、隙間判定工程S4は、透析治療前であれば何れの時点で行ってもよいが、透析準備工程S2におけるプライミング後のいずれかの時点(すなわち、動脈側血液回路1がプライミング液で満たされた状態)で行うようにするのが好ましい。
上記実施形態に係る血液ポンプ4によれば、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出し得る荷重センサ18(変位検出手段)と、荷重センサ18(変位検出手段)で検出された変位に基づき、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aの径を判別し得る被しごきチューブ判別手段20とを備えたので、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが適切な径のチューブか否かを自動的に判別することができる。
また、被しごきチューブ判別手段20は、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが細径チューブ及び太径チューブの何れであるか判別可能とされたので、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aの判別を2者択一で行わせることができ、当該被しごきチューブ1aの径の判別を精度よく、かつ、迅速に行わせることができる。なお、本実施形態においては、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが細径チューブ及び太径チューブの何れであるか判別可能とされているが、互いに径が異なる3種類以上の被しごきチューブ1aを判別し得るものであってもよい。
さらに、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aを把持するための把持手段(上流側把持手段12及び下流側把持手段13)を具備するとともに、荷重センサ18(変位検出手段)は、当該上流側把持手段12で把持された部位の径方向の変位を検出可能とされたので、被しごきチューブ1aを取付凹部8aに取り付けて上流側把持手段12にて把持させることにより、荷重センサ18(変位検出手段)による変位の検出及び被しごきチューブ判別手段20による被しごきチューブの径の判別を行わせることができることとなり、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが適切な径のチューブか否かを自動的に判別することができるため、医療従事者等による確認作業を省くことができ作業負担を低下させることができる。なお、本実施形態においては、上流側把持手段12に荷重センサ18(変位検出手段)が形成されているが、下流側把持手段13に変位検出手段としての荷重センサ18を配設するようにしてもよい。
またさらに、把持手段(本実施形態においては上流側把持手段12)は、被しごきチューブ1aを径方向に押圧して把持し得る把持片14と、該把持片14を被しごきチューブ1a側に付勢するねじりバネ15(付勢手段)とを有するとともに、荷重センサ18(変位検出手段)は、当該ねじりバネ15の固定端側に付与される荷重を検出し、当該検出された荷重に基づいて被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出するので、血液ポンプ4(しごき型ポンプ)における付勢手段が被しごきチューブ1aに対する把持力を生じさせる機能と、荷重センサ18(変位検出手段)により被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出させる機能とを兼ね備えることができる。
また、被しごきチューブ1aは、透析治療時(血液浄化治療時)において患者の血液を体外循環させるための動脈側血液回路1の途中に接続されるとともに、荷重センサ18(変位検出手段)で検出された変位に基づき、当該動脈側血液回路1に付与された陰圧又は陽圧を検知し得る圧力検知手段22を具備したので、荷重センサ18(変位検出手段)で検出された変位に基づいて、被しごきチューブ1aの径の判別と、動脈側血液回路1における脱血時又は返血時の圧力変化の検知とを行わせることができる。
さらに、被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出する荷重センサ18(変位検出手段)により動脈側血液回路1の圧力変化を検知することができるので、圧力を検出するための別個の手段を液体流路に接続させることが不要とされ、流通させる液体の淀みを抑制することができるとともに、液体流路の製造コスト及び容量を低減させることができる。なお、本実施形態によれば、上記した血液ポンプ4(しごき型ポンプ)を具備した血液浄化装置を提供することができる。
加えて、本実施形態によれば、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出し得る荷重センサ18(変位検出手段)と、荷重センサ18(変位検出手段)で検出された変位に基づき、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否を判定し得る隙間判定手段21とを備えたので、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法が適切であるか否かを自動的に判定することができる。
また、ロータ9を回転させてローラ10にて被しごきチューブ1aを周期的にしごく過程において、荷重センサ18(変位検出手段)による変位の検出を継続的に行わせることにより得られた出力波形に基づいて、隙間判定手段21による判定が行われるので、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否の判定をより精度よく、かつ、円滑に行わせることができる。さらに、出力波形における周期毎の最大値及び最小値に基づいて、隙間判定手段21による判定が行われるので、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否の判定をより精度よく、かつ、簡潔に行わせることができる。
またさらに、隙間判定手段21は、複数(本実施形態においては2つ)のローラ10のうち何れか一方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定、又は複数のローラ10の両方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定を行い得るので、判定対象の選択肢を広げることができる。すなわち、複数のローラ10のうち何れか一方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定を行わせることにより、迅速かつ円滑な判定を行わせることができる一方、複数のローラ10の両方が取付凹部8aの内周壁面との間の隙間寸法が不適であることの判定を行わせることにより、より正確な判定を行わせることができるのである。
なお、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aを把持するための把持手段(上流側把持手段12及び下流側把持手段13)を具備するとともに、荷重センサ18(変位検出手段)は、当該上流側把持手段12で把持された部位の径方向の変位を検出可能とされたので、被しごきチューブ1aを取付凹部8aに取り付けて上流側把持手段12にて把持させることにより、荷重センサ18(変位検出手段)による変位の検出及び取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否の判定を行わせることができることとなり、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aが適切な径のチューブか否かを自動的に判別することができるため、医療従事者等による確認作業を省くことができ作業負担を低下させることができる。
また、被しごきチューブ1aは、血液浄化治療時(血液浄化治療時)において患者の血液を体外循環させるための動脈側血液回路1の途中に接続されるとともに、荷重センサ18(変位検出手段)で検出された変位に基づき、当該動脈側血液回路1に付与された陰圧又は陽圧を検知し得る圧力検知手段22を具備したので、荷重センサ18(変位検出手段)で検出された変位に基づいて、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否の判定と、動脈側血液回路1における脱血時又は返血時の圧力変化の検知とを行わせることができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
本実施形態に係るしごきポンプは、患者の血液を体外循環させて血液浄化治療(例えば血液透析治療)を行わせるための血液回路(具体的には、動脈側血液回路)に配設される血液ポンプから成るためのもので、その適用される血液回路は、上記第1の実施形態と同様のものである。なお、適用される血液回路(液体流路及び被しごきチューブ1a)は、先の実施形態の図1で示されるものと同一であるため、説明を省略することとする。
本実施形態に係る血液ポンプ4’(しごき型ポンプ)は、図22、23に示すように、ステータ8と、ステータ8内で回転駆動可能なロータ9と、該ロータ9に形成されたローラ10と、上下一対のガイドピン11と、上流側把持手段12’と、下流側把持手段13と、変位検出手段としての圧力トランスデューサ24とから主に構成されている。なお、血液ポンプ4’における第1の実施形態と同様の構成部品には同一の符号を付し、それらの説明を省略する。
上流側把持手段12’は、血液ポンプ4’におけるステータ8の取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aのうち上流側(動脈側血液回路1の先端側が接続される部位)を把持するためのもので、図23に示すように、被しごきチューブ1aを径方向に押圧して把持し得る把持片14と、該把持片14を被しごきチューブ1a側に付勢するねじりバネ15(付勢手段)とを有する。
変位検出手段としての圧力トランスデューサ24は、被しごきチューブ1aにおける上流側把持手段12’で把持された部位の径方向の変位を検出可能なもので、本実施形態においては、被しごきチューブ1aを挟んで把持片14と対向した部位に配設され、当該把持片14にて押圧された被しごきチューブ1aの側面に付与される圧力を検出し、当該検出された圧力に基づいて被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出するものとされている。
すなわち、患者から血液を採取して動脈側血液回路1にて流動させる際、当該動脈側血液回路1の先端と血液ポンプ4’との間で陰圧が生じると、被しごきチューブ1a内の液圧が低下し、当該被しごきチューブ1aにおける上流側把持手段12’で把持された部位が径方向に変位しようとする(径が小さくなろうとする)ので、圧力トランスデューサ24に対する接触面積が小さくなって、当該圧力トランスデューサ24により検出される圧力が低下することとなる。かかる圧力の低下を検出することにより、動脈側血液回路1に陰圧が生じていることを検出することができるのである。
上記血液ポンプ4’によれば、被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出する変位検出手段としての圧力トランスデューサ24により動脈側血液回路1(液体流路)の圧力を検出することができるので、圧力を検出するための別個の手段を動脈側血液回路1に接続させることが不要とされ、流通させる液体の淀みを抑制することができるとともに、動脈側血液回路1(及び血液回路全体)の製造コスト及び容量(プライミングボリューム)を低減させることができる。
また、血液ポンプ4’は、当該血液ポンプ4’に取り付けられた被しごきチューブ1aを把持するための把持手段(上流側把持手段12’及び下流側把持手段13)を具備するとともに、変位検出手段としての圧力トランスデューサ24は、上流側把持手段12’で把持された部位の径方向の変位を検出可能とされたので、血液ポンプ4’に対して被しごきチューブ1aを取り付けて上流側把持手段12’にて把持させることにより圧力検出装置に対する被しごきチューブ1aの取り付けがなされることとなり、医療従事者等による作業負担を低下させることができる。
さらに、上流側把持手段12’は、被しごきチューブ1aを径方向に押圧して把持し得る把持片14と、該把持片14を被しごきチューブ1a側に付勢するねじりバネ15(付勢手段)とを有するとともに、変位検出手段としての圧力トランスデューサ24は、被しごきチューブ1aを挟んで把持片14と対向した部位に配設され、当該把持片14にて押圧された被しごきチューブ1aの側面に付与される圧力を検出し、当該検出された圧力に基づいて被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出するので、血液ポンプ4’における変位検出手段(圧力トランスデューサ24)が被しごきチューブ1aに対する押圧力を受ける機能と、動脈側血液回路1の圧力を検出する機能とを兼ね備えることができる。
なお、本実施形態からも明らかなように、本発明は、液体流路における変位検出手段が位置する部位において、第1の実施形態の如く実際に径方向に変位するものに限らず、例えば把持手段がチューブの両側面を拘束して挟んでいるものなど、径方向に変位しようとする力が働くものの側面が拘束されることにより変位しない形態も含むものとされる。すなわち、本発明は、被しごきチューブ1aの径方向の変位を直接的又は間接的に検出し得るものであれば足り、本実施形態の如く、拘束しなければなされたであろう変位を検出するものであってもよいのである。
ここで、上記変位検出手段としての圧力トランスデューサ24には、図1に示したものと同様に、被しごきチューブ判別手段20と、隙間判定手段21と、圧力検知手段22とを有する監視手段19及び報知手段23が電気的に接続されている。当該監視手段19及び報知手段23については、上記実施形態と同様のものであり、取付凹部8aに取り付けられた被しごきチューブ1aの径の判別、取付凹部8aの内周壁面とローラ10との間の隙間寸法の適否の判定、及び動脈側血液回路1に付与された陰圧又は陽圧の検知を行い得るようになっている。
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば血液ポンプに代えて、他のしごき型ポンプ(例えば、血液浄化治療(血液透析治療)時において補液を流通させるための補液流通路の途中に配設された補液ポンプ等)に適用することができる。また、上記実施形態においては、変位検出手段が荷重センサ18又は圧力トランスデューサ24から成るものとされ、荷重又は圧力を検出し、その検出された荷重又は圧力に基づいて被しごきチューブ1aの径方向の変位を検出するものとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、被しごきチューブ1aの変位(寸法変化)を直接検出し得るものとしてもよい。さらに、上記実施形態においては、適用される液体流路が動脈側血液回路1とされているが、被しごきチューブが一部に接続されたものであれば、他の形態の液体流路に適用してもよい。