JP5947500B2 - 鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造 - Google Patents
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Description
このため、特許文献1および2には、鉄骨梁のウェブに形成されたダクト貫通孔に、耐火被覆材が巻き付けられたダクトが挿通された鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造が開示されている。
例えば、耐火被覆材をロックウールとし、3時間耐火の性能を確保する場合、ダクトに巻き付ける耐火被覆材の厚さが60mmとなるため、ダクト貫通孔の内径は、ダクト外径+120mmとなる。
このような場合は、梁成の大きい鉄骨梁に変更したり、ダクトの内径を小さくしてダクトの設置箇所を増やしたりして対応している。
しかし、梁成の大きい鉄骨梁に変更するには階高を高くする必要があり、また、ダクトの設置箇所を増やすとダクト工事などに手間がかかるため、工期やコストに影響を及ぼすことになる。
このようにすることにより、第1耐火被覆材の厚さを薄くすることができるため、ダクト貫通孔の内径をより小さくすることができる。
特に、第1耐火被覆材が、セラミックファイバーを材料として形成されることで薄くなるため、ダクト貫通孔の内径をより小さくすることができる。
また、本発明に係る鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造では、前記鉄骨梁には鉄骨梁用耐火被覆材が巻きつけられていて、前記第1耐火被覆材の軸方向の両端部および前記第2耐火被覆材の軸方向の両端部は、前記鉄骨梁用耐火被覆材と当接していることが好ましい。
以下、本発明の実施形態による鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造について、図1および図2に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態による鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造1Aでは、耐火被覆材2が外周面3aに巻き付けられたダクト3が、鉄骨梁4のウェブ5に形成されたダクト貫通孔6に挿通されている。
なお、本実施形態による鉄骨梁4のダクト貫通部の耐火被覆構造1Aでは、3時間耐火の国土交通大臣認定の耐火性能を確保可能なものとしている。
ダクト3は、例えば、厚さ0.5mmの鋼板を外径200mmの円筒状に形成したもので、長さ方向(ダクト3の軸方向)の両端部3b,3b(図1参照)に他のダクトが接合可能に構成されている。
第1耐火被覆材21は、厚さt1が25mmのセラミックファイバーのシート(二酸化ケイ素繊維系フェルト)を円筒状に形成したもので、ピンなどの係止具によってダクト3の外周面3aに固定されている。
第2耐火被覆材22は、厚さt2が40mmのロックウールのシート(無機繊維フェルト)を円筒状に形成したもので、第1耐火被覆材21と密着している。
また、第2耐火被覆材22は、ダクト貫通孔6に挿通されずに、ダクト貫通孔6からダクト3の長さ方向前後に配されている。そして、第2耐火被覆材22は、長さ方向に2つに分割され、第2耐火被覆材分割体24,24として配されている。2つの第2耐火被覆材分割体24,24は、それぞれ鉄骨梁4のウェブ5の両側に配されて、ウェブ5側の端部24a(図1参照)がウェブ5と当接するように配されている。
また、図1に示すように、ダクト貫通孔6の内径φ1は、ダクト3の外径φ2に第1耐火被覆材21の厚さt1を加えた寸法(200mm+25mm+25mm=250mm)となっている。
まず、鉄骨梁4の製造工場において、予め鉄骨梁4のウェブ5にダクト貫通孔6を穿孔する。また、ダクト貫通孔6に挿通させるダクト3の長さ方向の中央部側の外周面3aに第1耐火被覆材21を巻き付ける。なお、ダクト3への第1耐火被覆材21の巻き付けは、ダクトの製造工場で予め行っておいてもよい。
なお、本実施形態では、第1耐火被覆材21の下端部側で鉄骨梁4のウェブ5と当接する部分に、スペーサピン25およびケイカルスペーサ26を取り付けていて、このスペーサピン25およびケイカルスペーサ26によって第1耐火被覆材21およびダクト3が下方へずれることを防止している。
このとき、第2耐火被覆材22の2つの第2耐火被覆材分割体24,24をウェブ5の両側に位置するように配し、第2耐火被覆材分割体24,24の内周面を第1耐火被覆材21の外周面21aに当接させるとともに、第2耐火被覆材分割体24,24の端部24a,24aをそれぞれウェブ5に当接させる。
このとき、鉄骨梁4の耐火被覆材8は、第1耐火被覆材21の両端部21b,21bおよび第2耐火被覆材分割体24の端部24b,24bに当接するように配するとともに、ダクト3の端部側の外周面3aに当接するように配する。
以上のようにして本実施形態の鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造1Aが施工される。
本実施形態による鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造1Aによれば、鉄骨梁4のウェブ5に形成するダクト貫通孔6の内径φ1を、ダクト3の外径φ2に第1耐火被覆材21の厚さt1を加えた寸法とすればよいため、図4に示すようなダクト貫通孔6の内径をダクト3の外径φ1に耐火被覆材2全体の厚さt3(図1のt1+t2に相当)を加えた寸法とする従来の耐火被覆構造41よりも、ダクト貫通孔6の大きさを小さくすることができる。
このため、従来のように鉄骨梁4の梁成を大きくしたり、鉄骨梁4のウェブ5に多くのダクト3を挿通させたりする必要がないため、コストの低減と工期短縮を図ることができる。
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図3に示すように、第2実施形態による鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造1Bでは、2時間耐火の国土交通大臣認定の耐火性能を確保可能なものとし、第1耐火被覆材31および第2耐火被覆材32が同じ材料で形成されている。本実施形態では、第1耐火被覆材31および第2耐火被覆材32は、ともに厚さ20mmのロックウールのシートとしている。
例えば、上述した実施形態では、耐火被覆材2がロックウールやセラミックファイバーで形成されているが、所望の性能を確保できるのであればこれ以外の材料で形成されていてもよい。
2 耐火被覆材
3 ダクト
3a 外周面
4 鉄骨梁
5 ウェブ
6 ダクト貫通孔
7 床スラブ
8 耐火被覆材
21,31 第1耐火被覆材
22,32 第2耐火被覆材
23 振れ止め部材
24 第2耐火被覆材分割体
25 スペーサピン
26 ケイカルスペーサ
Claims (3)
- 外周面に耐火被覆材が巻き付けられたダクトが、鉄骨梁のウェブに形成されたダクト貫通孔に挿通された鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造において、
前記耐火被覆材は、前記ダクトの外周面に巻き付けられた第1耐火被覆材と、該第1耐火被覆材の外周面に巻き付けられた第2耐火被覆材と、を備えた2層構造で構成され、
前記第1耐火被覆材は、前記ダクト貫通孔に挿通されるとともに、該ダクト貫通孔に対する前記ダクトの軸方向の一方側から他方側にわたる所定範囲全体に巻き付けられ、
前記第2耐火被覆材は、前記ダクト貫通孔に挿通されず、前記所定範囲のうちの前記ダクト貫通孔の内側を除いた部分全体に前記ウェブと当接するように巻き付けられていて、
前記耐火被覆材は、前記ダクト貫通孔の内周面と前記ダクトの外周面との間に配された部分の厚さ寸法が、前記所定範囲に配された部分の厚さ寸法よりも小さく形成されていることを特徴とする鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造。 - 前記第1耐火被覆材は、セラミックファイバーまたはロックウールを材料として形成され、
前記第2耐火被覆材は、ロックウールを材料として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造。 - 前記鉄骨梁には鉄骨梁用耐火被覆材が巻きつけられていて、
前記第1耐火被覆材の軸方向の両端部および前記第2耐火被覆材の軸方向の両端部は、前記鉄骨梁用耐火被覆材と当接していることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄骨梁のダクト貫通部の耐火被覆構造。
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