JP5946224B2 - アスベスト曝露歴のマーカー及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明はアスベスト(石綿)の曝露歴の指標となるバイオマーカー及びその用途に関する。本出願は、2011年3月23日に出願された日本国特許出願第2011−063469号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。
アスベストは極めて細い繊維であり、熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、化学変化しにくい。このような優れた特性を有するアスベストは建材(吹き付け材、断熱材、スレート材など)、摩擦材(自動車のブレーキライニングなど)、シール断熱材(石綿紡織品、ガスケットなど)などに使用されてきた。1970年代よりWHOによってアスベスト吸入によって肺がんや中皮腫を発症することが指摘されていたが、わが国では対策が遅れ、石綿鉱石は今までに約1000万トン輸入され、製造過程や使用において多くの人が曝露されることとなった。現在では原則として製造・使用等が禁止されているが、過去の曝露によって毎年1000人以上の肺がん、胸膜中皮腫患者が発生している(厚生労働省の人口動態統計)。今後20年間に10万人の肺がん、胸膜中皮腫死亡例が発生するとの推計もある。しかし現在のところ、対策は曝露歴の明らかな従業員の胸部レントゲン写真撮影に限られていて、曝露歴の明確でない個人営業の建設業者、配管工、電気工等とその家族等、さらに、中越地震、阪神淡路大震災時における消防士、救急隊員、自衛隊員、ボランティアなどについては既に胸膜中皮腫の発生例があるにもかかわらず、検診は行き渡っていない。また今回の東日本大震災の瓦礫処理に関わる事業の従業員、ボランティアには相当の曝露が懸念されているが、曝露の程度と肺疾患の程度さらに将来における発症を予測する手段は無い。そのために発症して来診時には胸部疾患が進行している例が少なくない。肺がん、胸膜中皮腫等は、早期に発見すれば治療が可能であるが、進行してしまうと治療が難しい。従って、早期に正確な診断をした上で治療法を選択することが最も重要となる。尚、アスベスト関連疾患に関していくつかの血中マーカーの報告があるが(非特許文献1)、その有用性、特に「早期発見」に有効か否かは明確ではない。また、アスベストによる胸膜中皮腫の診断マーカーとしてERC/メソテリン(ERC/Mesothlin)が有用であることが報告されており、当該分子を利用した診断法が提案されている(例えば非特許文献2〜4を参照)。但し、アスベストの暴露歴とERC/メソテリンとの関係への言及はない。一方、中皮腫の識別・鑑別に関する従来技術を以下に示す(特許文献1)。
国際公開第2008/068906号パンフレット
Schneider J et al. p53 protein, EGF receptor, and anti-p53 antibodies in serum from patients with occupationally derived lung cancer. Br J Cancer. 80:1987-94, 1999. Kazu Shiomi, Yoshiaki Hagiwara, Kouji Sonoue, et al., Clin Cancer Res 2008;14:1431-1437 Okio Hino and Masahiro Maeda, Environ Health Prev Med (2008) 13:71-74 Masahiro Maeda and Okio Hino, Oncology 2006;71:26-31
アスベストに曝露されることは、アスベスト関連疾患に将来罹患するリスクとなる。知らないうちにアスベストに曝露され、将来、胸膜肥厚斑(プラーク)、肺がん、胸膜中皮腫等を発症することもある。アスベストの曝露歴を把握できれば、アスベスト関連疾患の発症予測、早期発見、そして早期治療が可能となる。特に、曝露された覚えのない潜在的リスク保持者の曝露歴を明らかにすることは、予防医療的見地から極めて有用である。そこで本発明の主たる課題は、アスベストの曝露歴を客観的且つ簡便に判定する手段を提供することにある。
本発明者は、金属粉体、カーボンナノマテリアル等の吸入曝露による有害作用と機序解析の研究をする中で、アスベストによってラット血清中のMIP1αタンパク値が増加することを発見した。この発見を基にアスベスト曝露症例を検討した結果、ヒトでもMIP1αが増加する例のあることを見出した。この知見を得た後、アスベスト曝露歴のある患者の血清MIP1α値を調べたところ、非曝露者に比較して曝露歴のある患者では血中MIP1αレベルが増加する傾向にあること、及び肺線維症及び腫瘍(肺癌、中皮腫)の患者では血中MIP1αレベルの有意な増加を認めることが判明した。しかも、驚くべきことに、暴露後の経過年数に関係なく暴露者の血中MIP1αレベルは高いという事実(言い換えれば、暴露後に相当期間経過した後であっても、血中MIP1αは高いレベルを示すこと)が明らかとなった。更には、アスベスト曝露歴のある患者では喫煙歴に関係なく血中MIP1αレベルが高いことも示された。このように、本発明者の検討の末、アスベスト曝露歴を判定する上で血中MIP1αが鋭敏且つ特異性の高いマーカーとして機能することが判明した。また、アスベスト関連疾患(特に肺線維症及び腫瘍)の罹患又は罹患リスクを把握する上でも血中MIP1αが有用であるとの知見も得られた。
以下に示す本願発明は、上記知見に基づくものである。
[1]マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1α)からなる、アスベスト曝露歴のマーカー。
[2]被検者より採取された血液検体中における、[1]に記載のマーカーのレベルを指標として用いることを特徴とする、アスベスト曝露歴の判定方法。
[3]以下のステップ(1)〜(3)を含む、[2]に記載の判定方法、
(1)被検者より採取された血液検体を用意するステップ、
(2)前記血液検体中の前記マーカーを検出するステップ、及び
(3)検出結果に基づいてアスベスト曝露歴を判定するステップ。
[4]前記マーカーの検出値が高いとき、アスベスト暴露歴がある又は過去にアスベストに曝露された可能性が高い、と判定する、[3]に記載の判定方法。
[5]前記血液検体が血漿又は血清である、[2]〜[4]のいずれか一項に記載の判定方法。
[6]更に以下のステップ(4)を含む、[2]〜[5]のいずれか一項に記載の判定方法。
(4)ステップ(2)の検出結果に基づいて、胸膜プラーク、石綿肺、肺線維症、中皮腫、肺癌、びまん性胸膜肥厚及び良性石綿胸水からなる群より選択されるいずれかの疾患に罹患するリスクを判定するステップ。
[7]胸膜プラーク、石綿肺、肺線維症、中皮腫及び肺癌からなる群より選択されるいずれかの疾患に罹患するリスクが判定される、[6]に記載の判定方法。
[8]肺線維症、中皮腫及び肺癌からなる群より選択されるいずれかの疾患に罹患するリスクが判定される、[6]に記載の判定方法。
[9]肺線維症及び肺癌からなる群より選択されるいずれかの疾患に罹患するリスクが判定される、[6]に記載の判定方法。
[10]前記マーカーの検出値が高いとき、前記疾患に罹患するリスクが高いと判定する、[6]〜[9]のいずれか一項に記載の判定方法。
[11]抗マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1α)抗体からなる、アスベスト曝露歴を判定するための試薬。
[12][11]に記載の試薬を含む、アスベスト曝露歴を判定するためのキット。
研究対象としたアスベスト曝露患者(合計138名)とその臨床診断。 曝露場所とMIP1α値の関係(全検体)。ANOVA (two-tail)検定による。* 1例はMIP1α異常高値(2994 ng/ml)のため除外した(再検査でも同じ値)。** 未診断の7例を含む。 病変とMIP1α値の関係(全検体)。ANOVA (two-tail)検定による。 喫煙とMIP1α値の関係(全検体)。ANOVA (two-tail)検定による。 A工場での診断別MIP1α値。ANOVA (two-tail)検定による。* 肺癌又は中皮腫 対 他の群(病変なし、胸膜プラーク、石綿肺・じん肺)。** 肺線維症 対 他の群(病変なし、胸膜プラーク、石綿肺・じん肺)。 A工場での暴露場所別MIP1α値。*非正規/臨時社員等、ANOVA (two-tail)検定による。 A工場での曝露(勤務)期間別MIP1α値。ANOVA (two-tail)検定による。 B工場での診断別MIP1α値。ANOVA (two-tail)検定による。 B工場での曝露場所別MIP1α値。*非正規/臨時社員等。ANOVA (two-tail)検定による。 2工場以外の事業所での診断別MIP1α値。ANOVA (two-tail)検定による。 病変の臨床診断別のMIP1α値。検体数を増やし、再評価した。A工場の従事者及びB工場の従事者並びに周辺住民を対象とした。ANOVA (two-tail)検定による。**,***:p<0.01,0.001(対 ボランティア)。#,###:p<0.05,0.001(対 病気なし)。
(本発明の第1の局面:アスベスト曝露歴のマーカー)
本発明の第1の局面はアスベスト曝露歴のマーカー(以下、「本発明のマーカー」とも呼ぶ。)に関する。「アスベスト曝露歴のマーカー」とは、過去にアスベストに曝露されたことがあるか否かを判定する上で有用な指標をいう。本発明のマーカーを利用すれば、過去にアスベストに曝露されているか否か、或いは過去にアスベストに曝露された可能性を客観的に判定することが可能である。アスベストの曝露歴があることは、アスベスト関連疾患(胸膜プラーク、石綿肺、肺線維症、中皮腫、肺癌、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水)に将来罹患するリスクとなる。従って、本発明のマーカーは、アスベストの曝露歴を明らかにすることを通じて、アスベスト関連疾患の罹患リスクの把握も可能にする。
アスベストは天然の鉱物繊維であり、蛇紋石族と角閃石族に大別される。蛇紋石族にはクリソタイル(白石綿)が含まれ、角閃石族にはクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト石綿、トレモライト石綿及びアクチノライト石綿が含まれる。アスベストは建材や摩擦材、或いはシール断熱材等、様々な工業製品に使用されてきたが、アスベストの曝露が健康被害をもたらすことが明らかになり、現在ではその製造、使用は原則として禁止されている。アスベストの曝露の種類として、職業性曝露(アスベストの製造、使用に伴う曝露)、傍職業性家庭内曝露(アスベスト製造者の作業衣の洗濯に伴うものなど)、傍職業曝露(家庭内でアスベスト製品を加工等することに伴うものなど)、近隣曝露(アスベスト鉱山やアスベスト工場の近隣住民の曝露)がある。
本発明のマーカーは、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1α:macrophage inflammation protein 1 α)からなることを特徴とする。MIP1αはケモカインの一種であり、骨髄腫の接着、移動、細胞分裂、および生存に関与する報告がある(Lentzsch, S., Gries, M., Janz, M., Bargou, R., Dorken, B. and Mapara, M.Y. (2003) Macrophage inflammatory protein 1-alpha (MIP-1 alpha ) triggers migration and signaling cascades mediating survival and proliferation in multiple myeloma (MM) cells. Blood, 101, 3568-73. Driscoll, K.E., Hassenbein, D.G., Carter, J., Poynter, J., Asquith, T.N., Grant, R.A., Whitten, J., Purdon, M.P. and Takigiku, R. (1993) Macrophage inflammatory proteins 1 and 2: expression by rat alveolar macrophages, fibroblasts, and epithelial cells and in rat lung after mineral dust exposure. Am J Respir Cell Mol Biol, 8, 311-8.)。公共のデータベースに登録されている、MIP1αのアミノ酸配列を配列表の配列番号1(DEFINITION: chemokine (C-C motif) ligand 3 [Homo sapiens], ACCESSION: NP_002974, Entrez Protein, NCBI)に示す。
(本発明の第2の局面:アスベスト曝露歴の判定方法)
本発明の第2の局面は上記本発明のマーカーの用途に関し、アスベスト曝露歴を判定する方法(以下、「本発明の判定方法」とも呼ぶ)を提供する。本発明の判定方法では、被検者より採取された血液検体中における、本発明のマーカーのレベルが指標として用いられる。ここでの「レベル」は、典型的には「量」ないし「濃度」を意味する。但し、慣例及び技術常識に従い、検出対象の分子(本発明の場合はMIP1α)を検出できるか否か(即ち見かけ上の存在の有無)を表す場合にも用語「レベル」が用いられる。
本発明の判定方法では以下のステップを実施する。
(1)被検者より採取された血液検体を用意するステップ、
(2)前記血液検体中の前記マーカーを検出するステップ、及び
(3)検出結果に基づいてアスベスト暴露歴を判定するステップ。
ステップ(1)では、被検者より採取された血液検体を用意する。血液検体としては、全血、血漿又は血清を用いることができる。これらの検体は常法で調製すればよい。これらの検体は調製が容易であり、調製に伴う被検者への負担も小さいという利点を有する。現在、血漿又は血清は様々な検査法の検体として利用されている。従って、他の検査法と同時に本発明の判定方法が実施されることを想定した場合、血漿又は血清を検体とすれば本発明の実施のために改めて検体を調製しなくてもよくなる。このように血漿又は血清を検体とすれば被検者及び検査に携わる者の負担が軽減し、同時に検査時間の短縮化も図られる。
被検者は特に限定されない。即ち、健常者を含め、全ての者が被検者となり得る。例えば、一般市民の他、アスベストの製造に従事した者やアスベストを使用した建造物内で生活をした者等を被検者にすることができる。また、アスベスト工場周囲の住民のスクリーニングに本発明の判定方法を利用してもよい。更には、健康診断(例えば一般検診)の一項目として本発明を実施することにしてもよい。本発明の判定方法によれば、アスベストに曝露された覚えはないが実際には曝露歴を有する潜在的リスク保持者を見出すことも可能である。このような潜在的リスク保持者は好適な被検者である。また、アスベストに曝露された可能性があることを認識しているものの、アスベスト関連疾患の症状が現れていないことから実際の曝露歴は不明である者も好適な被検者である。本発明の判定法は、潜在的リスク保持者を同定できるという点において特に有用である。
ステップ(2)では血液検体中のマーカー(MIP1α)を検出する。マーカーのレベルを厳密に定量することは必須でない。即ち、後続のステップ(3)においてアスベスト曝露歴が判定可能となる程度にマーカーのレベルを検出すればよい。例えば、血液検体中のマーカーのレベルが所定の基準値を超えるか否かが判別可能なように検出を行うこともできる。
マーカーの検出法は特に限定されないが、好ましくは免疫学的手法(例えばウエスタンブロット法やELISA法)を利用する。免疫学的手法によれば迅速に且つ感度よくMIP1αを検出できる。また、操作も簡便である。免疫学的手法によるMIP1αの検出にはMIP1αに特異的結合性を有する物質が使用される。当該物質としては通常は抗MIP1α抗体が使用されるが、MIP1αに特異的結合性を有し、その結合の有無又は結合量を検出可能な物質であれば抗MIP1α抗体に限らず使用することができる。尚、抗MIP1α抗体として例えば市販のMIP1αポリクローナル抗体(BioVision社、カリフォルニア)を使用することができる。また、免疫学的手法、ファージディスプレイ法、リボソームディスプレイ法などを利用して新たに調製した抗MIP1α抗体を使用することにしてもよい。
免疫学的手法の中でもELISA法(サンドイッチELISAや競合ELISA等)を利用してMIP1αを検出することが好ましい。ELISA法は検出感度が高いことや特異性が高いこと、定量性に優れること、操作が簡便であること、多検体の同時処理に適することなど、多くの利点を有する。ELISA法を利用する場合の具体的な操作法の一例を以下に示す。まず、抗MIP1α抗体を不溶性支持体に固定化する。具体的には例えばマイクロプレートの表面を抗MIP1αモノクローナル抗体で感作する(コートする)。このように固相化した抗体に対して検体を接触させる。この操作の結果、固相化した抗MIP1α抗体に対する抗原(MIP1α)が検体中に存在していれば免疫複合体が形成される。洗浄操作によって非特異的結合成分を除去した後、酵素を結合させた抗体を添加することで免疫複合体を標識し、次いで酵素の基質を反応させて発色させる。そして、発色量を指標として免疫複合体を検出する。尚、ELISA法の詳細については数多くの成書や論文に記載されており、各方法の実験手順や実験条件を設定する際にはそれらを参考にできる。
ステップ(3)では、検出結果に基づいてアスベスト曝露歴を判定する。アスベスト曝露歴の判定は定性的、定量的のいずれであってもよい。定性的判定と定量的判定の例を以下に示す。尚、ここでの判定は、その判定基準から明らかな通り、医師や検査技師など専門知識を有する者の判断によらずとも自動的/機械的に行うことができる。
(定性的判定の例1)
基準値よりも測定値(MIP1α量)が高いときに「アスベスト曝露歴がある」と判定し、基準値よりも測定値が低いときに「アスベスト曝露歴がない」と判定する。或いは、基準値よりも測定値(MIP1α量)が高いときに「過去にアスベストに暴露された可能性が高い」と判定し、基準値よりも測定値が低いときに「過去にアスベストに暴露された可能性が低い」と判定する。
尚、例えば、2 pg/ml〜10 pg/mlの範囲内に基準値を設定することができる(具体的な基準値の例として2 pg/ml、3pg/ml、4 pg/ml、5 pg/ml、6 pg/ml、7 pg/ml、8 pg/ml、9 pg/ml、10pg/ml)。
(定性的判定の例2)
MIP1αが検出できたときに「アスベスト曝露歴がある」と判定し、MIP1αが検出できなかったとき(即ち検出限界以下のとき)に「アスベスト暴露歴がない」と判定する。或いは、MIP1αが検出できたときに「過去にアスベストに暴露された可能性が高い」と判定し、MIP1αが検出できなかったとき(即ち検出限界以下のとき)に「過去にアスベストに暴露された可能性が低い」と判定する。
(定量的判定の例)
以下に示すように検出レベルの範囲毎に「判定結果」を決めておき、検出レベルに基づき判定する。
検出レベル≦a:陰性
a<検出レベル<b:偽陽性
b≦検出レベル:陽性
尚、陰性は「過去にアスベストに暴露された可能性(確率)が30%以下」、疑陽性は「過去にアスベストに暴露された可能性(確率)が30〜70%」、陽性「過去にアスベストに暴露された可能性(確率)が70%以上」と考えることができる。
所定の閾値を境界としてアスベスト曝露歴の有無又はアスベストに曝露された可能性の程度を判定する場合の「閾値」や、アスベストに曝露された可能性の程度に係る区分に関連づける「MIP1レベル範囲」は、多数の検体を用いた統計的解析によって決定することができる。統計処理を利用して解析する場合には、曝露歴のある者(曝露群)と曝露歴のない者(対照群)を設定することが有効である。
判定結果はアスベスト関連疾患の早期発見、早期治療、予防などに役立つ。例えば、アスベスト曝露歴がある、又は過去にアスベストに曝露された可能性が高いとの判定結果が出た者に対して受診を勧めることにより、アスベスト関連疾患の早期発見及びそれに伴う早期治療が可能になる。また、現時点でアスベスト関連疾患への罹患を確認できない場合であっても、将来の発症に備えた予防的措置を講じることが可能になり、また、定期的な検診を促すことによって、将来発症した場合の早期発見、早期治療が可能になる。
上で説明したように、アスベスト曝露歴はアスベスト関連疾患(胸膜プラーク、石綿肺、肺線維症、中皮腫、肺癌、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水)に罹患するリスクに直結する。この事実に基づき本発明の一態様では、アスベスト曝露歴を判定することに加えて、アスベスト関連疾患に罹患するリスクも判定・評価する。この態様によれば、アスベスト曝露歴に関する判定結果に加え、アスベスト関連疾患の罹患リスクも明らかになる。換言すれば、患者又は潜在的患者の予防及び/又は早期治療に資する、より有益且つ詳細な情報を与えることが可能になる。この態様の判定方法では上記(1)〜(3)のステップに加えて、以下のステップ(4)を行う。
(4)ステップ(2)の検出結果に基づいて、胸膜プラーク、石綿肺、肺線維症、中皮腫、肺癌、びまん性胸膜肥厚及び良性石綿胸水からなる群より選択されるいずれかの疾患に罹患するリスクを判定するステップ
ステップ(4)における判定は、ステップ(3)における判定と同様に行うことができる。以下、定性的判定と定量的判定の例を以下に示す。
(定性的判定の例1)
基準値よりも測定値(MIP1α量)が高いときに「アスベスト関連疾患に罹患するリスクが高い」と判定し、基準値よりも測定値が低いときに「アスベスト関連疾患に罹患するリスクが低い」と判定する。
(定性的判定の例2)
MIP1αが検出できたときに「アスベスト関連疾患に罹患するリスクが高い」と判定し、MIP1αが検出できなかったとき(即ち検出限界以下のとき)に「アスベスト関連疾患に罹患するリスクが低い」と判定する。
(定量的判定の例)
以下に示すように検出レベルの範囲毎に「判定結果」を決めておき、検出レベルに基づき判定する。
検出レベル≦a:陰性
a<検出レベル<b:偽陽性
b≦検出レベル:陽性
尚、陰性は「アスベスト関連疾患に罹患するリスクが30%以下」、疑陽性は「アアスベスト関連疾患に罹患するリスクが30〜70%」、陽性は「アスベスト関連疾患に罹患するリスクが70%以上」と考えることができる。
好ましくは、今回の検討(後述の実施例の欄)の際に注目した疾患、即ち胸腺プラーク、石綿肺、肺線維症、中皮腫及び肺癌のいずれかに罹患するリスクを判定・評価する。また、肺線維症及び腫瘍(肺癌、中皮腫)の患者では血中のMIP1α量の有意な増加を認めたという事実に基づき、更に好ましくは、肺線維症、肺癌及び中皮腫のいずれかに罹患するリスクを判定・評価の対象とする。一方、本発明の好ましい一態様では、検体数を増加した検証によって、肺線維症及び肺癌の患者では血中のMIP1α量の有意な増加を認めたという事実に基づき、肺線維症又は肺癌に罹患するリスクを判定・評価の対象とする。
(本発明の第3の局面:アスベスト曝露歴判定用試薬及びキット)
本発明はさらに、アスベスト曝露歴を判定するための試薬及びキットも提供する。本発明の試薬は抗MIP1α抗体からなる。抗MIP1α抗体は、MIP1αに対する特異的結合性を有する限り、その種類や由来などは特に限定されない。また、ポリクローナル抗体、オリゴクローナル抗体(数種〜数十種の抗体の混合物)、及びモノクローナル抗体のいずれでもよい。ポリクローナル抗体又はオリゴクローナル抗体としては、動物免疫して得た抗血清由来のIgG画分のほか、抗原によるアフィニティー精製抗体を使用できる。抗MIP1α抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体などの抗体断片であってもよい。
抗MIP1α抗体は、免疫学的手法、ファージディスプレイ法、リボソームディスプレイ法などを利用して調製することができる。免疫学的手法によるポリクローナル抗体の調製は次の手順で行うことができる。抗原(MIP1α又はその一部)を調製し、これを用いてウサギ等の動物に免疫を施す。生体試料を精製することにより抗原を得ることができる。また、組換え型抗原を用いることもできる。組換え型MIP1αは、例えば、MIP1αをコードする遺伝子(遺伝子の一部であってもよい)を、ベクターを用いて適当な宿主に導入し、得られた組換え細胞内で発現させることにより調製することができる。
免疫惹起作用を増強するために、キャリアタンパク質を結合させた抗原を用いてもよい。キャリアタンパク質としてはKLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)、BSA(Bovine Serum Albumin)、OVA(Ovalbumin)などが使用される。キャリアタンパク質の結合にはカルボジイミド法、グルタルアルデヒド法、ジアゾ縮合法、MBS(マレイミドベンゾイルオキシコハク酸イミド)法などを使用できる。一方、MIP1α(又はその一部)を、GST、βガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク、又はヒスチジン(His)タグ等との融合タンパク質として発現させた抗原を用いることもできる。このような融合タンパク質は、汎用的な方法により簡便に精製することができる。
必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で採血し、遠心処理などによって血清を得る。得られた抗血清をアフィニティー精製し、ポリクローナル抗体とする。
一方、モノクローナル抗体については次の手順で調製することができる。まず、上記と同様の手順で免疫操作を実施する。必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で免疫動物から抗体産生細胞を摘出する。次に、得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合してハイブリドーマを得る。続いて、このハイブリドーマをモノクローナル化した後、目的タンパク質に対して高い特異性を有する抗体を産生するクローンを選択する。選択されたクローンの培養液を精製することによって目的の抗体が得られる。一方、ハイブリドーマを所望数以上に増殖させた後、これを動物(例えばマウス)の腹腔内に移植し、腹水内で増殖させて腹水を精製することにより目的の抗体を取得することもできる。上記培養液の精製又は腹水の精製には、プロテインG、プロテインA等を用いたアフィニティークロマトグラフィーが好適に用いられる。また、抗原を固相化したアフィニティークロマトグラフィーを用いることもできる。更には、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、硫安分画、及び遠心分離等の方法を用いることもできる。これらの方法は単独ないし任意に組み合わされて用いられる。
MIP1αへの特異的結合性を保持することを条件として、得られた抗体に種々の改変を施すことができる。このような改変抗体を本発明の試薬としてもよい。
抗MIP1α抗体として標識化抗体を使用すれば、標識量を指標に結合抗体量を直接検出することが可能である。従って、より簡便な判定方法を構築できる。その反面、標識物質を結合させた抗MIP1α抗体を用意する必要があることに加えて、検出感度が一般に低くなるという問題点がある。そこで、標識物質を結合させた二次抗体を利用する方法、二次抗体と標識物質を結合させたポリマーを利用する方法など、間接的検出方法を利用することが好ましい。ここでの二次抗体とは、抗MIP1α抗体に特異的結合性を有する抗体であって例えばウサギ抗体として抗MIP1α抗体を調製した場合には抗ウサギIgG抗体を使用できる。ウサギやヤギ、マウスなど様々な種の抗体に対して使用可能な標識二次抗体が市販されており(例えばフナコシ株式会社やコスモ・バイオ株式会社など)、本発明の試薬に応じて適切なものを適宜選択して使用することができる。
標識物質の例は、ペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース−6−リン酸脱水素酵素などの酵素、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)及びユーロピウムなどの蛍光物質、ルミノール、イソルミノール及びアクリジニウム誘導体などの化学発光物質、NADなどの補酵素、ビオチン、並びに131I及び125Iなどの放射性物質である。
一態様では、本発明の試薬はその用途に合わせて固相化されている。固相化に用いる不溶性支持体は特に限定されない。例えばポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂や、ガラス等の水に不溶性の物質からなる不溶性支持体を用いることができる。不溶性支持体への抗体の担持は物理吸着又は化学吸着によって行うことができる。
本発明のキットは主要構成要素として本発明の試薬を含む。判定方法を実施する際に使用するその他の試薬(緩衝液、ブロッキング用試薬、酵素の基質、発色試薬など)及び/又は装置ないし器具(容器、反応装置、蛍光リーダーなど)をキットに含めてもよい。また、標準試料としてMIP1αをキットに含めることが好ましい。尚、通常、本発明のキットには取り扱い説明書が添付される。
A.血中MIP1α量とアスベスト曝露歴との関係
曝露歴を客観的且つ簡便に判定する方法の確立を目指し、血清中のMIP1αタンパク量と曝露歴及びアスベスト曝露に由来する病変との関係を調べた。研究対象としたアスベスト曝露患者(合計138名)とその臨床診断を図1に示す。アスベスト曝露患者と非曝露ボランティア等から採血し、血清検体を得た。血清検体中のMIP1α量を市販のELISAキット(R&Dシステム社)を用いて測定した。
測定結果に基づき全検体の曝露場所とMIP1α値の関係を調べた(図2)。非曝露ボランティア(健常者群)と比べて、曝露患者(曝露群)は全て高値を示した。全ての職場を合計した場合(137例)、両者の間に有意差を認めた。
次に、全検体の病変とMIP1α値との関係を調べた(図3)。全ての病変例でMIP1αは高値であった。
全検体について喫煙とMIP1α値との関係を調べた(図4)。喫煙歴に関係なくアスベスト曝露患者のMIP1α値は高い。非喫煙者、過去に喫煙者及び喫煙者の間に有意差は認められない。
A工場の従事者のみを抜粋し、病変とMIP1α値との関係を調べた(図5)。曝露患者では、病変の無い例を含めて全て高値を示した。また、肺線維症と肺癌又は中皮腫については、他の群(病変なし、胸膜プラーク、石綿肺・じん肺)との間に有意差を認めた。
A工場について、暴露場所毎(従事者、家族、周辺住民、その他(非正規又は臨時社員など))にMIP1α値を比較した(図6)。従業員とその家族でMIP1αは高値を示した。
A工場について勤務期間毎にMIP1α値を比較した(図7)。過去の曝露期間(勤務期間)の相違によるMIP1α値の差はみられない。この結果は、一定期間の曝露でMIP1α値が高くなることを示す(1年でも増加する)。従って、血中MIP1αレベルを利用したこの検査は極めて鋭敏であり、且つ曝露後に相当期間経過した後であっても曝露歴を明らかにできるといえる。
B工場の従事者のみを抜粋し、病変とMIP1α値との関係を調べた(図8)。A工場と同様に胸膜プラークと肺線維症でMIP1α値が高い傾向を認めた。肺がんと胸膜中皮腫に該当する症例はない。
B工場について、暴露場所毎(従事者、家族、周辺住民、その他(非正規又は臨時社員など))にMIP1α値を比較した(図9)。従業員、その家族及び工場周辺住民のMIP1α値は高い。
A工場及びB工場以外の事業所についても、病変とMIP1α値との関係を調べた(図10)。A工場及びB工場以外の事業所でも曝露患者のMIP1α値は高い。
以上の結果をまとめる。
(1)非曝露者に比較してアスベスト曝露歴のある患者では血中のMIP1α量が増加する傾向にある。
(2)肺線維症及び腫瘍(肺癌、中皮腫)の患者では血中のMIP1α量の有意な増加を認める。
(3)アスベスト曝露歴のある患者では、喫煙歴に関係なく血中のMIP1α量が高い(喫煙歴はMIP1α量に影響しない)。
(4)暴露後に相当期間経過した後であっても、血中MIP1αレベルは上昇する。
(5)(1)〜(4)より、血中MIP1αはアスベスト曝露マーカーとして極めて有用であるといえる。
B.血中MIP1αの有用性の検証
検体数を増やし、血中MIP1αのアスベスト曝露マーカーとしての有用性を検証した。非曝露者の数を大幅に増加するとともに、アスベスト曝露者(殆どがA工場又はB工場の従事者。健診該当周辺住民を22名含む)の数も約3倍とした。病変の臨床診断別のMIP1α値を図11に示した。一部の例外(良性胸水患者)はあるものの、病変のない例も含め、アスベスト曝露者のMIP1α値は有意に高い値を示した。また、肺線維症及び肺癌の症例では、病変のない例に比較してMIP1α値が有意に高い。
以上の通り、血中MIP1αがアスベスト曝露マーカーとして極めて有用であることが確認された。また、アスベスト曝露者の中から、肺線維症及び/又は肺癌の易罹患者(高リスク者)を選別ないし特定するための指標としてもMIP1αが有用であることが判明した。
本発明のマーカーはアスベスト曝露歴を判定する指標として有用である。アスベスト曝露歴のあることはアスベスト関連疾患の罹患リスクとなる。従って、アスベスト曝露歴を明らかにすることはアスベスト関連疾患の早期発見、早期治療に繋がる。特に、アスベストに曝露した覚えのない潜在的リスク者やアスベスト関連疾患の発症を認めていない者に対して客観的なリスク判断材料を提供できる点が重要である。本発明には、アスベスト関連疾患の予防、治療に多大な貢献を期待できる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (10)

  1. マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1α)からなる、アスベスト曝露歴のマーカー。
  2. アスベスト曝露歴の判定のために、被検者より採取された血液検体中における、請求項1に記載のマーカーのレベルを指標として用いる方法。
  3. 以下のステップ(1)〜(3)を含む、請求項2に記載の方法、
    (1)被検者より採取された血液検体を用意するステップ、
    (2)前記血液検体中の前記マーカーを検出するステップ、及び
    (3)検出結果に基づいてアスベスト曝露歴を判定するステップであって、前記マーカーの検出値が高いとき、アスベスト暴露歴がある又は過去にアスベストに曝露された可能性が高い、と判定するステップ
  4. 前記血液検体が血漿又は血清である、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 更に以下のステップ(4)を含む、請求項2〜のいずれか一項に記載の方法。
    (4)ステップ(2)の検出結果に基づいて、胸膜プラーク、石綿肺、肺線維症、中皮腫、肺癌、びまん性胸膜肥厚及び良性石綿胸水からなる群より選択されるいずれかの疾患に罹患するリスクを判定するステップであって、前記マーカーの検出値が高いとき、前記疾患に罹患するリスクが高いと判定するステップ
  6. 胸膜プラーク、石綿肺、肺線維症、中皮腫及び肺癌からなる群より選択されるいずれかの疾患に罹患するリスクが判定される、請求項に記載の方法。
  7. 肺線維症、中皮腫及び肺癌からなる群より選択されるいずれかの疾患に罹患するリスクが判定される、請求項に記載の方法。
  8. 肺線維症及び肺癌からなる群より選択されるいずれかの疾患に罹患するリスクが判定される、請求項に記載の方法。
  9. 抗マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1α)抗体からなる、アスベスト曝露歴を判定するための試薬。
  10. 請求項に記載の試薬を含む、アスベスト曝露歴を判定するためのキット。
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