以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による磁気カップリング装置100の構造について説明する。
本発明の第1実施形態による磁気カップリング装置100は、図1に示すように、図示しないモータなどの駆動部から駆動力が伝達されるモータ側部1と、モータ側部1から駆動力が伝達されるとともに、被駆動部などからなる図示しない負荷部に駆動力を伝達する負荷側部2とからなる。また、この磁気カップリング装置100における負荷側部2での定格トルクは、約0.46N×mになるように設定されている。
また、モータ側部1は、図示しない駆動源に一方端部側(X1側)が接続された軸部1aと、軸部1aの他方端部側(X2側)に設けられたモータ側回転体10とを含んでいる。また、負荷側部2は、駆動部などからなる図示しない負荷部に一方端部側(X2側)が接続された軸部2aと、軸部2aの他方端部側に設けられた負荷側回転体20とを含んでいる。また、軸部1aと軸部2aとは、X方向に延びる略同一の回転軸線Aを回転中心として回転可能に構成されている。なお、モータ側回転体10は、本発明の「駆動側部」の一例であり、負荷側回転体20は、本発明の「従動側部」の一例である。
また、モータ側回転体10および負荷側回転体20は、共に、SS400などの一般的な炭素鋼などの強磁性体を含む部材からなり、ヨークとしての機能を有している。また、モータ側回転体10および負荷側回転体20は、共に、円筒状に形成されている。なお、モータ側回転体10および負荷側回転体20は、共に、回転軸線Aに沿ったX方向と直交するX−Y平面において、回転軸線Aを中心とする円環状の断面形状を有している。
また、モータ側回転体10には、X2側に開口を有する凹部11が形成されている。この凹部11は、軸方向(X方向)に延びる内側面11aを有している。また、負荷側回転体20は、軸方向(X方向)に延びる外側面21を有している。また、負荷側回転体20は、モータ側回転体10の凹部11の内部に配置されるとともに、モータ側回転体10に対して半径方向(回転軸線Aと直交する方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。
また、モータ側回転体10の凹部11における内側面11aのX2側およびX1側には、それぞれ、回転軸線Aに沿ってX方向に並ぶように磁石部12および13が固定されている。また、負荷側回転体20の外側面21のX2側およびX1側には、それぞれ、回転軸線Aに沿ってX方向に並ぶように磁石部22および23が固定されている。また、磁石部12と磁石部22とは、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)において互いに対向する位置に配置されているとともに、磁石部13と磁石部23とは、半径方向において互いに対向する位置に配置されている。これにより、磁石部12と磁石部22とは、半径方向において互いに対向した状態で磁気カップリングするとともに、磁石部13と磁石部23とは、半径方向において互いに対向した状態で磁気カップリングするように構成されている。なお、磁石部12、13、22および23は、それぞれ、本発明の「第1磁石部」、「第2磁石部」、「第3磁石部」および「第4磁石部」の一例である。
また、磁石部12および22のX方向に沿った長さL1と磁石部13および23のX方向に沿った長さL2との比率は、約40:7になるように構成されている。つまり、磁石部12と磁石部22とが対向する面積は、磁石部13と磁石部23とが対向する領域の面積よりも大きい。なお、磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大約0.8N×mになるように構成されている。一方、磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大約0.14N×mになるように構成されている。
ここで、第1実施形態では、図2に示すように、磁石部12では、予めN極に着磁された2個の磁石12aおよび予めS極に着磁された2個の磁石12bが等角度(約90度)間隔で、周状に交互に配置されている。つまり、磁石部12の磁極数は、4極になるように構成されている。また、図3に示すように、磁石部13では、予めN極に着磁された10個の磁石13aおよび予めS極に着磁された10個の磁石13bが等角度(約18度)間隔で、周状に交互に配置されている。つまり、磁石部13の磁極数は、20極になるように構成されている。これにより、モータ側回転体10では、磁石部12の磁極数(4極)と磁石部13の磁極数(20極)とが異なるとともに、磁石部13の磁極数(20極)は、磁石部12の磁極数(4極)の5倍になるように構成されている。
また、図2に示すように、磁石部22では、予めS極に着磁された2個の磁石22aおよび予めN極に着磁された2個の磁石22bが等角度(約90度)間隔で、周状に交互に配置されている。つまり、磁石部22の磁極数は、4極になるように構成されている。また、図3に示すように、磁石部23では、予めS極に着磁された10個の磁石23aおよび予めN極に着磁された10個の磁石23bが等角度(約18度)間隔で、周状に交互に配置されている。つまり、磁石部23の磁極数は、20極になるように構成されている。これにより、負荷側回転体20では、磁石部22の磁極数(4極)と磁石部23の磁極数(20極)とが異なるとともに、磁石部23の磁極数(20極)は、磁石部22の磁極数(4極)の5倍になるように構成されている。
また、図1および図2に示すように、磁石12aおよび12bは、共に、Y−Z平面(図2参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図1参照)に延びるように配置されている。また、図2に示すように、磁石12aでは、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)において、N極が磁石部22側に位置するとともに、S極が磁石部22とは反対側に位置するように配置されている。また、磁石12bでは、半径方向において、S極が磁石部22側に位置するとともに、N極が磁石部22とは反対側に位置するように配置されている。なお、図2において、磁石に付している磁極(NおよびS)は、それぞれ、磁石部同士が対向する側の磁極を示している。また、以下の図面(図3〜図5、図7、図9、図12〜図14、図18、図19、図22、図25、図28および図30)においても同様である。
また、図1および図3に示すように、磁石13aおよび13bは、共に、Y−Z平面(図3参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図1参照)に延びるように配置されている。また、図3に示すように、磁石13aでは、半径方向において、N極が磁石部23側に位置するとともに、S極が磁石23とは反対側に位置するように配置されている。また、磁石13bでは、半径方向において、S極が磁石部23側に位置するとともに、N極が磁石部23とは反対側に位置するように配置されている。
また、図1および図2に示すように、磁石22aおよび22bは、共に、Y−Z平面(図2参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図1参照)に延びるように配置されている。また、図2に示すように、磁石22aでは、半径方向において、S極が磁石部12側に位置するとともに、N極が磁石部12とは反対側に位置するように配置されている。また、磁石22bでは、半径方向において、N極が磁石部12側に位置するとともに、S極が磁石部12とは反対側に位置するように配置されている。
また、図1および図3に示すように、磁石23aおよび23bは、共に、Y−Z平面(図3参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図1参照)に延びるように配置されている。また、図3に示すように、磁石23aでは、半径方向において、S極が磁石部13側に位置するとともに、N極が磁石部13とは反対側に位置するように配置されている。また、磁石23bでは、半径方向において、N極が磁石部13側に位置するとともに、S極が磁石部13とは反対側に位置するように配置されている。
また、図2に示すように、停止状態において、磁石12aが有する断面形状の中心位置12cと磁石22aが有する断面形状の中心位置22cとが、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)に延びる直線上に配置されているとともに、磁石12aのN極側と磁石22aのS極側とが、互いに向かい合うように配置されている。また、停止状態において、磁石12bが有する断面形状の中心位置12dと磁石22bが有する断面形状の中心位置22dとが、半径方向に延びる直線上に配置されているとともに、磁石12bのS極側と磁石22bのN極側とが、互いに向かい合うように配置されている。つまり、停止状態において、磁石部12と磁石部22とは、異なる磁極が半径方向に対向するように構成されている。これにより、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性になるように構成されている。なお、停止状態とは、モータ側部1から負荷側部2に駆動力が全く伝達されていない状態であり、モータ側部1および負荷側部2が完全に停止している状態と、モータ側部1と負荷側部2とが同一の方向に同一の速度で抵抗なく回転している状態とを含む。
また、図3に示すように、停止状態において、磁石13aが有する断面形状の中心位置13cと磁石23aが有する断面形状の中心位置23cとが、半径方向に延びる直線上に配置されているとともに、磁石13aのN極側と磁石23aのS極側とが、互いに向かい合うように配置されている。また、停止状態において、磁石13bが有する断面形状の中心位置13dと磁石23bが有する断面形状の中心位置23dとが、半径方向に延びる直線上に配置されているとともに、磁石13bのS極側と磁石23bのN極側とが、互いに向かい合うように配置されている。つまり、停止状態において、磁石部13と磁石部23とは、異なる磁極が半径方向に対向するように構成されている。これにより、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、かつ、4極である磁石部12と磁石部22の間のトルク特性の周波数に対して5倍の周波数(1周期が約36度)である正弦波状の波形のトルク特性になるように構成されている。
また、磁石12a、12b、13a、13b、22a、22b、23aおよび23bは、共に、約12原子%以上約17原子%以下の希土類元素Rと、約5原子%以上約8原子%以下のB(ホウ素)と、残部のFeを主とする遷移元素Tとを含むR−T−B系磁石からなる。また、R−T−B系磁石には、希土類元素Rとして、NdおよびPrの少なくともいずれか一方の軽希土類元素RLが主に含まれている。また、希土類元素Rとして、重希土類元素RHが含まれる場合には、DyおよびTbの少なくともいずれか一方の重希土類元素RHが含まれているのが好ましい。
次に、図2〜図6を参照して、本発明の第1実施形態による磁気カップリング装置100が有する合成トルクについて説明する。
図2および図3に示す磁気カップリング装置100の停止状態から、図4および図5に示すように、図示しない駆動部によりモータ側部1を回転させることによって、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)を変化させると、対向していた磁石12a(12b)と磁石22a(22b)との相対角度(磁石12a(12b)と磁石22a(22b)とが正対した状態からのずれる角度)が変化する。これにより、4極である磁石部12と磁石部22との間にトルク(第1トルク)が発生する。また、対向していた磁石13a(13b)と磁石23a(23b)との相対角度(磁石13a(13b)と磁石23a(23b)とが正対した状態からのずれる角度)が変化することによって、20極である磁石部13と磁石部23との間にトルク(第2トルク)が発生する。これにより、負荷側回転体20には、第1トルクと第2トルクとが合成された合成トルクが発生する。
この際、図6に示すように、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)に関して、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性を有するとともに、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性を有する。そして、負荷側回転体20に生ずる合成トルクの特性は、第1トルクの特性と第2トルクの特性とが合成されることによって形成される。
これにより、負荷側回転体20では、捻り角度αが約10度から約25度までの範囲で、合成トルクが定格トルク(約0.46N×m)の近傍で略変化しない一方、捻り角度αが約0度から約10度までの範囲、および、約25度から約45度までの範囲では、合成トルクが約10度から約25度までの範囲での合成トルクよりも大きく変化するトルク特性が得られる。この際、約10度から約25度までの範囲での負荷側回転体20での合成トルクの変化量は、約10度から約25度までの範囲での第1トルクの変化量および第2トルクの変化量よりも小さい。
このように、磁石部12および22の磁極数(4極)と、磁石部13および23の磁極数(20極)とを適切に選択するとともに、磁石部12と磁石部22との対向する面積と、磁石部13と磁石部23との対向する面積との比率(約40:7)を調節することによって、図6に示す所望のトルク特性を得ることが可能である。
第1実施形態では、上記のように、モータ側回転体10では、磁石部12の磁極数(4極)と磁石部13の磁極数(20極)とが異なるように構成するとともに、負荷側回転体20では、磁石部12に対応する磁石部22の磁極数(4極)と磁石部13に対応する磁石部23の磁極数(20極)とが異なるように構成することによって、磁石部12とその磁石部12に対応する磁極数を有する磁石部22との間の磁気カップリングによる最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性と、磁石部12とは異なる磁極数を有する磁石部13とその磁石部13に対応する磁極数を有する磁石部23との間の磁気カップリングによる最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性とを合成した、正弦波状とは異なるトルク特性を得ることができる。これにより、磁石部12および22の磁極数と、磁石部13および23の磁極数とを任意に選択することによって、容易に、モータ側回転体10との相対的な角度の変化に対する負荷側回転体20の合成トルクを正弦波状とは異なる所定のトルク特性に調節することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、磁石部12および22の磁極数(4極)と、磁石部13および23の磁極数(20極)との組み合わせを調節するとともに、磁石部12と磁石部22との対向する面積と、磁石部13と磁石部23との対向する面積との比率(約40:7)を調節すれば、磁石部12および22の磁極数(4極)と、磁石部13および23の磁極数(20極)とを適切に選択するとともに、磁石部12と磁石部22との対向する面積と磁石部13と磁石部23との対向する面積との比率を調節することによって、負荷側回転体20において所望の合成トルクを容易に発生させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、磁石部13の磁極数(20極)が磁石部12の磁極数(4極)の5倍であるとともに、磁石部23の磁極数(20極)が磁石部22の磁極数(4極)の5倍であるように構成すれば、モータ側回転体10との相対的な角度の変化に対する負荷側回転体20のトルク特性(波形)を、磁極数が少ない磁石部12と磁石部22とに基づいて得られるトルク特性を基準として、磁極数が多い磁石部13と磁石部23とに基づいて得られるトルク特性を用いて所定のトルク特性になるように調節しやすくすることができる。これにより、より容易に、負荷側回転体20の合成トルクを所定のトルク特性に調節することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、負荷側回転体20の合成トルクとして、捻り角度αが約10度から約25度までの範囲で、定格トルク(約0.46N×m)近傍で略変化しないように、磁石部12および22の磁極数と、磁石部13および23の磁極数との組み合わせを選択すれば、定格トルク近傍での合成トルクの変動をより抑制することができるので、負荷側回転体20のモータ側回転体10に対する相対的な角度が変化した場合にも、定格トルク近傍において負荷側回転体20の回転速度が変動するのを効果的に抑制することが可能なトルク特性を得ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、4極の磁石部12と磁石部22とが対向する領域の面積を、20極の磁石部13と磁石部23とが対向する領域の面積よりも大きくすれば、モータ側回転体10との相対的な角度の変化に対する負荷側回転体20のトルク特性(波形)を、磁石部12および22でのトルク特性を基準として、磁石部13および23でのトルク特性によって調節することができる。これにより、より容易に、負荷側回転体20の合成トルクを所定のトルク特性に調節することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、磁石部12および22の磁極数が4極であり、磁石部13および23の磁極数が20極であるように構成すれば、4極の磁極数を有する磁石部12および22と、20極の磁極数を有する磁石部13および23とから、モータ側回転体10との相対的な角度の変化に対する負荷側回転体20の合成トルクを所定のトルク特性に調節することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、負荷側回転体20を、モータ側回転体10に対して半径方向(回転軸線Aと直交する方向)に所定の間隔を隔てて配置するとともに、磁石部12および13と、磁石部22および23とを、共に、回転軸線Aに沿ったX方向に並ぶように配置すれば、モータ側回転体10と負荷側回転体20とが半径方向に対向する磁気カップリング装置100において、容易に、負荷側回転体20の回転軸線A回りの合成トルクを所定のトルク特性に調節することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、磁極数が4極の磁石部12では予めN極に着磁された2個の磁石12aおよび予めS極に着磁された2個の磁石12bを用い、磁極数が20極の磁石部13では予めN極に着磁された10個の磁石13aおよび予めS極に着磁された10個の磁石13bを用い、磁極数が4極の磁石部22では予めS極に着磁された2個の磁石22aおよび予めN極に着磁された2個の磁石22bを用い、磁極数が20極の磁石部23では予めS極に着磁された10個の磁石23aおよび予めN極に着磁された10個の磁石23bを用いる。このように構成すれば、モータ側回転体10および負荷側回転体20を製造する際に、予め1つの磁極に着磁された磁石を用いることができるので、モータ側回転体10および負荷側回転体20の組み立て後に着磁する場合と比べて、磁石の着磁を確実に行うことができる。
(第1実施形態の第1変形例)
次に、図1、図2、図7および図8を参照して、本発明の第1実施形態の第1変形例について説明する。この第1実施形態の第1変形例による磁気カップリング装置200では、上記第1実施形態とは異なり、磁石部213および223の磁極数が、16極である場合について説明する。
本発明の第1実施形態の第1変形例による磁気カップリング装置200では、図1に示すように、モータ側回転体10の凹部11における内側面11aのX1側には、回転軸線Aに沿って磁石部213が固定されている。また、負荷側回転体20の外側面21のX1側には、回転軸線Aに沿って磁石部223が固定されている。また、磁石部213と磁石部223とは、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)において互いに対向した状態で磁気カップリングするように構成されている。なお、磁石部213は、本発明の「第2磁石部」の一例であり、磁石部223は、本発明の「第4磁石部」の一例である。
ここで、第1実施形態の第1変形例では、図7に示すように、磁石部213では、予めN極に着磁された8個の磁石213aおよび予めS極に着磁された8個の磁石213bが等角度(約23度)間隔で、周状に交互に配置されている。また、磁石部223では、予めS極に着磁された8個の磁石223aおよび予めN極に着磁された8個の磁石223bが等角度(約23度)間隔で、周状に交互に配置されている。つまり、磁石部213および223の磁極数は、16極になるように構成されている。
また、図1および図7に示すように、磁石213aおよび213bは、共に、Y−Z平面(図7参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図1参照)に延びるように配置されている。また、磁石223aおよび223bは、共に、Y−Z平面(図7参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図1参照)に延びるように配置されている。
また、図7に示すように、磁石213aおよび223bでは、それぞれ、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)に延びる直線上において、N極が磁石部223および213側に位置するとともに、S極が磁石部223および213とは反対側に位置するように配置されている。また、磁石213bおよび223aでは、それぞれ、半径方向において、S極が磁石部223および213側に位置するとともに、N極が磁石部223および213とは反対側に位置するように配置されている。
また、停止状態において、磁石213aが有する断面形状の中心位置213cと磁石223aが有する断面形状の中心位置223cとが、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)に延びる直線上に配置されているとともに、磁石213aのN極側と磁石223aのS極側とが、互いに向かい合うように配置されている。また、停止状態において、磁石213bが有する断面形状の中心位置213dと磁石223bが有する断面形状の中心位置223dとが、半径方向に延びる直線上に配置されているとともに、磁石213bのS極側と磁石223bのN極側とが、互いに向かい合うように配置されている。つまり、停止状態において、磁石部213と磁石部223とは、異なる磁極が半径方向に対向するように構成されている。これにより、16極である磁石部213と磁石部223との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、かつ、4極である磁石部12と磁石部22の間のトルク特性の周波数に対して4倍の周波数(1周期が約45度)である正弦波状のトルク特性になるように構成されている。
また、磁石213a、213b、223aおよび223bは、共に、R−T−B系磁石からなる。なお、第1実施形態の第1変形例のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、図2、図7および図8を参照して、本発明の第1実施形態の第1変形例による磁気カップリング装置200が有する合成トルクについて説明する。
図2および図7に示す磁気カップリング装置200の停止状態から、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)を変化させると、図8に示すように、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)に関して、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性を有するとともに、16極である磁石部213と磁石部223との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、1周期が約45度の正弦波状のトルク特性を有する。
これにより、負荷側回転体20では、捻り角度αが約15度から約30度までの範囲で、合成トルクが約0.56N×mの近傍で略変化しない一方、捻り角度αが約0度から約15度までの範囲、および、約30度から約55度までの範囲では、合成トルクが約15度から約30度までの範囲での合成トルクよりも大きく変化するトルク特性が得られる。なお、約15度から約30度までの範囲での負荷側回転体20での合成トルクの変化量は、約15度から約30度までの範囲での第1トルクの変化量および第2トルクの変化量よりも小さい。
つまり、第1実施形態の第1変形例の負荷側回転体20の合成トルクにおいて、合成トルクが略変化しない捻り角度αの範囲を、図6に示す第1実施形態における合成トルクが略変化しない捻り角度αの範囲から、約5度ずらすことが可能となり、略変化しない合成トルクの値を、第1実施形態における変化しない合成トルクの値(約0.46N×m)から約0.56N×mに大きくなるように調整することができる。
なお、第1実施形態の第1変形例の効果は、第1実施形態と同様である。
(第2実施形態)
次に、図1、図2、図9および図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態による磁気カップリング装置300では、上記第1実施形態とは異なり、停止状態において、磁石13aのN極側と磁石23bのN極側とが、互いに向かい合うように配置されるとともに、磁石13bのS極側と磁石23aのS極側とが、互いに向かい合うように配置される場合について説明する。
本発明の第2実施形態による磁気カップリング装置300では、図1に示すように、磁石部12および22のX方向に沿った長さL1と磁石部13および23のX方向に沿った長さL2との比率は、約20:3になるように構成されている。また、磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大約1N×mになるように構成されている。一方、磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大約0.15N×mになるように構成されている。
また、図9に示すように、停止状態において、磁石13aが有する断面形状の中心位置13cと磁石23bが有する断面形状の中心位置23dとが、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)に延びる直線上に配置されているとともに、磁石13aのN極側と磁石23bのN極側とが、互いに向かい合うように配置されている。また、停止状態において、磁石13bが有する断面形状の中心位置13dと磁石23aが有する断面形状の中心位置23cとが、半径方向に延びる直線上に配置されているとともに、磁石13bのS極側と磁石23aのS極側とが、互いに向かい合うように配置されている。つまり、停止状態において、磁石部13と磁石部23とは、同一の磁極が半径方向に対向するように構成されている。これにより、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.15N×mで、1周期が約36度であるとともに、位相が約18度ずれた(逆位相の)正弦波状のトルク特性になるように構成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、図2、図9および図10を参照して、本発明の第2実施形態による磁気カップリング装置300が有する合成トルクについて説明する。
図2および図9に示す磁気カップリング装置300の停止状態から、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)を変化させると、図10に示すように、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)に関して、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約1N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性を有するとともに、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.15N×mで、1周期が約36度であるとともに、位相が約18度ずれた(逆位相の)正弦波状のトルク特性を有する。
これにより、負荷側回転体20では、約20度付近の捻り角度αの範囲で、負荷側回転体20での合成トルクの変化量が、第1トルクの変化量および第2トルクの変化量よりも大きいような合成トルクのトルク特性が得られる。
第2実施形態では、上記のように、モータ側回転体10では、磁石部12の磁極数(4極)と磁石部13の磁極数(20極)とが異なるように構成するとともに、負荷側回転体20では、磁石部12に対応する磁石部22の磁極数(4極)と磁石部13に対応する磁石部23の磁極数(20極)とが異なるように構成することによって、磁石部12と磁石部22との間の磁気カップリングによる最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性と、磁石部13と磁石部23との間の磁気カップリングによる最大値が約0.15N×mで、1周期が約36度であるとともに、位相が約18度ずれた(逆位相の)正弦波状のトルク特性とを合成した、正弦波状とは異なるトルク特性を得ることができる。これにより、容易に、モータ側回転体10との相対的な角度の変化に対する負荷側回転体20の合成トルクを正弦波状とは異なる所定のトルク特性に調節することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、約20度付近の捻り角度αの範囲で、負荷側回転体20での合成トルクの変化量が、第1トルクの変化量および第2トルクの変化量よりも大きくなるように、磁石部12および22の磁極数(4極)と、磁石部13および23の磁極数(20極)との組み合わせを選択すれば、モータ側回転体10との相対的な角度の変化に対する負荷側回転体20の合成トルクの変動を大きくすることができるので、相対的な角度の変化が小さくても負荷側回転体20での負荷の変動に対応して十分な合成トルクを発生させることができる。これにより、モータ側回転体10と負荷側回転体20との相対的な角度を変化させにくくすることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図2および図11〜図16を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態による磁気カップリング装置400では、上記第1実施形態に加えて、磁石部13を、磁石部23に対してずれた状態で回転可能に構成した場合について説明する。
本発明の第3実施形態による磁気カップリング装置400では、図11および図12に示すように、モータ側回転体410における凹部11の内側面11aのX1側には、周状に溝部410aが形成されている。この溝部410aは、磁石部13の外周側に位置するように形成されている。また、モータ側回転体410には、ネジ穴410bが設けられている。このネジ穴410bは、後述する回転部414をモータ側回転体410に固定するためのネジ403が螺合するように構成されている。
また、内側面11aの溝部410aには、回転軸線Aを中心とする円環状の回転部414が嵌め込まれた状態で配置されている。この回転部414の内周面には、磁石部13が固定されている。また、回転部414は、モータ側回転体410に対して回転軸線A回りに角度β(図13参照)で回転可能に構成されている。
また、回転部414は、モータ側回転体410に対して回転軸線A回りに角度β回転した状態で、ネジ403によってモータ側回転体410に固定可能に構成されている。具体的には、ネジ穴410bに螺合しているネジ403のネジ先が回転部414の外側面を押さえることによって、回転部414をモータ側回転体410に固定可能に構成している。これにより、任意の角度βで回転部414をモータ側回転体410に固定することが可能である。
また、所定の停止状態(角度βが約0度の状態)では、磁石部13と磁石部23とは、異なる磁極が半径方向に対向するように構成されている。これにより、4極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性になるように構成されている。
また、図13に示すように、停止状態で、かつ、回転部414がモータ側回転体410に対して約10度だけ時計回りに回転した状態(角度βが約−10度の状態)では、磁石13aが有する断面形状の中心位置13cおよび磁石13bが有する断面形状の中心位置13dは、それぞれ、磁石23aが有する断面形状の中心位置23cおよび磁石23bが有する断面形状の中心位置23dよりも時計回りに約10度ずれた状態になるように構成されている。これにより、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度であるとともに、位相が約10度遅れた正弦波状のトルク特性になるように構成されている。
また、停止状態で、かつ、回転部414がモータ側回転体410に対して約10度だけ反時計回りに回転した状態(角度βが約+10度の状態)では、磁石13aの中心位置13cおよび磁石13bの中心位置13dは、それぞれ、磁石23aの中心位置23cおよび磁石23bの中心位置23dよりも反時計回りに約10度ずれた状態になるように構成されている。これにより、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度であるとともに、位相が約10度進んだ正弦波状のトルク特性になるように構成されている。なお、第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、図2、図14〜図16を参照して、本発明の第3実施形態による磁気カップリング装置400が有する合成トルクについて説明する。
図2および図14に示す回転部414がモータ側回転体410に対して約10度だけ時計回りに回転した状態(角度βが約−10度の状態)から、負荷側回転体20に対するモータ側回転体410の相対角度(捻り角度α)を変化させると、図15に示すように、負荷側回転体20に対するモータ側回転体410の相対角度(捻り角度α)に関して、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性を有するとともに、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度であるとともに、位相が約10度遅れた正弦波状のトルク特性を有する。
これにより、時計回りに約10度ずれた状態における負荷側回転体20では、捻り角度αが約15度から約30度までの範囲で、合成トルクが約0.55N×mの近傍で略変化しない一方、捻り角度αが約0度から約15度までの範囲、および、約30度から約50度までの範囲では、合成トルクが約15度から約30度までの範囲よりも大きく変化するトルク特性が得られる。この際、約15度から約30度までの範囲での負荷側回転体20での合成トルクの変化量は、約15度から約30度までの範囲での第1トルクの変化量および第2トルクの変化量よりも小さい。
つまり、時計回りに約10度ずれた状態における負荷側回転体20の合成トルクにおいて、合成トルクが略変化しない捻り角度αの範囲を、図6に示す第1実施形態における合成トルクが略変化しない捻り角度αの範囲から、約5度ずらすことが可能となり、略変化しない合成トルクの値を、第1実施形態における変化しない合成トルクの値(約0.46N×m)から約0.55N×mに大きくなるように調整することができる。
また、回転部414がモータ側回転体410に対して約10度だけ反時計回りに回転した状態(角度βが約+10度の状態)から、負荷側回転体20に対するモータ側回転体410の相対角度(捻り角度α)を変化させると、図16に示すように、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)に関して、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性を有するとともに、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度であるとともに、位相が約10度進んだ正弦波状のトルク特性を有する。
これにより、反時計回りに約10度ずれた状態における負荷側回転体20では、捻り角度αが約5度から約20度までの範囲で、合成トルクが約0.33N×mの近傍で略変化しない一方、捻り角度αが約0度から約5度までの範囲、および、約20度から約40度までの範囲で、合成トルクが約5度から約20度までの範囲よりも大きく変化するトルク特性が得られる。この際、約5度から約20度までの範囲での負荷側回転体20での合成トルクの変化量は、約5度から約20度までの範囲での第1トルクの変化量および第2トルクの変化量よりも小さい。
つまり、反時計回りに約10度ずれた状態における負荷側回転体20の合成トルクにおいて、合成トルクが略変化しない捻り角度αの範囲を、図6に示す第1実施形態における合成トルクが略変化しない捻り角度αの範囲から、約−5度ずらすことが可能となり、略変化しない合成トルクの値を、第1実施形態における変化しない合成トルクの値(約0.46N×m)から約0.33N×mに小さくなるように調整することができる。
第3実施形態では、上記のように、モータ側回転体410では、磁石部12の磁極数(4極)と磁石部13の磁極数(20極)とが異なるように構成するとともに、負荷側回転体20では、磁石部12に対応する磁石部22の磁極数(4極)と磁石部13に対応する磁石部23の磁極数(20極)とが異なるように構成することによって、磁石部12と磁石部22との間の磁気カップリングによる最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性と、磁石部13と磁石部23との間の磁気カップリングによる最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度であるとともに、位相が約10度遅れたまたは進んだ正弦波状のトルク特性とを合成した、正弦波状とは異なるトルク特性を得ることができる。これにより、容易に、モータ側回転体410との相対的な角度の変化に対する負荷側回転体20の合成トルクを正弦波状とは異なる所定のトルク特性に調節することができる。
また、第3実施形態では、上記のように、停止状態で、かつ、回転部414がモータ側回転体410に対して約10度だけ時計回り(反時計回り)に回転した状態(角度βが約−10度(約+10度)の状態)では、磁石13aの中心位置13cおよび磁石13bの中心位置13dが、それぞれ、磁石23aの中心位置23cおよび磁石23bの中心位置23dに対して約10度ずれた状態になるように構成すれば、磁石13aの中心位置13cおよび磁石13bの中心位置13dを、それぞれ、磁石23aの中心位置23cおよび磁石23bの中心位置23dに対して約10度ずらすことによって、磁石部13と磁石部23との間の磁気カップリングによるトルク特性を、中心位置13c(13d)と中心位置23c(23d)とがずれていない場合におけるトルク特性とは異なるトルク特性にすることができる。これにより、より多様なトルク特性を得ることができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
(第4実施形態)
次に、図2、図6および図17〜図20を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態による磁気カップリング装置500では、上記第1実施形態に加えて、モータ側回転体510の外周面にヨーク515を配置した場合について説明する。
本発明の第4実施形態による磁気カップリング装置500では、図17および図18に示すように、モータ側回転体510の外周面510のX1側には、周状に溝部510cが形成されている。また、外周面510の溝部510cには、回転軸線Aを中心とする円環状のヨーク515が嵌め込まれた状態で配置されている。このヨーク515は、モータ側回転体510に対して回転軸線A回りに回転可能に構成されている。
ここで、第4実施形態では、図18に示すように、ヨーク515の外周面には、磁石部13の磁極数(20極)と同じ数(20個)の凸部515aおよび凹部515bが設けられている。この凸部515aおよび凹部515bは、等角度(約9度)間隔で交互に形成されている。また、凸部515aが形成されている位置におけるヨーク515の半径方向(回転軸線Aと直交する方向)の厚みは、凹部515bが形成されている位置におけるヨーク515の半径方向の厚みよりも大きくなるように構成されている。
また、ヨーク515には、ネジ503が螺合するネジ穴515cが設けられている。また、ヨーク515は、モータ側回転体510に対して回転軸線A回りに角度γ回転した状態で、ネジ503によってモータ側回転体510に固定可能に構成されている。具体的には、ネジ穴515cに螺合しているネジ503のネジ先がモータ側回転体510の外側面を押さえることによって、ヨーク515をモータ側回転体510に固定可能に構成している。これにより、任意の角度γでヨーク515をモータ側回転体510に固定することが可能である。
また、図18に示すように、所定の停止状態(角度γが約0度の状態)では、ヨーク515の凸部515aは、磁石13aと磁石13bとの間の対応する位置に配置されるとともに、凹部515bは、磁石13aおよび磁石13bに対応する位置に配置されるように構成されている。これにより、磁石13aと磁石13bとの間の対応する位置に配置された凸部515aによって、磁石13aと磁石13bとにより構成される磁場の強度が大きくなるように構成されている。この場合、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、第1実施形態と同様に、最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性になるように構成されている。
一方、図19に示すように、停止状態で、かつ、ヨーク515がモータ側回転体510に対して約9度だけ反時計回りに回転した状態(角度γが約+9度の状態)では、ヨーク515の凸部515aは、磁石13aおよび磁石13bに対応する位置に配置されるとともに、凹部515bは、磁石13aと磁石13bとの間の対応する位置に配置されるように構成されている。これにより、磁石13aと磁石13bとの間に凸部515aが配置されないため、ヨーク515の凸部515aが磁石13aと磁石13bとの間の対応する位置に配置された場合と比べて、磁石13aと磁石13bとにより構成される磁場の強度が小さくなる。これにより、磁石部13と磁石部23とに働く磁場の強度が小さくなるように構成されている。この場合、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.08N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性になるように構成されている。
つまり、ヨーク515を回転軸線A回りに回転させることによって、磁石部13と磁石部23とに働く磁場の強度を調整することが可能に構成されている。なお、第4実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、図2、図6、図19および図20を参照して、本発明の第4実施形態による磁気カップリング装置500が有する合成トルクについて説明する。
図2および図19に示す、停止状態で、かつ、ヨーク515がモータ側回転体510に対して約9度だけ反時計回りに回転した状態(角度γが約+9度の状態)から、負荷側回転体20に対するモータ側回転体510の相対角度(捻り角度α)を変化させると、図20に示すように、負荷側回転体20に対するモータ側回転体510の相対角度(捻り角度α)に関して、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性を有するとともに、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.08N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性を有する。
これにより、ヨーク515の凹部515bが磁石13aと磁石13bとの間の対応する位置に配置された状態では、凸部515aが磁石13aと磁石13bとの間の対応する位置に配置された場合(図6参照)と比べて第2トルクの影響が小さくなることにより、負荷側回転体20での合成トルクのトルク特性は、第1トルクのトルク特性に近いトルク特性になる。このため、負荷側回転体20の合成トルクとして、凸部515aが磁石13aと磁石13bとの間の対応する位置に配置された場合と比べて、捻り角度αが約10度から約25度までの範囲の変化量が大きくなる。
第4実施形態では、上記のように、モータ側回転体510では、磁石部12の磁極数(4極)と磁石部13の磁極数(20極)とが異なるように構成するとともに、負荷側回転体20では、磁石部12に対応する磁石部22の磁極数(4極)と磁石部13に対応する磁石部23の磁極数(20極)とが異なるように構成することによって、磁石部12と磁石部22との間の磁気カップリングによる最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性と、磁石部13と磁石部23との間の磁気カップリングによる最大値が約0.08N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性とを合成した、正弦波状とは異なるトルク特性を得ることができる。これにより、容易に、モータ側回転体510との相対的な角度の変化に対する負荷側回転体20の合成トルクを所定のトルク特性に調節することができる。
また、第4実施形態では、上記のように、磁石部13と磁石部23とに働く磁場の強度を調整することが可能に構成されたなヨーク515を設ければ、ヨーク515を用いて磁場の強度を調整することによって、磁石部13と磁石部23との間の磁気カップリングにおいて、より多様なトルク特性を得ることができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
(第5実施形態)
次に、図2、図3、図6および図21〜図23を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。この第5実施形態による磁気カップリング装置600では、上記第1実施形態とは異なり、モータ側回転体10にさらに磁石部616を設けるとともに、負荷側回転体20に磁石部616に対応する磁石部624を設けた場合について説明する。
本発明の第5実施形態による磁気カップリング装置600では、図21に示すように、モータ側回転体10の凹部11における内側面11aのX2側およびX1側には、それぞれ、磁石部12および13が回転軸線Aに沿ってX方向に並ぶように固定されているとともに、磁石部12と磁石部13との間には、回転軸線Aに沿って磁石部616が固定されている。また、負荷側回転体20の外側面21のX2側およびX1側には、それぞれ、回転軸線Aに沿ってX方向に並ぶように磁石部22および23が固定されているとともに、磁石部22と磁石部23との間には、回転軸線Aに沿って磁石部624が固定されている。また、磁石部616と磁石部624とは対向するようにX方向の同じ位置に配置されている。これにより、磁石部616と磁石部624とは、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)において互いに対向した状態で磁気カップリングするように構成されている。
また、磁石部12および22のX方向に沿った長さL1と、磁石部13および23のX方向に沿った長さL2と、磁石部616および624のX方向に沿った長さL3との比率は、約40:2:7になるように構成されている。つまり、磁石部12と磁石部22とが対向する面積は、磁石部13と磁石部23とが対向する領域の面積および磁石部616と磁石部624とが対向する領域の面積よりも大きい。また、磁石部13と磁石部23とが対向する面積は、磁石部616と磁石部624とが対向する領域の面積よりも大きい。なお、磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大約0.04N×mになるように構成されている。
ここで、第5実施形態では、図22に示すように、磁石部616では、予めN極に着磁された6個の磁石616aおよび予めS極に着磁された6個の磁石616bが等角度(約30度)間隔で、周状に交互に配置されている。また、磁石部624では、予めS極に着磁された6個の磁石624aおよび予めN極に着磁された6個の磁石624bが等角度(約30度)間隔で、周状に交互に配置されている。つまり、磁石部616および624の磁極数は、共に12極になるように構成されている。なお、磁石部616は、本発明の「第5磁石部」の一例であり、磁石部624は、本発明の「第6磁石部」の一例である。
また、図21および図22に示すように、磁石616aおよび616bは、共に、Y−Z平面(図22参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図21参照)に延びるように配置されている。また、磁石624aおよび624bは、共に、Y−Z平面(図22参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図21参照)に延びるように配置されている。
また、図22に示すように、磁石616aおよび624bでは、それぞれ、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)において、N極が磁石部624および616側に位置するとともに、S極が磁石部624および616とは反対側に位置するように配置されている。また、磁石616bおよび624aでは、それぞれ、半径方向において、S極が磁石部624および616側に位置するとともに、N極が磁石部624および616とは反対側に位置するように配置されている。
また、停止状態において、磁石616aが有する断面形状の中心位置616cと磁石624bが有する断面形状の中心位置624dとが、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)に延びる直線上に配置されているとともに、磁石616aのN極側と磁石624bのN極側とが、互いに向かい合うように配置されている。また、停止状態において、磁石616bが有する断面形状の中心位置616dと磁石624aが有する断面形状の中心位置624cとが、半径方向に延びる直線上に配置されているとともに、磁石616bのS極側と磁石624aのS極側とが、互いに向かい合うように配置されている。つまり、停止状態において、磁石部616と磁石部624とは、同一の磁極が半径方向に対向するように構成されている。これにより、12極である磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大値が約0.04N×mで、かつ、4極である磁石部12と磁石部22の間のトルク特性の周波数に対して3倍の周波数(1周期が約60度)であるとともに、位相が約30度ずれた(逆位相の)正弦波状のトルク特性になるように構成されている。
また、磁石616a、616b、624aおよび624bは、共に、R−T−B系磁石からなる。なお、第5実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、図2、図3、図6、図22および図23を参照して、本発明の第5実施形態による磁気カップリング装置600が有する合成トルクについて説明する。
図2、図3および図22に示す磁気カップリング装置600の停止状態から、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)を変化させると、図23に示すように、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)に関して、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性を有し、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性を有するとともに、12極である磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大値が約0.04N×mで、1周期が約60度であるとともに、位相が約30度ずれた(逆位相の)正弦波状のトルク特性を有する。
これにより、負荷側回転体20では、捻り角度αが約10度から約25度までの範囲で、合成トルクが約0.46N×mの近傍で略変化しない一方、捻り角度αが約0度から約10度までの範囲、および、約25度から約45度までの範囲では、合成トルクが約10度から約25度までの範囲での合成トルクよりも大きく変化するトルク特性が得られる。この際、約10度から約25度までの範囲での負荷側回転体20での合成トルクの変化量は、約10度から約25度までの範囲での第1トルクの変化量および第2トルクの変化量よりも小さい。
また、第5実施形態における負荷側回転体20の合成トルクでは、図6に示す第1実施形態における負荷側回転体20の合成トルクと比べて、捻り角度αが約0度から約10度まで、および、約25度から約45度までの範囲で、より大きく変動するようなトルク特性が得られる。
第5実施形態では、上記のように、モータ側回転体10では、磁石部12の磁極数(4極)と磁石部13の磁極数(20極)と磁石616の磁極数(12極)とが異なるように構成するとともに、負荷側回転体20では、磁石部12に対応する磁石部22の磁極数(4極)と、磁石部13に対応する磁石部23の磁極数(20極)と、磁石部616に対応する磁石部624の磁極数(12極)とが異なるように構成することによって、磁石部12と磁石部22との間の磁気カップリングによる最大値が約0.8N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性と、磁石部13と磁石部23との間の磁気カップリングによる最大値が約0.14N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性と、磁石部616と磁石部624との間の磁気カップリングによる最大値が約0.04N×mで、1周期が約60度であるとともに、位相が約30度ずれた(逆位相の)正弦波状のトルク特性とを合成した、正弦波状とは異なるトルク特性を得ることができる。これにより、より確実に、モータ側回転体10との相対的な角度の変化に対する負荷側回転体20の合成トルクを正弦波状とは異なる所定のトルク特性に調節することができる。なお、第5実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
(第5実施形態の第1変形例)
次に、図2、図3、図21、図22および図24を参照して、本発明の第5実施形態の第1変形例について説明する。この第5実施形態の第1変形例による磁気カップリング装置700では、上記第5実施形態における、それぞれの磁石部における対向する面積の大きさを変更するとともに、磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)の位相が磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)の位相と同一である場合について説明する。
本発明の第5実施形態の第1変形例による磁気カップリング装置700では、図21に示すように、磁石部12および22のX方向に沿った長さL1と、磁石部13および23のX方向に沿った長さL2と、磁石部616および624のX方向に沿った長さL3との比率は、約125:15:36になるように構成されている。つまり、磁石部12と磁石部22とが対向する面積は、磁石部13と磁石部23とが対向する領域の面積および磁石部616と磁石部624とが対向する領域の面積よりも大きい。また、磁石部616と磁石部624とが対向する領域の面積は、磁石部13と磁石部23とが対向する面積よりも大きい。
また、磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大約1.25N×mになるように構成されている。また、磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大約0.15N×mになるように構成されている。また、磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大約0.36N×mになるように構成されている。また、第5実施形態とは異なり、第5実施形態の第1変形例では、磁石部616と磁石部624とは、異なる磁極が半径方向に対向するように構成されている。これにより、12極である磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大値が約0.36N×mで、1周期が約60度の正弦波状のトルク特性になるように構成されている。
また、停止状態において、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約1.25N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性になるように構成されている。また、停止状態において、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.15N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性になるように構成されている。また、停止状態において、12極である磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大値が約0.36N×mで、1周期が約60度の正弦波状のトルク特性になるように構成されている。なお、第5実施形態の第1変形例のその他の構成は、第5実施形態と同様である。
次に、図2、図3、図22および図24を参照して、本発明の第5実施形態の第1変形例による磁気カップリング装置700が有する合成トルクについて説明する。
図2、図3および図22に示す磁気カップリング装置700の停止状態から、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)を変化させると、図24に示すように、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)に関して、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約1.25N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性を有し、20極である磁石部13と磁石部23との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.15N×mで、1周期が約36度の正弦波状のトルク特性を有するとともに、12極である磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大値が約0.36N×mで、1周期が約60度の正弦波状のトルク特性を有する。
これにより、負荷側回転体20では、捻り角度αが約15度から約75度までの範囲で、合成トルクが約1.00N×mの近傍で略変化しない一方、捻り角度αが約0度から約15度までの範囲、および、約75度から約90度までの範囲では、合成トルクが約15度から約75度までの範囲での合成トルクよりも大きく変化するトルク特性が得られる。この際、約15度から約75度までの範囲での負荷側回転体20での合成トルクの変化量は、約0度から約15度まで、および、約75度から約90度までの範囲での第1トルクの変化量および第2トルクの変化量よりも小さい。
また、負荷側回転体20の合成トルクでは、図6に示す第1実施形態における負荷側回転体20の合成トルクと比べて、より広い範囲で合成トルクが略変化しないようなトルク特性が得られる。
なお、第5実施形態の第1変形例の効果は、第5実施形態と同様である。
(第5実施形態の第2変形例)
次に、図2、図21、図22、図25および図26を参照して、本発明の第5実施形態の第2変形例について説明する。この第5実施形態の第2変形例による磁気カップリング装置800では、上記第5実施形態の第1変形例の20極の磁石部13および23の代わりに、8極の磁石部817および825を設けた場合について説明する。
本発明の第5実施形態の第2変形例による磁気カップリング装置800では、図21に示すように、第5実施形態の磁石部13および23が固定されていた位置に、それぞれ、磁石部817および825が固定されている。つまり、モータ側回転体10の凹部11における内側面11aのX1側には、回転軸線Aに沿って磁石部817が固定されているとともに、負荷側回転体20の外側面21のX1側には、回転軸線Aに沿って磁石部825が固定されている。また、磁石部817と磁石部825とは、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)において互いに対向した状態で磁気カップリングするように構成されている。なお、磁石部817は、本発明の「第2磁石部」の一例であり、磁石部825は、本発明の「第4磁石部」の一例である。
また、磁石部12および22のX方向に沿った長さL1と、磁石部817および825のX方向に沿った長さL2と、磁石部616および624のX方向に沿った長さL3との比率は、約70:62:17になるように構成されている。つまり、磁石部12と磁石部22とが対向する面積は、磁石部817と磁石部825とが対向する領域の面積および磁石部616と磁石部624とが対向する領域の面積よりも大きい。また、磁石部817と磁石部825とが対向する領域の面積は、磁石部616と磁石部624とが対向する面積よりも大きい。
また、磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大約0.7N×mになるように構成されている。また、磁石部817と磁石部825との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大約0.62N×mになるように構成されている。また、磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大約0.17N×mになるように構成されている。
ここで、第5実施形態の第2変形例では、図25に示すように、磁石部817では、予めN極に着磁された4個の磁石817aおよび予めS極に着磁された4個の磁石817bが等角度(約45度)間隔で、周状に交互に配置されている。また、磁石部825では、予めS極に着磁された4個の磁石825aおよび予めN極に着磁された4個の磁石825bが等角度(約45度)間隔で、周状に交互に配置されている。つまり、磁石部817および825の磁極数は、共に8極になるように構成されている。
また、図21および図25に示すように、磁石817aおよび817bは、共に、Y−Z平面(図25参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図21参照)に延びるように配置されている。また、磁石825aおよび825bは、共に、Y−Z平面(図25参照)において、同一の円弧状の断面形状を有しているとともに、回転軸線Aに沿ってX方向(図21参照)に延びるように配置されている。
また、図25に示すように、磁石817aおよび825bでは、それぞれ、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)において、N極が磁石部825および817側に位置するとともに、S極が磁石部825および817とは反対側に位置するように配置されている。また、磁石817bおよび825aでは、それぞれ、半径方向において、S極が磁石部825および817側に位置するとともに、N極が磁石部825および817とは反対側に位置するように配置されている。
また、停止状態において、磁石817aが有する断面形状の中心位置817cと磁石825bが有する断面形状の中心位置825dとが、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)に延びる直線上に配置されているとともに、磁石817aのN極側と磁石825bのN極側とが、互いに向かい合うように配置されている。また、停止状態において、磁石817bが有する断面形状の中心位置817dと磁石825aが有する断面形状の中心位置825cとが、半径方向に延びる直線上に配置されているとともに、磁石817bのS極側と磁石825aのS極側とが、互いに向かい合うように配置されている。つまり、停止状態において、磁石部817と磁石部825とは、同一の磁極が半径方向に対向するように構成されている。これにより、8極である磁石部817と磁石部825との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大値が約0.62N×mで、かつ、4極である磁石部12と磁石部22の間のトルク特性の周波数に対して2倍の周波数(1周期が約90度)であるとともに、位相が約45度ずれた(逆位相の)正弦波状のトルク特性になるように構成されている。
また、磁石817a、817b、825aおよび825bは、共に、R−T−B系磁石からなる。なお、第5実施形態の第2変形例のその他の構成は、第5実施形態の第1変形例と同様である。
次に、図2、図22、図25および図26を参照して、本発明の第5実施形態の第2変形例による磁気カップリング装置800が有する合成トルクについて説明する。
図2、図22および図25に示す磁気カップリング装置800の停止状態から、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)を変化させると、図26に示すように、負荷側回転体20に対するモータ側回転体10の相対角度(捻り角度α)に関して、4極である磁石部12と磁石部22との間に発生するトルク(第1トルク)は、最大値が約0.7N×mで、1周期が約180度の正弦波状のトルク特性を有し、8極である磁石部817と磁石部825との間に発生するトルク(第2トルク)は、最大値が約0.62N×mで、1周期が約90度であるとともに、位相が約45度ずれた(逆位相の)正弦波状のトルク特性を有するとともに、12極である磁石部616と磁石部624との間に発生するトルク(第3トルク)は、最大値が約0.17N×mで、1周期が約60度の正弦波状のトルク特性を有する。
これにより、負荷側回転体20では、捻り角度αが約0度から約30度までの範囲で、合成トルクが略発生しないようなトルク特性が得られる。これにより、捻り角度αが約0度から約30度の範囲でトルクが伝達されるのを抑制することが可能であるので、約30度より大きい範囲で回転している状態からモータ側回転体10が逆方向に回転した場合に、約30度以下の範囲ではトルクが伝達されるのが抑制されるので、モータ側回転体10における逆方向の回転を負荷側回転体20に伝達するのを抑制することが可能である。
なお、第5実施形態の第2変形例の効果は、第5実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第5実施形態では、負荷側部の負荷側回転体が、モータ側部のモータ側回転体の凹部の内部に、半径方向(回転軸線Aと直交する方向)に所定の間隔を隔てて配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図27および図28に示す第1実施形態の第2変形例の磁気カップリング装置900のように、負荷側部902の負荷側回転体920が、モータ側部901のモータ側回転体910とX方向に所定の間隔を隔てて配置されるように構成してもよい。具体的には、図27および図28に示すように、円柱状のモータ側回転体910のX2側(図27参照)の側面911には、4極の磁石部912と20極の磁石部913(図28参照)とが固定されているとともに、円柱状の負荷側回転体920のX1側(図27参照)の側面921には、磁石部912と磁気カップリングする4極の磁石部922と、磁石部913と磁気カップリングする20極の磁石部923(図28参照)とが固定されている。また、図28に示すように、磁石部912(922)では、2個の磁石912a(922a)および2個の磁石912b(922b)が等角度(約90度)間隔で、周状に交互に配置されている。また、磁石部913(923)では、10個の磁石913a(923a)および10個の磁石913b(923b)が等角度(約18度)間隔で、周状に交互に配置されている。また、磁石部913(923)は、磁石部912(922)の内周側に配置されている。なお、モータ側回転体910は、本発明の「駆動側部」の一例であり、負荷側回転体920は、本発明の「従動側部」の一例である。また、磁石部912、913、922および923は、それぞれ、本発明の「第1磁石部」、「第2磁石部」、「第3磁石部」および「第4磁石部」の一例である。
また、上記第1〜第5実施形態では、負荷側部の負荷側回転体が、モータ側部のモータ側回転体の凹部の内部に、半径方向に所定の間隔を隔てて配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図29に示す第1実施形態の第3変形例の磁気カップリング装置1000のように、負荷側部1002の負荷側回転体1020が、モータ側部1001のモータ側回転体1010の収容部1011の内部に配置された状態で、モータ側回転体1010とX方向に所定の間隔を隔てて配置されるように構成してもよい。具体的には、図29に示すように、モータ側回転体1010の内部に形成された収容部1011のX1側の側面1011bには、4極の磁石部1012が固定されているとともに、収容部1011のX2側の側面1011cには、20極の磁石部1013が固定されている。また、円板状の負荷側回転体1020のX1側の側面1020aには、磁石部1012と磁気カップリングする4極の磁石部1022が固定されているとともに、負荷側回転体1020のX2側の側面1020bには、磁石部1013と磁気カップリングする20極の磁石部1023が固定されている。なお、モータ側回転体1010は、本発明の「駆動側部」の一例であり、負荷側回転体1020は、本発明の「従動側部」の一例である。また、磁石部1012、1013、1022および1023は、それぞれ、本発明の「第1磁石部」、「第2磁石部」、「第3磁石部」および「第4磁石部」の一例である。
また、上記第1〜第5実施形態では、負荷側部の負荷側回転体が、モータ側部のモータ側回転体の凹部の内部に、半径方向に所定の間隔を隔てて配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図30に示す第1実施形態の第4変形例の磁気カップリング装置1100のように、モータ側部1101の平板状のモータ側部材1110と、負荷側部1102の平板状の負荷側部材1120とが、所定の間隔を隔てて配置されるとともに、モータ側部材1110と負荷側部材1120とがX方向に相対的に直線移動することによって、トルクを発生させるように構成してもよい。具体的には、図30に示すように、モータ側部材1110には、磁石部1112と、磁石部1112とは磁極数が異なる磁石部1113とが固定されている。また、負荷側部材1120には、磁石部1112と磁気カップリングする磁石部1122と、磁石部1113と磁気カップリングする磁石部1123とが固定されている。また、磁石部1112(1122)では、磁極の異なる磁石1112a(1122a)および磁石1112b(1122b)がX方向に沿って等間隔で交互に配置されている。また、磁石部1113(1123)では、磁極の異なる磁石1113a(1123a)および磁石1113b(1123b)がX方向に沿って等間隔で交互に配置されている。なお、モータ側回転体1110は、本発明の「駆動側部」の一例であり、負荷側回転体1120は、本発明の「従動側部」の一例である。また、磁石部1112、1113、1122および1123は、それぞれ、本発明の「第1磁石部」、「第2磁石部」、「第3磁石部」および「第4磁石部」の一例である。
また、上記第1〜第4実施形態では、モータ側回転体10(410、510)の凹部11における内側面11aのX2側およびX1側に、それぞれ、磁石部12および13(213)を固定するとともに、負荷側回転体20の外側面21のX2側およびX1側に、それぞれ、磁石部22および23(223)を固定した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、モータ側回転体10(410、510)の内側面11aのX方向の両端部に、それぞれ、磁石部12を配置するとともに、内側面11aのX方向の中央部に、磁石部13(213)を配置する。また、負荷側回転体20の外側面21のX方向の両端部に、それぞれ、磁石部12に対応する磁石部22を配置するとともに、外側面21のX方向の中央部に、磁石部13(213)に対応する磁石部23(223)を配置するように構成してもよい。
また、上記第1〜第5実施形態では、磁気カップリング装置を構成する磁石部の磁極数が4極、8極、12極、16極および20極(4の倍数)である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、磁気カップリング装置を構成する磁石部の磁極数として、さらに、24極や28極を含むように構成してもよい。また、たとえば、磁気カップリング装置を構成する磁石部の磁極数として、3極、6極、9極などの3の倍数であってもよい。また、3の倍数と4の倍数とを組み合わせるように構成してもよい。すなわち、所望のトルク特性が得られるように、磁気カップリング装置を構成する磁石部の磁極数の組み合わせを選択すればよい。
また、上記第3実施形態では、ネジ穴410bに螺合しているネジ403のネジ先が回転部414の外側面を押さえることによって、回転部414をモータ側回転体410に固定可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、モータ側回転体410に形成された係止部に回転部414に形成された係止部材が係止することによって、磁石部13を、磁石部23に対してずれた状態で回転可能に構成してもよい。また、たとえば、回転部414にネジ403が挿入されるネジ穴を設けて回転部414とモータ側回転体410とをネジ止めすることによって、磁石部13を、磁石部23に対してずれた状態で回転可能に構成してもよい。
また、上記第3実施形態では、角度βが約−10度(約+10度)の状態を示すとともに、上記第4実施形態では、角度γが約+9度の状態を示した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、角度βおよびγは、−10度や+10度、+9度以外の任意の角度でもよい。
また、上記第4実施形態では、ネジ穴515cに螺合しているネジ503のネジ先がモータ側回転体510の外側面を押さえることによって、ヨーク515をモータ側回転体510に固定可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、モータ側回転体510に形成された係止部にヨーク515に形成された係止部材が係止することによって、ヨーク515の位置を異ならせた状態で回転可能に構成してもよい。また、たとえば、モータ側回転体510にネジ503が挿入されるネジ穴を設けてヨーク515とモータ側回転体510とをネジ止めすることによって、磁石部13を、磁石部23に対してずれた状態で回転可能に構成してもよい。
また、上記第3実施形態では、回転部414が嵌め込まれる溝部410aを、モータ側回転体410の内側面11aのX1側(軸部1a側)に設けるとともに、上記第4実施形態では、ヨーク515が嵌め込まれる溝部510cを、モータ側回転体510の外周面510のX1側(軸部1a側)に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、回転部またはヨークが嵌め込まれる溝部を、モータ側回転体の軸部とは反対側に設けてもよい。これにより、容易に、回転部またはヨークの角度位置をモータ側回転体に対して調整することが可能である。
また、上記第1〜第5実施形態では、磁石部が複数の磁石からなる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁石部が1つの磁石からなるとともに、間隔を隔てて互いに異なる方向に磁化させることによって、複数の磁極を有するように構成してもよい。たとえば、図31に示す本発明の第1実施形態の第5変形例の磁気カップリング装置1200のように、モータ側回転体1210の1つの磁石1218を多極着磁することによって、磁石1218が、4極(着磁部1212aおよび1212b(第1着磁部))の磁石部1212と、12極(着磁部1216aおよび1216b(第2着磁部))の磁石部1216との2つの磁石部を有するように構成してもよい。同様に、負荷側回転体1220の1つの磁石1226を多極着磁することによって、磁石1226が、4極(着磁部1222aおよび1222b(第3着磁部))の磁石部1222と、12極(着磁部1224aおよび1224b(第4着磁部))の磁石部1224との2つの磁石部を有するように構成してもよい。これにより、1つの磁石1218および1226に対して複数の磁極を有するように一度に着磁する(多極着磁する)ことが可能になるので、モータ側回転体1210および負荷側回転体1220の製造プロセスを簡略化することが可能である。この際、磁石1218および1226の磁石部同士の間および磁石部での各々の着磁部の間には、それぞれ、磁化されていないニュートラルゾーン1218aおよび1226aが形成されている。
なお、1つの磁石1218および1226を多極着磁する際には、鉄心にコイルを巻いたものからなる着磁ヨーク(図示せず)に転写するための磁極のパターンを形成する。そして、着磁ヨークにパルス状の大電流を流すことによって、着磁ヨークが電磁石となり、着磁ヨークの磁極パターンが磁石1218および1226に転写される。これにより、磁石1218および1226が多極着磁される。
また、図32に示す本発明の第5実施形態の第3変形例の磁気カップリング装置1300のように、モータ側回転体1310の磁石1318が3つの磁石部(4極の磁石部1312、8極の磁石部1317および12極の磁石部1316)を有するように多極着磁し、負荷側回転体1320の磁石1326が3つの磁石部(4極の磁石部1322、8極の磁石部1325および12極の磁石部1324)を有するように多極着磁してもよい。また、モータ側回転体の1つの磁石と負荷側回転体の1つの磁石とを、共に4つ以上の磁石部を有するように多極着磁してもよい。
また、上記第1〜第5実施形態では、磁石部12、13、22、23、213、223、817および825として、R−T−B系焼結磁石を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、用途によっては、Sm−Co系希土類磁石や、フェライト磁石などを用いてもよい。また、焼結磁石でなくともよく、たとえば、ボンド磁石であってもよい。また、使用状態によって磁石部に用いられる磁石の種類を異ならせてもよい。たとえば、減磁しやすい高温状態の箇所には高い保磁力を有する磁石を配置する一方、高温状態でない箇所には高い残留磁束密度を有する磁石を配置するように構成してもよい。