JP5929198B2 - ポリブチレンテレフタレートフィルム - Google Patents

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Description

本発明はポリブチレンテレフタレートフィルムに関し、任意の方向およびその直交する方向の190℃、20分における寸法変化率が4%以下と高温における寸法安定性に優れるため、食品包装、蓋材、電池外装、医薬包装といった包装用途、化粧板、建材といった金属箔貼合せ用途、基板製造工程での離型フィルム用途などに好適に使用できるポリブチレンテレフタレートフィルムに関するものである。
包装用フィルムとして、一般的に、セロファン、一軸延伸ポリエチレンフィルムなどが用いられているが、セロファンは透明性に優れているものの、吸湿性が高く、また高温での寸法安定性が不充分である問題があった。また、一軸延伸ポリエチレンは異方性が大きく、強度が不十分であり、また、高温では寸法変化が非常に大きいといった問題があった。
また、蓋材としては、アルミニウム箔と、樹脂フィルムとの積層体が多く用いられているが、環境面、コストダウンの観点から、アルミニウム箔レスが望まれおり、インフレーション法にて製膜されたポリブチレンテレフタレートフィルムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、デッドホールド性を高めるために、ポリエチレンテレフタレートを含んでおり、結晶性が不充分なため、寸法安定性が低く、ラミネート加工時の寸法変化が大きく、加工収率が低いものであった。また、ヒートシール性、耐衝撃性を向上させるために、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含むポリブチレンテレフタレートフィルムが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。しかしながら、寸法安定性については考慮されておらず、加工時の寸法変化が大きいものであった。
電池包装材料用途では、電池の外装体としては、金属をプレス加工し円筒状または直方体状に容器化した金属製缶、あるいは、最外層/アルミニウム/シーラント層から構成される多層フィルムを袋状にしたものが用いられている。しかしながら、金属製缶においては容器外壁が剛直であるため、電池自体の形状が決められてしまい、ハードウエア側を電池に合わせ設計するため、該電池を用いるハードウエアの寸法が電池により決定されてしまうなどデザインに制約ができてしまうという問題があるため、多層フィルムからなる袋状の外装体が好まれるようになってきている。電池の外装体として要求される物性・機能としては防湿性、耐内容物性(内容物として使用する電解液などの化合物に対する耐性)、成形性等であるが、これらを満足するフィルム素材として現在使用されているものとしては、例えばポリアミドフィルム/ポリエステルフィルムの貼り合わせなどが用いられている(たとえば、特許文献3参照)。また、ポリエステルフィルム単体として成形性に優れたフィルム提案されている(たとえば、特許文献4参照)。しかしながら、いずれの提案も、電池外装用として深絞り要求が高まる中、深絞成形後のヒートシール工程において、寸法変化が大きく、カール、デラミが発生するという問題があった。
金属板貼合せ用フィルムは、接着剤を用いて金属板にラミネートする構成、熱によりフィルムを一部融解させてラミネートする構成があり、例えば熱によりフィルムを一部融解させてラミネートするフィルムとして、ポリエチレンテレフタレートを主成分とした缶用ポリエステルフィルムが提案されている(たとえば、特許文献5参照)。しかしながら、この提案は、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いており、さらに延伸後の熱固定温度が低いため、熱ラミネート時の熱収縮が大きく、シワが発生しやすいといった問題があった。
離型フィルム用途では、特に工程フィルムにおいては、100℃での熱収縮率を低減させたポリフェニレンスルフィドフィルムにシリコーン系材料を積層したフィルムが提案されている(たとえば、特許文献6参照)。しかしながら、該提案では100℃での寸法安定性には優れるものの、高温での寸法安定性は考慮されておらず、工程フィルムの中でも限られた用途にしか適用ができなかった。
特開2006−187886号公報 特開2011−116434号公報 特開2008−53133号公報 特開2004−362953号公報 特開2010−221412号公報 特開平05−286084号公報
本発明の課題は上記した問題点を解消することにある。すなわち、高温での寸法安定性に優れ、食品包装、蓋材、電池外装、医薬包装といった包装用途、化粧板、建材といった金属箔貼合せ用途、基板製造工程での離型フィルム用途などに好適に使用できるポリブチレンテレフタレートフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
(1)ポリブチレンテレフタレート樹脂を主たる構成成分とするフィルムであり、任意の方向およびその直交する方向の190℃、20分における寸法変化率が1.0%以下であり、
任意の方向およびその直交する方向の25℃におけるF−5値が40MPa以上70MPa以下である、ポリブチレンテレフタレートフィルム。
(2)密度が1.2900g/cm以上1.3500g/cm以下である、(1)記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
(3)フィルムの最小配向角の音波伝播速度Peak Valuが、1.400km/s以上1.670km/s以下である、(1)又は(2)に記載のポリブチレンテレフタレートフィルム
)厚みが10μm以上40μm以下である、(1)から()のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
)ヘイズが80%以上98%以下である、(1)から()のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
)任意の方向およびその直交する方向の25℃における伸度の比が、0.5以上1.0以下である(1)から()のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
)全成分100質量%において、熱可塑性エラストマーを0.01質量%以上30質量%以下含有することを特徴とする、(1)から()のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
)包装用途に用いる、(1)から()のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
)金属板貼合せ用途に用いる、(1)から()のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
10)離型フィルム用途に用いる、(1)から()のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、任意の方向およびその直交する方向の190℃、20分における寸法変化率が4%以下と高温における寸法安定性に優れるため、食品包装、蓋材、電池外装、医薬包装といった包装用途、化粧板、建材といった金属箔貼合せ用途、基板製造工程での離型フィルム用途などに好適に使用することができる。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムに用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂とは、樹脂を構成する全ての単量体成分を100モル%とした際に、テレフタル酸成分が45〜50モル%、1,4−ブタンジオール成分が45〜50モル%、他の共重合成分が0〜10モル%の態様の樹脂を意味する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂中の他の共重合成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物などが挙げられる。また、好ましいジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル誘導体としては上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、たとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどを挙げることができる。
本発明で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂については、市販されているポリブチレンテレフタレート樹脂およびそれらの共重合体を購入して、用いることができるが、たとえば、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、以下のように重合することができる。
テレフタル酸ジメチル100質量部、および1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、0.054質量部のオルトチタン酸テトラ−n−ブチルと0.054質量部のモノヒドロキシブチルスズオキサイドとを添加しエステル化反応を行う。ついで、0.066質量部のオルトチタン酸テトラ−n−ブチルを添加して、減圧下で重縮合反応を行い、所望の極限粘度、たとえば極限粘度0.88のポリブチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂を製造するに際しては、従来から公知である反応触媒、着色防止剤を使用することができる。反応触媒としては、例えば、チタン化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物などを、また着色防止剤としては、リン化合物などを使用することができるが、本発明では特にこれらに限定されるものではない。
通常、ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてチタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、例えば、チタン化合物を例にすると、チタン化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公報に記載されているように、ポリエステルの出発原料であるグリコール成分中にチタン化合物を溶解させて添加する方法を使用することができる。
かかるチタン化合物としては、特に限定しないが、例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドを好ましく用いることができる。
また、本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂中には、本発明の効果を損なわない範囲で、取り扱い性と加工性を向上させるために、平均粒子径0.01〜5μmの内部粒子、無機粒子または有機粒子を、フィルムの全成分100質量%中に0.01〜1質量%含有してもよいが、使用する粒子の平均粒子径は0.01〜3μmであれば好ましく、0.01〜0.2μmであればさらに好ましい。また、寸法安定性と製膜性の観点から、の観点から、0.05〜2.5μmが好ましく、0.1〜2μmであればさらに好く、フィルム中の粒子濃度は0.005〜0.01質量%であることが最も好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムとは、ポリブチレンテレフタレート樹脂を主たる構成成分とするフィルムである。そして、ポリブチレンテレフタレート樹脂を主たる構成成分とするフィルムとは、フィルムの全成分100質量%において、ポリブチレンテレフタレート樹脂を70質量%以上100質量%以下含むフィルムを意味する。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、任意の方向および、その直交する方向の190℃、20分における寸法変化率が4%以下であることが必要である。寸法変化率が4%以下であることによって、高温加工時の寸法変化および、平面性低下が抑制されるため、包装用途、金属箔貼合せ用途、離型フィルム用途などへ好ましく適用できるポリブチレンテレフタレートフィルムとすることができる。任意の方向および、その直交する方向の190℃、20分における寸法変化率は、より好ましくは2.5%以下であり、1.0%以下であれば最も好ましい。なお、寸法変化率の下限は特に限定されず、値が小さい程、つまり0%であることが好ましいが、現実的に達成可能な下限は、0.1%程度である。
ここで、190℃、20分における寸法変化率を4%以下とする方法は特に限定されないが、ポリブチレンテレフタレートフィルムの密度を1.2900g/cm以上1.3500g/cm以下に制御することが好ましい。ポリブチレンテレフタレートフィルムの密度が1.2900g/cm未満であるとフィルムの結晶化度が低く、寸法安定性が悪化する場合がある。また、密度が1.3500g/cmより大きくなると、フィルムが脆くなり場合がある。フィルムの密度は、より好ましくは1.2950g/cm以上1.3400g/cm以下であり、1.2980g/cm以上1.3200g/cm以下が最も好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムの密度を上記1.2900g/cm以上1.3500g/cm以下の範囲に制御するためには、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度を0.89〜1.95dl/gとすることが好ましい。ここでいう固有粘度とは、オルトクロロフェノール100mlに樹脂を溶解させ(溶液濃度C=1.2g/ml)、その溶液の25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定した値と、同様に溶媒の粘度を測定した値とを用いて、下記式の[η]として求められる値である。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、ポリエステル原料中に、有機微粒子、無機微粒子、金属、金属塩、その他添加剤等で溶媒に不溶な成分を含んでいる場合には、フィルターによる濾過や、遠心分離などにより、不溶成分の除去を行った後に、溶液を調整して測定した値(η)である。また、ポリエステル樹脂に可塑剤、界面活性剤、染料などの添加剤を含んでいる可能性がある場合は、不溶成分を除去した後に、最沈殿法、再結晶法、クロマトグラフィー法、抽出法等を実施した後に、再度溶液を調整して測定した値(η)である。
本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂は前述の方法で製造できるが、分子量が大きく、固有粘度が高いポリエステル原料を得るためには、さらに固相重合を行って重合度を高める方法が好ましく用いられる。固相重合の方法としては特に限定されるものではないが、通常ポリエステルの固相重合は、減圧下、或いは窒素雰囲気下で行われるが、いずれの方法を用いても差し支えない。固相重合温度は、好ましくは180℃以上240℃以下、より好ましくは190℃以上230℃以下である。重合温度が180℃未満であると、反応速度が遅く生産性が非常に悪くなる。一方、240℃を超えると、ポリエステルチップ同士の融着が起こるだけでなく、溶媒中での加熱処理で形成されたチップの空隙が消滅してしまい、重合速度が低下してしまう。固相重合温度は、上記範囲内で任意に設定可能であるが、一般的な傾向として、低い温度で重合した場合には、反応速度が低下して期待する固有粘度まで上昇させる時間が長くなるが、最高到達固有粘度は高くなる。逆に重合温度を高くした場合には、反応速度が上昇するが、同時に劣化反応も進行するため、最高到達固有粘度は低くなる。実際の工程では反応温度は該固相重合温度範囲で期待する固有粘度、反応時間を勘案し、設定すればよい。
また、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、溶融混練時の樹脂温度によっても密度を制御させることができる。溶融混練時の樹脂温度を高くすれば、樹脂の運動性が高まるため、結晶化が促進され、密度を高くすることができる。本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムの密度を1.2900g/cm以上1.3500g/cm以下に制御するためには、溶融混練時の樹脂温度は、265℃〜280℃、好ましくは270℃〜275℃とすることが好ましい。一方で、樹脂温度を高温にすると、ポリブチレンテレフタレート樹脂の熱酸化劣化が起こりやすくなるため、押出機内部を不活性ガス、好ましくは流通窒素雰囲気下とし、供給部内部の酸素濃度を0.7体積%以下、さらに好ましくは0.5体積%以下とすることが好ましい。
また、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法としては、インフレーション法、押出キャスト法が挙げられる。インフレーション法にて製造する場合、チューブ状に押し出されたポリブチレンテレフタレート樹脂内に注入する乾燥エアーの温度を調整し、シート膨張部での樹脂温度を120〜140℃、好ましくは125℃〜135℃とすることでより高精度にポリブチレンテレフタレートフィルムの密度を1.2900g/cm以上1.3500g/cm以下に制御することができるため好ましい。また、押出キャスト法にて製造する場合は、キャスティングドラム温度を65℃〜80℃に調整することが好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムの最小配向角の音波伝播速度Peak Valuは、1.400km/s以上1.670km/s以下であることが好ましい。フィルムの最小配向角の音波伝播速度Peak Valuが、1.400km/s未満であるとフィルムの強度が低下する場合がある。またフィルムの最小配向角の音波伝播速度Peak Valuが1.670km/sを超えると、フィルムの強度が高すぎて、成形できない場合がある。フィルムの強度、成形性の観点から、フィルムの最小配向角の音波伝播速度Peak Valuは1.425km/s以上1.660km/s以下が好ましく、1.450km/s以上1.655km/sであれば最も好ましい。
ここでポリブチレンテレフタレートフィルムの最小配向角の音波伝播速度Peak Valuを上記1.400km/s以上1.670km/s以下とするためには、ポリブチレンテレフタレートフィルムを製造方法としては、インフレーション法を採用することが好ましい。インフレーション法にて製造する場合、吐出量とニップロールの引き取り速度との関係にもよるが、ブロー比を2.0以上4.0以下が好ましい。ブロー比が2.0以下であると、最小配向角の音波伝播速度Peak Valuが低くなり、フィルムの強度が低下する場合があり、ブロー比が4.0以上であると製造時にフィルムが破断する場合がある。より好ましくは2.5以上3.8以下であり、3.0以上3.6以下であれば最も好ましい。
ここでいうインフレーション法とは、例えば、使用するポリブチレンテレフタレート樹脂を窒素雰囲気、減圧雰囲気などで150℃5時間などの乾燥を行い、2軸押出機に供給し溶融する。この際、ベント式の二軸押出機を使用する場合は乾燥工程を省略してもよい。押出機にて溶融した樹脂は、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を行い、2軸押出機にて溶融押出して環状ダイスに導き、環状ダイスから押出して内部には乾燥エアーを供給して風船状(バブル)に形成し、さらにエアーリングにより均一に空冷固化させ、ニップロールでフラットに折りたたみながら所定の引き取り速度で引き取った後、必要に応じて両端、または片方の端を切り開いて巻き取れば良い。その後、フィルムの熱収縮を抑制するために加熱ロールやオーブン内で熱処理を施しても良い。
この場合、環状ダイスからの吐出量とニップロールの引き取り速度、バブルのブロー比により、厚さが10〜40μmとなるように調整すれば良いが、厚み精度、均一性の点から、環状ダイスはスパイラル型を用いることが好ましく、同様の観点から環状ダイスは回転式のものを用いることが好ましい。
また、バブルのブロー比は、吐出量とニップロールの引き取り速度との関係にもよるが、低過ぎても高過ぎてもフィルムに異方性を生じる場合があり、また、特に高過ぎる場合にはバブルが不安定となり易く、通常2.0から4.0の範囲である。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、フィルムに成形した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられ、いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さからコロナ放電処理が最も好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムの、任意の方向およびその直交する方向の25℃における5%伸長時応力(以下、F−5値)が、30MPa以上80MPa以下であることが好ましい。フィルムの任意の方向およびその直交する方向の25℃におけるF−5値が、30MPa未満であると強度が低く、加工時に破断する場合があり、80MPaを超えると、用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度が低く、製膜性が悪化する場合がある。任意の方向およびその直交する方向の25℃におけるF−5値は、より好ましくは35MPa以上75MPa以下であり、40MPa以上70MPa以下であれば最も好ましい。
ここで、任意の方向およびその直交する方向の25℃におけるF−5値を上記30MPa以上80MPa以下の範囲とするためには、上記した方法で、ポリブチレンテレフタレートフィルムの密度を1.2900g/cm以上1.3500g/cm以下にすること、最小配向角の音波伝播速度Peak Valuが、1.400km/s以上1.670km/s以下とすることが好ましい。
さらに、25℃におけるF−5値を30MPa以上80MPa以下とするためには、引張時のフィルムの初期変形を均一にすることが重要であり、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは厚み斑を10%以下とすることが好ましい。厚み斑を10%以下とする方法としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂を溶融混練する前に乾燥を十分に行い、水分率を50ppm以下、好ましくは、40ppm以下、最も好ましくは30ppm以下とすることが好ましい。また、押出キャスト法にて製造する場合は、キャスト位置を前方キャストにする方法、口金のリップ間隙を狭くする方法などが挙げられる。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムの厚みは、経済性、生産性、加工性などの点から10μm以上40μm以下であることが好ましい。厚みが10μm未満であると強度が低く成形加工時に破れや、破断が発生してしまう恐れがある。また、厚みが40μmを超えるとフィルムの強度が高すぎて、加工性が低下する場合がある。フィルムの厚みは、より好ましくは15〜30μmである。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、ヘイズが80%以上98%以下であることが好ましい。ヘイズが80%未満であると、フィルムの結晶化度が低いため寸法安定性に劣る場合がある。フィルムのヘイズは、より好ましくは85%以上97%以下であり、90%以上96%以下であれば最も好ましい。
ここで、ヘイズを上記80%以上98%以下の範囲とするためには、インフレーション法による製膜法を採用するのが好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、任意の方向およびその直交する方向の25℃における伸度の比が、0.5以上1.0以下であることが好ましい。伸度の比が0.5未満であると任意の方向およびその直交する方向の一方向の伸度が低く、かつ寸法安定性が低下し加工時に破断する場合がある。フィルムの任意の方向およびその直交する方向の25℃における伸度の比は、より好ましくは、0.6以上1.0以下であり、0.7以上1.0以下が最も好ましい。
ここで、任意の方向およびその直交する方向の25℃における伸度の比を上記0.5以上1.0以下の範囲とするためには、前述の製膜法を採用する場合、吐出量とニップロールの引き取り速度との関係にもよるが、ブロー比を2.0以上4.0以下が好ましい。ブロー比が2.0未満であると、最小配向角の音波伝播速度Peak Valuが低くなり、フィルムの強度が低下する場合があり、ブロー比が4.0を超えるとフィルムが破断する場合がある。より好ましくは2.5以上3.8以下であり、3.0以上3.6以下であれば最も好ましい。伸度比とは下記式で求められる値である。
伸度の比=低伸度値/高伸度値
(低伸度値=任意の方向または、その直交する方向の低伸度側の値)
(高伸度値=任意の方向または、その直交する方向の高伸度側の値)
また、任意の方向およびその直交方向の25℃における伸度の比を上記0.5以上1.0以下の範囲とする方法として、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、全成分100質量%において、熱可塑性エラストマーを0.01質量%以上30質量%以下含有させることが好ましい。熱可塑性エラストマーを0.01質量%以上30質量%以下含有させることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶成長の異方性が低減できるため、伸度の比を0.5以上1.0以下に制御することができる。熱可塑性エラストマーの含有量が30%質量を超えると、製膜性が悪化したり、強度が低下する場合がある。フィルムの全成分100質量%における熱可塑性エラストマーの含有量は0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%であれば特に好ましい。
ここで、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムに好ましく添加される熱可塑性エラストマーとは、高温で可塑化され、プラスチックスと同様に成形加工でき、常温(20℃から30℃)においてはゴム弾性体の性質を示し、エントロピー弾性を発揮させためのゴム成分(ソフトセグメント)と高温(100℃以上の温度領域)では流動性を示すが、常温(20℃〜30℃)では塑性変形を阻止する拘束成分(ハードセグメント)よりなるポリマーである。
熱可塑性エラストマーの具体例としては特に限定されないが、ポリスチレン系エラストマー(ハードセグメント:ポリスチレン、ソフトセグメント:ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共重合ゴム)、ポリオレフィン系エラストマー(ハードセグメント:ポリプロピレンまたはポリエチレン、ソフトセグメント:エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ブタジエンなど)、ポリエステル系エラストマー(ハードセグメント:ポリエステル、ソフトセグメント:ポリエーテルまたはポリエステル)、ポリアミド系エラストマー(ハードセグメント:ポリアミド、ソフトセグメント:ポリエーテルまたはポリエステル)、その他としてハードセグメントをシンジオ−1,2−ポリブタジエンとし、ソフトセグメントをアタクチック−1,2−ポリブタジエンとしたエラストマーなどが挙げられる。
さらにエラストマーに水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミド基および無水マレイン酸成分などの官能基および官能基形成成分を一部導入してもよい。これらの中でもポリエステル系エラストマーが相溶性の観点から、好ましく用いることができる。ポリエステル系エラストマーは、具体的には、HYTREL(東レ・デュポン製)、ARNITEL(Akzo Chemie製)、ペルプレン(東洋紡製)、LOMOD(General Electric製)などのポリエステル系エラストマーが好適に使用できる。さらに、製膜製の観点から、ポリエステル系エラストマーのハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであれば特に好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、食品包装、蓋材、電池外装、医薬包装といった包装用途に好適に用いることができる。本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムをパウチ包装のような食品包装に用いると、高温における寸法安定性が非常に優れるため、ラミネート加工時の熱収縮に起因するシワ、弛みの抑制、レトルト処理時のフィルム剥がれなどを抑制できるため非常に好ましい。また、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムを蓋材に用いた場合も高温における優れた寸法安定性のために、ラミネート加工時のシワ、弛みを抑制することができる。さらに、ポリブチレンテレフタレート樹脂特有の形状保持性にも優れていることから、形状保持性が重要な蓋材には好ましく適用できる。さらに、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、リチウムイオン電池などの電池外装用途にも好ましく適用できる。リチウムイオン電池の外装としては、一般的に、最外層フィルム/アルミニウム箔/シーラントフィルムの構成が適用されているが、最外層フィルムへの適用が好ましい。リチウムイオン電池は、高容量化対応のニーズが高く、外装材としての深絞成型性が求められる。最外層フィルムの熱収縮率が高いと深絞成型後のシーラントフィルム同士のヒートシール工程において、カール、さらにはデラミが発生する場合があるため、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムを適用することで、この課題を解決することができる。同様に、医薬包装用途においても、最外層フィルム/アルミニウム箔/シーラントフィルムの構成が用いられており、様々な形状の医薬品に対応できるような深絞成型性へのニーズが高まっている。このため、最外層フィルムに本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムを用いることで、シーラント同士のヒートシール工程でのカール、デラミを抑制することが可能となるため、好ましい。
また、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、化粧板、建材といった金属板貼合せ用途へも好ましく用いることができる。該用途では、接着剤を用いて金属板にラミネートする構成、熱によりフィルムを一部融解させてラミネートする構成があるが、いずれもラミネート工程ではフィルムは高温にさらされる。このため、ラミネート工程でのシワの発生による収率低下が起こる場合があり、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムを該用途へ適用することで、この課題を解決できるため非常に好ましい。
また、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは、基板製造工程などに用いられる離型フィルム用途へも好適に使用できる。基板製造工程においても加工時に熱がかかるためその際のシワの発生による収率低下が起こる場合があるため、本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムは有効である。
(1)寸法変化率
フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに100mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して190℃に加熱した熱風オーブン内に20分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式により熱収縮率を算出した。測定は各フィルムとも長手方向および幅方向に5サンプル実施して平均値で評価を行った。
熱収縮率(%)=(加熱処理前の標線間距離)−(加熱処理後の標線間距離)/(加熱処理前の標線間距離)×100 。
(2)密度
フィルムを一辺5mmの正方形に切り取り、25℃に保たれた臭化ナトリウム水溶液を用いた密度勾配管に、フィルムを12時間含浸させ、その到達地点により、密度(g/cm)を測定した。評価は各サンプル5回測定し、その平均値を用いた。
(3)最小配向角の音波伝播速度
NOMURA SYOJIK.K.製、超音波伝播速度計「SST−250」を用い、フィルムの任意の方向を基準(0°)とし、5°毎に0〜180°まで超音波伝導速度(km/s)を測定した。測定結果から得られた、超音波伝導速度の最小値を、最小配向角の音波伝播速度として用いた。
(4)F−5値、伸度比
フィルムの任意の方向およびその直交する方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いてクロスヘッドスピード300mm/分、幅10mm、試料長50mmとしてフィルムの任意の方向およびその直交する方向について破断伸度、F−5値を測定した。評価は任意の方向およびその直交する方向それぞれの破断伸度、F−5値を各5回ずつ測定し、その平均を用いた。なお、測定は、25℃、63%Rhの条件にて行った。伸度の比については、下記式にて求めた。
伸度の比=低伸度値/高伸度値
(低伸度値=任意の方向または、その直交する方向の低伸度側の破断伸度)
(高伸度値=任意の方向または、その直交する方向の高伸度側の破断伸度)
(5)ヘイズ
フィルムを一辺10cmに切り出しサンプルとし、スガ試験機株式会社製直読ヘイズコンピューターを用い、JISK−7105(1981)に基づいて測定した。評価は各サンプル5回測定し、その平均値を用いた。
(6)フィルム厚み
厚みは、ダイヤルゲージ式厚み計(測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの任意の方向およびその直交する方向に10cm間隔で10点測定して、その平均値をフィルムの厚みとした。
(7)固有粘度
ポリブチレンテレフタレート樹脂をオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。
(8)ラミネート加工適性
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルム(200mm×300mm)と、東レ製ルミラーS10(200mm×300mm、厚み25μm)をウレタン系の接着剤(三井化学ポリウレタン社製、タケラックA−310、タケネートA−3、酢酸エチルを12:1:13(質量比))を使用して、ドライラミネートし(100℃、2m/min)、40℃で48時間放置し、積層体を得た。得られた積層体をガラス板上に置き、ガラス板面から垂直方向での4隅の浮き上がり量を測定し、最大高さをカールとして、カール高さを下記の基準で評価した。
○:カール高さが5mm未満
△:カール高さが5mm以上10mm未満
×:カール高さが10mm以上
(9)深絞り成型後のヒートシール適性
本発明のポリブチレンテレフタレートフィルム(200mm×300mm)とアルミニウム箔(200mm×300mm、厚み40μm)をウレタン系の接着剤(東洋モートン社製、AD−502、CAT10L、酢酸エチルを15:1.5:25(質量比))を使用して、ラミネーターを用いてドライラミネートし(60℃、2m/min)、40℃で48時間放置した。さらに、ポリブチレンテレフタレートフィルム/アルミニウム箔の積層体のアルミニウム箔の上に、シーラントとしてマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂とポリプロピレンとを共押出しした200mm×300mmの2層共押出しフィルム(マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂層:15μm、ポリプロピレン樹脂層:30μm)を、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂層がアルミニウム箔側に位置するようにし、ラミネーターを用いて加熱圧着(120℃、0.3MPa、2m/min)させることで積層させ、積層体を作成した。
得られた積層体を、200mm×200mm大に切り出し、100mm×100mmの矩形状の雄型(高さ5mm、R:2mm)とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型(R:2mm)からなる金型を用いて、雄型側にシーラント側がくるように雌型上に積層体をセットし、プレス成型(加圧:0.1MPa)を行い、成型体を得た。得られた成型体を2体準備し、それぞれのシーラント側を重ね、ラミネーターを用いて加熱圧着(190℃、0.3MPa、2m/min)させた。加熱圧着は、それぞれの成型体の成型が立ち上がる端部がシールされるように行った。テストは5回行い、シール後の成型体を、下記の基準で評価した。
○:5回とも層間剥離の発生なし
△:1回以上2回以下、層間剥離の発生
×:3回以上、層間剥離の発生あり
(10)金属板ラミネート適性
250℃の熱風オーブン中で5分間加熱した200mm×300mmサイズの無錫鋼板(厚さ0.24mm)と、200mm×300mmサイズの本発明のポリブチレンテレフタレートフィルムを、速度40m/分、ニップ圧0.3MPaでラミネートし、25℃に保持した水槽で急冷をした。得られた金属板ラミネート体について、下記の基準で評価した。
○:シワの発生がなく、外観に優れた金属板ラミネート体が得られた。
△:若干のシワが発生したが、外観として問題ないレベルの金属板ラミネート体が得られた。
×:シワが発生し、外観に劣る金属板ラミネート体が得られた。
(PBT−1)
トレコン1100S(東レ製、固有粘度:0.89dl/g)
(PBT−2)
トレコン1200S(東レ製、固有粘度:1.26dl/g)
(PBT−3)
トレコン1400S(東レ製、固有粘度:1.75dl/g)
(PBT−4)
トレコン1500S(東レ製、固有粘度:1.95dl/g)
(PBT−5)
テレフタル酸100質量部、および1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を、窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054質量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054質量部を添加し、エステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066質量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を作製した。
(PBT−6)
テレフタル酸100質量部、および1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を、窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054質量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054質量部を添加し、エステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066質量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を作製した。その後、140℃、窒素雰囲気下で結晶化を行い、ついで窒素雰囲気下で200℃、10時間の固相重合を行い、固有粘度2.20dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂とした。
(ポリエステル系エラストマー)
HYTREL7247(東レ・デュポン製)
(粒子マスター)※表中では粒子Mと表記
上記ポリブチレンテレフタレートを製造する際、エステル交換反応後に平均粒子径2.7μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加してから重縮合反応を行い、ポリマー中の粒子濃度2質量%の粒子マスターを作製した。
以下、実施例1、2、4、5、及び6は参考例とする。
(実施例1)
PBT−1を使用した。PBT樹脂を回転式ドラム型真空乾燥機にて180℃3時間乾燥し、水分を十分に除去した後、酸素濃度を0.2体積%とした2軸押出機に供給、265℃で溶融し、真空ベント部を脱気しながらスパイラル型環状ダイスより、ブロー比2.5にてバブル状に上向きに押出た。続いて、乾燥エアーにより、シート膨張部での樹脂温度を125℃とすることでより冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら引き取った後、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開き、ワインダーにてフィルムを巻き取った、引き取り速度の調整により最終厚みが25μmのフィルムを得た。
該フィルムは、やや寸法変化率が高くなり、深絞り成型後のヒートシール適性が若干低下した。
(実施例2)
PBT−2と粒子Mとを質量比99:1で混合して使用した。押出温度を270℃、ブロー比を3.5とした以外は、実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。該フィルムは、ラミネート加工適性、深絞り成型後のヒートシール適性、金属板ラミネート適性に優れた特性を示した。
(実施例3)
PBT−3を使用した。押出温度を275℃、シート膨張部での樹脂温度を135℃、ブロー比を3.4とした以外は実施例1と同様にして厚み25μmのフィルムを得た。該フィルムは、ラミネート加工適性、深絞り成型後のヒートシール適性、金属板ラミネート適性に優れた特性を示した。
(実施例4)
PBT−3とポリエステル系エラストマーとを質量比97:3で混合して使用した。押出温度を270℃、シート膨張部での樹脂温度を120℃、ブロー比を2.6とした以外は実施例1と同様にして厚み25μmのフィルムを得た。該フィルムは、寸法変化率が高めであり、ラミネート加工適性、深絞り成型後のヒートシール適性が若干低下した。
(実施例5)
PBT−3とポリエステル系エラストマーとを質量比90:10で混合して使用した。押出温度を265℃、シート膨張部での樹脂温度を120℃、ブロー比を3.8とした以外は実施例1と同様にして厚み35μmのフィルムを得た。該フィルムは、寸法変化率が高めであり、ラミネート加工適性、深絞り成型後のヒートシール適性、金属板ラミネート適性が若干低下した。
(実施例6)
PBT−4を使用した。押出温度を265℃、シート膨張部での樹脂温度を120℃、ブロー比を3.9とした以外は実施例1と同様にして厚み10μmのフィルムを得た。該フィルムは、寸法変化率が高めであり、ラミネート加工適性、深絞り成型後のヒートシール適性、金属板ラミネート適性が若干低下した。
(実施例7)
PBT−3を使用した。PBT樹脂を回転式ドラム型真空乾燥機にて180℃3時間乾燥し、水分を十分に除去した後、酸素濃度を0.2体積%とした2軸押出機に供給、275℃で溶融し、真空ベント部を脱気させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、75℃に温度制御した梨地ドラム(表面粗さ1s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、最終厚み25μmのフィルムを得た。
該フィルムは、ラミネート加工適性、深絞り成型後のヒートシール適性、金属板ラミネート適性に優れた特性を示した。
(比較例1)
PBT−1を使用した。押出温度を250℃、シート膨張部での樹脂温度を90℃、ブロー比を4.2とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム厚み30μmのフィルムを得た。該フィルムは、寸法変化率が高く、ラミネート加工適性、深絞り成型後のヒートシール適性が不充分なフィルムとなった。
(比較例2)
PBT−1とポリエステル系エラストマーとを質量比60:40で混合して使用した。PBT樹脂を回転式ドラム型真空乾燥機にて180℃3時間乾燥し、水分を十分に除去した後、酸素濃度を0.2体積%とした2軸押出機に供給、255℃で溶融し、真空ベント部を脱気させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、20℃に温度制御した梨地ドラム(表面粗さ1s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、最終厚み25μmのフィルムを得た。該フィルムは、寸法変化率が高く、ラミネート加工適性、深絞り成型後のヒートシール適性、金属ラミネート適性が不充分なフィルムとなった。
(比較例3)
PBT−6を使用した。該樹脂は固有粘度が高く、押し出すことが出来なかった。
(比較例4)
PBT−5を使用した。該樹脂は固有粘度が低く、製膜性が悪化し、フィルムを得ることが出来なかった。
Figure 0005929198
Figure 0005929198
Figure 0005929198
本発明はポリブチレンテレフタレートフィルムに関し、特に寸法安定性が高く、また強度が高いため、包装用、特に食品包装、電池外装用途に好適に使用できるポリブチレンテレフタレートフィルムに関するものである。

Claims (10)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂を主たる構成成分とするフィルムであり、任意の方向およびその直交する方向の190℃、20分における寸法変化率が1.0%以下であり、
    任意の方向およびその直交する方向の25℃におけるF−5値が40MPa以上70MPa以下である、ポリブチレンテレフタレートフィルム。
  2. 密度が1.2900g/cm以上1.3500g/cm以下である、請求項1記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
  3. フィルムの最小配向角の音波伝播速度Peak Valuが、1.400km/s以上1.670km/s以下である、請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレートフィルム
  4. 厚みが10μm以上40μm以下である、請求項1からのいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
  5. ヘイズが80%以上98%以下である、請求項1からのいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
  6. 任意の方向およびその直交する方向の25℃における伸度の比が、0.5以上1.0以下である請求項1からのいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
  7. 全成分100質量%において、熱可塑性エラストマーを0.01質量%以上30質量%以下含有することを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
  8. 包装用途に用いる、請求項1からのいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
  9. 金属板貼合せ用途に用いる、請求項1からのいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
  10. 離型フィルム用途に用いる、請求項1からのいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートフィルム。
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