JP5922965B2 - 基板保持装置、研磨装置、および研磨方法 - Google Patents

基板保持装置、研磨装置、および研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウェハなどの基板を研磨する研磨装置に使用される基板保持装置に関し、特に基板を保持して研磨面に押圧する基板保持装置に関する。また、本発明は、そのような基板保持装置を用いた研磨装置および研磨方法に関する。
近年、半導体デバイスの高集積化・高密度化に伴い、回路の配線がますます微細化し、多層配線の層数も増加している。回路の微細化を図りながら多層配線を実現しようとすると、下側の層の表面凹凸を踏襲しながら段差がより大きくなるので、配線層数が増加するに従って、薄膜形成における段差形状に対する膜被覆性(ステップカバレッジ)が悪くなる。したがって、多層配線するためには、このステップカバレッジを改善し、然るべき過程で平坦化処理しなければならない。また光リソグラフィの微細化とともに焦点深度が浅くなるため、半導体デバイスの表面の凹凸段差が焦点深度以下に収まるように半導体デバイス表面を平坦化処理する必要がある。
したがって、半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイス表面の平坦化がますます重要になっている。この表面の平坦化において最も重要な技術は、化学機械研磨(CMP(Chemical Mechanical Polishing))である。この化学機械研磨は、研磨装置を用いて、シリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッドの研磨面上に供給しつつウェハを研磨面に摺接させて研磨を行うものである。
この種の研磨装置は、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、ウェハを保持するためのトップリング又は研磨ヘッド等と称される基板保持装置とを備えている。このような研磨装置を用いてウェハの研磨を行う場合には、基板保持装置によりウェハを保持しつつ、このウェハを研磨パッドの研磨面に対して所定の圧力で押圧する。このとき、研磨テーブルと基板保持装置とを相対運動させることによりウェハが研磨面に摺接し、ウェハの表面が平坦かつ鏡面に研磨される。
研磨中のウェハと研磨パッドの研磨面との間の相対的な押圧力がウェハの全面に亘って均一でない場合には、ウェハの各部分に与えられる押圧力に応じて研磨不足や過研磨が生じてしまう。そこで、ウェハに対する押圧力を均一化するために、基板保持装置の下部に弾性膜から形成される圧力室を設け、この圧力室に空気などの流体を供給することで弾性膜を介して流体圧によりウェハを押圧することが行われている。
この場合、上記研磨パッドは弾性を有するため、研磨中のウェハのエッジ部(周縁部)に加わる押圧力が不均一になり、ウェハのエッジ部のみが多く研磨される、いわゆる「縁だれ」を起こしてしまう場合がある。このような縁だれを防止するため、ウェハのエッジ部を保持するリテーナリングをトップリング本体(又はキャリアヘッド本体)に対して上下動可能に設け、ウェハの外周縁側に位置する研磨パッドの研磨面をリテーナリングで押圧するようにしている。
特開2008−302464号公報
近年、ウェハのエッジ部付近の研磨プロファイルを調整するために、ウェハの外周側に直径の異なる2つのリテーナリングを配置した基板保持装置が提案されている。例えば、特許文献1に開示される基板保持装置では、第1リテーナリングおよび第2リテーナリングのそれぞれの押圧力を独立して制御することができ、研磨プロファイルの均一性を高めることができるとされている。
本発明者は、種々の実験を行った結果、ウェハの研磨中に、ウェハと研磨面との間に生じる摩擦力によってウェハがリテーナリングの内周面に押し付けられた状態となっており、ウェハは研磨パッドの回転方向において下流側の部位ではウェハの中心部に比べて非常に高い研磨速度で研磨されていることを明らかにした。さらに、本発明者は、このように研磨されているウェハに対して単に直径の異なる2つのリテーナリングを用いても、ウェハのエッジ部では望ましい研磨プロファイルの調整ができない場合があることを発見した。
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたもので、基板のエッジ部の研磨プロファイルが調整可能な基板保持装置を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる基板保持装置を用いた研磨装置および研磨方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明の第1の態様は、基板を研磨面に押圧するための弾性膜を保持するトップリング本体と、前記トップリング本体とは独立して上下動可能であって、前記基板を囲むように配置されたインナーリテーナリングと、前記インナーリテーナリングを前記研磨面に対して押圧するインナー押圧機構と、前記インナーリテーナリングの半径方向外側に設けられ、前記インナーリテーナリングおよび前記トップリング本体とは独立して上下動可能なアウターリテーナリングと、前記アウターリテーナリングを前記研磨面に対して押圧するアウター押圧機構と、前記基板の研磨中に基板から前記インナーリテーナリングに加わる横方向の力を受けるとともに、前記アウターリテーナリングを傾動可能に支持する支持機構とを備えたことを特徴とする基板保持装置である。
本発明の好ましい態様は、前記支持機構は、球面軸受であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記インナー押圧機構および前記アウター押圧機構は、前記インナーリテーナリングおよび前記アウターリテーナリングをそれぞれ独立に前記研磨面に押圧できることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記アウターリテーナリングの傾動の中心は、前記アウターリテーナリングの中心軸線上にあることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記アウターリテーナリングは、前記支持機構により上下動可能に支持されていることを特徴とする。
本発明の第2の態様は、基板を研磨面に押圧するための弾性膜を保持するトップリング本体と、前記トップリング本体とは独立して上下動可能であって、前記基板を囲むように配置されたインナーリテーナリングと、前記インナーリテーナリングを前記研磨面に対して押圧するインナー押圧機構と、前記インナーリテーナリングの半径方向外側に設けられ、前記トップリング本体に固定されたアウターリテーナリングと、前記トップリング本体および前記アウターリテーナリングに下向きの荷重を伝える荷重伝達部材と、前記荷重伝達部材に対する前記トップリング本体および前記アウターリテーナリングの傾動を許容する球面軸受とを備え、下向きの荷重が前記荷重伝達部材を介して前記トップリング本体および前記アウターリテーナリングに伝えられたときに、前記アウターリテーナリングは前記研磨面に対して押圧されることを特徴とする基板保持装置である。
本発明の好ましい態様は、前記トップリング本体の傾動中心は、前記球面軸受の球面の中心に位置することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記トップリング本体は、前記弾性膜を保持するキャリアと、前記キャリアを上下動させる上下動機構とを備えている。
本発明の好ましい態様は、基板保持装置は前記インナーリテーナリングと前記アウターリテーナリングとの間に配置されたストッパをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の他の態様は、上記基板保持装置と、研磨面を有する研磨パッドを支持する研磨テーブルとを備えたことを特徴とする研磨装置である。
本発明のさらに他の態様は、研磨パッドを回転させ、前記研磨パッドの研磨面上に研磨液を供給し、上記基板保持装置で基板を前記研磨面に押圧することにより前記基板を研磨することを特徴とする研磨方法である。
上述した本発明の第1の態様によれば、基板に作用する摩擦力はインナーリテーナリングを介してアウターリテーナリングに伝えられる。基板の摩擦力を間接的に受けるアウターリテーナリングは、研磨中に支持機構の支点を中心に傾いた状態となっている。すなわち、アウターリテーナリングは、研磨面の回転方向において基板の上流側では沈み込む方向に傾き、基板の下流側では浮き上がる方向に傾く。このように傾いた状態のアウターリテーナリングの荷重を変更(例えば、増加)させた場合、基板の下流側の領域において最も顕著に研磨面に対する荷重の変化が起こる。支持機構の支点を中心にアウターリテーナリングを積極的に傾けることにより、元々の研磨速度が高いために荷重変化の影響を最も受けやすい下流側エッジ部での研磨プロファイルを変化させることが可能となる。その結果、アウターリテーナリングの荷重調整により基板のエッジ部全体の研磨プロファイルの調整が可能となる。また、アウターリテーナリングは支持機構により上下動可能に支持されているために、アウターリテーナリングの摩耗の許容量を大きくすることが可能であり、アウターリテーナリングのライフタイムを長くすることが出来る。
上述した本発明の第2の態様によれば、上述した第1の態様と同様の効果が得られる。すなわち、トップリング本体に固定されたアウターリテーナリングを球面軸受で積極的に傾け、下流側エッジ部での研磨プロファイルを変化させることにより、全体として基板エッジ部の研磨プロファイルの調整が可能となる。
本発明の一実施形態に係る基板保持装置(トップリング)を備えた研磨装置の全体構成を示す模式図である。 図1に示されたトップリングの断面図である。 トップリングの他の断面図である。 トップリングのさらに他の断面図である。 トップリングの平面図である。 図2に示すVI−VI線断面図である。 図4に示すVII−VII線断面図である。 図1に示すトップリングの部分拡大図である。 球面軸受の拡大断面図である。 図10(a)は、軸部が球面軸受に対して上下動している様子を示す図であり、図10(b)および図10(c)は、軸部が中間輪と共に傾動している様子を示す図である。 研磨パッド、ウェハ、インナーリテーナリング、アウターリテーナリングを上から見た模式図である。 図12(a)は、インナーリテーナリングおよびアウターリテーナリングを下から見た図であり、図12(b)は図12(a)に示すXII−XII線断面図である。 図13(a)乃至図13(c)は、インナーリテーナリングとアウターリテーナリングの下面にそれぞれ設けられたラジアル溝の例を示す図である。 図14(a)乃至図14(c)は、インナーリテーナリングとアウターリテーナリングの下面にそれぞれ設けられたラジアル溝の他の例を示す図である。 図15(a)乃至図15(c)は、インナーリテーナリングとアウターリテーナリングの下面にそれぞれ設けられたラジアル溝のさらに他の例を示す図である。 アウターリテーナリングに貫通孔を形成した例を示す断面図である。 球面軸受の他の構成例を示す図である。 図18(a)は、軸部が球面軸受に対して上下動している様子を示し、図18(b)および図18(c)は、軸部が内輪と共に傾動している様子を示している。 本発明に係る基板保持装置(トップリング)の他の実施形態を示す断面図である。 図19に示すトップリング本体、インナーリテーナリング、およびアウターリテーナリングを上からみた図である。 図19に示すトップリングの一部を示す拡大断面図である。 図19に示すトップリングの変形例を示す模式図である。 図19に示すトップリングの他の変形例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板保持装置を備えた研磨装置の全体構成を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、研磨対象物であるウェハWを保持して研磨パッド2に押圧する基板保持装置としてのトップリング1とを備えている。
研磨テーブル3は、テーブル軸3aを介してその下方に配置されるモータ(図示せず)に連結されており、そのテーブル軸3aを中心に回転可能になっている。研磨パッド2は、研磨テーブル3の上面に貼付されており、研磨パッド2の上面2aがウェハWを研磨する研磨面を構成している。研磨テーブル3の上方には研磨液供給機構5が設置されており、この研磨液供給機構5によって研磨パッド2上に研磨液が供給されるようになっている。
トップリング1は、トップリングシャフト7に接続されており、このトップリングシャフト7は、トップリングヘッド8内に設置された上下動機構(図示せず)により上下動するようになっている。このトップリングシャフト7の上下動により、トップリングヘッド8に対してトップリング1の全体を矢印で示すように昇降させ、位置決めするようになっている。さらに、トップリングシャフト7は、トップリングヘッド8内に設置された回転機構(図示せず)により回転するようになっている。したがって、トップリング1は、トップリングシャフト7の回転に伴って、矢印で示すように自身の軸心を中心に回転する。上述したトップリング1の上下動機構および回転機構には、公知の技術を用いることができる。
トップリング1および研磨テーブル3は矢印で示すように回転し、この状態でトップリング1は、ウェハWを研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。研磨液供給機構5からは研磨液が研磨パッド2上に供給され、ウェハWは、研磨パッド2とウェハWとの間に研磨液が存在した状態で研磨パッド2との摺接により研磨される。
次に、基板保持装置を構成するトップリング1について説明する。図2乃至図4は、研磨対象物であるウェハWを保持して研磨テーブル3上の研磨パッド2の研磨面2aに押圧するトップリング1を示す図であり、複数の半径方向に沿って切断した断面図である。図5はトップリング1の平面図であり、図6は図2に示すVI−VI線断面図であり、図7は図4に示すVII−VII線断面図である。
トップリング1は、ウェハWを研磨面2aに対して押圧するトップリング本体10と、ウェハWを囲むように配置されたインナーリテーナリング20と、このインナーリテーナリング20を囲むように配置されたアウターリテーナリング30とを備えている。トップリング本体10、インナーリテーナリング20、およびアウターリテーナリング30は、トップリングシャフト7の回転により一体に回転するように構成されている。インナーリテーナリング20はトップリング本体10の半径方向外側に位置し、アウターリテーナリング30はインナーリテーナリング20の半径方向外側に位置している。インナーリテーナリング20は、トップリング本体10およびアウターリテーナリング30とは独立して上下動可能に構成されている。さらに、アウターリテーナリング30は、トップリング本体10およびインナーリテーナリング20とは独立して上下動可能に構成されている。
トップリング本体10は、円形のフランジ41と、フランジ41の下面に取り付けられたスペーサ42と、スペーサ42の下面に取り付けられたキャリア43とを備えている。フランジ41は、図示しないボルトによりトップリングシャフト7に連結されている。図4に示すように、スペーサ42は、ボルト15によりフランジ41に固定されており、キャリア43はメンテナンスボルト16によりスペーサ42に固定されている。図4はメンテナンスボルト16がキャリア43から外れている状態を示している。フランジ41、スペーサ42、およびキャリア43から構成されるトップリング本体10は、エンジニアリングプラスティック(例えば、PEEK)などの樹脂により形成されている。なお、フランジ41をSUS、アルミニウムなどの金属で形成してもよい。
キャリア43の下面には、ウェハWの裏面に当接する弾性膜45が取り付けられている。この弾性膜45は、環状のエッジホルダ50と、環状のリプルホルダ51,52とによってキャリア43の下面に取り付けられている。エッジホルダ50はキャリア43の外周部に配置されており、リプルホルダ51,52はエッジホルダ50の内側に配置されている。弾性膜45は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム等の強度および耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
図8は、図2に示すインナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30の拡大断面図である。図8に示すように、インナーリテーナリング20は、トップリング本体10の外周部に配置されている。このインナーリテーナリング20は、研磨パッド2の研磨面2a(図1参照)に接触するインナーリング部材21と、このインナーリング部材21の上部に固定されたインナードライブリング22とを有している。インナーリング部材21は、複数のボルト24によってインナードライブリング22に結合されている。インナーリング部材21は、ウェハWの外周縁を囲むように配置されており、ウェハWの研磨中にウェハWがトップリング1から飛び出さないようにウェハWを保持している。
インナーリテーナリング20の上部は、インナー押圧機構60に連結されており、このインナー押圧機構60によりインナーリテーナリング20の下面(すなわち、インナーリング部材21の下面)が研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧されるようになっている。インナードライブリング22は、SUSなどの金属材料またはセラミックから構成され、インナーリング部材21は、PEEKやPPS等の樹脂材料から構成されている。
インナー押圧機構60は、インナードライブリング22の上部に固定されたインナーピストン61と、インナーピストン61の上面に接続されたインナーローリングダイヤフラム62と、インナーローリングダイヤフラム62を収容するインナーシリンダ63とを備えている。インナーローリングダイヤフラム62の上端は保持部材64により保持され、この保持部材64はボルト65によりインナーシリンダ63の上部に固定されている。
インナーリテーナリング20は、インナー押圧機構60に着脱可能に連結されている。より具体的には、インナーピストン61は金属などの磁性材から形成されており、インナードライブリング22の上部には複数の磁石68が配置されている。これら磁石68がインナーピストン61を引き付けることにより、インナーリテーナリング20がインナーピストン61に磁力により固定される。インナーピストン61の磁性材としては、例えば、耐蝕性の磁性ステンレスが使用される。なお、インナードライブリング22を磁性材で形成し、インナーピストン61に磁石を配置してもよい。
インナーローリングダイヤフラム62の内部にはインナー圧力室69が形成されている。このインナー圧力室69は、流路70(模式的に示す)を介して図示しない流体供給源に接続されている。この流体供給源からインナー圧力室69に加圧流体(例えば、加圧空気)を供給すると、インナーローリングダイヤフラム62がインナーピストン61を下方に押し下げ、さらに、インナーピストン61はインナーリテーナリング20を下方に押し下げる。このようにして、インナー押圧機構60は、インナーリテーナリング20の下面(すなわち、インナーリング部材21の下面)を研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧する。インナー圧力室69は、さらに真空ポンプ(図示せず)にも接続されており、この真空ポンプによりインナー圧力室69内に負圧を形成することにより、インナーリテーナリング20を上昇させることができる。また、インナー圧力室69は大気開放機構(図示せず)にも接続されており、インナー圧力室69を大気開放することも可能である。
アウターリテーナリング30は、インナーリテーナリング20を囲むように配置されている。このアウターリテーナリング30は、研磨パッド2の研磨面2aに接触するアウターリング部材31と、このアウターリング部材31の上部に固定されたアウタードライブリング32とを有している。アウターリング部材31は、複数のボルト34(図3参照)によってアウタードライブリング32に結合されている。アウターリング部材31は、インナーリテーナリング20のインナーリング部材21を囲むように配置されている。インナーリング部材21とアウターリング部材31との間には隙間が形成されており、インナーリング部材21とアウターリング部材31とは常に非接触に保たれる。
アウターリテーナリング30の上部は、アウター押圧機構80に連結されており、このアウター押圧機構80によりアウターリテーナリング30の下面(すなわち、アウターリング部材31の下面)が研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧されるようになっている。アウタードライブリング32は、SUSなどの金属材料またはセラミックから構成され、アウターリング部材31は、PEEKやPPS等の樹脂材料から構成されている。
アウター押圧機構80は、アウタードライブリング32の上部に固定されたアウターピストン81と、アウターピストン81の上面に接続されたアウターローリングダイヤフラム82と、アウターローリングダイヤフラム82を収容するアウターシリンダ83とを備えている。アウターローリングダイヤフラム82の上端は保持部材84により保持され、この保持部材84はボルト85によりアウターシリンダ83の上部に固定されている。本実施形態では、インナーシリンダ63とアウターシリンダ83は一体に形成されている。
アウターリテーナリング30は、アウター押圧機構80に着脱可能に連結されている。より具体的には、アウターピストン81は金属などの磁性材から形成されており、アウタードライブリング32の上部には複数の磁石88が配置されている。これら磁石88がアウターピストン81を引き付けることにより、アウターリテーナリング30がアウターピストン81に磁力により固定される。なお、アウタードライブリング32を磁性材で形成し、アウターピストン81に磁石を配置してもよい。
アウターローリングダイヤフラム82の内部にはアウター圧力室89が形成されている。このアウター圧力室89は、流路90(模式的に示す)を介して上記流体供給源に接続されている。この流体供給源からアウター圧力室89に加圧流体(例えば、加圧空気)を供給すると、アウターローリングダイヤフラム82がアウターピストン81を下方に押し下げ、さらに、アウターピストン81はアウターリテーナリング30を下方に押し下げる。このようにして、アウター押圧機構80は、アウターリテーナリング30の下面(すなわち、アウターリング部材31の下面)を研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧する。アウター圧力室89は、さらに真空ポンプにも接続されており、この真空ポンプによりアウター圧力室89内に負圧を形成することにより、アウターリテーナリング30を上昇させることができる。また、アウター圧力室89は大気開放機構(図示せず)にも接続されており、アウター圧力室89を大気開放することも可能である。
ウェハの研磨中は、弾性膜45がウェハWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧すると同時に、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30が研磨パッド2の研磨面2aを直接押圧する。インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30は、トップリング本体10に対して独立に上下動可能に構成され、それぞれインナー押圧機構60およびアウター押圧機構80に連結されている。したがって、インナー押圧機構60およびアウター押圧機構80は、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30をそれぞれ独立に研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧することができる。
図2に示すように、アウターリテーナリング30は、連結部材100を介して球面軸受111に連結されている。この球面軸受111は、インナーリテーナリング20の半径方向内側に配置されている。連結部材100は、トップリング本体10の中心部に配置された縦方向に延びる軸部101と、この軸部101から放射状に延びる複数のスポーク102とを備えている。スポーク102の一方の端部は、複数のボルト103により軸部101に固定されており、スポーク102の他方の端部は、アウターリテーナリング30のアウタードライブリング32に固定されている。この実施形態では、スポーク102とアウタードライブリング32とは一体に形成されている。
連結部材100の軸部101は、トップリング本体10の中央部に配置された球面軸受111に縦方向に移動自在に支持されている。このような構成により、連結部材100および連結部材100に固定されたアウターリテーナリング30は、トップリング本体10に対して縦方向に移動可能となっている。軸部101には縦方向に延びる貫通孔104が形成されている。この貫通孔104は軸部101が球面軸受111に対して縦方向に移動する際の空気抜き穴として作用し、これによりアウターリテーナリング30はトップリング本体10に対して縦方向にスムーズに移動可能となっている。
図9は、球面軸受111の拡大断面図である。図9に示すように、球面軸受111は、連結部材100を介してアウターリテーナリング30に連結された中間輪114と、中間輪114を上から摺動自在に支持する外輪113と、中間輪114を下から摺動自在に支持する内輪115とを備えている。中間輪114は、球殻の上半分よりも小さい部分球殻形状を有し、外輪113と内輪115との間に挟まれている。
キャリア43の中央部には凹部43aが形成されており、外輪113は凹部43a内に配置されている。外輪113は、その外周部につば113aを有しており、このつば113aを凹部43aの段部にボルト(図示せず)により固定することにより、外輪113がキャリア43に固定されるとともに、中間輪114および内輪115に圧力を掛けることが可能となっている。内輪115は凹部43aの底面上に配置されており、中間輪114の下面と凹部43aの底面との間に隙間が形成されるように、中間輪114を下から支えている。
外輪113の内面113b、中間輪114の外面114aおよび内面114b、および内輪115の外面115aは、支点Oを中心とした略半球面から構成されている。中間輪114の外面114aは、外輪113の内面113bに摺動自在に接触し、中間輪114の内面114bは、内輪115の外面115aに摺動自在に接触している。外輪113の内面113b(摺接面)、中間輪114の外面114aおよび内面114b(摺接面)、および内輪115の外面115a(摺接面)は、球面の上半分よりも小さい部分球面形状を有している。このような構成により、中間輪114は、外輪113および内輪115に対して全方向(360°)に傾動可能であり、かつ傾動中心である支点Oは球面軸受111よりも下方に位置する。
外輪113、中間輪114、および内輪115には、軸部101が挿入される貫通孔113c,114c,115bがそれぞれ形成されている。外輪113の貫通孔113cと軸部101との間には隙間が形成されており、同様に、内輪115の貫通孔115bと軸部101との間には隙間が形成されている。中間輪114の貫通孔114cは、外輪113および内輪115の貫通孔113c,115bよりも小さな直径を有しており、軸部101は中間輪114に対して縦方向にのみ移動可能となっている。したがって、軸部101に連結されたアウターリテーナリング30は、横方向に移動することは実質的に許容されず、アウターリテーナリング30の横方向(水平方向)の位置は球面軸受111によって固定される。
図10(a)は、軸部101が球面軸受111に対して上下動している様子を示し、図10(b)および図10(c)は、軸部101が中間輪114と共に傾動している様子を示している。図10(a)乃至図10(c)に示すように、軸部101に連結されたアウターリテーナリング30は、中間輪114と一体に支点Oを中心として傾動可能であり、かつ中間輪114に対して上下に移動可能となっている。傾動の中心である支点Oは、アウターリテーナリング30の中心軸線上にある。
球面軸受111は、アウターリテーナリング30の上下移動および傾動を許容する一方で、アウターリテーナリング30の横方向の移動(水平方向の移動)を制限し、アウターリテーナリング30からインナーリテーナリング20への横方向の力の伝達を許容しない。アウターリテーナリング30とインナーリテーナリング20との間にはリング状のストッパ119が配置されている。ウェハの研磨中は、インナーリテーナリング20はウェハと研磨パッド2との摩擦に起因した横方向の力(ウェハの半径方向外側に向かう力)をウェハから受ける。この横方向の力はストッパ119を介してアウターリテーナリング30に伝達され、最終的には球面軸受111によって受けられる。このように、球面軸受111は、ウェハの研磨中に、ウェハと研磨パッド2との摩擦に起因してインナーリテーナリング20がウェハから受ける横方向の力(ウェハの半径方向外側に向かう力)を受けつつ、アウターリテーナリング30の横方向の移動を制限する(すなわちアウターリテーナリング30の水平方向の位置を固定する)支持機構として機能する。
アウターリテーナリング30は、支点Oを中心として傾動可能で、かつ支点Oを通る軸線上で上下動可能に球面軸受111により支持されている。図9に示す実施形態では、支点Oはウェハの研磨中の研磨面2aよりもやや上方に位置している。ウェハ研磨中の支点Oの位置は、研磨面2aの上方0〜40mmであることが好ましい。ウェハの研磨中は、ウェハと研磨パッド2との間の摩擦により、ウェハからインナーリテーナリング20に横方向(水平方向)の力がかかる。この横方向の力は、アウターリテーナリング30を介してウェハの中心部の上方に位置する球面軸受111で受けることができる。
インナーリテーナリング20を介して上記横方向の力(ウェハと研磨パッド2との間の摩擦力)を受けたアウターリテーナリング30は、球面軸受111により滑らかに傾動する。すなわち、アウターリテーナリング30は、研磨面2aの回転方向(図11の矢印参照)に関してウェハの上流側では沈み込む方向に傾き、ウェハの下流側では浮き上がる方向に傾く。このように傾いた状態のアウターリテーナリング30の荷重を変更(例えば、増加)させた場合、ウェハの下流側の領域(図11の符号A参照)において最も顕著に研磨面2aに対する荷重の変化が起こる。球面軸受111の支点Oを中心としてアウターリテーナリング30を積極的に傾けることにより、元々の研磨速度が高いために荷重変化の影響を最も受けやすい下流側エッジ部での研磨プロファイルを変化させることが可能となる。その結果、アウターリテーナリング30の荷重調整によりウェハのエッジ部全体の研磨プロファイルの調整が可能となる。また、アウターリテーナリング30は球面軸受111より上下動可能に支持されているために、アウターリテーナリング30の摩耗の許容量を大きくすることが可能であり、アウターリテーナリング30のライフタイムを長くすることが出来る。
このようなアウターリテーナリング30を設けることにより、ウェハのエッジ部の研磨プロファイルの制御性が改善できる。ここで、ウェハのエッジ部とは、ウェハの最外周端に位置する幅約3mmの領域である。ウェハの研磨中に、インナーリテーナリング20の外側で研磨パッド2をアウターリテーナリング30で押圧することにより、ウェハのエッジ部の研磨プロファイルを制御することができる。このようなアウターリテーナリング30による研磨パッドリバウンドの効果を制御するために、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30との間隔を変更してもよい。インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30との間隔(より具体的には、インナーリテーナリング20の下面とアウターリテーナリング30の下面との間隔)は、好ましくは0.1mm〜3mmである。
アウターリテーナリング30の研磨面2aに対する荷重を調整することにより、ウェハのエッジ部(ウェハの最外周端から約3mm内側までの領域)の研磨プロファイルを調整することができ、一方、インナーリテーナリング20の研磨面2aに対する荷重を調整することにより、ウェハのエッジ部を含む比較的広い領域(ウェハの最外周端から約15mm内側までの領域)の研磨プロファイルを調整することができる。
アウターリテーナリング30自体が研磨面2aと摺接することによって生じる摩擦力は、アウターリテーナリング30と研磨面2aとの接触面積が小さいために、ウェハと研磨面2aとの間に生じる摩擦力に比べて相当小さい。同様に、インナーインナー20自体が研磨面2aと摺接することによっても摩擦力が発生する。インナーリテーナリング20に作用する摩擦力は、アウターリテーナリング30とインナーリテーナリング20との間に設置されたストッパ119を介してアウターリテーナリング30に伝えられ、最終的にはアウターリテーナリング30の支持機構である球面軸受111で支持される。ストッパ119はリング形状を有しており、インナードライブリング22の外周面に取り付けられている。ストッパ119をアウタードライブリング32の内周面に取り付けてもよい。ストッパ119は摺動性に優れる樹脂材料から構成されることが好ましい。ストッパ119の摺接面の縦断面形状は直線でも良いし、曲線でも良い。ストッパ119をインナードライブリング22またはアウタードライブリング32に一体に形成してもよい。
球面軸受111の外輪113、中間輪114、内輪115、および連結部材100の軸部101のうち少なくとも1つには、SiCやジルコニアなどのセラミックを用いることが好ましい。この場合、摺接面のみをセラミックから形成してもよい。例えば、外輪113の摺接面をセラミックで形成し、その他の部分を金属で形成してもよい。セラミックを用いることにより、摺接面の耐摩耗性を高めるとともに、摺接面の表面粗さを小さくして摺接面の摩擦を低減させることができる。外輪113、中間輪114、内輪115、および軸部101の摺接面の摩擦を低減するために、自己潤滑性が高く摩擦係数が低く、耐摩耗性の優れたテフロン(登録商標)等を含有した被膜を摺接面に設けてもよい。さらに、外輪113、中間輪114、内輪115、および軸部101のうち少なくとも1つの摺接面に、PTFE(四フッ化エチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、またはPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂材料からなる低摩擦材料を設けてもよい。あるいは、炭素繊維などの繊維および固体潤滑材を添加した樹脂材料を用いて摺接面を構成しても良い。
外輪113、中間輪114、内輪115、および軸部101には、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れた金属材料を使用することも可能である。しかしながら、ウェハに形成された金属膜を研磨する際には、研磨中の金属膜厚さを測定するために渦電流センサを使用する場合がある。この様な場合には、ウェハ近傍の球面軸受111に導電性材料である金属を使用すると渦電流センサの測定精度が低下してしまうことがある。このため、球面軸受111および軸部101には非導電性材料を使用することが好ましい。
アウターリテーナリング30は、トップリング本体10およびインナーリテーナリング20に対して独立に傾動できる構造になっている。アウターリテーナリング30を傾動可能および上下動可能に支持する球面軸受111は、トップリング本体10の内部に設けられ、かつキャリア43の凹部43aに収容されているため、球面軸受111の摺接面からの摩耗粉は、トップリング本体10内に封じ込められ、研磨面2aへ落下することがない。
図3に示すように、インナーリテーナリング20には複数の補強ピン(補強部材)125が埋設されている。これら補強ピン125は、インナーリテーナリング20の周方向に等間隔で配置されている。各補強ピン125は縦に延びており、ボルト126によりインナードライブリング22に固定されている。補強ピン125の下端は、インナーリング部材21の下端近傍に位置しており、補強ピン125の上端は、インナードライブリング22内に位置している。補強ピン125の材料としては、ステンレス鋼などの金属材料またはセラミックが挙げられる。インナーリテーナリング20に埋設された補強ピン125は、インナーリテーナリング20の剛性を向上させることができる。したがって、ウェハの研磨中にウェハから横方向の力を受けたときのインナーリテーナリング20の変形を小さくすることができ、その結果、インナーリテーナリング20は、研磨パッド2をより均一に押圧することができる。
補強ピン125をインナードライブリング22にボルト126により取り外し可能に固定することの利点は以下のようなものがある。インナーリテーナリング20の剛性を向上させるためには、補強ピン125の外径と、補強ピン125が嵌合するインナーリング部材21の穴の径との差は出来る限り小さくすることが望ましい。さらに複数の補強ピン125とインナーリング部材21の穴との位置合わせが非常に重要となる。補強ピン125とインナーリング部材21の穴との位置がわずかにずれた状態でインナーリング部材21を取り付けた場合には、インナーリング部材21にひずみが生じ、研磨パッド2の均一な押圧を妨げることとなる。したがってインナーリング部材21をインナードライブリング22に取り付ける際には以下の手順で行う。初めに補強ピン125を固定するボルト126は仮留めの状態とし、補強ピン125が水平方向にわずかに動ける状態としておく。次にインナーリング部材21の穴に補強ピン125を嵌め込む。こうすることにより補強ピン125とインナーリング部材21の穴とのアライメントのずれが吸収できる。その後、ボルト126を締め込んで補強ピン125を固定し、最後に、図2に示すように、ボルト24によりインナーリング部材21をインナードライブリング22に固定する。
図2に示すように、アウターリテーナリング30にも複数の補強ピン(補強部材)127が埋設されている。これら補強ピン127は、アウターリテーナリング30の周方向に等間隔で配置されている。各補強ピン127は縦に延びており、ボルト128によりアウタードライブリング32に固定されている。補強ピン127の下端は、アウターリング部材31の下端近傍に位置しており、補強ピン127の上端は、アウタードライブリング32内に位置している。補強ピン127の材料としては、ステンレス鋼などの金属材料またはセラミックが挙げられる。アウターリテーナリング30に埋設された補強ピン127は、アウターリテーナリング30の剛性を向上させることができる。したがって、ウェハの研磨中にインナーリテーナリング20を介してウェハから横方向の力を受けたときのアウターリテーナリング30の変形を小さくすることができる。
アウターリテーナリング30の剛性を向上させるためには、補強ピン127の外径と、補強ピン127が嵌合するアウターリング部材31の穴の径との差は出来る限り小さくすることが望ましい。さらに複数の補強ピン127とアウターリング部材31の穴との位置合わせが非常に重要となる。補強ピン127とアウターリング部材31の穴との位置がわずかにずれた状態でアウターリング部材31を取り付けた場合には、アウターリング部材31にひずみが生じてしまう。したがってアウターリング部材31をアウタードライブリング32に取り付ける際には以下の手順で行う。初めに補強ピン127を固定するボルト128は仮留めの状態とし、補強ピン127が水平方向にわずかに動ける状態としておく。次にアウターリング部材31の穴に補強ピン127を嵌め込む。こうすることにより補強ピン127とアウターリング部材31の穴とのアライメントのずれが吸収できる。その後、ボルト128を締め込んで補強ピン127を固定し、最後に、図3に示すように、ボルト34によりアウターリング部材31をアウタードライブリング32に固定する。
図8に示すように、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30との間には、環状の弾性膜からなるバリアシール120が設けられている。バリアシール120は、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30との隙間を塞ぐように、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30の全周に亘って配置されている。より具体的には、バリアシール120の内側縁部はインナードライブリング22の下端に接続され、バリアシール120の外側縁部はアウタードライブリング32の下端に接続されている。バリアシール120は、上方に屈曲した逆U字型の断面を有しており、変形しやすい材料から形成されている。例えば、バリアシール120は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどの強度および耐久性に優れたゴム材によって形成することができる。
バリアシール120は、インナーリング部材21およびアウターリング部材31の上方であって、ストッパ119の下方に配置されている。インナーリング部材21とアウターリング部材31とは常に非接触に保たれており、バリアシール120の下方ではインナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30とが接触することはない。したがって、バリアシール120の下方では摩耗粉が発生しない。バリアシール120は、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30との相対移動を許容しつつ、トップリング本体10の内部で発生した異物が研磨面2aに落下することを防止するとともに、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30との隙間からトップリング本体10への研磨液(スラリー)の浸入を防ぐことができる。
トップリング1の外周部には、トップリング本体10とアウターリテーナリング30とを接続するシールシート123が設けられている。シールシート123は環状の弾性膜であり、トップリング本体10とアウターリテーナリング30との隙間を塞ぐように、トップリング本体10とアウターリテーナリング30の全周に亘って配置されている。より具体的には、シールシート123の上端はトップリング本体10の外周面の下端に接続され、シールシート123の下端はアウターリテーナリング30の外周面に接続されている。シールシート123は、上下方向に変形しやすいようにベローズ形状を有している。バリアシール120と同様に、シールシート123は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどの強度および耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
シールシート123は、トップリング本体10に対するアウターリテーナリング30の上下動を許容しつつ、トップリング本体10の内部で発生した異物が研磨面2aに落下することを防止するとともに、トップリング本体10とアウターリテーナリング30との隙間からトップリング本体10への研磨液(スラリー)の浸入を防ぐことができる。
通常、ウェハの研磨後には、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30は、超純水または薬液などの洗浄液で洗浄される。そこで、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30との隙間に洗浄液を効率よく導入するために、インナーリテーナリング20の外周面および/またはアウターリテーナリング30の内周面に、複数の縦溝を形成することが好ましい。
図12(a)は、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30を下から見た図であり、図12(b)は図12(a)に示すXII−XII線断面図である。インナーリング部材21の内周面には複数の縦溝20aが形成され、インナーリング部材21の外周面には複数の縦溝20bが形成されている。さらに、インナーリング部材21の下面には、半径方向に延びるラジアル溝20cが形成されている。縦溝20a,20bは、インナーリテーナリング20の下面(すなわち、インナーリング部材21の下面)から上方に延び、ラジアル溝20cよりも高く上方に延びている。縦溝20a,20bおよびラジアル溝20cは、インナーリテーナリング20の周方向において等間隔に設けられている。ラジアル溝20cは、インナーリテーナリング20をその半径方向に貫通しているが、縦溝20a,20bは、インナーリテーナリング20を貫通していない。縦溝20a,20bは、インナーリテーナリング20の周方向においてラジアル溝20cと同じ位置に配置されており、縦溝20a,20bはラジアル溝20cに連通している。縦溝20a,20bはラジアル溝20cと同じ幅を有しているが、ラジアル溝20cの幅よりも狭くても広くてもよい。
同様に、アウターリング部材31の内周面には複数の縦溝30aが形成されており、アウターリング部材31の下面には、半径方向に延びるラジアル溝30bが形成されている。縦溝30aは、アウターリテーナリング30の下面(すなわち、アウターリング部材31の下面)から上方に延び、ラジアル溝30bよりも高く上方に延びている。縦溝30aおよびラジアル溝30bは、アウターリテーナリング30の周方向において等間隔に設けられている。ラジアル溝30bは、アウターリテーナリング30をその半径方向に貫通しているが、縦溝30aは、アウターリテーナリング30を貫通していない。縦溝30aは、アウターリテーナリング30の周方向においてラジアル溝30bと同じ位置に配置されており、縦溝30aはラジアル溝30bに連通している。縦溝30aはラジアル溝30bと同じ幅を有しているが、ラジアル溝30aの幅よりも狭くても広くてもよい。縦溝20a,20bおよび縦溝30aは、バリアシール120よりも下方に位置している。
インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30の下面に供給された洗浄液は、縦溝20bおよび縦溝30aを通ってインナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30との隙間に導入され、この隙間に存在する研磨液を洗い流す。さらに、洗浄液は、縦溝20aを通ってインナーリテーナリング20と弾性膜45との隙間に導入され、この隙間に存在する研磨液を洗い流す。したがって、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30はそのスムーズな動きを保つことができる。
ウェハの研磨中は、研磨パッド2の研磨面2a上に研磨液が供給される。したがって、ウェハは、ウェハと研磨パッド2との間に研磨液が存在した状態で、研磨パッド2の研磨面2aとの摺接により研磨される。研磨液がウェハと研磨パッド2との間に流入することを促進するため、または研磨作用を終えた研磨液がウェハと研磨パッド2との間から流出することを促進するために、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30の下面にそれぞれ複数のラジアル溝20c,30bが設けられている。ラジアル溝20c,30bの断面形状や本数は、そのラジアル溝を設ける目的に従って適宜選択される。
図13(a)乃至図13(c)は、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30の下面にそれぞれ設けられたラジアル溝20c,30bの例を示す図である。この例では、ラジアル溝20c,30bは、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30の半径方向に延びている。図13(a)は、ラジアル溝30bの本数がラジアル溝20cの本数と同じ例を示し、図13(b)は、ラジアル溝30bの本数がラジアル溝20cの本数よりも少ない例を示し、図13(c)は、ラジアル溝20cの本数がラジアル溝30bの本数よりも少ない例を示している。研磨液の流入および流出を効果的に行うためには、ラジアル溝20c,30bの周方向の位置が一致していることが好ましい。
図14(a)乃至図14(c)は、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30の下面にそれぞれ設けられたラジアル溝20c,30bの他の例を示す図である。図14(a)は、ラジアル溝30bの本数がラジアル溝20cの本数と同じ例を示し、図14(b)は、ラジアル溝30bの本数がラジアル溝20cの本数よりも少ない例を示し、図14(c)は、ラジアル溝20cの本数がラジアル溝30bの本数よりも少ない例を示している。この例では、ラジアル溝20c,30bは、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30の半径方向に対して傾斜している。より具体的には、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30が回転するに従って研磨液がアウターリテーナリング30およびインナーリテーナリング20の外側から内側に流入するように、ラジアル溝20c,30bは、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30の回転方向(矢印で示す)に対して前方に傾斜している。
図15(a)乃至図15(c)は、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30の下面に設けられたそれぞれラジアル溝20c,30bのさらに他の例を示す図である。図15(a)は、ラジアル溝30bの本数がラジアル溝20cの本数と同じ例を示し、図15(b)は、ラジアル溝30bの本数がラジアル溝20cの本数よりも少ない例を示し、図15(c)は、ラジアル溝20cの本数がラジアル溝30bの本数よりも少ない例を示している。この例においても、ラジアル溝20c,30bは、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30の半径方向に対して傾斜しているが、傾斜の方向が図14(a)乃至図14(c)に示す例と反対となっている。すなわち、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30が回転するに従って研磨液がアウターリテーナリング30およびインナーリテーナリング20の内側から外側に流出するように、ラジアル溝20c,30bは、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30の回転方向(矢印で示す)に対して後方に傾斜している。
インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30とでラジアル溝20c,30bの断面形状、幅、本数が異なっていてもよく、または同じであってもよい。ラジアル溝20c,30bの深さは、インナーリテーナリング20、アウターリテーナリング30が減耗した際でも研磨液流入出に寄与できるような深さが選択される。
図13乃至図15では、ラジアル溝30bを有するアウターリテーナリング30の例を示したが、研磨液の流入や流出を抑制したい場合には、ラジアル溝を有しないアウターリテーナリング30を使用することが好ましい。アウターリテーナリング30にラジアル溝を設けない場合には、図16に示すように、アウターリテーナリング30の内周面から外周面に延びる複数の貫通孔35を設けることが好ましい。これら貫通孔35は、アウターリテーナリング30をその半径方向に貫通しており、アウターリテーナ30の全周に亘って形成されている。これらの貫通孔30によりインナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30のスムーズな上下動が可能となる。貫通孔35は、バリアシール120およびシールシート123の下方に配置することが好ましい。これは、バリアシール120やシールシート123で囲われた領域へ研磨液が侵入してしまうことを避けるため、および囲われた領域から異物が研磨面2aへ落下してしまうことを防止するためである。
以下、トップリング1の詳細な構成についてさらに説明する。図3に示すように、エッジホルダ50はリプルホルダ51により保持されている。リプルホルダ51は複数のストッパ54によりキャリア43の下部に取り付けられている。図4および図6に示すように、リプルホルダ52は、複数のストッパ55によりキャリア43の下部に取り付けられている。ストッパ54およびストッパ55はトップリング1の円周方向に等間隔に設けられている。
図3に示すように、弾性膜45の中央部にはセンター室130が形成されている。リプルホルダ52には、センター室130に連通する流路140が形成されており、キャリア43には、この流路140に連通する流路141が形成されている。この流路141は、図示しない流体供給源に接続されており、加圧された流体(例えば、加圧空気)が流路141および流路140を通ってセンター室130に供給されるようになっている。
リプルホルダ51は、弾性膜45のリプル45bを爪部51aでキャリア43の下部に押さえつけるようになっており、リプルホルダ52は、弾性膜45のリプル45aを爪部52aでキャリア43の下部に押さえつけるようになっている。弾性膜45のエッジ45cは爪部51bでエッジホルダ50に押さえつけられている。
図2に示すように、弾性膜45のリプル45aとリプル45bとの間には環状のリプル室131が形成されている。弾性膜45のリプルホルダ51とリプルホルダ52との間には隙間45fが形成されており、キャリア43には隙間45fおよびリプル室131に連通する流路142が形成されている。この流路142は図示しない流体供給源に接続されており、加圧された流体が流路142を通ってリプル室131に供給されるようになっている。また、この流路142は、図示しない真空ポンプにも切替可能に接続されている。真空ポンプの作動により弾性膜45の下面にウェハを吸着できるようになっている。
リプルホルダ51には、弾性膜45のリプル45bおよびエッジ45cによって形成される環状のアウター室132に連通する流路(図示せず)が形成されている。このリプルホルダ51の流路は、図示しない流体供給源に接続されており、加圧された流体がアウター室132に供給されるようになっている。
図4および図8に示すように、エッジホルダ50は、弾性膜45のエッジ45dを押さえてキャリア43の下部に保持するようになっている。このエッジホルダ50には、弾性膜45のエッジ45cおよびエッジ45dによって形成される環状のエッジ室133に連通する流路143が形成されている。このエッジホルダ50の流路143は、図示しない流体供給源に接続されており、加圧された流体がエッジ室133に供給されるようになっている。
このように、本実施形態におけるトップリング1においては、弾性膜45とトップリング本体10のキャリア43との間に形成される圧力室、すなわち、センター室130、リプル室131、アウター室132、およびエッジ室133に供給する流体の圧力を調整することにより、ウェハを研磨パッド2に押圧する押圧力をウェハの部分ごとに調整できるようになっている。
インナー押圧機構60に使用されるローリングダイヤフラム62(図8参照)は、屈曲した部分をもつ弾性膜からなるもので、ローリングダイヤフラム62で仕切る室69の内部圧力の変化等により、その屈曲部が転動することにより室69の空間を広げることができる。室69が広がる際にローリングダイヤフラム62がインナーシリンダ63と摺動せず、ほとんど伸縮しないため、摺動摩擦が極めて少ない。したがって、ローリングダイヤフラム62を長寿命化することができ、インナーリテーナリング20が研磨パッド2に与える押圧力を精度よく調整することができるという利点がある。また、インナーリテーナリング20のインナーリング部材21が摩耗しても、インナーリテーナリング20の押圧力を一定に維持することが可能である。アウター押圧機構80に使用されるローリングダイヤフラム82も、インナー押圧機構60のローリングダイヤフラム62と同様の構成を有しており、同様の利点がある。
図6に示すように、アウタードライブリング32と球面軸受111とを連結する連結部材100は、放射状に延びる8本のスポーク102を有している。これらスポーク102は、キャリア43の上面に形成された放射状に延びる8本の凹溝43g内にそれぞれ収容されている。キャリア43には、複数対のアウターリング駆動カラー150,150が設けられており、各対のアウターリング駆動カラー150,150は各スポーク102の両側に配置されている。図6に示す例では、4対のアウターリング駆動カラー150,150が設けられており、8本のスポーク102のうちの4本に4対のアウターリング駆動カラー150,150がそれぞれ配置されている。
トップリング本体10は、トップリングシャフト7に接続されており、トップリング本体10はトップリングシャフト7によって回転させられる。トップリング本体10の回転は、キャリア43から複数対のアウターリング駆動カラー150,150を介してスポーク102に伝達され、トップリング本体10とアウターリテーナリング30は一体となって回転する。アウターリング駆動カラー150は、PTFE、PEEK、PPSなどの低摩擦材料から構成されている。アウターリング駆動カラー150が接触するスポーク102の両側面には鏡面処理が施されており、スポーク102の両側面の面粗度を向上させている。なお、アウターリング駆動カラー150に鏡面処理を施し、スポーク102の両側面にコーティング等により低摩擦材料を設けることもできる。
このような構成により、アウターリング駆動カラー150とスポーク102との摺動性を向上させることができる。したがって、アウターリテーナリング30は滑らかに傾動することができる。また、トップリング本体10からアウターリテーナリング30に回転を伝達する回転駆動部(アウターリング駆動カラー150およびスポーク102)をトップリング本体10内に設けたため、回転駆動部で発生する摩耗粉をトップリング本体10内に封じ込めることができる。したがって、摩耗粉が研磨面2aへ落下することがなく、摩耗粉に起因するスクラッチ等のウェハの欠陥を飛躍的に減少させることができる。
図7に示すように、インナーリテーナリング20の外周面には複数の凹部20dが形成されており、この複数の凹部20dにはアウターリテーナリング30に設けられたインナーリング駆動ピン152が配置されている。インナーリング駆動ピン152の外周面には、円筒形のインナーリング駆動カラー153が取り付けられている。図7では、インナーリング駆動カラー153の水平断面が示されている。このインナーリング駆動カラー153は、PTFE、PEEK、PPSなどの低摩擦材料から形成されている。各凹部20dは、鉛直方向に延びる両側面を有しており、アウターリテーナリング30が回転するとインナーリング駆動カラー153が凹部20dの一方の側面に接触するようになっている。アウターリテーナリング30の回転は、インナーリング駆動ピン152を介してインナーリテーナリング20に伝達され、インナーリテーナリング20とアウターリテーナリング30とは一体となって回転する。凹部20dの両側面には鏡面処理が施されており、低摩擦材料のインナーリング駆動カラー153が接触する凹部20dの面粗度を向上させている。
このような構成により、インナーリング駆動カラー153と凹部20dとの摺動性を向上させることができる。したがって、アウターリテーナリング30は滑らかに傾動することができる。さらに、インナーリテーナリング20は、アウターリテーナリング30の傾動の影響を受けることなく、所望の押圧力を研磨面2aに均一に与えることができる。なお、本実施例ではインナーリテーナリング20に凹部20dを、アウターリテーナリング30にインナーリング駆動ピン152を配置したが、逆にインナーリテーナリング20にインナーリング駆動ピンを、アウターリテーナリング30に凹部を設けることも可能である。インナーリング駆動ピン152とインナーリング駆動カラー153との間にゴムクッションが設けられても良い。
図4および図7に示すように、インナーリテーナリング20には、半径方向内方に突出する複数のストッパピン155が固定されている。これらストッパピン155は、トップリング本体10のキャリア43に形成された縦方向に延びる複数の凹部43hにそれぞれ緩やかに係合している。これら凹部43hはキャリア43の外周面に等間隔で形成されている。ストッパピン155は、凹部43hの上端と下端との間で縦方向に移動可能となっている。言い換えれば、インナーリテーナリング20のトップリング本体10に対する上下移動は、ストッパピン155および凹部43hによって制限される。すなわち、ストッパピン155が凹部43hの上端に接触したときには、インナーリテーナリング20はトップリング本体10に対して最上方の位置となり、ストッパピン155がキャリア43の凹部43hの下端に接触したときには、インナーリテーナリング20はトップリング本体10に対して最下方の位置になる。このような構成により、インナーリテーナリング20がトップリング本体10から落下してしまうことが防止される。
図4に示すように、インナーリング駆動カラー153は、インナーリテーナリング20に形成された凹部20dの上端と下端との間で縦方向に移動可能となっている。言い換えれば、アウターリテーナリング30のインナーリテーナリング20に対する上下移動は、インナーリング駆動カラー153および凹部20dによって制限される。すなわち、インナーリング駆動カラー153が凹部20dの上端に接触したときには、アウターリテーナリング30はインナーリテーナリング20に対して最上方の位置となり、インナーリング駆動カラー153が凹部20dの下端に接触したときには、アウターリテーナリング30はインナーリテーナリング20に対して最下方の位置になる。
インナーピストン61とインナーリテーナリング20とは、上述したように、磁力により固定されている。このような構成により、インナーリテーナリング20が研磨中に振動を受けた場合においてもインナーピストン61とインナーリテーナリング20とが離れることなく、振動による突発的なインナーリテーナリング20の上昇を防止することができる。したがって、インナーリテーナリング20の押圧力を安定させることができ、ウェハがトップリング1から外れてしまう(スリップアウトする)可能性を低減することができる。さらに、頻繁なメンテナンスを必要とするインナーリテーナリング20を、メンテナンスの必要が少ないインナーピストン61から簡単に切り離すことができる。アウターピストン81とアウターリテーナリング30も同様に磁力により固定されているので、同様の利点が得られる。
図4に示すようにメンテナンスボルト16を取り外すと、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30とともに、弾性膜45を保持したキャリア43がスペーサ42から分離される。このように、インナーリテーナリング20、アウターリテーナリング30、およびキャリア43をトップリング1から分離することができるので、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30のメンテナンスや弾性膜45のメンテナンスを容易に行うことができる。図6に示すように、インナードライブリング22の上面およびアウタードライブリング32の上面には、それぞれ切り欠き22a,32aが設けられている。アウターリテーナリング30のメンテナンスの際には、切り欠き32aに例えば薄い板状の部材を外周側から挿入することにより、アウターリテーナリング30とアウターピストン81との磁力を低減させ、これらを容易に分離することができる。インナーリテーナリング20とインナーピストン61も、切り欠き22aに板状の部材を挿入することにより同様に分離することができる。
図8に示すように、弾性膜45のエッジ(外周縁)45dには、弾性膜45とインナーリテーナリング20とを接続する、上方に屈曲した形状のシール部材158が形成されている。このシール部材158はトップリング本体10とインナードライブリング22との隙間を塞ぐように配置されており、変形しやすい材料から形成されている。シール部材158は、トップリング本体10とインナーリテーナリング20との相対移動を許容しつつ、トップリング1内から研磨面2aへ異物が落下することを防ぎ、さらにトップリング本体10とインナーリテーナリング20との隙間からトップリング1内へ研磨液が浸入してしまうことを防止することができる。本実施形態では、シール部材158は弾性膜45のエッジ45dに一体的に形成されており、逆U字型の断面形状を有している。
シールシート123、シール部材158、およびバリアシール120を設けない場合は、研磨液がトップリング1内に浸入してしまい、トップリング1を構成するトップリング本体10、インナーリテーナリング20、およびアウターリテーナリング30の正常な動作を阻害してしまう。本実施形態によれば、シールシート123、シール部材158、およびバリアシール120によって研磨液のトップリング1への浸入を防止することができ、これにより、トップリング1を正常に動作させることができる。なお、弾性膜45、シールシート123、シール部材158、およびバリアシール120は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム等の強度および耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
本実施形態のトップリング1においては、弾性膜45のセンター室130、リプル室131、アウター室132、およびエッジ室133に供給する圧力によりウェハに対する押圧力を制御するので、研磨中にはキャリア43は研磨パッド2から上方に離れた位置にする必要がある。インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30は、トップリング本体10とは独立して上下動することができるので、インナーリテーナリング20およびアウターリテーナリング30が摩耗しても、研磨中のウェハとトップリング本体10との間の距離を一定に維持することができる。したがって、ウェハの研磨プロファイルを安定化させることができる。
図17は、球面軸受の他の構成例を示す図である。図9に示す部材と同一のものには同一の番号を付す。図17に示す球面軸受170は、環状の内輪173と、内輪173の外周面を摺動自在に支持する外輪174とを備えている。内輪173は、連結部材100を介してアウターリテーナリング30に連結されている。外輪174は支持部材175に固定されており、この支持部材175はキャリア43に固定されている。キャリア43の中央部には凹部43aが形成されており、支持部材175は凹部43a内に配置されている。
内輪173の外周面は、上部および下部を切り欠いた球面形状を有しており、その球面形状の中心点(支点)O’は、内輪173の中心に位置している。外輪174の内周面は、内輪173の外周面に沿った凹面から構成されており、外輪174は内輪173を摺動自在に支持している。したがって、内輪173は、外輪174に対して全方向(360°)に傾動可能となっている。
内輪173の内周面は、軸部101が挿入される貫通孔173aを構成している。軸部101は内輪173に対して縦方向にのみ移動可能となっている。したがって、軸部101に連結されたアウターリテーナリング30は、横方向に移動することは実質的に許容されず、アウターリテーナリング30の横方向(水平方向)の位置は球面軸受170によって固定される。
図18(a)は、軸部101が球面軸受170に対して上下動している様子を示し、図18(b)および図18(c)は、軸部101が内輪173と共に傾動している様子を示している。軸部101およびこれに連結されたアウターリテーナリング30(図18(a)乃至図18(c)には図示せず)は、内輪173と一体に支点O’を中心として傾動可能であり、かつ内輪173に対して上下に移動可能となっている。
図17に示す球面軸受170は、図9に示す球面軸受111と同様の機能を有するが、球面軸受170の傾動中心である支点O’は、球面軸受111の支点Oよりも高い位置にある。より具体的には、支点O’は、球面軸受170の内部に位置している。この構成でも、球面軸受170は、ウェハと研磨パッド2との摩擦力をインナーリテーナリング20を介して間接的に受けたアウターリテーナリング30をスムーズかつ積極的に傾動させることが可能である。
図19は、本発明に係る基板保持装置(トップリング)の他の実施形態を示す断面図である。図20は、図19に示すトップリング本体、インナーリテーナリング、およびアウターリテーナリングを上からみた図である。図21は、図19に示すトップリングの一部を示す拡大断面図である。図2乃至図8に示す上述の実施形態と同一または対応する要素には、同一の符号を付してその重複する説明を省略する。
トップリング1は、スペーサ42の上方に配置された駆動フランジ(荷重伝達部材)200を有している。この駆動フランジ200はトップリングシャフト7の下端に固定されており、トップリングシャフト7とともに駆動フランジ200が回転するようになっている。駆動フランジ200の回転は、スペーサ42の上面に固定された複数のトルク伝達ピン205を介してスペーサ42に伝達される。
駆動フランジ200とスペーサ42との間には、球面軸受210が配置されている。この球面軸受210は、セラミックなどの硬質のボール211と、このボール211を上から摺動自在に支持する上半球支持面212と、ボール211を下から摺動自在に支持する下半球支持面213とを備えている。上半球支持面212は駆動フランジ200の下面に形成されており、駆動フランジ200が球面軸受210の一部を構成している。下半球支持面213はスペーサ42の上面に形成されており、スペーサ42が球面軸受210の一部を構成している。
駆動フランジ200とトルク伝達ピン205とは互いに固定されておらず、単に駆動フランジ200の外周部がトルク伝達ピン205の外周面に接するのみである。したがって、フランジ41、スペーサ42、およびキャリア43から構成されるトップリング本体10は、球面軸受210により駆動フランジ200に対して全方向(360°)に傾動可能となっている。この球面軸受210の傾動中心は、ボール211の中心に位置しており、アウターリテーナリング30の中心軸線上にある。駆動フランジ200、フランジ41、スペーサ42は、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属またはセラミックなどの比較的剛性の高い材料で形成されていることが望ましい。
トップリングシャフト7の下向きの荷重およびトルクは、駆動フランジ200を通じてトップリング本体10に伝達される。すなわち、トップリングシャフト7の下向きの荷重は、駆動フランジ200および球面軸受210を介してトップリング本体10に伝達され、トップリングシャフト7のトルクは、駆動フランジ200およびトルク伝達ピン205を介してトップリング本体10に伝達される。
本実施形態では、インナー押圧機構60は設けられているが、アウター押圧機構80(図2乃至図5参照)は設けられていない。アウターリテーナリング30は、トップリング本体10に堅固に固定されている。したがって、アウターリテーナリング30は、トップリング本体10と一体に傾動し、回転し、かつ上下動する。アウタードライブリング32は接続部材220を介してフランジ41に固定されており、アウターリング部材31はアウタードライブリング32の下端に固定されている。アウタードライブリング32と接続部材220は一体に形成されている。
アウターリテーナリング30には、その半径方向内側に突出するインナーリング駆動ピン152が固定されており、インナーリング駆動ピン152にはインナーリング駆動カラー153が回転可能に取り付けられている。インナードライブリング22の外周面には、インナーリング駆動カラー153を上下動自在に収容する凹部20dが形成されている。このような構成により、アウターリテーナリング30の回転は、インナーリング駆動ピン152およびインナーリング駆動カラー153を介してインナーリテーナリング20に伝達される。したがって、インナーリテーナリング20は、アウターリテーナリング30およびトップリング本体10と一体に回転する。
アウターリテーナリング30はトップリング本体10と一体に上下動するが、インナーリテーナリング20はアウターリテーナリング30およびトップリング本体10に対して独立して上下動することが可能となっている。トップリングシャフト7に取り付けられた駆動フランジ200は、トップリング本体10およびアウターリテーナリング30に下向きの荷重を伝える。図示しないが、トップリングシャフト7はエアシリンダにより昇降されるように構成されており、駆動フランジ200を通じてトップリング本体10およびアウターリテーナリング30に与えられる下向きの荷重は、このエアシリンダによって調整される。
ウェハの研磨中、弾性膜45とトップリング本体10との間に形成される圧力室、すなわち、センター室130、リプル室131、アウター室132、およびエッジ室133には、加圧流体が供給される。同様に、インナー押圧機構60のインナー圧力室69にも加圧流体が供給される。したがって、トップリング本体10は、これら圧力室から上向きの反力を受ける。アウターリテーナリング30が研磨パッド2に与える荷重は、駆動フランジ200を通じてトップリング本体10に加えられる下向きの荷重からこの上向きの反力を引いた荷重となる。上述したエアシリンダからトップリングシャフト7に与えられる下向きの荷重を変更することにより、アウターリテーナリング30の研磨パッド2に対する荷重を変更することが可能である。
先述の実施形態と同様に、研磨中にインナーリテーナリング20にかかる横方向の力(ウェハと研磨パッド2との摩擦力)は、ストッパ119を介してアウターリテーナリング30に伝えられ、最終的にはウェハの中心部の上方(トップリング本体10の上部)に配置された球面軸受210により受けられる。さらに、アウターリテーナリング30の横方向の動きは球面軸受210によって制限される。
トップリング本体10の支持に球面軸受210を用いることの利点は次の通りである。球面軸受210を用いることによりトップリング本体10が小さな横方向の力を受けた場合でも、アウターリテーナリング30は傾動中心回りに容易に傾くことが出来る。一方、ダイヤフラムなどの変形によりトップリング本体を傾動させる構成では、ダイヤフラムを変形させるために比較的大きな力が必要となり、トップリング本体が容易に傾動できないという問題がある。この問題は研磨面に対するトップリングシャフトの垂直度に大きな影響を与える。
ダイヤフラムなどの変形によりトップリング本体を傾動させる構成では、傾動のために大きな力が必要となるため、研磨面に対するトップリングシャフトの垂直度のずれを十分に吸収しきれなくなる。さらに研磨時に生じるウェハと研磨面との摩擦力を受けてダイヤフラムが変形することによりトップリング本体が傾く。このときのトップリング本体の傾きの総量は、主として(1)「トップリングシャフト垂直度のずれ吸収による変形」および(2)「摩擦力を受けたことによる変形」によって決まる。上記要因(1)は装置間でばらつきが大きく、装置ごとにトップリング本体の傾きが異ってしまうという問題につながる。また、ダイヤフラムなどの変形によりトップリング本体およびリテーナリングを研磨面に追従させるとき、その傾動の中心はウェハ中心軸線上には存在しない。このため、リテーナリングを傾動させることによりウェハの下流側に位置する研磨パッドに荷重を集中して与えることは困難である。
球面軸受210を用いた本実施形態によれば、研磨面2aに対するトップリングシャフト7の垂直度にわずかなずれがあった場合でも、トップリング本体10は球面軸受210の傾動中心回りに容易に傾動して研磨面2aに追従する。さらに、研磨時に生じるウェハと研磨面2aとの摩擦力を受けて、トップリング本体10およびアウターリテーナリング30はスムーズに傾く。このように、ウェハ中心軸線上にある傾動中心回りにアウターリテーナリング30を積極的に傾動させることにより、ウェハの下流側に位置する研磨パッド2に荷重を集中して与えることができる。また、トップリング本体10は金属やセラミックなどの比較的剛性の高い材料で形成されるので、トップリング本体10の変形の影響を小さく抑え、球面軸受210によりスムーズに傾動させることが可能である。
図22は、図19に示すトップリングの変形例を示す模式図である。この例のトップリング本体10は、トップリングベース230と、弾性膜45を保持するキャリア43とから基本的に構成されている。球面軸受210は、トップリングベース230と駆動フランジ(荷重伝達部材)200との間に設けられており、トップリングベース230は駆動フランジ200に対して自由に傾動可能となっている。アウターリテーナリング30はトップリングベース230に固定されており、アウターリテーナリング30はトップリングベース230と一体に傾動可能となっている。トップリングベース230は、図19に示すフランジ41とスペーサ42とに相当する部材である。
キャリア43は、トップリングベース230から分離しており、弾性膜232を介してトップリングベース230に連結されている。キャリア43は、トップリングベース230に対して上下動可能となっている。キャリア43、トップリングベース230、および弾性膜232によって圧力室233が形成されており、この圧力室233に加圧流体を供給することによって、キャリア43および弾性膜45を下降させることができ、さらに圧力室233に負圧を形成することによって、キャリア43および弾性膜45を上昇させることができる。このように、圧力室233はキャリア43および弾性膜45を上下動させる上下動機構を構成する。
図23は、図19に示すトップリングの他の変形例を示す模式図である。この例では、上記弾性膜232は設けられておらず、代わりにキャリア43はトップリングベース230に上下動機構240を介して連結されている。この上下動機構240は、トップリングベース230に固定されたサーボモータ241と、サーボモータ241によって回転されるボールねじ242と、ボールねじ242が螺合するナット243と、ナット243を保持するフレーム244とを備えている。フレーム244はキャリア43に固定されている。サーボモータ241でボールねじ242を回転させることにより、キャリア43および弾性膜45は、トップリングベース230に対して上下動することができる。その他の構成は、図22に示す構成と同じである。
本実施形態では、アウターリテーナリング30がトップリング本体10に固定されているために、アウターリテーナリング30が摩耗すると研磨面2aに対するトップリング本体10の高さが変化してしまう。トップリング本体10の高さが変化すると弾性膜45の伸び量が変化したり、研磨後のウェハを研磨面2aから安定して引き上げることが困難となる場合がある。そこで、上述した圧力室233または上下動機構240により、アウターリテーナリング30の摩耗に従ってキャリア43の高さ(縦方向の位置)を調整することができる。さらに、圧力室233または上下動機構240によりキャリア43を上昇させてウェハを研磨面2aから引き上げることができる。
上述した実施形態では、ウェハの略全面に弾性膜45が配置されているが、これに限られるものではなく、弾性膜45はウェハの少なくとも一部に当接するものであればよい。また、上述した実施形態では、弾性膜45にセンター室130、リプル室131、アウター室132、およびエッジ室133の4つの室が配置されているが、これに限られるものではなく、弾性膜45に4つよりも少ない室を配置しても良いし、4つよりも多い室を配置しても良い。特に4つより多い室を配置することによりウェハの半径方向のより狭い範囲の研磨プロファイルを制御することも可能となる。
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
1 トップリング
2 研磨パッド
2a 研磨面
3 研磨テーブル
5 研磨液供給機構
7 トップリングシャフト
8 トップリングヘッド
10 トップリング本体
16 メンテナンスボルト
20 インナーリテーナリング
21 インナーリング部材
22 インナードライブリング
30 アウターリテーナリング
31 アウターリング部材
32 アウタードライブリング
41 フランジ
42 スペーサ
43 キャリア
45 弾性膜
50 エッジホルダ
51,52 リップホルダ
54,55 ストッパ
60 インナー押圧機構
61 インナーピストン
62 インナーローリングダイヤフラム
63 インナーシリンダ
64 保持部材
65 ボルト
68 磁石
69 インナー圧力室
70 流路
80 アウター押圧機構
81 アウターピストン
82 アウターローリングダイヤフラム
83 アウターシリンダ
84 保持部材
85 ボルト
88 磁石
89 アウター圧力室
90 流路
100 連結部材
101 軸部
102 スポーク
111,170 球面軸受
113,174 外輪
114 中間輪
115,173 内輪
119 ストッパ
120 バリアシール
123 シールシート
125,127 補強ピン
130 センター室
131 リプル室
132 アウター室
133 エッジ室
140,141,142,143 流路
150 アウターリング駆動カラー
152 インナーリング駆動ピン
153 インナーリング駆動カラー
155 ストッパピン
158 シール部材
175 支持部材
200 駆動フランジ(荷重伝達機構)
205 トルク伝達ピン
210 球面軸受
211 ボール
212 上半球支持面
213 下半球支持面
220 接続部材
230 トップリングベース
232 弾性膜
233 圧力室
241 サーボモータ
242 ボールねじ
243 ナット
244 フレーム

Claims (11)

  1. 基板を研磨面に押圧するための弾性膜を保持するトップリング本体と、
    前記トップリング本体とは独立して上下動可能であって、前記基板を囲むように配置されたインナーリテーナリングと、
    前記インナーリテーナリングを前記研磨面に対して押圧するインナー押圧機構と、
    前記インナーリテーナリングの半径方向外側に設けられ、前記インナーリテーナリングおよび前記トップリング本体とは独立して上下動可能なアウターリテーナリングと、
    前記アウターリテーナリングを前記研磨面に対して押圧するアウター押圧機構と、
    前記基板の研磨中に基板から前記インナーリテーナリングに加わる横方向の力を受けるとともに、前記アウターリテーナリングを傾動可能に支持する支持機構とを備えたことを特徴とする基板保持装置。
  2. 前記支持機構は、球面軸受であることを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
  3. 前記インナー押圧機構および前記アウター押圧機構は、前記インナーリテーナリングおよび前記アウターリテーナリングをそれぞれ独立に前記研磨面に押圧できることを特徴とする請求項1または2に記載の基板保持装置。
  4. 前記アウターリテーナリングの傾動の中心は、前記アウターリテーナリングの中心軸線上にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板保持装置。
  5. 前記アウターリテーナリングは、前記支持機構により上下動可能に支持されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板保持装置。
  6. 基板を研磨面に押圧するための弾性膜を保持するトップリング本体と、
    前記トップリング本体とは独立して上下動可能であって、前記基板を囲むように配置されたインナーリテーナリングと、
    前記インナーリテーナリングを前記研磨面に対して押圧するインナー押圧機構と、
    前記インナーリテーナリングの半径方向外側に設けられ、前記トップリング本体に固定されたアウターリテーナリングと、
    前記トップリング本体および前記アウターリテーナリングに下向きの荷重を伝える荷重伝達部材と、
    前記荷重伝達部材に対する前記トップリング本体および前記アウターリテーナリングの傾動を許容する球面軸受とを備え
    下向きの荷重が前記荷重伝達部材を介して前記トップリング本体および前記アウターリテーナリングに伝えられたときに、前記アウターリテーナリングは前記研磨面に対して押圧されることを特徴とする基板保持装置。
  7. 前記トップリング本体の傾動中心は、前記球面軸受の球面の中心に位置することを特徴とする請求項6に記載の基板保持装置。
  8. 前記トップリング本体は、前記弾性膜を保持するキャリアと、前記キャリアを上下動させる上下動機構とを備えていることを特徴とする請求項6に記載の基板保持装置。
  9. 前記インナーリテーナリングと前記アウターリテーナリングとの間に配置されたストッパをさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の基板保持装置。
  10. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の基板保持装置と、
    研磨面を有する研磨パッドを支持する研磨テーブルとを備えたことを特徴とする研磨装置。
  11. 研磨パッドを回転させ、
    前記研磨パッドの研磨面上に研磨液を供給し、
    請求項1乃至のいずれか一項に記載の基板保持装置で基板を前記研磨面に押圧することにより前記基板を研磨することを特徴とする研磨方法。
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