JP5920051B2 - 感光体ユニットの製造方法及び感光体ユニット - Google Patents
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Description
電子写真感光体へのフランジの装着は、円筒形状である電子写真感光体の内側にフランジの一部(嵌合部)を差し込み、嵌合部の外表面と電子写真感光体の内表面とを接着剤により固定することにより行われる。従って、フランジの嵌合部が電子写真感光体の内側に差し込まれ、フランジと電子写真感光体とが接着剤により固定される。
このような電子写真感光体とフランジとの接着性を高める技術が特許文献1に開示されている。この技術によれば、樹脂製フランジの嵌合部に溝を設けることにより、アンカー効果等により接着性が向上する旨記載されている。
さらに、円筒状基体の内径と、フランジ嵌合部の外径はそれぞれ寸法上の公差を持つため、それぞれの製造ロットによっては嵌め合いに空隙を有する場合があり、このような場合には特に接着性が低下することが懸念されていた。
本発明の要旨は、アルミニウム又はアルミニウム合金による円筒状基体及び該基体の外周面に感光層を備える電子写真感光体(11)と、該電子写真感光体の端部に装着されるフランジ(12、17)と、を備える感光体ユニット(10)を製造する方法であって、該フランジの嵌合部外周面と該電子写真感光体の内周面とを室温硬化型のシリコーンゴムで接着することを特徴とした、感光体ユニットの製造方法に存する。
図1は1つの実施形態を説明する図で、感光体ユニット10を含む画像形成装置の内部構造を概念的に表した図である。画像形成装置としては、例えばレーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等を挙げることができる。
感光体ユニット10には、その外周面に、紙等の記録媒体に転写すべき文字や図形等が形成される。図2には、感光体ユニット10の斜視図を示した。図2(a)は電子写真感光体11にフランジ12、17が組み合わされた図、図2(b)は一方のフランジ12を電子写真感光体11から離隔して表した分解斜視図である。また、図3は、図2にIII
で示した方向からギアつきフランジ12をみた正面図である。
電子写真感光体11は、円筒形状である基体の外周面に感光層を被覆した部材である。基体はアルミニウム、又はアルミニウム合金による導電性材料が円筒形状に形成されたものである。基体の外周面に形成される感光層は特に限定されることはなく、その目的に応じて公知のものを適用することができる。ここで用いられるアルミニウム合金の種類は特に限定されるものではないが、電子写真感光体の導電性支持体として用いられることが多いJIS規格で定められる6000系、5000系、3000系のアルミニウム合金であることが好ましい。
ギア付きフランジ12は、フランジの1つの形態であり、電子写真感光体11の端部のうち一方の端部に取り付けられる部材である。ギアつきフランジ12は、画像形成装置の回転駆動軸から回転駆動力を受けて感光体ユニット10自体を回転させるとともに、備えられるギアにより感光体ユニット10に隣接する他のローラ(帯電ローラ1等)にもこの回転力を伝達する機能を有する。ギア付きフランジ12は、筒状体13、筒状体13の外周面に備えられる歯車部14、電子写真感光体11の端面に接触して係止する接触壁15、及び電子写真感光体11の内側に挿入する嵌合部16を具備している。
接触壁15は、筒状体13の端部のうち底が備えられた側とは反対側の端部に設けられ、筒状体13の外周面に立設するリング状の部材である。接触壁15は、図2(a)からわかるように、ギア付きフランジ12を電子写真感光体11に装着した姿勢で、接触壁15の面が電子写真感光体11の端面に接触するように配置される。これによりギアつきフランジ12の電子写真感光体11への挿入深さが規制される。
mより大きく、好ましくは0.05mm以上であり、一方、上限は、通常、1mm以下であり、好ましくは0.3mm以下である。嵌合部16の外径と電子写真感光体11の内径との差が、小さすぎると接着剤の影響含めてドラムのふくらみ(回転振れ)が発生するおそれがあり、一方、大きすぎると接着剤で空隙を埋めることができずにフランジが外れてしまうおそれがある。
上述したギア付きフランジ12は、結晶性樹脂により形成されていることが好ましい。結晶性樹脂であれば、金型を用いて射出成型するに際し、流れが良好であることから成形性がよく、ガラス転移点にまで冷却させなくても結晶化して固化することにより離型することができることから、生産性を大きく向上させることが可能である。また、結晶性樹脂は、耐熱性、耐溶剤性に優れ、耐摩擦摩耗性や摺動性も良好であり、さらには剛性及び硬さの観点からもフランジに適用する材料として好ましい。
この中でも成型加工性の観点からポリアセタールを用いることが好ましい。
フランジ17は、電子写真感光体11の端部のうち、ギア付きフランジ12が配置される側とは反対側の端部に装着されるフランジである。フランジ17は、ギアは備えられていないがフランジの1つであり、上述した樹脂により形成されている。フランジ17は円盤状である接触壁17aと、該接触壁17aから電子写真感光体11から離隔する方向に突出する軸(図2では死角となって見えない。)と、接触壁17aの面のうち電子写真感光体11の内側に突出する嵌合部(図2では電子写真感光体11の内側に配置されているため見えない。)と、を備えている。フランジ17の接触壁17a、軸、及び嵌合部は、それぞれギア付きフランジ12の接触壁15、軸13a、及び嵌合部16と同様の機能を有し、上記説明が該当する。
本発明は、接着剤として室温硬化型のシリコーンゴムを用いることを特徴とする。本発明に用いられる室温硬化型シリコーンゴムは、本発明の効果を著しく損なわない限りその種類は限定されないが、一般的にシリコーンゴムプライマーが空気中の水分により縮合反応を起こしゴム状に硬化するタイプのものを指す。また、本発明に用いられる室温硬化型シリコーンゴムの粘度は、特に限定されないが、上限は、通常100,000mPa・s以上であり、好ましくは200,000mPa・s以上であり、一方、下限は、通常2,000,000mPa・s以下であり、好ましくは1,800,000mPa・s以下である。このような粘度範囲のシリコーンゴムを用いることにより、フランジ嵌合部16の外径と電子写真感光体11の内径の間に空隙があったとしても。パテのように空隙を埋めることができる。また、室温硬化型であることにより、充分にゆっくりとフランジ嵌合部16の外周面と電子写真感光体の内周面との接着を行い、フランジを正しい位置に装着することができる。
フランジ17についても同様であり、室温硬化型のシリコーンゴムを用いることで高い接着力を確保することができるが、必ずしも両側で同じ接着剤を用いる必要はなく、片側のみであってもその効果を充分に発揮する。
帯電ローラ1は、画像形成装置からの電圧印加により電子写真感光体11を帯電させる。これは、当該帯電ローラ1が電子写真感光体11に追随して回転し、電子写真感光体11の外周面に接触することにより行われる。
規制部材3は、上記した現像ローラ2の外周面に付着する現像剤の量を調整するとともに、現像剤自体に摩擦帯電電荷を付与する部材である。
クリーニングブレード5は、電子写真感光体11の外周面に接触してその先端により転写後に残存した現像剤を除去するブレードである。
ここでは、画像形成装置に備えられる主要なローラ及びブレードについて説明したが、ここに具備される部材はこれに限定されるものではなく、その他画像形成装置に通常に備えられる部材、部位、及び現像剤等が具備されていることが好ましい。
一方、紙等の記録媒体は、画像形成装置の他の部位にセットされ、該画像形成装置に設けられた送り出しローラ、搬送ローラ等により転写位置に搬送され、図1の線Iに沿って移動する。転写位置には転写手段4が配置されており、記録媒体の通過に伴い転写手段4に電圧が印加されて電子写真感光体11から記録媒体に像が転写される。その後、記録媒体に熱及び圧力が加えられることにより当該像が記録媒体に定着する。そして排出ロール等により画像形成装置本体から像が形成された記録媒体が排出される。
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない顔料分散液を作成した。こうして得られた160重量部の顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部と適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
次に、下記に示すヒドラゾン化合物56部と、
この電荷輸送層形成用塗布液に、先に電荷発生層を形成したシリンダーを浸漬塗布して、乾燥後の膜厚25.5μmの電荷輸送層を形成した。
<フランジの製造>
後述するプリンター(ヒューレットパッカード社製レーザージェット4)に搭載可能なフランジを両側とも、嵌合部の外径を順次変えながら、ポリアセタールとポリカーボネートの2種類のいずれかを用いて樹脂塊を切削して嵌合部外周面が平滑なフランジを作製した。外径と材料を表−1に示す。
表−1に記載されたフランジ材料と接着剤に従って、以下に列記したいずれかの接着剤0.5gを前記フランジの嵌合部に均等に塗り、<感光体の製造>で製造された感光体に装着後、24時間以上25℃湿度50%で乾燥させた。表−1の実施例、比較例及び参考
例に使用した接着剤の種類は以下の通りである。
SE9185 : 東レダウコーニング社製 室温硬化型シリコーンゴム
SE9186 : 東レダウコーニング社製 室温硬化型シリコーンゴム
シアノン(R) : 高圧ガス工業社製 シアノアクリレート系接着剤
ポリシック(R) : 三洋化成社製 ポリウレタン系接着剤
<接着性試験:トルク測定試験>
ヒートサイクルとして、20℃2時間と40℃2時間とを1サイクルとして5サイクルの条件下、に保持した後、トルク測定試験機[小野測定 TS−3600A]を用いて製造された各々の感光体ユニットのトルクを測定した。結果を表−1に示す。
<完成体振れ試験>
フランジを装着した感光体ユニットにシャフトを挿入し、シャフト基準で回転させて両端20mm位置での回転振れを測定した。測定には、(株)ミツトヨ製レーザースキャンマイクロメーターRM202を用いた。結果を表−1に示す。
<感光体ユニットの製造>で製造された感光体ユニットを、接着性試験と同様のヒートサイクル実施後、ヒューレットパッカード社製レーザープリンタ、レーザージェット4に搭載し1000枚の画像印字試験を行なった。結果を表−1に示す。
以上から、電子写真感光体の内径よりもフランジ嵌合部外径が小さい場合には、室温硬化型シリコーンゴムを接着剤として使用することで、良好な感光体ユニットを得ることができる。
11 電子写真感光体
12 ギアつきフランジ(フランジ)
13 筒状体
14 歯車部
15 接触壁
16 嵌合部
17 フランジ
Claims (6)
- アルミニウム又はアルミニウム合金による円筒状基体及び該基体の外周面に感光層を備える電子写真感光体と、該電子写真感光体の端部に装着されるフランジと、を備える感光体ユニットを製造する方法であって、
該フランジの嵌合部外径が該電子写真感光体の内径よりも小さく、
該フランジの嵌合部外周面と該電子写真感光体の内周面とを室温硬化型のシリコーンゴムで接着することを特徴とした、感光体ユニットの製造方法。 - 該フランジがポリカーボネート樹脂により形成されている、請求項1に記載の感光体ユニットの製造方法。
- 該フランジがポリアセタール樹脂により形成されている、請求項1に記載の感光体ユニットの製造方法。
- アルミニウム又はアルミニウム合金による円筒状基体及び該基体の外周面に感光層を備える電子写真感光体と、該電子写真感光体の端部に装着されるフランジと、を備える感光体ユニットであって、
該フランジの嵌合部外径が該電子写真感光体の内径よりも小さく、
該フランジの嵌合部外周面と該電子写真感光体の内周面とが室温硬化型のシリコーンゴムで接着されたことを特徴とする、感光体ユニット。 - 該フランジがポリカーボネート樹脂により形成されている、請求項4に記載の感光体ユニット。
- 該フランジがポリアセタール樹脂により形成されている、請求項4に記載の感光体ユニット。
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