上記の概略的説明及び下記の詳細な説明は、どちらも例示及び解説にすぎず、請求されている、本発明を限定するものではない。本明細書において、単数形の使用には、別段の明記がない限り、複数形が含まれる。本明細書で使用される「又は(or)」とは、別段の記載がない限り、「及び/又は(and/or)」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語、並びに「includes」、「included」などの他の語形の使用は、限定を意味しない。また、「要素(element)」又は「成分(component)」などの用語は、別段の明記がない限り、1つのユニットを含む要素及び成分と、2つ以上のサブユニットを含む要素及び成分を、どちらも包含する。
本明細書で使用する節の見出しには構成上の目的しかなく、記載される主題を限定するものと解釈されるものではない。本願で言及されるすべての文書又は文書の一部、例えば、限定されないが、特許、特許出願、論文、本、専門書などは、その文書の本明細書で論じた部分ならびにそれら全体が、これにより明示的に、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
定義
明示的に定義しない限り、本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品化学及び薬化学に関連して使用される用語体系、ならびにそれらの方法及び技法は、当該分野において公知であり一般的に使用されるものを意味する。化学合成及び化学分析には標準的な技法を使用することができる。可能である場合は、本明細書の全体を通して言及されるすべての特許、出願、出願公開及びその他の公表物、GENBANKアクセッション番号及び国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)などのデータベースから得ることができる関連する配列情報、ならびにその他のデータは、その文書の本明細書で論じた部分ならびにそれら全体が、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
別段の記述がない限り、以下の用語は次に挙げる意味を有する。
「2’−O−メトキシエチル」(2’−MOE及び2’−O(CH2)2−OCH3ともいう)は、フロシル環の2’位のO−メトキシ−エチル修飾を意味する。2’−O−メトキシエチル修飾糖は修飾糖である。
「2’−O−メトキシエチルヌクレオチド」は、2’−O−メトキシエチル修飾糖部分を含むヌクレオチドを意味する。
「5−メチルシトシン」は、5’位に結合されたメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5−メチルシトシンは修飾核酸塩基である。
「活性薬剤」とは、個体に投与された時に治療上の利益をもたらす、医薬組成物中の物質又は複数の物質を意味する。例えば、ある実施形態では、トランスサイレチンを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドが活性薬剤である。
「活性標的領域」又は「標的領域」とは、1つ以上の活性アンチセンス化合物が標的とする領域を意味する。「活性アンチセンス化合物」は、標的核酸レベル又はタンパク質レベルを低下させるアンチセンス化合物を意味する。
「併用して投与される」とは、2つの薬剤を、両方の薬理効果が患者に同時に認められるような任意の方法によって、共投与することを意味する。併用投与は、両方の薬剤が単一の医薬組成物、同じ剤形、又は同じ投与経路で投与される必要はない。両方の薬剤の効果が同時に現われる必要はない。効果はある期間にわたって重複しているだけでよく、同一の広がりを持つ必要はない。
「投与する」とは、医薬剤を個体に与えることを意味し、例えば医療専門家による投与及び自己投与が含まれるが、これらに限定されない。
「改善」とは、関連する疾患、障害、又は状態の少なくとも1つの指標、徴候、又は症状の減少を意味する。指標の重症度は、当業者に公知の主観的又は客観的尺度によって決定することができる。
「アミロイドーシス」とは、様々な生体組織中の異常なタンパク質(アミロイド又はアミロイド線維)の沈着の結果生じる一連の疾患又は障害である。アミロイドタンパク質は、体内の特定の1領域に沈着する(局所性アミロイドーシス)か、又は全身に沈着する(全身性アミロイドーシス)場合がある。全身性アミロイドーシスには、3つのタイプ、すなわち原発性(AL)、続発性(AA)、家族性(ATTR)が存在する。原発性アミロイドーシスは、他の疾患との関連はなく、それ自体の疾患と考えられている。続発性アミロイドーシスは、他の疾患の結果として生じる。家族性地中海熱は、家族性(遺伝性)アミロイドーシスの1種である。
「動物」とは、ヒト又は非ヒト動物を意味し、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、及びサル、チンパンジーなどの非ヒト霊長類などが含まれるが、これらに限定されない。
「アンチセンス活性」とは、アンチセンス化合物が標的核酸にハイブリダイゼーションすることで生じる、検出可能又は測定可能な活性を意味する。ある実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸又はその標的核酸がコードするタンパク質の量又は発現の減少である。
「アンチセンス化合物」とは、水素結合により標的核酸へのハイブリダイゼーションができるオリゴマー化合物を意味する。
「アンチセンス阻害」とは、標的核酸に相補的なアンチセンス化合物の存在下における標的核酸レベル又は標的タンパク質レベルが、アンチセンス化合物の非存在下における標的核酸レベル又は標的タンパク質レベルと比べて減少することを意味する。
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、標的核酸の対応する領域又はセグメントへのハイブリダイゼーションを可能にする核酸塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。
「二環式糖」とは、2つの非ジェミナル環原子の架橋によって修飾されたフロシル環を意味する。二環式糖は修飾糖である。
「二環式核酸」又は「BNA」とは、ヌクレオシド又はヌクレオチドのフラノース部分がフラノース環上の2つの炭素原子を連結する架橋を含み、その結果、二環式の環系を形成しているヌクレオシド又はヌクレオチドを意味する。
「キャップ構造」又は「末端キャップ部分」とは、アンチセンス化合物のどちらかの末端に組み込まれている化学修飾を意味する。
「中枢神経系(CNS)」とは、髄膜に包まれている脊椎動物の神経系を意味する。それは神経系の大部分を含み、脳(脳を持つ脊椎動物の場合)と脊髄で構成される。CNSは背側腔内に収められており、脳は頭蓋腔、脊髄は脊椎腔内に収められている。また、脳は頭蓋骨で守られており、脊髄は、脊椎動物では、脊椎骨で守られている。
「化学的に異なる領域」とは、アンチセンス化合物において、そのアンチセンス化合物の別の領域とは何らかの形で化学的に異なる領域を意味する。例えば、2’−O−メトキシエチルヌクレオチドを有する領域は、2’−O−メトキシエチル修飾を伴わないヌクレオチドを有する領域とは、化学的に異なる。
「キメラアンチセンス化合物」とは、少なくとも2つの化学的に異なる領域を有するアンチセンス化合物を意味する。
「脈絡叢」とは、脳室上の領域で、脳脊髄液(CSF)が作られる領域である。
「共投与」とは、1つの個体に2つ以上の医薬剤を投与することを意味する。2つ以上の医薬剤は、単一の医薬組成物中にあってもよいし、別々の医薬組成物中にあってもよい。2つ以上の医薬剤は、それぞれ同じ経路又は異なる経路で投与してもよい。共投与は、並行投与又は順次投与を含む。
「相補性」とは、第1の核酸と第2の核酸の核酸塩基間で対を形成する能力を意味する。
「連続する核酸塩基」とは、互いに直接隣接する核酸塩基を意味する。
「希釈剤」とは、薬理活性は持たないが薬学的に必要又は望ましい、組成物中の成分を意味する。例えば、注射される組成物においては、液体、例えば食塩水が希釈剤となり得る。
「用量」とは、1回の投与又は特定の期間において与えられる、医薬剤の特定の量を意味する。ある実施形態では、用量を、1つ、2つ又はそれ以上のボーラス、錠剤、又は注射剤で投与してもよい。例えば、皮下投与が望まれるある実施形態では、所望する用量が1回の注射では難しい量を要するため、所望する用量を達成するために2つ以上の注射剤を用いることができる。ある実施形態では、医薬剤は長時間の注入又は持続的注入によって投与される。用量は、1時間、1日、1週間、又は1ヶ月あたりの医薬剤の量として記載される。
「有効量」とは、その薬剤を必要とする個体において所望の生理学的結果をもたらすのに十分な活性薬剤の量を意味する。有効量は、治療される個体の健康状態や身体状態、治療される個体の分類群、組成物の処方、個体の病状の評価、及びその他の関連する要因に依存して、個体間で変動し得る。
「家族性アミロイドーシス」又は「遺伝性アミロイドーシス」とは、遺伝によるアミロイドーシスである。
「家族性アミロイドポリニューロパチー」又は「FAP」は、遺伝的に伝達される神経変性疾患で、トランスサイレチンタンパク質のアミロイド変異体が全身に沈着し、進行性の感覚性及び運動性ポリニューロパチーを引き起こすことを特徴とする。
「完全に相補的」又は「100%相補的」とは、第1の核酸の核酸塩基配列の各核酸塩基が、第2の核酸の第2の核酸塩基配列における相補的核酸塩基を有することを意味する。ある実施形態では、第1の核酸がアンチセンス化合物であり、標的核酸が第2の核酸である。
「ギャップマー(gapmer)」とは、RNaseH開裂を補助する複数のヌクレオシドを有する内部領域が、1つ以上のヌクレオシドを有する外部領域の間に位置し、内部領域のヌクレオシドは外部領域のヌクレオシドと化学的に異なる、キメラアンチセンス化合物を意味する。内部領域は、「ギャップセグメント」とも呼ばれることがあり、外部領域は、「ウイングセグメント」とも呼ばれることがある。
「ギャップ拡大型(gap-widened)」とは、12個以上の連続する2’−デオキシリボヌクレオシドのギャップセグメントを有し、それが1〜6個のヌクレオシドを有する5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に直接隣接して位置する、キメラアンチセンス化合物を意味する。
「遺伝性トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシス」とは、サイロキシン及びビタミンAの血漿輸送タンパク質であるトランスサイレチンの変異によって引き起こされる全身性疾患である。末梢性ニューロパチーや拘束型心筋症に関連している場合が最も多いが、全身的な血管壁や結合組織構造へのアミロイドの沈着は、他の臓器系の機能障害を引き起こすことが多い。該疾患では、消化管の運動性異常が一般的に見られ、胃内容排出遅延から生じる便秘、下痢、及び早期満腹感が見られる。手関節におけるアミロイドの結合組織沈着は、手根管症候群を引き起こす場合がある。脊髄血管及び周辺構造におけるアミロイド沈着は、跛行の症状を伴う脊髄狭窄を引き起こす。
「ハイブリダイゼーション」とは、相補的核酸分子のアニーリングを意味する。ある実施形態では、相補的核酸分子は、アンチセンス化合物及び標的核酸を含む。
「直接隣接」とは、直接隣接する要素間に介在要素が存在しないことを意味する。
「個体」とは、処置又は治療のために選択されるヒト又は非ヒト動物を意味する。
「内脳室(intracerebroventricular)投与」、「脳室内(cerebral intraventricular)投与」又は「脳室投与」とは、注射又は注入による脳室系への投与を意味する。
「腹腔内投与」とは、腹腔への投与を意味する。
「髄腔内投与」とは、注射又は注入による、脊髄及び脳を満たしている脳脊髄液への投与を意味する。
「静脈内投与」とは、静脈中への投与を意味する。
「室内投与」とは、脳室又は心室への投与を意味する。
「ヌクレオシド間結合」とは、ヌクレオシド間の化学結合を指す。
「軟膜性」とは、脳及び脊髄を覆っている、最も内側にある2層の組織層である軟膜に関することを意味する。「軟膜性アミロイドーシス」とは、軟膜内のトランスサイレチンアミロイド沈着によって生じる軟膜のアミロイドーシスを意味する。
「連結されたヌクレオシド」とは、互いに結合された隣接ヌクレオシドを意味する。
「ミスマッチ」又は「非相補的核酸塩基」とは、第1の核酸の核酸塩基が、第2の核酸又は標的核酸の対応する核酸塩基と対を形成する能力を持たない場合を意味する。
「修飾ヌクレオシド間結合」とは、天然のヌクレオシド間結合(すなわち、ホスホジエステルヌクレオシド間結合)からの置換又は何らかの変化を意味する。
「修飾核酸塩基」とは、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、又はウラシル以外の核酸塩基を意味する。「非修飾核酸塩基」とは、プリン塩基であるアデニン(A)及びグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)、及びウラシル(U)を意味する。
「修飾ヌクレオチド」とは、独立して、修飾糖部分、修飾ヌクレオシド間結合、又は修飾核酸塩基を有するヌクレオチドを意味する。「修飾ヌクレオシド」とは、独立して、修飾糖部分又は修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを意味する。
「修飾オリゴヌクレオチド」とは、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを意味する。
「修飾糖」とは、天然の糖からの置換又は変化を意味する。
「モチーフ」とは、アンチセンス化合物における化学的に異なる領域のパターンを意味する。
「天然のヌクレオシド間結合」とは、3’‐5’ホスホジエステル結合を意味する。
「天然糖部分」とは、DNA(2’−H)又はRNA(2’−OH)に見られる糖を意味する。
「核酸」とは、単量体のヌクレオチドで構成される分子を意味する。核酸には、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸、二本鎖核酸、低分子干渉リボ核酸(siRNA)、及びマイクロRNA(miRNA)が含まれる。また、核酸は、単一の分子内にこれらの要素の組み合わせを含む場合もある。
「核酸塩基」とは、別の核酸の塩基と対を形成する能力を有する複素環部分を意味する。
「核酸塩基配列」とは、糖、結合又は核酸塩基修飾とは無関係に、連続する核酸塩基の順序を意味する。
「ヌクレオシド」とは、糖に連結された核酸塩基を意味する。
「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合で連結されたリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
「オリゴマー化合物」又は「オリゴマー」とは、核酸分子の少なくとも1つの領域にハイブリダイズする能力を有する、連結された単量体サブユニットのポリマーを意味する。
「オリゴヌクレオチド」とは、それぞれが互いに独立して修飾又は非修飾である連結されたヌクレオシドのポリマーを意味する。
「非経口投与」とは、注射又は注入による投与を意味する。非経口投与には、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与、又は頭蓋内投与、例えば脳内投与、髄腔内投与、室内投与、室投与、内脳室投与、脳室内投与、脳室投与などが含まれる。投与は、連続投与、長期投与、又は短期若しくは間欠投与でもよい。
「ペプチド」とは、少なくとも2つのアミノ酸をアミド結合で連結することによって形成される分子を意味する。ペプチドは、ポリペプチド及びタンパク質を意味する。
「医薬組成物」とは、個体に投与するのに適した物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、1つ以上の活性薬剤と滅菌された水溶液を含むものがある。
「薬学的に許容される塩」とは、アンチセンス化合物の生理学的及び薬学的に許容される塩、すなわち親オリゴヌクレオチドの所望の生物学的活性を保ち、望ましくない毒性効果を付与しない塩を意味する。
「ホスホロチオエート結合」とは、ホスホジエステル結合が非架橋酸素原子の1つを硫黄原子で置き換えることで修飾されている、ヌクレオシド間の結合を意味する。ホスホロチオエート結合は、修飾ヌクレオシド間結合である。
「部分(portion)」とは、核酸における、ある所定数の連続する(すなわち連結した)核酸塩基を意味する。ある実施形態では、部分は、標的核酸における所定数の連続する核酸塩基である。ある実施形態では、部分は、アンチセンス化合物における所定数の連続する核酸塩基である。
「予防」とは、ある疾患、障害又は状態の発症又は発現を、数分から無期限の期間で、遅延させる又は未然に防ぐことを意味する。また、予防は、ある疾患、障害、又は状態が発現するリスクを低下させることも意味する。
「プロドラッグ」とは、不活性な形態で調製され、体内又はその細胞内で、内因性酵素若しくは他の化学物質の作用又は条件によって活性型に変換される治療剤を意味する。
「副作用」とは、治療に起因すると考えられる、所望の効果以外の生理学的応答を意味する。ある実施形態では、副作用には、注射部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝毒性、腎毒性、中枢神経系異常、ミオパチー、及び倦怠感が含まれる。例えば、血清中のアミノトランスフェラーゼレベルの増加は肝毒性又は肝機能異常を示す場合がある。例えば、ビリルビンの増加は、肝毒性又は肝機能異常を示す場合がある。
「一本鎖オリゴヌクレオチド」とは、相補鎖にハイブリダイズしていないオリゴヌクレオチドを意味する。
「特異的にハイブリダイズ可能」とは、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間で、所望の効果を誘導するのに十分な相補性を有する一方、特異的結合が望まれる条件下、すなわちインビボアッセイや治療的処置の場合であれば生理的条件下で、非標的核酸にはごくわずかな効果しか示さないか、又は全く効果を示さないアンチセンス化合物を意味する。
「皮下投与」とは、皮膚直下への投与を意味する。
「標的化」又は「標的化される」とは、標的核酸に特異的にハイブリダイズして所望の効果を誘導するアンチセンス化合物の設計と選択のプロセスを意味する。
「標的核酸」、「標的RNA」及び「標的RNA転写物」とは、いずれも、アンチセンス化合物によって標的とされ得る核酸を意味する。
「標的セグメント」とは、アンチセンス化合物が標的とする標的核酸のヌクレオチドの配列を意味する。「5’標的部位」とは、標的セグメントの最も5’側のヌクレオチドを意味する。「3’標的部位」とは、標的セグメントの最も3’側のヌクレオチドを意味する。
「治療上有効量」とは、個体に治療上の利益をもたらす医薬剤の量を意味する。
「トランスサイレチン特異的阻害剤」又は「トランスサイレチン阻害剤」とは、トランスサイレチンmRNA又はタンパク質の発現を減少させることができる化合物を意味する。そのような化合物の例としては、核酸、ペプチド、抗体、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤などが挙げられる。
「トランスサイレチン特異的調節因子」又は「トランスサイレチン調節因子」とは、トランスサイレチンmRNA又はタンパク質の発現を増加又は減少させることができる化合物を意味する。
「トランスサイレチン関連アミロイドーシス」、「トランスサイレチンアミロイドーシス」又は「トランスサイレチンアミロイド病」とは、本明細書において、トランスサイレチンの機能異常又は異常調節の結果、トランスサイレチンを含有するアミロイド繊維が形成されることに関連する病状又は疾患である。トランスサイレチンアミロイドーシスには、遺伝性TTRアミロイドーシス、軟膜アミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)、家族性アミロイド心筋症、家族性眼軟膜アミロイドーシス、老人性心アミロイドーシス又は老人性全身性アミロイドーシスが含まれるが、これらに限定されない。
「治療」とは、疾患、障害又は状態が変化又は改善するように、医薬組成物を投与することを意味する。
「非修飾ヌクレオチド」とは、天然の核酸塩基、糖部分、及びヌクレオシド間結合で構成されたヌクレオチドを意味する。ある実施形態では、非修飾ヌクレオチドは、RNAヌクレオチド(すなわちβ−D−リボヌクレオシド)又はDNAヌクレオチド(すなわちβ−D−デオキシリボヌクレオシド)である。
ある実施形態
ある実施形態では、トランスサイレチン発現を阻害するための方法、化合物及び組成物を提供する。
ある実施形態は、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物を提供する。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸は、以下に記載される配列のいずれかである:GENBANKアクセッション番号NM_000371.2(本明細書に配列番号1として組み入れられる)、2009236〜2017289番目のヌクレオチドで切り取られたGENBANKアクセッション番号NT_010966.10(本明細書に配列番号2として組み入れられる);ヒトエクソンとの類似性に基づき、アカゲザルゲノム配列GENBANKアクセッション番号NW_001105671.1から取り出したエクソン1〜4;及び、628000〜638000番目のヌクレオチドで切り取られたGENBANKアクセッション番号NW_001105671.1(本明細書に配列番号4として組み入れられる)。
ある実施形態は、8〜80個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86、87、115、120、122及び124に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号25、80、86、87、115、120、122及び124に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、12〜50個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86、87、115、120、122及び124に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号25、80、86、87、115、120、122及び124に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86、87、115、120、122及び124に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号25、80、86、87、115、120、122及び124に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、15〜25個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86、87、115、120、122及び124に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。
ある実施形態は、18〜21個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86、87、115、120、122及び124に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号25、80、86、87、115、120、122及び124に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、8〜80個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、12〜50個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、15〜25個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、18〜21個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号25、80、86及び87に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、8〜80個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号80に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、12〜50個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号80に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号80に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、15〜25個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号80に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、18〜21個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号80に記載する核酸塩基配列から選択される配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態は、20〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個又は少なくとも19個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態では、化合物は、配列番号80に記載する20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む。
ある実施形態は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは、配列番号1の120〜139、212〜236、226〜245、293〜468、293〜326、347〜381、425〜468、425〜467、452〜478、452〜474、459〜478、461〜519、462〜500、500〜519、501〜535、502〜531、505〜524、507〜526、508〜527、514〜540、514〜539、515〜534、516〜535、523〜542、544〜606、544〜564、564〜583、578〜601、580〜608、580〜599、584〜606、585〜604、587〜606又は597〜617番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の核酸塩基部分と相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基の部分を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該領域は、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608から選択される。ある実施形態では、該領域は、配列番号1の501〜535又は580〜608から選択される。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、ここに記載する領域内で相補的な少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基の部分を有する。
ある実施形態は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは、配列番号1の501〜535又は580〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の核酸塩基部分と相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基の部分を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、ここに記載する領域内で相補的な少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基の部分を有する。
ある実施形態は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の核酸塩基部分と相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基の部分を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、ここに記載する領域内で相補的な少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基の部分を有する。
ある実施形態は、15〜25個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の核酸塩基部分と相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基の部分を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、ここに記載する領域内で相補的な少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基の部分を有する。
ある実施形態は、18〜21個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の核酸塩基部分と相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基の部分を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、ここに記載する領域内で相補的な少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基の部分を有する。
ある実施形態は、20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の核酸塩基部分と相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基の部分を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、ここに記載する領域内で相補的な少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基の部分を有する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、ヒトトランスサイレチン(TTR)をコードする核酸、例えば配列番号1と、90%、95%、99%又は100%相補的である。
ある実施形態は、20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該連結したヌクレオシドは、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の核酸塩基部分と相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基の部分を含む化合物を提供する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の部分と相補的な、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又は少なくとも20個の連続する核酸塩基の部分を有する。ある実施形態では、該修飾オリゴヌクレオチドは、ヒトトランスサイレチン(TTR)をコードする核酸、例えば配列番号1と、90%、95%、99%又は100%相補的である。
ある実施形態は、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内で60%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内で70%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内で80%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内で90%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内で95%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内で99%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の507〜526、508〜527、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606及び589〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内で100%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチド内で60%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチド内で70%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチド内で80%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチド内で90%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチド内で95%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチド内で99%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態は、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチド内で100%相補的な20個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的としたアンチセンス化合物又は修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の以下のヌクレオチド領域を標的とする:120〜139、212〜236、226〜245、293〜468、293〜326、347〜381、425〜468、425〜467、452〜478、452〜474、459〜478、461〜519、462〜500、500〜519、502〜531、507〜526、505〜524、508〜527、514〜540、514〜539、515〜534、516〜535、523〜542、544〜606、544〜564、564〜583、578〜601、580〜599、584〜606、585〜604、587〜606、又は597〜617。
ある実施形態では、アンチセンス化合物又は修飾オリゴヌクレオチドは、トランスサイレチン核酸の一領域を標的とする。ある実施形態では、そのようなトランスサイレチン核酸の一領域を標的とした化合物又はオリゴヌクレオチドは、該領域の等長の核酸塩基部分に相補的な、連続する核酸塩基部分を有する。該部分は、例えば、ここに記載する領域の等長の部分に相補的な、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の連続する核酸塩基の部分となり得る。ある実施形態では、そのような化合物又はオリゴヌクレオチドは、配列番号1の以下のヌクレオチド領域を標的とする:120〜139、212〜236、226〜245、293〜381、293〜366、353〜381、293〜468、425〜468、425〜467、452〜476、461〜481、461〜500、500〜519、461〜519、502〜531、502〜539、504〜536、505〜525、506〜530、507〜527、508〜527、508〜536、514〜540、523〜542、544〜606、544〜564、544〜583、又は597〜617。
ある実施形態では、そのようなトランスサイレチン核酸の一領域を標的とした化合物又はオリゴヌクレオチドは、配列番号1の501〜535又は580〜608の領域の等長の核酸塩基部分に相補的な、連続する核酸塩基部分を有する。
ある実施形態では、配列番号1の以下のヌクレオチド領域は、アンチセンス化合物又はオリゴヌクレオチドの標的とされた場合、少なくとも60%の阻害を示す:226〜245、293〜366、357〜467、452〜474、457〜476、459〜478、462〜500、500〜519、502〜531、504〜536、505〜525、506〜530、507〜527、508〜527、508〜536、514〜539、544〜564、564〜583、578〜601、584〜606、又は597〜617。
ある実施形態では、配列番号1の以下のヌクレオチド領域は、アンチセンス化合物又はオリゴヌクレオチドの標的とされた場合、少なくとも65%の阻害を示す:293〜366、357〜376、425〜449、432〜467、452〜474、459〜478、462〜500、500〜519、502〜531、504〜536、505〜525、506〜530、507〜527、508〜527、508〜536、514〜539、544〜563、564〜583、578〜601,585〜606、又は597〜617。
ある実施形態では、配列番号1の以下のヌクレオチド領域は、アンチセンス化合物又はオリゴヌクレオチドの標的とされた場合、少なくとも70%の阻害を示す:293〜366、425〜449、432〜467、452〜474、459〜478、462〜500、500〜519、502〜531、504〜536、505〜525、506〜530、507〜527、508〜527、508〜536、514〜539、564〜583、578〜598、581〜600、又は597〜617。
ある実施形態では、配列番号1の以下のヌクレオチド領域は、アンチセンス化合物又はオリゴヌクレオチドの標的とされた場合、少なくとも75%の阻害を示す:293〜322、347〜366、425〜449、432〜467、452〜474、459〜478、462〜500、500〜519、503〜531、504〜536、505〜525、506〜530、507〜527、508〜527、508〜536、514〜539、578〜598、581〜600、又は597〜616。
ある実施形態では、配列番号1の以下のヌクレオチド領域は、アンチセンス化合物又はオリゴヌクレオチドの標的とされた場合、少なくとも80%の阻害を示す:303〜322、425〜449、432〜460、443〜467、452〜473、481〜500、500〜519、503〜531、504〜536、505〜525、506〜530、507〜527、508〜527、508〜536、514〜536、519〜539、579〜598、581〜600、又は597〜616。
ある実施形態では、配列番号1の以下のヌクレオチド領域は、アンチセンス化合物又はオリゴヌクレオチドの標的とされた場合、少なくとも85%の阻害を示す:427〜449、432〜458、441〜460、443〜467、452〜473、504〜531、504〜536、505〜525、506〜530、507〜527、508〜527、508〜536、514〜536、519〜539、又は581〜600。
ある実施形態では、配列番号1の以下のヌクレオチド領域は、アンチセンス化合物又はオリゴヌクレオチドの標的とされた場合、少なくとも90%の阻害を示す:428〜449、432〜456、439〜458、441〜460、445〜466、452〜473、504〜525、508〜527、又は515〜536
ある実施形態では、配列番号1の以下のヌクレオチド領域は、アンチセンス化合物又はオリゴヌクレオチドの標的とされた場合、少なくとも95%の阻害を示す:434〜453、436〜456、441〜460、445〜465、505〜524、又は516〜535。
ある実施形態では、以下のアンチセンス化合物は、ヒトトランスサイレチンをコードする核酸である配列番号1の一領域を標的とし、トランスサイレチンmRNAの少なくとも60%の阻害を示す:ISIS番号420954、420904、304286、420874、420948、420883、420955、420952、420956、420957、420882、420947、420950、304312、304307、420879、420910、420902、420908、420924、420877、420880、304309、304289、420906、304311、420878、420911、304284、304288、420909、304296、420949、304290、304299、420898、420920、420925、420951、304287、420894、420916、420918、420926、304285、420919、420923、420886、420900、420912、420915、420917、420921、420884、420885、420887、420889、420892、420901、420914、420897、420899、420888、420895、420896、420913、420922、420893、420890、又は420891。
ある実施形態では、以下のアンチセンス化合物は、ヒトトランスサイレチンをコードする核酸である配列番号1の一領域を標的とし、トランスサイレチンmRNAの少なくとも65%の阻害を示す:ISIS番号420955、420952、420956、420957、420882、420947、420950、304312、304307、420879、420910、420902、420908、420924、420877、420880、304309、304289、420906、304311、420878、420911、304284、304288、420909、304296、420949、304290、304299、420898、420920、420925、420951、304287、420894、420916、420918、420926、304285、420919、420923、420886、420900、420912、420915、420917、420921、420884、420885、420887、420889、420892、420901、420914、420897、420899、420888、420895、420896、420913、420922、420893、420890、又は420891。
ある実施形態では、以下のアンチセンス化合物は、ヒトトランスサイレチンをコードする核酸である配列番号1の一領域を標的とし、トランスサイレチンmRNAの少なくとも70%の阻害を示す:ISIS番号304312、304307、420879、420910、420902、420908、420924、420877、420880、304309、304289、420906、304311、420878、420911、304284、304288、420909、304296、420949、304290、304299、420898、420920、420925、420951、304287、420894、420916、420918、420926、304285、420919、420923、420886、420900、420912、420915、420917、420921、420884、420885、420887、420889、420892、420901、420914、420897、420899、420888、420895、420896、420913、420922、420893、420890、又は420891。
ある実施形態では、以下のアンチセンス化合物は、ヒトトランスサイレチンをコードする核酸である配列番号1の一領域を標的とし、トランスサイレチンmRNAの少なくとも75%の阻害を示す:ISIS番号420877、420878、420880、304284、304285、420884、420885、420886、420887、420888、420889、420890、420891、304287、420892、304288、420893、304289、304290、420894、420895、420896、420897、420898、420899、420900、420901、420902、420906、420908、304296、420909、420911、420912、420913、420914、304299、420915、420916、420917、420918、420919、420920、420921、420922、420923、420924、420925、420926、304309、420949、420951、又は304311。
ある実施形態では、以下のアンチセンス化合物は、ヒトトランスサイレチンをコードする核酸である配列番号1の一領域を標的とし、トランスサイレチンmRNAの少なくとも80%の阻害を示す:ISIS番号304311、420878、420911、304284、304288、420909、304296、420949、304290、304299、420898、420920、420925、420951、304287、420894、420916、420918、420926、304285、420919、420923、420886、420900、420912、420915、420917、420921、420884、420885、420887、420889、420892、420901、420914、420897、420899、420888、420895、420896、420913、420922、420893、420890、又は42089。
ある実施形態では、以下のアンチセンス化合物は、ヒトトランスサイレチンをコードする核酸である配列番号1の一領域を標的とし、トランスサイレチンmRNAの少なくとも85%の阻害を示す:ISIS番号304290、304299、420898、420920、420925、420951、304287、420894、420916、420918、420926、304285、420919、420923、420886、420900、420912、420915、420917、420921、420884、420885、420887、420889、420892、420901、420914、420897、420899、420888、420895、420896、420913、420922、420893、420890、又は420891。
ある実施形態では、以下のアンチセンス化合物は、ヒトトランスサイレチンをコードする核酸である配列番号1の一領域を標的とし、トランスサイレチンmRNAの少なくとも90%の阻害を示す:ISIS番号420923、420886、420900、420912、420915、420917、420921、420884、420885、420887、420889、420892、420901、420914、420897、420899、420888、420895、420896、420913、420922、420893、420890、又は420891。
ある実施形態では、以下のアンチセンス化合物は、ヒトトランスサイレチンをコードする核酸である配列番号1の一領域を標的とし、トランスサイレチンmRNAの少なくとも95%の阻害を示す:ISIS番号420888、420895、420896、420913、420922、420893、420890、又は420891。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の120〜139番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の120〜139番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号37から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の120〜139番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420872から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の212〜236番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の212〜236番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号8及び38から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の212〜236番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420873又は304267から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の226〜245番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の226〜245番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号39から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の226〜245番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420874から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の293〜381番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の293〜381番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号10、42〜48から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の293〜381番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420877、420878、420879、420880、304280、420881、420882、又は420883から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の293〜366番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の293〜366番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号42〜45から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の293〜366番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420877、420878、420879、又は420880から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の353〜381番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の353〜381番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号10、46〜48から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の353〜381番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号304280、420881、420882、又は420883から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の293〜468番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の293〜468番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号10〜18、42〜63から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の293〜468番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420877、420878、420879、420880、304280、420881、420882、420883、304284、304285、420884、420885、304286、420886、420887、420888、420889、420890、420891、304287、420892、304288、420893、304289、304290、420894、420895、420896、420897、420898、又は304291から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の425〜468番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の425〜468番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号11〜18、49〜63から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の425〜468番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号304284、304285、420884、420885、304286、420886、420887、420888、420889、420890、420891、304287、420892、304288、420893、304289、304290、420894、420895、420896、420897、420898、又は304291から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の425〜467番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の425〜468番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号11〜17、49〜63から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の425〜468番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号304284、304285、420884、420885、304286、420886、420887、420888、420889、420890、420891、304287、420892、304288、420893、304289、304290、420894、420895、420896、420897、又は420898から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の452〜476番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の452〜476番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号64〜69から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の452〜476番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420889、420890、420891、304287、420892、304288、420893、304289、304290、420894、420895、420896、420897、420898、304291、304292、304293、420899、420900、420901、420902、420903、又は420904から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の461〜481番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の461〜481番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号72〜73から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の461〜481番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420907又は420908から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の461〜500番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の461〜500番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号22、72及び73から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の461〜500番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420907、420908、又は304296から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の500〜519番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の500〜519番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号74から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の500〜519番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420909から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の461〜519番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の461〜519番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号22、23、72〜74から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の461〜519番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420907、420908、304296、又は420909から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の502〜531番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の502〜531番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号25、75〜84から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の502〜531番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420910、420911、420912、420913、420914、304299、420915、420916、420917、420918、又は420919から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の502〜539番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の502〜539番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号25、26、75〜91から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の502〜539番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420910、420911、420912、420913、420914、304299、420915、420916、420917、420918、420919、304300、420920、420921、420922、420923、420924、420925、又は420926から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の504〜536番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の504〜536番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号25、26、77〜88から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の504〜536番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420912、420913、420914、304299、420915、420916、420917、420918、420919、304300、420920、420921、420922、又は420923から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の505〜535番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の505〜535番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号25、26、78〜87から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の505〜535番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420913、420914、304299、420915、420916、420917、420918、420919、304300、420920、420921、又は420922から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の506〜530番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の506〜530番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号25、79〜83から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の506〜530番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420913、420914、304299、420915、420916、420917、420918、又は420919から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の507〜527番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の507〜527番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号25又は80から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の507〜527番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号304299又は420915から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号80から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の508〜527番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420915から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の514〜540番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の514〜540番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号85〜92から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の514〜540番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420920、420921、420922、420923、420924、420925、420926、又は420927から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の523〜542番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の523〜542番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号94から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の523〜542番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420929から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の544〜606番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の544〜606番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号30〜33、112〜122から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の544〜606番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420947、420948、304304、304307、304308、304309、420949、420950、420951、420952、420953、420954、420955、420956、又は420957から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の544〜564番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の544〜564番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号112〜113から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の544〜564番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420947又は420948から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の544〜583番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の544〜583番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号30、31、112、及び113から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の544〜583番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号420947、420948、304304、又は304307から選択される。
ある実施形態では、標的領域は、配列番号1の597〜617番目のヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、配列番号1の597〜617番目のヌクレオチドを標的とする。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、配列番号34〜35から選択される核酸塩基配列を含む。特定のそのような実施形態では、配列番号1の597〜617番目のヌクレオチドを標的とするアンチセンス化合物は、ISIS番号304311又は304312から選択される。
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、一本鎖修飾オリゴヌクレオチドからなる。
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、20個の連結したヌクレオシドからなる。
ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、その全長にわたり、配列番号1、2、又は4の核酸塩基配列と少なくとも90%相補的である。ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、その全長にわたり、配列番号1、2、又は4の核酸塩基配列と少なくとも95%相補的である。ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、その全長にわたり、配列番号1、2、又は4と少なくとも99%相補的である。ある実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、その全長にわたり、配列番号1、2、又は4の核酸塩基配列と100%相補的である。
ある実施形態では、化合物は、少なくとも一つの修飾ヌクレオシド間結合を有する。ある実施形態では、ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
ある実施形態では、化合物は、修飾糖を含むヌクレオシドを少なくとも一つ有する。ある実施形態では、該少なくとも一つの修飾糖は二環式糖である。ある実施形態では、該少なくとも一つの二環式糖は、4’−CH(CH3)−O−2’架橋を含む。ある実施形態では、該少なくとも一つの修飾糖は、2'−O−メトキシエチルを含む。
ある実施形態では、化合物は、フラノース環がテトラヒドロピラン環に置換されたテトラヒドロピラン修飾ヌクレオシドの少なくとも一つを、少なくとも一つ含む。ある実施形態では、該少なくとも一つのテトラヒドロピラン修飾ヌクレオシドは、下記の構造を有する:
式中、Bxは、保護されていてもよいヘテロ環塩基部分を表す。
ある実施形態では、化合物は、修飾核酸塩基を含むヌクレオシドを少なくとも一つ有する。ある実施形態では、該修飾核酸塩基は、5−メチルシトシンである。
ある実施形態では、化合物の修飾オリゴヌクレオチドは、
(i)連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に位置し、また、それぞれのウイングセグメントの各ヌクレオシドは修飾糖を含む。
ある実施形態では、化合物の修飾オリゴヌクレオチドは、
(i)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に直接隣接して位置し、それぞれのウイングセグメントの各ヌクレオシドは2'−O−メトキシエチル糖を含み;また、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
ある実施形態では、化合物の修飾オリゴヌクレオチドは、
(i)8個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)6個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)6個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に直接隣接して位置し、それぞれのウイングセグメントの各ヌクレオシドは2'−O−メトキシエチル糖を含み;また、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
ある実施形態では、化合物の修飾オリゴヌクレオチドは、
(i)8個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に直接隣接して位置し、それぞれのウイングセグメントの各ヌクレオシドは2'−O−メトキシエチル糖を含み;また、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
ある実施形態では、化合物の修飾オリゴヌクレオチドは、
(i)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に直接隣接して位置し、それぞれのウイングセグメントの各ヌクレオシドは2'−O−メトキシエチル糖を含み;また、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり;また、核酸塩基配列は、配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む。
ある実施形態では、化合物の修飾オリゴヌクレオチドは、
(i)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
(ii)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;
(iii)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント
を含み、ギャップセグメントは5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントの間に直接隣接して位置し、それぞれのウイングセグメントの各ヌクレオシドは2'−O−メトキシエチル糖を含み;また、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり;また、核酸塩基配列は、配列番号80に記載する配列である。
ある実施形態は、本明細書に記載する化合物又はその塩、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む組成物を提供する。ある実施形態では、組成物は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号25、80、86、87、115、120、122、及び124に記載する核酸塩基配列から選択される核酸塩基配列の少なくとも12個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチド又はその塩、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む。
ある実施形態は、本明細書に記載する化合物又はその塩、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む組成物を提供する。ある実施形態では、組成物は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも12個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチド又はその塩、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む。
ある実施形態は、本明細書に記載する化合物を含み、粘度レベルが40cP未満である組成物を提供する。ある実施形態では、組成物の粘度レベルは15cP未満である。ある実施形態では、組成物の粘度レベルは12cP未満である。ある実施形態では、組成物の粘度レベルは10cP未満である。
ある実施形態は、トランスサイレチンアミロイドーシスの治療、予防、改善の方法を提供する。
ある実施形態は、本明細書に記載する化合物を動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態では、該方法は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号25、80、86、87、115、120、122、及び124に記載する核酸塩基配列から選択される核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを、動物に投与することを含む。
ある実施形態は、本明細書に記載する化合物を動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態では、該方法は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなり、該連結したヌクレオシドは配列番号1の501〜535又は580〜608番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の部分と相補的な少なくとも8個の連続する核酸塩基部分を含む化合物又は修飾オリゴヌクレオチドを、動物に投与することを含む。
ある実施形態は、本明細書に記載する化合物を動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態では、該方法は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを、動物に投与することを含む。
ある実施形態は、本明細書に記載する化合物を動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態では、該方法は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなり、該連結したヌクレオシドは配列番号1の508〜527番目のヌクレオチドから選択される領域内の等長の部分と相補的な少なくとも8個の連続する核酸塩基部分を含む化合物又は修飾オリゴヌクレオチドを、動物に投与することを含む。
ある実施形態では、動物はヒトである。
ある実施形態では、投与は、本明細書に記載するトランスサイレチンアミロイドーシスの進行を予防、治療、改善、又は遅延する。
ある実施形態では、化合物は、第2の薬剤と共投与される。
ある実施形態では、化合物と第2の薬剤は、併用して投与される。
ある実施形態では、投与は非経口投与である。ある実施形態では、非経口投与は皮下投与である。ある実施形態では、投与のための製剤は、食塩水中の化合物である。ある実施形態では、化合物は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号25、80、86、87、115、120、122、及び124に記載する核酸塩基配列から選択される核酸塩基配列の少なくとも12個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む。ある実施形態では、製剤は、安定剤、又は脂質剤を含む付加的な安定剤を含まない。
ある実施形態では、投与は非経口投与である。ある実施形態では、非経口投与は頭蓋内投与である。ある実施形態では、頭蓋内投与は、脳内投与、髄腔内投与、室内投与、室投与、内脳室投与、脳室内投与、脳室投与である。
ある実施形態は、さらに、動物におけるトランスサイレチンmRNA又はタンパク質の発現を減少させるために本明細書に記載する化合物又は組成物を動物に投与することを含む、動物におけるトランスサイレチンmRNA又はタンパク質の発現を減少させる方法を提供する。ある実施形態では、動物はヒトである。ある実施形態では、トランスサイレチンmRNA又はタンパク質の発現の減少は、トランスサイレチンアミロイドーシスの進行を予防、治療、改善、又は遅延する。
ある実施形態は、トランスサイレチン関連疾患を有するヒトを特定し、該ヒトに本明細書に記載する治療上有効量の化合物又は組成物を投与することを含む、トランスサイレチン関連疾患を有するヒトの治療方法を提供する。ある実施形態では、治療は、以下からなる群から選択される症状を緩和する:不穏、協調運動障害、眼振、痙性対麻痺、筋協調障害、視覚障害、不眠症、異常感覚、ミオクローヌス、失明、失語症、手根管症候群、発作、くも膜下出血、脳卒中及び脳内出血、水頭症、運動失調、痙性麻痺、昏睡、感覚性ニューロパチー、知覚異常、感覚鈍麻、運動ニューロパチー、自律神経ニューロパチー、起立性低血圧、反復性便秘、反復性下痢、嘔気、嘔吐、発汗減少、性交不能、胃排出遅延、尿閉、尿失禁、進行性心疾患、疲労、息切れ、体重減少、食欲不振、知覚麻痺、刺痛、脱力、舌肥大、ネフローゼ症候群、鬱血性心不全、労作性呼吸困難、末梢性浮腫、不整脈、動悸、朦朧状態、失神、体位性低血圧、末梢神経疾患、感覚運動障害、下肢ニューロパチー、上肢ニューロパチー、痛覚過敏、温度感覚異常、下肢脱力、悪液質、末梢性浮腫、肝腫大、紫斑、拡張機能障害、心室性期外収縮、脳ニューロパチー、深部腱反射減弱、硝子体のアミロイド沈着、硝子体混濁、ドライアイ、緑内障、瞳孔における波状の外見、水分貯留による足の浮腫。ある実施形態では、症状は、以下からなる群から選択される認知症状である:記憶障害、判断力障害、思考障害、計画力障害、柔軟性障害、抽象的思考障害、ルール獲得力障害、適切な行動を取る能力の障害、不適切な行動を抑制する能力の障害、短期記憶障害、長期記憶障害、偏執病、見当識障害、錯乱、幻覚、及び痴呆。ある実施形態では、症状は、以下からなる群から選択される精神症状である:痴呆;不安、抑鬱、情動鈍麻、自己中心性、攻撃性、強迫行動、被刺激性、人格変化(記憶障害、判断力障害及び思考障害を含む)、及び自殺念慮。
さらなる実施形態は、心アミロイドーシスを引き起こすトランスサイレチンアミロイドーシスを有するヒトに治療を行い、本明細書に記載する治療上有効量の化合物又は組成物を該ヒトに投与する方法を提供する。ある実施形態では、治療は、以下からなる群から選択される症状を緩和する:鬱血性心不全、心肥大、労作性呼吸困難、末梢性浮腫、不整脈、動悸、朦朧状態、失神、重度の体位性低血圧を引き起こし得る末梢血管系の内皮下層内の沈着、拡張機能障害、心ブロック、心室性期外収縮、及び種々の頻脈性不整脈。
さらなる実施形態は、末梢性神経障害を引き起こすトランスサイレチンアミロイドーシスを有するヒトに治療を行い、本明細書に記載する治療上有効量の化合物又は組成物を該ヒトに投与する方法を提供する。ある実施形態では、治療は、以下からなる群から選択される症状を緩和する:末梢神経疾患、感覚運動障害、下肢ニューロパチー、上肢ニューロパチー、痛覚過敏、温度感覚異常、下肢脱力、疼痛、しばしば性機能障害又は泌尿器機能障害として現れる自律神経機能障害、対称感覚障害及び減弱、起立性低血圧、下痢、及び/又は性交不能。
さらなる実施形態は、消化器疾患を引き起こすトランスサイレチンアミロイドーシスを有するヒトに治療を行い、本明細書に記載する治療上有効量の化合物又は組成物を該ヒトに投与する方法を提供する。ある実施形態では、治療は、以下からなる群から選択される症状を緩和する:下痢、便秘、嘔気、嘔吐、及び関連する腎障害及び肝障害。
さらに、本明細書に記載する治療上有効量の化合物又は組成物をヒトに投与し、それによりトランスサイレチンアミロイドーシスを緩和又は予防することを含む、トランスサイレチンアミロイドーシスの緩和又は予防の方法を提供する。
さらに、本明細書に記載する治療上有効量の化合物又は組成物をヒトに投与し、それにより心疾患を緩和又は予防することを含む、心疾患の緩和又は予防の方法を提供する。さらに、本明細書に記載する治療上有効量の化合物又は組成物をヒトに投与し、それにより神経疾患を緩和又は予防することを含む、神経疾患の緩和又は予防の方法を提供する。さらに、本明細書に記載する治療上有効量の化合物又は組成物をヒトに投与し、それにより消化器疾患を緩和又は予防することを含む、消化器疾患の緩和又は予防の方法を提供する。
さらに、12〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドであって、配列番号1、2、又は4に特異的にハイブリダイズする修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を、それを必要とするヒトに投与し、それによりヒトにおけるトランスサイレチンアミロイドーシスの症状を改善することを含む、トランスサイレチンアミロイドーシスの症状を改善する方法を提供する。
さらに、12〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドであって、配列番号1、2、又は4に特異的にハイブリダイズする修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を、それを必要とするヒトに投与し、それによりヒトにおけるトランスサイレチンアミロイドーシスの症状の進行速度を遅らせることを含む、トランスサイレチンアミロイドーシスに関連する症状の進行速度を遅らせる方法を提供する。
さらに、12〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドであって、配列番号1、2、又は4に特異的にハイブリダイズする修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を、それを必要とするヒトに投与し、それによりヒトにおけるトランスサイレチンアミロイド病の症状が示す変性を後退させる、トランスサイレチンアミロイドーシスに関連する症状が示す変性を後退させる方法を提供する。
さらに、12〜30個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を、それを必要とするヒトに投与し、それによりヒトにおけるトランスサイレチンアミロイドーシスの症状を改善することを含む、トランスサイレチンアミロイドーシスの症状を改善する方法を提供する。
さらなる実施形態は、12〜30個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号80に記載する核酸塩基配列の少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を、それを必要とするヒトに投与し、それによりヒトにおけるトランスサイレチンアミロイドーシスの治療を行う、トランスサイレチンアミロイドーシスを有するヒトの治療方法を提供する。
ある実施形態では、症状は、身体症状、認知症状、精神症状、又は周辺症状である。ある実施形態では、症状は、以下からなる群から選択される身体症状である:不穏、協調運動障害、眼振、痙性対麻痺、筋協調障害、視覚障害、不眠症、異常感覚、ミオクローヌス、失明、失語症、手根管症候群、発作、くも膜下出血、脳卒中及び脳内出血、水頭症、運動失調、痙性麻痺、昏睡、感覚性ニューロパチー、知覚異常、感覚鈍麻、運動ニューロパチー、自律神経ニューロパチー、起立性低血圧、反復性便秘、反復性下痢、嘔気、嘔吐、発汗減少、性交不能、胃排出遅延、尿閉、尿失禁、進行性心疾患、疲労、息切れ、体重減少、食欲不振、知覚麻痺、刺痛、脱力、舌肥大、ネフローゼ症候群、鬱血性心不全、労作性呼吸困難、末梢性浮腫、不整脈、動悸、朦朧状態、失神、体位性低血圧、末梢神経疾患、感覚運動障害、下肢ニューロパチー、上肢ニューロパチー、痛覚過敏、温度感覚異常、下肢脱力、悪液質、末梢性浮腫、肝腫大、紫斑、拡張機能障害、心室性期外収縮、脳ニューロパチー、深部腱反射減弱、硝子体のアミロイド沈着、硝子体混濁、ドライアイ、緑内障、瞳孔における波状の外見、水分貯留による足の浮腫。
ある実施形態では、症状は、以下からなる群から選択される認知症状である:記憶障害、判断力障害、思考障害、計画力障害、柔軟性障害、抽象的思考障害、ルール獲得力障害、適切な行動を取る能力の障害、不適切な行動を抑制する能力の障害、短期記憶障害、長期記憶障害、偏執病、見当識障害、錯乱、幻覚、及び痴呆。ある実施形態では、症状は、以下からなる群から選択される精神症状である:痴呆;不安、抑鬱、情動鈍麻、自己中心性、攻撃性、強迫行動、被刺激性、人格変化(記憶障害、判断力障害及び思考障害を含む)、及び自殺念慮。
ある実施形態では、症状は、少なくとも一つの身体症状、少なくとも一つの認知症状、少なくとも一つの精神症状、及び少なくとも一つの周辺症状の少なくとも一つである。
ある実施形態では、身体症状は以下からなる群から選択される:不穏、協調運動障害、無意識的に起きる動作、無意識的に中断される動作、歩行不安定、舞踏病、固縮、苦悶動作、異常肢位、不安定性、異常顔貌、咀嚼困難、嚥下困難、発話困難、発作、及び睡眠障害。
ある実施形態では、認知症状は以下からなる群から選択される:記憶障害、判断力障害、思考障害、計画力障害、柔軟性障害、抽象的思考障害、ルール獲得力障害、適切な行動を取る能力の障害、不適切な行動を抑制する能力の障害、短期記憶障害、長期記憶障害、偏執病、見当識障害、錯乱、幻覚、及び痴呆。
ある実施形態では、精神症状は以下からなる群から選択される:痴呆;不安、抑鬱、情動鈍麻、自己中心性、攻撃性、強迫行動、被刺激性、人格変化(記憶障害、判断力障害及び思考障害を含む)、及び自殺念慮。
ある実施形態では、周辺症状は以下からなる群から選択される:脳質量減少、筋萎縮、心不全、耐糖能障害、体重減少、骨粗鬆症、及び精巣萎縮。
また、中枢神経系関連疾患の治療、予防、又は改善のための薬剤を調製するための方法及び化合物も提供する。
ある実施形態は、トランスサイレチンアミロイドーシスの治療、改善、又は予防のための薬剤の製造における、本明細書に記載する化合物の使用を提供する。
ある実施形態は、本明細書に記載する付加的な薬剤又は療法との併用療法による、本明細書に記載するトランスサイレチンアミロイドーシスの治療、予防、又は改善における使用のための、本明細書に記載する化合物を提供する。薬剤又は療法は、共投与又は併用して投与することができる。
ある実施形態は、本明細書に記載する付加的な薬剤又は療法との併用療法による、本明細書に記載するトランスサイレチンアミロイドーシスの治療、予防、又は改善のための薬剤の製造における、本明細書に記載する化合物の使用を提供する。薬剤又は療法は、共投与又は併用して投与することができる。
ある実施形態は、本明細書に記載する付加的な薬剤又は療法の投与をそれに続いて受ける患者での本明細書に記載するトランスサイレチンアミロイドーシスの治療、予防、又は改善のための薬剤の製造における、本明細書に記載する化合物の使用を提供する。
ある実施形態は、本明細書に記載するトランスサイレチンアミロイドーシスの治療、予防、又は改善のためのキットであって、
(i)本明細書に記載する化合物;及び、選択的に、
(ii)本明細書に記載する付加的な薬剤又は療法
を含むキットを提供する。
本明細書に記載するキットは、さらに、本明細書に記載する併用療法により本明細書に記載するトランスサイレチンアミロイドーシスを治療、予防、又は改善するための該キットの使用の説明を含む場合がある。
アンチセンス化合物
オリゴマー化合物には、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオチド模倣剤、アンチセンス化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びsiRNAが含まれるが、これらに限定されない。オリゴマー化合物は、標的核酸に対して「アンチセンス」、すなわち、水素結合を介して標的核酸にハイブリダイゼーションすることができる場合がある。
ある実施形態では、アンチセンス化合物は、5’から3’への方向で示した場合、標的とする標的核酸の標的セグメントに対する逆相補体を含む核酸塩基配列を有する。特定のそのような実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’から3’への方向で示した場合、標的とする標的核酸の標的セグメントに対する逆相補体を含む核酸塩基配列を有する。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、12〜30個のヌクレオチドの長さである。言い換えれば、アンチセンス化合物は、12〜30個の連結した核酸塩基である。その他の実施形態では、アンチセンス化合物は、8〜80、12〜50、12〜30、15〜30、18〜24、18〜21、19〜22、又は20個の連結した核酸塩基からなる修飾オリゴヌクレオチドを含む。特定のそのような実施形態では、アンチセンス化合物は、長さが8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、又は80個、又は前記個数のうちのいずれか2つによって定められる範囲である、連結した核酸塩基からなる修飾オリゴヌクレオチドを含む。
ある実施形態では、アンチセンス化合物は、短縮又は切断された修飾オリゴヌクレオチドを含む。短縮又は切断された修飾オリゴヌクレオチドは、1つのヌクレオシドが、5’端から欠失(5’切断)、あるいは3’端から欠失(3’切断)している。短縮又は切断された修飾オリゴヌクレオチドは、5’端から2つのヌクレオシドが欠失していてもよく、あるいは、3’端から2つのサブユニットが欠失していてもよい。あるいは、欠失するヌクレオシドは修飾オリゴヌクレオチド中に分散していてもよく、例えば、5’端から1つのヌクレオシドが欠失し、3’端から1つのヌクレオシドが欠失したアンチセンス化合物がある。
延長されたオリゴヌクレオチドで1つの付加ヌクレオシドが存在する場合、付加ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの5’端又は3’端に位置することができる。2つ以上の付加ヌクレオシドが存在する場合、付加ヌクレオシドは互いに隣接してもよく、例えば、2つのヌクレオシドがオリゴヌクレオチドの5’端に付加(5’付加)、あるいは、3’端に付加(3’付加)したオリゴヌクレオチドがある。あるいは、付加ヌクレオシドは、アンチセンス化合物中に分散していてもよく、例えば、5’端に1つのヌクレオシドが付加し、3’端に1つのサブユニットが付加したオリゴヌクレオチドがある。
アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス化合物は、活性を消失することなく、その長さを増加又は減少させ、及び/又は、ミスマッチ塩基を導入することが可能である。例えば、Woolfら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7305-7309, 1992)では、13〜25核酸塩基長の一連のアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、卵母細胞注射モデルにおける標的RNAの開裂を誘導する能力が試験されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端近くに8又は11個のミスマッチ塩基を有する25核酸塩基長のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含有しないアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも低い程度ではあるが、標的mRNAの特異的開裂を誘導可能であった。同様に、標的特異的な開裂は、1又は3個のミスマッチを有するものを含む13核酸塩基長のアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることでも達成されている。
Gautschiら(J. Natl. Cancer Inst. 93:463-471, March 2001)では、bcl−2 mRNAに対して100%の相補性を有し、かつbcl−xL mRNAに対して3個のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドは、インビトロ及びインビボで、blc−2とbcl−xLの両方の発現を減少させることが示されている。さらに、このオリゴヌクレオチドは、インビボで強い抗腫瘍活性を示している。
Maher and Dolnick(Nuc. Acid. Res. 16:3341-3358,1988)では、一連の縦列型14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びそれぞれ2又は3個の縦列型アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列で構成される28及び42核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、ウサギ網状赤血球アッセイにおいて、ヒトDHFRの翻訳を停止させる能力が試験されている。3つの14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドは、28又は42核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも低いレベルではあるが、それぞれ単独で翻訳の阻害が可能であった。
アンチセンス化合物モチーフ
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、阻害活性の増強、標的核酸への結合親和性の増加、又はインビボでのヌクレアーゼによる分解への耐性などの性質を、アンチセンス化合物に付与するようなパターン又はモチーフで配置された、化学修飾されたサブユニットを有する。
キメラアンチセンス化合物は、一般的には、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取込みの増加、標的核酸への結合親和性の増加、及び/又は阻害活性の増加をもたらすように修飾された、少なくとも1つの領域を含有する。キメラアンチセンス化合物の第2の領域は、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を開裂する細胞エンドヌクレアーゼRNaseHの基質として機能してもよい。
ギャップマーモチーフを有するアンチセンス化合物は、キメラアンチセンス化合物として考えられる。ギャップマーでは、RNaseH開裂を補助する、複数のヌクレオチド又は連結したヌクレオシドを有する内部領域が、内部領域のヌクレオチド又は連結したヌクレオシドとは化学的に異なる複数のヌクレオチド又は連結したヌクレオシドを有する外側領域の間に位置する。ギャップマーモチーフを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合、ギャップセグメントは、一般的にエンドヌクレアーゼ切断のための基質として機能し、一方、ウイングセグメントは修飾ヌクレオシドを含む。ある実施形態では、ギャップマーの領域は、それぞれの異なる領域を構成する糖部分のタイプによって区別される。ギャップマーの領域を区別するために用いられる糖成分のタイプとしては、いくつかの実施形態では、β−D−リボヌクレオシド、β−D−デオキシリボヌクレオシド、2’−修飾ヌクレオシド(そのような2’−修飾ヌクレオシドとしては、例えば2’−MOE及び2’−O−CH3などが挙げられる)、及び二環式糖修飾ヌクレオシド(そのような二環式糖修飾ヌクレオシドとしては、例えば4’−(CH2)n−O−2’架橋(n=1又はn=2)を有するものが挙げられる)などがある。好ましくは、それぞれの異なる領域は、一様な糖部分を含む。ウイング−ギャップ−ウイングモチーフは、しばしば「X−Y−Z」と記載され、その場合、「X」は5’ウイング領域の長さを表し、「Y」はギャップ領域の長さを表し、「Z」は3’ウイング領域の長さを表す。本明細書において、「X−Y−Z」と記載されるギャップマーは、ギャップセグメントが5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントのそれぞれに直接隣接して位置するような構成を有する。したがって、5’ウイングセグメントとギャップセグメントの間、又はギャップセグメントと3’ウイングセグメントの間には、介在ヌクレオチドは存在しない。本明細書に記載するアンチセンス化合物は、いずれもギャップマーモチーフを有することができる。いくつかの実施形態ではXとZは同一であり、その他の実施形態ではそれらは異なる。好ましい一実施形態では、Yは8〜15個のヌクレオチドである。X、Y又はZは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、又はそれ以上のヌクレオチドのいずれであってもよい。したがって、ギャップマーには、例えば、5−10−5、4−8−4、4−12−3、4−12−4、3−14−3、2−13−5、2−16−2、1−18−1、3−10−3、2−10−2、1−10−1、2−8−2、6−8−6、又は5−8−5が含まれるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、アンチセンス化合物が、ウイング−ギャップ又はギャップ−ウイングの構成、すなわち、ギャップマーの構成に関して上述したX−Y又はY−Zの構成を有する「ウイングマー」モチーフを有する。したがって、ウイングマーの構成には、例えば、5−10、8−4、4−12、12−4、3−14、16−2、18−1、10−3、2−10、1−10、8−2、2−13、又は5−13が含まれるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、5−10−5ギャップマーモチーフを有する。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、6−8−6ギャップマーモチーフを有する。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、5−8−5ギャップマーモチーフを有する。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、ギャップ拡大型モチーフを有する。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするギャップ拡大型アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5個の化学修飾ヌクレオシドからなるウイングセグメントの間に直接隣接して位置する、10個の2’−デオキシリボヌクレオチドからなるギャップセグメントを有する。ある実施形態では、化学修飾は2’−糖修飾を含む。別の実施形態では、化学修飾は2’−MOE糖修飾を含む。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするギャップ拡大型アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5個の化学修飾ヌクレオシドからなるウイングセグメントの間に直接隣接して位置する、8個の2’−デオキシリボヌクレオチドからなるギャップセグメントを有する。ある実施形態では、化学修飾は2’−糖修飾を含む。別の実施形態では、化学修飾は2’−MOE糖修飾を含む。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするギャップ拡大型アンチセンスオリゴヌクレオチドは、6個の化学修飾ヌクレオシドからなるウイングセグメントの間に直接隣接して位置する、8個の2’−デオキシリボヌクレオチドからなるギャップセグメントを有する。ある実施形態では、化学修飾は2’−糖修飾を含む。別の実施形態では、化学修飾は2’−MOE糖修飾を含む。
標的核酸、標的領域及びヌクレオチド配列
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸は、以下に記載される配列のいずれかである:GENBANKアクセッション番号NM_000371.2、GENBANK(登録商標)に2008年2月13日に初めて登録(本明細書に配列番号1として組み入れられる)、2009236〜2017289番目のヌクレオチドで切り取られたGENBANKアクセッション番号NT_010966.10、GENBANK(登録商標)に2002年8月1日に初めて登録(本明細書に配列番号2として組み入れられる);ヒトエクソンとの類似性に基づき、アカゲザルゲノム配列GENBANKアクセッション番号NW_001105671.1から取り出したエクソン1〜4;及び、628000〜638000番目のヌクレオチドで切り取られたGENBANKアクセッション番号NW_001105671.1、GENBANK(登録商標)に2006年3月28日に初めて登録(本明細書に配列番号4として組み入れられる)。
本明細書の実施例において、各配列番号に記載される配列は、糖部分、ヌクレオシド間結合、又は核酸塩基へのいかなる修飾にも影響を受けないと解釈される。そのため、ある配列番号によって定義されるアンチセンス化合物は、独立して、糖部分、ヌクレオシド間結合、又は核酸塩基への1つ以上の修飾を含むことができる。ISIS番号(Isis Number(Isis No)又はISIS NO)で記載されるアンチセンス化合物は、核酸塩基配列とモチーフの組み合わせを示す。
ある実施形態では、標的領域は、標的核酸の構造的に定義された領域である。例えば、標的領域は、3’UTR、5’UTR、エクソン、イントロン、エクソン/イントロン接合部、コーディング領域、翻訳開始領域、翻訳終結領域、又はその他の定義された核酸領域を包含し得る。トランスサイレチンの構造的に定義された領域は、NCBIなどの配列データベースからアクセッション番号によって入手することができ、そのような情報は参照により本明細書に組み入れられる。ある実施形態では、標的領域は、標的領域内の1つの標的セグメントの5’標的部位から、標的領域内の別の標的セグメントの3’標的部位までの配列を包含し得る。
標的化は、アンチセンス化合物がハイブリダイズして所望の効果が生じる、少なくとも1つの標的セグメントの決定を含む。ある実施形態では、所望の効果は、mRNA標的核酸レベルの低減である。ある実施形態では、所望の効果は、標的核酸がコードするタンパク質のレベルの低減、又は標的核酸に関連する表現型の変化である。
標的領域は1つ以上の標的セグメントを含有し得る。標的領域内の複数の標的セグメントは部分的に重なり合っていてもよい。あるいは、重なり合っていなくてもよい。ある実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、約300より多いのヌクレオシドで隔てられることはない。ある実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、標的核酸上の250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10個のヌクレオチド、およそその数のヌクレオチド、それ以下の数のヌクレオチド、およそそれ以下の数のヌクレオチド、又は、上記の数のいずれか2つによって定められる範囲の数のヌクレオチドで、隔てられる。ある実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、標的核酸上の5個以下又は約5個以下のヌクレオチドで隔てられる。ある実施形態では、標的セグメントは連続している。考えられるものとして、本明細書に記載する5’標的部位又は3’標的部位のいずれかである、開始核酸を有する範囲によって定められる標的領域がある。
適切な標的セグメントは、5’UTR、コーディング領域、3’UTR、イントロン、エクソン、又はエクソン/イントロン接合部内に見いだすことができる。開始コドン又は終止コドンを含有する標的セグメントも、適切な標的セグメントである。適切な標的セグメントは、例えば開始コドン又は終止コドンなど、特定の構造的に定義された領域を、特異的に除外することもできる。
適切な標的セグメントの決定には、標的核酸の配列と、ゲノム全体の他の配列との比較が含まれ得る。例えば、BLASTアルゴリズムを使って、異なる核酸間で類似性を有する領域を特定することができる。この比較により、選択した標的核酸以外の配列(すなわち非標的配列又は標的外配列)に非特異的にハイブリダイズする可能性のあるアンチセンス化合物配列の選択を防ぐことができる。
活性標的領域内でのアンチセンス化合物の活性(例えば、標的核酸レベルの低下パーセントによって定義される)には、ばらつきがあり得る。ある実施形態では、トランスサイレチンmRNAレベルの低下は、トランスサイレチン発現の阻害を示す。また、トランスサイレチンタンパク質のレベルの低下は、標的mRNA発現の阻害を示す。さらに、表現型の変化は、トランスサイレチン発現の阻害を示す。測定可能な表現型の変化としては、例えば、脳の大きさの正常までの増加、運動協調性の改善、頻繁な筋痙縮(ジストニア)の減少、被刺激性及び/又は不安の減少、記憶力の改善、又は精力の増加などがある。例えばトランスサイレチンアミロイドーシスに関連する症状などのその他の表現型の兆候も、以下に記載するように測定することが可能である。
ハイブリダイゼーション
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するアンチセンス化合物とトランスサイレチン核酸との間でハイブリダイゼーションが起こる。最も一般的なハイブリダイゼーションの機序には、核酸分子の相補的核酸塩基間の水素結合形成(例えばワトソン−クリック型、フーグスティーン型又は逆フーグスティーン型水素結合形成)が関与する。
ハイブリダイゼーションは様々な条件下で起こり得る。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、ハイブリダイズさせようとする核酸分子の性質及び組成によって決まる。
ある配列が標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能であるかどうかを決定する方法は、当該技術分野で周知である。ある実施形態では、本明細書に記載するアンチセンス化合物は、トランスサイレチン核酸と特異的にハイブリダイズ可能である。
相補性
アンチセンス化合物の十分な数の核酸塩基が、所望の効果(例えば、トランスサイレチン核酸などの標的核酸のアンチセンス阻害)を生じる形で、標的核酸の対応する核酸塩基と水素結合することができる場合、そのアンチセンス化合物と標的核酸は互いに相補的である。
アンチセンス化合物は、介在又は隣接するセグメントがハイブリダイゼーションに関与しない形(例えば、ループ構造、ミスマッチ又はヘアピン構造)で、トランスサイレチン核酸の1つ以上のセグメントにわたってハイブリダイズすることができる。
ある実施形態では、本明細書に記載するアンチセンス化合物又はその特定の部分は、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%、若しくは少なくともその割合で、トランスサイレチン核酸、その標的領域、標的セグメント又は特定の部分に対して相補的である。アンチセンス化合物の標的核酸に対する相補性パーセントは、常法によって決定することができる。
例えば、アンチセンス化合物の20個の核酸塩基のうち18個が標的領域に相補的であって、そのため特異的にハイブリダイズすると考えられるアンチセンス化合物は、相補性パーセントが90%である。この例の場合、残りの非相補的核酸塩基は、相補的核酸塩基と集合しているか分散していてもよく、互いに又は相補的核酸塩基と連続していなくてもよい。したがって、18核酸塩基の長さで、標的核酸塩基と完全に相補的な2つの領域に挟まれた4個の非相補的核酸塩基を有するアンチセンス化合物は、標的核酸に対して77.8%の全相補性を有し、したがって本発明の範囲に含まれる。アンチセンス化合物と標的核酸のある領域との相補性パーセントは、常法により、当該技術分野で公知のBLASTプログラム(基本的な局所アライメントサーチツール)及びPowerBLASTプログラムを用いて決定することができる(Altschul et al., J. Mol. Biol., 1990, 215, 403 410; Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649 656)。相同性パーセント、配列同一性パーセント又は相補性パーセントは、例えば、Smith and Waterman(Adv. Appl. Math., 1981, 2, 482 489)のアルゴリズムを用いるギャッププログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix, Genetics Computer Group, University Research Park, Madison Wis.)により、デフォルト設定で決定することができる。
ある実施形態では、本明細書に記載するアンチセンス化合物又はその特定の部分は、標的核酸又はその特定の部分に、完全に相補的(すなわち100%相補的)である。例えば、アンチセンス化合物は、トランスサイレチン核酸、その標的領域、標的セグメント又は標的配列に、完全に相補的である場合がある。本明細書において、「完全に相補的」とは、アンチセンス化合物の各核酸塩基が、標的核酸の対応する核酸塩基と正確な塩基対形成ができることを意味する。例えば、400核酸塩基長の標的配列に関して、20核酸塩基のアンチセンス化合物は、該アンチセンス化合物に完全に相補的な対応する20核酸塩基部分が標的核酸に存在すれば、該400核酸塩基長の標的配列に完全に相補的である。また、完全に相補的とは、第1及び/又は第2核酸の特定の部分についても用いることができる。例えば、30核酸塩基のアンチセンス化合物の20核酸塩基部分が、400核酸塩基長の標的配列に「完全に相補的」であることができる。30核酸塩基のオリゴヌクレオチドの20核酸塩基部分は、標的配列が、対応する20核酸塩基部分であって、各核酸塩基がアンチセンス化合物の20核酸塩基部分に相補的である部分を有する場合、標的配列に完全に相補的である。同時に、その30核酸塩基のアンチセンス化合物全体は、そのアンチセンス化合物の残りの10核酸塩基も標的配列に相補的であるかどうかによって、標的配列に対して完全に相補的である場合も、完全には相補的でない場合もあり得る。
非相補的核酸塩基の位置は、アンチセンス化合物の5’端又は3’端であってもよい。あるいは、非相補的核酸塩基又は核酸塩基は、アンチセンス化合物の内部部分に位置してもよい。2個以上の非相補的核酸塩基が存在する場合、それらは連続して(すなわち、連結されて)いてもよく、連続していなくてもよい。一実施形態では、非相補的核酸塩基は、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのウイングセグメント中に位置する。
ある実施形態では、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20核酸塩基長、又は最大でその核酸塩基長であるアンチセンス化合物は、トランスサイレチン核酸などの標的核酸又はその特定の部分に関して、4個より多く、3個より多く、2個より多く、又は1個より多い非相補的核酸塩基を含むことはない。
ある実施形態では、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、若しくは30核酸塩基長、又は最大でその核酸塩基長であるアンチセンス化合物は、トランスサイレチン核酸などの標的核酸又はその特定の部分に関して、6個より多く、5個より多く、4個より多く、3個より多く、2個より多く、又は1個より多い非相補的核酸塩基を含むことはない。
本明細書に記載するアンチセンス化合物は、標的核酸の一部分に相補的であるものも含む。本明細書において、「部分」とは、標的核酸のある領域又はセグメント内の所定数の連続する(すなわち連結した)核酸塩基を意味する。「部分」は、アンチセンス化合物の所定数の連続する核酸塩基を意味することもある。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも8核酸塩基部分に相補的である。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも12核酸塩基部分に相補的である。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも15核酸塩基部分に相補的である。また、標的セグメントの少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個若しくはそれ以上、又はこれらの個数のいずれか2つによって定められる範囲の核酸塩基部分に相補的であるアンチセンス化合物が考えられる。
同一性
本明細書に記載するアンチセンス化合物は、特定のヌクレオチド配列、配列番号、若しくは特定のISIS番号で表される化合物、又はそれらの一部分に対して、所定の同一性パーセントを有することがある。本明細書において、アンチセンス化合物が本明細書に開示する配列と同じ核酸塩基対合形成能を有する場合、そのアンチセンス化合物は該配列と同一である。例えば、開示するDNA配列中のチミジンの代わりにウラシルを含有するRNAでは、ウラシルとチミジンはどちらもアデニンと対を形成するため、そのDNA配列と同一であるとみなされる。本明細書に記載するアンチセンス化合物の短縮型及び延長型、ならびに本明細書に記載するアンチセンス化合物と比較して非同一塩基を有する化合物も企図される。非同一塩基は、互いに隣接していてもよいし、アンチセンス化合物中に分散していてもよい。アンチセンス化合物の同一性パーセントは、比較対象である配列と比較して同一の塩基対形成を有する塩基の数によって算出される。
ある実施形態では、アンチセンス化合物又はその一部分は、本明細書に開示するアンチセンス化合物若しくは配列番号、又はその一部分の1つ以上に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である。
修飾
ヌクレオシドは塩基−糖の組み合わせである。ヌクレオシドの核酸塩基(塩基とも呼ばれる)部分は通常はヘテロ環塩基部分である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合されたリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドの場合、リン酸基は糖の2’、3’又は5’ヒドロキシル部分に連結することができる。オリゴヌクレオチドは、隣接ヌクレオシドが互いに共有結合されて線状のポリマー状オリゴヌクレオチドを形成することによって形成される。オリゴヌクレオチド構造内では、リン酸基は一般にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合を形成するとされる。
アンチセンス化合物に対する修飾には、ヌクレオシド間結合、糖部分、又は核酸塩基の置換又は改変が包含される。修飾アンチセンス化合物は、例えば、細胞取込みの向上、核酸標的に対する親和性の向上、ヌクレアーゼ存在下での安定性の増強、又は阻害活性の増強などの望ましい性質を有するため、ネイティブ型よりも好ましいことが多い。
化学修飾ヌクレオシドについても、短縮型又は切断型アンチセンスオリゴヌクレオチドの標的核酸に対する結合親和性を増強させるために用いることができる。その結果、そのような化学修飾ヌクレオシドを有する、より短いアンチセンス化合物で、同等の結果が得られる場合が多い。
修飾ヌクレオシド間結合
RNA及びDNAの天然のヌクレオシド間結合は、3’‐5’ホスホジエステル結合である。1つ以上の修飾された、すなわち非天然のヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物は、例えば、細胞取込みの向上、標的核酸に対する親和性の向上、ヌクレアーゼ存在下での安定性の増強などの望ましい性質を有するため、天然のヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物によりも優先して選択される場合が多い。
修飾ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドには、リン原子を保持するヌクレオシド間結合、ならびにリン原子を持たないヌクレオシド間結合が含まれる。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、及びホスホロチオエートが含まれるが、これらに限定されない。リン含有結合及び非リン含有結合の形成方法は公知である。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む。ある実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。ある実施形態では、アンチセンス化合物の各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
修飾糖部分
本発明のアンチセンス化合物は、糖基が修飾されている1つ以上のヌクレオシドを含有してもよい。そのような糖修飾ヌクレオシドは、ヌクレアーゼ安定性の向上、結合親和性の増強、又はその他の有益な生物学的性質を、アンチセンス化合物に付与し得る。ある実施形態では、ヌクレオシドは化学修飾されたリボフラノース環部分を含む。化学修飾リボフラノース環の例としては、置換基の付加(5’及び2’置換基を含む)、非ジェミナル環原子の架橋による二環式核酸(BNA)の形成、リボシル環酸素原子のS、N(R)、又はC(R1)(R2)(R、R1、R2は、それぞれ独立して、H、C1−C12アルキル又は保護基を表す)による置換、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。化学修飾糖の例としては、2’−F−5’−メチル置換ヌクレオシド(他の開示されている5’,2’−ビス置換ヌクレオシドについては、PCT国際出願第2008/101157号(公開日2008年8月21日)を参照)、又は、リボシル環酸素原子のSによる置き換えと2’位におけるさらなる置換(公開米国特許出願第2005−0130923号(公開日2005年6月16日)参照)、あるいは、BNAの5’−置換(PCT国際出願第2007/134181号(公開日2007年11月22日)参照;ここでは、LNAが例えば5’−メチル基又は5’−ビニル基で置換される)が含まれる。
修飾糖部分を有するヌクレオシドの例としては、5’−ビニル、5’−メチル(R又はS)、4’−S、2’−F、2’−OCH3、2’−OCH2CH3、2’−OCH2CH2F、及び2’−O(CH2)2OCH3置換基を含むヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。また、2’位の置換基は、以下から選択することができる:アリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C1−C10アルキル、OCF3、OCH2F、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2−O−N(Rm)(Rn)、O−CH2−C(=O)−N(Rm)(Rn)、及びO−CH2−C(=O)−N(R1)−(CH2)2−N(Rm)(Rn)(R1、Rm及びRnは、それぞれ独立して、H又は置換若しくは非置換のC1−C10アルキルである)。
本明細書において、「二環式ヌクレオシド」とは、二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを意味する。二環式ヌクレオシドの例としては、4’リボシル環原子と2’リボシル環原子の間の架橋を含むヌクレオシドが含まれるが、これに限定されない。ある実施形態では、本明細書に記載するアンチセンス化合物は、4’−2’架橋を含む1つ以上の二環式ヌクレオシドを含む。そのような4’−2’架橋を有する二環式ヌクレオシドの例としては、以下の式の一つが挙げられるがこれに限定されない:4’−(CH2)−O−2’(LNA);4’−(CH2)−S−2’;4’−(CH2)2−O−2’(ENA);4’−CH(CH3)−O−2’及び4’−CH(CH2OCH3)−O−2’(及びその類似体:米国特許第7,399,845号(発行日2008年7月15日)参照);4’−C(CH3)(CH3)−O−2’(及びその類似体:公開国際出願第2009/006478号(公開日2009年1月8日)参照);4’−CH2−N(OCH3)−2’(及びその類似体:公開国際出願第2008/150729号(公開日2008年12月11日)参照);4’−CH2−O−N(CH3)−2’(公開米国特許出願第2004−0171570号(公開日2004年9月2日)参照);4’−CH2−N(R)−O−2’、ここでRはH、C1−C12アルキル又は保護基を表す(米国特許第7,427,672号(発行日2008年9月23日)参照);4’−CH2−C(H)(CH3)−2’(Chattopadhyaya et al., J. Org. Chem., 2009, 74, 118-134参照);及び4’−CH2−C(=CH2)−2’(及びその類似体:公開国際出願第2008/154401号(公開日2008年12月8日)参照)。
二環式ヌクレオシドに関するさらなる研究報告については、公開された文献に見ることができる(例えば:Singh et al., Chem. Commun., 1998, 4, 455-456;Koshkin et al., Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630;Wahlestedt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 2000, 97, 5633-5638;Kumar et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222;Singh et al., J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039;Srivastava et al., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129(26)8362-8379;Elayadi et al., Curr. Opinion Invest. Drugs, 2001, 2, 558-561;Braasch et al., Chem. Biol., 2001, 8, 1-7;及びOrum et al., Curr. Opinion Mol. Ther., 2001, 3, 239-243;米国特許第6,268,490号;6,525,191号;6,670,461号、6,770,748号;6,794,499号;7,034,133号;7,053,207号;7,399,845;7,547,684号;及び7,696,345号;米国特許公開第2008−0039618号;2009−0012281号;米国特許シリアル番号第60/989,574号;61/026,995号;61/026,998号;61/056,564号;61/086,231号;61/097,787号;及び61/099,844号;公開PCT国際出願第1994/014226号;2004/106356号;2005/021570号;2007/134181号;2008/150729号;2008/154401号;及び2009/006478号を参照)。上記の各二環式ヌクレオシドは、1つ以上の立体化学的な糖配置を有して作製することができ、例えばα−L−リボフラノース及びβ−D−リボフラノースなどが含まれる(国際公開第99/14226号として1999年3月25日に公開された、PCT国際出願DK98/00393号を参照)。
ある実施形態では、BNAヌクレオシドの二環式糖部分は、ペントフラノシル糖部分の4’位と2’位の間に少なくとも一つの架橋を有する化合物であって、該架橋がそれぞれ以下から独立して選択される1つ又は2〜4つの連結した基を含む化合物を含むが、これらに限定されない:−[C(Ra)(Rb)]n−、−C(Ra)=C(Rb)−、−C(Ra)=N−、−C(=O)−、−C(=NRa)−、−C(=S)−、−O−、−Si(Ra)2−、−S(=O)x−、及び−N(Ra)−;
式中、
xは、0、1、又は2であり;
nは、1、2、3、又は4であり;
Ra及びRbは、それぞれ独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C1−C12アルキル、置換C1−C12アルキル、C2−C12アルケニル、置換C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、置換C2−C12アルキニル、C5−C20アリール、置換C5−C20アリール、ヘテロ環ラジカル、置換ヘテロ環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C5−C7脂環式ラジカル、置換C5−C7脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、COOJ1、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)2−J1)、又はスルホキシル(S(=O)−J1)であり;及び、
J1及びJ2は、それぞれ独立して、H、C1−C12アルキル、置換C1−C12アルキル、C2−C12アルケニル、置換C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、置換C2−C12アルキニル、C5−C20アリール、置換C5−C20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、ヘテロ環ラジカル、置換ヘテロ環ラジカル、C1−C12アミノアルキル、置換C1−C12アミノアルキル、又は保護基である。
ある実施形態では、二環式糖部分の架橋は、−[C(Ra)(Rb)]n−、−[C(Ra)(Rb)]n−O−、−C(RaRb)−N(R)−O−、又は−C(RaRb)−O−N(R)−である。ある実施形態では、架橋は、4’−CH2−2’、4’−(CH2)2−2’、4’−(CH2)3−2’、4’−CH2−O−2’、4’−(CH2)2−O−2’、4’−CH2−O−N(R)−2’、及び4’−CH2−N(R)−O−2’(Rは、それぞれ独立して、H、保護基、又はC1−C12アルキル)である。
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、さらに異性体配置によって定義される。例えば、4’−2’メチレン−オキシ架橋を含むヌクレオシドは、α−L配置であるか、又はβ−D配置である。すでに、α−L−メチレンオキシ(4’−CH2−O−2’)BNAは、アンチセンス活性を示すアンチセンスオリゴヌクレオチドに含まれている(Frieden et al., Nucleic Acids Research, 2003, 21, 6365-6372)。
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、以下に示す(A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)BNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)BNA、(C)エチレンオキシ(4’−(CH
2)
2−O−2’)BNA、(D)アミノオキシ(4’−CH
2−O−N(R)−2’)BNA、(E)オキシアミノ(4’−CH
2−N(R)−O−2’)BNA、(F)メチル(メチレンオキシ)(4’−CH(CH
3)−O−2’)BNA、(G)メチレン−チオ(4’−CH
2−S−2’)BNA、(H)メチレン−アミノ(4’−CH
2−N(R)−2’)BNA、(I)メチルカルボサイクリック(4’−CH
2−CH(CH
3)−2’)BNA、及び(J)プロピレンカルボサイクリック(4’−(CH
2)
3−2’)BNAを含むが、これらに限定されない。
式中、Bxは塩基部分であり、Rは独立してH、保護基、又はC
1−C
12アルキルである。
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式Iを有する:
式中、
Bxはヘテロ環塩基部分であり;
−Q
a−Q
b−Q
c−は、−CH
2−N(R
c)−CH
2−、−C(=O)−N(R
c)−CH
2−、−CH
2−O−N(R
c)−、−CH
2−N(R
c)−O−、又は−N(R
c)−O−CH
2であり;
R
cは、C
1−C
12アルキル又はアミノ保護基であり;そして、
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応性リン基、リン部分、又は支持体との共有結合である。
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式IIを有する:
式中、
Bxはヘテロ環塩基部分であり;
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応性リン基、リン部分、又は支持体との共有結合であり;
Z
aは、C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、置換C
1−C
6アルキル、置換C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルキニル、アシル、置換アシル、置換アミド、チオール、又は置換チオである。
一実施形態では、被置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJc、NJcJd、SJc、N3、OC(=X)Jc、及びNJeC(=X)NJcJdから独立して選択される置換基で単置換又は多置換されている(Jc、Jd、及びJeは、それぞれ独立して、H、C1−C6アルキル、又は置換C1−C6アルキルであり、Xは、O又はNJcである)。
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式IIIを有する:
式中、
Bxはヘテロ環塩基部分であり;
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応性リン基、リン部分、又は支持体との共有結合であり;
Z
bは、C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、置換C
1−C
6アルキル、置換C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルキニル、又は置換アシル(C(=O)−)である。
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式IVを有する:
式中、
Bxはヘテロ環塩基部分であり;
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応性リン基、リン部分、又は支持体との共有結合であり;
R
dは、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、又は置換C
2−C
6アルキニルであり;
q
a、q
b、q
c及びq
dは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、置換C
2−C
6アルキニル、C
1−C
6アルコキシル、置換C
1−C
6アルコキシル、アシル、置換アシル、C
1−C
6アミノアルキル、又は置換C
1−C
6アミノアルキルである。
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式Vを有する:
式中、
Bxはヘテロ環塩基部分であり;
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応性リン基、リン部分、又は支持体との共有結合であり;
q
a、q
b、q
e及びq
fは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1−C
12アルキル、置換C
1−C
12アルキル、C
2−C
12アルケニル、置換C
2−C
12アルケニル、C
2−C
12アルキニル、置換C
2−C
12アルキニル、C
1−C
12アルコキシ、置換C
1−C
12アルコキシ、OJ
j、SJ
j、SOJ
j、SO
2J
j、NJ
jJ
k、N
3、CN、C(=O)OJ
j、C(=O)NJ
jJ
k、C(=O)J
j、O−C(=O)NJ
jJ
k、N(H)C(=NH)NJ
jJ
k、N(H)C(=O)NJ
jJ
k、又はN(H)C(=S)NJ
jJ
kであり;
又は、q
e及びq
fは、一緒になって、=C(q
g)(q
h)であり;
q
g及びq
hは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C
1−C
12アルキル、又は置換C
1−C
12アルキルである。
メチレンオキシ(4’−CH2−O−2’)BNAモノマーのアデニン、シトシン、グアニン、5−メチル−シトシン、チミン、ウラシルの合成と作製、並びにそれらのオリゴマー化、及び核酸認識能については、すでに説明されている(Koshkin et al., Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630)。BNA及びその作製についても、国際公開第98/39352号及び99/14226号に記載されている。
メチレンオキシ(4’−CH2−O−2’)BNA及び2’−チオ−BNAの類似体もすでに作製されている(Kumar et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222)。核酸ポリメラーゼの基質としての、オリゴデオキシリボヌクレオチドを含む固定化ヌクレオシド類似体の作製も、すでに説明されている(Wengel et al., 国際公開第99/14226号)。さらに、新規の配座固定された高親和性オリゴヌクレオチド類似体である2’−アミノ−BNAの合成についても、当該技術分野で説明されている(Singh et al., J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039)。また、2’−アミノ−BNA及び2’−メチルアミノ−BNAはすでに作製されており、相補的RNA及びDNA鎖とそれらの二本鎖の熱安定性についてもすでに報告されている。
ある実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式VIを有する:
式中、
Bxはヘテロ環塩基部分であり;
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応性リン基、リン部分、又は支持体との共有結合であり;
q
i、q
j、q
k及びq
lは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C
1−C
12アルキル、置換C
1−C
12アルキル、C
2−C
12アルケニル、置換C
2−C
12アルケニル、C
2−C
12アルキニル、置換C
2−C
12アルキニル、C
1−C
12アルコキシル、置換C
1−C
12アルコキシル、OJ
j、SJ
j、SOJ
j、SO
2J
j、NJ
jJ
k、N
3、CN、C(=O)OJ
j、C(=O)NJ
jJ
k、C(=O)J
j、O−C(=O)NJ
jJ
k、N(H)C(=NH)NJ
jJ
k、N(H)C(=O)NJ
jJ
k、又はN(H)C(=S)NJ
jJ
kであり;そして、
q
i及びq
j、又は、q
l及びq
kは、一緒になって、=C(q
g)(q
h)であって、q
g及びq
hは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C
1−C
12アルキル、又は置換C
1−C
12アルキルである。
4’−(CH2)3−2’架橋及びアルケニル類似架橋4’−CH=CH−CH2−2’を有する炭素環式二環式ヌクレオシドは、すでに説明されている(Freier et al., Nucleic Acids Research, 1997, 25(22), 4429-4443及びAlbaek et al., J. Org. Chem., 2006, 71, 7731-7740)。炭素環式二環式ヌクレオシドの合成と作製、並びにそれらのオリゴマー化、及び生化学的研究についても、すでに説明されている(Srivastava et al., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129(26), 8362-8379)。
本明細書において、「4’−2’二環式ヌクレオシド」又は「4’〜2’二環式ヌクレオシド」は、フラノース環の2つの炭素原子を結合する架橋が糖環の2’炭素原子と4’炭素原子を結合していることを含むフラノース環を含む、二環式ヌクレオシドを意味する。
本明細書において、「単環式ヌクレオシド」は、二環式糖部分ではない修飾糖部分を含むヌクレオシドを意味する。ある実施形態では、ヌクレオシドの糖部分又は糖部分類似体は、任意の位置で修飾又は置換されていてもよい。
本明細書において、「2’−修飾糖」は、2’位で修飾されたフラノシル糖を意味する。ある実施形態では、そのような修飾は、以下から選択される置換基を含む:置換及び非置換アルコキシ、置換及び非置換チオアルキル、置換及び非置換アミノアルキル、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換アリル、並びに置換及び非置換アルキニルを含むがこれらに限定されない、ハロゲン化物。ある実施形態では、2’修飾は、以下のものを含む置換基から選択されるが、これらに限定されない:O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nF、O(CH2)nONH2、OCH2C(=O)N(H)CH3、及びO(CH2)nON[(CH2)nCH3]2(n及びmは、1から約10である)。その他の2’−置換基は、以下から選択することができる:C1−C12アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリル、又はO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、F、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA開裂基、レポーター基、インターカレーター、薬物動態学的性状の改善のための基、又はアンチセンス化合物の薬力学的性状の改善のための基、及び、同様の性質を持つその他の置換基。ある実施形態では、修飾ヌクレオシドは、2’−MOE側鎖を含む(Baker et al., J. Biol. Chem., 1997, 272, 11944-12000)。そのような2’−MOE置換は、非修飾ヌクレオシドや、例えば2’−O−メチル、O−プロピル、及びO−アミノプロピルなどの他の修飾ヌクレオシドと比較して、高い結合親和性を有することが報告されている。また、2’−MOE置換基を有するオリゴヌクレオチドは、インビボでの使用に期待が持てる特徴を有する、遺伝子発現のアンチセンス阻害剤となることが報告されている(Martin, Helv. Chim. Acta, 1995, 78, 486-504;Altmann et al., Chimia, 1996, 50, 168-176;Altmann et al., Biochem. Soc. Trans., 1996, 24, 630-637;及びAltmann et al., Nucleosides Nucleotides, 1997, 16, 917-926)。
本明細書において、「修飾テトラヒドロピランヌクレオシド」又は「修飾THPヌクレオシド」は、通常のヌクレオシドにおけるペントフラノシル残基を置換している6員のテトラヒドロピラン「糖」を有するヌクレオシドを意味する(糖代替物)。修飾THPヌクレオシドには、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:当該技術分野において、ヘキシトール核酸(HNA)、アニトール(anitol)核酸(ANA)、マニトール(manitol)核酸(MNA)(Leumann, Bioorg. Med. Chem., 2002, 10, 841-854参照)、フルオロHNA(F−HNA)と呼ばれるもの、又は式VIIを有する化合物:
式中、式VIIの少なくとも一つのテトラヒドロピランヌクレオシド類似体のそれぞれについて、独立して、
Bxはヘテロ環塩基部分であり;
T
a及びT
bは、それぞれ独立して、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体とアンチセンス化合物を結合するヌクレオシド間結合基であるか、又は、T
a及びT
bの一方がテトラヒドロピランヌクレオシド類似体とアンチセンス化合物を結合するヌクレオシド間結合基であり、T
a及びT
bのもう一方がH、ヒドロキシル保護基、結合した複合基、又は5’若しくは3’−末端基であり;
q
1、q
2、q
3、q
4、q
5、q
6、及びq
7は、それぞれ独立して、H、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、又は置換C
2−C
6アルキニルであり;そして、
R
1及びR
2は、それぞれ以下から選択される:水素、ヒドロキシル、ハロゲン、置換又は非置換アルコキシ、NJ
1J
2、SJ
1、N
3、OC(=X)J
1、OC(=X)NJ
1J
2、NJ
3C(=X)NJ
1J
2、及びCN(ここで、XはO、S又はNJ
1であり、J
1、J
2及びJ
3は、それぞれ独立して、H又はC
1−C
6アルキルである)。
ある実施形態では、式VIIの修飾THPヌクレオシドは、q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7がいずれもHである。ある実施形態では、q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7の少なくとも一つは、H以外である。ある実施形態では、q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7の少なくとも一つはメチルである。ある実施形態では、式VIIのTHPヌクレオシドは、R1及びR2の一つがフルオロである。ある実施形態では、R1はフルオロでR2はH;R1はメトキシでR2はH、及び、R1はHでR2はメトキシエトキシである。
本明細書において、「2’−修飾」又は「2’−置換」は、2’位にH又はOH以外の置換基を含む糖を含むヌクレオシドを意味する。2’−修飾ヌクレオシドには以下のものが含まれるが、これらに限定されない:糖環の2つの炭素原子を結合する架橋が、糖環の2’炭素と他の炭素を結合している二環式ヌクレオシド;及び、アリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C1−C10アルキル、−OCF3、O−(CH2)2−O−CH3、2’−O(CH2)2SCH3、O−(CH2)2−O−N(Rm)(Rn)、又はO−CH2−C(=O)−N(Rm)(Rn)などの、非架橋2’置換基を有するヌクレオシド(Rm及びRnは、それぞれ独立して、H、又は、置換若しくは非置換C1−C10アルキルである)。2’−修飾ヌクレオシドは、さらに、例えば糖の他の位置、及び/又は核酸塩基にそのほかの修飾を含んでいてもよい。
本明細書において、「2’−F」は、2’位にフルオロ基を含む糖を含むヌクレオシドを意味する。
本明細書において、「2’−OMe」、「2’−OCH3」又は「2’−O−メチル」は、それぞれ、糖環の2’位に−OCH3基を含む糖を含むヌクレオシドを意味する。
本明細書において、「MOE」、「2’−MOE」、「2’−OCH2CH2OCH3」又は「2’−O−メトキシエチル」は、それぞれ、糖環の2’位に−OCH2CH2OCH3基を含む糖を含むヌクレオシドを意味する。
本明細書において、「オリゴヌクレオチド」は、複数の連結したヌクレオシドを含む化合物を意味する。ある実施形態では、複数のヌクレオシドの1つ以上が修飾されている。ある実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のリボヌクレオシド(RNA)及び/又はデオキシリボヌクレオシド(DNA)を含む。
ヌクレオシドを修飾してアンチセンス化合物に組み込むために使用することができるビシクロ及びトリシクロ糖代替環系は、当該技術分野で他にも多く知られている(例えば、総説:Leumann, Bioorg. Med. Chem., 2002, 10, 841-854を参照)。それらの環系は、活性を向上させるために種々のさらなる置換を行うことができる。
修飾糖の作製方法は、当業者において公知である。
修飾糖部分を有するヌクレオチドでは、核酸塩基部分(天然、修飾又はそれらの組み合わせ)は、適切な核酸標的とのハイブリダイゼーションのために維持されている。
ある実施形態では、アンチセンス化合物は、修飾糖部分を有する1つ以上のヌクレオシドを含む。ある実施形態では、修飾糖部分は2’−MOEである。ある実施形態では、2’−MOE修飾ヌクレオシドは、ギャップマーモチーフ内に配置されている。ある実施形態では、修飾糖部分は、(4’−CH(CH3)−O−2’)架橋基を有する二環式ヌクレオシドである。ある実施形態では、(4’−CH(CH3)−O−2’)修飾ヌクレオシドは、ギャップマーモチーフのウイングの全体にわたって配置されている。
修飾核酸塩基
核酸塩基(又は塩基)修飾又は置換は、天然又は合成された非修飾核酸塩基とは構造的に識別可能であるが、機能的には交換可能である。天然及び修飾核酸塩基は、どちらも水素結合に関与することができる。そのような核酸塩基修飾は、ヌクレアーゼ安定性、結合親和性、又はその他の何らかの有益な生物学的性質を、アンチセンス化合物に付与することができる。修飾核酸塩基には、例えば5−メチルシトシン(5−me−C)などの、合成及び天然核酸塩基が含まれる。5−メチルシトシン置換を含むある種の核酸塩基置換は、標的核酸に対するアンチセンス化合物の結合親和性を増強するために特に有用である。例えば、5−メチルシトシン置換は、核酸二本鎖安定性を0.6〜1.2℃増加させることが示されている(Sanghvi, Y.S., Crooke, S.T. and Lebleu, B., eds., Antisense Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278)。
その他の非修飾核酸塩基としては、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6−メチル及びその他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2−プロピル及びその他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン及び2−チオシトシン、5−ハロウラシル及びシトシン、5−プロピニル(−C≡C−CH3)ウラシル及びシトシン、及びピリミジン塩基のその他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシン及びチミン、5−ウラシル(シュードウラシル(pseudouracil))、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル及びその他の8−置換アデニン及びグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル及びその他の5−置換ウラシル及びシトシン、7−メチルグアニン及び7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニン及び8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンなどがある。
ヘテロ環塩基部分は、プリン又はピリミジン塩基が他の複素環、例えば7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジン及び2−ピリドンで置き換えられているものも含む。アンチセンス化合物の結合親和性を増強するために特に有用な核酸塩基としては、5−置換ピリミジン類、6−アザピリミジン類、及びN−2、N−6及びO−6置換プリン類、例えば2アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルシトシンが含まれる。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするギャップ拡大型アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。ある実施形態では、修飾核酸塩基は5−メチルシトシンである。ある実施形態では、各シトシンは5−メチルシトシンである。
医薬組成物を製剤化するための組成物及び方法
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物又は製剤を作製するために、薬学的に許容される活性又は不活性物質と混合することができる。医薬組成物を製剤化するための組成物及び方法は、これらに限定されないが、投与経路、疾患の程度、又は投与用量などの複数の基準に従って決定される。
トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物は、それを適切な薬学的に許容される希釈剤又は担体と組み合わせることにより、医薬組成物に利用することができる。薬学的に許容される希釈剤には、リン酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。PBSは、非経口的に送達される組成物における使用に適した希釈剤である。したがって、一実施形態において、本明細書に記載する方法では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物と薬学的に許容される希釈剤を含む医薬組成物が用いられる。ある実施形態では、薬学的に許容される希釈剤はPBSである。ある実施形態では、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
アンチセンス化合物を含む医薬組成物は、薬学的に許容される塩、エステル若しくはその塩、又は、ヒトを含む動物に投与された時に生物学的に活性な代謝産物若しくはその残基を(直接又は間接的に)与えることができる他のオリゴヌクレオチドを包含する。したがって、例えば、本開示は、アンチセンス化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの薬学的に許容される塩、及び他の生物学的同等物にも引用される。適切な薬学的に許容される塩には、ナトリウム塩及びカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
プロドラッグには、体内で内因性ヌクレアーゼによって開裂されて活性アンチセンス化合物を形成させるアンチセンス化合物の一端又は両端に、付加的なヌクレオシドを組み込むことが含まれる。
複合化アンチセンス化合物
アンチセンス化合物は、得られるアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、又は細胞取込みを増強する1つ以上の部分又は複合体と共有結合してもよい。代表的な複合基には、コレステロール部分及び脂質部分が含まれる。別の複合基としては、糖質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン類、ローダミン類、クマリン類、及び色素が含まれる。
アンチセンス化合物は、例えばヌクレアーゼ安定性などの性質を向上するために、通常アンチセンス化合物の一端又は両端に取付けられる1つ以上の安定化基を有するように修飾することができる。安定化基にはキャップ構造が含まれる。これらの末端修飾は、末端核酸を有するアンチセンス化合物を、エキソヌクレアーゼ分解から保護し、細胞内での送達及び/又は局在化を補助することができる。キャップは、5’−末端(5’−キャップ)若しくは3’−末端(3’−キャップ)に存在するか、又は両末端に存在することができる。キャップ構造は当該技術分野において公知であり、例えば、逆位デオキシ脱塩基キャップが含まれる。アンチセンス化合物の一端又は両端をキャップしてヌクレアーゼ安定性を付与するために使用することができる別の3’及び5’−安定化基としては、国際公開第03/004602号(公開日2003年1月16日)に開示されているものが含まれる。
細胞培養及びアンチセンス化合物の処理
トランスサイレチン核酸のレベル、活性又は発現に対するアンチセンス化合物の効果は、種々の細胞タイプにおいて、インビトロで試験することができる。分析に使用される細胞タイプは、商業販売業者(例えば、American Type Culture Collection、バージニア州マナッサス;Zen−Bio, Inc.、ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク;Clonetics Corporation、メリーランド州ウォーカーズビル)から入手することができ、細胞は、その指示に従って市販の試薬(例えば、Invitrogen Life Technologies、カリフォルニア州カールズバッド)を用いて培養される。細胞タイプの例としては、HepG2細胞、Hep3B細胞、初期肝細胞、A549細胞、GM04281線維芽細胞、及びLLC−MK2細胞が含まれるが、これらに限定されない。
アンチセンスオリゴヌクレオチドのインビトロ試験
ここでは、細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理するための方法を説明するが、該方法は、他のアンチセンス化合物による処理のために適宜変更することができる。
通常、細胞は、培養が約60〜80%コンフルエンスに達した時点で、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理する。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞中に導入するために一般的に用いられる試薬の1つに、カチオン性脂質トランスフェクション試薬LIPOFECTIN(登録商標)(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)がある。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、OPTI−MEM(登録商標)1(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)中で、LIPOFECTIN(登録商標)と混合し、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の最終濃度、及び、通常100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドあたり2〜12μg/mLの範囲であるLIPOFECTIN(登録商標)濃度にする。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞中に導入するために用いられる別の試薬として、LIPOFECTAMINE2000(登録商標)(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)がある。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、OPTI−MEM(登録商標)1低血清培地(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)中で、LIPOFECTAMINE2000(登録商標)と混合し、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の濃度、及び、通常100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドあたり2〜12μg/mLの範囲であるLIPOFECTAMINE(登録商標)濃度にする。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞中に導入するために用いられる別の試薬として、Cytofectin(登録商標)(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)がある。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、OPTI−MEM(登録商標)1低血清培地(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)中で、Cytofectin(登録商標)と混合し、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の濃度、及び、通常100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドあたり2〜12μg/mLの範囲であるCytofectin(登録商標)濃度にする。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞中に導入するために用いられる別の技術として、エレクトロポレーションがある。
細胞は、常法によりアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理する。細胞は、通常、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理の16〜24時間後に収集し、その時点で、標的核酸のRNA又はタンパク質レベルを、当該技術分野において公知であって本明細書に説明する方法によって測定する。一般的に、処理が複数回反復して行なわれる場合は、データは反復した処理の平均で表す。
使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度は、細胞株ごとに異なる。特定の細胞株についての最適なアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度を決定する方法は、当該技術分野において公知である。LIPOFECTAMINE2000(登録商標)、Lipofectin、又はCytofectinを用いてトランスフェクトする場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、通常、1nM〜300nMの範囲の濃度で使用される。エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトする場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、それよりも高い625〜20,000nMの範囲の濃度で使用される。
RNAの単離
RNA分析は、全細胞RNA又はポリ(A)+mRNAに対して行うことができる。RNAの単離方法は、当該技術分野において公知である。RNAは、当該技術分野において公知の方法で調製され、例えば、TRIZOL(登録商標)試薬(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)を使用して、製造者の推奨するプロトコールに従って調製する。
標的レベル又は標的発現の阻害の分析
トランスサイレチン核酸のレベル又は発現は、当該技術分野において公知の種々の方法で測定することができる。例えば、標的核酸レベルは、ノーザンブロット分析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量リアルタイムPCRなどによって定量することができる。RNA分析は、全細胞RNA又はポリ(A)+mRNAに対して行うことができる。RNAの単離方法は、当該技術分野において公知である。ノーザンブロット分析も当該技術分野では常法である。定量リアルタイムPCRは、PE−Applied Biosystems(カリフォルニア州フォスターシティ)から入手可能な市販のABI PRISM(登録商標)7600、7700又は7900 Sequence Detection Systemを、製造者の指示に従って使用することにより、簡便に行うことができる。
標的RNAレベルの定量リアルタイムPCR分析
標的RNAレベルの定量は、ABI PRISM(登録商標)7600、7700又は7900 Sequence Detection System(PE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)を使用し、製造者の指示に従い、定量リアルタイムPCRによって行うことができる。定量リアルタイムPCRの方法は、当該技術分野において公知である。
リアルタイムPCRの前に、単離されたRNAに逆転写酵素(RT)反応を行い、それにより相補的DNA(cDNA)が生成され、それをリアルタイムPCRの増幅のための基質として使用する。RT反応及びリアルタイムPCR反応は、同じサンプルウェル内で逐次的に行なわれる。RT及びリアルタイムPCRの試薬は、Invitrogen(カリフォルニア州カールズバッド)から入手する。RT反応及びリアルタイムPCR反応は、当業者において公知の方法によって行う。
リアルタイムPCRによって得られる遺伝子(又はRNA)標的の量は、シクロフィリンAなどの発現量が一定な遺伝子の発現レベルを使って正規化するか、又はRIBOGREEN(登録商標)(Invitrogen,Inc.、カリフォルニア州カールズバッド)を用いて全RNAを定量することによって正規化する。シクロフィリンAの発現は、標的と同時に、多重に、又は別々に、リアルタイムPCRで定量する。全RNAは、RIBOGREEN(登録商標)RNA定量試薬(Invetrogen,Inc.、オレゴン州ユージーン)を用いて定量する。RIBOGREEN(登録商標)によるRNAの定量方法は、Jones, L.J., et al,(Analytical Biochemistry, 1998, 265, 368-374)に記載されている。RIBOGREEN(登録商標)の蛍光測定には、CYTOFLUOR(登録商標)4000装置(PE Applied Biosystems)が用いられる。
プローブ及びプライマーは、トランスサイレチン核酸とハイブリダイズするよう設計される。リアルタイムPCRのプローブ及びプライマーの設計方法は、当該技術分野において公知であり、PRIMER EXPRESS(登録商標)Software(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)などのソフトウェアの使用が含まれる。
タンパク質レベルの分析
トランスサイレチン核酸のアンチセンス阻害は、トランスサイレチンタンパク質レベルを測定することで評価することができる。トランスサイレチンのタンパク質レベルは、当該技術分野において公知の各種の方法によって評価又は定量することができ、例えば、免疫沈降、ウェスタンブロット分析(イムノブロット法)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、定量タンパク質アッセイ、タンパク質活性アッセイ(例えばカスパーゼ活性アッセイ)、免疫組織化学、免疫細胞化学又は蛍光活性化細胞選別(FACS)などがある。標的に対する抗体は、MSRS抗体カタログ(Aerie Corporation、ミシガン州バーミンガム)などの各種の供給元から特定して入手するか、又は当該技術分野で公知である従来のモノクローナル又はポリクローナル抗体産生方法によって作製することができる。ヒト及びマウストランスサイレチンの検出に有用な抗体は市販されている。
アンチセンス化合物のインビボ試験
アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス化合物は、動物において、トランスサイレチン発現の阻害や表現型変化をもたらす能力を評価するために試験される。試験は、正常な動物、又は実験的病態モデルで行われる。動物への投与のためには、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リン酸緩衝食塩水などの薬学的に許容される希釈剤中で製剤される。投与には、非経口投与経路が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置期間の後、RNAを組織から単離し、トランスサイレチン核酸発現の変化を測定する。トランスサイレチンタンパク質レベルの変化についても測定する。
特定の化合物
様々な長さ、モチーフ、及び骨格構成を有する、およそ246種類の新たに設計したアンチセンス化合物について、ヒトトランスサイレチンmRNAに対する効果を、いくつかの細胞タイプにおいてインビトロで試験を行った。新たな化合物は、インビトロで最も効果のあるアンチセンス化合物の一部として認められているISIS番号304267、304268、304280、304284、304285、304286、304287、304288、304289、304290、304291、304292、304293、304294、304296、304297、304298、304299、304300、304301、304302、304303、304304、304307、304308、304309、304311、及び304312を含む、およそ79種類のこれまでに設計された化合物と比較を行った(例えば、米国特許公開第2005/0244869号及び2009/0082300号を参照)。新たに設計したもの及びこれまでに設計されたもののおよそ325種類のアンチセンス化合物のうち、インビトロでの有効性に基づき、およそ15種類の化合物を選択して更なる試験を行った。選択した化合物は、インビボでの有効性及び耐容性について、トランスジェニックマウスモデルで試験した(実施例10参照)。試験した15種類の化合物から11種類を選択し、CD1マウスにおいて、全身耐容性(実施例11参照)及び肝臓での半減期測定(実施例12参照)の試験を行い、SDラットにおいて、全身耐容性(実施例13参照)及び肝臓におけるオリゴヌクレオチド濃度の薬物動態学的検討(実施例14参照)の試験を行った。これらの試験から、7種類の化合物について、用量依存的な阻害及び耐容性をトランスジェニックマウスで試験した(実施例15参照)。さらに、表1から15種類の別の化合物を選択し、また、様々なモチーフを有する6種類の別の化合物を、上述の試験で高い有効性及び耐容性を示したISIS420951と重複する配列を有して設計した。これらの別の化合物は、トランスジェニックマウスにおいて、有効性及び耐容性をISIS420951と比較した(実施例16参照)。これらすべての試験(実施例10〜16)に基づき、22種類の化合物を選択し、CD1マウスにおいて、全身耐容性を試験した(実施例17参照)。7種類の化合物が該マウスにおいて耐容可能であると考えられ、さらにSDラットにおける全身耐容性(実施例18参照)、並びに肝臓及び腎臓におけるオリゴヌクレオチド濃度の薬物動態学的検討(実施例19参照)の試験を行った。また、該7種類の化合物について、用量依存的な有効性をトランスジェニックマウスで試験した(実施例20参照)。
これらの試験(実施例16〜20)の最終評価から、配列番号25、78、80、86、87、115、120、122、及び124に記載する配列の核酸配列を有する9種類の化合物が選択された。これらの化合物は、それらの相補的配列から、配列番号1の505〜524、507〜526、508〜527、513〜532、515〜534、516〜535、580〜599、585〜604、587〜606、又は589〜608の領域に相補的である。ある実施形態では、本明細書にさらに記載するような上記領域を標的とする化合物は、本明細書にさらに記載するように、該配列番号に記載する配列のいくつかの核酸部分を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む。ある実施形態では、上記領域を標的とする化合物、又は上記配列番号に記載する配列のある核酸部分を有する化合物は、本明細書にさらに記載するように様々な長さを有することができ、また、本明細書にさらに記載するように様々なモチーフの1つを有することができる。ある実施形態では、ある領域を標的とする化合物、又は上記配列番号に記載する配列のある核酸部分を有する化合物は、ISIS304299、ISIS420913、ISIS420915、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420950、ISIS420955、ISIS420957、又はISIS420959に示すような、特定の長さ及びモチーフを有する。
配列番号25、78、80、86、87、115、120、122、及び124に記載する配列の核酸配列を有する9種類の化合物について、さらに、カニクイザルの初期肝細胞における用量依存的な阻害を試験した(実施例21参照)。また、これらの化合物の最適粘度についても試験した(実施例22)。さらに、配列番号78、86、87、115、120、及び124に記載する配列の核酸配列を有する7種類の化合物について、CD1マウスの肝臓における半減期を評価した(実施例23)。
これらの試験(実施例1〜23)の最終評価から、配列番号25、80、86、87、115、120、122、及び124に記載する配列の核酸配列を有する8種類の化合物が選択された。これらの化合物は、それらの相補的配列から、配列番号1の504〜523、505〜524、512〜531、513〜532、577〜596、582〜601、584〜603、及び586〜605の領域に相補的である。ある実施形態では、本明細書にさらに記載するような上記領域を標的とする化合物は、本明細書にさらに記載するような、該配列番号に記載する配列のいくつかの核酸部分を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む。ある実施形態では、上記領域を標的とする化合物、又は上記配列番号に記載する配列のある核酸部分を有する化合物は、本明細書にさらに記載するような様々な長さを有することができ、また、本明細書にさらに記載するような様々なモチーフの1つを有することができる。ある実施形態では、ある領域を標的とする化合物、又は上記配列番号に記載する配列のある核酸部分を有する化合物は、ISIS304299、ISIS420915、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420950、ISIS420955、ISIS420957、又はISIS420959に示すような、特定の長さ及びモチーフを有する。
これらの8種類の化合物に対し、カニクイザルにおける効果、薬物動態プロファイル及び耐容性について試験を行った(実施例24)。カニクイザルにおける阻害試験では、これらの化合物のうちのいくつかを用いた処置により、肝臓のTTR mRNAの強い阻害が引き起こされることが示された。具体的には、ISIS420950、ISIS420955、及びISIS420915を用いた処置により、PBS対照に比べて、それぞれ91%、79%、及び78%の阻害を引き起こした。ISIS420915のTTR mRNA阻害(78%)は、ISIS304299(59%)よりも高いが、これら2つのオリゴヌクレオチドは、配列番号1上の標的領域に互いに1つの塩基対シフトの違いがあるだけである。タンパク質分析もRNA分析のデータを補足しており、対照と比べて、ISIS420915による処置が76%、ISIS304299による処置が47%のTTRタンパク質の阻害を引き起こしている。また、トランスサイレチンに関連するタンパク質として、RBP4タンパク質レベルも、アンチセンス化合物による処置後に減少することが考えられた。ISIS420915による処置後には、RBP4タンパク質レベルは63%減少した。ISIS304299による処置では、RBP4タンパク質レベルは19%減少している。さらに、サルでの試験に示されるように、ISIS420915は、ISIS304299よりも耐容性が高かった(実施例24)。ISIS304299で処置したサルのトランスアミナーゼレベル(ALT 81 IU/L及びAST 101 IU/L)は、ISIS420915で処置したもの(ALT 68 IU/L及びAST 62 IU/L)よりも高かった。ISIS304299で処置したサルの補体C3レベル(96mg/dL)は、ISIS420915で処置したもの(104mg/dL)よりも低かった。
したがって、本発明は、改善された特徴のいずれか1つ以上を有するアンチセンス化合物を提供する。ある実施形態では、本発明は、本発明にさらに記載する、配列番号1のヌクレオチドの当該領域を標的とする、又は当該領域と特異的にハイブリダイズ可能な修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
したがって、本発明は、改善された特徴のいずれか1つ以上を有するアンチセンス化合物を提供する。ある実施形態では、本発明は、本発明にさらに記載する、配列番号2のヌクレオチドの当該領域を標的とする、又は当該領域と特異的にハイブリダイズ可能な修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
したがって、本発明は、改善された特徴のいずれか1つ以上を有するアンチセンス化合物を提供する。ある実施形態では、本発明は、本発明にさらに記載する、配列番号4のヌクレオチドの当該領域を標的とする、又は当該領域と特異的にハイブリダイズ可能な修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を提供する。
ある実施形態では、本明細書に記載する化合物は、実施例67に記載するように、エレクトロポレーションを用いてカニクイザル肝細胞株に送達された際に、2.9μM未満、2.2μM未満、2.0μM未満、1.5μM未満、1.4μM未満、1.3μM未満、1.0μM未満、0.7μM未満、0.6μM未満のインビトロIC50の少なくとも一つを有するので効果的である。ある実施形態では、本明細書に記載する化合物は、食塩水で処置した動物に比べて、ALT値又はAST値が4倍、3倍、又は2倍より多くない増加;又は肝臓、脾臓、又は腎臓の重量が30%、20%、15%、12%、10%、5%、又は2%より多くない増加の少なくとも一つを示すため、耐容性が高い。
特定の適応症
ある実施形態では、本明細書に記載する1つ以上の医薬組成物を投与することを含む、個体の治療方法を提供する。ある実施形態では、個体は、中枢神経系関連疾患を有する。
下記の実施例に示すように、本明細書に記載するトランスサイレチンを標的とする化合物は、中枢神経系関連疾患の生理的症状の重症度を軽減することが示されている。いくつかの実験では、化合物はアミロイド斑の形成速度を低減しており、例えば、動物の症状は継続するが、非処置の動物に比べて症状の重症度は軽度である。一方、他の実験では、化合物は、時間とともに機能の再生が見られている;例えば、処置をより長い期間行った動物では、化合物を短い期間投与したものに比べて症状が軽度であった。そのため、以下に例示する化合物の機能回復能は、本明細書に記載する化合物を用いた治療により、疾患の症状を後退させ得ることを示している。
したがって、本明細書では、必要とする対象における、中枢神経系関連疾患、心疾患、神経病理学的疾患、又は消化器疾患に関連する症状の改善方法を提供する。ある実施形態では、中枢神経系関連疾患、心疾患、神経病理学的疾患、又は消化器疾患に関連する症状の発症率を低減する方法を提供する。ある実施形態では、中枢神経系関連疾患、心疾患、神経病理学的疾患、又は消化器疾患に関連する症状の重症度を低減する方法を提供する。これらの実施形態では、該方法は、治療上有効量のトランスサイレチン核酸を標的とする化合物を、それを必要とする個体に投与することを含む。
トランスサイレチンアミロイドーシスは、多数の身体症状、神経症状、精神症状、及び/又は周辺症状によって特徴づけられる。上述の方法では、トランスサイレチンアミロイドーシスに関連することが当業者に知られているいかなる症状も、上記に示すように改善するか又は調節することができる。ある実施形態では、症状は、身体症状、認知症状、精神症状、又は周辺症状である。ある実施形態では、症状は、以下からなる群から選択される身体症状である:不穏、協調運動障害、眼振、痙性対麻痺、筋協調障害、視覚障害、不眠症、異常感覚、ミオクローヌス、失明、失語症、手根管症候群、発作、くも膜下出血、脳卒中及び脳内出血、水頭症、運動失調、痙性麻痺、昏睡、感覚性ニューロパチー、知覚異常、感覚鈍麻、運動ニューロパチー、自律神経ニューロパチー、起立性低血圧、反復性便秘、反復性下痢、嘔気、嘔吐、発汗減少、性交不能、胃排出遅延、尿閉、尿失禁、進行性心疾患、疲労、息切れ、体重減少、食欲不振、知覚麻痺、刺痛、脱力、舌肥大、ネフローゼ症候群、鬱血性心不全、労作性呼吸困難、末梢性浮腫、不整脈、動悸、朦朧状態、失神、体位性低血圧、末梢神経疾患、感覚運動障害、下肢ニューロパチー、上肢ニューロパチー、痛覚過敏、温度感覚異常、下肢脱力、悪液質、末梢性浮腫、肝腫大、紫斑、拡張機能障害、心室性期外収縮、脳ニューロパチー、深部腱反射減弱、硝子体のアミロイド沈着、硝子体混濁、ドライアイ、緑内障、瞳孔における波状の外見、水分貯留による足の浮腫。ある実施形態では、症状は、以下からなる群から選択される認知症状である:記憶障害、判断力障害、思考障害、計画力障害、柔軟性障害、抽象的思考障害、ルール獲得力障害、適切な行動を取る能力の障害、不適切な行動を抑制する能力の障害、短期記憶障害、長期記憶障害、偏執病、見当識障害、錯乱、幻覚、及び痴呆。ある実施形態では、症状は、以下からなる群から選択される精神症状である:痴呆;不安、抑鬱、情動鈍麻、自己中心性、攻撃性、強迫行動、被刺激性、人格変化(記憶障害、判断力障害及び思考障害を含む)、及び自殺念慮。
ある実施形態では、症状は不穏である。ある実施形態では、症状は協調運動障害である。ある実施形態では、症状は眼振である。ある実施形態では、症状は痙性対麻痺である。ある実施形態では、症状は筋協調障害である。ある実施形態では、症状は視覚障害である。ある実施形態では、症状は不眠症である。ある実施形態では、症状は異常感覚である。ある実施形態では、症状はミオクローヌスである。ある実施形態では、症状は失明である。ある実施形態では、症状は失語症である。ある実施形態では、症状は手根管症候群である。ある実施形態では、症状は発作である。ある実施形態では、症状はくも膜下出血である。ある実施形態では、症状は脳卒中である。ある実施形態では、症状は脳内出血である。ある実施形態では、症状は水頭症である。ある実施形態では、症状は運動失調である。ある実施形態では、症状は痙性麻痺である。ある実施形態では、症状は昏睡である。ある実施形態では、症状は感覚性ニューロパチーである。ある実施形態では、症状は知覚異常である。ある実施形態では、症状は感覚鈍麻である。ある実施形態では、症状は運動ニューロパチーである。ある実施形態では、症状は自律神経ニューロパチーである。ある実施形態では、症状は起立性低血圧である。ある実施形態では、症状は反復性便秘である。ある実施形態では、症状は反復性下痢である。ある実施形態では、症状は嘔気である。ある実施形態では、症状は嘔吐である。ある実施形態では、症状は発汗減少である。ある実施形態では、症状は性交不能症である。ある実施形態では、症状は胃排出遅延である。ある実施形態では、症状は尿閉である。ある実施形態では、症状は尿失禁である。ある実施形態では、症状は進行性心疾患である。ある実施形態では、症状は疲労である。ある実施形態では、症状は息切れである。ある実施形態では、症状は体重減少である。ある実施形態では、症状は知覚麻痺である。ある実施形態では、症状は刺痛である。ある実施形態では、症状は脱力である。ある実施形態では、症状は舌肥大である。ある実施形態では、症状はネフローゼ症候群である。ある実施形態では、症状は鬱血性心不全である。ある実施形態では、症状は労作性呼吸困難である。ある実施形態では、症状は末梢性浮腫である。ある実施形態では、症状は不整脈である。ある実施形態では、症状は動悸である。ある実施形態では、症状は朦朧状態である。ある実施形態では、症状は失神である。ある実施形態では、症状は体位性低血圧である。ある実施形態では、症状は末梢神経疾患である。ある実施形態では、症状は感覚運動障害である。ある実施形態では、症状は下肢ニューロパチーである。ある実施形態では、症状は上肢ニューロパチーである。ある実施形態では、症状は痛覚過敏である。ある実施形態では、症状は温度感覚異常である。ある実施形態では、症状は下肢脱力である。ある実施形態では、症状は悪液質である。ある実施形態では、症状は浮腫である。ある実施形態では、症状は肝腫大である。ある実施形態では、症状は紫斑である。ある実施形態では、症状は拡張機能障害である。ある実施形態では、症状は心室性期外収縮である。ある実施形態では、症状は脳ニューロパチーである。ある実施形態では、症状は深部腱反射減弱である。ある実施形態では、症状は硝子体のアミロイド沈着である。ある実施形態では、症状は硝子体混濁である。ある実施形態では、症状はドライアイである。ある実施形態では、症状は緑内障である。ある実施形態では、症状は瞳孔における波状の外見である。ある実施形態では、症状は水分貯留による足の浮腫である。
ある実施形態では、症状は記憶障害である。ある実施形態では、症状は判断力障害及び思考障害である。ある実施形態では、症状は計画力障害である。ある実施形態では、症状は柔軟性障害である。ある実施形態では、症状は抽象的思考障害である。ある実施形態では、症状はルール獲得力障害である。ある実施形態では、症状は適切な行動を取る能力の障害である。ある実施形態では、症状は不適切な行動を抑制する能力の障害である。ある実施形態では、症状は短期記憶障害である。ある実施形態では、症状は長期記憶障害である。ある実施形態では、症状は偏執病である。ある実施形態では、症状は見当識障害である。ある実施形態では、症状は錯乱である。ある実施形態では、症状は幻覚である。ある実施形態では、症状は痴呆である。
ある実施形態では、症状は痴呆である。ある実施形態では、症状は不安である。ある実施形態では、症状は抑鬱である。ある実施形態では、症状は情動鈍麻である。ある実施形態では、症状は自己中心性である。ある実施形態では、症状は攻撃性である。ある実施形態では、症状は強迫行動である。ある実施形態では、症状は被刺激性である。ある実施形態では、症状は人格変化である。ある実施形態では、症状は自殺念慮である。
ある実施形態では、本明細書に記載する1つ以上の医薬組成物を投与することを含む、個体を治療する方法を提供する。ある実施形態では、個体は中枢神経系関連疾患を有する。
ある実施形態では、トランスサイレチン核酸を標的とするアンチセンス化合物の投与が、少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは99%、又はこれらの数値のいずれか2つにより定められる範囲で、トランスサイレチン発現を低減する。
ある実施形態では、トランスサイレチンを標的とするアンチセンス化合物を含む医薬組成物は、中枢神経系関連疾患を患っている、又はそれを引き起こしやすい患者を治療する薬剤の調製に用いられる。
ある実施形態では、本明細書に記載する方法は、本明細書に記載する、配列番号25、78、80、86、87、115、120、122及び124に記載する配列の連続する核酸塩基部分を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することを含む。
投与
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物は、局所療法または全身療法のどちらが望ましいかに依存して、且つ、治療される領域に依存して、いくつかの方法で投与され得る。投与は、例えば、噴霧器によるものを含む、散剤またはエアロゾルの吸入またはガス注入による局所的経肺投与であり得;気管内投与、鼻腔内投与、表皮投与および経皮投与、経口投与、または非経口投与であり得る。本明細書に記載の化合物および組成物は、肝臓または脳等の特定の組織を標的とする方法で送達され得る。
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物は、非経口的に投与される。「非経口投与」とは、注射または点滴による投与を意味する。非経口投与には、皮下投与、静脈内投与、筋内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または頭蓋内投与、例えば脳内投与、脊髄内投与、脳室内投与(intraventricular administration)、脳室投与(ventricular administration)、側脳室内投与(intracerebroventricular administration)、大脳脳室内投与(cerebral intraventricular administration)または大脳脳室投与(cerebral ventricular administration)が含まれる。投与は継続投与、または慢性投与、または短期投与あるいは間欠投与であり得る。
ある実施形態では、非経口投与は点滴により行われる。点滴は慢性投与または継続投与または短期投与あるいは間欠的投与であり得る。ある実施形態では、注入された医薬品はポンプにより送達される。ある実施形態では、非経口投与は注射により行われる。
ある実施形態では、非経口投与は皮下的に行われる。
さらなる実施形態では、投与のための製剤は、本明細書に記載の化合物および食塩水である。
ある実施形態では、化合物および組成物は、中枢神経系(CNS)に送達される。ある実施形態では、化合物および組成物は、脳脊髄液に送達される。ある実施形態では、化合物および組成物は、脳実質に投与される。ある実施形態では、化合物および組成物は、動物に対し、中枢神経系の複数の領域に(例えば、脳の複数の領域に、および/または脊髄に)、脊髄内投与、または脳室内投与によって送達される。本明細書に記載の化合物および組成物の、中枢神経系における広域分布は、実質内投与、脊髄内投与、または脳室内投与により達成され得る。
ある実施形態では、本発明には脳内への直接注射により送達され得る医薬組成物が含まれる。該注射は、脳の特定領域(例えば、黒質、脈絡叢、皮質、海馬、線条、脈絡叢または淡蒼球)への定位的注射によるものであり得る。本化合物はまた、脳の広域(例えば、脳皮質への広範な送達)に送達され得る。
ある実施形態では、非経口投与は注射により行われる。注射剤は、注射器またはポンプにより送達され得る。ある実施形態では、注射はボーラス投与である。ある実施形態では、注射は組織、例えば線条、尾状核、皮質、海馬および小脳に直接投与される。
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物または組成物の送達は、該化合物または該組成物の薬物動態プロファイルに影響し得る。ある実施形態では、本明細書に記載の化合物または組成物を標的組織へ注射することにより、該化合物または該組成物の点滴と比較して、その薬物動態プロファイルが向上する。ある実施形態では、該化合物または該組成物を注射することにより、広範な拡散と比較して効力が向上し、同様の薬効薬理を達成するのに必要な該化合物または該組成物が少なくなる。ある実施形態では、同様の薬効薬理とは、標的mRNAおよび/または標的タンパク質の発現量が減少する時間(例えば作用持続時間)を意味する。ある実施形態では、ボーラス投与による方法等の、医薬品を特異的に局在させる方法は、半有効濃度(EC50)を約50倍に減少させる(例えば、組織中50倍少ない濃度で、同一または同様の薬理学的効果を達成できる)。ある実施形態では、ボーラス投与による方法等の、医薬品を特異的に局在させる方法は、半有効濃度(EC50)を20、25、30、35、40、45または50分の1に減少させる。ある実施形態では、本明細書にさらに記載されるようなアンチセンス化合物における本医薬品。ある実施形態では、標的組織は脳組織である。ある実施形態では、標的組織は線条体組織である。ある実施形態では、薬理学的効果を、それを必要とする患者で達成するのに必要な用量を減らすので、EC50を減少させることが望ましい。
CD1マウス肝臓組織中のMOEギャップマーオリゴヌクレオチドの半減期は、約21日間である(実施例12参照)。
ある実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、注射または点滴により、月1回、2ヶ月に1回、90日に1回、3ヶ月に1回、6ヶ月に1回、1年に2回または1年に1回、送達される。
ある併用療法
ある実施形態では、一つまたは複数の本発明の医薬組成物は、一つまたは複数の他の医薬品と同時投与される。ある実施形態では、そのような一つまたは複数の他の医薬品は、本明細書に記載の一つまたは複数の医薬組成物と同一の疾患、障害、状態を治療できるように設計される。ある実施形態では、そのような一つまたは複数の他の医薬品は、本明細書に記載の一つまたは複数の医薬組成物とは異なる疾患、障害、状態を治療するために設計される。ある実施形態では、そのような一つまたは複数の他の医薬品は、本明細書に記載の一つまたは複数の医薬組成物の望ましくない副作用を治療するために設計される。ある実施形態では、一つまたは複数の医薬組成物は、別の医薬品と同時投与され、その他の医薬品の望ましくない効果を治療する。ある実施形態では、一つまたは複数の医薬組成物は、別の医薬品と同時投与され、併用効果を生み出す。ある実施形態では、一つまたは複数の医薬組成物は他の医薬品と同時投与され、相乗効果を生み出す。
ある実施形態では、一つまたは複数の医薬組成物および一つまたは複数の他の医薬品は、同時に投与される。ある実施形態では、一つまたは複数の医薬組成物および一つまたは複数の他の医薬品は、それぞれ別の時間に投与される。ある実施形態では、一つまたは複数の医薬組成物および一つまたは複数の他の医薬品は、単一製剤中に一緒に調製される。ある実施形態では、一つまたは複数の医薬組成物および一つまたは複数の他の医薬品は、別々に調製される。
ある実施形態では、第二の化合物は、本発明の医薬組成物の投与前に投与される。ある実施形態では、第二の化合物は、本発明の医薬組成物の投与後に投与される。ある実施形態では、第二の化合物は、本発明の医薬組成物と同時に投与される。ある実施形態では、同時に投与される第二の化合物の用量は、第二の化合物が単独で投与される場合に投与されるであろう用量と同じである。ある実施形態では、同時に投与される第二の化合物の用量は、第二の化合物が単独で投与される場合に投与されるであろう用量より少ない。ある実施形態では、同時に投与される第二の化合物の用量は、第二の化合物が単独で投与される場合に投与されるであろう用量より多い。
ある実施形態では、第二の化合物を同時に投与することにより、第一の化合物の効果が増強され、該化合物の同時投与により、第一の化合物の単独投与の効果よりも高い効果が得られる。ある実施形態では、同時投与により、単独で投与された場合の化合物の相加効果が得られる。ある実施形態では、同時投与により、単独で投与された場合の化合物の相乗効果が得られる。ある実施形態では、第一の化合物はアンチセンス化合物である。ある実施形態では、第二の化合物がアンチセンス化合物である。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物と同時投与され得る医薬品には、例えば、ハロペリドール、クロルプロマジン、クロザピン、クエチアピン(quetapine)、およびオランザピン等の抗精神病薬;例えば、フルオキセチン、塩酸セルトラリン、ベンラファキシンおよびノルトリプチリン等の抗鬱剤;例えば、ベンゾジアゼピン、クロナゼパム、パロキセチン、ベンラファキシン(venlafaxin)、およびβ遮断薬等の精神安定剤;例えば、リチウム、バルプロ酸、ラモトリジン、およびカルバマゼピン等の抗躁鬱病薬;例えば、ボツリヌス毒素等のまひ薬;ならびに/またはその他の実験的薬剤、例えば、これらに限定されないが、テトラベナジン(Xenazine)、クレアチン、補酵素Q10(conezyme Q10)、トレハロース、ドコサヘキサエン酸(docosahexanoic acid)、ACR16、エチル−EPA、アトモキセチン、シタロプラム、ディメボン、メマンチン、フェニル酪酸ナトリウム、ラメルテオン、ウルソジオール、ジプレキサ、キセナジン(xenasine)、チアプリド、リルゾール、アマンタジン、[123I]MNI−420、アトモキセチン、テトラベナジン、ジゴキシン、デキストロメトルファン(detromethorphan)、ワルファリン、アルプラゾラム(alprozam)、ケトコナゾール、オメプラゾール、およびミノサイクリンが含まれる。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物と同時投与される医薬品には、パラセタモール(アセトアミノフェン)等の鎮痛剤;サリチレート等の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);モルヒネ等の麻薬、並びにトラマドール等の麻薬性特性を有する合成薬剤が含まれる。ある実施形態では、本発明の医薬組成物と同時投与される医薬品には、ベンゾジアゼピン(benzodiapine)およびメトカルバモール等の筋弛緩薬が含まれる。
製剤
また、本発明の化合物は、例えば、リポソーム、受容体標的分子、または他の製剤等の、取り込み、分布および/または吸収を促進する他の分子、分子構造または化合物の混合物と、混合、複合あるいは会合し得る。そのような取り込み、分布および/または吸収促進製剤の調製を教示している米国特許の代表例としては、限定されないが、米国特許第5,108,921号;同第5,354,844号;同第5,416,016号;同第5,459,127号;同第5,521,291号;同第5,543,158号;同第5,547,932号;同第5,583,020号;同第5,591,721号;同第4,426,330号;同第4,534,899号;同第5,013,556号;同第5,108,921号;同第5,213,804号;同第5,227,170号;同第5,264,221号;同第5,356,633号;同第5,395,619号;同第5,416,016号;同第5,417,978号;同第5,462,854号;同第5,469,854号;同第5,512,295号;同第5,527,528号;同第5,534,259号;同第5,543,152号;同第5,556,948号;同第5,580,575号;および同第5,595,756号が挙げられ、そのそれぞれは参照により本明細書に取り込まれる。
本発明のアンチセンス化合物は、任意の薬剤的に許容できる塩、エステル、またはそのようなエステルの塩、あるいは、動物(ヒトを含む)への投与時に、生物活性のあるその代謝物または残留物を(直接的または間接的に)与えることができるその他の任意の化合物を包含する。
「薬剤的に許容できる塩」という用語は、本発明の化合物の生理学的且つ薬剤的に許容できる塩、すなわち、親化合物の所望の生物活性を保持し、望ましくない毒性効果を与えない塩を意味する。オリゴヌクレオチドについて、薬剤的に許容できる塩およびそれらの使用の好ましい例は、米国特許第6,287,860号にさらに記載があり、その全体が本明細書に取り込まれるナトリウム塩が、オリゴヌクレオチド薬剤の好適な形態であることが示されている。
また、本発明には、本発明のアンチセンス化合物を含む医薬組成物および製剤が含まれる。本発明の医薬組成物は、局所療法または全身療法のどちらが望ましいかに依存して、且つ、治療される領域に依存して、いくつかの方法で投与され得る。投与は非経口投与であり得る。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内注射または点滴;あるいは頭蓋内投与、例えば、脳内投与、脊髄内投与、脳室内投与(intraventricular administration)、脳室投与(ventricular administration)、側脳室内投与(intracerebroventricular administration)、大脳脳室内投与(cerebral intraventricular administration)または大脳脳室投与(cerebral ventricular administration)が含まれる。
脈絡叢におけるトランスサイレチン発現を標的とするには、脳室内へ投与することが好ましい。少なくとも1つの2’−O−メトキシエチル修飾を有するオリゴヌクレオチドは、経口投与に特に有用であると考えられている。局所投与のための医薬組成物および製剤には、経皮貼付剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤および散剤が含まれ得る。従来の医薬担体、水溶性、粉末または油性基剤、増粘剤等が、必要であるかまたは望ましい場合がある。コートされたコンドーム、手袋等も有用であり得る。
本発明の医薬製剤は、単位剤形で好都合に提供され得、医薬産業において周知の従来技術により調製され得る。そのような技術には、活性成分と医薬担体または賦形剤とを会合させるステップが含まれる。一般的に、製剤は、活性成分と液体担体または微細固体担体あるいはその両方とを均一且つ密に会合させ、その後、必要ならば産物を成形することにより調製される。
本発明の組成物は、多くの可能な剤形、例えば、これらに限定されないが、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル、液体シロップ剤、ソフトゲル、坐剤、および浣腸剤のいずれにも製剤され得る。本発明の組成物はまた、水溶性、非水溶性または混合媒体中の懸濁剤として製剤され得る。水溶性懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランをさらに含有し得る。懸濁剤は安定剤も含有し得る。
本発明の医薬組成物には、これらに限定されないが、水剤、乳剤、消泡剤およびリポソーム含有製剤が含まれる。本発明の医薬組成物および製剤は、一つまたは複数の浸透促進剤、担体、賦形剤または他の活性もしくは非活性成分が含まれる。
乳剤は、典型的には、ある液体が別の液体に、通常は直径0.1μm超の小滴の形態で、分散している不均一系である。乳剤は、分散相、および活性薬剤に加えて、さらなる成分を含むことができ、該活性薬剤は水相、油相中に溶液としてまたはそれ自体が分離相として存在し得る。マイクロエマルジョンは、本発明の実施形態として含まれる。乳剤およびそれらの使用は、当該技術分野において周知であり、米国特許第6,287,860号でさらに説明がなされており、その全体が本明細書に組み込まれる
本発明の製剤には、リポソーム製剤が含まれる。本発明で使用される場合、「リポソーム」という用語は、球状の二分子層に配列した両親媒性脂質を含むベシクルを意味する。リポソームは一枚膜または多重膜のベシクルであり、親油性物質から形成される膜、および送達される組成物を含む親水性の内側を有する。カチオン性リポソームは正に帯電しているリポソームであり、負に帯電しているDNA分子と相互作用して安定な複合体を形成すると考えられている。pH感受性のまたは負に帯電したリポソームは、DNAと複合体を形成するよりむしろ、DNAを封入すると考えられている。陽イオン性リポソームおよび非陽イオン性リポソームは共に、細胞にDNAを送達するのに用いられている。
また、リポソームには、「立体的に安定な」リポソームが含まれ、その用語は、本明細書で使用される場合、一つまたは複数の特殊な脂質を含むリポソームを意味し、その特殊な脂質とは、リポソームに組み込まれた場合に、そのような特殊な脂質を欠くリポソームと比較して循環寿命が延長される脂質である。リポソームおよびそれらの使用については、米国特許第6,287,860でさらに説明がなされており、その全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の別の実施形態では、本発明の製剤には食塩水製剤が含まれる。本発明のある実施形態では、製剤は本明細書に記載の化合物および食塩水から成る。ある実施形態では、製剤は本明細書に記載の化合物および食塩水から実質的に成る。ある実施形態では、食塩水は薬剤的に許容されるグレードの食塩水である。ある実施形態では、食塩水は緩衝食塩水である。ある実施形態では、食塩水はリン酸緩衝食塩水(PBS)である。
ある実施形態では、製剤にリポソームが含まれない。ある実施形態では、製剤に立体的に安定なリポソームが含まれない。ある実施形態では、製剤にリン脂質が含まれない。ある実施形態では、製剤は本明細書に記載の化合物および食塩水から実質的に成り、リポソームを含まない。
本発明の医薬製剤および組成物には、界面活性剤も含まれ得る。界面活性剤およびそれらの使用については米国特許第6,287,860号でさらに説明がなされており、その全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、本発明には種々の浸透促進剤が使用され、核酸、特にオリゴヌクレオチドの効率的な送達に影響する。浸透促進剤およびそれらの使用については、米国特許第6,287,860号でさらに説明がなされており、その全体が本明細書に組み込まれる。
製剤がそれらの用途に応じて、すなわち投与経路に応じて、規定通りに設計されることは、当業者が認識するところであろう。
局所投与に好ましい製剤には、本発明のオリゴヌクレオチドが脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド類、キレート化剤および界面活性剤等の局所的送達媒介物と混合状態である製剤が含まれる。好ましい脂質およびリポソームには、中性の脂質およびリポソーム(例えば、ジオレオイルホスファチジル(DOPE)エタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(distearolyphosphatidyl choline))、陰性の脂質およびリポソーム(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG))並びに陽イオン性の脂質およびリポソーム(例えばジオレオイルテトラメチルアミノプロピル(DOTAP)およびジオレオイルファチジルエタノールアミン(DOTMA))が含まれる。
非経口投与、例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内注射または点滴、あるいは頭蓋内投与のための組成物および製剤には、緩衝液、希釈液および他の好適な添加剤、例えば、限定されないが、浸透促進剤、担体化合物および他の薬剤的に許容される担体または賦形剤等も含有し得る無菌水溶液が含まれ得る。
本発明のある実施形態では、一つまたは複数のオリゴマー化合物、および非アンチセンス機構により機能する一つまたは複数の他の化学療法剤を含有する医薬組成物が提供される。そのような化学療法剤の例としては、これらに限定されないが、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビス−クロロエチルニトロソ尿素、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチル-メラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロラムブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア(methylcyclohexylnitrosurea)、ナイトロジェンマスタードs、メルファラン、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−アザシチジン、ヒドロキシ尿素、デオキシコホルマイシン、4−ヒドロキシペルオキシシクロホスホロアミド、5−フルオロウラシル(5−FU)、5−フルオロデオキシウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP−16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチンおよびジエチルスチルベストロール(DES)等のがん化学療法剤が挙げられる。本発明の化合物と一緒に使用された場合、そのような化学療法剤は、別々に(例えば、5−FUおよびオリゴヌクレオチド)、順次に(例えば、5−FUおよびオリゴヌクレオチドから一定時間後にMTXおよびオリゴヌクレオチド)、あるいは一つまたは複数の他のそのような化学療法剤と組み合わせて(例えば、5−FU、MTXおよびオリゴヌクレオチド、または5−FU、放射線療法およびオリゴヌクレオチド)、使用され得る。抗炎症剤、例えば、限定されないが、非ステロイド系の抗炎症剤および副腎皮質ステロイド、並びに抗ウイルス剤、例えば、これらに限定されないが、リバビリン(ribivirin)、ビダラビン、アシクロビルおよびガンシクロビルも、本発明の化合物と組み合され得る。アンチセンス化合物と他の非アンチセンス薬剤の組み合わせも本発明の範囲内である。2つ以上の組み合わされた化合物は、一緒にまたは順次に使用され得る。
別の関連実施形態では、本発明の組成物は、第一の核酸を標的とする一つまたは複数のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチド、および第二の核酸標的を標的とする一つまたは複数のさらなるアンチセンス化合物を含有し得る。あるいは、本発明の組成物は、同一の核酸標的の異なる領域を標的とする2つ以上のアンチセンス化合物を含有し得る。アンチセンス化合物の多くの例が該技術分野において周知である。2つ以上の組み合わされた化合物は、一緒にまたは順次に使用され得る。
投薬
治療用組成物の製剤およびそれに続くそれらの投与(投薬)は、当業者の技術範囲内であると考えられる。投薬は、治療対象の疾患状態の重症度および応答性に依存し、一連の治療が、数日から数ヶ月継続されるか、あるいは治癒に効果があるまでまたは疾患状態の減退が達成されるまで継続される。最適な用量スケジュールは、患者の身体における薬物蓄積を測定することにより計算できる。最適用量は、個々のオリゴヌクレオチドの相対的な効力に非常に依存する場合があり、一般的には、in vitroおよびin vivoの動物モデルにおいて効果があると判明したEC50に基づいて推定できる。一般的に、投薬量は体重1kg当たり0.01μg〜100gであり、1回または複数回、毎日、毎週、毎月または毎年、あるいは所望の間隔をおいて、投与され得る。成功的治療に続き、疾患状態の再発を防ぐために、患者が維持療法を施されることが望ましい場合があり、該維持療法では、前記オリゴヌクレオチドが、体重1kg当たり0.01μg〜100gの範囲の維持量を、毎日1回または複数回投与される。
本発明は、ある好ましい実施形態に関して具体性をもって記載されたが、以下の実施例は本発明の例示のみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本出願に記載される各参考文献、GenBank受託番号等は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
非制限的開示および参照による組み込み
本明細書に記載のある化合物、組成物および方法は、ある実施形態に関して具体性をもって記載されたが、下記の実施例は本明細書に記載の化合物の例示のみを目的としており、該化合物を限定すること意図するものではない。本明細書に記載の各参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
実施例1:HepG2細胞における、ヒトトランスサイレチンのアンチセンス阻害
アンチセンスオリゴヌクレオチドはトランスサイレチン核酸を標的とするよう設計され、in vitroにおけるトランスサイレチンmRNAに対するそれらの効果が試験された。1ウェル当たり10,000細胞の密度で培養されたHepG2細胞を、リポフェクチン試薬を用いて50nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。およそ24時間の処理期間後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRで測定した。ヒトプライマープローブセットRTS1396(順方向配列CCCTGCTGAGCCCCTACTC、本明細書では配列番号5と指定;逆方向配列TCCCTCATTCCTTGGGATTG、本明細書では配列番号6と指定;プローブ配列ATTCCACCACGGCTGTCGTCAX、本明細書では配列番号7と指定)。トランスサイレチンのmRNAレベルは、RIBOGREEN(登録商標)により測定した全RNA含量に従って補正した。結果は、無処理対照群細胞に対する、トランスサイレチンの阻害率(%)として表わされる。
表1および2のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドを、5−10−5MOEギャップマーとして設計した。ギャップマーは20ヌクレオチドの長さをもち、その中で中央ギャップセグメント(central gap segment)は10個の2’−デオキシヌクレオチドから成っており、それぞれが5個のヌクレオチドから成るウイング(wing)によって、(5’および3’方向の)両端に隣接する。5’ウイングセグメントにおける各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメントにおける各ヌクレオチドは、2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー全体のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体のシチジン残基は全て、5−メチルシチジンである。「ヒト標的開始部位(Human Target start site)」とは、ギャップマーがヒト遺伝子配列において標的とする5’末端のヌクレオチドを意味する。「ヒト標的終結部位(Human Target stop site)」とは、ギャップマーがヒト 遺伝子配列において標的とする3’末端のヌクレオチドを意味する。表1に列挙する各ギャップマーはヒトトランスサイレチンのmRNAを標的としており、本明細書では配列番号1と指定される(GENBANK受託番号NM_000371.2)。また、ヒトトランスサイレチンのゲノム配列のイントロン配列またはイントロンエキソン移行部を標的とする特定のギャップマーが設計され、本明細書では配列番号2と指定され(GENBANK受託番号NT_010966.10、ヌクレオチド2009236〜2017289から切断)、表2に列挙する。
また、表1および2のヒトオリゴヌクレオチドは、アカゲザル遺伝子配列と交差反応性がある。ヒトオリゴヌクレオチ「ミスマッチ」とは、ヒトオリゴヌクレオチドがアカゲザル遺伝子配列とミスマッチしている核酸塩基の数を示す。ヒトオリゴヌクレオチドとアカゲザル配列間の相補性が大きい程、ヒトオリゴヌクレオチドはアカゲザル配列と交差し易い。表1のヒトオリゴヌクレオチドを、アカゲザルのゲノム配列(GENBANK受託番号NW_001105671.1)から抽出されたエキソン1〜4と、ヒトエキソンとの類似性に基づいて、比較した。表2のヒトオリゴヌクレオチドを、本明細書では配列番号4(GENBANK受託番号NW_001105671.1、ヌクレオチド628000〜638000から切断)と指定されるアカゲザルのゲノム配列と比較した。「アカゲザル標的開始部位(Rhesus monkey Target start site)」とは、ギャップマーがアカゲザル遺伝子配列において標的とする5’末端のヌクレオチドを意味する。「アカゲザル標的 終結部位(Rhesus monkey Target stop site)」とは、ギャップマーがアカゲザル遺伝子配列において標的とする3’末端のヌクレオチドを意味する。
ヒトトランスサイレチンのmRNAは長さが短いため、第二のプライマープローブセットを第一のプライマープローブセットRTS1396から離れて設計し、単位複製配列オリゴヌクレオチドを避けた。アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、新しいヒトプライマープローブセットRTS3029(本明細書では配列番号161と指定される順方向配列CTTGCTGGACTGGTATTTGTGTCT、本明細書では配列番号162と指定される逆方向配列AGAACTTTGACCATCAGAGGACACT;本明細書では配列番号163と指定されるプローブ配列CCCTACGGGCACCGGTGAATCCX)を用いて、in vitroにおけるトランスサイレチンmRNAに対するそれらの効果について試験された。1ウェル当たり10,000細胞の密度で培養したHepG2細胞を、リポフェクチン試薬を用いて、50nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。およそ24時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率として示す。結果を、PBS対照細胞セットの阻害率(%)として表3に示す。
新しいプライマープローブセットRTS3029を用いた阻害の結果に基づき、トランスサイレチンmRNAを50%以上阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドをさらなる試験のために選択した。
実施例2:HepG2細胞における、マイクロウォーク(microwalk)により設計されるオリゴヌクレオチドによるヒトトランスサイレチンのアンチセンス阻害
さらなるギャップマーが、少なくとも50%の阻害を示す表3に表わされるギャップマーに基づいて設計された。これらのギャップマーは、表3から得られる元のギャップマーを上流および下流にわずかに移動させて(すなわち、「マイクロウォーク(microwalk)」)ギャップマーを生成することにより設計された。ギャップマーはまた、種々のモチーフ、例えば、5−10−5MOE、3−14−3MOE、2−13−5MOE、および4−11−5MOEモチーフと共に生成された。これらのギャップマーはin vitroで試験された。1ウェル当たり10,000細胞の密度で培養したHepG2細胞は、リポフェクチン試薬を用いて、50nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。およそ24時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトプライマープローブセットRTS3029を、トランスサイレチンのmRNAレベルを測定するために使用した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。結果を表4に示す。
表4のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOE、3−14−3MOE、2−13−5MOEまたは4−11−5MOEギャップマーとして設計された。表4でアステリスク(*)と一緒に名付けられているギャップマーは、それからISIS425650〜425763のギャップマーが、マイクロウォーク(microwalk)により設計される、元となるギャップマーである。5−10−5ギャップマーは20ヌクレオチドの長さをもち、その中で中央ギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドから成っており、それぞれが5個のヌクレオチドから成るウイングによって、(5’および3’方向の)両端に隣接する。3−14−3ギャップマーは20ヌクレオチドの長さをもち、その中で中央ギャップセグメントは14個の2’−デオキシヌクレオチドから成っており、それぞれが3個のヌクレオチドから成るウイングによって、(5’および3’方向の)両端に隣接する。2−13−5ギャップマーは20ヌクレオチドの長さをもち、その中で中央ギャップセグメントは13個の2’−デオキシヌクレオチドから成っており、それぞれが2個および5個のヌクレオチドから成るウイングで、5’および3’方向に隣接する。4−11−5ギャップマーは20ヌクレオチドの長さをもち、その中で中央ギャップセグメントは11個の2’−デオキシヌクレオチドから成っており、それぞれが4個および5個のヌクレオチドから成るウイングで、5’および3’方向に隣接する。4つの各モチーフ(5−10−5、3−14−3、2−13−5、および4−11−5)、5’ウイングセグメントにおける各ヌクレオチドおよび3’ウイングセグメントにおける各ヌクレオチドは、2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー全体のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体のシチジン残基は全て、5−メチルシチジンである。「標的開始部位(Target start site)」とは、ギャップマーが標的とする5’末端のヌクレオチドを意味する。「標的終結部位(Target stop site)」とは、ギャップマーが標的とする3’末端のヌクレオチドを意味する。表4に列挙した各ギャップマーは、配列番号1(GENBANK受託番号NM_000371.2)の核酸塩基481〜619にまたがる標的領域を標的とする。
表4に示されるように、いくつかのギャップマーは少なくとも50%の阻害を示し、例えば以下のISIS番号のものが挙げられる:304296、425655、425695、425735、425649、425656、425696、425736、420912、425657、425697、425737、420913、425658、425698、425738、420914、425659、425699、425739、304299、425660、425700、425740、420915、420916、425662、425702、420919、425703、420920、425664、425704、425742、420921、425665、425705、425743、420922、425666、425706、420923、420937、420944、425669、425709、425746、425710、425711、425747、420948、425712、425748、425673、425713、425749、425651、425675、425715、425751、304309、425676、425716、425752、420949、425677、425717、425753、420950、425678、425718、425754、420951、425679、425719、425755、420952、425680、425720、425756、420953、425681、425721、425757、420954、425722、425758、420955、425759、425724、425760、425762、304310、425729、425764、425653、425690、425730、425765、304311、425691、425731、425766、304312、425692、425732、425767、425654、425693、425733、425768、304313、425734、および425769。
いくつかのギャップマーは少なくとも60%の阻害を示し、例えば、以下のISIS番号のものが挙げられる:304296、425655、425695、425735、425649、425656、425696、425736、420912、425657、425697、425737、420913、425658、425698、425738、420914、425659、425739、304299、425740、420915、425702、420919、420920、425742、420921、425665、425705、425706、420923、425746、425711、425747、420948、425712、425748、425651、425715、425751、304309、425716、425752、425677、425717、425753、420950、425718、425754、420951、425679、425719、425755、420952、425680、425720、420953、425681、425721、425757、420954、425722、425758、420955、425724、425760、425764、425653、425690、425730、425765、304311、425691、425731、425766、304312、425692、425732、425767、425654、425693、425733、304313、および425769。
いくつかのギャップマーは少なくとも70%の阻害を示し、例えば、以下のISIS番号のものが挙げられる:304296、425655、425695、425735、425649、425656、425696、425736、420912、425657、425737、420913、425738、420914、425659、304299、420915、420920、425742、425712、425748、425716、425754、420951、425679、425719、425755、425680、425721、425757、425760、425653、425690、425730、425765、304311、425691、425731、425766、304312、425767、425693、および304313。
いくつかのギャップマーは少なくとも80%の阻害を示し、例えば、以下のISIS番号のものが挙げられる:304296、425655、425695、425736、420913、425659、304299、420915、425716、425754、425719、425757、425765、および425767。
いくつかのギャップマーは少なくとも85%の阻害を示し、例えば、以下のISIS番号のものが挙げられる:420913、425716、425754、および425719。
1つのギャップマー、ISIS425719は、90%の阻害を示した。
実施例3:HepG2細胞における、ヒトトランスサイレチンの用量依存的なアンチセンス阻害
実施例2から得られた、ヒトトランスサイレチンをin vitroで有意に阻害するギャップマーを、HepG2細胞において種々の用量で試験した。細胞を1ウェル当たり20,000細胞の密度で播種し、表5で規定されるように、エレクトロポレーションを用いて625nM、1250nM、2500nM、5000nMおよび10000nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS3029を使用してmRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。
また、表5に各オリゴヌクレオチドの50%阻害濃度(IC50)が示されるが、これは、各濃度で達成されるトランスサイレチンmRNA発現の阻害率に対して、使用されたオリゴヌクレオチドの濃度をプロットすることにより計算され、対照と比較してトランスサイレチンmRNA発現の50%阻害が達成されるオリゴヌクレオチド濃度を示している。表5に例示されるように、トランスサイレチンのmRNAレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理された細胞において用量依存的に有意に減少した。
また、実施例2から得られたギャップマーを、トランスフェクション試薬であるリポフェクチンを用いて、HepG2細胞において種々の用量で試験した。細胞を1ウェル当たり10,000細胞の密度で播種し、表6で規定されるように、6.25nM、12.5nM、25nM、50nMおよび100nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと一緒に、エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS3029を使用してmRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表6に例示されるように、トランスサイレチンのmRNAレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理された細胞において用量依存的に有意に減少した。
実施例4:HepG2細胞における、ヒトトランスサイレチンの用量依存的なアンチセンス阻害
実施例3から選択されたギャップマーが、HepG2細胞において種々の濃度で試験された。細胞を1ウェル当たり20,000細胞の密度で播種し、表7で規定されるように、0.0617μM、0.1852μM、0.5556μM、1.6667μMおよび5μMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと一緒に、エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS3029を使用してmRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表7に例示されるように、トランスサイレチンのmRNAレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理した細胞において、用量依存的に減少した。
実施例5:Hep3B細胞における、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの用量反応確認
ヒトトランスサイレチンの有意なin vitro阻害を示す実施例4から得られたギャップマーを、Hep3B細胞において種々の濃度で試験した。細胞を1ウェル当たり20,000細胞の密度で播種し、表8で規定されるように、0.0206μM、0.062μM、0.185μM、0.556μM、1.667μMおよび5μMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと一緒に、エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS1396を使用してmRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表8に例示されるように、トランスサイレチンのmRNAレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理した細胞において、用量依存的に減少した。また、各オリゴヌクレオチドのIC50も表8に示される。
実施例6:ヒトトランスサイレチン−トランスジェニックマウスの初期肝細胞における、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの用量反応確認
また、ヒトトランスサイレチン−トランスジェニックマウスの初期肝細胞においても、実施例5から得られたギャップマーを種々の用量で試験した。ISIS304309、ISIS304311、ISIS304312およびISIS420951(実施例2参照)はまた、同一の培養条件下で、これらのギャップマーと一緒に再試験された。細胞を1ウェル当たり10,000細胞の密度で播種し、表9で規定されるように、18.75nM、37.5nM、75nM、150nMおよび300nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと一緒に、サイトフェクチンを用いてトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS1396を使用してmRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表9に例示されるように、トランスサイレチンのmRNAレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理した細胞において、用量依存的に減少した。
実施例7:HepG2細胞における、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの用量反応確認
実施例6から得られたギャップマーを、HepG2細胞において種々の濃度で試験した。細胞を1ウェル当たり10,000細胞の密度で播種し、表10で規定されるように、0.062μM、0.185μM、0.556μM、1.66μMおよび5.000μMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと一緒に、エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS1396を使用してmRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表10に例示されるように、トランスサイレチンのmRNAレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理した細胞において、用量依存的に減少した。
実施例8:ヒトトランスサイレチン-トランスジェニックマウスの初期肝細胞における、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの用量反応確認
また、実施例6から得られたギャップマーを、ヒトトランスサイレチン−トランスジェニックマウスの初期肝細胞においても種々の用量で試験した。細胞を1ウェル当たり10,000細胞の密度で播種し、表11で規定されるように、5nM、10nM、20nM、40nMおよび80nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと一緒に、サイトフェクチンを用いてトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS3029を使用してmRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表11に例示されるように、トランスサイレチンのmRNAレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理した細胞において、用量依存的に減少した。
ギャップマーはまた、エレクトロポレーションを用いて、トランスフェクション試薬として試験された。細胞を1ウェル当たり35,000細胞の密度で播種し、表12で規定されるように、148.148nM、444.444nM、1,333.333nM、4,000nMおよび12,000nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと一緒に、エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS3029を使用してmRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。
実施例9:カニクイザル初期肝細胞における、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの用量反応確認
また、実施例6から得られたギャップマーを、カニクイザルの初期肝細胞においても種々の用量で試験した。細胞を1ウェル当たり35,000細胞の密度で播種し、表13で規定されるように、1,250nM、2,500nM、5,000nM、10,000nMおよび20,000nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと一緒に、エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS1396を使用してmRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表13に例示されるように、トランスサイレチンのmRNAレベルは、ISISオリゴヌクレオチドで処理された肝細胞において用量依存的に有意に減少した。
NCBIデータベース中にカニクイザルの完全遺伝子配列が存在せず、2つの種は同じ属、「マカク属」に由来するため、オリゴヌクレオチドはアカゲザル遺伝子配列に対する交差反応について試験された。ヒトオリゴヌクレオチドは、本明細書で配列番号4(GENBANK受託番号NW_001105671.1から抽出されたエキソン1〜4)と指定されるアカゲザルトランスサイレチン遺伝子と交差反応性である。「ミスマッチ」とは、ヒトオリゴヌクレオチドとアカゲザルトランスサイレチン遺伝子間のミスマッチの数を意味する。「n/a」とは、ヒトオリゴヌクレオチドが、アカゲザルトランスサイレチン遺伝子とのミスマッチを4個以上有しており、それ故アカゲザルトランスサイレチン遺伝子と交差反応しないことを意味する。
実施例10:ヒトトランスサイレチン−トランスジェニックマウスにおける、ヒトトランスサイレチンのin vivoでの阻害
トランスサイレチンmRNAの有意な阻害を示す実施例6から得られたギャップマーを、ヒトトランスサイレチン遺伝子を含むトランスジェニックマウスにおいて試験し、該ギャップマーの有効性を評価した。
処置
4匹のhTTRトランスジェニック雌マウスを15群用意し、それぞれに、25mg/kgのISIS304299、ISIS304309、ISIS304311、ISIS304312、ISIS420915、ISIS420951、ISIS425653、ISIS425655、ISIS425656、ISIS425679、ISIS425695、ISIS425736、ISIS425737、ISIS425755、またはISIS425757を、週2回、4週間、皮下に投与した。別の群の4匹のhTTRトランスジェニック雌マウスには、25mg/kgの対照オリゴヌクレオチドISIS141923(CCTTCCCTGAAGGTTCCTCC、本明細書では配列番号165と指定される)を、週に2回、4週間、注射した。別の群の4匹のhTTRトランスジェニック雌マウスには、PBSを週2回4週間、皮下に注射した。PBSを注射されたマウスは対照群として利用された。血漿トランスサイレチンレベル分析のために、0、1、2、3、および4週目に、血液試料を全ての群から採取した。最終投与から2日後にマウスを屠殺し、標的mRNA分析のために肝臓を採取した。
RNA分析
プライマープローブセットRTS3029を用いてトランスサイレチンのリアルタイムPCR分析を行うために、RNAを肝臓組織から抽出した。結果を、PBS対照と比較したヒトトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表14で示されるように、ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理することにより、PBS対照と比較してヒトトランスサイレチンのmRNAが有意に減少した。対照オリゴヌクレオチドISIS141923での処理では、予想通り、トランスサイレチンは有意に減少しなかった。
タンパク質分析
トランスジェニックマウスの血漿中におけるヒトトランスサイレチンのタンパク質レベルを、抗トランスサイレチンポリクローナル抗体(Abcam社製Ab37774)およびヒツジ抗TTRホースラディッシュペルオキシダーゼ検出抗体(Abcam社カタログ番号35217)を用いてELISAにより測定した。ImmunoPure(登録商標)TMB基質キットにより呈色反応を起こし、吸光度をマイクロプレート分光光度計を用いて450nmで測定した。血漿試料を、投与前並びに7日目、14日目および28日目に採取した。表15に示される結果は投与前レベルと比較した阻害率(%)を表わしており、ISISオリゴヌクレオチド処理でのタンパク質レベルにおける時間依存的な減少を示している。
体重および臓器重量
マウスの体重を投与前と処置期間の最後に測定した。体重は表16に示され、処置開始前に測定したPBS対照の体重を超えた分の増加率(%)を表わしている。肝臓、脾臓および腎臓の重量を検査の最後に測定し、またそれらもPBS対照の各臓器体重を超えた分の増加率として表16に示す。表16で示されるように、体重または臓器重量に、アンチセンスオリゴヌクレオチド処置の結果としての有意な変化はなかった。
肝機能
肝機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿中濃度を測定し、その結果をIU/L表示で表17に示す。また、ビリルビンの血漿中レベルを同じ臨床化学分析機を用いて測定し、その結果もmg/dL表示で表17に示す。
腎機能
腎機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血中尿素窒素(BUN)の血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。結果をmg/dL表示で表18に示す。そのデータにより、トランスサイレチンのアンチセンス阻害は、これらのトランスジェニックマウスにおけるBUNレベルに対して効果がないことが示される。
実施例11:CD1マウスにおける、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの忍容性
CD1(登録商標)マウス(チャールス・リバー社、マサチューセッツ州)は多目的なマウスモデルであり、しばしば安全性および効力試験に利用される。マウスを実施例10に記載された検査から選択されるISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置し、種々の代謝マーカーのレベル変化について評価した。
処置
CD1マウス8匹からなる群のそれぞれに、50mg/kgのISIS304299、ISIS304309、ISIS420915、ISIS420951、ISIS425655、ISIS425656、ISIS425679、ISIS425695、ISIS425736、ISIS425737、およびISIS425755を、週2回皮下に注射した。各グループのマウス4匹を、処理期間の2週目および6週目に評価した。各時点での最終投与から3日後に、体重を測定し、マウスを安楽死させ、さらなる分析のために臓器および血漿を採取した。
体重および臓器重量
投与前および各処理期間(2週目および6週目)の最後に、マウスの体重を測定した。体重は表19および20に示され、処置開始前に測定したPBS対照の体重を超えた分の増加率(%)として表記される。肝臓、脾臓および腎臓の重量を検査の最後に測定し、また、PBS対照の各臓器体重を超えた分の変化率(%)として表19および20に示す。
肝機能
肝機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿中濃度を測定し、結果を表21および表22にIU/L表示で示す。また、ビリルビンおよびアルブミンの血漿中レベルも同じ臨床化学分析機を用いて測定し、その結果も表21および22に示す。
腎機能
腎機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血中尿素窒素(BUN)およびクレアチニンの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。結果をmg/dL表示で表23および24に示す。
血液学的分析
全マウス群より得た血液を、ヘマトクリット(HCT)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、および平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)の測定および分析、加えてWBC(好中球、リンパ球、および単球)、RBC、および血小板等の血液細胞百分率数並びに総ヘモグロビン量の測定のために、アンテック・ダイアグノスティクス社(Antech Diagnostics)へ送った。結果を表25〜28に示す。表中のパーセンテージは、PBS対照と比較した総血液細胞数における増減率を表わす。PBS対照の70%未満に血小板数を減少させなかった、または単球数を2倍より多くに増加させなかったアンチセンスオリゴヌクレオチドを、さらなる試験のために選択した。
実施例12:CD1マウス肝臓における、アンチセンスオリゴヌクレオチドの半減期測定
マウスを、実施例11に記載される試験から得られたISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置し、オリゴヌクレオチド半減期並びに肝臓からオリゴヌクレオチドが分解および除去されるのに要する経過時間を評価した。
処置
CD1マウス12匹からなる群にそれぞれ、50mg/kgのISIS304299、ISIS304309、ISIS420915、ISIS420951、ISIS425655、ISIS425656、ISIS425679、ISIS425695、ISIS425736、ISIS425737、およびISIS425755を、週2回を2週間、皮下に注射した。各群から4匹のマウスを、最終投与後の3日目、28日目および56日目に屠殺した。肝臓を分析のために採取した。
オリゴヌクレオチド濃度の測定
完全長オリゴヌクレオチドの濃度および総オリゴヌクレオチド濃度(分解された形態も含む)を測定した。使用された方法は既刊の方法を改変したものであり(Leeds et al.、1996; Geary et al.、1999)、フェノール−クロロホルム(液−液)抽出とそれに続く固相抽出から成る。内部標準(ISIS355868、27塩基長の2’−O−メトキシエチル修飾ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、GCGTTTGCTCTTCTTCTTGCGTTTTTT、本明細書では配列番号166と指定される)を抽出前に加えた。組織試料濃度を、定量下限(LLOQ)がおよそ1.14μg/gである検量線を用いて計算した。続いて、半減期をWinNonlinソフトウエア(ファーサイト社(PHARSIGHT))を用いて計算した。
結果をμg/肝臓組織のg表示で表29および30に示す。各オリゴヌクレオチドの半減期を表31に示す。11〜34日以内の半減期を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、さらなる試験のために選択した。
実施例13:スプラーグドーリーラットにおける、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの忍容性
スプラーグドーリーラットを、実施例11および12に記載された検査から選択されたISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置し、種々の代謝マーカーのレベル変化について評価した。
処置
ラットの体重、全血球計算値および差分血球数(different blood count)、並びに尿蛋白/クレアチニン比を投与前に評価した。スプラーグドーリーラット4匹からなる群にそれぞれ、50mg/kgのISIS304299、ISIS304309、ISIS420915、ISIS420951、ISIS425655、ISIS425656、ISIS425679、ISIS425695、ISIS425736、ISIS425737、およびISIS425755を、週2回皮下に注射した。各時点での最終投与から3日後に、体重を測定し、マウスを安楽死させ、さらなる分析のために臓器および血漿を採取した。
体重および臓器重量
ラットの体重を投与前および処理期間の最後に測定した。体重は表32に示され、処置開始前に測定したPBS対照の体重を超えた分の増加率として表記した。肝臓、脾臓および腎臓の重量を検査の最後に測定し、またこれもPBS対照の各臓器体重を超えた分の変化率として表32に示す。
表32で示されるように、ある化合物は脾臓重量において4倍未満の増加を示した。
肝機能
肝機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿中濃度を測定し、その結果をIU/L表示で表33に示す。また、ビリルビンおよびアルブミンの血漿中レベルを同じ臨床化学分析機を用いて測定し、その結果も表33に示す。
腎機能
腎機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血中尿素窒素(BUN)およびクレアチニンの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。結果をmg/dL表示で表34に示す。また、クレアチニンに対する全尿蛋白の割合を評価し、表35に示す。
表34および35に示されるように、ある化合物は、これらラットの腎臓における全尿蛋白/クレアチニンにおいて7倍未満の増加を示した。さらに、ある化合物は、これらラットの腎臓における全尿蛋白/クレアチニンにおいて6倍未満の増加を示した。
血液学的分析
全マウス群より得た血液を、ヘマトクリット(HCT)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、および平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)の測定および分析、加えてWBC(好中球、リンパ球、および単球)、RBC、および血小板等の血液細胞百分率数並びに総ヘモグロビン量の測定のために、アンテック・ダイアグノスティクス社(Antech Diagnostics)へ送った。結果を表36〜37に示す。表中のパーセンテージは、PBS対照と比較した総血液細胞数における増減率を表わす。
実施例14:スプラーグドーリーラットの肝臓および腎臓における、アンチセンスオリゴヌクレオチド濃度についての薬物動態試験
スプラーグドーリーラットを実施例13に記載される試験から得られたISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置し、オリゴヌクレオチドの半減期並びに肝臓および腎臓からオリゴヌクレオチドが分解および除去されるのに要する経過時間を評価した。
処置
スプラーグドーリーラット4匹からなる群にそれぞれ、20mg/kgのISIS304299、ISIS304309、ISIS420915、ISIS420951、ISIS425655、ISIS425656、ISIS425679、ISIS425695、ISIS425736、ISIS425737、およびISIS425755を、週2回を2週間、皮下に注射した。最終投与から3日後、ラットを屠殺し、肝臓および腎臓を分析のために採取した。
オリゴヌクレオチド濃度の測定
完全長オリゴヌクレオチドの濃度および総オリゴヌクレオチド濃度(分解された形態も含む)を測定した。使用された方法は既刊の方法を改変したものであり(Leeds et al., 1996; Geary et al., 1999)、フェノール−クロロホルム(液−液)抽出とそれに続く固相抽出から成る。内部標準(ISIS355868、27塩基長の2’−O−メトキシエチル修飾ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、GCGTTTGCTCTTCTTCTTGCGTTTTTT、本明細書では配列番号166と指定される)を抽出前に加えた。組織試料濃度を、定量下限(LLOQ)がおよそ1.14μg/gである検量線を用いて計算した。結果を、μg/肝臓または腎臓組織のg表示で表38および39に示す。また、完全長オリゴヌクレオチドに関して腎臓の肝臓に対する割合を計算し、表38に示す。
実施例15:トランスジェニックマウスにおける、ヒトトランスサイレチンのIn vivoでの用量依存的阻害
ヒトトランスサイレチン遺伝子を含むトランスジェニックマウスに、実施例14に記載される検査から選択されるISISオリゴヌクレオチドを漸増投与法で投与し、これらマウスにおけるヒトトランスサイレチンの用量依存的阻害の効果を評価した。
処置
4匹のマウスからなる群(2匹の雄および2匹の雌)にそれぞれ、4mg/kg、10mg/kgまたは25mg/kgのISIS304299、ISIS420915、ISIS420951、ISIS425679、ISIS425736、ISIS425737、またはISIS425755を、週に2回、4週間、皮下に注射した。4匹のマウスからなる群(2匹の雄および2匹の雌)の一つに、25mg/kgの対照オリゴヌクレオチド、ISIS141923を、週に2回、4週間、皮下に注射した4匹のマウスからなる対照群(2匹の雄および2匹の雌)の一つに、PBSを、週に2回、4週間、皮下に注射した。0、7、14、21および28日目に各群から血漿試料を採取した。最終投与から2日後、マウスを安楽死させ、臓器をさらなる分析のために採取した。
RNA分析
プライマープローブセットRTS3029を用いてトランスサイレチンのリアルタイムPCR分析を行うために、RNAを肝臓組織から抽出した。結果を、PBS対照と比較したヒトトランスサイレチンの阻害率として示す。表40で示されるように、ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置により、ヒトトランスサイレチンmRNAがPBS対照と比較して用量依存的に有意に減少した。対照オリゴヌクレオチドISIS141923での処理では、予想通り、トランスサイレチンは有意に減少しなかった。
タンパク質分析
トランスジェニックマウスの血漿におけるヒトトランスサイレチンのタンパク質レベルを、抗トランスサイレチンポリクローナル抗体(Abcam社 Ab37774)およびヒツジ抗TTRホースラディッシュペルオキシダーゼ検出抗体(Abcam社カタログ番号35217)を用いて、ELISAにより測定した。ImmunoPure(登録商標)TMB基質キットにより呈色反応を起こし、吸光度をマイクロプレート分光光度計を用いて450nmで測定した。血漿試料を、投与前並びに7、14、21および28日目に採取した。表41に示される結果は投与前レベルと比較した阻害率(%)を表わしており、ISISオリゴヌクレオチドでの処置により、タンパク質レベルにおいて時間依存的且つ用量依存的な減少が起こることを示している。
体重および臓器重量
マウスの体重を、投与前および処理期間の最後に測定した。表42に体重を示し、体重は処置開始前に測定したPBS対照の体重を超えた分の増加率として表わしている。肝臓、脾臓および腎臓の重量を検査の最後に測定し、PBS対照の各臓器体重を超えた分の変化率として表42に示す。
肝機能
肝機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿中濃度を測定し、その結果をIU/L表示で表43に示す。また、ビリルビンの血漿中レベルを同じ臨床化学分析機を用いて測定し、その結果もmg/dL表示で表43に示す。
腎機能
腎機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血中尿素窒素(BUN)の血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。結果をmg/dL表示で表44に示す。
実施例16:ヒトトランスサイレチン−トランスジェニックマウスにおける、ヒトトランスサイレチンのIn vivoでの阻害
表4からの、5−10−5MOEモチーフを有するアンチセンスオリゴヌクレオチド:ISIS304313、ISIS420913、ISIS420919、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420937、ISIS420944、ISIS420947、ISIS420949、ISIS420950、ISIS420951、ISIS420952、ISIS420953、ISIS420955、ISIS420957、およびISIS420959。トランスサイレチンmRNAを65%以上阻害するこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドを選択し、ヒトトランスサイレチン遺伝子を含むトランスジェニックマウスにおいて試験した。また、ISIS420951(GTTTTATTGTCTCTGCCTGG(配列番号116))に対する重複配列を有し、種々のモチーフを有するさらなるオリゴヌクレオチドを設計し、トランスジェニックマウスにおいて試験した。これらのさらなるオリゴヌクレオチドは、ISIS450518(TTTTATTGTCTCTGCCTG(配列番号5−8−5MOE(配列番号167))、ISIS450519(GTTTTATTGTCTCTGCCTGG、6−8−6MOE(配列番号116))、ISIS450520(GTTTTATTGTCTCTGCCTGG、3−10−7MOE(配列番号116))、ISIS450521(GTTTTATTGTCTCTGCCTGG、7−10−3MOE(配列番号116))、ISIS450522(GTTTTATTGTCTCTGCCTGG、2−10−8MOE(配列番号116))、およびISIS450523(GTTTTATTGTCTCTGCCTGG、8−10−2MOE(配列番号116))である。
処置
4匹のhTTRトランスジェニックマウス(2匹の雄および2匹の雌)からなる群にそれぞれ、25mg/kgのISIS304313、ISIS420913、ISIS420919、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420937、ISIS420944、ISIS420947、ISIS420949、ISIS420950、ISIS420951、ISIS420952、ISIS420953、ISIS420955、ISIS420957、ISIS420959、ISIS425518、ISIS425519、ISIS425520、ISIS425521、ISIS425522、またはISIS425523を、週に2回、4週間、皮下に投与した。4匹のhTTRトランスジェニックマウスからなる対照群(2匹の雄および2匹の雌)に、PBSを、週に2回、4週間、皮下に注射した。0,14および28日目に血液試料を全ての群から採取し、血漿中トランスサイレチンレベルを分析した。最終投与から2日後にマウスを屠殺し、標的mRNA分析のために肝臓を採取した。
RNA分析
プライマープローブセットRTS3029を用いてトランスサイレチンのリアルタイムPCR分析を行うために、RNAを肝臓組織から抽出した。結果を、PBS対照と比較したヒトトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表45で示されるように、ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置することにより、PBS対照と比較してヒトトランスサイレチンのmRNAが有意に減少した。
タンパク質分析
トランスジェニックマウスの血漿におけるヒトトランスサイレチンのタンパク質レベルを、抗トランスサイレチンポリクローナル抗体(Abcam社Ab37774)およびヒツジ抗TTRホースラディッシュペルオキシダーゼ検出抗体(Abcam社カタログ番号35217)を用いて、ELISAにより測定した。ImmunoPure(登録商標)TMB基質キットにより呈色反応を起こし、吸光度をマイクロプレート分光光度計を用いて450nmで測定した。血漿試料を、投与前並びに7日目、14日目および28日目に採取した。表46に示される結果は、投与前レベルと比較した阻害率(%)を表わし、オリゴヌクレオチドで処置した場合のタンパク質レベルにおける時間依存的な減少を示している。
肝機能
肝機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿中濃度を測定し、その結果をIU/L表示で表47に示す。また、ビリルビンの血漿中レベルを同じ臨床化学分析機を用いて測定し、その結果もmg/dL表示で表47に示す。
腎機能
腎機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血中尿素窒素(BUN)の血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。結果をmg/dL表示で表48に示す。
実施例17:CD1マウスにおける、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの忍容性
CD1マウスを実施例16から得られたISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置し、種々の代謝マーカーのレベル変化について評価した。
処置
8匹のCD1マウスからなる群にそれぞれ、50mg/kgのISIS304313、ISIS420913、ISIS420919、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420937、ISIS420944、ISIS420947、ISIS420949、ISIS420950、ISIS420951、ISIS420952、ISIS420953、ISIS420955、ISIS420957、ISIS420959、ISIS425518、ISIS425519、ISIS425520、ISIS425521、ISIS425522、またはISIS425523を、週2回皮下に注射した。各時点での最終投与から3日後に、体重を測定し、マウスを安楽死させ、さらなる分析のために臓器および血漿を採取した。
体重および臓器重量
投与前および各処置期間の最後に(2週目および6週目)マウスの体重を測定した。表49に示される体重は処置開始前に測定したPBS対照の体重を超えた分の増加率(%)を表わしている。肝臓、脾臓および腎臓の重量を検査の最後に測定し、これもまた、PBS対照の各臓器体重を超えた分の変化率(%)として表49に示す。
肝機能
肝機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿中濃度を測定し、その結果をIU/L表示で表50に示す。また、ビリルビンおよびアルブミンの血漿中レベルも同じ臨床化学分析機を用いて測定し、その結果も表50に示す。
腎機能
腎機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血中尿素窒素(BUN)およびクレアチニンの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。結果をmg/dL表示で表51に示す。
血液学的分析
全マウス群より得た血液を、ヘマトクリット(HCT)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、および平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)の測定並びに分析、加えてWBC(好中球、リンパ球、および単球)、RBC、および血小板等の血液細胞百分率数並びに総ヘモグロビン量の測定のために、アンテック・ダイアグノスティクス社(Antech Diagnostics)へ送った。結果を表52〜53に示す。表中のパーセンテージは、PBS対照と比較した総血液細胞数における増減率を表わす。
実施例18:スプラーグドーリーラットにおける、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの忍容性
実施例17に記載される検査から選択されるISISオリゴヌクレオチドを、スプラーグドーリーラットにおいて試験し、種々の代謝マーカーのレベル変化について評価した。
処置
ラットの体重、全血球計算値および差分血球数(different blood count)、並びに尿蛋白/クレアチニン比を投与前に評価した。スプラーグドーリーラット4匹からなる群それぞれに、50mg/kgのISIS420913、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420950、ISIS420955、ISIS420957、およびISIS420959を、週2回皮下に注射した。各時点での最終投与から3日後に、体重を測定し、マウスを安楽死させ、さらなる分析のために臓器および血漿を採取した。
体重および臓器重量
ラットの体重を投与前および処置期間の最後に測定した。体重は表54に示され、処置開始前に測定したPBS対照の体重を超えた分の増加率(%)として表記した。肝臓、脾臓および腎臓の重量を検査の最後に測定し、また、PBS対照の各臓器体重を超えた分の変化率(%)として表54に示す。
表54で示されるように、前記化合物はこれらのラットの臓器重量において、10倍未満の増加を示した。さらに、ある化合物は、これらのラットの臓器重量において、7倍未満の増加を示した。一方で、ある化合物は、これらのラットの臓器重量において、6倍未満の増加を示した。ある化合物は、これらのラットの臓器重量において、5倍未満の増加を示した。
肝機能
肝機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿中濃度を測定し、その結果をIU/L表示で表55に示す。また、ビリルビンおよびアルブミンの血漿中レベルを同じ臨床化学分析機を用いて測定し、その結果も表55に示す。
腎機能
腎機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血中尿素窒素(BUN)およびクレアチニンの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。結果をmg/dL表示で表56に示す。クレアチニンに対する全尿蛋白の割合についても評価し、表56に示す。
血液学的分析
全マウス群より得た血液を、ヘマトクリット(HCT)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、および平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)の測定並びに分析、加えてWBC(好中球、リンパ球、および単球)、RBC、および血小板等の血液細胞百分率数並びに総ヘモグロビン量の測定のために、アンテック・ダイアグノスティクス社(Antech Diagnostics)へ送った。結果を表58〜59に示す。表中のパーセントは、PBS対照と比較した総血液細胞数における増減率を表わす。
実施例19:スプラーグドーリーラットの肝臓および腎臓における、アンチセンスオリゴヌクレオチド濃度の半減期に関する薬物動態試験
スプラーグドーリーラットを、実施例18に記載される試験から得られたISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置し、オリゴヌクレオチドの半減期、並びに肝臓からオリゴヌクレオチドが分解および除去されるのに要する経過時間を評価した。
処置
スプラーグドーリーラット4匹からなる群にそれぞれ、20mg/kgのISIS420913、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420950、ISIS420955、ISIS420957、およびISIS420959を、週2回を2週間、皮下に注射した。最終投与から3日後、ラットを屠殺し、肝臓および腎臓を分析のために採取した。
オリゴヌクレオチド濃度の測定
完全長オリゴヌクレオチドの濃度および総オリゴヌクレオチド濃度(分解された形態も含む)を測定した。使用された方法は既刊の方法を改変したものであり(Leeds et al.、1996; Geary et al.、1999)、フェノール−クロロホルム(液−液)抽出とそれに続く固相抽出から成る。内部標準(ISIS355868、27塩基長の2’−O−メトキシエチル修飾ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、GCGTTTGCTCTTCTTCTTGCGTTTTTT、本明細書では配列番号166と指定される)を抽出前に加えた。組織試料濃度を、定量下限(LLOQ)がおよそ1.14μg/gである検量線を用いて計算した。結果を、μg/肝臓または腎臓組織のg表示で、表60および61に示す。オリゴヌクレオチド濃度について腎臓の肝臓に対する割合についても計算し、表60および61に示す。
実施例20:トランスジェニックマウスにおける、ヒトトランスサイレチンのin vivoでの用量依存的阻害
ISIS420913、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420957およびISIS420959は、実施例16〜19で明示されるように、良好な効能および忍容性を示し、ヒトトランスサイレチン遺伝子を含むトランスジェニックマウスにおける用量依存的な標的ノックダウンについての試験を行うために選択された。CD1マウスにおいて90%以上の標的ノックダウンを示したが、毒性も示したISIS420950およびISIS420955も、比較を目的とする本試験のために選択された。
処置
マウス4匹からなる群(2匹の雄および2匹の雌)にそれぞれ、4mg/kg、10mg/kgまたは25mg/kgのISIS420913、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420950、ISIS420955、ISIS420957、またはISIS420959を、週に2回、4週間、皮下に注射した。4匹のマウスからなる群(2匹の雄および2匹の雌)の1つに、25mg/kgの対照オリゴヌクレオチド、ISIS141923を、週に2回、4週間、皮下に注射した。4匹のマウスからなる対照群(2匹の雄および2匹の雌)の1つに、PBSを、週に2回、4週間、皮下に注射した。0、14および28日目に、各群から血漿試料を採取した。最終投与から2日後、マウスを安楽死させ、臓器をさらなる分析のために採取した。
RNA分析
プライマープローブセットRTS3029を用いてトランスサイレチンのリアルタイムPCR分析を行うために、RNAを肝臓組織から抽出した。結果を、PBS対照と比較したヒトトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表62で示されるように、ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置により、ヒトトランスサイレチンmRNAがPBS対照と比較して用量依存的に有意に減少した。対照オリゴヌクレオチドISIS141923での処理では、予想通り、トランスサイレチンは有意に減少しなかった。
タンパク質分析
トランスジェニックマウスの血漿中におけるヒトトランスサイレチンのタンパク質レベルを、抗トランスサイレチンポリクローナル抗体(Abcam社 Ab37774)およびヒツジ抗TTRホースラディッシュペルオキシダーゼ検出抗体(Abcam社カタログ番号35217)を用いたELISAにより測定した。ImmunoPure(登録商標)TMB基質キットにより呈色反応を起こし、吸光度をマイクロプレート分光光度計を用いて450nmで測定した。投与前および7、14、21および28日目に血漿試料を採取した。表63に示される結果は投与前レベルと比較した阻害率を表わしており、ISISオリゴヌクレオチドでの処置時におけるタンパク質レベルの時間依存的且つ用量依存的な減少を示している。
体重および臓器重量
マウスの体重を、投与前および処置期間の最後に測定した。表64に示される体重は処置開始前に測定したPBS対照の体重を超えた分の増加率(%)を表わしている。肝臓、脾臓および腎臓の重量を検査の最後に測定し、PBS対照の各臓器体重を超えた分の変化率(%)として表64に示す。
肝機能
肝機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、トランスアミナーゼの血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿中濃度を測定し、その結果をIU/L表示で表65に示す。また、ビリルビンの血漿中レベルを同じ臨床化学分析機を用いて測定し、その結果もmg/dL表示で表65に示す。
腎機能
腎機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血中尿素窒素(BUN)の血漿中濃度を、自動臨床化学分析機(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて測定した。結果をmg/dL表示で表66に示す。
実施例21:カニクイザル初期肝細胞における、ヒトトランスサイレチンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの用量反応確認
CD1マウスおよびスプラーグドーリーラットにおいて忍容性を示し(実施例17〜19に記載された試験)、且つトランスジェニックマウスにおいて効力を示す(実施例16および20に記載された試験)ギャップマーを選択し、カニクイザル初期肝細胞において種々の用量で試験した。細胞を1ウェル当たり35,000細胞の密度で播種し、表67で規定されるように、156.25nM、312.5nM、625nM、1,250nM、2,500nM、5,000nM、10,000nMおよび20,000nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと一緒に、エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトした。およそ16時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、トランスサイレチンのmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトトランスサイレチンのプライマープローブセットRTS1396を使用して、mRNAレベルを測定した。トランスサイレチンのmRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)により測定される全RNA含量に従って補正した。結果を、未処理対照群細胞と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示す。表67に例示されるように、アカゲザルトランスサイレチン遺伝子(本明細書では配列番号4と指定される(GENBANK受託番号NW_001105671.1から抽出されるエキソン1〜4))と交差反応性である全てのISISオリゴヌクレオチドで処理した肝細胞において、トランスサイレチンのmRNAレベルは用量依存的に減少した。
実施例22:ヒトトランスサイレチンを標的とするISISアンチセンスオリゴヌクレオチドの粘度測定
実施例21に記載される試験から得られたアンチセンスオリゴヌクレオチドの粘度を、40cP超の粘度を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの選別排除を目的として、測定した。40cP超の粘度を有するオリゴヌクレオチドは、あまりに粘性が高いので、いかなる対象にも投与できないだろう。
ISISオリゴヌクレオチド(32〜35mg)をガラス製のバイアルに量って入れ、120μLの水を加え、バイアルを50℃に加熱することによりアンチセンスオリゴヌクレオチドを溶液に溶解させた。予め加熱した試料の一部分(75μL)を、micro−viscometer(ケンブリッジ社(Cambridge))にピペットで入れた。micro−viscometerの温度を25℃に設定し、試料の粘度を測定した。260nM、85℃でUVを読み取るために(Cary UV機器)、予め加熱した試料の別の部分(20μL)を、10mLの水にピペットで入れた。表68に示されるその結果は、全てのアンチセンスオリゴヌクレオチド溶液が、上記の基準の下で、それらの粘度において最適であることを示している。
実施例23:CD1マウス肝臓における、アンチセンスオリゴヌクレオチドの半減期測定
マウスを、実施例22に記載される試験から得られたISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置し、オリゴヌクレオチド半減期並びに肝臓からオリゴヌクレオチドが分解および除去されるのに要する経過時間を評価した。
処置
12匹のCD1マウスからなる群にそれぞれ、50mg/kgのISIS420913、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420950、ISIS420955、ISIS420957、およびISIS420959を、週に2回、2週間、皮下に注射した。各群から4匹のマウスを、最終投与後の3日目、28日目および56日目に屠殺した。肝臓を分析のために採取した。
オリゴヌクレオチド濃度の測定
完全長オリゴヌクレオチドの濃度および総オリゴヌクレオチド濃度(分解された形態も含む)を測定した。使用された方法は既刊の方法を改変したものであり(Leeds et al.、1996; Geary et al.、1999)、フェノール−クロロホルム(液−液)抽出とそれに続く固相抽出から成る。内部標準(ISIS355868、27塩基長の2’−O−メトキシエチル修飾ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、GCGTTTGCTCTTCTTCTTGCGTTTTTT、本明細書では配列番号166と指定される)を抽出前に加えた。組織試料濃度を、定量下限(LLOQ)がおよそ1.14μg/gである検量線を用いて計算した。続いて、半減期をWinNonlinソフトウェア(ファーサイト社(PHARSIGHT))を用いて計算した。
結果は、μg/肝臓組織のg表示で表69に示す。各オリゴヌクレオチドの半減期を表70に示した。
実施例24:カニクイザルにおける、ヒトトランスサイレチンを標的とするISISアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果
カニクイザルを、実施例21、22および23に記載された試験から得られたISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した。肝臓および腎臓におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの効能および忍容性、並びにそれらの薬物動態プロファイルを評価した。
処置
試験に先立ち、カニクイザルを30日間隔離し、その間に、標準的な一連の血清の生化学検査および血液学検査、卵および寄生虫に関する糞便試料検査、並びに結核検査が行われ、異常なまたは病的な状態にあるサルを選別して除いた。4匹の無作為に割り付けられた雄カニクイザルからなる9群にそれぞれ、25mg/kgのISIS304299、ISIS420915、ISIS420921、ISIS420922、ISIS420950、ISIS420955、ISIS420957、またはISIS420959を、最初の週は週3回、続く11週間は週2回、皮下に注射した。4匹のカニクイザルからなる一対照群に、PBSを、最初の週は週3回、続く11週間は週2回、皮下に注射した。処置の5日前および試験期間の様々な日において血液試料を採取し、分析した。動物は血液採取前に少なくとも13時間(一晩)絶食させた。全ての群の最終屠殺を、86日目、すなわち最終投与から48時間後に行った。
試験期間中、カニクイザルを、病気または疾患の兆候について毎日観察した。処置に対し有害作用を示した動物についてはいずれも、試験から排除し獣医師および試験責任者に問い合わせた。群中の2匹のサルに病気の症状が現れたため、ISIS420955で処置された動物は全て、31日目に試験から排除した。同様に、ISIS420957およびISIS420950で処置された群から各1匹ずつを、それぞれ44日目および76日目に、疾病兆候があったために試験から排除した。
阻害試験
RNA分析
86日目に、プライマープローブセットRTS3029を用いてトランスサイレチンのリアルタイムPCR分析を行うために、RNAを肝臓組織から抽出した。結果は、PBS対照と比較したトランスサイレチンの阻害率(%)として示し、シクロフィリンに対し正規化した。同様の結果が、RIBOGREEN(登録商標)での正規化で得られた。表71で示されるように、ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置することにより、PBS対照と比較してトランスサイレチンmRNAが有意に減少した。特に、ISIS420915処置は、ISIS304299処置よりも、TTRのmRNAをより大きく阻害したが、この2つのオリゴヌクレオチドは一塩基シフトにより互いに異なるだけである。ISIS420955で処置された動物のデータを31日に取った。
タンパク質分析
カニクイザルを血液採取前に一晩絶食させた。全ての利用可能な動物からおよそ1mLの血液を採取し、EDTAのカリウム塩を含む管に入れた。該管を遠心し(3000rpm、室温で10分間)血漿を得た。血漿中のトランスサイレチンのタンパク質レベルを、臨床分析機器を用いて測定した。血漿試料を、投与前(−5日目)並びに1、9、16、23、30、44、58、72、および86日目に、採取した。表72に示される結果は投与前レベルと比較した阻害率(%)を表わしており、ISISオリゴヌクレオチド処理でのタンパク質レベルにおける時間依存的な減少を示している。最終的な血漿中TTRレベルは表73に示され、TTRのタンパク質レベルの減少およびTTRのmRNA阻害の間に強い相関関係が明示される(表71)。特に、ISIS420915処置は、ISIS304299処置よりも、血漿中TTRタンパク質をより強く阻害したが(76%阻害対47%阻害)、この2つのオリゴヌクレオチドは一塩基シフトにより互いに異なるだけである。
血漿中のRBP4のタンパク質レベルについても、ELISAキットを用いて測定した。血漿試料を、投与前(−5日目)並びに9、16、23、30、44、58、72、および86日目に、採取した。表74に示される結果は、投与前レベルと比較した阻害率(%)を表わしている。いくつかのISISオリゴヌクレオチド(ISIS420915、ISIS420922、ISIS420950、ISIS420955およびISIS420959)は、TTR減少に付随して、タンパク質レベルにおける時間依存的な減少を示している。最終的な血漿中RBP4レベルを表75に示し、またその結果により、上記オリゴヌクレオチド処置時に、RBP4およびTTRのタンパク質レベルの減少(表73)の間に強い相関関係が明示される。特に、ISIS420915処置は、ISIS304299処置よりも、血漿中RBP4タンパク質をより大きく阻害するが(63%阻害対19%阻害)、その2つのオリゴヌクレオチドは一塩基対シフトにより互いに異なるのみである。
忍容性試験
体重および臓器重量の測定
動物の健康全般に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、体重および臓器重量を86日目に測定した。ISIS420955で処置された動物のデータは31日目に取った。体重を測定し投与前レベルでの体重と比較した。臓器重量を測定し、処置群の重量を対応するPBS対照群の体重と比較した。データを表76に示す。
肝機能
肝機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血液試料を全ての試験群から採取した。血液試料は血清分離のために抗凝結剤なしで管に採取された。管を室温に90分間置き、その後遠心し(3000rpm、室温で10分間)、血清を得た。トランスアミナーゼの濃度を、Toshiba200FR NEO chemistry analyzer(東芝、日本)を用いて測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿中濃度を86日目に測定し、その結果をIU/L表示で表77に示す。アルカリホスファターゼは、損傷した肝臓細胞では合成量が増加し、これも肝臓疾患のマーカーであるが、同様に測定された。C−re活性タンパク質(CRP)は、肝臓で合成され炎症のマーカーとして利用されるが、これについても同様に86日目に測定された。アルカリホスファターゼおよびCRPの両方のデータも、表77に示す。また、ビリルビンも肝臓代謝マーカーであり、同様に測定され、mg/dL表示で表77に示される。
腎機能
腎臓機能に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血液試料を全ての試験群から採取した。血液試料は血清分離のために抗凝結剤なしで管に採取された。管を室温に90分間置き、その後遠心し(3000rpm、室温で10分間)、血清を得た。BUNおよびクレアチニンの濃度を、Toshiba200FR NEO chemistry analyzer(東芝、日本)を用いて、86日目に測定した。結果をmg/dL表示で表78に示す。
尿試料を、試験5日前、並びに25日目および84日目に、特殊なステンレス鋼ケージ便器からドレナージにより採取した。クレアチニンに対する全尿蛋白の比を、Toshiba 200FR NEO chemistry analyzer(東芝、日本)を用いて測定し、その結果を表79に示す。
血液学的分析
カニクイザルにおけるISISオリゴヌクレオチドの任意の炎症効果を評価するために、利用可能な試験動物からおよそ0.5mLの血液を試料としてEDTAのカリウム塩を含む管に採取した。ADVIA120 hematology analyzer(バイエル、米国)を用いて、試料を分析し、赤血球(RBC)数、白血球(WBC)数、単球、好中球、リンパ球等の個々の白血球細胞の割合(%)、並びに血小板数およびヘマトクリット(%)を求めた。データを表80に示す。
炎症に関する因子の分析
炎症に関与する因子に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、血液を86日目に全ての利用可能な動物から採取し、補体C3分析およびサイトカインレベルの測定を行った。補体C3分析を目的として、血清分離のために血液試料を抗凝血剤なしで管に採取した。該管を室温に90分置き、その後遠心し(3000rpm、室温で10分間)、血清を得た。補体C3を、自動分析器(Toshiba 200 FR NEO chemistry analyzer、東芝、日本)を用いて測定した。データをmg/dL表示で表81に示す。
サイトカインレベル分析を目的として、血漿分離のために血液をEDTAを含む管に採取した。その後、該管を遠心し(3000rpm、室温で10分間)、血漿を得た。血漿試料を、ケモカインおよびサイトカインのレベルを測定するために、オーション・バイオシステムズ社(Aushon Biosystems Inc.)(マサチューセッツ州ビルリカ)に送った。TNF−αのレベルを、それぞれの霊長類抗体を用いて測定し、MIP−1α、MCP−1、およびMIP−1βのレベルを、それぞれの交差反応ヒト抗体を用いて測定した。測定は、処置開始の5日前、並びに3日目および86日目に行った。結果を表82〜85に示す。
凝固試験
凝固経路に関与する因子に対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、凝固に関する標準的な試験を行った。PTおよびaPTTを、カニクイザルから得た乏血小板血漿(PPP)を用いて、48時間にわたって測定した。PTおよびaPTTの値を、秒表示で表86および87に示す。また、血漿中のフィブリノーゲンレベルを48時間にわたって定量化し、そのデータを表88に示す。表86〜88に示されるように、PT、aPTTおよびフィブリノーゲンは、PBS対照と比較して、ISISオリゴヌクレオチド処置されたカニクイザルにおいて有意に変化しなかった。
甲状腺パネル分析
甲状腺ホルモンに対するISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、処置開始の5日前並びに51日目および86日目に、サルを一晩絶食させ、3.5mLの血液をそれぞれの利用可能な試験動物から採血した。採取した血液試料を、血清分離のために抗凝結剤なしで管に保存した。管を室温に90分間置き、その後遠心し(3000rpm、室温で10分間)、血清を得た。血清試料を、パネル分析のためにエモリー大学の生物マーカー中央研究所(Biomarkers Core Laboratory)(ジョージア州アトランタ)に送った。甲状腺刺激ホルモン(TSH)に関する結果を、μL/mL表示で表89に示す。全T3ホルモンおよび遊離型T3ホルモンに関する結果を、表90および91に示す。全T4ホルモンおよび遊離型T4ホルモンに関する結果を、表92および93に示す。全体的に、甲状腺パネル分析により、トランスサイレチン発現レベルが減少しても全ての動物は許容できるホルモンレベル内に維持されることが示され、このことはトランスサイレチンのアンチセンスオリゴヌクレオチドがホルモンレベルに影響しなかったことを明示している。
薬物動態試験
オリゴヌクレオチド濃度の測定
完全長オリゴヌクレオチドの濃度および総オリゴヌクレオチド濃度(分解された形態も含む)を測定した。使用された方法は既刊の方法を改変したものであり(Leeds et al.、1996; Geary et al.、1999)、フェノール−クロロホルム(液−液)抽出とそれに続く固相抽出から成る。内部標準(ISIS355868、27塩基長の2’−O−メトキシエチル修飾ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、GCGTTTGCTCTTCTTCTTGCGTTTTTT、本明細書では配列番号166と指定される)を抽出前に加えた。組織試料濃度を、定量下限(LLOQ)がおよそ1.14μg/gである検量線を用いて計算した。肝臓中の濃度に対する腎臓中の濃度の比率を計算した。結果をμg/組織のg表示で表94および95に示す。