JP5892414B2 - 耐食性に優れた被覆物品の製造方法および被覆物品 - Google Patents
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さらに、第2のクロム系硬質皮膜の被覆前に、第1のクロム系硬質皮膜の表面を算術平均粗さRaは0.05μm以下、かつ最大高さRzは1.00μm以下となるように研磨することが好ましい。
さらに、第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、基材に印加する負圧のバイアス電圧を初期と終盤で10V以上異ならせることが好ましい。
さらに、第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、基材に印加する負圧のバイアス電圧を20Vより大きくすることが好ましい。
そしてこの場合、第1および/または第2のクロム系硬質皮膜は、金属成分(半金属を含む)のみの原子%で、Mo、Nb、W、Si、Bから選択される1種または2種以上の元素を1〜20%含むことが好ましい。
さらに、被覆物品は、射出成形用部品および/または金型であることが好ましい。
さらに、射出成形用部品は、スクリューおよび/またはスクリューの先端部品であることが好ましい。
さらに、第1のクロム系硬質皮膜の膜厚は、1.0〜10.0μm、第2のクロム系硬質皮膜の膜厚は、1.0〜10.0μmであることが好ましい。
そして、本発明の硬質皮膜は、物理蒸着法で被覆することで、冷間ダイス鋼、熱間ダイス鋼、高速度鋼等の基材の焼き戻し温度より低温で被覆処理が可能となり、基材の寸法の変動を抑制することができる。また、硬質皮膜に圧縮残留応力を付与することができ、硬質皮膜の機械特性も改善できる
基材は、窒化処理、浸炭処理等といった拡散を利用した表面硬化処理を予め適用してもよい。
(1)ダイヤモンドペースト等の研磨剤を保持した研磨布で硬質皮膜の表面を磨く方法
(2)ダイヤモンド粒子と湿度を持った研磨剤を用い、基材に被覆された皮膜に高速に滑走させて、発生する摩擦力によって磨く、いわゆるエアロラップ(エアロラップは株式会社ヤマシタワークスの登録商標である)等による研磨方法
(3)エアーを使用せずに弾性と粘着性を持った研磨剤を噴射することで磨く、いわゆるスマップ(SMAP)(合資会社亀井鉄工所の鏡面ショットマシンである)等による研磨方法
さらに、これらの処理後には3μm以下のダイヤモンドペースト磨きをすることで、より好ましい平滑化が実現できる。
また、被覆前の基材の表面粗さを算術平均粗さRaは0.50μm以下とし、かつ最大高さRzは1.00μm以下に研磨しておくことが好ましい。
負圧のバイアス電圧が低いと粒子層が相対的に微細に、負圧のバイアス電圧が高いと粒子層が相対的に粗大となり易い傾向にある。また、バイアス電圧を変化させることで粒径等の形状だけでなく結晶方位も変化する。
そのため、第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、基材に印加する負圧のバイアス電圧を変化させることで、途中研磨をしても少なからずは存在する皮膜内部から表面へと連続するドロップレットやパーティクルに起因したボイドやポア、ピンホール状の隙間欠陥が途中で遮断されて、腐食進行が基材内部まで到達せず極めて耐食性に優れる被覆物品になると考えられる。
第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、初期と終盤でのバイアス電圧を異ならせることで、皮膜途中で腐食経路が遮断され易く好ましい。
より好ましくは、第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、初期と終盤で、基材に印加する負圧のバイアス電圧を10V以上変化させることが好ましい。より好ましくは30V以上である。さらに、50V以上である。
第2のクロム系硬質皮膜の表面側の組織がより微細である方が、耐食性および耐摩耗性の向上に好ましく、終盤では基材に印加する負圧のバイアス電圧を100V以下とすることが好ましい。
第1のクロム系硬質皮膜の被覆期間中も、基材に印加する負圧のバイアス電圧を20Vより大きく、200V以下とすることが好ましい。
耐摩耗性を向上させるためには、金属成分(半金属を含む)のみの原子%で、Mo、Nb、W、Si、Bから選択される1種または2種以上の元素を1〜20%添加することが好ましい。
これよりも少ないと耐摩耗性の向上が十分ではない。これよりも多いと、皮膜の靭性が低下して、耐食性も低下する場合がある。より好ましくは、3%以上および/または15%以下である。
耐摩耗性と耐食性をより高いレベルで両立させるためには、Siおよび/またはBの添加量が金属組成(半金属を含む)のみの原子%で、5〜10%であることが好ましい。特にSiおよびBをいずれも添加することが好ましい。
第1のクロム系硬質皮膜と第2のクロム系硬質皮膜の界面で、それぞれの結晶粒径の差異が大きい場合は、使用環境によっては密着強度が十分でない場合がある。そのため、第2のクロム系硬質皮膜のみにSiおよび/またはBを添加する場合には、第1のクロム系硬質皮膜との結晶粒径を少しでも近づけるために、表面側よりも基材側の方が粗大であることが好ましい。
そのため、本発明の製造方法で形成した被覆物品は、第1のクロム系硬質皮膜上を研磨して、ドロップレットやパーティクル等を除去した上で、平滑な表面状態にするので、第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、第1のクロム系硬質皮膜の表面の微細な凹凸が埋めるように被覆される。そのため、基材までの貫通欠陥などを遮断し、皮膜全体の耐食性を大幅に改善できる。
研磨面は、鏡面加工した皮膜の断面観察から確認することができる。そして、平滑に研磨することで、本発明の第1のクロム系硬質皮膜と第2のクロム系硬質皮膜の界面は、その界面をまたぐ長径1μm以上のドロップレットが50μm当たりに2個未満とすることができる。長径が1μm未満のドロップレットおよび長径1μm以上であっても50μmあたり2個程度の存在は耐食性に大きな影響を与えないので好ましい。
さらに、第1のクロム系硬質皮膜との界面および皮膜表面からそれぞれ0.3μm〜0.5μmの位置で基材に対して平行な直線を引いたときに接する結晶粒子の平均粒子幅を測定することで、第2のクロム系硬質皮膜の基材側と表面側の粒度差をより正確に比較することができる。それぞれの平均結晶粒子幅の差が、50nm以上であることが好ましい。
さらには、皮膜組成および基材に印加する負圧のバイアス電圧を調整することで、35GPa以上の高硬度にもすることができて好ましい。
本発明では、ナノインデンテーション法による押し込み硬さが基材の影響を受けないように、試験片を5度傾け鏡面研磨して、最大押し込み深さが膜厚の1/10以下となるように制御して押し込み荷重を付加する。
中でも、優れた耐腐食性と耐摩耗性が要求されるスクリューおよび/またはスクリューの先端部品(例えば、スクリューヘッド、逆流防止リング、シールリング、スペーサー、など)に適用することが好ましい。この場合、基材には原子%で、Cを0.6〜1.6%、Crを4〜16%含む工具鋼とすることが好ましい。
硬質皮膜の被覆手段には、アークイオンプレーティング装置を用いた。成膜装置の概略図を図10に示す。
成膜チャンバー2中には、各種のターゲット(カソード)1を装着する複数のアーク放電式蒸発源3、4、5と、基材7を搭載するための基材ホルダー6を有する。基材ホルダー6の下には回転機構8があり、基材7は基材ホルダー6を介して、自転かつ公転する。そして、基材7が各種のターゲットに対峙したときに、該ターゲットによる皮膜が被覆される。なお、本実施例で使用したターゲットは、粉末冶金法で作製した。
表面研磨した基材を脱脂洗浄して、基材ホルダー7に固定した。そして、チャンバー2に設置された図示しない加熱用ヒーターにより、基材を500℃付近に加熱し、50分間保持した。次に、Arガスを導入し、基材には−500Vのバイアス電圧を印加して、20分間のプラズマクリーニング処理(Arイオンエッチング)を行った。続いて、基材には−800Vのバイアス電圧を印加して、約20分間のTi金属イオンエッチングを行った(金属イオンエッチング後の冷却を含む)。以下、各試料の被覆条件の詳細を説明する。
基材のイオンエッチング後、窒素ガスを導入し、基材には−120Vのバイアス電圧を印加して、基材温度500℃、反応ガス圧力3.0Paの条件で、約3.0μmの膜厚になるようCrNを被覆した。その後、CrNの表面を平滑に研磨するため、基材をチャンバーから取り出して、ヤマシタワークス社製エアロラップ装置(AERO LAP YT-300)を使用して表面処理を行った。さらにその後、1μmのダイヤモンドペーストにてポリッシング研磨し、続いては、合資会社亀井鉄工所製鏡面ショットマシンSMAP-II型使用を使用して、算術平均粗さRaは0.05μm以下、かつ最大高さRzは1.00μm以下とした。
そして、脱脂洗浄を行った後には、再びチャンバー内に戻して、第2のクロム系硬質皮膜を被覆した。まずArイオンエッチングおよびTi金属イオンエッチングを行い、窒素ガスを導入し、被覆初期では基材に−180Vのバイアス電圧を印加して、基材温度が500℃、反応ガス圧力が3.0Paの条件で、5分間被覆した。その後、5分間かけて、−180Vから−60Vになるようにバイアス電圧を変え、終盤には−60Vで5分間被覆して約3.0μmのCrNを被覆した。
本発明例である試料No.2は、第2のクロム系硬質皮膜の被覆前までの工程は試料No.1と同じとした。
第2のクロム系硬質皮膜の被覆では、まずArイオンエッチングおよびTi金属イオンエッチングを行い、窒素ガスを導入し、被覆初期では、基材に−180Vのバイアス電圧を印加して、基材温度500℃、反応ガス圧力3.0Paの条件で、5分間被覆した。その後、−180Vから−90Vになるように5分間かけてバイアス電圧を変えて、終盤には−90Vで5分間被覆して約3.0μmのCrNを被覆した。
比較例である試料No.3〜5は、第2のクロム系硬質皮膜の被覆前までの工程は試料No.1と同じとした。
第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中は、バイアス電圧を一定にして約3.0μmのCrN被覆した。
従来例である試料No.6〜8は、バイアス電圧を−120Vと一定とし、途中研磨せず、同一炉内で連続して2種の硬質皮膜をそれぞれ約3μm被覆した。
従来例である試料No.9〜11は、バイアス電圧を−120Vと一定として単層の硬質皮膜を約6μm被覆した。
JIS−B−0601−2001に従って、粗さ曲線より算術平均粗さRaと最大高さRzを測定した。測定条件は、評価長さ:4.0mm、測定速度:0.3mm/s、カットオフ値:0.8mmとした。表1に試験結果を示す。
エリオニクス製のナノインデンテーション装置を用い、硬質皮膜の硬度を測定した。皮膜の硬度を測定するために、試験片を5度傾けて、鏡面研磨後、皮膜の研磨面内で最大押し込み深さが各層厚の1/10以下となる領域を選定した。このとき1/5程度でも基材の影響はないことを確認した。
押込み荷重49mN、最大荷重保持時間1秒、荷重負荷後の除去速度0.49mN/秒の測定条件で10点測定し、最大と最小の値を除いた8点の平均値から求めた。
本測定方法における皮膜硬度は、圧子の微細形状、測定時の温度、湿度、試料の表面状態に左右され易く、得られる数値は必ずしもビッカース硬さと一致しない。そのため、標準試料である溶融石英を測定した。そのときの溶融石英の皮膜硬さは11GPaであり、本測定結果をもとに相対比較することができる。表1に試験結果を示す。
図1に途中研磨をしている本発明の試料No.1と、途中研磨をしていない比較例である試料No.10をクロスセクションポリッシャー(CP)で加工した断面観察写真を示す。(図中において、球状の白色部はドロップレットであり、ドロップレット周辺の黒色部はドロップレットに起因する空隙である。)
本発明のクロム系硬質皮膜は、第1のクロム系硬質皮膜と第2のクロム系硬質皮膜の界面が平滑に研磨され、界面のドロップレットが除去されており、第1のクロム系硬質皮膜の凹凸を埋めるように第2のクロム系硬質皮膜が被覆されていることが確認される。
同様の研磨方法で途中研磨した試料No.2〜5では、試料No.1と同様に平滑な研磨面が確認された。そして、試料No.1〜5のいずれの試料でも第1のクロム系硬質皮膜と第2のクロム系硬質皮膜の界面をまたぐ長径が1μm以上のドロップレットは50μmあたり、1個以下であった。
また、本発明の製造方法で形成した試料をSIM観察したところ、第2のクロム系硬質皮膜の基材側と表面側で結晶粒子の平均幅が異なった。
実際の射出成形中に発生するハロゲンガスなどの腐食ガスを模擬して、試料を10%硫酸水溶液中に10、20、30時間浸漬する試験を実施した。
前記水溶液の温度は50℃とし、JIS−G−0591−2007に従って、試験片の被覆された面以外はマスキングした。そして、浸漬後には、その腐食による減量を記録するとともに、表面に現れる孔食(ピット)の観察を行った。試験面に対する腐食の面積率は、顕微鏡写真(倍率:8倍)にて評価した。
孔食数の測定は、その顕微鏡写真に現れる孔食(ピット)のうち、0.8mm以上のものをAクラス、0.2〜0.8mm未満のものをBクラスとして、それぞれのサイズの孔食数を測定した。
また、耐食性の判断は、以下の通りとした。
◎:孔食が認められなかったもの
○:面積率1%以下の孔食が認められたもの
△:面積率1超〜10%の孔食が認められたもの
×:面積率10%超の孔食が認められたもの
表1に試験結果を示す。
第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、基材に印加する負圧のバイアス電圧を一定にした試料No.3〜5は、腐食時間が20時間では孔食は確認されず、優れた耐食性を示した。しかし、腐食時間が30時間と長時間となると、本発明例と比較して耐食性が低下した。
図2に、本発明例と比較例の腐食時間30時間後の表面観察写真を示す。本発明例である試料No.1は孔食が全く発生していないことが確認される。
一方、従来皮膜である試料No.6〜11は腐食時間が10〜20時間でも腐食発生が極めて著しくなった。
本発明例のNo.12〜21、および比較例のNo.22、23のいずれの試料も、第2のクロム系硬質皮膜の被覆前までの工程は、実施例1の試料No.1と同様とした。
比較例のNo.24は、第1のクロム系硬質皮膜のCrNの被覆期間中は、基材に印加するバイアス電圧を−90Vに一定にした。
各試料、第1のクロム系硬質皮膜の表面を、ヤマシタワークス社製エアロラップ装置(AERO LAP YT-300)を使用して表面処理を行った。さらにその後、1μmのダイヤモンドペーストにてポリッシング研磨し、続いては、合資会社亀井鉄工所製鏡面ショットマシンSMAP-II型使用を使用して、算術平均粗さRaは0.05μm以下、かつ最大高さRzは1.00μm以下とした。
No.12〜20、No.22〜24は、第2のクロム系硬質皮膜の被覆条件を実施例1と同様の要領とした。
No.21は、第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、その初期では基材に印加するバイアス電圧を−90Vとし、5分間被覆した。その後、中盤では5分間かけて−180Vに変化させ、−180Vで5分間被覆し、さらに5分間かけて−90Vに変化させた。終盤では−90Vで20分被覆して、約5μm被覆した。
そして最後には、各試料の最表面をエアロラップ、ダイヤモンドペースト磨き、合資会社亀井鉄工所製鏡面ショットマシンSMAP-II型使用を使用した表面処理を実施して平滑にした。表2にバイアス条件および試験結果を示す。
そして、第2のクロム系硬質皮膜では、被覆期間中に基材に印加する負圧のバイアス電圧を変化させたため、基材側よりも表面側の粒子層が微細になっていることが確認される。
図6に本発明例である試料No.12のSIM像を示す。第2のクロム系硬質皮膜の基材側が粗大で、表面側が微粒な粒子層であることが、図5の破断面観察写真に比べてより明確に確認される。
試料No.12のSIM像から、第2のクロム系硬質皮膜の、第1のクロム系硬質皮膜との界面および皮膜表面から0.5μmの位置で基材に対して平行な直線を引いたときに接する結晶粒子の粒子幅を測定した。2視野以上を測定して、基材側の平均結晶粒子幅は148nm、表面側の平均結晶粒子幅は77nmであり、その差異は71nmであった。
本発明の製造方法で形成した試料はいずれも、第2のクロム系硬質皮膜の基材側と表面側で結晶粒子の平均幅が異なった。また、断面観察写真では、試料No.1と同様に平滑な研磨面が確認された。そして、第1のクロム系硬質皮膜と第2のクロム系硬質皮膜の界面をまたぐ長径が1μm以上のドロップレットは50μmあたり、1個以下であった。
本発明例のNo.25、26、および比較例のNo.27のいずれの試料も、第2のクロム系硬質皮膜の被覆前までの工程は、実施例1の試料No.1と同様とし、第1のクロム系硬質皮膜の表面を、ヤマシタワークス社製エアロラップ装置(AERO LAP YT-300)を使用して表面処理を行った。さらにその後、1μmのダイヤモンドペーストにてポリッシング研磨し、続いては、合資会社亀井鉄工所製鏡面ショットマシンSMAP-II型使用を使用して、算術平均粗さRaは0.05μm以下、かつ最大高さRzは1.00μm以下とした。
また、第2のクロム系硬質皮膜の被覆条件も実施例1と同様の要領とした。
そして最後には、各試料の最表面をエアロラップ、ダイヤモンドペースト磨き、合資会社亀井鉄工所製鏡面ショットマシンSMAP-II型使用を使用した表面処理を実施して平滑にした。表3にバイアス条件および試験結果を示す。
本発明の製造方法で形成した試料はいずれも、第2のクロム硬質皮膜の基材側と表面側で結晶粒子の平均幅が異なった。また、断面観察写真では、試料No.1と同様に平滑な研磨面が確認された。そして、第1のクロム系硬質皮膜と第2のクロム系硬質皮膜の界面をまたぐ長径が1μm以上のドロップレットは50μmあたり、1個以下であった。
2、成膜チャンバー
3、蒸発源
4、蒸発源
5、蒸発源
6、基材ホルダー
7、基材
8、回転機構
Claims (13)
- 物品の基材表面に物理蒸着法によって硬質皮膜を被覆した被覆物品の製造方法であって、前記硬質皮膜は、第1のクロム系硬質皮膜とその直上の第2のクロム系硬質皮膜の少なくとも2層以上からなり、
前記第1および/または第2のクロム系硬質皮膜は、金属成分(半金属を含む)のみの原子%で、Mo、Nb、W、Si、Bから選択される1種または2種以上の元素を1〜20%含み、
前記第2のクロム系硬質皮膜の被覆前に、前記第1のクロム系硬質皮膜の表面を研磨し、前記第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、前記基材に印可する負圧のバイアス電圧を変化させることを特徴とする耐食性に優れた被覆物品の製造方法。 - 第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、基材に印可する負圧のバイアス電圧を初期と終盤で異ならせることを特徴とする請求項1に記載の耐食性に優れた被覆物品の製造方法。
- 第2のクロム系硬質皮膜の被覆前に、第1のクロム系硬質皮膜の表面を算術平均粗さRaは0.05μm以下、かつ最大高さRzは1.00μm以下となるように研磨することを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性に優れた被覆物品の製造方法。
- 第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、基材に印可する負圧のバイアス電圧を10V以上変化させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の耐食性に優れた被覆物品の製造方法。
- 第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、基材に印可する負圧のバイアス電圧を初期と終盤で10V以上異ならせることを特徴とする請求項4に記載の耐食性に優れた被覆物品の製造方法。
- 第2のクロム系硬質皮膜の被覆期間中に、基材に印可する負圧のバイアス電圧が絶対値で20Vより大きいことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の耐食性に優れた被覆物品の製造方法。
- 第2のクロム系硬質皮膜の表面を、算術平均粗さRaは0.05μm以下、かつ最大高さRzは1.00μm以下となるように研磨することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の耐食性に優れた被覆物品の製造方法。
- 物理蒸着法は、アークイオンプレーティング法であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の耐食性に優れた被覆物品の製造方法。
- 被覆物品は、射出成形用部品および/または金型であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の耐食性に優れた被覆物品の製造方法。
- 射出成形用部品は、スクリューおよび/またはスクリューの先端部品であることを特徴とする請求項9に記載の耐食性に優れた被覆物品の製造方法。
- 物品の基材表面に硬質皮膜が被覆された被覆物品であって、硬質皮膜は、第1のクロム系硬質皮膜と、その直上に被覆された第2のクロム系硬質皮膜の少なくとも2層以上からなり、前記第1および/または第2のクロム系硬質皮膜は、金属成分(半金属を含む)のみの原子%で、Mo、Nb、W、Si、Bから選択される1種または2種以上の元素を1〜20%含み、第1のクロム系硬質皮膜と第2のクロム系硬質皮膜の界面をまたぐ長径1μm以上のドロップレットが断面組織観察における界面長さ50μmあたり2個未満であり、第2のクロム系硬質皮膜は、その基材側と表面側で粒度の異なる粒子層で構成されることを特徴とする耐食性に優れた被覆物品。
- ナノインデンテーション法による第2のクロム系硬質皮膜の硬度は、30GPa以上であることを特徴とする請求項11に記載の耐食性に優れた被覆物品。
- 第1のクロム系硬質皮膜の膜厚は、1.0〜10.0μm、第2のクロム系硬質皮膜の膜厚は、1.0〜10.0μmであることを特徴とする請求項11または12に記載の耐食性に優れた被覆物品。
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