JP5879943B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等の他の二次電池に比べて軽量で、高い入出力特性を有することから、近年、電気自動車、ハイブリッド型電気自動車等に用いられる高入出力用電源として注目されている。
しかし、電池の構成材料中に不純物(例えばFe、Ni、Cu等の磁性不純物)が存在すると、充放電時に不純物が負極上に析出してしまう場合がある。負極上に析出した不純物はセパレータを破って正極に到達することで、短絡の原因となる場合がある。
また、リチウムイオン二次電池は、夏場の車中など使用温度が40℃〜80℃となる場合がある。このとき、正極から正極を構成するLi含有金属酸化物中の金属が溶出し、電池の特性を低下させるという問題がある。
このため、不純物の捕捉剤の検討や正極の安定化の検討がなされている(たとえば、特許文献1参照)。
また例えば、構成元素に金属元素としてFe又はMnを含むリチウム化合物を正極活物質とする正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を負極活物質とする負極とを、非水電解液内に分離して配置した非水系リチウムイオン二次電池であって、前記正極は、前記正極活物質に対して0.5〜5wt%のゼオライトを含有し、該ゼオライトは、有効細孔径が前記金属元素のイオン半径より大きく0.5nm(5Å)以下の非水系リチウムイオン二次電池が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−77103号公報 特開2010−129430号公報
しかしながら、既知の吸着剤では不純物を高選択的に吸着できない場合があり、また単位質量あたりの吸着能が十分とは言い難く、十分な寿命特性が得られない場合があった。
本発明は、短絡の発生が抑制され、寿命特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 正極、負極及び電解液を含み、さらにAlに対するSiの元素モル比Si/Alが0.3以上1.0未満であるアルミニウムケイ酸塩を含むリチウムイオン二次電池。
<2> 前記アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて3ppm近辺にピークを有する前記<1>に記載のリチウムイオン二次電池。
<3> 前記アルミニウムケイ酸塩は、29Si−NMRスペクトルにおいて−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有する前記<1>又は<2>に記載のリチウムイオン二次電池。
<4> 前記アルミニウムケイ酸塩の前記元素モル比Si/Alが0.4以上0.6以下である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
<5> 前記アルミニウムケイ酸塩は、X線源としてCuKα線を用いた粉末X線回折スペクトルにおいて2θ=26.9°及び40.3°近辺にピークを有し、層状粘土鉱物に由来する2θ=20°及び35°近辺のピークを有しない前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
<6> 前記アルミニウムケイ酸塩は、29Si−NMRスペクトルにおける前記−78ppm近辺のピークAに対する前記−85ppm近辺のピークBの面積比率(ピークB/ピークA)が、2.0〜9.0である前記<3>〜<5>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
<7> 前記アルミニウムケイ酸塩のBET比表面積が250m/g以上である前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
<8> 前記アルミニウムケイ酸塩は、水分含有率が10質量%以下である前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、短絡の発生が抑制され、寿命特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
製造例1及び製造例2に係るアルミニウムケイ酸塩の27Al−NMRスペクトルである。 製造例1及び製造例2に係るアルミニウムケイ酸塩の29Si−NMRスペクトルである。 製造例1及び製造例2に係るアルミニウムケイ酸塩の粉末X線回折スペクトルである。 製造例1に係るアルミニウムケイ酸塩の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 製造例2に係るアルミニウムケイ酸塩の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 本実施形態の一例である、管状のいわゆるイモゴライトを模式的に示す図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池の通常の構成部材である正極、負極及び電解液を含み、さらにAlに対するSiの元素モル比Si/Alが0.3以上1.0未満であるアルミニウムケイ酸塩(以下、「特定アルミニウムケイ酸塩」ともいう)を含んで構成される。前記リチウムイオン二次電池は、さらに必要に応じてセパレータ等のその他の構成部材を含んでいてもよい。
前記特定アルミニウムケイ酸塩をリチウムイオン二次電池中に含むことで、短絡の発生が抑制され、寿命特性に優れるリチウムイオン二次電池を構成することができる。
これは例えば、前記特定アルミニウムケイ酸塩はマンガンイオン、ニッケルイオン、銅イオン、鉄イオン等の不要な金属イオンの吸着性に優れ、一方リチウムイオンに対する吸着性が比較的低いため、短絡の発生原因となりうる金属イオンを効率的に吸着することができるためと考えることができる。
尚、本明細書において不要な金属イオンとは、リチウムイオン以外のマンガンイオン、ニッケルイオン、銅イオン、鉄イオン等をいう。これらの不要な金属イオンは、電池の構成部材中に存在する不純物イオンや高温下で正極から溶出する金属イオンに由来する。
前記特定アルミニウムケイ酸塩は、本発明の効果を損なわない限り、リチウムイオン二次電池を構成する構成部材のいずれに含まれていてもよい。リチウムイオン二次電池の構成部材としては、必須構成部材である正極、負極及び電解液に加えて、セパレータ、電池外装体等を挙げることができる。尚、正極、負極、電解液及びセパレータの詳細については後述する。
前記特定アルミニウムケイ酸塩は、正極、負極、電解液及びセパレータからなる群より選ばれる少なくとも1種に含まれていることが好ましく、電解液及びセパレータからなる群より選ばれる少なくとも1種に含まれることが好ましい。
これは例えば、以下のように考えることができる。一般に短絡の原因となり得る不純物イオンや溶出イオンは、電解液中に存在しており、充放電の過程でこれらのイオンが、例えばセパレータを透過して、正極及び負極間を双方向に移動する。そのため前記特定アルミニウムケイ酸塩が電解液及びセパレータからなる群より選ばれる少なくとも1種に含まれることで、より効果的に不要な金属イオンを吸着することができるためと考えることができる。
[特定アルミニウムケイ酸塩]
本実施形態にかかる特定アルミニウムケイ酸塩は、Alに対するSiの元素モル比Si/Alが0.3以上1.0未満である。
かかる構成のアルミニウムケイ酸塩であることで、マンガンイオン、ニッケルイオン、銅イオン、鉄イオン等の不要な金属イオンの吸着性に優れ、一方リチウムイオンに対する吸着性が比較的低いため、短絡の発生原因となりうる不要な金属イオンを効率的に吸着することができる。
また特定アルミニウムケイ酸塩は、Si及びAlを含む酸化物塩であり、SiとAlの価数が異なるためOH基が多く存在する。これにより優れた金属イオン吸着性と金属イオン選択性を有すると考えられる。また特定アルミニウムケイ酸塩は、無機酸化物であるため熱安定性や、溶剤中での安定性に優れている。このためリチウムイオン二次電池の構成部材に含有させた場合、充放電中でも安定に存在できる。
本実施形態にかかるアルミニウムケイ酸塩のAlに対するSiの元素モル比Si/Alは0.3以上1.0未満であるが、0.4以上0.6以下であることが好ましく、0.45以上0.55以下であることがより好ましい。
元素モル比Si/Alが0.3未満であると、アルミニウムケイ酸塩の金属イオン吸着性向上に寄与しないAlの量が過剰となり、単位質量あたりのイオン吸着性が低下する場合がある。また1.0以上であると、アルミニウムケイ酸塩の金属イオン吸着性向上に寄与しないSiの量が過剰となり、単位質量あたりのイオン吸着性が低下する場合がある他、さらに、吸着する金属イオンの選択性が低下してしまう場合がある。
尚、元素モル比Si/AlはICP発光分光分析(例えば、日立製作所製ICP発光分析装置:P−4010)を用いて、常法によりSi及びAlそれぞれの原子濃度を求めて算出される。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて3ppm近辺にピークを有することが好ましい。27Al−NMR測定装置としては、例えば、ブルカー・バイオスピン製AV400WB型を用いることができ、具体的な測定条件は以下の通りである。
共鳴周波数:104MHz
測定方法:MAS(シングルパルス)
MAS回転数:10kHz
測定領域:52kHz
データポイント数:4096
resolution(測定領域/データポイント数):12.7Hz
パルス幅:3.0μsec
遅延時間:2秒
化学シフト値基準:α−アルミナを3.94ppm
window関数:指数関数
Line Broadening係数:10Hz
図1に、本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩の一例として、後述の製造例1及び製造例2に係るアルミニウムケイ酸塩の27Al−NMRスペクトルを示す。
図1に示すように、本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて、3ppm近辺にピークを有することが好ましい。3ppm近辺のピークは、6配位のAlに由来するピークであると推定される。更に、55ppm付近にピークを有していてもよい。55ppm付近のピークは、4配位のAlに由来するピークであると推定される。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、金属イオン吸着性と金属イオン選択性の観点から、3ppm近辺のピークに対する55pm付近のピークの面積比率が、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。
また本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、金属イオン吸着性と金属イオン選択性の観点から、27Al−NMRスペクトルにおいて、3ppm近辺のピークに対する55pm付近のピークの面積比率が、1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、10%以上であることが更に好ましい。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、29Si−NMRスペクトルにおいて−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有することが好ましい。かかる特定の29Si−NMRスペクトルを示すアルミニウムケイ酸塩であることにより、金属イオン吸着性及び金属イオン選択性がより向上する。
29Si−NMR測定装置としては、例えば、ブルカー・バイオスピン製AV400WB型を用いることができ、具体的な測定条件は以下の通りである。
共鳴周波数:79.5MHz
測定方法:MAS(シングルパルス)
MAS回転数:6kHz
測定領域:24kHz
データポイント数:2048
resolution(測定領域/データポイント数):5.8Hz
パルス幅:4.7μsec
遅延時間:600秒
化学シフト値基準:TMSP−d(3−(トリメチルシリル)(2,2,3,3−)プロピオン酸ナトリウム)を1.52ppm
window関数:指数関数
Line Broadening係数:50Hz
図2に、本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩の一例として、後述の製造例1及び製造例2に係るアルミニウムケイ酸塩の29Si−NMRスペクトルを示す。
図2に示すように、本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、29Si−NMRスペクトルにおいて、−78ppm近辺及び85ppm近辺にピークを有することが好ましい。−78ppm近辺に現れるピークAは、イモゴライト・アロフェン類など結晶構造のアルミニウムケイ酸塩に由来し、HO−Si−(OAl)という構造に起因すると考えられる。
また−85ppm近辺に現れるピークBは、粘土構造のアルミニウムケイ酸塩又は非晶質構造のアルミニウムケイ酸塩と考えられる。したがって、−78ppm近辺及び85ppm近辺にピークを有する特定アルミニウムケイ酸塩は、結晶構造のアルミニウムケイ酸塩と、粘土構造又は非晶質構造のアルミニウムケイ酸塩との混合物又は複合体であると推定される。
特に−78ppm近辺に現れるピークAを有するアルミニウムケイ酸塩は、単位質量あたりにOH基が多く存在する。このため−78ppm近辺に現れるピークAを有するアルミニウムケイ酸塩は、水分吸着能に優れていることは知見されていたが、発明者らは、このアルミニウムケイ酸塩がイオン吸着能にすぐれ、特に電池に悪影響を与えるイオンを選択的に吸着することを見出した。特に、リチウムイオン電池の充放電に必須なリチウムイオンはほとんど吸着しないにもかかわらず、不純物イオンや正極からの溶出イオンを吸着するという特異的な性質を有することを見出した。このため、この特定アルミニウムケイ酸塩を含むリチウムイオン電池では短絡の発生が著しく少なくなり、結果として寿命特性に優れると考えることができる。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、金属イオン吸着能及び金属イオン選択性が向上する観点から、29Si−NMRスペクトルにおける−78ppm近辺のピークAと、−85ppm近辺のピークBの面積比率(ピークB/ピークA)が、0.4〜9.0であることが好ましく、1.5〜9.0であることがより好ましく、2.0〜9.0であることが更に好ましく、2.0〜7.0であることが更に好ましく、2.0〜5.0であることが更に好ましく、2.0〜4.0であることが特に好ましい。
29Si−NMRスペクトルにおける前記ピークの面積比率を求める際には、まず29Si−NMRスペクトルにおいてベースラインを引く。図2では、−55ppmと−140ppmとを結んだ直線をベースラインとする。
次に、−78ppm近辺に現れるピークと−85ppm近辺のピークとの谷に当たる化学シフト値(図2では、−81ppm付近)で区切る。
−78ppm近辺のピークAの面積は、図2においては化学シフト軸と直交し−81ppmを通る直線と上記ベースラインに囲まれた領域の面積であり、ピークBの面積は、−81ppmを通り化学シフト軸と直交する直線と上記ベースラインに囲まれた領域の面積である。
なお、上記各ピークの面積は、NMR測定装置に組み込まれた解析ソフトにより求めてもよい。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、X線源としてCuKα線を用いた粉末X線回折スペクトルにおいて2θ=26.9°及び40.3°近辺にピークを有することが好ましい。粉末X線回折スペクトルは、X線源としてCuKα線を用いて測定される。また例えば、X線回折装置としてリガク社製:Geigerflex RAD−2X(商品名)を用いることができる。
図3に、本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩の一例として、後述の製造例1及び製造例2に係るアルミニウムケイ酸塩の粉末X線回折スペクトルを示す。
図3に示すように、本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=26.9°、40.3°近辺にピークを有する。2θ=26.9°及び40.3°近辺のピークは、特定アルミニウムケイ酸塩に由来するピークと推定される。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=20°及び35°近辺の幅広なピークを有さなくてもよい。2θ=20°及び35°近辺のピークは、低結晶性の層状の粘土鉱物のhk0面の反射に起因するピークと考えられる。
ここで、2θ=20°及び35°近辺のピークを有しないとは、2θ=20°及び35°近辺におけるベースラインからの変位がノイズレベル以下であることを意味し、具体的にはベースラインから変位がノイズ幅の100%以下であることを意味する。
更に、製造例1に係る特定アルミニウムケイ酸塩のように、本実施形態の特定アルミニウムケイ酸塩は、2θ=18.8°、20.3°、27.8°、40.6°及び53.3°近辺にピークを有してもよい。2θ=18.8°、20.3°、27.8°、40.6°及び53.3°近辺のピークは、副生物である水酸化アルミニウムに由来するピークと推定される。なお、後述のアルミニウムケイ酸塩の製造方法において、加熱処理時の加熱温度を160℃以下とすることで水酸化アルミニウムの析出を抑えることができる。また、遠心分離による脱塩処理時のpHを調整することによって、水酸化アルミニウムの含有量を調整することができる。
また、製造例2に係る特定アルミニウムケイ酸塩のように、本実施形態の特定アルミニウムケイ酸塩は、2θ=4.8°、9.7°及び14.0°近辺にピークを有してもよい。更に、2θ=18.3°近辺にピークを有していてもよい。2θ=4.8°、9.7°、14.0°及び18.3°近辺のピークは、筒状特定アルミニウムケイ酸塩であるいわゆるイモゴライトの単繊維が平行に凝集して束状構造をとっていることに由来するピークと推定される。
図4及び図5に、本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩の透過型電子顕微鏡(TEM)写真の一例を示す。図4に示すアルミニウムケイ酸塩は、後述の製造例1に係る特定アルミニウムケイ酸塩である。図5に示す特定アルミニウムケイ酸塩は、後述の製造例2に係る特定アルミニウムケイ酸塩である。
図4に示されるように、製造例1に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、透過型電子顕微鏡(TEM)において100,000倍で観察したときに、長さ50nm以上の管状物が存在していない。また製造例2に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、図5に示されるように、管状のいわゆるイモゴライトである。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、金属イオン吸着能と金属イオン選択性の観点から、透過型電子顕微鏡(TEM)において100,000倍で観察したときに、長さ50nm以上の管状物が存在していないことが好ましい。
特定アルミニウムケイ酸塩の透過型電子顕微鏡(TEM)の観察は、100kVの加速電圧で行う。また観察試料としては、後述する製造方法における第二洗浄工程(脱塩及び固体分離)前の加熱後溶液をTEM観察試料調製用の支持体上に滴下し、次いで乾燥して薄膜としたものを用いる。尚、TEM画像のコントラストが充分に得られない場合には、コントラストが充分に得られるように加熱処理後の溶液を適宜希釈したものを用いて観察試料を調製する。
図5に示されるような管状物は、後述の特定アルミニウムケイ酸塩の製造方法において、ケイ酸イオン及びアルミニウムイオンを特定の濃度以下で加熱処理を実施することで製造される。他方、図4に示されるような管状物が観察されないアルミニウムケイ酸塩は、ケイ酸イオン及びアルミニウムイオンを特定の濃度以上で加熱処理を実施することで製造される。
図6は、本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩の一例である、管状のいわゆるイモゴライトを模式的に示す図面である。図6に示すように、管状体10a同士により繊維構造が形成される傾向があり、管状体10aの筒内の内壁20や、管状体10a間の隙間30を形成する管状体10aの外壁(外周面)を金属イオンの吸着サイトとして利用できる。管状体10aの管部長さ方向の長さは、例えば1nm〜10μmである。管状体10aは、例えば円管状を呈しており、外径は例えば1.5nm〜3.0nmであり、内径は例えば0.7nm〜1.4nmである。
なお、管状アルミニウムケイ酸塩であるいわゆるイモゴライトの繊維が透過型電子顕微鏡(TEM)写真で観察される場合には、29Si−NMRスペクトルにおいて、ピークBの面積が小さくなる方向にある。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、金属イオン吸着能が向上する観点から、BET比表面積が250m/g以上であることが好ましく、280m/g以上であることがより好ましい。BET比表面積が250m/g以上であると、単位質量あたりの不純物イオンや溶出イオン吸着量が大きくなるため効率がよく、少量で高い効果が得られる。
また、BET比表面積の上限値は特に制限がないが、比表面積が大きいと単位質量当たりの空気中の水分吸着量が多くなってしまうため、BET比表面積は1500m/g以下であることが好ましく、1200m/g以下であることがより好ましく、1000m/g以下であることが更に好ましい。
特定アルミニウムケイ酸塩のBET比表面積は、JIS Z 8830に準じて窒素吸着能から測定する。評価装置としては、例えば、QUANTACHROME社製:AUTOSORB−1(商品名)などを用いることができる。BET比表面積の測定を行う際には、試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、まず、加熱による水分除去の前処理を行う。
前記前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、金属イオンの吸着能が向上する観点から、全細孔容積が0.1cm/g以上であることが好ましく、0.12cm/g以上であることがより好ましく、0.15cm/g以上であることが更に好ましい。また、全細孔容積の上限値は特に制限が無いが、全細孔容積が大きいと単位質量当たりの空気中の水分吸着量が多くなってしまうため、全細孔容積は1.5m/g以下であることが好ましく、1.2m/g以下であることがより好ましく、1.0m/g以下であることが更に好ましい。
特定アルミニウムケイ酸塩の全細孔容積は、前記BET比表面積に基づき、相対圧が0.95以上1未満の範囲で得られたデータの中、相対圧1に最も近いガス吸着量を液体に換算して求める。
不純物イオンのイオン半径が0.01nm〜0.1nmであるため、本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩の平均細孔直径は、1.5nm以上であることが好ましく、2.0nm以上であることがより好ましい。平均細孔直径が前記範囲であると不純物イオンが配位子を伴った状態で吸着サイトまで移動する場合でも効率よく不純物イオンを吸着できる。また、平均細孔直径の上限値は特に制限が無いが、平均細孔直径が大きい場合、比表面積を低下させてしまうことから、50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、5.0nm以下であることが更に好ましい。
アルミニウムケイ酸塩の平均細孔直径は、前記BET比表面積及び全細孔容積に基づき、全細孔を1つの円筒形細孔で構成されていると仮定して求める。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩は、水分含有率が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。水分含有率が10質量%以下であることでリチウムイオン二次電池を構成した場合に、水分が電気分解を起こすことに起因するガスの発生を抑制することができ、電池膨張を抑制できる。
尚、水分含有率はカールフィッシャー法にて測定することができる。
特定アルミニウムケイ酸塩の水分含有率を10質量%以下とする方法としては、通常用いられる乾燥方法を特に制限なく用いることができる。例えば、大気圧下で、100℃〜300℃、6時間〜24時間程度の間、乾燥処理する方法が挙げられる。
[特定アルミニウムケイ酸塩の製造方法]
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、(a)ケイ酸イオンを含む溶液及びアルミニウムイオンを含む溶液を混合して反応生成物を得る工程と、(b)前記反応生成物を、脱塩及び固体分離する工程と、(c)前記工程(b)で固体分離されたものを水性媒体中、酸の存在下で加熱処理する工程と、(d)前記工程(c)で加熱処理して得られたものを、脱塩及び固体分離する工程と、を有し、必要に応じてその他の工程を有して構成される。
反応生成物であるアルミニウムケイ酸塩を含む溶液から共存イオンを脱塩処理した後に、酸の存在下で加熱処理することで、金属イオン吸着能に優れる特定アルミニウムケイ酸塩を効率よく製造することができる。
これは例えば以下のように考えることができる。規則的な構造の形成を阻害する共存イオンが除去されたアルミニウムケイ酸塩を、酸の存在下で加熱処理することで、規則的な構造を有する特定アルミニウムケイ酸塩が形成される。特定アルミニウムケイ酸塩が規則的な構造を有することで、金属イオンに対する親和性が向上し、効率よく金属イオンを吸着できると考えることができる。
(a)反応生成物を得る工程
反応生成物を得る工程では、ケイ酸イオンを含む溶液と、アルミニウムイオンを含む溶液とを混合して反応生成物であるアルミニウムケイ酸塩及び共存イオンを含む混合溶液を得る。
(ケイ酸イオン及びアルミニウムイオン)
アルミニウムケイ酸塩を合成する際、原料には、ケイ酸イオン及びアルミニウムイオンが必要となる。ケイ酸イオンを含む溶液(以下、「ケイ酸溶液」ともいう)を構成するケイ酸源としては、溶媒和した際にケイ酸イオンが生じるものであれば特に制限されない。例えば、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アルミニウムイオンを含む溶液(以下、「アルミニウム溶液」ともいう)を構成するアルミニウム源は、溶媒和した際にアルミニウムイオンが生じるものであれば特に制限されない。例えば、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミニウムsec−ブトキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
溶媒としては、原料であるケイ酸源及びアルミニウム源と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができる。具体的には、水、エタノール等を使用することができる。加熱処理時における溶液中の共存イオンの低減、及び取扱の容易さから、水を用いることが好ましい。
(混合比と溶液の濃度)
これらの原料をそれぞれ溶媒に溶解させて原料溶液(ケイ酸溶液及びアルミニウム溶液)を調製した後、原料溶液を互いに混合して混合溶液を得る。混合溶液中のSi及びAlの元素モル比Si/Alは、得られる特定アルミニウムケイ酸塩におけるSi及びAlの元素モル比Si/Alに合わせて、0.3以上1.0未満となるように調整し、好ましくは0.4以上0.6以下となるように調整し、より好ましくは0.45以上0.55以下となるように調整する。元素モル比Si/Alを0.3以上1.0未満とすることで、所望の規則的な構造を有する特定アルミニウムケイ酸塩が合成され易くなる。
また、原料溶液の混合の際には、アルミニウム溶液に対してケイ酸溶液を徐々に加えることが好ましい。このようにすることで、所望の特定アルミニウムケイ酸塩の形成阻害要因となりうる、ケイ酸の重合を抑えることができる。
ケイ酸溶液のケイ素原子濃度は、特に制限されるものではない。好ましくは1mmol/L〜1000mmol/Lである。
ケイ酸溶液のケイ素原子濃度が1mmol/L以上であると、生産性が向上し、効率よくアルミニウムケイ酸塩を製造することができる。またケイ素原子濃度が1000mmol/L以下であると、ケイ素原子濃度に応じて生産性がより向上する。
アルミニウム溶液のアルミニウム原子濃度は、特に制限されるものではない。好ましくは100mmol/L〜1000mmol/Lである。
アルミニウム溶液のアルミニウム原子濃度が100mmol/L以上であると、生産性が向上し、効率よくアルミニウムケイ酸塩を製造することができる。またアルミニウム原子濃度が1000mmol/L以下であると、アルミニウム原子濃度に応じて生産性がより向上する。
(b)第一洗浄工程(脱塩及び固体分離)
ケイ酸イオンを含む溶液とアルミニウムイオンを含む溶液とを混合し、反応生成物として共存イオンを含むアルミニウムケイ酸塩を生成させた後、生成した共存イオンを含むアルミニウムケイ酸塩を脱塩及び固体分離する第一洗浄工程を行う。第一洗浄工程では、混合溶液中から共存イオンの少なくとも一部を除去して混合溶液中の共存イオン濃度を低下させる。第一洗浄工程を行うことで、合成工程において所望の特定アルミニウムケイ酸塩を形成し易くなる。
第一洗浄工程で、脱塩及び固体分離する方法は、ケイ酸源及びアルミニウム源に由来するケイ酸イオン以外のアニオン(例えば塩化物イオン、硝酸イオン)及びアルミニウムイオン以外のカチオン(例えばナトリウムイオン)の少なくとも一部を除去(脱塩)して固体分離できればよく、特に制限されるものではない。第一洗浄工程としては例えば、遠心分離を用いる方法、透析膜を用いる方法、イオン交換樹脂を用いる方法等が挙げられる。
第一洗浄工程は、共存イオンの濃度が所定の濃度以下になるように行うことが好ましい。具体的には例えば第一洗浄工程で得られる固体分離されたものを、濃度が60g/Lとなるように純水に分散させた場合に、その分散液の電気伝導率が4.0S/m以下となるように行なうことが好ましく、1.0mS/m以上3.0S/m以下となるように行なうことがより好ましく、1.0mS/m以上2.0S/m以下となるように行なうことがより好ましい。
分散液の電気伝導率が4.0S/m以下であると、合成工程において所望の特定アルミニウムケイ酸塩がより形成しやすくなる傾向がある。
尚、電気伝導率は、HORIBA社製:F−55及び同社の一般的な電気伝導率セル:9382−10Dを用いて、常温(25℃)で測定される。
第一洗浄工程は、前記アルミニウムケイ酸塩を水性媒体に分散して分散物を得る工程と、前記分散物のpHを5〜7に調整する工程と、アルミニウムケイ酸塩を析出させる工程とを含むことが好ましい。
例えば第一洗浄工程を、遠心分離を用いて行なう場合、以下のようにして行うことができる。混合溶液にアルカリ等を加えてpHを5〜8に調整する。pHを調整した溶液を遠心分離した後、上澄み溶液を排出してゲル状沈殿物として固体分離する。固体分離されたものを溶媒に再分散させる。その際、遠心分離前の容積に戻すことが好ましい。再分散させた分散液を同様にして遠心分離して脱塩及び固体分離する操作を繰り返すことで、共存イオンの濃度を所定の濃度以下にすることができる。
第一洗浄工程においてはpHを例えば5〜8に調整するが、5.5〜6.8であることが好ましく、5.8〜6.5であることがより好ましい。pH調整に用いるアルカリは特に制限されない。例えば水酸化ナトリウム、アンモニア等が好ましい。
また遠心分離の条件は製造規模や使用する容器等に応じて適宜選択される。例えば、室温下、1200G以上で1〜30分間とすることができる。具体的には例えば、遠心分離装置としてTOMY社製:Suprema23、及び同社のスタンダードロータNA−16を用いる場合、室温下、3000rpm(1450G)以上で5〜10分間とすることができる。
第一洗浄工程における溶媒としては、原料と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができ、具体的には、水、エタノール等を使用することができるが、加熱合成時における溶液中の共存イオンの低減、及び取扱の容易さから、水を用いることが好ましく、純水を用いることより好ましい。尚、繰り返し複数回の洗浄を行う際は、pH調整を省略することが好ましい。
第一洗浄工程における脱塩及び固体分離の処理回数は、共存イオンの残存量に応じて適宜設定すればよい。例えば1〜6回とすることができる。3回程度の洗浄を繰り返すと、共存イオンの残存量が所望の特定アルミニウムケイ酸塩の合成に影響しない程度に少なくなる。
pH調整する際のpH測定は、一般的なガラス電極を用いたpHメータによって測定できる。具体的には、例えば、株式会社堀場製作所製の商品名:MODEL(F−51)を使用することができる。
(c)合成工程
合成工程では、第一洗浄工程で固体分離されたものを水性媒体中、酸の存在下で加熱処理を行う。
第一洗浄工程において共存イオンを低減させたアルミニウムケイ酸塩を含む溶液(分散液)を、酸の存在下に加熱処理することで、規則的な構造を有するアルミニウムケイ酸塩を形成することができる。
合成工程は、第一洗浄工程で固体分離されたものを適宜希釈して希薄溶液として行なってもよく、また第一洗浄工程で固体分離されたものを高濃度溶液として行なってもよい。
合成工程を希薄溶液中で行なうことで、規則的な構造が管状に伸展した構造を有する特定アルミニウムケイ酸塩(以下、「第一の特定アルミニウムケイ酸塩」ともいう)を得ることができる。また合成工程を高濃度溶液中で行なうことで、規則的な構造に加えて粘土構造及び非晶質構造を有する特定アルミニウムケイ酸塩(以下、「第二の特定アルミニウムケイ酸塩」ともいう)を得ることができる。なお、第二の特定アルミニウムケイ酸塩は、長さ50nm以上の管状物に成長するのに代えて、粘土構造及び非晶質構造の形成が増大しているものと推測される。
第一及び第二のいずれの特定アルミニウムケイ酸塩も特定の規則的な構造を有することにより、優れた金属イオン吸着能を示す。
合成工程において第一の特定アルミニウムケイ酸塩を得る場合の希釈条件としては、例えばケイ素原子濃度が20mmol/L以下且つアルミニウム原子濃度が60mmol/L以下とすることができる。中でも金属イオン吸着能の観点から、ケイ素原子濃度が0.1mmol/L以上10mmol/L以下且つアルミニウム原子濃度が0.1mmol/L以上34mmol/L以下であることが好ましく、ケイ素原子濃度が0.1mmol/L以上2mmol/L以下且つアルミニウム原子濃度が0.1mmol/L以上7mmol/L以下であることがより好ましい。
ケイ素原子濃度を20mmol/L以下且つアルミニウム原子濃度を60mmol/L以下とすることで、第一の特定アルミニウムケイ酸塩を効率よく製造することができる。
また合成工程において第二の特定アルミニウムケイ酸塩を得る場合の高濃度条件としては、例えば、ケイ素原子濃度が100mmol/L以上且つアルミニウム原子濃度が100mmol/L以上とすることができる。中でも金属イオン吸着能の観点から、ケイ素原子濃度が120mmol/L以上2000mmol/L以下且つアルミニウム原子濃度が120mmol/L以上2000mmol/L以下であることが好ましく、ケイ素原子濃度が150mmol/L以上1500mmol/L以下且つアルミニウム原子濃度が150mmol/L以上1500mmol/L以下であることがより好ましい。
ケイ素原子濃度を100mmol/L以上且つアルミニウム原子濃度を100mmol/L以上とすることで、第二の特定アルミニウムケイ酸塩を効率よく製造することができ、さらにアルミニウムケイ酸塩の生産性も向上する。
尚、上記ケイ素原子濃度及びアルミニウム原子濃度は、後述する酸性化合物を加えてpHを所定の範囲に調整した後のケイ素原子濃度及びアルミニウム原子濃度である。
また、ケイ素原子濃度及びアルミニウム原子濃度は、ICP発光分光装置(例えば、日立製作所社製ICP発光分光装置:P−4010)を用いて、定法により測定される。
ケイ素原子濃度及びアルミニウム原子濃度が所定の濃度となるように調整する際には、溶媒を加えてもよい。溶媒としては、原料と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができ、具体的には、水、エタノール等を使用することができるが、加熱処理時における溶液中の共存イオンの低減、及び取扱の容易さから、水を用いることが好ましい。
合成工程においては、加熱処理の前に酸性化合物の少なくとも1種を加える。酸性化合物を加えた後のpHは特に制限されない。所望のアルミニウムケイ酸塩を効率よく得る観点から、pH3以上7未満であることが好ましく、pH3以上5以下であることがより好ましい。
合成工程において加える酸性化合物は特に制限されるものではなく、有機酸であっても無機酸であってもよい。中でも無機酸を用いることが好ましい。無機酸として具体的には、塩酸、過塩素酸、硝酸等を挙げることができる。後に続く加熱処理時における溶液中の共存イオン種の低減を考慮すれば、使用したアルミニウム源に含まれるアニオンと同様のアニオンを生成する酸性化合物を用いることが好ましい。
酸性化合物を加えた後、加熱処理を行うことで、所望の構造を有する特定アルミニウムケイ酸塩を得ることができる。
加熱温度は特に制限されない。所望の特定アルミニウムケイ酸塩を効率よく得る観点から、80℃〜160℃であることが好ましい。
加熱温度が160℃以下であると、ベーマイト(水酸化アルミニウム)が析出することを抑制することができる傾向がある。また加熱温度が80℃以上であると、所望の特定アルミニウムケイ酸塩の合成速度が向上し、より効率よく所望の特定アルミニウムケイ酸塩を製造できる傾向がある。
加熱時間は特に制限されるものではない。所望の構造を有する特定アルミニウムケイ酸塩をより効率的に得る観点から、96時間(4日)以内であることが好ましい。
加熱時間が96時間以下であると、より効率的に所望の特定アルミニウムケイ酸塩を製造することができる。
(d)第二洗浄工程(脱塩及び固体分離)
合成工程において加熱処理して得られたものは、第二洗浄工程において脱塩及び固体分離される。これにより優れた金属イオン吸着能を有する特定アルミニウムケイ酸塩を得ることができる。これは例えば以下のように考えることができる。すなわち合成工程において加熱処理して得られたものは、特定アルミニウムケイ酸塩の吸着サイトが共存イオンで塞がれている場合があり、期待する程の金属イオン吸着能は得られない場合がある。そのため、合成工程で得られた特定アルミニウムケイ酸塩から共存イオンの少なくとも一部を除去する第二洗浄工程によって、脱塩及び固体分離することで優れた金属イオン吸着能を有する特定アルミニウムケイ酸塩を得ることができると考えることができる。
第二洗浄工程は、ケイ酸イオン以外のアニオン及びアルミニウムイオン以外のカチオンの少なくとも一部を除去できればよく、合成工程前の第一洗浄工程と同様の操作であっても、異なる操作であってもよい。
第二洗浄工程は、共存イオンの濃度が所定の濃度以下になるように行うことが好ましい。具体的には例えば第二洗浄工程で得られる固体分離されたものを、濃度が60g/Lとなるように純水に分散させた場合に、その分散液の電気伝導率が4.0S/m以下となるように行なうことが好ましく、1.0mS/m以上3.0S/m以下となるように行なうことがより好ましく、1.0mS/m以上2.0S/m以下となるように行なうことがより好ましい。
分散液の電気伝導率が4.0S/m以下であると、より優れた金属イオン吸着能を有する特定アルミニウムケイ酸塩を得られやすくなる傾向がある。
第二洗浄工程を、遠心分離を用いて行なう場合、例えば以下のようにして行うことができる。混合溶液にアルカリ等を加えてpHを5〜10に調整する。pHを調整した溶液を遠心分離した後、上澄み溶液を排出してゲル状沈殿物として固体分離する。次いで固体分離されたものを溶媒に再分散させる。その際、遠心分離前の容積に戻すことが好ましい。再分散させた分散液を同様にして遠心分離して脱塩及び固体分離する操作を繰り返すことで、共存イオンの濃度を所定の濃度以下にすることができる。
第二洗浄工程においてはpHを例えば5〜10に調整するが、8〜10であることが好ましい。pH調整に用いるアルカリは特に制限されない。例えば水酸化ナトリウム、アンモニア等が好ましい。
また遠心分離の条件は製造規模や使用する容器等に応じて適宜選択される。例えば、室温下、1200G以上で1〜30分間とすることができる。具体的には例えば、遠心分離装置としてTOMY社製:Suprema23、及び同社のスタンダードロータNA−16を用いる場合、室温下、3000rpm(1450G)以上で5分〜10分間とすることができる。
第二洗浄工程における溶媒としては、原料と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができ、具体的には、水、エタノール等を使用することができるが、共存イオンの低減、及び取扱の容易さから、水を用いることが好ましく、純水を用いることより好ましい。尚、繰り返し複数回の洗浄を行う際は、pH調整を省略することが好ましい。
第二洗浄工程における脱塩及び固体分離の処理回数は、共存イオンの残存量によって設定すればよいが、1〜6回が好ましく、3回程度の洗浄を繰り返すと、特定アルミニウムケイ酸塩における共存イオンの残存量が充分に低減される。
第二洗浄工程後の分散液については、残存する共存イオンの中でも、特にアルミニウムケイ酸塩の吸着能に影響を与える塩化物イオン及びナトリウムイオンの濃度が低減されていることが好ましい。すなわち、第二洗浄工程における洗浄後の特定アルミニウムケイ酸塩は、当該特定アルミニウムケイ酸塩を水に分散させて濃度400mg/Lの水分散液を調製したとき、当該水分散液において塩化物イオン濃度100mg/L以下及びナトリウムイオン濃度100mg/L以下を与えることが好ましい。塩化物イオン濃度100mg/L以下且つナトリウムイオン濃度100mg/L以下であると、吸着能を更に向上させることができる。塩化物イオン濃度は、50mg/L以下がより好ましく、10mg/L以下が更に好ましい。ナトリウムイオン濃度は、50mg/L以下がより好ましく、10mg/L以下が更に好ましい。塩化物イオン濃度及びナトリウムイオン濃度は、洗浄工程の処理回数やpH調整に使用するアルカリの種類により調整することができる。
尚、塩化物イオン濃度及びナトリウムイオン濃度は、イオンクロマトグラフィー(例えば、ダイオネクス社製DX−320及びDX−100)により通常の条件で測定される。
また、特定アルミニウムケイ酸塩の分散物の濃度は、固体分離されたものを110℃、24時間乾燥して得られる固体の質量を基準とする。
尚、ここで述べる「第二洗浄工程後の分散液」とは、第二洗浄工程を終了した後に、第二洗浄工程を行う前の容積に、溶媒を用いて容積を戻した分散液を意味する。用いる溶媒は、原料と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができ、具体的には、水、エタノール等を使用することができるが、特定アルミニウムケイ酸塩における共存イオンの残存量の低減及び取扱の容易さから、水を用いることが好ましい。
本実施形態に係る特定アルミニウムケイ酸塩のBET比表面積は、第二洗浄工程の処理方法(例えば、合成溶液にアルカリを加えてpHを5〜10に調整し、遠心分離した後、上澄み溶液を排出してゲル状沈殿物として残ったアルミニウムケイ酸塩を溶媒に再分散させ、遠心分離前の容積に戻す処理を一度もしくは複数回繰り返す方法)により調整することができる。
また特定アルミニウムケイ酸塩の全細孔容積は、第二洗浄工程の処理方法(例えば、合成溶液にアルカリを加えてpHを5〜10に調整し、遠心分離した後、上澄み溶液を排出してゲル状沈殿物として残ったアルミニウムケイ酸塩を溶媒に再分散させ、遠心分離前の容積に戻す処理を一度もしくは複数回繰り返す方法)により調整することができる。
また特定アルミニウムケイ酸塩の平均細孔直径は、第二洗浄工程の処理方法(例えば、合成溶液にアルカリを加えてpHを5〜10に調整し、遠心分離した後、上澄み溶液を排出してゲル状沈殿物として残ったアルミニウムケイ酸塩を溶媒に再分散させ、遠心分離前の容積に戻す処理を一度もしくは複数回繰り返す方法)により調整することができる。
[負極]
リチウムイオン二次電池を構成する負極は、例えば集電体表面の少なくとも一方の面上に負極材層を形成して構成される。
前記負極材層に用いる負極材としては、特に制限はなく、例えば、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な炭素材料、金属化合物、金属酸化物、金属硫化物、導電性高分子材料などを挙げることができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、ケイ素、チタン酸リチウムなどを1種単独或いは2種以上を混合して使用することができる。
前記負極は、例えば、リチウムイオン二次電池用負極材及びバインダを溶剤とともに撹拌機、ボールミル、スーパーサンドミル、加圧ニーダ等の分散装置により混練して、負極材スラリーを調製し、これを集電体に塗布して負極材層を形成する、又は、ペースト状の負極材スラリーをシート状、ペレット状等の形状に成形し、これを集電体と一体化することで得ることができる。
上記バインダとしては、特に限定されない。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル系共重合体[エチレン性不飽和カルボン酸エステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)、(メタ)アクリロニトリル、エチレン性不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等)を共重合して得られる共重合体]、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロルヒドリン、ポリホスファゼン、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高分子化合物が挙げられる。
負極の負極材層中のバインダの含有比率は、リチウムイオン二次電池用負極材とバインダの合計100質量部に対して0.5質量部〜20質量部であることが好ましく、1質量部〜10質量部であることがより好ましい。
バインダの含有比率が0.5質量部以上であることで密着性が良好で、充放電時の膨張・収縮によって負極が破壊されることが抑制される。一方、20質量部以下であることで、電極抵抗が大きくなることを抑制できる。
また負極材スラリーには、粘度を調整するために増粘剤を添加してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼインなどを使用することができる。
また、上記負極材スラリーには、必要に応じて、導電補助材を混合してもよい。導電補助材としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、あるいは導電性を示す酸化物や窒化物等が挙げられる。導電補助材の使用量は、負極材に対して0.1質量%〜20質量%程度とすればよい。
また前記集電体の材質及び形状については特に限定されず、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いればよい。また、多孔性材料、例えばポーラスメタル(発泡メタル)やカーボンペーパーなども使用可能である。
上記負極材スラリーを集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げられる。塗布後は、必要に応じて平板プレス、カレンダーロール等による圧延処理を行うことが好ましい。
また、シート状、ペレット状等の形状に成形された負極材スラリーと集電体との一体化は、例えば、ロール、プレス、これらの組み合わせ等、公知の方法により行うことができる。
前記集電体上に形成された負極材層及び集電体と一体化した負極材層は、用いたバインダに応じて熱処理することが好ましい。例えば、ポリアクリロニトリルを主骨格としたバインダを用いた場合は、100℃〜180℃で、ポリイミド、ポリアミドイミドを主骨格としたバインダを用いた場合には150℃〜450℃で熱処理することが好ましい。
この熱処理により溶媒の除去、バインダの硬化による高強度化が進み、粒子間及び粒子と集電体間の密着性が向上できる。尚、これらの熱処理は、処理中の集電体の酸化を防ぐため、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気、又は真空雰囲気で行うことが好ましい。
また、熱処理後に、負極は加圧プレス(加圧処理)することが好ましい。加圧処理することで電極密度を調整することができる。例えば、天然黒鉛を負極材として用いた負極では、電極密度が1.0g/cm〜2.0g/cmであることが好ましい。電極密度については、高いほど体積容量が向上する。
[正極]
前記正極は、前記負極と同様にして、集電体表面上に正極材層を形成することで得ることができる。この場合の集電体はアルミニウム、チタン、ステンレス鋼等の金属や合金を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いることができる。
前記正極材層に用いる正極材料としては、特に制限はなく、例えば、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な金属化合物、金属酸化物、金属硫化物、又は導電性高分子材料を用いればよく、特に限定されない。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、及びこれらの複酸化物(LiCoNiMn、x+y+z=1、0<x、0<y;LiNi2−xMn、0<x≦2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、リチウムバナジウム化合物、V、V13、VO、MnO、TiO、MoV、TiS、V、VS、MoS、MoS、Cr、Cr、オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe)、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素などを単独或いは混合して使用することができる。
[セパレータ]
前記セパレータとしては、多孔質基材であれば特に制限は無く、通常用いられるセパレータ基材から適宜選択して用いることができる。前記多孔質基材は、内部に多数の空孔ないし空隙を有し、かつ、これら空孔等が互いに連結された多孔質構造を有したものであれば特に限定されるものではなく、例えば微多孔膜、不織布、紙状シート、その他三次元ネットーワーク構造を有するシート等が挙げられる。このうちハンドリング性や強度の観点から微多孔膜が好ましい。多孔質基材を構成する材料としては、有機材料および無機材料のいずれも使用することができるが、シャットダウン特性が得られる観点からポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。よって、このようなポリオレフィン多孔質基材を適用すれば、耐熱性とシャットダウン機能を両立させることができる。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。中でも良好なシャットダウン特性が得られるという観点で、ポリエチレンを90質量%以上含むものが好ましい。ポリエチレンは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンのいずれであってもよい。特に、高密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンの混合物を含むポリエチレンであることがより好ましい。かかるポリエチレンであると、強度と成形性に優れる。
ポリエチレンの分子量は、重量平均分子量で10万〜1000万のものが好適であり、特に重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンを少なくとも1質量%以上含むポリエチレン組成物が好ましい。
その他、前記多孔質基材は、ポリエチレン以外にもポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の他のポリオレフィンを混合して構成してもよく、また、ポリエチレン微多孔膜とポリプロピレン微多孔膜の2層以上の積層体として構成してもよい。
前記多孔質基材の膜厚は特に制限ない。例えば5μm〜50μmの範囲が好ましく、7μm〜30μmがより好ましい。膜厚が5μm以上であると十分な強度が得られ、良好なハンドリング性が得られて、電池の歩留まりが向上する。また膜厚が50μm以下であると、イオンの移動性が良好になり、また電池内でセパレータが占める容積を抑制し、電池のエネルギー密度が向上する。
前記多孔質基材の空孔率は特に制限されない。例えば10%〜60%が好ましく、20%〜50%がより好ましい。空孔率が10%以上であると、電池の作動に十分な量の電解液を保持することができ、良好な充放電特性が得られる。また空孔率が60%以下であると、良好なシャットダウン特性が得られ、さらに十分な強度が得られる。
前記多孔質基材の突き刺し強度は、厚み20μmに換算した値で、0.020N/cm以上0.061N/cm以下の範囲内であることが好ましい。突き刺し強度が0.020N/cm以上であると短絡の発生を抑制するための十分な強度を得ることができる。また0.061N/cm以下であるとイオン伝導性の低下を抑制できる。
前記多孔質基材のガーレ値(JIS P8117)は100秒/100ml〜500秒/100mlの範囲が好適であり、さらに好ましくは100秒/100ml〜300秒/100mlの範囲である。ガーレ値が100秒/100ml以上であると、良好なシャットダウン特性や機械強度が得られる。またガーレ値が500秒/100ml以下であると、良好なイオン透過性が得られ、電池の負荷特性が向上する。
前記多孔質基材の平均孔径は10nm〜100nmであることが好ましい。平均孔径が10nm以上であると、電解液の含浸性が良好になる。また平均孔径が100nm以下であると、良好なシャットダウン特性が得られる。
前記セパレータは、セパレータ基材となる多孔質基材と、前記特定アルミニウムケイ酸塩の少なくとも1種とを含んでいることが好ましく、その他の構成は特に制限されない。
前記特定アルミニウムケイ酸塩を含むセパレータを得る方法としては、セパレータ基材を前記特定アルミニウムケイ酸塩の分散液に含浸する方法、セパレータ基材に前記特定アルミニウムケイ酸塩の分散液を塗布する方法等を挙げることができる。さらにセパレータ基材に前記特定アルミニウムケイ酸塩の分散液を含浸又は塗布した後には必要に応じて乾燥を行ってもよい。これによりセパレータ基材の表面に特定アルミニウムケイ酸塩を含む層が形成されたセパレータを得ることができる。
セパレータ基材の表面に特定アルミニウムケイ酸塩を含む層が形成する場合、セパレータ基材の一方の面のみであっても両面であってもよい。セパレータ基材の一方の面のみに形成する場合は、正極側及び負極側のいずれ面であってもよい。正極から金属イオンが溶出することや、負極において金属イオンが還元されて金属が析出することに鑑みると、少なくとも正極側の面に形成することが好ましく、両面に形成することがより好ましい。
前記特定アルミニウムケイ酸塩を含む分散液の溶媒は特に制限されない。例えば、水、1−メチル−2−ピロリドン、アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールなど)等を挙げることができる。
また分散液における特定アルミニウムケイ酸塩の濃度は、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、0.01質量%〜50質量%とすることができ、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
前記分散液は、更にバインダを含有することが好ましい。特定アルミニウムケイ酸塩の分散液がバインダを含有することで特定アルミニウムケイ酸塩がセパレータ上に固定化される。このため、電池を作製する際に特定アルミニウムケイ酸塩が粉落ちすることない上、充放電時にセパレータ表面上に存在できるので効率よく不要な金属イオンを吸着することができる。
前記分散液に含有させるバインダとしては、特に制限されないが、電池の構成材料という観点からバインダとして、正極材層や負極材層に用いられるバインダと同様であることが好ましい。
前記特定アルミニウムケイ酸塩を含有する層中のバインダの含有比率は、特定アルミニウムケイ酸塩とバインダの合計100質量部に対して0.1質量部〜15質量部であることが好ましく、0.3質量部〜10質量部であることがより好ましい。
バインダの含有比率が0.1質量部以上であることで特定アルミニウムケイ酸塩が効果的に正極に固定化され、特定アルミニウムケイ酸塩を付与した効果が持続的に得られる。一方、15質量部以下であることで、質量当たりの金属吸着効率を向上させることができる。
前記セパレータが特定アルミニウムケイ酸塩を含む場合における特定アルミニウムケイ酸塩の含有量としては、短絡発生抑制の観点から、0.01g/m〜50g/mであることが好ましく、0.1g/m〜20g/mであることがより好ましい。
前記分散液をセパレータに塗布する方法としては、特に限定されない。メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げられる。
また前記特定アルミニウムケイ酸塩を含むセパレータを得る別の方法としては、例えば、セパレータを構成する基材に前記特定アルミニウムケイ酸塩を固体状態又は分散液状態で添加した後、得られた特定アルミニウムケイ酸塩を含む基材を用いてセパレータを形成する方法を挙げることができる。これにより特定アルミニウムケイ酸塩を含む基材から構成されたセパレータを得ることができる。
特定アルミニウムケイ酸塩を含む基材から構成されたセパレータにおける特定アルミニウムケイ酸塩の含有量としては、短絡発生抑制及び内部抵抗抑制の観点から、0.01g/m〜50g/mであることが好ましく、0.1g/m〜20g/mであることがより好ましい。
特定アルミニウムケイ酸塩を含む基材を用いてセパレータを形成する具体的な方法としては、例えば、特開2008−146963号公報の段落番号[0063]〜[0122]の記載を参照することができる。
セパレータは、正極と負極の両電極間に配置されるのであれば、特に制限されず通常の方法で使用することができる。
なお、リチウムイオン二次電池を正極と負極が直接接触しない構造にした場合は、セパレータを使用する必要はない。
[電解液]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池に用いられる電解液は特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、電解質を有機溶剤に溶解させた電解液を用いることにより、非水系リチウムイオン二次電池を製造することができる。
前記電解質としては、LiPF、LiClO、LiBF、LiClF、LiAsF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO、LiCl、LiIなどの溶媒和しにくいアニオンを生成するリチウム塩を例示することができる。
また前記電解質の濃度は特に限定されない。例えば、電解液1Lに対して電解質0.3モル〜5モルであることが好ましく、0.5モル〜3モルであることがより好ましく、0.8モル〜1.5モルであることが特に好ましい。
前記有機溶剤としては、カーボネート類(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、鎖状エーテル類(1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等)、環状エーテル類(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等)、ケトン類(シクロペンタノン等)、スルホラン類(スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ウレタン類(3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン等)、ポリオキシアルキレングリコール類(ジエチレングリコール等)などの非プロトン性溶媒を例示することができる。
有機溶剤は、単独で用いてもよく2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
前記電解液は前記特定アルミニウムケイ酸塩の少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記電解液に特定アルミニウムケイ酸塩を含有させる方法としては、前記特定アルミニウムケイ酸塩を固体状態又は分散液状態で電解液に添加、混合する方法等を挙げることができる。中でも固体状態で添加する方法であることが好ましい。
前記特定アルミニウムケイ酸塩を分散液状態で電解液に添加する場合、前記分散液の溶媒は特に制限されない。中でも電解液を構成する有機溶剤と同一であることが好ましい。
さらに分散液状態における特定アルミニウムケイ酸塩の濃度は、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、0.01質量%〜50質量%とすることができ、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
前記電解液が前記特定アルミニウムケイ酸塩を含む場合の含有率としては、短絡発生抑制及び内部抵抗抑制の観点から、電解液中に0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池の構造は、特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレータとを、扁平渦巻状に巻回して巻回式極板群としたり、これらを平板状として積層して積層式極板群としたりし、これら極板群を外装体中に封入した構造とするのが一般的である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、特に限定されないが、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池、角型電池などとして使用される。
上述した本実施形態にかかる特定アルミニウムケイ酸塩は、リチウムイオンを挿入脱離することを充放電機構とする電気化学装置全般、例えば、ハイブリッドキャパシタなどにも適用することが可能である。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
<アルミニウムケイ酸塩の作製>
濃度:700mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液(500mL)に、濃度:350mmol/Lのオルトケイ酸ナトリウム水溶液(500mL)を加え、30分間攪拌した。この溶液に、濃度:1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を330mL加え、pH=6.1に調整した。
pH調整した溶液を30分間攪拌後、遠心分離装置としてTOMY社製:Suprema23及びスタンダードロータNA−16を用い、回転速度:3,000回転/分で、5分間の遠心分離を行った。遠心分離後、上澄み溶液を排出し、ゲル状沈殿物を純水に再分散させ、遠心分離前の容積に戻した。このような遠心分離による脱塩処理を3回行った。
脱塩処理3回目の上澄み排出後に得たゲル状沈殿物を、濃度が60g/Lとなるように純水に分散し、HORIBA社製:F−55及び電気伝導率セル:9382−10Dを用いて、常温(25℃)で、電気伝導率を測定したところ、1.3S/mであった。
脱塩処理3回目の上澄み排出後に得たゲル状沈殿物に、濃度:1mol/Lの塩酸を135mL加えてpH=3.5に調整し、30分間攪拌した。このときの溶液中のケイ素原子濃度及びアルミニウム原子濃度を、ICP発光分光装置:P−4010(日立製作所社製)を用いて、常法により測定したところ、ケイ素原子の濃度は213mmol/L、アルミニウム原子の濃度は426mmol/Lであった。
次に、この溶液を乾燥器に入れ、98℃で48時間(2日間)加熱した。
加熱後溶液(アルミニウムケイ酸塩濃度47g/L)に、濃度:1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を188mL添加し、pH=9.1に調整した。pH調整により溶液中のアルミニウムケイ酸塩を凝集させ、上記同様の遠心分離でこの凝集体を沈殿させることで、上澄み液を排出した。これに純水を添加して遠心分離前の容積に戻すという脱塩処理を3回行った。
脱塩処理3回目の上澄み排出後に得たゲル状沈殿物を、濃度が60g/Lとなるように純水に分散し、HORIBA社製:F−55及び電気伝導率セル:9382−10Dを用いて、常温(25℃)で電気伝導率を測定したところ、0.6S/mであった。
脱塩処理3回目の上澄み排出後に得たゲル状沈殿物を、60℃で16時間乾燥して30gの粉末を得た。この粉末を試料Aとした。
<BET比表面積、全細孔容積、平均細孔直径>
試料AのBET比表面積、全細孔容積、及び平均細孔直径を、窒素吸着能から測定した。評価装置には、QUANTACHROME社製:AUTOSORB−1(商品名)を用いた。これらの測定を行う際には、後述する試料の前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満としている。
前処理として、0.05gの試料Aを投入した測定用セルに、真空ポンプで脱気及び加熱を自動制御で行った。この処理の詳細条件は、10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却するという設定とした。
評価の結果、試料AのBET比表面積は363m/g、全細孔容積は0.22cm/g、そして平均細孔直径は2.4nmであった。
27Al−NMR>
27Al−NMRスペクトルの測定装置として、ブルカー・バイオスピン製AV400WB型を用い、下記条件で測定を行った。
共鳴周波数:104MHz
測定方法:MAS(シングルパルス)
MAS回転数:10kHz
測定領域:52kHz
データポイント数:4096
resolution(測定領域/データポイント数):12.7Hz
パルス幅:3.0μsec
遅延時間:2秒
化学シフト値基準:α−アルミナを3.94ppm
window関数:指数関数
Line Broadening係数:10Hz
図1に試料Aの27Al−NMRのスペクトルを示す。図1に示されるように、3ppm近辺にピークを有した。また55ppm近辺に若干のピークが見られた。3ppm近辺のピークに対する、55ppm付近のピークの面積比率は、15%であった。
29Si−NMR>
29Si−NMRスペクトル測定装置としては、ブルカー・バイオスピン製AV400WB型を用い、下記条件で測定を行った。
共鳴周波数:79.5MHz
測定方法:MAS(シングルパルス)
MAS回転数:6kHz
測定領域:24kHz
データポイント数:2048
resolution(測定領域/データポイント数):5.8Hz
パルス幅:4.7μsec
遅延時間:600秒
化学シフト値基準:TMSP−d(3−(トリメチルシリル)(2,2,3,3−)プロピオン酸ナトリウム)を1.52ppm
window関数:指数関数
Line Broadening係数:50Hz
図2に試料Aの29Si−NMRのスペクトルを示す。図2に示されるように、−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有した。−78ppm及び−85ppm近辺のピークの面積を上記方法により測定した。その結果、−78ppmのピークAの面積を1.00としたとき、−85ppmのピークBの面積は2.61であった。
<元素モル比Si/Al>
常法のICP発光分光分析(ICP発光分光装置:P−4010(日立製作所社製))から求めたSi及びAlの元素モル比Si/Alは、0.5であった。
<粉末X線回折>
粉末X線回折は、リガク社製:Geigerflex RAD−2X(商品名)を用い、X線源としてCuKα線を用いて行なった。図3に、試料Aの粉末X線回折のスペクトルを示す。2θ=26.9°近辺、そして40.3°近辺にブロードなピークが観測された。また2θ=18.8°、20.3°、27.8°、40.6°、そして53.3°近辺にシャープなピークが観測された。また、2θ=20°及び35°近辺にはブロードなピークは観測されなかった。
<透過型電子顕微鏡(TEM)写真観察>
図4に、試料Aを100,000倍で観察したときの透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。尚、TEM観察は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−7100FA型)を用いて、100kVの加速電圧で行なった。また、TEM観察対象の試料Aは以下のようにして調製した。すなわち、最終の脱塩処理工程前の、加熱後溶液(アルミニウムケイ酸塩濃度47g/L)を純水で10倍に希釈し、超音波照射処理を5分間行ったものをTEM観察試料調整用の支持体上に滴下し、次いで自然乾燥して薄膜とすることで調製した。
図4に示されるように、長さ50nm以上の管状物が存在していない。
<水中での金属イオン吸着能1>
金属イオン吸着能評価はICP発光分光分析(ICP発光分光装置:P−4010(日立製作所社製))によって行った。
金属イオン吸着能の評価に当たり、まず、Li、Ni2+又はMn2+について、各々の金属硫酸塩及び純水を用いて100ppmの金属イオン溶液を調製した。その調製溶液に対し試料Aが1.0質量%となるように添加し、十分混合した後、静置した。そして、試料A添加前後の各々の金属イオン濃度をICP発光分光分析にて測定した。結果を表1に示す。
金属イオン吸着能について、試料A添加後の濃度はNi2+が5ppm未満、Mn2+が10ppmとなった。これに対して、Liは90ppmと殆ど吸着されていなかった。したがって、試料Aはリチウムイオン二次電池に不要なNi2+及びMn2+を吸着させるが、充放電に必須なLiは殆ど吸着しないため、電池の性能を阻害せずに短絡を抑えることができる。
[比較例1]
市販品の活性炭(和光純薬工業社製、活性炭素、破砕状、2mm〜5mm)を試料Bとした。水中での金属イオン吸着能について、試料B添加後の濃度はNi2+が50ppm、Mn2+が60ppm、Liが100ppmとなった。
[比較例2]
市販品のシリカゲル(和光純薬工業社製、小粒状(白色))を試料Cとした。水中での金属イオン吸着能について、試料C添加後の濃度はNi2+が100ppm、Mn2+が100ppm、Liが80ppmとなった。
[比較例3]
市販品のゼオライト4A(和光純薬工業社製、モレキュラシーブス4A、元素モル比Si/Al=1.0)を試料Dとした。水中での金属イオン吸着能について、試料D添加後の濃度はNi2+が30ppm、Mn2+が10ppm、Liが60ppmとなった。
なお、ゼオライト4Aを添加したMn2+溶液は静置すると茶色く濁った。
<水中での金属イオン吸着能2>
製造例1で作製した試料Aを用い、試料Aの添加量を下記表に示すように変更した以外は「水中での金属イオン吸着能1」で説明した方法で、水中での金属イオン吸着能を評価した。その結果を下表に示す。

上表に示されるように、試料Aを0.5質量%添加すると、マンガンイオン濃度が半減した。そして、試料Aを2.0質量%添加したときには、マンガンイオンが95%捕捉された。
<水中での金属イオン吸着能3>
製造例1で作製した試料Aを用い、金属イオン種をCu2+に、また金属イオン調整濃度を400ppmに代えた以外は「水中での金属イオン吸着能1」で説明した方法で、水中での金属イオン吸着能を評価した。このときのpHは5.1であった。試料A添加後の濃度はCu2+が160ppmとなった。
[製造例2]
<アルミニウムケイ酸塩の作製>
濃度:180mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液(500mL)に、濃度:74mmol/Lのオルトケイ酸ナトリウム水溶液(500mL)を加え、30分間攪拌した。この溶液に、濃度:1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を93mL加え、pH=7.0に調整した。
pH調整した溶液を30分間攪拌後、遠心分離装置としてTOMY社製:Suprema23及びスタンダードロータNA−16を用い、回転速度:3,000回転/分で、5分間の遠心分離を行った。遠心分離後、上澄み溶液を排出し、ゲル状沈殿物を純水に再分散させ、遠心分離前の容積に戻した。このような遠心分離による脱塩処理を3回行った。
脱塩処理3回目の上澄み排出後に得たゲル状沈殿物を、濃度が60g/Lとなるように調整し、HORIBA社製:F−55及び電気伝導率セル:9382−10Dを用いて、常温(25℃)で、電気伝導率を測定したところ、1.3S/mであった。
脱塩処理3回目の上澄み排出後に得たゲル状沈殿物に純水を加え、容積を12Lとした。その溶液に濃度:1mol/Lの塩酸を60mL加えてpH=4.0に調整し、30分間攪拌した。このときの溶液中のケイ素原子濃度及びアルミニウム原子濃度をICP発光分光装置:P−4010(日立製作所社製)を用いて測定したところ、ケイ素原子濃度は2mmol/Lであり、アルミニウム原子濃度は4mmol/Lであった。
次に、この溶液を乾燥器に入れ、98℃で96時間(4日間)加熱した。
加熱後溶液(アルミニウムケイ酸塩濃度0.4g/L)に、濃度:1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を60mL添加し、pH=9.0に調整した。pH調整により溶液を凝集させ、遠心分離でこの凝集体を沈殿させ、第一洗浄工程と同様の遠心分離でこの凝集体を沈殿させることで、上澄み液を排出した。これに純水を添加して遠心分離前の容積に戻すという脱塩処理を3回行った。
脱塩処理3回目の上澄み排出後に得たゲル状沈殿物を、濃度が60g/Lとなるように調整し、HORIBA社製:F−55及び電気伝導率セル:9382−10Dを用いて、常温(25℃)で電気伝導率を測定したところ、0.6S/mであった。
脱塩処理後に得たゲル状沈殿物を、60℃で72時間(3日間)乾燥して4.8gの粉末を得た。この粉末を試料Eとした。
27Al−NMR>
図1に試料Eの27Al−NMRのスペクトルを示す。図1に示すように、3ppm近辺にピークを有した。また55ppm近辺に若干のピークが見られた。3ppm近辺のピークに対する、55ppm近辺のピークの面積比率は、4%であった。
29Si−NMR>
図2に試料Eの29Si−NMRのスペクトルを示す。図2に示されるように、−78ppm及び−85ppm近辺にピークを有した。−78ppm及び−85ppm近辺のピークの面積を上記方法により測定した。その結果、−78ppm近辺のピークAの面積を1.00としたとき、−85ppm近辺のピークBの面積は0.44であった。
<元素モル比Si/Al>
常法のICP発光分光分析(ICP発光分光装置:P−4010(日立製作所社製))から求めたSi及びAlの元素モル比Si/Alは、0.5であった。
<粉末X線回折>
製造例1と同様の方法で、試料Eの粉末X線回折を行った。図3に、試料Eの粉末X線回折のスペクトルを示す。2θ=4.8°、9.7°、14.0°、18.3°、27.3°、そして40.8°近辺にブロードなピークを有していた。また、2θ=20°及び35°近辺にはブロードなピークは観測されなかった。
<BET比表面積、全細孔容積、平均細孔直径>
製造例1と同様の方法で、BET比表面積、全細孔容積、及び平均細孔直径を、窒素吸着能から測定した。
評価の結果、試料EのBET比表面積は323m/g、全細孔容積は0.22cm/g、そして平均細孔直径は2.7nmとなった。
<透過型電子顕微鏡(TEM)写真観察>
図5に、試料Eを実施例1と同様の方法により100,000倍で観察したときの透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。図5に示されるように管状物が生成しており、管状体10aの管部長さ方向の長さは、1nm〜10μm程度であり、外径は1.5nm〜3.0nm程度であり、内径は0.7nm〜1.4nm程度であった。
<水中での金属イオン吸着能>
製造例1と同様の方法で、水中でのMn2+イオン吸着能を評価したところ、試料Eは試料Aと同様の金属イオン吸着能を示した。
<モデル電解液中での金属イオン吸着能1>
リチウムイオン二次電池への適用を想定し、モデル電解液中での金属イオン吸着能を評価した。溶媒としてジエチルカーボネート(DEC)とエチレンカーボネート(EC)とを、体積比でDEC/EC=1/1となるように混合した溶液を用い、溶質としてテトラフルオロほう酸ニッケルを初期Ni2+イオン濃度が100ppmとなるように加え、モデル電解液とした。
前記モデル電解液の30mLをガラス瓶に入れ、ここに前記試料Aを0.3g投入した。溶液を数分間攪拌した後、数時間静置した。試料添加前後の濃度変化をICP発光分光分析(ICP発光分光装置:SPS5100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製))にて測定した。なお、測定試料の前処理には酸分解(マイクロウェーブ法)を行った。
上記において、試料Aに代えて、前記試料C、前記試料D、前記試料E、及び市販品のゼオライト13X(和光純薬工業社製、モレキュラシーブス13X、Si/Alのモル比=1.2)である試料Fを用いて、Ni2+の吸着量を測定した。結果を下表に示す。
上表に示されるように、製造例1及び製造例2に記載の特定アルミニウムケイ酸塩は、シリカゲル、ゼオライト4A、ゼオライト13Xよりも優れたNi2+イオン吸着能を示した。
<モデル電解液中での金属イオン吸着能2>
試料Aの添加量を下表に示す濃度となるように変更した以外は、上記で説明した方法と同様にして、モデル電解液中でのNi2+イオン吸着能を評価した。その結果を下表に示す。

上表に示されるように、試料Aを1.0質量%添加すると、Ni2+イオンを80%吸着した。そして、試料Aを2.0質量%添加すると、Ni2+イオンを95%吸着した。
[実施例1]
<正極の作製>
本実施例で使用した正極活物質は、平均粒径20μm、最大粒径80μmのLiMn粉末である。この正極活物質と天然黒鉛、ポリフッ化ビニリデンの1−メチル−2−ピロリドン溶液を混合し、充分に混練したものを正極スラリーとした。LiMn、天然黒鉛、ポリフッ化ビニリデンの混合比は、質量比で90:6:4とした。このスラリーを、ドクターブレード法によって、乾燥後の塗布量が250g/mとなるように厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の表面に塗布した。この正極を100℃で2時間乾燥した。
<負極の作製>
負極は以下の方法で作製した。負極活物質は平均粒径10μmの人造黒鉛粉末であり、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵及び放出可能な材料である。人造黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンを、質量比90:10で混合し、有機溶媒として1−メチル−2−ピロリドンを添加して、十分に混練して負極スラリーを調製した。このスラリーを、ドクターブレード法によって、乾燥後の塗布量が75g/mとなるように厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の表面に塗布した。これを100℃で2時間乾燥して、負極を作製した。
<セパレータの作製>
製造例1で作製した特定アルミニウムケイ酸塩(試料A)の8質量%水分散液に、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを試料Aに対して5質量%となるよう添加して特定アルミニウムケイ酸塩分散液を調製した。得られた特定アルミニウムケイ酸塩分散液を厚さ25μmのポリエチレン製多孔質シート上にドクターブレード法によって片面に塗布し、100℃で真空乾燥させた。これをセパレータAとした。セパレータAにおける試料Aの付与量は5g/mであった。
<リチウムイオン二次電池の作製>
ジエチルカーボネートとエチレンカーボネートの体積比1:1の混合溶媒にLiPFを1mol/lの濃度になるように溶解させたものを電解液として用い、アルミラミネートセルを作製した。アルミラミネートセルとは、外装材としてナイロンフィルム−アルミニウム箔−変性ポリオレフィンフィルムからなる三層ラミネートフィルムを用い、その外装材内に前記の正極、負極、セパレータ、電解液などを封入したリチウムイオン二次電池(以下、単に「セル」ともいう)である。
ここでセパレータAの特定アルミニウムケイ酸塩が付与された面が正極側になるようにリチウムイオン二次電池を構成した。
<電池特性の測定>
上記作製したリチウムイオン二次電池について,下記方法により初期容量、充放電特性、インピーダンスを測定した。その後50℃の恒温槽に1週間放置した後、再度充放電測定及びインピーダンス測定を行った。
(初期容量の測定)
作製したリチウムイオン二次電池を充放電測定装置(東洋システム製 TOSCAT−3100)に接続し、活物質の量より算出される、1時間で満充電に達する理論電流値を1Cとした時の0.2Cの電流値により、4.2Vに達するまで定電流で充電し、その後電流値が0.01mAとなるまで4.2Vで定電圧充電を行った。充電終了後に30分静置した後、0.2Cの電流値でリチウムイオン二次電池が3Vに達するまで定電流放電を行った。放電終了後は次の充電まで30分静置した。上記の操作を2回行った時の2回目の放電容量をその電池の放電容量とした。
試料Aが付与されたセパレータを用いて作製したセルは、試料Aが付与されていないセパレータを用いて作製したセルと比較して、同様の初期容量を示した。
(充放電特性の測定)
0.2Cの電流値により4.2Vに達するまで定電流で充電し、その後電流値が0.01mAとなるまで4.2Vで定電圧充電を行った。充電終了後に30分静置した後、0.5Cの電流値でリチウムイオン二次電池が3Vに達するまで定電流放電を行った。同様の充電条件により充電後に1C、2C、3C、5Cの電流値で放電容量を測定し、放電容量の放電条件依存性を評価した。
試料Aが付与されたセパレータを用いて作製したセルは、試料Aが付与されていないセパレータを用いて作製したセルと比較して、いずれの放電条件場合も、50℃に1週間放置後の放電容量の低下率が小さくなった。
(インピーダンス測定)
充放電特性を測定後のリチウムイオン二次電池を30分静置後、デジタルマルチメーター(北斗電工製 HZ−5000と周波数応答解析装置を組み合わせたもの)を用いてCole−Cole Plotを測定し、代表値として周波数1kHzにおけるインピーダンスを比較した。
試料Aが付与されたセパレータを用いて作製したセルは、試料Aが付与されていないセパレータを用いて作製したセルと比較して、50℃、1週間放置後のインピーダンスの上昇率が小さくなった。
前記の初期容量、充放電特性、インピーダンスの測定結果から、セル内の試料Aは、例えば、正極から溶出した不純物を吸着することで、セルの長寿命化や安全性向上に寄与したことが分かる。
また試料Aの代わりに試料Eを用いたこと以外は同様にしてセパレータを作製し、同様にして評価したところ、試料Aと同様の結果が得られた。
10 特定アルミニウムケイ酸塩
10a 管状体
20 内壁
30 隙間

Claims (6)

  1. 正極、負極及び電解液を含み、さらにAlに対するSiの元素モル比Si/Alが0.3以上1.0未満であるアルミニウムケイ酸塩を含み、
    前記アルミニウムケイ酸塩は、 29 Si−NMRスペクトルにおいて−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有し、
    前記アルミニウムケイ酸塩は、 29 Si−NMRスペクトルにおける前記−78ppm近辺のピークAに対する前記−85ppm近辺のピークBの面積比率(ピークB/ピークA)が、2.0〜9.0であるリチウムイオン二次電池。
  2. 前記アルミニウムケイ酸塩は、27Al−NMRスペクトルにおいて3ppm近辺にピークを有する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記アルミニウムケイ酸塩の前記元素モル比Si/Alが0.4以上0.6以下である請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記アルミニウムケイ酸塩は、X線源としてCuKα線を用いた粉末X線回折スペクトルにおいて2θ=26.9°及び40.3°近辺にピークを有し、層状粘土鉱物に由来する2θ=20°及び35°近辺のピークを有しない請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記アルミニウムケイ酸塩のBET比表面積が250m/g以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記アルミニウムケイ酸塩は、水分含有率が10質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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