JP5875097B2 - 脂質取り込み抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、PCTP-L/StarD10遺伝子ノックアウト非ヒト動物、特に、PCTP-L/StarD10遺伝子ノックアウトマウス、および該動物を用いたスクリーニング方法に関する。さらに本発明は、PCTP-L/StarD10の機能を制御することによる脂質代謝の調節方法、および脂質代謝に関連する疾患の治療方法および予防方法に関する。
病態の作用機序の解析、治療薬の開発などを目的として疾患モデル動物が多く開発されている。例えば、疾患に関連すると考えられる遺伝子を導入するかまたは欠損させることにより作成したトランスジェニックマウスやノックアウトマウスを、該遺伝子の機能解析や疾患治療薬のスクリーニングなどに用いることができる。
PCTP-L/StarD10遺伝子は、精巣の発達に伴い発現が上昇する機能未知の遺伝子として西宗と田中らによりクローニングされた(非特許文献1)。その後、PCTP-L/StarD10遺伝子はヒトの大腸癌において高発現する遺伝子としてクローニングされ(SDCCAT28; serologically defined colon cancer antigen 28)、またヒトおよびマウスの乳癌において高度にリン酸化されるタンパク質として同定された(非特許文献2)。In vitroの実験でPCTP-L/StarD10タンパク質がリン脂質輸送活性を持つことが報告されている(非特許文献3)が、その機能的役割は不明であった。
PCTP-L/StarD10タンパク質はSTARTドメイン(START: steroidogenic acute regulatory protein (StAR)-related lipid transfer)を有するタンパク質ファミリー(StarD1〜StarD15)に属する。STARTドメインは約210個のアミノ酸から成り、脂質結合と脂質輸送に関わることが示されている(非特許文献4)。このファミリーに属するPCTP-L/StarD2は肝臓や脂肪細胞に発現しており、フォスファチジルコリン輸送活性を示す。PCTP-L/StarD2は当初は肝臓における胆汁酸の生合成に関わると予想されていたが、その後のPCTP-L/StarD2ノックアウトマウスを用いた解析の結果その予想は否定された。しかし、当該タンパク質の脂質代謝への関与が示唆されている(非特許文献5)。
Biol. Reprod. 62: 1694-1701 (2000) Cancer Res. 15: 64: 3538-3544 (2004) J. Biol. Chem. 282: 22492-22498 (2007) J. Cell Sci. 118: 2791-2801 (2005) Biochim. Biophys. Acta 1771: 654-662 (2007)
肥満、脂質異常症、動脈硬化症などの脂質代謝に関連する疾患に対する処置手段の重要性は高まっており、新たな作用機作による効果的な治療方法および治療薬の効率的な研究のためのツールが必要とされている。本発明は、新たな作用機作による脂質代謝の調節方法、および脂質代謝に関連する疾患の治療方法および予防方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、脂質代謝に関連する疾患の研究ツールとしての実験用非ヒト動物、特に、スクリーニング用の実験用動物、および新規なスクリーニング方法を提供することを目的とする。
発明者は、電位依存性L型カルシウムチャネルと相互作用するタンパク質を酵母two-hybrid法により探索し、L型カルシウムチャネルの細胞内カルボキシル末端領域と特異的に相互作用するタンパク質としてPCTP-L/StarD10を同定した。さらに、PCTP-L/StarD10の機能的役割を明らかにする目的で鋭意研究を進め、本発明を完成させた。本発明のいくつかの側面において、下記の各発明が提供される。
(1)PCTP-L/StarD10遺伝子の発現および/またはPCTP-L/StarD10タンパク質の活性を抑制する化合物を有効成分として含む、脂質取り込み抑制剤。
(2)前記化合物が、抗PCTP-L/StarD10タンパク質抗体;PCTP-L/StarD10の塩基配列に相補的なまたは実質的に相補的な塩基配列またはその一部を含有するアンチセンスポリヌクレオチド;およびPCTP-L/StarD10のポリヌクレオチドに対するsiRNAもしくはshRNAから選択される、(1)に記載の脂質取り込み抑制剤。
(3)肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧症、動脈硬化症および胆石症から選択される疾患の治療または予防に使用される、(1)または(2)に記載の脂質取り込み抑制剤。
(4)以下の工程(a)〜(c):
(a)被検化合物を対象に投与する工程、
(b)前記対象におけるPCTP-L/StarD10遺伝子の発現量および/またはPCTP-L/StarD10タンパク質の活性を測定する工程、
(c)被検化合物を投与しない場合と比して、前記発現量または活性を変動させる化合物を選択する工程、
を含む、脂質代謝調節化合物のスクリーニング方法。
(5)以下の工程(a)〜(c):
(a)PCTP-L/StarD10遺伝子を導入した対象に被検化合物を投与する工程、
(b)前記対象における脂肪もしくはその代謝物または胆汁酸もしくはその前駆体の量を測定する工程、
(c)被検化合物を投与しない場合と比して、前記量を変動させる化合物を選択する工程、
を含む、脂質代謝調節化合物のスクリーニング方法。
(6)前記対象が、ウイルスを利用してPCTP-L/StarD10遺伝子を導入した動物細胞である、(5)に記載の方法。
(7)PCTP-L/StarD10遺伝子の発現量またはPCTP-L/StarD10タンパク質の存在量を測定するための化合物を含む、脂質代謝関連疾患の診断剤。
(8)前記化合物が、PCTP-L/StarD10遺伝子の転写産物を特異的に認識する核酸プローブまたはプライマー;PCTP-L/StarD10遺伝子の翻訳産物を特異的に認識する抗体;およびPCTP-L/StarD10遺伝子の翻訳産物に特異的に結合するリガンドまたは受容体、から選択される、(7)に記載の診断剤。
(9)PCTP-L/StarD10遺伝子の機能がノックアウトされた非ヒト動物。
(10)齧歯類である、(9)に記載の非ヒト動物。
(11)マウスである、(10)に記載の非ヒト動物。
本発明により、新たな作用機作による脂質代謝調節活性を有する化合物の効率的な探索方法、およびその探索のためのツールとしてのモデル動物が提供される。さらに、本発明により、脂質代謝調節のための手段が提供される。
図1は、マウスの各組織におけるPCTP-L/StarD10の発現分布を示す、ノーザンブロッティングおよびウエスタンブロッティングの結果の一例である。 図2Aは、PCTP-L/StarD10ノックアウトマウスの作製に使用したターゲティングベクターの構成を表す図である。図2Bは、得られたPCTP-L/StarD10ノックアウトマウス(-/-)、ヘテロマウス(+/-)、および野生型マウス(+/+)の肝臓におけるPCTP-L/StarD10発現量を表すウエスタンブロッティングの結果であり、上段にPCTP-L/StarD10を、下段に泳動したサンプルのタンパク質量を正規化するための標準タンパク質として検出したα-tubulinを示す。図2Cは、数値化したPCTP-L/StarD10およびα-tubulinの発現量(バンドの濃さ)より算出したPCTP-L/StarD10とα-tubulinの発現量の比(PCTP-L/StarD10/α-tubulin)を示すグラフであり、PCTP-L/StarD10ノックアウトマウス(-/-)、ヘテロマウス(+/-)、および野生型マウス(+/+)の肝臓におけるPCTP-L/StarD10発現量を比較したものである。 図3は、高脂肪食または普通食で飼育したPCTP-L/StarD10ノックアウトマウスおよび野生型マウスの肝臓中の胆汁酸含量を示すグラフの一例である。 図4は、高脂肪食または普通食で飼育したPCTP-L/StarD10ノックアウトマウスおよび野生型マウスにおける、肝臓中のコリン関連代謝経路のメタボローム解析結果を表す図である。 図5は、高脂肪食または普通食で飼育したPCTP-L/StarD10ノックアウトマウスおよび野生型マウスにおける、リポタンパク質中のコレステロールおよびリン脂質の含量を示すグラフの一例である。 図6は、高脂肪食または普通食で飼育したPCTP-L/StarD10ノックアウトマウスおよび野生型マウスにおける、リポタンパク質中のトリグリセリドの含量を示すグラフの一例である。各リポタンパク質のグラフは左から野生型マウス(普通食)、ノックアウトマウス(普通食)、野生型マウス(高脂肪食)およびノックアウトマウス(高脂肪食)の結果を示す。 図7は、高脂肪食または普通食で飼育したPCTP-L/StarD10ノックアウトマウスおよび野生型マウスにおける血清中の心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)濃度を示すグラフの一例である。グラフは左から野生型マウス(普通食)、ノックアウトマウス(普通食)、野生型マウス(高脂肪食)およびノックアウトマウス(高脂肪食)の結果を示す。 図8Aは、PCTP-L/StarD10を導入したラット心室筋細胞において、蛍光免疫染色によりPCTP-L/StarD10の発現を確認した結果を表す図である。図8Bは、PCTP-L/StarD10を導入したラット心室筋細胞において、ウエスタンブロット法によりPCTP-L/StarD10の発現を確認した結果を表す図である。 図9は、iRNAによるPCTP-L/StarD10のノックダウンをウエスタンブロット法により確認した結果を示す図である。
本発明は、一つの側面において、PCTP-L/StarD10タンパク質の発現および/または活性を抑制する化合物を有効成分として含む脂質取り込み抑制剤を提供する。本発明の脂質取り込み抑制剤は、脂質の取り込みを抑制することによる、胆汁酸の生合成および/または再吸収の抑制、胆汁酸の分泌量の抑制、血中のリポタンパク質の存在量の抑制、ならびにリポタンパク質中のリン脂質、コレステロールおよびトリグリセリド含量の抑制、心房性利尿ペプチド(ANP)の分泌の抑制などの効果を発揮する。本発明の脂質取り込み抑制剤は、脂質代謝に関連する疾患、例えば、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧症および動脈硬化症など、または胆石症の治療または予防に使用することができる。
本発明において、PCTP-L/StarD10タンパク質の発現および/または活性を抑制する化合物は、特には限定されず、低分子量化合物、ペプチド、タンパク質、核酸、抗体、dsRNA、siRNAまたはshRNAなどであってもよく、例えば、抗PCTP-L/StarD10抗体、PCTP-L/StarD10タンパク質の発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその誘導体などであってもよい。当該化合物がDNAまたはRNAによりコードされうるものである場合は、当該DNAを遺伝子治療用ベクターに組み込み、遺伝子治療に供することもできる。例えば、抗PCTP-L/StarD10タンパク質抗体は、当該技術分野で知られた通常の方法により調製することができる。
本発明の脂質取り込み抑制剤は、種々の剤形、例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤;非経口剤としては、例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤などの注射剤;経皮投与または貼付剤、軟膏またはローション;口腔内投与のための舌下剤、口腔貼付剤;ならびに経鼻投与のためのエアゾール剤とすることができるが、これらには限定されない。これらの製剤は、製剤工程において通常用いられる公知の方法により製造することができる。
本発明の脂質取り込み抑制剤は、一般に用いられる各種成分を含みうるものであり、例えば、1種以上の薬学的に許容され得る賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤等を含みうる。本発明の脂質取り込み抑制剤の投与量は、投与経路、患者の体型、年齢、体調、疾患の度合い、発症後の経過時間などにより、適宜選択することができる。薬剤の投与は、単回投与または複数回投与であってもよい。
本発明は、別の側面において脂質代謝調節化合物のスクリーニング方法を提供する。ここで、スクリーニングに付される被検化合物は、天然物であっても合成化合物であってもよく、低分子化合物、ペプチド、タンパク質、核酸であってもよい。被検化合物が投与される対象は、ヒトまたは非ヒト動物であってもよく、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、サルなどの哺乳動物を使用することができる。また、当該対象として、動物の組織および細胞を使用してもよい。その場合、被検化合物の投与は、例えば、組織または細胞が保持される溶液または培地などに被検化合物を含ませることなどにより、対象に被検化合物を作用させることにより行うことができる。
本発明において、「PCTP-L/StarD10遺伝子の発現量および/またはPCTP-L/StarD10タンパク質の活性」は、例えば、PCTP-L/StarD10遺伝子の転写産物の量、PCTP-L/StarD10タンパク質の発現量、機能を保持した当該タンパク質の存在量などにより測定することができる。したがって、本発明のスクリーニング方法により選抜される化合物には、PCTP-L/StarD10タンパク質に作用し機能を低下させる化合物、PCTP-L/StarD10遺伝子またはその転写産物に作用し発現量を低下させる化合物などが含まれる。
本発明において、脂質代謝調節化合物は、摂取した脂質の取り込み量の調節および/または取り込まれた脂質の代謝量の調節に関与する化合物を意味し、当該化合物には、摂取した脂質の取り込み量の抑制および/または取り込まれた脂質の代謝量の促進に関与する化合物が含まれる。
本発明において「PCTP-L/StarD10遺伝子の導入」は、PCTP-L/StarD10をコードした核酸を通常の手法を利用して導入することにより行われる。「PCTP-L/StarD10遺伝子を導入した対象」としては、例えばトランスジェニック非ヒト動物、その組織および細胞、ならびに通常の動物の組織または細胞にPCTP-L/StarD10遺伝子を導入したものを使用することができる。好ましくは、PCTP-L/StarD10遺伝子の導入によりPCTP-L/StarD10タンパク質が過剰発現した対象を脂質代謝関連疾患モデルとして使用することができる。
本発明のスクリーニング方法の測定対象となる「脂肪もしくはその代謝物または胆汁酸もしくはその前駆体」としては、例えば、リポタンパク質(例えば、カイロミクロン、VLDL、LDL、HDLなど)、コレステロール、トリグリセリド、胆汁酸、グリココール酸などが挙げられる。
本発明のスクリーニング方法において対象として使用される組織または細胞としては、例えば、心臓(心房または心室)、肝臓、腎臓または精巣などの細胞または組織が挙げられる。本発明の一つの態様において、以下の工程(a)〜(c):
(a)PCTP-L/StarD10遺伝子を導入した幹細胞または肝組織に被検化合物を作用させる工程、
(b)前記対象における脂肪もしくはその代謝物または胆汁酸もしくはその前駆体の量を測定する工程、
(c)被検化合物を投与しない場合と比して、前記量を変動させる化合物を選択する工程、
を含む、脂質代謝調節化合物のスクリーニング方法が提供される。
本発明の別の側面において、脂質代謝関連疾患の診断剤が提供される。本発明の診断剤で使用される化合物としては、PCTP-L/StarD10遺伝子の転写産物を特異的に認識する核酸プローブまたはプライマー;PCTP-L/StarD10遺伝子の翻訳産物を特異的に認識する抗体;およびPCTP-L/StarD10遺伝子の翻訳産物に特異的に結合するリガンドまたは受容体などが挙げられる。ここで、脂質代謝関連疾患としては、例えば、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧症および動脈硬化症など、または胆石症などが挙げられる。一つの態様において、PCTP-L/StarD10遺伝子の発現量および/またはPCTP-L/StarD10タンパク質の存在量の上昇により、脂質代謝関連疾患であることが判断される。
本発明において使用する化合物の特異的認識または結合は、通常の方法により測定することができる。例えば、標識した化合物(例えば、蛍光標識)を使用することにより、蛍光などの測定して、PCTP-L/StarD10遺伝子の発現量および/またはPCTP-L/StarD10タンパク質の存在量を測定することができる。また、本発明の診断剤は固定化して使用することもでき、例えば、核酸アレイ、抗体アレイなどとして実施することもできる。
本発明の一つの側面において、PCTP-L/StarD10遺伝子の機能がノックアウトされた非ヒト動物が提供される。ここで、「非ヒト動物」とは、ヒト以外の脊椎動物および無脊椎動物を意味する。遺伝子改変技術を用いて遺伝子の発現を人為的に改変することが可能で、本発明に適した非ヒト動物としては、非ヒト哺乳動物、例えばマウスおよびラットなどの齧歯類が挙げられ、好ましくはマウスが挙げられる。
本発明の動物は、PCTP-L/StarD10遺伝子の機能が欠損されていることを特徴とする。PCTP-L/StarD10遺伝子機能は、例えば、当該遺伝子の少なくとも一部を欠失させる;少なくとも一部を他の遺伝子と置換させる;任意の部位に外来のシークエンスを挿入させる;および当該遺伝子のプロモーターが不活性化する、などの手段により欠損させることができる。本発明のPCTP-L/StarD10ノックアウト非ヒト動物の製造方法は特に限定されないが、例えば、PCTP-L/StarD10ノックアウトマウスは、マウス染色体上のPCTP-L/StarD10遺伝子にターゲティングベクターを用いて外来遺伝子を挿入させる、いわゆる相同組み換えにより作製することができる。
本発明で使用するPCTP-L/StarD10のゲノムDNAフラグメントは、マウスゲノムライブラリーからクローニング、さらに必要に応じてサブクローニングすることにより得ることができる。当該フラグメントの一部を欠失させるか、または他の遺伝子により置換することにより得られる改変フラグメントを任意のベクターに導入してターゲッティングベクターを作製することができる。欠失または置換される部分には、遺伝子のコード領域またはエキソンが含まれることが好ましい。またターゲッティングベクターは、選択マーカー遺伝子を有することが望ましい。選択マーカー遺伝子の例としては、ネオマイシン耐性遺伝子などが挙げられる。
ターゲッティングベクターの作製に使用されるベクターの種類は特には制限されず、例えば、pSP72ベクター(Promega社製)などを使用することができる。相同組み換え用ターゲッティングベクターの構築は通常のDNA組み換え技術により行うことができる。
ターゲッティングベクターの標的細胞への導入は、例えば、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法などの方法により行うことができる。標的細胞としては、キメラ動物の作製に通常用いられる細胞、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)などを用いることができる。マウスの幹細胞としては、例えば、BA1ハイブリッド(129SvEvとC57BL/6の交配で得られたハイブリッド)などの既に樹立されたものを用いることができる。
ターゲッティングベクターの取り込みにより変異が導入された細胞は、選択マーカー遺伝子の発現に基づいて選択することができる。キメラ動物の作製は、公知の方法に基づいて行うことができる。得られたキメラ動物の交配により、ヘテロ接合体およびホモ接合体を得ることができる。変異導入の確認は、PCR法またはサザンブロット法などにより行うことができる。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]抗PCTP-L/StarD10抗体の作製
マウスPCTP-L/StarD10の部分配列CIKYPEWKQKHQPHF(aa No. 219-233)およびGAGGEGSDDDTSLT(aa No. 278-291)に相当する2種のペプチドを合成し、アミノ末端側のCysを利用するか、あるいはアミノ末端側にCys(SH基)を付加するMBS法でキャリアタンパク質(キーホールリンペットヘモシアニン:KLH)とコンジュゲーションを施し、これらのペプチドをウサギにカクテル免疫し、ポリクローナル抗体を作製した。
[実施例2]ノーザンブロット法によるPCTP-L/StarD10発現部位の解析
[α−32P]dCTPの存在下で、PCTP-L/StarD10全長の配列をテンプレートとして、ランダムプライマーを用いてPCRを行うことにより、PCTP-L/StarD10のmRNA検出のプローブを作製した。マウス(Swiss Webster mice、雌雄混合で8−10 週齢)の各組織(心臓、脳、脾臓、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、および精巣)のmRNAを泳動させたメンブレン(Clontech)と作製したプローブとをインキュベートし(68℃、1時間)、洗浄後、メンブレンを露光板に設置して一晩露光させ、陽性バンドを画像解析装置(STORM、Amersham)を用いて検出した。結果を図1に示す。上記の各組織のうち、特に、心臓、肝臓、腎臓および精巣においてPCTP-L/StarD10の発現が顕著であった。
[実施例3]ウエスタンブロット法によるPCTP-L/StarD10発現量の解析
マウスの各臓器を摘出後、RIPAバッファー(50 mmol/L Tris (pH 8.0)、1% ノニデット P-40、150 mmol/L NaCl、0.5% デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS、1 mmol/L PMSF、10 μg/ml アプロチニン、10 μg/ml ロイペプチンおよび 2 mmol/L DTT)を加えてホモジェナイズし、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で分離し、PVDF膜に転写した。その後、5%スキムミルクを加えたTBS-T バッファー(2.42 g/L Tris、8 g/L NaCl、1.5 ml/L HCl、1 ml/L Tween20)を用いて室温で1時間ブロッキングした。1次抗体としてウサギ抗PCTP-L/StarD10ポリクローナル抗体(抗ペプチド抗体として実施例1に記載の方法により作製)、2次抗体としてHRP標識抗ウサギIgG抗体(Amersham)を用いた。抗体陽性のバンドはECL+plus Western Blotting Detection System(Amersham)を用いた化学発光をLAS-1000 plus(冨士フィルム社製)により検出した。泳動タンパク質の量を正規化するための標準タンパク質としてα-tubulinをマウス抗α-tubulinモノクローナル抗体(clone B-5-1-2, Sigma)およびHRP標識抗マウスIgG抗体(Amersham)を用いて検出した。
ラットの心房および心室におけるPCTP-L/StarD10発現量の解析を同じ抗体を用いる同様の手法により行った。
結果を図1に示す。PCTP-L/StarD10の発現量は、特に肝臓、腎臓、心房などにおいて顕著であることが確認された。
[実施例4]PCTP-L/StarD10ノックアウトマウスの作成
定法に従いターゲッティングベクターを構築した。ターゲッティングベクターをデザインするに当たり、マウス第7染色体(cytoband 7E2)においてPCTP-L/StarD10の直後にcentaurinδ2(別名:ARAP1)の遺伝子があり、centaurinδ2のプロモーター領域がPCTP-L/StarD10のexon1〜3付近に存在する可能性が考えられたため、ターゲッティング領域をexon4〜6とした。
ターゲッティング部位を含む〜11.5kbの領域をマウスC57BL/6系統のBACクローンから取得し、pSP72ベクター(Promega, 〜2.4kb)にサブクローニングした。この時、ターゲッティング領域にpGK-gb2 loxP/FRT-flanked neomycinカセットを挿入してexon4〜6を含む2.3kbの領域を置換した(図2A参照)。こうして調製されたターゲッティング・コンストラクトを制限酵素SwaIで切断して鎖状化し、マウスES細胞(BA1 hybrid:129SvEvとC57BL/6の交配で得られたハイブリッド)にエレクトロポレーション法により導入した。
ネオマイシン耐性選択により陽性クローンを得、PCRスクリーニングにより目的遺伝子がターゲッティングされていることを確認した。確認できた陽性ES細胞をブラストシストにインジェクションし、ブラストシストを代理母マウスに移植し、キメラマウスを得た。得られたキメラマウス(雄)を野生型C57BL/6(雌)と交配し、F1ヘテロマウスを得た。得られたF1マウスのジャームライン・トランスミッションをPCR法により確認した。
[実施例5]蛍光免疫組織化学によるPCTP-L/StarD10発現部位の解析
マウスをペントバルビタールで麻酔し、心臓から0.2%ヘパリン生理食塩水溶(20 ml)を灌流し、続いて4%ホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝液(20 ml)を灌流して固定した。肝臓などの各臓器を摘出後、さらに4%ホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝液に浸して固定した。ミクロトームで凍結切片とし、1% TritonX-100を含むPBSバッファーで細胞膜に透過性を与える処置を施した。2%のロバ血清でブロッキング処理をし、1次抗体としてウサギ抗PCTP-L/StarD10ポリクローナル抗体、2次抗体としてAlexa Fluor 488 抗ウサギIgG抗体(Invitrogen / Molecular Probes)を用いた。洗浄後に、Hoechst染色を行い、Gel/Mount(Biomeda)を用いてスライドガラスにマウントした。蛍光画像の観察はレーザー共焦点顕微鏡(LSM-510 META、カールツァイス社製)を用いて行った。
マウス肝臓におけるPCTP-L/StarD10の発現について結果を図3に示す。野生型マウスの肝臓切片においては、肝実質細胞(上段、右側)および毛細胆管(上段、左側)のいずれにおいてもPCTP-L/StarD10の発現が確認された。ヘキスト染色した下段の切片においても野生型マウスではPCTP-L/StarD10の発現が確認された。一方で、PCTP-L/StarD10ノックアウトマウスの肝臓切片においてはPCTP-L/StarD10の発現が認められなかった。
[実施例6]PCTP-L/StarD10過剰発現用アデノウイルス
全長のPCTP-L/StarD10を緑色蛍光タンパク質(GFP)と同時に発現させるアデノウイルスを作製した。pENTRベクター(Invitrogen)のマルチクローニングサイトの後ろにIRES GFPおよびPCTP-L/StarD10を挿入した。pENTRに挿入されたPCTP-L/StarD10およびIRES GFPをGateway system(Invitrongen)によりアデノウイルス作製ベクターpAd/CMV/V-5 DESTにのせ替えた。このプラスミドを制限酵素Pac Iで切断し、直線化したものをHEK 293A細胞にFugene 6(Roche)によりトランスフェクションしてアデノウイルスを増殖させた。得られたウイルス液を引き続きHEK 293A細胞に感染させることを3回繰り返し、4次ウイルス液を得た。Plaque assayにより力価を測定し、得られたウイルス液が1×108〜1×1010pfu/mlであることを確認した。また、pENTRベクター(Invitrogen)にIRES GFPのみを挿入したこと以外は同様の手法により、GFP発現用アデノウイルスも作製した。
[実施例7]培養ラット心室筋細胞におけるPCTP-L/StarD10の発現
ラット(SD 4-5週齢、雄)をペンタバルビタール(50 mg/kg、腹腔内投与)で麻酔した後、心臓を摘出し、ランゲンドルフ法により24 μg/ml コラゲナーゼ S-1(新田ゼラチン)、100 μg/ml ProteaseXIV(Sigma)を含むCa2+-フリータイロードバッファーを灌流した。心室をCa2+ Joklik 培地(50 μM CaCl2、10 mM HEPESを含むJoklik培地(Sigma)、NaOHによりpH 7.4に調整)に切り落とし、37℃で5分間緩やかに振とうし(45回/分)70 μmのセルストレーナーを通して単離心室筋細胞を得た。30分静置後上清を取り除き、3回Ca2+Joklik 培地で洗浄した後、最後にDMEM 1溶液(2.5% FBS、100 U/ml ペニシリン、100 μg/ml ストレプトマイシンを含むDMEM培地)に懸濁した。これをマウスラミニン(Gibco)でコートした15 mm丸形カバーガラスにまき、5% CO2、95% O2通気下37℃で2時間培養後、DMEM 2(100 U/ml ペニシリン、100 μg/ml ストレプトマイシン、10-8 M インスリン、5 mM タウリンを含むGln-フリー DMEM培地(Sigma))に培地交換した。この培地交換と同時にPCTP-L/StarD10のアデノウイルスを300 MOIで感染させた。その後、5% CO2、95% O2通気下37℃で48時間培養し、実施例3および5に記載の方法と同様の手法により、ウエスタンブロット法や細胞免疫染色によりPCTP-L/StarD10の発現を確認した。結果を図8に示す。
図8の上図(A)の左側はラット単離心室筋細胞にアデノウイルスベクターを介してGFPを発現させたもの、右側はGFPとともにPCTP-L/StarD10を過剰発現させ、蛍光免疫染色を施したものである。細胞質にGFPの発現が見られるのに対し、PCTP-L/StarD10は心筋細胞膜近傍および突起状形態に高発現が認められた。
下図(B)はラット単離心室筋細胞でのPCTP-L/StarD10の発現をウエスタンブロット法で確認したものである。1番目のレーンは無処理の細胞の結果を示し、2番目のレーンはFGP発現用ウイルスに感染させた細胞の結果を示す。PCTP-L/StarD10を発現させた心室筋細胞の結果を示す3番目のレーンにおいて、4番目のレーンのPCTP-L/StarD10ポジティブコントロール(BHK6細胞に発現させたPCTP-L/StarD10)と同じ位置に発現が認められた。
なお、ポジティブコントロールとして使用した細胞は以下の方法により調製した。ウサギ骨格筋由来の電位依存性Ca2+チャネルのβ1aおよびα2/δ1 サブユニットを安定発現しているBaby hamster kidney(BHK 6)細胞に発現用ベクターpcDNA 3に挿入したPCTP-L/StarD10を一過性に発現させた。トランスフェクションは、Lipofectamin Plus(Invitrogen)または、Fugene 6(Roche)を用いた。24時間培養した細胞に対し、トランスフェクションを行い、48時間後に実験に用いた。
[実施例8]PCTP-L/StarD10のRNAiコンストラクトおよびRNAiアデノウイルスの作製
1)PCTP-L/StarD10のRNAiコンストラクト
内在性のPCTP-L/StarD10をRNAiによりノックダウンすることを目的として、BLOCK-iTTM U6 RNAi Entry Vector Kit (Invitrogen)を利用してPCTP-L/StarD10のshRNA(short hairpin RNA)コンストラクトを作製した。PCTP-L/StarD10のターゲット配列として塩基配列507番目から始まる21 merのオリゴヌクレオチドと、658番目から始まる21 merのオリゴヌクレオチドを選んだ。その配列がヘアピンを巻くように設計したオリゴヌクレオチド507と658を作製し、RNAi発現ベクターpENTRTM/U6(Invitrogen)に挿入した。
オリゴヌクレオチド507
PCTPL RNAi oligo 507 Top
CACCGGATCGAACTCTGCACAAGATCGAAATCTTGTGCAGAGTTCGATCC
PCTPL RNAi oligo 507 Bottom
AAAAGGATCGAACTCTGCACAAGATTTCGATCTTGTGCAGAGTTCGATCC
オリゴヌクレオチド658
PCTPL RNAi oligo 658 Top
CACCGCTGACGTAGGATATTATTCCCGAAGGAATAATATCCTACGTCAGC
PCTPL RNAi oligo 658 Bottom
AAAAGCTGACGTAGGATATTATTCCTTCGGGAATAATATCCTACGTCAGC
得られた各コンストラクトを用いて、大腸菌(DH5a)をトランスフォーメーションし、Maxi Kit(Quiagen社製)によりプラスミドを大量に回収したものを培養細胞へのトランスフェクションに用いた。
2)PCTP-L/StarD10のRNAiアデノウイルス
上記の方法で得られた507、658のpENTRTM/U6をGateway system(Invitrogen)により、RNAiアデノウイルス作製ベクターpAd/BLOCK-iTTM DEST(Invitrogen)にのせ替え、実施例6のアデノウイルス作製と同様にして507、658それぞれのRNAiアデノウイルスの4次ウイルス液を得た。
3)培養心房筋細胞における内在性PCTP-L/StarD10のノックダウン
新生児ラット(SD系ラット、生後1-2日)を氷温麻酔し、心臓を取り出し、氷冷したPBS中で心室と心房に分けた。心房を1mg/mlのコラゲナーゼ S-1(新田ゼラチン)を含むPBSで10分×3回37℃でインキュベートし、単離された心房筋細胞を70 μmのセルストレーナーを通して回収した。800 rpmで5分遠心し、沈殿にDMEM 1(10% FBS、100 U/ml Penicillin、100 μg/ml ストレプトマイシンを含むDMEM培地)7 mlを加え懸濁した。混入している線維芽細胞を除くため、細胞培養用10 cmプレートにまき、5% CO2、95% O2通気下37℃で1時間培養し、接着しなかった細胞を70 μmのセルストレーナーを通して心房筋細胞として回収した。35 mmディッシュ1枚に対し細胞数1×106 cellになるようにし、1 μM Ara Cを加えたDMEM1中で5% CO2、95% O2通気下37℃で24時間培養した。翌日、DMEM 2(100 U/ml ペニシリン、100 μg/ml ストレプトマイシン、10-8 M インスリン、5 mM タウリンを含むGln-フリー DMEM培地(Sigma))に置換した。細胞免疫染色に用いる場合はこのまま5% CO2、95% O2通気下37℃で48時間培養しサンプルとした。RNAiアデノウイルスを感染させる場合、DMEM 2で置換する際に300 MOIになるようにRNAiアデノウイルスを感染させた。5% CO2、95% O2通気下37℃で24時間培養後、新しいDMEM 2に置換し、さらに48時間後、ウエスタンブロット法によりPCTP-L/StarD10の発現を確認した。結果を図9に示す。
ウイルスを感染させた細胞においては、標準タンパク質(Cav1.2、GAPDH)の発現に対して、PCTP-L/StarD10の発現は認められなかった。
[実施例9]PCTP-L/StarD10ノックアウトマウスのメタボローム解析
マウスは東邦大学医学部実験動物センターBS室(Barrier System)にて23℃、12時間ごとの明暗サイクルで飼育した。雄15週齢の野生型(WT)およびPCTP-L/StarD10ノックアウトマウス(KO)を2群に分け、下表に示す普通食または高脂肪食を与えて35週齢まで(20週間)飼育した(普通食WT、高脂肪食WT、普通食KO、高脂肪食KO、各4匹)。餌および水(滅菌水)は自由に取らせた。
飼育後のマウス肝臓をホモジェナイズして得たサンプルをCE-TOF質量分析装置(Agilent Technology社製)により代謝産物990項目について網羅的に測定し、代謝マップを作製した。その結果の一部を図4に示す。
上記のマウス肝臓サンプルをについてエタノール熱抽出を行い、酵素法(Total Bile Acid Assay kit、Diazyme Laboratories)により胆汁酸を測定した。結果を図5に示す。
図5においては、乾燥における胆汁酸の存在量が、高脂肪食条件下では野生型マウスおよびノックアウトマウスのいずれにおいても減少している一方で、ノックアウトマウスでは普通食条件下でも減少していることが確認された。また、図4においては、胆汁酸の前駆体であるグリココール酸の存在量は、高脂肪食条件下では野生型マウスおよびノックアウトマウスのいずれにおいても極度に減少している一方で、普通食条件下でもノックアウトマウスでは減少していることが確認された。
[実施例10]リポタンパク質の脂質プロファイリング
実施例9の飼育後のマウス血清サンプルをゲルろ過HPLC(high-performance liquid chromatography)を用いてリポタンパク質(カイロミクロン、VLDL、LDL、HDL)を分離してコレステロールおよびリン脂質の含量を測定した。カイロミクロンおよびVLDL中のコレステロールおよびリン脂質の含量は、普通食および高脂肪食のいずれにおいても減少していることが確認された。
また、リポタンパク質中のトリグリセリドの含量を測定した結果を図6に示す。グラフは左から野生型マウス(普通食)、ノックアウトマウス(普通食)、野生型マウス(高脂肪食)およびノックアウトマウス(高脂肪食)の結果を示す。ノックアウトマウスでは高脂肪食で飼育した場合でもトリグリセリドの増加は確認されなかった。
[実施例11]血清中のANP濃度の測定
実施例9の飼育後のマウスマウス血清のANP濃度を、ANP Eliza kit(Phoenix Pharmaceuticals, Inc社製)を用いて測定した。結果を図7に示す。グラフは左から野生型マウス(普通食)、ノックアウトマウス(普通食)、野生型マウス(高脂肪食)およびノックアウトマウス(高脂肪食)の結果を示す。野生型マウスにおいては高脂肪食の負荷に対してANP濃度が顕著に上昇するのに対し、ノックアウトマウスにおいては高脂肪食の負荷に対するANPの上昇は確認されなかった。

Claims (9)

  1. PCTP-L/StarD10タンパク質の活性を抑制する化合物を有効成分として含み、前記化合物が、抗PCTP-L/StarD10タンパク質抗体である、脂質取り込み抑制剤。
  2. 肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧症、動脈硬化症および胆石症から選択される疾患の治療または予防に使用される、請求項1または2に記載の脂質取り込み抑制剤。
  3. 以下の工程(a)〜(c):
    (a)被検化合物を対象(ヒトを除く)に投与する工程、
    (b)前記対象におけるPCTP-L/StarD10遺伝子の発現量および/またはPCTP-L/StarD10タンパク質の活性を測定する工程、
    (c)被検化合物を投与しない場合と比して、前記発現量または活性の変動を確認する工程
    を含む、脂質代謝調節化合物のスクリーニング方法。
  4. 以下の工程(a)〜(c):
    (a)PCTP-L/StarD10遺伝子を導入した対象(ヒトを除く)に被検化合物を投与する工程、
    (b)前記対象における脂肪もしくはその代謝物、または胆汁酸もしくはその前駆体の量を測定する工程、
    (c)被検化合物を投与しない場合と比して、前記量を変動させる化合物を選択する工程、
    を含む、脂質代謝調節化合物のスクリーニング方法。
  5. 対象が、ウイルスを利用してPCTP-L/StarD10遺伝子を導入した動物細胞である、請求項4に記載の方法。
  6. PCTP-L/StarD10遺伝子の翻訳産物を特異的に認識する抗体を含む、脂質代謝関連疾患の診断剤。
  7. exon4−6をターゲティング領域とするPCTP-L/StarD10遺伝子の機能がノックアウトされた非ヒト動物。
  8. 齧歯類である、請求項7に記載の非ヒト動物。
  9. マウスである、請求項8に記載の非ヒト動物。
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