JP5872412B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、リザーバ液圧がマスタシリンダ液圧よりも高い状態でドライバがブレーキペダルを踏み増ししたときのペダルフィールの悪化を抑制できるブレーキ制御装置を提供することにある。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のブレーキ制御装置を適用した車両の制駆動系を示すシステム構成図、図2は実施例1のブレーキ制御装置の回路構成図である。
[システム構成]
液圧制御ユニット(液圧制動装置)HUは、ブレーキコントロールユニット(液圧制御部)BCUからの摩擦制動力指令に基づいて、左前輪FLのホイルシリンダW/C(FL)、右後輪RRのホイルシリンダW/C(RR)、右前輪FRのホイルシリンダW/C(FR)、左後輪RLのホイルシリンダW/C(RL)の各液圧を増減または保持する。
モータジェネレータMGは、三相交流モータであり、左右後輪RL,RRのリアドライブシャフトRDS(RL),RDS(RR)とディファレンシャルギアDGを介してそれぞれ連結され、モータコントロールユニットMCUからの指令に基づいて、力行または回生運転し、後輪RL,RRに駆動力または回生制動力を付与する。
インバータINVは、モータコントロールユニットMCUからの駆動指令に基づいて、バッテリBATTの直流電力を交流電力に変換しモータジェネレータMGに供給することで、モータジェネレータMGを力行運転する。一方、モータコントロールユニットMCUからの回生指令に基づいて、モータジェネレータMGで発生する交流電力を直流電力に変換してバッテリBATTを充電することで、モータジェネレータMGを回生運転する。
モータコントロールユニットMCUは、モータジェネレータMGによる駆動力または回生制動力の出力制御の状況と、現時点で発生可能な最大回生制動力を、通信線2を介してブレーキコントロールユニットBCU、駆動コントローラ1へと送る。ここで、「発生可能な最大回生制動力」は、例えば、バッテリBATTの端子間電圧と電流値とから推定されるバッテリSOCや、車輪速センサ3により算出(推定)される車体速(車速)から算出する。また、旋回時には、車両のステア特性も加味して算出する。
すなわち、バッテリSOCが上限値または上限値に近い状態にある満充電時には、バッテリ保護の観点から過充電防止を図る必要がある。また、制動により車速が減少した場合、モータジェネレータMGで発生可能な最大回生制動力は減少する。さらに、高速走行時に回生制動を行うと、インバータINVが高負荷となるため、高速走行時にも最大回生制動力を制限する。
モータジェネレータMG、インバータINV、バッテリBATTおよびモータコントロールユニットMCUより、車輪(左右後輪RL,RR)に対して回生制動力を発生させる回生制動装置が構成される。
駆動コントローラ1は、直接または通信線2を介して、アクセル開度センサ4からのアクセル開度、車輪速センサ3により算出される車速(車体速)、バッテリSOC等が入力される。
駆動コントローラ1は、各センサからの情報に基づき、エンジンENGの動作制御と、図外の自動変速機の動作制御と、モータコントロールユニットMCUへの駆動力指令によるモータジェネレータMGの動作制御とを行う。
ブレーキコントロールユニットBCUは、ブレーキペダルストロークセンサ6から得られるブレーキペダルストローク量Sや、他のセンサからの情報に基づいてドライバ要求制動力を算出し、算出したドライバ要求制動力を回生制動力と摩擦制動力とに配分し、ブレーキコントロールユニットBCUへの摩擦制動力指令による液圧制御ユニットHUの動作制御と、モータコントロールユニットMCUへの回生制動力指令によるモータジェネレータMGの動作制御とを行う。
ここで、実施例1では、回生協調制御として、摩擦制動力よりも回生制動力を優先し、ドライバ要求制動力を回生分で賄える限りは液圧分を用いることなく、最大限(最大回生制動力)まで回生分の領域を拡大している。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。なお、ブレーキコントロールユニットBCUは、回生制動中、車速の低下や上昇等に伴い回生制動力が制限される場合には、回生制動力を減少させ、その分だけ摩擦制動力を増加させて必要な制動力(ドライバ要求制動力)を確保する。
ここで、ABS制御とは、ドライバのブレーキ操作時に車輪がロック傾向になったことを検知すると、当該車輪に対し、ロックを防止しつつ最大の制動力を発生させるためにホイルシリンダ圧の減圧・保持・増圧を繰り返す制御である。また、上記自動制動制御には、車両旋回時にオーバーステア傾向やアンダーステア傾向が強くなったことを検出すると、所定の制御対象輪のホイルシリンダ圧を制御して車両挙動安定化を図る車両挙動安定制御に加え、ドライバのブレーキ操作時に実際にマスタシリンダM/Cで発生する圧力よりも高い圧力をホイルシリンダW/Cで発生させるブレーキアシスト制御(BAS)、後輪のホイルシリンダ圧を緩増圧して前後制動力配分を所定の理想制動力配分に近づけるEBD制御、オートクルーズコントロールにより先行車との相対関係に応じて自動的に制動力を発生させる制御が含まれる。
実施例1の液圧制御ユニットHUは、P系統とS系統との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造を有している。なお、図2に記載された各部位の符号の末尾に付けられたPはP系統、SはS系統を示し、FL,RR,FR,RLは左前輪、右後輪、右前輪、左後輪に対応することを示す。以下の説明では、P,S系統または各輪を区別しないとき、P,SまたはFL,RR,FR,RLの記載を省略する。
実施例1の液圧制御ユニットHUは、クローズド油圧回路を用いている。ここで、クローズド油圧回路とは、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダM/Cを介してリザーバタンクRSVへと戻す油圧回路をいう。
ブレーキペダルBPは、インプットロッドIRを介してマスタシリンダM/Cに接続されている。
P系統には、左前輪FLのホイルシリンダW/C(FL)、右後輪RRのホイルシリンダW/C(RR)が接続され、S系統には、右前輪FRのホイルシリンダW/C(FR)、左後輪RLのホイルシリンダW/C(RL)が接続される。また、P系統、S系統には、ポンプPP、ポンプPSが設けられている。ポンプPP、ポンプPSは、例えば、シングルギヤポンプであって、1つのモータMにより駆動され、吸入部10aから吸入したブレーキ液を加圧して吐出部10bへ吐出する。
管路11上には、常開型の比例電磁弁であるゲートアウト弁13が設けられている。P系統の管路11Pのゲートアウト弁13PよりもマスタシリンダM/C側の位置には、マスタシリンダ圧センサ5が設けられている。管路11上には、ゲートアウト弁13と並列に管路14が設けられている。管路14上には、チェック弁15が設けられている。チェック弁15は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ向かうブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路12上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型の比例電磁弁であるソレノイドイン弁(流入弁)16が設けられている。管路12上には、ソレノイドイン弁16と並列に管路17が設けられている。管路17上には、チェック弁18が設けられている。チェック弁18は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路11のゲートアウト弁13よりもマスタシリンダM/C側の位置とポンプPの吸入部10aとは、管路21と管路22により接続されている。管路21,22により、第3ブレーキ回路が構成される。管路21上には、常閉型の比例電磁弁であるゲートイン弁23が設けられている。管路22は、両端にポンプPの吸入部10aとリザーバ24とが接続され、途中に管路21が接続されている。管路22上であって、管路21との接続点よりもリザーバ24側の位置には、チェック弁27が設けられている。チェック弁27は、リザーバ24からポンプPの吸入部10aへ向かう方向のブレーキ液の流れを許容し、反対方向への流れを禁止する。また、管路22上であって、管路21との接続点よりもポンプPの吸入部10a側の位置には、チェック弁28が設けられている。チェック弁28は、ゲートイン弁23からポンプPの吸入部10aへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向への流れを禁止する。
管路12のソレノイドイン弁16よりもホイルシリンダW/C側の位置とリザーバ24とは、管路(第4ブレーキ回路)25により接続されている。管路25FL,25RRは管路25Pで合流し、リザーバ24Pと接続されている。管路25FR,25RLは管路25Sで合流し、リザーバ24Sと接続されている。管路25上には、常閉型の電磁弁であるソレノイドアウト弁(流出弁)26が設けられている。
ブレーキコントロールユニットBCUは、ドライバ要求制動力と回生制動装置(モータジェネレータMG,インバータINV,バッテリBATTおよびモータコントロールユニットMCU)の回生状態に応じてゲートイン弁23、ゲートアウト弁13、ソレノイドイン弁16、ソレノイドアウト弁26およびモータMを作動させ、ブレーキ液圧を制御する。ここで、ゲートイン弁23、ゲートアウト弁13、ソレノイドイン弁16およびモータMはPWM制御し、ソレノイドアウト弁26はオンオフ制御する。
ブレーキコントロールユニットBCUは、回生制動装置の作動時にホイルシリンダ内のブレーキ液をソレノイドアウト弁26を介してリザーバ24へ流出させるリザーバ流出制御部に相当する。
ブレーキコントロールユニットBCUは、上述した回生協調制御およびポンプPによる倍力作用を実現するための制御構成として、図3のブロック図に示すような制御構成を備える。
目標M/C圧演算部30は、ブレーキペダルBPのストローク量から、あらかじめ設定されたS-F特性に基づいて目標M/C圧を演算する。
ドライバ目標W/C圧演算部31は、ブレーキペダルBPのストローク量から、あらかじめ設定されたS-P特性に基づいてドライバ目標W/C圧を演算する。
目標W/C圧演算部32は、ドライバ目標W/C圧と回生相当圧力とに基づいて目標W/C圧を演算する。
ゲートアウト弁目標電流演算部33は、目標M/C圧と実M/C圧との偏差と、目標W/C圧と推定W/C圧との偏差とに基づいてゲートアウト弁13の目標電流を演算する。
ゲートイン弁目標電流演算部34は、目標M/C圧と実M/C圧との偏差と、目標W/C圧と推定W/C圧との偏差とに基づいてゲートイン弁23の目標電流を演算する。
ソレノイドアウト弁目標電流演算部35は、目標W/C圧と推定W/C圧との偏差に基づいてソレノイドアウト弁26の目標電流を演算する。
ソレノイドイン弁目標電流演算部36は、目標M/C圧と目標W/C圧とに基づいてソレノイドイン弁16の目標電流を演算する。
モータ目標回転数演算部37は、目標M/C圧と実M/C圧との偏差と、目標W/C圧と推定W/C圧との偏差とに基づいてモータMの目標回転数を演算する。
ゲートアウト弁駆動指令部39は、ゲートアウト弁目標電流に応じたゲートアウト弁13の駆動指令を液圧制御ユニットHUへ出力する。
ゲートイン弁駆動指令部40は、ゲートイン弁目標電流に応じたゲートイン弁23の駆動指令を液圧制御ユニットHUへ出力する。
ソレノイドアウト弁駆動指令部41は、ソレノイドアウト弁目標電流に応じたソレノイドアウト弁26の駆動指令を液圧制御ユニットHUへ出力する。
ソレノイドイン弁駆動指令部42は、ソレノイドイン弁目標電流に応じたソレノイドイン弁16の駆動指令を液圧制御ユニットHUへ出力する。
モータ駆動指令部43は、モータ目標回転数に応じたモータMの駆動指令を液圧制御ユニットHUへ出力する。
W/C圧推定演算部44は、ゲートアウト弁13、ゲートイン弁23、ソレノイドアウト弁26、ソレノイドイン弁16およびモータMの各駆動指令と、推定リザーバ圧とに基づいて推定W/C圧を演算する。
リザーバ圧推定演算部45は、ゲートイン弁23、ソレノイドアウト弁26およびモータMの各駆動指令と、推定W/C圧とに基づいて推定リザーバ圧を演算する。
ソレノイドアウト弁通過流量演算部50は、バルブ前後差圧(推定W/C圧と推定リザーバ圧との差圧、前回計算した値が入る)とバルブの駆動時間とに基づき、ソレノイドアウト弁26の通過流量を演算する。
ゲートイン弁通過流量演算部51は、バルブ前後差圧(実M/C圧と推定リザーバ圧との差圧、前回計算した値が入る)とバルブの駆動時間とに基づき、ゲートイン弁23の通過流量を演算する。
リザーバ吸入流量演算部52は、モータ回転数からポンプ吐出量を計算し、ポンプ吐出量からゲートイン弁23の通過流量分を減じてリザーバ24からの吸入流量を演算する。ただし、リザーバ24からの吸入流量(cc/s)×サンプリング時間(s)が、リザーバ24からの吸入量(cc)となるが、リザーバ液量(前回計算した値)以上のブレーキ液を吸い出すことはできないのでリミットがかかる。
推定リザーバ圧演算部(リザーバ液圧算出部)53は、ソレノイドアウト弁26の通過流量とリザーバ24からの吸入流量とに基づき、推定リザーバ圧を演算する。
図5は、推定リザーバ圧演算部53のブロック図である。
減算器53aは、ソレノイドアウト弁26の通過流量とリザーバ24からの吸入流量との差分をとる。積分器53bは、ソレノイドアウト弁26の通過流量とリザーバ24からの吸入流量との差分を積分してリザーバ液量を求める。除算器53cは、リザーバ液量をリザーバ24の断面積で割り、リザーバ24のストロークを求める。ストローク−液圧変換部53dは、あらかじめシミュレーションや実験等で求めたリザーバ24のストロークと液圧との関係を表すマップを参照し、リザーバ24のストロークから推定リザーバ圧を求める。
図6は、ブレーキコントロールユニットBCUで実行されるゲートイン弁目標電流切り替え処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、増圧制御モードであるか否かを判定し、YESの場合はステップS2へ進み、NOの場合はステップS6へ進む。ここで、「増圧制御モード」とは、マスタシリンダM/Cのブレーキ液をポンプアップしてホイルシリンダ圧を増圧するモードである。他のモードとしては、ホイルシリンダW/Cからリザーバ24にブレーキ液を逃してホイルシリンダ圧を減圧する「減圧制御モード」と、ホイルシリンダ圧を保持する「保持制御モード」とがある。
ステップS2では、推定リザーバ圧を求める。
ステップS3では、推定リザーバ圧が実M/C圧以下であるか否かを判定し、YESの場合はステップS4へ進み、NOの場合はステップS5へ進む。
ステップS4では、目標M/C圧と実M/C圧との偏差と、目標W/C圧と推定W/C圧との偏差とに基づいてゲートイン弁23をPWM制御するための目標電流を演算する。
ステップS5では、目標電流をゼロとし、ゲートイン弁23を非制御とする。
ステップS6では、目標電流をゼロとし、ゲートイン弁23を非制御とする。
ステップS7では、液圧制御ユニットHUに対し、目標電流に応じた駆動指令を出力する。
以上のように、増圧制御モードではゲートイン弁23を開方向に駆動し、それ以外のモードではゲートイン弁23の閉弁状態を維持する。増圧制御モードでは、推定リザーバ圧と実M/C圧とを比較し、推定リザーバ圧が実M/C圧以下である場合にのみゲートイン弁23を開方向に駆動し、推定リザーバ圧が実M/C圧よりも高い場合にはゲートイン弁23の閉弁状態を維持する。
[液圧制御ユニットの動作]
図7は、実施例1の液圧制御ユニットHUの各弁およびモータMの動作を示すタイムチャートである。
時点t1では、ドライバがブレーキペダルBPの踏み込みを開始したため、ゲートアウト弁13を閉方向に駆動し、ゲートイン弁23を開方向に駆動し(必要な時間)、モータMを駆動する。マスタシリンダM/Cのブレーキ液を加圧してホイルシリンダW/Cに供給することで、倍力作用を実現できる。
時点t2では、ドライバがブレーキペダルBPの踏み増しを止めたため、モータMを停止し、ホイルシリンダ圧を一定に保持する。
時点t3では、回生制動力が立ち上がったため、ソレノイドアウト弁26を開いてホイルシリンダW/Cのブレーキ液をリザーバ24に貯留することで、摩擦制動力から回生制動力へのすり替えを行う。
時点t4では、摩擦制動力から回生制動力へのすり替えが完了したため、ゲートアウト弁13を開き、ソレノイドイン弁16を閉方向に駆動し、ソレノイドアウト弁26を閉じることで、ホイルシリンダ圧を一定に保持する。
ここで、従来のブレーキ制御装置では、ゲートイン弁を開方向に駆動してマスタシリンダのブレーキ液をポンプアップしてホイルシリンダに供給しているため、リザーバからマスタシリンダへ高圧のブレーキ液が流れ込んでしまい、M/C圧が一時的に急増することでペダルフィールの悪化を招いていた。
これに対し、実施例1では、リザーバ圧がM/C圧よりも高い場合にはゲートイン弁23を閉弁状態とすることで、リザーバ24からマスタシリンダM/Cへのブレーキ液の逆流によってM/C圧が一時的に急増するのを防止でき、ペダルフィールの悪化を抑制できる。
時点t7では、ドライバがブレーキペダルBPの踏み増しを止めたため、モータMを停止し、ホイルシリンダ圧を一定に維持する。
時点t8では、ドライバがブレーキペダルBPの踏み戻しを開始したため、ソレノイドアウト弁26を開いて不要なブレーキ液をリザーバ24に逃がす。
時点t9では、回生制動力が低下し始めたため、ゲートアウト弁13を開き、ソレノイドイン弁16を閉方向に駆動し、ソレノイドアウト弁26を閉じる。このとき、油圧回路では、図9に示すように、管路11,12,19のブレーキ液がマスタシリンダM/Cに戻される。なお、図9ではP系統のみ図示しているがS系統についても同様である。
ここで、従来のブレーキ制御装置では、ゲートイン弁を開方向に駆動してリザーバに貯留されたブレーキ液をマスタシリンダへ戻しているため、リザーバ圧がM/C圧よりも高い場合、リザーバからマスタシリンダへ高圧のブレーキ液が流れ込んでしまい、M/C圧が一時的に急増することでペダルフィールの悪化を招いていた。
これに対し、実施例1では、ゲートイン弁23を閉弁状態とすることで、推定リザーバ圧Pres3が実M/C圧Pmc3よりも高い場合であっても、リザーバ24に貯留された高圧のブレーキ液がマスタシリンダM/Cへ戻されるのを防止でき、ペダルフィールの悪化を抑制できる。
時点t11では、ブレーキペダルBPの操作量がゼロとなったため、モータMを停止し、ソレノイドイン弁16を開く。
実施例1のブレーキ制御装置にあっては、以下の効果を奏する。
(1) 回生制動装置(モータジェネレータMG、インバータINV、バッテリBATTおよびモータコントロールユニットMCU)を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、ブレーキ回路中に設けられたポンプPと、ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダM/Cとブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダW/Cを接続する第1ブレーキ回路(管路11,12)と、第1ブレーキ回路とポンプPの吐出側とを接続する第2ブレーキ回路(管路19)と、第1ブレーキ回路上であって第2ブレーキ回路の接続位置よりもマスタシリンダ側に設けられたゲートアウト弁13と、第1ブレーキ回路上であってゲートアウト弁13よりもマスタシリンダ側の位置とポンプPの吸入側とを接続する第3ブレーキ回路(管路21,22)と、第3ブレーキ回路に設けられたゲートイン弁23と、第1ブレーキ回路上であって第2ブレーキ回路の接続位置よりもホイルシリンダ側に設けられたソレノイドイン弁16と、第3ブレーキ回路のゲートイン弁23よりもポンプPの吸入側の位置と接続するリザーバ24と、第1ブレーキ回路上であってソレノイドイン弁16よりもホイルシリンダ側の位置とリザーバ24とを接続する第4ブレーキ回路(管路25)と、第4ブレーキ回路上に設けられたソレノイドアウト弁26と、回生制動装置の作動時にホイルシリンダ内のブレーキ液をソレノイドアウト弁26を介してリザーバ24へ流出させるブレーキコントロールユニットBCUと、実M/C圧を検出するマスタシリンダ圧センサ5と、リザーバ24の液圧を推定する推定リザーバ圧演算部53と、実M/C圧が推定リザーバ圧よりも小さいときはゲートイン弁23を閉弁制御しリザーバ24からマスタシリンダM/Cへのブレーキ液の還流を抑制するゲートイン弁目標電流切り替え部38と、を備えた。
よって、推定リザーバ圧が実M/C圧よりも高い状態でドライバがブレーキペダルBPを踏み増ししたときのペダルフィールの悪化を抑制できる。
図11は、実施例2のブレーキ制御装置の回路構成図である。
実施例2では、図2に示した実施例1の構成に対し、管路22の2つのチェック弁27,28を廃止し、ポンプPを常時駆動させておくための循環管路60および循環弁61と、ポンプ吐出圧を検出する圧力センサ62を設けた点で相違する。なお、他の構成については実施例1と同様であるため、説明を省略する。
循環管路60は、ポンプPと並列に設けられ、管路19と管路22とに接続されている。
循環弁61は、循環管路60上に設けられた常閉型の電磁弁である。
ホイルシリンダ圧センサ62は、管路12と管路19との接続位置に設けられている。
ブレーキコントロールユニットBCUは、ドライバがブレーキペダルBPを踏んでいるときには、常時モータMを作動させてポンプPを駆動すると共に、循環弁61を開方向に駆動し、ポンプPの吐出部10bから吐出されたブレーキ液のうち、不要なブレーキ液をポンプPの吸入部10aに還流させる。
よって、実施例2の液圧制御ユニットHUでは、常時ポンプPを駆動させておくことができるため、増圧制御モードにおいてホイルシリンダ圧を早期に立ち上げることができる。また、循環弁61はポンプPに比べて応答性が高いため、制御性の向上を図ることができる。
なお、他の作用効果については実施例1と同様である。
以上、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、本発明のブレーキ制御装置をハイブリッド車に適用した例を示したが、本発明は、電気自動車等の回生制動装置を備えた車両であれば、任意の車両に適用でき、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
実施例1では、マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ圧センサ5を設けた例を示したが、ブレーキペダルストロークやブレーキ踏力からマスタシリンダの液圧を算出(推定)する構成としてもよい。
12 管路(第1ブレーキ回路)
13 ゲートアウト弁
16 ソレノイドイン弁(流入弁)
19 管路(第2ブレーキ回路)
21 管路(第3ブレーキ回路)
22 管路(第3ブレーキ回路)
23 ゲートイン弁
24 リザーバ
25 管路(第4ブレーキ回路)
26 ソレノイドアウト弁(流出弁)
38 ゲートイン弁目標電流切り替え部(還流抑制制御部)
53 推定リザーバ圧演算部(リザーバ液圧算出部)
BCU ブレーキコントロールユニット(リザーバ流出制御部)
BATT バッテリ(回生制動装置)
INV インバータ(回生制動装置)
M/C マスタシリンダ
MCU モータコントロールユニット(回生制動装置)
MG モータジェネレータ(回生制動装置)
P ポンプ
W/C ホイルシリンダ
Claims (1)
- 回生制動装置を備えた車両に用いられるブレーキ制御装置であって、
ブレーキ回路中に設けられたポンプと、
ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと前記ブレーキ液圧が作用するように構成されたホイルシリンダを接続する第1ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路と前記ポンプの吐出側とを接続する第2ブレーキ回路と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記マスタシリンダ側に設けられたゲートアウト弁と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記ゲートアウト弁よりも前記マスタシリンダ側の位置と前記ポンプの吸入側とを接続する第3ブレーキ回路と、
前記第3ブレーキ回路に設けられたゲートイン弁と、
前記第1ブレーキ回路上であって前記第2ブレーキ回路の接続位置よりも前記ホイルシリンダ側に設けられた流入弁と、
前記第3ブレーキ回路の前記ゲートイン弁よりも前記ポンプの吸入側の位置と接続するリザーバと、
前記第1ブレーキ回路上であって前記流入弁よりも前記ホイルシリンダ側の位置と前記リザーバとを接続する第4ブレーキ回路と、
前記第4ブレーキ回路上に設けられた流出弁と、
前記回生制動装置の作動時に前記ホイルシリンダ内のブレーキ液を前記流出弁を介して前記リザーバへ流出させるリザーバ流出制御部と、
前記マスタシリンダの液圧を算出するマスタシリンダ液圧算出部と、
前記リザーバの液圧を算出するリザーバ液圧算出部と、
前記算出されたマスタシリンダ液圧がリザーバ液圧よりも小さいときは前記ゲートイン弁を閉弁制御し前記リザーバから前記マスタシリンダへのブレーキ液の還流を抑制する還流抑制制御部と、
を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
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