JP5870165B2 - エレベータの調速機 - Google Patents
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Description
本発明の実施形態は、エレベータの調速機に関する。
エレベータにおいては、安全装置として、調速機を備えた非常停止装置を設けることが法令で義務づけられている(建築基準法施行令第129条の10)。この調速機は、乗りかごの移動速度が規定された値を超えたときに作動して、乗りかごを自動的に停止させる装置である。
調速機では、ガバナシーブと昇降路の下部に配置されているガバナテンショナーのシーブとに調速機ロープが無端状に巻き掛けられており、この調速機ロープは、乗りかごと同じ方向に同じ速度で走行するようになっている。調速機ロープは、乗りかごの非常止め装置を作動させるセフティーリンクと連結されている。
このようなエレベータの調速機では、乗りかごが過速度状態になったことを判別する基準として、第1過速度と第2過速度が設定されている。ガバナシーブの回転から乗りかごの速度が第1過速度を超えたことが検知されると、巻上機の電源が遮断されて巻上機のブレーキ装置によって乗りかごは停止する。
通常は、この段階で乗りかごは停止するが、主ロープが切れた場合など、乗りかごが停止せずに、さらに速度を増して第2過速度になると、今度は調速機のロープ掴み機構が調速機ロープ掴む。その結果、セフティーリンクが非常止め装置を作動させるので、乗りかごを非常停止させることができる。
従来の一般的なエレベータは、乗りかごの上昇、下降ともに同一の定格速度で運転されるので、調速機における動作速度の設定についても、同一の過速度で動作速度が設定されている。
ところで、近年、超高層ビルに設置されるエレベータでは高速化が進んでいる。超高層ビルの高行程・超高速エレベータでは、乗りかごを高速に運転することで、乗りかご内に急激な圧力変動が生じる。その結果、鼓膜内外の圧力差によって、乗客は耳に不快感を覚えることが多くなってきている。
とりわけ、超高速エレベータでは、上昇運転時よりも下降運転時に、耳の不快感をより激しく感じることになる。このような気圧変動の耳への影響を考慮し、超高速エレベータでは、上昇時の定格速度よりも下降時の定格速度を遅く設定している場合がある。これに伴い、調速機においても、上昇時と下降時とで異なる動作速度を設定する技術が検討されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、従来の一般的な調速機では、一台の調速機に対しては、1つの定格速度に対応した一つの動作速度の設定しかできない。したがって、乗りかごの上昇時の定格速度と、下降時の定格速度とが、異なる超高速エレベータの場合には、速い方の定格速度に合わせて、動作速度を設定している。このため、定格速度の低い方は、調速機が動作するまで余分な過速を要することになる。また、全体的な調速機システムも定格速度の高い方に合わせて設計されるため、機器コストが高くなるという問題がある。
そこで、本発明は、前記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであって、乗りかごの上昇運転と下降運転とで異なる定格速度が設定されているエレベータにおいても、一台の調速機に上昇方向と下降方向とで異なる動作速度を設定することのできるようにしたエレベータの調速機を提供することを目的としている。
前記の目的を達成するために、本発明の実施形態による調速機は、調速機ロープが巻き掛けられるガバナシーブと、第1の過速度で規制される乗りかごの過速度状態が検知されたときに第1の調速動作として巻上機の電源を遮断する過速スイッチと、前記第1の過速度よりは速い第2の過速度で規制される乗りかごの過速度状態が検知されたときに第2の調速動作として前記調速機ロープを掴むロープ掴み機構と、前記過速スイッチを作動させる第1の可動爪と前記ロープ掴み機構を作動させる第2の可動爪とが取り付けられた回転錘と、を有するエレベータの調速機において、位置を変えることが可能に支持された可動台に前記過速スイッチを取り付けるともに、前記ガバナシーブの回転方向の切り替わりと同期して、前記可動台の位置を切り替える可動台位置切替手段を設け、前記可動台位置切替手段が、前記ガバナシーブの回転軸と歯車を介して接続され、前記可動軸の移動ストロークに対応する範囲に雄ねじ部が形成された伝動軸と、前記可動台に形成され前記雄ねじ部に噛み合う雌ねじ部と、前記可動台の移動範囲を抑制し、前記雄ねじ部と雌ねじ部間の接触を常時維持させるために前記可動台の両側からそれぞれ付勢する一対の圧縮ばねと、からなり、前記可動台位置切替手段により、乗りかごの下降時と上昇時とで、前記過速スイッチと前記第1の可動爪との距離を可変に構成されている。
以下、本発明によるエレベータの調速機の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータの調速機が用いられる調速機システムの構成を示す図である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータの調速機が用いられる調速機システムの構成を示す図である。
図1において、参照番号2は、エレベータの乗りかごを示している。この乗りかご2は、主ロープ4で吊られており、図示しない巻上機に駆動されて、昇降路に設けられたガイドレール6に案内されながら昇降路内を昇降するようになっている。
この実施形態のエレベータでは、乗りかご2が上昇するときの定格速度Vuの方が下降するときの定格速度Vdよりも大きな速度に設定され、上昇する方がより高速に設定されている。これは、乗りかご2が下降したときに気圧の変動により乗客に与える耳の不快感を緩和するためである。
昇降路の頂部には機械室が設置されており、この機械室には、調速機8が設置されている。この調速機8のガバナシーブ10と、昇降路の下部に配置されているガバナテンショナーのシーブ14には、調速機ロープ12が無端状に巻き掛けられている。シーブ14には、錘16が吊り下げられ、この錘16によって、調速機ロープ12に適当なテンションがかけられている。
乗りかご2には、調速機8のロープ掴み機構(後述する)が調速機ロープ12を掴んだときに、ガイドレール6を挟み付けて乗りかご2を非常停止させる非常止め装置18がそれぞれガイドレール6ごとに設けられている。この非常止め装置18は、セフティーリンク装置20によって相互に連結されている。この場合、セフティーリンク22は、他の非常止め装置18と接続されているセフティーリンク23と、リンク24を介して連結されている。そして、セフティーリンク22は、ガバナヒッチ21を介して調速機ロープ12と接続されている。
次に、図2は、調速機8の構成を示す。この図2において、参照番号28は、調速機8の本体の設置台を示す。設置台28の上には、板状のフレーム30が鉛直に設けられている。このフレーム30には、ガバナシーブ10が回転軸31を介して支持されている。このガバナシーブ10には、調速機ロープ12が巻き掛けられている。
ガバナシーブ10には一対の回転錘32が設けられており、この回転錘32はガバナシーブ10と連動して回転し、遠心力によって外側に広がるようになっている。この回転錘32の広がる動作は、速度調整ばね33によって調整される。
図2において、参照番号35は、乗りかご2が定格速度を超え、調速機8が動作する過速度として予め設定された第1過速度を検知する過速スイッチを示している。
図2において、参照番号35は、乗りかご2が定格速度を超え、調速機8が動作する過速度として予め設定された第1過速度を検知する過速スイッチを示している。
ここで、図3に過速スイッチ35の構成が示されている。過速スイッチ35は、揺動可能なカムプレート38を備えている。このカムプレート38のカム面には、カムローラ40が転動可能に接触するようになっている。なお、参照番号41は、カムプレート38を中立位置に戻すばねを示す。
カムプレート38の一端部は、回転錘32に取り付けられた第1可動爪34が接触可能な検知部36が形成されている。乗りかご2に追従して走行する調速機ロープ12の速度が第1過速度を超える過速度状態になると、回転錘32は、その第1可動爪34が検知部36に当たるまで開くように構成されている。第1可動爪34の接触により、カムプレート38が揺動すると、カムローラ38が押し上げられて、過速スイッチ35はオンするようになっている。このオン信号が制御盤に送られると、巻上機の電源が切れ、巻上機のブレーキが効く結果、乗りかご2は停止させられる。
通常は、この段階で乗りかご2は非常停止する。しかし、例えば、主ロープ4が切断したような事態が生じた場合には、乗りかご2は停止せずに、さらに速度を増しながら下降を続ける事態が想定される。
そこで、調速機8では、上記第1過速度に加えて、上述の危険な過速度状態を規制する第2過速度が設定されている。第1過速度を超えて、回転錘32が遠心力によってさらに広がり、第2過速度が検知されると、次のようなロープ掴み機構50が作動するように構成されている。
図2に示されるように、ロープ掴み機構50は、設置台28に固定されている固定側ロープ掴みシュー51と、調速機ロープ12を間に置いて固定側ロープ掴みシュー51と対向して配置されている可動側ロープ掴みシュー53を有する可動ロープ掴み、とから構成されている。
可動側ロープ掴みシュー53は、ホルダ52を介して腕部材54の先端に保持されている。この腕部材54は、回転軸58によって揺動自在に支持されており、したがって、可動ロープ掴み全体は、回転軸58を中心に揺動自在である。可動側ロープ掴みシュー53は、把持力を与える掴みばね55によって押し出す方向に付勢されている。
このような可動ロープ掴みには、係合部57が取り付けられており、この係合部57には、ガバナシーブ10側に設けられている図示しないラチェットホイール側にある支持爪56が係合するようになっている。これにより、通常時は、可動ロープ掴み全体が斜めの姿勢で支持されている。
一方、図3に示されるように、回転錘32には、支持爪56と係合部57との係合状態を解除する第2可動爪70が設けられている。
調速機ロープ12とともに回転するガバナシーブ10の速度が、第2過速度に到達するようになると、回転錘32は遠心力によってさらに広がり、第2可動爪70がラチェットホイールに噛み合うようになり、このラチェットホイールを回転せしめる。これによって、支持爪56が係合部57から外れ、可動ロープ掴み全体が下方に倒れ、可動側ロープ掴みシュー53が調速機ロープ12に接触する。このとき、図2において、調速機ロープ12と接触した可動側ロープ掴みシュー53は、摩擦力によってさらに下方に引き込まれる。調速機ロープ12は、最終的に、固定側ロープ掴みシュー51と可動側ロープ掴みシュー53とによって挟み込むようにして把持され、調速機ロープ12の走行は止められることになる。
調速機ロープ12とともに回転するガバナシーブ10の速度が、第2過速度に到達するようになると、回転錘32は遠心力によってさらに広がり、第2可動爪70がラチェットホイールに噛み合うようになり、このラチェットホイールを回転せしめる。これによって、支持爪56が係合部57から外れ、可動ロープ掴み全体が下方に倒れ、可動側ロープ掴みシュー53が調速機ロープ12に接触する。このとき、図2において、調速機ロープ12と接触した可動側ロープ掴みシュー53は、摩擦力によってさらに下方に引き込まれる。調速機ロープ12は、最終的に、固定側ロープ掴みシュー51と可動側ロープ掴みシュー53とによって挟み込むようにして把持され、調速機ロープ12の走行は止められることになる。
この結果、図1において、セフティーリンク22が引き上げられ、非常止め装置18が作動するので、乗りかご2を非常停止させることができる。
本実施形態のエレベータの調速機では、第1過速度によって規制される過速度状態を検知した場合に巻上機の電源を遮断させる過速スイッチ35が動作する調速動作(以下、第1調速動作という。)を、乗りかご2が上昇運転している場合と、乗りかご2が下降運転している場合とで、異なる速度で行わせることができるように、次のように、過速スイッチ35の位置を可変にすることにより、上昇方向と下降方向とで異なる速度での第1調速動作が可能なように構成されている。
図3において、調速機8のフレーム30には、支持部材46を介してガイド部材42が水平な姿勢で取り付けられている。このガイド部材42には、過速スイッチ35を載せる台となる可動台59が所定のストロークSで往復移動可能に設けられている。
この実施形態では、可動台59を所定のストロークSで移動させ、過速スイッチ35の位置を切り替える手段として、ソレノイド44が用いられている。可動台59は、このソレノイド44を介してガイド部材42に嵌合するようになっている。そして、可動台599は、ブラケット45が取り付けられており、過速スイッチ35の全体は、ブラケット45に設置されている。
次に、本実施形態による調速機8の作用効果について説明する。
この実施形態のエレベータでは、乗りかご2の上昇運転時の定格速度Vuの方が下降運転時の定格速度Vdよりも大きく設定されている。このような定格速度の違いに対応して、第1調速動作を行わせる第1過速度の設定については、次のようにして、可動台59とともに過速スイッチ35を移動させることで、上昇運転時と下降運転時とで異なる第1過速度を設定できるようになっている。
この実施形態のエレベータでは、乗りかご2の上昇運転時の定格速度Vuの方が下降運転時の定格速度Vdよりも大きく設定されている。このような定格速度の違いに対応して、第1調速動作を行わせる第1過速度の設定については、次のようにして、可動台59とともに過速スイッチ35を移動させることで、上昇運転時と下降運転時とで異なる第1過速度を設定できるようになっている。
下降運転時には、過速スイッチ35は、図3に示す位置にあるとする。この位置で、下降運転時の第1過速度が設定されている。このときにはソレノイド44は通電されていない状態である。
これに対して、上昇運転時には、ガバナシーブ10の回転方向が逆になり、この回転方向の切り替わりと同期するようにして、ソレノイド44に通電される。可動台59はストロークSだけ図3において右方に移動し、過速スイッチ35の位置は上昇運転時の設定位置に切り替わることになる。
このような上昇運転時の設定位置では、第1可動爪34と、過速スイッチ35の検知部36との距離は、下降運転時の場合と比べると、長くなっているので、ガバナシーブ10がより速い速度で回転して回転錘32がより広がらなければ、第1可動爪34は過速スイッチ35の検知部36に当たらなくなるので、上昇運転時の第1過速度を定格速度Vuに合わせて、より高い速度の第1過速度を設定することができる。
さらに、エレベータの運転が上昇から下降に転じると、ガバナシーブ10の回転方向の切替と同期して、ソレノイド44には通電されなくなる。この結果、可動台59はソレノイド44に組み込まれている図示しないばねの弾性力によって、図3に示す元の位置に戻り、過速スイッチ35は下降運転時の設定位置に復帰する。この設定位置では、下降運転時の定格速度Vdに合わせて第1過速度を上昇時に比べて低く設定することができるので、過速スイッチ35が動作するまでに余分な過速を必要としなくなる。
以上のようにして、本実施形態の調速機8によれば、ガバナシーブ10の回転方向の切り替わりと同期させるようにして、過速スイッチ35の位置を切り替えることができるので、エレベータの上昇運転と下降運転とで、それぞれの定格速度に見合った異なる第1過速度に基づいて調速機8に第1調速動作を行わせることができる。これにより、全体的なエレベータのシステム構成を定格速度の高い方に合わせて設計する必要がなくなるので、機器コストの低減が可能になる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態によるエレベータの調速機について、図4、図5を参照して説明する。
この第2実施形態によるエレベータの調速機においても、乗りかご2の上昇運転と、乗りかご2の下降運転とで、第1調速動作を異なる動作速度で行わせることができるように、過速スイッチ35の位置を可変に構成した点は、第1実施形態と同様である。図4に示す第2実施形態は、可動台59を所定のストロークSで移動させ、過速スイッチ35の位置を切り替える手段として、次のようなねじ機構を採用した実施の形態である。
次に、本発明の第2実施形態によるエレベータの調速機について、図4、図5を参照して説明する。
この第2実施形態によるエレベータの調速機においても、乗りかご2の上昇運転と、乗りかご2の下降運転とで、第1調速動作を異なる動作速度で行わせることができるように、過速スイッチ35の位置を可変に構成した点は、第1実施形態と同様である。図4に示す第2実施形態は、可動台59を所定のストロークSで移動させ、過速スイッチ35の位置を切り替える手段として、次のようなねじ機構を採用した実施の形態である。
図4において、調速機8のフレーム30に取り付けられた支持部材46には、水平な姿勢で伝動軸60が回転自在に支持されており、この伝動軸60と平行に可動台59の移動を案内する補助ガイド部材61が支持部材46に取り付けられている。可動台59には、ブラケット45を介して過速スイッチ35が設置されている。
この実施形態では、ガバナシーブ10の回転軸31には、はす歯歯車62が取り付けられるとともに、伝動軸60の一端にははす歯歯車62と噛み合うはす歯歯車63が設けられている。
伝動軸60には、図5に示されるように、所定の範囲に亘って雄ねじ部64が形成されており、この雄ねじ部64には可動台59に保持されているナット65が螺合するようになっている。この実施形態の場合、雄ねじ部64が形成されている範囲は、可動台56のストロークSに対応しており、この雄ねじ部64の長さによって、可動台59の可動量が調整されている。
可動台59は、伝動軸60に巻装された圧縮ばね66の弾性力によって、図4において右方向に付勢されている。また、可動台59は、補助ガイド部材61に巻装された圧縮ばね67の弾性力によって、左方向に付勢されている。このように互いに反対方向に圧縮ばね60、61の弾性力により可動台59を付勢することにより、可動台59の移動範囲を抑制するとともに、雄ねじ部62とナット65の接触が常時維持されている。
次に、第2実施形態による調速機8の作用効果について説明する。
この第2実施形態による調速機8においても、第1実施形態と同様に、第1調速動作を行わせる第1過速度の設定を、次のようにして、上昇運転時と下降運転時とで異なる動作速度に設定することができる。
この第2実施形態による調速機8においても、第1実施形態と同様に、第1調速動作を行わせる第1過速度の設定を、次のようにして、上昇運転時と下降運転時とで異なる動作速度に設定することができる。
図4において、乗りかご2が下降運転をしている間は、調速機ロープ12とともにガバナシーブ10は、矢印A方向に回転する。ガバナシーブ10の回転軸31から、歯歯車62、63の噛み合いによって回転が伝動される伝動軸60は、矢印D方向に回転することになる。このとき、図5において、伝動軸60の雄ねじ部64は、ナット65の雌ねじに対して空回りしているだけであるので、可動台59は移動することはなく、過速スイッチ35は実線で示す下降運転時の設定位置を保つことになる。
このような下降運転時の設定位置では、第1可動爪34と、過速スイッチ35の検知部36の距離は、次に述べる上昇運転時に比べると短くなっているので、下降運転時の第1過速度を遅い方の下降運転時の定格速度Vdに合わせて設定することができる。
これに対して、上昇運転時には、ガバナシーブ10の回転方向が逆のB方向になり、この回転方向の切り替わりと同期するようにして、伝動軸60は矢印C方向に回転する。このとき、圧縮ばね66の弾性力を受けて、図4においてナット65の雌ねじは雄ねじ部64の左端に接触しているので、伝動軸60の回転とともに、可動台59は、ストロークSだけ右方に移動し、過速スイッチ35は仮想線で示す上昇運転時の設定位置に切り替わることになる。
雄ネジ部64の右端までナット65が移動すると、乗りかご2の上昇運転の間、伝動軸60は回転を続けても、空回りするだけで、可動台59の位置は変わらない。したがって、上昇運転の間は、過速スイッチ35の位置を上昇運転時の設定位置に保持することができる。
このような上昇運転時の設定位置では、第1可動爪34と、過速スイッチ35の検知部36との距離は、下降運転時の場合と比べると、長くなっているので、ガバナシーブ10がより速い速度で回転しなければ、第1可動爪34は過速スイッチ35の検知部36に当たらなくなるので、上昇運転時の第1過速度を定格速度Vuに合わせて、より高い速度の第1過速度を設定することができる。
さらに、エレベータの運転が上昇から下降に転じると、ガバナシーブ10の回転方向がA方向になり、この回転方向の切り替わりと同期するようにして、伝動軸60は矢印D方向に回転する。このとき、圧縮ばね67の弾性力を受けて、ナット65の雌ねじはねじ部64の右端に接触しているので、伝動軸60の逆回転とともに、可動台59は、ストロークSだけ図5において左方に移動し、過速スイッチ35は下降運転時の設定位置に復帰する。
以上のようにして、本実施形態の調速機8によれば、ガバナシーブ10の回転方向の切り替わりと同期して、過速スイッチ35の位置を切り替えることができるので、エレベータの上昇運転と下降運転とで、それぞれの定格速度に見合った異なる第1過速度に基づいて調速機8に第1調速動作を行わせることができるので、全体的なエレベータのシステム構成を定格速度の高い方に合わせて設計する必要がなくなるので、機器コストの低減が可能になる。
ここで、図6は、ガバナシーブ10の回転を伝動軸51で伝動させて、過速スイッチ35の位置を切り替える構成に替えて、モータ66と、このモータ66によって回転されるボールねじ67とナット68とからなるボールねじ機構を用いて構成した変形例である。
このような変形例においては、ガバナシーブ10の回転方向の切り替わりと同期して、モータ764回転方向を切り替え、ストロークSだけ移動するように回転させることによって、過速スイッチ35の位置を切り替え、エレベータの上昇運転と下降運転とで、異なる第1過速度を設定することができる。
(第3実施形態)
次に、図7は、本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態のエレベータの調速機は、乗りかごの下降中に、上述した第1調速動作では乗りかごが非常停止しなかった場合に、ロープ掴み機構50が作動し固定側ロープ掴みシュー51と可動側ロープ掴みシュー53とで調速機ロープ12を掴む調速動作(以下、第2調速動作という。)を規定する第2過速度を、上昇運転の高い方の定格速度Vuに合わせることなく、下降運転の低い方の定格速度Vdに合わせて第2過速度を設定できるようにした実施形態である。
次に、図7は、本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態のエレベータの調速機は、乗りかごの下降中に、上述した第1調速動作では乗りかごが非常停止しなかった場合に、ロープ掴み機構50が作動し固定側ロープ掴みシュー51と可動側ロープ掴みシュー53とで調速機ロープ12を掴む調速動作(以下、第2調速動作という。)を規定する第2過速度を、上昇運転の高い方の定格速度Vuに合わせることなく、下降運転の低い方の定格速度Vdに合わせて第2過速度を設定できるようにした実施形態である。
この調速機8のガバナシーブ10では、それぞれ回転錘32に設けられている第2可動爪70の位置を、乗りかご2の下降運転時と上昇運転時とで異なる位置に切り替えられるように構成されている。この実施形態の場合、第2可動爪70を所定のストロークSで移動させる位置切替手段を構成するアクチュエータとして、ソレノイド72が第2可動爪70に連結されている。
ソレノイド72が通電されると、第2可動爪70は、ストロークSだけガバナシーブ10の半径方向外方に前進する。ソレノイド72に通電されなくなると、リターンばね74の弾性力によって元に位置に復帰する。図7に示す第2可動爪70は、ソレノイド72が通電されておらず、この位置が上昇運転時での設定位置である。そして、ソレノイド72に通電され、第2可動爪70が前進した位置が下降運転時での設定位置である。
次に、以上のような第3実施形態の作用効果について説明する。
この第3実施形態では、第1実施形態および第2実施形態と同様に、乗りかご2の上昇運転時の定格速度Vuの方が下降運転時の定格速度Vdよりも大きく設定されている。このような定格速度の違いに対応して、ロープ掴み機構50で調速機ロープ12を掴む第2調速動作を行わせる第2過速度の設定については、次のようにして、ソレノイド72によって第2可動爪70の位置を切り替えることによって、上昇運転時と、下降運転時とで、異なる第2過速度を設定できるようになっている。
この第3実施形態では、第1実施形態および第2実施形態と同様に、乗りかご2の上昇運転時の定格速度Vuの方が下降運転時の定格速度Vdよりも大きく設定されている。このような定格速度の違いに対応して、ロープ掴み機構50で調速機ロープ12を掴む第2調速動作を行わせる第2過速度の設定については、次のようにして、ソレノイド72によって第2可動爪70の位置を切り替えることによって、上昇運転時と、下降運転時とで、異なる第2過速度を設定できるようになっている。
上昇運転時には、第2可動爪70は、図7に示す位置にある。この位置で、上昇運転時の第2過速度が設定されている。このときにはソレノイド72は通電されていない状態である。但し、上昇運転時には、実際に乗りかご2の速度が第2過速度を超えて第2調速動作が必要となるような状況はほとんど考えられない。
これに対して、下降運転時には、ガバナシーブ10の回転方向が逆になり、この回転方向の切り替わりと同期するようにして、ソレノイド72に通電される。第2可動爪70は図7においてストロークSだけ前進し、下降運転時の設定位置に切り替わることになる。
このような下降運転時での設定位置では、上昇運転時の場合と比べると、第2可動爪70は、ガバナシーブ10のより半径方向外側に位置するようになる。このため、第2可動爪70が図示しないラチェットホイールの爪に当たるのに要する回転速度は上昇運転時に比べて低くなり、下降運転時の定格速度Vuに合わせて低くした第2過速度を設定することが可能になる。
さらに、エレベータの運転が下降から上昇に転じると、ガバナシーブ10の回転方向の切替と同期して、ソレノイド72には通電されなくなる。この結果、第2可動爪70はリターンばね74の弾性力によって、図7に示す元の位置に戻り、第2可動爪70は上昇運転時の設定位置に復帰する。
以上のような上昇運転、下降運転が繰り返される間、ガバナシーブ10の回転方向の切り替わりと同期して、第2可動爪70の位置を切り替えることができるので、エレベータの上昇運転と下降運転とで、異なる第2過速度を設定することが可能になる。
ここで、図8は、第2可動爪70の位置を切り替える駆動部を、ソレノイド72の替わりに、モータ75と、このモータ75によって回転されるボールねじ76と、ナット77とから構成した変形例である。
このような変形例においては、ガバナシーブ10の回転方向の切り替わりと同期して、モータ75の回転方向を切り替え、ストロークSだけ移動するように回転させる。これによって、ソレノイド72を用いた場合と同様に、第2可動爪70の位置を切り替え、エレベータの上昇運転と下降運転とで、異なる第2過速度を設定することができる。
以上、本発明によるエレベータの調速機について、好適な実施形態を挙げて説明したが、これらの実施形態は、例示として挙げたもので、発明の範囲の制限を意図するものではない。もちろん、明細書に記載された新規な装置、方法およびシステムは、様々な形態で実施され得るものであり、さらに、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、種々の省略、置換、変更が可能である。請求項およびそれらの均等物の範囲は、発明の主旨の範囲内で実施形態あるいはその改良物をカバーすることを意図している。
2…乗りかご、4…主ロープ、6…ガイドケール、8…調速機、10…ガバナシーブ、12…調速機ロープ、18…非常止め装置、21…ガバナヒッチ、22…セフティーリンク、23…セフティーリンク、32…回転錘、35…過速スイッチ、34…第1可動爪、44…ソレノイド、50…ロープ掴み機構、51…固定側ロープ掴みシュー、53…可動側ロープ掴みシュー、59…可動台、60…伝動軸、64…雄ねじ部、65…ナット
Claims (4)
- 調速機ロープが巻き掛けられるガバナシーブと、第1の過速度で規制される乗りかごの過速度状態が検知されたときに第1の調速動作として巻上機の電源を遮断する過速スイッチと、前記第1の過速度よりは速い第2の過速度で規制される乗りかごの過速度状態が検知されたときに第2の調速動作として前記調速機ロープを掴むロープ掴み機構と、前記過速スイッチを作動させる第1の可動爪と前記ロープ掴み機構を作動させる第2の可動爪とが取り付けられた回転錘と、を有するエレベータの調速機において、
位置を変えることが可能に支持された可動台に前記過速スイッチを取り付けるともに、前記ガバナシーブの回転方向の切り替わりと同期して、前記可動台の位置を切り替える可動台位置切替手段を設け、
前記可動台位置切替手段が、
前記ガバナシーブの回転軸と歯車を介して接続され、前記可動軸の移動ストロークに対応する範囲に雄ねじ部が形成された伝動軸と、
前記可動台に形成され前記雄ねじ部に噛み合う雌ねじ部と、
前記可動台の移動範囲を抑制し、前記雄ねじ部と雌ねじ部間の接触を常時維持させるために前記可動台の両側からそれぞれ付勢する一対の圧縮ばねと、からなり、
前記可動台位置切替手段により、乗りかごの下降時と上昇時とで、前記過速スイッチと前記第1の可動爪との距離を可変にしたことを特徴とするエレベータの調速機。 - 前記ガバナシーブの回転方向の切り替わりと同期して、前記第2の可動爪の位置を乗りかごの下降時と上昇時とで切り替える可動爪位置切替手段をさらに設けたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの調速機。
- 可動爪位置切替手段は、前記第2可動爪と接続されたソレノイドからなることを特徴とする請求項2に記載のエレベータの調速機。
- 前記可動爪位置切替手段は、前記第2可動爪と連結されたナットと、前記ナットに螺合するボールねじと、前記第2可動爪の移動ストローク分だけ前記ガバナシーブの回転方向に対応する正逆いずれかの方向に前記ボールねじを回転させるモータと、からなることを特徴とする請求項2に記載のエレベータの調速機。
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