以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、遊技店に設けられたメダル預払システム1を示す図である。
図1を参照して、ゲーム場等の遊技店内には、メダル預払システム1(メダル払出システム)が設けられている。メダル預払システム1は、複数(ここでは5台)のメダル預払機2(メダル払出機)と、管理装置3と、有線または無線の通信回線で構成されたネットワーク4とを含んでいる。
メダル預払機2は、遊技で用いるメダルを預け入れたり払い出したりすることができる装置である。それぞれのメダル預払機2は、ネットワーク4を介して通信可能に接続されている。複数のメダル預払機2のうち、任意の1台が親機2Aに設定され、残りのメダル預払機2が子機2Bに設定されている。親機2Aは、自分が親機であることを認識しており、子機2Bは、親機2Aがどのメダル預払機2であるかを認識している。親機2Aや子機2Bの設定は、メダル預払システム1の起動時などの所定のタイミングにおいて、予め実施される。
管理装置3は、これらのメダル預払機2を管理するための装置であり、遊技店における係員用の事務所等に配置されている。管理装置3は、ネットワーク4を介して、全てのメダル預払機2に対して通信可能に接続されている。なお、ネットワーク4における管理装置3と全てのメダル預払機2との間には、中継ハブ5が介在されていて、管理装置3と各メダル預払機2との通信を中継ハブ5が中継してもよい。管理装置3では、各メダル預払機2の取引状況に基づいて、遊技店全体でのメダルの預入や払出に関する取引の傾向や、客層等を分析することができる。
次に、メダル預払機2について説明する。
図2は、メダル預払機2の斜視図である。
図2を参照して、メダル預払機2は、縦長のボックス状である。図2における左手前側がメダル預払機2の正面である。以下では、メダル預払機2を正面側から見たときを基準として、メダル預払機2の各部分について説明する。
メダル預払機2は、その外郭をなす本体10を備えている。本体10の正面部分は、略垂直に延びる前側垂直面11と、前側垂直面11の上端から後上側へ傾斜して延びる傾斜面12とを含んでいる。
前側垂直面11では、左上側にメダル払出口13が設けられている。前側垂直面11においてメダル払出口13の右隣には、2つのカップホルダ14が設けられている。各カップホルダ14は、前側垂直面11から正面側へ膨出するU字の枠体形状である。
ここで、メダル預払機2に関連して、遊技店には、メダルを収容するメダルカップ15が存在する(右側のカップホルダ14を参照)。メダル払出口13内にメダルカップ15全体を収容すると、メダル払出口13に払い出されるメダルは、メダルカップ15内に直接注ぎ込まれる。メダルが入ったメダルカップ15または空のメダルカップ15を各カップホルダ14内に上から差し込むことによって、メダルカップ15をカップホルダ14において一時的に保持することができる。前側垂直面11においてメダル払出口13の下隣には、返却口24(返却部)が設けられている。メダル預払機2に対して、メダル預払機2が設置された遊技店(自店)以外の店(他店)のメダルや、メダル以外の異物等が投入された場合に、これらのメダルや異物が返却口24からリジェクトされて機外へ払い出される。
傾斜面12において、略左半分は少し窪んでおり、この窪みに、タッチパネルディスプレイを有する矩形状の表示操作部16(設定手段、受付手段、表示部)が設けられている。表示操作部16には、客や係員向けの情報(メダルの預け入れや払い出しに関する情報)が表示されたり、客や係員が操作できるタッチキー(図示せず)が表示されたりする。表示操作部16を操作することによって、たとえば、複数のメダル預払機2のうち、任意の1台を親機2A(図1参照)に設定したり、払い出すメダルの枚数(払出枚数)を指定(入力)したりすることができる。傾斜面12の右半分には、メダル預入口17(投入部)が設けられている。メダル預入口17には、これから預け入れるメダルが投入される。なお、メダルの預け入れが行われない場合には、メダル預入口17はシャッター18によって塞がれている。傾斜面12におけるメダル預入口17の左上には、指静脈認証部19が設けられている。指静脈認証部19には、凹状に窪む指セット部19Aが設けられている。客や係員が自分の指を指セット部19Aにセットすることによって、その指の指静脈パターンが指静脈認証部19によって読み取られ、当該指静脈パターンのデータ(指静脈データ)によって、客や係員の本人確認が行われる。
なお、本体10には、前側垂直面11および傾斜面12の各右端から後側へ連続しつつ垂直に延びる右側垂直面20が設けられている。右側垂直面20には、メダル補充扉21が開閉可能に設けられている。メダル補充扉21を開くことによって本体10の内部にアクセスし、払い出すメダルを本体10内に補充できる。
また、傾斜面12を本体10の上面22の一部とみなすと、上面22は、幅方向から見て、上方ヘ向けて突出する台形状をなしている。上面22において台形の上底をなす部分は、本体10の前後方向中央から後側へ少し偏った位置にあり、この部分には、幅方向に長手で上方ヘ突出する板状の凸部23が一体的に設けられている。凸部23には、メダル預払機2であることを示す標識や遊技店の広告等が表示される。
次に、メダル預払システム1における電気的構成について説明する。
図3は、メダル預払システム1の制御回路ブロック図であり、この発明の特徴と関連する部分のみを示すブロック図である。
図3を参照して、メダル預払システム1における管理装置3およびメダル預払機2のそれぞれの電気的構成を、この順番で説明する。
管理装置3は、制御部30(更新手段)を備えている。制御部30は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したROM、RAM等で構成されており、プログラムに従って演算処理等の所定の処理を実行する。
管理装置3では、制御部30に対して、主に、表示部31と、操作部32(設定手段)と、DB(データベース)33(記憶装置)と、通信I/F(インタフェース)部34とが電気的に接続されている。
表示部31は、たとえば、様々な情報を表示するモニターである(図1も参照)。操作部32は、たとえばキーボードであり(図1参照)、これを操作することによって所定の信号を制御部30に入力できる。操作部32を操作することによって、たとえば、複数のメダル預払機2のうち、任意の1台を親機2Aに設定することができる(図1参照)。
DB33には、様々な情報を記録することができる。通信I/F部34を介することで、制御部30は、ネットワーク4に接続されて、各メダル預払機2と通信できる。
メダル預払機2は、制御部40(検出手段、実行手段、通知手段、送信手段、表示制御手段、算出手段、カウント手段、除外手段)を備えている。制御部40は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したROM、RAM等で構成されており、プログラムに従って演算処理等の所定の処理を実行する。
メダル預払機2では、制御部40に対して、主に、前述した表示操作部16および指静脈認証部19のそれぞれと、預入部41と、払出部42(払出手段)と、計数部43と、メモリ部44(バックアップ手段)と、通信I/F部45とが電気的に接続されている。
表示操作部16における表示処理(情報表示や画面切換等)は、制御部40によって制御される。制御部40は、指静脈認証部19が取得した指静脈データによって、前述した本人確認をおこなう。
預入部41は、メダルの預け入れに係る様々な処理を行うことができる。具体的に、預入部41は、制御部40からの指示に応じて、たとえば、シャッター18を開いてメダル預入口17を開放したり(図2参照)、メダル預入口17に投入されたメダルを回収したり、メダル投入完了後にシャッター18を閉じたりする。払出部42は、メダルの払出に係る様々な処理を行うことができる。具体的に、払出部42は、制御部40からの指示に応じて、たとえば、客が表示操作部16で指定した払出枚数分のメダルをメダル払出口13(図2参照)に払い出すことができる。計数部43は、預け入れられたメダルを計数することができる。メモリ部44には、様々な情報を記録することができる。通信I/F部45を介することで、制御部40は、ネットワーク4に接続されて、各メダル預払機2や管理装置3と通信できる。
次に、管理装置3のDB33に記録される内容(管理データ)について説明する。
DB33には、一例として、会員テーブル50、係員テーブル51、指静脈データテーブル52および履歴テーブル53が記録されている。
図4Aは、会員テーブル50を示す図である。
図4Aに示す会員テーブル50に関し、客には、店側に会員登録している会員が存在する。会員は、遊技で獲得したメダルを、貯メダル(ちょめだる)として遊技店に預け入れ、次回来店したとき等に当該貯メダルを引き落として遊技に用いることができる。会員テーブル50には、各会員のデータが記録されている。具体的に、会員テーブル50には、各会員に割り当てられた会員番号、会員が会員登録した日(登録日)、会員のパスワード、誕生日および貯メダルの数(貯メダル数)が主に記録されている。図4Aでは、会員番号が123456の会員について、その会員番号と、登録日(2010年9月25日)と、パスワード(12345678)と、誕生日(2000年12月24日)と、最新の貯メダル数(250枚)とが会員テーブル50に記録されている。
図4Bは、係員テーブル51を示す図である。
図4Bに示す係員テーブル51には、遊技店の各係員について、各係員に対して個別に割り当てられた識別記号(係員ID)、パスワードおよび氏名が主に記録されている。図4Bでは、係員IDがABCDEFの係員について、その係員IDと、パスワード(0000001)と、氏名(○×)とが係員テーブル51に記録されている。
図4Cは、指静脈データテーブル52を示す図である。
図4Cに示す指静脈データテーブル52には、全ての会員および係員のそれぞれの指静脈データが、会員番号または係員IDに関連付けて記録されている。なお、1つ1つの指静脈データでは、情報量が膨大なので、会員テーブル50や係員テーブル51でなく、専用の指静脈データテーブル52において指静脈データが管理されている。
図4Dは、履歴テーブル53を示す図である。
図4Dに示す履歴テーブル53には、メダル預払機2に対する各会員の取引履歴が記録されている。具体的には、図4Dでは、会員番号が123456の会員について、取引を行った年月日、その取引がメダルの預入および払出のいずれであるか、その取引において預け入れられたメダルの枚数(預入枚数)または払い出されたメダルの枚数(払出枚数)、および、その取引が終わった時点における貯メダル数が履歴テーブル53に記録されている。つまり、DB33は、履歴テーブル53において、メダル預払機2と預入や払出の取引をした客の過去の預入枚数や払出枚数の情報を記憶している。
なお、各メダル預払機2のメモリ部44(図3参照)のメモリ容量(記録できる情報量の最大値)は、DB33(図3参照)に比べて大幅に少ないので、DB33内の前述したデータ(特に指静脈データ)を全て記憶することはできない。
次に、メダル預払機2との間で行われる各種の取引の手順について説明する。ここでの取引には、主に、会員登録と、メダルの預入と、メダルの払出とがある。各取引に関する手続きは、表示操作部16(図2参照)を介して行われる。以下では、会員登録、メダルの預入およびメダルの払出のそれぞれの手順について、この順番で説明する。
図5A〜図5Iは、会員登録する場合におけるメダル預払機2の表示操作部16の表示内容を示す図である。
図5A〜図5Iを参照して、会員登録の手順について説明する。各図において、係員や客の手Hが模式的に図示されている場合があるが、これは、表示操作部16上のタッチキーを手Hで指している状態を示したものである(後述する図6A〜図6Hや図7A〜図7Hにおいても同様)。また、同じ図に複数の手Hが表示されている場合、各手Hに表示された丸囲みの数字が、タッチキーを押す順番を示している。また、この実施形態では、メダル預払機2の取引の対象となる客を低年齢の子供としているので、表示操作部16に表示される文字には、主に平仮名が用いられている。
会員登録したい客は、最初に、係員を呼び出し、係員に立ち会ってもらう。係員は、図5Aに示すように、「係員メニュー」という見出しがついた係員専用の画面を表示操作部16に表示させ、「新規会員登録」と記されたタッチキー55を押す。
すると、図5Bに示すように、「おたんじょう日を押してね できたら[OK]を押してね」という見出しがついた誕生日入力用の画面が表示操作部16に表示されるので、今度は、客が、表示操作部16に表示されたテンキー56を操作して、自身の誕生日を入力する。入力された誕生日は、表示操作部16に表示されるので、客は、入力内容に間違いがなければ、表示操作部16に表示されたOKキー57を押す。なお、所定時間内(ここでは、15秒以内)にOKキー57が押されなければ、今回の取引がキャンセルされる。当該所定時間をカウントダウンする表示(図5Bにおける「あと15秒」という表示)が画面に表示される(図5C以降の図面においても同様)。
客がOKキー57を押すと、図5Cに示すように、「パスワードをとうろくするよ できたら[OK]を押してね」という見出しがついたパスワード登録画面が表示操作部16に表示されるので、客は、表示操作部16に表示されたテンキー58を操作して、自身で決めたパスワード(図5Cでは、12345678)を入力し、入力内容に間違いがなければOKキー59を押す。
客がOKキー59を押すと、図5Dに示すように、「とうろくするパスワードだよ [これにする]を押してね」という見出しがついたパスワード確認画面が表示操作部16に表示され、先程入力したパスワードが表示されるので、客は、このパスワードで良ければ、表示操作部16において「これにする」と記されたタッチキー60を押す。
すると、図5Eに示すように、「指情報をとうろくするよ 手をひろげて指をおいてね」という見出しがついた画面が表示操作部16に表示される。この画面には、「3回とうろくするよ」と記されたメッセージ欄61と、指静脈認証部19(図2参照)のイラスト62とが主に表示されている。客は、この画面の内容に沿って、自分の指(右手または左手において予め定めた1本の同じ指)を指静脈認証部19の指セット部19A(図2参照)に3回セットする。客が指を指セット部19Aにセットするたびに、指静脈認証部19が当該指の指静脈データ(指情報)を1回ずつ取得する。そのため、指静脈データが3回取得される。指静脈認証部19による指静脈データの取得(指情報の登録)が1回完了すると、表示操作部16のメッセージ欄61には、指情報の登録が何回済んだのかを示す内容が表示される。
指情報の登録が3回済むと、表示操作部16には、図5Fに示すように、「手をひろげて指をおいてね とうろくできたか、たしかめよう」という見出しがついた確認画面が表示される。この画面には、先程と同じイラスト62が表示されている。客は、この画面の内容に沿って、先程指セット部19Aにセットした指と同じ指を、再度指セット部19Aにセットする(図2参照)。これに応じて、指静脈認証部19が当該指の指静脈データを1回取得する。先程3回連続で取得された指静脈データのうち、今回取得された指静脈データと指静脈パターンが最も近似している指静脈データが、この客についての最終的な指静脈データとして登録される。
最終的な指静脈データの登録が完了すると、表示操作部16には、図5Gに示すように、今まで客が入力したパスワードや誕生日が表示されるので、客は、これらの内容に間違いがなければ、「とうろくする」と記されたタッチキー63を押す。
すると、この客に対してメダル預払機2から会員番号が割り当てられ、表示操作部16には、図5Hに示すように、当該会員番号(図5Hでは、123456)と、この客のパスワード(図5Hでは、12345678)および誕生日(図5Hでは、2000年12月24日)とが表示される。客は、この内容でよければ、OKキー64を押す。これに応じて、前述した会員テーブル50(図4A参照)には、この客についての情報が新規登録され、この客の指静脈データが指静脈データテーブル52(図4C参照)に新規登録される。
そして、OKキー64を押すと、表示操作部16には、図5Iに示すように、「ありがとうございました」という見出しがついた終了画面が表示されるので、この終了画面におけるOKキー65を押すと、一連の会員登録の手続きが完了する。
図6A〜図6Hは、メダルを預け入れる場合におけるメダル預払機2の表示操作部16の表示内容を示す図である。
次に、図6A〜図6Hを参照して、メダルの預入の手順について説明する。
待機状態のメダル預払機2の表示操作部16には、図6Aに示す待機画面が表示されている。待機画面には、「メダルをあずける」と記された預入キー65と、「メダルをとりだす」と記された払出キー66とが表示されている。
メダルを預け入れたい客は、最初に、預入キー65を押す。
すると、図6Bに示すように、「パスワードを押してね できたら[OK]を押してね」という見出しがついたパスワード入力画面が表示操作部16に表示されるので、客は、表示操作部16に表示されたテンキー67を操作して、自身のパスワードを入力する。入力されたパスワードは、表示操作部16に表示されるので、客は、入力内容に間違いがなければ、表示操作部16に表示されたOKキー68を押す。
客がOKキー68を押すと、図6Cに示すように、「手をひろげて指をおいてね 指を動かさないでね」という見出しがついた画面が表示操作部16に表示される。この画面には、前述した指静脈認証部19のイラスト62が表示されている。客は、この画面の内容に沿って、自分の指(会員登録のときに指静脈データを登録した指)を指静脈認証部19の指セット部19A(図2参照)に1回セットする。客が指を指セット部19Aにセットするのに応じて、指静脈認証部19が当該指の指静脈データを取得する。メダル預払機2では、制御部40(図3参照)が、指静脈認証部19が取得した指静脈データと、先程パスワードを入力した客の会員番号に関連付けて指静脈データテーブル52(図4C参照)に登録された指静脈データとを照合する。その結果、指静脈認証部19が取得した指静脈データと、指静脈データテーブル52に登録された指静脈データとが一致すれば、客の本人確認が正常に完了する。
本人確認が正常に完了したのに応じて、表示操作部16には、図6Dに示すように、「[入口をあける]を押してね メダルを入れてね」という見出しがついた画面が表示される。この画面には、メダル預払機2におけるメダル預入口17付近(図2参照)を示したイラスト69と、「入口をあける」と記されたタッチキー70とが表示されている。客は、この画面の内容に沿って、タッチキー70を押す。すると、制御部40が預入部41(図3参照)を駆動させることによって、メダル預入口17を閉じていたシャッター18(図2参照)が開く。
シャッター18が開いてメダル預入口17が開放されるのに応じて、表示操作部16には、図6Eに示すように、「メダルを入れて[かぞえる]を押してね」という見出しがついた画面が表示される。この画面には、メダルカップ15のメダルMをメダル預入口17に投入している様子を示したイラスト71と、「かぞえる」と記されたタッチキー72とが表示されている。客は、この画面の内容に沿って、自身のメダルをメダル預入口17に投入し、その後、タッチキー72を押す。すると、制御部40が預入部41(図3参照)を駆動させることによって、シャッター18(図2参照)を閉じてメダル預入口17を閉鎖する。
シャッター18が閉じるのに応じて、制御部40は、計数部43(図3参照)に指令を出して、先程投入されたメダルを計数させる。メダルの計数中、表示操作部16には、図6Fに示すように、「メダルをかぞえているよ」という見出しがついた画面が表示される。この画面には、現在の計数値(図6Fでは、1234枚)がリアルタイムで表示される。
計数が完了すると。表示操作部16には、図6Gに示す計数結果表示画面が表示される。この画面には、「かぞえたメダル」という項目の右隣に、今回の計数結果(図6Gでは、1234枚)が表示される。ここで、計数をした当日が、この計数をした客の誕生日である場合には、遊技店から所定枚数のメダルがプレゼントメダルとして客に付与される。プレゼントメダルが付与される場合、この画面には、「プレゼントメダル」という項目の右隣に、プレゼントメダルの枚数(図6Gでは、201枚)が表示される。そして、この画面では、今回の計数結果およびプレゼントメダルの枚数を加味した現時点での貯メダル数(図6Gでは、567890枚)が、「ちょきんばこの中のメダル」という項目の右隣に表示される。さらに、この画面には、貯メダルの有効期限(図6Gでは、2010年12月24日)も表示される。メダルを預け入れた客は、この画面の内容でよければ、OKキー73を押す。これにより、制御部40は、今回の取引に関する取引データ(預入枚数や貯メダル数等)を管理装置3に送信する。管理装置3のDB33(図3参照)では、受信された取引データに基づいて、会員テーブル50(図4A参照)において該当する客の貯メダル数が更新されるとともに、履歴テーブル53(図4D参照)において、当該客における今回の取引(預入)の履歴が新たに追加される。
そして、客がOKキー73を押すのに応じて、表示操作部16には、図6Hに示すように、「ありがとうございました」という見出しがついた終了画面が表示されるので、この終了画面におけるOKキー74を押すと、一連のメダル預入の手続きが完了する。
図7A〜図7Hは、メダルを払い出す場合におけるメダル預払機2の表示操作部16の表示内容を示す図である。
次に、図7A〜図7Hを参照して、メダルの払出の手順について説明する。なお、ここでは、これからメダルを払い出そうとする客が貯メダルを有していることが前提である。
待機状態のメダル預払機2の表示操作部16には、図7Aに示す(前述した)待機画面が表示されている。
メダルを払い出したい客は、最初に、待機画面における払出キー66を押す。
すると、図7Bに示すように、「パスワードを押してね できたら[OK]を押してね」という見出しがついたパスワード入力画面が表示操作部16に表示されるので、客は、表示操作部16に表示されたテンキー75を操作して、自身のパスワードを入力する。入力されたパスワードは、表示操作部16に表示されるので、客は、入力内容に間違いがなければ、表示操作部16に表示されたOKキー77を押す。
客がOKキー77を押すと、図7Cに示すように、「手をひろげて指をおいてね 指を動かさないでね」という見出しがついた画面が表示操作部16に表示される。この画面には、前述した指静脈認証部19のイラスト62が表示されている。客は、この画面の内容に沿って、自分の指(会員登録のときに指静脈データを登録した指)を指静脈認証部19の指セット部19A(図2参照)に1回セットする。客が指を指セット部19Aにセットするのに応じて、指静脈認証部19が当該指の指静脈データを取得する。すると、メダル預払機2では、制御部40が、前述したように指静脈データの照合によって、客の本人確認を行う。
本人確認が正常に完了したのに応じて、表示操作部16には、図7Dに示すように、「はらいだすメダルの枚数を押してね できたら[OK]を押してね」という見出しがついた払出枚数入力画面が表示される。この払出枚数入力画面には、本人確認が完了した客の貯メダル数(図7Dでは、123456枚)と、この貯メダル数の中から今回払い出しができる上限枚数(図7Dでは、9999枚)とが表示されている。また、この払出枚数入力画面には、テンキー77が表示されているので、客は、テンキー77を操作することによって、今回払い出したいメダルの枚数を指定する。指定した払出枚数が払出枚数入力画面に表示されるので(図7Dでは、1234枚)、客は、この枚数でよければ、OKキー78を押す。
すると、表示操作部16には、図7Eに示すように、「メダル出口にメダルカップをおいてね [メダルをだす]を押してね」という見出しがついた画面が表示される。この画面には、メダル払出口13にメダルカップ15をセットした様子を示したイラスト79と、「メダルをだす」と記されたタッチキー80とが表示されている。客は、この画面の内容に沿って、メダルカップ15をメダル払出口13内にセットし、その後、タッチキー80を押す。すると、制御部40が払出部42(図3参照)を駆動させることによって、払出部42が、指定された枚数のメダルをメダル払出口13に払い出す。
メダルの払出中、表示操作部16には、図7Fに示すように、「メダルを出しているよ」という見出しがついた画面が表示される。この画面には、現在の払出が完了したメダルの枚数(図7Fでは、1234枚)がリアルタイムで表示される。
払出が完了すると。表示操作部16には、図7Gに示す払出結果の画面が表示される。この画面には、「はらいだしたメダル」という項目の右隣に、今回払い出したメダルの枚数(図7Gでは、1234枚)が表示される。そして、この画面では、払い出したメダルの枚数を差し引いた後の現時点での貯メダル数(図7Gでは、567890枚)が、「ちょきんばこの中のメダル」という項目の右隣に表示される。さらに、この画面には、貯メダルの有効期限(図7Gでは、2010年12月24日)も表示されている。そして、メダルの払出を受けた客は、この画面の内容でよければ、OKキー81を押す。これにより、制御部40は、今回の取引に関する取引データ(払出枚数や貯メダル数等)を管理装置3に送信する。管理装置3のDB33(図3参照)では、受信された取引データに基づいて、会員テーブル50(図4A参照)において該当する客の貯メダル数が更新されるとともに、履歴テーブル53(図4D参照)において、当該客における今回の取引(払出)の履歴が新たに追加される。
そして、客がOKキー81を押すのに応じて、表示操作部16には、図7Hに示すように、「ありがとうございました」という見出しがついた終了画面が表示されるので、この終了画面におけるOKキー82を押すと、一連の払出の手続きが完了する。
次に、メダル預払機2で行われる制御動作について説明する。ここでの制御動作は、管理装置3が故障等でダウンすることによって、前述した複数(ここでは、5台)のメダル預払機2のそれぞれと管理装置3との間で通信異常が発生する場合を想定している(図1参照)。
このメダル預払システム1では、通信異常がない場合には各メダル預払機2は、管理装置3との間で通信しながら処理を行う通常運転(いわゆるオンライン運転)を実行する。通常運転とは、複数のメダル預払機2のそれぞれと管理装置3との間で通信が可能な通常状態において、各メダル預払機2が、会員登録やメダルの預払の取引があった場合に、これらの取引に関するデータや信号のやりとりを管理装置3との間で行うことである。一方、通信異常が発生した場合、通信異常中は、親機2Aが管理装置3の代替機として稼動し、各メダル預払機2は、縮退運転(いわゆるオフライン運転)を実行するようになっている。縮退運転とは、各メダル預払機2が親機2Aを管理装置3の代替機とみなして、前述した取引に関するデータや信号のやりとりを、管理装置3との間でなく、親機2Aとの間で行うことである。縮退運転の具体的な内容については、以降で説明する。
図8は、子機のメダル預払機2Bにおいて行われる制御動作を示すフローチャートである。
まず、子機のメダル預払機2Bでの制御動作について、図8を参照しながら説明する。
子機2Bの制御部40(図3参照)は、親機2Aが管理装置3として稼動中であるか否か(つまり、既に通信異常中であるか否か)を監視している(ステップS1)。
通信異常中でない場合において(ステップS1でNO)、所定のタイミングになると(ステップS2でYES)、制御部40は、試験信号を管理装置3に送信する(ステップS3)。試験信号を送信した後に管理装置3からの応答信号を制御部40が受信すると、通信成功になる(ステップS4でYES)。つまり、制御部40は、ステップS2〜S4において、所定のタイミングになる度に、試験信号を管理装置3に送信することで、管理装置3との間で通信が正常に行えるか否かをチェックしている。
通信状態をチェックする所定のタイミングでない場合において(ステップS2でNO)、制御部40は、前述した会員登録やメダルの預払(預入や払出)等に関して管理装置3と取引があるか否かを監視している(ステップS5)。取引があれば(ステップS5でYES)、制御部40は、その取引において管理装置3との間で通信が成功したか否かを確認する(ステップS4)。
ステップS3(通信状態のチェック)やステップS5(管理装置3との取引)において通信が成功した場合(ステップS4でYES)、制御部40は、待機状態に戻って、ステップ1以降の処理を繰り返す。
一方、通信が成功しなかった場合(ステップS4でNO)、当該制御部40を有するメダル預払機2と管理装置3との間での通信異常が発生している。この場合、制御部40は、自身のメダル預払機2と管理装置3との間での通信異常を検出したことになり、通信異常を検出したことに応じて、当該通信異常を親機2Aに送信(通知)する(ステップS6)。これに応じて、後述するように通信異常を受信した親機2Aから、縮退運転を実行する旨の指示(縮退運転実行指示)が送信されてくるので、制御部40は、この指示を受信すると(ステップS7でYES)、通信異常中は、親機2Aを管理装置3の代替機に設定して、縮退運転を実行する(ステップS8)。
また、通信状態のチェックを行うタイミングでなく(ステップS2でNO)、管理装置3との取引もない場合において(ステップS5でNO)、別のメダル預払機2と管理装置3との間で通信異常が発生すると、親機2Aから縮退運転実行指示が送信されてくる。この場合においても、制御部40は、この指示を受信すると(ステップS7でYES)、縮退運転を実行する(ステップS8)。
なお、管理装置3との間で通信異常があった子機2Bの制御部40は、ステップS6において、親機2Aだけでなく、他の子機2Bに対して通信異常を通知してもよい。その場合、各子機2Bの制御部40は、当該通信異常の通知を、縮退運転実行指示の受信とみなして(ステップS7でYES)、縮退運転を実行する(ステップS8)。
ステップS1において親機2Aが管理装置3として稼動中である場合、つまり、既に通信異常中である場合(ステップS1でYES)、制御部40は、通信異常が解消されたか否かを監視している。通信異常が解消されると、親機2Aから、縮退運転を中止する旨の指示(縮退運転中止指示)が送信されるので、制御部40は、当該指示を受信したか否かを監視している(ステップS9)。制御部40は、当該指示を受信すると(ステップS9でYES)、縮退運転を中止し、通常運転を再開する(ステップS10)。
図9は、親機のメダル預払機2Aにおいて行われる制御動作を示すフローチャートである。
次に、親機のメダル預払機2Aでの制御動作について図9を参照しながら説明する。
親機2Aの制御部40(図3参照)は、自身が管理装置3として稼動中であるか否か(つまり、既に通信異常中であるか否か)を監視している(ステップS21)。
通信異常中でない場合において(ステップS21でNO)、所定のタイミングになると(ステップS22でYES)、制御部40は、試験信号を管理装置3に送信する(ステップS23)。試験信号を送信した後に管理装置3からの応答信号を制御部40が受信すると、通信成功になる(ステップS24でYES)。つまり、親機2Aの制御部40は、子機2Bの場合と同様に(ステップS2〜S4)、ステップS22〜S24において、所定のタイミングになる度に、試験信号を管理装置3に送信することで、管理装置3との間で通信が正常に行えるか否かをチェックしている。
通信状態をチェックする所定のタイミングでない場合において(ステップS22でNO)、制御部40は、前述した会員登録やメダルの預払等に関して管理装置3と取引があるか否かを監視している(ステップS25)。取引があれば(ステップS25でYES)、制御部40は、その取引において管理装置3との間で通信が成功したか否かを確認する(ステップS24)。
ステップS23(通信状態のチェック)やステップS25(管理装置3との取引)において通信が成功した場合(ステップS24でYES)、制御部40は、待機状態に戻って、ステップS21以降の処理を繰り返す。
一方、通信が成功しなかった場合(ステップS24でNO)、当該制御部40を有するメダル預払機2(親機2A)と管理装置3との間での通信異常が発生している。この場合、制御部40は、自身のメダル預払機2と管理装置3との間での通信異常を検出したことになり、この検出に応じて、縮退運転実行指示を各子機2Bに送信する(ステップS26)。縮退運転実行指示を受信した各子機2B(全ての子機2B)は、縮退運転を実行する(図8のステップS8)。そして、制御部40は、通信異常中は、自身のメダル預払機2(親機2A)を管理装置3の代替機として稼動させて、縮退運転を実行する(ステップS27)。
また、通信状態のチェックを行うタイミングでなく(ステップS22でNO)、管理装置3との取引もない場合において(ステップS25でNO)、いずれか子機2Bと管理装置3との間で通信異常が発生すると、管理装置3との間で通信異常が発生した(通信異常を検出した)子機2Bから、当該子機2Bの識別番号(号機番号等)に関連付けて通信異常が送信されてくる。親機2Aの制御部40は、当該通信異常を受信すると(ステップS28でYES)、縮退運転実行指示を各子機2Bに送信してから(ステップS26)、通信異常中において、親機2Aを管理装置3の代替機として稼動させて、縮退運転を実行する(ステップS27)。
つまり、この場合、親機2Aの制御部40は、親機2Aが子機2Bから通信異常(前述した号機番号も含む)の通知を受けたのに応じて、各メダル預払機2(親機2Aを含む全てのメダル預払機2)に対して縮退運転を実行させる。そのため、複数のメダル預払機2のうち、管理装置3との間で通信異常が発生したメダル預払機2がどれなのかが分かるので使い勝手がよい。さらに、管理装置3との間で通信異常が発生したメダル預払機2からの通知を親機2Aが受けてから、各メダル預払機2の縮退運転が開始されるので、各子機2Bと管理装置3との間で通信異常が発生していないのにもかかわらず、誤って縮退運転が開始される不具合を防止できる。
なお、以上のように各メダル預払機2が通信異常に気付くことで自動的に各メダル預払機2が縮退運転を実行する以外に、係員が通信異常に気付いて各メダル預払機2に対して手動で縮退運転を実行させてもよい。
そして、ステップS21において親機2Aが管理装置3として稼動中である場合、つまり、既に通信異常中である場合(ステップS21でYES)、制御部40は、通信異常が解消されたか否かを監視している。通信異常が解消されると、管理装置3との間で通信異常があった子機2B(または管理装置3自身)から、通信異常が解消された旨(通信異常解消)が送信されてくる。制御部40は、この通信異常解消を受信すると(ステップS29でYES)、通信異常中に各子機2Bや自身(親機2A)で会員登録やメダルの預払の取引があった場合に親機2Aで取得されたデータ(取引データ)を、管理装置3に送信する(ステップS30)。
一方、子機2Bからの通信異常解消を受信していない場合において(ステップS29でNO)、実は親機2Aと管理装置3との間で通信異常があって、当該通信異常が解消された場合にも(ステップS31でYES)、親機2Aの制御部40は、ステップS30の処理を行う。
制御部40がステップS30において取引データを管理装置3に送信すると、当該取引データを受信した管理装置3の制御部30は、当該取引データに基づいて、自身のDB33における管理データを更新し(図3参照)、更新完了後は、その旨の通知(更新通知)を親機2Aに送信するようになっている。親機2Aの制御部40は、この更新通知を受信すると(ステップS32でYES)、管理装置3の代替機としての稼動を停止するとともに、各子機2Bに対して、前述した縮退運転中止指示を送信する(ステップS33)。これにより、各メダル預払機2では、通常運転を再開する。つまり、親機2Aの制御部40は、管理装置3での管理データの更新が完了したのに応じて、親機2Aを含む各メダル預払機2に対して、縮退運転を中止させ、通所運転を再開させる。このように、通信異常が解消すると、通信異常中に親機2Aで取得されたデータに基づいて管理装置3の管理データが更新されるので、管理装置3は、正常に復旧できる。管理装置3が復旧すると、各メダル預払機2は通常運転を再開できる。
ここで、親機2Aおよび子機2Bのそれぞれの制御部40のまとまりを、メダル預払システム1全体における1つの制御部40とみなすことができる。この場合、この制御部40(制御部40のまとまり)は、以上のように、各メダル預払機2と管理装置3との間での通信異常を検出するとともに(ステップS4、ステップS24)、その検出に応じて、通信異常中は、親機2Aを管理装置3の代替機として稼動させて全てのメダル預払機2の縮退運転を実行する(ステップS8、ステップS27)。
以上のように、管理装置3と各メダル預払機2との間で通信異常が発生した場合において、通信異常中は、複数のメダル預払機2のうちで親機2Aに設定された1台が、管理装置3の代替機として稼動し、各メダル預払機2が縮退運転するので、各メダル預払機2での取引を継続できる(図1参照)。
ここで、複数のメダル預払機2のうちのいずれもが親機2Aに設定できるので、特定のメダル預払機2だけを他のメダル預払機2よりも高スペックのものにしなくても済み、これら全てのメダル預払機2を同じスペックのものに統一できる。よって、通信異常が発生した場合に各メダル預払機2での取引を継続できる構成を、低コストで実現できる。
また、前述したように親機2Aおよび子機2Bのそれぞれの制御部40のまとまりを1つの制御部40とみなすと、この制御部40(制御部40のまとまり)は、通信異常解消後において、管理装置3での管理データの更新完了に応じて、各メダル預払機2に対して縮退運転を中止させ、通常運転を再開させる(ステップS10、ステップS33)。
次に、以上のようにメダル預払機2が通常運転または縮退運転ができることを踏まえて、メダル預払システム1内で実施される処理について説明する。
図10は、メダル預払システム1を起動する際にメダル預払システム1内で実施される処理を説明するための図である。
まず、図10を参照して、遊技店における朝一の営業開始に伴ってメダル預払システム1を起動する際の処理について説明する。図10では、紙面下方へ向けて時間が経過していく(後述する図11A〜図12においても同様)。
メダル預払システム1の起動に伴って各メダル預払機2および管理装置3において電源がONになると(ステップS41)、管理装置3が、親機2Aおよび全ての子機2Bに設定データを送信する。設定データには、当日が誕生日の客に付与するプレゼントメダルの枚数や、一度に払い出すことができるメダルの上限枚数等が含まれている。つまり、設定データが管理装置3および各メダル預払機2で共有される。
次いで、各メダル預払機2は、管理装置3に対して未送信データを送信する。未送信データには、メダル預払システム1の起動前にあった縮退運転における前述した取引データ(図9のステップS30参照)が含まれている。各子機2Bの未送信データは、子機2Bから管理装置3に直接送信されてもよいし、親機2Aで一旦集約されてから管理装置3に送信されてもよい。未送信データがあった場合には、管理装置3は、受信した未送信データに基づいてDB33内の管理データ(図4A〜図4D参照)を更新する(ステップS42)。つまり、図10において破線で囲った部分の処理は、前回の通信異常によって未送信データ(取引データ)があった場合におけるDB33のリカバリ処理である。
ステップS42の後、管理装置3は、会員情報と、認証データと、係員情報とを親機2Aに送信し、係員情報を子機2Bにも送信する。
会員情報とは、DB33の会員テーブル50(図4A参照)や履歴テーブル53(図4D参照)に登録された会員についての情報である。管理装置3は、全会員についての会員情報を親機2Aに送信する。そのため、親機2Aは、会員テーブル50および履歴テーブル53の全ての情報を管理装置3と共有した状態になる。なお、会員情報には、後述する取引一時データも含まれている。取引一時データは、会員毎に存在するデータであり、本日プレゼントメダルを付与するか否かについてや、本日払い出すことができるメダルの上限枚数についての情報等が含まれている。
認証データとは、DB33の指静脈データテーブル52に記録された会員や係員の指静脈データのことである(図4C参照)。前述したように、指静脈データは、1件の情報量が膨大であるが、親機2Aを含めた各メダル預払機2のメモリ部44(図3参照)のメモリ容量は、比較的少ない。そのため、管理装置3は、全会員の認証データではなく、来店回数の多い等の所定の条件を満たす会員(いわゆる常連客)の認証データに絞って、所定件数(ここでは、全部で3万件のうちの1万件)の認証データだけを抜粋して親機2Aに送信する。そのため、親機2Aは、指静脈データテーブル52の一部の情報を管理装置3と共有した状態になる。
係員情報とは、DB33の係員テーブル51に登録された係員についての情報と、各係員の認証データとを含んでいる(図4Bおよび図4C参照)。管理装置3は、全係員についての係員情報を親機2Aおよび各子機2Bに送信する。そのため、親機2Aおよび各子機2Bは、係員テーブル51の全ての情報を管理装置3と共有した状態になる。なお、各子機2Bは、係員情報において、認証データは記憶していなくてもよい。
親機2Aおよび各子機2Bは、このように管理装置3から送信された各種情報を自身のメモリ部44(図3参照)において記録する。このとき、親機2Aの制御部40は、通信異常のない通常状態において、管理装置3の管理データ(DB33内のデータ)をメモリ部44において新たにバックアップ管理することになる。特に、親機2Aのメモリ部44では、当該管理データにおいて情報量が膨大な特定種類のデータ(認証データ)については、その一部をバックアップ管理することになる。そのため、親機2Aは、管理装置3の管理データの全てをバックアップ管理できる程度の高スペックを有していなくてもよいので、親機2Aに設定できる全てのメダル預払機2を、同じ低スペックのものに統一できる。よって、通信異常が発生した場合に各メダル預払機2での取引を継続できる構成を、より低コストで実現できる。
その後、メダル預払システム1は、待機を開始し、各メダル預払機2では、取引が可能になる(ステップS43)。
なお、DB33(図3参照)において、先程管理装置3から親機2Aや子機2Bに送信された会員情報や認証データや係員情報に変更があった場合には、その都度、変更された情報が管理装置3から親機2Aや子機2Bに送信され、親機2Aや子機2Bでは、該当するデータの更新が行われる。
図11Aおよび図11Bは、メダル預払機2でメダルの預け入れや払い出しに関する取引が行われる際にメダル預払システム1内で実施される処理を説明するための図である。
次に、図11Aおよび図11Bを参照して、待機中のメダル預払システム1において各メダル預払機2での預入や払出の取引が行われた場合における処理について説明する。
メダル預払システム1が待機中にある場合(ステップS51)、たとえば、子機2Bにおいて客によって表示操作部16の預入キー65または払出キー66(図6Aおよび図7A参照)が押されることで、当該子機2Bに対してメダルの預入または払出の指示があったとする(ステップS52)。この指示があると、前述したように(図6Bおよび図7B参照)、客が自身のパスワードを入力する(ステップS53)。
パスワードの入力を受けた子機2Bの制御部40(図3参照)は、管理装置3に対して当該パスワードを問い合わせる。具体的に、制御部40は、管理装置3に対して、当該パスワードに関連付けられたデータがDB33(図3参照)にあるか否かを問い合わせる。パスワードの問い合わせを受けた管理装置3では、制御部30(図3参照)が、当該パスワードに関連付けられた会員情報(会員番号や、誕生日や、貯メダル数や履歴であり、図4Aおよび図4D参照)と、当該パスワードに関連付けられた会員番号の指静脈データ(認証データ)とを、DB33の各テーブル51〜53(図4A〜図4D参照)において検索する。また、問い合わせを受けたパスワードが係員のパスワードである場合があり、この場合、管理装置3の制御部30は、当該パスワードに関連付けられた係員情報(図4B参照)と、当該パスワードに関連付けられた係員IDの指静脈データ(認証データ)とを検索する。また、別々の客または係員であっても、パスワードが重複している場合があり、その場合には、管理装置3の制御部30は、該当するパスワードに関連付けられた全て会員や係員についての会員情報や係員情報や指静脈データを検索する。
検索の結果、該当する会員情報や係員情報や指静脈データがあれば、管理装置3の制御部30は、これらの情報やデータを含んだ応答データを、問い合わせをしてきた子機2Bに送信する。ここで、応答データには、全会員の指静脈データではなく、入力されたパスワードの指静脈データだけが含まれているので、応答データの情報量を極力少なく抑えることができる。
子機2Bの制御部40は、受信した応答データを、メモリ部44(図3参照)において一時的に記録する。なお、係員情報や係員の指静脈データは、前述した起動時に各メダル預払機2のメモリ部44(図3参照)に記録されているので(図10参照)、これらの情報については、管理装置3に問い合わせが行われずに、子機2B内で検索が行われてもよい。
ただし、通信異常があった場合、前述したパスワード問い合わせおよび応答データの送信(図11Aにおいて破線で囲まれた部分)は、メダル預払機2間で行われる。つまり、子機2Bの制御部40(図3参照)は、縮退運転として、パスワードを、管理装置3の代替機である親機2Aに問い合わせる。そして、親機2Aの制御部40が、縮退運転として、管理装置3の代わりに、自身のメモリ部44(図3参照)で記録している会員情報や認証データや係員情報(起動時に管理装置3から送信されてバックアップ管理していた情報)の中から、問い合わせのあったパスワードに関連付けられたデータを検索する。そして、該当する会員情報や係員情報や指静脈データがあれば、親機2Aの制御部40は、応答データを、問い合わせをしてきた子機2Bに送信する。このように、通信異常中において、親機2Aは、それまでの通常状態でバックアップ管理していた管理データに基づいて、管理装置3の代替機として稼動できることから、各メダル預払機2の縮退運転による各メダル預払機2での取引を確実に継続できる。
なお、親機2Aのメモリ部44に、該当する会員情報や係員情報や指静脈データがなければ、その会員情報の会員について縮退運転ができないので、係員が直接取引を行う。
そして、通信異常の有無にかかわらず、このように応答データを受信した子機2Bでは、先程パスワードを入力した客についての指静脈認証(前述した指静脈データの照合であり、図6Cおよび図7C参照)が行われる(ステップS54)。つまり、当該客が自身の指を指静脈認証部19の指セット部19A(図2参照)にセットすることで、この指の指静脈データが指静脈認証部19によって取得される。すると、この子機2Bの制御部40は、今回取得した指静脈データと、先程受信した応答データに含まれる指静脈データとを照合して、当該客の本人確認を行う。
ただし、客による指セット部19Aへの指のセットが不適切であったり、客の指に傷があったりする場合等には、指静脈データの照合(指静脈認証)がうまくいかないことがある。指静脈認証部19による客の指静脈データの取得が所定回数(たとえば、3回)繰り返されても指静脈認証(本人確認)がうまくいかない場合には(ステップS54でNO)、この子機2Bでは、表示操作部16において客から誕生日の入力を受け付ける(図5B参照)。制御部40は、入力された誕生日と、先程受信した応答データに含まれる会員情報の誕生日とを照合して、当該客の本人確認を行う。なお、誕生日以外にも、本人を特定できる他の情報(住所や電話番号等)を適宜組み合わせて本人確認を行ってもよい。
誕生日による本人確認がうまくいかなかった場合(ステップS55でNO)、制御部40は、今回の預入または払出に関する取引をキャンセルする(ステップS56)。
指静脈データによる本人確認がうまくいった場合(ステップS54でYES)、または、指静脈データによる本人確認がうまくいかなくても、誕生日による本人確認がうまくいった場合(ステップS55でYES)、この子機2Bの制御部40は、本人確認(会員特定)が完了した旨の通知(会員特定完了通知)を管理装置3に送信する。管理装置3の制御部30は、この通知を受信すると、会員情報をロックする(ステップS57)。つまり、管理装置3は、会員特定完了通知を送信してきた子機2Bにおいて先程本人確認が済んだ会員についての会員情報(図4Aおよび図4D参照)が勝手に更新されないようにする。これにより、当該子機2B以外のメダル預払機2では、当該子機2Bにて現在取引をしている客についての取引(二重取引)ができないようになる。
そして、管理装置3の制御部30は、ステップS57の後、取引一時データを、会員特定完了通知を送信してきた子機2Bに送信する。取引一時データには、当該子機2Bにおいて先程本人確認が済んだ客固有の情報(たとえば、この客に対して本日プレゼントメダルを付与するか否かや、この客に対して本日払い出すことができるメダルの上限枚数)が含まれている。
ただし、通信異常があった場合、前述した会員特定完了通知および取引一時データの送信(図11Aにおいて1点鎖線で囲まれた部分)は、メダル預払機2間で行われる。つまり、子機2Bの制御部40(図3参照)は、縮退運転として、会員特定完了通知を、管理装置3の代替機である親機2Aに問い合わせる。そして、親機2Aの制御部40が、縮退運転として、管理装置3の代わりに、自身のメモリ部44(図3参照)でバックアップ管理している取引一時データを、問い合わせをしてきた子機2Bに送信する。このように、通信異常中において、親機2Aは、それまでの通常状態でバックアップ管理していた管理データに基づいて、管理装置3の代替機として稼動できることから、各メダル預払機2の縮退運転による各メダル預払機2での取引を確実に継続できる。
会員特定完了通知を送信した子機2Bは、通信異常の有無にかかわらず、この取引一時データを受信すると、前述した応答データ(会員情報、認証データおよび係員情報)のうち、現在取引をしている客に関するもの以外のデータを、不要データとしてメモリ部44(図3参照)等から破棄する(ステップS58)。
前述した指静脈データによる本人確認が係員についての本人確認であったのであれば、係員が特定されたことになる。その場合(ステップS59でYES)、子機2Bは、係員モードになって、係員の指示によってメンテナンス等の処理を実行する(ステップS60)。
ただし、以下では、指静脈データによる本人確認(ステップS54)や誕生日による本人確認(ステップS55)が会員についての本人確認であったとする。
その場合、図11Bに示すように、この子機2Bの制御部40は、先程受信した取引一時データに基づいて、現在取引している客に対して本日プレゼントメダルを付与するのか否かを確認する(ステップS61)。付与するプレゼントメダルがあれば(ステップS61でYES)、制御部40は、本日付与するプレゼントメダルが貯メダルとして今回預け入れられたとする取引データを作成する(ステップS62)。この取引データには、取引相手である客の会員番号と、本日の日付と、プレゼントメダルの枚数(預入枚数とみなされる)と、当該プレゼントメダルの枚数を加味した最新の貯メダル数とが含まれている(図4Aおよび図4D参照)。また、制御部40は、ステップS62において、当該取引データに基づいて、今回のプレゼントメダル付与に関する履歴を作成し、メモリ部44(図3参照)に記録する。
その後、制御部40は、先程作成した取引データを管理装置3に送信する。管理装置3の制御部30は、受信した取引データに基づいてDB33(図3参照)における該当するデータを更新する(ステップS63)。具体的には、制御部30は、受信した取引データの客についての会員テーブル50(図4A参照)における貯メダル数を更新したり、当該客の履歴テーブル53(図4D参照)に、今回の取引データを新しい履歴として追加したりする。
管理装置3の制御部30は、DB33の更新が完了すると、その旨を、応答通知として、取引データを送信してきた子機2Bに送信する。さらに、管理装置3の制御部30は、自身が受信した取引データを親機2Aに送信する。親機2Aの制御部40は、受信した取引データに基づいてメモリ部44(図3参照)における該当するデータ(バックアップデータ)を、管理装置3の場合と同様に更新する(ステップS64)。ステップS64では、親機2Aの制御部40が、通信異常のない通常状態において、メモリ部44でバックアップ管理しているデータ(管理装置3のDB33内の管理データと同じデータ)を更新する。
ただし、通信異常があった場合、前述した取引データおよび応答通知の送信(図11Bにおいて破線で囲まれた部分)は、メダル預払機2間で行われる。つまり、子機2Bの制御部40は、縮退運転として、取引データを、管理装置3の代替機である親機2Aに送信する。そして、ステップS63の処理が省略され、親機2Aの制御部40が、縮退運転として、受信した取引データに基づいてメモリ部44(図3参照)における該当するデータを更新する(ステップS64)。この場合、親機2Aの制御部40は、データの更新が完了すると、その旨を、応答通知として、取引データを送信してきた子機2Bに送信する。
子機2Bの制御部40は、通信異常の有無にかかわらず、応答通知を受信したのに応じて、ステップS65の処理を行う。ここでは、メダルの預入の取引であれば、客によって投入されたメダルを預入部41(図3参照)が受け取るとともに、計数部43(図3参照)が計数し(図6Eおよび図6F参照)、メダルの払出の取引であれば、客が指定した枚数のメダルを払出部42(図3参照)が払い出す(図7Eおよび図7F参照)。
客によって投入されたメダル(預入メダル)の計数、または、メダルの払出が完了すると、子機2Bの制御部40は、預入または払出に関する取引データを作成する(ステップS66)。この取引データには、取引相手である客の会員番号と、本日の日付と、今回の取引が預入および払出のいずれであるかと、メダルの預入枚数または払出枚数と、当該預入枚数または払出枚数を加味した最新の貯メダル数とが含まれている(図4Aおよび図4D参照)。また、制御部40は、ステップS66において、当該取引データに基づいて、今回の預入または払出に関する履歴を作成し、メモリ部44(図3参照)に記録する。なお、メダルの預入や払出にトラブルがあった場合には、係員が、管理装置3にアクセスしなくても、子機2Bのメモリ部44に記録された当該履歴(ステップS62で記録された履歴も含む)に基づいて、トラブルの原因を探すことができる。
その後、制御部40は、先程作成した取引データを管理装置3に送信する。管理装置3の制御部30は、受信した取引データに基づいてDB33(図3参照)における該当するデータを更新する(ステップS67)。具体的には、制御部30は、受信した取引データの客についての会員テーブル50(図4A参照)における貯メダル数を更新したり、当該客の履歴テーブル53(図4D参照)に、今回の取引データを新しい履歴として追加したりする。
管理装置3の制御部30は、DB33の更新が完了すると、その旨を、応答通知として、取引データを送信してきた子機2Bに送信する。さらに、管理装置3の制御部30は、自身が受信した取引データを親機2Aに送信する。親機2Aの制御部40は、受信した取引データに基づいてメモリ部44(図3参照)における該当するデータを、管理装置3の場合と同様に更新する(ステップS68)。ステップS68では、親機2Aの制御部40が、通信異常のない通常状態において、メモリ部44でバックアップ管理しているデータ(管理装置3のDB33内の管理データと同じデータ)を更新する。
ただし、通信異常があった場合、前述した取引データおよび応答通知の送信(図11Bにおいて1点鎖線で囲まれた部分)は、メダル預払機2間で行われる。つまり、子機2Bの制御部40は、縮退運転として、取引データを、管理装置3の代替機である親機2Aに送信する。そして、ステップS67の処理が省略され、親機2Aの制御部40が、縮退運転として、受信した取引データに基づいてメモリ部44(図3参照)における該当するデータを更新する(ステップS68)。この場合、親機2Aの制御部40は、データの更新が完了すると、その旨を、応答通知として、取引データを送信してきた子機2Bに送信する。
子機2Bの制御部40は、通信異常の有無にかかわらず、応答通知を受信したのに応じて、客がOKキー74(図6H参照)またはOKキー82(図7H参照)を押すことで今回の取引が全て終了したか否かを確信する(ステップS69)。
取引が終了すれば(ステップS69でYES)、制御部40は、その旨を示す終了通知を管理装置3に送信する(ステップS70)。管理装置3の制御部30は、終了通知を受信したのに応じて、今回の客についての前述した会員情報のロックを解除する(ステップS71)。これにより、当該客は、今回取引した子機2Bはもちろんのこと、他のメダル預払機2において、新しく取引ができるようになる。
そして、通信異常中に親機2Aで更新されたデータ(ステップS64およびS68)は、前述したように、通信異常が解消した後に、管理装置3に送信されて(図9のステップS30)、管理装置3のDB33における管理データが更新される。
図12は、メダル預払機2で会員登録が行われる際にメダル預払システム1内で実施される処理を説明するための図である。
次に、図12を参照して、待機中のメダル預払システム1において各メダル預払機2での会員登録の取引が行われた場合における処理について説明する。
メダル預払システム1が待機中にある場合(ステップS81)、たとえば、子機2Bにおいて、これから会員登録しようとする客によって表示操作部16(図5B参照)で誕生日が入力され(ステップS82)、その後、表示操作部16(図5C参照)でパスワードが入力される(ステップS83)。
誕生日およびパスワードの入力を受けた子機2Bの制御部40は、入力されたパスワードと重複するパスワードがDB33(図4Aや図4B参照)において既に登録されているか否かを管理装置3に問い合わせる(図3参照)。ただし、所定の件数(たとえば5件)までなら、パスワードの重複は許容される。このメダル預払機2では、本人確認の際、パスワードだけでなく、指静脈データも用いられるからである。
問い合わせを受けた管理装置3の制御部30は、問い合わせに係るパスワードと同じパスワードが既に登録されているか否かをDB33の会員テーブル50(図4A参照)や係員テーブル51(図4B参照)において確認する。確認の結果、重複するパスワードが会員テーブル50等に存在しない場合、または、存在したとしても前述した所定の件数未満(5件未満)しか存在しない場合には、制御部30は、子機2Bにおいて今回入力されたパスワードがOKである旨の通知(パスワードOK通知)を当該子機2Bに送信する。
ただし、通信異常があった場合、パスワード重複の問い合わせおよびパスワードOK通知の送信(図12において破線で囲まれた部分)は、メダル預払機2間で行われる。つまり、子機2Bの制御部40(図3参照)は、縮退運転として、パスワード重複の問い合わせを、管理装置3の代替機である親機2Aに問い合わせる。そして、親機2Aの制御部40が、縮退運転として、管理装置3の代わりに、自身のメモリ部44(図3参照)でバックアップ管理している会員情報や係員情報(起動時に管理装置3から送信された会員テーブル50や係員テーブル51の情報)の中から、問い合わせのあったパスワードが既に登録されているか否かを確認する。確認の結果、重複するパスワードがメモリ部44に存在しない場合、または、存在したとしても前述した所定の件数未満しか存在しない場合には、親機2Aの制御部40は、前記パスワードOK通知を当該子機2Bに送信する。このように、通信異常中において、親機2Aは、それまでの通常状態でバックアップ管理していた管理データに基づいて、管理装置3の代替機として稼動できることから、各メダル預払機2の縮退運転による各メダル預払機2での取引を確実に継続できる。
そして、通信異常の有無にかかわらず、このようにパスワードOK通知を受信した子機2Bでは、指静脈認証部19での客の指静脈データの読取り(取得)が、前述したように(図5E参照)、3回行われる(ステップS84)。
その後、指静脈認証部19が当該指の指静脈データをもう1回取得し、前述したように(図5F参照)、この客についての最終的な指静脈データが登録される(ステップS85)。
最終的な指静脈データの登録が完了すると、子機2Bの制御部40は、今回の取引で得た会員情報(誕生日やパスワードや本日の日付等)と、先程登録した指静脈データ(認証データ)とを管理装置3に送信する。これらのデータを受信した管理装置3の制御部30は、当該データを、新規会員データとして、会員テーブル50(図4A参照)および指静脈データテーブル52(図4C参照)に登録し、今回新規会員となった客についての履歴テーブル53(図4D参照)をDB33(図3参照)に新設する(ステップS86)。
その後、管理装置3の制御部30は、今回の新規会員についての会員登録(ステップS86におけるデータ登録)が確定した旨の通知(会員登録確定通知)を、会員登録のあった子機2Bに送信する。また、管理装置3の制御部30は、ステップS86で登録した新規会員データを親機2Aに送信する。これに応じて、親機2Aの制御部40は、受信した新規会員データを、自身のメモリ部44(図3参照)に登録(新規会員データ登録)する(ステップS87)。ステップS87では、親機2Aの制御部40が、通信異常のない通常状態において、管理装置3の管理データ(DB33内のデータ)をメモリ部44において新たにバックアップ管理することになる。
ただし、通信異常があった場合、会員情報および認証データの送信ならびに会員登録確定通知の送信(図12において1点鎖線で囲まれた部分)は、メダル預払機2間で行われる。つまり、子機2Bの制御部40(図3参照)は、縮退運転として、会員情報および認証データを、管理装置3の代替機である親機2Aに送信する。そして、親機2Aの制御部40は、縮退運転として、管理装置3の代わりに、自身のメモリ部44(図3参照)において、新規会員データ登録(バックアップ登録)を行ない(ステップS86)、その後、会員登録確定通知を、会員登録のあった子機2Bに送信する。この場合、ステップS87の処理は省略される。通信異常中に親機2Aで登録された新規会員データは、前述したように、通信異常が解消した後に、管理装置3に送信されて(図9のステップS30)、管理装置3のDB33において新規登録される。
そして、通信異常の有無にかかわらず、会員登録確定通知を受信した子機2Bの制御部40は、今回新規会員となった客について自身のメモリ部44(図3参照)等に一時的に記録されているデータを消去する(ステップS88)。これによって、一連の会員登録の取引が完了し、メダル預払システム1が待機を開始する(ステップS89)。
なお、図10〜図12では、子機2Bで取引があった場合について説明しているが、親機2Aにおいて取引があった場合も、子機2Bで取引があった場合とほぼ同様である。ただし、子機2Bで取得されたデータが管理装置3へ送信されて、親機2Aにバックアップ管理されるといったデータ処理は、親機2Aの場合には、親機2Aで取得されたデータが一旦管理装置3へ送信されてから親機2Aにバックアップ管理されるというデータ処理になる。また、縮退運転において子機2Bが親機2Aに対してデータを送信したり問い合わせしたりする処理は、親機2Aが自分自身に対してデータを送信したり問い合わせしたりする処理になる。
図13は、会員テーブル50を示す図である。図14は、払出枚数を入力する際における表示操作部16の表示内容(第1の態様)を示す図である。図15は、払出枚数を入力する際における表示操作部16の表示内容(第2の態様)を示す図である。
次に、図13〜図15を参照して、各メダル預払機2でメダルの払出取引を行う場合において、今回払い出すメダルの枚数(払出枚数)を入力する手順について説明する。
図13に示す会員テーブル50には、前述した会員番号、パスワード、誕生日等の他に、払出枚数入力設定内容という情報が会員番号毎(会員毎)に記録されている。
払出枚数入力設定内容とは、メダルを払い出す際に払出枚数をどのように入力するかという内容であって、会員登録時等に客(会員)が任意に決めることができる。
払出枚数入力設定内容は、会員番号123456の会員の場合には、テンキー85(図15参照)によって、任意の払出枚数を直接入力(指定)するというものである。
会員番号234567の会員の払出枚数入力設定内容は、直近の任意の所定回数(ここでは、4回)の払出枚数から選択するというものである。たとえば、図4Dの履歴テーブル53を参照すると、直近4回の払出枚数は、2010年12月5日の100枚、2010年11月24日の80枚、2010年10月13日の100枚、および、2010年10月1日の120枚なので、これらの払出枚数の中のいずれかが今回の払出枚数となる。
図13に戻り、会員番号345678の会員の払出枚数入力設定内容は、直近の任意の所定回数分(ここでは、4回分)の払出枚数の平均値を今回の払出枚数の候補とするというものである。たとえば、図4Dを参照すると、直近4回の払出枚数は、2010年12月5日の100枚、2010年11月24日の80枚、2010年10月13日の100枚、および、2010年10月1日の120枚なので、これらの払出枚数の平均値が今回の払出枚数となる。
図13に戻り、会員番号456789の会員の払出枚数入力設定内容は、任意の所定タイミング(ここでは、2010年10月)以降のメダル払い出し毎の払出枚数の平均値を今回の払出枚数の候補とするというものである。たとえば、図4Dを参照すると、2010年10月以降の払出枚数は、2010年12月5日の100枚、2010年11月24日の80枚、2010年10月13日の100枚、および、2010年10月1日の120枚なので、これらの払出枚数の平均値が今回の払出枚数となる。
図13に戻り、会員番号567890の会員の払出枚数入力設定内容は、この客についての履歴に含まれる今までの全件の払出枚数の平均値を今回の払出枚数の候補とするというものである。
会員番号678901の会員の払出枚数入力設定内容は、会員登録時に予め指定した指定値(ここでは、50枚)を毎回の払出枚数とするというものである。
メダルの払出取引を行うメダル預払機2の制御部40(図3参照)は、前述した本人確認(図7Bおよび図7C参照)が正常に終了したときに、払出枚数入力画面(図7D参照)を表示操作部16に表示して、客の所望する払出枚数の入力を表示操作部16において受け付けるのだが、客の払出枚数入力設定内容に応じて、払出枚数入力画面の内容を変える。
具体的に、制御部40は、本人確認が終了したときに、会員テーブル50を参照して、本人確認を行った客の払出枚数入力設定内容を確認する。今回の客が、図13における会員番号234567の会員であれば、制御部40は、図14に示す内容の払出枚数入力画面を表示操作部16に表示する。
図14では、たとえば、表示操作部16の上端に、「払出枚数を入力して下さい」という見出しが表示され、表示操作部16の左半分の領域に履歴表示欄83が表示され、表示操作部16の右半分の領域には、テンキー85および入力欄86が並んで表示される。
履歴表示欄83では、「過去4回分の払出枚数」という見出しの下に、直近4回分の払出枚数の履歴が、払出取引のあった日時とともに並んで表示される。履歴表示欄83において4回分の履歴の払出枚数の数値部分(上から順に、「100」、「80」、「100」、「120」)の表示のそれぞれは、タッチキー84(指定手段)になっている。
入力欄86には、今回の入力される払出枚数が表示される。ただし、払出枚数入力画面が表示操作部16に表示された直後では、入力欄86は空欄になっていて、入力欄86には何も数値が表示されていない。または、入力欄86には、デフォルト値として「0(零)」が表示されている。履歴表示欄83に表示された4回分の払出枚数のうちで今回の払出枚数にしたい数値のタッチキー84を客が押すと、当該数値が、入力欄86に表示される。つまり、タッチキー84は、払出履歴を表示するとともに、表示操作部16が受け付ける払出枚数を指定するための指定手段を兼ねている。
または、客は、履歴表示欄83に表示された4回分の払出枚数とは別の数値を今回の払出枚数にしたいのであれば、タッチキー84でなくテンキー85を操作することによって、当該数値を入力欄86に表示させる。具体的には、テンキー85を操作して当該数値を入力欄86に表示させてからET(エンター)キー85Aを押すと、テンキー85の操作が確定する。なお、入力欄86に表示された数値を訂正したい場合には、CL(クリア)キー85Bを押して当該数値を消去してから、改めてタッチキー84やテンキー85を操作して、今回の払出枚数にしたい数値を入力欄86に表示させればよい。
客は、今回の払出枚数にしたい数値を入力欄86に表示させてから、この数値を、今回の払出枚数として確定したい場合には、「OK」と記されたOKキー87を押す。すると、メダル預払機2の制御部40は、この払出枚数分のメダルを払い出す処理を行う(図7E〜図7Hおよび図11BのステップS65参照)。なお、今回の取引をキャンセルしたいのであれば、「やめる」と記された中止キー88を押せばよい。
このように、メダルの払い出しを受けようとする客にとって、表示操作部16(履歴表示欄83)に表示された自身の過去の払出枚数の履歴における各払出枚数は、今回所望する払出枚数になりやすい。よって、客は、当該履歴の中から、今回所望する払出枚数を速やかに指定できる上に、表示操作部16における当該履歴の各払出枚数の表示(タッチキー84)を選択するだけで、今回所望する払出枚数を速やかに指定することもできる。よって、メダルの払出枚数の指定に関して使い勝手の更なる向上を図ることができる。
一方、図13における会員番号が234567以外の客の場合には、制御部40は、図15に示す内容の払出枚数入力画面を表示操作部16に表示する。図15に示す表示操作部16には、「払出枚数を入力して下さい」という見出しの下に、前述したテンキー85、入力欄86、OKキー87および中止キー88が表示されている。
ここで、前述した会員番号が123456の客の場合には(図13参照)、払出枚数入力画面が表示操作部16に表示された直後の状態では、入力欄86が空欄となっており(または、「0(零)」が初期表示されており)、この客は、前述したようにテンキー85を操作することによって、今回の払出枚数にしたい数値を入力欄86に表示させる。その後、OKキー87を押すと、前述したように、メダル預払機2の制御部40が、この数値分(払出枚数分)のメダルを払い出す処理を行う。そのため、メダルの払い出しを受けようとする客は、必要に応じて、表示操作部16に表示されたテンキー85によって払出枚数を任意に指定することができる。よって、メダルの払出枚数の指定に関して使い勝手の向上を図ることができる。
前述した会員番号が345678の客の場合には(図13参照)、制御部40は、この客が予め選択していた直近4回分の払出枚数の平均値を算出し、払出枚数入力画面が表示操作部16に表示された直後の状態の入力欄86に、当該平均値を、払出枚数の候補として表示する。つまり、制御部40は、この客の過去の払出枚数に基づいて、払出枚数の候補を算出して入力欄86に表示する。
この客は、入力欄86に表示された候補の数値でよければ、OKキー87を押す。すると、前述したように、メダル預払機2の制御部40が、この数値分(払出枚数分)のメダルを払い出す処理を行う。一方、客は、入力欄86に表示された数値を修正したければ、テンキー85を操作することによって、この数値を消去し、自身が今回所望する数値を入力欄86に表示させてから、OKキー87を押せばよい。これにより、客が所望する払出枚数のメダルがメダル預払機2から払い出されるようになる。
前述した会員番号が456789の客の場合には(図13参照)、制御部40は、この客が予め選択していた2010年10月以降分の払出枚数の平均値を算出し、払出枚数入力画面が表示操作部16に表示された直後の状態の入力欄86に、当該平均値を、払出枚数の候補として表示する。つまり、制御部40は、この客の過去の払出枚数に基づいて、払出枚数の候補を算出して入力欄86に表示する。
前述した会員番号が567890の客の場合には(図13参照)、制御部40は、この客が予め選択していた自身の全ての払出枚数(図4D参照)の平均値を算出し、払出枚数入力画面が表示操作部16に表示された直後の状態の入力欄86に、当該平均値を、払出枚数の候補として表示する。つまり、制御部40は、この客の過去の全ての払出枚数に基づいて、払出枚数の候補を算出して入力欄86に表示する。
前述した会員番号が678901の客の場合には(図13参照)、払出枚数入力画面が表示操作部16に表示された直後の状態の入力欄86には、この客が予め選択していた指定値(50枚)がデフォルトで表示されている。つまり、会員番号が678901の客の場合、制御部40は、この客によって予め指定された値を、払出枚数の候補として入力欄86に表示する。このように、メダルの払い出しを受けようとする客は、自身が予め指定しておいた値を今回の払出枚数とすることで、払出枚数を速やかに決定して、表示操作部16で入力できる。よって、メダルの払出枚数の指定に関して使い勝手の向上を図ることができる。
会員番号が456789や567890や678901(図13参照)の客は、入力欄86に表示された数値でよければ、OKキー87を押す。すると、前述したように、メダル預払機2の制御部40が、この数値分(払出枚数分)のメダルを払い出す処理を行う。一方、客は、入力欄86に表示された数値を修正したければ、テンキー85を操作することによって、この数値を消去し、自身が今回所望する数値を入力欄86に表示させてから、OKキー87を押せばよい。これにより、客が所望する払出枚数のメダルがメダル預払機2から払い出されるようになる。
以上のように、メダル預払機2の制御部40は、メダルの払出の取引を行う場合には、メダルの払い出しを受ける客による表示操作部16での払出枚数の入力を受け付けるのに先立って、当該客についての過去の払出枚数に関する払出情報を表示操作部16に表示する(図14および図15参照)。払出情報とは、当該客についての過去の所定回分の払出枚数の履歴(図14参照)や、当該払出枚数に基づいて算出された前記候補(所定回分の払出枚数の平均値等)である。
メダルの払い出しを受けようとする客は、自身の過去の払出枚数に関する払出情報を表示操作部16で把握できるので、今回所望する払出枚数を当該払出情報に基づいて速やかに決定して、表示操作部16で入力(指定)できる。そのため、メダルの払出枚数の指定に関して使い勝手の向上を図ることができる。
ここで、メダルの払い出しを受けようとする客にとって、自身の過去の払出枚数に基づいて算出された払出枚数の候補が、今回所望する払出枚数になりやすい。
特に、前述したように算出された払出枚数の候補(直近の所定回数分の払出枚数の平均値や、所定タイミング以降の払出枚数の平均値や、履歴に含まれる全件の払出枚数の平均値)は、客が今回所望する払出枚数として選択する可能性の高い値ばかりである。客は、今回所望する払出枚数を、当該候補とすることで極めて速やかに指定して、表示操作部16で入力できる。
よって、客は、今回所望する払出枚数を、表示操作部16に表示された当該候補とすることで速やかに指定して、表示操作部16で入力できる。そのため、メダルの払出枚数の指定に関して使い勝手の更なる向上を図ることができる。
なお、以上では、(1)過去の払出枚数の履歴、(2)直近の所定回数分の払出枚数の平均値、(3)所定タイミング以降の払出枚数の平均値、(4)履歴に含まれる全件の払出枚数の平均値、(5)客によって予め指定された値のいずれかを、今回の払出枚数の候補として、表示操作部16に表示しているが、これら(1)〜(5)が適宜組合わさった状態で表示操作部16に表示されてもよい。そうすれば、客にとっては、払出枚数の候補の選択肢が増えるというメリットがある。
次に、メダル預払機2に預け入れられたメダルの流れを説明する。
図16は、メダル預払機2に投入されたメダルMを振り分ける様子を示す模式図である。
図16を参照して、メダル預払機2は、前述したようにメダル預入口17(図2参照)に投入されたメダルを処理する構成(前述した預入部41や計数部43の構成)として、回転盤90と、区画壁91と、搬送路92と、搬送ベルト93と、第1分岐路94と、第2分岐路95と、判別センサ96(判別手段)と、第1通過センサ97と、第2通過センサ98と、第3通過センサ99と、第4通過センサ100とを主に備えている。
回転盤90は、メダル預入口17に投入されたメダルMが落下する先に配置された円盤である。図16では、平面視における回転盤90が示されている。回転盤90は、水平方向に平坦となるように配置されていて、この状態で、所定方向(図16では実線矢印に沿う時計回りの方向)に回転する。回転盤90上のメダルMは、回転盤90の回転に伴って遠心力によって回転盤90の外周側へ徐々に移動するようになっている。
区画壁91は、平面視で回転盤90の外周を取り囲む略環状の縦壁である。区画壁91の周上1箇所には、メダルMが1枚ちょうど通過できるスリット101が形成されている。なお、メダルMより大径であったり、厚かったりするもの(異物等)は、スリット101を通過できずに回転盤90上に残留するようになっており、メダル預払機2のメンテナンス時に回収される。
搬送路92は、区画壁91に連結されていて、スリット101から帯状に延びている。図16では、平面視における搬送路92が示されている。搬送路92は、自身が延びる方向(図16では左右方向)において長手である。搬送路92の床面(底面)には、平面視でメダルMよりも大きい落下穴102が、搬送路92の長手方向に間隔を隔てて2つ形成されている。2つの落下穴102を、スリット101に近い方から順に、第1落下穴102A、第2落下穴102Bと区別する。各落下穴102は、搬送路92において、搬送路92の長手方向に直交する方向(図16における上下方向)における一方側(図16では下側)へ偏った位置に形成されている。そのため、搬送路92の床面において長手方向で第1落下穴102Aが存在する領域には、第1落下穴102Aが形成された部分(図16の下側部分)と、第1落下穴102Aが形成されていない部分(図16の上側部分であり、「第1通過部分92A」という)とが存在する。また、搬送路92の床面において長手方向で第2落下穴102Bが存在する領域には、第2落下穴102Bが形成された部分(図16の下側部分)と、第2落下穴102Bが形成されていない部分(図16の上側部分であり、「第2通過部分92B」という)とが存在する。
メダル預払機2において、搬送路92においてスリット101から最も離れた部分(図16における左端部)の先には、メインホッパ103が配置されている。図16では、説明の便宜上、メインホッパ103を、カップ状の容器としている。
前述したように回転盤90の回転に伴って遠心力によって回転盤90の外周側へ移動した回転盤90上のメダルMは、スリット101を通過して搬送路92の床面上に受け渡される。
搬送ベルト93は、たとえばエンドレスベルトであり、水平方向(図16の紙面に沿う方向)から見て環状をなしている。図16では、平面視における搬送ベルト93が示されている。搬送ベルト93は、平面視で搬送路92内に配置されており、この状態で、搬送路92に沿って延びている。搬送ベルト93が周回移動すると、搬送ベルト93において搬送路92の床面に臨んでいる部分は、搬送路92の長手方向に沿って、スリット101から離れる方向(図16における左側)へ移動する。スリット101を通過して搬送路92の床面上に受け渡されたメダルMは、搬送ベルト93において搬送路92の床面に臨んでいる部分と搬送路92の床面とに挟まされた状態で、周回移動する搬送ベルト93によって、スリット101から離れる方向へ搬送路92内を搬送される。このとき、メダルMは、平面視において、搬送路92の長手方向と直交する方向において各落下穴102から離れた側(図16では上側)に偏った状態で搬送路92内を搬送される。そのため、メダルMが、搬送路92の長手方向で各落下穴102が位置する部分に差し掛かると、メダルMに対して他から外力が作用していない場合には、前述した第1通過部分92Aや第2通過部分92B(落下穴102が形成されていない部分)を通過し、落下穴102から落下しないようになっている。そのため、メダルMは、各落下穴102から落下することなく、このまま搬送路92を最後まで搬送されると、メインホッパ103に収容される。
第1分岐路94は、搬送路92の第1落下穴102Aから連続して下方(図16の紙面奥側)へ延びている。第1分岐路94の先には、返却口24(図2参照)が位置している。図16では、説明の便宜上、返却口24を、カップ状の容器に見立てている。
メダル預払機2には、搬送路92の外側の位置であって、第1通過部分92Aを第1落下穴102Aとの間で挟む位置に、第1リジェクトベアリング105が設けられている。第1リジェクトベアリング105は進退可能であり、退避位置にあるときは、搬送路92の外側に位置しているが、退避位置から進出したときには、第1通過部分92Aを横切って第1落下穴102Aに到る。そのため、第1リジェクトベアリング105が退避位置にあるときには、メダルMは、第1通過部分92Aに差し掛かっても、第1落下穴102Aから落下することなく、第1通過部分92Aを通過して、さらに搬送路92を下流側へ搬送される。しかし。メダルMが第1通過部分92Aに差し掛かったときに第1リジェクトベアリング105が退避位置から進出すると、このメダルMは、第1リジェクトベアリング105によって第1落下穴102A側へ叩きつけられ、これによって第1落下穴102Aから落下して第1分岐路94を通過し、最終的には返却口24に到る。
第2分岐路95は、搬送路92の第2落下穴102Bから連続して下方へ延びている。メダル預払機2において、第2分岐路95の先には、サブホッパ104が配置されている。図16では、説明の便宜上、サブホッパ104を、カップ状の容器としている。
メダル預払機2には、搬送路92の外側の位置であって、第2通過部分92Bを第2落下穴102Bとの間で挟む位置に、第2リジェクトベアリング106が設けられている。第2リジェクトベアリング106は進退可能であり、退避位置にあるときは、搬送路92の外側に位置しているが、退避位置から進出したときには、第2通過部分92Bを横切って第2落下穴102Bに到る。そのため、第2リジェクトベアリング106が退避位置にあるときには、メダルMは、第2通過部分92Bに差し掛かっても、第2落下穴102Bから落下することなく、第2通過部分92Bを通過して、さらに搬送路92を下流側へ搬送される。しかし、メダルMが第2通過部分92Bに差し掛かったときに第2リジェクトベアリング106が退避位置から進出すると、このメダルMは、第2リジェクトベアリング106によって第2落下穴102B側へ叩きつけられ、これによって第2落下穴102Bから落下して第2分岐路95を通過し、最終的にはサブホッパ104に到る。
判別センサ96は、搬送路92において第2落下穴102Aとスリット101との間に配置されている。判別センサ96は、搬送路92において自身が配置された部分を通過するメダルMの種類を判別することができる。ここで、メダルMには、メダル預払機2が配置された遊技店(自店)が取り扱うメダルM(「自店メダルM1」という)、自店と同系列の他店(同じ遊技店グループに属するチェーン店)のメダルM(「同系列他店メダルM2」という)と、自店とは別系列(無関係)の他店のメダルM(「他系列他店メダルM3」という)という主に3つの種類が存在する。なお、他系列他店メダルM3には、そもそもメダルMでない異物も含まれることにする。図16では、白抜きの丸になっているメダルMが自店メダルM1であり、ドットを付した丸になっているメダルMが同系列他店メダルM2であり、ハッチングを付した丸になっているメダルMが他系列他店メダルM3である。
この遊技店(自店)において、自店メダルM1は、正規のメダルMであり、同系列他店メダルM2および他系列他店メダルM3は、非正規のメダルMであるが、同系列他店メダルM2および他系列他店メダルM3を比べると、他系列他店メダルM3の方が同系列他店メダルM2よりも非正規の度合いが相対的に高い。
判別センサ96は、いわゆる画像センサであって、自店メダルM1や同系列他店メダルM2や他系列他店メダルM3の各メダルの画像データを予め保有している。判別センサ96は、搬送路92において自身が配置された部分を通過するメダルMの画像と、判別センサ96自身が保有する画像データとを照合することによって、当該メダルMの種類を判別する。なお、各メダルMの表裏の形態は一般的に同じなので、判別センサ96は、メダルMの表裏のどちらによっても、当該メダルMの種類を判別することができる。判別センサ96は、メダルMの種類を判別することによって、当該メダルMが正規(自店メダルM1)であるか否か、または、当該メダルMが非正規である場合における非正規の度合い(同系列他店メダルM2および他系列他店メダルM3のどちらであるか)を判別できる。
後述するように、搬送路92を搬送されるメダルMのうち、自店メダルM1は、搬送路92を最後まで搬送されてメインホッパ103に回収され、同系列他店メダルM2は、第2落下穴102Bから落下してサブホッパ104に回収され、他系列他店メダルM3は、第1落下穴102Aから落下して返却口24に返却されるようになっている。
第1通過センサ97、第2通過センサ98、第3通過センサ99および第4通過センサ100のそれぞれは、いわゆる遮光センサを構成している。これらの通過センサは、搬送路92の長さ方向において間隔を隔てて並ぶように配置されている。第1通過センサ97は、スリット101と判別センサ96との間に配置され、第2通過センサ98は、判別センサ96と第1落下穴102Aとの間に配置されている。第3通過センサ99は、第1落下穴102Aと第2落下穴102Bとの間に配置され、第4通過センサ100は、スリット101から離れる方向において第2落下穴102Bより下流側の位置(第2落下穴102Bとメインホッパ103との間)に配置されている。
第1通過センサ97は、検知光(図示せず)を発光する発光素子97Aと、発光素子97Aからの検知光を受光する受光素子97Bとを含んでいる。発光素子97Aおよび受光素子97Bは、平面視において搬送路92の長さ方向に対して直交する方向(図16における上下方向)から搬送路92を挟むように、間隔を隔てて対向配置されている。第1通過センサ97は、検知光が一度遮断されたことによって、自身が配置された位置においてメダルMが1枚通過したことを検知する。
第2通過センサ98〜第4通過センサ100のそれぞれも、第1通過センサ97と同様の構成を有している。つまり、第2通過センサ98は、搬送路92を挟んで対向配置される発光素子98Aおよび受光素子98Bを備え、発光素子98Aおよび受光素子98B間での検知光が一度遮断されたことによって、自身が配置された位置においてメダルMが1枚通過したことを検知する。同様に、第3通過センサ99は、搬送路92を挟んで対向配置される発光素子99Aおよび受光素子99Bを備え、発光素子99Aおよび受光素子99B間での検知光が一度遮断されたことによって、自身が配置された位置においてメダルMが1枚通過したことを検知する。同様に、第4通過センサ100は、搬送路92を挟んで対向配置される発光素子100Aおよび受光素子100Bを備え、発光素子100Aおよび受光素子100B間での検知光が一度遮断されたことによって、自身が配置された位置においてメダルMが1枚通過したことを検知する。
なお、以下では、第1通過センサ97〜第4通過センサ100のそれぞれは、メダルMが1枚通過したことを検知したときに、「ON」になるものとする。
図17は、メダル預払機2の制御回路ブロック図であり、この発明の特徴と関連する部分のみを示すブロック図である。
図17を参照して、メダル預払機2は、前述した制御部40(図3参照)を備えている。メダル預払機2では、制御部40に対して、前述した判別センサ96、第1通過センサ97、第2通過センサ98、第3通過センサ99および第4通過センサ100のそれぞれと、回転盤モータ107と、搬送ベルト駆動モータ108と、第1アクチュエータ109と、第2アクチュエータ110とが電気的に接続されている。これらは、前述した預入部41や計数部43(図3参照)を構成する。
回転盤モータ107は、回転盤90を回転駆動させる。搬送ベルト駆動モータ108は、搬送ベルト93を周回移動させる。第1アクチュエータ109は、第1リジェクトベアリング105を進退させる。第2アクチュエータ110は、第2リジェクトベアリング106を進退させる。第1アクチュエータ109および第2アクチュエータ110のそれぞれには、ステッピングモータを用いることができる。
図18は、メダル預払機2においてメダルの振り分けに関して行われる制御動作を示すフローチャートである。
次に、メダル預入口17(図2参照)に投入されることでメダル預払機2に預け入れられるメダルがメダル預払機2内で処理される手順を、図18を参照しながら説明する。
なお、既に、回転盤モータ107が回転盤90を回転駆動させていて、搬送ベルト駆動モータ108が搬送ベルト93を周回移動させているものとする(図16参照)。
制御部40(図17参照)は、待機状態において、第1通過センサ97(図16参照)がONになったか否かを監視している(ステップS91)。回転盤90上のメダルMが、スリット101を経て搬送路92で搬送され始めて、第1通過センサ97(発光素子97Aおよび受光素子97Bの間)を通過すると、第1通過センサ97がONになる(図16参照)。
第1通過センサ97がONになると(ステップS91でYES)、制御部40は、変数P(当初は、0「零」)をインクリメント(+1)する(ステップS92)。
次に、制御部40は、先程第1通過センサ97を通過したメダルMが判別センサ96を通過することによって、判別センサ96による当該メダルMの判別があったか否かを確認する(ステップS93)。所定時間が経過しても判別センサ96による判別がなければ(ステップS93でNO)、当該メダルMは、搬送路92において判別センサ96よりも上流側(スリット101側)で詰まっているので、制御部40は、表示操作部16(図2参照)等を介してエラーを報知して、係員に対してエラー解除を促す(ステップS94)。
判別センサ96による判別があった場合において(ステップS93でYES)、制御部40は、判別されたメダルMが他系列のメダル(つまり、前述した他系列他店メダルM3)であるか否かを確認する(ステップS95)。
メダルMが他系列他店メダルM3であれば(ステップS95でYES)、制御部40は、第2通過センサ98(図16参照)がONになったか否かを監視する(ステップS96)。当該他系列他店メダルM3が、判別センサ96による識別後に引き続き搬送されて、第2通過センサ98(発光素子98Aおよび受光素子98Bの間)を通過すると、第2通過センサ98がONになる(図16参照)。所定時間が経過しても第2通過センサ98がONにならなければ(ステップS96でNO)、当該他系列他店メダルM3は、搬送路92において第2通過センサ98よりも上流側で詰まっているので、制御部40は、前述したようにエラーを報知する(ステップS94)。
第2通過センサ98がONになれば(ステップS96でYES)、制御部40は、変数Q(当初は、0「零」)をインクリメント(+1)するとともに、第2通過センサ98がONになってから所定時間が経過したときに第1アクチュエータ109(図17参照)をONにして、第1リジェクトベアリング105(図16参照)を一時的に進出させる(ステップS97)。当該所定時間とは、当該他系列他店メダルM3が第2通過センサ98を通過してから第1通過部分92Aに差し掛かるまでにかかる時間であり、実験等によって予め定められている。なお、搬送路92におけるメダルの搬送速度(搬送ベルト93の周回速度等)に応じて、当該所定時間の誤差補正が適宜なされるようになっている。誤差補正に際して、第1通過センサ97と第2通過センサ98との間でのメダルMの通過タイミング(通過時間)が参酌される。このようにして、第1リジェクトベアリング105の進出タイミングが調整されている。
ステップS97で第1リジェクトベアリング105が進出することによって、第1通過部分92Aに差し掛かった他系列他店メダルM3は、第1落下穴102Aから落下し、第1分岐路94を経由した後に、返却口24(図2参照)から客に返却される(図16参照)。前述したように第1リジェクトベアリング105の進出タイミングが調整されているので、進出した第1リジェクトベアリング105は、空振りすることなく、他系列他店メダルM3を第1落下穴102Aから落下させることができる。また、当該他系列他店メダルM3の前後で別の種類のメダルMが搬送路92内を搬送されていたとしても、前述した進出タイミングの誤差補正により、当該他系列他店メダルM3だけが第1落下穴102Aから落下するようになっている。
一方、ステップS93で判別されたメダルMが、他系列のメダル(他系列他店メダルM3)でない場合には(ステップS95でNO)、当該メダルMは、前述した自店メダルM1および同系列他店メダルM2のいずれかである。この場合、制御部40は、判別センサ96による判別結果に基づいて、当該メダルMが他店のメダル(つまり、同系列他店メダルM2)であるか否かを確認する(ステップS98)。
当該メダルMが他店のメダル(同系列他店メダルM2)である場合(ステップS98でYES)、制御部40は、当該同系列他店メダルM2が第2通過センサ98を通過することで第2通過センサ98(図16参照)がONになったか否かを監視する(ステップS99)。所定時間が経過しても第2通過センサ98がONにならなければ(ステップS99でNO)、当該同系列他店メダルM2は、搬送路92において第2通過センサ98よりも上流側で詰まっているので、制御部40は、ステップS94の場合と同様に、エラーを報知する(ステップS100)。
第2通過センサ98がONになった場合には(ステップS99でYES)、制御部40は、今度は第3通過センサ99(図16参照)がONになったか否かを監視する(ステップS101)。当該同系列他店メダルM2が、第2通過センサ98を通過した後に搬送路92を引き続き搬送されて、第3通過センサ99(発光素子99Aおよび受光素子99Bの間)を通過すると、第3通過センサ99がONになる(図16参照)。所定時間が経過しても第3通過センサ99がONにならなければ(ステップS101でNO)、当該同系列他店メダルM2は、搬送路92において第3通過センサ99よりも上流側で詰まっているので、制御部40は、前述したようにエラーを報知する(ステップS100)。
第3通過センサ99がONになれば(ステップS101でYES)、制御部40は、変数R(当初は、0「零」)をインクリメント(+1)するとともに、第3通過センサ99がONになってから所定時間が経過したときに第2アクチュエータ110(図17参照)をONにして、第2リジェクトベアリング106(図16参照)を一時的に進出させる(ステップS102)。当該所定時間とは、当該同系列他店メダルM2が第3通過センサ99を通過してから第2通過部分92Bに差し掛かるまでにかかる時間であり、実験等によって予め定められている。なお、搬送路92におけるメダルの搬送速度(搬送ベルト93の周回速度等)に応じて、当該所定時間の誤差補正が適宜なされるようになっている。誤差補正に際して、第2通過センサ98と第3通過センサ99との間でのメダルMの通過タイミング(通過時間)が参酌される。このようにして、第2リジェクトベアリング106の進出タイミングが調整されている。
ステップS102で第2リジェクトベアリング106が進出することによって、第2通過部分92Bに差し掛かった同系列他店メダルM2は、第2落下穴102Bから落下し、第2分岐路95を経由した後に、サブホッパ104に溜められる(図16参照)。サブホッパ104に溜められた同系列他店メダルM2は、メダル預払機2のメンテナンス時に係員によって回収されて、同系列他店メダルM2を取り扱う同系列他店に返却される。前述したように第2リジェクトベアリング106の進出タイミングが調整されているので、進出した第2リジェクトベアリング106は、空振りすることなく、同系列他店メダルM2を第2落下穴102Bから落下させることができる。また、当該同系列他店メダルM2の前後で別の種類のメダルMが搬送路92内を搬送されていたとしても、前述した進出タイミングの誤差補正により、当該同系列他店メダルM2だけが第2落下穴102Bから落下するようになっている。
ステップS98において、判別センサ96によって判別されたメダルMが他店のメダルでなく、自店メダルM1である場合(ステップS98でNO)、制御部40は、当該自店メダルM1が第2通過センサ98を通過することで第2通過センサ98(図16参照)がONになったか否かを監視する(ステップS103)。所定時間が経過しても第2通過センサ98がONにならなければ(ステップS103でNO)、当該自店メダルM1は、搬送路92において第2通過センサ98よりも上流側で詰まっているので、制御部40は、エラーを報知する(ステップS100)。
第2通過センサ98がONになった場合には(ステップS103でYES)、制御部40は、今度は、制御部40は、当該自店メダルM1が第3通過センサ99を通過することで第3通過センサ99(図16参照)がONになったか否かを監視する(ステップS104)。所定時間が経過しても第3通過センサ99がONにならなければ(ステップS104でNO)、当該自店メダルM1は、搬送路92において第3通過センサ99よりも上流側で詰まっているので、制御部40は、エラーを報知する(ステップS100)。
第3通過センサ98がONになった場合には(ステップS104でYES)、制御部40は、今度は第4通過センサ100(図16参照)がONになったか否かを監視する(ステップS105)。当該自店メダルM1が、第3通過センサ99を通過した後に搬送路92を引き続き搬送されて、第4通過センサ100(発光素子100Aおよび受光素子100Bの間)を通過すると、第4通過センサ100がONになる(図16参照)。所定時間が経過しても第4通過センサ100がONにならなければ(ステップS105でNO)、当該自店メダルM1は、搬送路92において第4通過センサ100よりも上流側で詰まっているので、制御部40は、前述したようにエラーを報知する(ステップS100)。
第4通過センサ100がONになれば(ステップS105でYES)、制御部40は、変数S(当初は、0「零」)をインクリメント(+1)する(ステップS106)。図16を参照して、第4通過センサ100を通過した当該自店メダルM1は、搬送路92を最後まで搬送された後に、メインホッパ103に回収され、以降のメダル払出取引の際に、客に払い出される。
このようにして、メダル預入口17(図2参照)から投入された回転盤90上のメダルMは、次々とスリット101から搬送路92上に受け渡され、判別センサ96で判別を受ける。判別センサ96で判別を受けたメダルMは、判別センサ96の判別結果に応じて、他系列他店メダルM3であれば第1落下穴102Aから第1分岐路94経由で返却口24へ送られ、同系列他店メダルM2であれば第2落下穴102Bから第2分岐路95経由でサブホッパ104に溜められ、自店メダルM1であれば、最後まで搬送路92を流れた後にメインホッパ103に回収される。つまり、回転盤90上のメダルMは、判別センサ96による判別結果に応じて(当該メダルMの種類によって)、第1の振分先である返却口24、第2の振分先であるサブホッパ104、および、第3の振分先であるメインホッパ103のいずれか(3つの振分先のいずれか)に振り分けられる。メダルMの振り分けは、制御部40、第1通過センサ97、第2通過センサ98、第3通過センサ99、第1アクチュエータ109および第2アクチュエータ110(図17参照)のまとまりである振分手段によって実行される。
つまり、このメダル預払機2では、預け入れられたメダルMを、3種類うちのいずれかの種類のメダルMであると判別して、各種類のメダルMを別々の振分先に振り分けることができるから、多種類のメダルMに対応できて使い勝手がよい。
特に、非正規の度合いが相対的に高い他系列他店メダルM3は、返却口24にリジェクトすることによって機外の客に対して速やかに返却できるので、使い勝手がよい。ここで、第1〜第3の振分先の中で、第1の振分先(返却口24)への他系列他店メダルM3の振り分けが最初に行われるようになっている(図18のステップS93〜S97参照)。よって、他系列他店メダルM3の振り分けが最初に行われて当該他系列他店メダルM3が客に対して速やかに返却されるので、客は、間違ったメダルM3をメダル預払機2に投入したことに速やかに気付くことができて使い勝手がよい。
そして、第1通過センサ97〜第4通過センサ100のそれぞれをメダルMが1枚通過するたびに、制御部40によって変数P、Q、R、Sが1つずつインクリメントされる(図18のステップS92、S97、S102、S106)。ここで、回転盤90上のメダルM(スリット101を通過できないものを除く)が全て前記第1〜第3の振分先に振り分けられることでメダルMの預入処理が完了した直後の時点では、変数PおよびQは、いずれも、振分開始前に回転盤90上にあったメダルM(スリット101を通過できなかったものを除く)の総数である。また、当該時点での変数Rは、第1落下穴102Aで落下しなかった自店メダルM1および同系列他店メダルM2の総数であり、当該時点での変数Sは、第1落下穴102Aおよび第2落下穴102Bで落下しなかった自店メダルM1の総数である。制御部40は、当該時点の変数PまたはQから変数Rを差し引くことで、返却口24へ送られた他系列他店メダルM3の総数を得ることができる。また、制御部40は、当該時点の変数Rから変数Sを差し引くことで、サブホッパ104へ送られた同系列他店メダルM2の総数を得ることができる。
このメダル預払機2では、他系列他店メダルM3は預入(前述した貯メダル)の対象とせず、自店メダルM1および同系列他店メダルM2は、預入の対象としているので、自店メダルM1および同系列他店メダルM2の総数である変数Rを、最終的に預け入れられたメダルMの枚数(預入枚数であり、追加の貯メダル数)としている。つまり、制御部40は、以上のように第1通貨センサ97〜第4通貨センサ100を用いることで、預け入れられるメダルMをカウントするのだが、カウントの対象から、返却口24に振り分けられた他系列他店メダルM3を除外している。そのため、他系列他店メダルM3が混ざった状態でメダルMのカウントが行われることで預入枚数に誤算が生じることを防止できる。
なお、メダルMを管理する都合上、当該預入枚数だけでなく、他系列他店メダルM3や同系列他店メダルM2のそれぞれの総数も管理している。また、判別センサ96によって同系列他店メダルM2または他系列他店メダルM3が判別された場合には、任意のタイミングにおいて、その旨(投入されたメダルMが自店メダルM1でない旨)の警告や、同系列他店メダルM2は貯メダルとして預入できる旨等が表示操作部16で客に報知されてもよい。
なお、この実施形態では、メダル預入口17から投入された回転盤90上のメダルMを、その種類に応じて、第1の振分先(返却口24)、第2の振分先(サブホッパ104)、および、第3の振分先(メインホッパ103)のいずれかに振り分けている。ここで、メダルMを3種類以上に細分化できるのであれば、それに応じて、メダルMの振分先を3つ以上設けて、メダルMを、その種類に応じて各振分先に振り分けてもよい。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、複数のメダル預払機2の中から1台だけを親機2Aとしたが、親機2Aには複数のメダル預払機2がなれるようにしてもよい。親機2Aになる優先順位を設定しておけばよい。そうすることで、縮退運転中の親機2Aの調子が悪くなっても次の優先順位のメダル預払機2が親機2Aの代用となるため、メダル預払システム1は維持できる。
また、前述した縮退運転実行指示は、親機2Aから全メダル預払機2へ送信するのではなく、通信異常を検知した子機2Bから全メダル預払機2へ送信するようにしてもよい。