<実施の形態1>
先ず図1〜図8は、この出願の発明の実施の形態1に係るコーヒーメーカー(コーヒー抽出器)の構成を示している。
(全体的な構成)
この実施の形態のコーヒーメーカーのコーヒーメーカー本体(筺体部分)は、例えば図1に示すように、側方から見て全体にコの字形の構造体となっており、その下部側水平部(置き台部)がコーヒーサーバー載置台5Aに、また上部側水平部(庇部)が湯注出口部5Bに、さらに、それらの後端側(図示左端側)にあって、それらを上下方向に所定の距離を置いて連結一体化する部分が柱体部6に形成され、コーヒーサーバー載置台5Aと湯注出口部5Bとの間の上下方向の空き空間および前後空間部分に、図2に示すように、ドリッパー1およびコーヒーサーバー3が着脱可能および取り出し自由に収納セットされるようになっている。
湯注出口部5Bとコーヒーサーバー載置台5Aとは、上記のようにコーヒーメーカー本体の後端側に位置して上下方向に伸びる柱体部6によって相互に連結一体化されているが、柱体部6は例えば水平断面が円弧状をなし、同柱体部6の背面側上半分部分は水タンク設置部6Aに形成され、その底部には設置された水タンク2の円筒状の水吐出口2aが内嵌される筒状の水吐出口嵌合部6aが設けられている。
水タンク2は、前後方向の寸法よりも左右方向の寸法の方が大きく、平面視円弧状となった筒状の容器本体の小径化した下端側端部に円筒状の水吐出口を形成し、その内側にはコイルスプリングSP1で常時下方側閉弁方向に付勢された開閉弁13aが設けられている。一方、上記水タンク設置部6A側水吐出口部嵌合部6aの内側には、上記水タンク2の設置時において、上記開閉弁13aの下端に当接し、上記コイルスプリングSP1の付勢力に抗して開閉弁13aを上方に押し上げる弁開放軸13bが必要な高さ上方に伸びて設けられている。
したがって、例えば図1、図2のように、水タンク2が水タンク設置部6Aに設置されると、上記水タンク2の水吐出口部2aは開放されて下方側水供給通路方向に水を吐出することになる。他方、水タンク2の上端側は、上方側に開放されており、その開口部には、蓋2bが着脱可能に冠合されている。
上記水タンク設置部6Aの底部を形成している仕切壁60の下面側には、上記水吐出口部嵌合部6aに同軸状に対応する形で筒状の水供給パイプ接続口6bが所定の長さ下方に延びて設けられている。
一方、水供給パイプ接続口6bの下端側には、その途中に逆止弁7aを備えた第1の連結パイプ7Aを介してパイプヒータ8のパイプ部の一端(上流端)8aが接続されている。パイプヒータ8は、水が流通する金属製のパイプ部の外周にヒータ部Hを設けて構成されており、ヒータ部Hには、例えば図7の電気回路図に示すように、AC電源回路AC部分から、電磁開閉器(電磁リレーのリレー接点)52、サーモスイッチ(異常高温時に開)TSを介してAC電源が供給されて発熱するようになっている。Fは、フューズである。
この実施の形態のコーヒーメーカーの場合、通常のコーヒーメーカーの場合と異って、図7に示すように、マイコンユニット(マイコン制御ユニット)50とともにドリップスイッチSW1とミルクスイッチSW2とを個別に備えており、電磁開閉器52は、後述するように、それらドリップスイッチSW1又はミルクスイッチSW2の何れかのON操作に対応して、マイコンユニット50によりON,OFF制御されてヒータ部Hへの通電状態を制御する。
例えば、後述する図2の状態で、先ずドリップスイッチSW1がON操作されたコーヒードリップ時の場合には、マイコンユニット50は、例えば上記上記電磁開閉器52を連続的にON、すなわち、パイプヒータ8のヒータ部Hを予熱工程を伴うことなく連続的にONにして速やかな湯沸しを行ない、水タンク2内の水の量に応じた必要量のコーヒーの抽出制御を実行する。そして、同抽出が終了すると、パイプヒータ8部分の温度が上昇することによりサーモスイッチTSがOFFになり、ヒータ部Hへの通電を停止する。
この場合、本実施の形態では、図7に示すように電源OFF検出回路53が設けられており、上記のようにサーモスイッチTSが開放されて、ヒータ部Hへの電源の供給がOFFになると、同OFFになったことが検出されて、マイコンユニット50に入力される。
そして、マイコンユニット50は、同電源OFF検出信号が入力されると、その入力時から所定時間が経過するまでの間は、上述した動作表示ランプLの方はOFFにすることなく、点灯状態のままとし、上記のようにヒーター部Hへの通電をOFFにした後でも、当該ヒータ部Hの予熱により、パイプヒータ8内の温度はしばらく下がらず、湯が噴出する可能性があるため、ヒータ部Hが冷却されてパイプヒータ8内の圧力が下がるまで待ってから動作表示ランプLをOFFにする。
これにより、後述する湯注出口10bから湯が出る可能性がある状態でのドリッパー1の取り出しが回避される。
一方、後述する図4の状態で、ミルクスイッチSW2がON操作されたスチームミルクを形成する場合には、例えば図8に示すように、湯沸し開始後最初の所定時間内はヒータ予熱工程として、例えば電磁開閉器52を断続的に開閉制御することにより、ヒータ部Hへの通電状態を断続的にON,OFFし、ヒータ部Hの温度が十分に高くなってから電磁開閉器52を連続的に閉にすることによって、ヒータ部Hを連続的にON(通電状態)にして、安定した湯(スチーム)吐出工程としての湯沸し制御を行うようになっている。
これにより、スチームミルク形成時の湯の吐出量が一定になる。
その後、同湯(スチーム)吐出工程が終了すると、上記電磁開閉器52を開にして、ヒータ部HをOFFにする。しかし、このように電磁開閉器52が開放されてヒータ部Hへの電源の供給が停止されたとしても、直ちに上述の動作表示ランプLはOFFにせず、電磁開閉器52の開放後所定時間内はヒータ冷却工程として動作表示ランプLを点灯させたままとし、ヒータ部Hの冷却を待つ。
すなわち、ヒーター部Hへの通電をOFFにした後でも、予熱により、パイプヒーター8内の湯の温度はしばらくの間下がらず、後述の湯注出口10bから湯および蒸気が噴出する可能性があるため、同予熱の作用が無くなってパイプヒータ8内の圧力が下がるまで動作表示ランプLを点灯させたままの状態に保持し、ヒータ部Hが冷却されてパイプヒータ8内の圧力が低下するのを待ってから動作表示ランプLをOFFにする。
このヒータ冷却工程制御も、上記ドリップ時の場合と同様に、上記電源OFF検出回路53のヒータ部Hへの電源OFF検出機能を用いて行われ、マイコンユニット50は、電磁開閉器52の開放によるヒータ部Hへの電源のOFFを検出してから所定時間経過したことを判定すると、初めて上述の動作表示ランプLをOFFにして消灯させる。この結果、ユーザーは動作表示ランプLの点灯中は湯注出口10bから湯および蒸気が噴出する恐れがあることを認識することができ、スチームミルク形成後に未だ湯および蒸気が噴出する可能性がある状態でのミルクカップ20の取り外しが回避される。
なお、図7中の符号51は、マイコンユニット50側への電源回路である。
パイプヒータ8部分は、図示のように、その一端(上流端)8a側から他端(下流端)8b側にかけて全体としてコイル状に曲成して構成されており、その他端(下流端)8b側は、第2の連結パイプ7Bを介して湯送出パイプ9の一端(上流端)9a側に接続されている。また、同パイプヒータ8のヒータ部Hの他端側には、サーモスイッチTS(その感熱部側)が伝熱性良く取り付けられている。
したがって、上述した水タンク2内の水は、まず上記開閉弁3を備えた水吐出口2aから水供給パイプ接続口6b、第1の連結パイプ7Aに供給され、その後、パイプヒータ8のパイプ部分でヒータ部Hにより加熱沸騰されて沸騰状態の湯となった後に湯送出パイプ9に供給され、同湯送出パイプ9を経て湯注出口部5Bの湯注出パイプ10の湯注出口10b部分からドリッパー1のドリップ口内へ注出される。
湯送出パイプ9は、全体として、上記パイプヒータ8の他端8b部分から上方に延び、湯注出口部5B部分で逆Jの字状に曲成されており、上記柱体部6の水タンク設置部6Aの前後両縦壁部61,62間から上記水平な湯注出口部5B部分の内側に延びて配設されている。
つまり、湯送出パイプ9は、上記柱体部6の水タンク設置部6Aを形成している縦壁部61と上記柱体部6の前面側縦壁部62との間の空間および縦壁部61の上端から前方側に水平に延びる湯注出口部5Bの蓋体上面部63および上記柱体部6の前面側側壁部62の上端部から同じ高さ位置で水平方向前方に延びる下面壁部64間に延設され、上記下面壁部64に形成された湯注出パイプ固定部材係合用の開口64aに湯注出パイプ固定部材65を上方側から係合することにより湯注出パイプ10が固定されるようになっている。
下面壁部64の湯注出パイプ固定部材65係合用の開口64aは、下面壁部64の略全体に亘る大きさ(直径)を有して形成されており、その内側に、平板部65aおよび該平板部65aの外周部下面側にあって、前側は開放されているが、左右両側および後端側部分には所定幅下方に延びた側壁部65cを有する湯注出パイプ固定部材65が嵌合係止されている。
該湯注出パイプ固定部材65の平板部65aの中央部には、シールおよび固定用のパッキン12を嵌装した上述した湯注出パイプ10の貫挿孔が設けられているとともに、その上面側隣接部には湯注出パイプ10を取り付けるためのビス止め部65dが突設されている。
一方、湯注出パイプ10は、それらに対応して上記第3の連結パイプ7C側から上記湯注出パイプ嵌挿孔方向に向けて略直角に曲成されていて、上記湯注出パイプ嵌挿孔を介して上記湯注出パイプ10が他端側湯注出口10b部分を下方に向けて所定の長さ突出させるとともに、その上方側から下方側への曲成部外周に一体に形成されている取付片10cが上記ビス止め部65dにビス止めされることによって安定した状態に支持されている。また、平板部65aの中央部側上記湯注出パイプ嵌挿孔の外周囲部分は、下方に突出する所定の径の筒体部65bに形成されており、同筒体部65bの外周面部には、後述するミルクカップ20装着用のヘリコイド係合部65fが設けられている。
また、上記湯注出パイプ固定部材65の上述した平板部65aの左右両側および後端側の上述した側壁65cの下端部分には、図示のように、後述する図3のドリッパー1の開口部上端側縁部1cを係合するための係合縁部(係合レール)65eが設けられている。この係合縁部65eは、後述する図3のドリッパー1を、例えば図2中の仮想線矢印で示すように、前方側から後方側に平行にスライド挿入する形で係合させ、また逆に引き出すことができるように、左右および後端側に位置して設けられている。そして、後端側では、略円弧形状となっている。
<ドリッパーおよびコーヒーサーバーの構成>
次に図3は、上記図1、図2のコーヒーメーカー(コーヒー抽出器)本体から取り外したドリッパー1単体の構成を示している。
このドリッパー1は、周知のものと同様に、開口部の上端側左右両側の直壁部1f,1f部分が平行で、前端側切欠部1gを有する直壁部分が略円弧形状のカップ状の本体1aの外側部後部側に把手1bを有しているとともに、底部1dの中央部には、上下方向に貫通したコーヒー液流出用の開口1eが開口されているとともに、該開口1e部分には、コイルスプリンクSP2を介して常時は上方側から下方側に閉弁付勢されており、上記ドリッパー本体1aが図2のようにコーヒーサーバー3を有するコーヒーメーカー本体部分に挿入セットされた時に、下方側コーヒーサーバー3の蓋部上端側の球面状の凸部3eにより下方から上方に押圧されて所定寸法上方に上昇し、上記開口1eを開く構成の弁体4が設けられている。
図3中の符号4aは、そのような弁体4の下端部分に設けられ、上記コーヒーサーバー3側の凸部3eに滑らかに対応する球面部である。
また、1cは上記開口部上端の左右両直壁部1f,1fおよび前端側切欠部1gの両側の一部に設けられた外側に鉤状の縁部である。
<コーヒーサーバーの構成>
この実施の形態のコーヒーサーバー3は、例えば図2に示すように、内外2層の真空2重壁構造の保温容器3aの上端側開口部3c部分に把手3b一体型の口部材3dを取り付け、該口部材3dの中央部上端部分に上述の球面状の凸部3eを設けた蓋を設けて構成されている。
球面状の凸部3eの下端側には、開閉弁3fを有して開閉されるコーヒー液流下通路3gが設けられている。そして、図2のようにコーヒーサーバー3上にドリッパー1が挿入されて、ドリッパー1側の球面部4により、上記凸部3eが下方に押されると、開閉弁3fを下方に下げてコーヒー液流下通路3gを保温容器3a内に連通させ、ドリッパー1からコーヒー液の流下を可能とする。
このコーヒーサーバーの場合、サーバー容器自体が真空2重壁構造の保温容器3aにより構成されている。
したがって、保温ヒータがなくても、十分に保温性が高い。
<スチームミルク形成用のミルクカップの構成>
ところで、この実施の形態のコーヒーメーカーの場合、上記図2のドリッパー1(およびコーヒーサーバー3)に代えて、例えば図4に示すように、上記湯注出口部5Bに対して、スチームミルク形成用のミルクカップ20をセットすることができるようになっており、同ミルクカップ20をセットすれば、上記図1のコーヒーメーカー本体を利用してスチームミルクを形成することができるようになっている。
このミルクカップ20は、例えば図5に示すように、上端側開口部前端に前方(図示左方)に突出した注ぎ口21d、背面側(図示右方)に側方視コ字状の把手部22を備えた有底筒状のカップ本体21と該カップ本体21の内側に蓋部材27を介して支持されたノズル部材33とから構成されている。
カップ本体21は、底部21aの下部外周に載置用のスカート部(スカート状の台座部)23を有し、その後端側に把手部22の下端が一体化されている一方、上端側開口部は、2段階的に開口径が大きくなる第1の開口径部21bと第2の開口径部21cとの2つの開口径部を有し、該第1の開口径部21bと第2の開口径部21cとの間の段差面部を利用して蓋部材27が上方側から嵌合され、その外周部27c部分を係合して支持されている。
蓋部材27の外周部27c部分は、図示のように、断面逆U字状に曲成されており、同曲成部の後端側(把手部22の上方位置)では、部分的に断面コ字状部に変形され、同コ字状部に断面T字形のロック手段24のロックピン24a部分が水平方向外側から内側に向けて挿入されるロックピン係合孔29aが設けられている。
ロック手段24のロックピン24aの基端側外周には、所定の間隔を置いて筒状部(又は軸部でもよい)24bが設けられている一方、カップ本体21の第2の開口径部21cの後面壁外周部分には、同ロック手段24の筒状部24bの筒状壁がスライド自在に嵌挿される2重筒状の筒状溝を形成する2重壁21f,21gが後方(図示右方)に向けて突設されており、それら2重壁21f,21g間の筒状溝部分にロック手段24側の上記筒状部24b嵌挿することによってロック手段24が水平方向にスライド自在に支持されている。
また、符号26は、ロック手段係止部材であり、該ロック手段係止部材26は、上記カップ本体21の第1の開口径部21bの外周部後面部分に設けたビス止め部(螺合筒部)25にビス止めされる断面鉤状の固定部26aと上記ロック手段24の筒状部24および2重壁21g,21f部分をカバーするカバー部26bとからなり、ビス止め部26a部分に図示しないネジ部材を介して締結固定されている。
そして、ロック手段24は、そのツマミ部24cを上記スライド部間に設けたバネ等の付勢力に抗して後方(図示右方)に引くと、上記ロックピン24aの先端と蓋部材27側ロックピン係合孔29aとの係合が外れ、蓋部材27をカップ本体21から取り外すことができる。
一方、蓋部材27の蓋板部27aは、外周側から中央部にかけて2段階的に低くなる段差面を有して形成されており、最も高さが低い中央部には、上下両方向に所定の長さ延びる筒状部27bが一体化されており、この筒状部27bの上端は部分的に縮径され、同縮径部の上部には、上述したコーヒーメーカー本体側湯注出パイプ10の湯注出口10bのパッキン嵌合溝10dに嵌合するリブ29aを備えた断面Tリング状のパッキン29が嵌合され、それらの外周部を組付用のカバー部材28でカバーすることにより、図5の状態に一体化されるようになっている。
すなわち、組付用のカバー部材28は、上記蓋部材27側筒状部27bの上部部分の外径およびパッキン29の外径に対応して、それらを覆うスリーブ状の本体部28aと同スリーブ状の本体部28aの上端にあって、パッキン29の上端側を上方側から係止する係合端部28bとからなっており、それらによって上記各部の図5のような組み合わせ状態(結合状態)を確実に維持する。
他方、上記蓋部材27中央の筒状部27bの下部側には、上部側が大径の第1の筒状部30aになっていて、上記蓋部材27下部側の外周面にネジ溝を有する筒状部27bに第1のシールリングL1を介して螺合固定される一方、下部側が小径の第2の筒状部(ノズルカバー)30bになっていて、その先端(下端)側に蒸気吹出し用の開口30cを形成したノズルホルダー30が取り付けられている。そして、それら各筒状部30a,30bの内側には、後述するノズル部材33がスライド状態で昇降自在に嵌装されている。
ノズルホルダー30の上記第2の筒状部30bの先端(下端)側開口30cは、ノズル孔32の出口部分32bから所定距離離間して、上記カップ本体21内の底部に臨んで延設されており、カップ本体21内に入れられた所定量のミルクM中に挿入されている。
一方、ノズル部材33のノズル本体33aは、下端側(先端側)のテーパ状となった所定長さ部分を除いて外径が略等径の正円筒体よりなり、その内側に、上端側入口部分32aから下端側出口部分32bにかけて次第に一定の比率で内径が小さく絞られて行くノズル孔(正円形孔)32を有して構成されており、その上下方向略中央部の外周面部には所定の外径の円形フランジ部33bが一体に設けられている。そして、この円形フランジ部33bを上記上部側が大径で、下部側が小径の第1,第2の各筒状部30a,30b間の段差面部分に対して第2のシールリングL2を介して係合する形で昇降自在に支持されている。
なお、第2のシールリングL2は、ノズル部材33側の円形フランジ部33bの下面側ノズル本体33aとのコーナ部に位置して設けられている。
また、ノズル本体33a外周面とノズルホルダー30の第2の筒状部30bの内周面との間には所定の隙間が設けられている。そして、第2の筒状部30bの上記段差面部より少し下方の筒壁部分には、外部に連通した空気導入孔36が設けられている。
ここで、上記ノズルホルダー30の大径側第1の筒状部30aと小径側第2の筒状部30bとの間の段差部上面と上述した蓋部材27側筒状部27bの下端面との間31sは、図示のように所定寸法(所定距離)だけ離間されており、上記ノズル部材33外周の円形フランジ部33bは、蓋部材27の筒状部27b内空間部31の圧力変化(正圧⇔負圧)により、上記所定の寸法の範囲で昇降するようになっている。
そして、例えば図5中に矢印で示すように、湯注出パイプ10の湯注出口10bからは、上述したパイプヒータ8の予熱工程を経て湯(スチーム)吐出工程に入ると、一定量の沸騰状態の湯および蒸気(この状態では蒸気よりも湯が多い)が吐出されるようになっており、上記筒状部27b内空間部31部分の圧力が高い時には、上記円形フランジ部33bは上方側から下方側に押し付けられて下降し、上記第2のシールリングL2を介して上記ノズルホルダー30の小径側第2の筒状部30b上端側の空気導入孔36を閉じている。したがって、湯注出パイプ10側からの湯および蒸気は、ノズル孔32の入口部分32aから出口部分32b方向にストレートに高圧で吹き込まれ、同ノズル孔32の通路径が入口部分32aから出口部分32bにかけて次第に小さくなっていることから、次第に圧力および噴出速度を高めて、出口部分32bから蒸気噴流となって吹き出されることになる。
しかも、この時、同ノズル孔出口部分32bは、上記ノズルホルダー30の小径側第2の筒状部30bの先端側開口30cよりも所定距離内側に開口されており、かつノズル本体33aと第2の筒状部30bとの間の隙間を介して、空気導入孔36からの空気が導入されるようになっているので、同ノズル孔出口部分32bから吐出された蒸気噴流の周辺部分で効果的にカルマン渦を生じ、同部分で効果的に上方からの空気を巻き込みながら、カップ本体21内底部に向けて吹き出される。
一方、この時、さらにカップ本体21内の底面が、図示の如く凹球面に形成されている。したがって、吹き出された蒸気噴流は、同凹球面で反射されて、外周面側に広がり、さらに外周側から内周側第2の筒状部30b側(ノズル孔32の中心軸側)に巻き込む渦流を形成する形でカップ本体21内のミルクを撹拌し、極めて細かく、泡立ち状態の良い良質のスチームミルクを形成する(図5の状態)。
一方、上記湯(スチーム)吐出工程が終了して、上述のパイプヒータ8のヒータ部Hへの電源がOFFになって、パイプヒータ8部分での水の加熱が停止されると、やがてパイプヒータ8および湯送出パイプ9内の湯の温度が下がり、蒸気が凝縮するために、上記第2の筒状部27b内の空間部31内の圧力が低下して一時的に負圧状態となる。
その結果、上記ノズル部材33の円形フランジ部33bに対する上方側から下方側への押圧力はなくなり、逆にパイプヒータ8、湯送出パイプ9、湯注出パイプ10側からの負圧(陰圧)により、そのままの状態だと、上記ノズル孔32を介して、上記カップ本体21内底部の折角泡立てたスチームミルクが上方に吸引される逆流現象を生じる。
ところが、本実施の形態の場合、同負圧(陰圧)が作用すると、例えば図6に示すように、先ず上記円形フランジ部33bが上方に引き上げられる。
その結果、上記円形フランジ部33b下部の第2のシールリングL2による蓋部材27側筒状部27b内空間部31と上記ノズルホルダー30の小径側第2の筒状部30b内空間部31aとの間のシール状態はなくなり、上記空気導入孔36を介して蓋部材27側筒状部27b内空間部31部分に十分な量の外気Aが導入され、上記ミルクカップ20のカップ本体21内のミルクがノズル部材33のノズル孔32を介して湯注出パイプ10側に吸引される逆流現象を確実に回避することができる。
以上の湯(スチーム)吐出工程(図8のタイムチャートの湯(スチーム)吐出工程を参照)による蒸気(スチーム)吐出時間は、カップ本体21の容量に応じて所定の時間に設定されるが、以下に述べるように、例えば上記カップ本体21内のミルクMの量が多いほど長く設定するようにしても良い。その場合には、例えばカップ本体21部分に、S・M・Lの目盛を設ける一方、コーヒーメーカー本体側にS・M・Lの設定スイッチを設けて設定するようにする。
そして、これらの設定時間が経過すると、上記図7のマイコンユニット50は、図7の電磁開閉器52を開(OFF)にして、パイプヒータ8のヒータ部Hへの電源の供給を停止する。
しかし、同図7に示すように、この実施の形態では、上述したように、マイコンによる電磁開閉器52のOFFを検出する電源OFF検出回路53が設けられており、上記のように電磁開閉器52が開にされてヒータ部HがOFFにされたとしても、マイコンユニット50は、直ちに上記作動状態(スチームミルク形成状態)であることを示す動作表示ランプ(LED)LはOFFにせず、パイプヒータ8が冷えるまでの所定時間内は点灯状態のままとし、同所定の時間が経過してから作動状態を示す動作表示ランプLをOFFにするようになっている。
これにより、パイプヒータ8のヒータ部Hの冷却を待ち、ヒータ部HをOFFにすると同時に、また時間を置かずにミルクカップ20を取り外すことによる湯注出口10bからの湯および蒸気漏れを回避する。
以上のような構成によると、以下のように、ミルクカップ20内のミルクの量に応じて、効果的にスチームミルクを生成することができるようになり、ドリップ式のコーヒーメーカーの多機能化、高機能化が可能となる。
なお、このスチームミルク形成時の場合には、マイコンユニット50により電磁開閉器52が開制御されるので、上記電源OFF検出回路53に代えて、タイマーによるディレー制御も可能である。
<スチームミルクの生成作用>
次に、上記図5、図6のミルクカップ20を使用したコーヒーメーカーによるスチームミルクの生成作用について詳細に説明する。
今、上述した図5,図6に示すミルクカップ20が、例えば図4に示すように、図1のコーヒーメーカーの湯注出口部5A部分に取り付けられ、かつカップ本体21内に所定量のミルク(牛乳その他の飲料)が入れられ、さらに図7のAC電源回路がACコンセント(AC100V)に接続されているとする。
この場合、上記コーヒーメーカー本体の湯注出口部5Aに対する当該ミルクカップ20の装着は、次のようにしてなされる。
すなわち、上述のように、コーヒーメーカー本体側湯注出口部5Aの蓋部材65の平板部65aの中央部側湯注出パイプ嵌挿孔部分の外周囲は、下方に突出する所定の径の筒体部65bに形成されており、同筒体部65bの外周面部には、ミルクカップ20装着用のヘリコイド係合部(係合用段部)65fが例えば対角位置に設けられている。
一方、これに対応して、ミルクカップ20側開口部の上記第2の開口径部21cの内周面側には、同ヘリコイド係合部65fに係合するヘリコイド係合片(図示省略)が、同じく対角位置に設けられている。
したがって、例えば先ず図2の状態で、図7のドリップスイッチSW1をONにし、ドリッパー1を用いてコーヒーのドリップを行ない、必要な量のコーヒー液がコーヒーサーバー3の保温容器3a内に貯留されているとすると、これらドリッパー1およびコーヒーサーバー3をコーヒーメーカーから取り外し、これらに変えて、図5に示すミルクカップ20を、予じめ所定量のミルクMを入れた状態で図4に示すように装着する。
この装着は、先ずミルクカップ20をコーヒーメーカー本体の湯注出口部5Bの下方に位置させ、その後矢印a方向(上方向)に持ち上げて、湯注出パイプ10の湯注出口10b部分をミルクカップ20側のパッキン29および筒状部27b内に挿入して嵌合させる。
次に、この状態で、同ミルクカップ20本体を例えば矢印b方向(左方向)に所定の角度回転させることにより、上記ヘリコイド係合部65fにミルクカップ20側のヘリコイド係合片を係合させると、これだけで確実にコーヒーメーカー本体にミルクカップ20が液密に装着固定され、図4に示すように、湯注出パイプ10の湯注出口10bとノズル部材33のノズル孔32とがシール性良く連通された状態となる。
そして、この状態で、例えば図7のミルクスイッチSW2がON操作されると、マイコンユニット50によりスチームミルク形成動作中であることを示す動作表示ランプLが点灯されるとともに、電磁開閉器52が閉じられ、サーモスイッチTS(通常時閉)を介して上述したパイプヒータ8のヒータ部HにAC電源が供給されて、その水供給通路内を流れる水が加熱沸騰される。そして、この湯(および蒸気)が上記湯送出パイプ9を介して上記湯注出パイプ10に供給され、湯注出パイプ10の湯注出口10bから上記ミルクカップ20の筒状部27b内の空間部31内中央部に向けて吐出される。
同部分には、上述の図5に示されるように、ノズル部材33のノズル孔32の上端側大径の入口部分32aが位置しているので、上記湯注出口10bから下方に向けて吐出された湯(および蒸気)は、同ノズル孔32の大径の入口部分32aに高圧力で注入される。
この状態では、上記ノズル部材33外周の円形フランジ部33bがノズルホルダー30内中間部の段差面部に第2のシールリングL2を介して押し付けられるので、ノズル部材33上方の筒状部27b内空間部31とノズルホルダー30の第2の筒状部30b内空間部31aとの間はシールされ、上記ノズル孔32内の沸騰水は、下端側細径のノズル孔出口部分32bから蒸気噴流となって吐出され、空気孔36から空気が導入されることにより、先端側外径がテーパ状に縮小されたノズル筒33先端部分で有効なカルマン渦を形成し、周囲のミルクを空気とともに中心軸後方に巻き込みながらノズルホルダー30の第2の筒状部30bの先端側の開口30cからカップ本体21の底部21aの上面に向けて噴出される。
この時、カップ本体21の底部21aの上面は、図5に示すように、上記ノズル孔32の中心軸部分を曲率中心とする凹球面となっているために、上記底部21a上面に向けて噴出された蒸気は、同曲率中心から放射方向外周に噴き上がるように流れ、再び同中心軸方向に巻き込まれる形で流れ、以後これを繰り返す。したがって、この間にカップ本体21内に貯留されているミルクMを効果的に細かく、効率的に泡立て、良質のスチームミルクを形成する。
この場合、すでに述べたように、より好ましくは、例えば図8のタイムチャートに示すような予熱工程A、湯(スチーム)吐出工程Bに加え、最終的なヒータ冷却工程Cを備えた加熱制御シーケンスが採用される。
(A)ヒータ部Hの予熱工程:これにより、湯注出口10bから吐出される湯(スチーム)の吐出量を一定にする。
このヒータ部Hの予熱には、例えば、
(1)上述した通電ON/OFFの断続通電制御のほかに、
(2)所定電力での一定時間の連続通電や、
(3)パイプヒータ8(ヒータ部H)に設けた温度測定用センサーによる発熱温度制御、
などの方法が採用される。
(B)湯(スチーム)吐出工程:これは上述したカップ本体21内のミルクMを泡立てるのに必要な工程であり、例えばカップ本体21の容量又はカップ本体21内の実際のミルク量に応じて湯(スチーム)の吐出時間(ヒーター通電時間)を設定し、制御する。
(C)ヒーター冷却工程:ヒーター部Hへの通電をOFFにした後でも、予熱により、パイプヒータ8内の温度はしばらく下がらず、湯注出口10bから湯(スチーム)が噴出するため、ヒータ部Hの温度が低下して、パイプヒータ8内の圧力が下がるまで動作表示ランプLを点灯させたままに保持し、ユーザーに未だ動作中であると認識させ、パイプヒータ8が安全温度まで冷却するのを待つ。
<実施の形態2>
次に図9は、この出願の発明の実施の形態2に係るコーヒーメーカー(コーヒー抽出器)におけるスチームミルク形成用ミルクカップの構成を示している。
この実施の形態のミルクカップの場合、図9に示すように、上記実施の形態1のノズル部材33が昇降することにより空気導入孔36より外気を導入して、ミルクが逆流するのを防止する構成に代えて、ノズル部材33と湯注出パイプ10の湯注出口10bとの間の湯吐出通路部分に逆止弁40を設け、この逆止弁40によって、上記パイプヒータ8OFF時の負圧によるカップ本体内ミルクMの湯注出パイプ10側への逆流を防止するようにしたものである。
その他の部分の構成は、基本的に上記実施の形態1の構成と同様であり、同様の作用を奏する。
この実施の形態の場合、上述した蓋板部27の中央に一体に形成されている筒状部27bの上部側筒部27b1を上記実施の形態1のカバー部材28のように上方に向けて延長し、その上端側を湯注出パイプ10の湯注出口10b側に向けて逆U字状に曲成することによって、パッキンの係止部材(カバー部材28の係合端部28bに相当)としての機能を持たせる。
一方、これに合わせてパッキン29を筒状部27bの上端側から下端側付近まで延びる長筒状のものにより構成して、筒状部27b内に嵌装する。
パッキン29は、その上端部側リブ29a部分を湯注出口10b外周のパッキン嵌合溝10dに嵌合させるようにしているとともに、上下方向中間の縮径部分に逆止弁40を設け、下端側外周にはノズル部材33の円形フランジ部33bに対応する円形フランジ部29bを形成して構成されている。
そして、この実施の形態の場合、これら2つの円形フランジ部29b,30b部分を上記筒状部27bの下部側筒部27b2の下端とノズルホルダー30の第1,第2の筒状部30a,30b間の段差面との間に挟んで、両者を固定している。
逆止弁40は、上記パッキン29の縮径部内の通路部分に球体弁40aを位置させるとともに、その縮径通路上部側に球体弁40aの外径よりも口径が小さく、球体弁40aによって閉じられる弁口40b、他方下部側にグリル口(格子状又は放射状、平行状など)40cを有してを有して構成されており、湯吐出時には球体弁40aがグリル口40c上にあり、湯が吐出されるが、パイプヒータ8がOFFになって負圧が生じると、同負圧の発生に対応して速かに球体弁40aが上昇して弁口40bを閉じる。
この結果、上記実施の形態1の場合と同様に、確実にミルクの逆流を防止することができる。
<実施の形態3>
次に図10は、この出願の発明の実施の形態3に係るコーヒーメーカー(コーヒー抽出器)におけるスチームミルク形成用ミルクカップの構成を示している。
この実施の形態は、上記実施の形態2の構成において、ノズルホルダー30の先端部に、上述した中心軸方向の開口30cだけでなく、周方向の開口30dをも形成し、かつ中心軸方向の開口30c部分にはメッシュ部材30eを設けたものである。
その他の部分の構成は、上記実施の形態2の構成と全く同一であり、同一の作用を奏する。
このような構成の場合、先ず中心軸方向に噴出される高圧の蒸気噴流がメッシュ部材30eによって細流化され、全体的に均一な噴流となってカップ本体21内の底面に向けて吹き出される。
その結果、同噴流がメッシュ部材30eに当り、かつメッシュ部材30eを通過する時点でシャボン玉発生効果を伴い、効果的にミルクが泡立つようになる。
また、その場合において、周方向にも開口30dが形成されていることから、ノズル部材33のノズル孔32の出口部分32bから噴出された蒸気噴流により、噴流部外周囲のミルクが効果的に巻き込まれるようになり、上記シャボン玉発生効果が一層有効に発揮される。
<実施の形態4>
次に図11は、この出願の発明の実施の形態4に係るコーヒーメーカー(コーヒー抽出器)におけるスチームミルク形成用ミルクカップの構成を示している。
この実施の形態は、上記実施の形態3の構成において、ノズル部材33およびノズルホルダー30の中心軸O−Oをミルクカップ20のカップ本体21の容器内中心軸部O′−O′分ではなく、容器前方側に所定寸法cだけ偏心させた偏心状態(すなわち、a<bの状態)でミルクカップ20を湯注出口部5Bに装着するようにしたことを特徴としている。
その他の構成は、上記実施の形態3のものと同一であり、同一の作用を奏する。
このような構成にすると、ノズル孔32からの蒸気流の噴出方向中心が、カップ本体21内底部21aの凹球面の中心O′−O′から外れた前方寄り位置になる。
この結果、ノズル孔32の出口部分32bから高速で蒸気が噴出した際に、凹球面付近で周囲のミルクが放射方向に押しのけられるが、ノズル孔出口部分32bとカップ本体21内周壁面との間隔が周方向で異なることになり(a<b)、周方向の全体に同一の間隔の実施の形態2の場合に比べて、間隔の狭い部分に空気層の隙間が生じやすくなり、同隙間において空気が一緒に巻き込まれやすくなる。
その結果、より泡立ちやすくなる。
この実施の形態の構成は、もちろん上記実施の形態1,2の構成にも採用することができる。
<実施の形態5>
さらに図12は、この出願の発明の実施の形態5に係るコーヒーメーカー(コーヒー抽出器)におけるスチームミルク形成用ミルクカップの構成を示している。
この実施の形態の構成は、図示の如く、上記実施の形態2〜4の構成におけるノズルホルダー30をなくし、ノズル部材33自体に蓋部材27の筒状部27b下部27b2に対する螺合筒部50aを設ける一方、ノズル部本体33aの先端側外周にノズルホルダー30の小径側第2の筒状部(ノズルカバー)30bと同様の作用を果たす筒状部50bを設け、かつ同筒状部50bの先端側開口部に対して同開口部を覆う上述のメッシュ部材30eと同様の作用を果す筒状のメッシュ部材51を設けたことを特徴とするものである。
その他の構成は、実施の形態1〜4のものと同様である。
このような構成によっても、ほぼ上記実施の形態2〜4のものと同様の効果的な泡立て作用を実現することができる。
また、ノズルホルダー30が不要となる分だけ、全体の構成も簡単になる。