以下、本発明の実施の形態の掘削刃としての掘削ビット1と、複数の掘削ビット1,・・・が取り付けられたバケットとしての拡底バケット2について図面を参照して説明する。ここで、図1は掘削ビット1の構成を示した斜視図、図2は拡底バケット2の構成を示した斜視図である。
まず、図2を参照しながら拡底バケット2の構成から説明すると、本実施の形態の拡底バケット2は、円筒状の本体部21と、その本体部21の直径を拡大させるように開放可能に形成された二枚の拡幅翼部22,22とを備えている。
この拡底バケット2は、アースドリル(図示せず)に取り付けられる装置であって、詳細には旋回体、ブーム、ケリーロープ、ケリーバ3などを備えたアースドリルのケリーバ3の下端に、ピンなどを介して着脱自在に取り付けられる。
この拡底バケット2の本体部21は、実施例で後述するドリリングバケット5(図7,8参照)によって地盤4に掘削された図3(a)に示すような掘削孔41に挿入できる程度の直径に形成されており、上部に円環状のスタビライザー27が配置されている。
また、拡幅翼部22,22は、拡底バケット2を吊り上げた際には閉鎖されて円筒状の本体部21の側面の一部を形成し、図3(b)に示すように掘削孔41に挿入されたときに開放されて掘削孔41の壁面を掘削ビット1,・・・で切削して拡幅する。
この拡幅翼部22は、鋼板等で平面視円弧状に形成される部材で、図2に示すように下端付近に幅が略一定の等幅部22bが形成されるとともに、それより上方には先細りする三角形状の三角状部22cが形成される。この等幅部22bは、例えば500mm程度の高さに形成され、この等幅部22bによって切削された部分が厚さ500mm程度の拡底杭の底盤部となる。
そして、図2に示すように、拡幅翼部22と本体部21の開閉しない不動部21aとの間が土砂取込口23となる。すなわち、拡幅翼部22を開くと、不動部21aの縁部と拡幅翼部22の側縁22aとが離隔して土砂取込口23が形成され、内部に土砂を取り込むことができるようになる。拡幅掘削時に土砂取込口23の地盤に先に接触する縁部となる拡幅翼部22の側縁22aには、側縁22aの延設方向に間隔を置いて複数の掘削ビット1,・・・が取り付けられる。
この掘削ビット1は、図1,4に示すように、側縁22aに固定される胴部111と、胴部111の先端(側縁22aの反対側)に取り付けられる刃面部11と、刃面部11に略直交するように刃面部11と一体化される直交刃部12とによって正面視略T字形に形成される。
胴部111は、拡幅翼部22の板厚と略同じ厚さのブロック状の部材である。板状の刃面部11は、胴部111にろう付け溶接によって固着される。この実施の形態では、図4に示すように、刃面部11の一方の側面が拡幅翼部22の外側面222の延長線上にくるように取り付けられる。
ここで、図1の矢印の方向に拡幅翼部22を開きながら地盤を切削することになるため、外側面222側の刃面部11の側面は、刃面部11の内側面221側(本実施例では胴部111の先端)よりも地盤に先に接触することになる。
一方、直交刃部12は、拡幅翼部22の外側面222側に露出される刃面部11の側面の略直交方向に突出される。また、直交刃部12の刃の面(図1では上面及び下面)は、拡幅翼部22の移動方向(図1の矢印参照)に略平行に形成される。すなわち、拡幅翼部22の外側面222側において、側縁22aから刃面部11に向けて長方形板状の直交刃部12が延設される。
さらに、直交刃部12は、刃面部11の幅方向(図1では上下方向、側縁22aの延設方向ともいう。)の略中央の位置に取り付けられる。直交刃部12の接合は、胴部111及び刃面部11の側面に対してろう付け溶接によっておこなわれる。また、直交刃部12の刃先12aの位置は、図4に示すように刃面部11の刃先11aの位置に合わせられる。
ところで、本実施の形態では、刃面部11の一方の側面にのみ直交刃部12が設けられた掘削ビット1について説明するが、図5に示すように刃面部11の両方の側面に直交刃部12Aが設けられる掘削ビット1Aを掘削刃とすることもできる。
図5(a)は掘削ビット1Aの側面図、図5(b)は掘削ビット1Aの平面図である。この掘削ビット1Aには、刃面部11の両方の側面(拡幅翼部22の外側面222側及び内側面221側)に直交刃部12Aが設けられている。
この直交刃部12Aは、外側面222側の外刃部121と内側面221側の内刃部122とによって平面視略U字形に成形される。このU字形に成形される直交刃部12Aの刃先12aは、刃面部11の刃先11aより外側(側縁22aの反対側)に突出されて鋭角に成形されている。
このため、図5(b)の矢印方向に掘削ビット1Aを移動させて地盤を切削する際には、直交刃部12Aの尖った刃先12aと外刃部121が地盤に先に食い込み、続いて刃面部11の刃先11aと側面が地盤に接触することになる。さらに、刃面部11の内側(矢印の反対側)に入り込んだ地盤又は掘削土砂の塊は、内側に設けられた内刃部122によって切り込まれて崩されることで効率的に掻き落とされ、掘削ビット1Aの切削抵抗が低減されることになる。
以上で説明したような拡幅翼部22の側縁22aに沿って取り付けられる掘削ビット1,・・・に対して、本体部21の不動部21aの側縁には、拡幅翼部22を閉じた際に掘削ビット1,・・・を収容できるような切欠部21bが形成されている。
また、図2に示すように拡幅翼部22の下方の内側面221には、連結部材25の下端が固定されており、その連結部材25を介して作用する力によって拡幅翼部22が開閉する。すなわち、本体部21の内部には、アースドリルのケリーバ3の下端が接続される伝達軸部26cが収容されていて、この伝達軸部26cの下端に連結部材25の上端がユニバーサルジョイント構造で屈曲自在に連結される。
この伝達軸部26cとケリーバ3の下端との間には、減速装置(図示省略)が介在されていて、減速装置の下部と伝達軸部26cの上端が連結されている。この減速装置は、回転によって拡底バケット2に負荷がかかった時点で作動し、拡底バケット2の回転を遅くすることでトルクを増大させる装置である。すなわち、減速装置の内部で組み合わされるギア数によって減速及びトルクの増大が図れるので、比較的小規模のアースドリルであっても大口径の拡底部を有する拡底杭を構築することができるようになる。
また、伝達軸部26cは、上端が開口された筒状のガイド筒26に収容され、本体部21の上下方向(軸方向)に移動可能となるように構成されている。このガイド筒26の外周面の上部及び下部には、取付板26b,・・・の一側がそれぞれ溶接などで固着され、取付板26b,・・・の他側は本体部21の不動部21aの内側面に固着されている。
また、このガイド筒26の対向する周面部には、軸方向又は軸方向に交差する傾斜方向に延伸されるスライド溝26a,26aが設けられており、そのスライド溝26a,26aから伝達軸部26cと連結部材25とを連結させる連結バー26dが突出される。
そして、ケリーバ3を回転させると減速装置を介して伝達軸部26cに回転力が伝達されて伝達軸部26cが回転し、それに伴って回転する連結バー26dがガイド筒26を押し動かして回転させ、ガイド筒26に取り付けられた取付板26b,・・・を介して伝達された回転力によって本体部21が回転する。また、連結部材25の下端は、図2に示すように拡幅翼部22の内側面221に屈曲自在に連結されている。
このように構成された拡底バケット2は、本体部21に対して伝達軸部26cが引き上げられた状態のときには、連結バー26dがスライド溝26aの上端に位置し、連結部材25が起立して拡幅翼部22,22が閉じられている(図3(a)参照)。
この状態から伝達軸部26cが下方に移動すると、連結バー26dがスライド溝26aに沿って下降するとともに、連結部材25の上下のユニバーサルジョイントが屈曲することによって連結部材25が傾斜して、拡幅翼部22,22が側方に押し出されて開くことになる(図2及び図3(b)参照)。この拡幅翼部22によって、拡幅前の軸部41aの直径と略同程度の幅の環状の拡幅部、言い換えれば最大3倍近い直径の拡底部41bを形成することができる。
また、本体部21の下端には、図2に示すように拡幅翼部22,22よりも下方に突出部24が形成されている。例えば、3m程度の高さの拡底バケット2に対して200〜600mm程度の高さの突出部24を設ける。
さらに、この突出部24には円錐状の蓋部24aが開閉自在に取り付けられ、蓋部24aを開くことによって本体部21の内部に溜まった掘削土砂を排出することができる。
次に、本実施の形態の掘削ビット1が複数、取り付けられた拡底バケット2を使った拡底杭の構築方法について説明するとともに、掘削ビット1の作用について説明する。
まず、アースドリルのケリーバ3の下端にドリリングバケット(図7,8参照)を取り付けて、地盤4に図3(a)に示すような円筒状の掘削孔41を構築する。そして、一旦、ドリリングバケットを掘削孔41から引き上げてケリーバ3から外し、代わりに拡底バケット2をケリーバ3の下端に取り付ける。
この状態で掘削孔41に拡底バケット2を降下させ、拡底バケット2の下面を掘削孔41の底に着けて図3(a)に示した状態にする。続いてアースドリルを駆動させてケリーバ3を回転させると、減速装置によって減速して伝達された回転力によって拡底バケット2が回転を始める。この減速装置を介在させることで、拡底バケット2の回転に対する抵抗力が大きい場合でも小さなケリーバ3のトルクで回転させることができる。
また、この減速装置は、本体部21の内部に収容することができるので、拡底バケット2をケリーバ3に取り付けるために必要な高さを低くすることができ、比較的小規模のアースドリルにも取り付けることができる。
このように掘削孔41の底に拡底バケット2の下面を着地させた状態では、これ以上拡底バケット2の本体部21が下がることがない。これに対してケリーバ3の自重などが伝達される伝達軸部26cは、ガイド筒26に沿って下がることになる。
そして、本体部21が下降しない状態で伝達軸部26cだけが下がると、その下端に屈曲自在に連結された連結部材25の下端が外側に広がって拡幅翼部22,22が少し開くことになる。
この拡幅翼部22,22の側縁22aには、複数の掘削ビット1,・・・が設けられている。図1を参照しながら説明すると、拡幅翼部22は、図1の矢印方向に開くことになるが、掘削ビット1の直交刃部12は刃面部11より矢印方向(外側)に突出しているため、最初に地盤に食い込むことになる。
そして、掘削ビット1の直交刃部12が先行して溝状に地盤に食い込むことで、地盤は崩れ易くなって次に地盤に接触する刃面部11の切削抵抗を低減することができる。
図6は、本実施の形態の掘削ビット1の効果を確認するためにおこなった実験の結果を示した図である。この実験をおこなった地盤4は、図6の左側のグラフに示されているように深度15m付近まではN値が3以下の軟弱地盤であるが、深度15m以下はN値が100を超える硬質地盤(泥岩)である。
このような地盤4に掘削孔41を掘削するためにかかった時間を示したのが図6の右側のグラフである。上述したように拡底部41bを掘削する前に軸部41aを掘削することになるが、深度15m付近までの軸部41aを掘削する工程A1でかかった時間は5時間である。また、硬質地盤に約8mの軸部41aを掘削する工程A2でかかった時間は5時間である。
そして、本実施の形態の掘削ビット1,・・・を複数、取り付けた拡底バケット2を使って、深度22mから23mの間の約1mの硬質地盤に拡底部41bを掘削する工程Bでかかった時間は40分であった。
この工程Bの掘削時間の評価をおこなうために、同じ地盤4で比較実験をおこなった。この比較例は、上述した刃面部11のみで直交刃部12のない掘削ビットが取り付けられた拡底バケットでおこなった。その結果、比較例の工程C(一点鎖線)では1mの拡底部41bの掘削に5時間を要した。すなわち、本実施の形態の掘削ビット1,・・・が取り付けられた拡底バケット2は、比較例に比べて7.5倍の速度で効率よく掘削がおこなえたことを示している。
一方、掘削孔41の壁面が切削されると、拡幅翼部22,22が外側に広がり易くなるので、ケリーバ3の回転に伴って拡底バケット2が回転するとともに徐々に拡幅翼部22,22の開度が大きくなって、最終的には図3(b)に示すような円筒形の上に截頭円錐形を結合させたような拡底部41bが形成される。
また、拡幅翼部22,22が開き始めると、図3(b)に示すように突出部24が埋設されたような状態になって地盤に拘束されるようになるので、拡幅時の抵抗が大きくなっても拡底バケット2の下端の位置がずれることがなく、拡幅翼部22,22の左右の開度が均等になって正確な位置に正確な形状の拡底部41bを形成することができる。このような拡底杭は、例えば直径900mm程度の軸部41aに対して拡底部41bを直径2000mm程度まで広げることができる。
拡幅掘削時に発生した掘削土砂は、拡幅翼部22と不動部21aとの間の土砂取込口23から取り込まれることによって、本体部21の内部に掻き集められる。
そして、ケリーバ3を吊り上げると、伝達軸部26cがガイド筒26に沿って上昇し、その伝達軸部26cに連結された連結部材25が起き上がるとともに拡幅翼部22,22が閉じていく。この状態で更にケリーバ3の吊り上げを続けると、連結バー26dがスライド溝26aの上端に当たり、本体部21が持ち上げられることになる。
このようにして掘削土砂を内部に収容させた拡底バケット2を土捨て場まで移動させ、突出部24の蓋部24aを開放すると、掘削土砂が拡底バケット2から排出される。
以上のようにして掘削された掘削孔41には、鉄筋籠を挿入し、コンクリートを打設することによって場所打ちコンクリートからなる拡底杭を完成させる。
このように構成された本実施の形態の掘削ビット1は、土砂取込口23の地盤に先に接触する側の縁部である拡幅翼部22の側縁22aに沿って複数、取り付けられるものであって、刃面部11とそれに略直交する直交刃部12とを備えている。
このため、掘削ビット1で地盤を切削する際に、拡幅翼部22の外側面222側と同一面となる刃面部11の側面に接合された直交刃部12が先行して地盤を切り崩し、硬い地盤であっても効率よく掘削できるようになる。
また、直交刃部12が先行すれば刃面部11が保護されるようになるため、刃面部11の磨耗を低減することができる。さらに、直交刃部12を刃面部11の幅方向の略中央に設けることで、掘削ビット1の全体に均等に力が作用するようになり、刃面部11や胴部111の直交刃部12との接合箇所などに局所的な集中応力が発生して損傷する可能性を低く抑えることができる。
以下、前記した実施の形態とは別の形態としての実施例1について、図7,8を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を使って説明する。
この実施例1では、バケットとしてのドリリングバケット5の底部に、掘削刃としての掘削ビット1Bを取り付ける場合について説明する。このドリリングバケット5は、地盤4に図3(a)に示すような円筒状の掘削孔41を掘削するために使用される。
ドリリングバケット5は、図7に示すように円筒状の本体部51と、その本体部51の下面側を塞ぐ逆円錐状の蓋部54とを備えている。この蓋部54は、開閉自在に取り付けられ、蓋部54を開くことによって本体部51の内部に溜まった掘削土砂を排出することができる。
また、蓋部54には、図7,8に示すように台形状の土砂取込口53,53が2箇所に設けられている。2つの土砂取込口53,53は、蓋部54の中心点(図8の黒丸)に対して対称な形状に成形されている。
土砂取込口53の一方の縁部52には、複数の掘削ビット1B,・・・が取り付けられる。このドリリングバケット5は、図8の矢印の方向に回転させるため、地盤を切削する側、換言すると地盤に先に接触する側となる縁部52に、蓋部54の中心から外側に向けて間隔を置いて複数の掘削ビット1B,・・・が取り付けられる。
この掘削ビット1Bは、前記実施の形態で説明した掘削ビット1,1Aのいずれかの形態であってもよいが、以下では別の形態の掘削ビット1Bを使用する場合について説明する。
この掘削ビット1Bの刃面部11Bは、上面がテーパ状、下面が平面状となるように台形柱状に成形されている。また、掘削ビット1Bは、刃面部11Bの下面が蓋部54の外周面と略平行になるように取り付けられる。また、このような向きで取り付けられた刃面部11Bの下面に略直交するように、長方形板状の直交刃部12Bが接合される。
この直交刃部12Bは、図8に示すように刃面部11Bの刃先11aより外側(縁部52の反対側)に刃先12aが突出されるようにろう付け溶接などによって刃面部11Bの下面側に固着される。
このような掘削ビット1B,・・・が土砂取込口53の縁部52に沿って取り付けられたドリリングバケット5を図8の矢印方向に回転させると、刃面部11Bに先行して直交刃部12Bの刃先12aが地盤に突き刺さる。すなわち、直交刃部12Bの刃先12aを刃面部11の刃先11aより外側に突出させることで、掘削ビット1Bの下面側のみならず先端側においても最初に直交刃部12Bが地盤に接触して切り崩すことができ、掘削土砂はそのまま土砂取込口53から本体部51内に取り込まれることになる。
また、刃面部11Bの下面(又は上面)及び直交刃部12の側面は、縁部52を地盤に押し付ける方向(図8の矢印方向)に略平行に広がる面ということができる。このため、挿入抵抗が少なく硬い地盤であっても効率よく掘削することができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施の形態及び実施例1とは別の形態としての実施例2について、図9を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を使って説明する。
この実施例2では、バックホウのアームの先端に装着するバケットとしての掘削バケット6に、掘削刃としての掘削ビット1Cを取り付ける場合について説明する。
この掘削バケット6は、図9に示すように碗形をした本体部61の開放側が土砂取込口63となる。また、土砂取込口63の下側の地盤に先に接触する側の縁部となる先端部62に、複数の掘削ビット1C,・・・が取り付けられる。
そして、掘削バケット6によって地盤を掘削して土砂をすくい上げるに際しては、先端部62付近が最初に地盤に接触し、切削された掘削土砂はそのまま本体部61内に取り込まれる。
この先端部62に取り付けられる掘削ビット1Cは、前記実施の形態又は実施例1で説明した掘削ビット1,1A,1Bのいずれかの形態であってもよいが、以下では別の形態の掘削ビット1Cを使用する場合について説明する。
この掘削ビット1Cの刃面部11Cは、上面がテーパ状、下面が平面状となるように台形柱状に成形されている。また、掘削ビット1Cは、刃面部11Cの下面が先端部54の上面又は下面(内面又は外面とも呼べる。)と略平行、同一面又は同じ投影図内に図示可能な角度で取り付けられる。
このような向きで取り付けられた刃面部11Cの上面に略直交するように、直交刃部12Cが接合される。この直交刃部12Cは、掘削バケット6を地盤に押し付ける方向(図9の矢印方向)に延設される。また、直交刃部12Cの刃先12aは、刃面部11Cの刃先11aと同じ位置に合わせられる。
このような掘削ビット1C,・・・が土砂取込口63の先端部62に沿って取り付けられた掘削バケット6を、図9の矢印方向に向けて移動させて地盤に押し込むと、刃面部11Cの刃先11aと直交刃部12Cの刃先12aに地盤が接触し、刃面部11Cの上面をせり上がった地盤の土砂は直交刃部12Cによって切り崩される。
ここで、刃面部11Cの上面及び下面並びに直交刃部12の側面は、先端部62を地盤に押し付ける方向(図9の矢印方向)に略平行に広がる面ということができる。このため、挿入抵抗が少なく硬い地盤であっても効率よく掘削できる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施の形態及び実施例1,2とは別の形態としての実施例3について、図10,11を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を使って説明する。
この実施例3では、回転させながら地盤に押し込む回転翼杭7,8について説明する。回転翼杭7,8とは、鋼管杭の先端付近に羽根が設けられた杭であって、羽根によって地盤を切削することで杭を地盤に埋設することができる。
まず、図10に示した回転翼杭7について説明する。この回転翼杭7は、杭本体となる鋼管部73と、鋼管部73の先端付近の周面に取り付けられる螺旋翼71と、鋼管部73の底面に取り付けられる板状の先端刃部74とを主に備えている。
この螺旋翼71は、図10(b)に示すように鋼管部73の周囲を一周する長さの螺旋形状をしている。そして、螺旋の始まりと終わりが地盤を切削する刃面部711,712となる。特に、回転翼杭7を押し込む際には、下側の刃面部711によって地盤が切削される。
この刃面部711の刃先711aから刃面部711の下面に沿って、複数の直交刃部72,72を接合する。この直交刃部72は、長方形状の鋼板を螺旋翼71の取り付ける箇所の曲率に合わせて湾曲させた部材で、刃面部711の下面に略直交するようにろう付け溶接によって接合される。
また、直交刃部72の刃先72aは、刃面部711の刃先711aの位置に合わせられており、刃先72aから螺旋翼71の取り付け箇所の曲率に合わせて斜め上方に向けて延設される。
一方、螺旋翼71の上側の刃面部712にも、下側の刃面部711と同様に、刃面部712の下面に略直交するように湾曲した直交刃部72が接合される。この直交刃部72の刃先72aも刃面部712の刃先712aの位置に合わせられる。
このような直交刃部72,・・・が刃面部711,712に沿って取り付けられた回転翼杭7を回転させると、刃面部711に先行して直交刃部72が地盤を切り崩す。このため、硬質な地盤においても容易に回転翼杭7を推進させることができる。
続いて図11に示した回転翼杭8について説明する。この回転翼杭8は、杭本体となる鋼管部83と、鋼管部83の先端付近に取り付けられる半円弧状(アーチ状)の羽根板81A,81Bとを主に備えている。
この羽根板81A,81Bは、図11(a)に示すように傾いた状態で鋼管部83の周面又は切り欠かれた底面に取り付けられる。ここで、羽根板81A,81Bの下側にくる縁部を刃面部811とし、上側にくる縁部を刃面部812とする。
そして、刃面部811(812)の刃先811a(812a)から刃面部811(812)の下面に沿って、複数の直交刃部82,82を接合する。この直交刃部82は、長方形状の鋼板を羽根板81A,81Bの取り付ける箇所の曲率に合わせて湾曲させた部材で、刃面部811(812)の下面に略直交するようにろう付け溶接によって接合される。
また、直交刃部82の刃先82aは、刃面部811(812)の刃先811a(812a)の位置に合わせられており、刃先82aから羽根板81A,81Bの取り付け箇所の曲率に合わせて斜め上方(又は下方)に向けて延設される。
このような直交刃部82,・・・が刃面部811,812に沿って取り付けられた回転翼杭8を回転させると、刃面部811に先行して直交刃部82が地盤を切り崩す。このため、硬質な地盤においても容易に回転翼杭8を推進させることができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例では、刃面部11,11B,11Cに溶接で直交刃部12,12A,12B,12Cを接合することによって一体化された掘削ビット1,1A,1B,1Cについて説明したが、これに限定されるものではなく、刃面部と直交刃部とが一体成型された掘削刃であってもよい。同様に螺旋翼71(又は羽根板81A,81B)と直交刃部72(又は直交刃部82)も一体成型することができる。
また、前記実施の形態又は実施例ではそれぞれ形態を特定した掘削ビット1,1A,1B,1Cを使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、いずれの形態の掘削ビット1,1A,1B,1Cもいずれの形態のバケット(2,5,6)にも取り付けることができる。例えば、前記実施の形態では、直交刃部12の刃先12aを刃面部11の刃先11aの位置に合わせたが、直交刃部12の刃先12aを刃面部11の刃先11aより外側に突出させる構成であってもよい。
また、前記実施の形態では、刃面部11の側面と拡幅翼部22の外側面222とが同一面内に入るように合わせたが、これに限定されるものではなく、外側面222と略平行となるように外側又は内側に刃面部11の側面の位置がずれていてもよい。さらに、刃面部11の側面が外側面222に対して交差する方向に傾斜していても、同じ投影図内に図示可能な範囲であればよい。
また、前記実施の形態及び実施例では、土砂取込口23(53,63)の地盤に先に接触する側の縁部に取り付けるすべての掘削刃を掘削ビット1(1A,1B,1C)にしたが、これに限定されるものではなく、一部の掘削刃を掘削ビット1(1A,1B,1C)にし、それ以外を例えば刃面部11のみの掘削刃にすることもできる。