JP5836328B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
トナーに関して、省エネルギー化、及び装置の小型化のような観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能な、低温定着性に優れるトナーが望まれている。しかし、低温定着性に優れるトナーの調製には、融点やガラス転移点の低い結着樹脂や、低融点の離型剤が使用されることが多い。そのため、このようなトナーを高温で保存する場合にトナーに含まれるトナー粒子が凝集することがあるという問題がある。トナー粒子が凝集した場合、凝集しているトナー粒子の帯電量が、他の凝集していないトナー粒子と比較して低下することがある。
そこで、従来より低い温度域においても定着性に優れるトナーを得る目的、高温でのトナーの保存安定性の向上の目的、及びトナーの耐ブロッキング性の向上の目的で、低融点の結着樹脂を含むトナーコア粒子が、トナーコア粒子に含まれる結着樹脂のガラス転移点(Tg)よりも高いTgを有する樹脂からなるシェル層により被覆されているコア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーが使用されている。
このようなコア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーとして、所定の材料からなるシェル層でトナーコア粒子が被覆されているトナー母粒子の表面に、アミノ基含有化合物が外添剤として付着しているトナー粒子を含むトナーが提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載のトナーに含まれるトナーの調製に使用されるトナーコア粒子は、乳化分散された結着樹脂の微粒子と着色剤微粒子とを、水性媒体中で凝集・融着させて凝集融着粒子(トナーコア粒子)を形成している。特許文献1では、このようなトナーコア粒子を含む水性分散液に対して、4級アンモニウム塩含有アクリレート単位を含む正帯電性帯電制御樹脂微粒子が乳化分散された水系分散液を添加し、次いで、トナーコア粒子の表面に、正帯電性帯電制御樹脂微粒子を融着させて、トナーコア粒子をシェル層で被覆している。
国際公開第2007/114502号公報
特許文献1に記載のトナーに含まれるトナー粒子は、正帯電性帯電制御樹脂微粒子を用いて形成されたシェル層と、アミノ基含有化合物である外添剤との作用で、画像形成時に所望する帯電量に容易に帯電される。このため、特許文献1に記載のトナーを用いて画像を形成する場合、形成された画像でのかぶりの発生が抑制される。しかし、特許文献1に記載のトナーを用いて低印字率の画像を長時間にわたって形成する場合、現像装置内でトナー粒子が長時間撹拌されることで、外添剤が、トナー粒子に埋め込まれたり、トナー粒子から脱落したりすることがある。そうすると、トナー粒子が所望する帯電量に帯電されにくくなる。この場合、形成される画像でのかぶりの発生を抑制しにくい。
また、特許文献1に記載のトナーを用いて低印字率の画像を長時間にわたって形成する場合、トナー粒子が現像器内で長時間撹拌され、ストレスを受け続けることで、トナー粒子の破砕が生じやすい。この場合、トナー粒子に含まれる離型剤のような成分のトナー粒子からの染み出しが生じるため、トナーの高温での保存安定性が損なわれる。
さらに、特許文献1に記載のトナーを用いて高印字率の画像を形成する場合、当該トナーに含まれるトナー粒子は、シェル層の形成状態によっては、所望の帯電レベルに帯電されない場合がある。この場合、形成画像にかぶりのような画像不良が発生することがある。これは、高印字率の画像を形成する場合、現像器内でのトナーの滞留時間が短いことと、特許文献1に記載のトナーに含まれるトナー粒子が備えるシェル層が、4級アンモニウム塩含有アクリレート単位のモル比率が1%程度である樹脂を用いて形成されていることと、に起因する。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、長期間ストレスを受けることによるトナー粒子の破砕を抑制でき、高印字率で画像を形成する場合に、トナー粒子を所望の帯電量に帯電させることができ、且つ、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できる、静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂を含むトナーコア粒子と、前記トナーコア粒子の表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む。前記結着樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む。前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂である。
本発明によれば、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、長期間ストレスを受けることによるトナー粒子の破砕を抑制でき、高印字率で画像を形成する場合に、トナー粒子を所望の帯電量に帯電させることができ、且つ、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できる、静電潜像現像用トナーを提供できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の静電潜像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)に含まれるトナー粒子は、少なくとも結着樹脂を含むトナーコア粒子と、トナーコア粒子を被覆するシェル層と、からなる。結着樹脂はエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む。トナーコア粒子は、結着樹脂中に、必要に応じて着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。シェル層は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。本発明のトナーはトナー粒子からなるが、他の成分を含んでいてもよい。
トナーは、必要に応じて、トナー粒子の表面が外添剤を用いて処理されたものであってもよい。トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。以下、トナーコア粒子を構成する必須、又は任意の成分である、結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉、シェル層を構成する樹脂、外添剤、トナーを2成分現像剤として使用する場合に用いるキャリア、及びトナーの製造方法とについて順に説明する。
[結着樹脂]
トナー粒子を構成するトナーコア粒子は、結着樹脂として、カルボキシル基を有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を必須に含む。このため、トナーコア粒子の表面には、カルボキシル基が露出する。他方、シェル層は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。このような熱硬化性樹脂のモノマーとホルムアルデヒドとを反応させるか、ホルムアルデヒドを用いて熱硬化性樹脂のモノマーをメチロール化した前駆体を用いてシェル層が形成される。
固いシェル層により保護されているため、現像器内で長期間ストレスを受けても破砕されにくい。また、トナーコア粒子からのシェル層の剥離が生じにくいため、当該トナー粒子を含む本発明のトナーは、耐熱保存性に優れる。
また、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中では、エチレン−不飽和カルボン酸共重合が有する複数のカルボキシル基の間で水素結合が形成される。これにより、トナーの定着時の加熱温度以下の温度環境では、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は機械的強度に優れる。一方、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、トナーの定着時の温度条件下では、軟化及び流動しやすい。
以上のようなエチレン−不飽和カルボン酸共重合体の特性のため、本発明のトナーに含まれる、結着樹脂としてエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含むトナーコア粒子を用いて調製されるトナー粒子は、用紙に対する良好な低温定着性と、長期間にわたるストレスに起因するトナー粒子の破壊に対する耐性とを兼ね備える。
また、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、主鎖の構造に由来する脂肪族的性質と、カルボキシル基に由来する極性とから、種々の離型剤との相溶性に優れる。このため、本発明のトナーを調製する際に離型剤を用いる場合、トナーコア粒子中で離型剤が結着樹脂中に良好に分散される。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、少なくとも、エチレンと、不飽和カルボン酸とを含むモノマーを共重合して得られる樹脂である。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は2種以上を組み合わせて使用してもよい。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の調製に使用される不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、及びマレイン酸モノエチルが挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、エチレン系モノマーとの重合反応性に優れる点で、(メタ)アクリル酸が好ましい。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレン及び不飽和カルボン酸と、エチレン及び不飽和カルボン酸以外の他のモノマーとの共重合体であってもよい。エチレン及び不飽和カルボン酸以外の他のモノマーとしては、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニルのようなビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、及びマレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に含まれる、エチレンに由来する単位の含有量と不飽和カルボン酸に由来する単位の含有量との合計は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を構成する全単位中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中の不飽和カルボン酸に由来する単位の含有量は、1質量%以上15質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。不飽和カルボン酸に由来する単位の含有量がこのような範囲であるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を結着樹脂として含むトナーコア粒子を用いて調製されるトナー粒子は、耐熱保存性に優れ、所望する帯電量に帯電されやすい。また、このようなエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を結着樹脂として含むトナーコア粒子を用いて調製されるトナー粒子を含むトナーを用いる場合、高印字率で画像を形成する際に、形成された画像でのかぶりの発生を抑制することができる。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の融点は、80℃以上110℃以下が好ましい。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の融点は、ISO K7121:1987に準拠して測定できる。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のメルトフローレート(MFR)は、10g/10分以上500g/10分以下が好ましく、50g/10分以上500g/10分以下がより好ましい。このような範囲内のメルトフローレートを有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を結着樹脂として含むトナーコア粒子を用いて調製されるトナー粒子は、120度未満の低温でトナー粒子を被記録媒体に定着させる場合でも、良好に定着される。メルトフローレートは、例えば、メルトインデクサー(G−01(株式会社東洋精機製作所製))を用いて、JIS K7210:1999(190℃、2.16Kg加重)に準拠して測定できる。
熱可塑性樹脂について、メルトフローレートが、一般的に、分子量の指標となることが知られている。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体についても、公知の方法に従って、適宜製造条件を変更してその分子量を調整することにより、メルトフローレートを調整できる。
結着樹脂は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。結着樹脂が、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の他の熱可塑性樹脂を組み合わせて含む場合、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の他の熱可塑性樹脂は、従来からトナー用の結着樹脂として使用される熱可塑性樹脂から適宜選択される。
結着樹脂中のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
[着色剤]
トナーコア粒子は必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。黒色着色剤としては後述するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も利用できる。
トナーがカラートナーである場合に、トナーコア粒子に配合される着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリルアミド化合物のような着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、194;ネフトールイエローS、ハンザイエローG、及びC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物のような着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物のような着色剤が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66;フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、及びC.I.アシッドブルーが挙げられる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましい。
[離型剤]
トナーコア粒子は必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。
好適な離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、及びライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、及び鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、及びベトロラクタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、及びカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルを一部、又は全部を脱酸化したワックスが挙げられる。
離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。
[電荷制御剤]
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコア粒子に電荷制御剤を使用しなくてもよい。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
電荷制御剤としては、従来よりトナーに使用されている電荷制御剤から適宜選択できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、及びキノキサリンのようなアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディープブラック3RLのようなアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、及びニグロシン誘導体のようなニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、及びニグロシンZのようなニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、及びデシルトリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩が挙げられる。また、官能基として、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、より迅速な立ち上がり性が得られる点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
負帯電性の電荷制御剤の具体例としては、有機金属錯体、及びキレート化合物が挙げられる。有機金属錯体、及びキレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセトナートや鉄(II)アセチルアセトナートのようなアセチルアセトン金属錯体、及び、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロムのようなサリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩がより好ましい。これらの負帯電製の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、トナー全量を100質量部とする場合に、0.5質量部以上20.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以上15.0質量部以下がより好ましい。
[磁性粉]
トナーコア粒子には、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーコア粒子を用いて製造されたトナー粒子を含むトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、及びニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合、トナー全量を100質量部とする場合に、35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。また、トナーを2成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とする場合に、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
[シェル層を構成する樹脂]
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とは、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH−)が導入された単位を意味する。シェル層は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂の、モノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。以下、シェル層を構成する樹脂を形成する際に、好適に使用できる、熱硬化性樹脂のモノマーについて説明する。
〔熱硬化性樹脂のモノマー〕
熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を樹脂に導入するために用いられるモノマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂の形成に使用されるモノマー及び初期縮合物である。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。メラミン樹脂の形成に使用されるモノマーはメラミンである。尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂の形成に使用されるモノマーは尿素である。グリオキザール樹脂は、グリオキザールと尿素との反応物と、ホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキザール樹脂の形成に使用されるモノマーは、グリオキザールと尿素との反応物である。メラミン、尿素及びグリオキザールと反応させる尿素は、周知の変性を受けていてもよい。熱硬化性樹脂のモノマーは、シェル層の形成前にホルムアルデヒドによりメチロール化された誘導体として使用できる。
結着樹脂に含まれるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、弾性率が高い。このためエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を結着樹脂として含むトナーコア粒子を用いて調製されるトナー粒子は、現像器内で撹拌される際にトナー粒子が弾性変形してしまうことから、トナー粒子表面での摩擦帯電が生じにくい。このことから、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を結着樹脂として含むトナー粒子は、所望する帯電量に帯電されにくい。しかし、本発明のトナーに含まれるトナー粒子が備えるシェル層は、メラミンや、尿素に由来する窒素原子を含む。このため、窒素原子を含むシェル層を備える本発明のトナー粒子は、所望する帯電量に正帯電されやすい。よって、本発明のトナーを用い高印字率で画像を形成する場合、現像器内にトナー粒子が短時間しか滞留しなくても、トナー粒子を速やかに所望の帯電量に帯電させることができる。このため、形成された画像でのかぶりの発生を抑制することができる。トナーに含まれるトナー粒子を所望する帯電量に帯電させやすい点から、シェル層中の窒素原子の含有量は、10質量%以上が好ましい。
シェル層を構成する樹脂には、メチロール基やアミノ基のような上述の熱硬化性樹脂のモノマーが有する官能基との反応性を有する官能基を持つ熱可塑性樹脂に由来する単位を導入してもよい。このように、シェル層を構成する樹脂に、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位とを含有させることで、熱可塑性樹脂に由来する単位に起因する適度な柔軟性を有すると共に、熱硬化性樹脂のモノマーが形成する三次元の架橋構造に起因する適度な機械的強度を有するシェル層を備えるトナー粒子を得ることができる。
メチロール基やアミノ基のような上述の熱硬化性樹脂のモノマーが有する官能基との反応性を有する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基のような活性水素原子を含む官能基が挙げられる。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH)として熱可塑性樹脂中に含まれてもよい。シェル層の形成が容易であることから、熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリルアミドに由来する単位を含む樹脂や、カルボジイミド基、オキサゾリン基、及びグリシジル基のような官能基を有するモノマーに由来する単位を含む樹脂が好ましい。
シェル層を構成する樹脂中の、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
シェル層の厚さは、1nm以上20nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。厚過ぎるシェル層を備えるトナー粒子を含むトナーを用いて画像を形成する場合、トナーを被記録媒体へ定着させる際にトナー粒子に圧力が印加されても、シェル層が破壊されにくい。この場合、トナーコア粒子に含まれる結着樹脂や離型剤の軟化又は溶融が速やかに進行せず、低温域でトナーを被記録媒体上に定着させにくい。一方、薄過ぎるシェル層は、強度が低い。シェル層の強度が低いと、輸送時のような状況での衝撃によってシェル層が破壊される場合がある。高温でトナーを保存する場合、シェル層の少なくとも一部が破壊されたトナー粒子は凝集することがある。高温条件下では、シェル層が破壊された箇所を通じて離型剤のような成分がトナー粒子の表面に染み出することがあるためである。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を市販の画像解析ソフトウェアを用いて解析することによって、計測できる。市販の画像解析ソフトウェアとしては、WinROOF(三谷商事株式会社製)のようなソフトウェアを用いることができる。具体的には、トナーの断面の略中心で直交する2本の直線を引き、当該2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定する。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとする。このようなシェル層の厚さの測定を、10個以上のトナー粒子に対して行い、測定対象の複数のトナー粒子それぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求める。求められる平均値を、トナー粒子が備えるシェル層の膜厚とする。
シェル層が薄すぎる場合、TEM画像上でシェル層とトナーコア粒子との界面が不明瞭であるため、シェル層の厚さの測定が困難である場合がある。このような場合、TEM撮影と、エネルギー分散X線分光分析(EDX)とを組み合わせて、TEM画像中で、窒素のようなシェル層の材質に特徴的な元素のマッピングを行い、シェル層とトナーコア粒子との界面を明確化して、シェル層の厚さを計測すればよい。
シェル層の厚さは、シェル層を形成するために使用される、熱硬化性樹脂のモノマーのような材料の使用量を調整することで、調整できる。シェル層の厚さは、トナーコア粒子の比表面積に対する、熱硬化性樹脂のモノマーの量から、下記式を用いて求めることもできる。
シェル層の厚さ=熱硬化性樹脂のモノマーの量/トナーコア粒子の比表面積
[外添剤]
本発明のトナーに含まれるトナー粒子の表面には、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
外添剤としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
[キャリア]
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂で被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、及びコバルトのような粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、及びアルミニウムのような金属との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、及び鉄−コバルト合金のような粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、及びニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、及びロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子、並びに樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが挙げられる。
キャリア芯材を被覆する樹脂としては、具体的に、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、及びポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、及びポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、及びアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、電子顕微鏡により測定される粒子径で、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。
トナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下が好ましい。
[トナーの製造方法]
トナーの製造方法は、トナーコア粒子を前述の所定の材質からなるシェル層で被覆できる方法であれば特に限定されない。以下、本発明の静電潜像現像用トナーの好適な製造方法に関して、トナーコア粒子の製造方法と、シェル層の形成方法とについて順に説明する。
〔トナーコア粒子の製造方法〕
トナーコア粒子の製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を良好に分散させることができれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択できる。トナーコア粒子の製造方法としては、凝集法が挙げられる。
トナーコア粒子は、pH4に調整された水性媒体中で測定されるゼータ電位が負極性であるように設計されるのが好ましい。通常、トナーコア粒子の表面に均一なシェル層を形成する場合、トナーコア粒子を、分散剤を含む水性媒体中で高度に分散させておく必要がある。しかし、トナーコア粒子がこのようなゼータ電位を示す場合、水性媒体中で、負に帯電するトナーコア粒子と、含窒素化合物であって水性媒体中で正に帯電する熱硬化性樹脂のモノマーとが、相互に電気的に引き寄せられる。そして、トナーコア粒子の表面では、トナーコア粒子に吸着された熱硬化性樹脂のモノマーの縮合反応が良好に進行する。このため、水性媒体中で負帯電するトナーコア粒子を用いてトナーコア粒子の表面にシェル層を形成する場合、分散剤を用いてトナーコア粒子を水性媒体中に高度に分散させずとも、トナーコア粒子の表面に均一にシェル層を形成できる。
pH4に調整された水性媒体中で測定されるゼータ電位が負極性であるトナーコア粒子を用いる場合、上記のように、分散剤を用いることなく、均一なシェル層でトナーコア粒子が被覆されたトナー粒子を得ることができる。このようにして、トナー粒子を製造する場合、排水負荷の非常に高い分散剤を用いないことによって、トナー粒子を製造する際に排出される排水の全有機炭素濃度を、排水を希釈することなく、15mg/L以下の低いレベルとすることが可能となる。
以下、凝集法を用いてトナーコア粒子を製造する方法について説明する。
トナーコア粒子の調製方法として凝集法を用いる場合、形状が均一であり、粒子径の揃ったトナーコア粒子を得やすい。凝集法を用いるトナーコア粒子の製造方法は、下記工程(i)及び(ii):
(i)トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子を、水性媒体中で凝集させて凝集粒子を形成させる、凝集工程、及び
(ii)前記凝集粒子に含まれる成分を、水性媒体中で合一化させてトナーコア粒子を形成させる合一化工程、
を含むのが好ましい。
以下、(i)凝集工程、及び(ii)合一化工程について説明する。
((i)凝集工程)
凝集工程では、トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子を用いる。トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子は、前述する結着樹脂と共に、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のような成分を含む樹脂組成物の微粒子であってもよい。
通常、トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子は、水性媒体中で、結着樹脂又は結着樹脂を含む組成物を所望のサイズに微粒子化することで、微粒子を含む水性分散液として調製される。また、微粒子を含む水性分散液は、結着樹脂を含む微粒子以外の他の微粒子を含んでいてもよい。結着樹脂を含む微粒子以外の他の微粒子としては、着色剤の微粒子、離型剤の微粒子、着色剤と離型剤とからなる微粒子が挙げられる。以下、結着樹脂を含む微粒子の調製方法、着色剤の微粒子の調製方法、及び離型剤の微粒子の調製方法について順に説明する。ここで説明する微粒子とは異なる成分を含む微粒子については、これらの微粒子の製造方法を、適宜選択することで調製できる。
・結着樹脂を含む微粒子の調製
結着樹脂、又は結着樹脂とトナーコア粒子が含んでいてもよい任意成分とを含む樹脂組成物を、ターボミルのような粉砕装置を用いて粗粉砕する。粗粉砕品を、イオン交換水のような水性媒体に分散させた状態で、フローテスターで測定される結着樹脂の軟化点より10℃以上高い温度(最高でも200℃程度までの温度)に加熱する。加熱された結着樹脂の分散液に、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)のような高速剪断乳化装置を用いて強い剪断力を与えることで、結着樹脂を含む微粒子を含む水性分散液(結着樹脂微粒子分散液)が得られる。
結着樹脂として、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を2種類以上用いる場合には、上記粉砕品として、2種以上の異なる種類のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体の粉砕品を混合したものを用いてもよいし、2種以上の異なる種類のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体の混合物を溶融混練して得られる溶融混練物を粉砕して得られる粉砕品を用いてもよい。
結着樹脂を含む微粒子の体積平均粒子径(D50)は1μm以下が好ましく,0.05μm以上0.5μm以下がより好ましい。結着樹脂を含む微粒子の粒子径がこのような範囲であると、粒度分布がシャープであり、形状が均一なトナー−コア粒子を調製しやすい。結着樹脂を含む微粒子の体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、SALD−2200(株式会社島津製作所社製))のような装置を用いて測定できる。
結着樹脂微粒子分散液には、界面活性剤を含有させるのが好ましい。結着樹脂微粒子分散液に、界面活性剤を含有させる場合、結着樹脂を含む微粒子を、水性媒体中で、安定して分散させることができる。
結着樹脂微粒子分散液に含有させることができる界面活性剤はアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤からなる群より適宜選択できる。アニオン系界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩型活性剤、スルホン酸塩型活性剤、リン酸エステル塩型界面活性剤、及び石鹸が挙げられる。カチオン系界面活性剤の例としては、アミン塩型界面活性剤、及び4級アンモニウム塩型界面活性剤が挙げられる。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコール型界面活性剤、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物型界面活性剤、及びグリセリン、ソルビトール、ソルビタンのような多価アルコールの誘導体である多価アルコール型界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤の中では、アニオン系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、1種を用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤の使用量は、結着樹脂の質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
トナーコア粒子を調製する際、カルボキシル基を有するエチレン−不飽和カルボン酸樹脂が結着樹脂として使用される。このため、結着樹脂をそのまま水性媒体中で微粒子化させると、結着樹脂の比表面積が増大するため、結着樹脂を含む微粒子表面に露出した酸性基の影響で、水性媒体のpHが3〜4程度まで低下する場合がある。この場合、得られる微粒子の粒子径を所望の粒子径まで微粒子化しにくい場合がある。
このような問題を抑制するために、結着樹脂を含む微粒子を調製する際に、水性媒体中に塩基性物質を加えてもよい。塩基性物質としては、上記問題を抑制できるものであればよく、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムのようなアルカリ金属化合物;アンモニア;ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、及びN−エチルモルホリンのような有機アミン化合物が挙げられる。これらの塩基性物質の中でも、ジエチルアミン、及び/又はトリエチルアミンを用いるのが好ましい。また、塩基性物質は1種を用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
塩基性物質の沸点は、0℃以上250℃以下が好ましい。沸点が低すぎると、水性媒体中から塩基性物質が揮発しやすくなり、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む結着樹脂の微粒子が、水性媒体中で分散しにくい場合がある。一方、塩基性物質の沸点が高過ぎると、塩基性物質がトナーコア粒子に残存しやすくなり、トナーの耐熱保存性が損なわれる場合がある。
塩基性物質の使用量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基のモル数に対して0.5モル当量以上15モル当量以下が好ましく、0.8モル当量以上3.0モル当量以下がより好ましく、1.0モル当量以上2.5モル当量以下が特に好ましい。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中の不飽和カルボン酸に由来する単位の含有量が5質量%以下の場合、塩基性物質の使用量は3モル当量以上15モル当量以下が好ましく、4モル当量以上12モル当量以下がより好ましく、5モル当量以上10モル当量以下が特に好ましい。塩基性物質の使用量をこのような範囲とすることで、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む結着樹脂の微粒子を、水性媒体中で良好に分散できる。
なお、塩基性物質として有機アミン化合物及び/又はアンモニアを用いた場合、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含む結着樹脂の微粒子を含む水性分散液に脱溶剤処理を施して、有機アミン化合物及び/又はアンモニアの一部を水性分散液から留去させることができる。この場合についても、水性分散液に残存させる有機アミン化合物及び/又はアンモニアの量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基のモル数に対して0.5モル当量以上が好ましい。このようにすることで、耐熱保存性が良好なトナーを得ることができる。トナー中の有機アミン化合物及び/又はアンモニアの含有量は、ガスクロマトグラフィーで定量できる。
・離型剤の微粒子の調製方法
以下、離型剤の微粒子を調製する方法の好適な例について説明する。
離型剤を予め100μm以下程度に粉砕し、離型剤の粉体を得る。離型剤の微粒子の調製には、離型剤の粉体を、界面活性剤を含む水性媒体中に添加してスラリーを調製するのが好ましい。界面活性剤の使用量は、離型剤の質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
次いで、得られるスラリーを離型剤の融点以上の温度に加熱する。加熱されたスラリーに、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))や圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を付与し、離型剤微粒子を含む水性分散液(離型剤微粒子分散液)を調製する。分散液に強い剪断力を与える装置としては、NANO3000(株式会社美粒製)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社製)、マイクロフルダイザー(MFI社製)、ゴーリンホモジナイザー(マントンゴーリン社製)、及びクレアミックスWモーション(エム・テクニック株式会社製)のような装置が挙げられる。
離型剤微粒子分散液に含まれる離型剤の微粒子の体積平均粒子径(D50)は1μm以下が好ましく、0.1μm以上0.7μm以下がより好ましく、0.28μm以上0.55μm以下が特に好ましい。このような範囲の粒子径の離型剤の微粒子を用いることで、結着樹脂中に離型剤が均一に分散したトナー粒子を得やすい。離型剤の微粒子の体積平均粒子径(D50)は、結着樹脂を含む微粒子の体積平均粒子径(D50)と同様の方法で測定できる。
・着色剤の微粒子の調製方法
以下、着色剤の微粒子を調製する方法の好適な例について説明する。
界面活性剤を含む水性媒体中で、着色剤と、必要に応じて着色剤の分散剤のような成分とを、公知の分散機を用いて分散処理することで、着色剤の微粒子を含む水性分散液(着色剤微粒子分散液)を調製するのが好ましい。界面活性剤としては上述の結着樹脂を含む微粒子の調製に用いた界面活性剤を用いることができる。界面活性剤の使用量は、着色剤の質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
分散処理に使用する分散機としては、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー、及び高圧式ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製)のような加圧式分散機や、サンドグラインダー、横型及び縦型ビーズミル、ウルトラアペックスミル(寿工業株式会社製)、ダイノーミル(WAB社製)、及びMSCミル(日本コークス工業株式会社製)のような媒体型分散機を使用できる。
着色剤の微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.01μm以上0.2μm以下が好ましい。着色剤の微粒子の体積平均粒子径(D50)は、結着樹脂を含む微粒子の体積平均粒子径(D50)と同様の方法で測定できる。
上記方法を用いて調製された結着樹脂微粒子分散液は、トナーコア粒子に所定の成分が含まれるように、必要に応じて、離型剤微粒子分散液、及び着色剤微粒子分散液と適宜組み合わせた後、微粒子を凝集させることで、結着樹脂を含む凝集粒子を含む水性分散液を得ることができる。微粒子を凝集させる好適な方法としては、結着樹脂を含む微粒子を含む水性分散液のpHを調整した後、水性分散液に凝集剤を添加し、次いで、水性分散液の温度を所定の温度に調整して微粒子を凝集させる方法が挙げられる。
好適な凝集剤としては、無機金属塩、無機アンモニウム塩、及び2価以上の金属錯体が挙げられる。無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、及び硫酸アルミニウムのような金属塩;ポリ塩化アルミニウム、及びポリ水酸化アルミニウムのような無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、及び硝酸アンモニウムが挙げられる。また、4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、及びポリエチレンイミンのような含窒素化合物も凝集剤として使用できる。
凝集剤としては、2価の金属の塩、及び1価の金属の塩が好ましく用いられる。凝集剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてよい。2種以上の凝集剤を組み合わせて用いる場合、2価の金属の塩と1価の金属の塩とを併用するのが好ましい。2価の金属の塩と1価の金属の塩とでは、微粒子を凝集させる速度が異なる。このため、これらを併用することで、得られる凝集粒子の粒子径の増大化を制御しつつ、凝集粒子の粒度分布をシャープにすることができる。
凝集剤の添加は、微粒子分散液のpHを調整した後で行うのが好ましい。凝集剤を添加する際の水性分散液のpHは8以上が好ましい。凝集剤は一時に添加してもよく、逐次的に添加することもできる。
凝集剤の添加量は、水性分散液の固形分100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下が好ましい。凝集剤の添加量は、微粒子分散液中に含まれるアニオン性又はノニオン性分散剤の種類、及び量に応じて、適宜調整するのが好ましい。
微粒子を凝集させる際の水性分散液の温度としては、結着樹脂のガラス転移点(Tg)以上、結着樹脂のTg+10℃未満の温度が好ましい。結着樹脂の微粒子を含む水性分散液をこのような範囲の温度に加熱することで、水性分散液に含まれる微粒子の凝集を良好に進行させることができる。
凝集粒子が所望の粒子径となるまで凝集が進行した後には、凝集停止剤を添加してもよい。凝集停止剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムが挙げられる。このようにして凝集粒子を含む水性分散液を得ることが出来る。
((ii)合一化工程)
(ii)合一化工程では、上記のようにして得られる凝集粒子を含む水性分散液を加熱し、凝集粒子に含まれる成分を合一化して、所望の粒子径のトナーコア粒子を含む水性分散液を得る。凝集粒子を含む水性分散液を加熱する際の温度としては、結着樹脂のガラス転移点(Tg)+10℃以上、結着樹脂の融点以下の温度であるのが好ましい。凝集粒子を含む水性分散液をこのような範囲内の温度に加熱することで、凝集粒子に含まれる成分の合一化を良好に進行させることができる。
合一化工程を経て得られるトナーコア粒子を含む水性分散液は、そのままシェル層の形成にもちいることができる。また、合一化工程を経て得られるトナーコア粒子を含む水性分散液から、下記の洗浄工程と乾燥工程を経て、トナーコア粒子を回収してもよい。
((iii)洗浄工程)
洗浄工程では、上記方法で得られたトナーコア粒子を、水を用いて洗浄する。洗浄方法は特に限定されず、トナーコア粒子を含む水性分散液から、固液分離を用いてトナーコア粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナーコア粒子を含む水性分散液中のトナーコア粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナーコア粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
((iv)乾燥工程)
トナーコア粒子を乾燥する好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。
〔シェル層の形成方法〕
トナーコア粒子を被覆するシェル層は、メラミン、尿素、及びグリオキザールと尿素との反応物や、これらとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体(メチロール化物)を用いて形成される。また、シェル層を形成する際には、シェル層の形成に用いる溶媒に対する、結着樹脂の溶解や、トナーコア粒子に含まれる離型剤のような成分の溶出を防ぐ必要がある。このため、シェル層の形成は、水のような溶媒中で行われるのが好ましい。
シェル層の形成は、シェル層を形成するための材料の水溶液にトナーコア粒子を添加して行われるのが好ましい。水性媒体中にトナーコア粒子を添加した後、水性媒体中にトナーコア粒子を良好に分散させる方法としては、分散液を強力に撹拌できる装置を用いてトナーコア粒子を水性媒体中に機械的に分散させる方法や、分散剤を含有する水性媒体中でトナーコア粒子を分散させる方法が挙げられる。
分散液を強力に撹拌できる装置を用いてトナーコア粒子を水性媒体中に機械的に分散させる方法では、ハイビスミックス(プライミックス株式会社製)のような装置を用いるのが好ましい。
トナーコア粒子を水性媒体中に分散させる際に、水性媒体中に添加できる分散剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリパラビニルフェノール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、イソプレンスルホン酸、ポリエーテル、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン及びリグニンスルホン酸ナトリウムのような化合物を用いることができる。これらの分散剤は、1種を用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
分散剤の使用量は、トナーコア粒子100質量部に対して75質量部以下が好ましい。
シェル層を形成する際に分散剤を用いてトナーコア粒子を分散させる場合、トナーコア粒子がシェル層の形成に用いる溶媒中で高度に分散されるため、トナーコア粒子をシェル層で均一に被覆することができる。その一方で、分散剤を用いてトナーコア粒子を分散させると、トナーコア粒子の表面に分散剤が付着するため、トナーコア粒子とシェル層との界面に分散剤が存在する状態でシェル層が形成される。そうすると、シェル層とトナーコア粒子との界面に存在する分散剤の影響により、シェル層のトナーコア粒子への付着力が弱くなり、トナー粒子に加わる機械的ストレスにより、トナーコア粒子からシェル層が剥がれやすくなる。
シェル層を形成するための材料の水溶液のpHは、トナーコア粒子を水溶液に添加前に酸性物質を用いて4程度に調整されるのが好ましい。分散液のpHを酸性側に調整することで、後述するシェル層を形成させるために用いられる材料の重縮合反応が促進される。
必要に応じてシェル層を形成するための材料の水溶液のpHを調整した後、水性媒体中で、シェル層を形成するための材料とトナーコア粒子とを混合する。その後、水性分散液中で、トナーコア粒子の表面でのシェル層を形成させるための材料間の反応を進行させて、トナーコア粒子の表面を被覆するシェル層を形成する。
熱硬化性樹脂のモノマーを用いてシェル層を形成する際の温度は、40℃以上95℃以下が好ましく、50℃以上80℃以下がより好ましい。このような範囲内の温度下でシェル層を形成することで、シェル層の形成が良好に進行する。
上記のようにしてシェル層を形成した後、シェル層で被覆されたトナーコア粒子を含む水性分散液を常温まで冷却して、トナー粒子(トナー母粒子)の分散液を得ることができる。その後、必要に応じて、トナー粒子(トナー母粒子)を洗浄する洗浄工程、トナー粒子(トナー母粒子)を乾燥する乾燥工程、及び、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる外添工程から選択される1以上の工程を経て、トナー粒子(トナー母粒子)の分散液からトナーが回収される。以下、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程について説明する。
(洗浄工程)
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて、水を用いて洗浄される。好適な洗浄方法としては、トナー粒子(トナー母粒子)を含む水性分散液から、固液分離によりトナー粒子(トナー母粒子)をウエットケーキとして回収し、得られるウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子(トナー母粒子)を含む分散液中のトナー粒子(トナー母粒子)を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子(トナー母粒子)を水に再分散させる方法が挙げられる。
(乾燥工程)
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて乾燥されてもよい。トナー粒子(トナー母粒子)を乾燥させる好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、及び減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子(トナー母粒子)の凝集を抑制することがあることからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
(外添工程)
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。上記方法により得られるトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子表面に埋没しないように条件を調整して、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
以上説明した本発明の静電潜像現像用トナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、長期間ストレスを受けることによるトナー粒子の破砕を抑制でき、高印字率で画像を形成する場合に、トナー粒子を所望の帯電量に帯電させることができ、且つ、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できる。このため、本発明の静電潜像現像用トナーは、種々の画像形成装置で好適に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
[製造例1]
〔結着樹脂微粒子分散液a〜gの調製〕
結着樹脂微粒子分散液a〜gの調製に、表1に記載の樹脂を結着樹脂として用いた。各樹脂について、樹脂の種類、軟化点、及び融点を表1に記す。エチレン−メタクリル酸共重合体については、共重合体中のメタクリル酸に由来する単位(以下、不飽和カルボン酸単位とも記す。)の含有量を表1に記す。エチレン−メタクリル酸共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体については、メルトフローレート(MFR)を表1に記す。
なお、表1に記載の軟化点は、JIS K7206:1999に準拠して測定されたビカット軟化点である。また、表1に記載の融点は、JIS K7121:1987に準拠して測定された値である。表1に記載の、エチレン−メタクリル酸共重合体中の、不飽和カルボン酸単位の含有量は、FT−IR法を用いて測定された値である。MFRは、メルトインデクサー(G−01、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、JIS K7210:1999(190℃、2.16Kg加重)に準拠して測定した。
Figure 0005836328
結着樹脂微粒子分散液a〜gを、以下の手順で調製した。
まず、撹拌羽根を備える撹拌装置、温度計及びヒーターを備えた、密閉可能な、容量1リットルの耐圧ガラス製容器に、結着樹脂微粒子分散液の原料として、表2に記す種類の樹脂100gと、表2に記す量のアンモニア水溶液(濃度25質量%)と、表2に記す量の蒸留水とを投入した。なお、結着樹脂微粒子分散液f及びgの調製には、アンモニア水溶液を用いなかった。
耐圧ガラス製容器を密閉した後、容器の内容物を、回転速度400rpmで30分間、撹拌装置を用いて撹拌した。次いで、回転速度400rpmで容器の内容物を撹拌しながら、容器の内容物の温度を170℃まで上げた。その後、さらに60分間、同温度で容器の内容物を撹拌した。その後、回転速度400rpmで、容器の内容物を撹拌しながら、1時間かけて容器の内容物を80℃まで冷却した。次いで、ガラス製容器の下半分を水に浸して冷却し、容器内の温度が35℃に達した後、撹拌を停止した。その後、ガラス容器内の内容物を、ステンレス製フィルター(460メッシュ)を用いて濾過して、固形分濃度が10質量%である、結着樹脂微粒子を含む水性分散液を得た。水性分散液に含まれる微粒子の体積平均粒子径(D50)は150nmであった。なお、分散液中の樹脂微粒子の体積平均粒子径は粒子径分布測定装置(LA−950V2(株式会社堀場製作所製))を用いて測定した。
Figure 0005836328
[製造例2]
〔着色剤微粒子分散液の調製〕
シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))90g、アニオン系界面活性剤(エマール0(花王株式会社製)、ラウリル硫酸ナトリウム)10g、及びイオン交換水400gを混合した。混合液を、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006(株式会社スギノマシン製))を用いて、1時間乳化・分散させて、固形分濃度が18質量%の着色剤微粒子分散液を得た。
[製造例3]
〔離型剤微粒子分散液の調製〕
離型剤(WEP−5、ペンタエリスリトールベヘン酸エステルワックス、溶融温度84℃、(日本油脂株式会社製))200g、アニオン系界面活性剤(エマールE−27C(花王株式会社製))2g、及びイオン交換水800gを混合した。混合液を100℃に加熱し離型剤を融解させた後、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))で5分間乳化した。次いで、ゴーリンホモジナイザー(マントンゴーリン社製)を用いて、100℃の条件で乳化処理を行った。このようにして、体積平均粒子径が250nm、融点が83℃、固形分濃度が20質量%の離型剤微粒子分散液を得た。
[製造例4]
〔シリカの調製〕
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)100g、及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)100gをトルエン200gに溶解させた後、10倍に希釈した。次いで、ヒュームドシリカアエロジル#90(日本アエロジル株式会社製)200gを撹拌しながら、ジメチルポリシロキサンと3−アミノプロピルトリメトキシシランとの希釈溶液を徐々に滴下した後、30分間超音波照射・撹拌して混合した。得られた混合物を150℃の恒温槽で加熱した後、トルエンを、ロータリーエヴァポレーターを用いて留去して固形物を得た。得られた固形物を、減圧乾燥機を用いて設定温度50℃で減量しなくなるまで乾燥した。さらに、電気炉にて、窒素気流下、200℃で3時間処理を行いシリカの粗粉体を得た。シリカの粗粉体を、ジェットミル(IDS型ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製))を用いて解砕し、バグフィルターを用いて捕集して、シリカを得た。
[実施例1〜5、実施例7、及び比較例2、比較例3]
〔トナーコア粒子の製造〕
下記の微粒子分散液を用いて、トナーコア粒子を含む分散液を調製した。
表3〜5に記載の種類の結着樹脂微粒子分散液(固形分濃度10質量%):850g
着色剤微粒子分散液(固形分濃度18質量%):27.7g
離型剤微粒子分散液(固形分濃度20質量%):50.0g
容量1Lの四つ口フラスコに、温度センサー、冷却管、撹拌装置をセットした。上記の微粒子分散液と、アニオン系界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))の10質量%濃度の水溶液20gと、イオン交換水64.3gとをフラスコ内に投入した。次いで、フラスコの内容物を100rpmの撹拌速度で撹拌しながら、塩化マグネシウム6水和物(凝集剤)の50質量%濃度の水溶液56gを、5分かけてフラスコ内に添加した。次いで、2℃/分の速度でフラスコの内温を40℃まで上げた後、フラスコの内容物を100rpmの撹拌速度で30分撹拌した。次いで、1℃/分の速度で、フラスコの内温をさらに80℃まで上げた後、フラスコの内容物を100rpmの撹拌速度で2時間撹拌して、分散液中の微粒子の凝集を進行させた。その後、フラスコ内にNaClの50質量%濃度の水溶液(凝集停止剤)370gを添加し、分散液を撹拌速度350rpmで10分間撹拌した。撹拌後、5℃/分の速度で分散液を25℃まで冷却して、トナーコア粒子を含む分散液を得た。得られたトナーコア粒子の分散液について、下記方法に従って、分散液からトナーコア粒子を回収した。
<トナーコア粒子の回収方法>
塩酸を用いてトナーコア粒子の分散液のpHを2に調整した後、開口1μmのろ布を用いて、トナーコア粒子分散液からトナーコア粒子のウエットケーキをろ取した。トナーコア粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナーコア粒子を洗浄した。イオン交換水を用いるトナーコア粒子の洗浄を5回繰り返した。洗浄後のトナーコア粒子のウエットケーキを40℃で真空乾燥させて、トナーコア粒子を得た。
〔シェル層形成工程〕
温度計、及び撹拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル層の原料として、表3〜5に記載の量のメチロールメラミン水溶液(ミルベン607(昭和電工株式会社製)、固形分濃度80質量%)を添加した。次いで、フラスコの内容物を撹拌し、シェル層の原料を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(A)を得た。
水溶液(A)に、表3〜5に記載の種類のトナーコア粒子300gを添加し、フラスコの内容物を、200rpmの速度で1時間撹拌した。次いで、フラスコ内に、イオン交換水300mLを追加した。その後、フラスコの内容物を100rpmで撹拌しながら、1℃/分の速度で、フラスコ内温を70℃まで上げた。昇温後、同温度、100rpmの条件でフラスコの内容物を2時間撹拌し続けた。その後、フラスコ内に、水酸化ナトリウムを加えて、フラスコの内容物のpHを7に調整した。次いで、フラスコの内容物を、常温まで冷却してトナー母粒子を含む分散液を得た。
〔洗浄工程〕
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取した。トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による同様の洗浄を5回繰り返した。
〔乾燥工程〕
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m/分であった。
〔外添工程〕
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ(REA90(日本アエロジル株式会社製))0.5質量部とを、10Lヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、5分間混合して外添剤を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いてトナーを篩別した。
[実施例6]
シェル層の形成工程で、シェル層の原料を、尿素1.2g、及びホルマリン3.0gに変える他は、実施例1と同様にして、実施例6のトナーを得た。
[比較例1]
シェル層の形成工程を行わず、トナーコア粒子Aをトナー母粒子として用いた。トナー母粒子を用いて、実施例1と同様に外添処理し、比較例1のトナーを得た。
≪シェル層の厚さ≫
実施例1〜7のトナーに含まれるトナー粒子の断面のTEM写真を、以下の方法に従って撮影した。なお、比較例1のトナーは、シェル層の形成工程を行っていないため、シェル層の厚さを測定しなかった。また、比較例2及び3のトナーについては、後述するように、所望の評価結果のトナーが得られていないため、シェル層の膜厚を測定しなかった。トナー粒子の断面のTEM写真から、以下の方法に従って、シェル層の厚さを測定した。実施例1〜7のトナーが備えるシェル層の厚さを、表3〜5に記す。
<トナー粒子の断面のTEM写真の撮影方法>
まず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。その後、得られた硬化物から、ミクロトーム(EM UC6(ライカ株式会社製))を用いて、厚さ200nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、JSM−6700F(日本電子株式会社製))を用いて倍率3000倍及び10000倍で観察し、トナー粒子の断面のTEM写真を撮影した。
<シェル層の厚さの測定方法>
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))を用いて解析することで計測した。具体的には、トナーの断面の略中心点で直交する2本の直線を引き、当該2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定した。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとした。このようなシェル層の厚さの測定を、10個のトナーに対して行い、測定対象の複数のトナーそれぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求めた。求められた平均値を、トナーが備えるシェル層の膜厚とした。
≪評価1≫
実施例1〜7、比較例1〜3のトナーについて、以下の方法に従って、耐熱保存性を評価した。実施例1〜7、比較例1〜3のトナーの耐熱保存性の評価結果を、表3〜5に記す。
<耐熱保存性評価>
トナー3gを、容量20mlのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置した後、25℃65%RHの環境下で30分間静置し、耐熱保存性評価用のトナーを得た。その後、目開き105μm、63μm、及び45μmの篩を、目開きの小さいものから順に上に重ねて用い、目開き105μmの篩に耐熱保存性評価用のトナーを載せて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、振動目盛り5にて30秒間、篩別を行った。篩別後、目開き105μmの篩に残ったトナーの質量(T(g))、63μmの篩に残ったトナーの質量を(T(g))、及び45μmの篩に残ったトナーの質量(T(g))それぞれ秤量し、下記式によりトナーの凝集度を測定した。
/3×100=C
/3×100×3/5=C
/3×100×1/5=C
トナーの凝集度(%)=C+C+C
耐熱保存性を下記基準により評価した。
○:トナーの凝集度が15%未満。
×:トナーの凝集度が15%以上。
≪評価2≫
実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーを用いて、以下の方法に従って、低温定着性、及び耐ストレス性を評価した。低温定着性、及び耐ストレス性の評価には、定着温度を調節可能なように改造したカラープリンター(FS−C5400DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)の定着器の定着温度を、定着試験用の温度範囲で調節可能に改造したカラープリンター)を用いた。被記録媒体には、普通紙を用いた。低温定着性、及び耐ストレス性の評価は、以下の方法に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナー低温定着性、及び耐ストレス性の評価結果を、表3〜5に記す。
[製造例5]
〔2成分現像剤の調製〕
(キャリアの調製)
ポリアミドイミド樹脂30gを水2Lで希釈して希釈液を得た。得られた希釈液に、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)120gを分散させた後、さらに酸化ケイ素3gを分散させて被覆層形成液を得た。この被覆層形成液とノンコートフェライトキャリアEF−35B(パウダーテック株式会社製、平均粒子径35μm)10kgとを、流動床被覆装置に投入して被覆を行った。その後、250℃で1時間焼付けを行い、キャリアを得た。
(トナーとキャリアとの混合)
得られた樹脂被覆フェライトキャリアと、実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーとを、2成分現像剤中のトナー濃度が10質量%となるように混合して、2成分現像剤を調製した。
<低温定着性評価>
カラープリンターの現像器内に2成分現像剤をインストールし、トナーカートリッジにトナーを充填した後に、被記録媒体上のトナー載り量が0.5mg/cmである未定着画像を形成した。次いで、定着温度80〜180℃の範囲で変化させて定着を行い、オフセットが発生しない最低定着温度を測定した。低温定着性を、下記基準により評価した。
○:最低定着温度が120℃未満。
×:最低定着温度が120℃以上。
<耐ストレス性評価>
カラープリンターを用いて、23℃50%RHの環境下で、2,000枚連続して白紙画像の形成を行った。その後、現像器内からトナーを取り出して、反射型電子顕微鏡を用い、倍率1,000倍でトナーを観察した。反射型電子顕微鏡を用いて観察されるトナー500個について、視野を変えて5回観察し、破砕したトナーの個数を測定した。耐ストレス性を、下記基準により評価した。
◎:破砕したトナーが観察されなかった。
○:破砕したトナーが1又は2個観察された。
△:破砕したトナーが3〜9個観察された。
×:破砕したトナーが10個以上観察された。
≪評価3≫
実施例1〜7、比較例1〜3のトナーについて、以下の方法に従って、帯電安定性、及び画像かぶりを評価した。なお、帯電安定性、及び画像かぶりの評価は、上述の製造例5に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜7、比較例1〜3のトナーの評価結果を、表3〜5に記す。
帯電安定性、及び画像かぶりの評価には、カラー複合機(TASKalfa 5550ci(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))の定着装置(定着部)に、外部駆動装置、及び定着温度制御装置を取り付けた定着試験機を用いた。被記録媒体には、普通紙を用いた。調製したシアントナーを用いて、カラー複合機を用いて、20℃65%RHの環境下、印字率2%の条件で、5,000枚連続してカラーの文字パターンの形成を行った。5,000枚画像形成後、印字率50%の条件で、1,000枚連続してカラーのパッチパターンの形成を行った。
<帯電安定性評価>
5,000枚連続の画像形成後のトナーの帯電量(Q)と、1,000枚連続の画像形成後のトナーの帯電量(Q)とを、帯電量測定装置を用いて測定し、その帯電量の変化量(|Q−Q|)を求めた。帯電安定性を、下記基準に従って評価した。
○:|Q−Q|が、7μC/g未満。
×:|Q−Q|が、7μC/g以上
<画像かぶり評価>
1,000枚連続してカラーのパッチパターンの形成を行った後、画像かぶり評価用の評価用パッチパターンを形成し、評価用パッチパターンの白紙部の画像濃度から画像出力前の白紙の画像濃度を差し引いた値をかぶり濃度とした。画像かぶりを、下記基準に従って評価した。
○:かぶり濃度が、0.010未満。
×:かぶり濃度が、0.010以上。
≪総合評価≫
評価1〜3で行った、耐熱保存性、低温定着性、耐ストレス性、帯電安定性、及び画像かぶりの評価結果から、実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーの総合評価を行った。耐熱保存性、低温定着性、耐ストレス性、帯電安定性、及び画像かぶりの評価結果の何れについても×がない場合、トナーの総合評価を○とした。耐熱保存性、低温定着性、耐ストレス性、帯電安定性、及び画像かぶりの評価結果の何れかに×がある場合、トナーの総合評価を×とした。実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーの総合評価の評価結果を表3〜5に記す。
Figure 0005836328
Figure 0005836328
Figure 0005836328
実施例1〜7によれば、
・結着樹脂を含むトナーコア粒子と、トナーコア粒子の表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を、含むトナーであって、
・結着樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含み、
・シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
・熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂である、
トナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、長期間ストレスを受けることによるトナー粒子の破砕を抑制でき、高印字率で画像を形成する場合に、トナー粒子を所望の帯電量に帯電させることができ、且つ、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できることが分かる。
実施例6と、他の実施例とを比較すると、シェル層がメラミン樹脂からなるトナー粒子を含むトナーは、耐熱保存性により優れ、高印字率で画像を形成する場合に、形成された画像でのかぶりの発生を抑制しやすく、且つ、トナー粒子を所望の帯電量に帯電させやすいことが分かる。
実施例4と、他の実施例とを比較すると、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中の、不飽和カルボン酸に由来する単位の含有量が5質量%以上15質量%以下であるトナーは、長期間ストレスを受けることによるトナー粒子の破砕を抑制することがあることが分かる。
比較例1によれば、シェル層が形成されていないトナー粒子を含むトナーは、耐熱保存性に劣り、高印字率で画像を形成する場合に、トナー粒子を所望の帯電量に帯電させることができず、形成された画像でかぶりが発生することがあることが分かる。比較例1のトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコア粒子に含まれる離型剤のような成分のトナー粒子表面への染み出しが容易に生じるため耐熱保存性に劣ると思われる。
比較例2によれば、結着樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を含むトナーコア粒子からなるトナー粒子を含むトナーは、長期間ストレスを受けることによるトナー粒子の破砕を抑制できないことが分かる。比較例2のトナーに含まれるトナー粒子は、現像器内で撹拌されることにより変形することがあり、シェル層の破壊が容易に生じる。このため、比較例2のトナーは、長期間ストレスを受けることによるトナー粒子の破砕を抑制できないと思われる。
比較例3によれば、結着樹脂としてスチレン−アクリル共重合体を含むトナーコア粒子からなるトナー粒子を含むトナーは、低温定着性に劣ることが分かる。比較例3のトナーに含まれるトナー粒子は、容易に変形しにくい。このため、比較例3のトナーは低温定着性に劣ると思われる。

Claims (2)

  1. 結着樹脂を含むトナーコア粒子と、
    前記トナーコア粒子の表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含み、
    前記シェル層が、熱硬化性樹脂からなり、
    前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
    前記シェル層の厚さが1nm以上20nm以下である、静電潜像現像用トナー。
  2. 前記シェル層がメラミン樹脂からなる、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
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