JP5836328B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Description
トナー粒子を構成するトナーコア粒子は、結着樹脂として、カルボキシル基を有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を必須に含む。このため、トナーコア粒子の表面には、カルボキシル基が露出する。他方、シェル層は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。このような熱硬化性樹脂のモノマーとホルムアルデヒドとを反応させるか、ホルムアルデヒドを用いて熱硬化性樹脂のモノマーをメチロール化した前駆体を用いてシェル層が形成される。
トナーコア粒子は必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
トナーコア粒子は必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコア粒子に電荷制御剤を使用しなくてもよい。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
トナーコア粒子には、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーコア粒子を用いて製造されたトナー粒子を含むトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、及びニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とは、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を意味する。シェル層は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂の、モノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。以下、シェル層を構成する樹脂を形成する際に、好適に使用できる、熱硬化性樹脂のモノマーについて説明する。
熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を樹脂に導入するために用いられるモノマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂の形成に使用されるモノマー及び初期縮合物である。
シェル層の厚さ=熱硬化性樹脂のモノマーの量/トナーコア粒子の比表面積
本発明のトナーに含まれるトナー粒子の表面には、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
トナーの製造方法は、トナーコア粒子を前述の所定の材質からなるシェル層で被覆できる方法であれば特に限定されない。以下、本発明の静電潜像現像用トナーの好適な製造方法に関して、トナーコア粒子の製造方法と、シェル層の形成方法とについて順に説明する。
トナーコア粒子の製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を良好に分散させることができれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択できる。トナーコア粒子の製造方法としては、凝集法が挙げられる。
(i)トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子を、水性媒体中で凝集させて凝集粒子を形成させる、凝集工程、及び
(ii)前記凝集粒子に含まれる成分を、水性媒体中で合一化させてトナーコア粒子を形成させる合一化工程、
を含むのが好ましい。
以下、(i)凝集工程、及び(ii)合一化工程について説明する。
凝集工程では、トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子を用いる。トナーコア粒子を構成する成分を含む微粒子は、前述する結着樹脂と共に、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のような成分を含む樹脂組成物の微粒子であってもよい。
結着樹脂、又は結着樹脂とトナーコア粒子が含んでいてもよい任意成分とを含む樹脂組成物を、ターボミルのような粉砕装置を用いて粗粉砕する。粗粉砕品を、イオン交換水のような水性媒体に分散させた状態で、フローテスターで測定される結着樹脂の軟化点より10℃以上高い温度(最高でも200℃程度までの温度)に加熱する。加熱された結着樹脂の分散液に、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)のような高速剪断乳化装置を用いて強い剪断力を与えることで、結着樹脂を含む微粒子を含む水性分散液(結着樹脂微粒子分散液)が得られる。
以下、離型剤の微粒子を調製する方法の好適な例について説明する。
以下、着色剤の微粒子を調製する方法の好適な例について説明する。
(ii)合一化工程では、上記のようにして得られる凝集粒子を含む水性分散液を加熱し、凝集粒子に含まれる成分を合一化して、所望の粒子径のトナーコア粒子を含む水性分散液を得る。凝集粒子を含む水性分散液を加熱する際の温度としては、結着樹脂のガラス転移点(Tg)+10℃以上、結着樹脂の融点以下の温度であるのが好ましい。凝集粒子を含む水性分散液をこのような範囲内の温度に加熱することで、凝集粒子に含まれる成分の合一化を良好に進行させることができる。
洗浄工程では、上記方法で得られたトナーコア粒子を、水を用いて洗浄する。洗浄方法は特に限定されず、トナーコア粒子を含む水性分散液から、固液分離を用いてトナーコア粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナーコア粒子を含む水性分散液中のトナーコア粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナーコア粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
トナーコア粒子を乾燥する好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。
トナーコア粒子を被覆するシェル層は、メラミン、尿素、及びグリオキザールと尿素との反応物や、これらとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体(メチロール化物)を用いて形成される。また、シェル層を形成する際には、シェル層の形成に用いる溶媒に対する、結着樹脂の溶解や、トナーコア粒子に含まれる離型剤のような成分の溶出を防ぐ必要がある。このため、シェル層の形成は、水のような溶媒中で行われるのが好ましい。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて、水を用いて洗浄される。好適な洗浄方法としては、トナー粒子(トナー母粒子)を含む水性分散液から、固液分離によりトナー粒子(トナー母粒子)をウエットケーキとして回収し、得られるウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子(トナー母粒子)を含む分散液中のトナー粒子(トナー母粒子)を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子(トナー母粒子)を水に再分散させる方法が挙げられる。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて乾燥されてもよい。トナー粒子(トナー母粒子)を乾燥させる好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、及び減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子(トナー母粒子)の凝集を抑制することがあることからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。上記方法により得られるトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子表面に埋没しないように条件を調整して、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
〔結着樹脂微粒子分散液a〜gの調製〕
結着樹脂微粒子分散液a〜gの調製に、表1に記載の樹脂を結着樹脂として用いた。各樹脂について、樹脂の種類、軟化点、及び融点を表1に記す。エチレン−メタクリル酸共重合体については、共重合体中のメタクリル酸に由来する単位(以下、不飽和カルボン酸単位とも記す。)の含有量を表1に記す。エチレン−メタクリル酸共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体については、メルトフローレート(MFR)を表1に記す。
まず、撹拌羽根を備える撹拌装置、温度計及びヒーターを備えた、密閉可能な、容量1リットルの耐圧ガラス製容器に、結着樹脂微粒子分散液の原料として、表2に記す種類の樹脂100gと、表2に記す量のアンモニア水溶液(濃度25質量%)と、表2に記す量の蒸留水とを投入した。なお、結着樹脂微粒子分散液f及びgの調製には、アンモニア水溶液を用いなかった。
〔着色剤微粒子分散液の調製〕
シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))90g、アニオン系界面活性剤(エマール0(花王株式会社製)、ラウリル硫酸ナトリウム)10g、及びイオン交換水400gを混合した。混合液を、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006(株式会社スギノマシン製))を用いて、1時間乳化・分散させて、固形分濃度が18質量%の着色剤微粒子分散液を得た。
〔離型剤微粒子分散液の調製〕
離型剤(WEP−5、ペンタエリスリトールベヘン酸エステルワックス、溶融温度84℃、(日本油脂株式会社製))200g、アニオン系界面活性剤(エマールE−27C(花王株式会社製))2g、及びイオン交換水800gを混合した。混合液を100℃に加熱し離型剤を融解させた後、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))で5分間乳化した。次いで、ゴーリンホモジナイザー(マントンゴーリン社製)を用いて、100℃の条件で乳化処理を行った。このようにして、体積平均粒子径が250nm、融点が83℃、固形分濃度が20質量%の離型剤微粒子分散液を得た。
〔シリカの調製〕
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)100g、及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)100gをトルエン200gに溶解させた後、10倍に希釈した。次いで、ヒュームドシリカアエロジル#90(日本アエロジル株式会社製)200gを撹拌しながら、ジメチルポリシロキサンと3−アミノプロピルトリメトキシシランとの希釈溶液を徐々に滴下した後、30分間超音波照射・撹拌して混合した。得られた混合物を150℃の恒温槽で加熱した後、トルエンを、ロータリーエヴァポレーターを用いて留去して固形物を得た。得られた固形物を、減圧乾燥機を用いて設定温度50℃で減量しなくなるまで乾燥した。さらに、電気炉にて、窒素気流下、200℃で3時間処理を行いシリカの粗粉体を得た。シリカの粗粉体を、ジェットミル(IDS型ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製))を用いて解砕し、バグフィルターを用いて捕集して、シリカを得た。
〔トナーコア粒子の製造〕
下記の微粒子分散液を用いて、トナーコア粒子を含む分散液を調製した。
表3〜5に記載の種類の結着樹脂微粒子分散液(固形分濃度10質量%):850g
着色剤微粒子分散液(固形分濃度18質量%):27.7g
離型剤微粒子分散液(固形分濃度20質量%):50.0g
塩酸を用いてトナーコア粒子の分散液のpHを2に調整した後、開口1μmのろ布を用いて、トナーコア粒子分散液からトナーコア粒子のウエットケーキをろ取した。トナーコア粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナーコア粒子を洗浄した。イオン交換水を用いるトナーコア粒子の洗浄を5回繰り返した。洗浄後のトナーコア粒子のウエットケーキを40℃で真空乾燥させて、トナーコア粒子を得た。
温度計、及び撹拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル層の原料として、表3〜5に記載の量のメチロールメラミン水溶液(ミルベン607(昭和電工株式会社製)、固形分濃度80質量%)を添加した。次いで、フラスコの内容物を撹拌し、シェル層の原料を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(A)を得た。
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取した。トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による同様の洗浄を5回繰り返した。
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ(REA90(日本アエロジル株式会社製))0.5質量部とを、10Lヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、5分間混合して外添剤を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いてトナーを篩別した。
シェル層の形成工程で、シェル層の原料を、尿素1.2g、及びホルマリン3.0gに変える他は、実施例1と同様にして、実施例6のトナーを得た。
シェル層の形成工程を行わず、トナーコア粒子Aをトナー母粒子として用いた。トナー母粒子を用いて、実施例1と同様に外添処理し、比較例1のトナーを得た。
実施例1〜7のトナーに含まれるトナー粒子の断面のTEM写真を、以下の方法に従って撮影した。なお、比較例1のトナーは、シェル層の形成工程を行っていないため、シェル層の厚さを測定しなかった。また、比較例2及び3のトナーについては、後述するように、所望の評価結果のトナーが得られていないため、シェル層の膜厚を測定しなかった。トナー粒子の断面のTEM写真から、以下の方法に従って、シェル層の厚さを測定した。実施例1〜7のトナーが備えるシェル層の厚さを、表3〜5に記す。
まず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。その後、得られた硬化物から、ミクロトーム(EM UC6(ライカ株式会社製))を用いて、厚さ200nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、JSM−6700F(日本電子株式会社製))を用いて倍率3000倍及び10000倍で観察し、トナー粒子の断面のTEM写真を撮影した。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))を用いて解析することで計測した。具体的には、トナーの断面の略中心点で直交する2本の直線を引き、当該2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定した。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとした。このようなシェル層の厚さの測定を、10個のトナーに対して行い、測定対象の複数のトナーそれぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求めた。求められた平均値を、トナーが備えるシェル層の膜厚とした。
実施例1〜7、比較例1〜3のトナーについて、以下の方法に従って、耐熱保存性を評価した。実施例1〜7、比較例1〜3のトナーの耐熱保存性の評価結果を、表3〜5に記す。
トナー3gを、容量20mlのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置した後、25℃65%RHの環境下で30分間静置し、耐熱保存性評価用のトナーを得た。その後、目開き105μm、63μm、及び45μmの篩を、目開きの小さいものから順に上に重ねて用い、目開き105μmの篩に耐熱保存性評価用のトナーを載せて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、振動目盛り5にて30秒間、篩別を行った。篩別後、目開き105μmの篩に残ったトナーの質量(T1(g))、63μmの篩に残ったトナーの質量を(T2(g))、及び45μmの篩に残ったトナーの質量(T3(g))それぞれ秤量し、下記式によりトナーの凝集度を測定した。
T1/3×100=C1
T2/3×100×3/5=C2
T3/3×100×1/5=C3
トナーの凝集度(%)=C1+C2+C3
耐熱保存性を下記基準により評価した。
○:トナーの凝集度が15%未満。
×:トナーの凝集度が15%以上。
実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーを用いて、以下の方法に従って、低温定着性、及び耐ストレス性を評価した。低温定着性、及び耐ストレス性の評価には、定着温度を調節可能なように改造したカラープリンター(FS−C5400DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)の定着器の定着温度を、定着試験用の温度範囲で調節可能に改造したカラープリンター)を用いた。被記録媒体には、普通紙を用いた。低温定着性、及び耐ストレス性の評価は、以下の方法に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナー低温定着性、及び耐ストレス性の評価結果を、表3〜5に記す。
〔2成分現像剤の調製〕
(キャリアの調製)
ポリアミドイミド樹脂30gを水2Lで希釈して希釈液を得た。得られた希釈液に、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)120gを分散させた後、さらに酸化ケイ素3gを分散させて被覆層形成液を得た。この被覆層形成液とノンコートフェライトキャリアEF−35B(パウダーテック株式会社製、平均粒子径35μm)10kgとを、流動床被覆装置に投入して被覆を行った。その後、250℃で1時間焼付けを行い、キャリアを得た。
得られた樹脂被覆フェライトキャリアと、実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーとを、2成分現像剤中のトナー濃度が10質量%となるように混合して、2成分現像剤を調製した。
カラープリンターの現像器内に2成分現像剤をインストールし、トナーカートリッジにトナーを充填した後に、被記録媒体上のトナー載り量が0.5mg/cm2である未定着画像を形成した。次いで、定着温度80〜180℃の範囲で変化させて定着を行い、オフセットが発生しない最低定着温度を測定した。低温定着性を、下記基準により評価した。
○:最低定着温度が120℃未満。
×:最低定着温度が120℃以上。
カラープリンターを用いて、23℃50%RHの環境下で、2,000枚連続して白紙画像の形成を行った。その後、現像器内からトナーを取り出して、反射型電子顕微鏡を用い、倍率1,000倍でトナーを観察した。反射型電子顕微鏡を用いて観察されるトナー500個について、視野を変えて5回観察し、破砕したトナーの個数を測定した。耐ストレス性を、下記基準により評価した。
◎:破砕したトナーが観察されなかった。
○:破砕したトナーが1又は2個観察された。
△:破砕したトナーが3〜9個観察された。
×:破砕したトナーが10個以上観察された。
実施例1〜7、比較例1〜3のトナーについて、以下の方法に従って、帯電安定性、及び画像かぶりを評価した。なお、帯電安定性、及び画像かぶりの評価は、上述の製造例5に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜7、比較例1〜3のトナーの評価結果を、表3〜5に記す。
5,000枚連続の画像形成後のトナーの帯電量(Q1)と、1,000枚連続の画像形成後のトナーの帯電量(Q2)とを、帯電量測定装置を用いて測定し、その帯電量の変化量(|Q2−Q1|)を求めた。帯電安定性を、下記基準に従って評価した。
○:|Q2−Q1|が、7μC/g未満。
×:|Q2−Q1|が、7μC/g以上
1,000枚連続してカラーのパッチパターンの形成を行った後、画像かぶり評価用の評価用パッチパターンを形成し、評価用パッチパターンの白紙部の画像濃度から画像出力前の白紙の画像濃度を差し引いた値をかぶり濃度とした。画像かぶりを、下記基準に従って評価した。
○:かぶり濃度が、0.010未満。
×:かぶり濃度が、0.010以上。
評価1〜3で行った、耐熱保存性、低温定着性、耐ストレス性、帯電安定性、及び画像かぶりの評価結果から、実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーの総合評価を行った。耐熱保存性、低温定着性、耐ストレス性、帯電安定性、及び画像かぶりの評価結果の何れについても×がない場合、トナーの総合評価を○とした。耐熱保存性、低温定着性、耐ストレス性、帯電安定性、及び画像かぶりの評価結果の何れかに×がある場合、トナーの総合評価を×とした。実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーの総合評価の評価結果を表3〜5に記す。
・結着樹脂を含むトナーコア粒子と、トナーコア粒子の表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を、含むトナーであって、
・結着樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含み、
・シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
・熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂である、
トナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、長期間ストレスを受けることによるトナー粒子の破砕を抑制でき、高印字率で画像を形成する場合に、トナー粒子を所望の帯電量に帯電させることができ、且つ、形成された画像でのかぶりの発生を抑制できることが分かる。
Claims (2)
- 結着樹脂を含むトナーコア粒子と、
前記トナーコア粒子の表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
前記結着樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を含み、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
前記シェル層の厚さが1nm以上20nm以下である、静電潜像現像用トナー。 - 前記シェル層がメラミン樹脂からなる、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
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