上述の特許文献1及び2に記載された空調空間認識装置は、空調空間を認識するセンサ部を上下方向に回動させる上下駆動モータと、センサ部と上下駆動モータとを長手方向に配列して収納する縦長のセンサケーシングと、センサケーシングを左右方向に回動させるための左右駆動モータとからなるセンサユニットとして構成されている。このため、センサ部とセンサケーシングを駆動するための駆動源として、それぞれモータが1個ずつ、計2つのモータが必要となり、コスト高となる。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、1個の駆動源のみでセンサを左右方向及び上下方向に回動させることにより、コストの低減を図るようにしたセンサ駆動装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明が採用する手段は、対象空間に向けて配置されたセンサを左右方向及び上下方向に回動させて対象空間内の状態を検知するセンサ駆動装置であって、第1のケースと、第1のケースに左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動可能に取り付けられた第2のケースと、対象空間に向けてセンサが設けられて第2のケースに上方向に上方向所定位置まで又は下方向に下方向所定位置まで回動可能に取り付けられたセンサホルダと、第1のケースと第2のケースに収容されて1個の駆動源により第2のケースを左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動させると共にセンサホルダを上方向に上方向所定位置まで又は下方向に下方向所定位置まで回動させるセンサ駆動機構とを備えたことにある。
本発明のセンサ駆動装置は、1個の駆動源により、センサ駆動機構が第2のケースを例えば右方向に右方向所定位置まで回動させて当該位置に停止させた後に、センサホルダを例えば下方向に下方向所定位置まで回動させる。これにより、センサが右方向に右方向所定位置まで回動した後に下方向に下方向所定位置まで回動する。
あるいは、センサ駆動機構が第2のケースを上述とは反対方向に、すなわち左方向に左方向所定位置まで回動させて当該位置に停止させた後に、センサホルダを上方向に上方向所定位置まで回動させる。これにより、センサが左方向に左方向所定位置まで回動した後に、上方向に上方向所定位置まで回動する。このような動作により、1個の駆動モータによりセンサを左右方向及び上下方向に、それぞれの所定位置まで回動させて対象空間内の状態を検知することができる。
上記センサ駆動装置において、センサ駆動機構は、第1のケースの基部に収容された駆動源と、駆動源の駆動軸に固定された駆動ギヤと、駆動ギヤと第2のケースとの間に介在されて駆動ギヤの回転に伴い第2のケースを一体に回動させると共に左方向所定位置又は右方向所定位置において回動を規制されたときに第2のケースを駆動ギヤに対してスリップさせる摩擦クラッチと、センサホルダに設けられて駆動ギヤと噛合して第2のケースが回動を規制された後に駆動ギヤの回転に伴いセンサホルダを上方向所定位置まで又は下方向所定位置まで回動させる被駆動ギヤとを備えることが望ましい。
駆動源が駆動ギヤを例えば右方向に回転させると、第2のケースが摩擦クラッチにより駆動ギヤと一体となって右方向に右方向所定位置まで回動して、当該位置に停止する。駆動源は、第2のケースが停止した後も摩擦クラッチの摩擦に打ち勝って駆動ギヤを回転し続ける。摩擦クラッチがスリップすると、センサホルダホルダが被駆動ギヤを介して、例えば下方向に下方向所定位置まで回動されて停止する。これにより、センサホルダが右方向に右方向所定位置まで回動した後に、下方向に下方向所定位置まで回動する。この右下の停止位置がセンサの右方向最大回動位置及び下方向最大回動位置である。
センサが上記位置に移動した後、駆動源が上述とは反対に駆動ギヤを逆回転させると、第2のケースが摩擦クラッチにより駆動ギヤと一体となって左方向に左方向所定位置まで回動して、当該位置に停止する。駆動源は、第2のケースが停止した後も摩擦クラッチの摩擦に打ち勝って駆動ギヤを回転し続け、これに伴い摩擦クラッチがスリップすると、被駆動ギヤを介してセンサホルダが上方向に上方向所定位置まで回動されて停止する。
これにより、センサホルダが左方向に左方向所定位置まで回動した後に、上方向に上方向所定位置まで回動する。この左上の停止位置がセンサの左方向最大回動位置及び上方向最大回動位置である。以上により、1個の駆動源によりセンサを左右方向及び上下方向に回動させることができる。
上記センサ駆動装置において、駆動源は、ステッピングモータであり駆動パルスにより回転を制御されることが望ましい。ステッピングモータの回転を駆動パルスのパルス数により制御することで、第2のケースを左方向又は右方向にそれぞれの所定位置まで回動させた後に、センサホルダを上方向又は下方向にそれぞれの所定位置まで容易に回動させることができる。
上記センサ駆動装置において、摩擦クラッチは、駆動ギヤと第2のケースとの間に縮設されたコイルスプリングであることが望ましい。コイルスプリングは、バネ力による摩擦力で駆動ギヤと第2のケースを接続している。駆動源により第2のケースの左方向又は右方向への回転が規制されて、左方向所定位置又は右方向所定位置に回動を規制されると、第2のケースがコイルスプリングに対してスリップする。駆動源は、コイルスプリングの摩擦力に抗して駆動ギヤを回転し続け、次に、センサホルダを上方向所定位置又は下方向所定位置まで回動させる。
上記センサ駆動装置において、駆動ギヤは平歯車とされ、センサホルダに設けられた被駆動ギヤは扇形状のフェースギヤであることが望ましい。駆動ギヤに平歯車を使用し、被駆動ギヤに扇形状のフェースギヤを使用することにより、簡単な構成でセンサホルダを上下方向に回動させることが可能となる。また、扇形状のフェースギヤを使用することにより、フェースギヤの小型化を図ることが可能である。
上記センサ駆動装置において、センサ駆動機構は、第1のケースの基部に収容された駆動源と遊星歯車とからなり、遊星歯車は、駆動源の駆動軸に固定されたサンギヤと、第2のケースの底部に一体に設けられたプラネタリキャリヤと、プラネタリキャリヤに回転自在に軸支されてサンギヤと噛合する複数のプラネタリギヤと、プラネタリギヤの外側に噛合して配置されたアウタギヤと、プラネタリキャリヤに設けられてサンギヤの回転に伴い第2のケースを一体に回動させ、左方向所定位置又は右方向所定位置において回動を規制されたときに第2のケースをサンギヤに対してスリップさせる摩擦クラッチと、アウタギヤに設けられてセンサホルダに設けられた突起と係合して第2のケースが回動を規制された後サンギヤの回転に伴いセンサホルダを上方向所定位置又は下方向所定位置まで回動させる係止爪とを備えていることが望ましい。
駆動源が、サンギヤを例えば右方向に回転させると、摩擦クラッチによりアウタギヤと第2のケースが一体となって右方向に右方向所定位置まで回動して、当該位置に停止する。駆動源は、第2のケースが停止した後も摩擦クラッチの摩擦に打ち勝ってサンギヤを回転し続ける。摩擦クラッチがスリップすると、アウタギヤの係止爪がセンサホルダの突起を介して、例えば下方向に下方向所定位置までセンサホルダを回動させて停止する。
これにより、センサホルダが右方向に右方向所定位置まで回動した後に下方向に下方向所定位置まで回動する。この右下の停止位置が、センサホルダの右方向最大回動位置及び下方向最大回動位置であり、例えば、センサの初期位置とされる。
センサが初期位置に移動した後、駆動源がサンギヤを上述と反対に逆回転させると、第2のケースが摩擦クラッチによりアウタギヤと一体となって左方向に左方向所定位置まで回動して、当該位置に停止する。駆動源は、第2のケースが停止した後も摩擦クラッチの摩擦に打ち勝ってサンギヤを回転し続け、これに伴い摩擦クラッチがスリップすると、アウタギヤの係止爪がセンサホルダの突起を介してセンサホルダを上方向に上方向所定位置まで回動して停止する。
これにより、センサホルダが左方向に左方向所定位置まで回動した後に上方向に上方向所定位置まで回動する。この左上の停止位置がセンサホルダの左方向最大回動位置及び上方向最大回動位置である。これにより、1個の駆動源によりセンサを左右方向及び上下方向に回動させることができる。
上記センサ駆動装置において、駆動源は、ステッピングモータであり、駆動パルスにより回転を制御されることが望ましい。ステッピングモータの回転を駆動パルスにより制御することにより、第2のケースを左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動させた後、センサホルダを上方向に上方向所定位置まで又は下方向に下方向所定位置まで容易に回動させることができる。
上記センサ駆動装置において、摩擦クラッチは、プラネタリキャリヤに設けられてアウタギヤの外周面に圧接する板バネであることが望ましい。板バネは、バネ力による摩擦力で第2のケースの底部に固定されたプラネタリキャリヤとアウタギヤとを接続している。第2のケースの左方向又は右方向への回転が規制されて、左方向所定位置又は右方向所定位置に回動を規制されると、駆動源が板バネのバネ力に摩擦に打ち勝ってサンギヤを回転し続け、板バネがスリップする。駆動源は、サンギヤを回転し続け、センサホルダを上方向所定位置又は下方向所定位置まで回動させる。
上記センサ駆動装置において、第2のケースは、左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動された後に、センサホルダが上方向に上方向所定位置まで又は下方向に下方向所定位置まで回動されて停止した位置をセンサの初期位置とすることが望ましい。このような初期位置を設けることにより、センサの移動をより円滑なものにすることができる。
上記センサ駆動装置において、センサ駆動機構はセンサホルダを、初期位置から左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動させた後に上方向又は下方向に所望の位置まで回動させると共に、当該回動位置からさらに右方向所定位置又は左方向所定位置まで回動させて順次渦を描くように中心部に向かって移動させて、センサにより対象空間内の状態を検知することが望ましい。
このように、センサホルダを初期位置から左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動させた後に、上方向又は下方向に所望の位置まで回動させると共に、当該回動位置でからさらに右方向所定位置又は左方向所定位置まで回動させて順次渦を描くように中心部に向かって移動させることにより、センサにより対象空間内の状態を仔細に検知することができる。
上記センサ駆動装置において、第1のケースは、センサ駆動機構の駆動源を収容する基部と円筒形状をなす支持部からなり、ケースは、有底円筒形状をなし中央に頂部近傍から下部近傍まで開口部が形成されてセンサが検知するための開口とされ、下部が第2のケースの支持部の上端部に回転可能に収容されていることが望ましい。第2のケースは、下部が第1のケースの支持部の上端部に回転可能に収容され、センサが第2のケースの開口部から対象空間内の左右方向の状態を検知する。
上記センサ駆動装置において、第1のケースの支持部の内周面にリブが設けられ、第2のケースの下部に突起が設けられ、第2のケースが左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動して突起がリブに突き当たったときに当該第2のケースの回動が規制されることが望ましい。
第2のケースは、左方向又は右方向に回動して突起が第1のケースに形成されたリブに突き当たったときに、当該位置に係止される。これにより、第2のケースを左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動させることができる。
上記センサ駆動装置において、センサ駆動機構は、上記駆動源により第2のケースを左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動させて停止させた後にセンサホルダを上方向に上方向所定位置まで又は下方向に下方向所定位置まで回動させることが望ましい。
センサ駆動機構は、第2のケースを例えば右方向に右方向所定位置まで回動させて停止させた後に、センサホルダを例えば下方向に下方向所定位置まで回動させ、次いで、第2のケースを上述とは反対に左方向に下方向所定位置まで回動させて停止させた後に、センサホルダを上方向に上方向所定位置まで回動させる。これにより、センサが対象空間内の状態を確実に検知することができる。
以上のように、本発明のセンサ駆動装置は、対象空間に向けて配置されたセンサを左右方向及び上下方向に回動させて対象空間内の状態を検知するセンサ駆動装置であって、第1のケースと、第1のケースに左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動可能に取り付けられた第2のケースと、対象空間に向けてセンサが設けられて第2のケースに上方向に上方向所定位置まで又は下方向に下方向所定位置まで回動可能に取り付けられたセンサホルダと、第1のケースと第2のケースに収容されて1個の駆動源により第2のケースを左方向に左方向所定位置まで又は右方向に右方向所定位置まで回動させると共にセンサホルダを上方向に上方向所定位置まで又は下方向に下方向所定位置まで回動させるセンサ駆動機構とを備える。
したがって、1個の駆動源、例えば1個の駆動モータでセンサを左右方向及び上下方向に回動させることが可能となり、コストの低減が図られると共に、部品点数も削減され、構造が簡易化されて組立性の向上を図ることができるという優れた効果を奏する。
本発明のセンサ駆動装置の発明を実施するための形態を、図1ないし図11を参照して詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、センサ駆動装置1は、ケース2、ケース2の上端部に図中左右方向(第1の方向)に回動可能に取り付けられたケース3、ケース2にケース3を回動可能に且つ逸脱不能に係止する係止リング6、ケース3内に収容されたセンサホルダ7、センサホルダ7の前面に固定されたセンサ8、ケース2内に収容されたセンサ駆動機構9により構成されている。このセンサ駆動装置1は、例えば空気調和装置に内装されて、空調空間内の人や物体や間取り等の状態を検知するために用いられる。
ケース2は、四隅が円弧状をなす略角筒形状の基部2aと、円筒形状をなす支持部2bからなり、支持部2bは、基部2aの上端前側寄りに段差をなして突出して、立設形成されている。基部2aと支持部2bは内部で連通されており、基部2aの上端と支持部2bの下端は、連通部分を除いて閉塞されている。
支持部2bの内周面の所定位置には、図4に示すように、ケース3(図1参照)の左右方向の回動を規制するためのストッパとしてのリブ2cが突設されている。また、支持部2bの上端外周面には、係止爪2dが複数、例えば4個が周方向に等間隔をなして一体に形成されている。
ケース3は、ドーム状の有蓋円筒形状をなし、中央に頂部から下部近傍まで前方に開口する開口部3aが設けられている。この開口部3aは、センサ8が前方を検知するためのものである。ケース3は、図2に示すように、下部3bがケース2の支持部2bの上端部に回動可能に収容され、上部3cが下部3bよりも僅かに小径とされて、段差部3dが形成されている。そして、図3に示すように、ケース3は、開口部3aの中央を境にして左右に2分割され、左側のケース4と右側のケース5とにより形成されている。
図3に示すように、ケース3の左右のうちの一方のケース、例えば左側のケース4の底部4aは、円盤形状をなし、中央部にセンサ駆動機構9の駆動ギヤ12を回転可能に軸支し、且つ貫通させる軸孔4bが穿設されており、底部4aの外周面に周方向に所定の長さに亘り、ケース3の左右方向の回動位置を規制するための突起4cが形成されている。この突起4cの両端面4d,4e(図4)が、図2に示すケース2の支持部2bのリブ2cに係止されて、ケース3の左右方向の回動が規制される。これらにより、後述する左方向所定位置及び右方向所定位置がそれぞれ設定される。
なお、ここでは底部4aの外周面に周方向に所定の長さに亘って突起4cを形成し、その両端面4d,4eをケース2のリブ2cに係止させるようにしたが、これに限るものではなく、所定位置、すなわち端面4d,4eに相当する位置にリブ状の突起を形成して、ケース2のリブ2cに係止させるようにしてもよい。
また、図3に示すように、ケース3の半円状の両端面の下部位置に、ケース5と嵌合するための位置決め用の突起4f,4f、及び係止爪4g,4g(図4)が形成されている。図5に示すように、ケース4の内周面上部中央位置に、開口部3aの開口方向(前方)と直行する方向(左右方向)に、センサホルダ7を支持するための軸孔4h、及び、当該軸孔4hの外周面の前後両側の所定位置に、センサホルダ7の上下方向の回動位置を規制するためのストッパ4i,4jが形成されている。
図3に示すように、ケース3の他方のケース5は、下方が開口してケース4の底部4aの半円部を収容可能とされ、位置決め用の突起4fと係合する位置決め係止用の孔5f(一側のみ図示)、及び、係止爪4gを係止する係止部5gが形成されている。図2に示すように、内周面上部中央位置に、ケース4の軸孔4hと対向してセンサホルダ7を支持するための軸孔5hが形成されている。
図1に示すように、係止リング6は、ケース2の円筒形状の支持部2bの上端開口部に取り付けられて、ケース3の段差部3dを上方から逸脱不能に覆い、支持部2bの上端外周面に形成された各係止爪2dと対応して、係止部6aが形成されている。
図2及び図3に示すように、センサホルダ7は、略矩形状をなしており、左右両側部に回転軸7a,7bが突設され、図6に示すように、回転軸7aの下側に同心的に、ケース4のストッパ4i,4jに当接して上下方向の回動を規制されるストッパ7cが形成されている。これらにより、後述する上方向所定位置及び下方向所定位置がそれぞれ設定される。また、センサホルダ7の一側、例えば右側の下端位置に下方に延出し、且つ所定の円弧角をなす扇形状又は円弧状のフェースギヤ7dが一体に形成されている。
このフェースギヤ7dは、被駆動ギヤであり駆動ギヤ12bと噛合して、センサホルダ7をケース3の左右方向と直角をなす図中上下方向(第2の方向)に回動させるためのものである。フェースギヤ7dを扇形状とすることで小型化が図られる。そして、図3に示すように、センサホルダ7の前面の所定位置にセンサ8が設けられている。センサ8は、例えば超音波センサが使用されている。
図3に示すように、センサ駆動機構9は、駆動源としての駆動モータ11、駆動ギヤ12、コイルスプリング13、及びセンサホルダ7のフェースギヤ7d等により形成されている。駆動モータ11は、ステッピングモータとされており、図示しないコントローラによりその作動が制御される。また、コイルスプリング13は、摩擦クラッチとして機能する。
これらのケース2、ケース3を形成するケース4とケース5、センサホルダ7、被駆動ギヤ7d、駆動ギヤ12等は、例えば樹脂部材により形成されている。
次に、図2及び図3を参照して、センサ駆動装置1の組付けを説明する。先ず、ケース2の基部2a内に駆動モータ11をビス15で固定し、回転軸11aを支持部2bの中心位置に上方に向けて配置する。
次いで、駆動ギヤ12の下部の図示しない嵌合孔に駆動モータ11の回転軸11aを嵌合させて固定し、駆動ギヤ12の外側に同心的にコイルスプリング13を装着して、その一端を駆動ギヤ12の下部に同心状に形成されたフランジ12aに当接させる。
次に、センサホルダ7のフェースギヤ7dを下方に向けて配置し、ケース4、ケース5の軸孔4h,5hにセンサホルダ7の回転軸7a,7bを軸支しながらケース4の底部4aの半分をケース5内に収容し、ケース4の位置決め用の突起4fをケース5の対向する係止用の孔5fに嵌合する。
そして、ケース4の係止爪4gにケース5の係止部5gを留めて、これらのケース4とケース5とを固定する。これにより、センサホルダ7を上下方向に回動可能に収容した有蓋円筒形状のケース3が形成される。
次いで、図2に示すように、ケース3の下部3bをケース2の支持部2bの上部内に収容し、ケース4の底部4aの下面でコイルスプリング13を圧縮しながら当該底部4aの軸孔4bに駆動ギヤ12を挿通し、駆動ギヤ12のギヤ12bをセンサホルダ7のフェースギヤ7dに噛合させ、図3に示す駆動ギヤ12の係止溝12cを底部4aの上面から僅かに突出させてクリップ14を装着する。
このとき、図2に示すように、コイルスプリング13は、駆動ギヤ12のフランジ12cの上面とケース4の底部4aの下面との間に縮設されて、両端面がこれらの面に圧接している。
次いで、図3に示す係止リング6をケース3の上方から差し込み、図2に示すように、ケース2の支持部2bの上端面に載置してケース3の段差部3dを上方から覆い、図1に示すように、各係止爪2dに係止部6aを留めて固定する。これにより、ケース3の下部3bがケース2の支持部2bに収容されて、回動可能に且つ逸脱不能に取り付けられる。
ケース3は、コイルスプリング13のバネ力による摩擦力により、駆動ギヤ12と共に一体に回転可能とされている。センサ8は、ケース3の開口部3aから超音波を発射し、空調空間内の人や物からの反射波を検知して、空調空間の状態を認識する。このようにして、本発明のセンサ駆動装置1が構成されている。
なお、上述したように、ケース3のケース2に対する回動を左右方向(第1の方向)の回動、そしてセンサホルダ7のケース3に対する回動を上下方向(第2の方向)の回動として分かり易く説明したが、ケース2の取付け状態によりケース3の回動方向及びセンサホルダ7のケース3に対する回動方向の文言が異なることとなる。従って、ケース3及びセンサホルダ7の動きは、上述した左右方向及び上下方向の文言に限定されるものではないことは勿論である。
次に、図1ないし図4により、センサ駆動装置1の動きの概略を説明する。図示しないコントローラが駆動モータ11を作動させて、センサ8に所望の動きを与える。
例えば、図1に示すようにセンサ駆動装置1が停止しているものとする。この状態において、図3に示す駆動モータ11が、例えば、矢印CCWで示す反時計方向に回転すると駆動ギヤ12が矢印CCWで示す反時計方向に回転し、これに伴いケース3が駆動ギヤ12と一体となって矢印CCW方向に回動する(図1参照)。そして、図4に示すケース4の突起4cの端面4dがケース2の支持部2bのリブ2cの前端面に突き当たって係止されると、ケース3が当該位置に停止する。
駆動モータ11は、ケース3が停止した後もコイルスプリング13の摩擦力に打ち勝って回転し続ける。すなわち、摩擦クラッチとしてのコイルスプリング13がスリップし、これに伴いセンサホルダ7がフェースギヤ7dを介して下方向に回動し、図6に示すストッパ7cの前側端面が図5に示すケース4のストッパ4iに突き当たって当該回動位置に停止する。
すなわち、図1に示すように、センサ8は、矢印CCWで示す右方向に右方向所定位置まで回動した後に下方向に下方向所定位置まで回動する。この右下の停止位置がセンサ8の右方向最大回動位置及び下方向最大回動位置であり、センサ8の初期位置とすることができる。
そして、センサ8が初期位置に移動した後、駆動モータ11が、上述と反対に矢印CW方向に回転すると、これに伴いケース3が、図1に矢印CW方向(左方向)に回動する。そして、図4に示すケース4の突起4cの端面4eがケース2の支持部2bのリブ2cの後端面に突き当たって係止されると、ケース3が当該位置に停止する。
駆動モータ11は、ケース3が停止した後もコイルスプリング13のバネ力による摩擦に打ち勝って回転し続け、これに伴いセンサホルダ7がフェースギヤ7dを介して上方向に回動し、図6に示すストッパ7cの後側端面が図5に示すケース4のストッパ4jに突き当たって当該回動位置に停止する。
すなわち、センサ8は、左方向に左方向所定位置まで回動した後に上方向に上方向所定位置まで回動する。そして、この左上の停止位置がセンサ8の左方向最大回動位置及び上方向最大回動位置である。これにより、1個の駆動モータ11により、センサ8を左右方向及び上下方向にそれぞれ所定の角度だけ回動させることができる。
次に、センサ駆動装置1の細かい動きの一例を、図7ないし図9により説明する。図7は、センサ8の回動範囲の軌跡を示し、センサ8は、左右方向に所定角度α(例えば、150°程度)回動し、上下方向に所定角度β(例えば、30°程度)回動して、矩形状の範囲が動作の軌跡とされる。
図7において、右方向に実線で示す矢印はセンサ8の右方向への回動を、下方向に実線で示す矢印はセンサ8の下方向への回動を示し、左方向に点線で示す矢印はセンサ8の左方向への回動を、上方向に点線で示す矢印はセンサ8の上方向への回動を示している。そして、図7において右下の位置Pをセンサ8の初期位置とする。
センサ8は、空気調和装置が停止したときにどちらの方向に向いているのか不明である。このため、空気調和装置をオンにしたときにセンサ8を初期位置Pにリセットすることが必要である。そこで、前記空気調和装置の制御装置(図示せず)は、センサ8を最大に移動させる距離分、具体的には図7に示す左上の位置Qから右下の初期位置Pまで移動可能なパルス数を駆動モータ(ステッピングモータ)11に出力して、図8に実線の矢印で示すように、センサ8を初期位置Pに移動させる。これにより、センサ8がどの位置に停止している場合でも必ず初期位置Pにリセットさせることができる。図8は、センサ8の前記動作軌跡を示す図である。
センサ8は、上述した図7に示すような動作軌跡を描くように制御してもよく、或いは、図8に示すセンサ8の動作軌跡の範囲内で、センサ8を上下方向に所望の回動位置で細かく移動させる、例えば4分割(β/4)で移動させるようにしても良い。
この場合、例えば図9に示すように、センサ8を初期位置Pから矢印A,B,C,D,E,F,G,H,Iのように、順次渦を描くような軌跡で位置R(中心部)まで移動させる。その後センサ8を初期位置Pまで移動させて上記動作を繰り返して行う。
なお、センサ8が位置Rまで移動した後に、上述とは別の経路で移動させるようにしてもよい。また、上述した駆動ギヤ12とフェースギヤ7dは、平歯車とクラウンギヤ、或いは傘歯車同士のように、軸を直交させて配置することができる歯車機構を使用することもできる。
なお、図2及び図3に示すセンサホルダ7のフェースギヤ7dを上述とは反対側に、すなわちセンサホルダ7の左側に設けてもよく、この場合センサホルダ7は、右方向に回動した後に、上方向に回動して右上の位置に停止する。そして、当該停止位置をセンサ8の初期位置とすることもできる。
図10は、本発明のセンサ駆動装置の他の実施形態を示す斜視図である。なお、図10において、図3に示したセンサ駆動装置1の部材と同一部材又は相当する部材には同一又は相当する符号を付して説明を省略する。図11は、図10に示したセンサ駆動装置1’のケース2とプラネタリキャリヤ23の上面図である。
図10に示すように、センサ駆動装置1’は、図3に示すセンサ駆動装置1のセンサ駆動機構9に遊星歯車21を使用したものである。
図10及び図11に示すように、遊星歯車21は、サンギヤ22、プラネタリキャリヤ23、プラネタリギヤ24、アウタギヤ25からなる。サンギヤ22は、前記駆動ギヤ12に代えて駆動モータ11に固定される。プラネタリキャリヤ23は、円盤形状をなし、図11に示すように、中央にサンギヤ22が遊貫する孔23aが穿設され、その外周面に、図3に示したケース4に形成された突起4cと同様に左右方向の回動位置を規制するための突起23bが形成されている。
プラネタリキャリヤ23の上面には外周位置近傍に板バネ23cが周方向に沿って、例えば3個等間隔で立設されている。この板バネ23cは、付け根部分が上面に垂設され、上部が周方向に沿って円弧状に形成されている。
図11に示すように、プラネタリキャリヤ23の上面には、サンギヤ22が遊貫する中央の孔23aの外側に且つ同心的に、支持軸23dが周方向に沿って等間隔で3本垂設されており、これらの支持軸23dの間に係止爪23eが3本垂設されている。そして、プラネタリキャリヤ23の各支持軸23dに、プラネタリギヤ24がそれぞれ回転自在に軸支されている。
アウタギヤ25は、リングギヤでプラネタリギヤ24の外側に配置されて、各プラネタリギヤ24と噛合する。アウタギヤ25の上面左側の所定位置には先端が二股の係止爪25aが垂設されており、センサホルダ7’の左側下部に突設された突起7f’と係合可能とされている。センサホルダ7’は、突起7f’とアウタギヤ25の係止爪25aとにより、アウタギヤ25の回動に伴い上下方向に回動されるようになっている。
これらのサンギヤ22、プラネタリキャリヤ23、プラネタリギヤ24、アウタギヤ25等は、例えば樹脂部材によりそれぞれ一体に形成されている。これにより、プラネタリキャリヤ23の板バネ23cにばね性を付与することができる。
ケース4’の底板4a’は、サンギヤ22、プラネタリキャリヤ23の支持軸23dの上端部に嵌合して支持する軸孔4b’、4c’、及び係止爪23eが嵌合して係止される係止孔4d’が形成されている。
更に、アウタギヤ25の係止爪25aが周方向に沿って、所定の角度回動可能な円弧状の長孔4e’が同心的に形成されている。この円弧状の長孔4e’の周方向に沿う長さは、センサホルダ7’の上下方向への回動角に応じた長さとされている。
このようにして遊星歯車21が形成されており、プラネタリキャリヤ23がケース4’の底板4a’の下側に装着固定される。この状態において、プラネタリキャリヤ23とケース3は一体に固定され、プラネタリキャリヤ23の板バネ23cがアウタギヤ25の外周面に圧接して、当該アウタギヤ25に摩擦力を付与するようになっている。この板バネ23cは、摩擦クラッチの機能を有している。
プラネタリキャリヤ23の板バネ23cがアウタギヤ25の外周面に摩擦力を付与していることで、サンギヤ22が、例えば矢印CW方向に回転すると、サンギヤ22と一体となってプラネタリキャリヤ23、アウタギヤ25、ケース3、センサホルダ7'が矢印CW方向に回動する。そして、図11に示すプラネタリキャリヤ23の突起23bの端面23gがケース2のリブ2cの前端面に突き当たると、プラネタリキャリヤ23及びケース3の回動が止まる。
駆動モータ11は、ケース3が停止した後も板バネ23cのバネ力による摩擦に打ち勝って回転し続ける。すなわち、板バネ23cがアウタギヤ25に対してスリップし、これに伴いアウタギヤ25が矢印CCW方向に回動し、アウタギヤ25の係止爪25aによりセンサホルダ7’の突起7f’を前方に移動させ、当該センサホルダ7’を上方向に回動させる。
そして、ストッパ7c’の前側端面がケース4’のストッパ4i’に突き当たって当該回動位置に停止する。すなわち、センサ8は、右方向に右方向所定位置まで回動した後に上方向に上方向所定位置まで回動する。そして、この右上の停止位置がセンサ8の右方向最大回動位置及び上方向最大回動位置となり、当該センサ8の初期位置とすることができる。
同様にサンギヤ22が矢印CCW方向に回転して、プラネタリキャリヤ23の突起23aの端面23fがケース2のリブ2cの後端面に突き当たると、センサホルダ7’を下方向に回動させる。
このようにして、センサ8を左右方向及び上下方向に回動させることができる。このセンサ駆動装置1’は、センサ駆動装置1と同様に、センサ8を図8及び図9に示すような軌跡に駆動制御することができる。これにより、1個の駆動モータ11により、センサ8を左右方向及び上下方向にそれぞれ所定の角度だけ回動させることができる。
なお、図10に示すセンサホルダ7’の突起7f’を右側に設け、アウタギヤ25の係止爪25aを右側に設けた場合、センサホルダ7’は、右方向に回動した後に上方向に回動して右上の位置に停止する。従って、当該停止位置をセンサ8の初期位置とすることもできる。