JP5818194B2 - ヒト染色体5p15.3上の一塩基多型に基づく動脈硬化性疾患の検査方法 - Google Patents

ヒト染色体5p15.3上の一塩基多型に基づく動脈硬化性疾患の検査方法 Download PDF

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Description

本発明は心筋梗塞や狭心症などの動脈硬化性疾患のリスクを検査するための方法及び該検査方法に用いられる試薬に関する。
欧米型ライフスタイルの多くの先進国において、心筋梗塞(MI)を含む冠動脈疾患などの動脈硬化性疾患は、遅発性疾患の中で死亡率および罹病率の主因となっている(非特許文献1及び2)。心筋梗塞の発症は、臨床徴候が先行することなく重度の合併症(特に、突然死の原因となり得る心室細動及び心破裂突)が続発する場合が多い。心筋梗塞の診断及び治療における最近の進展により、心筋梗塞の治療及び診断の質は大幅に向上したが、心筋梗塞の罹病率は依然として高い。
疫学的研究により、動脈硬化性疾患の様々な危険因子(2型糖尿病、高コレステロール血症、高血圧、および肥満など)が明らかにされている。心筋梗塞の遺伝的要因についての報告もある。例えば、55歳未満で急性心筋梗塞を発症した患者の一親等の親族では心筋梗塞のリスクが2〜7倍高いことが報告されている(非特許文献3)。また、双生児の研究では、双生児の一方が55歳未満で心筋梗塞により死亡すると、他方も心筋梗塞で死亡するリスクが8倍増加することが示されている(非特許文献4)。
また、これまでに、連鎖解析または一塩基多型(SNP)の相関性を検討する症例対照研究により、心筋梗塞感受性を高める幾つかの遺伝子多型が複数の遺伝子座で同定されている(特許文献1〜8および非特許文献5〜11)。
特開2008-072947号公報 特開2008-048627号公報 特開2007-330166号公報 再表2006/075626号公報 再表2006/073183号公報 再表2006/068239号公報 再表2005/017200号公報 再表2004/015100号公報
Breslow J.W. (1997) Nat.Med. 3; 600-601 Braunwald E (1997) N. Engl.J.Med. 337:1360-136 Lusis AJ et al. (2004) Annu Rev Genomics Hum Genet 5:189-218 Marenberg ME et al. (1994) N Engl J Med 330: 1041-1046 Topol EJ et al. (2001) Circulation 104:2641-2644 Yamada Y et al. (2002) N. Engl.J.Med. 347: 1916-1923 Ozaki K et al. (2002) Nat.Genet. 32: 650-654 Ozaki K et al. (2004) Nature 429: 72-75 Ozaki K et al. (2006) Nat.Genet. 38: 921-925 Stenina OI et al. (2003) Circulation 108 (12): 1514-1519 Helgadottir A et al (2004) Nat.Genet. 36:233-239
本発明は、心筋梗塞や狭心症などの動脈硬化性疾患の発症リスクを高精度で予測するための検査方法、及び該方法に用いられる検査試薬を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題の解決のために鋭意検討した結果、ヒト第5染色体短腕領域p15.3上に存在する一塩基多型(SNPs)が心筋梗塞や狭心症等の動脈硬化性疾患の発症に関連することを同定した。そして、これらの多型を調べることにより心筋梗塞や狭心症などの動脈硬化性疾患の発症のしやすさの推定を正確に実施することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ヒト染色体5p15.3上に存在する一塩基多型を分析し、該分析結果に基づいて動脈硬化性疾患を検査する方法。
(2)前記一塩基多型が、配列番号1〜3のいずれかの塩基配列の塩基番号61番目の塩基に相当する塩基、または該塩基と連鎖不平衡の関係にある塩基における多型である、(1)に記載の方法。
(3)前記動脈硬化性疾患が冠動脈疾患である、(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記冠動脈疾患が心筋梗塞または狭心症である、(3)に記載の方法。
(5)配列番号1〜3のいずれかの塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を有する動脈硬化性疾患検査用プローブ。
(6)配列番号1〜3のいずれかの塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む領域を増幅することのできる動脈硬化性疾患検査用プライマー。
本発明により、心筋梗塞や狭心症などの動脈硬化性疾患の発症を正確かつ簡便に予測することができるようになった。このことは、患者の生命に関わる危険な状態を避けることができるようになるばかりか、今後の治療薬開発や、動脈硬化性疾患発症の予防に寄与すると考えられる。
ヒト染色体5p15.3上のrs11748327の位置とその周囲の連鎖不平衡(LD)ブロックを示す図。
<1>本発明の検査方法
本発明の検査方法は、ヒト第5染色体短腕領域p15.3上の一塩基多型を分析し、該分析結果(当該塩基が疾患感受性アレルか否か)に基づいて動脈硬化性疾患の発症を検査する方法である。動脈硬化性疾患としては、脳梗塞、脳出血などの脳動脈における動脈硬化性疾患;心筋梗塞や狭心症などの冠動脈における動脈硬化性疾患(冠動脈疾患);大動脈瘤、大動脈解離などの大動脈における動脈硬化性疾患;腎硬化症やそれによる腎不全などの腎動脈における動脈硬化性疾患;閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈における動脈硬化性疾患が挙げられる。なお、本発明において、「検査」とは動脈硬化性疾患の発症リスクの検査及び発症の有無の検査を含む。
ヒト染色体5p15.3領域としては、例えば、GenBank Accession No. NT_006576.15の3900000〜4100000あたりの領域を挙げることができる。なお、ヒト染色体5p15.3上の塩基配列は人種の違いなどにより動脈硬化性疾患に関連する塩基以外の塩基において置換や欠失等が存在する可能性があるため、上記配列の遺伝子に限定されない。
動脈硬化性疾患に関連するヒト染色体5p15.3上の一塩基多型は、rs11748327、rs490556、rs521660などが挙げられる。このrs番号は、National Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベース(//www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/)の登録番号を示す。
rs11748327はGenBank Accession No. NT_006576.15の4019789番目の塩基におけるシトシン(C)/チミン(T)の多型を意味し、この塩基がCである場合は動脈硬化性疾患発症の可能性が高い。また、対立遺伝子を考慮して解析した場合は、CC>CT>TTの順で動脈硬化性疾患発症の可能性が高い。
rs490556はGenBank Accession No. NT_006576.15の4012650番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)の多型を意味し、この塩基がTである場合は動脈硬化性疾患発症の可能性が高い。また、対立遺伝子を考慮して解析した場合は、TT>TC>CCの順で動脈硬化性疾患発症の可能性が高い。
rs521660はGenBank Accession No. NT_006576.15の4025932番目の塩基におけるグアニン(G)/アデニン(A)の多型を意味し、この塩基がGである場合は動脈硬化性疾患発症の可能性が高い。また、対立遺伝子を考慮して解析した場合は、GG>GA>AAの順で動脈硬化性疾患発症の可能性が高い。
なお、rs11748327、rs490556、rs521660について、SNP塩基及びその前後60bpの領域を含む合計121bpの長さの配列を、それぞれ配列番号1〜3に示した。それぞれ61番目の塩基が多型を有する。
これらの塩基に相当する塩基を本発明においては解析する。ここで、「相当する」とは、ヒト染色体5p15.3上の上記配列を有する領域中の該当塩基を意味し、仮に、人種の違いなどによって上記配列がSNP以外の位置で若干変化したとしても、その中の該当塩基を解析することも含む。
上記SNPの塩基の種類を調べることによって、動脈硬化性疾患を検査することができる。検査するSNPの数は、一種類でもよいし、複数(ハプロタイプ解析)でもよい。なお、塩基配列はセンス鎖を解析してもよいし、アンチセンス鎖を解析してもよい。例えば、rs11748327の場合、アンチセンス鎖を解析するとG/A多型でGが疾患感受性アレルということになる。
また、本発明において分析する塩基は上記のものに限定されず、上記の塩基と連鎖不平衡にある塩基の多型を分析してもよい。ここで「上記の塩基と連鎖不平衡にある塩基」とは、上記の塩基とr2>0.8の関係を満たす塩基をいう。具体的には、表1に記載のものが例示される。これらの配列と多型の種類は上記dbSNPデータベースにより参照が可能である。
Figure 0005818194
ヒト染色体5p15.3上の遺伝子多型の解析に用いる試料としては、染色体DNAを含む試料であれば特に制限されないが、例えば、血液、尿等の体液サンプル、肝細胞などの細胞、毛髪等の体毛などが挙げられる。遺伝子多型の解析にはこれらの試料を直接使用することもできるが、これらの試料から染色体DNAを常法により単離し、これを用いて解析することが好ましい。
ヒト染色体5p15.3上の遺伝子多型の解析は、通常の遺伝子多型解析方法によって行うことができる。例えば、シークエンス解析、PCR、ハイブリダイゼーションなどが挙げられるが、これらに限定されない。
シークエンスは通常の方法により行うことができる。具体的には、多型を示す塩基の5’側 数十塩基の位置に設定したプライマーを使用してシークエンス反応を行い、その解析結果から、該当する位置がどの種類の塩基であるかを決定することができる。なお、シークエンスを行う場合、あらかじめ多型を含む断片をPCRなどによって増幅しておくことが好ましい。
また、PCRによる増幅の有無を調べることによって解析することができる。例えば、多型を示す塩基を含む領域に対応する配列を有し、かつ、各多型に対応するプライマーをそれぞれ用意する。それぞれのプライマーを使用してPCRを行い、増幅産物の有無によってどのタイプの多型であるかを決定することができる。
また、LAMP法(特許第3313358号明細書)、NASBA法(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification;特許2843586号明細書)、ICAN法(特開2002-233379号公報)などによって増幅の有無を調べることもできる。その他、単鎖増幅法を用いてもよい。
また、多型を含むDNA断片を増幅し、増幅産物の電気泳動における移動度の違いによってどのタイプの多型であるかを決定することもできる。このような方法としては、例えば、PCR-SSCP(single−strand conformation polymorphism)法(Genomics. 1992 Jan 1; 12(1): 139−146.)が挙げられる。具体的には、まず、ヒト染色体5p15.3上の多型部位を含むDNAを増幅し、増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離し、分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度の違いによってどのタイプの多型であるかを決定することができる。
さらに、多型を示す塩基が制限酵素認識配列に含まれる場合は、制限酵素による切断の有無によって解析することもできる(RFLP法)。この場合、まず、DNA試料を制限酵素により切断する。次いで、DNA断片を分離し、検出されたDNA断片の大きさによってどのタイプの多型であるかを決定することができる。
ハイブリダイゼーションの有無を調べることによって多型の種類を解析することも可能である。すなわち、各塩基に対応するプローブを用意し、いずれのプローブにハイブリダイズするかを調べることによってSNPがいずれの塩基であるかを調べることもできる。
このようにしてSNPがいずれの塩基であるかを決定することで、動脈硬化性疾患を検査するためのデータを得ることができる。
<2>本発明の検査用試薬
本発明はまた、動脈硬化性疾患発症リスクを検査するためのプライマーやプローブなどの検査試薬を提供する。このようなプローブとしては、ヒト染色体5p15.3上の上記多型部位を含み、ハイブリダイズの有無によって多型部位の塩基の種類を判定できるプローブが挙げられる。具体的には、配列番号1〜3において塩基配列の61番目の塩基を含む配列、又はその相補配列を有する10塩基以上の長さのプローブが挙げられる。プローブの長さはより好ましくは、15〜35塩基であり、さらに好ましくは20〜35塩基である。
また、プライマーとしては、ヒト染色体5p15.3上の上記多型部位を増幅するためのPCRに用いることのできるプライマー、又は上記多型部位を配列解析(シークエンシング)するために用いることのできるプライマーが挙げられる。具体的には、配列番号1〜3の塩基配列の61番目の塩基を含む領域を増幅したりシークエンシングしたりすることのできるプライマーが挙げられる。このようなプライマーの長さは10〜50塩基が好ましく、15〜35塩基がより好ましく、20〜35塩基がさらに好ましい。
上記多型部位をシークエンシングするためのプライマーとしては、上記塩基の5’側領域、好ましくは30〜100塩基上流の配列を有するプライマーや、上記塩基の3’側領域、好ましくは30〜100塩基下流の領域に相補的な配列を有するプライマーが例示される。PCRによる増幅の有無で多型を判定するために用いるプライマーとしては、上記塩基を含む配列を有し、上記塩基を3’末端側に含むプライマーや、上記塩基を含む配列の相補配列を有し、上記塩基の相補塩基を3’ 末端側に含むプライマーなどが例示される。
なお、本発明の検査用試薬はこれらのプライマーやプローブに加えて、PCR用のポリメラーゼやバッファー、ハイブリダイゼーション用試薬などを含むものであってもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1:心筋梗塞との相関性を検討する大規模SNP研究
(1)材料および方法
(1−1)DNA試料
ゲノムワイド相関解析とそれに続く2次解析のためには、Bio-Bank Japanプロジェクト(http://biobankjp.org/)に登録された心筋梗塞患者と対照者のサンプルを用いた。3次および4次の集団の特徴は、対照サンプルとしてさらにHealth Science Research Resource Bankから購入した1235サンプルを用いたこと以外は、Nat Genet. 38, 921-925 (2006)およびNat Genet. 41, 329-333 (2009)に記載されたとおりである。
なお、解析された心筋梗塞患者は、(i)30分以上の胸部圧迫感、痛み、胸苦しさなどの病歴を持つ、(ii)少なくとも1の標準誘導又は2の胸部誘導において0.1mVより大きいSTセグメントの上昇を示す、(iii)血清クレアチンキナーゼ濃度が標準値の2倍以上に上昇する、の3つの条件(Nat Genet. 32 (4):650-4. 2002)のうち2つ以上を満たすことによって心筋梗塞であると診断された患者である。
狭心症のサンプルもまた、Bio-Bank Japanに登録されたものを用いた。狭心症は、J Am Coll Cardiol36,970-1062(2000)に記載の基準に従って診断した。
被験者はすべて日本人であり、独立行政法人理化学研究所(理研)ゲノム医科学研究センターの当該倫理委員会によって承認された手順に従い、被験者本人または被験者の親(被験者が20歳未満の場合)が本試験に参加するための同意文書を提出した。
(1−2)SNPの発見および遺伝子型解析
ゲノムワイド相関解析および2次スクリーニングのジェノタイピング法はNat Genet. 40
(9):1098-1102(2008)に記載された方法に従った。3次及び4次スクリーニングにおいては、J Hum Genet 46: 471-477(2001)およびNat Genet. 32 (4):650-654.(2002)に記載のマルチプレックス-PCRインベーダーアッセイによりジェノタイピングを行った。
(1−3)統計解析
ハプロタイプブロックとハプロタイプ頻度は、Haploview v4.0(Bioinfomatics 21, 263-265 (2005))により解析した。そして、Haploviewソフトウェア(Bioinfomatics 21, 263-265 (2005))を用い、ペアワイズタギングモードでタグSNPを選択し、ハプロタイプ解析の並べ替え検定に適用した。
また、THESIASプログラム(Tregouet et al. 2007)と、赤池の情報量基準(AIC):AIC=−2x(条件付き対数尤度の最大値)+2x(パラメータの数)を用いた条件付き対数尤度を使い、ハプロタイプ分析を行った。パラメータの数として、各々のモデルで用いられた、頻度>0.01であるアレル/ハプロタイプの数を用いた。SNPのロジスティック回帰分析において、まず、自由度1(1-d.f.)の相乗的アレル効果モデル(multiplicative allelic effect model)と自由度2(2-d.f.)の全遺伝子型モデル(full genotype model)のどちらが妥当かどうかを決定するために、自由度1(1-d.f.)の尤度比検定を行った(Bioinfomatics 23(8), 1038-1039 (2007))。全遺伝子型モデルからは有意差が見られなかったため(P>0.05)、我々は相乗的アレル効果モデルを前提とした。次に、forwardロジスティック回帰分析を行い、最も有意なSNPがSNPセット間における関連性のモデルとして十分であるかを分析することから始めた。このため、追加のSNPsに対する相乗的アレル効果を前提として、残りの各々のSNPsをモデルに加えるため、自由度1の(1-d.f.)尤度検定を用いた。患者の臨床プロフィールと遺伝子型情報の関係は一方向ANOVA及びχ2検定を用い評価した。
(2)結果
<ゲノムワイド相関解析>
まず、Bio-bank Japanに登録されている194人の心筋梗塞患者(Cases)と1,539人の対照者(Controls)につき、268,068個のSNPsを解析した(ゲノムワイド相関解析:1次解析)。その結果、210,785個のSNPsについてジェノタイプ情報が得られ、その中から、P<0.02の8,740個のSNPsについて2次スクリーニングを行った。
2次スクリーニングでは、1,394人の心筋梗塞患者と1,388人の対照者を解析し、7,374個のSNPsについてデータを得ることができた。そして、その中で、Bonferroni補正後の統計的有意性(カットオフP<0.0000068)を示す2つのSNPsを同定した。その中の1つはNat Genet. 41, 329-333 (2009)において既報のSNPであった。もう一つは、P=1.8x10-6を示す染色体5p15.3のSNP(rs11748327)であった。このSNPにつき、3次(心筋梗塞患者1,500人、対照1,356人)および4次(心筋梗塞患者2,283人、対照3,439人)スクリーニングを行った。
結果を表2に示す。
Figure 0005818194
Mantel-haenszelテストにより全てのステージのデータを合わせたところ、χ2=56.0(P=5.3x10-13)、オッズ比1.25(95%信頼区間(CI)1.18-1.33)となり、このSNPは心筋梗塞と強い相関を示すことがわかった。
<連鎖不平衡解析>
rs11748327は、HapMap JPTデータ(http://www.hapmap.org; The International HapMap Consortium 2005)によれば、マイナーアレル頻度20%以上のSNPsによって構成される約250kbの連鎖不平衡(LD)ブロックに位置する(図1)。このブロックに心筋梗塞に相関する別のSNPが存在するかを調べるため、rs11748327に加えて、マイナーアレル頻度が5%より大きく、r2の閾値0.8の15個のSNPsを選択した。上記3次クリーニングのサンプルを用いてこれらのSNPsを解析したところ、rs490556とrs521660が、Bonferroni補正後、心筋梗塞と有意な相関を示すことがわかった(表3)。
Figure 0005818194
rs490556とrs521660はそれぞれr2=0.59及び0.79でrs11748327に対して連鎖不平衡であった。
さらに上記4次クリーニングのサンプルを用いてこれらのSNPsを解析したところ、これらのSNPsは心筋梗塞と有意な相関を示すことが確認された(表4)。
Figure 0005818194
<ハプロタイプ解析>
次に、これら3つのSNPsのハプロタイプと心筋梗塞の相関をTHESIAS(Bioinfomatics 23(8), 1038-1039 (2007))によって調べた。その結果、1番目と2番目に頻度の高いハプロタイプが心筋梗塞と強い相関を示すことがわかった(表5)。
Figure 0005818194
なお、一方向ANOVAおよびχ2テストを用いて年齢、性別、および糖尿病、高血圧、喫煙、高脂血症等の危険因子の影響を調べたところ、上記SNPsはこれらの因子には関係なく心筋梗塞に相関を示すことがわかった。
<狭心症との相関解析>
次に、上記3つのSNPsについて、2773人の不安定狭心症(重度の臨床症状を示す狭心症)患者のサンプルを解析し、上記3次および4次スクリーニングで用いた対照者サンプルと比較した。
その結果、表4(UA vs Combined CO:狭心症vsコントロール)に示すように、いずれのSNPsも狭心症と有意な相関を示すことがわかった(rs490556 P=1.1x10-4、rs11748327 P=3.4x10-5、rs521660 P=8.7x10-5)。

Claims (5)

  1. ヒト染色体5p15.3上の配列番号1〜3のいずれかの塩基配列の塩基番号61番目の塩基に相当する一塩基多型を分析し、該分析結果に基づいて、
    配列番号1の61番目の塩基に相当する塩基がCの場合;
    配列番号2の61番目の塩基に相当する塩基がTの場合;又は、
    配列番号3の61番目の塩基に相当する塩基がGの場合、
    動脈硬化性疾患の発症リスクが高いと判定される、動脈硬化性疾患を検査する方法。
  2. 前記動脈硬化性疾患が冠動脈疾患である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記冠動脈疾患が心筋梗塞または狭心症である、請求項2に記載の方法。
  4. 配列番号1〜3のいずれかの塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を有するプローブを含む、動脈硬化性疾患検査用試薬。
  5. 配列番号1〜3のいずれかの塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む領域を増幅することのできるプライマーセットと、配列番号1〜3のいずれかの塩基配列において、塩基番号61番目の塩基を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を有するプローブを含む、動脈硬化性疾患検査用試薬。
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