JP5806856B2 - 円筒状積層体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、熱融着性成分を含む熱融着性シート材が径方向に積層された円筒状積層体を製造する円筒状積層体の製造方法に関する。
従来、円筒状積層体の製造方法としては、繊維シートを熱融着させながら巻芯に巻回する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法では、巻芯と駆動ローラーとの間で繊維シートを熱融着させながら、駆動ローラーの回転駆動により繊維シートを巻芯に巻回する。このとき、巻芯を駆動ローラーに向けて所定の線圧を超える荷重で加圧することで、繊維シートの熱融着が促進される。
特開昭61−102470号公報
巻芯と駆動ローラーとを用いて熱融着性シート材を加圧して円筒状積層体を製造する際に、圧力を高めることで熱融着が促進され、円筒状積層体の形状保持性を確保することが容易となる。ところが、圧力を高めることは、例えば駆動ローラーや巻芯への負荷を高めるおそれがある。
本発明の目的は、熱融着性シート材を加圧する条件を緩和しても、熱融着性シート材の熱融着を促進することができ、円筒状積層体の形状保持性を高めることの容易な円筒状積層体の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、熱融着性成分を含む熱融着性シート材を加熱しながら巻芯に巻き取る巻取工程を備え、前記熱融着性シート材が径方向に積層された円筒状積層体を製造する円筒状積層体の製造方法であって、前記巻取工程は、前記巻芯と、前記巻芯の軸に平行する軸を中心として回転駆動される駆動ローラーとにより前記熱融着性シートを加圧しながら、前記巻芯と前記駆動ローラーとの間に前記熱融着性シートを連続して通過させるとともに、前記駆動ローラーにより前記熱融着性シートを加熱して前記巻芯に巻き取る工程であり、前記駆動ローラーは、第1駆動ローラーと、前記第1駆動ローラーよりも下流側に位置する第2駆動ローラーとを備え、前記第2駆動ローラーの温度を前記熱融着性成分の融点以上とし、前記第2駆動ローラーの周速度を前記第1駆動ローラーの周速度よりも速めるとともに、前記熱融着性シートを前記第1駆動ローラーの周速度で供給することで、前記巻芯を前記第1駆動ローラーに従動させるとともに、前記熱融着性シート材として、繊維集合体からなる層を有する熱融着性シート材を用いて、その熱融着性シート材を前記第2駆動ローラーに摺接させることを要旨とする。
この製造方法によれば、第2駆動ローラーの周速度を第1駆動ローラーの周速度よりも速めるとともに、熱融着性シート材を第1駆動ローラーの周速度で供給するため、熱融着性シートは、その搬送速度よりも周速度の速い第2駆動ローラーに摺接される。これにより、第2駆動ローラーによる熱融着性シート材の加熱が安定化することで、熱融着が促進されると推測される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の円筒状積層体の製造方法において、前記巻芯を前記第2駆動ローラーよりも高い温度となるまで予備加熱した後に、前記巻取工程を開始することを要旨とする。
この製造方法によれば、熱融着性シート材は、第2駆動ローラーよりも巻芯に密着し易くなる。これにより、巻芯への熱融着性シート材の巻き始めに皺が発生することを抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の円筒状積層体の製造方法において、前記巻取工程は、前記第1駆動ローラーの温度を前記第2駆動ローラーの温度よりも低い温度として実施されることを要旨とする。
この製造方法によれば、第1駆動ローラーから熱融着性シート材が剥離し易くなる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の円筒状積層体の製造方法において、前記巻取工程は、前記第1駆動ローラーの温度を前記熱融着性成分の融点未満の温度として実施されることを要旨とする。
この製造方法によれば、第1駆動ローラーから熱融着性シート材がさらに剥離し易くなる。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の円筒状積層体の製造方法において、前記巻芯の温度がA(℃)となるまで予備加熱した後に前記巻取工程を開始し、前記第1駆動ローラーの温度をB(℃)とし、前記第2駆動ローラー22bの温度をC(℃)として前記巻取工程を実施する際に、前記熱融着性成分の融点がT(℃)であるとき、式(1):A>C≧T>Bの関係を満たすようにしたことを要旨とする。
この製造方法によれば、巻芯への熱融着性シート材の巻き始めに皺が発生することを抑制することができ、しかも、第1駆動ローラーから熱融着性シート材がさらに剥離し易くなる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の円筒状積層体の製造方法において、前記巻取工程では、前記巻芯よりも上流側の前記熱融着性シート材を前記第1駆動ローラーと、その第1駆動ローラーに従動するガイドローラーとにより挟持して搬送することを要旨とする。
この製造方法によれば、熱融着性シート材の供給速度を第1駆動ローラーの周速度に容易に合わせることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の円筒状積層体の製造方法において、前記巻取工程では、線圧に換算して100g/cm未満の荷重が前記巻芯に印加されることを要旨とする。
このように、熱融着性シート材を加圧する条件を緩和することで、駆動ローラーや巻芯への負荷が低減される。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の円筒状積層体の製造方法において、前記巻芯の直径が40mm以下であることを要旨とする。
上記のように直径が比較的小さい巻芯を用いた場合では、巻取工程において、巻芯に印加される荷重を高めるに従って巻芯の撓みが発生し易くなる。この点、巻芯に印加される荷重を上記のように緩和することができるため、巻芯の撓みを抑制することができるようになる。
本発明によれば、熱融着性シート材を加圧する条件を緩和しても、熱融着性シート材の熱融着を促進することができ、円筒状積層体の形状保持性を高めることの容易な円筒状積層体の製造方法が提供される。
(a)は、本実施形態の円筒状積層体を示す斜視図、(b)は、巻取工程の概略を示す側面図。 巻取工程の概略を示す平面図。 (a)及び(b)は加圧部の概略を示す側面図。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)に示されるように、円筒状積層体11は、円柱状の中空部を有し、径方向に熱融着性シートが積層されることで形成される。円筒状積層体11の形状は、径方向において接する熱融着性シートが熱融着されることで保持されている。本実施形態の円筒状積層体11は、内径が40mm以下であるとともに肉厚が0.5〜9.5mmであり、小型フィルターとして利用される。
<熱融着性シート
まず、円筒状積層体11の製造に用いられる熱融着性シートについて説明する。本実施形態の熱融着性シートは、繊維集合体である不織布が用いられる。この不織布には、熱融着性成分として熱融着性繊維を含んで構成されている。熱融着性繊維としては、熱可塑性樹脂を含むものであれば、特に限定されず、例えば、フィルターに要求される耐熱性、耐薬品性等に応じて適宜選択することができる。
熱可塑性樹脂の具体例は、例えば、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、及び熱可塑性ポリイミドを含む。オレフィン系樹脂の具体例は、例えば、ポリエチレン、及びポリプロピレンを含む。ポリエステル系樹脂の具体例は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及び芳香族ポリエステルを含む。ポリアミド系樹脂の具体例は、例えば、ポリアミド6、及びポリアミド66を含む。スチレン系樹脂の具体例は、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を含む。セルロース系樹脂の具体例は、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、及びセルロースブチレートを含む。ビニル系樹脂の具体例は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む。フッ素系樹脂の具体例は、例えば、四フッ化エチレンペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体(PFA)、及びポリ四フッ化エチレン(PTFE)を含む。
熱融着性繊維は、単独種の熱可塑性樹脂から形成したものでもよいし、複数種の熱可塑性樹脂を複合したものであってもよい。複数種の熱可塑性樹脂を複合した熱融着性繊維としては、例えば、芯鞘型複合繊維、及びサイドバイサイド型複合繊維が挙げられる。なお、異なる種類の熱融着性繊維から構成した不織布を用いる場合、各熱融着性繊維のうち、最も融点の低い熱融着性繊維のみにより熱融着させることが不織布の構造を維持させるという観点から好ましい。
ここで、融点は、DSC(示差走査熱量測定)で得られる吸熱曲線において吸熱ピークとなる温度である。示差走査熱量測定は、昇温速度を10℃/minとし、吸熱ピークの発現する温度よりも高い温度まで昇温し、その温度で10分間保持した後、10℃/minの降温速度で30℃まで冷却し、再度昇温速度を10℃/minとして吸熱ピークの温度を求める。なお、明確な吸熱ピークが存在しない場合は、軟化点で代用する。軟化点は、同じくDSCで得られる吸熱曲線における変曲点を軟化点とする。
不織布は、熱融着性繊維以外の繊維として、非熱融着性繊維を含む構成であってもよい。非熱融着性繊維の具体例は、例えば、無機繊維、熱硬化性樹脂繊維、及び天然繊維を含む。無機繊維の具体例は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、及び金属繊維を含む。熱硬化性樹脂繊維の具体例は、例えば、エポキシ樹脂繊維、フェノール樹脂繊維、不飽和ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、及びポリウレタン系繊維を含む。天然繊維の具体例は、例えば、セルロース繊維、及びシルク繊維を含む。
不織布は、単独種の非熱融着性繊維を含んでいてもよいし、複数種の非熱融着性繊維を含んでいてもよい。
不織布を構成する繊維には、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、着色剤、難燃剤、可塑剤、及び充填剤を含有させることもできる。
不織布の種類としては、例えば、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ウォーターパンチ不織布、メルトブロー不織布等が挙げられる。不織布は、湿式不織布であってもよいし、乾式不織布であってもよい。また、不織布は、短繊維不織布であってもよいし、長繊維不織布であってもよい。不織布の目付は、例えば10〜100g/mの範囲とされる。
<巻取装置>
円筒状積層体11は、不織布12を加熱しながら巻芯21に巻き取る巻取工程を通じて製造される。巻取工程では、図1(b)及び図2に示す巻取装置が用いられる。巻取装置は、巻芯21と、巻芯21の軸に平行する軸を中心として回転駆動される駆動ローラー22とを備えている。
巻芯21は、金属製であり、製造する円筒状積層体11の内径に合わせた直径を有するものを用いる。本実施形態では、円筒状積層体11を内径が40mm以下の小型フィルターとして利用すべく、巻芯21の直径(外径)は、40mm以下とされる。巻芯21の直径の下限は、例えば5mm以上とされる。
巻芯21の長さ(全長)は、例えば300mm〜2000mmとされる。巻芯21の長さが300mm以上の場合、製造効率を高めることができる。一方、巻芯21の長さが2000mmを超える場合、巻芯21が撓み易くなることで、巻芯21に不織布を巻回することが困難となるおそれがある。
巻芯21の直径(D)に対する巻芯21の長さ(L)の比率(L/D)は、好ましくは20以上であり、より好ましくは40以上であり、さらに好ましくは50以上である。この比率(L/D)が20以上であることで、製造効率の確保が容易となる。なお、この比率(L/D)の上限は、巻芯21の剛性を確保するという観点から、250以下であることが好ましい。
駆動ローラー22は、第1駆動ローラー22aと第1駆動ローラーよりも下流側(不織布12の搬送方向における下流側)に位置する第2駆動ローラー22bとから構成されている。第1駆動ローラー22a及び第2駆動ローラー22bは、同一径となるように形成され、各駆動ローラー22a,22bの軸が水平かつ平行になるように設置されている。第1駆動ローラー22aと第2駆動ローラー22bとの間隔は、巻芯21の直径よりも短い間隔とされ、各駆動ローラー22a,22bの上側に巻芯21が支持されるようになっている。各駆動ローラー22a,22bは、図示しない回転駆動装置にそれぞれ連結され、独立して回転駆動される。
各駆動ローラー22a,22bは、それらの表面温度がそれぞれ所定の温度となるように独立して制御される。各駆動ローラー22a,22bの加熱手段としては、電気ヒーターや熱媒体を利用した周知のものを採用することができる。各駆動ローラー22a,22bの外周面には、めっきや高分子材料等による被覆層を設けることで、耐久性を高めたり、外周面の摩擦力を調整したりすることもできる。
各駆動ローラー22a,22bの直径(外径)は、加熱の効率や剛性を十分に得るという観点から、巻芯21の直径よりも大きいことが好ましく、巻芯21の直径の2倍から40倍程度の大きさであることがより好ましい。
各駆動ローラー22a,22bに支持される巻芯21には、下方(各駆動ローラー22a,22b)へ向けて加圧する加圧装置が装着される。加圧装置は、巻芯21の両端部にそれぞれ配置される加圧部23a,23bと、加圧部23a,23bを連結する連結部24とを備えている。また、加圧装置は、連結部24に接続される流体圧シリンダーと、それを制御する制御部とを備え、巻芯21は、加圧部23a,23bを介して一定の圧力で加圧制御されるようになっている。すなわち、巻芯21の両端部における加圧により、巻芯21は各駆動ローラー22a,22bに対して均一となるように加圧される。
図3(a)に示すように、加圧部23aは巻芯21に接する一対の回転体25を備え、それら回転体25によって巻芯21を加圧する。本実施形態の回転体25は円筒状をなし、その回転軸は、巻芯21と平行になるように位置している。回転体25は、図3(a)に矢印で示す方向の圧力を巻芯21に伝達する。加圧部23bについては、加圧部23aと同様の構成であるため、その説明を省略する。
図1(b)及び図2に示すように、第1駆動ローラー22aの上方には、その第1駆動ローラー22aに従動するガイドローラー26が装着されている。ガイドローラー26は、巻芯21よりも上流側の不織布12を第1駆動ローラー22aと挟持した状態で第1駆動ローラー22aの回転駆動に従動する。これにより、不織布12は、第1駆動ローラー22aの周速度で供給されるとともに搬送される。こうしたガイドローラー26の外周面にめっきや高分子材料等による被覆層を設けることで、耐久性や平滑性を高めたり、外周面の摩擦力を調整したりすることできる。本実施形態のガイドローラー26は、その自重により第1駆動ローラー22aに向けて加圧することで、不織布12を挟持するタッチローラーである。また、ガイドローラー26は、不織布12の全幅にわたって接触する長さに設定されることで、巻芯21と第1駆動ローラー22aとの間に供給される不織布12における皺の発生を抑制する。
ガイドローラー26の温度は、第1駆動ローラー22aからの伝熱によって適度に調整される。すなわち、ガイドローラー26は、加熱手段を備えずに構成されている。ガイドローラー26の直径は、自重による加圧、及び皺の発生を抑制する働きを考慮して選択することができる。ガイドローラー26の直径は、概ね20〜130mm程度とされる。
<製造条件>
次に、円筒状積層体11の製造条件の詳細について説明する。
(巻芯21の予備加熱)
巻芯21は、不織布12に含まれる熱融着性成分の融点以上であり、第2駆動ローラー22bの温度よりも高い温度となるまで予備加熱される。巻芯21の予備加熱は、熱融着性成分の融点T+5(℃)から前記融点T+45(℃)の範囲とすることが好ましい。
巻芯21の予備加熱が熱融着性成分の融点T+5(℃)以上の場合、熱融着性成分が十分に加熱されることで、巻芯21に不織布12を円滑に密着させることができる。一方、巻芯21の予備加熱が熱融着性成分の融点T+45(℃)を超える場合、熱融着性成分が過剰に加熱されることで、不織布12の構造への影響が大きくなるおそれがある。具体的には、巻芯21に接触する不織布12の細孔が潰れる現象、すなわちフィルム化が進行することで、フィルターとしての機能に影響を及ぼすおそれがある。
巻芯21の加熱方法としては、収容容器に収容した巻芯21を、例えば温風等の熱媒体や電気ヒーター等により、所定の温度となるように加熱する方法が好適である。なお、巻芯21に、ラバーヒーターを巻き付けて、所定の温度まで加熱することもできる。
(各駆動ローラー22a,22bの周速度)
第2駆動ローラー22bの周速度は、第1駆動ローラー22aの周速度よりも速くなるように設定される。第2駆動ローラー22bの周速度(R2)と第1駆動ローラー22aの周速度(R1)との速度差(各駆動ローラー22a,22bの速度差=R2−R1)は、0.5m/min以上であることが好ましく、1m/min以上であることが好ましい。各駆動ローラー22a,22bの速度差が0.5m/min以上の場合、円筒状積層体11の圧縮強度を高める効果が顕著に得られ易くなる。なお、各駆動ローラー22a,22bの速度差は、安定した製造を実現するという観点から、15m/min以下であることが好ましく、12m/min以下であることがより好ましい。
また、第1駆動ローラー22aの周速度(R1)に対する第2駆動ローラー22bの周速度(R2)の速度比(各駆動ローラー22a,22bの速度比=R2/R1)は、1.25以上であることが好ましく、1.50以上であることがより好ましい。
各駆動ローラー22a,22bの速度比が1.25以上の場合、円筒状積層体11の圧縮強度を高める効果が顕著に得られ易くなる。なお、各駆動ローラー22a,22bの速度比は、安定した製造を実現するという観点から、44以下であることが好ましく、40以下であることが好ましい。
第1駆動ローラー22aの周速度は、製造効率を確保するとともに安定した製造を実現するという観点から、0.5〜10m/minの範囲に設定されることが好ましい。
(各駆動ローラー22a,22bの温度)
第1駆動ローラー22aの温度は、熱融着性成分の融点付近まで予備加熱した不織布12、又は、予備的に熱融着された不織布12を第2駆動ローラー22bへ供給すべく設定される。第1駆動ローラー22aの温度は、不織布12の加熱に要する熱量が確保されるように適宜調節することができる。例えば、高目付の不織布12を用いる場合では、低目付の不織布12を用いる場合よりも、第1駆動ローラー22aの温度を高めることが好ましい。また、第1駆動ローラー22aと不織布12とが接する時間は、不織布12の搬送速度や、流れ方向において第1駆動ローラー22aと接している不織布12の長さにより変化する。この点、第1駆動ローラー22aと不織布12とが接する時間が短くなるに従って、第1駆動ローラー22aの温度を高めることで、不織布12の加熱に要する熱量を確保することができる。
第2駆動ローラー22bの温度は、熱融着性成分の融点以上とされる。第2駆動ローラー22bの温度は、不織布12の熱融着をより強固にし、円筒状積層体11の圧縮強度をより高めるという観点から、好ましくは熱融着性成分の融点T+1(℃)以上であり、より好ましくは熱融着性成分の融点T+5(℃)以上である。第2駆動ローラー22bの温度は、例えば熱融着性成分の熱変性を抑制するという観点から、熱融着性成分の融点T+35(℃)以下の範囲であることが好ましい。
上記第1駆動ローラー22aの温度は、その第1駆動ローラー22aから不織布12を剥離し易くするという観点から、第2駆動ローラー22bの温度よりも低いことが好ましく、熱融着性成分の融点未満であることがより好ましい。第1駆動ローラー22aの温度は、第1駆動ローラー22aからの不織布12の剥離性を高めるとともに、不織布12の予備加熱を促進するという観点から、熱融着性成分の融点T−10(℃)から前記融点T−5(℃)の範囲であることがさらに好ましい。
(巻芯21の予備加熱と各駆動ローラー22a,22bの温度との関係)
巻芯21を予備加熱する温度をA(℃)、第1駆動ローラー22aの温度をB(℃)、第2駆動ローラー22bの温度をC(℃)とし、熱融着性成分の融点がT(℃)であるとき、式(1):A>C≧T>Bの関係を満たすことが好ましい。
(加圧条件)
加圧部23a,23bにより巻芯21に印加される荷重は、各駆動ローラー22a,22bや巻芯21への負荷を低減するという観点から、巻芯21の線圧に換算して100g/cm未満であることが好ましく、50g/cm未満であることがより好ましい。一方、加圧部23a,23bにより巻芯21に印加される荷重は、熱融着を促進するという観点から、3g/cm以上であることが好ましい。
(不織布12の供給)
不織布12の供給速度は、第1駆動ローラー22aの周速度とされる。本実施形態では、不織布12を第1駆動ローラー22aとガイドローラー26とにより挟持させることで、不織布12の供給速度を規制し、不織布12を第1駆動ローラー22aの周速度で供給及び搬送する。
<円筒状積層体11の製造>
次に、円筒状積層体11の製造について作用とともに説明する。
まず、巻芯21の長さ及びフィルターの外径に応じた寸法の不織布12を準備する。不織布12の幅寸法は、加圧部23a,23bの間隔よりも狭い範囲とされることで、不織布12と加圧部23a,23bとの接触が回避される。
続いて、上記のように製造条件を設定した巻取装置に不織布12を供給することで巻取工程を開始する。このとき、不織布12は、第1駆動ローラー22aの周速度で供給及び搬送される。第1駆動ローラー22aとガイドローラー26との間を連続して通過した不織布12は、第1駆動ローラー22aにより加熱されながら、第1駆動ローラー22aと巻芯21との間に供給される。そして、不織布12は、予備加熱した巻芯21に熱融着し、巻芯21に巻き付く。ここで、不織布12が巻芯21よりも第1駆動ローラー22a又は第2駆動ローラー22bに密着し易い状態の場合、巻芯21への不織布12の巻き始めにおいて、皺が発生するおそれがある。この点、巻芯21は、第2駆動ローラー22bの温度よりも高い温度とされているため、不織布12は、第2駆動ローラー22bよりも巻芯21に密着し易くなる。これにより、巻芯21への不織布12の巻き始めに皺が発生することを抑制することができる。
このようにして不織布12は巻芯21に一周巻き付けられる。このとき、不織布12は、第1駆動ローラー22aの周速度で連続して供給されているため、不織布12が巻き付けられた巻芯21は、第1駆動ローラー22aの回転駆動に従動する。
巻芯21と第1駆動ローラー22aとの間を連続して通過する不織布12は、巻芯21と第1駆動ローラー22aとの間で加熱及び加圧される。これにより熱融着性成分の融点付近まで予備加熱した不織布12、又は、予備的に熱融着された不織布12を第2駆動ローラー22bへ供給する。
そして、巻芯21と第2駆動ローラー22bとの間に到達した不織布12は、巻芯21と第2駆動ローラー22bとの間を連続して通過する際に、加熱及び加圧される。これにより、不織布12は、既に巻芯21に巻回されている不織布12と熱融着される。このとき、第2駆動ローラー22bの周速度は、第1駆動ローラー22aの周速度よりも速くなるように設定されている。また、不織布12の供給速度は、第1駆動ローラー22aの周速度とされている。このため、不織布12は、その搬送速度よりも周速度の速い第2駆動ローラー22bに摺接される。これにより、第2駆動ローラー22bによる不織布12の加熱が安定化することで、熱融着が促進されると推測される。
所定の長さの不織布12を巻芯21に巻回することで、巻取工程は完了される。これにより、巻芯21を有した円筒状積層体11が得られる。次に、巻芯21の加圧が解除されるとともに、円筒状積層体11の巻回された巻芯21は巻取装置から取り外される。続いて、円筒状積層体11の巻回された巻芯21は、冷却工程に供される。冷却工程では、室温又は所定温度に温度調整された室内に、円筒状積層体11の巻回された巻芯21を静置する。この冷却工程により、巻芯21の外周面と円筒状積層体11の内周面との密着力を低下させることで、円筒状積層体11から巻芯21を容易に抜き取ることができるようになる。
<円筒状積層体11の物性>
本実施形態の製造方法で得られた円筒状積層体11の形状保持性は、圧縮強度で示される。圧縮強度は、円筒状積層体11の側面(外周面)を圧縮する圧縮試験により測定することができる。具体的には、外径、内径、及び全長が一定の円筒状積層体11の側面を圧縮したときの応力−ひずみ曲線から、円筒状積層体11が破壊したときの応力を読み取り、圧縮強度とする。この圧縮強度が高いほど、円筒状積層体11の形状保持性は優れる。圧縮強度は、積層される不織布12同士の熱融着の状態に依存する。すなわち、熱融着の進行により圧縮強度は高められるようになる。円筒状積層体11に求められる圧縮強度は、外径、内径、不織布12の種類等により異なるが、例えば5〜85kgの範囲とされる。
円筒状積層体11は、所定の長さに裁断される。これにより、複数個のフィルターが得られる。得られたフィルターは、例えば圧縮空気ライン用のエアフィルターとして利用される。本実施形態のフィルターは、形状保持性が確保されているため、寸法精度に優れ、またフィルターとしての性能が安定して発揮され易い。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)巻取工程においては、第2駆動ローラー22bの周速度を第1駆動ローラー22aの周速度よりも速めるとともに、不織布12を第1駆動ローラー22aの周速度で供給している。これにより、第2駆動ローラー22bによる熱融着が促進されると推測される。こうした巻取工程によって、円筒状積層体11の圧縮強度を高めることが容易となる。従って、不織布12を加圧する条件を緩和しても、不織布12の熱融着を促進することができ、円筒状積層体11の形状保持性を高めることが容易となる。
(2)巻取工程は、巻芯21を第2駆動ローラー22bよりも高い温度となるまで予備加熱した後に開始される。このため、不織布12は、第2駆動ローラー22bよりも巻芯21に密着し易くなる。これにより、巻芯21への不織布12の巻き始めに皺が発生することを抑制することができる。
(3)巻取工程は、第1駆動ローラー22aの温度を第2駆動ローラー22bの温度よりも低い温度として実施されることが好ましい。これにより、第1駆動ローラー22aから不織布12が剥離し易くなる。従って、不織布12が第1駆動ローラー22aから第2駆動ローラー22bへ円滑に搬送されるため、巻取工程におけるトラブルの発生を低減することができる。
(4)巻取工程は、第1駆動ローラー22aの温度を熱融着性成分の融点未満の温度として実施されることがさらに好ましい。この場合、第1駆動ローラー22aから不織布12がさらに剥離し易くなるため、上記(3)に記載の作用効果を高めることができる。
(5)巻芯21の温度がA(℃)となるまで予備加熱した後に巻取工程を開始している。この巻取工程においては、第1駆動ローラー22aの温度をB(℃)、第2駆動ローラー22bの温度をC(℃)とし、熱融着性成分の融点がT(℃)であるとき、式(1):A>C≧T>Bの関係を満たすことが好ましい。この場合、巻芯21への不織布12の巻き始めに皺が発生することを抑制することができ、しかも、不織布12が第1駆動ローラー22aから第2駆動ローラー22bへ円滑に搬送されるため、巻取工程におけるトラブルの発生を低減することができる。
(6)巻取工程では、巻芯21よりも上流側の不織布12を第1駆動ローラー22aと、その第1駆動ローラー22aに従動するガイドローラー26とにより挟持して搬送している。この場合、不織布12の供給速度を第1駆動ローラー22aの周速度に容易に合わせることができる。
(7)巻取工程は、線圧に換算して100g/cm未満の荷重が巻芯21に印加されるように実施することが好ましい。このように、不織布12を加圧する条件を緩和することで、駆動ローラー22や巻芯21への負荷が低減されるため、駆動ローラー22や巻芯21の耐久性を確保することができるようになる。
(8)直径が比較的小さい巻芯21を用いた場合では、巻取工程において、巻芯21に印加される荷重を高めるに従って巻芯21の撓みが発生し易くなる。こうした巻芯21の撓みに追従して、得られる円筒状積層体11も撓むことで、例えば円筒状積層体11の寸法精度の確保や巻芯21の抜き取りが困難となるおそれがある。特に、直径が40mm以下とされる比較的小さい巻芯21を用いて円筒状積層体11を製造する場合、巻芯21が撓み易くなる。このとき、例えば巻芯21の長さをより短くすることで、巻芯21の撓みは抑制されるものの、円筒状積層体11の製造効率の低下を招くことになる。この点、上述したように巻芯21に印加される荷重を線圧に換算して100g/cm未満とすることで、巻芯21の撓みを抑制することができるようになる。従って、直径が比較的小さい巻芯21を用いて、小型の円筒状積層体11を製造する際に、円筒状積層体11の製造効率を高めることができる。
(変更例)
なお、前記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・前記実施形態では、巻芯21を予備加熱した後に巻取工程を実施しているが、予備加熱を省略してもよい。例えば巻芯21の外周面の少なくとも一部に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼着したりすることで、巻芯21に不織布12を仮固定することで、不織布12を巻き始めることもできる。
・前記実施形態では、ガイドローラー26として自重で押圧するタッチローラーを採用しているが、加圧手段を備えたニップローラーに変更してもよい。また、前記ガイドローラー26は、不織布12の全幅にわたって接触する長さに設定されている。この点、例えば一対のガイドローラーを不織布12の両端部等において部分的に接触するように設けることもできる。また、ガイドローラー26としては、溝加工が施されたガイドローラーに変更することで、不織布12に皺が発生することをさらに抑制することも可能である。
・前記実施形態では、一本のガイドローラー26によって不織布12を押圧しているが、複数のガイドローラー26によって不織布12を押圧してもよい。また、加熱手段を備えたガイドローラー26に変更することで、ガイドローラー26が温度制御されるように構成してもよい。
・前記ガイドローラー26を省略しても、不織布12を第1駆動ローラー22aの周速度で供給することができる。例えば、第1駆動ローラー22aの外周面の摩擦力を第2駆動ローラー22bの外周面の摩擦力よりも高めることで、不織布12を第1駆動ローラー22aの周速度で供給することができる。また例えば、第1駆動ローラー22aの周速度と同期する一対の供給用ローラーを設けることで、不織布12を第1駆動ローラー22aの周速度で供給することができる。また例えば、第2駆動ローラー22bの直径よりも大きい第1駆動ローラー22aを用いて、巻芯21から第1駆動ローラー22aへの加圧条件を第2駆動ローラー22bへの加圧条件よりも高めることで、不織布12を第1駆動ローラー22aの周速度で供給することができる。
・前記加圧部23a,23bは、一対の回転体25を備えているが、例えば図3(b)に示すように、下面に逆V字状のテーパ面を形成した加圧部23a,23bを採用することもできる。このテーパ面には、巻芯21の回転に伴って巻芯21の外周面が摺接される。テーパ面は、材料の選択や表面粗さの設定によって摩擦力を小さくすることで、巻芯21の回転に対する抵抗を小さくすることが好ましい。また、巻芯21を周知の軸受構造で支持し、その軸受構造を介して加圧する加圧部に変更してもよい。
・前記実施形態では、巻芯21を各駆動ローラー22a,22bに向けて加圧しているが、巻芯21を回転可能に支持するとともに、各駆動ローラー22a,22bを巻芯21に向けて加圧する加圧装置によって、巻芯21と各駆動ローラー22a,22bとの間の不織布12を加圧してもよい。
・前記実施形態では、内径が40mm以下の円筒状積層体11の製造に適用しているが、内径が40mmを超える円筒状積層体11の製造に適用してもよい。この場合であっても、不織布12を加圧する条件を緩和しても、円筒状積層体11の形状保持性を高めることが容易となる。
・前記円筒状積層体11は、エアフィルターとして利用されるが、これに限定されず、エア以外の気体用のフィルターや液体用のフィルターとして利用してもよい。円筒状積層体11をフィルターとして用いる場合、熱融着性シート材は、少なくとも繊維集合体からなる層を有することが好ましい。繊維集合体としては、前記不織布12の他に、織布及び紙が挙げられる。熱融着性成分としては、熱融着性繊維以外に、例えば不定形の熱融着性バインダーを含む繊維集合体であってもよい。なお、繊維集合体からなる層を含む熱融着性シート材は、例えば、多孔質フィルムと繊維集合体とが積層された多層構造であってもよい。
・前記実施形態の製造方法は、フィルターに用いられる円筒状積層体11の製造のみではなく、例えば、各種構造材に用いられる円筒状積層体の製造に適用することもできる。すなわち、前記実施形態の製造方法は、巻芯21に巻回可能な可撓性を有する熱融着性シート材を用いて円筒状積層体を製造する方法として有効である。熱融着性シート材の厚みは、例えば、0.01〜14mmの範囲とされる。熱融着性シート材としては、繊維集合体に限らず、例えば、樹脂フィルム状物、発泡体状物、網状物等を用いてもよいし、これらの複合体を用いてもよい。熱融着性シート材が複層構造の場合では、熱融着性シート材の少なくとも片面が熱融着性を有する熱可塑性樹脂を主成分として構成される。片面のみが熱融着性を有する熱融着性シートを用いる場合は、熱融着性成分への熱伝導を効率的に行うという観点から、熱融着性を有する面が各駆動ローラー22a,22bに接するように巻取装置に供給することが好ましい。
・前記実施形態では、巻取工程を一段階で行っているが、巻取工程を複数の段階に分けて実施することができる。例えば、第1の巻取工程において第1の熱融着性シート材を巻き取った後に、第2の巻取工程において第2の熱融着性シート材を巻き取ることで、内周側と外周側とにおいて、異種の熱融着性シート材が巻回された円筒状積層体を得ることができる。
上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記製造方法において、前記巻芯の直径が40mm以下であり、前記巻芯の直径(D)に対する巻芯の長さ(L)の比率(L/D)が20以上であり、前記巻取工程では、線圧に換算して100g/cm未満の荷重が前記巻芯に印加される円筒状積層体の製造方法。この場合、小型の円筒状積層体を製造するに際して、形状保持性を確保し、かつ製造効率を高めることが容易である。
(ロ)前記製造方法において、前記熱融着性シート材が繊維集合体を含むとともに、前記円筒状積層体が円筒状フィルターである円筒状積層体の製造方法。
(ハ)前記製造方法において、前記第1駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーは同一径であり、前記巻芯の両端部に荷重を加えることで、前記巻芯を前記第1駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーに対して均一となるように加圧する円筒状積層体の製造方法。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。各例では、図1(b)及び図2に示される巻取装置を用いて円筒状積層体を製造した。第1及び第2駆動ローラーの直径(外径)は180mmであり、ガイドローラーの直径(外径)は、50mmである。
(実施例1)
実施例1では、表1に示す条件で、熱融着性シート材として不織布(全幅320mm、全長2.0m)を用いて巻取工程を実施することで円筒状積層体を製造した。用いた不織布は、ポリプロピレン樹脂を芯とし、ポリエチレン樹脂を鞘とする芯鞘構造の短繊維から形成したサーマルボンド不織布(目付40g/m)であり、ポリエチレン(融点:131℃)を熱融着性成分として熱融着可能なものである。
各加圧部はそれぞれ0.8kgの荷重で巻芯の両端部を加圧するように、加圧制御されている。これにより、巻芯に加わる荷重は、1.6kgであり、巻芯の全長は400mmであるため、巻芯に加えた線圧は、1600(g)/40(cm)=40(g/cm)となる。
(比較例1)
比較例1では、第2駆動ローラーの速度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして円筒状積層体を製造した。
(比較例2)
比較例2では、巻芯に加えた線圧を表1に示すように変更した以外は、比較例1と同様にして円筒状積層体の製造を試みた。
(圧縮強度の測定)
圧縮強度は、圧縮試験により測定した。圧縮試験は、万能引張圧縮試験装置(ミネベア株式会社製、TCM5000)を用いて円筒状積層体の側面に平板を載置するとともに50mm/minの速度で加圧し、応力−ひずみ曲線から、円筒状積層体が破断したときの応力を圧縮強度とした。
Figure 0005806856
各例の圧縮強度の測定結果を表1に示す。実施例1及び比較例1の対比から、第2駆動ローラーの速度を第1駆動ローラーの速度よりも速めることで、圧縮強度が高まった。なお、比較例2では、巻芯に加えた線圧が過剰に高いため、巻芯の撓みが大きくなり、巻芯に不織布を巻き取ることができなかった。
(実施例2)
実施例2では、表2に示す条件で、熱融着性シート材として不織布(全幅320mm、全長2.0m)を用いて巻取工程を実施することで、径寸法の異なる円筒状積層体を製造した。この不織布は、実施例1と同じサーマルボンド不織布である。
(比較例3)
比較例3では、第2駆動ローラーの速度を表2に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして円筒状積層体を製造した。
Figure 0005806856
各例の圧縮強度の測定結果を表2に示す。各例の対比から、第2駆動ローラーの速度を第1駆動ローラーの速度よりも速めることで、圧縮強度が高まった。
(実施例3)
実施例3では、表3に示す条件で、熱融着性シート材として不織布(全幅650mm、全長2.0m)を用いて巻取工程を実施することで、長さ寸法の異なる円筒状積層体を製造した。この不織布は、実施例1と同じサーマルボンド不織布である。
(比較例4)
比較例4では、第2駆動ローラーの速度を表3に示すように変更した以外は、実施例3と同様にして円筒状積層体を製造した。
(比較例5)
比較例5では、巻芯に加えた線圧を表3に示すように変更した以外は、比較例4と同様にして円筒状積層体の製造を試みた。
Figure 0005806856
各例の圧縮強度の測定結果を表3に示す。実施例3及び比較例4の対比から、第2駆動ローラーの速度を第1駆動ローラーの速度よりも速めることで、圧縮強度が高まった。比較例5では、巻芯に加えた線圧が過剰に高いため、巻芯の撓みが大きくなり、巻芯に不織布を巻き取ることができなかった。
(実施例4〜6)
実施例4〜6では、表4に示す条件で、熱融着性シート材として不織布(全幅650mm、全長2.0m)を用いて巻取工程を実施することで、円筒状積層体を製造した。この不織布は、実施例1と同じサーマルボンド不織布である。
Figure 0005806856
各例の圧縮強度の測定結果を表4に示す。実施例4及び5の結果から、圧縮強度は、各駆動ローラーの速度差が大きくなるに伴って高まる傾向にあることが分かる。実施例6では実施例4よりも巻芯に加えた線圧を低下させるとともに、各駆動ローラーの速度差を高めている。この実施例6のように、前記線圧の低下により駆動ローラーの負荷を軽減しても、各駆動ローラーの速度差を高めることで、実施例4と同等の圧縮強度が得られることが分かる。
(実施例7及び8)
実施例7及び8では、表5に示す条件で、熱融着性シート材として不織布(全幅650mm、全長2.0m)を用いて巻取工程を実施することで、円筒状積層体を製造した。この不織布は、実施例1と同じサーマルボンド不織布である。
(比較例6)
比較例6では、各駆動ローラーの温度条件を表5に示すように変更した以外は、実施例8と同様にして円筒状積層体の製造を試みた。
(実施例9)
実施例9では、巻芯を予備加熱せずに巻取工程を実施した以外は、表3に示す実施例3と同様にして円筒状積層体を製造した。
Figure 0005806856
各例の圧縮強度の測定結果を表5に示す。実施例7及び8の圧縮強度は、表3に示す比較例4よりも高くなった。但し、実施例7では、第1駆動ローラーの温度が熱融着性成分の融点以上の温度であり、また、実施例8では、第1駆動ローラーの温度が第2駆動ローラーの温度以上である。こうした実施例7及び8は、第1駆動ローラーへの不織布の密着性が高まっており、不織布の搬送がやや不安定であることが確認された。また、巻芯への不織布の巻き始めが不安定となり、巻芯側の不織布に皺が発生する場合があった。
比較例6では、第2駆動ローラーの加熱温度が熱融着性成分の融点よりも低いため、不織布が熱融着せずに、円筒状積層体を製造することができなかった。実施例9では、巻芯の予備加熱を行っていないため、巻芯への巻き始めが不安定な場合があった。これにより、実施例3よりも圧縮強度が劣る結果となったと考えられる。
11…円筒状積層体、12…不織布(熱融着性シート材)、21…巻芯、22…駆動ローラー、22a…第1駆動ローラー、22b…第2駆動ローラー、26…ガイドローラー。

Claims (8)

  1. 熱融着性成分を含む熱融着性シート材を加熱しながら巻芯に巻き取る巻取工程を備え、前記熱融着性シート材が径方向に積層された円筒状積層体を製造する円筒状積層体の製造方法であって、
    前記巻取工程は、
    前記巻芯と、前記巻芯の軸に平行する軸を中心として回転駆動される駆動ローラーとにより前記熱融着性シートを加圧しながら、前記巻芯と前記駆動ローラーとの間に前記熱融着性シートを連続して通過させるとともに、前記駆動ローラーにより前記熱融着性シートを加熱して前記巻芯に巻き取る工程であり、
    前記駆動ローラーは、第1駆動ローラーと、前記第1駆動ローラーよりも下流側に位置する第2駆動ローラーとを備え、
    前記第2駆動ローラーの温度を前記熱融着性成分の融点以上とし、
    前記第2駆動ローラーの周速度を前記第1駆動ローラーの周速度よりも速めるとともに、前記熱融着性シートを前記第1駆動ローラーの周速度で供給することで、前記巻芯を前記第1駆動ローラーに従動させるとともに、前記熱融着性シート材として、繊維集合体からなる層を有する熱融着性シート材を用いて、その熱融着性シート材を前記第2駆動ローラーに摺接させることを特徴とする円筒状積層体の製造方法。
  2. 前記巻芯を前記第2駆動ローラーよりも高い温度となるまで予備加熱した後に、前記巻取工程を開始することを特徴とする請求項1に記載の円筒状積層体の製造方法。
  3. 前記巻取工程は、前記第1駆動ローラーの温度を前記第2駆動ローラーの温度よりも低い温度として実施されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円筒状積層体の製造方法。
  4. 前記巻取工程は、前記第1駆動ローラーの温度を前記熱融着性成分の融点未満の温度として実施されることを特徴とする請求項3に記載の円筒状積層体の製造方法。
  5. 前記巻芯の温度がA(℃)となるまで予備加熱した後に前記巻取工程を開始し、
    前記第1駆動ローラーの温度をB(℃)とし、前記第2駆動ローラー22bの温度をC(℃)として前記巻取工程を実施する際に、前記熱融着性成分の融点がT(℃)であるとき、式(1):A>C≧T>Bの関係を満たすようにしたことを特徴とする請求項1に記載の円筒状積層体の製造方法。
  6. 前記巻取工程では、前記巻芯よりも上流側の前記熱融着性シート材を前記第1駆動ローラーと、その第1駆動ローラーに従動するガイドローラーとにより挟持して搬送することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の円筒状積層体の製造方法。
  7. 前記巻取工程では、線圧に換算して100g/cm未満の荷重が前記巻芯に印加されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の円筒状積層体の製造方法。
  8. 前記巻芯の直径が40mm以下であることを特徴とする請求項7に記載の円筒状積層体の製造方法。
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