JP5805568B2 - 色素増感太陽電池用集電体およびその材料の製造方法ならびに色素増感太陽電池 - Google Patents
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Description
受光面である透明導電膜面から入射した光を、多孔質半導体層に吸着された色素が吸収し、電子励起を引き起こし、その励起した電子が半導体へと移動し、導電性ガラスへと導かれる。ついで、対極に戻った電子はヨウ素などの電解液を介して電子を失った色素へと導かれ、色素が再生される。
しかし、この方法は、集電電極の製造工程が煩雑である。また、集電電極が過度に薄すぎると、集電電極としての役割、性能に不足を来たすおそれもある。このとき、集電電極を適度の厚膜に形成しようとすると、成膜に時間とコストがかかりすぎるおそれがある。
上記の電気化学部材用焼結金属シート材は、明細書の技術分野の欄の記載振りから見て、電気分解装置の電極板、電気めっき装置の電極、電気二重層キャパシタの集電体、非水電解液2次電池の集電体等の用途における従来技術の不具合を改善することを目的とするものと考えられるが、具体的な開示は無い。また、グリーンシートをハンドリングする上記の電気化学部材用焼結金属シート材の製造方法では、下限値である0.03mm程度の厚みのシート材を得るのは実際には困難ではないかと思われる。
このとき、前記平均空孔直径が15μm以下であると、より好適である。
また、本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、金属粉末および溶剤を含むスラリー状組成物を、酸に対して溶解性を有する基材上に成形して焼結前成形体を得る焼結前成形体形成工程、該焼結前成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程および酸により該焼結体から該基材を分離除去する基材除去工程を含み、または、基体金属と媒体金属の混合粉を成形して成形体を得る成形工程と、該成形体を加熱して焼結体を得る焼結工程と、該成形工程および該焼結工程のいずれか1つの工程または双方の工程の後に、該成形体または該焼結体を化学処理または物理処理して、該媒体金属を分離除去する媒体金属分離除去工程をさらに含むため、上記本発明に係る色素増感太陽電池用集電体を好適に得ることができる。
また、本発明に係る色素増感太陽電池は、上記本発明に係る色素増感太陽電池用集電体を備え、または、上記本発明に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法により得られる材料を用いた色素増感太陽電池用集電体を備えるため、電解質の通液性に優れて高い発電効率を得ることができる。
本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体(以下、これを単に集電体ということがある。集電体はおおむね集電電極と同義である。)は、厚みが5〜60μm、かつ空隙率が30〜80%であり、等方的に連通した多数の貫通孔を有する多孔質焼結金属シートからなる。
多孔質焼結金属シートを用いるため、多孔質半導体層上等に薄膜形成法等で集電体を設ける場合に比べて、集電体の作製作業ひいては色素増感太陽電池の作製作業の煩雑さが大幅に軽減される。
本実施の形態の第一および第二の例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、いずれも、厚みが5〜60μm、かつ空隙率が30〜80%であり、等方的に連通した多数の貫通孔を有する本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体材料を好適に得ることができるものである。本実施の形態の第一および第二の例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、いずれも、焼結工程の前に成形工程を設けることで、成形体を極薄の薄膜でなくかつ厚すぎない所望の厚みに調製し、さらに、成形工程において原料として集電体材料となる金属粉に他の成分を配合して金属粉の粒子間に他の成分を介在させ、最終的に他の成分を除去することで、他の成分が抜けた箇所に空隙を生成する技術である点で共通する。
本実施の形態の第一の例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、金属粉末および溶剤を含むスラリー状組成物を、酸に対して溶解性を有する基材上に成形して焼結前成形体(焼結前駆体)を得る焼結前成形体形成工程、該焼結前成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程および酸により該焼結体から該基材を分離除去する基材除去工程を含む。
金属粉末の平均粒子直径は、溶剤を含む組成物に適度な粘性と流動性を付与し、かつ薄板状に成形し易くするためには、1μm〜50μmが好ましく、かつ粒子直径が1〜50μmである粒子を50vol%以上含むことが好ましい。これにより、より、均一な膜厚、空隙率および空孔直径の多孔質焼結金属シートが得られる。粒子直径が1μm未満であると、焼結時に粒子の大きさに対する不導体被膜の厚みが増して、十分な焼結体が得られないおそれがある。また、焼結後の多孔質焼結金属シートの導電性が損なわれるおそれがある。一方、粒子直径が50μmを超えると、多孔質焼結金属シートの厚みを例えば25μm以下程度に成形することが困難となる。
またさらに、可塑剤を添加してもよく、溶剤が水または水溶性有機溶剤の場合はグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等を使用でき、溶剤が非水溶性有機溶剤の場合は、フタル酸エステル等を使用できる。ただし、金属粉末に対する結着剤の割合が多すぎるとスラリー乾燥時のレベリング性が悪くなり、膜厚が不均一となり、一方、少なすぎると焼結前成形体の伸び性が悪くなり破損を招くおそれがある。このため、可塑剤の割合は、金属粉末100質量部に対して2〜30質量部であることが好ましい。
上記の特性を有するものであれば基材の材料種類は特に限定しないが、Zn、Fe、これらを含む合金またはこれらを含む酸化物が好適であり、FeまたはFeを含む合金から構成されるものが特に好適である。
基材の厚みは特に限定しないが、燒結工程で反りを生じない程度に肉厚であることが好ましく、例えば100μm以上とすることができる。
基材は、単体であってもよいし、焼結体と接する面に、例えば離型剤が表面コートしてあるような複層構造であってもよい。
なお、基材を使わずに、スラリー状組成物に高粘度有機物をバインダーとして添加し、焼結前成形体を疑似的に自立膜(グリーンシート)とすることも考えられるが、高粘度有機物は残渣が残りやすく、焼結工程で炭化物や酸化物が形成され焼結阻害要因となるため、好ましくない。さらに、焼結工程でしわやクラックが発生する恐れがある。
塗布法は、ドクターブレード法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、コンマコーティング法、バーコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法、スプレー法、ディスペンス法、スピンコート法等適宜の方法を用いることができる。
焼結前成形体を焼結するに先立ち、脱脂処理を行うことが好ましい。脱脂処理は、焼結前成形体中に含まれる溶剤、結着剤および可塑剤(以下、あわせて残炭成分という)を熱分解又は蒸発させ除去することが目的である。通常は、残炭成分の大部分は、焼結工程における昇温時に除去されるが、残炭成分が焼結前成形体中に若干残る場合、焼結温度周辺の高温下で残炭成分と金属が反応し金属炭化物が形成することがある。その結果、焼結体の機械強度が低くなり、破損しやすくなる。特にチタンを焼結する場合は、800℃以上において容易に残炭成分とチタンが反応し炭化チタンが形成する。このため、脱脂処理を行い、確実に残炭成分を除去することが望ましい。
脱脂処理は、加熱処理、プラズマ処理、オゾン処理、溶剤による洗浄等の方法を用いることができる。加熱処理の場合は、焼結工程における昇温過程において、昇温速度を下げたり、保持時間を設けたりすることで、脱脂処理と焼結工程を連続して行うこともできる。このときの加熱環境は、アルゴン、窒素等の不活性ガス、酸素原子を含む気体、気流下または雰囲気下、真空下等、金属粉末の種類によって適宜選択できるが、残炭成分を効率良く除去できるという点で酸素原子を含む気体中が好ましく、酸素ガス、空気、酸素ガスと不活性ガスの混合ガス等酸素原子が1%以上含む気体中がより好ましい。また、加熱温度と加熱時間は、結着剤の種類と量やガス種により適宜選択することができるが、特に酸素原子を含む気体中で行う場合は、焼結前成形体の酸化を抑制するという点で、400℃以下、より好ましくは350℃未満であることが好ましい。また、加熱時間は0.1〜6時間であることが好ましい。
実質的に密閉状態の容器は、例えば開口が扉で閉止された真空焼成炉等である。
ゲッター材を配置した容器中で焼結することで、容器外の酸素の混入を防ぐとともに、容器内の酸素はゲッター材が優先的に反応・消費するので、焼結体の酸化が抑えられるため、より好ましい。ゲッター材の材質は、焼結する金属の種類によって異なるが、例えば金属粉末がチタンの場合は、ゲッター材はTi、ZrまたはHfが好ましい。
酸を用いた基材除去方法は、剥離効率の点から好ましい。酸の種類は、基材が剥離するものであれば、塩酸、硫酸、硝酸、王水等の無機酸、リン酸、カルボン酸等の有機酸等、特に制限はないが、焼結体が溶解しない酸、焼結体と化学反応しないものが好ましい。具体的には硝酸、硫酸が好適に用いられる。酸を用いた基材除去方法は、特に限定されず、焼結体を酸溶液に浸漬させる方法でもよいし、焼結体に酸溶液をスプレーする方法でもよい。基材剥離後は、速やかに洗浄を行い、焼結体に残存する酸を除去する。洗浄用の液体は、水、有機溶剤等、酸が溶解するものであれば、制限なく使用することができる。
本実施の形態の第二の例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法は、基体金属と媒体金属の混合粉を成形して成形体を得る成形工程と、成形体を加熱して焼結体を得る焼結工程と、成形工程および焼結工程のいずれか1つの工程または双方の工程の後に、成形体または焼結体を化学処理または物理処理して、媒体金属を分離除去する媒体金属分離除去工程をさらに含む。
ここで、基体金属と媒体金属は、予め基体金属および媒体金属をそれぞれ別に粉化したうえで混合することが、両者で異なる所望の粒径を得るうえで好ましく、また、粉砕性のことなる両者を所望の条件に粉砕するうえでも好ましい。一方、工程の簡略化を図る観点からは、基体金属と媒体金属を混合したうえで粉砕して粉化することが好ましい。
また、例えば、フィルターや電極等への適応性の観点からは、チタン、タングステン、モリブデン、ロジウム、白金、タンタル、ルテニウム、パラジウム、ニッケル等またはこれらを含む合金が好ましく、さらにはチタンまたはチタン合金を使用することが好ましい。
基体金属粉と媒体金属粉の混合は、均一な混合粉を得ることができるならばどのような混合法でもよく、粉末冶金でよく用いられるV型混合器による混合で十分に目的を達せられる。
成形方法は特に限定するものではないが、プレス成形法や圧延成形法を好適に用いることができる。後者の圧延成形法を用いる場合、シース被覆圧延を行うことがより好ましい。シース被覆圧延により、圧延ロールを通過しない粉体が発生したときに、十分な圧延が行なえなくなるおそれをより確実に防止することができる。
プレス成形法の場合、好ましいプレス圧の範囲は1〜900MPaである。一方、圧延成形法の場合、好ましい圧延荷重の範囲はロール幅1mmあたり1ton以下である。シース材は延性に優れたアルミニウム等を用いることができる。
成形体を焼結する温度は、800〜1400℃であることが好ましい。用いる基体金属および媒体金属の金属種によって異なるものの、温度が800℃を大きく下回ると、空隙率が過大となるおそれがあり、一方、温度が1400℃を大きく上回ると、空隙率が過小となるおそれがある。加熱時間は0.1〜2時間であることが好ましい。
焼結は、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、もしくは水素ガス雰囲気下、または高真空下で行うことが好ましい。これにより、焼結時のチタンや鉄の酸化を効果的に抑制することができる。
媒体金属粉分離除去工程は、成形工程および焼結工程のいずれか1つの工程または双方の工程の後に行う。成形工程後の媒体金属粉分離除去工程は、焼結工程後に媒体金属粉分離除去工程を必ず行う場合は工程簡略化の観点から省略することが可能である。逆に、焼結工程後の媒体金属粉分離除去工程は、成形工程後に媒体金属粉分離除去工程を必ず行う場合は工程簡略化の観点から省略することが可能である。成形工程後および焼結工程後にそれぞれ媒体金属粉分離除去工程を行うと、媒体金属粉分離除去をより確実に行うことができて好ましいことは勿論である。
化学処理は、基体金属が反応せず、媒体金属のみが反応する処理剤で媒体金属のみを溶解除去できるものであれば、例えばキレート化、アルカリ処理等の適宜の処理方法を用いることができるが、それらの中でも酸洗処理を用いることが最も簡便で好ましい。物理処理は、揮発分離処理や溶融分離処理等を用いることができる。
化学処理は、空隙率や平均空孔直径が比較的小さい焼結体を得るうえで好ましく、一方、物理処理は、空隙率や平均空孔直径が比較的大きい焼結体を得るうえで好ましい。なお、物理処理は化学処理に用いる酸洗処理等で発生する廃液の処理がないというメリットもある。
物理処理のうち揮発分離処理は、媒体金属として、基体金属との反応性が低く、また、基体金属よりも圧倒的に大きな蒸気圧を持っている亜塩やマグネシウム等を用いる場合に好ましい。一方、溶融分離処理は、媒体金属として、基体金属より低融点で、かつ融点付近の温度で基体金属と反応性が乏しい金属である錫、鉛、カルシウム、セレン、カドミウム、ビスマス、Pb−Sn合金あるいはその合金などを用いる場合に好ましい。
酸洗処理は、例えば、成形体または焼結体を酸溶液に浸漬する方法であってもよく、また、成形体または焼結体に酸溶液をスプレーする方法であってもよい。少なくとも焼結体を酸洗処理した後は、速やかに水等により洗浄を行い焼結体に残存する酸を除去する。
金属浴の金属種は、カルシウム、セレン、カドミウム、鉛、ビスマス、Pb−Sn合金を用いることが好ましい。これらの金属は低融点であるために媒体金属のみを選択的に溶融させることができ、その結果、基体金属だけを効果的に残留させることができる。
色素増感太陽電池用集電体18は、本実施の形態例に係る色素増感太陽電池用集電体、または、本実施の形態の第一の例もしくは第二の例に係る色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法により得られる材料を用いた色素増感太陽電池用集電体である。なお、図1中参照符号22は封止材を示す。
導電性基板14は、透明基板12と同様の基板を用い、基板の電解質20に向けた面の一部に、例えば、ITO(スズをドープした酸化インジウム膜)、FTO(フッ素をド一プした酸化スズ膜)、SnO2膜、Ti、W、Mo、Rh、Pt、Ta等の金属膜等の導電膜を積層し、さらに導電膜の上に例えば白金膜等の触媒膜を設ける。また、透明基板を省略し、金属箔に白金膜等の触媒膜を設けても良い。金属箔は、好ましくは、Tiである。
多孔質半導体層16は、TiO2のペーストの薄膜を形成した後に、例えば300〜550℃の温度で焼成する操作を繰り返して所望の厚膜にすると好ましい。
多孔質半導体層16を構成する微粒子の表面に、色素を吸着する。色素は、400nm〜1000nmの波長領域の少なくとも一部に吸収を持つものであり、例えば、ルテニウム色素、フタロシアニン色素などの金属錯体、シアニン色素などの有機色素を挙げることができる。吸着の方法は特に限定されず、例えば、色素溶液に多孔質半導体層16を形成した色素増感太陽電池用集電体18を浸し微粒子表面に色素を化学吸着させるいわゆる含浸法を用いることができる。
透明基板12と多孔質半導体層16は接触していても、接触していなくてもどちらでもよいが、両者の間隔はなるべく短いほうがよい。色素増感太陽電池用集電体18と導電性基板(対極) 14を接触しないように配置するため、例えば電解質20に対して耐腐食性を有し、かつ、電解質イオンの拡散を妨げないように十分な空孔を有するガラスペーパーなどのスペーサで絶縁する方法もある。色素増感太陽電池用集電体18と導電性基板14の間隔は100μm以下であることが好ましい。
電解質20の注入方法は特に限定されず、例えば封止材22の一部をシールせずに開口部にしておき、その開口部から電解質20を注入し、開口部をシールすることもできる。また、導電性基板14の一部に予め開口部を設けておき、そこから電解質20を注入した後に開口部をシールすることもできる。
透明基板12と導電性基板14との間に電解質20を注入して封止する封止材22は、硬化後の厚みが100μm以下の熱可塑性樹脂シートや、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。
水素化脱水素法により製造したチタン粉末(粒径3〜40μm、平均粒径10μm)と、エチルセルロース系結着剤(日新化成(株)製EC−200FTD)を、配合比がチタン粉末60質量%、結着剤40質量%となるよう混合し、スラリー状組成物を調整した。なお、結着剤は約80質量%のターピネオールと約20質量%のエチルセルロースからなる。
次に、このスラリー状組成物を厚み50μm、開口部12mm×50mmのメタルマスクを使ってスキージ法(スクリーン印刷法)により基材である20mm×60mm、厚さ100μmの鉄箔上に塗布し、これを30kPa下で150℃、1.5時間の減圧乾燥を行い、焼成前成形体を得た。その後、焼成前成形体を68.6MPaでプレス処理した。
得られた焼結体を蒸留水および洗剤水で繰り返し洗浄し硫酸を除去した後、加熱乾燥して、多孔質チタン(多孔質焼結金属シート)を得た。
図2および図3に多孔質チタンのSEM写真を示す。図2は多孔質チタンを主面(表面)側から見たものであり、図中、参照符号24は多孔質チタンを、参照符号26は金属部を、参照符号28は孔部を、それぞれ示す。図3は多孔質チタンを断面側から見たものであり、図中、参照符号30は主面を、参照符号32は断面を、それぞれ示す。
得られた多孔質チタン(A−1)の厚み、空隙率、平均空孔直径、電気伝導率を測定した。得られた結果を、チタン粉末の粒径と併せて表1に示す。
さらに、上記取り出し電極付きアノード極のチタニアペースト未製膜面と、ガラスペーパーに向かい合うように積層した。さらに、24mm×60mm、厚み60μmの上記樹脂シートを貼合せた24mm×60mm、厚み125μmのPENフィルムの、上記樹脂シート面と、上記取り出し電極付きアノード極の色素吸着チタニア層面が向かい合うように積層した。また、カソード電極側のPENフィルムにφ3mmの電解液挿入穴を設けた。これらを温度130℃でロールプレスした。
さらに、上記電解液挿入穴から、ヨウ素、LiIを含むγ-ブチロラクトン溶媒の電解液を減圧注入した後、電解液挿入穴をUV硬化樹脂で封止し、色素増感太陽電池(C−1)を得た。
多孔質チタン(A−1)の代わりに、スラリー発泡法により製造された発泡金属である三菱マテリアル製多孔質チタンシート(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池(C−2)を得た。結果を表1および表2に示す。
水素化脱水素法により製造したチタン粉末(粒径45μm以下、平均粒径24μm)572gとカルボニル・粉砕法で製造した鉄粉428g(粒径2〜9.6μm、平均粒径4.5μm)を徳寿製作所製の混合機(V−5型)を用いて均一混合し、金型に装入し、次いで200MPaで加圧して成形体を得た。得られた成形体を硝酸3%を含む水溶液に72時間浸漬し水洗した後、1150℃、2×10−5mbar、2時間焼結処理を行い、多孔質チタン(A−3)を得た。
得られた多孔質チタン(A−3)の厚み、空隙率、平均空孔直径、電気伝導率を測定した。さらに、多孔質チタン(A−1)の代わりに多孔質チタン(A−3)を用いた以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池(C−3)を得た。結果を表1および表2に示す。
金型に装入する代わりに、シース圧延(株式会社吉田記念製、実験用圧延機)を用いて
加圧して成形体を得たこと以外は実施例3と同様にして多孔質チタン(A−4)及び色素増感太陽電池(C−4)を得た。結果を表1および表2に示す。
水素化脱水素法により製造したチタン粉末(粒径45μm以下、平均粒径24μm)596gと亜鉛粉404g(粒径8〜42μm、平均粒径20μm)を徳寿製作所製の混合機(V−5型)を用いて均一混合し、金型に装入し、次いで200MPaで加圧して成形体を得た。得られた成形体を日本真空技術製実験用加熱炉に挿入し、300℃、2時間、2×10−5mbarの真空で加熱後、温度を900℃に上げて2時間焼結処理を行い、多孔質チタン(A−5)を得た。
得られた多孔質チタン(A−5)の厚み、空隙率、平均空孔直径、電気伝導率を測定した。さらに、多孔質チタン(A−5)を用いて、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池(C−5)を得た。結果を表1および表2に示す。
アトマイズ法により製造したチタン粉末(粒径45μm以下、平均粒径32μm)687gとセレン粉313g(粒径10〜42μm、平均粒径24μm)を徳寿製作所製の混合機(V−5型)を用いて均一混合し、金型に装入し、次いで200MPaで加圧して成形体を得た。チタン製の容器の上にチタン製の金網を敷いて、その上に得られた成形体を置き、日本真空技術製実験用加熱炉に挿入した。800℃、2時間、2×10−5mbarの真空で加熱後、温度を1050℃に上げて2時間焼結処理を行い、多孔質チタン(A−6)を得た。
得られた多孔質チタン(A−6)の厚み、空隙率、平均空孔直径、電気伝導率を測定した。さらに、多孔質チタン(A−6)を用いて、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池(C−6)を得た。結果を表1および表2に示す。
鉄粉の代わりに水アトマイズ法で製造により製造したFe−12%Cr合金粉(最小粒径4μm、最大粒径9.8μm、平均粒径7μm)を使用し、硝酸3%の代わりにpH1.4の塩酸と硝酸を含む混合溶液を使用した以外は、実施例3と同様の方法で、多孔質チタン(A−7)および色素増感太陽電池(C−7)を得た。結果を表1および表2に示す。
24mm×60mmの透明導電膜(FTO)付きガラスの透明導電膜側の10mm×50mmの範囲にチタニアペースト(商品名NanoxideD、ソーラ口ニクス社製)を印刷し、乾燥後、425℃で30分、空気中で焼成した。焼成後のチタニア上に、さらにチタニアベーストを印刷、焼成する操作を合計2回繰り返した。さらに焼成後のチタニア上に、チタニアベーストを印刷後、多孔質チタン(A−1)をチタニア側に積層して乾燥し、425℃で30分、空気中で焼成し、透明導電膜付きガラス、チタニア、多孔質Tiシートの積層体基板を得た。
N719色素(ソーラ口ニクス社製)のアセトニトリルとt‐ブチルアルコールの混合溶媒溶液に、作製した積層体基板を64時間含浸させ、チタニア表面に色素を吸着した。吸着後の基板をアセトニトリルとt‐ブチルアルコールの混合溶媒で洗浄して、色素吸着積層体基板を得た。
24mm×60mm、厚み60μmの樹脂シート(SOLARONIX社製、商品名MELTONIX1170−60)に16mm×52mmの開口部を設けた封止部材を得た。上記封止部材を上記取り出し電極付きアノード極の色素吸着チタニア層面側の、取り出し電極とガラス基板の間で、取り出し電極が多孔質Tiシートと透明導電膜の両方に接触する事を阻害しない様に配置した。
さらに、上記電解液挿入穴から、ヨウ素、LiIを含むγ-ブチロラクトン溶媒の電解液を減圧注入した後、電解液挿入穴をUV硬化樹脂で封止し、色素増感太陽電池(C−7)を得た。結果を表1および表2に示す。
実施例1と同様にしてスラリー状組成物を調製し、このスラリー状組成物を塗布厚み75μmに設定したベーカー式アプリケーター(宝泉株式会社製)を使って基材である60mm×70mm、厚さ100μmの鉄箔上に塗布し、これを30kPaの圧力下、150℃の温度で、1.5時間減圧乾燥を行い、燒結前成形体を得た。
得られた焼結体を3N硫酸で酸洗した後、蒸留水および洗剤水で繰り返し洗浄し硫酸を除去した後、加熱乾燥して多孔質チタン(A−9)を得た。さらに、多孔質チタン(A−9)を用いて、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池(C−9)を得た。結果を表1および表2に示す。
燒結前成形体を294MPaでプレスした以外は、実施例2と同様にして多孔質チタン(A−10)及び色素増感太陽電池(C−10)を得た。結果を表1および表2に示す。
平均粒径17μmのチタン粒子を用い、スラリー状組成物を厚み50μm、開口部10×30mmのメタルマスクを使い、スキージ法で塗布した以外は、実施例2と同様にして多孔質チタン(A−11)及び色素増感太陽電池(C−11)を得た。結果を表1および表2に示す。
平均粒径10μmのチタン粒子30質量%と、平均粒径6μmの水素化チタン粒子30質量%と、エチルセルロース系結着剤40質量%を配合したスラリー状組成物を厚み50μm、開口部10×30mmのメタルマスクを使い、スキージ法で塗布した以外は、実施例2と同様にして多孔質チタン(A−12)及び色素増感太陽電池(C−12)を得た。結果を表1および表2に示す。
燒結工程において、燒結前成形体の上面全面をジルコニウム箔で覆いかぶせた以外は、実施例2と同様にして多孔質チタン(A−13)及び色素増感太陽電池(C−13)を得た。結果を表1および表2に示す。
スラリー状組成物を厚み50μm、開口部10×30mmのメタルマスクを使い、スキージ法で塗布し、脱脂処理を1×10−1Pa下で行った以外は、実施例2と同様にして多孔質チタン(A−14)及び色素増感太陽電池(C−14)を得た。結果を表1および表2に示す。
スラリー状組成物を厚み50μm、開口部10×30mmのメタルマスクを使い、スキージ法で塗布し、脱脂処理を1×10−1Pa下で行い、基材除去工程を3N硝酸で行った以外は、実施例2と同様にして多孔質チタン(A−15)及び色素増感太陽電池(C−15)を得た。結果を表1および表2に示す。
多孔質チタン(A−1)の代わりに、大阪チタニウム製多孔質チタンシート(B−1)(商品名タイボラス)を用いた以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池(D−1)を得た。結果を表1および表2に示す。
(比較例2)
水素化脱水素法により製造したチタン粉末(粒径3〜5μm、平均粒径4μm)を用い、実施例1と同様のスラリー状組成物を厚み20μm、開口部10mm×30mmのスクリーンマスクを使ってスクリーン印刷法により基材である20mm×40mm、厚さ100μmの鉄箔上に塗布した。その後実施例1と同様にして多孔質チタン(多孔質焼結金属シート B−2)を得た。得られた結果を、チタン粉末の粒径と併せて表1に示す。
作製した多孔質チタン(B−2)を用いて、実施例1と同様にしてチタニア層付き多孔質Tiシート基板を得た。得られたチタニア層付き多孔質Tiシート基板は、チタニア側にカールし、一部チタニアの剥離が見られた。多孔質チタン(B−2)を用いて、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池(D−2)を得た。結果を表1および表2に示す。
12 透明基板
14 導電性基板
16 多孔質半導体層
18 色素増感太陽電池用集電体
20 電解質
22 封止材
24 多孔質焼結金属シート
26 金属部
28 孔部
30 主面
32 断面
Claims (9)
- 金属粉末および溶剤を含むスラリー状組成物を、酸に対して溶解性を有する基材上に成形して焼結前成形体を得る焼結前成形体形成工程、該焼結前成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程および酸により該焼結体から該基材を分離除去する基材除去工程を含むことを特徴とする色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
- 前記基材がFeまたはFeを含む合金で形成されることを特徴とする請求項1記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
- 前記焼結工程を、実質的に密閉状態の容器内で行い、炭化物および酸化物の標準生成自由エネルギー値が、焼結温度範囲で、前記金属粉末より大きい値を持つ金属を前記焼結前成形体の近傍に配置することを特徴とする請求項1記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
- 前記金属がTi、ZrおよびHfから選ばれる1種であることを特徴とする請求項3記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
- 基体金属と媒体金属の混合粉を成形して成形体を得る成形工程と、該成形体を加熱して焼結体を得る焼結工程と、該成形工程および該焼結工程のいずれか1つの工程または双方の工程の後に、該成形体または該焼結体を化学処理または物理処理して、該媒体金属を分離除去する媒体金属分離除去工程をさらに含むことを特徴とする色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
- 前記化学処理が、酸洗処理であることを特徴とする請求項5記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
- 前記物理処理が、揮発分離処理または溶融分離処理であることを特徴とする請求項5記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
- 前記基体金属が、TiまたはTi合金であることを特徴とする請求項5記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
- 前記媒体金属が、鉄、鉄−クロム合金、銅、マグネシウム、セレン、カルシウム、亜鉛、カドミニウム、ビスマス、鉛および鉛−スズ合金から選ばれるいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項5に記載の色素増感太陽電池用集電体材料の製造方法。
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