JP5799490B2 - 膨張抑制用組成物、多層構造体および基材の膨張の抑制方法 - Google Patents
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Description
反応性化合物とは、常温では液状、半固形状または固形状等であって常温下または加熱下で流動性を示す比較的低分子量の物質であるが、加熱処理および/または光照射処理により硬化反応や架橋反応を起こして分子量を増大させながら網目状の三次元構造を形成し得る化合物である。
1種類以上のエポキシ系化合物と1種類以上の(メタ)アクリロイル系化合物とを含んでいてもよい。
本発明の膨張抑制用組成物は、前記反応性化合物の反応を開始させるための重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤としては、下記に示す重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
アミン類としては、ビス(4−アミノシクロヘキシル)、メタンジアミノジフェニルスルホン、1,5−アザビシクロ−(4,3,0)−ノネン−7およびこれらの塩類、BF3錯体化合物などが挙げられる。
酸無水物類としては、無水フタル酸、無水ドデセニルコハク酸等が挙げられる。
多価フェノ−ル類としては、ビスフェノ−ルF、フェノ−ルノボラック等が挙げられる。
イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
ブレンステッド酸塩類としては、芳香族スルホニウム塩、ヨードニウム塩及びホスホニウム塩等が挙げられる。
有機酸ヒドラジッド類としては、アジピン酸ジヒドラジッド及びフタル酸ジヒドラジッド等が挙げられる。
ポリカルボン酸類としては、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びカルボキシル基含有ポリエステル等が挙げられる。
また反応速度の点から、下記の熱重合開始剤や光重合開始剤であることが好ましい。
(メタ)アクリロイル系化合物用の熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)‐2‐メチルシクロヘキサン、t‐ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t‐ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t‐ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’‐テトラ(t‐ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどの有機過酸化物系開始剤;2‐フェニルアゾ‐4‐メトキシ2,4‐ジメチルバレロニトリル、1‐[(1‐シアノ‐1メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’‐アゾビス[2‐(2‐イミダゾリン‐2‐イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’‐アゾビス[2‐[1‐(2‐ヒドロキシエチル)−2‐イミダゾリン‐2‐イル]プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロパン)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
また、(メタ)アクリロイル系化合物に前記熱重合開始剤を採用する場合には、熱重合促進剤を併用してもよい。熱重合促進剤としては、例えば、コバルト、銅、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、バナジウム、カルシウム、カリウム等の金属石鹸;1級、2級、3級のアミン化合物;4級アンモニウム塩;チオ尿素化合物;ケトン化合物などが挙げられる。これらの熱重合促進剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の膨張抑制用組成物は、無機層状化合物を含む。無機層状化合物としては、液体媒体への膨潤性、劈開性を有する無機層状化合物が好ましく、粘土鉱物が特に好ましい。本発明における無機層状化合物とは、液体媒体へ分散させる以前の状態、すなわち原料の状態で、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している化合物をいう。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス等の弱い結合力によってほぼ平行に積み重なった構造をいう。
前記粘土鉱物の中でもスメクタイト族、バーミキュライト族およびマイカ族の粘土鉱物が好ましく、スメクタイト族が特に好ましい。スメクタイト族としては、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライトが挙げられる。本発明における無機層状化合物は、モンモリロナイトであることが最も好ましい。また無機層状化合物として、2種類以上を用いてもよい。
また、無機層状化合物として、後述する有機修飾された無機層状化合物を使用する場合、原料である未修飾の無機層状化合物について前記方法により求めた平均粒径およびアスペクト比を、有機修飾された無機層状化合物の平均粒径およびアスペクト比としてもよい。
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、前記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、前記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
有機修飾された無機層状化合物は、原料である未修飾の無機層状化合物を下記に示す方法で有機修飾処理を行うことによって得られる。
これらのヒンダードアミン系化合物は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
本発明の膨張抑制用組成物における無機層状化合物の含量は特に限定されるものではないが、下記(式1)を満たすことが好ましい。
0.1<S<20 (式1)
S:反応性化合物および無機層状化合物の合計体積を100体積%としたときの無機層状化合物の体積%
S=A3/(A1+A4)=A3/(A2+A3+A4) (式1−2)
原料である未修飾の無機層状化合物が入手できる場合は、有機修飾された無機層状化合物と、未修飾の無機層状化合物と、のそれぞれの比重の比から算出すればよい。また未修飾の無機層状化合物を入手できない場合は、有機修飾された無機層状化合物を燃焼させ、未修飾の無機層状化合物を作製し、未修飾の無機層状化合物の比重と、有機修飾された無機層状化合物の比重と、の比から算出すればよい。
法で混合してもよい。
本発明の基材層は熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、疎水化セルロース系樹脂、塩素系樹脂、フッ素系樹脂、水素結合性樹脂、サルホン樹脂、エーテルサルホン樹脂、エーテルエーテルケトン樹脂、フェニレンオキシド樹脂、メチレンオキシド樹脂、イミド樹脂等があげられる。熱可塑性樹脂としてはオレフィン系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂などが好ましく、また環境負荷が少ないと言われる非ハロゲン系樹脂の使用も好ましい。
ポリエチレンとしては、エチレンのホモポリマー、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはそのケン化物、エチレン−α・β不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α・β不飽和カルボン酸共重合体等があげられる。
ポリプロピレンとしては、プロピレンのホモポリマー、プロピレンとα−オレフィンとのランダムコポリマーやブロックコポリマーが挙げられる。また、プロピレンとα−オレフィンとのランダムコポリマーとしては、プロピレンとプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1から選ばれる1種以上のコモノマーをランダム共重合した、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、特にポリプロピレンが好ましい。
アミド系樹脂としては、ナイロン−6(Ny−6)、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6−Ny)等があげられる。
アクリル系樹脂としては、アクリル酸誘導体の単独重合体もしくは共重合体があげられる。アクリル酸誘導体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、メタアクリル酸またはアクリル酸エステル等があげられる。具体的には、ポリメチルメタアクリレート等があげられる。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等があげられる。
疎水化セルロース系樹脂としては、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等があげられる。
塩素系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等があげられる。
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等があげられる。
水素結合性樹脂としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、セルロース誘導体等の樹脂単位重量あたりの水酸基の重量分率が20〜60%の割合を満たす樹脂があげられる。
本発明の多層構造体は、熱可塑性樹脂を含む基材層と、前記基材層上で前記膨張抑制用組成物が加熱処理および/または光照射処理されてなる膨張抑制層を含む多層構造体である。
多層構造体の形状は特に限定されないが、フィルム状であることが好ましい。
0.1<A<(B/5) (式2)
A:膨張抑制層の厚み(μm)
B:基材層の厚み(μm)
ここで膨張抑制層の厚み(A)は、多層構造体が基材層の片面のみに膨張抑制層を有する場合は片面の膨張抑制層の厚みを、また基材層の両面に膨張抑制層を有する場合は両面の膨張抑制層の合計厚みである。膨張抑制層の厚みが0.1μm以上であれば基材層の膨張を十分に抑制することができる。またB/5以下であるとき、特に多層構造体が基材層の両面に膨張抑制層を有する場合、基材層が変形しにくい。
さらに膨張抑制層の厚みは0.5〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがさらに好ましい。
C≧2D (式3)
C:基材層の線膨張係数(ppm)
D:多層構造体の線膨張係数(ppm)
基材層に含まれる熱可塑性樹脂が結晶性高分子である場合、(基材層に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度−50℃)〜(基材層に含まれる熱可塑性樹脂の融点)の温度範囲内である。また基材層に含まれる熱可塑性樹脂が非晶性高分子である場合、(基材層に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度)以下の温度範囲内である。また線膨張係数は、前記温度範囲内であれば、多層構造体を使用する温度を考慮して、任意に測定を行えば問題ないが、測定開始温度と測定終了温度の差が20℃以上であることが好ましい。またガラス転移温度および融点は示差走査熱量計(DSC)等を用いて測定することができ、熱可塑性樹脂が2種類以上の熱可塑性樹脂を含んでいる場合、ガラス転移温度が低い方の熱可塑性樹脂の値を採用すればよい。線膨張係数は、JIS K7197に準じた方法により測定することができ、例えば、TMA(Thermomechanical Analysis)装置を用いて測定することができる。
かかる用途としては、例えば、液晶ディスプレイ用、有機EL用などフレキシブルディスプレイ用基板といった光学部品部材、太陽電池あるいは色素増感太陽電池などの基板などの電子部品部材が挙げられる。
本発明の多層構造体がフィルムである場合は、磁気記録媒体用フィルム、写真用フィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィルム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィルム等として好適に用いられる。また多層構造体が成形品である場合、自動車用途としては天井、ドアトリム、インストロメントパネルのパッド材、バンパーやサイドフレームの緩衝材、ボンネット裏等の吸音パット、座席用材、ピラー材、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブおよびそれらの周辺部品等の自動車・車両関連部品、またテレビ部品、電子レンジ部品、照明部品、冷蔵庫部品などに代表される家庭電気製品部品等が挙げられる。
また本発明の多層構造体は特に、高耐熱性を有するためフレキシブルプリント配線板や、近年注目されているビルドアップ工法などにより得られる半導体パッケージやマザーボード用の多層プリント基板、テープオートメーティッドボンディング用フィルムなどに好適に用いられる。
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)を用いて測定した。0.5μm未満の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面観察より求めた。
塗工液(1)、塗工液(4)、塗工液(5)塗工液(6)、塗工液(10)および塗工液(11)の有機修飾された無機層状化合物の平均粒径は、原料である未修飾の無機層状化合物(ベンゲルA ホージュン(株)製)の平均粒径と同じであると見なした。未修飾の無機層状化合物の平均粒径は、無機層状化合物の水分散液を用い、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を用いて測定した。水分散液中の無機層状化合物の平均粒径を、フローセルにて光路長4mmで測定し、得られた平均粒径は0.3μmであった。また塗工液(2)のオルガノシリカゾルの平均粒径については、塗工液(2)を乾燥したものについてTEM観察を行い、平均粒径を求めた。平均粒径は0.02μmであった。
塗工液(1)、塗工液(4)、塗工液(5)塗工液(6)、塗工液(10)および塗工液(11)の有機修飾された無機層状化合物のアスペクト比は、原料である未修飾の無機層状化合物のアスペクト比と同じであると見なした。X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、原料である未修飾の無機層状化合物(ベンゲルA ホージュン(株)製)について粉末法による回折測定を行った。これにより無機層状化合物の単位厚さaを求め、前記の方法で求めた平均粒径Lを用いて、アスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。得られたアスペクト比は300であった。また塗工液(2)のオルガノシリカゾルについては、塗工液(2)を乾燥したものについて、TEM観察を行い、その形状からアスペクト比を求めた。得られたアスペクト比は1、すなわち球状であった。
熱機械分析装置(TMA/SS6100型 エスアイアイ・ナノテクノロジー製)を用い、測定温度は室温から200℃まで、昇温速度5℃/minで昇温させ、引張荷重29.4mN、窒素雰囲気下で測定を行った。線膨張係数は、基材層がポリプロピレンシートの場合30℃〜90℃で、ポリエチレンナフタレートシートの場合100℃〜150℃で測定した結果から算出した。
JIS K 7361シングルビーム法に準拠し、330型自記分光光度計(日立製作所製)を使用して測定した。全光線透過率の値が小さいほど、光を遮断し、反射する性能が優れる。
塗工液(1)の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、トルエン800gと、フルオレン骨格含有エポキシ系化合物(オンコートEX1040 ナガセケムテックス(株)製)200gとを混合し、高速撹拌下(3,000rpm、周速度=8.2m/分)、室温下で30分間攪拌してフルオレン骨格含有エポキシ系化合物を溶解させ、溶液(1)を得た。溶液(1)を前記条件で攪拌しながら、有機修飾された無機層状化合物(エスベンNO12S ホージュン(株)製)32.3gを徐々に加え、その後さらに光重合開始剤として、6フッ化リンを対アニオンとした芳香族ハロニウム塩(IRGACURE250 チバ・ジャパン(株)製)を6g添加し、添加終了後、室温で60分間攪拌を続け、塗工液(1)を作製した。塗工液(1)中のフルオレン骨格含有エポキシ系化合物と有機修飾された無機層状化合物の合計体積を100体積%としたときの、正味の無機成分の割合は5体積%であった。
有機修飾された無機層状化合物の代わりにオルガノシリカゾル(オルガノシリカゾル MEK−ST 日産化学(株)製)100gを用いたこと以外は塗工液(1)と同様にして、塗工液(2)を作製した。塗工液(2)中のフルオレン系エポキシ樹脂とオルガノシリカゾルの合計体積を100体積%としたときの、正味の無機成分の割合は5体積%であった。
有機修飾された無機層状化合物を用いなかったこと以外は塗工液(1)と同様にして、塗工液(3)を作製した。
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、トルエン366gと、シロキサン結合含有エポキシ系化合物(SE−02CM ナガセケムテックス(株)製)20gとを混合し、高速撹拌下(3,000rpm、周速度=8.2m/分)、室温下で30分間攪拌してシロキサン結合含有エポキシ系化合物を溶解させ、溶液(2)を得た。溶液(2)を前記条件で攪拌しながら、有機修飾された無機層状化合物(エスベンNO12S ホージュン(株)製)8.7gを徐々に加え、その後さらに光重合開始剤として、6フッ化リンを対アニオンとした芳香族ハロニウム塩(IRGACURE250 チバ・ジャパン(株)製)を0.6g添加し、添加終了後、室温で60分間攪拌を続け、塗工液(4)を作製した。塗工液(4)中のシロキサン結合含有エポキシ系化合物と有機修飾された無機層状化合物の合計体積を100体積%としたときの、正味の無機成分の割合は10体積%であった。
シロキサン結合含有エポキシ系化合物の代わりにシロキサン結合含有アクリロイル系化合物(SK−401M ナガセケムテックス(株)製)を用い、さらに6フッ化リンを対アニオンとした芳香族ハロニウム塩の代わりに1,3α―アミノアルキルフェノン(IRGACURE907 チバ・ジャパン(株)製)を用いたこと以外は塗工液(4)と同様にして、塗工液(5)を作製した。塗工液(5)中のシロキサン結合含有アクリル系化合物と有機修飾された無機層状化合物の合計体積を100体積%としたときの、正味の無機成分の割合は10体積%であった。
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、シクロヘキサノン206gと、クレゾールノボラック型エポキシ系化合物(ユニディックV8000C1 DIC(株)製)25.8g、およびポリイミド骨格含有化合物(ユニディックV8000 DIC(株)製)100gを混合し、高速攪拌し(3000rpm、周速度=8.2m/分)、室温下で30分間攪拌して溶解させ、溶液(3)を得た。溶液(3)を前記条件で攪拌しながら、ジメチルジオクタデシルアンモニウムとオレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムの混合物で有機修飾された無機層状化合物(エスベンNO12S ホージュン(株)製)1.3gを徐々に加え、添加終了後、室温で60分間攪拌し、塗工液(6)を作製した。塗工液(6)中のクレゾールノボラック型エポキシ系化合物、ポリイミド骨格含有化合物と有機修飾された無機層状化合物の合計体積を100体積%としたときの、正味の無機成分の割合は5体積%であった。
有機修飾された無機層状化合物を加えなかったこと以外は塗工液(4)と同様にして、塗工液(7)を作製した。
塗工液(8)
有機修飾された無機層状化合物を加えなかったこと以外は塗工液(5)と同様にして、塗工液(8)を作製した。
塗工液(9)
有機修飾された無機層状化合物を加えなかったこと以外は塗工液(6)と同様にして、塗工液(9)を作製した。
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、シクロヘキサノン206gと、クレゾールノボラック型エポキシ系化合物(ユニディックV8000C1 DIC(株)製)25.8g、およびポリイミド骨格含有化合物(ユニディックV8000 DIC(株)製)100gを混合し、高速攪拌し(3000rpm、周速度=8.2m/分)、室温下で30分間攪拌して溶解させ、溶液(3)を得た。溶液(3)を前記条件で攪拌しながら、無機層状化合物(ベンゲルA ホージュン(株)製)0.9gを徐々に加え、添加終了後、室温で60分間攪拌し、塗工液(10)を作製した。塗工液(10)中のクレゾールノボラック型エポキシ系化合物、ポリイミド骨格含有化合物と無機層状化合物の合計体積を100体積%としたときの、正味の無機成分の割合は5体積%であった。
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、シクロヘキサノン206gと、クレゾールノボラック型エポキシ系化合物(ユニディックV8000C1 DIC(株)製)25.8g、およびポリイミド骨格含有化合物(ユニディックV8000 DIC(株)製)100gを混合し、高速攪拌し(3000rpm、周速度=8.2m/分)、室温下で30分間攪拌して溶解させ、溶液(3)を得た。
またさらに別の分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)2000gと、無機層状化合物(ベンゲルA ホージュン(株)製)100gとを混合し、高速攪拌下(3,000rpm、周速度=8.2m/分)、室温下で30分間攪拌した。前記混合系にメタノール25gと、アルコキシシランとしてジメトキシジフェニルシラン(LS5300 信越化学工業(株)製)5gとを添加し、さらに30分間攪拌し、無機層状化合物分散液を作製した。前記無機層状化合物分散液を75℃で3日間乾燥し、水およびメタノールを除去し、有機修飾された無機層状化合物を得た。
溶液(3)を前記条件で攪拌しながら、前記有機修飾された無機層状化合物1.0gを徐々に加え、添加終了後、室温で60分間攪拌し、塗工液(11)を作製した。塗工液(11)中のクレゾールノボラック型エポキシ系化合物、ポリイミド骨格含有化合物と有機修飾された無機層状化合物の合計体積を100体積%としたときの、正味の無機成分の割合は5体積%であった。
厚さ50μmの無延伸ポリプロピレンシート(CPP)の両面にコロナ処理したものを基材層として用いた。基材層の一方のコロナ処理面上に前述の塗工液(1)を、テストコーター(康井精機製)を用いて、マイクログラビア塗工法により、塗工速度3m/分でグラビア塗工して乾燥温度120℃で乾燥し、その後UV照射処理を行い、基材層上に膨張抑制層1を形成した。膨張抑制層1をA1層とする。その後、A1層を形成した反対側の基材層上にも、前述の方法と同様にして膨張抑制層2を形成した。膨張抑制層2をA2層とする。基材層の両面に膨張抑制層が積層されてなる多層構造体(1)を得た。得られた多層構造体(1)の構成は、A1層/基材層/A2層であり、A1層およびA2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(1)について評価を行った。結果を表2に示した。
膨張抑制層2を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして多層構造体(2)を得た。得られた多層構造体(2)の構成は、A1層/基材層であり、A1層の厚みは1.0μmであった。その後多層構造体(2)について評価を行った。結果を表2に示した。
コロナ処理の代わりにプラズマ処理を用いたこと以外は実施例1と同様にして多層構造体(3)を得た。プラズマ処理の条件としては、大気圧プラズマ処理であり、基材層が移動する方向と直行する方向の長さが145mmである電極を用い、電極間のクリアランスが4mm、大気圧雰囲気下、処理電力が450W、雰囲気ガスとして酸素/窒素=20/80(体積比)にてライン速度0.3m/minで処理した。得られた多層構造体(3)の構成は、A1層/基材層/A2層であり、A1層およびA2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(3)について評価を行った。結果を表2に示した。
無延伸ポリプロピレンシートからなる基材層のみについて、評価を行った。結果を表2に示した。
塗工液(1)のかわりに塗工液(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして多層構造体(4)を得た。塗工液(2)を用いて形成される層をB1層およびB2層とすると、得られた多層構造体(4)の構成は、B1層/基材層/B2層であり、B1層およびB2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(4)について評価を行った。結果を表2に示した。
塗工液(1)のかわりに塗工液(3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして多層構造体(5)を得た。塗工液(3)を用いて形成される層をC1層およびC2層とすると、得られた多層構造体(5)の構成は、C1層/基材層/C2層であり、C1層およびC2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(5)について評価を行った。結果を表2に示した。
塗工液(1)のかわりに塗工液(4)を用いたこと以外は実施例3と同様にして多層構造体(6)を得た。塗工液(4)を用いて形成される層をD1層およびD2層とすると、得られた多層構造体(6)の構成は、D1層/基材層/D2層であり、D1層およびD2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(6)について評価を行った。結果を表2に示した。
[実施例5]
塗工液(1)のかわりに塗工液(5)を用いたこと以外は実施例3と同様にして多層構造体(7)を得た。塗工液(5)を用いて形成される層をE1層およびE2層とすると、得られた多層構造体(7)の構成は、E1層/基材層/E2層であり、E1層およびE2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(7)について評価を行った。結果を表2に示した。
基材層に厚み50μmのポリエチレンナフタレートシート(PEN)を用いたこと以外は実施例3と同様にして多層構造体(8)を得た。塗工液(1)を用いて形成される層をA1層およびA2層とすると、得られた多層構造体(8)の構成は、A1層/基材層/A2層であり、A1層およびA2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(8)について評価を行った。結果を表2に示した。
厚さ50μmのポリエチレンナフタレートシートの両面にプラズマ処理したものを基材層として用いた。プラズマ処理の条件としては、大気圧プラズマ処理であり、基材層が移動する方向と直行する方向の長さが145mmである電極を用い、電極間のクリアランスが4mm、大気圧雰囲気下、処理電力が450W、雰囲気ガスとして酸素/窒素=20/80(体積比)にてライン速度0.3m/minで処理した。基材層の一方のプラズマ処理面上に前述の塗工液(6)を、テストコーター(康井精機製)を用いて、マイクログラビア塗工法により、塗工速度3m/分でグラビア塗工して乾燥温度120℃で乾燥し、基材層上に膨張抑制用組成物層1を形成した。次いで、膨張抑制用組成物層1を形成した反対側の基材層上にも、前述の方法と同様にして膨張抑制用組成物層2を形成した。その後、得られた膨張抑制用組成物層1および2を有する基材層を170℃にて1時間加熱処理を行い、基材層の両面に膨張抑制層1および膨張抑制層2が積層されてなる多層構造体(9)を得た。膨張抑制層1をF1層と、膨張抑制層2をF2層とすると、得られた多層構造体(9)の構成は、F1層/基材層/F2層であり、F1層およびF2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(9)について評価を行った。結果を表2に示した。
塗工液(1)のかわりに塗工液(7)を用いたこと以外は実施例4と同様にして多層構造体(10)を得た。塗工液(7)を用いて形成される層をG1層およびG2層とすると、得られた多層構造体(10)の構成は、G1層/基材層/G2層であり、G1層およびG2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(10)について評価を行った。結果を表2に示した。
[比較例5]
塗工液(1)のかわりに塗工液(8)を用いたこと以外は実施例5と同様にして多層構造体(11)を得た。塗工液(8)を用いて形成される層をH1層およびH2層とすると、得られた多層構造体(11)の構成は、H1層/基材層/H2層であり、H1層およびH2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(11)について評価を行った。結果を表2に示した。
塗工液(1)のかわりに塗工液(3)を用いたこと以外は実施例6と同様にして多層構造体(12)を得た。塗工液(3)を用いて形成される層をC1層およびC2層とすると、得られた多層構造体(12)の構成は、C1層/基材層/C2層であり、C1層およびC2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(12)について評価を行った。結果を表2に示した。
[比較例7]
塗工液(6)のかわりに塗工液(9)を用いたこと以外は実施例7と同様にして多層構造体(13)を得た。塗工液(9)を用いて形成される層をI1層およびI2層とすると、得られた多層構造体(13)の構成は、I1層/基材層/I2層であり、I1層およびI2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(13)について評価を行った。結果を表2に示した。
[比較例8]
ポリエチレンナフタレートからなる基材層のみについて、評価を行った。結果を表2に示した。
塗工液(6)のかわりに塗工液(10)を用いたこと以外は実施例7と同様にして多層構造体(14)を得た。塗工液(10)を用いて形成される層をJ1層およびJ2層とすると、得られた多層構造体(14)の構成は、J1層/基材層/J2層であり、J1層およびJ2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(14)について評価を行った。結果を表2に示した。
[実施例9]
塗工液(6)のかわりに塗工液(11)を用いたこと以外は実施例7と同様にして多層構造体(15)を得た。塗工液(11)を用いて形成される層をK1層およびK2層とすると、得られた多層構造体(15)の構成は、K1層/基材層/K2層であり、K1層およびK2層の厚みは、それぞれ1.0μmであった。その後多層構造体(15)について評価を行った。結果を表2に示した。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂を含む基材層上で、加熱処理および/または光照射処理される前記基材層の膨張抑制用組成物であって、(メタ)アクリロイル系化合物、クレゾールノボラック型エポキシ系化合物、フルオレン型エポキシ系化合物、及びシロキサン結合を分子内に有するエポキシ系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の反応性化合物、およびアスペクト比が50〜1000である無機層状化合物を含む膨張抑制用組成物。
- 下記式1を満たす請求項1に記載の膨張抑制用組成物。
0.1<S<20 (式1)
S:(メタ)アクリロイル系化合物、クレゾールノボラック型エポキシ系化合物、フルオレン型エポキシ系化合物、及びシロキサン結合を分子内に有するエポキシ系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の反応性化合物、および無機層状化合物の合計体積を100体積%としたときの無機層状化合物の体積% - さらに液体媒体を含む請求項1または2に記載の膨張抑制用組成物。
- 熱可塑性樹脂を含む基材層と、前記基材層上で、請求項1〜3のいずれかに記載の膨張抑制用組成物が加熱処理および/または光照射処理されてなる膨張抑制層を含む多層構造体。
- フィルム状である請求項4に記載の多層構造体。
- 基材層の両面に前記膨張抑制層を有する請求項5に記載の多層構造体。
- 式2を満たす請求項5または6に記載の多層構造体。
0.1<A<(B/5) (式2)
A:膨張抑制層の厚み(μm)
B:基材層の厚み(μm)
(ここで膨張抑制層の厚みは、多層構造体が基材層の片面のみに膨張抑制層を有する場合は片面の膨張抑制層の厚みを、また基材層の両面に膨張抑制層を有する場合は両面の膨張抑制層の合計厚みである。) - 熱可塑性樹脂を含む基材層の表面の少なくとも一部に、請求項1〜3のいずれかに記載の膨張抑制用組成物を積層する工程、
前記膨張抑制用組成物からなる層に加熱処理および/または光照射処理し、膨張抑制層を形成する工程、
を含む多層構造体の製造方法。 - 熱可塑性樹脂を含む基材層の表面の少なくとも一部に、(メタ)アクリロイル系化合物、クレゾールノボラック型エポキシ系化合物、フルオレン型エポキシ系化合物、及びシロキサン結合を分子内に有するエポキシ系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の反応性化合物、およびアスペクト比が50〜1000の範囲である無機層状化合物を含む膨張抑制用組成物を積層した後、前記膨張抑制用組成物からなる層に加熱処理および/または光照射処理し、基材層の膨張を抑制する方法。
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