JP5791800B2 - 電動機 - Google Patents
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Description
この発明は、平板状の配電側コイルと、平板状のステータ側コイルとを溶接した電動機に関するものである。
三相シンクロナス交流モータ等の電動機は、ステータ側の永久磁石によりロータに磁極を作り出し、ステータティース間に配置されたステータ側コイルによりステータティースに磁極を作り出す。そして、外部電源に接続した配電部がステータ側コイルへの通電を切り替えて、ステータティースのS極とN極を切り替えることにより、回転トルクを生じさせるようにしていた。
この電動機に通電される電流は250Arms(最大500A)のような大電流になるので、ステータ側コイルおよび配電側コイルには平板状の銅板材(いわゆる平角線)が採用されている(例えば、特許文献1,2参照)。平角線は偏素線に比べ、部品製造コストが安価であり、組み付けも簡略化できるメリットがある。
平板状のステータ側コイルと配電側コイルを電気的に接続する際には、一般的な金属部材間の結合方法である溶接(例えば、Tungsten Inert Gas;TIG溶接)が用いられる。
ここで、図12を参照して、TIG溶接の概要を説明する。図12(a)に示すように、平板状のステータ側コイル100と、同じく平板状の配電側コイル101とを並列に配置して、両コイルの端部をTIG溶接する。図12(b),図12(c)は溶接成功時、図12(d)〜図12(f)は溶接失敗時を示すD矢視図である。
ここで、図12を参照して、TIG溶接の概要を説明する。図12(a)に示すように、平板状のステータ側コイル100と、同じく平板状の配電側コイル101とを並列に配置して、両コイルの端部をTIG溶接する。図12(b),図12(c)は溶接成功時、図12(d)〜図12(f)は溶接失敗時を示すD矢視図である。
図12(b)のように、ステータ側コイル100と配電側コイル101との間に隙間が無い場合、溶接機102で溶接することにより、図12(c)に示すように両コイルの先端部全体が溶解して溶接部103が形成され、溶け込み代も十分に確保できる。従って、コイル間の抵抗が小さく、良好に通電することができる。
一方、図12(d)のように、ステータ側コイル100と配電側コイル101との間に隙間が発生した場合、TIG溶接性が不安定となり、図12(e)に示すように片方のコイルのみ溶解した状態の片側溶接が発生したり、図12(f)に示すように溶け込み不良が発生したりする。図12(e)の片側溶接では、コイル間が接続されていないので通電できない。図12(f)の溶け込み不良では、溶け込み代が少ないため、通電部分の断面積が小さくなる。そのため、コイル間の抵抗が増加して通電不良が発生したり、局部的発熱が増加して、モータ効率の低下または溶接部103の溶断が発生したりする。
上記特許文献1の電動機は、平板状のコイル同士の溶接を行う際、第1のコイルの一端部が配設された開口部に、第2のコイルの一端部を挿通することにより、両コイルを並列に対向させていた。この構成の場合、各部品のばらつき具合によっては、コイル間に隙間が発生し、溶接性が不安定になるという課題があった。
上記特許文献2の電動機は、平板状のコイル同士を溶接して電気的に接続する構成ではなく、一方のコイルをもう一方のコイルに押圧して電気的な接続を確保する構成であった。具体的には、第1のコイルを封止した樹脂に第1のコイルの一端部が露出する接続開口を形成すると共に、接続開口に第1のコイルの一端部とこれに対向する接続開口の樹脂面とによって第2のコイルの一端部が挿入接続される雌部を形成し、第2のコイルの一端部が挿入された場合にこの第2のコイルが第1のコイルの一端部と接続開口の樹脂面とによって挟持されるようにしていた。この構成の場合、第1のコイルが第2のコイルに対して斜めに接触するので、接触面積が小さく、溶接性が不安定になるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、平板状のコイル同士の溶接性を向上させた電動機を提供することを目的とする。
この発明に係る電動機は、シャフトに一体化したロータ部と、ロータ部の外周を囲う位置に固定され、平板状のステータ側コイルがシャフトの軸方向と平行に配設されたステータ部と、ステータ側コイルの端部を貫通させる貫通孔、および、貫通孔に軸方向と平行に配設されて貫通孔開口から露出し、貫通孔を貫通したステータ側コイルと溶接された平板状の配電側コイルを有し、当該配電側コイルを介してステータ部に電力供給する配電部と、貫通孔開口から露出した配電側コイルとステータ側コイルとを押圧接触させる押圧部材とを備え、押圧部材は、配電部の貫通孔開口から露出した配電側コイルとステータ側コイルを貫通させる開口部を複数有する板状の部材であり、開口部は、配電側コイルとステータ側コイルの入口側の開口面積に比べて出口側の開口面積が狭く、配電側コイルとステータ側コイルとを押圧接触させる形状である。
この発明によれば、押圧部材が、貫通孔開口から露出した配電側コイルとステータ側コイルを押圧接触させるようにしたので、両コイルが隙間無く密着した状態で溶接できるようになり、溶接性を向上させた電動機を提供することができる。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1および図2に示す電動機1は、三相交流シンクロナスモータを構成し、円筒状のハウジング2と、ハウジング2の内部に固定されたステータ部3および配電部10と、図示しないシャフトを回転させるロータ部9と、押圧部材14とを備える。
実施の形態1.
図1および図2に示す電動機1は、三相交流シンクロナスモータを構成し、円筒状のハウジング2と、ハウジング2の内部に固定されたステータ部3および配電部10と、図示しないシャフトを回転させるロータ部9と、押圧部材14とを備える。
ロータ部9は、周方向外側に突出する突部を180度間隔に2箇所形成し、回転軸方向Xの途中で突部を90度ずらした状態にする(突部9a,9b)。ロータ部9を永久磁石で構成してもよいが、電動機1が高温に晒される場合には磁気特性が低下するので、例えば電磁鋼板を突状に打ち抜いて回転軸方向Xの途中で突部を90度ずらした状態にする(突部9a,9b)。
このロータ部9にシャフトを固着して、ロータ部9と一体にシャフトを回転させることにより、ロータ部9に発生した回転力を外部出力する。電動機1を自動車用ターボチャージャおよび電動コンプレッサ等に適用する場合、ロータ部9に固着したシャフトをタービン(いわゆるインペラ)の回転軸に連結して、電動機1によりタービンを回転駆動する。
ステータ部3は、2個のステータコア4,5と、このステータコア4,5の間に配置されたマグネット6と、6個のU字状のステータ側コイル7と、これらを一体化するモールド部8とから構成される。ステータコア4,5はそれぞれ、電磁鋼板を回転軸方向Xに積層して構成する。図2に示すように、このステータコア5は、環状体5aと、この環状体5aの内周部から中心に向かって突出する6個の突部(以下、ティース5b)とからなる。なお、図1および図2では隠れて見えないが、ステータコア4も環状体4aと6個のティース4bとからなる。また、マグネット6は環状体4a,5aと略同形状である。
ステータ側コイル7は、銅板をU字に折り曲げた1回巻のコイルである。回転軸方向Xに対向する1組のティース4b,5bに対して1個のステータ側コイル7が装着される。モールド部8は、ステータコア4,5、マグネット6およびステータ側コイル7を一体成形する樹脂部材で構成される。各ティース4b,5bに装着されモールドされた各ステータ側コイル7は、モールド部8を回転軸方向Xに貫通して、折り曲げ部分がステータコア4側に、先端部分がステータコア5側に突出している。ステータ部3を一体成形する際に、各ステータ側コイル7の先端部分を金型の内壁に当接させて高さ方向の位置合わせをすることにより、ステータ側コイル7同士の先端部分の高さ方向のずれを抑制している。
配電部10は、銅板の配電側コイル11を一体成形する樹脂部材で構成される。この配電側コイル11は、シャフトの周方向に沿って環状に配置されて、一方の端部がステータ側コイル7に接続され、他方の端部が不図示のインバータ基板に接続される。配電部10には、ステータ側コイル7の先端部分を貫通させるための貫通孔10aが形成されており、貫通孔10aを貫通したステータ側コイル7は、貫通孔10aの内部から開口に向かって配設された配電側コイル11と並列に対向する。
配電側コイル11に接続するインバータ基板は、外部電源を交流電流に変換し、位置検出センサ12から入力される位置信号に基づいて配電側コイル11のU相、V相、W相の三相を順次切り替えて配電側コイル11からステータ側コイル7へ電流を流す。また、配電部10の中央には位置検出センサ12が設置されている。この位置検出センサ12は、シャフトに固定されたターゲットの位置を検出して、シャフトの回転位置を示す位置信号を出力する。
押圧部材14は、絶縁性の樹脂部材等を用いて円板状に形成され、配電側コイル11およびステータ側コイル7の各先端部を貫通させる12個の開口部14aが形成されている。1個の開口部14aに、ステータ側コイル7と配電側コイル11がそれぞれ貫通し、この開口部14aの内壁面でステータ側コイル7と配電側コイル11を押圧して密着状態に維持する。また、開口部14aから突出した両コイルの端部同士がTIG溶接されて電気的に接続する。この電動機1ではステータ側コイル7を6個使用するので、1個につき溶接部13が2箇所、全部で12箇所になる。
次に、電動機1の動作概略を説明する。
回転軸方向Xに着磁されたマグネット6による磁束は、マグネット6のN極側に配置されたステータコア4のティース4bからロータ部9の突部9aに流れ出て、ロータ部9を回転軸方向Xに進んでS極側にある突部9bから出て、ロータ部9のS極側に配置されたステータコア5のティース5bへ流れ入る界磁磁束となる。このように、マグネット6の界磁起磁力がロータ部9に作用することで、マグネット6のN極側に対面するロータ部9の突部9aをN極に着磁し、マグネット6のS極側に対面するロータ部9の突部9bをS極に着磁する。
図3は、配電部10側から見たステータ部3とロータ部9の平面図である。ただし、ハウジング2およびステータ側コイル7等は図示を省略する。配電部10の配電側コイル11を経由してU字のステータ側コイル7に電流が流れると、流れた電流の向きに応じてステータコア4,5の各ティース4b,5bが着磁して回転磁界が生じ、トルクが発生する。ステータ側コイル7に流す電流の向きを順次切り替えることにより、図3(a)〜図3(c)のように各ティース4b,5bのNS各極性が回転移動していき、磁気作用によりロータ部9が回転する。
回転軸方向Xに着磁されたマグネット6による磁束は、マグネット6のN極側に配置されたステータコア4のティース4bからロータ部9の突部9aに流れ出て、ロータ部9を回転軸方向Xに進んでS極側にある突部9bから出て、ロータ部9のS極側に配置されたステータコア5のティース5bへ流れ入る界磁磁束となる。このように、マグネット6の界磁起磁力がロータ部9に作用することで、マグネット6のN極側に対面するロータ部9の突部9aをN極に着磁し、マグネット6のS極側に対面するロータ部9の突部9bをS極に着磁する。
図3は、配電部10側から見たステータ部3とロータ部9の平面図である。ただし、ハウジング2およびステータ側コイル7等は図示を省略する。配電部10の配電側コイル11を経由してU字のステータ側コイル7に電流が流れると、流れた電流の向きに応じてステータコア4,5の各ティース4b,5bが着磁して回転磁界が生じ、トルクが発生する。ステータ側コイル7に流す電流の向きを順次切り替えることにより、図3(a)〜図3(c)のように各ティース4b,5bのNS各極性が回転移動していき、磁気作用によりロータ部9が回転する。
次に、電動機1の組み立て手順を説明する。
図1に示すように、ハウジング2にはステータ部3の一端面に当接する当接部2aと、配電部10の一端面に当接する当接部2bが形成されている。一体成形したステータ部3をA方向よりハウジング2に圧入し、当接部2aに当接させる。また、一体成形した配電部10をB方向よりハウジング2に挿入し、当接部2bに当接させてネジ等で組み付ける。このとき、ステータ側コイル7の先端部分を配電部10の貫通孔10aに貫通させて、ステータ側コイル7と配電側コイル11とを並列に配す。
図1に示すように、ハウジング2にはステータ部3の一端面に当接する当接部2aと、配電部10の一端面に当接する当接部2bが形成されている。一体成形したステータ部3をA方向よりハウジング2に圧入し、当接部2aに当接させる。また、一体成形した配電部10をB方向よりハウジング2に挿入し、当接部2bに当接させてネジ等で組み付ける。このとき、ステータ側コイル7の先端部分を配電部10の貫通孔10aに貫通させて、ステータ側コイル7と配電側コイル11とを並列に配す。
図4は、配電部10の貫通孔10a周辺を、図2のCC線に沿って切断した断面図であり、図4(a)は押圧部材14の取り付け前の状態、図4(b)は取り付け後の状態を示す。貫通孔10aの壁面には、配電側コイル11のL字に折れ曲がった先端側が回転軸方向Xに配設され、貫通孔10aから突出している。この貫通孔10aにステータ側コイル7が挿入されると、ステータ側コイル7と配電側コイル11の各先端部分が対向し並列になる。続いて、配電部10のコイル突出側に押圧部材14を取り付け、開口部14aにステータ側コイル7と配電側コイル11の各先端部分を貫通させる。
押圧部材14の開口部14aは、ステータ側コイル7と配電側コイル11が挿入される入口側開口14a−1の開口面積に比べて、出口側開口14a−2の開口面積を狭くして、内壁面が入口側開口14a−1から出口側開口14a−2に向かってすぼまるテーパ形状にしている。よって、図4(b)に示すように、開口部14aの内壁面が、押圧力Fで、ステータ側コイル7と配電側コイル11を押圧接触させ、隙間無く密着した状態を維持する。この状態でステータ側コイル7と配電側コイル11の端部同士をTIG溶接し、溶接部13とする。これにより、溶接部13のTIG溶接性が安定し、片側溶接および溶け込み不良が発生せず、良好に通電可能となる。
なお、上記説明では、ステータ側コイル7をモールドしたステータ部3をハウジング2に組み付けているが、この組み立て手順に限定されるものではない。例えば、ステータ部3を一体成形する際、ステータ側コイル7をモールドせず、代わりに、このステータ側コイル7を挿通するための挿通孔(不図示)をモールド部8に形成しておく。そして、ステータ部3をハウジング2に組み付けた後、挿通孔にステータ側コイル7をアウトサートし、配電部10と押圧部材14を取り付ける。
あるいは、ハウジング2に当接部2a,2b等の段差が無い場合(不図示)には、ステータ部3と配電部10を同一方向から組み付け可能である。その場合、先ずステータ部3を配電部10に固定し、ステータ側コイル7の先端部分を配電部10の貫通孔10aに貫通させ、押圧部材14を取り付けてステータ側コイル7と配電側コイル11の各先端部分を開口部14aに貫通させる。そして、開口部14aを貫通した両コイルの端部同士をTIG溶接して、ステータ側コイル7と配電側コイル11を電気的に接続する。その後、ステータ部3、配電部10および押圧部材14を、一方向からハウジング2に挿入して固定する。
なお、図4に示す押圧部材14は、開口部14aのステータ側コイル7に接する内壁面、および開口部14aの配電側コイル11に接する内壁面をそれぞれテーパ形状にして、ステータ側コイル7と配電側コイル11をそれぞれ押圧する構成にしたが、いずれか一方の内壁面だけをテーパ形状にして、一方のコイルを他方のコイル側へ押圧する構成にしてもよい。
以上より、実施の形態1によれば、電動機1は、シャフトに一体化したロータ部9と、ロータ部9の外周を囲う位置に固定され、平板状のステータ側コイル7がシャフトの回転軸方向Xと平行に配設されたステータ部3と、ステータ側コイル7の端部を貫通させる貫通孔10a、および、貫通孔10aに回転軸方向Xと平行に配設されて貫通孔10aの開口から露出し、貫通孔10aを貫通したステータ側コイル7と溶接された平板状の配電側コイル11を有し、この配電側コイル11を介してステータ部3に電力供給する配電部10と、貫通孔10aの開口から露出した配電側コイル11とステータ側コイル7とを押圧接触させる押圧部材14とを備え、押圧部材14は、貫通孔10aの開口から露出した配電側コイル11とステータ側コイル7を貫通させる開口部14aを有し、この開口部14aは、配電側コイル11とステータ側コイル7の入口側開口14a−1に比べて出口側開口14a−2が狭く、配電側コイル11とステータ側コイル7とを押圧接触させる形状になるよう構成した。このため、ステータ側コイル7と配電側コイル11が隙間無く密着した状態で溶接できるようになり、溶接性を向上させた電動機1を提供することができる。
実施の形態2.
図5は、本実施の形態2に係る電動機1の構成を示す断面図であり、この電動機1に用いる押圧部材15を図6に示す。図7は、配電部10の貫通孔10a周辺を、図2に示すCC線に相当する位置で切断した断面図であり、図7(a)は押圧部材15を取り付ける前の状態、図7(b)は取り付けた後の状態を示す。なお、図5〜図7において、図1〜図4と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
図5は、本実施の形態2に係る電動機1の構成を示す断面図であり、この電動機1に用いる押圧部材15を図6に示す。図7は、配電部10の貫通孔10a周辺を、図2に示すCC線に相当する位置で切断した断面図であり、図7(a)は押圧部材15を取り付ける前の状態、図7(b)は取り付けた後の状態を示す。なお、図5〜図7において、図1〜図4と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
本実施の形態2では、上記実施の形態1の押圧部材14に代えて、弾性体をクリップ状にした押圧部材15を使用する。配電部10の貫通孔10aから突出したステータ側コイル7と配電側コイル11の各先端部分を間に挟み込むようにして押圧部材15を取り付けることにより、ステータ側コイル7と配電側コイル11とが押圧力Fで押圧され、隙間無く密着した状態が維持される。この押圧部材15には、ステータ側コイル7と配電側コイル11の先端を露出させる開口部15aが形成されているので、押圧部材15を取り付けたまま、開口部15aから露出した両コイルの端部同士をTIG溶接し、溶接部13とする。これにより、溶接部13のTIG溶接性が安定し、片側溶接および溶け込み不良が発生せず、良好に通電可能となる。
この押圧部材15は、樹脂部材、金属部材などの弾性を有する部材により構成されている。なお、構成部材が絶縁性の場合には、隣り合う押圧部材15同士が接触していても構わないが、導電性の場合には、隣り合う押圧部材15同士が接触しないようにする必要がある。
なお、図示例では、ステータ側コイル7と配電側コイル11の各端部に対して、押圧部材15を回転軸方向Xから取り付ける構成としたが、これに限定されるものではなく、押圧部材15を回転軸方向Xに直交する方向から取り付けてもよい。直交方向から取り付ける場合には、押圧部材15が溶接部13を覆わないので、開口部15aは不要である。
以上より、実施の形態2によれば、電動機1は、押圧部材15として、配電部10の貫通孔10aの開口から露出した配電側コイル11とステータ側コイル7を挟み込む弾性体を使用する構成にした。このため、ステータ側コイル7と配電側コイル11が隙間無く密着した状態で溶接できるようになり、溶接性を向上させた電動機1を提供することができる。
実施の形態3.
図8は、本実施の形態3に係る電動機1の構成を示す断面図である。図9は、配電部10の貫通孔10a周辺を、図2に示すCC線に相当する位置で切断した断面図であり、図9(a)はステータ側コイル7を挿入する前の状態、図9(b)は挿入した状態を示す。また、図10は配電側コイル11の先端側を拡大した斜視図である。なお、図8〜図10において、図1〜図4と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
図8は、本実施の形態3に係る電動機1の構成を示す断面図である。図9は、配電部10の貫通孔10a周辺を、図2に示すCC線に相当する位置で切断した断面図であり、図9(a)はステータ側コイル7を挿入する前の状態、図9(b)は挿入した状態を示す。また、図10は配電側コイル11の先端側を拡大した斜視図である。なお、図8〜図10において、図1〜図4と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
本実施の形態3では、貫通孔10aの開口から露出した配電側コイル11の先端部分に、ステータ側コイル7を抱持する2個の腕部(押圧部材)16が形成されている。図9(a)に示すように、貫通孔10aを貫通したステータ側コイル7は、その先端部分が配電側コイル11と腕部16との隙間に挿入される。そして、腕部16をかしめることによって、図9(b)に示すように、腕部16が押圧力Fで、ステータ側コイル7を配電側コイル11の方向へ押圧し、ステータ側コイル7と配電側コイル11とが隙間無く密着した状態が維持される。この状態でステータ側コイル7と配電側コイル11の端部同士をTIG溶接し、溶接部13とする。これにより、溶接部13のTIG溶接性が安定し、片側溶接および溶け込み不良が発生せず、良好に通電可能となる。
なお、腕部16をかしめる以外の方法により、押圧力Fを発生させてもよい。一例として、弾性変形可能な腕部16を説明する。図11は、本実施の形態3の変形例を示し、配電側コイル11の先端側を拡大した平面図である。図11(a)は、ステータ側コイル7を挿入する前の状態、図11(b)は挿入した状態を示す。
図11(a)に示すように、配電側コイル11と腕部16の先端部との間の距離L1を、ステータ側コイル7の厚みL2より小さくする。この腕部16は、配電側コイル11を構成する一枚の銅板を加工して形成しているので、弾性変形可能である。従って、ステータ側コイル7はその先端部分で腕部16を弾性変形させながら、配電側コイル11と腕部16の隙間に挿入される。そして、図11(b)に示すように、腕部16が弾性変形することによって、押圧力Fで、ステータ側コイル7を配電側コイル11の方向へ押圧し、ステータ側コイル7と配電側コイル11とが隙間無く密着した状態が維持される。
図11(a)に示すように、配電側コイル11と腕部16の先端部との間の距離L1を、ステータ側コイル7の厚みL2より小さくする。この腕部16は、配電側コイル11を構成する一枚の銅板を加工して形成しているので、弾性変形可能である。従って、ステータ側コイル7はその先端部分で腕部16を弾性変形させながら、配電側コイル11と腕部16の隙間に挿入される。そして、図11(b)に示すように、腕部16が弾性変形することによって、押圧力Fで、ステータ側コイル7を配電側コイル11の方向へ押圧し、ステータ側コイル7と配電側コイル11とが隙間無く密着した状態が維持される。
なお、図8〜図11の例では、配電側コイル11の両脇それぞれに腕部16を形成したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方を形成するなど、ステータ側コイル7を抱持できる形状であればよい。
以上より、実施の形態3によれば、電動機1は、押圧部材として、配電側コイル11の10a開口から露出した部分に形成され、ステータ側コイル7を抱持する腕部16を有するように構成した。このため、ステータ側コイル7と配電側コイル11が隙間無く密着した状態で溶接できるようになり、溶接性を向上させた電動機1を提供することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
以上のように、この発明に係る電動機は、平板状のコイル同士の溶接性を向上させるようにしたので、自動車用ターボチャージャおよび電動コンプレッサ等に適用する比較的大きい電力を要する電動機に用いるのに適している。
1 電動機、2 ハウジング、2a,2b 当接部、3 ステータ部、4,5 ステータコア、4a,5a 環状体、4b,5b ティース、6 マグネット、7 ステータ側コイル、8 モールド部、9 ロータ部、9a,9b 突極、10 配電部、10a 貫通孔、11 配電側コイル、12 位置検出センサ、13 溶接部、14,15 押圧部材、14a,15a 開口部、14a−1 入口側開口、14a−2 出口側開口、16 腕部(押圧部材)、100 ステータ側コイル、101 配電側コイル、102 溶接機、103 溶接部。
Claims (1)
- シャフトに一体化したロータ部と、
前記ロータ部の外周を囲う位置に固定され、平板状のステータ側コイルが前記シャフトの軸方向と平行に配設されたステータ部と、
前記ステータ側コイルの端部を貫通させる貫通孔、および、前記貫通孔に前記軸方向と平行に配設されて前記貫通孔開口から露出し、前記貫通孔を貫通した前記ステータ側コイルと溶接された平板状の配電側コイルを有し、当該配電側コイルを介して前記ステータ部に電力供給する配電部と、
前記貫通孔開口から露出した前記配電側コイルと前記ステータ側コイルとを押圧接触させる押圧部材とを備え、
前記押圧部材は、前記配電部の前記貫通孔開口から露出した前記配電側コイルと前記ステータ側コイルを貫通させる開口部を複数有する板状の部材であり、前記開口部は、前記配電側コイルと前記ステータ側コイルの入口側の開口面積に比べて出口側の開口面積が狭く、前記配電側コイルと前記ステータ側コイルとを押圧接触させる形状であることを特徴とする電動機。
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