JP5791376B2 - 補助装置を備えているサーフボード - Google Patents

Description

本発明は、補助装置を備えているサーフボードに関するものであり、特に、サーファーがサーフボードから落下しない程度にサーフボードを水平に安定させるための補助装置付きサーフボードに関するものである。

一般にサーフィンにおいては、沖合から岸に向かう波の岸側に形成される斜面にサーフボードを介して乗り、移動する波に押されるようにして岸近くまで水面上を滑るように移動する。サーファーは移動する不安定な水面上で斜面によって傾くサーフボードを操りながら波に乗らなければならず、特有のバランス感覚や筋力を要求される。

そのため、サーフィン初心者の場合には、上述したバランス感覚や筋力に欠けるためにサーフボードから落ちやすく、一般には、岸からのパドリングによる移動を沖合までではなく浅瀬内に抑え、サーフボードを小さな波の流れに乗せてサーフボード上で立ち上がり、そのまま岸近くまで移動するという練習を繰り返す。浅瀬に生じる小さな波は沖合の大きな波が崩れて発生するもので、波の厚さはあまり厚くないもののある程度の勢いがあり、サーフボードを乗せれば、その流れによってサーファーをほぼ水平に岸側に運ぶ。このときサーフボードはあまり厚くない波の表面に乗っているに過ぎないために、サーファーのバランス感覚等が悪いと波の流れにきれいに乗れず、サーフボードからのサーファーの落下を招いたり、サーフボードのスピードが遅くなってしまったりする。

このような練習の繰り返しによってバランス感覚や筋力が養われるまでには一般に長期間を必要とし、この間サーフィン本来の波のうねりに乗るという楽しみは味わうことができない。

そこで、サーフィン初心者でも十分に波乗りを楽しめるように、様々な補助装置が開発されている。例えば、推進力を効率的に与えることができるサーフボードの推進補助装置や（特許文献１、特許文献２）、補助動力としてサーフボードに取り付け用の尾ひれ型をしたダガーボード（特許文献３）等が知られている。

しかしながら、これらの補助装置つきのサーフボードも、結局慣れるまでの練習が必要であり、上記問題を解決するには不十分であった。

特表２００３−５２２６８０号公報 特開２００８−２３０３１５号公報 実開平６−８７１９１号公報

本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、サーフィン初心者でもすぐにサーフボードの水平安定性を保って波乗りが楽しめる補助装置つきサーフボードを提供することにある。

本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、サーフボードにジャイロ効果を奏する補助装置を備えることにより、波がきてもサーフボードの水平安定性を維持できることを見出して、本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明は、補助装置を備えているサーフボードであって、該補助装置が少なくともジャイロモーメントを発生させるジャイロモーメント発生手段を備えることを特徴とするサーフボードを提供するものである。

本発明によれば、前記課題を解決し、サーフィン初心者でもサーフボードの水平安定性を維持することができるため、バランスを崩してサーフボードから落下することなく、波乗りを楽しむことが可能である。

本発明のサーフボードの一例を示す平面図である。 本発明における補助装置の一例を示す斜視図である。 本発明における補助装置の一例を示す側面図である。 本発明のサーフボードの一例を示す側面図である。

以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明は、以下の実施の具体的形態のみに限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。

図１〜図４に、本発明のサーフボード１及び補助装置２の好ましい基本構成の一例を示した。
図１は、本発明のサーフボード１の好ましい基本構成を示す平面図であり、本発明のサーフボード１における、補助装置２とジャイロモーメント発生手段の好ましい取り付け場所の一例を示したものである。図１では、ジャイロモーメント発生手段を備える補助装置２は、サーフボードの略中心の内部に取り付けられている。

図２は、本発明における補助装置２の一例を示す斜視図である。補助装置２は、サーフボード１の内部に取り付けられている。
また、図３は、本発明における補助装置２の一例を示す側面図であり、図４は、本発明のサーフボード１の一例を示す側面図である。

本発明における「サーフボード」とは、波に乗って移動する小型の水上乗物のことを言い、実質的に動力を備えていない水上乗物が好ましい。具体的には、例えば、狭義のサーフボード、ウィンドサーフィンボード、ボディーボード、カヌー等の小型水上乗物が挙げられる。

本発明のサーフボード１は、図１に示すように補助装置２を備えているものであって、該補助装置２は、少なくともジャイロモーメントを発生するジャイロモーメント発生手段を備えることを特徴とする。サーフボード１の形態、材質等は、特に制限なく公知のものを用いることができる。

ここで、ジャイロモーメントを発生させるジャイロモーメント発生手段は、図２及び図３に示すように、ジャイロモーメントを発生させるフライホイール４及びジャイロ軸４ａを有し、フライホイール４がジャイロ軸４ａを中心に回転することでジャイロ効果が得られるようになっている。フライホイール４は、図２及び図３に示すように、ジャイロ軸４ａが補助装置２に固定されていることにより維持されている。図３では、フライホイール４は、ジャイロ軸４ａが補助装置２の底面に固定されていることにより維持されている。

補助装置２は、図１〜４に示すように、サーフボード１に固定されている。図１及び図２では、補助装置２は、サーフボード１の本体の内部に取り付けられており、図４では、補助装置２は、サーフボード１のフィン３の内部に取り付けられている。

フライホイール４の材質は特に限定はなく、金属、樹脂等の何れでもよいが、強度が高い、塑性変形しない、密度が大きい、回転により効率よくジャイロモーメントを発生する等の点で金属が好ましい。

得られたジャイロ効果により、波の影響でサーフボード１のバランスを崩すことなくサーフボード１の水平安定性を維持することができる。本発明における「ジャイロ効果」とは、フライホイール４が回転運動をすることによって、水平安定性がでて、サーフボード１の姿勢が乱されにくくなる現象のことをいう。

本発明における補助装置２は、サーファーがサーフボードから落下しない程度にサーフボードを水平に安定させるための装置である。本発明のサーフボードは、ジャイロモーメント発生手段が、サーファーがサーフボードから落下しない程度にサーフボードを水平に安定させるジャイロモーメントを発生させるようになっている。

補助装置２は、図１に示すようにサーフボード１の内部に組み込まれていてもよいし、図４に示すようにフィン３の内部に組み込まれていてもよい。本発明における補助装置２は、上記ジャイロモーメント発生手段の他に、更に、駆動モーター及び電源を備えるものである。駆動モーターと電源は離れた位置にあってもよく、特に限定はないが、省スペース化等のために、電源付き駆動モーター５のように、駆動モーターと電源は一体となっているものが好ましい。また、電源には、バッテリー充電用にコンセントを有する、又は交換可能なバッテリーを有することが好ましい。

また、電源及び／又は駆動モーターは、サーフボード１の安定性維持の点から、図２に示すようにサーフボード１の略中心部に取り付けられていることが好ましい。また、フライホイール４の両側に２つの電源付き駆動モーター５を備えていてもよい。

図２と図３では、電源付き駆動モーター５の動力は、チェーン６を通じてフライホイール４へ伝達することができるようになっている。電源付き駆動モーター５に連動してフライホイール４を回転させるために、ジャイロ軸４ａ上にスプロケット等の動力を伝える歯車等を備えていることが好ましい。更に、電源付き駆動モーター５の動力を、適宜、伝達又は遮断するためにクラッチ（図示せず）を有していてもよい。

駆動モーターの回転は、上記したチェーン６を通じてフライホイール４に伝達されるようになっていても、歯車等によってフライホイール４に伝達されるようになっていてもよい。
図２と図３に示したように、駆動モーターは、フライホイール４の横に位置していてもよく、フライホイール４の下又は上に位置していてもよい。

本発明のサーフボード１は、ジャイロモーメント発生手段が、少なくともジャイロ軸４ａ及びフライホイール４を備え、該フライホイール４が、サーフボード１の略中心の内部に、サーフボード１の面に水平に取り付けられていることが（図２、図３に示す）、ジャイロ効果を効率良く発揮できる点、サーフボードの水平安定性を上げる点等の点で好ましい。フライホイール４をサーフボード１の前方又は後方に取り付けた場合には、補助装置２の重みでサーフボード１の安定性が確保できない場合がある。

また、上記ジャイロモーメント発生手段が、少なくともジャイロ軸４ａ及びフライホイール４を備え、該フライホイール４が、サーフボード１のフィン３の内部に、該フィン３の面に水平にかつサーフボード１の面に垂直に取り付けられていることが（図４に示す）、フィン３だけを着脱することで補助装置２なしのサーフボードにすることができる、サーフボード１が水面に浮いている状態では外見から補助装置２が見えない、サーフボード１に複数のフィン３があり複数の補助装置２を備えている場合には本発明の効果をより発揮できる点、サーフボード本体を改造しなくても既存のサーフボードに後から取り付けることが可能である等の点で好ましい。

本発明における補助装置２は、サーフボード１の上面から取り出すことができるようになっていることも好ましい。また、本発明における補助装置２は、取り出して他のサーフボードに取り付けることができるようになっていることも好ましい。
また、図４に示すようにフィン３の内部に組み込まれている場合には、フィン３をサーフボード１から取り外したり、フィン３の内部に組み込まれている補助装置２のみを取り出したりすることによって、補助装置２のないサーフボードにすることもできる。

これにより、サーフィン初心者でも、例えば、上級者用のサーフボード等の「初心者用のサーフボード以外のサーフボード」でも波乗りを楽しむことができる。また、補助装置２が着脱可能な態様にすれば、補助装置２が不要になった場合は、補助装置２なしのサーフボードで引き続き波乗りを楽しむこともできる。

電源のＯＮ／ＯＦＦは、サーフボード表面から簡単にＯＮとＯＦＦを切り替えることができるようにすれば、駆動モーターが作動していないときは、従来と同じ感覚で波乗りを楽しむこともできる。

本発明のサーフボードが優れた水平安定性を示す作用・原理は明らかではないが、以下のことが考えられる。ただし本発明は、以下の作用・原理の及び範囲に限定されるわけではない。本発明のサーフボードが有する補助装置２は、ジャイロモーメントを発生させることができるため、そのジャイロ効果によりサーフボードの水平安定性を確保することができるものと考えられる。つまり、例えば、サーフィン初心者が波に乗れずにサーフボードのバランスを崩してしまう場合でも、本発明のサーフボードでは、例えば大きな波がきたときでも、サーフボードを水平に保つことができるため、初心者でもサーフボードから転落することなく波乗りを楽しむことができる。

以下、実施例、比較例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

実施例１
図１〜図３に例示した本発明の補助装置つきサーフボードＡを作製した。

比較例１
補助装置を有さない公知のサーフボードａを、実施例１の本発明の補助装置つきサーフボードＡと同じ形状で作製した。

実施例２
比較例１における公知のサーフボードａに、本発明の補助装置つきフィンを装着し、図４に例示したサーフボードＢを作製した。

評価例１
サーフィン初心者が、サーフボードＡ、Ｂ及びサーフボードａを、波のある海岸で乗り比べたところ、サーフボードＡ、Ｂとも転倒する回数が少なく、サーフィン初心者でも十分に波乗りを楽しむことができた。
一方、サーフィン初心者は、サーフボードａでは、頻繁に転倒しサーフィンの習得までかなりの時間が必要であった。
サーフィン初心者が、サーフボードａの後にサーフボードＡ及びＢに、波のある海岸で乗ったところ、転倒する回数が減り、安定度が顕著に増した効果が見うけられた。

本発明の補助付きサーフボードを使用すれば、サーフィン初心者でも容易に波乗りを楽しむことができるため、公知の初心者用サーフボードに代えて広く利用されるものである。また、サーフィン初心者でなくても、従来のサーフボードと異なる感覚が味わえるため、サーフボードの産業分野に広く利用できるものである。

１ サーフボード
２ 補助装置
３ フィン
４ フライホイール
４ａ ジャイロ軸
５ 電源付き駆動モーター
６ チェーン

Claims (4)

1. 補助装置を備えているサーフボードであって、該補助装置が少なくともジャイロモーメントを発生させるジャイロモーメント発生手段を備えており、該補助装置が、サーフボードの略中心の内部に取り付けられていることを特徴とするサーフボード。
2. 前記補助装置が、ジャイロモーメント発生手段、駆動モーター及び電源を備えるものである請求項１に記載のサーフボード。
3. 前記ジャイロモーメント発生手段が、少なくともジャイロ軸及びフライホイールを備え、該フライホイールが、サーフボードの略中心の内部に、サーフボードの面に水平に取り付けられている請求項１又は請求項２に記載のサーフボード。
4. 前記ジャイロモーメント発生手段が、サーファーがサーフボードから落下しない程度にサーフボードを水平に安定させるジャイロモーメントを発生させるようになっている請求項１ないし請求項３の何れかの請求項に記載のサーフボード。

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