JP5786142B2 - 蒸着方法 - Google Patents

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本発明はコンデンサや電池等の電極箔を製造するための蒸着方法に関するものである。
コンデンサや電池に用いられる電極箔は、例えば金属箔上に金属の微粒子を蒸着することによって形成できる。
ここで図12に示すように、従来の蒸着装置1は、真空ポンプ(図示せず)が連結された真空槽2を備え、真空槽2内には、基材3が巻かれ、この基材3を矢印A方向に送り出す巻き出しロール4と、蒸着された基材3を巻き取る巻き取りロール5と、蒸着原材料を収容する容器6と、この容器6に蒸着材料を供給する供給管7とが配置されている。
容器6は例えば正負の電極に接続され、抵抗加熱によって容器6の内部が蒸着材料の沸点以上に加熱される。そして蒸着原材料が蒸発し、微粒子となって基材3の表面へと付着し、積層する。
ここで、基材3の温度によっては基材3の近傍の微粒子の活性が変わり、微粒子の粒径が変化し、コンデンサあるいは電池の特性に影響を与える。例えば基材3の温度が上昇すると、積層する微粒子が活性化され、複数の微粒子が合体して肥大化する。したがって、微粒子の機械的強度は増大するが、一方で電極箔の表面積は小さくなり、コンデンサの静電容量や電池の電池容量が低減する。
そこで基材3の温度を制御し、微粒子の粒径をコントロールするため、基材3の裏面側に、所定温度に制御されたスチールベルトやその他ドラムなどの温度制御ユニット8を配置することが挙げられる。このような蒸着装置1では、温度制御ユニット8に基材3を沿わせて移送させながら蒸着する。なお、図12は温度制御ユニット8としてスチールベルトを用いたものである。
このように温度制御ユニット8に基材3を接触させると、温度制御ユニット8との熱交換によって、基材3の温度を調整することができる。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開昭58−117813号公報
従来の蒸着装置1を用いると、基材3の温度制御が不十分で、基材3に付着する微粒子の粒径をコントロールしにくいという課題がある。
その理由は、基材3と温度制御ユニット8との密着性が低いからである。すなわち従来は、基材3を定形の温度制御ユニット8に沿わせていたため、基材3にうねりがあると、基材3と温度制御ユニット8との間に隙間ができ、温度が効率よく伝播しないことがあった。そして基材3の温度制御が不十分となり、結果として基材3に蒸着する微粒子の粒径をコントロールできなくなるのであった。
このように微粒子の粒径が変わると、電極箔の表面積も変わり、コンデンサや電池の容量特性に影響を与える。さらに微粒子の粒径が不均一になると、コンデンサや電池の容量特性も不均一になり、量産時における製品バラツキの原因ともなる。
そこで本発明は、基材の温度制御を高精度に行い、蒸着する微粒子の粒径を、所望の大きさにコントロールすることを目的とする。
そしてこの目的を達成するため請求項1の本発明は、基材の表面側に配置され、微粒子の原材料が供給される容器と、この容器と基材を介して対向する側に配置された温度制御ユニットとを備え、この温度制御ユニットは、温度制御された液体または固体の熱媒体が供給される伝熱ブロックと、この伝熱ブロックの基材との対向面側に保持された伝熱ローラーとを備え、この伝熱ローラーは、降下移動して基材の裏面に当接し、基材の移送に連動してこの移送方向と交差する軸を中心に回転するとともに、基材からの力で上昇移動が可能であって、伝熱ローラーおよび伝熱ブロックは、基材と熱媒体との間で熱を伝播し、基材の温度を制御するものとした。
これにより本発明は、基材の温度制御を高精度に行い、蒸着する微粒子の粒径を所望の大きさにコントロールすることができる。
その理由は、基材と温度制御ユニットとの接触面積が増えるからである。すなわち本発明は、それぞれの伝熱ローラーが基材に接触するように上下揺動しながら回転するため、基材にうねりがあっても基材と伝熱ローラーとが接触し、基材と熱媒体あるいは熱源との間で効率よく熱交換することができる。
したがって本発明は、基材の温度を高精度に制御でき、結果として蒸着する微粒子の粒径を所望の大きさにコントロールすることができる。
本発明の実施例1における固体電解コンデンサの斜視図 本発明の実施例1におけるコンデンサ素子の断面図 本発明の実施例1における蒸着装置の模式図 本発明の実施例1における温度制御ユニットの平面図 本発明の実施例1における温度制御ユニットの断面図(図4のX−X断面) 本発明の実施例1における温度制御ユニットの要部拡大断面図(図5のZ部) 本発明の実施例1における基材の温度を示す図 本発明の実施例1における電極箔を3万倍にしたSEM写真 本発明の実施例2における温度制御ユニットの平面図 本発明の実施例2における温度制御ユニットの断面図(図9のX−X断面) 本発明の実施例2の別の例の温度制御ユニットの上面図 従来の蒸着装置の模式図 従来の蒸着装置で形成した電極箔を9千倍にしたSEM写真
(実施例1)
以下、本実施例では、電極箔を製造する為の蒸着装置について説明する。この電極箔は、たとえば図1に示す固体電解コンデンサ9の陽極として用いられる。
この固体電解コンデンサ9は、例えば図1に示すように、複数枚積層されたコンデンサ素子10と、これらのコンデンサ素子10の陽極電極部11、陰極電極部12をそれぞれ取り出した陽極端子13、陰極端子14と、これらの陽極端子13、陰極端子14の一部を除き被覆した外装体15とを備えている。
そして図2に示すように、コンデンサ素子10は、本実施例の蒸着装置で形成された電極箔16と、この電極箔16上に形成された誘電膜17と、誘電膜17上において、電極箔16を陽極電極部11と陰極形成部(図番なし)とに分離させる絶縁部材18と、陰極形成部の誘電膜17上に形成された導電性ポリマーからなる固体電解質層19と、この固体電解質層19上に形成されたカーボン層および銀ペースト層とからなる陰極層20とを有する。固体電解質層19と陰極層20とは、陰極電極部12を構成する。
そして図3に示すように、本実施例の蒸着装置21は、真空排気ポンプ(図示せず)が連結された真空槽22と、この真空槽22内に不活性ガスおよび活性ガスのそれぞれを導入するガス管(図示せず)と、基材23となる帯状のアルミニウム箔が巻かれ、矢印B方向に送り出す巻き出しロール24と、蒸着された基材23を巻き取る巻き取りロール25と、蒸着原材料となるアルミニウムを収容する容器26と、この容器26にアルミニウムを線状で供給する供給管27とを備えている。
基材23は本実施例では、幅100〜200mm、厚み30〜50μm程度のアルミニウム箔を用いたが、その他銅箔や種々金属の合金箔、樹脂フィルムなどを用いることができる。また蒸着材料はアルミニウム線を用いたが、その他リチウムやアルミニウム合金など、種々の金属材料を用いることができる。
容器26は窒化ホウ素や窒化アルミ、タングステンなどの抵抗加熱材料からなり、正負の電極に接続され、抵抗加熱によって蒸着材料であるアルミニウムの沸点以上に加熱される。
このように容器26が加熱されると、アルミニウム線が溶融し、沸騰してアルミニウムの微粒子となって蒸発する。そしてこの微粒子が、基材23の表面へと付着し、積層して粗な粗膜層(図2の図番28)を形成し、基材23と組み合わさって電極箔16となる。
ここで本実施例では、図3の巻き出しロール24と巻き取りロール25との間に、所定間隔をあけて二つの偏向ロール29、30を配置した。そしてこの偏向ロール29、30間で基材23ができるだけ水平になるように保った。
本実施例では、この偏向ロール29、30間において、基材23の表面側に、蒸着原材料を収容する容器26を配置している。これにより本実施例では、基材23の蒸着領域C(基材23の表面に微粒子が蒸着する領域)において、基材23が水平になり、微粒子が付着する面積を大きくすることができる。したがって、蒸着速度が遅くても蒸着時間を延ばすことができ、微粒子を厚く積層できる。
なお本実施例では、基材23と容器26との間にシャッター31を配置し、このシャッターは、蒸着領域Cに対応する領域のみ開口させている。これにより、蒸着領域Cから外れた領域の基材23や巻き出しロール24、巻き取りロール25に微粒子が付着するのを防ぐことができる。
そして本実施例では、この蒸着領域Cにおいて、水平になった基材23の裏面側に温度制御ユニット32を配置している。すなわちこの温度制御ユニット32と容器26とは、基材23を介して対向する位置に夫々配置されている。
ここで図4は、基材23との対向面からみた温度制御ユニット32の平面図であり、図5は図4のX−X断面である。また図6は図5のZ部を拡大した断面図である。
本実施例の温度制御ユニット32は、熱媒体として冷却水を用い、図5に示すように、この冷却水が供給される配管33を備えた直方体形状の伝熱ブロック34と、この伝熱ブロック34の基材23と対向する面側に接合された直方体形状の保持部35と、この保持部35で保持された複数の伝熱ローラー36とを有している。
本実施例の伝熱ローラー36は、図6に示すように、自重により降下移動して基材23の裏面に当接し、基材23の移送に連動して矢印D方向に回転するとともに、基材23からの力で上昇移動が可能である。
そして本実施例の蒸着装置21は、基材23から冷却水(熱媒体)までの間を、図5、図6の伝熱ローラー36、保持部35、および伝熱ブロック34を介して順次熱が伝播することにより、基材23の温度が制御される。
ここで図5に示す伝熱ブロック34と保持部35は、それぞれ基材23と対向する側の面が15cm×20cm程度の長方形であり、高さは2〜3cm程度である。
そして図4、図5に示すように、保持部35の、基材23と対向する面には、基材23の移送方向(矢印B)とほぼ直交する方向に伸びる溝37が、基材23の移送方向(矢印B)に複数個並んでいる。なお、本実施例では、溝37は保持部35を貫通させている。
そしてこれらの溝37の内部には、それぞれ伝熱ローラー36が保持されている。すなわち伝熱ローラー36は、基材23の移送方向(矢印B)に複数個並んでいる。伝熱ローラー36は一本でもよいが、複数本用いる方が、基材23と伝熱ローラー36との接触面積が増え、より効率よく温度制御できる。また一本あたりの伝熱ローラー36の重さを低減でき、基材23の応力負荷を低減できる。
これらの伝熱ローラー36は、それぞれ直径φが5mm〜15mm程度の円柱形である。溝37の内部は、伝熱ローラー36を収容するため、これらの直径よりも幅が広くなっているが、基材23と対向する側の溝37の開口部は、伝熱ローラー36の直径よりも幅が狭くなっており、伝熱ローラー36が脱落しないように設計されている。
そしてそれぞれの伝熱ローラー36は、基材23の移送方向(矢印B)とほぼ直交する軸Eを中心に回転可能である。回転中心となる軸Eは基材23の移送方向(矢印B)と交差する方向であればよいが、移送方向とほぼ直交する方向に合わせることにより、基材23の移送と連動して、効率よく伝熱ローラー36を回転させることができる。
そして本実施例では、伝熱ローラー36の回転中心となる軸E方向において、伝熱ローラー36およびこの伝熱ローラー36が収容されている溝37の長さは、基材23の幅よりも短くなっている。これにより基材23の外方から溝37の内壁や伝熱ローラー36がはみ出さないため、蒸着プロセスにおいて、蒸着微粒子が伝熱ローラー36や溝37内部に付着し難くなり、蒸着装置21の清掃が簡易になる。
また図4に示すように、本実施例における伝熱ローラー36は、この回転中心となる軸E方向において、長さ1.5cm程度ずつ、複数個に分割されている。以下、分割された個々の伝熱ローラー36を、小ローラー38と記載する。なお、伝熱ローラー36は分割しなくてもよいが、このように細かく分割させておくことで、基材23のうねりやしわに合わせて個々の小ローラー38が上下に揺動し、基材23との接触面積をより増やすことができる。
また本実施例における伝熱ローラー36は、図6に示すように、自重により下方に降下移動した時に、一部は溝37の開口部から突出するが、途中で溝37の開口部に引っ掛かり、溝37の内壁と接触した状態で、溝37の内部に保持される。伝熱ローラー36は、溝37の内壁と接触することによって、保持部35と熱交換を行い、保持部35は伝熱ブロック34と熱交換を行う。
そして本実施例では、伝熱ローラー36は基材23との摩擦により、基材23の移送に連動して回転する。なお、本実施例では、基材23の移送方向は一方向(図3の矢印B)であるが、例えば図3の巻き取りロール25側から巻き出しロール24側へと逆方向に移送し、蒸着領域Cにおいて基材23を往復させることもできる。この場合も伝熱ローラー36は、図4の軸Eを中心に、実際の基材23の移送方向に回転する。
また図6に示すように、伝熱ローラー36は、自然状態では、自重によって溝37の開口部から一部が露出した状態で維持されるが、下方から伝熱ローラー36を押し上げると、溝37の内部に押し込むことができる。したがって、基材23にうねりがあると、このうねりに合わせて基材23からの力を受け、伝熱ローラー36は押し上げられて上方移動し、うねりがなくなると自重によって下方に戻ってくる。
なお、本実施例では、伝熱ローラー36を自重で上下揺動させたが、伝熱ローラー36と溝37の底面とをバネやゴムなどで連結させてもよい。この場合は、例えば基材23からの力によってバネやゴムが縮み、伝熱ローラー36が上昇移動する。そして応力負荷が無くなるとバネやゴムの反力によって伝熱ローラー36が基の位置に降下移動する。ただし本実施例のように伝熱ローラー36をバネやゴムなどの弾性部材を介さず自重で上下揺動させる方が、伝熱ローラー36の揺動が緩やかとなり、基材23への負荷を低減できる。また溝37内部に複雑な機構を配置しなくてよいため、溝37内部の清掃もしやすくなる。
また、本実施例では、各溝37内で分割された複数の小ローラー38は、それぞれ自由に独立した状態で上下揺動させるため、連結させていないが、各小ローラー38を連結させることも可能である。この場合は、例えば各小ローラー38の回転軸となる軸E部分に孔をあけ、これらの孔に、これらの孔よりも細い軸体をそれぞれ通して連結させればよい。このように軸体を孔より細くすることで、孔と軸体との間に隙間が空き、それぞれの伝熱ローラー36は、ある程度独立した状態で上下に揺動できる。
さらに伝熱ブロック34、保持部35および伝熱ローラー36の材料は、それぞれ熱伝導率の高い材料が好ましい。したがって、金属、高熱伝導性樹脂等種々挙げられるが、本実施例ではいずれもアルミニウムを用いた。アルミニウムは質量も軽いため、自重で基材23に接触しても基材23の応力負荷を低減できる。
なお、本実施例では、基材23の幅あたりの張力を500gとし、伝熱ローラー36の総質量が100g〜250gとした。ここで伝熱ローラー36の総質量とは、伝熱ローラー36が単数の場合はその伝熱ローラー36の質量、複数の場合は合計の質量を指す。そして上述の本実施例の場合、基材23にしわや傷が生じることなく蒸着することができた。一方、比較用にSUSで伝熱ローラー36を形成し、この伝熱ローラー36の総質量を560gとした場合、蒸着プロセスで基材23にしわや傷が発生した。
このことから、伝熱ローラー36からの応力負荷を低減することで、蒸着プロセスにおける基材23のしわや傷を抑制できると考えられる。また実験により、伝熱ローラー36の総質量を、基材23の幅あたりの張力の二分の一以下とすることがより好ましいことが分かった。
また本実施例では、図5に示す配管33は、伝熱ブロック34の一端側に導入口39があり、他端側に導出口40がある。導入口39から冷却水を導入し、導出口40側から冷却水を回収できる。なお、本実施例では、熱媒体として水を用いたが、その他エチレングリコールなど、沸点の低い溶媒を用いることで、冷却効果を高めることが出来る。また熱媒体は、液体に限らず、固体のペルチェ素子を用い、温度制御ユニット32の裏面に貼り付けてもよい。これらの熱媒体は所定温度に制御されたものを用いる。
以下、本実施例の蒸着装置21を用いた電極箔16の製造方法について説明する。
(1)図3に示すように、基材23を真空槽22内に配置し、真空排気ポンプ(図示せず)から排気して0.01〜0.001Paの真空に保つ。
(2)基材23の周辺に、ガス管(図示せず)から不活性ガスとしてアルゴンガス、活性ガスとして酸素ガスを導入する。アルゴンガスの流量は、酸素ガスに対して2〜4倍にした。これにより基材23周辺の圧力を20〜30Paの状態にする。
(3)基材23を、巻き出しロール24から巻き取りロール25へと矢印B方向へゆっくりと移送させる。移送の速度は0.05m/min程度である。基材23は蒸着領域Cでできるだけ水平になるように、偏向ロール29、30間で向きを調整する。
(4)供給管27から容器26へアルミニウム線を供給し、沸騰させて、真空蒸着により基材23の表面に微粒子を蒸着させる。
ここで本実施例では、上述のように微粒子を基材23の表面に蒸着させるプロセスにおいて、図5に示すように、温度制御ユニット32の配管33の導入口39から予め20℃に制御した冷却水を導入した。そして基材23の熱を伝熱ローラー36、保持部35、伝熱ブロック34へと順次伝播させ、さらに伝熱ブロック34に伝わった熱を冷却水(熱媒体)に伝播させることにより、基材23と冷却水とで熱交換を行い、基材23の温度を下げた。
図7は上記蒸着プロセスにおいて、蒸着領域Cにおける基材23の温度を、基材23の位置毎にプロットした結果である。グラフの横軸は、基材23の測定箇所と偏向ロール29からの距離(cm)を示している。なお、比較用として、図12に示す従来例のスチールベルト8を用いた蒸着装置1における基材3の温度の測定結果を示した。
スチールベルト8を用いた従来例では、微粒子の潜熱や容器6からの輻射熱を受け、基材3の温度が約220℃まで上昇したのに対し、本実施例の温度制御ユニット32を用いた場合(実施例)は、基材23の温度ピークは180℃となり、40℃も温度上昇を抑えることができた。
以上のように本実施例の蒸着装置21で形成した粗膜層(図2の図番28)は、図8のSEM写真に示すように、粒径が約0.03μmの微粒子が、基材23の表面からランダムに積層し、複数に枝分かれした、粗な構造体である。本実施例の粗膜層28の内部をSEMで観察すると、空孔径の最頻値が粒径とほぼ同じ0.03μm程度であった。
そして厚みは粗膜層28の部分のみで20μmから80μmであり、例えばフィルムコンデンサの電極箔として用いられるような一般的な蒸着膜と比較し、厚い膜である。
なお基材23の両面に粗膜層28を形成する場合は、上記プロセスで片面に粗膜層28を形成した後、基材23を裏返し、粗膜層28の形成されていない他方の面を表面として同様のプロセスで粗膜層28を形成すればよい。なお、本願明細書中では、微粒子が蒸着される面(すなわち、容器26と対向する面)を基材23の表面と表現する。
本実施例の効果を以下に説明する。
本実施例では、基材23の温度上昇を抑制し、蒸着する微粒子の粒径を所望の粒径にコントロールし、電極箔16を構成する粗膜層28の均一性を高めることができた。
その理由は、温度制御ユニット32の伝熱ローラー36と基材23との接触面積を大きくできるからである。
すなわち図12に示す従来の温度制御ユニット8の構成では、基材3自体を固定されたスチールベルト8に沿わせる構成であったため、基材3の一部にうねりがあった場合、このうねりの部分では、基材3とスチールベルト8との間に隙間が空いてしまうことがあった。このように隙間が空くと、基材3と熱媒体との間で熱交換が効率よく行われず、図7の従来例に示すように、基材3の温度が上昇して、うねりのあった部分では蒸着する微粒子の粒径が肥大化してしまう。
なお図13は、従来の蒸着装置1で形成した電極箔のSEM写真である。蒸着プロセスの途中で基材3と温度制御ユニット8との密着性が低下しているため、基材3の温度が上昇して一部の微粒子の粒径が肥大化し、図13に示すように電極箔の微粒子の粒径が不均一となった。
特に蒸着プロセスにおいて、基材3を水平にし、またゆっくりと微粒子を蒸着させる場合は、それぞれの微粒子が原型をとどめながら積層し、空孔の多い粗膜層を形成することができるが、その一方で、基材3と容器6とが対向する時間が長いため、微粒子の潜熱や容器6からの輻射熱を受けやすく、微粒子の粒径は不均一になりやすい。そして微粒子が不均一な粗膜層は、その表面積も大きく変動するため、コンデンサの電極箔として用いると静電容量特性を一定に維持できなくなる。
これに対し本実施例では、基材23のうねりに合わせて図5、図6の伝熱ローラー36が上下に揺動しながら回転する。したがってそれぞれの伝熱ローラー36と基材23との接触面積が増え、伝熱ローラー36、保持部35、伝熱ブロック34を介して熱が伝播し、基材23と熱媒体との熱交換を効率よくできる。
よって基材23にうねりがあってもその温度上昇を抑制でき、結果として基材23に付着する微粒子を所望の粒径に制御することができる。
なお、本実施例における蒸着プロセスでは、基材23をゆっくりと移送させたが、移送速度を上げた場合でも基材23と熱媒体との熱交換効率を高めることができる。
ここで、本実施例では、蒸着する微粒子の肥大化を抑制するため基材23を冷却したが、逆に微粒子の機械的強度を高めるため、所望の大きさまで肥大化させたい場合もある。
この場合は、熱媒体として所定温度に加熱されたオイルや溶媒を図5の配管33に導入し、伝熱ブロックを加熱してもよい。また熱媒体を供給する代わりに、所定温度に発熱可能なニクロム線ヒーター、セラミックヒータ、ランプヒーターなどの熱源を伝熱ブロック34に設け、伝熱ブロック34を加熱してもよい。この場合は、冷却水を供給した場合と熱の伝わる向きが逆になり、熱媒体または熱源からの熱が伝熱ブロック34、保持部35、伝熱ローラー36へと順次伝播し、基材23を加熱することができる。
以上より本実施例の温度制御ユニット32は、基材23の温度制御を高精度にすることができ、これにより基材23に蒸着する微粒子の粒径を所望の大きさにコントロールすることができる。また基材23の温度ムラを低減できるため、蒸着する微粒子の粒径の均一性を高めることができる。
また本実施例では、基材23にうねりがあっても伝熱ローラー36が上下に揺動しながらうねりに追従するため、基材23にしわができにくくなる。
なお、伝熱ローラー36の形状は、例えば球状でもよいが、本実施例のように円柱状にすることによって、基材23との接触面積を比較的大きくすることができ、熱交換を効率よく行えるとともに、基材23への応力負荷を分散することができ、粗膜層28の欠損を抑制できる。
なお伝熱ローラー36の端部は、丸みを帯びるようにRをつけておくことが好ましい。伝熱ローラー36の端部が角ばっていると、回転するときに粗膜層(図2の図番28)に傷をつける場合があるからである。
さらに伝熱ローラー36の表面は、鏡面仕上げしておくことが好ましい。伝熱ローラー36に凹凸があると、粗膜層28に傷をつける場合があるからである。
なお、本実施例では、蒸着装置21として、蒸着材料を容器26の抵抗加熱によって蒸発させる抵抗加熱式蒸着装置を例に挙げたが、例えば容器26内の蒸着材料を電子ビームの照射によって蒸発させる電子ビーム式蒸着装置にも応用可能である。
さらに本実施例では、電極箔16を積層した固体電解コンデンサ9に用いたが、電極箔16を巻回した固体電解コンデンサに用いることもでき、さらに電解質として電解液を用いた電解コンデンサにも利用できる。また例えば基材23を銅とし、蒸着材料をリチウムとすることによって、電池の電極箔16として用いることもできる。この場合は、微粒子の粒径を所望の大きさに制御することによって、電極箔16の電池容量を効率よくコントロールすることができる。
なお、本実施例では、伝熱ブロック34と保持部35とはそれぞれ独立した部品であり、分解可能であるが、例えば伝熱ブロック34自体に溝37を形成し、伝熱ブロック34を保持部35と一体化させてもよい。この場合は、伝熱ブロック34に形成した溝によって、伝熱ローラー36を保持することになる。
そして伝熱ブロックに熱媒体を供給すると、基材23と熱媒体との間を、伝熱ローラー36および伝熱ブロック34を介して熱が伝播することにより、基材23の温度が制御される。また伝熱ブロック34に熱源を配置すれば、熱源からの熱が、伝熱ブロック34、伝熱ローラー36へと順次伝播することにより、基材23の温度が制御される。
以上のように、伝熱ブロック34と保持部35とは、一体型、分割型のいずれでもよいが、本実施例のように伝熱ブロック34と保持部35とを分けている方が、伝熱ローラー36を溝37の内部に保持するように配置しやすい。さらに温度制御ユニット32を伝熱ブロック34、保持部35、伝熱ローラー36に分解することで、清掃しやすい。
(実施例2)
本実施例と実施例1との主な違いは、図9、図10に示すように温度制御ユニット32を分割した点である。温度制御ユニット32以外の構成は図3に示す実施例1の蒸着装置21と同様である。
本実施例では、温度制御ユニット32を、伝熱ブロック34と保持部35ごと巻き出しロール(図3の図番24)側の小ユニット41Aと、巻き取りロール(図3の図番25)側の小ユニット41Bに二分割した。そして巻き出しロール24側の小ユニット41Aには、所定温度に発熱可能なヒーター(熱源42)を配置した。また巻取りロール側の小ユニット41Bには、所定温度に制御された冷却水を供給する配管33を配置した。そして小ユニット41A、41B間は、熱伝達を抑制するため、隙間をあけた。
これにより本実施例では、図3の蒸着領域Cにおいて、蒸着プロセスの前半は基材23の温度を高くし、後半は基材23の温度を低くすることができる。このように基材23の温度を制御すると、前半に蒸着された粗膜層(図2の図番28)の根元部分は微粒子の粒径が大きくなり、基材23と接触面積が増え、基材23と粗膜層28との密着性を高めることができる。そして後半に蒸着された、粗膜層28の表層部分は微粒子の粒径が小さくなり、表面積を大きくすることができる。
なお、本実施例では、蒸着プロセスの前半で基材23の温度を300℃程度まで上げると、微粒子の粒径を0.1μm程度とすることができ、蒸着プロセスの後半で基材23の温度を150℃程度まで下げると、微粒子の粒径を0.03μm程度に制御することができた。
また本実施例でも、実施例1と同様に、基材23のうねりの有無にかかわらず、高精度に基材23の温度を制御することができるため、基材23を移動させながら連続的に蒸着しても、基材23全体の粒径を所望の粒径にコントロールすることができ、均質な膜質にすることができる。
なお、本実施例では温度制御ユニット32を二分割したが、所望の膜質にあわせて種々分割数や分割位置を変えればよい。たとえば、図11に示す温度制御ユニット32は、基材23の移送方向(矢印B)と、この移送方向と直交する方向にそれぞれ複数個の溝37を並べ、それぞれの溝37に伝熱ローラー36を配置している。そしてこれらの伝熱ローラー36が少なくとも一つは配置されるように、温度制御ユニット32を、移送方向(矢印B)と、移送方向と直交する方向に分割し、小ユニット43A、43B、43Cを形成している。これにより、蒸着領域Cをより細分化して温度制御することができ、例えば容器26からの潜熱を受けやすい部分のみを選択的に冷却する事も容易となる。
以下実施例1と同様の構成および効果については説明を省略する。
本発明による蒸着方法は、蒸着する微粒子の粒径を、高精度な基材の温度制御によってコントロールでき、電極箔の膜質を均質にできる。したがって、量産性に適した蒸着方法を実現でき、特性の安定したコンデンサや電池の製造方法として応用可能である。
9 固体電解コンデンサ
10 コンデンサ素子
11 陽極電極部
12 陰極電極部
13 陽極端子
14 陰極端子
15 外装体
16 電極箔
17 誘電膜
18 絶縁部材
19 固体電解質層
20 陰極層
21 蒸着装置
22 真空槽
23 基材
24 巻き出しロール
25 巻き取りロール
26 容器
27 供給管
28 粗膜層
29 偏向ロール
30 偏向ロール
31 シャッター
32 温度制御ユニット
33 配管
34 伝熱ブロック
35 保持部
36 伝熱ローラー
37 溝
38 小ローラー
39 導入口
40 導出口
41A 小ユニット
41B 小ユニット
42 熱源
43A 小ユニット
43B 小ユニット
43C 小ユニット

Claims (5)

  1. 真空槽内で基材を所定方向に移送させながら、この基材の表面に微粒子を蒸着させる蒸着方法であって、
    前記基材の裏面と温度制御された液体または固体の熱媒体との間で伝熱部材を介して熱を伝播させることにより熱交換して前記基材の温度を制御し、
    前記伝熱部材は、自重または弾性体の反力により降下移動することで前記基材の裏面に当接し、前記基材の裏面の起伏に合わせて前記基材からの力で上昇移動が可能である、ことを特徴とする蒸着方法。
  2. 請求項1記載の蒸着方法において、前記伝熱部材が複数個に分割されており、分割された伝熱部材は各々独立して上下揺動または熱の伝播が可能であることを特徴とする蒸着方法。
  3. 請求項1記載の蒸着方法において、前記伝熱部材が前記基材の移送方向に複数個に分割されており、分割された伝熱部材は各々独立して上下揺動または熱の伝播が可能であることを特徴とする蒸着方法。
  4. 請求項1記載の蒸着方法において、前記伝熱部材が前記基材の移送方向と直交する方向に複数個に分割されており、分割された伝熱部材は各々独立して上下揺動または熱の伝播が可能であることを特徴とする蒸着方法。
  5. 請求項1記載の蒸着方法において、前記伝熱部材が前記基材の移送方向と移送方向と直交する方向との二方向ともに複数個に分割されており、分割された伝熱部材は各々独立して上下揺動または熱の伝播が可能であることを特徴とする蒸着方法。
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