JP5757271B2 - 電磁波吸収体の製造方法 - Google Patents

電磁波吸収体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5757271B2
JP5757271B2 JP2012112642A JP2012112642A JP5757271B2 JP 5757271 B2 JP5757271 B2 JP 5757271B2 JP 2012112642 A JP2012112642 A JP 2012112642A JP 2012112642 A JP2012112642 A JP 2012112642A JP 5757271 B2 JP5757271 B2 JP 5757271B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electromagnetic wave
wave absorber
carbon
soft magnetic
glass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012112642A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013239637A (ja
Inventor
智明 加東
智明 加東
和宏 山口
和宏 山口
健 湯浅
健 湯浅
栄信 廣門
栄信 廣門
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2012112642A priority Critical patent/JP5757271B2/ja
Publication of JP2013239637A publication Critical patent/JP2013239637A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5757271B2 publication Critical patent/JP5757271B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

本発明は、高周波モジュールパッケージ内の空洞共振の抑制などで使用される、電磁波吸収体の製造方法に関するものである。
GHz帯で用いられる高周波モジュールパッケージでは、金属またはセラミックス等からなる蓋体をパッケージベースに取り付けることにより気密封止が行われる。このようなパッケージは内部が直方体状の空洞となり、空洞共振器と同様に電磁波の多重反射により空洞共振が発生してモジュールが誤動作することがある。このため、パッケージ内部に電磁波吸収体を配設して空洞共振が抑制される。
電磁波吸収体は、導電性電磁波吸収材料、誘電性電磁波吸収材料、磁性電磁波吸収材料の3種類に大きく分類できる。これらの電磁波吸収材料は、その内部を電磁波が通過する際に発生する損失(熱)により、電磁波を吸収(減衰)させるものである。導電性電磁波吸収材料は、電磁波によって材料内部に電流を発生させて、この電流を電気抵抗によって吸収するものであり、例えば導電性繊維の織物などが用いられる。誘電性電磁波吸収材料は、分子の分極反応に起因する誘電損失を利用するものである。一般的に、誘電体単体では大きな損失は得られないことが多いため、カーボン粉などをゴム、発泡ウレタン、発泡ポリスチロールなどの誘電体に混合し、見かけ上の誘電損失を大きくしたものが実用化されている。磁性電磁波吸収材料は、磁性材料の磁気損失によって電磁波を吸収するもので、鉄、ニッケル、フェライトを使用して電磁波を吸収するものが実用化されている。
中でも磁性電磁波吸収材料は、フェライト等の強磁性粉末と、樹脂等の誘電体あるいは、導電体との複合体として用いられる場合が多く、シート状のもの等が市販されている。磁性電磁波吸収材料には、広い周波数範囲で高い複素透磁率(μ”)を持つことで、吸収する周波数領域を広くすることが求められる。強磁性粉末としては、酸化鉄を主成分とするフェライトを使用することが一般的である。フェライト電磁波吸収体は、酸化鉄(Fe)に2価の酸化金属(NiO,ZnOなど)を混合し,1000℃以上の高温で焼成し作製される。材料系としては、Ni−Cu−Zn系、Mn−Zn系およびNi−Zn系が挙げられる。このような、フェライトを使った電磁波吸収体は、幅広い分野で使用されているが、特許文献1に示されるように、10GHz以上の高周波域では、高い透磁率を確保することが困難であるため、鉄等の軟磁性金属を併用することにより、高周波域での電磁波吸収性能を改善することが行われている。また、特許文献2に示されるように、磁性粒子と炭素構造材料粒子とを混合して加熱焼結させて、高周波域での電磁波吸収性能を改善することも行われている。
また、高周波モジュールパッケージの気密封止の際に、抵抗溶接で気密封止すると、電磁波吸収体の温度が400℃程度まで上昇する場合があり、電磁波吸収体に耐熱性と加熱時にアウトガスが出ないことが求められる。たとえば、特許文献3にはこのようなパッケージに使用される電磁波吸収材として、Fe等の導電材とシリカなどの無機充填剤とを混合したものが示されている。特許文献3では導電材と無機充填剤とを水などの溶媒を用いて混合してスラリーとし、Au層を形成した蓋体にスラリーを塗布して酸化雰囲気中で熱処理して、蓋体に強固に固着した耐熱性の電磁波吸収部材としている。また、特許文献4には高温環境下においての使用できる電磁波吸収体として、耐熱性の絶縁体内に磁性体が分散された構成が示されている。耐熱性の絶縁体としてセラミック材料やガラスが使用されている。特許文献4では、セラミックの粉末と鉄の粉末とバインダーとからなるペーストをPETフィルムに塗布してシートを形成し、このシートを積層、圧着・焼成して電磁波吸収部が形成される。
特開昭62−30801号公報 特開2008−235708号公報 特開2004−146505号公報 特開2001−24378号公報
特許文献3のように導電材と無機充填剤とのスラリーから電磁波吸収材を形成する方法では、電磁波吸収の効果を十分得られるように吸収材を厚くすることが難しく、十分な電磁波吸効果が得られない。また、特許文献4では耐熱性はあるものの10GHzを超える高周波域に対して電磁波吸収性能が十分ではない。特許文献2のように炭素系の材料を混合すると、電磁波吸収できる周波数をさらに高周波側にできるが、磁性粒子と炭素構造材料粒子とを焼結して形成されるため、このままではパッケージ内に設置することが困難である。そこで、焼結した後に再度粉砕して結合材に分散させて電磁波吸収材としてしなければならず生産性が悪かった。また、磁性粒子と炭素系粒子とは密度が大きく異なり、それぞれを混合しても結合材中に均一に分散させることは難しかった。
本発明は、以上に述べたような問題を考慮してなされたもので、耐熱性に優れ、かつ、10GHzを超える高周波域に対して電磁波吸収性能が十分な電磁波吸収体を生産性良く製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の電磁波吸収体の製造方法は、軟磁性体粉末とガラス粉末と有機バインダーとの混合物から成形体を形成する工程と、非酸化雰囲気中で前記成形体を加熱して前記成形体に含まれる前記有機バインダーを分解して炭素に変化させる工程と、前記成形体に含まれる前記ガラス粉末を軟化させた後に冷却して固化させて前記軟磁性体粉末と前炭素とをガラスにより固着させる工程と、を含む。
本発明の電磁波吸収体の製造方法によれば、成形体を形成する工程で用いた有機バインダーが加熱により炭素に変化し、またその炭素と軟磁性体粉末とを成形体に含まれるガラス粉末を用いて固着するため、耐熱性に優れ、かつ、10GHzを超える高周波域に対して電磁波吸収性能が十分な電磁波吸収体を生産性良く製造することができる。
本発明の製造方法で製造した電磁波吸収体を用いた高周波モジュールパッケージの構造を説明する断面図である。 本発明の製造方法で製造される電磁波吸収体1の断面の概略構成を模式的に示した断面図である。 本発明の電磁波吸収体の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明の電磁波吸収体の製造方法を説明する断面図である。 本発明の電磁波吸収体の製造方法の実施例の結果を示す表である。
図1は本発明の製造方法で製造した電磁波吸収体を用いた高周波モジュールパッケージの構造を説明する断面図である。高周波モジュールパッケージ10は、ベース部12と蓋部13とで構成され、内部に高周波回路14が設置されている。ベース部12と蓋部13とはAuメッキしたCuなどの金属製であり、ベース部12と蓋部13とをレーザなどで加熱し溶接することで接着し内部の気密に保つことができる。蓋部13の内部側には電磁波吸収体1が固定されている。電磁波吸収体1は高周波回路14から放射される電磁波を吸収し、高周波モジュールパッケージ10内部で空洞共振が発生することを抑制する。
図2は本発明の製造方法で製造される電磁波吸収体1の構成を模式的に示した断面図である。電磁波吸収体1は、軟磁性体2と炭素3とガラス4とで構成されている。軟磁性体2と炭素3とがガラス4内に分散されていることが望ましいが、ガラス4成分が少ない場合に軟磁性体2間に空隙が形成されていてもよい。
軟磁性体2はFeを主成分とする粒子などである。特にこの軟磁性体2はFeを主成分として、さらにCrを少量含むことにより防錆性が改善され材料であることが望ましい。Fe系の軟磁性体2として、粒子の内部にナノサイズの結晶を含んだFe系の材料を用いると10GHzを超える高周波領域まで、比較的大きな透磁率を有するので好ましい。軟磁性体2の粒径としては5μmから100μm程度の大きさで、平均粒径(d50)が20μm程度とするとよい。また、軟磁性体2の平均粒子径は、1μm以上、20μm以下であることが望ましい。平均粒子径が20μmを超える場合、磁性体である軟磁性体2の粒子同士が接触する確率が高まり、接触した粒子が増えることによって電磁波吸収体の抵抗率が低くなり、電磁波吸収体の吸収性能が低下する。また、平均粒子径が1μmよりも小さい場合は、Fe系の軟磁性体2を、均一に分散させることが困難になると同時に、比表面積が増大することで、Fe系の軟磁性体2の酸化が起こりやすい状態となる。
ガラス4はFe系の軟磁性体2同士や軟磁性体2と炭素3とを固着している。また、ガラス4は誘電体であり、電磁波吸収体1の内部に誘電性電磁波吸収領域を形成する。ガラス4は、軟化点が350〜600℃の材料であることが望ましく、軟化点が400〜550℃の材料がより望ましい。ガラス4は例えば、BiやVの酸化物を主成分としてSi、Zn、B(ホウ素)、P(リン)などの酸化物を加えた材料を使用することができる。一般にガラスの軟化点は環境問題から使用が大幅に制限される鉛系を除けば、大まかにBi酸化物系、Zn酸化物系、Si酸化物系の順に高くなる傾向がある。一方、誘電率はガラスがBi酸化物系、Zn酸化物系、Si酸化物系の順に小さくなる傾向がある。このような組成による誘電率の変化は高周波吸収特性に影響するため、ガラス4の組成、軟磁性体2とガラス4とが占める体積割合、軟磁性体2の粒径などを適宜調整すると良い。
また、ガラス4が電磁波吸収体1の固体成分に占める体積割合を15〜50%とすると良い。ガラス4の占める割合が少ない場合、軟磁性体2同士を十分な強度で結合できず、電磁波吸収体1の機械的強度が大幅に低くなる。また、ガラス4が占める割合が多いと、軟磁性体1の比率が相対的に減少して十分な電磁波吸収性能が得られない。
炭素3は、後述するように、有機バインダー成分を加熱分解した際に残ってできた、いわゆる残留炭素である。この炭素3は不定形であり、電磁波吸収体1の固体成分に占める体積割合を3〜20%とすると良い。炭素3は導電体であり導電性電磁波吸収材料を形成する。割合を高めると炭素3どうしが繋がって導電性繊維を添加した場合と同様な電磁波吸収効果が得られる。しかしながら炭素3の割合が20%を超えると軟磁性体2の比率が相対的に減少して十分な電磁波吸収性能が得られない。また、3%より少ないと10GHzを超える高周波域に対して電磁波吸収を十分に得ることができない。
なお、軟磁性体2、炭素3はおよびガラス4はランダムに分散しているのでデレーズの原理から断面積の面積比率が体積比率におおむね等しいと考えられ、電磁波吸収体1の断面における面積比率が、それぞれの望ましい体積割合となるようにしてもよい。つまり、電磁波吸収体に含まれる炭素の割合が、断面積における面積比率で3%以上、20%以下の範囲とするとよい。
図3は本発明の電磁波吸収体1の製造方法を説明するフローチャートである。また、図4は図3の各ステップにおける電磁波吸収体1の断面構造を模式的に示した断面図である。図3のS1〜S3の断面がそれぞれ図4のD1〜D3に対応する。まず、粉末の軟磁性体2とガラス粉末5と有機バインダー6とを混合して成形体を形成する工程(S1)を行う。軟磁性体2が金属材料の粉末であると湿式混合すると酸化が起こりやすいため、軟磁性体2とガラス粉末5とを乾式混合した後に、液状の有機バインダー6を少量ずつ加えて造粒すると良い。その後、造粒後の粉末を成形型に入れて、プレス成形して成形体とする。有機バインダー6は軟磁性体2とガラス粉末5との間に存在する。
軟磁性体2は上記で述べたようなFeを主成分とする粒子を用いる。ガラス粉末5はガラス4となる原料であり、上で述べたような軟化点が400〜550℃のガラス材料の粉末である。このガラス粉末5の粒径は1μm以上、5μm以下であることが望ましい。ガラス粉末5の粒径が1μm以下になると、粉砕に時間がかかると共に、軟磁性体2と均一に混合することが困難となって、電磁波吸収体1の性能を低下させる。またガラス粉末5の粒径が5μmを超えると、電磁波吸収体1にガラス含有率が高い部分が局所的に形成され、均一性が低下して電磁波吸収体1の性能を低下させる。
有機バインダー6として、軟磁性体2の粉末、ガラス粉末5を含む粉末の成形が可能な材料および量を添加する。例えば焼成時に残留炭素が残りやすいフェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、フラン樹脂を使用すると良い。但し、残留炭素が多いバインダーの場合、焼成後十分な残留炭素が残ることから、成形体作製時のバインダー添加量が結果的に少なくなり、十分な強度を持つ成形体を作製することが困難となる場合がある。その場合は、残留炭素が比較的少ない、例えばポリビニルアルコールを有機バインダー6に多めに添加することで、残留炭素を焼成体内部に十分形成させても良い。
次に、非酸化雰囲気中で成形体を加熱して成形体に含まれる有機バインダー6を分解して残留炭素である炭素3に変化させる工程(S2)を行う。成形体の成型時に使用した水や有機溶媒を乾燥するため、80〜150℃程度の温度で乾燥後に非酸化雰囲気の加熱装置に入れて加熱しても良い。非酸化雰囲気は、酸素を全く含まないか、含んでもわずかであって有機バインダー6をほとんど酸化分解しない雰囲気である。たとえば真空中やアルゴン、窒素などのガス中である。特に真空など減圧雰囲気にすると、有機バインダー6の分解によって発生したガスが速やかに抜けるため、焼成後の成形体内に空隙が残りにくい。有機バインダー6を炭素に変化させるために必要な加熱温度は350〜450℃などである。従って、有機バインダー6はこの加熱温度によって分解して炭素に変化する材料であることが望ましい。また、分解によって体積や重量が減少するため、残留する炭素3の体積割合を3〜20%とするには焼成時の減少量を見込んで成形体形成時に有機バインダー6の量を調整しておくと良い。
次に、さらに高温に加熱して成形体に含まれるガラス粉末5を軟化させた後に冷却して固化させて軟磁性体2の粉末と炭素3とをガラスにより固着させる工程(S3)を行う。ガラス粉末5の軟化点が有機バインダー6の分解温度より低いと、有機バインダー6が軟化したガラスで覆われて炭素3の生成が進まなかったり、ガラスによる軟磁性体2と炭素3との固着が不十分となったりする。このため、ガラス粉末5の軟化点は有機バインダー6の分解温度より高い温度であることが望ましい、一方、焼成温度を600℃より高くすると、Feを主成分とするような金属材料の軟磁性体2ではその内部で結晶の変化が生じて電磁波吸収性能の低下が起こりやすい。このような観点から、有機バインダー6を350〜450℃で分解する材料、ガラス粉末5を有機バインダー6の分解温度よりも50〜150℃程度高い400〜600℃などの軟化点を有する材料として、焼成温度の上限を600℃以下とすることが望ましい。このような焼成温度で加熱されたガラス粉末5は軟化して軟磁性体2の粉末と炭素3と覆い、その後に冷却されると固化して軟磁性体2と炭素3とを固着する。上記のS2の工程とS3の工程とは連続して行うと生産性に優れるが、別々の工程として行ってもよい。
以上のように成形体の焼成によって形成された電磁波吸収体1を高周波モジュールのパッケージ10の蓋部13に固定し、蓋部13とベース部12とを溶接することで気密が保たれた高周波モジュールパッケージが完成する。
本発明では上記のように、有機バインダー6の分解温度より高い温度で焼成して電磁波吸収体1を作製するため、耐熱性を有し、アウトガスがほとんど発生しない電磁波吸収体1が得られる。
また、成形体に含まれる有機バインダー6を炭素3に変化させたため、炭素の分散が均一となる。このため、10GHzを超える高周波域に対しても電磁波吸収性能のすぐれた電磁波吸収体1が得られる。Fe系の軟磁性体2の密度は7〜8g/cm、炭素系材料の密度は2〜3g/cmと、軟磁性体2と炭素3との密度が大きく異なるため、軟磁性体2と粉末の炭素、たとえばカーボンブラックの粉末、とを混合しても均一に混合することは困難であった。
また、成形体に加えたガラス粉末5が軟化して炭素3と軟磁性体2とを固着して一体となるので、再度粉砕して結合材に分散させるなどの工程が不要であり生産性がよい。成形して形成するため、その厚みを厚くすることが容易で、電磁波の吸収を高めることができる。また、比較的低温で軟化するガラス粉末5を用いるので軟磁性体2の性能低下を防止でき、電磁波吸収性能のすぐれた電磁波吸収体1が得られる。また、ガラス4が軟磁性体2と炭素3とを覆って固着するので強度も高く、減圧で焼成するなどによって残留する空隙を少なくできるため、さらに強度を高めることができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
Fe系の軟磁性体2としてFe−Si−Cu−Nb−Cr−B系合金の扁平磁性金属粉体である日立金属株式会社製ファインメットGP−FT−5M(ファインメットは日立金属株式会社の登録商標)を80質量%、ガラス粉末5としてBi−ZnO−Bを成分とする軟化点約410℃、1MHzにおける誘電率約23、平均粒径5μmの粉末を20質量%の割合で乾式混合して100質量%の混合粉末を得た。
次いで、この混合粉末に有機バインダー6としてポリビニルアルコールを加えた。ポリビニルアルコールは濃度5%の水溶液を使用して、混合粉末を混合しながらこの水溶液を少量ずつ滴下して均一となるようにした。その後、粉体の状態を見ながら、適量の水を加えて混合を続けた。電磁波吸収体に形成させる残留炭素の量は、バインダー6の添加量で調整した。炭素の量を増加させる場合、ポリビニルアルコールの濃度が10%と高い水溶液の使用してもよい。添加の際は、バインダーを少量ずつ滴下し、均一に混合できるように配慮した。これらの混合物に含まれる有機バインダー6の割合は1〜15wt%の範囲となるようにした。このようにして作製した混合粉を、目開き500μmのふるいを通し造粒した。造粒後の粉末は、圧力100MPaで15mm×10mm×1mmの板状に成形を行った。成形体は、550℃、1時間、窒素中で焼成し、電磁波吸収体を得た。
得られた電磁波吸収体を伝送線路上に設置し、透過量と反射量の関係より、減衰量を求める伝送線路法によって、40GHzまでの電波吸収性能を評価した。評価では周波数12GHzにおける減衰量が、−20dBよりも大きいものを合格とした。
また、電磁波吸収体1における残留炭素量の測定は、SEM−EPMAを用いた。焼成後の電磁波吸収体1を任意の場所で破断し、ダイヤモンド粒子を研磨剤として1μmまで光学研磨を行った表面に対してEPMAで炭素の存在を確認した。その後、SEMで観察される粒子をEPMAの分析結果と照合し、炭素が存在する粒子を残留炭素と判断した。1観察画面において残留炭素が占める割合(占有率)は、画像解析によって算出した。観察、測定は各試料10ヶ所で得られた占有率の平均値とした。残留炭素の大きさは、おおよそ数μmから数百μmの範囲で分布していた。
図5は以上の実施例の結果を表にまとめたものである。図5において、周波数12GHzにおける減衰量が、−20dBよりも大きい場合を合格と判定して丸印を記載している。この図からわかるように、作製した電磁波吸収体の断面における残留炭素占有率が、3%以上、20%以下である、実施例1〜実施例8の電磁波吸収体では、残留炭素占有率が3%未満あるいは20%を超える比較例1〜比較例3の電磁波吸収体と比較して、−20dB以上の大きな減衰量が得られた。電子顕微鏡による観察結果では、どの添加量の試料においても、残留炭素がほぼ均一に分散している様子が確認できた。
本発明によれば高周波モジュールの性能を向上させるのに適した電磁波吸収体を製造することができる。
1 電磁波吸収体、2 軟磁性体、3 炭素、4 ガラス、5 ガラス粉末、6 有機バインダー、10 高周波モジュールパッケージ、12 ベース部、13 蓋部、14 高周波回路。

Claims (5)

  1. 軟磁性体粉末とガラス粉末と有機バインダーとの混合物から成形体を形成する工程と、非酸化雰囲気中で前記成形体を加熱して前記成形体に含まれる前記有機バインダーを分解して炭素に変化させる工程と、前記成形体に含まれる前記ガラス粉末を軟化させた後に冷却して固化させて前記軟磁性体粉末と前炭素とをガラスにより固着させる工程と、を含む電磁波吸収体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の電磁波吸収体の製造方法であって、
    前記軟磁性体粉末がFeを主成分としてCrを含む材料からなることを特徴とする電磁波吸収体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の電磁波吸収体の製造方法であって、
    前記電磁波吸収体に含まれる前記炭素の割合が、断面積における面積比率で3%以上、20%以下の範囲としたことを特徴とする電磁波吸収体の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の電磁波吸収体の製造方法であって、
    前記有機バインダーがフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコールの中から選ばれることを特徴とする電磁波吸収体の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁波吸収体の製造方法であって、
    前記ガラス粉末の軟化点が400℃以上550℃以下であることを特徴とする電磁波吸収体の製造方法。
JP2012112642A 2012-05-16 2012-05-16 電磁波吸収体の製造方法 Expired - Fee Related JP5757271B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012112642A JP5757271B2 (ja) 2012-05-16 2012-05-16 電磁波吸収体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012112642A JP5757271B2 (ja) 2012-05-16 2012-05-16 電磁波吸収体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013239637A JP2013239637A (ja) 2013-11-28
JP5757271B2 true JP5757271B2 (ja) 2015-07-29

Family

ID=49764408

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012112642A Expired - Fee Related JP5757271B2 (ja) 2012-05-16 2012-05-16 電磁波吸収体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5757271B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3971921A4 (en) * 2019-05-14 2022-08-03 FUJIFILM Corporation RADIO WAVE ABSORBER AND CONNECTION

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013239637A (ja) 2013-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20190214172A1 (en) Powder for magnetic core, method of producing dust core, dust core, and method of producing powder for magnetic core
JP5574395B2 (ja) 複合材料及びその製造方法
Naidu et al. Microwave processed NiMgZn ferrites for electromagnetic intereference shielding applications
CN109273185B (zh) 一种用铁基纳米晶合金粉末制备磁粉芯的方法
JP2014192327A (ja) 近傍界用電波吸収シートおよびその製造方法
Bai et al. Recent advances of magnetism-based microwave absorbing composites: an insight from perspective of typical morphologies
WO2019061484A1 (zh) 一种浸渍法制备SiCN/Si3N4复合陶瓷的方法
KR20210103413A (ko) 방열 및 전자파 차폐/흡수능을 가지는 다기능성 복합 필름 및 이의 제조방법
CN106495700A (zh) 一种前驱体转化法制备掺杂稀土氧化物的SiCN(Fe)前驱体陶瓷的方法
KR101927221B1 (ko) 근방계용 노이즈 억제 시트
JP2013171967A (ja) 軟磁性圧粉磁心並びにこれを用いたリアクトル、チョークコイル、固定子及びモータ並びに軟磁性圧粉磁心の製造方法
JP2022179429A (ja) 2次元構造複合材料およびその製造方法
CN108147823B (zh) 一种含镍硅碳氮前驱体陶瓷的制备方法
JP5757271B2 (ja) 電磁波吸収体の製造方法
JP2011249628A (ja) 電磁干渉抑制体の製造方法
JP4878255B2 (ja) フェライト含有セラミック体及びその製造方法
US20070131894A1 (en) Sic-hexagonal ferrite type ceramic composite electromagnetic wave absorber
JP2006179901A (ja) 電磁波吸収シート
JP7133150B2 (ja) 金属粉末の製造方法
JP2007019287A (ja) 誘電損失材料とそれを用いた電磁波吸収体
Kumari et al. Electromagnetic shielding using ceramic materials
JP4300747B2 (ja) 電波吸収材用球状フェライト粒子及びその製造方法
JP2011216745A (ja) 圧粉磁心およびその製造方法
JP2006131964A (ja) 電磁波吸収シートの製造方法
KR20190119260A (ko) 열전도도 및 자성이 우수한 전자파 흡수체용 Fe-Al-X계 합금 및 그 합금분말의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20140326

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140926

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150430

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150520

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees