JP5742671B2 - 赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体 - Google Patents

赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体 Download PDF

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Description

本発明は、赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体に関する。
近年、省エネルギー対策への関心が高まり、冷房設備にかかる負荷を減らすなどの観点から、建物や車両の窓ガラスに装着させて、太陽光の熱線の透過を遮断する赤外遮蔽フィルムの要望が高まってきている。
赤外遮蔽フィルムの形成方法としては、主には、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた構成からなる積層膜を、蒸着法、スパッタ法などのドライ製膜法を用いて形成する方法が提案されている。しかし、ドライ製膜法は、形成に用いる真空装置等が大型になり、製造コストが高く、大面積化が困難であり、しかも、基材として耐熱性素材に限定される等の課題を抱えている。
一方、上記課題に対し、比較的大面積化が容易で低コスト化を実現しやすい溶液塗布法にて赤外遮蔽フィルムを形成する方法が知られている(特許文献1〜3)。たとえば、特許文献1および2には、UV硬化樹脂を用いる方法が開示されているが、当該方法は、得られる膜が硬く、膜の柔軟性が低いという課題がある。また、特許文献3には、TiOゾル/SiOゾルを用いて交互積層する方法が開示されているが、当該方法は、得られる膜が粒子同士の凝集のみで結着しているために脆く、夏場(特に、車両用途等)の熱サイクル(昼間の温度と夜の温度との繰り返し)や、冬場(特に、車両用途等)の結露と乾燥との繰り返しなどの過酷な条件での使用により、膜面(塗膜)にひび割れが生じやすいという問題があった。
ところで、写真フィルムの分野で用いられているように、水系重層塗布は、同じ組成の塗布液をあらかじめ大量に調製しておき、切り替えなしに長時間塗布し続けることができるため、塗布液交換のための切り替え時間等の無駄な時間を削減して生産でき、製造コストが削減でき、有機溶剤系の塗布法でないため環境への負担も軽減されるが、これまで、このような製造方法が金属酸化物粒子を含有する水系の屈折率層用塗布液に提供された例はなかった。
特開2009−86659号公報 特開2004−125822号公報 特開2003−266577号公報
しかしながら、金属酸化物粒子を含有する水系の屈折率層用塗布液は、金属酸化物粒子の表面積が大きいため、塗布液調製から塗布までの時間(以下、「停滞時間」という)が長いと、金属酸化物粒子の凝集体を生じやすいという傾向がある。そして、金属酸化物粒子の凝集体が成長し、目に見える程度の凝集体となった塗布液を用いて塗膜を形成した場合、形成した塗膜にひび割れが生じるという問題があった。また、金属酸化物粒子とバインダーとを屈折率層(たとえば、高屈折率層)に含む場合、金属酸化物粒子とバインダーとの線膨張係数が異なっているため、温度変化により、金属酸化物粒子とバインダーとの界面でクラックが生じ、それが起点となって塗膜の割れになってしまうという問題もあった。
したがって、高屈折率層または低屈折率層を形成するための金属酸化物粒子を含有する水系の屈折率層用塗布液として、長期間の停滞時間を経過したとしても凝集の生じない安定なものが望まれている。また、屈折率層(たとえば、高屈折率層)が金属酸化物粒子とバインダーとを含む場合であっても、塗膜にひび割れの生じにくい、安定な赤外遮蔽フィルムが望まれている。
以上のように、高屈折率層または低屈折率層の屈折率層用塗布液として、また、赤外遮蔽フィルムとして、さらなる改善が求められているのが現状である。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、低屈折率層と金属酸化物粒子とを含む高屈折率層との交互積層膜から構成される赤外遮蔽フィルムにおいて、温度変化に対して安定な(ひび割れが抑制された)赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、およびその赤外遮蔽フィルムを設けた赤外遮蔽体を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、赤外遮蔽性および可視光透過性に優れた赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、およびその赤外遮蔽フィルムを設けた赤外遮蔽体を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、大面積で、低コストで提供可能な赤外遮蔽フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、驚くべきことに、低屈折率層と、金属酸化物粒子と所定のポリアミノ酸とを含む高屈折率層と、を含む赤外遮蔽フィルムにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.基材上に、低屈折率層と、第1の金属酸化物粒子およびポリアミノ酸を含む高屈折率層と、から構成されるユニットを少なくとも1つ有し、前記ポリアミノ酸が、ポリアミノ酸全量に対して、単一のアミノ酸由来のユニットを80モル%以上含む、赤外遮蔽フィルム。
2.前記ポリアミノ酸の含有量が、前記高屈折率層の固形分に対して0.001〜20質量%である、上記1.に記載の赤外遮蔽フィルム。
3.前記ポリアミノ酸が、ポリアラニン、ポリトレオニン、ポリセリン、およびポリグリシンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記1.または2.に記載の赤外遮蔽フィルム。
4.前記ポリアミノ酸が、前記第1の金属酸化物粒子と反応する結合剤を介して、前記第1の金属酸化物粒子と結合して、前記第1の金属酸化物粒子を被覆してなる、上記1.〜3.のいずれか1つに記載の赤外遮蔽フィルム。
5.バインダーと、溶媒と、を含む低屈折率層用塗布液と、第1の金属酸化物粒子と、ポリアミノ酸と、バインダーと、溶媒と、を含む高屈折率層用塗布液と、を基材に塗布する工程を含み、記ポリアミノ酸が、ポリアミノ酸全量に対して、単一のアミノ酸由来のユニットを80モル%以上含む、赤外遮蔽フィルムの製造方法。
6.前記第1の金属酸化物粒子を含む分散液に、第1の金属酸化物粒子と反応する結合剤を添加して、前記第1の金属酸化物粒子と前記結合剤とを反応させる金属酸化物粒子の表面処理工程と、前記表面処理工程後に、前記ポリアミノ酸を、前記第1の金属酸化物粒子を含む分散液に添加して、前記ポリアミノ酸を前記結合剤と反応させて、前記ポリアミノ酸により前記第1の金属酸化物粒子を被覆する表面被覆工程と、を含む工程により、前記高屈折率層用塗布液を調製する、上記5.に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
7.前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液を、同時重層塗布により基材に塗布する、上記5.または6.に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
8.上記1.〜4.のいずれか1つに記載の赤外遮蔽フィルムまたは上記5.〜7.のいずれか1つに記載の製造方法により得られる赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体。
本発明によれば、温度変化に対して安定な(ひび割れが抑制された)赤外遮蔽フィルムの製造方法、およびその赤外遮蔽フィルムを設けた赤外遮蔽体が提供される。
本発明は、低屈折率層と、第1の金属酸化物粒子およびポリアミノ酸を含む高屈折率層と、から構成されるユニットを少なくとも1つ有し、前記ポリアミノ酸が、ポリアミノ酸全量に対して、単一のアミノ酸を80モル%以上含む、赤外遮蔽フィルムである。本発明者は、かような構成とすることにより、温度変化に対して安定な(ひび割れが抑制された)赤外遮蔽フィルムを実現することができることを見出した。また、本発明の赤外遮蔽フィルムは、赤外遮蔽性および可視光透過性に優れたものである。
従来の赤外遮蔽フィルムの製造においては、たとえば、金属酸化物粒子が分散された溶液を調製し、当該溶液を高屈折率層用塗布液として用いる際に、停滞時間(塗布液調整から塗布までの時間)が生じると、金属酸化物粒子同士が凝集する傾向があった。当該金属酸化物粒子の凝集体を含む塗布液を用いて塗膜を形成すると、塗膜にひび割れが生じるという問題があった。そこで、本発明者は、鋭意検討を進めた結果、金属酸化物粒子を含む高屈折率層に、所定のポリアミノ酸を含有させることで、温度変化に対してひび割れが抑抑された赤外遮蔽フィルムが得られることを見出した。すなわち、本発明は、金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液が所定のポリアミノ酸を含有することで、金属酸化物粒子同士の凝集を抑制し、該塗布液の安定性を向上させ、よって該塗布液を用いることにより、塗膜のひび割れが抑制された赤外遮蔽フィルムを得ることができることを見出したものである。さらに、本発明の赤外遮蔽フィルムにおいて、高屈折率層(高屈折率層用塗布液)がバインダー(たとえば、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ゼラチンなど)を含有している場合であっても、所定のポリアミノ酸を含有することで、金属酸化物粒子とバインダーとの界面におけるクラックの発生を抑制し、塗膜のひび割れの発生を抑制できることも見出した。すなわち、赤外遮蔽フィルムの塗膜の割れという問題については、いくつかの要因が考えられるが、本発明は、屈折率層を形成するための屈折率層用塗布液の安定性を向上させ、さらには、屈折率層がバインダーを含む場合であっても、その屈折率層に含まれる金属酸化物粒子とバインダーとの膨張率の差を緩和することで、塗膜の温度に対する安定性を向上させたものである。
したがって、赤外遮蔽フィルムを製造する際に、塗布液を大量に作製し、順次使用していくような工程を有する場合であっても、本発明の赤外遮蔽フィルムを製造するための塗布液は凝集を生じず安定であるため、好適である。よって、本発明の赤外遮蔽フィルムを製造するための塗布液は、重層塗布に好適に用いられる。
以上のように、本発明は、所定のポリアミノ酸を高屈折率層に含むことで、長時間停滞における高屈折率層用塗布液の安定性を向上させるとともに、熱サイクル(昼間の温度と夜の温度の繰り返し)に晒されたり、冬場の結露と乾燥を繰り返されても、塗膜のひび割れが抑制された(ひび割れの生じにくい)赤外遮蔽フィルムを提供することができるものである。
以下、本発明の赤外遮蔽フィルムの構成要素、および本発明を実施するための形態等について詳細に説明する。
なお、本発明において、赤外遮蔽フィルムは、屈折率の異なるふたつの層、すなわち、高屈折率層と、低屈折率層と、が交互に積層された積層体の形態を有するが、高屈折率層と低屈折率層とは、以下のように考える。たとえば、高屈折率層と低屈折率層とがそれぞれ金属酸化物粒子を含む場合、高屈折率層に含まれる第1の金属酸化物粒子と、低屈折率層に含まれる第2の金属酸化物粒子と、がふたつの層の界面で混合され、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子とを含む層が形成される場合がある。その場合、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との存在比により高屈折率層または低屈折率層とみなす。具体的には、高屈折率層とは、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との合計質量に対して、第1の金属酸化物粒子が、50質量%以上100質量%以下で含まれる層を意味する。低屈折率層とは、第1の金属酸化物粒子と第2の金属酸化物粒子との合計質量に対して、第2の金属酸化物粒子が、50質量%を超えて100質量%以下で含まれる層を意味する。なお、屈折率層に含まれる金属酸化物粒子の種類および量は,エネルギー分散型X線分光法(EDX)により分析できる。
[高屈折率層]
本発明において、高屈折率層は、第1の金属酸化物粒子およびポリアミノ酸を含む。
(第1の金属酸化物粒子)
本発明の高屈折率層に用いられる第1の金属酸化物粒子としては、たとえば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカなどの二酸化ケイ素、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどの粒子を挙げることができる。
本発明の高屈折率層で用いられる第1の金属酸化物粒子としては、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子または酸化亜鉛粒子が好ましく、酸化チタン粒子または酸化ジルコニウム粒子がより好ましく、酸化チタン粒子がより好ましい。酸化チタン粒子としては、具体的には、アナターゼ型酸化チタン;ルチル型(正方晶形)酸化チタン;ブルッカイト型酸化チタン;チタン系酸化物に、錫、バリウム、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、アルミニウム、ゲルマニウム、アンチモン、インジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニオブ、ジルコニウム、マグネシウム、イットリウム、ランタン、ユーロピウム、亜鉛、鉛、クロム、鉄、銅、銀、金、白金、タングステン、セリウム等の異種金属原子をドーピングした化合物;等の粒子が挙げられる。
これらのうち、酸化チタン粒子としては、屈折率が高く、かつ光触媒能力が低いという観点から、ルチル型酸化チタン粒子であるのがもっとも好ましい。なお、本発明において、屈折率を調整するために、第1の金属酸化物粒子は1種であっても2種以上を併用してもよい。また、複数種の酸化チタン粒子を混合してもよい。
本発明で用いられる第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、4〜50nmであることがより好ましく、4〜40nmであるのがさらに好ましく、4〜30nmであるのが特に好ましい。体積平均粒径が100nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。体積平均粒径が100nmを超える第1の金属酸化物粒子は、本発明に限らず高屈折率層に用いるには適正なものといえない。さらに、本発明で用いられる第1の金属酸化物粒子は、単分散であることが好ましい。
ここでいう平均粒径とは、媒体中に分散された一次粒子または二次粒子の体積平均粒径であり、レーザー回折/散乱法、動的光散乱法等により測定できる。
具体的には、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する金属酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径を算出する。
さらに、本発明で用いられる酸化チタン微粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下であることをいう。この単分散度は、さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%である。
Figure 0005742671
高屈折率層における第1の金属酸化物粒子の含有量としては、高屈折率層がバインダーを含む場合は、第1の金属酸化物粒子の含有量は、高屈折率層全質量(固形分の質量)の30〜90質量%が好ましく、70〜85質量%がより好ましく、60〜80質量%がさらに好ましい。金属酸化物粒子の含有量が高いほど、層の屈折率を高められる観点で好ましいが、金属酸化物粒子の隙間を埋め空隙をなくす観点から、10質量%以上は金属酸化物粒子以外の成分がある方が好ましい。
また、本発明で好ましい酸化チタンの態様としては、酸化チタン粒子が、水または有機溶媒に分散された、水系または有機溶媒系の酸化チタンゾルであることが好ましく、水系の酸化チタンゾルであることがより好ましく、pHが1.0〜3.0で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルであることがさらに好ましい。
本発明で用いることのできる水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、たとえば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
(ポリアミノ酸)
本発明の高屈折率層はポリアミノ酸を含む。本発明の高屈折率層(高屈折率層用塗布液)はポリアミノ酸を含むため、ポリアミノ酸が、金属酸化物粒子同士の間に存在して、その凝集を抑制することができる。よって、高屈折率層用塗布液の安定性を向上させることができ、該塗布液を用いて得られる赤外遮蔽フィルムの安定性も優れたものとすることができる。また、バインダーが用いられる場合、ポリアミノ酸は、金属酸化物粒子とバインダーとの間にも存在するため、金属酸化物粒子とバインダーとの膨張率の差を緩和し、温度変化に対する安定性を高めることができる。
本発明の高屈折率層で用いられるポリアミノ酸としては、ポリアミノ酸(ポリマー)全量に対して、単一のアミノ酸由来のユニットを80モル%以上含むものである。また、単一のアミノ酸由来のユニットを、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含む。ポリアミノ酸のポリマー中の単一のアミノ酸の含有量の上限としては、特に制限されないが、好ましくは100モル%以下、より好ましくは99.9モル%以下、さらに好ましくは99.8モル%以下、特に好ましくは99.5モル%以下である。
ここで、「アミノ酸由来のユニット」とは、たとえば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、セレノシステイン、N−ホルミルメチオニン、プロリシン、ピログルタミン酸などのアミノ酸残基を意味する。「単一のアミノ酸由来のユニットを80モル%以上含む」とは、ポリアミノ酸が上記アミノ酸残基のうちの1種のみを80モル%以上含むことを意味する。
本発明において、ポリアミノ酸とは、アミノ酸が縮合によりペプチド結合で連なっているものを意味する。本発明で使用できるポリアミノ酸は、その物理的性質が重要であるため、生理活性は特に必要なく、以下のように、一般的な菌を用いたポリペプチド合成法(たとえば、サムブルック、フリッチおよびマニアティス著「モレキュラー・クローニング、ア・ラボラトリ・マニュアル、第2版、コールド・スプリング・ハーバー・プレス(1989年)に記載の方法)を用いて調製することができる。
ポリアミノ酸の連鎖をコードする遺伝子またはDNA鎖は、それがコードされた遺伝子がクローニングされている公知のタンパク質の遺伝子を入手するか、たとえばホスホアミダイトから常法に従ってDNA合成機を用いてポリアミノ酸に対応するDNA鎖を合成し、DNAポリメラーゼを用いて増やしたり、分子量の大きな二本鎖DNAが必要な場合は、常法により、合成した二本鎖DNAを、リガーゼを用いて複数個結合させることにより所望の長さの二本鎖DNAを作製することができる。得られた2本鎖のDNAは、常法に従って、適当なプロモーターや、複製起点を有し、好ましくは適当なマーカーを有する発現ベクターに組み込む。使用する発現ベクターとしては、通常、使用される宿主に応じて最も適したものを選択する。宿主として大腸菌を用いる場合は、たとえば、λgt、pSC101、pBR322、コスミドなどが好ましく使用でき、バチルス・ズブチリスを宿主として使用する場合は、たとえば、pUB110など、放線菌を宿主として使用する場合は、たとえば、pIJ101などが好ましく使用できる。その他、酵母なども宿主として使用することができるが、単にその分子量、その均一性、電荷の種類とその量、およびその調製の容易さコストの安さなどから、大腸菌を使用するのが最も好ましい。
上記の遺伝子またはDNA鎖を発現ベクターに組み込むには、上記サムブルックらに書かれているようにリンカー使用によるミックス・アンド・マッチ方式などもありこれらは、市販のキットとして購入することができ、上記サムブルックらの著書に記載の方法に従って合成することができる。
DNAを宿主に導入して、導入された遺伝子を発現させ、培養することにより、目的のポリアミノ酸を合成することができる。
本発明に用いられるポリアミノ酸のうち、電荷を持ったものは以下のように合成することができる。まず、陽電荷を持つポリアミノ酸の場合、まずDNA合成機により、アミノ酸合成の起点を示すATGを合成したのちたとえばポリリシン(リシン残基のε−アミノ基が陽電荷をもち得る)の場合には、AAA、AAG、ポリグルタミンの場合には,CAA、CAG、ポリアスパラギン(残基末端の酸アミド基が陽電荷をもち得る)の場合には、AAC、ポリアルギニン(グアニジノ基が陽電荷をもち得る)であれば、CGA、CGC、CGG、CGTなどそれぞれのアミノ酸に対応するDNA鎖をDNA合成機で合成し、ついでDNAポリメラーゼを用いて二本鎖DNAとした後、必要に応じてこの二本鎖DNAをリガーゼを用いて連結し、得られた二本鎖DNAを用いてぺプチド合成することにより、ポリリシン、ポリグルタミン、ポリアスパラギン、またはポリアルギニンを調製することができる。なお、上記のアミノ酸をコードする遺伝暗号は、特に限定する必要がなくアミノ酸に対応するDNA鎖を使用することができる。
ポリアミノ酸の分子量、すなわち、ぺプチド鎖の長さは、AAA、CAAもしくはAATまたはCGTの反復からなるDNA鎖の塩基対の数を制御することにより正確に制御することができる。
また、陰電荷を持つポリアミノ酸は、たとえば、ポリグルタミン酸の場合には、GAA,GAG、ポリアスパラギン酸であれば、GAC、GATの反復からなるDNA鎖をDNA合成機で合成し、上記と同じ方法で合成できる。
電荷を持たないポリアミノ酸の場合には、ポリグリシン、ポリフェニルアラニン、ポリアラニン、ポリロイシン、ポリイソロイシン、ポリバリン、ポリプロリン、ポリセリン、ポリトレオニンまたはポリチロシンの中から目的に応じて選択する。
グリシン、フェニルアラニン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、セリン、トレオニンおよびチロシンをコードする遺伝暗号はそれぞれ複数存在する。その1例をそれぞれ挙げれば、GGG、UUU、GCC、CUU、AUU、GUU、CCC、UCC、ACCまたはUAUである。従って、これらのポリマーに対応するDNA鎖、ポリGGG、ポリTTT、ポリGCC、ポリCTT、ポリATT、ポリGTT、ポリCCC、ポリTCC、ポリACCまたはポリTATをDNA合成機で合成し、二本鎖とし、得られた二本鎖DNAを必要に応じてリガーゼで連結して重合数を増やした後、得られる二本鎖DNAを用いて上記のぺプチド調製法を実施すれば、それぞれポリグリシン、ポリフェニルアラニン、ポリアラニン、ポリロイシン、ポリイソロイシン、ポリバリン、ポリプロリン、ポリセリン、ポリトレオニンまたはポリチロシンを調製することができる。
本発明で用いられる第1の金属酸化物粒子は、一般的に表面電荷により分散安定化しているので、ポリアミノ酸としては、電荷を持たないものを選ぶのがよく、たとえば、ポリグリシン、ポリフェニルアラニン、ポリアラニン、ポリロイシン、ポリイソロイシン、ポリバリン、ポリプロリン、ポリセリン、ポリトレオニンまたはポリチロシンのなかから目的に応じて選択することができる。なかでもポリグリシンが好ましい。
これらのポリアミノ酸を合成するための鋳型のDNAは、上述のようにDNA合成機等を用いて自作してもよいが、DNAの合成自体は、さまざまな会社で受託製造しているので、そこに必要な配列と、長さを連絡すると、精製されたDNAを得ることができる。
また本発明のポリアミノ酸は、そのアミノ酸のユニット数が、好ましくは3〜300、より好ましくは4〜200、さらに好ましくは5〜150、特に好ましくは20〜100、もっとも好ましくは30〜100である。アミノ酸ユニット数が上記範囲のポリアミノ酸であれば、たとえば、株式会社バイオロジカ、株式会社ペプチド研究所、株式会社矢内原研究所などに委託すると、精製されたポリアミノ酸を入手することができる。
受託会社からは、アミノ酸配列が既知であれば、いずれのポリアミノ酸でも入手可能であり、例えばポリアミノ酸としては、たとえば、ポリアラニン(アミノ酸ユニット5、20、30、40、100)、ポリトレオニン(アミノ酸ユニット5、20、30、40、100)、ポリセリン(アミノ酸ユニット5、20、30、40、100)、ポリグリシン(アミノ酸ユニット5、20、30、40、100)、などが挙げられる。
本発明において、ポリアミノ酸の含有量は、高屈折率層全質量(固形分の質量)の0.001〜20質量%であるのが好ましく、0.025〜15質量%であるのがより好ましく、0.05〜10質量%がさらに好ましく、0.01〜5質量%が特に好ましい。また、本発明において、高屈折率層が複数存在する場合には、少なくとも1つの高屈折率層に、ポリアミノ酸が含まれていればよい。
(第1の金属酸化物粒子とポリアミノ酸との複合体)
本発明の好ましい形態では、高屈折率層に含まれる第1の金属酸化物粒子が、ポリアミノ酸で一部または全体を被覆されている。さらに、ポリアミノ酸が、第1の金属酸化物粒子と反応する結合剤を介して、第1の金属酸化物粒子と結合して、第1の金属酸化物粒子を被覆してなる形態、すなわち、第1の金属酸化物粒子がポリアミノ酸と複合体を形成する形態がより好ましい。高屈折率層に含まれる第1の金属酸化物粒子が上記形態となることで、温度変化に対してひび割れを抑える効果が高い赤外遮蔽フィルムを得ることができる。
なお、本明細書中、「被覆」とは、全体を覆う形態であっても、一部を覆う形態であってもよく、また物理的吸着、化学的吸着のどちらであってもよいが、化学的吸着が好ましい。また、本明細書中、「金属酸化物粒子とポリアミノ酸とが複合体を形成する」とは、ポリアミノ酸が、第1の金属酸化物粒子と反応する結合剤を介して、第1の金属酸化物粒子と結合して、第1の金属酸化物粒子を被覆することを意味する。
本発明によれば、金属酸化物粒子とポリアミノ酸とが複合体を形成する方法に特徴を有する赤外遮蔽の製造方法も提供される。
すなわち、本発明は、第1の金属酸化物粒子を含む分散液に、第1の金属酸化物粒子と反応する結合剤を添加して、前記第1の金属酸化物粒子と前記結合剤とを反応させる金属酸化物粒子の表面処理工程と、前記表面処理工程後に、前記ポリアミノ酸を、前記第1の金属酸化物粒子を含む分散液に添加して、前記ポリアミノ酸を前記結合剤と反応させて、前記ポリアミノ酸により前記第1の金属酸化物粒子を被覆する表面被覆工程と、を含む工程により、高屈折率層用塗布液を調製する、赤外遮蔽フィルムの製造方法も提供する。
ここで、結合剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩などのアミノシランカップリング剤が挙げられる。
結合剤としてアミノシランカップリング剤(以下、「アミノシラン化合物」とも称する。)を用いた場合、表面処理工程としては、第1の金属酸化物粒子とアミノシラン化合物とを反応させて、第1の金属酸化物粒子の表面にアミノシラン化合物を結合させる工程である。具体的には、第1の金属酸化物粒子を10〜30質量%の濃度で含む分散液100質量部に、0.01〜10質量部の結合剤を25〜90℃で添加して、第1の金属酸化物粒子と結合剤とを反応させる。
次に、表面被覆工程は、ポリアミノ酸を、表面処理工程後の第1の金属酸化物粒子を含む分散液に添加して、ポリアミノ酸と結合剤とを反応させて、ポリアミノ酸と第1の金属酸化物粒子とを結合剤を介して結合させる工程である。ポリアミノ酸と結合剤とを反応させる具体的な方法としては、特に制限されないが、以下の方法が挙げられる。たとえば、アミノシラン化合物のアミノ基に、ポリアミノ酸を反応させ、ペプチド合成をすることで、第1の金属酸化物粒子とポリアミノ酸とが結合剤を介して結合した複合体を得ることができる。また、反応性の官能基を側鎖に有していないポリアミノ酸の場合は、ポリアミノ酸の末端アミノ基と、アミノシラン化合物のアミノ基との間で、たとえば、グルタルアルデヒドなどの架橋剤を用いて結合させたり、あるいは、カルボジイミド化合物を用いてポリアミノ酸のカルボキシル基を活性化させた後、これとアミノシラン化合物のアミノ基とを結合させたりすることで、第1の金属酸化物粒子とポリアミノ酸とが結合剤を介して結合した複合体を得ることができる。カルボジイミド化合物としては、たとえば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、N−tert−ブチル−N’−エチルカルボジイミド(BEC)などが用いられうる。上述の各合成の条件は、特に制限されず、公知の方法で行うことができる。この際、第1の金属酸化物粒子を含む分散液、結合剤、ポリアミノ酸、必要により架橋剤またはカルボジイミド化合物、のそれぞれの添加量は、ポリアミノ酸が第1の金属酸化物粒子を一部または全体を被覆することができれば特に制限されないが、第1の金属酸化物粒子と結合剤とを、好ましくは100:0.1〜100:10(重量比)で用いて、第1の金属酸化物粒子とポリアミノ酸とを、好ましくは99:1〜80:20(重量比)で用いて、また架橋剤やカルボジイミドを用いる場合は、第1の金属酸化物粒子と架橋剤またはカルボジイミドとを、好ましくは99:1〜95:5(重量比)で用いることで、ポリアミノ酸が第1の金属酸化物粒子を一部または全体を被覆した複合体を得ることができる。
以上のようにして、表面をポリアミノ酸で被覆された第1の金属酸化物粒子の確認方法としては、以下のものが挙げられる。たとえば、表面をポリアミノ酸で被覆されたチタニアゾル(第1の金属酸化物粒子)を乾燥し、得られた粒子を、X線回折法で分析することによりルチル型酸化チタンであること、さらに該酸化チタンの表面に窒素が存在していることが観察される。
また、表面をポリアミノ酸で被覆された第1の金属酸化物粒子のゼータ電位は、被覆されていない第1の金属酸化物粒子のゼータ電位と比較すると、好ましくは10mVの絶対値の変動が観測される。
本発明の高屈折率層においては、第1の金属酸化物粒子が2種以上混合されていてもよく、第1の金属酸化物粒子とポリアミノ酸との複合体と、他の第1の金属酸化物粒子とが混合されていてもよい。また、複数存在する高屈折率層の少なくとも1層に、第1の金属酸化物粒子とポリアミノ酸との複合体が含まれていればよい。また、1つの層に含まれる第1の金属酸化物粒子のうち、ポリアミノ酸との複合体が、5〜100%含まれているのが好ましく、10〜100%含まれているのがより好ましい。第1の金属酸化物粒子とポリアミノ酸との複合体の含有量が上記範囲内であれば、温度変化に対してひび割れを抑える効果が高い赤外遮蔽フィルムを得ることができる。
(バインダー)
本発明の高屈折率層は、バインダーを含むことが好ましい。本発明で用いられるバインダーとしては、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド等の合成樹脂、無機ポリマー、ゼラチン類、増粘多糖類がさらに好ましく、ポリビニルアルコール、ゼラチンが特に好ましい。これら水溶性樹脂は1種類または複数種類を混合してもよい。これらの水溶性樹脂を用いることで、層を積層する際に、他の層との界面混合を抑制することができる。なお、高屈折率層と、後述する低屈折率層と、両層にバインダーを用いる場合、それらは同一であっても異なるものであっても構わない。
なお、本明細書中、バインダーとは、金属酸化物粒子やポリアミノ酸等の被分散物の分散媒体であって、質量平均分子量が1,000〜300,000の高分子化合物を意味する。高分子化合物の分子量としては、1,000〜200,000が好ましく、3,000〜40,000がより好ましい。質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値を採用する。また、本明細書中、水溶性樹脂とは、水または温水媒体に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上溶解する高分子化合物を意味する。
高屈折率層において、バインダーの含有量は、高屈折率層全質量(固形分の質量)の5〜65質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜55質量%であるのがさらに好ましい。
(ポリビニルアルコール)
ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコール、カルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン性基を有するノニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,000〜5,000であるのが好ましく、1,500〜5,000であるのがより好ましく、3,000〜4,500であるのがさらに好ましく用いられる。また、鹸化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものがより好ましい。
本発明においては、これらのポリマーを使用する場合には、硬化剤を使用してもよい。たとえばポリビニルアルコールの場合には、後述するホウ酸およびその塩やエポキシ系硬化剤が好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一級〜第三級アミノ基や第四級アンモニウム基を主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、これはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得ることができる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、たとえば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコール中のカチオン性基含有エチレン性不飽和単量体の比率は、酢酸ビニルに対して、好ましくは0.1〜10モル%、より好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、たとえば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および特開昭63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、または特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されているような疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類の異なるものなどを、2種以上併用することもできる。
(ポリビニルピロリドン)
ポリビニルピロリドンは、N−ビニル−2−ピロリドンが重合した高分子化合物である。
本発明で用いられるポリビニルピロリドンの粘度平均分子量は、5,000〜800,000であることが好ましく、10,000〜630,000であることがより好ましく、15,000〜340,000であることがさらに好ましい。質量平均分子量が上記範囲であれば、製造時に高屈折率層用塗布液の粘度が高くなりすぎず、塗布性が良好であるし、得られる赤外遮蔽フィルムの性能も良好である。
(ポリエチレンオキシド)
本発明で用いられるポリエチレンオキシドの質量平均分子量は、1,000〜800,000であることが好ましく、5,000〜630,000であることがより好ましく、10,000〜340,000であることがさらに好ましい。質量平均分子量が上記範囲であれば、製造時に高屈折率層用塗布液の粘度が高くなりすぎず、塗布性が良好であるし、得られる赤外遮蔽フィルムの性能も良好である。
(無機ポリマー)
本発明で用いられる無機ポリマーとしては、ガラス、シリケート材料、チタネート材料等のセラミックス等が挙げられ、たとえば、ポリカルボシラン、ポリオルガノボロシラザン、ポリメタロキサン、ポリボロシロキサン、ポリカルボシラザンなどが好ましい。
本発明で用いられる無機ポリマーの質量平均分子量は、1,000〜800,000であることが好ましく、5,000〜630,000であることがより好ましく、10,000〜340,000であることがさらに好ましい。質量平均分子量が上記範囲であれば、製造時に高屈折率層用塗布液の粘度が高くなりすぎず、塗布性が良好であるし、得られる赤外遮蔽フィルムの性能も良好である。
(ゼラチン)
本発明に係る水溶性樹脂として、天然高分子であるゼラチンを使用することができる。ゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを挙げることができる。ゼラチンとしては、たとえば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチンおよびゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を有し、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関してはよく知られており、たとえば、T.H.James:The Theory of Photographic Process 4th. ed. 1977(Macmillan)55頁、科学写真便覧(上)72〜75頁(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編 119〜124頁(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIXページに記載されているゼラチンを挙げることができる。また、これらのゼラチンは、単独でも2種以上を併用してもよい。
(増粘多糖類)
増粘多糖類としては、特に制限はなく、たとえば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類および合成複合多糖類などを挙げることができる。これら増粘多糖類の詳細については、「生化学辞典(第2版)」(東京化学同人)、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
増粘多糖類とは、糖類の重合体で、分子内に水素結合基を多数有するものであり、温度による分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度との差が大きいという特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物微粒子や多価金属化合物を添加すると、低温時に金属酸化物微粒子または多価金属化合物との反応により金属酸化物微粒子または多価金属化合物との水素結合またはイオン結合を形成して、粘度上昇またはゲル化を引き起こすものである。粘度の上昇幅は、金属酸化物微粒子または多価金属化合物の添加前の15℃における粘度と比較して、15℃の粘度で、1.0mPa・s以上であることが好ましい。粘度上昇幅は、より好ましくは5.0mPa・s以上であり、さらに好ましくは10.0mPa・s以上である。なお、本明細書において、粘度は、ブルックフィールド粘度計により測定した値を採用するものとする。
本発明に適用可能な増粘多糖類のさらに具体的な例としては、たとえば、ペクチン、ガラクタン(たとえば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(たとえば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(たとえば、タマリンドガム、タマリンドシードガム等)、グルコマンノグリカン(たとえば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(たとえば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(たとえば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(たとえば、ゲランガム等)、グリコサミノグリカン(たとえば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸およびアルギン酸塩(たとえば、アルギン酸ソーダ)、ジェランガム、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、ファーセルラン、プルラン、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類が挙げられる。塗布液中に共存する金属酸化物微粒子の分散安定性を低下させないという観点から、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、たとえば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。本発明においては、特には、タマリンド、グアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガムが好ましく、さらには、2種類以上の増粘多糖類を併用することが好ましい。
また、本発明においては、ジェランガム、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類や、キサンタンガム、コンニャクマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ペクチン、アラビアガム、タマリンドガム、アルギン酸ソーダ、カラヤガム、トラガントガム、ファーセルラン、プルラン等の増粘多糖類と、ゼラチン類(好ましくは、酸処理ゼラチン)とを併用するのが好ましい。
[低屈折率層]
本発明において、低屈折率層は、バインダーまたは/および第2の金属酸化物粒子を含むのが好ましい。低屈折率層は、より好ましくはバインダーおよび第2の金属酸化物粒子を含み、さらに好ましくはバインダー、第2の金属酸化物粒子およびポリアミノ酸を含む。ここで、ポリアミノ酸とは、ポリアミノ酸(ポリマー)全量に対して、単一のアミノ酸由来のユニットを80モル%以上含むものである。
(第2の金属酸化物粒子)
本発明の低屈折率層に用いられる第2の金属酸化物としては、たとえば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカなどの二酸化ケイ素、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズを挙げることができる。本発明において、屈折率を調整するために、第2の金属酸化物は1種であっても2種以上を併用してもよい。
また、本発明の低屈折率層で用いられる第2の金属酸化物粒子としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカなどの二酸化ケイ素粒子であるのが好ましい。特に、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることが好ましい。
本発明において、第2の金属酸化物粒子は、その平均粒径が100nm以下であることが好ましく、3〜100nmであることがより好ましい。一次粒子の状態で分散された第2の金属酸化物粒子の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、25nm以下であるのが好ましく、3〜25nmであるのがより好ましく、4〜20nmであるのがさらに好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
本発明の低屈率層で用いられる第2の金属酸化物粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
特に好ましく用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、たとえば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレットなどに記載されているものである。
かようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
本発明の低屈折率層において、第2の金属酸化物粒子を含む場合の第2の金属酸化物粒子の含有量は、低屈折率層全質量(固形分の質量)の30〜95質量%が好ましく、35〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。低屈折率層の第2の金属酸化物粒子の含有量が30質量%以上であれば、低屈折率とすることができ、さらに35質量%以上とすることで、空隙構造となるためさらに好ましい。また、金属酸化物の含有量が95質量%を超えると、金属酸化物同士を結着することが困難になり、塗膜が形成されない場合がある。
(バインダーおよびポリアミノ酸)
本発明の低屈折率層で用いられるバインダーおよびポリアミノ酸は、高屈折率層で述べたものを同様に用いることができるため省略する。
本発明の低屈折率層において、バインダーを含む場合のバインダーの含有量は、低屈折率層全質量(固形分の質量)の5〜70質量%であるのが好ましく、10〜65質量%であるのがより好ましく、20〜60質量%であるのがさらに好ましい。
本発明の低屈折率層において、ポリアミノ酸を含む場合のポリアミノ酸の含有量は、低屈折率層全質量(固形分の質量)の0.01〜15質量%であるのが好ましく、0.02〜10質量%であるのがより好ましく、0.05〜7質量%がさらに好ましく、0.1〜6質量%が特に好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の高屈折率層および低屈折率層には、必要に応じて各種添加剤を用いることができる。
(1)可塑剤
本発明で用いられる可塑剤としては、たとえば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤や、有機リン酸可塑剤、有機亜リン酸可塑剤等のリン酸可塑剤等が挙げられ、上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルは特に限定されないが、たとえば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。なかでも、トリエチレングリコールジカプロン酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキシル酸エステル等のトリエチレングリコールジアルキル酸エステル等が好適である。
上記多塩基性有機酸エステルは特に限定されないが、たとえば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖または分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。なかでも、ジヘキシルアジペート、ジブチルセバシン酸エステル、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適である。
上記有機エステル可塑剤は特に限定されず、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、リン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。
上記有機リン酸可塑剤は特に限定されず、たとえば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
(2)塗布助剤
本発明に用いる塗布助剤としては、たとえば、シロキサン系界面活性剤を用いることが出き、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが好ましい。 ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドまたはそれらの混合物で変性されたポリジメチルシロキサンが挙げられる。これらのポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはポリブチレンオキシドの量や混合比率等を適宜、変化させて得られる。
これらシロキサン系界面活性剤は、市販品として入手することができ、たとえば、ビックケミー社のBYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−320、BYK−323、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−340、BYK−344、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−UV3500、信越化学社のKF−945、KF−352A、KF−640、KF−351A、KF−354L、X−22−4272、X−22−6266、EFKA社のEFKA−3030、EFKA−3031、EFKA−3034、EFKA−3299、EFKA−3232、EFKA−3288、EFKA−3033、EFKA−3035、EFKA−3580、EFKA−3883、EFKA−3239、EFKA−3236、EFKA−3522などを挙げることができる。シロキサン系界面活性剤の添加量は、固形分に対して、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.05〜2.0質量%である。
(3)その他の添加剤
本発明に係る高屈折率層および低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する(なお、後述する低屈折率層においても適用可能である)。たとえば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、および特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、および特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
[基材]
本発明の赤外遮蔽フィルムに用いられる基材としては、フィルム支持体であることが好ましい。フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができる。その具体例としては、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に係る基材の厚みは、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは20〜150μmである。基材は、2枚以上を重ねたものであってもよく、この際、基材の種類は同じでもよいし異なっていてもよい。
[赤外遮蔽フィルム]
本発明の赤外遮蔽フィルムは、基材上に、低屈折率層と、第1の金属酸化物粒子およびポリアミノ酸を含む高屈折率層と、から構成されるユニットを少なくとも1つ有し、前記ポリアミノ酸が、ポリアミノ酸全量に対して、単一のアミノ酸由来のユニットを80モル%以上含むことを一つの特徴とする。また、前記低屈折率層と前記高屈折率層との屈折率差は0.1以上であるのが好ましい。さらには、本発明の赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998により測定される可視光領域の透過率が50%以上であり、かつ、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
本発明の赤外遮蔽フィルムは、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とからなるユニットを少なくとも1つ積層した構成(積層膜)であればよいが、高屈折率層および低屈折率層の総数の上限としては、100層以下、すなわち50ユニット以下であることが好ましい。さらに、層数を減らすことで、生産性が向上し、積層界面での散乱による透明性の減少を抑制することができるため、より好ましくは40層(20ユニット)以下であり、さらに好ましくは20層(10ユニット)以下である。また、本発明の赤外遮蔽フィルムは、上記ユニットを少なくとも1つ積層した構成であればよく、たとえば、積層膜の最表層や最下層のどちらも高屈折率層または低屈折率層となる積層膜であってもよい。本発明の赤外遮蔽フィルムとしては、基材に隣接する最下層が、低屈折率層で、最表層も低屈折率層である層構成が好ましい。
本発明の赤外遮蔽フィルムにおいて、高屈折率層の好ましい屈折率としては1.70〜2.50であり、より好ましくは1.80〜2.20であり、さらに好ましくは1.90〜2.20である。また、本発明の低屈折率層は、屈折率が1.10〜1.60であることが好ましく、1.30〜1.55であるのがより好ましく、1.30〜1.50がさらに好ましい。
一般に、赤外遮蔽フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層の屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができる観点で好ましいが、本発明では、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する該高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。
また、本発明の赤外遮蔽フィルムにおいては、隣接する高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましいが、高屈折率層と低屈折率層を上記のようにそれぞれ複数層有する場合には、全ての屈折率層が本発明で規定する要件を満たすことが好ましい。ただし、最表層や最下層に関しては、本発明で規定する要件外の構成であってもよい。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層(高屈折率層と低屈折率層)の屈折率差と積層数で決まり、屈折率差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。たとえば、赤外遮蔽率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、100層を超える積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下する。反射率の向上と層数を少なくする観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.40程度が限界である。
本発明において、高屈折率層、低屈折率層の屈折率は、下記の方法に従って求めることができる。
基材上に屈折率を測定する各屈折率層を単層で塗布したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
また、本発明の赤外遮蔽フィルムの全体の厚みは、好ましくは2〜315μm、より好ましくは3〜200μm、さらに好ましくは5〜100μmである。このように、本発明の赤外遮蔽フィルムは、従来の赤外遮蔽フィルムと比べてより薄い膜厚で、高い赤外遮蔽率を得ることが可能となる。
本発明の赤外遮蔽フィルムは、基材の下または基材と反対側の最表面層の上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を有していてもよい。
本発明の高屈折率層の1層あたりの厚み(乾燥後の厚み)は、20〜800nmであることが好ましく、50〜350nmであることがより好ましい。また、本発明の低屈折率層の1層あたりの厚み(乾燥後の厚み)は、20〜1000nmであることが好ましく、50〜800nmであることがより好ましい。
[赤外遮蔽フィルムの製造方法]
本発明の赤外遮蔽フィルムは、基材上に高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを積層して形成される。本発明の赤外遮蔽フィルムの製造方法は、高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液とを交互に塗布、乾燥して積層体を形成することが好ましく、水系の高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液とを交互に湿式塗布、乾燥して積層体を形成することが特に好ましい。
すなわち、本発明の赤外遮蔽フィルムは、たとえば、バインダーと、溶媒と、(必要により第2の金属酸化物と)を含む低屈折率層用塗布液と、第1の金属酸化物粒子と、ポリアミノ酸と、バインダーと、溶媒と、を含む高屈折率層用塗布液と、を基材に塗布する工程を含む製造方法により得られる。
さらに具体的には、たとえば、(1)基材上に、高屈折率層用塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成した後、低屈折率層用塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成し、赤外遮蔽フィルムを形成する方法(逐次塗布);(2)基材上に、低屈折率層用塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成した後、高屈折率層用塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成し、赤外遮蔽フィルムを形成する方法(逐次塗布);(3)基材上に、高屈折率層用塗布液と、低屈折率層用塗布液とを交互に逐次重層塗布した後乾燥して、高屈折率層および低屈折率層を含む赤外遮蔽フィルムを形成する方法(逐次重層塗布);(4)高屈折率層用塗布液と、低屈折率層用塗布液とを同時重層塗布し、乾燥して、高屈折率層および低屈折率層を含む赤外遮蔽フィルムを形成する方法(同時重層塗布);などが挙げられる。なかでも、一度に多層で塗布することができる観点で、同時重層塗布(上記(4))により基材に塗布されるのが好ましい。
塗布方法は、特に制限されず、たとえば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、または米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書などに記載のスライドホッパー(スライドビード)塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
また、同時重層塗布を行う際の塗布方式としては、エクストルージョンコート法、スライドホッパー(スライドビード)塗布方法、スライド型カーテン塗布方法が好ましく用いられるが、エクストルージョンコート法がより好ましい。
以下、本発明の好ましい製造方法(塗布方法)である同時重層塗布法について詳細に説明する。
(溶媒)
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。
有機溶媒としては、沸点30〜150℃の有機溶媒が挙げられ、たとえば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、水、水と水に溶解する有機溶媒とからなる混合溶媒が好ましく、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましい。
(塗布液の濃度)
また、同時重層塗布において、高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液とが、極界面を除いて混合することなく層を形成させるために、高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液は、ともに水系の塗布液を用いることが好ましい。そのため、高屈折率層と低屈折率層とは、ともに、バインダーとして水溶性樹脂を用いることが好ましく、塗布液の組成としては、水溶性樹脂(バインダー)と金属酸化物微粒子の質量比(水溶性樹脂/金属酸化物微粒子)が0.3〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5である。
低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液の各構成成分は、得られる低屈折率層および高屈折率層が、所望の量で各成分を含有するよう、塗布液中の濃度を適宜決定すればよい。たとえば、高屈折率層用塗布液中の第1の金属酸化物粒子(たとえば、酸化チタン粒子または酸化ジルコニウム粒子)の濃度は、0.5〜10質量%であることが好ましく、ポリアミノ酸の濃度は、0.1〜5質量%であることが好ましく、バインダーの濃度は、0.1〜5質量%であることが好ましい。また、低屈折率層用塗布液中において、第2の金属酸化物粒子の濃度は、0.5〜10質量%であることが好ましく、バインダーの濃度は、0.1〜6質量%であることが好ましい
さらに、高屈折率層および低屈折率層の各成分(第1の金属酸化物粒子、第2の金属酸化物粒子、バインダーおよびポリアミノ酸)の含有量が各層の欄で説明した数値範囲となるように、塗布液に各成分を添加することが好ましい。
(塗布液の粘度)
低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液の粘度としては、特に制限されないが、15℃における粘度が、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、3,000〜30,000mPa・sがさらに好ましく、10,000〜30,000mPa・sが特に好ましい。
スライドホッパー(スライドビード)塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の45℃における粘度は、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、10〜50mPa・sの範囲がより好ましい。また、スライド型カーテン塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の45℃における粘度は、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、25〜500mPa・sの範囲がより好ましい。また、エクストルージョンコート法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の5℃における粘度は、100〜10,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜8,000mPa・sである。
(塗布液の調製方法)
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の調製方法は、特に制限されず、公知の方法で調製される。たとえば、低屈折率層用塗布液は、第2の金属酸化物粒子、バインダー、および必要に応じて添加されるその他の添加剤を溶媒に添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、第2の金属酸化物粒子、バインダー、および必要に応じて用いられるその他の添加剤の添加順序も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調整される。なお、第2の金属酸化物粒子は、塗布液を調製するまえに、別途、分散液の状態に調製したものを用いるのが好ましい。分散液を用いる場合は、各層において任意の濃度となるように分散液を適宜添加すればよい。また、たとえば、高屈折率層用塗布液は、第1の金属酸化物粒子、ポリアミノ酸、バインダー、および必要に応じて添加されるその他の添加剤を溶媒に添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、第1の金属酸化物粒子、ポリアミノ酸、バインダー、および必要に応じて用いられるその他の添加剤の添加順序も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調整される。なお、第1の金属酸化物粒子およびポリアミノ酸は、塗布液を調製するまえに、別途、分散液の状態に調製したもの、または第1の金属酸化物粒子とポリアミノ酸との複合体を形成させたものを用いるのが好ましい。分散液や複合体を用いる場合は、各層において任意の濃度となるように分散液を適宜添加すればよい。
また、低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液としては、塗布後に塗膜をセットさせて層間の混合を抑制できるという点から、ポリビニルアルコール樹脂、ゼラチン類、増粘多糖類等の水溶性樹脂と、水あるいはこれに水溶性有機溶剤を含む水系溶媒を主成分とする水系塗布液を用いることが好ましい。
(塗布および乾燥方法)
塗布および乾燥方法の条件は、特に制限されないが、たとえば、逐次塗布法の場合は、まず、30〜60℃に加温した高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液のいずれか一方を基材上に塗布、乾燥して層を形成した後、もう一方の塗布液をこの層上に塗布、乾燥して積層膜前駆体(ユニット)を形成する。次に、所望の赤外遮蔽性能を発現するために必要なユニット数を、前記方法にて逐次塗布、乾燥して積層させて積層膜前駆体を得る。乾燥する際は、形成した塗膜を、30℃以上で乾燥することが好ましい。たとえば、湿球温度5〜50℃、膜面温度30〜100℃(好ましくは10〜50℃)の範囲で乾燥するのが好ましく、たとえば、40〜60℃の温風を1〜5秒吹き付けて乾燥する。乾燥方法としては、温風乾燥、赤外乾燥、マイクロ波乾燥が用いられる。また単一プロセスでの乾燥よりも多段プロセスの乾燥が好ましく、恒率乾燥部の温度<減率乾燥部の温度にするのがより好ましい。この場合の恒率乾燥部の温度範囲は30〜60℃、減率乾燥部の温度範囲は50〜100℃にするのが好ましい。
また、同時重層塗布を行う場合の塗布および乾燥方法の条件は、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を30〜60℃に加温して、基材上に高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃にいったん冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。たとえば、80℃の温風を1〜5秒吹き付けて乾燥する。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
ここで、前記セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め、各層間および各層内の物質の流動性を低下させたり、またゲル化する工程のことを意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。
塗布した時点から、冷風を当ててセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましく、2分以内であることがより好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、45秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間が短すぎると、層中の成分の混合が不十分となる虞がある。一方、セット時間が長すぎると、金属酸化物微粒子の層間拡散が進み、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が不十分となるおそれがある。なお、高屈折率層と低屈折率層との間の中間層の高弾性化が素早く起こるのであれば、セットさせる工程は設けなくてもよい。
セット時間の調整は、水溶性高分子(バインダ樹脂)の濃度や金属酸化物微粒子の濃度を調整したり、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギ−ナン、ゲランガム等の各種公知のゲル化剤など、他の成分を添加することにより調整することができる。
冷風の温度は、0〜25℃であることが好ましく、5〜10℃であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗膜の搬送速度にもよるが、10〜120秒であることが好ましい。
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の塗布厚は、上記で示したような好ましい乾燥時の厚みとなるように塗布すればよい。
[赤外遮蔽体]
本発明の赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。たとえば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムや、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
特に、本発明に係る赤外遮蔽フィルムは、直接または接着剤を介して、ガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合される部材に好適に用いられる。たとえば、建物の屋外の窓や自動車窓等太陽光に晒らされる窓ガラスに貼り合せ、室内温度の過上昇を抑える赤外反射効果を付与する窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主としてハウス内温度の過上昇を抑える赤外遮蔽効果を付与した農業用フィルムの目的で用いられる。
また自動車用の合わせガラスのように、本発明の赤外遮蔽フィルムをガラスとガラスの間に挟み、自動車用赤外遮蔽フィルムとして用いられ、この場合外気ガスから赤外反射フィルムを封止できるため、耐久性の観点から好ましい。
すなわち、本発明は、本発明の赤外遮蔽フィルム、または本発明の製造方法により得られる赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体をも提供する。
本発明の赤外遮蔽体とは、本発明の赤外遮蔽フィルムを基体の少なくとも一方の面に設けられた態様を意味するが、基体の複数面に設けた状態、本発明の赤外遮蔽フィルムに複数の基体を設けた状態でもよい。たとえば、板ガラスの両面に本発明の赤外遮蔽フィルムを設けた態様、本発明の赤外遮蔽フィルムの両面に粘着層を塗設し、赤外遮蔽フィルムの両面に板ガラスを貼り合わせた、合わせガラス状の態様であってもよい。
基体の具体的な例としては、たとえば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック、布等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでもよく、これらを2種以上組み合わせて用いてもよい。また、基体は、フィルム状、板状、球状、立方体状、直方体状等様々な形態であってよい。これらのうち、板状のセラミック基体またはガラス基体に本発明の赤外遮蔽フィルムを設けた、赤外遮蔽体が好ましい。基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。ガラス基体の例としては、たとえばJIS R 3202に記されたフロート板ガラス、および磨き板ガラスが好ましく、ガラス厚みとしては0.01mm〜20mmが好ましい。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。
基体に、本発明の赤外遮蔽フィルムを設ける方法としては、上述のように赤外遮蔽フィルムに接着剤(粘着剤)などの接着層(粘着層)を塗設し、粘着層を介して基体に貼り付ける方法が好適に用いられる。
貼合方法としては、そのまま基体にフィルムを貼る乾式貼合、水貼り貼合する方法が適応できるが、基体と赤外線遮蔽フィルムの間に空気が入らないようにするため、また基体上での赤外線遮蔽フィルムの位置決め等、施工のしやすさの観点で水貼り法により貼合することがより好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性または熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤が挙げられる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル接着剤またはシリコーン接着剤が好ましい。さらに粘着特性やコストの観点から、アクリル接着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、溶剤系およびエマルジョン系アクリル接着剤が好ましく、溶剤系アクリル接着剤がより好ましい。溶剤系アクリル接着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
接着剤の塗工方法としては、任意の公知の方法が使用でき、たとえばダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、転写法等が好ましく挙げられ、単独または組合せて用いることができる。これらは適宜、接着剤を溶解できる溶媒にて溶液にする、または分散させた塗布液を用いて塗工することが出来、溶媒としては公知の物を使用することが出来る。
接着層の形成は、先の塗工方式にて、直接赤外線遮蔽フィルムに塗工しても良く、また、一度剥離フィルムに塗工して乾燥させた後、赤外線遮蔽フィルムを貼り合せて接着剤を転写させても良い。この時の乾燥温度は、残留溶剤ができるだけ少なくなることが好ましく、そのためには乾燥温度や時間は特定されないが、好ましくは50〜150℃の温度で、10秒〜5分の乾燥時間を設けることが好ましい。
本発明の赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる接着層は、赤外遮蔽フィルムが日光(熱線)入射面側にあるように設置することが好ましい。また、本発明の赤外遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明の赤外遮蔽フィルムを、屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を上記の接着剤として用いてもよい。その具体例としては、たとえば、可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層または粘着層には、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着(粘着)調整剤等を適宜添加配合してもよい。
また、本発明の赤外遮蔽体は、赤外遮蔽フィルム以外にも他の層を形成されていてもよい。たとえば、赤外線吸収層、ハードコート層などが挙げられる。これらの層の形成方法についても特に制限はないが、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、エアーナイフコート法、ディップコート法、転写法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
以上のように、本発明の赤外遮蔽フィルムは、金属酸化物粒子を含む高屈折率層に、所定のポリアミノ酸が含有されていることで、温度変化に対してひび割れが抑制されている。すなわち、本発明は、金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液が所定のポリアミノ酸を含有することで、金属酸化物粒子同士の凝集を抑制し、該塗布液の安定性を向上させ、よって該塗布液を用いることにより、塗膜のひび割れを抑制し、さらに、高屈折率層(高屈折率層用塗布液)がバインダー(たとえば、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ゼラチンなど)を含有している場合であっても、所定のポリアミノ酸を含有することで、金属酸化物粒子とバインダーとの界面のクラックを抑制し、塗膜のひび割れを抑制する。そのため、本発明の赤外遮蔽フィルムは、昼間の温度と夜の温度とを繰り返されても、冬場の結露と乾燥を繰り返されても、塗膜のひび割れを抑制できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。
<評価項目と評価基準>
(塗布液の安定性の評価)
調製した塗布液を1000mLずつに小分けして蓋のついた容器に入れた後、50℃のバスで、スターラーで内部を6、12、24時間撹拌し続けた。その後、6、12、24時間撹拌した塗布液(1000mL)を、その温度のまま、孔径8μm、5μm、3μm、1.2μmのフィルター(フィルターの材質:セルロース混合エステル、フィルターの直径:90mm、商品名メンブレンフィルター ミリポア社製)に順次通過させ、以下の基準で通過性(濾過性)を評価し、塗布液の安定性を評価した。
(評価基準)
5 塗布液が、孔径10μm、5μm、3μm、1.2μmのフィルターを全量通過する
4 塗布液が、孔径10μm、5μm、3μm2のフィルターを全量通過するが、孔径1.2μmのフィルターを全量通過しない
3 塗布液が、孔径10μm、5μmのフィルターを全量通過するが、孔径3μmのフィルターを全量通過しない
2 塗布液が、孔径10μmのフィルターを全量通過するが、孔径5μmのフィルターを全量通過しない
1 塗布液が、孔径10μmのフィルターを全量通過しない。
(ヒートサイクル試験での耐久性(割れ)評価)
調製した塗布液を、5cm×5cmのPETフィルムに、2.5cm×2.5cmの範囲になるよう塗布した。当該塗布されたフィルムを、23℃×相対湿度55%で1日調湿し乾燥した後、プログラム付きの恒温槽で、85℃×相対湿度なりゆきで2時間と、23℃×相対湿度55%で2時間と、のサイクルを10回繰り返した。その後、2.5cm×2.5cmの範囲内の塗膜の割れを、目視と100倍のルーペとで確認し、下記の評価基準で塗膜の割れを評価した。なお、塗布乾燥後(ヒートサイクル試験の前)のフィルムは、下記実施例および比較例において、すべての塗膜で評価5であることを確認した。
(評価基準)
5 目視と、100倍のルーペと、でともに、ひび割れが観察されない
4 目視で塗膜の割れが観察されないが、100倍のルーペで6個未満のひび割れが観察される
3 目視で塗膜の割れが観察されないが、100倍ルーペで見ると6個以上のひび割れが観察される
2 目視で塗膜に6個未満の大きなひび割れが観察される
1 目視で塗膜に6個以上の大きなひび割れが観察される。
(ポリアミノ酸の合成)
(ポリグリシンの合成)
ポリグアニン(GGG)を、DNA合成機を用いて合成し、DNAポリメラーゼを用いて二本鎖を形成させ、さらにリガーゼを用いて得られた二本鎖DNAを連結して、グアニンが90個連なったポリヌクレオチドとその相補鎖とからなる二本鎖DNAを合成し、これを、発現ベクターに組み込んで組換えベクターを調製する。得られた組換えベクターを大腸菌に導入し、これを培養してDNA鎖を発現させた、培養後菌を破砕後、常法に従い、分離精製し、グリシンが30個連なったポリグリシンを得た。
(ポリアラニン、ポリトレオニンおよびポリセリンの合成)
以下、ポリグリシンの合成と同様の方法で、ポリアラニンの場合は、ポリグアニン(GGG)に変えポリGCGを用いて、ポリトレオニンの場合はポリグアニン(GGG)に変えポリACGを用いて、ポリセリンの場合はポリグアニン(GGG)に変えポリAGCを用いて、それぞれ所望のポリアミノ酸を得た。
(ポリグリシン−トリプトファンの合成)
ポリグアニン(GGG)を、ポリグアニン(GGG)とポリTGAに変え所望のポリアミノ酸を得た。
(コラーゲンペプチドおよびコラーゲンポリペプチド)
コラーゲンペプチドおよびコラーゲンポリペプチドは、それぞれ、コラーゲンペプチド(質量平均分子量:3000、ニッピ社製)、コラーゲントリペプチド(質量平均分子量:300、ニッピ社製)の市販品を使用した。
(低屈折率層用塗布液L1の調製)
15.0質量%酸化シリカゾル(体積平均粒径15nm、二酸化ケイ素粒子(扶桑化学工業社製:商品名PL−1))22gに、5.0質量%の酸処理ゼラチン(質量平均分子量:27000、ニッピ社製 AP−270)水溶液50gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)を0.043g添加し、純水で100mlに仕上げることで低屈折率層用塗布液L1を調製した。
低屈折率層用塗布液L1を、青板ガラス上に、0.5μm厚となるようにスピンコーターで塗布後80℃のホットプレート上で5分間乾燥させたのち、非接触式薄膜測定装置(F20フィルメトリックス社製干渉反射膜厚測定装置)にて塗膜の屈折率を測定し、1.368となることを確認した。
(高屈折率層用塗布液H1の調製)
15.0質量%酸化チタンゾル(体積平均粒径5nm、ルチル型酸化チタン粒子(堺化学社製:商品名SRD−W))45gに、純水を5g、5.0質量%の酸処理ゼラチン(質量平均分子量:27000、ニッピ社製 AP−270)水溶液50gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)を0.043g添加し、純水で100mlに仕上げることで高屈折率層用塗布液H1を調製した。
低屈折率層用塗布液L1と同様に、屈折率を測定したところ、1.96であることがわかった。
(高屈折率層用塗布液H2〜H16)
高屈折率層用塗布液H1の純水5gの代わりに、表1に記載の添加剤が表記載の固形分量となるように用いる以外は、上記H1の調製と同様に調製し、高屈折率層用塗布液H2〜16を得た。H1と同様にして屈折率を測定したところ屈折率はいずれも1.96であった。
(高屈折率層用塗布液H17の製造)
以下のように酸化チタンゾルを糖類の存在下で調製した。
15.0質量%酸化チタンゾル(体積平均粒径5nm、ルチル型酸化チタン粒子(堺化学社製:商品名SRD−W))に、100質量部にシラン化合物(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)0.1gを添加し、85℃に5時間加熱した後、当該溶液に、1−エチルー3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 0.1gをさらに添加して、チタニアゾル表面にカルボキシル基を入れ活性化したのち、アミノ酸ユニットが5であるポリグリシン 2gを入れ、90℃で2時間撹拌することにより、ポリグリシンでチタニア表面を被覆した。
得られたチタニアゾル45gに5質量%酸処理ゼラチン水溶液50gを攪拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)を0.043g添加し、純水で100mlに仕上げることで高低屈折塗布液H17を調製した。
低屈折率層用塗布液L1と同様に、屈折率を測定したところ、1.96であることがわかった。
(高屈折率層用塗布液H18、H19、H20の製造)
高低屈折塗布液H17において、ポリグリシンを表記載のものにそれぞれ変えて高屈折率層用塗布液H18、H19、H20を作成した。これについても、L1と同様にして屈折率を測定したところいずれも1.96であった。
(比較例1)
(赤外遮蔽フィルム試料1の作製)
8cm×8cmの大きさに断裁した易接着処理したPETフィルムを、8cm×8cmの大きさに切断したガラス基板上に両面テープで貼り、このフィルム上に、低屈折率層用塗布液L1を垂らして、スピンコーターの回転数を調整して、乾燥層厚が160nmとなるようにコーティングした後、ガラスごと80℃のホットプレート上で乾燥させた。乾燥後再びスピンコーターに乗せ、高屈折率層用塗布液H1を垂らして乾燥層厚が160nmとなるようにコーティングし、再びガラス面からはがして80℃のホットプレート上で乾燥させた。低屈折率層用塗布液L1と高屈折率層用塗布液H1の交互塗布を5回(各層の厚さ:160nm)繰り返し、さらに低屈折率層用塗布液L1を垂らして、スピンコーターの回転数を調整して、乾燥層厚が140nmとなるようにコーティングした後、ガラスごと80℃のホットプレート上で乾燥させた。乾燥後再びスピンコーターに乗せ、高屈折率層用塗布液H1を垂らして乾燥層厚が140nmとなるようにコーティングし、再びガラス面からはがして80℃のホットプレート上で乾燥させた。これを5回繰り返し、さらに低屈折率層用塗布液L1を垂らして、スピンコーターの回転数を調整して、乾燥層厚が800nmとなるようにコーティングしたのち、ガラスごと80℃のホットプレート上で乾燥させた。乾燥後再びスピンコーターに乗せ、低屈折率層用塗布液L1を垂らして、スピンコーターの回転数を調整して、乾燥層厚が800nmとなるようにコーティングした後、ガラスごと80℃のホットプレート上で乾燥させた。高屈折率層用塗布液H1を垂らして乾燥層厚が140nmとなるようにコーティングし、再びガラス面からはがして80℃のホットプレート上で乾燥させた。低屈折率層用塗布液L1を垂らして、スピンコーターの回転数を調整して、乾燥層厚が140nmとなるようにコーティングした後、ガラスごと80℃のホットプレート上で乾燥させた。低屈折率層用塗布液L1と高屈折率層用塗布液H1の交互塗布を4回(各層の厚さ:140nm)繰り返した。乾燥後再びスピンコーターに乗せ、低屈折率層用塗布液L1を垂らして、スピンコーターの回転数を調整して、乾燥層厚が800nmとなるようにコーティングした後、ガラスごと80℃のホットプレート上で乾燥させた。
乾燥後再びスピンコーターに乗せ、高屈折率層用塗布液H1を垂らして乾燥層厚が130nmとなるようにコーティングし、再びガラス面からはがして80℃のホットプレート上で乾燥させた。低屈折率層用塗布液L1を垂らして、スピンコーターの回転数を調整して、乾燥層厚が130nmとなるようにコーティングしたのち、ガラスごと80℃のホットプレート上で乾燥させた。これを4回繰り返し、赤外遮蔽フィルム試料1を作成した。
日立分光光度計U−4000にてスペクトルを測定したところ、近赤外領域である980nm〜1240nmにかけ、ほぼ反射率が100%の赤外遮蔽フィルムであることを確認した。
(比較例2〜6および実施例1〜14)
(赤外遮蔽フィルム試料2〜20の作製)
高屈折率層用塗布液H1の代わりに、比較例2〜6としては、高屈折率層用塗布液H2〜6を使用し、実施例1〜14としては、高屈折率層用塗布液H7〜20を使用した。すなわち、高屈折率層用塗布液H1の代わりに、表1に記載の高屈折率層用塗布液をそれぞれ用いる以外は、赤外遮蔽フィルム試料1と同様にして、同様の構成となるようPETフィルム上に低屈折率層、高屈折率層を積層して赤外遮蔽フィルム試料2〜19(比較例2〜6:赤外遮蔽フィルム試料2〜6、実施例1〜14:赤外遮蔽フィルム7〜20)を作成した。
作成したいずれの試料についても赤外遮蔽フィルム試料1と同等の反射率が赤外領域に観察され、赤外遮蔽フィルムであることが確認された。
作成した赤外遮蔽フィルム試料について、塗布液の通過性(濾過性)、ヒートサイクル試験でのひび割れ、の評価を行い、安定性および耐久性を評価した。
結果を表1に示す。
Figure 0005742671
表1の結果から、本発明の試料は塗膜のひび割れが少なく、特に、酸化チタン粒子をポリグリシンで被覆したもの(実施例11〜14)については、塗膜のひび割れが顕著に抑制され、特に良好であった。
(赤外遮蔽体 試料)
得られた赤外遮蔽フィルム試料7〜20の塗布面に、水を付け、ガラス面に貼りつけたところ、フィルムの反射波長領域と同じ波長の赤外を反射できた。

Claims (9)

  1. 基材上に、
    低屈折率層と、
    第1の金属酸化物粒子、ポリアミノ酸およびバインダー(ただし、ポリアミノ酸は除く)を含む高屈折率層と、
    から構成されるユニットを少なくとも1つ有し、
    前記ポリアミノ酸が、ポリアミノ酸全量に対して、単一のアミノ酸由来のユニットを80モル%以上含む、赤外遮蔽フィルム。
  2. 前記ポリアミノ酸の含有量が、前記高屈折率層の固形分に対して0.001〜20質量%である、請求項1に記載の赤外遮蔽フィルム。
  3. 前記第1の金属酸化物粒子の含有量が、前記高屈折率層の固形分に対して30〜90質量%であり、
    前記バインダーの含有量が、前記高屈折率層の固形分に対して5〜65質量%である、請求項1または2に記載の赤外遮蔽フィルム。
  4. 前記ポリアミノ酸が、ポリアラニン、ポリトレオニン、ポリセリン、およびポリグリシンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外遮蔽フィルム。
  5. 前記ポリアミノ酸が、前記第1の金属酸化物粒子と反応する結合剤を介して、前記第1の金属酸化物粒子と結合して、前記第1の金属酸化物粒子を被覆してなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外遮蔽フィルム。
  6. バインダーと、溶媒と、を含む低屈折率層用塗布液と、
    第1の金属酸化物粒子と、ポリアミノ酸と、バインダー(ただし、ポリアミノ酸は除く)と、溶媒と、を含む高屈折率層用塗布液と、
    を基材に塗布する工程を含み、
    前記ポリアミノ酸が、ポリアミノ酸全量に対して、単一のアミノ酸由来のユニットを80モル%以上含む、赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  7. 前記第1の金属酸化物粒子を含む分散液に、第1の金属酸化物粒子と反応する結合剤を添加して、前記第1の金属酸化物粒子と前記結合剤とを反応させる金属酸化物粒子の表面処理工程と、
    前記表面処理工程後に、前記ポリアミノ酸を、前記第1の金属酸化物粒子を含む分散液に添加して、前記ポリアミノ酸を前記結合剤と反応させて、前記ポリアミノ酸により前記第1の金属酸化物粒子を被覆する表面被覆工程と、
    を含む工程により、前記高屈折率層用塗布液を調製する、請求項に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  8. 前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液を、同時重層塗布により基材に塗布する、請求項またはに記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の赤外遮蔽フィルムまたは請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法により得られる赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体。
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