JP5730101B2 - 発電システムを備えたローカル電力系統の制御方法及びローカル電力系統 - Google Patents
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Description
その一方で、売電を行うことがないバイナリー発電システムの接続に際しては、外部の電力供給系統を構成する機器やこの電力供給系統に接続されている他の需要者に、当該バイナリー発電システムが悪影響を及ぼさないように逆潮流防止継電器(逆潮流防止手段)を設置しなくてはならないことが義務づけられている。
ここで、売電を行わないローカル電力系統に対して、特許文献1の発電システムを採用することを考える。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、逆潮流防止手段を介して外部の電力供給系統に接続されているローカル電力系統において、ローカル電力系統内の電力負荷での使用電力が減少しても外部の電力供給系統に逆潮流が起きにくく、且つ、逆潮流防止手段が接続された状態で発電したとしてもローカル電力系統内の発電システムの稼働率や
発電効率が低下することがないローカル電力系統の制御方法及びローカル電力系統を提供することを目的とする。
。
また、前記発電機で発電された発電電力を計測する発電電力測定手段と、前記電力負荷が消費する使用電力を計測する使用電力測定手段とを予め設けておき、この発電電力測定手段で測定された発電電力から使用電力測定手段で測定された使用電力を減じた値が、逆潮流防止手段の働く電力値未満であって、逆潮流が生じると判断できる値に対して安全率を見積もって設定された発電電力の設定値に近づくように、前記作動媒体の循環量を変化させて電力負荷へ供給される発電電力量を調整するのが好ましい。
なった際には、蓄電されていた電力を電力負荷側へ供給するのが好ましい。
また、前記発電量調整手段が、前記作動媒体を蒸発器へ送るとともにその送り量を調整自在な、ポンプの出口側流路から分岐してポンプの入口側流路へと繋がるバイパス流路に設けられたバイパス弁であるのが好ましい。
図1(a)に示すように、本発明のローカル電力系統1は、電力負荷2と、この電力負荷2に発電した電力を供給するバイナリー発電システム(以下、発電システム3という)とで構成される。また、このローカル電力系統1は、外部の電力供給系統4に逆潮流防止継電器5(逆潮流防止手段)を介して接続されている。そして、これらの電力負荷2、バイナリー発電システム3、外部の電力供給系統4の三者は配線6で互いに電気的に接続されている。
発電システム3は、工場の廃熱や地熱のような熱源から熱を回収して発電を行うものである。具体的には、図1(b)に示す如く、この発電システム3は、熱源(図例では温水)により液状の作動媒体を蒸発させてガス状の作動媒体を生成する蒸発器7と、この蒸発器7で生成された作動媒体の蒸気を利用して発電を行う発電機8と、この発電機8で発電に利用された蒸気を凝縮させて、蒸発器7に供給される液状の作動媒体を生成する凝縮器9とを備えている。これら蒸発器7、発電機8、凝縮器9は、作動媒体を循環させる循環配管10(循環ライン)により接続されており、この循環配管10の経路上には、作動媒体を循環させるポンプ11が配備されている。つまり、発電システム3は、このポンプ11により作動媒体を循環配管10の一方向に向かって送りつつ、作動媒体を蒸発器7、発電機8、凝縮器9の順番に循環させる閉ループ状の構成とされている。
が生成される。そして、この蒸発器7から発電機8に送られた作動媒体の蒸気は、発電機8を駆動させ発電を行う。その後、蒸気は凝縮器9に送られ、凝縮器9において冷却水との間に熱交換が行われて、作動媒体の蒸気は液体に戻る。凝縮器9で生成された液状の作動媒体はポンプ11で圧送されて蒸発器7に帰還する。発電された電力は、ローカル電力系統1内の電力負荷2に送られる。
外部の電力供給系統4は、例えば、電力会社が発電し商業的に電力を供給する系統である。
逆潮流防止継電器5を必要とする理由は以下の通りである。
例えば、上述した発電システム3で発電した電力を電力会社に売電しない場合は、何らかの理由で発電した電力の一部が余剰電力として電力供給系統4に流れ込むと、外部の電力供給系統4の電圧や周波数が高くなって供給電力の品質が損なわれる虞がある。また、このような電力会社で制御できないような電力が存在すると、電力会社側で配線6をメンテナンスする際などに問題が発生することもある。そこで、逆潮流防止継電器5を介して、ローカル電力系統1を外部の電力供給系統4へ接続するようにしている。この逆潮流防止継電器5は、電力供給系統4に対する電力の逆流(逆潮流)を監視し、電力会社側で制御できないような電力(発電電力)の逆流があった場合はローカル電力系統1を外部の電力供給系統4から切り離す機能を有している。
具体的な発電電力量の調整・制御方法を、第1実施形態〜第3実施形態として、以下説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態の制御方法は、作動媒体の循環量を変化させることにより電力負荷2へ供給される発電電力量を調整するものである。具体的には、この制御方法では、発電機8で発電された発電電力を計測する発電電力測定手段12を予め設けておき、この発電電力測定手段12で測定された発電電力が予め定められた発電電力量の設定値となるように、作動媒体の循環量すなわち蒸発器へ送る作動媒体の送り量を変化させて電力負荷2へ供給される発電電力量を調整する。
図1(b)に示すように、発電機8から電力負荷2に向かう配線6は途中で分岐していて、分岐した配線6を介して発電された電力の一部を発電機8のポンプ11や潤滑油ポン
プなど(内部負荷)に帰還することによりこれらの運転を可能とするようになっている。この配線6の分岐点Xから三方に伸びる配線6のそれぞれの配線6に対して、電力を測定する3つの電力測定手段12(第1電力測定手段12a〜第3電力測定手段12c)が設けられている。
なお、第1電力測定手段12a〜第3電力測定手段12cとしては、渦電流式の積算電力計やコイルを用いた瞬時式電力計などを用いることができる。また、これらの電力測定手段には、電力計に代えて電流計などを用いても良い。この場合、計測された電流値に電圧をかけることで電力が算出される。
循環量算出部14には、製造現場の操業実績に基づいて、予め発電すべき発電電力の設定値がプログラムされている。この発電電力の設定値は、例えば電力負荷2(外部負荷)が一日のうちでどれ位変動するか、あるいは日中と夜間とで電力負荷2がどれ位変動するかと言った過去の統計データから決定されている。循環量算出部14では、この統計データに基づいて電力負荷2に釣り合う発電電力より安全率を見積もった小さい電力(逆潮流防止手段が働く電力値未満とされた電力値)を発電する場合の作動媒体の循環量を算出する。この循環量算出部14で算出された作動媒体の循環量は、ポンプ制御部15に送られる。
図2には、第1実施形態のローカル電力系統1の制御方法を示すフローチャートが示してある。この図を用いて、第1実施形態の制御方法を説明する。
定手段12の値)と、ステップ1(S1)で設定された発電電力量の設定値との比較を行う。
この実測出力電力が発電電力量の設定値より大きい場合(Yesの場合)は、電力負荷2で必要とされる電力に対して発電機8の発電電力量が大きくなっている。つまり、余剰の電力が外部の電力供給系統4に流れ込んで、逆潮流防止継電器5が働く虞があるため、ステップ4(S4)に進んで作動媒体の循環量(蒸発器7への送り量)を減らす。
ステップ4(S4)では、発電量調整手段であるポンプ11の回転数を下げる、又はバイパス弁を開くなどして、ポンプ11の出力を下げ、作動媒体の循環流量を減らす。
このようにすれば発電電力量が電力負荷2で必要とされる電力に対して常時これを下回るように電力負荷2の負荷状況に応じた発電が行われ、逆潮流防止継電器5を介して外部の電力供給系統4の電力が絶えず電力負荷2に向かって流れ込むため、逆潮流防止継電器5が作動しなくなる。その結果、発電機8の稼働率が上がって、発電効率も向上する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のローカル電力系統1の制御方法を説明する。
つまり、供給電力測定手段16では、外部の電力供給系統4から電力負荷2側に流れる向きを正とする電力が測定される。そして、供給電力測定手段16で測定される供給電力が予め安全率を見積もって設定された設定値(閾値)よりも小さくなった(安全率の範囲内で負の値となった)場合には、供給電力測定手段16で測定された電力に逆潮流が発生しうると判断して、この逆潮流の発生を未然に防止すべく発電量調整手段を用いて作動媒体の循環量を減少させて電力負荷2側への電力供給量を調整するのである。
ステップ1(S1)では、まず供給電力測定手段16を用いて、外部の電力供給系統4からローカル電力系統1に流れ込む電力(供給電力)を測定する。この供給電力測定手段16で測定された電力は、制御部13の循環量算出部14に送られる。
ステップ3(S3)では、発電量調整手段であるポンプ11の回転数を下げる、又はバイパス弁を開くなどして、ポンプ11の出力を下げ、作動媒体の循環流量を減らす。
このようにすれば外部の電力供給系統4の電力が逆潮流防止継電器5を介して絶えず電力負荷2側に向かって流れるため、余剰の発電電力が逆潮流となって外部の電力供給系統4に流れ込むことはなく、逆潮流防止継電器5が作動する心配もない。当然、発電機8の稼働率が上がる。その上、電力負荷2で必要とされる電力(使用電力)に対して、この電力に追随するように発電電力が絶えず最大電力となるため、発電システム3の発電効率も高いものとなる。
[第2実施形態の変形例]
次に、第2実施形態のローカル電力系統1の制御方法(変形例)を説明する。
具体的には、図4のフローチャートに示されるように、ステップ1(S1)では、まず供給電力測定手段16で実測される電力の代わりに、使用電力測定手段17と発電電力測定手段12とを用いて電力を測定する。このようにしてそれぞれの測定手段で電力が測定されたら、発電電力測定手段12で測定された発電電力から使用電力測定手段17で測定された使用電力を差し引き、両者の電力差を算出する。このようにして算出された電力(電力の差)が、制御部13の循環量算出部14に送られる。
た設定値(閾値)以下であるか否かを判断する。この設定値(閾値)は、逆潮流が生じると判断できる値に対して、安全率を見積もってやや小さく設定された値である。この判断は、発電電力測定手段12で測定された電力が使用電力測定手段17で測定された電力よりも大きいか(逆潮流防止継電器5を流れる電力に逆潮流が発生する虞があるか)否かを区別するものである。
すなわち、ステップ2(S2)では、差電力が設定値以下である場合(Yesの場合)は、逆潮流防止継電器5を経由してローカル電力系統1から外部の電力供給系統4に電力が流れ込む、言い換えれば発電機8で発電された余剰の電力が外部の電力供給系統4に逆流して、逆潮流防止継電器5が働く可能性があると判断できるため、ステップ3(S3)に進んで作動媒体の循環量を減らす。
ステップ3(S3)では、発電量調整手段であるポンプ11の回転数を下げる、又はバイパス弁を開くなどして、ポンプ11の出力を下げ、作動媒体の循環流量を減らす。また、ステップ4(S4)では、発電量調整手段であるポンプ11の回転数を上げる、又はバイパス弁を閉じるなどして、ポンプ11の出力を上げ、作動媒体の循環流量を増やす。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のローカル電力系統1の制御方法を説明する。
っている)と判断した際には、発電機8で発電された電力の一部を蓄電する。一方、供給電力測定手段16で測定される電力が上限として予め設定した閾値よりも大きくなっている(負荷が増えている)ときには、蓄電されていた電力を電力負荷2へ供給する。このように、減っている負荷が増えるまでの間において、電力負荷2が比較的短い時間に大きく変化した際に余剰電力が短時間に大きく変化することを緩和して逆潮流防止継電器5の作動を防止するものとなっている。
上述したバッテリ19の陽極はローカル電力系統1にコンバータ18及びインバータ20を介して電気的に接続されており、陰極は接地されている。また、このバッテリ19は、例えば、発電機8で発電された電力をコンバータ18で交流から、直流に変換して蓄電するものである。このバッテリ19に蓄電されていた電力は、インバータ20で交流(60Hz、200V程度)に再変換して取り出すことができるようになっている。これらのコンバータ18及びインバータ20には図示しないON−OFF機構が設けられており、これらのON−OFF機構を蓄電制御部21で制御することにより発電機8で発電された電力から所定の電力量をバッテリ19に蓄電できるようになっている。
図6のステップ1(S1)では、第2実施形態の場合と同様に、供給電力測定手段16を用いて、外部の電力供給系統4からローカル電力系統1に流れ込む電力(供給電力)を測定する。この供給電力測定手段16で測定された電力は、制御部13の蓄電量算出部22に送られる。
ステップ4(S4)では、コンバータ18をONにすると共にインバータ20をOFFにして、バッテリ19への蓄電を行う。このようにバッテリ19に発電電力の一部を蓄電すれば、負荷が増えるまでの暫くの間、電力負荷2が比較的短い時間に大きく変化した際に余剰電力が短時間に大きく変化することを緩和することになり、より効果的に逆潮流の発生も防止される。
なお、上述した第3実施形態の場合も、第2実施形態のローカル電力系統1の制御方法と同様に、供給電力測定手段16で測定された電力値以外の指標、言い換えれば発電電力測定手段12で測定された発電電力から使用電力測定手段17で測定された使用電力を差し引いたものを用いることができる。このように発電電力測定手段12で測定された発電電力から使用電力測定手段17で測定された使用電力を減じた値が下限として予め設定した閾値より小さくなったかどうかに基づいてバッテリ19に余剰電力を蓄電するようにすることができる。
2 電力負荷
3 発電システム(バイナリー発電システム)
4 電力供給系統
5 逆潮流防止継電器(逆潮流防止手段)
6 配線
7 蒸発器
8 発電機
9 凝縮器
10 循環配管
11 ポンプ(発電量調整手段)
12 発電電力測定手段
12a 第1電力測定手段
12b 第2電力測定手段
12c 第3電力測定手段
13 制御部
14 循環量算出部
15 ポンプ制御部
16 供給電力測定手段
17 使用電力測定手段
18 コンバータ
19 バッテリ
20 インバータ
21 蓄電制御部
22 蓄電量算出部
X 分岐点
Claims (7)
- 熱源により液状の作動媒体を蒸発させて蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器で生成された蒸気を利用して発電を行うと共に、外部の電力供給系統に逆潮流防止手段を介して接続されている発電機と、前記発電機で発電に利用された蒸気を凝縮させて、前記蒸発器に供給される液状の作動媒体を生成する凝縮器と、を有する発電システムを備えると共に、前記発電機に接続された電力負荷と、前記発電機から外部の電力供給系統への逆潮流を遮断する逆潮流防止手段と、を備えているローカル電力系統の制御方法であって、
前記発電システムの発電機は、前記発電機の発電電力が逆潮流防止手段の働く電力値未満であって、逆潮流が生じると判断できる値に対して安全率を見積もって設定された発電電力の設定値となるよう、変動する前記電力負荷の負荷状態に合わせて、電力負荷へ供給される発電電力量を調整することを特徴とするローカル電力系統の制御方法。 - 前記発電電力を計測する発電電力測定手段を予め設けておき、
この発電電力測定手段で測定される発電電力が前記設定値となるように、前記蒸発器へと送られる前記作動媒体の循環量を変化させて電力負荷へ供給される発電電力量を調整することを特徴とする請求項1に記載のローカル電力系統の制御方法。 - 前記発電機で発電された発電電力を計測する発電電力測定手段と、前記電力負荷が消費する使用電力を計測する使用電力測定手段とを予め設けておき、
この発電電力測定手段で測定された発電電力から使用電力測定手段で測定された使用電力を減じた値が、逆潮流防止手段の働く電力値未満であって、逆潮流が生じると判断できる値に対して安全率を見積もって設定された発電電力の設定値に近づくように、前記作動媒体の循環量を変化させて電力負荷へ供給される発電電力量を調整することを特徴とする請求項1に記載のローカル電力系統の制御方法。 - 前記発電電力測定手段で測定された発電電力から使用電力測定手段で測定された使用電力を減じた値が下限として予め設定した閾値よりも小さくなった際には、発電機で発電された電力の一部を蓄電し、
前記発電電力測定手段で測定された発電電力から使用電力測定手段で測定された使用電力を減じた値が上限として予め設定した閾値よりも大きくなった際には、蓄電されていた電力を電力負荷側へ供給することを特徴とする請求項3に記載のローカル電力系統の制御方法。 - 熱源により液状の作動媒体を蒸発させて蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器で生成された蒸気を利用して発電を行うと共に、外部の電力供給系統に逆潮流防止手段を介して接続されている発電機と、前記発電機で発電に利用された蒸気を凝縮させて、前記蒸発器に供給される液状の作動媒体を生成する凝縮器と、を有する発電システムと、
前記発電機に接続された電力負荷と、
前記発電機から外部の電力供給系統への逆潮流を遮断する逆潮流防止手段と、
前記発電機の発電電力を変化させて前記電力負荷へ供給される発電電力量を調整する発電量調整手段と、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載された制御方法を実施する制御部と、
を備えていることを特徴とするローカル電力系統。 - 前記発電量調整手段が、前記作動媒体を蒸発器へ送るとともにその送り量を調整自在なポンプであることを特徴とする請求項5に記載のローカル電力系統。
- 前記発電量調整手段が、前記作動媒体を蒸発器へ送るとともにその送り量を調整自在な、ポンプの出口側流路から分岐してポンプの入口側流路へと繋がるバイパス流路に設けられたバイパス弁であることを特徴とする請求項5に記載のローカル電力系統。
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