JP5729618B2 - 波長変換素子、波長変換方法、及び光源装置 - Google Patents

波長変換素子、波長変換方法、及び光源装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5729618B2
JP5729618B2 JP2013132850A JP2013132850A JP5729618B2 JP 5729618 B2 JP5729618 B2 JP 5729618B2 JP 2013132850 A JP2013132850 A JP 2013132850A JP 2013132850 A JP2013132850 A JP 2013132850A JP 5729618 B2 JP5729618 B2 JP 5729618B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystal
harmonic
incident
wavelength conversion
refractive index
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013132850A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013231988A (ja
Inventor
村松 研一
研一 村松
栗村 直
直 栗村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
National Institute for Materials Science
Original Assignee
Nikon Corp
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp, National Institute for Materials Science filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2013132850A priority Critical patent/JP5729618B2/ja
Publication of JP2013231988A publication Critical patent/JP2013231988A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5729618B2 publication Critical patent/JP5729618B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/37Non-linear optics for second-harmonic generation
    • G02F1/377Non-linear optics for second-harmonic generation in an optical waveguide structure
    • G02F1/3775Non-linear optics for second-harmonic generation in an optical waveguide structure with a periodic structure, e.g. domain inversion, for quasi-phase-matching [QPM]
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/37Non-linear optics for second-harmonic generation
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/355Non-linear optics characterised by the materials used
    • G02F1/3558Poled materials, e.g. with periodic poling; Fabrication of domain inverted structures, e.g. for quasi-phase-matching [QPM]

Description

本発明は、波長変換素子、波長変換方法、位相整合方法、及び光源装置に関するものである。
非線形光学結晶に対し、二次の非線形光学効果を利用して第二高調波を発生(Secondharmonic generation;SHG)させる波長変換素子として使う方法が知られている。非線形光学効果とは、物質の分極応答の非線形性による効果のことで、物質中にレーザー光のような強い光を入射した場合、入射光の電界に対して分極の応答が比例しなくなることにより、入射光の一部が波長変換される現象をいう。
実際に発生する第二高調波は、結晶の分散特性のため入射光の波長の1/2よりも若干短い波長になってしまう。そのため、第二高調波同士の位相は序々にずれてしまい、その結果、第二高調波同士の打ち消し合いが生じてしまう。この場合、十分な光量の第二高調波を発生させることは難しくなってしまう。
そこで、十分な光量の第二高調波を得るため、位相整合を行うことが提案されている(例えば、非特許文献1)。擬似位相整合とは、第二高調波同士の電場の打ち消し合いを回避すべく、結晶中において極性反転構造を作り、電場が打ち消し合わない向きに極性を変えてやることにより擬似的に位相を整合させて第二高調波を発生させることを可能にする方法をいう。
Valentin G. Dmitriev, Gagik G.Gurzadyan, David N. Nikogosyan著、「Handbook of NonlinearOptical Crystals(second, revised and updated edition)」、Springer-Verlag出版)、1997年、p.3―14
ところで、旋光性を有する非線形光学結晶による位相整合では、新たな問題が発生してしまう。旋光性という現象は、例えば水晶等の非線形光学結晶内を進む直線偏光が、直線偏光のままでその光の振動面(正確には光の電界振動面、以下振動面と表記)が回転してしまう、というような現れ方をする。回転する角度は、結晶内を進む距離(光路長)に比例し、また可視光から紫外域の波長領域では、波長が短いほど回転角が大きくなる。このとき、水晶内で右回りに回転するか左回りに回転するかは、水晶が右水晶であるか左水晶であるかによって決まる。
旋光性は、結晶における本質的な現象であり、その効果の大きさは個々の物質によって異なるものの、存在の有無、存在する場合の挙動の異方性は結晶構造の対称性から一義的に決まる現象である。
旋光性を有する非線形光学結晶中ではこのように、同位相でありながら電界の方向が異なる第二高調波が、素子の長さに応じて再生産されてしまう。旋光性が存在しない位相整合であれば、これらの第二高調波群の電界の方向がそろい、重ね合わせの結果強め合う関係を形成することができる。しかしながら、旋光性を有する非線形光学結晶の位相整合においては、同位相でありながら電界の方向が異なってしまうため単純な加算は成り立たない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、基本波から第二高調波を効率良く発生することができる波長変換素子、波長変換方法、及び光源装置を提供することを課題とする。
本発明に係る波長変換素子は、点群32又は点群3に属する単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子であって、前記非線形光学結晶は、所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域と、波長λ且つ周波数ωの基本入射波が前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向で入射する入射面と、結晶内で発生した周波数2ωの第二高調波が出射する出射面と、を有し、前記複数の第1及び第2の領域は、前記入射面と前記出射面との間で結晶のZ軸方向に沿って、以下の(1)式又は(2)式で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されていることを特徴とする。
Figure 0005729618


ただし、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対するZ軸方向における右回り円偏光の屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対するZ軸方向における右回り円偏光の屈折率、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対するZ軸方向における左回り円偏光の屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対するZ軸方向における左回り円偏光の屈折率、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。
本明細書において、dと実質的に等しい周期とは、dに対して−2%以上+2%以下のずれを有する範囲にある値となる周期、すなわち0.98×d以上1.02×d以下の周期をいう。また、本明細書において、極性方向に対して実質的に垂直な方向に基本入射波を入射するとは、極性方向に対して垂直な方向から3°以内のずれ、より好ましくは2°以内のずれを有する範囲内の方向で基本入射波を入射することをいう。
この場合、非線形光学結晶が水晶であってもよい。また、1/4波長板をさらに備え、前記1/4波長板は、当該1/4波長板を通過した前記基本入射波が前記入射面に入射されるように配置されていてもよい。
本発明に係る波長変換方法は、点群32又は点群3に属する単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子に波長λ且つ周波数ωの基本入射波を入射し、前記波長変換素子から出射される周波数2ωの第二高調波を得ることで波長変換する方法であって、所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域とを有するとともに、前記複数の第1及び第2の領域は結晶のZ軸方向に沿って以下の(1)式又は(2)式で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるように形成されている前記波長変換素子を用意する工程と、前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向から前記基本入射波を円偏光で前記波長変換素子に入射して前記第二高調波を得る工程と、を備えることを特徴とする。
Figure 0005729618


ただし、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対するZ軸方向における右回り円偏光の屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対するZ軸方向における右回り円偏光の屈折率、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対するZ軸方向における左回り円偏光の屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対するZ軸方向における左回り円偏光の屈折率、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。
本発明に係る波長変換素子は、旋光性を有する単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子であって、前記非線形光学結晶は、所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域と、波長λ且つ周波数ωの基本入射波が前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向で入射する入射面と、結晶内で発生した周波数2ωの第二高調波が出射する出射面と、を有し、前記複数の第1及び第2の領域は、前記入射面と前記出射面との間で、以下の式(3)、式(4)、式(5)または式(6)で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されていることを特徴とする。
Figure 0005729618


ただし、nおよびnは前記非線形光学結晶の光線方向における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率であり、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。
この場合、非線形光学結晶が水晶であってもよい。また、1/4波長板をさらに備え、前記1/4波長板は、当該1/4波長板を通過した前記基本入射波が前記入射面に入射されるように配置されていてもよい。
本発明に係る波長変換方法は、旋光性を有する単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子に波長λ且つ周波数ωの基本入射波を入射し、前記波長変換素子から出射される周波数2ωの第二高調波を得ることで波長変換する方法であって、所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域とを有するとともに、前記複数の第1及び第2の領域は以下の式(3)、式(4)、式(5)または式(6)で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されている前記波長変換素子を用意する工程と、前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向であって且つ結晶の固有偏光の楕円率γがγ<0.1となる結晶方位から前記基本入射波を前記波長変換素子に入射して前記第二高調波を得る工程と、を備えることを特徴とする。
Figure 0005729618


ただし、nおよびnは前記非線形光学結晶の光線方向における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率であり、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。
本発明に係る波長変換方法は、旋光性を有する単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子に波長λ且つ周波数ωの基本入射波を入射し、前記波長変換素子から出射される周波数2ωの第二高調波を得ることで波長変換する方法であって、
所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域とを有するとともに、前記複数の第1及び第2の領域は以下の式(3)、式(4)、式(5)または式(6)で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されている前記波長変換素子を用意する工程と、前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向から前記基本入射波を前記波長変換素子に楕円偏光で入射して前記第二高調波を得る工程と、を備えることを特徴とする。
Figure 0005729618


ただし、nおよびnは前記非線形光学結晶の光線方向における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率であり、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。
本発明に係る波長変換素子は、旋光性を有する単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子であって、前記非線形光学結晶は、所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域と、波長λ且つ周波数ωの基本入射波が前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向で入射する入射面と、結晶内で発生した周波数2ωの第二高調波が出射する出射面と、を有し、前記複数の第1及び第2の領域は、前記入射面と前記出射面との間に、以下の式(7)、式(8)、式(9)又は式(10)で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されていることを特徴とする。
Figure 0005729618


ただし、n1G=0およびn2G=0は前記非線形光学結晶の実質的にG=0となる結晶方位における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n1G=0(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n1G=0(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率、n2G=0(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n2G=0(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率であり、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。
また、Gは以下のような量である。
Figure 0005729618


ここでgijは対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルのij成分であり、a、aは基本入射波の波面法線ベクトルの成分である。本明細書において、G=0と実質的に等しい範囲とは、0≦G≦1.135×10−4の範囲に対応する。
この場合、非線形光学結晶が水晶であってもよい。また、1/4波長板をさらに備え、前記1/4波長板は、当該1/4波長板を通過した前記基本入射波が前記入射面に入射されるように配置されていてもよい。
本発明に係る波長変換方法は、旋光性を有する単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子に波長λ且つ周波数ωの基本入射波を入射し、前記波長変換素子から出射される周波数2ωの第二高調波を得ることで波長変換する方法であって、所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域とを有するとともに、前記複数の第1及び第2の領域が以下の式(7)、式(8)、式(9)又は式(10)で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されている前記波長変換素子を用意する工程と、前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向であって、且つ実質的にG=0の条件を満たす結晶方位から前記基本入射波を前記波長変換素子に楕円偏光で入射して前記第二高調波を得る工程と、を備えることを特徴とする。
Figure 0005729618


ただし、n1G=0およびn2G=0は前記非線形光学結晶の実質的にG=0となる結晶方位における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n1G=0(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n1G=0(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率、n2G=0(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n2G=0(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率であり、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。
また、Gは以下のような量である。
Figure 0005729618


ここでgijは対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルのij成分であり、a、aは基本入射波の波面法線ベクトルの成分である。
本発明に係る波長変換素子は、水晶単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子であって、前記非線形光学結晶は、所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域と、波長λ且つ周波数ωの基本入射波が前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向であって且つ実質的にG=0の条件を満たす結晶方位から入射する入射面と、結晶内で発生した周波数2ωの第二高調波が出射する出射面と、を有し、前記複数の第1及び第2の領域は、前記入射面と前記出射面との間に、以下の(11)式又は(12)式で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されていることを特徴とする。
Figure 0005729618


ただし、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波の異常光線に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波の常光線に対する屈折率、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波の常光線に対する屈折率、nθ(2ω)は、第二高調波に対して、θを入射する基本入射波の波面法線ベクトルのc軸(あるいはZ軸)からの傾き角として、
Figure 0005729618


(n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波の異常光線の屈折率)で表される数値であり、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。又、G=0のとき、前記非線形光学結晶に入射する基本入射波の波面法線ベクトルのc軸(あるいはZ軸)からの傾き角θは、以下の式を満たす。
Figure 0005729618


ここでgijは対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルのij成分であり、a、aは入射する基本波の波面法線ベクトルの成分である。
本発明に係る波長変換方法は、水晶単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子に波長λ且つ周波数ωの基本入射波を入射し、前記波長変換素子から出射される周波数2ωの第二高調波を得ることで波長変換する方法であって、所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域とを有するとともに、前記複数の第1及び第2の領域が以下の(11)式又は(12)式で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されている前記波長変換素子を用意する工程と、前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向であって、且つ実質的にG=0の条件を満たす結晶方位から前記基本入射波を前記波長変換素子に楕円偏光で入射して前記第二高調波を得る工程と、を備えることを特徴とする。
Figure 0005729618


ただし、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波の異常光線に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波の常光線に対する屈折率、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波の常光線に対する屈折率、nθ(2ω)は、第二高調波に対して、θを入射する基本入射波の波面法線ベクトルのc軸(あるいはZ軸)からの傾き角として、
Figure 0005729618


(n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波の異常光線の屈折率)で表される数値であり、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。又、G=0のとき、前記非線形光学結晶に入射する基本入射波の波面法線ベクトルのc軸(あるいはZ軸)からの傾き角θは、以下の式を満たす。
Figure 0005729618


ここでgijは対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルのij成分であり、a、aは入射する基本波の波面法線ベクトルの成分である。
本発明に係る光源装置は、レーザー光源と、波長変換素子とを有してなり、前記波長変換素子により前記レーザー光源より放出されるレーザー光の第二光高調波を発生させて放出する光源装置において、波長変換素子が上記の波長変換素子であることを特徴とする。
一方、前記課題を解決するための第1の手段は、点群32又は点群3に属する非線形光学結晶であり、所定の方向に正の極性を有する単結晶内に、以下の(1)式又は(2)式で表される幅(d)で、Z軸方向に周期的に正負の極性が交番する周期的極性反転構造が形成され、入射光の入射方向が前記極性方向に対して垂直な方向とされている波長変換素子である。
Figure 0005729618


ただし、λは基本波の波長、n(2ω)は第二高調波のZ軸方向における右回り円偏光の屈折率、n(ω)は基本波のZ軸方向における右回り円偏光の屈折率、n(2ω)は第二高調波のZ軸方向における左回り円偏光の屈折率、n(ω)は基本波のZ軸方向における左回り円偏光の屈折率、mはQPMの次数で自然数である。
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記非線形光学結晶が水晶であることを特徴とするものである。
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段である波長変換素子に、入射基本波を、前記極性方向に対して垂直な方向から円偏光で入射させ、第二高調波を出力することを特徴とする位相整合方法である。
前記課題を解決するための第4の手段は、旋光性を有する非線形光学結晶に対して、結晶の固有偏光の楕円率γがγ<0.1となる結晶方位から入射基本波を入射することを特徴とする位相整合方法である。ただし、楕円率γは、固有楕円偏光の楕円の長軸に対する短軸の比率を示す量であり、γ=1は円偏光、γ=0は直線偏光を表す。
前記課題を解決するための第5の手段は、旋光性を有する非線形光学結晶であって、所定の方向に正の極性を有する単結晶内に、式(3)、式(4)、式(5)または式(6)で表される幅(d)で周期的に正負の極性が交番する周期的極性反転構造が形成され、入射光の入射方向が前記極性方向に対して垂直な方向とされていることを特徴とする波長変換素子である。
Figure 0005729618


ただし、λは基本波の波長、nおよびnは光線方向における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n(2ω)は第二高調波の屈折率、n(ω)は基本波の屈折率、n(2ω)は第二高調波の屈折率、n(ω)は基本波の屈折率であり、mはQPMの次数で自然数である。特に結晶が一軸性光学結晶の場合、nは常光の屈折率nであり、nは光線方向における異常光の屈折率である。
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第5の手段であって、前記非線形光学結晶が水晶であることを特徴とするものである。
前記課題を解決するための第7の手段は、前記第5の手段又は第6の手段である波長変換素子に、結晶の固有偏光の楕円率γがγ<0.1となる結晶方位から入射基本波を入射することを特徴とする位相整合方法である。
前記課題を解決するための第8の手段は、前記第5の手段又は第6の手段である波長変換素子に、入射光を楕円偏光で入射することを特徴とする位相整合方法である。
前記課題を解決するための第9の手段は、旋光性を有する非線形光学結晶であって、所定の方向に正の極性を有する単結晶内に、式(7)、式(8)、式(9)または式(10)で表される幅(d)で周期的に正負の極性が交番する周期的極性反転構造が形成され、入射光の入射方向が前記極性方向に対して垂直な方向とされていることを特徴とする波長変換素子。
Figure 0005729618


ただし、λは基本波の波長、n1G=0およびn2G=0はG=0となる結晶方位における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n1G=0(2ω)は第二高調波の屈折率、n1G=0(ω)は基本波の屈折率、n2G=0(2ω)は第二高調波の屈折率、n2G=0(ω)は基本波の屈折率であり、mはQPMの次数で自然数である。特に結晶が一軸性光学結晶の場合、n1G=0は常光の屈折率nであり、n2G=0はG=0となる結晶方位における異常光の屈折率である。
また、Gは以下のような量である。
Figure 0005729618


ここでgijは対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルのij成分であり、a、aは基本波の波面法線ベクトルの成分である。
前記課題を解決するための第10の手段は、前記第9の手段であって、前記非線形光学結晶が水晶であることを特徴とするものである。
前記課題を解決するための第11の手段は、前記第9の手段又は第10の手段である波長変換素子に、入射基本波をG=0の条件を満たす結晶方位から入射することを特徴とする位相整合方法である。
前記課題を解決するための第12の手段は、所定の方向に正の極性を有する水晶単結晶内に、以下の(11)式又は(12)式で表される幅(d)で、周期的に正負の極性が交番する周期的極性反転構造が形成され、入射光の入射方向が前記極性方向に対して垂直な方向とされている波長変換素子である。
Figure 0005729618


ただし、λは基本波の波長、n(2ω)は第二高調波の異常光線の屈折率、n(ω)は基本波の常光線の屈折率、n(2ω)は第二高調波の常光線の屈折率、nθ(2ω)は、第二高調波に対して、θを入射する基本波の波面法線ベクトルのc軸(あるいはZ軸)からの傾き角として、
Figure 0005729618


(n(2ω)は第二高調波の異常光線の屈折率)で表される数値であり、mはQPMの次数で自然数である。又、Gは以下のような量である。
Figure 0005729618


ここでgijは対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルのij成分であり、a、aは入射する基本波の波面法線ベクトルの成分である。
前記課題を解決するための第13の手段は、前記第12の手段である波長変換素子に、入射基本波をG=0の条件を満たす結晶方位から入射することを特徴とする位相整合方法である。
前記課題を解決するための第14の手段は、旋光性を有する非線形光学結晶に対して、入射光を楕円偏光で入射することを特徴とする位相整合方法である。
前記課題を解決するための第15の手段は、レーザー光源と、波長変換素子とを有してなり、前記波長変換素子により前記レーザー光源より放出されるレーザー光の第二光高調波を発生させて放出する光源装置において、前記波長変換素子が前記第1、第2、第5、第6、第9、第10、第12のいずれかの波長変換素子であることを特徴とする光源装置である。
本発明によれば、基本波から第二高調波を効率良く発生することができる波長変換素子及び、これを利用した位相整合方法、光源装置を提供することができる。
水晶のZ軸方向に進む基本波(ω)の電界Eωと、それにより発生する分極の2次の非線形成分P2ωを示す図である。 QPM水晶における第二高調波発生と位相整合の様子を示す図である。 同位相の第二高調波の発生の様子を示す図である。 右回り円偏光と左回り円偏光を示す図である。 Z軸方向に伝搬する直線偏光の見かけ上の回転を示す図である。 一つの周期構造により2つの振動方向で同時に位相を整合することができることを示す図である。 左回り円偏光による基本波から、P2ωの右回り回転を発生させ、右回り円偏光の第二高調波が発生する様子を示す図である。 図7を、X成分Y成分のそれぞれで見たものを示す図である。 点群3に属する結晶においても、同様の円偏光位相整合が可能であることを説明するための図である。 第1の実施の形態の実験例において使用した素子の概要を示す図である。 第1の実施の形態の実験例において使用した実験装置の概要を示す図である。 第2の実施の形態の実験例において使用した素子の概要を示す図である。 第2の実施の形態の実験例において使用した実験装置の概要を示す図である。 第3の実施の形態の実験例において使用した素子の概要を示す図である。 第3の実施の形態の実験例において使用した実験装置の概要を示す図である。 第3の実施の形態の実験例において、基本波側で1/2波長板のみを単独で回転させた場合の実験結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態の例を、図を参照しながら説明する。以下の説明において、前述の記載で定義されている記号等については、特にことわらない限り同じ意味に使用するものとする。
(第1の実施の形態)
発明者等は鋭意研究の結果、QPM水晶に代表される点群32に属する非線形光学結晶及び点群3に属する非線形光学結晶を利用した擬似位相整合素子において、基本波を右又は左回りの円偏光で入射することにより、Z軸方向における第二高調波発生の位相整合が可能であることを見出した。この場合第二高調波は、基本波が右回り円偏光であれば左回り円偏光となり、基本波が左回り円偏光の場合には右回り円偏光となる。
このような結果が得られる理論的背景について述べる。点群32及び点群3に属する結晶では、旋光テンソルの対称性が等しいことから、両者の旋光性の現れ方の結晶方位異方性は等しい。共にZ軸方向に伝搬する光は、直線偏光の場合、伝搬する過程で直線偏光のまま振動面が回転する。この旋光性の挙動は共に、屈折率の異なる左右2つの円偏光の合成波としての直線偏光の挙動と考えると説明ができる。右回り円偏光と左回り円偏光を図4に示す。図4は光線の進む方向であるZ軸方向から眺めたもので、Z=0のXY面内(参照面内)における電界ベクトルの運動(挙動)を示している。光線は+Z方向に伝搬する。このとき、図4(a)に示すように、右回り円偏光では電界ベクトルの先端の軌跡は右回り回転の円を、また図4(b)に示すように、左回り円偏光では電界ベクトルの先端の軌跡は左回り回転の円を描く。それぞれの時間t=0の時の電界ベクトルの方向が+X方向で、大きさをE、右回り円偏光の屈折率をn、左回り円偏光の屈折率をnとすると、図4(a)に示す右回り円偏光は、
Figure 0005729618


図4(b)に示す左回り円偏光は
Figure 0005729618


で表現される。ここで、znは、光路長(l)×右回り屈折率(n)を表し、znは、光路長(l)×左回り屈折率(n)を表す。
結晶にZ軸方向へ入射された直線偏光の挙動は、この2つの円偏光の和として表現され
Figure 0005729618


よって
Figure 0005729618


ここで、旋光能ρと平均屈折率nを以下のように定義すると
Figure 0005729618


結晶中をZ軸方向に伝搬する直線偏光は
Figure 0005729618


と、表現することができる。これはZ=0においては、Ey成分が0であることからX軸方向を振動する振幅2Eの直線偏光と考えることができる。しかし、図5に示すように、Zが増加つまり光線の伝搬方向に進むにつれ、ρ>0の場合、Ey成分がsinカーブで増加する一方Ex成分はcosカーブで減少することから、振動面は直線偏光のまま見かけ上X軸から右回りに回転していくように見える。つまり、Z軸方向に伝搬する直線偏光は、その状態を保存することができず、伝搬とともに直線偏光のまま振動面を右に回転させていくという挙動を示すことになる(図5)。図5では、光線は+Z方向に伝搬する。図5は、ρ<0(右旋光)の場合の参照面における電界ベクトルの挙動を示す。具体的には、図5(a)はρZ=0の場合を、図5(b)は0<ρZ<π/4の場合を、図5(c)はρZ=π/4の場合を、図5(d)π/4<ρZ<π/2の場合を、図5(e)はρZ=π/2の場合を、それぞれ示す。
図5(a)に示されるように、ρZ=0の場合に電界ベクトルのX成分は2EでY成分は0となる。図5(c)に示されるように、ρZ=π/4の場合に電界ベクトルのX成分は√2EでY成分は−√2Eとなる。図5(e)に示されるように、ρZ=π/2の場合に電界ベクトルのX成分は0でY成分は−2Eとなる。
この現象を詳細に考察する過程で、発明者等はある事実に着目した。まず、上述の式から、結晶内を伝搬する光が円偏光であるならば、それはn、又はnのどちらか一方の屈折率にのみ支配されることになり、その偏光状態は結晶中をZ軸方向に伝搬する過程で保存されるということに着目した。つづいて、円偏光という状態が、屈折率と振幅が等しく互いに直交する位相差π/2の直線偏光の組として表現できるということに着目した。
つまり、入射基本波が円偏光であると同時に、それによって発生する第二高調波も円偏光になるという条件が満たされれば旋光性があっても位相整合が成立する可能性がある。これは基本波の状態が保存されることで第二高調波発生の条件が保存されることと、発生した第二高調波自体の状態が保存されることの両方が満たされることで初めて、第二高調波の位相が整合しうるからである。そしてこの場合、直交する2つの振動方向において、直線偏光状態が保存されることになり、従来の位相整合の考え方を導入することが可能となる。
しかも両振動方向において発生する第二高調波の位相ズレは、入射円偏光と第二高調波の円偏光の屈折率差により一つに決まることから、一つの周期構造により2つの振動方向で同時に位相を整合することができる。そしてこれを可能にせしむるか否かにおいて、対象とする非線形光学結晶における非線形光学定数のテンソルの対称性が大きな意味を持ってくる。
鋭意研究の結果、発明者等は水晶でこれらの条件を満たすことが可能であることを見つけた。基本波を左回り円偏光の形で入射する場合を例にとって、図6を参照しながらその理論的背景を述べる。図6(a)に示すように、Z軸方向に進む振幅E、屈折率nの左回り円偏光であると考えると、それは以下のように位相差π/2の関係にあるX方向の直線偏光とY方向の直線偏光を成分としてもつ偏光として記述される。
Figure 0005729618


また、水晶の属する点群32における非線形光学定数のテンソルは、結晶の対称性より以下のように記述される。
Figure 0005729618


したがって、第二高調波発生の基となる非線形分極P2ωは
Figure 0005729618


よって
Figure 0005729618


となる。これを作図すると図6(b)に示すように、Z=0におけるXY面(参照面)内でのP2ωの挙動は、大きさが一定(ε11 )のベクトルが右回りに回転するというものであることが分かる。すなわち、分極(2ω)は、2倍の速度で右回り回転の円運動を行う。つまり点群32に属する水晶では基本波の左回り円偏光による入射は、図7に示すように、P2ωの右回り回転を発生させ、ここからは右回り円偏光の第二高調波が発生することになる。図7は、左回り円偏光による基本波から、P2ωの右回り回転を発生させ、発生した右回り円偏光の第二高調波の挙動を示す。図7のグラフG1は左回り円偏光の入射基本波の参照面内の挙動を表し、グラフG2は左回り円偏光の入射基本波の挙動を表し、グラフG3は参照面内の分極(2ω)の回転から発生した第二高調波(右回り円偏光)の参照面内の挙動を表し、グラフG4は参照面内の分極(2ω)の回転から発生した第二高調波(右回り円偏光)の挙動を表す。
このとき、左回り円偏光である基本波は屈折率n(ω)にのみ支配され、偏光の状態は保存されたまま結晶中を伝搬するが、同様に、その結果発生する非線形分極P2ωも屈折率n(ω)に支配された周期構造をもつことが式より分かる。ところが分極P2ωから発生する第二高調波自体は周波数2ωの右回りの円偏光であるから、基本波の屈折率n(ω)とは異なる屈折率n(2ω)に支配され、左円偏光成分を含まない純粋な右円偏光であることから、偏光の状態は保存されたまま結晶中を伝搬する。したがって、基本波の屈折率n(ω)のタイミングで発生する屈折率n(2ω)の第二高調波は、伝搬に伴い一定の割合で位相がずれていく(位相差D1)ことになる。これは通常の直線偏光の位相整合の際に問題になる位相差と同様のものである。旋光性の無い結晶では、状態が保存される直線偏光同士の屈折率の差で一義的に決定される位相差が、旋光性を有する水晶では、状態が保存される円偏光同士の屈折率差という形で一義的に決定されるという性質をもつことが分かった。
図7を、X成分Y成分のそれぞれで見たものが図8である。図8(a)はX方向の振動成分を表し、図8(b)はY方向の振動成分を表す。図8(a)のグラフG5は基本波のX方向の振動成分を表し、グラフG6は第二高調波のX方向の振動成分を表す。図8(b)のグラフG7は基本波のY方向の振動成分を表し、グラフG8は第二高調波のY方向の振動成分を表す。図8(a)に示す基本波のX成分は、以下の式で表される。
Figure 0005729618


図8(a)に示す第二高調波のX成分は、以下の式で表される。
Figure 0005729618


図8(b)に示す基本波のY成分は、以下の式で表される。
Figure 0005729618


図8(b)に示す第二高調波のY成分は、以下の式で表される。
Figure 0005729618


すなわち、グラフG5は+cosカーブを、グラフG6は+cosカーブを、グラフG7は+sinカーブを、グラフG8は−sinカーブをそれぞれ描く。図8(a)において、グラフG5の一周期2πに相当するZ方向の長さは基本波の波長に、グラフG6の一周期2πに相当するZ方向の長さは第二高調波の波長に相当する。図8(b)において、グラフG7の一周期2πに相当するZ方向の長さは基本波の波長に、グラフG8の一周期2πに相当するZ方向の長さは第二高調波の波長に相当する。図8(a)において、グラフG5、G6が位相0の状態から、基本波(G5)が一周期を示したZ方向の位置と第二高調波(G6)が二周期を示したZ方向の位置との差によって、第二高調波と基本波の位相差が示される。図8(b)において、グラフG7、G8が位相0の状態から、基本波(G7)が一周期を示したZ方向の位置と第二高調波(G8)が二周期を示したZ方向の位置との差によって、第二高調波と基本波の位相差が示される。
円偏光とは位相差π/2の直交する直線偏光の合成であることから、基本波も第二高調波も、X成分がcosカーブであるならばY成分はsinカーブとなる。ただし左円偏光である基本波はY成分において+sinカーブになっているのに対し、右円偏光である第二高調波のY成分は−sinカーブになっている。この際、第二高調波と基本波の位相差、つまり基本波のタイミングで発生する各第二高調波間の位相差は、X成分においてもY成分においても、ともにn(2ω)とn(ω)の差という一組の屈折率差によって支配されることに注意する必要がある。さらにここで重要なことは、各成分の基になっている円偏光の状態が結晶中を伝搬する過程で保存されていることであり、結果、その成分であるこれらX、Y各成分の直線偏光も、上述の関係を保ったまま保存されているということである。したがって、ここにn(2ω)とn(ω)という一組の屈折率差に基づくQPM周期構造を造り込めば、X、Y各成分においては従来の直線偏光による位相整合の概念が成立することになり、第二高調波発生が可能ということになる。
以上から、旋光性を有する水晶のZ軸方向においては、n(2ω)とn(ω)の屈折率差に基づくQPM周期構造を造り込み、そこに左円偏光による基本波の入射を行うことで、右円偏光による第二高調波の位相整合が可能となる。同様に、n(2ω)とn(ω)の屈折率差に基づくQPM周期構造を造り込み、右円偏光による基本波の入射を行えば、左円偏光による第二高調波の位相整合も可能となる。このようなことが成立する背景には、前述した点群32の非線形光学定数のテンソル成分の対称性が決定的な役割を果たしている。
したがって以上述べてきたことは、水晶においてのみ成立するものではなく、水晶と同じ点群32に属する全ての結晶において成立するものである。
また、点群3に属する結晶においても、同様の円偏光位相整合が可能であることを次に述べる。ここでも基本波を、図9に示すように左回り円偏光の形で入射する場合を例にとって、その理論的背景を述べる。Z軸方向に進む振幅E、屈折率nの左回り円偏光であると考えると、それは以下のように位相差π/2の関係にあるX方向の直線偏光とY方向の直線偏光を成分としてもつ偏光として記述される。
Figure 0005729618


また、点群3における非線形光学定数のテンソルは、対称性より以下のように記述される。
Figure 0005729618


したがって、第二高調波発生の基となる非線形分極P2ωは
Figure 0005729618


よって
Figure 0005729618


となる。上記式は、図9(a)で示されるd11成分に着目した場合の非線形分極P2ω
Figure 0005729618


と、上記式は、図9(b)で示されるd22成分に着目した場合の非線形分極P2ω
Figure 0005729618


との和によって得られる。
このとき、d11成分にのみ着目すると、Z=0におけるXY面内でのP2ωの挙動は大きさ一定(ε11 )のベクトルの右回り回転運動であり、他方d22成分に着目すると、大きさε22 のベクトルの右回り回転運動となっている。両者の間にはπ/2の位相差が存在しており、全体の挙動はこの2種類の右回り回転の合成ということになる。図9(a)はd11成分に着目した場合の非線形分極P2ωを表し、図9(b)はd22成分に着目した場合の非線形分極P2ωを表す。図9(a)の円の半径はε11 であり、図9(b)の円の半径はε22 である。したがって、図9(a)で示されるd11成分に着目した場合の非線形分極P2ω及び図9(b)で示されるd22成分に着目した場合の非線形分極P2ωは上記の式で表される。
具体的な挙動はd11とd22の値に依存するが、右回り回転運動であることには変わりない。つまり点群3に属する結晶では基本波の左回り円偏光による入射は、P2ωの右回り回転を発生させ、ここからは右回り円偏光の第二高調波が発生することになる。
ここから先の理論は点群32の場合と同様である。左回り円偏光である基本波は屈折率n(ω)にのみ支配され、偏光の状態は保存されたまま結晶中を伝搬するが、同様に、その結果発生する非線形分極P2ωも屈折率n(ω)に支配された周期構造をもつことが式より分かる。ところが分極P2ωから発生する第二高調波自体は周波数2ωの右回りの円偏光であるから、基本波の屈折率n(ω)とは異なる屈折率n(2ω)に支配され、左円偏光成分を含まない純粋な右円偏光であることから、偏光の状態は保存されたまま結晶中を伝搬する。したがって、基本波の屈折率n(ω)のタイミングで発生する屈折率n(2ω)の第二高調波は、伝搬に伴い一定の割合で位相がずれていくことになる。これは通常の直線偏光の位相整合の際に問題になる位相差と同様のものである。
円偏光とは位相差π/2の直交する直線偏光の合成である。この際、それぞれの直線偏光成分において、第二高調波と基本波の位相差、つまり基本波のタイミングで発生する各第二高調波間の位相差は、X成分においてもY成分においても、ともにn(2ω)とn(ω)の差という一組の屈折率差によって支配される。基になっている円偏光の状態は結晶中を伝搬する過程で保存されていることから、その成分であるX、Y各成分の直線偏光も、上述の関係を保ったまま保存される。したがって、ここにn(2ω)とn(ω)という一組の屈折率差に基づくQPM周期構造を造り込めば、X、Y各成分においては従来の直線偏光による位相整合の概念が成立することになり、第二高調波発生が可能ということになる。
以上から、旋光性を有する点群3の結晶のZ軸方向においては、n(2ω)とn(ω)の屈折率差に基づくQPM周期構造を造り込み、そこに左円偏光による基本波の入射を行うことで、右円偏光による第二高調波の位相整合が可能となる。同様に、n(2ω)とn(ω)の屈折率差に基づくQPM周期構造を造り込み、右円偏光による基本波の入射を行えば、左円偏光による第二高調波の位相整合も可能となる。
すなわち、前述の(1)式又は(2)式で表されるdと実質的に等しい周期で、Z軸方向に周期的に正負の極性が交番する周期的極性反転構造を作り込み、入射基本波を、極性方向に対して実質的に垂直な方向から円偏光で入射させれば、第二高調波を効率良く発生させることができる。
このような非線形光学結晶は、材料加工から半導体分野におけるリソグラフィー用の光源、さらに物質の表面改質や医用分野において幅広く応用され、さらなる応用の期待が近年高まっている紫外〜真空紫外領域の短波長レーザー光の欲求に対しても好適である。すなわち、現在利用されている短波長のレーザー光源は、希ガスハライドを用いたガスレーザーであるエキシマレーザーが中心である。しかし、エキシマレーザーは大がかりな装置であり、またハライド系のガスを利用することから取り扱いに注意が必要である上、特性劣化が早く寿命も短いためメンテナンスに手間がかかる上に、ランニングコストも極めて大きなものとなる。
これに対し、結晶や半導体を用いた固体レーザーは小型安全でメンテナンスも楽であるという利点をもつものの、発生波長は赤外を中心とした長波長よりにあり、短波長の発生は極めて困難である。特に真空紫外領域の発生で実用レベルになっているものはない。
そこで、エキシマレーザーの持つ欠点を回避する方法として、近年では非線形光学結晶を利用することで、固体レーザーの波長を短波長に変換して使う方法が一般的に用いられている。非線形光学効果とは、物質の分極応答の非線形性による効果のことで、物質中にレーザー光のような強い光を入射した場合、入射光の電界に対して分極の応答が比例しなくなることにより、入射光の一部が波長変換される現象である。特に、二次の非線形光学効果を利用して、入射光の半分の波長の光を取り出す第二高調波発生(SHG)は、レーザー光の短波長への波長変換方法としては最も一般的なものであり、変換効率も高く、構成も比較的単純である。例えば、Nd:YAGレーザーの波長1064nmを、非線形光学結晶を利用することで、半分の532nmに、さらにもう一段非線形光学結晶を使って1/4の266nmにするという使い方ができる。
しかし、この方法も限界があり、どこまで短波長に変換できるかは、その非線形光学材料の持つ材料的特性によって制限されることとなる。どの程度短波長まで第二高調波が発生させられるか、つまり最短SHG波長は、その材料の持つ吸収端波長と、位相整合の能力によって決定される。吸収端波長は、その物質の透過させることのできる光の最短波長を決めるものであり、これより短い波長の第二高調波発生は、発生すべき全ての光が吸収されてしまうため不可能である。しかし、たとえ第二高調波の波長が吸収端波長以上であっても、非線形光学材料中で、第二高調波の位相が揃わないかぎり、つまり位相整合しない限り、第二高調波発生はできない。
ところで、固体材料には全て屈折率の分散があり、固体中の屈折率は波長により異なることになる。特に短波長側では、一般に波長が短いほど屈折率が大きくなるという傾向がある。さて、非線形光学結晶における第二高調波発生とは、正確に言うと入射光(基本波)の振動数の二倍の振動数の光を発生するものである。これは、真空中で、ちょうど半分の波長の光を発生することに相当する。しかし、波長変換が行われる非線形光学結晶中では分散があるため、結晶中の第二高調波の波長は、結晶中の入射光(基本波)の波長に対し正確に1/2にはならないという事態が発生する。例えば、一般的な、波長が短いほど屈折率が大きくなる材料では、結晶中では第二高調波の波長は入射光の波長の1/2よりも若干短くなる。
非線形光学結晶では、結晶中を基本波が進むにつれて随時第二高調波が発生し続けるが、その発生のタイミングは結晶中における入射光の位相に支配されることになる。もしここで、発生する第二高調波の波長が正確に入射光の波長の1/2になっていれば、随時発生する第二高調波同士の位相は正確に一致することになる。この条件が満たされることを位相整合と言う。ところが、実際に発生する第二高調波は、分散のため入射光の波長の1/2よりも若干短い波長になっている。そのため、第二高調波同士の位相は序々にずれていくことになる。この場合、第二高調波同士の位相差がπになったところから打ち消し合いが始まり、結果的に十分な光量の第二高調波を発生させることはできない。これが位相整合条件が満たされていない状態である。
位相整合を行うため、通常は結晶の複屈折が利用される。複屈折は、結晶中を伝搬する光において、進行方向が同じ光であっても電界振動面の結晶方位によって屈折率が異なるという現象である。そこで、偏光を利用して電界振動面の結晶方位を選ぶことで、一つの波長に対して、とりうる屈折率の大きさにある程度の幅(この幅が複屈折の大きさに相当する)を持たせることが可能になる。この性質をうまく利用することで、結晶中における第二高調波波長が基本波波長の正確に1/2になる条件を見つけることができれば位相整合が可能となり、第二高調波発生が実現できる。実際の非線形光学結晶の利用では、このような条件を満たす結晶方位を見つけ、その方位に基本波を入射することで波長変換を行う。
しかし、分散という性質は一般に波長が短くなり吸収短波長に近づくにつれて増加していく傾向があるため、求める第二高調波の波長が短くなるにつれ、位相整合に必要な複屈折の大きさが大きくなり、いずれその結晶のもつ複屈折最大値を超えてしまう。従って、第二高調波発生の位相整合が可能な最短の波長(最短SHG波長)は、その非線形光学結晶の複屈折の特性に左右されるものであり、複屈折率の小さい結晶では吸収短波長よりもはるかに長い波長までしか第二高調波発生ができないことになる。
この、非線形光学結晶の位相整合の問題を解決する方法として、疑似位相整合という方法が提案されており、一部の結晶で既に実用化されている。これは第二高調波発生の際に、発生する光の位相が結晶の極性方向によって決まるという特性を応用したものである。上述の説明で、位相整合条件を満たしていない場合、第二高調波同士の位相が序々にずれていくことを述べたが、最初に発生した第二高調波に対し、位相のずれがπになったところから、第二高調波の打ち消し合いが始まることになる。従って、もしこの打ち消し合いが始まるタイミングで、第二高調波の位相を反転(つまりπずらす)させてやることができれば、第二高調波同士の打ち消し合いを回避することが可能となる。つまり、このタイミングで結晶の極性方向が反転するような構造を造りこんでやればよい。そして、次の打ち消し合いが始まるところで再び極性方向が反転しているような構造になっていれば、第二高調波はさらに打ち消し合うことなく結晶中を進むことが可能となる。これを永続的に実現するためには、非線形光学結晶中に、第二高調波が打ち消し合いを始める距離を考慮した周期的な極性反転構造を造り込めばよい。これにより第二高調波同士の打ち消し合いを回避し、第二高調波発生を可能にする方法が擬似位相整合である。
疑似位相整合という方法には、複屈折を利用した通常の位相整合に比べて様々なメリットがある。まず、周期構造を短くすることでその物質の吸収端波長まで第二高調波発生ができるようになる。これは複屈折による位相整合の問題を回避できるものである。さらに擬似位相整合では、複屈折を利用した位相整合で言うところの「非臨界角位相整合」という条件を満たしていることに相当するため、以下のようなメリットが発生する。まず、位相整合条件がゆるくなり、温度の変動や素子の物理的なズレに極めて強く、実用上安定性が極めて高い波長変換が可能となる。また複屈折による、基本波と第二高調波の進行方向のずれ(ウォークオフ)が発生しないため、波長変換にともなうビームプロファイルの変形も回避できる。またウォークオフが無いことから、素子長を大きくとることにより容易に変換効率の向上を図ることができる。
擬似位相整合の実現には、結晶の極性が周期的に反転している構造が必要であり、現状薄く研磨した結晶の張り合わせや、単結晶内部に極性の反転したドメインを造り込む方法がとられている。紫外光等の短波長発生のためには、細かい周期構造の形成が必要であるため、後者の極性反転ドメインの形成を行うのが一般的であるが、現状では、これは一部の結晶にのみ応用が可能な技術である。そのほとんどは外部からの電界印加により自発分極の反転が可能な強誘電体であり、主要な材料としてはニオブ酸リチウム、ニオブ酸タンタル等がある。しかし、強誘電体であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸タンタルは、吸収端波長がせいぜい300nm程度であるため、それ以下の波長、特に真空紫外域と言われるような200nm以下の第二高調波発生は不可能である。したがって、強誘電体においてのみしか擬似位相整合が実現できなかったごく最近までは、200nm以下の第二高調波発生は、擬似位相整合技術においても実現は不可能であった。
200nm以下の真空紫外波長領域の第二高調波発生が可能な波長変換素子として、近年、水晶を利用した擬似位相整合素子(以下QPM水晶と表記することがある)が着目されている。QPM水晶は吸収端波長が150nm以下の非線形光学結晶であることから、擬似位相整合による200nm以下の第二高調波発生、特にArFエキシマレーザー波長に相当する193nmやFエキシマレーザー波長に相当する157nmの発生ができる素子として期待されている。ただし、水晶は強誘電体ではないことから、周期的極性反転構造を有する擬似位相整合素子の作製には、従来の電界印加分極反転は利用できない。そのため、応力印加によるドフィーネ双晶の形成という、水晶ならではの特性を利用した素子作製を行っている。
水晶の擬似位相整合素子では、QPM水晶における双晶形成の結晶としての制約上、周期構造はZ軸方向に向かって形成される。言い換えれば、互いに極性が反転している関係にあるドメイン同士は、Z軸に垂直な面({0001}面)を境界面としてZ軸方向にスタックするような配列の仕方を採らざるを得ない。したがって、QPM水晶における位相整合では、Z軸方向での位相整合、つまりZ軸方向からの基本波入射、Z軸方向への第二高調波発生が基本である。
ところが、水晶による位相整合では、これまでの位相整合では経験のない問題が発生する。それは旋光性という結晶光学上の現象に起因するもので、旋光性は水晶の特にそのZ軸方向で顕著な現象である。旋光性という現象は、例えば水晶のZ軸方向に向かって結晶内を進む直線偏光が、直線偏光のままでその光の振動面(正確には光の電界振動面、以下振動面と表記)が回転してしまう、というような現れ方をする。回転する角度は、結晶内を進む距離(光路長)に比例し、また可視光から紫外域の波長領域では、波長が短いほど回転角が大きくなる。このとき、水晶内で右回りに回転するか左回りに回転するかは、水晶が右水晶であるか左水晶であるかによって決まる。水晶は点群32に属する結晶であるが、空間群で考えた場合、Z軸方向に右回り3回らせん軸を有するP321と、左回り3回らせん軸を有するP321の2種類が存在する。これは水晶のZ軸周りの原子配列が螺旋状になっていることに由来し、螺旋の回転方向に応じて右水晶、左水晶の2種類の原子配列の水晶が存在する。
旋光性は、結晶における本質的な現象であり、その効果の大きさは個々の物質によって異なるものの、存在の有無、存在する場合の挙動の異方性は結晶構造の対称性から一義的に決まる現象である。例えば、非線形光学結晶として一般的なLBO(点群mm2)やBBO(点群3m)、擬似位相整合素子として一般的なニオブ酸リチウムやニオブ酸タンタル(共に点群3m)では、結晶の対称性から旋光性の存在自体が無い。他方CLBO(点群−4m2)には旋光性が存在するが、問題になるほどの大きさであることは報告されておらず、また、位相整合の関係で、旋光が顕著な問題になるZ軸方向で使われることはまずない。これに対し、水晶の属する点群32は旋光性が存在する対称性であり、その効果は擬似位相整合の際に利用するZ軸方向で最大であり、旋光性の極めて大きい物質のひとつである。
水晶における旋光性の存在は、従来の位相整合による波長変換の考え方を根本的に揺さぶるものであり、特に大きな旋光性を持つ場合には、従来の位相整合は実質無力化してしまう。旋光性の存在する結晶において位相整合を行う際の問題について以下に具体的に示す。
従来の位相整合とは、基本波を直線偏光で入射することにより直線偏光である第二高調波を発生するという手法を用いている。この場合、入射直線偏光も発生する第二高調波の直線偏光も、非線形光学結晶の固有偏光に相当する結晶方位に振動面をもつよう調整する。その理由は、旋光性の存在しない結晶、あるいは旋光性が存在しても無視できるような場合は、結晶中を進む光というものが、その結晶の固有偏光に相当する直線偏光である場合に限って、結晶中を進む過程で変化することなく保存されることによる。この条件を満たさない場合には、結晶中を進む光というものはその結晶の固有偏光に相当する直線偏光のペアに分解され、結晶中を伝搬する過程で両者の間に発生する位相の差により、偏光状態が時間と共に変化してしまう。このように伝搬する光の偏光状態が変化してしまう状態では、位相整合という考え方は成立しない。したがって、位相整合を行うためには、結晶中での偏光状態が時間的に変化しない固有偏光に相当する直線偏光を利用できることが前提となっている。
これに対し、水晶のような旋光性が存在する結晶では、特殊な結晶方位を除いては、結晶中を進む直線偏光は保存されることはなく変化し、直線偏光を前提に成り立っている従来の位相整合の考え方は成立しなくなってしまう。水晶の場合、それが最も顕著なのはZ軸方向であり、この方向に入射された直線偏光の挙動は、結晶中では屈折率の異なる左右2つの円偏光の合成として表現され、結晶内を伝搬する過程で振動面が回転するという挙動を示す。
旋光性の大きさを、一定の光路長内で発生する直線偏光の回転角に相当する旋光能ρで評価すると、ρが小さい結晶で、例えば素子長分の結晶中で数度の回転しかないような結晶においては、旋光性を無視することもできる。しかし水晶では、一般的な1cm程度の素子長で、可視光領域で360°前後の回転があるため、後述する通り位相整合上極めて深刻な問題が発生する。しかもρは波長が短くなるほど顕著であり、193nm程度の真空紫外領域では1cmの素子長で振動面が10周程度も回転するものと思われ、この波長領域の位相整合は直線偏光を前提にした従来の位相整合は全く通用しない。
水晶のZ軸方向で、従来の直線偏光による位相整合(擬似位相整合)を試みた場合の問題について具体的に示す。図1は、水晶のZ軸方向に進む周波数ωの基本波L1の電界Eωと、それにより発生する分極の2次の非線形成分P2ωを示している。図1において、基本波L1の矢印の向きは、光線の方向を示している。以下の説明において、数式中、たとえばベクトルEωを、Eω、その各軸方向成分をE ω、E ωのようにして表すことにする。ここで水晶のX軸を基準にして、EωベクトルのX軸からの角度をφ、P2ωベクトルのX軸からの角度をψとして、EωとP2ωの関係を考える。Eωを列ベクトルの形で以下のように表現すると
Figure 0005729618


これによって誘起されるP2ωは、水晶が点群32という対称性を有することから、非線形光学定数のテンソルを乗することで、
Figure 0005729618


となる。ただし、εは、真空の誘電率、Eは定数(電界ベクトルの大きさ)である。この関係から、P2ωの大きさと方向を計算すると、
Figure 0005729618


つまり、P2ωは、結晶内の基本波の振動方向φが一周する間に、大きさはφによらず一定のままで、逆方向に2倍の速さで回転することが分かる。
これを基に、QPM水晶における第二高調波発生と位相整合の様子を図示したものが図2である。図2では基本波のEωは水晶入射時にはX軸方向に平行であり、このとき、発生するP2ω起因の第二高調波E2ω0もこれと平行な方向である(図2(a))。図2(a)は、観測位置が入り口付近であるPhase0の場合を示す。すなわち、図2(a)は、水晶の入り口付近での第二高調波発生を示す。図2(a)では、光線はZ方向に伝搬しており、基本波の電界の方向は+X方向とする。図2(a)では、E2ω1はP2ω1から発生した第二高調波の電界成分を表す。
図2(b)は、最初の擬似位相整合が起こるときの様子を示している。図2(b)は、観測位置が最初の反転位置であるPhase1の場合を示す。基本波はコヒーレンス長分進み、入り口付近の第二高調波と同位相である第二高調波第1号が発生する。しかしその間、基本波は右回りにφω,1回転し、第二高調波発生はX軸の逆側−2φω,1の方向に発生する。その間に入射直後の第二高調波は右回りにφ2ω0,1だけ回転してしまっている。
図2(c)は、2回目の擬似位相整合を示している。図2(c)は、観測位置が2度目の反転位置であるPhase2の場合を示す。基本波がコヒーレンス長の2倍進み、入り口付近と同位相の第二高調波第2号が発生する。しかし基本波は既に右回りにφω,2回転しており、第二高調波発生はX軸の逆側−2φω,2の方向に発生し、その間に入射直後の第二高調波は右回りに大きく回転しており、E2ω1もその後を追うように回転する。このとき、同一波面上に、同位相で振動方向の異なる3つの第二高調波E2ω0、E2ω1、E2ω2が存在する。
QPM水晶中ではこのように、同位相でありながら電界の方向が異なる第二高調波が、素子の長さに応じて再生産されることになる。旋光性が存在しないこれまでの擬似位相整合であれば、これらの第二高調波群は全て電界の方向がそろっており、重ね合わせの結果かならず強め合う関係にある。しかし旋光性を有する水晶の擬似位相整合においては、同位相でありながら電界の方向が異なるため単純な加算は成り立たず、回転が顕著な場合は電界方向が逆であるような第二高調波のペアができてしまい、これらは完全に打ち消し合うことになる。したがって、旋光能ρの大きさと素子長に応じてこの問題の程度は大きく変わってくる。
例えば1cmの素子長のQPM水晶で386nmから193nmの第二高調波発生を行う場合、386nm光が約50°/mm程度、193nm光は約300°/mm程度の旋光能を持つと考えると、基本波は右に1.5周程度、第二高調波の発生時の電界方向は左に3周程度、入り口で発生した第二高調波は出口までに右に10周近く回転する。また、この場合のコヒーレンス長(Lc)が2μm程度であることを考えると、図3に示すように同位相の第二高調波が振動方向を0.8°づつ傾けた関係で発生しつづけることになり、これが一周360°分あれば、ほぼ完全に打ち消し合うことになる。図3は、観測位置が最初の反転位置であるPhase1の場合を示す。図3に示されているように、第二高調波E2ω0と第二高調波E2ω1とのなす角度が略0.8°である。
したがって、一周分の打ち消し合いが完了する1mm程度の光路長を周期として、第二高調波の発生量は周期的に増減し、第二高調波発生量が増加するのは1/2周以下の領域に相当する0.5mm以下程度ということになる。つまりQPM水晶中による193nmの第二高調波発生において、有効な光路長は0.5mm程度ということになる。第二高調波発生の効率が媒体中の有効光路長の二乗で決まることを考えると、波長変換機能はほとんど有効に機能していないことになる。
こうした要望に対し、本実施形態では、基本波から第二高調波を効率良く発生することができる波長変換素子、波長変換方法、及び光源装置を提供することが可能である。
(第1の実施の形態の実験例)
QPM水晶において円偏光による位相整合を行うため、1064nmから532nmの波長変換を、基本波を左円偏光で入射し右円偏光の第二高調波を発生させるための素子C1を作製し、波長変換実験を行った。素子C1は図10に示すように、Z軸方向に周期構造を持ち、X軸方向の極性が周期的に反転し(図10では極性方向を矢印で示す)、極性の異なるドメイン間の境界はZ軸方向に垂直(すなわち{0001}面)である。素子C1はZ方向に8mm、X方向に3mm、Y方向に1mmの板状である。左円偏光の基本波L1の入射と右円偏光の第二高調波L2の射出が行われるZ軸方向の端面は光学研磨されており、入射端面C1aには1064nm光用の反射防止膜が施されていて、出射端面C1bには1064nm光と532nm光の2波長用の反射防止膜が施されている。入射端面C1aは所定の波長(ここでは、1064nm)且つ所定の周波数の基本波L1を受光し、出射端面C1bからは第二高調波L2が出射される。
素子C1は、+X軸方向に極性方向P1を有する複数の第1の領域C11と、+X方向とは反対の−X方向に極性方向P2を有する複数の第2の領域C12とを有する。複数の第1及び第2の領域C11、C12は、入射端面C1aと出射端面C1bとの間で結晶のZ軸方向に沿って交互に周期d1で配置されるように形成されている。
基本波L1の光路中で随時発生する第二高調波L2間の位相差がπになる、つまり第二高調波の打ち消し合いが始まる距離であるコヒーレンス長(Lc)は、本実験条件では以下の通りである。基本波L1の波長λと基本波L1の左円偏光の屈折率n(ω)、第二高調波の右回り円偏光の屈折率n(2ω)とすると
Figure 0005729618


また、周期構造の反転周期d1は、以下の式で表されるdと実質的に等しい。
Figure 0005729618


ここでmはQPMの次数を表す数で自然数である。本実験では一次の擬似位相整合を行っており、dは42μmで作製している。ただし厳密な位相整合は、基本波の入射方向を僅かに傾けることで、調整している。
素子C1の作製は、空気圧プレス装置を用いた応力印加による水晶内部の双晶形成現象を利用して行った。水晶は強誘電体ではないため、従来のQPM素子のように電界印加による極性反転はできない。そこで、応力印加にともなう水晶内のギブス自由エネルギー変化を利用して極性反転を行う。印加応力の結晶に対する方位と、水晶内に蓄積されるギブスエネルギーの量の関係を計算し、X軸方向の極性反転を伴う双晶形成が起こった方がエネルギー的に有利であるような結晶方位から応力を印可する。
このとき、双晶形成が起こる領域と起こらない領域がZ方向に周期的に並ぶように、周期的応力印可を行う。周期的応力印可のためには、水晶の被応圧面に、目的の周期をもつ周期的凹凸構造を形成しておいたうえで一様の応力印可を行う。応力が印可される凸部では双晶形成に伴う極性反転が起こり、応力がかからない凹部の極性は変わらないままでいる。X軸方向の極性反転が必要なのは、この極性が、第二高調波発生の極性を支配するからである。双晶境界、つまり極性の異なるドメイン間の境界は、双晶自身の結晶学的安定性から、自然にZ軸に垂直な{0001}面が選択される。素子C1では、第1及び第2の領域C11、C12が、入射端面C1aと出射端面C1bとの間に、上記の式で表されるdと実質的に等しい周期d1で交互に配置されるように形成されている。
実験装置のセットアップを図11に示す。基本波光源11にはNd:YAGレーザー(波長1064nm)を利用した。λ/4板(1/4波長板)12を用いて基本波L1を直線偏光から左回り円偏光に変えた後、極性方向に対して実質的に垂直な方向に基本波L1をQPM水晶素子C1に入射させた。波長変換により発生した右回り円偏光の第二高調波(532nm)L2は第二高調波用のλ/4板14により直線偏光に変換される。他方、波長変換に使われなかった残りの左回り円偏光の基本波L3は、第二高調波用のλ/4板14により左回りの楕円偏光に変換される。第二高調波L2と基本波L3はプリズム13により分離された後、検出器16、17により出力を測定される。このとき、発生した第二高調波が予想通り右回り円偏光になっている場合にはλ/4板により縦振動の直線偏光になるようにλ/4板14を配置し、検出器16でのみ信号が確認されるようにセットアップする。この場合、第二高調波L2が左回り円偏光であればλ/4板14により横振動の直線偏光となり検出器17でのみ信号が確認され、楕円偏光の場合にはλ/4板14により楕円偏光になることから、検出器16と17の両方で信号が確認される。
実験の結果、パルスレーザー平均出力3.1W、繰り返し周波数30kHz、パルス時間幅8.8nsec、ビーム直径200μmの入射基本波に対し検出器16で第二高調波105mWの信号が確認され、円偏光位相整合による1064nmから532nmの波長変換が実現できていることが確認できた。また、検出器17で検出される出力は常に、入射基本波の出力に依らず、検出器16の1%以下であり、第二高調波が右回り円偏光であることが確認された。
(第2の実施の形態)
旋光性と言う現象は、結晶方位による異方性が極めて高い現象である。その結果、旋光性が現れない結晶方位というものも現れる。この方位では、たとえ旋光性の存在する結晶であっても、従来の位相整合技術による第二高調波発生が可能となる。そこで対象となる非線形光学結晶において旋光性の存在しない結晶方位を見つけることで、旋光現象による効率低下を回避した第二高調波発生が可能となる。
旋光性の結晶方位依存性をはかる量の一つに楕円率というものがある。旋光性の存在しない結晶中では、入射光は固有偏光と呼ばれる2つの直線偏光のペアに分解される。固有偏光同士は電界の振動面が互いに直交する関係にあり、その振動面は、入射光の結晶方位により一義的に決まる。結晶中を進む光は、この固有偏光のペアの重ね合わせとして表現されるが、一般的に2つの固有偏光は屈折率が異なるため、結晶中を伝搬する過程で両者の間には位相差が発生し、結果、結晶中を進む光の偏光状態は伝搬に伴って変化していく。つまり偏光状態は保存されない。唯一、結晶中を進む光が、固有偏光に相当する直線偏光である場合に限って、結晶中を進む過程で変化することなく保存されることによる。
位相整合では、この固有偏光に相当する直線偏光を利用する。その理由は、基本波が結晶中を伝搬する過程で随時発生する第二高調波の位相を整合させるという位相整合の考え方が、第二高調波の発生状態を決定する基本波の直線偏光の状態が結晶中を伝搬する過程で保存されていること、さらには発生する第二高調波自体の直線偏光状態が保存されていることを前提に成立する考え方だからである。
しかし、旋光性を有する結晶においては、この前提条件が成立しない。旋光性を有する結晶中における直線偏光とは、あくまでも屈折率が異なる右回り楕円偏光と左回り楕円偏光の重ね合わせの状態に過ぎない。しかし、この楕円偏光の楕円率、すなわち楕円の長径に対する短径の比率は結晶方位によって異なり、ある特殊な条件下では楕円率が0になる場合がある。楕円率が0とは直線偏光であるということであり、すなわちこの方向に限っては結晶中を伝搬する光が屈折率の異なる直線偏光の重ね合わせとして表現されることになり、旋光性の存在しない結晶と全く同じ挙動を示すことになる。
旋光性を有する結晶において、楕円率が0になる結晶方位は、後述する旋光テンソルGが0になる方位である。したがって、実質的にG=0となる結晶方位で位相整合を行う場合については、直線偏光による位相整合が可能となり、それは全ての旋光性結晶の位相整合において成立する。
ただし、より具体的な、位相整合を擬似位相整合で行うための周期構造については、用いる結晶の対称性や位相整合の仕方により異なる。それら全てを網羅する形で表現すると以下の形式になる。
Figure 0005729618


ここで、λは基本波の波長、n1G=0およびn2G=0は実質的にG=0となる結晶方位における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n1G=0(2ω)は第二高調波の屈折率、n1G=0(ω)は基本波の屈折率、n2G=0(2ω)は第二高調波の屈折率、n2G=0(ω)は基本波の屈折率であり、mはQPMの次数で自然数である。屈折率楕円体の主値が3つとも異なる二軸性光学結晶においては、n1G=0およびn2G=0は、そのまま素直に実質的にG=0となる結晶方位における直交する2つの固有偏光の屈折率であると考えれば良い。この値は、用いる結晶の実質的にG=0となる結晶方位を後述の例で示すような方法で決定した後は、その結晶の屈折率楕円体から容易に計算することができる。基本波の偏光と高調波の偏光が平行なるような位相整合では式(7)または式(10)を、基本波の偏光と高調波の偏光が直交するような位相整合では式(8)または式(9)を利用する。
また、屈折率楕円体の3つの主値のうち1つだけが異なる一軸性光学結晶の場合には、n1G=0は常光の屈折率nであり、n2G=0は実質的にG=0となる結晶方位における異常光の屈折率であると考えればよい。一軸性光学結晶における常光とは、全ての結晶方位で一定の屈折率値を持つ性質の光であることから、n1G=0は結晶方位に寄らない一定の値nとなる。他方、実質的にG=0となる結晶方位における異常光の屈折率は、実質的にG=0となる結晶方位が屈折率楕円体の光学軸からの角度θで表される場合、
Figure 0005729618


と読み替えた式で表すことができる。ここでは光学軸と直交する方位における異常光の屈折率である。
したがって、例えば旋光性を有する非線形光学結晶で、かつ一軸性光学結晶である点群32の結晶で、d12の非線形光学効果を利用した擬似位相整合を行う場合には、入射基本波は異常光であるのに対し、発生する高調波は常光となるため、周期構造は式(9)を、n1G=0=n
Figure 0005729618


と読み替えた式
Figure 0005729618


で表現することができる。特に、d11の非線形光学効果を利用した擬似位相整合を行う場合には、入射基本波と発生する高調波は共に常光となるため、周期構造は式(7)をn1G=0=nと読みかえた式
Figure 0005729618


となり、実質的にG=0となる結晶方位で素子が作製されてさえいれば、周期構造自体は、結晶方位による屈折率の異方性を考慮しなくてすむ。後述の第2の実施の形態の実験例では、この条件に相当する、水晶のd11の非線形光学効果を利用した擬似位相整合の例を示す。
旋光性を有する結晶点群を光学的等方体、一軸性光学結晶、二軸性光学結晶の3つに分類すると以下のようになる。
(ただし、以下の表記では本来数字の上に−が入るべき回反軸の表記を、ワープロの都合で数字の前に−を表記している。例:-4、-42m等。)
光学的等方体:点群23、点群432
一軸性光学結晶:点群3、点群32、点群6、点群622、点群4、点群422、
点群-4、点群-42m、
二軸性光学結晶:点群1、点群2、点群m、点群mm2、点群222
他方、非線形光学効果を有する結晶点群は、
一軸性光学結晶:点群3、点群32、点群3m、点群6、点群-6、点群6mm、
点群-6m2、点群4、点群-4、点群4mm、点群-42m、
二軸性光学結晶:点群1、点群2、点群m、点群mm2、点群222
よって、本課題の対象となる、旋光性を有する非線形光学結晶とは、
一軸性光学結晶:点群3、点群32、点群6、点群4、点群-4、点群-42m、
二軸性光学結晶:点群1、点群2、点群m、点群mm2、点群222
となる。ここに表記された全ての結晶点群に属する結晶において、第2の実施の形態に示す方法は有効である。またその際、擬似位相整合の周期は、一軸性光学結晶、二軸性光学結晶のそれぞれについて、前述の式により表現することができる。
ところで、第2の実施の形態に示す直線偏光による位相整合は、厳密にはG=0が成立する結晶方位でのみ成立する現象であるが、実際に利用可能な結晶方位はかなりの幅を持つことが予想される。それは、旋光性結晶における固有偏光の楕円率が0に近い値を示す方位がG=0の方位の周辺で広く存在することによる。固有偏光が、正確な直線偏光でなくても、楕円率が非常に小さい領域では、ほとんど直線偏光と見なしても、位相整合上は差し支えないからである。波長変換効率の観点から考察した結果、そのような領域は、楕円率γが0.1以下の範囲の結晶方位である。したがって、本実施の形態は、G=0の結晶方位を中心に楕円率γが0.1以下の範囲、好ましくは0.05以下の範囲では有効であると見なすことができる。ここで、γが0.05以下の範囲とは、0≦G≦1.135×10−4の範囲に対応する。
その場合の周期構造は
Figure 0005729618


ただし、λは基本波の波長、nおよびnは光線方向における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n(2ω)は第二高調波の屈折率、n(ω)は基本波の屈折率、n(2ω)は第二高調波の屈折率、n(ω)は基本波の屈折率であり、mはQPMの次数で自然数である。屈折率楕円体の主値が3つとも異なる二軸性光学結晶においては、nおよびnは、そのまま素直に位相整合を行う結晶方位(光線方位)における直交する2つの固有偏光の屈折率であると考えれば良い。この値は、用いる結晶の結晶方位を決定した後は、その結晶の屈折率楕円体から容易に計算することができる。基本波の偏光と高調波の偏光が平行なるような位相整合では式(3)または式(6)を、基本波の偏光と高調波の偏光が直交するような位相整合では式(4)または式(5)を利用する。
また、屈折率楕円体の3つの主値のうち1つだけが異なる一軸性光学結晶の場合には、nは常光の屈折率nであり、nは実質的にG=0となる結晶方位における異常光の屈折率であると考えればよい。一軸性光学結晶における常光とは、全ての結晶方位で一定の屈折率値を持つ性質の光であることから、nは結晶方位に寄らない一定の値nとなる。他方、異常光の屈折率は、位相整合を行う、つまり光線が進む結晶方位、この場合、楕円率γが0.1以下になるような方位が屈折率楕円体の光学軸からの角度θで表される場合、
Figure 0005729618


で表すことができる。ここでnは光学軸と直交する方位における異常光の屈折率である。
したがって、例えば旋光性を有する非線形光学結晶で、かつ一軸性光学結晶である点群32の結晶で、d12の非線形光学効果を利用した擬似位相整合を行う場合には、入射基本波は異常光であるのに対し、発生する高調波は常光となるため、周期構造は式(5)をn=n
Figure 0005729618


と読みかえた式
Figure 0005729618


で表現することができる。特に、d11の非線形光学効果を利用した擬似位相整合を行う場合には、入射基本波と発生する高調波は共に常光となるため、周期構造は式(3)をn=nと読みかえた式
Figure 0005729618


となり、周期構造自体は結晶方位による屈折率の異方性を考慮しなくてすむ。また、この位相整合方法は、擬似位相整合に限らず、当然、通常の複屈折を利用した位相整合においても成立するものである。
旋光性結晶における楕円率γは以下のように示すことができる。
Figure 0005729618


ただし、
Figure 0005729618


ここでgijは対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルのij成分であり、a、aは基本波の波面法線ベクトルの成分である。n、nは旋光性が無いとしたときの結晶の屈折率(2つあるのは複屈折があるということ)である。
γの具体的な式の形を知るには、対象とする媒体の旋回テンソルと屈折率楕円体が分からなければならない。このとき、結晶の属する点群が分かれば、定数は変数のままで式を立てることはできる。例えば水晶の属する点群32の場合であれば、旋回テンソルは
Figure 0005729618


屈折率楕円体は
Figure 0005729618


であり、ともにZ軸を軸に回転対称の挙動を示すことが分かる。ここでg11は対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルの11成分であり、g33は対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルの33成分、nは旋光性を考慮しないいわゆる水晶の常光の屈折率(屈折率楕円体のZ軸に垂直な方向の値)、nは旋光性を考慮しないいわゆる水晶の異常光の屈折率(屈折率楕円体のZ軸に平行方向の値)であり、旋光性が無いとしたときの水晶の屈折率である。旋回テンソルと屈折率楕円体がともにZ軸まわりに対称であることから、基本波の入射方向についても、Z軸からの傾斜角だけ考えればよい。したがって基本波の波面法線ベクトルは、θを基本波の波面法線ベクトルのc軸(あるいはZ軸)からの傾き角として、
Figure 0005729618


となり、よって
Figure 0005729618


また、屈折率楕円体を波面法線方向をZ軸にした座標系に変換すると
Figure 0005729618


であるから、波面法線方向から見たときの屈折率のペアは、マトリックスの1行1列目の値の平方根の逆数n、及び2行2列目の値の平方根の逆数
Figure 0005729618


となる。以上から、楕円率γは
Figure 0005729618


となる。前述の通り、g11は対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルの11成分であり、g33は対象となる非線形光学結晶の旋回テンソルの33成分。θは基本波の波面法線ベクトルのc軸(あるいはZ軸)からの傾き角、nは旋光性を考慮しないいわゆる水晶の常光の屈折率(屈折率楕円体のZ軸に垂直な方向の値)、nは旋光性を考慮しないいわゆる水晶の異常光の屈折率(屈折率楕円体のZ軸に平行な方向の値)で、旋光性が無いとしたときの水晶の屈折率である。
ここでγ=0を満たす条件は、G=0、すなわち水晶のような点群32に属する結晶であれば、
Figure 0005729618


つまり、Z軸から
Figure 0005729618


傾斜した方向では旋光性の影響を考える必要がなく、従来のように直線偏光による位相整合が可能となる。その際に考えるべき固有偏光のペアはZ軸に垂直な電界振動面を有する直線偏光と、それに垂直な、Z軸を含む電界振動面を有する直線偏光からなる。両者の屈折率はそれぞれ、
Figure 0005729618


である。後者をnθと定義する。QPM水晶の場合であれば、このどちらか一方に平行な直線偏光の状態で基本波を入射し、Z軸に垂直な電界振動面を有する直線偏光の状態で第二高調波を取り出すことができる。
すなわち、前述の(3)式、(4)式によって決まるdと実質的に等しい周期で、前述のGが実質的に0となる方向に周期的に正負の極性が交番する周期的極性反転構造を形成し、入射基本波を、極性方向に対して実質的に垂直な方向で、かつ、実質的にG=0の条件を満たす結晶方位から直線偏光として入射させれば、効率良く第二高調波を出力させることができる。
ただし、この場合は図12に示すとおり、光の進行方向は周期構造の周期境界に対して大きく傾いた方向になることは避けられない。これは水晶の双晶境界が結晶学的な理由からZ軸に垂直な{0001}面にならざるを得ないことによる。図12は、周期構造を持ち、X軸方向の極性が周期的に反転し(図12では極性方向を矢印で示す)、極性の異なるドメイン間の境界はZ軸方向に垂直(すなわち{0001}面)な水晶C2を示す。図12では、直線偏光の基本波L1が入射端面C2aに入射し、直線偏光の第二高調波L2が出射端面C2bから出射される。この場合、第二高調波のビーム内で位相ズレが発生してしまうという問題がある。したがって、周期境界に対して垂直な方向で第二高調波発生が可能なZ軸方向での位相整合の方が望ましい。なお、図12では、基本波は実質的にG=0の方向から入射される。
(第2の実施の形態の実験例)
この実験例ではQPM水晶による楕円率0の結晶方位での位相整合を示す。このときのQPM水晶素子は図12に示す通りである。光線方向とZ軸の角度は56°であり、楕円率がほぼ0になる結晶方位である。
QPM水晶による直線偏光での位相整合を行うため、1064nmから532nmの波長変換を、直線偏光の基本波をX軸に平行な常光で入射し同じく直線偏光の第二高調波をX軸に平行な常光として発生させるための素子C2を作製し、波長変換実験を行った。素子C2は図12に示すように、X軸方向の極性が周期的に反転している。極性の異なるドメイン間の境界はZ軸方向に垂直(すなわち{0001}面)である。素子C2は光線の進む長さ方向に8mm、幅方向であるX方向に3mm、厚さ方向に1mmの板状である。基本波L1の入射と第二高調波L2の射出が行われる端面は光学研磨されており、入射端面C2aには1064nm光用の反射防止膜が施されていて、出射端面C2bには1064nm光と532nm光の2波長用の反射防止膜が施されている。入射端面C2aは所定の波長(ここでは、1064nm)且つ所定の周波数の基本波L1を受光し、出射端面C2bからは第二高調波L2が出射される。
素子C2は、+X軸方向に極性方向を有する複数の第1の領域C21と、+X方向とは反対の−X方向に極性方向を有する複数の第2の領域C22とを有する。複数の第1及び第2の領域C21、C22は、入射端面C2aと出射端面C2bとの間に、交互に周期d2で配置されるように形成されている。
基本波L1の光路中で随時発生する第二高調波間の位相差がπになる、つまり第二高調波の打ち消し合いが始まる距離であるコヒーレンス長(Lc)は、本実験条件では以下の通りである。基本波L1の波長λと基本波L1の常光の屈折率n(ω)、第二高調波の屈折率n(2ω)とすると
Figure 0005729618


また、周期構造の反転周期d2は、以下の式で表されるdと実質的に等しい。
Figure 0005729618


ここでmはQPMの次数を表す数で自然数である。本実験では一次の擬似位相整合を行っており、dは42μmで作製している。ただし厳密な位相整合は、基本波の入射方向を僅かに傾けることで、調整している。
素子C2の作製は、実施例1と同様に空気圧プレス装置を用いた応力印加による水晶内部の双晶形成現象を利用して行った。この際、応力印加される水晶基板において、周期的凹凸構造を持つ被押圧面はY軸からZ軸の方向に56°傾いた面であり、基本波L1の入射端面方向が楕円率0の結晶方位になるように作られている。この場合も、双晶境界、つまり極性の異なるドメイン間の境界は、双晶自身の結晶学的安定性から、自然にZ軸に垂直な{0001}面が選択される。したがって、素子構造は図12に示すような、光線に対して周期境界が斜めに並ぶような構造になっている。素子C2では、入射端面C2aと出射端面C2bとの間に、周期的に正負の極性が交番する周期的極性反転構造が上記の式で表されるdと実質的に等しい周期で形成される。
実験装置のセットアップを図13に示す。基本波光源11にはNd:YAGレーザー(波長1064nm)を利用している。基本波L1を水晶のX軸に平行な直線偏光の状態であって、且つ極性方向に対して実質的に垂直な入射方向でQPM水晶素子C2に入射し、波長変換により発生した第二高調波(532nm)L2は、基本波同様X軸に平行な直線偏光として出力される。他方、波長変換に使われなかった残りの基本波L3は、そのままX軸に平行な直線偏光として出力される。第二高調波L2と基本波L3はプリズムにより分離された後、検出器16、17により出力を測定される。
このとき、発生した第二高調波L2が予想通りX軸に平行な直線偏光になっている場合には検出器16でのみ信号が確認されるようにセットアップする。この場合、第二高調波L2がX軸に垂直な直線偏光であれば検出器17でのみ信号が確認され、楕円偏光や、振動面がX軸から傾いた直線偏光であれば、検出器16と検出器17の両方で信号が確認される。
実験の結果、パルスレーザー平均出力3.1W、繰り返し周波数30kHz、パルス時間幅8.8nsec、ビーム直径200μmの入射基本波L1に対し検出器16で第二高調波108mWの信号が確認され、直線偏光位相整合による1064nmから532nmの波長変換が実現できていることが確認できた。信号は、ほぼ検出器16でのみ検出され、第二高調波L2がX軸に平行な直線偏光であることが確認された。
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、円偏光という偏光状態が結晶中で保存されるZ軸方向において、円偏光を利用した新しい位相整合方法を提案した。また、第2の実施の形態では、従来の位相整合同様に、直線偏光の状態が結晶中で保存される特別な結晶方位を利用した位相整合の方法について提案した。それでは、その間に位置する結晶方位についてはどのように考えれば良いのかについて説明する。
先に述べたように、旋光性を有する結晶中における直線偏光とは、あくまでも屈折率が異なる右回り楕円偏光と左回り楕円偏光の重ね合わせの状態に過ぎない。そして、その楕円率は結晶方位によって決まる量である。そのような結晶方位では円偏光による位相整合も直線偏光による位相整合も完全ではない。たとえば、楕円率が0に近い結晶方位では、直線偏光による位相整合が概ね成立する。概ねという意味は、一部旋光性により有効に波長変換されないことにより、結晶本来の非線形光学効果が100%有効に活用できないと言う意味である。また、楕円率が1に近い結晶方位では、円偏光による位相整合が概ね成立する。しかし楕円率が0でも1でもないような中間的な値をとる領域では、その結晶方位に相応しい偏光状態で基本波の入力を行う必要がある。
そこで、1/2波長板と1/4波長板を利用することにより、基本波を任意の偏光状態で入射することができ、最適な位相整合条件を実現することができる。1/2波長板は、直線偏光を直線偏光のまま、振動方向だけを回転させることができる。この場合、入射直線偏光は1/2波長板の進相軸を挟んで反対側に直線偏光のまま移されることになる。したがって、1/2波長板を回転させることで入射直線偏光に対する進相軸方向を変えてゆけば任意の振動方向の直線偏光を得ることが可能である。また、1/4波長板は直線偏光を楕円偏光に変えることができる。この場合の楕円率は、直線偏光の振動方向と1/4波長板の進相軸のなす角度を選ぶことで任意の値を得ることができる。
例えば入射直線偏光の振動方向と1/4波長板の進相軸のなす角度が0°であれば楕円率0の直線偏光のまま、また90°であれば楕円率1の円偏光を得ることができる。したがって、1/4波長板を回転させることで入射直線偏光に対する進相軸方向を変えてゆけば任意の楕円率の楕円偏光を得ることが可能である。ただしこの場合、楕円の主軸方向も入射直線偏光の振動方向と1/4波長板の進相軸のなす角度で一義的決まってしまうため、主軸方向については自由に選ぶことができない。そこで、1/2波長板と1/4波長板をうまく組み合わることにより、任意の主軸方向を持った任意の楕円率の楕円偏光をつくりだすことが可能となる。これにより、基本波を任意の偏光状態にすることができ、最適な位相整合条件を探し出すことが可能となる。また、1/2波長板と1/4波長板の組み合わせはバビネソレイユ位相補償板等で代用することも可能である。
ただし、この場合は図14に示すとおり、光の進行方向は周期構造の周期境界に対して大きく傾いた方向になることは避けられない。これは水晶の双晶境界が結晶学的な理由からZ軸に垂直な{0001}面にならざるを得ないことによる。図14は、Z軸方向に周期構造を持ち、X軸方向の極性が周期的に反転し(図14では極性方向を矢印で示す)、極性の異なるドメイン間の境界はZ軸方向に垂直(すなわち{0001}面)な水晶C3を示す。図14では、直線偏光の基本波L1が入射端面C3aに入射し、直線偏光の第二高調波L2が出射端面C3bから出射される。この場合、第二高調波のビーム内で位相ズレが発生してしまうという問題がある。したがって、周期境界に対して垂直な方向で第二高調波発生が可能なZ軸方向での位相整合の方が望ましい。なお、図14では、基本波はG≠0の方向から入射される。
旋光性を有する全ての結晶において、楕円率が0になる結晶方位(旋光テンソルGが0になる方位)と楕円率が1になる方位(固有偏光が円偏光になる方位)以外の方位では、固有偏光はかならず楕円偏光になる。したがって、本実施の形態は、旋光性を有する全ての結晶において成立する手法である。
ただし、より具体的な、位相整合を擬似位相整合で行うための周期構造については、用いる結晶の対称性や位相整合の仕方により異なる。それら全てを網羅する形で表現すると以下の形式になる。
Figure 0005729618


ただし、λは基本波の波長、nおよびnは光線方向における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n(2ω)は第二高調波の屈折率、n(ω)は基本波の屈折率、n(2ω)は第二高調波の屈折率、n(ω)は基本波の屈折率であり、mはQPMの次数で自然数である。
屈折率楕円体の主値が3つとも異なる二軸性光学結晶においては、nおよびnは、そのまま素直に位相整合を行う結晶方位(光線方位)における直交する2つの固有偏光の屈折率であると考えれば良い。この値は、用いる結晶の結晶方位を決定した後は、その結晶の屈折率楕円体から容易に計算することができる。基本波の偏光と高調波の偏光が平行なるような位相整合では式(3)または式(6)を、基本波の偏光と高調波の偏光が直交するような位相整合では式(4)または式(5)を利用する。
また、屈折率楕円体の3つの主値のうち1つだけが異なる一軸性光学結晶の場合には、nは常光の屈折率nであり、nは実質的にG=0となる結晶方位における異常光の屈折率であると考えればよい。一軸性光学結晶における常光とは、全ての結晶方位で一定の屈折率値を持つ性質の光であることから、nは結晶方位に寄らない一定の値nとなる。他方、異常光の屈折率は、位相整合を行う、つまり光線が進む結晶方位が屈折率楕円体の光学軸からの角度θで表される場合、
Figure 0005729618


で表すことができる。ここで は光学軸と直交する方位における異常光の屈折率である。
したがって、例えば旋光性を有する非線形光学結晶で、かつ一軸性光学結晶である点群32の結晶で、d12の非線形光学効果を利用した擬似位相整合を行う場合には、入射基本波は異常光であるのに対し、発生する高調波は常光となるため、周期構造は式(5)を、n=n
Figure 0005729618


と読み替えた式、
Figure 0005729618


で表現することができる。特に、d11の非線形光学効果を利用した擬似位相整合を行う場合には、入射基本波と発生する高調波は共に常光となるため、周期構造は式(3)をn=nと読みかえた式、
Figure 0005729618


となり、周期構造自体は結晶方位による屈折率の異方性を考慮しなくてすむ。後述の第3の実施の形態の実験例では、この条件に相当する、水晶のd11の非線形光学効果を利用した擬似位相整合の例を示す。
旋光性を有する結晶点群を光学的等方体、一軸性光学結晶、二軸性光学結晶の3つに分類すると以下のようになる。
(ただし、以下の表記では本来数字の上に−が入るべき回反軸の表記を、ワープロの都合で数字の前に−を表記している。例:-4、-42m等。)
光学的等方体:点群23、点群432
一軸性光学結晶:点群3、点群32、点群6、点群622、点群4、点群422、
点群-4、点群-42m、
二軸性光学結晶:点群1、点群2、点群m、点群mm2、点群222
他方、非線形光学効果を有する結晶点群は、
一軸性光学結晶:点群3、点群32、点群3m、点群6、点群-6、点群6mm、
点群-6m2、点群4、点群-4、点群4mm、点群-42m、
二軸性光学結晶:点群1、点群2、点群m、点群mm2、点群222
よって、本課題の対象となる、旋光性を有する非線形光学結晶とは、
一軸性光学結晶:点群3、点群32、点群6、点群4、点群-4、点群-42m、
二軸性光学結晶:点群1、点群2、点群m、点群mm2、点群222
となる。ここに表記された全ての結晶点群に属する結晶において、第3の実施の形態の実験例に示す方法は有効である。またその際、擬似位相整合の周期は、一軸性光学結晶、二軸性光学結晶のそれぞれについて、前述の式により表現することができる。
また、この位相整合方法は、擬似位相整合に限らず、当然、通常の複屈折を利用した位相整合においても成立するものである。
(第3の実施の形態の実験例)
第3の実施の形態の実験例ではQPM水晶による楕円率が概ね0.5の結晶方位での位相整合を示す。このときのQPM水晶素子は図14に示す素子C3の通りである。光線方向とZ軸の角度は5°であり、楕円率は計算上0.47程度になる結晶方位である。1064nmから532nmの波長変換を、行うための素子C3を作製し、波長変換実験を行った。素子C3は図14に示すように、X軸方向の極性が周期的に反転している。極性の異なるドメイン間の境界はZ軸方向に垂直(すなわち{0001}面)である。素子C3は光線L1の進む長さ方向に8mm、幅方向であるX方向に3mm、厚さ方向に1mmの板状である。直線偏光の基本波L1の入射と直線偏光の第二高調波L2の射出が行われる端面は光学研磨されており、入射端面C3aには1064nm光用の反射防止膜が施されていて、出射端面C3bには1064nm光と532nm光の2波長用の反射防止膜が施されている。入射端面C3aは基本波L1を受光し、出射端面C3bからは第二高調波L2が出射される。
素子C3は、+X軸方向に極性方向を有する複数の第1の領域C31と、+X方向とは反対の−X方向に極性方向を有する複数の第2の領域C32とを有する。複数の第1及び第2の領域C31、C32は、入射端面C3aと出射端面C3bとの間で交互に周期d3で配置されるように形成されている。
基本波L1の光路中で随時発生する第二高調波間の位相差がπになる、つまり第二高調波の打ち消し合いが始まる距離であるコヒーレンス長(Lc)は、本実験条件では以下の通りである。基本波L1の波長λと基本波の常光の屈折率をn(ω)、第二高調波L2の屈折率をn(2ω)とすると、
Figure 0005729618


また、周期構造の反転周期d3は、以下の式で表されるdと実質的に等しい。
Figure 0005729618


ここでmはQPMの次数を表す数で自然数である。本実施例では一次の擬似位相整合を行っており、dは42μmで作製している。本実施例の場合、直線偏光による位相整合ではないことから、厳密なことを言えばn(ω)、n(2ω)といった量は、正確には本実施例に必要な物理量にはなっていない。ただし厳密な位相整合は、基本波の入射方向を僅かに傾けることで調整可能であることから、ここではn(ω)、n(2ω)の量で周期構造を作製することにする。
素子C3の作製は、第1の実施の形態の実験例、第2の実施の形態の実験例と同様に空気圧プレス装置を用いた応力印加による水晶内部の双晶形成現象を利用して行った。この際、応力印加される水晶基板において、周期的凹凸構造を持つ被押圧面はY軸からZ軸の方向に5°傾いた面であり、基本波の入射端面方向が概ね楕円率0.5の結晶方位になるように作られている。この場合も、双晶境界、つまり極性の異なるドメイン間の境界は、双晶自身の結晶学的安定性から、自然にZ軸に垂直な{0001}面が選択される。したがって、素子構造は図14に示すような、光線に対して周期境界が幾分斜めに並ぶような構造になっている。素子C3では、第1及び第2の領域C31、C32が、入射端面C3aと出射端面C3bとの間に、上記の式で表されるdと実質的に等しい周期d3で交互に配置されるように形成されている。
実験のセットアップを図15に示す。基本波光源11にはNd:YAGレーザー(波長1064nm)を利用した。軸を所望の方向に変更する1/2波長板18と1/4波長板12を用いて直線偏光の基本波L1を任意の楕円偏光に変えた後、QPM水晶素子C3に極性方向に対して実質的に垂直な入射方向で入射させた。波長変換により発生した楕円偏光の第二高調波(532nm)L2は、プリズムにより楕円偏光の基本波L3と分離された後、第二高調波用の1/2波長板19と1/4波長板14を用いて直線偏光に変換され、検出器16、17により出力を測定される。このとき、まず入射基本波側の1/2波長板18と1/4波長板12のみを回転しながら、出力の最大になる条件を探索する。このとき、第二高調波側の1/2波長板19と1/4波長板14は調整しないので、出力は検出器16と検出器17の合計で考える。そこで出力が最大になる条件を見つけてから、第二高調波側の1/2波長板19と1/4波長板14を調整することで、検出器16、17のどちらか一方の出力が0になる条件を探すことができれば、第二高調波を直線偏光として得ることができる。
基本波側で1/2波長板18のみを単独で回転させた場合の実験結果について図16に示す。図16のグラフは1/2波長板の回転角度とSHG出力との関係を表すグラフであり、横軸が波長板角度(deg)を示し、縦軸がSHG出力(mW)を示す。図中fastの位置が、入射直線偏光の振動面と1/2波長板18の進相軸が平行になる方向であり、slowの位置が、入射直線偏光の振動面と1/2波長板18の遅相軸が平行になる方向である。つまり基本波L1を直線偏光の状態で入射したことに相当する。1/4波長板12への入射直線偏光側から見て、波長板を右に回した場合を正、左に回した場合を負とする。実験はパルスレーザー平均出力0.5W、繰り返し周波数32kHz、パルス時間幅8.8nsec、ビーム直径50μmの入射基本波に対し、検出器16と検出器17の出力合計をもって第二高調波の出力とした。その結果、1/4波長板の遅相軸と入射直線偏光の振動面が平行な場合、つまり基本波が直線偏光のままQPM水晶に入射したときの第二高調波出力が4.05mWであったのに対し、波長板の回転角がfastの位置から+48°、すなわち左回り楕円偏光の状態で入射したときに、第二高調波出力は極大値7.85mWを示した。
以上説明したように、本発明により、旋光性を有する非線形光学結晶においても、位相整合が可能となり、効率的な波長変換ができるようになった。
点群32及び点群3に属する結晶であれば、これまで旋光性の影響で不可能であったZ軸方向における位相整合(擬似位相整合)が可能となった。これにより、Z軸方向での高調波発生において、物質の持つその方位の非線形光学効果100%活用した波長変換がはじめて可能となった。また、Z軸から傾斜した方向での位相整合においても、旋光性による効率の低下を回避することが可能となり、効率的な波長変換が実現できるようになった。
本発明は、特に旋光性の大きい水晶のような非線形光学結晶において有効であり、また、旋光能がより大きくなる紫外域において極めて大きな効果をもつ。例えば、水晶のZ軸方向において、水晶の非線形光学効果のポテンシャルを100%引き出すことが可能となり、特に従来の位相整合がほとんど機能しなくなる紫外域においても高調波発生が実現可能となった。
しかも本発明では、求められるQPM素子構造自体は従来の考え方の延長線上にあるため、素子作製上の困難さが要求されないという実用上の大きなメリットがある。
QPM水晶素子における本発明の応用では、SHGによる200nm以下の真空紫外の波長を有する高効率のコヒーレント光の発生が可能になる。その結果、193nm波長では、エキシマレーザーの欠点である危険性やランニングコストの問題から解放され、小型でアライメントやメンテナンスの容易な稼働性の高い固体レーザーを実現することが可能となる。またエキシマレーザーよりも高繰り返しでエキシマレーザーでは不可能であった連続波発振が可能となる。さらに、これまで実用レベルでは不可能であったYAG6倍波(177nm)の第二高調波発生等、真空紫外域における高効率コヒーレント光源を容易に得ることが可能となる。
しかも、本発明では擬似位相整合を利用することから、位相整合は常に非臨界角位相整合となり、調整が容易で温度変化や振動に強い安定した波長変換が実現できるとともに、素子長次第で高効率化も容易である。また、ウォークオフが発生しないことから、200nm以下で初めて、変換によるビームプロファイルの変形がない波長変換を実現することができる。
11…光源。

Claims (6)

  1. 旋光性を有する単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子に波長λ且つ周波数ωの基本入射波を入射し、前記波長変換素子から出射される周波数2ωの第二高調波を得ることで波長変換する方法であって、
    所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域とを有するとともに、前記複数の第1及び第2の領域は以下の式(3)、式(4)、式(5)または式(6)で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されている前記波長変換素子を用意する工程と、
    前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向から前記基本入射波を前記波長変換素子に楕円偏光で入射して前記第二高調波を得る工程と、を備えることを特徴とする波長変換方法。
    Figure 0005729618

    ただし、nおよびnは前記非線形光学結晶の光線方向における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率、n(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率であり、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。
  2. 旋光性を有する単結晶の非線形光学結晶を備える波長変換素子であって、
    前記非線形光学結晶は、所定の方向に極性方向を有する複数の第1の領域と、前記所定の方向とは反対の方向に極性方向を有する複数の第2の領域と、波長λ且つ周波数ωの基本入射波が前記所定の方向に対して実質的に垂直な方向から楕円偏光で入射する入射面と、結晶内で発生した周波数2ωの第二高調波が出射する出射面と、を有し、
    前記複数の第1及び第2の領域は、前記入射面と前記出射面との間で、以下の式(3)、式(4)、式(5)または式(6)で表されるdと実質的に等しい周期で交互に配置されるよう形成されていることを特徴とする波長変換素子。
    Figure 0005729618

    ただし、n1およびn2は前記非線形光学結晶の光線方向における直交する2つの固有偏光の屈折率をあらわし、n1(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n1(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率、n2(2ω)は前記非線形光学結晶の第二高調波に対する屈折率、n2(ω)は前記非線形光学結晶の基本入射波に対する屈折率であり、mはQPM(擬似位相整合)の次数で自然数である。
  3. 前記非線形光学結晶が水晶であることを特徴とする請求項2に記載の波長変換素子。
  4. 1/4波長板をさらに備え、
    前記1/4波長板は、当該1/4波長板を通過した前記基本入射波が前記入射面に入射されるように配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の波長変換素子。
  5. 1/2波長板を更に備え、
    前記1/4波長板と前記1/2波長板は、当該1/4波長板と前記1/2波長板を通過した前記基本入射波が前記入射面に入射されるように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の波長変換素子。
  6. レーザー光源と、波長変換素子とを有してなり、前記波長変換素子により前記レーザー光源より放出されるレーザー光の第二光高調波を発生させて放出する光源装置において、前記波長変換素子が請求項2〜5のうちいずれか1項に記載の波長変換素子であることを特徴とする光源装置。
JP2013132850A 2007-04-18 2013-06-25 波長変換素子、波長変換方法、及び光源装置 Active JP5729618B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013132850A JP5729618B2 (ja) 2007-04-18 2013-06-25 波長変換素子、波長変換方法、及び光源装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007109127 2007-04-18
JP2007109127 2007-04-18
JP2013132850A JP5729618B2 (ja) 2007-04-18 2013-06-25 波長変換素子、波長変換方法、及び光源装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009511845A Division JP5354501B2 (ja) 2007-04-18 2008-04-17 波長変換素子、波長変換方法、位相整合方法、及び光源装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013231988A JP2013231988A (ja) 2013-11-14
JP5729618B2 true JP5729618B2 (ja) 2015-06-03

Family

ID=39925634

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009511845A Active JP5354501B2 (ja) 2007-04-18 2008-04-17 波長変換素子、波長変換方法、位相整合方法、及び光源装置
JP2013132850A Active JP5729618B2 (ja) 2007-04-18 2013-06-25 波長変換素子、波長変換方法、及び光源装置

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009511845A Active JP5354501B2 (ja) 2007-04-18 2008-04-17 波長変換素子、波長変換方法、位相整合方法、及び光源装置

Country Status (6)

Country Link
US (2) US8264766B2 (ja)
EP (3) EP2148241A4 (ja)
JP (2) JP5354501B2 (ja)
KR (2) KR101180505B1 (ja)
CN (1) CN101689006B (ja)
WO (1) WO2008133178A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008133178A1 (ja) * 2007-04-18 2008-11-06 Nikon Corporation 波長変換素子、波長変換方法、位相整合方法、及び光源装置
JP5232884B2 (ja) * 2011-02-25 2013-07-10 昭和オプトロニクス株式会社 紫外レーザ装置
GB2502142A (en) 2012-05-18 2013-11-20 Isis Innovation High harmonic optical generator which rotates polarization
WO2015099132A1 (ja) * 2013-12-27 2015-07-02 株式会社ニコン 紫外光透過部材の温度計測方法、紫外光透過部材の温度計測装置、光源装置
JPWO2019208582A1 (ja) * 2018-04-26 2021-05-13 住友電気工業株式会社 波長変換光デバイス及び波長変換光デバイスの製造方法
DE102019204019B4 (de) * 2019-03-25 2022-07-07 Robert Bosch Gmbh Lichtaussendevorrichtung und Verfahren zum Aussenden von Licht
JP7228792B2 (ja) * 2019-06-07 2023-02-27 パナソニックIpマネジメント株式会社 波長変換装置
JP7385209B2 (ja) 2019-08-21 2023-11-22 国立大学法人 東京大学 真空紫外光の発生方法及びそれに用いる装置
US11101614B1 (en) * 2020-02-26 2021-08-24 Coherent Lasersystems Gmbh & Co. Kg Second-harmonic generation crystal

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5412502A (en) * 1992-01-24 1995-05-02 Hitachi Metals, Ltd. Second harmonic generating element and the production method thereof
JP4097763B2 (ja) * 1997-03-27 2008-06-11 松下電器産業株式会社 2次の非線形光学部材、及びその製造方法、並びに光変調素子
JP2002189236A (ja) * 2000-10-10 2002-07-05 Fuji Photo Film Co Ltd 光波長変換モジュール
JP2002372731A (ja) * 2001-06-15 2002-12-26 Mitsubishi Cable Ind Ltd 波長変換用、光演算用素子
JP2004109915A (ja) * 2002-09-20 2004-04-08 Nikon Corp 波長変換素子
JP2004109914A (ja) * 2002-09-20 2004-04-08 Nikon Corp 擬似位相整合水晶の製造方法及び擬似位相整合水晶
DE602004011694T2 (de) 2003-03-14 2008-06-12 Nidek Co., Ltd., Gamagori Verfahren zur Herstellung eines QPM-Wellenlängenwandler-Bauelements
JP4666449B2 (ja) * 2003-03-14 2011-04-06 株式会社ニデック 擬似位相整合波長変換素子の製造方法
JP4739655B2 (ja) * 2003-03-14 2011-08-03 株式会社ニデック 擬似位相整合波長変換素子及びその製造方法並びにこれを用いた医療レーザ装置
US7103075B2 (en) * 2003-06-18 2006-09-05 Shimadzu Corporation Solid laser apparatus
JP4111076B2 (ja) * 2003-06-24 2008-07-02 株式会社島津製作所 波長変換レーザ装置
JP4251040B2 (ja) * 2003-08-26 2009-04-08 沖電気工業株式会社 波長変換素子の使用方法
JP2005275095A (ja) * 2004-03-25 2005-10-06 Nikon Corp 光源装置、半導体露光装置、レーザー治療装置、レーザー干渉計装置およびレーザー顕微鏡装置
WO2008133178A1 (ja) * 2007-04-18 2008-11-06 Nikon Corporation 波長変換素子、波長変換方法、位相整合方法、及び光源装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5354501B2 (ja) 2013-11-27
US20100110534A1 (en) 2010-05-06
EP2634624A1 (en) 2013-09-04
KR101180505B1 (ko) 2012-09-06
EP2148241A4 (en) 2010-11-03
KR101299877B1 (ko) 2013-08-23
EP2634625A1 (en) 2013-09-04
KR20120083528A (ko) 2012-07-25
CN101689006B (zh) 2012-01-18
US8422120B2 (en) 2013-04-16
EP2148241A1 (en) 2010-01-27
WO2008133178A1 (ja) 2008-11-06
JPWO2008133178A1 (ja) 2010-07-22
US8264766B2 (en) 2012-09-11
JP2013231988A (ja) 2013-11-14
CN101689006A (zh) 2010-03-31
US20120307350A1 (en) 2012-12-06
KR20100017108A (ko) 2010-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5729618B2 (ja) 波長変換素子、波長変換方法、及び光源装置
US20090041067A1 (en) Engineered nonlinear optical crystal composites for frequency conversion
JP2010539524A (ja) 偏光エンタングル光子の混成集積光源
Mateos et al. BaMgF4: An Ultra‐Transparent Two‐Dimensional Nonlinear Photonic Crystal with Strong χ (3) Response in the UV Spectral Region
US9036249B2 (en) Method of sum-frequency conversion and frequency converter with optical active rotator
US8587788B2 (en) Multi-oscillator solid-state laser gyro passively stabilized by a frequency-doubling crystal device
Halbout et al. Properties and applications of urea
JP2005275095A (ja) 光源装置、半導体露光装置、レーザー治療装置、レーザー干渉計装置およびレーザー顕微鏡装置
Vyunishev et al. Čerenkov nonlinear diffraction in random nonlinear photonic crystal of strontium tetraborate
Belyi et al. Double Bragg Diffraction of Bessel Light Beams on Ultrasound in Uniaxial Gyrotropic Crystals
Volosov et al. Suppression of degenerate parametric processes limiting frequency-doubling efficiency of crystals
Zhang et al. Generation of quasi-cw deep ultraviolet light below 200 nm by an external cavity with a Brewster-input KBBF prism coupling device
Zhu et al. Phase matching characteristics of deuterated ammonium dihydrogen phosphate crystals
JP5170572B2 (ja) 波長変換装置
Ubachs Nonlinear Optics
Petit et al. Angular quasi-phase-matching in MgO: PPLN
Laptev et al. Spatial and energy parameters of laser radiation and second harmonic upon self-frequency doubling
Čiplys et al. A novel configuration for effective acousto-optic diffraction by IDT-radiated bulk waves in lithium tantalate
Betzler 7.5. Domain-Induced Non-Collinear SHG
JP2005274980A (ja) 分極反転による波長変換素子および波長変換レーザ
JP2011090254A (ja) レーザ光発生装置およびレーザ光発生方法
Belyi et al. Performance of the optical parametric generation in nonlinear KTP crystal at Nd: YAG laser pumping
Gloster Optical parametric oscillators: Noncollinear phase matching and linewidth studies in beta barium borate
Ogawa et al. Tunable optical vortex generation in a ‘whole mid-infrared’wavelength region of 6-18 μm
Kogan et al. High-efficiency frequency doubling of Nd: YAG

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130913

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140729

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140917

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150303

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5729618

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250