JP5725124B2 - 遮光性プラスチック容器の製造方法 - Google Patents

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本発明は、容器壁に気泡が分布している遮光性プラスチック容器の製造方法に関するものである。
現在、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル容器は、透明性、耐熱性、ガス遮断性等の特性に優れており、種々の用途に広く使用されている。
一方、近年では、資源の再利用が強く求められ、上記のようなポリエステル容器に関しても、使用済みの容器を回収し、リサイクル樹脂として種々の用途への再利用が図られている。ところで、包装容器内に収容される内容物については、光により変質しやすいもの、例えばある種の飲料、医薬品、化粧品などは、顔料等の着色剤を樹脂に配合した樹脂組成物を用いて成形された不透明容器に収容されて提供される。しかるに、資源の再利用の点からは、着色剤の配合は望ましくなく(リサイクル樹脂に透明性を確保することが困難となってしまう)、このため、透明容器の使用が要求されているのが現状であり、従って、光変質性の内容物の収容に適した不透明性容器についてもリサイクル適性の改善が必要である。
着色剤を配合せずに遮光性(不透明性)を付与するためには、容器壁に気泡を存在させて発泡容器とすることが考えられ、例えば、特許文献1には、気泡を有するプラスチック容器において、容器正面から見た気泡の大きさをその気泡(発泡セル)の長径と短径の平均気泡径で定義した場合に、80%以上の気泡の平均気泡径が200マイクロメートル以下であり、かつ容器正面から見た気泡の占める面積率が70%以上であるプラスチック容器が提案されている。
特開2003−26137号
即ち、特許文献1で提案されている技術は、容器正面から見た発泡セルの大きさや発泡セルが占める面積率を一定の範囲に調整することにより、プラスチック容器に遮光性を付与するというものであるが、このような手段では、容器壁の光線透過率が40〜50%程度の遮光性が付与されるに過ぎず、さらに高い遮光性を付与することが求められているのが現状である。例えば、牛乳のような飲料は、光によって短期間で変質してしまうため、牛乳用の紙パックなどでは、可視光光線透過率(全光線透過率)は5〜10%程度にまで抑制されている。
また、発泡により遮光性を持たせたプラスチック容器では、発泡セルによって容器の外観が損なわれるという問題がある。さらに、発泡による容器の軽量化によってリサイクル特性が損なわれたりするという欠点もあり、その改善が求められている。具体的には、使用済みPETボトルをオレフィン系樹脂など他のプラスチック廃棄物と分別する場合には、比重差を利用した水中分離がなされている。しかし、使用済みの発泡PETボトル容器を他の材料などと分別する場合、比重が変化してしまい、他の材料との区分けが困難になってしまうという問題がある。
従って、本発明の目的は、発泡セルの分布により遮光性が向上しているにもかかわらず、発泡によって外観が損なわれず、しかも発泡による軽量化も有効に抑制された遮光性プラスチック容器を製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、プラスチック容器の遮光性について多くの実験を行った結果、容器壁の厚み方向に存在する発泡セルの数が遮光性に大きな影響を及ぼし、この数が多くなるほど遮光性が向上すること、及び不活性ガスを含浸させている樹脂溶融物を用いてプラスチック容器を成形する際、プリフォームを成形する段階で発泡セルの形成を抑制することにより、最終的に得られる容器では、小さく且つ多くの発泡セルが分布し、この結果、発泡セルによる容器の外観低下や軽量化を有効に抑制できるという新規知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の製造方法によれば、発泡セルが分布したプラスチックにより形成された容器壁を有しており、該容器壁には、厚み方向に少なくとも17個以上の前記発泡セルが分布していることを特徴とするプラスチック容器を得ることができる。
上記のプラスチック容器においては、
(1)前記発泡セルは、前記容器壁の厚み方向に平均して0.3乃至50μmの大きさを有していること、
(2)前記容器壁は、500nmの波長の光に対して、15%以下の光線透過率を示すこと、
(3)前記発泡セルは、容器壁の厚み方向に30個以上、特に50個以上分布しており、前記光線透過率が10%以下、特に5%以下に抑制されていること、
が好ましい。
本発明によれば、不活性ガスが含浸されている樹脂溶融物を、軽量化率が5%以下となるように(即ち、発泡が抑制されるように)保圧をかけながら成形金型内に射出してプリフォームを成形し、次いで該プリフォームを加熱して発泡を行ない、器壁中に球形状の発泡セルが分布している発泡プリフォームを得、得られた発泡プリフォームを延伸成形することにより、該発泡プリフォームが容器の形状に賦形されると同時に、該球形状の発泡セルが延伸方向に引き伸ばされて偏平形状となることを特徴とする発泡プラスチック容器の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、
(1)前記加熱しての発泡により生成する球形状の発泡セルは、平均セル径が5乃至50μmの範囲にあり且つ標準偏差が40μm以下の粒度分布を有していること、
(2)前記延伸成形により得られる容器の軽量化率は、26%以下であること、
が好適である。
本発明の製造方法により得られるプラスチック容器において、特に好適なものは、容器壁の厚み方向に存在する発泡セルの数が17個以上、好ましくは30個以上、最も好ましくは50個以上に設定されている。厚み方向にオーバーラップするようにして、このように多数の発泡セルが分布している結果、光線透過率が著しく抑制され、極めて高い遮光性を示すのである。即ち、プラスチック容器の器壁に発泡セル(即ち気泡)が存在する場合、発泡セルが容器壁を構成しているプラスチックとは異なる屈折率を示すため、容器壁に入射した光の散乱・反射が生じ、これにより遮光性が付与されることとなる。本発明においては、このような発泡セルが厚み方向にオーバーラップして多数存在するため、光の散乱・反射が多重に発生し、この結果として、光線透過率が抑制され、高い遮光性が付与されるものである。例えば、特許文献1に示すように、容器正面から見た発泡セルの形状を調整した場合には、遮光性が付与される領域を拡大することはできても、遮光性の程度を向上させることはできない。
図1を参照されたい。図1は、胴部厚みが40〜1300μmのPETシートからなる袋状容器について、容器壁の厚み方向に重なって分布している発泡セルの個数と容器壁の波長が500nmの可視光線に対する光線透過率との関係を示すものである。図1によると、容器壁の厚み方向に存在する発泡セルの個数が多くなるほど、光線透過率が低下し、遮光性が増大していくことが判る。このような図1から理解されるように、本発明にしたがって、厚み方向に存在する発泡セルの数を17個以上としたときには、容器壁の光線透過率は15%以下となり、30個以上としたときには10%以下となり、さらに50個以上としたときには、光線透過率は5%以下となり、これは牛乳用紙パックと同レベルの遮光性である。
かくして本発明によれば、容器壁の厚み方向に存在する発泡セルの数を上記範囲とすることにより極めて高い遮光性を示し、最高レベルにまで遮光性を高めたものは、牛乳などの光により変質しやすい飲料用の容器として使用した場合にも、長期間にわたって光による変質を防止することができる。また、本発明の製造方法で得られるプラスチック容器では、顔料等の着色剤により遮光性を付与するものではないため、遮光性を有していながらも優れたリサイクル性を有している。
また、上述した遮光性プラスチック容器は、不活性ガスが含浸されている非発泡プリフォームを作製し、このプリフォームを加熱して発泡することにより得られた容器成形用発泡プリフォームを用い、該容器成形用発泡プリフォームを二次成形することにより製造することができるが、本発明においては、特に、不活性ガスが含浸されている樹脂溶融物を、実質上発泡が生じないように成形金型内に射出してプリフォームを成形し、このプリフォームを加熱して発泡を行なって容器成形用発泡プリフォームを成形し、かかるプリフォームを二次成形(二軸延伸成形)に付する。即ち、このようにして容器成形用発泡プリフォームを製造した場合には、プリフォーム壁に微細で且つ均一な径(例えば平均セル径が5〜50μmの範囲にあり且つ標準偏差が40μm以下、特に20μm以下の粒度分布を有している)の発泡セルが多数形成され、最終的に得られる容器の壁には、上述したような厚み方向に17個以上の多数のセルが分布するばかりか、発泡セルが小さいため、セルによる容器の外観低下を有効に抑制でき、しかも容器の軽量化を有効に抑制することができ、リサイクルに際して比重による選別を効果的に行うことができるなどの利点が得られる。また、発泡セルが非常に小さいため、発泡プリフォームにブリスター(フクレ)などの異形部分の発生を効果的に抑制でき、成形不良などを生じることなく、高い歩留まりで遮光性容器を効率よく製造することができる。
図1は、胴部厚みが40〜1300μmのPETシートからなる袋状容器について、容器壁の厚み方向に重なって分布している発泡セルの個数と、容器壁の波長が500nmの可視光線に対する光線透過率との関係を示す図。 本発明により製造されるプラスチック容器における容器壁の断面構造の一例を示す図。 本発明とは異なる製造法により製造されるプラスチック容器における容器壁の断面構造の例を示す図。 本発明のプラスチック容器の製造プロセスの基本概念を示す図。 図3に示すプラスチック容器を製造するためのプリフォームの器壁断面構造の例を示す図。 全光線透過率測定データの一例を示す図。 応用実験例1で作製されたガス含浸非発泡プリフォームの断面についてのSEM写真。 応用実験例1で作製されたガス含浸非発泡プリフォームを加熱して得られる発泡プリフォームの断面についてのSEM写真。 応用実験例1で作製された発泡ボトルの胴部断面についてのSEM写真。 応用実験例4で作製されたガス含浸発泡プリフォームの断面についてのSEM写真。 応用実験例4で作製されたガス含浸発泡プリフォームを加熱して得られる発泡プリフォームの断面についてのSEM写真。 応用実験例4で作製された発泡ボトルの胴部断面についてのSEM写真。
発明が実施しようとする形態
本発明のプラスチック容器の最大延伸方向に沿った断面での容器壁構造を概略して示す図2において、全体として10で示されている容器壁には、発泡セル1が分布した発泡層5が形成されている。このような発泡セル1は、最大延伸方向を指向した偏平形状を有しており、厚み方向に多重に重なりあって分布している。本発明では、先にも述べたように、この厚み方向に重なり合って存在している発泡セル1の個数を17個以上、好ましくは30個以上、最も好適には50個以上に設定することができ、これにより、光の散乱及び多重反射が増幅され、例えば波長500nmの可視光線に対しての光線透過率が15%以下、特に10%以下、最も好適には5%以下となる。尚、図2は概略図であるため、厚み方向に重なり合っている発泡セル1の個数は4個で示されているが、実際に得られるプラスチック容器では、これより多く、上記の個数で発泡セル1が厚み方向にオーバーラップして存在したものとなっている。
本発明により得られるプラスチック容器では、容器壁10の厚み方向に存在する発泡セル1の個数が上記範囲であれば優れた遮光性が付与される。しかしながら、本発明では、後述するマクロセルラー技術を応用した方法で容器壁10中に発泡セル1を形成するものであり、延伸されていない場合には、発泡セル1の形状は球形であり、このため、上述した個数の発泡セル1を、容器壁10全面において厚み方向にオーバーラップして存在させることが困難となり、部分的に、オーバーラップする発泡セル1の個数が少なくってしまうおそれがある。従って、本発明では、延伸により、発泡セル1の形状を延伸方向に偏平した形状とする。
このように、本発明では延伸が行われ、例えば、発泡セル1の平均長径L(最大延伸方向に沿った長さ)が400μm以下、特に200μm以下であり、且つ厚み方向での大きさtが50μm以下、特に30μm以下とすることが、適度な厚みの容器壁10に所定の数の発泡セル1をオーバーラップして存在させる上で好適である。
さらに、本発明においては、図2に示されるように、器壁10の表面、特に外面側に、発泡セル1が存在していない表皮層7を形成することが好適である。このような表皮層7を形成することにより、器壁10の外面を平滑な面、例えば平均表面粗さRa(JIS B 0601)が5μm以下の平滑な面とすることができ、この結果、印刷特性、耐汚れ性、外観特性を高めることができ、さらには、発泡セル1の形成によるガスバリア性の低下や強度低下を抑制することができる。このような表皮層7の厚みは、発泡セル1が厚み方向に所定の度合いで多重に重なり合って分布している限りにおいて特に制限されるものではないが、一般には、2乃至200μm程度とすることが好適である。表皮層7の厚みがあまり薄いと、厚みムラを生じ易く、表皮層7による特性向上を安定して発現させることが困難となる。また、過度に厚くした場合には、必然的に容器壁10のトータル厚みが厚くなってしまい、容器の大型化、コストの増大などの不都合を生じてしまう。
尚、上記のような表皮層3は、容器壁10の外面側に形成されていればよいが、その内面側にも形成されていてもよい。
さらに、本発明の製造法とは異なる方法で得られるプラスチック容器では、図3に示すように、容器壁10の外表面側及び内面側の両方に、前述した表皮層7を形成し、さらに中心部には、発泡セル1が存在していない芯層9を形成することができる。即ち、この場合、容器壁10は、表皮層7/発泡層5/芯層9/発泡層5/表皮層7の5層構造を有する。このような5層構造により器壁が形成されているプラスチック容器では、中心部分に発泡セル1が存在していない芯層9が形成されているため、強度が高く、またガスバリア性も向上している。この場合、2つの発泡層5について、厚み方向に存在する発泡セル1のトータルの個数が前述した範囲にあればよい。また、表面側及び内面側のそれぞれに形成されている表皮層7は、前述した範囲の厚みを有していることが好ましいが、芯層9も、容器壁10の厚みに応じて適宜の範囲としなければならない。即ち、このような芯層9があまり厚く形成されてしまうと、偏平形状の発泡セル1の厚み方向での個数を前述した範囲に設定することが困難となってしまうため、芯層9の厚みは、このような不都合が生じない程度の範囲としなければならない。
上述した発泡セル1が容器壁10中に形成されている発泡プラスチック容器は、後述する不活性ガスを含浸させての物理発泡により製造される。従って、容器壁10を構成する樹脂としては、不活性ガスの含浸が可能である限り特に制限されず、それ自体公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル系共重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリフエニレンオキサイド樹脂;ポリ乳酸など生分解性樹脂;などにより、容器壁10を形成することができる。勿論、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物により、容器壁10が形成されていてもよい。特に容器の分野に好適に使用されるオレフィン系樹脂やポリエステル樹脂が好適であり、中でもポリエステル樹脂は、本発明の利点を最大限に発揮させる上で最適である。
また、容器壁10は単層構造に限定されるものではなく、例えばエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂などからなるガスバリア層を有し、酢酸ビニル共重合体樹脂などからなる接着剤層を介してポリオレフィン系樹脂層やポリエステル樹脂層などが設けられた多層構造を有していてもよい。さらに、リサイクル性を考慮しないのであれば、鉄粉などの酸素吸収剤を樹脂層中に分散させたガスバリア層が設けられた層構造を有するものであってもよい。
−プラスチック容器の製造−
上述した発泡プラスチック容器は、例えば不活性ガスが含浸された非発泡プリフォームを作製し、これを加熱して発泡プリフォームを得、次いで延伸成形することにより製造される。このような製造プロセスの代表例の概略を図4に示した。
図4を参照して、本発明とは異なる方法で発泡プラスチック容器を製造する場合には、前述した原料樹脂により作製された非発泡プリフォーム40を用意し、この非発泡プリフォーム40を高圧下におき、不活性ガス(例えば炭酸ガスや窒素ガス)を含浸させ、不活性ガスを溶解させる(工程(a))。
非発泡プリフォーム40は、押出し成形、射出成形、圧縮成形などの公知の成形手段により成形することができ、一般に、ボトル形状の容器を製造する場合には、試験管形状を有しており、カップ形状の容器を製造する場合には、板状形状や椀形状を有している。勿論、ガスバリア層などを備えた多層構造を有する容器を製造する場合には、この非発泡プリフォーム40は、共押出し、共射出などにより、それに対応する多層構造を有するように成形される。
かかる工程(a)における非発泡プリフォーム40への不活性ガスの含浸は、前述した所望の個数の偏平状の発泡セル1が形成されるに十分な量のガスを溶解させるように行われ、例えば、非発泡プリフォーム40を加熱して高圧下での不活性ガスの含浸を行うこともできるし、非加熱下で行うこともできる。この場合、この温度が高いほど、ガスの溶解量は少ないが含浸速度は速く、温度が低いほどガスの溶解量は多いが、含浸には時間がかかることとなる。
但し、加熱下でガスの含浸を行う場合には、非発泡プリフォーム40の温度(特に胴部2及び底部3の温度)が原料樹脂の熱結晶化温度以上とならないように行うのがよい。結晶化温度以上に加熱してしまうと、胴部2や底部3で結晶化が生じ、以下の発泡工程における発泡が制限されることとなるからである。
次いで、この非発泡プリフォーム40を、冷却固化した状態で所定時間、常圧下(大気圧)に開放することにより、非発泡プリフォーム40の表面から不活性ガスを放出させ、不活性ガスが溶解していないかあるいは不活性ガス濃度が低くなった表層部43を形成する(工程(b))。即ち、常圧、常温下での不活性ガスの溶解度はほとんどゼロであるから、冷却固化されている非発泡プリフォーム40を常圧下に保持することにより、該プリフォーム40の表面から不活性ガスが徐々に放出されることとなる。
この表層部43は、前述した発泡セル1が存在していない表皮層7に対応するものであり、例えば、冷却固化した状態での常圧下に開放する時間を調整することにより、前述した表皮層7の厚みを調整することができる。即ち、この開放時間が長いほど、表層部43の厚みが大となり、表皮層7の厚みを厚くすることができ、開放時間が短いほど、表層部43の厚みは薄くなり、前述した表皮層7の厚みを薄くすることができる。但し、この開放時間をあまり長くすると、不活性ガスがほとんど放出されてしまい、遮光性を付与するに足る偏平状の発泡セル1を形成することが困難となってしまうので注意を要する。
尚、表皮層7を形成しない場合には、この工程は不要であり、直接、後記する工程(c)に移行する。
また、図4の例では、非発泡プリフォーム40の両面(外表面側及び内表面側)に表層部43が形成されているが、一方の面側(外表面側)にのみ表層部43を形成して、外面側にのみ表皮層7が形成された容器を製造する場合には、例えば、試験管形状の非発泡プリフォーム40の口部を閉じた状態で常圧下に開放したり、或いは板形状の非発泡プリフォーム40一方の面(内面側)を適当な支持部材に密着させ、外表面のみを常圧の雰囲気に曝せばよい。
次いで、このような表層部43が形成された非発泡プリフォーム40を、オイルバスや赤外線ヒータなどを用いて加熱することにより発泡成形を行う(工程(c))。この加熱により、不活性ガスが残存している非発泡プリフォーム40の内部において発泡を生じ、発泡セル1aが分布した発泡層5を有する発泡プリフォーム50が得られる。この場合において、非発泡プリフォーム40の表層部43では不活性ガスが存在していないかまたはその濃度が低い為に、加熱しても発泡しないかよほど注意深く観察しないと気泡が確認できない程度の実質的に発泡していない状態となり、発泡プリフォーム50中に発泡セル1aが存在していない未発泡領域としてそのまま残り、表皮層7を形成する。
発泡のための加熱の温度は、非発泡プリフォーム50を形成している樹脂のガラス転移点以上であり、このような加熱により、樹脂中に溶解している不活性ガスの内部エネルギー(自由エネルギー)の急激な変化がもたらされ、相分離が引き起こされ、気泡として樹脂体と分離するため発泡が生じることとなる。尚、この加熱温度は、当然、発泡プリフォーム50の変形を防止するために、融点以下、好ましくは200℃以下とするのがよい。この加熱温度が高すぎると、加熱後急激に発泡するためセル径の制御が難しくなり、外観も悪化し、さらには胴部の結晶化が進み二次成形性(延伸成形性)が低下する問題が発生する。
上記のようにして発泡プリフォーム50中に形成される発泡セル1a(以下、球状発泡セルと呼ぶことがある)は実質的に球形状であり、等方に分布しており、このため、この段階では、遮光性は発現しているが、発泡セル1aの厚み方向でのオーバーラップが所定の個数に至らない部分が生じることもある。従って、容器壁の全体にわたって確実に所定の個数の発泡セル1aのオーバーラップを生じせしめるために、後述する延伸成形を行うことが好適となる。
また、球状発泡セル1aのセル密度(表皮層7を除く領域での密度)は、前述した不活性ガスの溶解量に依存し、この溶解量が多いほど、セル密度を高くし、また球状発泡セルの径を小さくすることができ、溶解量が少ないほど、セル密度は小さく、発泡セル1aの径は大きくなる。また、球状発泡セル1aの径は、上記の加熱時間により調整することができ、例えば、発泡のための加熱時間が長いほど、球状発泡セル1aの径は大きく、加熱時間が短いほど、球状発泡セル1aは小径となる。本発明においては、上記の条件を調整し、例えば、発泡層5における球状発泡セル1aのセル密度が10乃至1010cells/cm程度とし、平均径が3乃至50μm程度となるように設定することが、後述する延伸成形により、前述した厚みtや平均長径Lを前述した範囲に設定させ、厚み方向での所定のオーバーラップ数を満足するように偏平形状の発泡セル1を形成する上で好適である。
また、この発泡工程(c)において、発泡のための加熱を非発泡プリフォーム40の一方の面側(特に内面側)から行う場合には、球状発泡セル1aは、内面側から順次形成される。従って、これを利用して、前述した不活性ガスの放出(工程(b))を行わずに、外面側に球状発泡セル1aが存在しない表皮層7を形成することができる。即ち、非発泡プリフォーム40の厚みの全体にわたって球状発泡セル1aが形成されるまえの段階で、加熱を停止すれば、外面側のみに表皮層7を有する発泡プリフォーム50を得ることができる。
上述した例では、予め非発泡プリフォーム40を成形した後に不活性ガスを含浸させているが(工程(a))、本発明の製造方法では、非発泡プリフォームを成形するための射出成形機における樹脂混練部もしくは可塑化部などで加熱溶融状態に保持されている樹脂に所定圧力で不活性ガスを供給することにより、不活性ガスの含浸を行う。
また、本発明とは異なり、一旦成形されたプリフォームにガスを含浸させて発泡プリフォームを作製する方法では、5層構造の発泡プリフォーム50を形成するためには、例えば、前述した不活性ガスの含浸工程(a)において、非発泡プリフォーム40の壁の中心部分にまでガスが浸透する前に、高圧の雰囲気を常圧に戻して含浸処理を停止すればよい。即ち、非発泡プリフォーム40の壁の中心部分には、発泡源となる不活性ガスが存在していないため、前述した不活性ガスの放出工程(b)及び発泡工程(c)を行うことにより、図5に示す5層構造の発泡プリフォーム50を得ることができる。即ち、この発泡プリフォーム50では、壁の中心部に球状発泡セル1aが存在していない芯層9が形成され、外面側及び内面側のそれぞれに形成された表皮層7と芯層9との間に球状発泡セル1aが分布した発泡層5が存在することとなる。このような構造の発泡プリフォーム50を後述する延伸成形に付するときには、図2に示す器壁構造を有するプラスチック容器が得られることとなる。
また、発泡工程(c)においては、発泡のための加熱を、熱風の吹き付けなどにより、非発泡プリフォーム40の両面(外面側と内面側)から行うことができるが、このような場合、表層部23を除く内部全体に球状発泡セル1aが形成される前の段階で加熱を停止することにより、中心部分に球状発泡セル1aが形成されていない芯層9を形成することができ、このような方法によっても、図5に示すような5層構造、即ち、表皮層7/発泡層5/芯層9/発泡層5/表皮層7の層構造を有する発泡プリフォーム50を形成することができる。
従って、図5に示す5層構造の発泡プリフォーム50を、以下に述べる延伸工程(d)に付することにより、図2に示す5層構造の器壁10が胴部や底部に形成されたプラスチック容器を製造することができ、これにより、プラスチック容器の強度やガスバリア性を高めることができる。
図4に戻って、発泡プリフォーム50の延伸成形工程(d)において、延伸成形は、それ自体公知の方法で行われ、例えば、樹脂のガラス転移温度以上、融点未満の温度にプリフォームを加熱してのブロー成形或いはプラグアシスト成形に代表される真空成形などによって延伸され、これにより、球状の発泡セル1aが図2(或いは図3)に示すような偏平形状に変形した発泡セル1が分布した発泡層5を有するボトルやカップ形状の容器が得られる。また、シート形状の発泡プリフォーム50を延伸成形したフィルムを用いて袋状容器を得ることもできる。
延伸は、例えば最大延伸方向に沿った断面での発泡セル1の厚みtや平均長径Lが前述した範囲となるように、発泡プリフォーム50中の発泡セル1aの径やセル密度などに応じて、適度な延伸倍率で行われ、これにより、容器壁の発泡部分の全体にわたって、発泡セル1を厚み方向に所定の個数でオーバーラップさせることができる。例えば、軸方向(高さ方向)及び周方向の二軸方向に延伸されるブロー成形では、通常、この方向での延伸倍率が2乃至4倍程度となるように延伸され、軸方向のみについて一軸方向に延伸が行われるプラグアシスト成形などでは、この方向での延伸が最大延伸方向となり、上記と同様の延伸倍率で延伸が行われる。
尚、上述した方法によって本発明のプラスチック容器を製造するにあたっては、不活性ガスの溶解量が増大するにしたがい、樹脂のガラス転移点は直線的或いは指数関数的に減少する。また、ガスの溶解によって樹脂の粘弾性も変化し、例えばガス溶解量の増大によって樹脂の粘度が低下する。従って、このような不活性ガスの溶解量を考慮して、所定の個数で偏平状のセル1がオーバーラップするように各種条件を設定すべきである。
<本発明によるプラスチック容器の製造>
本発明においては、発泡による外観低下を抑制し、さらには、発泡による軽量化を回避するためには、以下のような手段を採用する。
即ち、本発明の製造方法では、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガスを含浸させ、この樹脂溶融物を実質上発泡が生じないように成形金型内に射出して未発泡プリフォーム40を成形することが必要である。
この場合において、熱可塑性樹脂の溶融物への不活性ガスの含浸は、射出成形機における樹脂混練部(或いは可塑化部)で加熱溶融状態に保持されている樹脂に所定圧力で不活性ガスを供給することにより行われる。
また、かかる方法では、実質上発泡が生じないように成形金型内に射出することが重要であり、この段階での発泡を可及的に抑制することにより、後段の発泡工程(図4の工程(c))により、生成する発泡セル1を微細で且つ均一なものとすることができる。発泡が生じないようにするために、保圧をしながら射出が行われる。即ち、所定量の樹脂溶融物を成形型内に射出した後、さらに射出を継続し、型内の樹脂溶融物を加圧することにより、発泡を有効に抑制することができる。
保圧の程度(保圧圧力及び時間)は、発泡が効果的に抑制し得るように、不活性ガスの含浸量や樹脂温度等に応じて適宜設定されるが、具体的には、軽量化率が5%以下となるように設定する。プリフォームの軽量化率は、下記式により実験的に求めることができる。
軽量化率=[(M−M)/M]×100
式中、Mは、不活性ガスを含浸させずにヒケ等の成形不良がないように条件設定して射出することにより得られたプリフォームの重量を示し、
は、不活性ガスを含浸させて得られたガス含浸プリフォームの重量を示す、
で表される。(因みに、前述した発泡プリフォーム50や発泡容器10の軽量化率も、上記と同様にして求められる。)即ち、保圧圧力を大きくするほど軽量化率は低下し、また、保圧時間を長くするほど、軽量化率は低くなる。本発明において、最も好適には軽量化率が0%となるように、保圧条件を設定するのがよい。
本発明の製造方法では、上記のようにして得られた非発泡プリフォーム40を得ることを除けば、先に述べた方法と全く同様にして、必要により不活性ガスの放出工程(b)を経て、発泡工程(c)により加熱発泡が行われ、発泡プリフォーム50が得られ、この発泡プリフォーム50を二次成形(延伸成形)することにより、遮光性プラスチック容器10を得ることができる。
即ち、かかる方法によれば、非発泡プリフォーム40を加熱発泡して得られる発泡プリフォーム50は、例えば図8のプリフォーム壁の断面X線CTスキャン像に示されているように、極めて微細で且つ均一な径の発泡セルが多数厚み方向に分布している。即ち、後述する応用実験例の実験結果から理解されるように、上記のようにして得られる発泡プリフォーム50では、発泡セルの平均粒径は5〜50μmの範囲にあるばかりか、その標準偏差は40μm以下、特に20μm以下であり、著しくシャープな粒度分布を示す。従って、最終的に得られる発泡容器10でも多数の微細な発泡セル1(即ち、厚みが薄い)が厚み方向に分布し(図9参照)、優れた遮光性を示すばかりか、軽量化率が抑制され(通常、26%以下)、比重の変化が小さく、比重による分別を容易に行うことができる。また、発泡セルが極めて微細であることから、発泡による外観の低下も有効に抑制され、一見すると、平滑に近いような外観を示す。さらに、発泡セルが微細であることに関連して、発泡プリフォーム50におけるブリスター等の不良発生を有効に防止できる。
例えば、上記のような方法を採用せず、ガス含浸プリフォーム40の壁部に多少の発泡セルが生成していると、得られる発泡プリフォーム50の壁部の発泡セルは、図11に示されているように、比較的径が大きく且つ不揃いとなり(粒径幅が大きい)、このため、最終的に得られる発泡容器10でも発泡セルの厚みが比較的大きく(図12参照)、軽量化率が高く、比重による分別には不適当となったり、また外観も良好とはいえない。
このように、保圧等により射出成形時におけるプリフォームの発泡を抑制することにより、軽量化を抑制し且つ外観の良好な遮光性を有する発泡プラスチック容器を得ることが可能となるのである。尚、発泡容器を製造する場合、本発明の上記方法のように、プリフォームを射出成形によって成形する際に保圧を行うことは実質的に行われていない。非発泡のプラスチック容器を製造する場合、そのプリフォームを射出成形によって成形する際に保圧を行うことは常套手段であるが、発泡により膨張せしめるため、保圧に技術的な意味がないからである。
本発明のプラスチック容器は、上述した何れの方法によっても製造することができるが、何れの場合においても、前述した発泡セル1は、必ずしも容器の全体にわたって形成する必要はなく、例えば胴部及び底部の容器壁のみに発泡セル1が所定の個数でオーバーラップしている発泡層5を形成し、容器口部となる部分(例えばボトルの首部やカップ容器のフランジ部分)には、発泡セル1を形成しないでおくこともできる。即ち、ボトルの首部には、螺子部が形成され、またカップ容器のフランジ部ではヒートシールが行われるため、これらの部分では、胴部や底部に比して高い強度や剛性が求められ、また、これらの部分では、あまり遮光性は要求されない。従って、これらの部分では、発泡セル1を形成させず、発泡による強度や剛性低下を抑えるようにしてもよい。尚、これらの部分に発泡セル1を形成させないようにするためには、例えば、前述した発泡工程(c)において、非発泡プリフォーム40容器の胴部及び底部に相当する部分のみを選択的に加熱して発泡セル1aを形成すればよい。
本発明においては、容器壁の厚み方向での発泡セル1の個数(即ちオーバーラップ数)を所定数以上にすることにより、遮光性を著しく向上させ、牛乳用紙パックと同程度の遮光性を持たせることができ、このため、本発明のプラスチック容器は、光による変質を生じるような製品の容器として極めて有用であり、また着色剤を用いることなく、遮光性を発現させているため、リサイクル特性の点でも優れている。
本発明を次の実験例で説明する。
以下の実施例1〜5及び比較例1〜5は、厚み方向での平均セルサイズ及び平均セル数と遮光性との関係を示すための実験例であり、何れも本発明の範囲外の参考例である。
(実施例1)
イソフタル酸を5mol%含む固有粘度(IV)0.90dL/gの共重合PETを2軸押出機に供給してTダイより押出成形し、平均肉厚0.40mmの非発泡シートを得た。このシートを90mm角に切り出し30℃の耐圧容器内に設置し、圧力15MPaの二酸化炭素下に2時間保持して二酸化炭素ガスの含浸を行った。その後大気圧まで減圧し圧力容器内からシートを取り出した。さらにシートを60℃の湯中に60秒間浸漬し、平均板厚0.61mmの発泡シートを得た。発泡シートの断面をX線CT装置により観察したところ、両外面に厚さ50μmの非発泡層からなるスキン層を有する、セル径約25μmの気泡が多数存在する発泡体であった。
このようにして得られた発泡シートを二軸延伸装置内で105℃、2分間加熱し、5m/分の延伸速度で縦3×横3倍に延伸し、平均板厚0.35mmの延伸発泡シートを得た。SEMにより断面を観察しセル数、セルサイズを測定箇所5箇所の平均値で評価したところ、板厚方向に存在するセル数は平均18.1個、板厚方向のセルサイズは平均15.2μmだった。さらに分光光度計((株)島津製作所UV−3100PC)を用い、積分球式測定法により波長300〜800nmの範囲で全光線透過率を測定した。その結果、測定波長全域において全光線透過率の低下すなわち遮光性能向上が認められた。代表例として波長500nmでの全光線透過率は14.8%であり、良好な遮光性能を有していた。さらに延伸発泡シートをウレタン系接着剤にて3方を接着し、袋状容器を成形したところ、リサイクル適性に優れ、遮光性能を有する容器が得られた。
なお、遮光性能は波長500nmでの全光線透過率が15%以下の場合を良好と判定した。
(実施例2)
平均肉厚0.30mmの非発泡シートを用いた以外は実施例1と同様な方法で延伸発泡シートを作製し、ウレタン系接着剤を用いて2枚の延伸発泡シートを貼り合わせ積層シートを得た。実施例1と同様に板厚方向に存在するセル数と全光線透過率を評価したところ、板厚方向に存在するセル数の平均値は26.1個、波長500nmでの全光線透過率は12.5%であり、良好な遮光性能を有していた。さらに積層シートをウレタン系接着剤にて3方を接着し、袋状容器を成形したところ、リサイクル適性に優れ、遮光性能を有する容器が得られた。
(実施例3)
ウレタン系接着剤を用いて3枚の延伸発泡シートを貼り合わせて、積層シートを得た以外は実施例2と同様にした。実施例1と同様に板厚方向に存在するセル数と全光線透過率を評価した。結果、板厚方向に存在するセル数の平均値は39.3個で、波長500nmでの全光線透過率は7.9%であり、良好な遮光性能を有していた。図6に波長と全光線透過率の関係を示す。
さらに積層シートをウレタン系接着剤にて3方を接着し、袋状容器を成形したところ、リサイクル適性に優れ、遮光性能を有する容器が得られた。
(実施例4)
ウレタン系接着剤を用いて4枚の延伸発泡シートを貼り合わせて、積層シートを得た以外は実施例2と同様にした。実施例1と同様に板厚方向に存在するセル数と全光線透過率を評価した。結果、板厚方向に存在するセル数の平均値は52.4個で、波長500nmでの全光線透過率は5.6%であり、良好な遮光性能を有していた。さらに積層シートをウレタン系接着剤にて3方を接着し、袋状容器を成形したところ、リサイクル適性に優れ、遮光性能を有する容器が得られた。
(実施例5)
ウレタン系接着剤を用いて5枚の延伸発泡シートを貼り合わせて、積層シートを得た以外は実施例2と同様にした。実施例1と同様に板厚方向に存在するセル数と全光線透過率を評価した。結果、板厚方向に存在するセル数の平均値は65.5個で、波長500nmでの全光線透過率は4.1%であり、良好な遮光性能を有していた。さらに積層シートをウレタン系接着剤にて3方を接着し、袋状容器を成形したところ、リサイクル適性に優れ、遮光性能を有する容器が得られた。
(比較例1)
イソフタル酸を5mol%含む固有粘度(IV)0.90dL/gの共重合PETを射出成形し、90mm角で平均肉厚1.5mmの非発泡シートを得た。このシートを二軸延伸装置内で105℃、3分間加熱し、5m/分の延伸速度で縦3×横3倍に延伸し、平均板厚0.15mmの延伸シートを得た。実施例1と同様に全光線透過率を評価した。結果、波長400〜800nmの可視光領域ほぼ全般において遮光性能を有していなかった。波長500nmでの全光線透過率は90.3%であった。図6に波長と全光線透過率の関係を示す。
さらに延伸シートをウレタン系接着剤にて3方を接着し、袋状容器を成形したところ、遮光性能を有しない透明容器であった。
(比較例2)
イソフタル酸を5mol%含む固有粘度(IV)0.90dL/gの共重合PETを2軸押出機に供給して溶融混練し、押出機のバレルの途中から発泡剤である二酸化炭素をPET樹脂量に対して3.6wt%を圧入し、バレル先端部温度260℃にて混練し、Tダイから押出して平均板厚0.41mmの発泡シートを得た。得られた発泡シートを二軸延伸装置内で105℃、2分間加熱し、5m/分の延伸速度で縦3×横3倍に延伸し、平均板厚0.04mmの延伸発泡シートを得た。
延伸発泡シートの板厚方向に存在するセル数の平均値は3.4個であり、波長500nmでの全光線透過率は62.2%と不十分であった。さらに延伸シートをウレタン系接着剤にて3方を接着して袋状容器を成形したところ、容器の遮光性能は不十分であった。
(比較例3)
バレル先端部温度を240℃、二酸化炭素をPET樹脂量に対して2.5wt%とした以外は比較例2と同様にして平均板厚0.60mmの発泡シートを得た。さらに比較例2と同様に2軸延伸成形し、平均板厚0.08mmの延伸発泡シートを得た。
延伸発泡シートの板厚方向に存在するセル数の平均値は7.5個であり、波長500nmでの全光線透過率は45.6%と不十分であった。さらに延伸シートをウレタン系接着剤にて3方を接着して袋状容器を成形したところ、容器の遮光性能は不十分であった。
(比較例4)
平均肉厚0.30mmの非発泡シートを用いた以外は実施例1と同様な方法で延伸発泡シートを作製した。実施例1と同様に板厚方向に存在するセル数と全光線透過率を評価した。結果、板厚方向に存在するセル数の平均値は13.1個であり、波長500nmでの全光線透過率は23.8%であった。さらに延伸シートをウレタン系接着剤にて3方を接着して袋状容器を成形したところ、容器の遮光性能は不十分であった。
(比較例5)
平均肉厚0.35mmの非発泡シートを用いた以外は実施例1と同様な方法で延伸発泡シートを作製した。実施例1と同様に板厚方向に存在するセル数と全光線透過率を評価した。結果、板厚方向に存在するセル数の平均値は15.5個であり、波長500nmでの全光線透過率は18.3%であった。さらに延伸シートをウレタン系接着剤にて3方を接着して袋状容器を成形したところ、容器の遮光性能は不十分であった。
以上の実施例及び比較例の実験結果を下記表1にまとめて示す。
Figure 0005725124
以下の応用実験例1〜3は本発明例であり、応用実験例4〜6は、本発明の範囲外の比較例である。
(応用実験例1)
除湿乾燥機で十分乾燥させた市販のボトル用PET樹脂(固有粘度:0.84dl/g)を射出成形機のホッパーに供給し、さらに射出成形機の加熱筒の途中から窒素ガスを0.1重量%供給し、PET樹脂と混練して溶解させ、次いで、保圧力50MPa、射出保圧時間18秒にて射出成形し、試験管形状のガス含浸非発泡プリフォーム(重量;28.7g)を得た。
また、窒素ガスの含浸を行わずに上記と全く同様にしてプリフォームを成形し、上記のガス含浸非発泡プリフォームと比較したところ、両者の重量は同じであり、ガス含浸非発泡プリフォームの軽量化率は0%であった。
上記のガス含浸非発泡プリフォームについて、その壁の断面を、X線CTスキャン装置及び走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、発泡セルを全く観察されなかった。このX線CTスキャン像を図7に示す。
さらに、上記のガス含浸非発泡プリフォームに対して、外面を赤外線ヒータにより、また内面を高周波により加熱した鉄心を挿入することにより加熱し(発泡プリフォームの作製)、さらに得られた発泡プリフォームをブロー成形し、内容量が約500mlの発泡ボトルを得た。
尚、上記の加熱直後(ブロー成形直前)の発泡プリフォームの外表面温度を放射温度計により測定したところ、115℃であった。
また、加熱直後の発泡プリフォームについて、一部を取り出して冷却し、その胴部断面をX線CTスキャン装置及びSEMで観察し、そのX線CTスキャン写真を図8に示した。図8に示されているように、このプリフォームでは、中間層部分に直径が5〜50μm程度の微細で均一な直径の球形状の発泡セルが多数形成されており、その両面には、非発泡層が形成されていた。
さらに市販の画像解析式粒度分布測定ソフト(Mountec社製Mac−View)を用いてセル径分布を評価したところ、平均セル径が22.5μm、標準偏差が8.9μmであり、微細かつ均一なセル径分布だった。
上記で得られた発泡ボトルについて、その胴部の断面をSEM観察し、その写真を図9に示した。図9に示されているように、このボトル壁には多数の偏平状セルが形成されており、その厚み方向の平均サイズは4.6μm、厚み方向の平均セル数は31.8個であった。
また、実施例1と同様にして波長500nmでの全光線透過率を評価したところ10.0%であり、良好な遮光性能を有していた。
さらに、前述した不活性ガスを含浸していない非発泡プリフォームを用い、該プリフォームを上記と同様にしてブロー成形し、得られたボトルを上記の発泡ボトルと比較して発泡ボトルの胴部における軽量化率を測定したところ、25%であり、水に沈むことを確認できた。
(応用実験例2)
応用実験例1と同じ条件でガス含浸非発泡プリフォームを成形し、加熱直後の発泡プリフォーム温度が125℃となるように加熱条件を変更した以外は、応用実験例1と全く同様にして発泡ボトルを成形した。
応用実験例1と同様に加熱直後の発泡プリフォームのセル径分布を測定したところ、平均セル径が25.9μm、標準偏差が11.6μmであり、微細かつ均一なセル径分布だった。
この発泡ボトルについて、応用実験例1と同様に胴部断面をSEM観察したところ、同様に多数の偏平状セルが形成されており、その厚み方向の平均サイズは5.5μm、厚み方向の平均セル数は36.0個であった。また、波長500nmでの全光線透過率は9.8%であり、軽量化率は25%であった。
(応用実験例3)
窒素ガス供給量を0.15重量%に変更した以外は、応用実験例1と同じ条件でガス含浸非発泡プリフォームを成形した。このガス含浸非発泡プリフォームの軽量化率を応用実験例1と同様に測定したところほぼ0%であった。また、このプリフォームの断面をSEM観察したところ、中央部付近に直径が5〜30μm程度のセルが観察されたが、その数は極めて少なかった。
また、上記のガス含浸非発泡プリフォームを使用し、加熱直後の発泡プリフォーム温度が125℃となるように加熱条件を変更した以外は、応用実験例1と全く同様にして発泡ボトルを成形した。
加熱直後の発泡プリフォームの断面をSEM観察したところ、多数の微細なセルが新たに生成していた。さらにセル径分布を測定したところ、平均セル径が18.5μm、標準偏差が10.7μmであり、微細かつ均一なセル径分布だった。
また、この発泡ボトルについて、応用実験例1と同様に胴部断面をSEM観察したところ、同様に多数の偏平状セルが形成されており、その厚み方向の平均サイズは5.3μm、厚み方向の平均セル数は47.0個であった。また、波長500nmでの全光線透過率は9.5%であり、軽量化率は25%であった。
(応用実験例4)
保圧力を0.5MPa、射出保圧時間を2秒に変更し、樹脂量を調整し、応用実験例1と同様にして25.9gのガス含浸発泡プリフォームを得た。このプリフォームの軽量化率は9.7%であった。また、このプリフォームの断面をX線CTスキャン装置で観察し、そのX線CTスキャン像を図10に示した。図10に示されているように、直径が10〜100μmと極めて不揃いのセルが多数、中央部分に形成されていることが判る。
上記のガス含浸発泡プリフォームを用い、応用実験例1と同じ条件で発泡ボトルを成形した。
加熱直後の発泡プリフォームの断面をX線CTスキャン装置及びSEM観察し、X線CTスキャン像を図11に示した。図11に示されているように、セルの径が大きく増大していたが、応用実験例1と比較すると、その数は著しく少なかった。加熱直後の発泡プリフォームのセル径分布を測定したところ、平均セル径が73.4μm、標準偏差が51μmであり、セル径が大きくまた不均一なセル径分布だった。
また、この発泡ボトルについて、応用実験例1と同様に胴部断面をSEM観察し、SEM写真を図12に示した。多数の偏平状セルが形成されており、その厚み方向の平均サイズは21.4μm、厚み方向の平均セル数は13.5個であった。また、波長500nmでの全光線透過率は23.6%であり、遮光性能が不十分であった。また、軽量化率は33%であり水に浮くことが確認された。
(応用実験例5)
保圧力を0.5MPa、射出保圧時間を2秒とし、樹脂量を調整し、応用実験例1と同様にして26.7gのガス含浸発泡プリフォームを得た。このプリフォームの軽量化率は6.8%であった。また、このプリフォームの断面をX線CTスキャン装置で観察したところ、直径が100〜200μm程度の大きなセルが中央部分に少数であるが生成していた。
上記のガス含浸発泡プリフォームを用い、応用実験例1と同じ条件で発泡ボトルを成形し、この発泡ボトルについて、応用実験例1と同様に胴部断面をSEM観察した。その結果、偏平状セルが形成されており、その厚み方向の平均サイズは24.4μm、厚み方向の平均セル数は9.5個であった。また、波長500nmでの全光線透過率は36.4%であり、遮光性能が不十分であった。また、軽量化率は36%であった。
また、加熱直後の発泡プリフォームのセル径分布を測定したところ、平均セル径が83.7μm、標準偏差が112μmであり、セル径が大きくまた不均一なセル径分布だった。
(応用実験例6)
保圧力を0.5MPa、射出保圧時間を2秒とし、樹脂量を調整し、応用実験例1と同様にして23.9gのガス含浸発泡プリフォームを得た。このプリフォームの軽量化率は16.8%であった。また、このプリフォームの断面をX線CTスキャン装置で観察したところ、直径が10〜100μm程度の大きなセルが中央部分に多数生成していた。
上記のガス含浸発泡プリフォームを用い、応用実験例1と同じ条件で発泡ボトルを成形し、この発泡ボトルについて、応用実験例1と同様に胴部断面をSEM観察した。その結果、偏平状セルが形成されており、その厚み方向の平均サイズは14.3μm、厚み方向の平均セル数は15.8個であった。また、波長500nmでの全光線透過率は21.8%であり、遮光性能が不十分であった。また、軽量化率は39%であった。
また、加熱直後の発泡プリフォームのセル径分布を測定したところ、平均セル径が67.9μm、標準偏差が46.6μmであり、セル径が大きくまた不均一なセル径分布だった。
1:発泡セル
10:容器壁

Claims (3)

  1. 不活性ガスが含浸されている樹脂溶融物を、軽量化率が5%以下となるように保圧をかけながら成形金型内に射出してプリフォームを成形し、次いで該プリフォームを加熱して発泡を行ない、器壁中に球形状の発泡セルが分布している発泡プリフォームを得、得られた発泡プリフォームを延伸成形することにより、該発泡プリフォームが容器の形状に賦形されると同時に、該球形状の発泡セルが延伸方向に引き伸ばされて偏平形状となることを特徴とする発泡プラスチック容器の製造方法。
  2. 前記加熱しての発泡により生成する球形状の発泡セルは、平均セル径が5乃至50μmの範囲にあり且つ標準偏差が40μm以下の粒度分布を有している請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記延伸成形により得られる容器の軽量化率は、26%以下である請求項1または2に記載の製造方法。
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