JP5721997B2 - 風力発電設備に使用する減速装置及び風力発電設備のヨー駆動装置 - Google Patents

風力発電設備に使用する減速装置及び風力発電設備のヨー駆動装置 Download PDF

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Description

本発明は、風力発電設備に使用する減速装置及び風力発電設備のヨー駆動装置に関する。
特許文献1に、風力発電設備に使用する減速装置が開示されている。風力発電設備の制御としては、風に対してナセル(発電室)の水平面内での向き(回転)を制御するヨー制御、或いは風に対して風車ブレードの向き(傾き)を制御するピッチ制御等があるが、いずれもモータで駆動される減速装置によって実現されている。
風力発電設備は、必ずしも常時安定した風を確保できる場所に設置できるわけではなく、特に近年では、複雑な地形部での乱れた風を受ける場所や、ときに台風やハリケーンのような激しい風が吹くような場所に設置せざるを得ない例も増えている。このような強い風が風力発電設備に掛かると各減速装置には出力側から巨大な負荷が掛けられた状態となり、本来の出力軸が入力軸となった増速装置の動きを呈し、減速装置内の各部材やモータ等が過度に速い回転速度で強制的に回転させられる状態が発生してしまう。
この特許文献1では、減速装置の出力側から設定値以上の風力負荷が入力されて来たときに、スリップカップリングを作動させ、駆動系の動力伝達を遮断して該駆動系の過負荷を防止する技術を開示している。
US2007−0098549A1(請求項1、段落[0015])
上記特許文献1におけるスリップカップリングは、駆動系に予め設定された閾値以上の風力負荷が伝達されてくると、減速装置内の動力の伝達そのものを遮断してしまうものであった。そのため、実際問題として、例えば強い風力負荷が掛かるような状況において、該風力負荷に抗してヨー制御が行われているとき(ナセルがある方向に固定・維持されているとき)に、より過大な風力負荷が掛かって減速装置内の動力伝達が遮断されると、駆動系がフリーの状態となってしまうという問題があった。すなわち、動力伝達が遮断されることによって、それまで行われていたナセルの方向の維持ができなくなり、ナセルが風に任せて無制御状態で激しく振れ回る状態が生じてしまうという問題があった。
この事情は、ピッチ制御のための減速装置においても、「当該減速装置の動力伝達が過負荷によって遮断された場合に、風車ブレードが風に任せて無制御状態で激しくふらつく状態が生じてしまう」という点で同様である。
また、スリップカップリングは、駆動系の本来の動力伝達を担う部材とは別に設けられるものであったため、スリップカップリングを付設する分、風力発電設備全体の部品点数が増大し、コストが増大するという問題もあった。
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、低コストで、過大な風力負荷が掛かるような状況においても、減速装置の破損や故障を防止でき、かつ、ナセルや風車ブレードが風に任せて無制御状態でふらつく状態が生じることを防止することのできる風力発電設備に使用する減速装置及び風力発電設備のヨー駆動装置を提供することをその課題としている。
本発明は、出力軸にピニオンが設けられ、該ピニオンが風力発電設備側に設けられた歯車と噛み合う構成とされた風力発電設備に使用する減速装置において、該減速装置の駆動源であるモータと該減速装置の出力軸との間に、トラクションドライブによって動力伝達を行うトラクション減速機構を配置した構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
本発明では、トラクションドライブによって動力伝達を行うトラクション減速機構を、風力発電設備に使用する減速装置の駆動系内に装備させた。トラクション減速機構を配置する位置は、該減速装置の駆動源であるモータと該減速装置の出力軸との間であれば、特に制限されず、例えば、減速装置の初段の減速機構として配置しても、また第2段目以降の減速機構として配置しても、さらにはモータ軸に直結して配置してもよい。なお、本発明に係る減速装置は、トラクションドライブによって動力伝達を行うトラクション減速機構が備えられている限り、駆動源たるモータは、必ずしも取り付けられた状態とされていなくてもよい。
トラクションドライブによって動力伝達を行うトラクション減速機構は、ある閾値以上のトルクが入力されてくるとローラ等の転動部材に多大な滑りが発生してそれ以上のトルクを伝達しなくなるという特性がある。そのため、暴風等で、過大な風力負荷が減速装置の出力側から入力されてきたときには、該トラクション減速機構の転動部材が滑ることでそのエネルギの全てがモータ側に伝達されてしまうのを回避できる。この結果、減速装置の各部材が過回転によって破損したり故障したりするのが防止される。
また、いわゆるフリクションドライブ(摩擦力による駆動)によって動力伝達を行うフリクション減速機構と異なり、トラクション減速機構は、多大な滑りが発生した後においても、伝達トルクが急減せず、ある程度のトルクの伝達を維持するという特性がある。このため、トラクション減速機構は、上記保護機能(滑り機能)が発揮された後であっても、所定のトルク伝達を維持することができるため、ナセル、あるいは風車ブレード等の被駆動体に(風に対する)適度の反力を発生させることができる。すなわち、ナセルや風車ブレードが風に任せて無制御状態でふらついたりするのを効果的に防止できる。
更に、本発明に係るトラクション減速機構は、通常時は、モータからの動力を減速装置の出力側に減速しながら伝達する減速装置本来の駆動系の一部として機能する。換言するならば、本発明では、減速装置の保護機能を実現するために別途の付設装備を特に必要とせず、低コストである。
本発明によれば、低コストで、過大な風力負荷が掛かるような状況においても、減速装置の破損や故障を防止でき、かつ、ナセルや風車ブレードが風に任せて無制御状態でふらつく状態が生じることを防止することができる。
本発明の実施形態の一例に係る風力発電設備に使用する減速装置の全体断面図 上記減速装置が適用される風力発電設備の正面図 上記風力発電設備のナセルに上記減速装置が組み込まれている様子を示す斜視図 上記風力発電設備のヨー駆動装置の構造を示す要部断面図 図1の矢示V−V線に沿う断面図 図1の矢示VI−VI線に沿う断面図 単純遊星ローラ減速機構の滑り出すトルクを説明するための説明図 本発明の他の実施形態の一例に係る風力発電設備に使用する減速装置の全体断面図 本発明の更に他の実施形態の一例に係る風力発電設備に使用する減速装置の全体断面図 図9の矢示X−X線に沿う断面図
以下、本発明の実施形態の一例に係る風力発電設備に使用する減速装置について詳細に説明する。始めに、当該風力発電設備の概略から説明する。
図2及び図3を参照して、この風力発電設備10は、円筒支柱11の最上部にナセル(発電室)12を備える。ナセル12には、ヨー(Yaw)駆動装置14と、ピッチ(Pitch)駆動装置16が組み込まれている。ヨー駆動装置14は、円筒支柱11に対するナセル12全体の旋回角を制御するためのものであり、ピッチ駆動装置16は、ノーズコーン18に取り付けられる3枚の風車ブレード20のピッチ角を制御するためのものである。
この実施形態では、ヨー駆動装置14に本発明が適用されているため、ここではヨー駆動装置14について説明する。
このヨー駆動装置14は、モータ22及び出力ピニオン24付きの4個の減速装置G1〜G4及びそれぞれの出力ピニオン24と噛合する1個の旋回内歯歯車28を備える。各減速装置G1〜G4は、それぞれナセル12の本体側の所定の位置に固定されている。図4を合わせて参照して、各減速装置G1〜G4のそれぞれの出力ピニオン24が噛合している旋回内歯歯車28は、円筒支柱11側に固定されており、ヨーベアリング30の内輪を構成している。ヨーベアリング30の外輪30Aは、ナセル12の本体12A側に固定されている。なお、図4の符号25はヨー駆動装置14の旋回内歯歯車28を固定するためのブレーキ機構、すなわち外部からの風力負荷に対して、ナセル12が回転するのを防止するためのブレーキ機構である。
この構成により、各減速装置G1〜G4のモータ22によって各出力ピニオン24を同時に回転させると、該出力ピニオン24が旋回内歯歯車28と噛合しながら旋回内歯歯車28の中心36(図3参照)に対して公転する。この結果、ナセル12全体を円筒支柱11に固定されている旋回内歯歯車28の中心36の周りで旋回させることができる。これにより、ナセル12のノーズコーン18を所望の方向(例えば風上の方向)に向けることができ、効率的に風圧を受けることができる。
前記減速装置G1〜G4は、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは減速装置G1の構成を説明する。
図1を参照して、減速装置G1は駆動源であるモータ22と、初段の減速機構であるウォーム減速機構30と、その後段に配置された単純遊星ローラ減速機構(トラクション減速機構)32と、最終段の減速機構である揺動内接噛合遊星減速機構34とを、動力伝達経路上でこの順に備えている。
なお、特許請求の範囲及び本明細書において「前段」「後段」、あるいは、「初段」「最終段」等の、動力の流れに対して上流、下流に相当する意味を有して用いられている用語は、特に断り書きのない限り、通常の駆動状態においてモータから駆動力が流れてゆく方向を基準としている。したがって、暴風により、出力ピニオンの側からモータ側へと動力が逆流してくるときには、上流、下流の関係が逆になる。
モータ22のモータ軸22Aは、ウォーム減速機構30の図示せぬウォームと連結されている。ウォームとウォームギヤ36は、互いに噛合することによってモータ軸22Aの回転を減速すると共に、動力の回転方向を直角に変更している。この実施形態ではウォーム減速機構30の減速比は40程度とされている(入力された回転を1/40程度に減速する)。それは、ウォーム減速機構30のセルフロック性能は、ウォームの進み角と(ウォームとウォームギヤ36の)接触部の摩擦係数により決定されるが、本実施形態のような円筒ウォームの場合には、減速比20以上、好ましくは30以上、より好ましくは40以上であれば、後述する所望のセルフロック性能(出力側からの負荷で回転しない機能)を実現できるためである。この実施形態では、ウォーム減速機構30のセルフロック機能を利用することで出力ピニオン24側からの外力に対する反力を提供するようにしているため、モータ22にはブレーキ機構を設けておらず、その分コストダウンを図っている。なお、この実施形態では、ウォーム減速機構30の出力軸(ウォームギヤ36が組み込まれている軸)36wは、後段の単純遊星ローラ減速機構32の入力軸32iを兼用している。
単純遊星ローラ減速機構32は、図5に示されるように、入力軸32iにキー38を介して組み込まれた太陽ローラ40、該太陽ローラ40に外接するとともにキャリヤ42に支持された4個の遊星ローラ44、及び各遊星ローラ44が内接するリングローラ46を備える。この実施形態では、リングローラ46がケーシング48Aと一体化(固定)された状態で、太陽ローラ40からウォーム減速機構30の出力を入力し、遊星ローラ44を支持しているキャリヤ42の公転を減速出力として取り出す構成を採用している。
この単純遊星ローラ減速機構32の各ローラ40、44、46間の動力伝達は、「トラクションドライブ(Traction Drive)」によって行われる。トラクションドライブによる動力伝達とは、油が閉じ込められた空間内で滑らかな表面を持つ一対の転動体を互いに強く押し付け、該押し付けによって形成された弾性変形接触部に前記油を高圧で閉じ込め、この閉じ込められたEHL油膜(弾性流体潤滑油膜(Elasto−hydrodynamic Lubrication))と称される油膜に対して微少な相対滑りを与えたときに発生する油のせん断応力で動力を伝えるものである。
この作動条件を満足させるために、単純遊星ローラ減速機構32は、トラクション油で満たされた完全密閉空間P1内に収容されている。リングローラ46は、ケーシング48Aと一体化されて肉厚に形成され、該リングローラ46によって遊星ローラ44及び太陽ローラ40に対して強い半径方向内側への与圧が掛けられている。
単純遊星ローラ減速機構32のトラクションドライブについては、後に更に詳しく説明する。
単純遊星ローラ減速機構32のキャリヤ42は、揺動内接噛合遊星減速機構34の入力軸72と一体化されている。
図6を合わせて参照して、揺動内接噛合遊星減速機構34は、当該入力軸72と、入力軸72に設けられた2つの偏心体74と、該偏心体74を介して偏心揺動する2枚の外歯歯車76と、該外歯歯車76が内接噛合する内歯歯車78とを備えている。2枚の外歯歯車76は、その偏心位相が丁度180度ずれており、互いに離反する方向に偏心した状態を維持しながら揺動回転する。内歯歯車78は、ケーシング48Bと一体化されている。内歯歯車78の内歯はそれぞれ円筒状の外ピン78Aによって構成されている。内歯歯車78の内歯の数(外ピン78Aの数)は、外歯歯車76の外歯の数より僅かだけ(この例では1だけ)多い。外歯歯車76には内ピン80が遊嵌されている。内ピン80は、出力フランジ82と一体化され、該出力フランジ82は減速装置G1の出力軸84と一体化されている。
この実施形態では、内歯歯車78がケーシング48Bと一体化されているため、揺動内接噛合遊星減速機構34の入力軸72が回転すると外歯歯車76が偏心体74を介して揺動し、該外歯歯車76の内歯歯車78に対する相対回転(自転)が、内ピン80及び出力フランジ82を介して出力軸84から取り出される。出力軸84は、内歯歯車78の外ピン78Aと同軸でケーシング48Bに回転自在に支持されると共に該外ピン78Aより僅かに大きな外径を有するころからなる(専用の内外輪を有しない)ころ軸受86と、専用の内外輪88A、88Bを有する自動調心ころ軸受88とによって両持ち支持されている。この出力軸84にはスプライン90を介して前出の出力ピニオン24が固定・連結されており、該出力ピニオン24が、既に説明した旋回内歯歯車28(図3、図4)と噛合する構成とされている。
ここで、前記単純遊星ローラ減速機構32のトラクションドライブ関係の構成についてより詳細に説明する。
単純遊星ローラ減速機構32のトラクションドライブによる動力伝達は、
(1)通常時に駆動系の一部としてモータ22からの回転を減速する減速機構として機能すると共に、過大な風力負荷が旋回内歯歯車28側から入力されてきたときに滑りが発生して所定のトルク以上の伝達が遮断される;という基本的な特性が得られる上に、
(2)各ローラ40、44、46に滑りが発生しても、滑り始めたときのトルクとほぼ同一のトルク伝達をなお維持することができるため、ナセル12や風車ブレード20の制御が不能になる恐れがない;
(3)滑りによって風力負荷のエネルギの一部が熱に変換されても、完全密閉空間P1内に封入されたトラクション油によって適正な冷却が可能である;
(4)完全密閉空間P1内に封入されたトラクション油の中で作動するため、暴風雨等の悪条件下でも動作が安定しており、電源を必要とするセンサや制御回路も不要であり、作用の再現性が高い、というメリットがある。
本実施形態は、上記(1)〜(4)のメリットを風力発電設備10のヨー駆動装置14の過負荷時の制御に最大限に利用したものと捉えることができるが、特に上記メリット(2)〜(4)を得るという観点から、類似する「フリクションドライブ」と称されるドライブ方式は、これを採用しない。「フリクションドライブ」とは、乾式の雰囲気で滑らかな転動体を擦り合わせたときの摩擦によって回転を伝えるいわゆる摩擦駆動方式のことである。その理由は、「フリクションドライブ」は、前記(1)と同様の基本効果はあるものの、
(2F)過大入力によって一度転動体に滑りが発生すると、伝達トルクが急激に低下してしまい、ナセル12や風車ブレード20の制御がほとんどできない状態が生じてしまう;
(3F)滑りによって吸収される風力負荷のエネルギの一部が熱に変換されたときに、発生された熱の発散あるいは放散が困難(減速機構周りが非常に高温になってしまう);
(4F)巨大な風力負荷が入力されてくるような暴風雨等の悪条件下では、摩擦ローラ間に雨水やゴミ等が進入したりすることが考えられ、安定した(意図した)特性を維持するのが困難、という事情があるためである。
ここで、図7を参照して、風力負荷(外的トルク)が出力ピニオン24側から掛かったときに単純遊星ローラ減速機構32が滑り出す閾値(単純遊星ローラ減速機構32が滑り始めるトルク)TDの設定について説明する。
なお、厳密な見方をするならば、トラクションドライブに係る単純遊星ローラ減速機構32は、通常のモータからの動力伝達時においても「若干の滑り」が発生しているため、ここで、この通常のモータからの動力伝達時に発生する「若干の滑り」と、前記「閾値TDに係る滑り」との関係を明らかにしておく。単純遊星ローラ減速機構32は、通常の動力伝達時、この「若干の滑り」があるからこそ、オイルに剪断応力が発生し、ローラ間の動力を伝達することができる。この「通常の動力伝達時の若干の滑り」は、そのときの回転速度に依存して変化するが、多くても2%〜3%程度である。これに対し、ここでいう「閾値TDに係る滑り」は、ブレーキ(この実施形態ではウォーム減速機構30のセルフロックによるブレーキ)が掛けられることによって「単純遊星ローラ減速機構32の各ローラ(太陽ローラ40、遊星ローラ44、リングローラ46)が静止しているとき」において、出力ピニオン24側から加わったトルクによって、各ローラ40、44、46の間(通常は、遊星ローラ44とリングローラ46との間)に滑りが発生し始めるときの「滑り」を指している。
この実施形態では、当該閾値TDを、明確性の高い「自動調心ころ軸受88及びころ軸受86の負荷容量」を指標として規定するようにしている。すなわち、
・自動調心ころ軸受88の基本静定格荷重(JIS B1519)…CoA
・ころ軸受86の基本静定格荷重(JIS B1519)…CoB
・自動調心ころ軸受88の軸方向中心から、出力ピニオン24の軸方向中心までの距離…L1
・自動調心ころ軸受88の軸方向中心からころ軸受86の軸方向中心までの距離…L2
・出力ピニオン24に作用する荷重…Fp
・自動調心ころ軸受88の反力…RA
・ころ軸受86の反力…RB
・出力ピニオン24のピッチ円直径…Dp
・単純遊星ローラ減速機構32の後段の揺動内接噛合遊星減速機構34の減速比…Zp
※このZpは、減速比の分母である(例えば減速比が1/50なら50)
・旋回内歯歯車28の噛合圧力角…α
・荷重についての安全率(サービスファクタ)…SF
とすると、以下のような関係式が成立する。
RA=Fp+RB=(1+L1/L2)Fp …(1)
RB=(L1/L2)Fp …(2)
減速装置G1が破損しないためには(具体的には、ここで着目している自動調心ころ軸受88及びころ軸受86が破損しないためには)、静的ピークトルク(減速装置G1の寿命までの間に静的に1回作用しても壊れない最大トルク)が発生しても、(1)式、(2)式による自動調心ころ軸受88の反力RA、ころ軸受86の反力RBが、一定の安全率SFを確保しながら自動調心ころ軸受88の基本静定格荷重CoA、ころ軸受86の基本静定格荷重CoBを超えない必要がある。故に、
RA<CoA、かつ、RB<CoB …(3)
が成立しなければならない。一般には、自動調心ころ軸受88の方がコスト高となるため、事実上、
RA<CoA …(4)
が、減速装置G1が破損しないための制約条件となる。
ここで、風力発電設備10の減速装置G1は、ヨー駆動装置14、ピッチ駆動装置16とも全体のバランスからL2/L1が1.5〜3である(本実施形態では2.5程度)。よって、(1)式は、
RA=(1+1/3)Fp 〜(1+1/1.5)Fp
=(1.33〜1.67)Fp …(5)
と書き替えることができ、ここに(4)式を適用すると、
(1.33〜1.67)Fp<CoA …(6)
が導かれる。よって、
Fp<CoA/(1.33〜1.67) …(7)
Fp<(0.6〜0.75)CoA …(7’)
これが、出力ピニオン24に作用する最大のピーク荷重Fpの目安となる。
このとき、図7(B)の関係から、ピーク荷重Fpの実効分である出力ピニオンのピークトルクPtは、旋回内歯歯車の噛合圧力角αを用いて
Pt=Fp・cos α・Dp/2 …(8)
となる。
(7’)式を踏まえて(8)式を変形すると、
Pt=(cos α/2)Fp・Dp
=(cos α/2)・(0.6〜0.75)CoA・Dp
=(0.3〜0.375)・cos α・CoA・Dp …(9)
となるため、(9)式の値を後段の揺動内接噛合遊星減速機構34の減速比Zp及び安全率(サービスファクタ)SFで割った値が、単純遊星ローラ減速機構32が遅くとも滑り出さなければならない限界トルクTDpということになる。なお、安全率SFについては後に触れる。
TDp=(0.3〜0.375)・cos α・CoA・Dp/(SF・Zp) …(10)
この値は減速装置G1のピークトルクに対するものであるから、減速装置G1の定格トルクは、一般にピークトルクの1/2程度であること等を考慮するならば、
TDn=(0.15〜0.1875)・cos α・CoA・Dp/(SF・Zp) …(11)
程度が妥当な下限となり、(10)式と(11)式から、結局、
TD≒(0.15〜0.375)・cos α・CoA・Dp/(SF・Zp) …(12)
が、単純遊星ローラ減速機構32が滑り出すべきトルク(閾値)TDの適切な設計範囲ということになる。単純遊星ローラ減速機構32の滑り出しは、これより早すぎるとモータ22からの通常のトルク伝達に支障が出る恐れがあり、これより遅すぎると減速装置G1の耐久性上好ましくない。
ここで、(12)式に、安全率(サービスファクタ)SFを反映させる。本実施形態の減速装置G1のように、モータと減速機(ギヤヘッド)が連結されたギヤモータの場合、安全率(サービスファクタ)SFは、モータ容量に対してギヤヘッドのもつ強度上の余裕を係数で表したものと定義することができる。例えば安全率SF=2.0は、ギヤヘッド容量がモータ容量の2倍余裕があることを示す。本実施形態のように、風力発電設備に使用されるギヤモータの場合には、通常、安全率SF=1.0〜2.0であるため、これを、上記(12)式に代入して計算すると、式の趣旨より、下限側が1/2、上限側がそのままとなるため、(12)式は、結局、(13)式のように表すことができる。
TD≒(0.075〜0.375)・cos α・CoA・Dp/Zp …(13)
更に、例えば、圧力角αが25°であるならば、cos 25°は0.906であり、cos α は、1より僅かに小さな値であること等を考慮して前後を丸めるならば、
TD≒(0.05〜0.4)・CoA・Dp/Zp …(14)
と理解して良い。
閾値TDをこのような範囲に設定することにより、モータ22からの通常のトルク伝達の場合は滑らず、減速装置G1の耐久性上問題が生じそうなトルクより若干小さいレベルから滑り出すような特性を得ることができる。
単純遊星ローラ減速機構32は、この閾値TDの範囲のトルクがキャリヤ42側から入力されたときに滑り出すように、各ローラ40、44、46の径や軸方向幅、リングローラ46による与圧力、トラクション油の種類等が設計・調整される。単純遊星ローラ減速機構32は、他の構成に係るトラクションドライブ減速機構(例えば平行軸タイプのトラクションドライブ減速機構)と比べて、スペース性、コスト性、滑り出すトルクの調整の容易性等、多くの面で優れている。
次に、この実施形態に係る風力発電設備10の減速装置G1の作用を説明する。
モータ22のモータ軸22Aの回転は、ウォーム減速機構30によって初段減速されると共に回転方向が直角に変更され、単純遊星ローラ減速機構32の太陽ローラ40に入力される。単純遊星ローラ減速機構32では、通常の「単純遊星ローラ減速機構32」自体の減速作用により所定の2段目の減速が行われ、減速された回転が該単純遊星ローラ減速機構32のキャリヤ42の回転として出力される。このように、単純遊星ローラ減速機構32は通常時は、完全に減速装置G1の駆動系の一部として機能するのが、本実施形態の大きな特徴の1つである。
この減速された回転は、揺動内接噛合遊星減速機構34の入力軸72に伝達される。
揺動内接噛合遊星減速機構34の入力軸72が回転すると、偏心体74を介して外歯歯車76が(内歯歯車78に内接しながら)揺動回転するため、内歯歯車78との噛合位置が順次ずれてゆく現象が生じる。この結果、揺動内接噛合遊星減速機構34の入力軸72が1回回転する毎に、外歯歯車76が1回揺動し、(固定状態にある)内歯歯車78に対して1歯分ずつ位相がずれて行くようになる(自転成分が発生する)。この自転成分を内ピン80、出力フランジ82を介して出力軸84側に取り出すことにより、揺動内接噛合遊星減速機構34での減速が実現される。出力軸84の回転はスプライン90を介して出力ピニオン24に伝達される。出力ピニオン24は旋回内歯歯車28と噛合しており、且つ、該旋回内歯歯車28は、円筒支柱11側に固定されているため、結局、反作用によって該円筒支柱11に対してナセル12自体が水平方向に回転する。
ここで、極めて強い風が風車ブレード20等に作用することによってナセル12を旋回させようとする巨大なトルクがヨー駆動装置14の減速装置G1の出力ピニオン24側から入力されて来たとする。この巨大な「風力負荷」は、該減速装置G1の揺動内接噛合遊星減速機構34を逆から駆動し、揺動内接噛合遊星減速機構34は増速機構として機能するため、何らかの「ブレーキ機能」がないと、駆動系の各部が非常に速い速度で強制的に回転させられてしまうと共に、ナセル12が風によって回転させられてしまうことになる。
通常、このブレーキ機能は、モータ22にブレーキ機構を付設することによって実現する。しかし、前述したように、本実施形態ではこの「ブレーキ機能」を、コスト低減のためにウォーム減速機構30のセルフロック機能によって実現している。ウォーム減速機構30のセルフロックによるブレーキ機能は、文字通り駆動系の回転を完全にロックしてしまうものであるため、このままでは、減速装置G1の各部材は、当該巨大な「風力負荷」をまともに受けてしまった場合、破損してしまう恐れが生じる。
しかしながら、この実施形態では、過大な風力負荷が掛かって単純遊星ローラ減速機構32のキャリヤ42に閾値であるトルクTD以上のトルクが掛かると、該単純遊星ローラ減速機構32の各ローラ40、44、46が滑り出すため、(ウォーム減速機構30のセルフロック機能を利用した構成であっても)モータ22を含めた減速装置G1各部の過回転を安全に防止することができる。
また、単純遊星ローラ減速機構32は、湿式で、全体が完全密閉空間P1内のトラクション油内に浸っているため、過熱の恐れもない。何よりも、単純遊星ローラ減速機構32は、滑り出した後も、滑り出したときのトルクTDとほぼ同一のトルク伝達を維持する。また、本実施形態では、(出力ピニオン24側から見て単純遊星ローラ減速機構32の後段に)セルフロック機能を有するウォーム減速機構30が配置されている。したがって、この単純遊星ローラ減速機構32から伝えられてくるトルクをウォーム減速機構30のウォームギヤ36が静止状態を維持して受け止めてくれることになる。そのため、該ウォームギヤ36によって提供される反力をナセル12にまで伝えることができ、ナセル12が振れ廻ろうとする動きを抑えることができる。
単純遊星ローラ減速機構32の滑りを利用したこの保護機能は、単純遊星ローラ減速機構32自体が完全密閉空間P1内に収容されており、しかも当該過大トルク対策のためにセンサや電気的制御系が不要であるため、落雷や浸水等で制御系がダメージを受け易いような悪天候状態でも信頼性の高い作動が可能である。
そして、更に、この実施形態に係る4個の減速装置G1〜G4を用いたヨー駆動装置14は、それぞれが滑りを許容する単純遊星ローラ減速機構32を備えているため、従来のヨー駆動装置では得られなかった「荷重等配」という大きなメリットも得ることができる。重要なメリットであるため、以下、この「ヨー駆動装置14における荷重等配」のメリットについて説明する。
一般に、ヨー駆動装置は、減速装置を複数(この実施形態では4個)備え、当該複数の減速装置のそれぞれの出力ピニオンが、単一の旋回内歯歯車(旋回外歯歯車であることもある)に同時に噛合している構成とされている。このような構成のヨー駆動装置にあっては、複数の減速装置の出力ピニオンが同一のバックラッシで均等に旋回内歯歯車と噛合し、全減速装置が同一の伝達トルクを受け持つように配備される必要がある。それは、各減速装置が同一の伝達トルクを受け持たないと、モータからの動力を効率的に、かつ円滑に旋回内歯歯車に伝達することが難しくなり、また暴風により、旋回内歯歯車の側から減速装置G1〜G4に風力負荷が入力されてきたときに無理なく該風力負荷を受けることができなくなってしまうためである。
従来のヨー駆動装置でも、モータによって駆動された複数の減速装置の出力を1個の旋回内歯歯車に作用させる「通常の駆動時」の場合は、各減速装置の出力が均等になるように制御するのは、比較的容易であった。それは、(たとえ各減速装置の機械的なバックラッシ量が不均一であったとしても)各減速装置に実際に流れる電流をフィードバック制御することで、それぞれの減速装置の発生トルクを均一にすることが、ある程度可能だからである。
しかし、風力負荷によって出力側から逆駆動されるときは、この「電流のフィードバック制御による等配制御」を活用することができない。そのため、従来のヨー駆動装置では、旋回内歯歯車が動くことによってバックラッシが最初に詰められた減速装置が大きな負担を強いられることを余儀なくされていた。特に暴風時には、通常、モータのブレーキ機構が作用していたり、ウォーム減速機構のようなセルフロック機構が作用していたりして、減速装置内の各部材が停止した状態で風力負荷に耐える状況が形成されていることから、他の減速装置は(旋回内歯歯車の回転が最初の減速装置によって固定されるため)バックラッシが詰められない状態のままとなってしまい易い。そのため、最初にバックラッシが詰められた「特定の1個の減速装置」のみに負荷が集中し、結局、当該減速装置が破損してしまうことがしばしば生じた。そして、1個が破損すると、今度は残った3個のうち、バックラッシが最初に詰められた減速装置が同様な状態となり、次々に連鎖的に破損してしまうことがあった。
しかしながら、本実施形態においては、たとえ特定の減速装置にのみ最初に負荷が掛かっても、当該負荷が所定の閾値トルクTD以上になると、当該特定の減速装置内の単純遊星ローラ減速機構32が滑るため(旋回内歯歯車が回転できるため)、他の減速装置も必ずバックラッシが詰められ、結局、全ての減速装置G1〜G4がほぼ均等に負荷を分担できる。したがって、この荷重等配機能により、減速装置が過酷な状態になってしまう確率を従来と比べて格段に小さくすることができる。換言するならば、本発明は、減速装置を複数並列で用いるヨー駆動装置に適用した場合に、一層顕著な効果が得られると言い得る。
なお、図4のブレーキ機構25(外部からの風力負荷に対するブレーキ機構)は、本実施形態では、ウォーム減速機構30のセルフロック機能と単純遊星ローラ減速機構32の「滑り機能」によって代用することができるため、これを省略しても良い。これにより、更なるコストダウンが実現できる。
本実施形態に係るヨー駆動装置14は、この荷重等配のメリットを完全に享受できる。
次に、図8を用いて本発明の他の実施形態について説明する。
この図8の実施形態に係る減速装置G11では、前記実施形態の減速装置G1の構成から初段のウォーム減速機構30が省略されている。また、モータ22に、ブレーキ機構89が付設されている。すなわち、本実施形態では単純遊星ローラ減速機構32が滑り出した後においてもなお伝達されてくる所定のトルク(≒TD)を、ウォーム減速機構(30)のセルフロック機能によって受け止めるのではなく、このモータ22に付設されたブレーキ機構89によって受け止めるようにしている。これにより、このブレーキ機構89の制動トルクに相当する制動力をナセル12(ピッチ駆動用の減速装置であった場合には風車ブレード20)に与える事ができる。
一般に、風力発電設備の場合、モータのブレーキ機構の制動力の設定が、極めて難しいという設計上の問題がある。その理由は、例えば、このモータのブレーキ機構の制動力が大き過ぎると、出力ピニオン側から減速装置が破損に至るほど過大な風力負荷が掛かったときでも、該強い制動力によりモータ軸や減速装置内の各部材が完全に止められたままの状態が維持されてしまうことから、結果として減速装置の「弱部」が破損に至ってしまうし、逆に小さ過ぎると、本来のブレーキ機構としての制動を実現できないためである。
しかしながら、本実施形態では、単純遊星ローラ減速機構32が過負荷時に滑ってくれるため(上記所定のトルク(=TD)以上が伝達されてくることがないため)、モータ22のブレーキ機構89の制動力は、要するに単に大きければよいことになる。尤も、実用的には、モータ22の定格トルクの2倍(好ましくは2.5倍)以上確保できていれば十分である。
この実施形態では、単純遊星ローラ減速機構32の機能により、モータ22のブレーキ機構89の制動力の最適設計の負担が極めて軽くなり、しかも、如何なるときにも最適なブレーキ機能を果たすことができる。すなわち、単純遊星ローラ減速機構32が滑った後でも、モータ軸22A1を回転させようとする所定のトルクが、なお伝達されてくることから、該ブレーキ機構89によってこのトルクを受け止める(制動力によってモータ軸22A1の停止を維持する)ことで、ナセル12を制動でき、ナセル12が振れ廻ろうとする動きを抑えることができる。
その他の構成は、先の実施形態と同様なので、図中で同一または機能的に同一部分に同一の符号を付すに留め、重複説明は省略する。
なお、本発明に係る減速装置は、減速機構の構成については、特に上記2つの例に限定されない。すなわち、図9、図10に示されるように、例えば、トラクションドライブ駆動による単純遊星ローラ減速機構32のほか、他の減速機構として、第1〜第3単純遊星歯車機構91〜93を備えたような構成であっても良い。各単純遊星歯車機構、例えば第1単純遊星歯車機構91は図10に示されるように、太陽歯車91A、遊星歯車91B、リング歯車91Cを備え、キャリヤ91Dから出力を取り出す公知の構成が採用できる。図9、図10の実施形態は、トラクションドライブ駆動による単純遊星ローラ減速機構32以外の減速機構が、揺動内接噛合遊星減速機構から第1〜第3単純遊星歯車機構91〜93に置き換えられただけなので、重複説明は省略する。
なお、図9は、ブレーキ付きモータとの組み合わせが採用されているが、ウォーム減速機構との組み合わせでも良いのは言うまでもない。勿論、ウォーム減速機構とブレーキ付きモータとの組み合わせであってもよい。
既に随所で述べたように本発明に係る減速装置は、風力発電設備に使用する他の減速装置、例えばピッチ駆動装置にも適用可能であり、同様な作用効果が得られる。
トラクションドライブの減速機構としては、スペース上のメリットやコスト性から単純遊星ローラ減速機構が採用されていたが、必ずしも単純遊星ローラ減速機構である必要はなく、例えば平行軸トラクションドライブ減速機構であっても構わない。
なお、上記実施形態においては、閾値(の範囲)TDは、便宜上減速装置G1の耐久性を軸受、特に自動調心ころ軸受88の耐久性を指標として試算していた。この試算方法は、数値の採用に疑義が少なく、明確であり、設計の再現性も高い。しかし、本発明では、これとは別の視点に立った試算を否定するものではない。要するに、結果としてモータ22からの通常のトルク伝達の場合は滑らず、減速装置G1の耐久性上問題が生じそうなトルクより若干小さいレベルから滑り出すような範囲に、閾値(の範囲)TDが納まっていればよい。例えば、実験によって、閾値(の範囲)TDを決定してもよい。
上記実施形態においては、ウォーム減速機構30が初段に配置され、そのすぐ後段にトラクション減速機構32が配置されていたが、ウォーム減速機構30およびトラクション減速機構32の配置はこれに限定されるものではなく、ウォーム減速機構30よりも後段にトラクション減速機構32が配置されていればよい。
10…風力発電設備
11…円筒支柱
12…ナセル(発電室)
14…ヨー駆動装置
16…ピッチ駆動装置
18…ノーズコーン
20…風車ブレード
22…モータ
24…出力ピニオン
30…ウォーム減速機構
32…単純遊星ローラ減速機構(トラクション減速機構)
34…揺動内接噛合遊星減速機構
P1…完全密閉空間

Claims (10)

  1. 出力軸にピニオンが設けられ、該ピニオンが風力発電設備側に設けられた歯車と噛み合う構成とされた風力発電設備に使用する減速装置において、
    該減速装置の駆動源であるモータと該減速装置の出力軸との間に、トラクションドライブによって動力伝達を行うトラクション減速機構を配置した
    ことを特徴とする風力発電設備に使用する減速装置。
  2. 請求項1において、
    前記トラクション減速機構が、単純遊星ローラ減速機構である
    ことを特徴とする風力発電設備に使用する減速装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記減速装置は、ウォーム減速機構を備えており、前記トラクション減速機構が、該ウォーム減速機構よりも後段に配置されている
    ことを特徴とする風力発電設備に使用する減速装置。
  4. 請求項3において、
    前記ウォーム減速機構の減速比が、20以上に設定され、且つ、当該減速装置に、ブレーキ機構が設けられていない
    ことを特徴とする風力発電設備に使用する減速装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記減速装置は、ブレーキ機構を備えており、かつ、該ブレーキ機構によって発生し得るブレーキトルクが、減速装置の駆動源であるモータの定格トルクの少なくとも2倍以上確保されている
    ことを特徴とする風力発電設備に使用する減速装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記トラクション減速機構が滑り始める閾値トルクTDを、
    当該減速装置の出力軸を支持する軸受の基本静定格荷重をCoA、
    該出力軸に形成または組み込まれている出力ピニオンのピッチ円直径をDp、
    当該減速装置の前記トラクション減速機構よりも後段側の減速機構の減速比をZp、
    風力発電設備側に設けられた歯車の噛合圧力角をα、
    荷重についての安全率をSF、としたときに、
    0.15・cos α・CoA・Dp/(SF・Zp)より大きく、かつ、0.375・cos α・CoA・Dp/(SF・Zp)よりも小さい範囲に設定した
    ことを特徴とする風力発電設備に使用する減速装置。
  7. 請求項6において、
    前記閾値トルクTDを、
    0.075・cos α・CoA・Dp/Zpよりも大きく、0.375・cos α・CoA・Dp/Zpよりも小さい範囲に設定した
    ことを特徴とする風力発電設備に使用する減速装置。
  8. 請求項7において、
    前記閾値トルクTDを、
    0.05・CoA・Dp/Zpよりも大きく、0.4・CoA・Dp/Zpよりも小さい範囲に設定した
    ことを特徴とする風力発電設備に使用する減速装置。
  9. 風力発電設備のナセルをヨー駆動するために使用される風力発電設備のヨー駆動装置において、
    当該ヨー駆動装置の減速装置として、請求項1〜8のいずれかに記載された減速装置を複数備え、
    当該複数の減速装置のそれぞれの出力ピニオンが、単一の旋回歯車に同時に噛合している
    ことを特徴とする風力発電設備のヨー駆動装置。
  10. 風力発電設備のナセルをヨー駆動するために使用される風力発電設備のヨー駆動装置において、
    当該ヨー駆動装置の減速装置として、請求項3または4に記載された減速装置を複数備え、
    当該複数の減速装置のそれぞれの出力ピニオンが、単一の旋回歯車に同時に噛合しており、かつ、
    当該減速装置のみならず風力発電設備側にも外部からの風力負荷に対するブレーキ機構が設けられていない
    ことを特徴とする風力発電設備のヨー駆動装置。
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