JP5718565B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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特許文献1は、プロピレン樹脂等のオレフィン樹脂に、架橋点となる不飽和基を有するアクリルゴム、無機充填剤および架橋剤を配合し、混練下で動的に架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物を開示する。特許文献2および3は、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン共重合体等の強度付与成分と、柔軟性付与成分としてのエチレンアクリルゴムとを含む樹脂組成物を開示する。
本発明の別の一側面によれば、上記本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を電離性放射線により架橋して得られる硬化物を含む成形品が提供される。
その結果、本発明によれば、柔軟性、引張特性、および低温特性のいずれにも優れ、自動車部品用材料としても好適に使用できる熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
エチレン重合体の分子量(質量平均分子量;GPC法により測定、標準ポリスチレン換算)については、特に限定はされないが、成形性の観点から2万〜30万程度であることが好ましい。
さらにポリエチレンは、柔軟性の観点から、低密度ポリエチレンであることが好ましい。ここで、低密度ポリエチレンとは、密度が0.93g/cm3以下のものを意味する。密度の下限値については、特に限定はされないが、0.89g/cm3以上であることが好ましく、0.90g/cm3以上であることがより好ましく、0.91〜0.93g/cm3のものが一層好ましい。
共重合成分の種類や数について、特に限定はされないが、たとえば、炭素数3〜8のオレフィン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸低級(炭素数1〜6)アルキルエステル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独で、または複数種を組み合わせて使用できる。ここで、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸とメタクリル酸の双方を意味しており、それらの誘導体の表示についても同様である。
特に、成分(B)のアクリルゴムとの組み合わせの観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(たとえば、エチレン−エチルアクリレート共重合体等)を使用することが好ましい。これらの共重合体において、エチレン以外のコモノマーの量は、全モノマー中の20質量%以下であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
両者を併用する場合、質量比でポリエチレン:エチレン−酢酸ビニル共重合体が9:1〜5:5の範囲であることが好ましく、7:3〜5:5であることが好ましく、約6:約4であることが一層好ましい。
アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を好ましく使用できる。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
柔軟性については、引張弾性率(JIS K7161に準拠)が350MPa以下であることが好ましく、300MPa以下であることがより好ましく、200MPa以下であることが一層好ましい。
上記架橋後の特性はいずれも、いわゆる初期の値であり、熱処理前の測定値を意味する。
たとえば、樹脂成分として、エチレン(共)重合体以外のポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、プロピレン・ブテン−1共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ペンテン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブタジエン、ポリイソプレン等)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、石油樹脂系炭化水素(石油樹脂、水添石油樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂等)、芳香族系ビニル系ゴム(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−プロピレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴム等)が挙げられ、これらの複数種を併用してもよい。
難燃化樹脂組成物の場合、その酸素指数(JIS K7201−2)は23 O2%以上であることが好ましく、23.5 O2%以上であることがより好ましい。
アンチモン系難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン等を例示することができる。
なかでも、上記成分(C)と組み合わせて亜鉛華(酸化亜鉛)を用いることが好ましい。亜鉛華の配合量は、成分(A)と(B)の合計(ただし、その他の樹脂を含む場合はその樹脂量も含め)100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、一方、硬化物の各種特性を確保する観点から15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
樹脂組成物には、さらに、本発明の効果を阻害しない範囲内で、通常使用される各種の添加剤、たとえば着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、分散剤、滑剤、増粘剤、発泡剤等の1種以上を必要に応じて含むことができる。
放射線照射架橋に際し、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、2,2−ビス{4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル}プロパン、トリアリルイソシアネート等の架橋助剤を添加してもよい。
<実施例および比較例>
表に示す配合比で、エチレン(共)重合体に各成分を配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合した。得られた混合物を、ベント付37mmψ押出機で溶融混練し、ストランドカットによってペレット化した。さらに、このペレットを用いて、プレス成形して、1mm厚プレスシートをダンベルで3号型に打抜いた試験片(1)または2mm厚プレスシートの試験片(2)を得た。架橋は、電子線照射架橋法により、印加電圧750kV、160kGyの条件で行なった。
EVA樹脂(1):三井デュポンポリケミカル(株)製「エバフレックスEV460」(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量19質量%、メルトフローレート2.5g/10分)
EVA樹脂(2):三井デュポンポリケミカル(株)製「エバフレックスP1205」(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量12質量%、メルトフローレート2.5g/10分)
直鎖状低密度ポリエチレン:(株)プライムポリマー製「エボリューSP2030」(密度0.922g/cm3)
ポリプロピレン:(株)プライムポリマー製「E−150GK」
アクリルゴム:(株)トウペ製「トアアクロンAR−601」(アクリル酸メチルを含むアクリル酸エステル類とアクリロニトリルとのゴム状共重合体、ムーニー粘度25〜35ML1+4(100℃))
臭素系難燃剤:アルベマール社製「SAYTEX8010」(エチレンビス(ペンタブロモフェニル))
三酸化アンチモン:日本精鉱(株)製「PATOX−M」
亜鉛華:堺化学工業(株)「酸化亜鉛2種」
<引張強度>
JIS K 7161に準拠し、試験片(1)を用い、引っ張り速度は50mm/分として測定した。
<引張伸び>
JIS K 7161に準拠し、試験片(1)を用い、引っ張り速度は50mm/分として測定した。
JIS K 7161に準拠し、試験片(1)を用い、引張速度1mm/分の速度で測定した。
<酸素指数>
JIS K7201−2に準拠し、試験片(2)を用いて測定した。
JIS K7216に準拠し、試験片(2)を用いて測定した。
<耐熱性>
試験片(1)を用い、これを180℃のオーブンで熱処理後、JIS K7161に準拠して引張試験を実施し、伸び50%を下回る時間を測定した。
得られた結果を、表1に併せて示す。
これに対し、比較例のチューブは、いずれかの特性が不良となることが判明した。
Claims (5)
- (A)構成モノマーの80質量%以上がエチレンであるエチレン重合体と、(B)アクリルゴムとを、質量比で9:1〜8:2の範囲で含み、(C)ハロゲン系難燃剤およびアンチモン系難燃剤からなる難燃剤を、前記成分(A)と(B)の合計100質量部に対して30質量部〜60質量部の量でさらに含む、熱可塑性樹脂組成物。
- 前記成分(A)のエチレン重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体および/またはエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を含む、請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記成分(A)のエチレン重合体が、密度0.93g/cm3以下の直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 架橋後の引張強さが15MPa以上であり、かつ、脆化温度が−40℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物を電離性放射線により架橋して得られる硬化物を含む成形品。
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